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正木委員 それはわかっているのです。今度の
措置は一〇〇%私は首を縦に振るわけにまいりませんけれ
ども、なかなか考えたなという
考え方はあるのです。この話は、私の方のそれこそ専門家がいますから、これから一般
質問でやると思いますので、これ以上あれですけれ
ども、私が聞きたかったことはそういうことではなくて、再検討するということは、
政府の場合は、もう常に廃止の
前提としての再検討なんです。そういうことから、この再検討というものがどういう形で再検討されてくるか、どこで再検討されるかというのはきわめて関心が深いわけなんです。児童福祉審議会が二年前にあの答申を出されて、それが実行されていないのに、また、審議をやり直してもらうような形で再諮問するというような結果になるとするならば、それはもう後退かないしはこれが廃止の方向に行かざるを得ないような方向づけをしたものになってしまうのじゃないだろうかということを心配しているわけです。したがって、これは
大蔵大臣は金庫番でありますから金を出すことについては徹底的に反対するでしょう。また反対しなければならぬ立場の人ですからね。守る人はだれかと言えば、あなたしかない、厚生
大臣しかないわけです。ですから、そういう
意味においても、この児童手当の制度を守っていくためには、やはり真剣に構えていただきたいと思うし、その諮問する態度においても、また
臨調に対しての
説明においても、そういう点についてはいわゆるこれをばらまき福祉の中に入れてしまって、ぶった切った方がいいというような思想で対処しないようにしてもらいたいし、低所得者対策として対処してもらわないようにしてほしい、こういうふうに考えているわけです。
というのは、これはこの前もちょっと申し上げましたが、念のために申し上げますが、生活に困っているから金をやればいいというような単純なことでなくて、これは国家百年の大計から考えて大変なことが起こるということなんです。
これはよく御存じだと思いますが、合計特殊出生率というのがあります。これは再生産率とも言いますけれ
ども、要するに十五歳から四十九歳までの女の人が一生のうちに何人子供を産むかという統計です。これが二・一人を掛けると人口は横ばいになってくる、ないしはずっと下り坂になるのです。これの統計がございますが、この二・一四人であったのが
昭和四十八年で、
昭和五十三年にはすでに一・七九人、五十四年には一・七七人になっていると統計の報告があります。このままずっと下がって、この出生率が一・六人になったときには、七十年後には日本の人口が九千万人になるというのです。九千万人でもええと言う人があるんですよ。こんな狭いところで九升万人でええがなと言う人がありますけれ
ども、しかし問題は年齢構成でありまして、このときの九千万人というのは、もう全く逆三角形、逆ピラミッド形の年齢構成になってしまう。それは中庸年者の労働力というものについてのいろいろな問題を考えていかなければなりませんが、しかし中心になるのはやはり若い労働力でしょう。これは日本の経済にとって大変なことになる。同時にまた、若い人たちがこのお年寄りの老後を支えていくわけでありますから、そういう人たちがごくごく少なくなってしまうというような
状況で、果たして日本の将来はこれでいいのかということになるのです。
そうすると、何で子供を生まなくなってきたのだということに、これはまた探求をしていかなければなりませんが、これは幾つかの理由はあるけれ
ども、しかしその中で、やはり教育費や生活費の増大というものが一つは大きな問題にもなってくる。ですから、欧米ではこんなことをやるところがあるんですよ。もう皆聞いたらびっくりするぐらいのことをやりよります。要するに、低出生率に対して、これからの人口減を心配して、たとえば子育て期間中の妻には掛金の負担なしで一定の年金資格を与えるという、こんなことまでして子供を生んでもらって、子供を育てなければいかぬというような国がもうすでにあるのです。まだ日本はそこまでいっておりませんけれ
ども、そういう関連がこの児童手当にはあるということです。
したがって、この児童福祉審議会の答申の中にそのことを明確に記している。確かに子供は二親の子供ではあるけれ
ども、しかし同時に、その子供の持つ使命は未来の国、未来の社会を担っていくのであるから、「社会の子」とする位置づけとしなければならぬということをこの答申の中で言うています。
ですから、そういう認識から、言うならば、この制度がなくなってしまったり、もうごくごく低収入者にしかこの手当が出てこないというようなことは、今後長期の日本の将来を考える良識ある
総理として果たしていいのかどうか。いま児童手当の制度は、ぎりぎりこれ以上下がれぬというところまできているのです。しかも、こんな第三子からというようなことをやっているのは、日本と南アフリカ共和国とモーリシャスとかベトナムとか、そんなところです。実施した国六十六のうち五十七まで第一子、初めの子からです。日本は三番目からです。けちくさい話をしているわけです。しかも、これはあと全部発展途上国ないしは後進国です。未開発国と言っていいぐらいなところです。
そういうことから考えると、日本で実施しているこの制度それ自体が決して完璧な制度ではないのです。その制度をなおメスを入れて削っていこうというのだから、よっぽど物がわからぬか、よっぽど心臓が強いか、よっぽど長生きする気のない人としか考えられぬのでありまして、これ以上のことは、この後次の
委員会というか、うちの別の
委員さんにやってもらいます。
そこで、年金を年金会計から借りますね。国庫負担金を入れないということは、そしてまた返すというのだから、借りるのと一緒です。これとかさ上げの問題と、借りることばかり今度はやるわけでありますが、これは苦し紛れであって、一〇〇%悪いとは言わぬけれ
ども、問題は本当に返せるのかというのです。
大蔵大臣、どうですか、本当に返せますか。
財政再建期間というのは
昭和五十九年まで、
昭和六十年からずっとこの特例期間は外れてくるわけでありますから、まあまあ六十年から返すということがあたりまえのことだろうと私は思っておりますが、ところがこの六十年には、もう
大蔵大臣がおっしゃったように、
昭和五十年に発行した赤字債の償還をしなければならぬときが来るわけですね。そうしてこの三年間の国債費も大きくなってくるでしょう。同時に、税収を確保するということになってくると、当然それに見合うべき地方交付税というものも大きくなってくるでしょう。こういう経費を予想しますと、本当にこの特例法で言うところの借金が返せるのかどうか、一時借入金は利子をつけて返すということが可能なのかどうか、そんな
計算はしたことがあるのか、したとするならば、それはどういうことになっているか、ひとつ教えてください。