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中村(茂)
委員 検討するということでございますから、まあ私の趣旨等を踏まえて、この対策についてひとつ慎重にしていただきたいというふうな思います。
それから、
業界とそれぞれ
官公庁との癒着の問題で少し触れておきたいというふうに思うのですけれども、ここのところに、人事院で発行した、いわゆる民間への天下り、こういうふうに私ども俗に言っているのですけれども、資料があります。
これは五十五年度のですけれども、これを見てみますと、この一年間に二百二十八件、そのうち
建設省からは二十七人。そして、いままで
建設省の関東地建に勤めていた方が株木建設に行っている。株木建設というのは、先ほどの茨城の
事件で出てきている企業であります。そのほか、各省庁から土木
建設業界に十九人の人が行っているわけですね。五十四年度のを見ると、運輸省から大都工業に行っています。それから、土木建築
業界へはやはり同じくらいずっと行っているし、
建設省からは二十六人の方が行っている。五十三年のを見ますと大体状況は同じでございまして、そういう中からも、北海道開発庁から株木建設に行っている。五十二年の中では
国税庁麹町署長から間組に行っている。五十一年のを見ますと、農水省から大都工業に行っている。この大都工業というのも株木建設と同じように茨城県の
事件の企業だ。
そういうふうにずっと検討をしていきまして、それではそれぞれの企業の相手になる地方自治体はどういう実態になっているかということを調べてみますと、問題になった茨城県、都市
計画課長、河川課長、
住宅課長、土木部長、こういう建設
関係の人が八人
建設省から出向している。それから
静岡県のを見ますと、土木部長、河川課長、建築課長、八人の方がやはり
建設省から出向している。以心伝心という言葉があるのですけれども、
業界の方を見ても、まあ人事院で許可したのですからあれですけれども、その姿を見ると、確かに人事院規則に基づいて、
建設省なら
建設省にいた人が、行く企業に直接
関係のあるものについてはいけないことになっていますね。しかし、行くところについては顧問だというようなかっこうで、企業の中で直接
関係のないところへ行って、その期限の二年なり三年なりがたてば重役におさまってくるというケースが非常に多いわけですね。またはそこのところへ
関係していく。
これは、いましている話とはちょっと横道へそれるのですけれども、趣旨が同じですから申し上げるのですが、先ほど麹町署長が間組に行っているという話があった。これも行ったときは顧問ぐらいだけれども、今度少したって中身を見ると、肩書きはいろいろありますけれども、担当は税務対策、こういうふうになっているわけであります。
ですから、先ほど言ったように、以心伝心ということがしゃばであるわけで、
建設省がこういう民間に出していく。向こうの方もメリットがなければ民間ですからなかなか採らないと思うのですよね。そうすると、
建設省の方は、これは採ってもらったということはやはりどこかにありますよ。それを私どもは、企業と
官公庁との癒着と、こう言うわけだ。つまり構造的になっているわけだ。だから、これは私どもがよく天下りということで特殊法人等のやつを言うのですけれども、直せといっても、これはなかなか直る問題じゃない。やはりそうしたものを解決していかなくちゃいけないのですけれども、そういうところにこそ残っている人もまたそこへ行った人も、やはりきちっと自分の
立場というものをわきまえて対処していかなければ、自分は前に
建設省にいたんだから、ここの会社で御厄介になっている、何かやはり会社に役に立つことをしなければいかぬ、メリットになることをしなければいかぬという気持ちで、それこそ、先ほど
大臣も緩みということを言いました。そういうことはやはり厳格にやってもらわなければならない問題だ、こういうふうに私は思うのです。
それから次に、
静岡の例で政治献金のことを申し上げました。私は、こうずっと見ていて、
建設業界の、地方から中央に至るまでの政治献金というものは最近非常に多いですよね。私は法律
違反だとは言いません。正式に届け出た。そして正式にそれをもらった。これは私も、本当に資料的にきちっとしたもので申し上げるわけではありません。うわさ程度でいろいろ申し上げて、こういう席で申しわけないですけれども、こういうことを言われているのですよ。公共
関係での建設、それから
土木事業における落札価格の五%は政治献金に充てられるという風習になっている、こういうことがよく言われている。五%がいいかどうか知らぬけれども、私どもの見た目でも非常にそういうものが多くなってきている。
それから、これは先ほどの工費の問題と非常に
関係があるし、行政改革の問題とも
関係があるわけですけれども、私は非常に興味を持ってこれをずっと見てきたわけですが、二月十七日を中心にして朝日新聞で連載されました「開かれた政府を」ということで、第三部で「霞が関からの報告」ということで、そこのところにこういうふうに載っているのです。「わが国の公共投資は年間ざっと二十兆円、一人当たり二十万円程度の支出になる。これを正しく、効率的に使う手段として、国でも地方自治体でも、競争
入札という制度を原則的に取り入れている。ところが、それはほんの建前にすぎないらしい。あえて「らしい」というのは、
入札に関するくわしい資料が一般の目から隠されているため、全容を明かす術(すべ)がないからだ。元建設相の一人は「いや、ほとんど談合
入札。業者間の事前の話し合いで、今度はどの社の番、と決まっていて、
大臣も今じゃ介入する余地はまずないなあ」と苦笑いした。」これは新聞の記事で申しわけないのですけれども。ですから、なおこの
事件を通じて私つくづくこういう点はどうかなと思ったのは、先ほども質問しましたように、
静岡の例です。ほとんど
官公庁の
公共工事を受け持つ、それは税金ですね。そして社団法人の建設業協会がその傘下の企業から金を集める。そしてそれを政党に献金する。言えば税金が一つの
団体を通って政治献金に化けてしまっているわけですよね。化けたという言い方がまずいなら訂正いたしますけれども、その構造です。これは政治課題でもあるし、非常にむずかしい問題ですけれども、少なくとも
公共工事を、何%でもいいですけれども、それを扱っているそういう企業が社団法人というようなところを通じて、そこで金を集めて、それが政治献金になってくる。先ほども、政治資金規正法でいけば、社団法人というようなところについては収益じゃないから、その傘下の企業のところは脱税の問題で
調査できるけれども、社団法人という法人ですから、そこのところへは脱税問題についても手を入れることはできない、こう言っているわけですけれども、やはりそういうところを通じて、私どもが、
山花委員が
調査したところによりますと、その
業界の帳簿は、どこを出してもらっても公のところには出てこない。しかし政治献金の公報を見ると、
建設業界という名前だけは載っている。恐らく素通りでしょう。集めたでしょう。だからその構造というあやいろいろなことを考えて見た場合に——それで私どもは政党人ですし、
国会議員ですから、いろいろ地方選挙をやります。そうすると、あの橋は私がやった、この道は私がやった、私がここのところをやる、こういう話がよくあるんですね。私は長野県の上田市ですけれども、このごろ市長選挙がありました。そして、その
建設業界の人たちが集まって、そこの一人から、この候補者を推さなければ市の工事の
入札には入れない、こういう発言があった。だから私は、そういうもの全体を考えてみると、この政治というものと
業界との癒着、それから
業界と
官公庁との癒着、これはやはりあらゆる面でちょっと行き過ぎがあるじゃないか、こういうことを思わざるを得ません。
いま、
入札のあり方それから構造的な問題、
業界の体質的な問題について、私は本当にざっくばらんに私の考えていることをずっと言ってまいりました。
大臣はどんな感想をお持ちでしょうか。