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園田国務大臣 中東地区というものは、いままで
日本では、石油を売ってもらう国だ、こういう
考え方から中東地区といろいろやっておって、
日本は
方針がない、ただ石油が欲しいから石油を買いやすいようなことばかり言っている、こういうことの批判を受けたことがあると思うわけであります。
〔
委員長退席、
森下委員長代理着席〕
しかし問題は、
日本外交の基本というのはそうであってはなりませんので、中東地区というのは非常に大事であって、イランの問題を
考えてみても、イラン、イラクの
紛争を
考えてみても、いまの中東地区の和平交渉の問題を
考えてみても、これが
一つ間違うならば、あそこで火花が散って、油田をいっぱい持っている中東地区が
世界の争いの勃発点になるおそれが非常に多いわけであります。したがいまして、
日本は、中東地区の平和というのは
世界の平和につながる、
世界の平和こそはみんなが願う願いでありますから、そういう意味で、中東地区の平和というものに
日本の持っている力を尽くして貢献すべきだ、こう
考えております。
次に、簡単に申し上げますと、イランの内紛の問題、イラン、イラクの戦争と、なかなか流動的で、正直に言って間近に解決のできるものはなかなかございません。しかしその中でも、中東和平交渉、この問題は、みんなが少し
努力をすればいい
方向へ動くのではなかろうかと、私は今度中東に行って感じて帰ってきたわけであります。
そこで、その中東和平交渉のかぎというものは、第一はエジプトとイスラエルの
関係、もう
一つは、イスラエルと対立をしておるアラブ諸国とイスラエルとの
関係、最も敵対
関係にあるイスラエルとパレスチナ代表の、おいでになった議長との
関係、もう
一つはエジプトと穏健アラブ諸国との
関係をどうつないでいくか、こういうふうにいろいろ絡み合いがあるわけでありますが、サダト
大統領が亡くなられたことはまことに残念であります。悲しいことであります。鮮烈なる政治生涯を送られたサダト
大統領は凶弾で倒れられました。しかし問題は、そういう不幸を転じて幸にすることがわれわれの仕事でありますから、サダト
大統領が亡くなられたことを転機として、この和平交渉が少し動くように
努力すべきだ。そのためには、まず何といっても当事者であるイスラエルとエジプトとの自治交渉、これが問題であります。これはサダト
大統領が亡くなられたからといって後退をしたりひっかかることは余りないのじゃないか。むしろ、みんなが心配して
努力するから、ある
方向へ進むのではなかろうか。しかし問題は、その自治交渉がパレスチナの自治を認めるかということではなくて、国家独立を含む自治権を認めるかどうかというところまで進むかどうか。進めば、これを突破口にして、サウジアラビアから出されておる八項目の提案というものがたたき台になって、これに最後のかぎであるパレスチナ、PLOを和平交渉の中に入れる、こういうふうにおぼろげながら筋書きを書いてみますると、ここで
努力をすれば少し動くのではなかろうか。
これを取り巻くのが西側諸国でありますが、中東においては西側諸国といっても、米国、英国、フランスおのおの自分の利害がありますから、憶測があって必ずしも足並みはそろっておりません。そこで
日本の役目は、この対立するPLO、イスラエル、エジプトそれからアラブを足場にしたアラブ諸国との間の調停役をやる、と同時に、この背後にあるという米国に対して、
日本と米国は特別な
関係でありますから、特別な
関係ということは、むしろ遠慮なしに正しいことを言うべき立場にあると思いますから、米国に対しても中東和平のために正しい
方向で尽瘁されるように要請するのが
日本の役目だと
考えております。
一方、具体的には申し上げられませんけれども、私は、
アメリカの前
大統領フォード、
カーター、それからヘイグ、それからイスラエル等それぞれの
指導者と会いましたが、帰られた後、現政権に影響力のある前フォード
大統領は、サウジアラビアの八項目は評価するに足る、こういう
発言もしておられるわけでありますから、非常につらいところもありますが、つらいからといって投げずに
努力をすべき
段階である、こういうことで、中東和平については
日本はできるだけの力を出して、この
国々の和平、ひいては
世界の平和に貢献すべきであるという決意のもとに
努力をしておるところでございます。