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1981-10-15 第95回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十六年九月二十四日)(木 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 奥田 敬和君    理事 青木 正久君 理事 稲垣 実男君    理事 川田 正則君 理事 松本 十郎君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君       石井  一君    石原慎太郎君       太田 誠一君    木村 俊夫君       北村 義和君    栗原 祐幸君       小坂善太郎君    佐藤 一郎君       坂本三十次君    竹内 黎一君       中山 正暉君    古井 喜實君       飛鳥田一雄君    井上  泉君       勝間田清一君    河上 民雄君       大久保直彦君    林  保夫君       金子 満広君    野間 友一君       田川 誠一君 ————————————————————— 昭和五十六年十月十五日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 奥田 敬和君    理事 青木 正久君 理事 稲垣 実男君    理事 川田 正則君 理事 松本 十郎君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君       石原慎太郎君    太田 誠一君       木村 俊夫君    佐藤 一郎君       坂本三十次君    井上  泉君       河上 民雄君    林  保夫君       金子 満広君    野間 友一君       伊藤 公介君  出席国務大臣         外 務 大 臣 園田  直君  出席政府委員         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省経済協力         局長      柳  健一君         外務省条約局長 栗山 尚一君         外務省国際連合         局長      門田 省三君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  大場  昭君         外務大臣官房外         務参事官    英  正道君         大蔵省関税局大         臣官房企画官  西方 俊平君         文化庁文化部国         語課長     室屋  晃君         消防庁危険物規         制課長     藤田 康夫君         外務委員会調査         室長      伊藤 政雄君     ————————————— 委員の異動 九月三十日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     伊藤 公介君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 奥田敬和

    奥田委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する事項について研究調査し、わが国外交政策の樹立に資するため、関係方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中、国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 奥田敬和

    奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 奥田敬和

    奥田委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  5. 土井たか子

    土井委員 ここ二、三日のニュースのまずトップでございましたPLOアラファト議長、もう周知のことの中身になってまいりますが、西側の先進国の中でまず初めて日本に来訪されまして、昨日は外務大臣と直接会ってお話をなすっているわけでございますが、外務大臣、きのうアラファト議長との話の結果、どのような感想、印象をお持ちになっていらっしゃるか、まずそれから承りたいと思います。
  6. 園田直

    園田国務大臣 私は、きのう食事、会談会談を終わってからまた二人きりで話したわけでありますが、両方、話しまして意見が合いましたことは、日本国民PLOに対していろいろな想像を持っておったわけですが、議長がおいでになって、議長の談話やその他の行動がなかなか配慮されたことであって、国民は非常にいい感じを持ちましたよ、それから、私とあなたは意見がなかなか合わぬと思うけれども、問題は、国民がこうやって迎え、総理外務大臣がお会いしたということで非常に意味があるのじゃございませんか、こういうことで意見が一致をいたしました。非常に気持ちのいい、率直な議長だと思いました。
  7. 土井たか子

    土井委員 その気持ちのよい率直なお話し合いの中で、今後の中東日本外交政策の中で新たに生かしていかなければならないいろんなあり方を、外務大臣自身、心に期していらっしゃることだと私は思いますが、中東和平について、パレスチナ問題を抜きにしては考えられないというのが私は常識だと思うのですが、このことについては、外務大臣はどのようにお考えになりますか。
  8. 園田直

    園田国務大臣 いままでの委員会でも私、申し上げたと存じますが、パレスチナ問題の解決中東和平の最後のかぎでありまして、これの解決がなくしては包括的な中東和平はあり得ないというのは、各国とも一致した意見でございます。
  9. 土井たか子

    土井委員 そこで、そのパレスチナ問題について、パレスチナ人代表する機関PLOであるというふうに認識するのもこれまた常識かと私は思いますが、いかがでございますか。
  10. 園田直

    園田国務大臣 パレスチナ代表するいろいろなグループがありますけれども、ほとんど、まあ失礼でございますが、代表して活動しているグループというのはPLOによってやられていると思います。したがいまして、パレスチナ代表する重要なグループPLOと、こう思いますけれども、正式に言えば、ただ一つ代表であるというところまではまだ言い切れない、重要な代表である、こういうことであります。
  11. 土井たか子

    土井委員 重要な代表であるということと、ただ一つ代表であるということの間に距離があるやに私はいま承っていて思うわけですが、どのようにすればその間の距離が埋められることに相なりましょうか。
  12. 園田直

    園田国務大臣 まあ表現でありますが、私は、実際問題としてはさほど距離のある問題ではない、これはむしろ私が判定するよりも、向こうの方で逐次そういう態勢を固めていかれるべき問題であると考えております。
  13. 土井たか子

    土井委員 ただしかし、向こうの方でその態勢をと大臣はおっしゃいますが、すでに御承知だと思いますけれども、PLOパレスチナ人民代表であるということは、昨年開催されましたパレスチナ問題に関する国連緊急特別総会においても、百十二カ国の賛成を得て決議をされているのですね。したがって、このことは国連決議ということになっているわけなんです。ですから、向こうの方でそのようにとおっしゃる意味がどうも私としてはもう一つよくわからないのですが、どういうことでございますか。
  14. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの御質問、まことに恥ずかしい話ですが、事務当局でもわからぬそうでありますから、しばらく時間をいただいて、調べさせた上でお答えをいたします。
  15. 土井たか子

    土井委員 これはまたまた大変ですね。基本的に、これは非常に大事な問題なんです。それでは時間を少し待ちますけれども、大臣、それならばもう一つ申し上げましょう。  七四年の十月二十八日、非常に古い話でございます。もうすでに、アラブ首脳が集まって、PLOパレスチナ人唯一正統なる代表と宣言しているのです。こういうことについて、いま外務大臣は、向こうがさらにどのように努力をするということを認識してあのような御答弁をなさったのですか。
  16. 園田直

    園田国務大臣 いまおっしゃいましたのはアラブ首脳会議で決まったことで、これはきのうアラファト議長からもそういう話がありました。すでにアラブ代表者会議では唯一代表であると決まっている、したがって、日本もそういう方向で検討、留意されたい、こういう話がありました。
  17. 土井たか子

    土井委員 それについて、そうすると、そういう方向日本努力をするという気構えでいらっしゃることは当然のことだと思いますが、そのとおりでございますね。
  18. 園田直

    園田国務大臣 いまのお話や、国連オブザーバーとして出席している話、それからパレスチナの中で占める地位、こういうものには十分留意をして、そういう方向でわれわれは接していきますということでございます。
  19. 土井たか子

    土井委員 それでは、先ほどの国連決議の問題は、また後でお調べになった上でひとつ聞かせていただくことにいたしましょう。  そこで、このPLOが同じテーブルに着いて話し合いをするということでなければ、中東和平に対する話し合いということにはならないと思われます。これは当然のことだと思いますが、これについては、外務大臣、どうお考えになりますか。
  20. 園田直

    園田国務大臣 現段階で具体的にどうこうと言うわけではありませんけれども、中東和平交渉PLOを参加させるべきだということは、私は前々から主張しているところでございます。
  21. 土井たか子

    土井委員 園田外務大臣は当委員会における答弁の中でもそういうことを従来から言ってこられていることを、私もよく承知をいたしております。したがいまして、それは言葉をかえて言うと、しつこいように聞こえるかもしれませんが、PLO抜きにして中東和平考えられない、こういうことも言えるかと思いますが、それはそのとおりでございますね。
  22. 園田直

    園田国務大臣 そのとおりでございます。
  23. 土井たか子

    土井委員 さて、今回はそういうふうなアラファト議長とのさしでのお話で、いろいろお考えになるところをお持ちになって南北サミットに向かわれます。外務大臣総理南北サミットの場所で個別会談をいまお考えになっていらっしゃる各国首脳がおありになると思いますが、どういう方々がいまあらまし予定の中にございますか。
  24. 園田直

    園田国務大臣 三十二カ国の首脳が集まるわけでありますが、総理は、向こうに行かれてからそれぞれその場で両方合意をして会いたいということで、ただいま総理考えておられるのは、中国の首脳サウジ皇太子、それからインドの方とは合意をしておりますのでインド総理、この三人だけが大体具体的に決まっておりまして、三人ということではなくて、行ったら向こうでその場で他の首脳ともなるべくお会いになる、こういうことであります。私は、各国外務大臣とできるだけ数多くお会いしたいと思っております。
  25. 土井たか子

    土井委員 各国外務大臣とのいろいろな個別会談、これは非常に大事な話でございますけれども、しかし、昨日お会いになったアラファト議長との話の中で、さらに新たに日本としては中東和平のために果たすべき一つ役割り立場というのがあるように思われます。そういうことからいたしますと、南北サミットは大変貴重な機会になってまいります。  いまおっしゃいました中で、サウジファハド皇太子、これがもう大体予定の中に、お会いできるような段取りがあるようでございます。サウジ皇太子と言えば、例の和平の八項目について、けさ早く日本をお立ちになったPLOアラファト議長もこれを評価するという立場でるる御説明なり、状況に対しての御見解もお述べになりました。今回アラファト議長日本に招待する主体でございました日パ議員連盟の一員といたしまして、私も会談の席に臨んで、議長の意のあるところもじかにお聞きする機会を得た一人でございます。日本としてはこの八項目について評価をされていると従来から認識をしてまいっておりますが、どのように大臣はお考えになっていらっしゃいますか。
  26. 園田直

    園田国務大臣 サウジの提案しております八項目というのは、将来の中東和平交渉の中のある段階における一つのたたき台と申しますか、足場になると存じておりますので、各方面ともいろいろ話しておりますが、いまの段階では日本政府のこれに対する評価は申し上げない方が、諸般の事情で都合がいいと思っております。しかし、十分これに注意をし、研究をいたしております。
  27. 土井たか子

    土井委員 サウジ皇太子とお会いになる節は、これはやはりきのうお会いになってのお話の中にもこれあり、いろいろと中東和平のために日本としてはできる限りのことを尽くすという姿勢でお話をなさるはずであると私たち認識をいたしておりますが、サウジ皇太子との話し合いの中で、中東和平、さらにPLOの問題について、具体的にはまだそうはっきり考えておりませんとおっしゃるかもしれませんけれども、お心づもりのほどがおありになるはずだと思いますから、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  28. 園田直

    園田国務大臣 中東和平交渉日本の置かれた立場というのは、特殊な立場だと存じます。幸いにしてPLO議長ともお会いして、大体の意向もわかりましたし、イスラエルの方とも、意見は対立はしておるが、話はしましたし、かつまた、アラブ穏健派諸国とは連絡は緊密でございます。また一方、PLOの方も、サウジ初めアラブ諸国とはわれわれ以上に連絡は緊密でございます。その間に立って日本が何をやるか。こうやってくれば、大体われわれがいままで考えておった方向は、方向としては間違えてなかった。  そこで、これを具体的にどうやって進めるか、こういう段階に来たと思いますので、そういうことを考えながら、いろいろな関係国等意見を聞いたり、日本意見を申し上げたりすべきときだと私は考えております。総理サウジ皇太子会談というのはそういう方向じゃないかと想像しておりますが、まだ具体的には決めておりません。
  29. 土井たか子

    土井委員 南北サミットの際の個別会談予定の中に、いまは御答弁でおっしゃいませんでしたが、当初からお会いになるやに報じられておりますレーガン大統領、当然アメリカ側が御出席でございますから、そういう機会日本としては努力してお持ちになるはずであるとわれわれは思っております。  アメリカは、PLOアメリカ側が重要な接触や実質的な会談交渉のいずれも行わないというかたくなな立場を一切崩しておりません。この南北サミットは、自決権を初め、アメリカ側PLOに応対する中に入って、日本としてはアメリカに対するある一つの進言をする機会でもあろうかと思いますが、その点はどういうように外務大臣はお考えになりますか。
  30. 園田直

    園田国務大臣 米国大統領日本総理との会談は、まだ正式に決まっておりません。米国大統領会談はどこの国ともまだ決まってないようで、これはどうなりますかわかりませんけれども、いろいろな点でまだ決めてないと思います。両首脳がお会いになれば、そういう話ももちろん出てくると存じます。
  31. 土井たか子

    土井委員 さらに、外務大臣自身は、サダト・エジプト大統領の葬儀に参列をされまして大変お疲れのところ、お帰りになったら即刻その足で総理にお会いになって、まずおっしゃったことは、中東に対して訪問をするという必要性のあることでございました。来年早々くらいなんということが、報道を通じて私たちの耳にも入ってまいっておりますけれども、これは鋭意そういうことに対していま計画を策定中であるというふうに私たちは受けとめておりますが、少なくとも総理中東訪問をされるということになってまいりますと、PLOアラファト議長日本に訪ねられる以前とでは、中東訪問中身も違ってこようと思います。  今回、PLOアラファト議長日本に来られ、特に総理さしお話しになって、外務大臣とひざを交えてお話しになった。この中身を生かしていくということがどのように具体的になされるかということを国民注目をいたします。全世界注目をいたします。外務大臣としては、訪問国あり方を初め、持っていくいき方もこれで違ってこようと思いますけれども、どういうふうに心づもりをいまお持ちになっていらっしゃるか、この点、いかがでございますか。
  32. 園田直

    園田国務大臣 来年のことでございまして、年内は総理外遊ということはちょっと日程上無理でございます。  そうすると、明年になると総理外遊もあるわけでございますが、その外遊では何としても中東を一番先にやっていただきたい。総理訪問も、いままでどおりに単なる儀礼で各国を回られるということではなくて、訪問されたことによって、一つ日本役割りというか、政治的な任務を果たしていただきたい、それが総理外遊でなければならぬと私、ひそかに考えておりまして、総理に申し上げたわけであります。総理もそういうおつもりのようだと内心考えましたが、ただ、日程、特に訪問国等については、相手のこともあることでもありますから、今後事務当局とも相談をし、総理の御意向等も聞いて詰めていきたいと考えております。
  33. 土井たか子

    土井委員 ただしかし、基本的には、アラファト議長日本に訪ねてこられて、東京さしお話しになる以前とでは、中東訪問中身も違ってこようと思いますが、それは当然でございましょう。
  34. 園田直

    園田国務大臣 いろいろな条件を検討しながら、そういうことも決めていただきたいと思っております。
  35. 土井たか子

    土井委員 いまアラブ諸国社会主義諸国、オーストリア、スペイン等々の国は、東京にございますPLO事務所を大使館またはそれに準ずるものということで承認をし、取り扱いをいたしておりますが、肝心かなめのその事務所のございます当事国である日本は、このPLO東京事務所に対して外交特権をいまだに認めておりません。外務大臣、このことについては、一段一段ということも外交のやり方としては大切な問題なので、東京にございますPLO東京事務所に対しましての外交特権、これはいままで懸案であったわけでありますが、このことに対しまして従来よりも少し積極的に具体化することをこのあたりでお考えになりませんか。いかがでございますか。
  36. 英正道

    英説明員 先生御案内のように、従来から政府といたしましては、外交特権というのは国家を代表する機関、それから国際機関代表する機関ということで対処しておりまして、東京にございますPLO事務所にも、そういう基本的な考えから外交特権を認めておりません。そして、今回のアラファト議長訪日に当たりましても、その立場は変わらないということでございます。
  37. 土井たか子

    土井委員 いま事務当局は事務的な解釈、事実に対しての見解をお述べになったにすぎない。これは政治問題なんです。非常に大切な政治問題なんです。このことについては、事務当局にどうのこうのと言う資格はまるでない。これは外務大臣をおいてほかにないわけであります。
  38. 園田直

    園田国務大臣 PLO東京事務所を、制度として外交特権または外交のある国の出先として扱うわけにはまいりません。しかし、先ほども申し上げましたように、総理との対談の中で、総理は、国連オブザーバー、それからアラブ決議、あるいは各国待遇、こういうことも考えて、それに留意をしながら十分検討いたします、こういうようなお話であったようでございますので、そういうことで今後われわれも研究をするつもりでおります。
  39. 土井たか子

    土井委員 大変含みのある御答弁でございますけれども、まあこれは形式的に言うと事務当局の言われるとおりなんです。しかし、どのようにこの問題に対して対応していくかというのは、繰り返し申し上げますけれども、やはり外務大臣の政治的御判断の問題であろうと思われます。したがいまして、いま含みのあるところをおっしゃいましたから、そういうことからすると期待可能性は十二分にあるというふうなことも私たちとしては理解をいたしまして、いままで社会党としては幾たびとなくこの問題に対しては外務省申し入れ首相官邸申し入れを続けてまいりましたが、今回はこういう画期的な一つの新たな段階を迎えるということにも相なりましたので、改めてもう一度、外務大臣の御見解についてひとつお尋ねをしたい次第です。
  40. 園田直

    園田国務大臣 たびたびの申し入れや御意見は十分承っておりますが、ここでアラファト議長訪日をされて会談をしたからといって、出先事務所に対する日本待遇が変わることはありません。しかし、今後十分話し合っていきたいと考えております。
  41. 土井たか子

    土井委員 ほかにも大切なPLOの問題についてお尋ねを進めなければならないのですが、他の懸案にひとつ移りたいと思います。  九月に日韓閣僚会議がございましたが、この日韓閣僚会議がございます前と後とで、韓国側日本に対して要求をいたしております安保絡み経済援助六十億ドルに関する日本の態度は、何ら変わっていないというふうに考えてよろしゅうございますか。閣僚会議前に、当外務委員会外務大臣は非常にきっぱりとこのことに対しては御答弁をなすっておりますが、あの御答弁のままで今日に至っている、何らそれには変更がないというふうに考えてよろしゅうございますね。
  42. 園田直

    園田国務大臣 お答えをいたします。  私がいままでお答えしましたのは、私の裁量や判断お答えしたわけではなくて、日本側立場としてできないということを申し上げたわけで、その後、全然変わりはございません。
  43. 土井たか子

    土井委員 ところが、ソウルにおける閣僚会議の結果、共同声明は事実上出せなかったわけですが、共同新聞発表というものが出まして、その中身を見ますと、朝鮮の緊張状態について、日本側は、巷間いろいろとこれに対して言われているところを聞きますと、ずいぶん韓国側に対して譲歩している、認識の上での見解韓国寄りに変えたというふうにも言われています。  外務大臣お尋ねをしたいのは、九月三十日の国際オリンピック委員会総会で、もう全世界が知っておりますとおり、一九八八年夏のオリンピック会場は、ソウル、名古屋と競争いたしまして、五十二票対二十七票という大差でもってこれが決まりましたが、これだけ多くの国がソウル結構と言われる背景には、ソウルのございます韓国、この韓国緊張状態はない、北からの侵略はない、脅威はない、こういう認識がなければ、ここをオリンピック会場にするということに対して、それは結構だということにはならないと思うのです。  朝鮮半島の緊張状態韓国のただいまの緊張、北からの脅威というものを、この多くの国々は、韓国の言うとおりに、認識していない、大丈夫というふうに考えている、これについては、外務大臣、どのような御認識をお持ちですか。
  44. 園田直

    園田国務大臣 各国それぞれ立場が違うことでありますから、幾らか違いはあると思いますが、それぞれ正当に判断していると思っております。
  45. 土井たか子

    土井委員 いまのはちょっと御答弁にならないですね。正当に判断とおっしゃるその正当というのは、緊張状態がないということが正当な判断だということになると思うのですが、これはまことにお答えにくい問題だろうと私は思うのですが、そのように認識をされていないとこういう結果にならないというのは、客観的に見た場合もだれしもが考え常識でございます。どうでございますか。
  46. 園田直

    園田国務大臣 南北の問題は、米軍の駐留と相まって、権衡が保たれておると判断しておるものと思います。
  47. 土井たか子

    土井委員 この経済協力問題というのを軸にいたしまして、あと実務者レベルなどの継続協議にするかどうかの問題が懸案になっているというままの状態だと私は受けとめておりますが、その後、このことについて何らかの話し合いが進んだのでございますか、いかがでございますか。
  48. 木内昭胤

    木内政府委員 先般の日韓定期閣僚会議で、経済協力問題については御承知のとおり歩み寄りが図れなかったわけでございます。私どもとしましては、来年に始まる韓国の新しい五カ年計画の詳細について承知いたしたいわけでございますが、その点での実務者協議は何ら行われておりませんし、現在のところ、先方の出方は判明いたしておりません。
  49. 土井たか子

    土井委員 いまの木内局長の御答弁でもはっきりしているところでございますけれども、外務大臣、これは閣僚会議の席でも、韓国側はこの六十億ドルという総枠を日本に対して要求する一点張りであって、その算出根拠などについては明らかにしていないのでございますか、いかがなんですか。
  50. 園田直

    園田国務大臣 六十億ドルの内訳といいますか、計算等は、正式に承ってはおりません。
  51. 土井たか子

    土井委員 これもどうも対外援助のあり方からすると、やはりまだ何にも問題にならない段階だと言わざるを得ぬような中身だと思うのです、いまの話を承る限りでも。いままで、個別的に単年度制度で積み上げをやっていくというのが当然日本の制度であり、立場なんでございますから、それからすると全然お話にならぬと私は思うのです。  ただ、第五次社会経済発展計画というものの中で日本に対しての援助を求めているとちまたには言われておりますけれども、今回の閣僚会議の席でも、これは恐らくは外務大臣は御承知のはずだと私は思う問題がございます。  それは、韓国大統領の側近が作成をされて、韓国のジャーナリストを含めて関係筋に配付されたパンフレットがございます。「韓日安保経協の背景」というサブタイトルがついているパンフでございまして、韓日問題研究所というところがこれをつくったという体裁になっております。  この中身を見ますと、八二年から八六年までの防衛力整備計画で、北の脅威に対抗するために五カ年のうちに二百三十八億ドルが防衛費計画として足りない、そのうち八十七億ドルは自己負担をしよう、その他の百五十億ドル、この中身については、五十億ドルは西欧から、百億ドルは日本から、この百億ドルの中の六十億ドルを公共借款で、四十億ドルを商業借款で、これを日本が支払うとしても、この程度は東北アジアが共産化したときに日本が支払わねばならない代価と考えれば、日本側としては軽い負担である、このようなパンフが出ているわけであります。  まさしくこれからすると、韓国側がいま要求してこられておる六十億ドルの中身は、第五次社会経済発展計画じゃないので、防衛力整備五カ年計画中身として日本にずかずかと肩がわり要求をされている中身だと言わざるを得ないのですが、これはまさか外務大臣、御存じないはずはない、御存じでしょう。
  52. 園田直

    園田国務大臣 存じておりません。そういうことを日本外務大臣が承るべき筋合いではございません。
  53. 土井たか子

    土井委員 こういうことを、それは受ける筋合いではないとおっしゃるのは、こういうのは問題にならない、こういうことを幾ら言われても、日本としてはこういうことにこたえることは全く不可能であるという意味でいまお答えになったのですか。
  54. 園田直

    園田国務大臣 日韓の経済協力問題で一つはっきり御理解を願いたいのは、他の二国間の経済協力問題のように、日本と相手国がお互いに話し合って了解すべき、あるいは譲り合うべきという筋合いのものではなくて、まだ話し合いに入れない段階だと私は考えております。  第一は、日本の経済協力は、いかなる場合でありましょうとも軍事、防衛の肩がわりはできない。これはできないのです、私がやろうと思っても。次には、金額の問題が、仮に明年度の予算で倍増をお願いしたとしても、アジアに使うお金は五年間で百十二億ドル、その中の六十億ドルを一国にやるなんというのは、これも不可能な話でありますから、そういうことを御理解の上、改めて協力の御相談、話し合いがなければならないことで、こちらが譲り合ったり理解したりする、両方から話し合う段階に来てないという問題で、これだけは韓国の方で日本の実情を御理解願って、それならこれはどうだ、こういう相談があるのを待っておるということで、日本の方も譲り合い、向こうも譲り合うという問題じゃないことだけは御理解いただきたいと思います。
  55. 土井たか子

    土井委員 したがいまして、いまの御答弁からすると、まだ話は何も始まってないということだと思うのですね。それでよろしゅうございますね。
  56. 園田直

    園田国務大臣 日韓閣僚会議以後、具体的な相談はまだ何もございません。
  57. 土井たか子

    土井委員 日韓閣僚会議以後とおっしゃいましたが、日韓閣僚会議でも、いま外務大臣の御答弁の趣旨からいたしますと、まだ何ら経済援助についての問題は始まっていないというふうに理解しなければならないと思いますが、この点、どうですか。
  58. 園田直

    園田国務大臣 問題は始まっているわけですが、相談が始まっていない、こういうわけであります。
  59. 土井たか子

    土井委員 そこで、これはいままで、韓国だけじゃございませんで、日本の対外経済援助中身がその後どのように使われているかという問題。今回、このようなパンフを見るにつけましても、たとえば日本が民生安定という名目で、病院建設のためとか、それから農業のいろいろな対策のためとかいうふうなことで経済援助をいたしましても、その分がそのように使われるか、あるいは肩がわりに持っていかれるか、それは後、やはりしっかりと日本側が確かめないと、これに対しては国民に向かってこのようなことでございますということが責任を持って言えません。これは全部国民の血税でございますから、したがいまして、そういう点からいたしますと、いままで私たち経済援助の後のフォローアップと申しますか、具体的にそれがどういうふうな経済援助の結果をもたらしているかということに対しての見きわめと申しますか、そういうことに対して外務省がなすってきました態度に対しまして、一度ならずこれを私は質問をしているのです。外務省としては、調査をいたしておりますという答弁はいただくのですが、それじゃ、そのことに対して資料を出していただきますとなると、さて、問題が違ってくるのです。なかなか出してもらえない。  いま私は、ここに議事録を持ってまいりました。五十三年の三月二十九日、当委員会でその問題を取り上げて質問いたしましたところ、園田外務大臣は、「経済協力関係の調査の御要求があれば出すのは当然であると考えます。」と、繰り返し繰り返し答弁をされています。そして、その節、私は、韓国の第三次五カ年計画に対します日本経済援助についての決算書の提出方を要求したわけでありますが、さて、そのときの御答弁は、総額に関する部分については一週間程度ぐらいでお出しできるとおっしゃって、待っていると、紙半ぺら一枚届きました。  ところが、問題は総額じゃなくて、細部の問題がどうなっているかということなんです。この細部の問題について、一体いつごろ出していただけるかということをその同じ機会に質問しましたところ、それについての答弁は、外務省以外の省庁や輸銀や基金などにもわたっているので、そちらの方と調整をする必要があるから、期限は申し上げることはできないけれども、提出をするという向きをおっしゃっている。これは五十三年の三月二十九日でございますよ。今日に至るまで、私はそれをいただいていないのです。外務大臣、こういうことなんです。  経済援助した後、何だか知りませんけれども、ほったらかしと申しますか、そのことに対して締めくくりが肝要とよく言われておりますが、全く責任のない姿勢というものはこういうところを見たらよくわかる。安心できません。今後どうあるべきとお思いになりますか、外務大臣。——事務当局はいいです、外務大臣、いかがですか。
  60. 柳健一

    ○柳政府委員 わが国の行っております政府開発援助の評価につきましては、特に昨年以来、外務省の中に経済協力評価委員会というものを設けまして、従来から、たとえば国際協力事業団が行ってまいりました技術協力に関する効果測定、それから海外経済協力基金の行ってまいりました有償援助に関する評価、さらには外務省が行っております無償についての評価、または民間の有識者に依頼してやっております評価、こういうものをさらに改善するとともに、これを総合的に統括して見ていく、こういうやり方にしております。  なお、わが国が開発途上国との間で結んでおります有償援助に関する交換公文あるいは無償援助に関する交換公文の中でも、相手国政府がわが国が供与いたしました協力資金を適正に使うという条項がございまして、それに従って受け入れ国政府は使っているものと信じております。  ただ、ただいま申し上げましたように、昨年来、特に効果というものについて、私どもミッションをASEANのシンガポールを除きます四カ国とバングラデシュに出しまして、評価を行ってきております。それで、その評価ミッションの報告でございますが、私どもはその評価の結果によりまして、今後私どもの行います援助をさらに反省の材料とし、改善していくというふうに使っております。  なお、この提出につきましては、相手国政府の内部との関係、状況というものも機微な点もございますので、なお慎重に検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  61. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁は一体何ですか。私の質問していることをお聞きにならないで御答弁なすっているのですか。時間がむだですよ。決算書について出すとおっしゃったのです。韓国側の事情があって出せないのですか、いまの御答弁からすれば。約束は約束ですよ。国会答弁はこの場しのぎで答弁すればそれでいいというふうな姿勢でいつもやっていらっしゃるのですか。一体何事ですか。いまの答弁はむだというものです。  大臣、いかがですか。
  62. 園田直

    園田国務大臣 いま御発言のとおりに、経済協力というものは今後いろいろ要素が入ってまいります。したがいまして、経済協力が二国間で相談したようにちゃんと使われるか、あるいは使われたか、あるいはその効果はどうであったか、こういうことを確かめることは確かに必要であります。そして、その結果は国会あるいは閣議に報告するのは当然のことだと考えておりますが、いまの答弁をもう一遍私、事務当局から聞きまして、韓国問題についても、私が答弁しました方針で御報告できるように善処いたします。
  63. 土井たか子

    土井委員 善処は結構ですが、外務大臣、これは何年たっているのですか。五十三年の三月二十九日に提出方を約束されたのですよ。私、ずっと待っているのです。いまだに参りません。どういうふうにお考えになりますか。
  64. 園田直

    園田国務大臣 五十三年から今日まで私、外務大臣をやったりやめたり、やったりやめたりしておりますので、こういうことになったわけですが、しかし、私は御注意は御注意として正直に承りますから、もう一遍事務当局意見をよく聞いて、どこに手落ちがあったか十分調べて御報告をいたします。御了解を願いたいと思います。  なお、先ほど留保いたしました国連パレスチナ緊急特別総会決議で、第五項でございますが、これは「パレスチナ人民代表であるパレスチナ解放機構」、こうなっておりますので、唯一という言葉は使っておりません。したがいまして、御承知のようにこの決議には日本は棄権しておりますが、これはこの個条に対して賛成できないから棄権しておるのではなくて、ほかの理由でやっているわけでありますから、国連総会で決めた「パレスチナ人民代表であるパレスチナ解放機構(PLO)」、こういうことについては、これと全く同一歩調でございます。
  65. 土井たか子

    土井委員 その問題についても、その場所に出てきているほかのパレスチナ代表する機関はないのでございますから、代表するとなれば、そこへ出てきているのは一つしかない。したがいまして、唯一とあるから、ないからというのは、言葉のあやのやりとりになりますから、そのことはまた別の機会ということにいたしましょう。  あと非常に大事な問題について、私は時間の方が気になりながら質問をさせていただくことにいたします。  一般論でまずお尋ねします。  外国の国防省から日本に対しまして武器の輸出を申し込んでまいりました場合、これは武器輸出三原則に抵触いたしますから、受けることはできませんね。
  66. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 いま一般論で御質問がございました、武器の輸出について外国の国防省から申し入れがあった場合には、武器禁輸三原則に基づいてできないかというお尋ねでございます。その場合に、まず、先方が要求してきているのが、いわゆる貿管令に該当する武器関連技術あるいは武器そのものであるかどうか、それから、当該地域が武器禁輸原則の対象になっている地域であるかどうか、それ以外にも政府統一見解というのがございます、その政府統一見解に従って慎む、こういうのが政府の方針だと思います。
  67. 土井たか子

    土井委員 この後は事務当局からの御答弁は要りません、時間の関係もございますから。これはまことに政治的判断を迫られている問題だと思いますので、外務大臣からの御答弁を私はお願いするようにいたします。  いま一般論として淺尾局長の方からの御答弁がございましたが、外務大臣アメリカの場合も同様に考えてよろしゅうございますね。
  68. 園田直

    園田国務大臣 いまの問題、私の海外出張中に一遍御質問が別の委員会であったそうでありまして、それについては、武器輸出三原則とそれから日米安保条約との関係で政府内でいま見解をまとめつつあるという答弁をしているそうでありますが、その後だんだん検討しながらただいま関係各省庁と検討中でございまして、まだ米国から具体的な要求は来ておりませんので、一般的な技術交流だけでございますから、具体的な問題が出てくれば、それについても具体的に研究をするつもりでおります。
  69. 土井たか子

    土井委員 検討中であるから、非常に大事だと思います。これはひとつきっぱり大臣から、日本としてあるべき立場なり、それから大臣自身の持っていらっしゃる理念と申しますか、信条と申しますか、それを私はやはり聞かせておいていただかないとならないと思っております。決まったことをひっくり返すのは大変ですよ。しかし、検討中ですから、その辺は非常に大事な段階だと思っているのです。  さて、いま何か安保条約との絡みでということも外務大臣は御答弁になりましたが、去る九月八日に参議院の外務委員会の方で松田局長が、「安保条約に基づきまして地位協定が結ばれ、その十二条においては在日米軍は特別の調達、すなわち日本にとっての輸出というものが存在してございます。」という答えを出しておられますが、これは武器としてどんなものを、どれくらい、いつ輸出したのですか。
  70. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ただいまお尋ねの十二条に基づく在日米軍の特別調達は、私たちの記憶では、昭和三十六年以降はないということでございます。それ以前の点についてはただいまここに資料を持っておりませんので、詳細についてはお答えできかねます。
  71. 土井たか子

    土井委員 この三十六年以前は一体何を根拠にそれをやったのですか。そうして、やった中身について、いつ、どれだけのものを、そしてその金額、さらには企業名、それだけを資料としてひとつ出していただきたいと思います。
  72. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 根拠は地位協定の十二条四項でございますが、この点についての主管官庁は私たちでございませんので、いま御提示になりました点については主管官庁に伝えまして、主管官庁とも協議して善処してまいりたいと思います。
  73. 土井たか子

    土井委員 その善処してまいりたいとおっしゃるのは、資料について出すということはお約束できますね。これは秘密でも何でもないと思う。これは出していただかなければなりません。よろしゅうございますね。
  74. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 おしかりを受けるかもしれませんけれども、私たちの所管でございませんので、その省にかわってここでお出しするという約束はできませんが、土井委員の御指摘の点については、主管官庁にはっきりと伝えたいと思います。
  75. 土井たか子

    土井委員 外務大臣、これは主管官庁の防衛庁にしっかり伝えたいだけでとどまる問題じゃなかろうと思うのです。シビリアンコントロールということを忘れられては困る。どのようにお思いになりますか。
  76. 園田直

    園田国務大臣 武器輸出、技術交流等の問題は、関係はそれぞれありますが、主管は通産省でございますから、通産省の所管の資料を私の方で出すという約束はできぬわけでありますから、御質問の趣旨は通産省に伝達をして、御趣旨が通るように努力をいたします。
  77. 土井たか子

    土井委員 これについてはさらに根拠を確かめなければなりませんが、また主管官庁と違うからという御答弁で逃げられると思います。これはじっくりひとつ出席方もこちらとしては要求して、改めて徹底的にやらなければならぬと思いますが、もう一つは、この同じ九月八日に松田局長が、相互防衛援助協定で「相互にそういった武器関連の援助を行い合うという規定がございます。」こうなっておりますが、その規定というのは一条のことを指しておっしゃっておると思いますが、いかがですか。
  78. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 相互防衛援助協定第一条でございます。
  79. 土井たか子

    土井委員 一条の規定を見ますと、こういう要求を持ってこられたときに、日本としては必ず受けなければならないという義務規定になっていないのです。権利義務の関係にないんですね。いかがですか。
  80. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 御指摘のように、相互防衛援助協定の第一条につきましては、個別的、具体的な一方の国の要求に対しまして、他方の国が応じなければいけない、そういうような形での権利義務関係を設けておるものではございません。ただ、一条をごらんになっておわかりのように、一般的にこの防衛分野におきます装備、資材、役務等におきます援助あるいは協力というものをやろう、そういう一般的な協力関係というものはこの一条で抽象的に義務づけられている、こういうことだろうと存じます。
  81. 土井たか子

    土井委員 抽象的に義務づけられておると言われる義務というのは、この条文のどこを読んでもありませんよ。義務づけられているとおっしゃる以上は、条文上そのことをはっきり明記した規定がなければならない。勝手に拡大解釈して義務なんというものを出されたら、法治主義に離反します。したがいまして、いまの御答弁は非常に適正な御答弁じゃないと私は思っていますが、いかがですか。
  82. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 先ほど申し上げましたように、確かに一条は、個別的、具体的な一方の要求に対しまして他方の国が応じなければいけない義務を定めたものではございません。ただ、一条の規定は、そういう防衛の分野におきまして、そこに掲げられております装備とか資材とか役務とかいうものにつきまして、一般的に日米間においてお互いに協力し合おう、援助し合おうということを前提といたしましてそういう規定ができておるわけでございますから、ただいま申し上げましたように、そういう一般的な抽象的な協力義務というものは当然一条の前提になっておるであろう、こういうことを申し上げた次第でございます。
  83. 土井たか子

    土井委員 それは条文解釈としておっしゃっているのじゃないというのはわかるのですが、そうしますと、いまの御答弁からしたら、いままで日本側としては兵器、軍事技術をアメリカ側にこの条文を根拠にして提供した例があるのですか、何を提供したのですか。
  84. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 私たち承知している限りでは、技術あるいは武器というほどではございませんけれども、一条に基づきまして資料交換についての交換公文がございます。それに基づいて防衛庁が防衛庁手持ちの技術に関する資料をアメリカ側に提出したということは、防衛庁の方から私たちもそういう情報を受けております。
  85. 土井たか子

    土井委員 その交換公文というのは何年ごろですか。そして、どういう交換公文なんですか。
  86. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 お答えいたします。  昭和三十七年の十一月に、防衛目的のための技術的資料及び情報の交換に関する交換公文というのが両政府間において取り交わされてございます。
  87. 土井たか子

    土井委員 さあ、それについていままでどれほど要求されても、それは見せられない、出せない、この一点張りなんですよ。これは見せてもらえますね。
  88. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 私の理解しておりますところでは、ただいま私から申し上げました交換公文に基づきまして、防衛庁とアメリカ側の国防省との当局間のいわば細目の取り決めが結ばれておりますが、これにつきましては日米間で不公表扱いということで了解されておりますので、具体的な文書は提出することはできないということを、従来防衛庁の方から申し上げておる次第でございます。  ただ、私が先ほど申し上げました三十七年十一月の交換公文につきましては、御要求があれば交換公文自体をお出しすることは可能でございます。
  89. 土井たか子

    土井委員 それじゃ、それをまず提出してもらいます。  それから、その中身についていままでやってきたことについてもこれを明らかにすることが、少なくともこれは秘密じゃないですよ、シビリアンコントロールを大切に考えれば、これは具体的に提示することが私は必要だと思います。  さて、外務大臣、時間が気になりますからお尋ねをしますけれども、いまこの条文を読んで、これは日本としては必ず提供しなければならないという義務はないのです。しかも、この地位協定の十二条というものを根拠に九月八日に松田局長が御答弁になっているところからすると、この地位協定の十二条については、別にアメリカとの間で合意された議事録というのがございますが、この中でも十二条に関して、「合同委員会その他の適当な者は、日本国及び合衆国の経済関係の法令及び商慣習の相違から生ずる調達契約に関する紛議の満足すべき解決につき研究する。」となっているのです。こういう配慮は、何のためにあるか。押しつけがましくやらないよということが前提になっているのですね。  ましてや、これは武器輸出三原則、国会における政府の統一見解だけじゃありません。これについては、もう外務大臣御案内のとおり、ことしの三月三十一日に、日本国憲法に照らして、平和国家として武器輸出三原則に基づいて慎重に対処する必要があるという国会決議がちゃんとあるのです。国会決議です。国是ですよ、これは。そしてしかも、このことに従って技術についても武器に準ずるという通産大臣答弁というものが、現に国会に対しても行われているのですが、こういう一連のいきさつからすると、アメリカとの間は関係の条約がある、同盟関係だ、しきりにこのことが最近聞こえてくるわけでありますけれども、しかし問題は、そういうことによってわが国の憲法は言うまでもなく、国会決議、国是までもひっくり返していっていいのですか。どんなことがあろうとも、これは鉄則です。  武器輸出三原則、さらには国会決議、さらには平和憲法、これをしっかり守るということを、ひとつここで外務大臣にお約束をいただいて、アメリカからいま民間に対しての技術協力という問題が出てまいっておりますけれども、民間レベルの問題に対しては政府が押しつけがましくこれに対してやることはできないということも、ひとつ御確認を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  90. 園田直

    園田国務大臣 憲法、武器輸出三原則、国会の決議、これはもう御発言のとおりでありますから、これに抵触しないように、どういう技術交流の要求があるのか、それによって検討すべきことで、主として通産省が所管で、われわれも意見を述べるわけでありますが、しかしいまおっしゃいましたように、憲法や三原則や国会決議には抵触しないということは前提でございます。
  91. 土井たか子

    土井委員 私自身、まだこれからお尋ねを進めなければならないのに、時間の方が許しませんから、不本意でございますけれども、これはさらに継続して質問を続行していきたいと思います。ありがとうございました。
  92. 奥田敬和

  93. 玉城栄一

    玉城委員 大臣にお伺いしたいのでありますが、もう早いもので日中国交回復いたしましてことし九年、来年は十周年でございますが、日中国交回復以来交流も大変盛んになりまして、私たちも先月、国対委員長にお供しながら訪中させていただき、中国の要人の方々ともお会いをさせていただく機会もあったわけでございます。  そこで、来年は日中国交回復十周年ということで、そういう意味も含めて、新しい趙紫陽首相訪日の御意向があるやに伺っているわけでありますが、園田外務大臣は新しい趙紫陽首相の訪日についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
  94. 園田直

    園田国務大臣 御発言のとおりに、日中関係は十周年を迎えるわけでありますが、その間、関係は逐次緊密化をし、具体的に発展をしてきております。また、発展しておるがゆえにいろいろ修正等もあって、現実的になってきていることは喜ばしいことだと考えております。そういう新しい転機を迎えるところへ中国の総理を迎えるわけでありますが、相手のことでありますからわかりませんが、中国の総理がおいでになるのは、向こうの都合等でも年内は無理ではないか、こう思っております。しかし、南北サミットにおいでになれば、向こうで中国の総理との会談は実現するのではなかろうか、こう思っております。
  95. 玉城栄一

    玉城委員 鈴木総理は、総理になられましてASEAN、訪米、それからEC諸国、オタワサミット、それから今月は南北サミットにも御出席をなされる。先ほど外務大臣お話では、中東和平問題で日本としての貢献すべき役割り等、来春あたり中東への訪問計画をしておられると伺っているわけであります。したがいまして、来年、さっき申し上げました日中国交回復十周年ということで、鈴木総理が訪中をされるということは非常に意義の深いことではないかと思うわけでありますが、外務大臣とされてどのようにお考えになっておられるか、お伺いをいたします。
  96. 園田直

    園田国務大臣 外交は相互主義でございますから、向こう総理をお迎えするからには、こちらもまた、機会があれば日本国の総理向こう訪問されるのは当然の儀礼であるとは考えております。
  97. 玉城栄一

    玉城委員 次に、核の軍縮の問題につきまして一、二点お伺いしておきたいわけでありますが、最近、ヨーロッパにおきまして、今月の十日に西ドイツのボンで反核集会、デモが行われまして、人口三十万足らずの首都のボンで三十万人という大規模な、核に反対する、いわゆる欧州への戦域核配備について反対だ、同時に米ソの軍縮、緊張緩和、そういうような目的の集会が開かれたということが報道されておるわけであります。これは西ドイツに限らず、イタリアの方でもあったやに承っておりますし、フランス、イギリス、オランダでも、今後そういう計画があるように報道もされているわけであります。  この核問題について、日本だけの専売特許でもなくなってきまして、こういう反核についての動きがヨーロッパ諸国にどんどん出てきているということについて、外務大臣としてはどのように受けとめておられるのか、お感じをお聞かせいただければと思います。
  98. 園田直

    園田国務大臣 平和を願う各国国民気持ちは全部同じでありまして、そこで、そのためにはいろいろ要素がありますが、一つには力の均衡も必要でありましょうし、もう一つには対話ということも必要でありましょう。しかし、何にしても一般国民の核軍縮、兵器の制限に対する熱望というものは、私はだんだん世界的に広がってくる、こう考えております。
  99. 玉城栄一

    玉城委員 外務大臣自身も、核の軍縮、そして核のない世界、そういうことで何回も国連でも演説をしておられるわけでありますし、これはわが国として世界唯一の被爆国家としての重大な使命として当然真剣に取っ組んでいかなくてはならない重大な問題だ、私たちもそのように思うわけでありますが、そこで、外務大臣、御一緒に今度南北サミットに御出席なさると承っておりますが、この会議はフリートーキング、自由に討議をするというようにも聞いているわけでありまして、そういう場で核軍縮の問題につきましても日本考え方というものをお述べになるおつもりはございませんか。
  100. 園田直

    園田国務大臣 今度の南北サミットでは、今までと違いまして、各国首脳が自分の考え方を自由に討議する、議題で縛ったり、あるいは一つの制限があってはならぬ、こういうことが新しい今度の南北サミット方向でありますから、各国首脳から出る意見というものは、それぞれいま通知があっているところでありますが、全部そろっておりません。  しかし、いずれにいたしましても、軍縮と南北問題は関係ないようでありますけれども、実際は、軍縮によって生まれた軍備の削減を南北問題に回せという意見は、私は南北問題と関連のある話である、こう考えますので、どこでどう出るかわかりませんが、出てくることも予想されますし、私は、南北サミットに並行して各国の外相が話し合う場合には、そういう意見も出すべきだと考えております。
  101. 玉城栄一

    玉城委員 せめてそのときに、核開発能力のある国については経済援助とかそういうものは差し控えようというようなお話なども、当然これは伴って出てくる話だと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  102. 園田直

    園田国務大臣 そういう意見もちらほらと出ますけれども、核開発、平和利用というものの区別が非常に困難でございまして、そこへくるとなかなか議論が込み入ってくる。一般論までは通用すると思いますが、果たしてどうなりますか、いまのところは想像がつきません。
  103. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、これは一つの提案でございますけれども、来年は核軍縮の第二回国連総会が開かれるわけであります。したがいまして、わが国の使命としましても、世界のそういう代表の方々に、核の被害の恐ろしさの実態というもの、それはもちろん知っていらっしゃるわけでありますが、これはわが国しかできない問題でもあると思うわけでありますので、その核軍縮国連総会の場において、核被爆の記録のフィルム、いま民間団体で映画の編集等も行っているわけでありますが、それをやはり何らかの形で上映をする、これは核軍縮あるいは核廃絶への世界世論の喚起の一助として、そうして日本という国が非常に核軍縮、核廃絶に真剣な姿勢だなということを示すという意味におきましても、一つの大きな意義があると思うわけでありますが、いかがですか。
  104. 園田直

    園田国務大臣 第一回の国連軍縮特別総会でも、日本の民間団体が足並みをそろえて同時に向こうへ行かれて、いろいろな資料を持っていって非常な感銘を与えられたことは、先生御承知のとおりでありまして、今後もそういう運動は非常に効果があると考えております。
  105. 玉城栄一

    玉城委員 時間もございませんので、次に、先ほど土井先生からも御質疑がございましたけれども、PLOアラファト議長がきょうお帰りになるわけでありますが、今回のアラファト議長訪日の意義につきましては大臣もおっしゃっておられたわけでありますし、総理も直接会談をされたわけでありますから、中東和平に向けてわが国としても一歩前進した、そういう印象を内外に強く与えている、そのように評価をいたすわけであります。  そこで、先ほどの御質疑でも、総理アラファト議長との会見内容とか、そういうことについてありましたし、また総理自身、来春は中東訪問をされる。八項目サウジの提案につきましてもお話がありました。そこで、この機会外務省とされてPLOに対する対応措置を強化していくべきではないか。たとえばPLOに対する所管部署、中東局はありますけれども、もっとその辺を強化する。たとえば現地のレバノン大使館が管轄をするようでありますけれども、この辺も強化をしないと、このままでは関係者からいろいろ言われておるわけでありますが、そういう必要があるのではないかという感じがいたします。  同時に、この問題も含めまして、こういう訪日された機会に、外交上の配慮も日本政府としてすべきでないか。そこで、PLO東京事務所外交特権を与える、あるいは国旗を掲げることを認めるとか、その辺、大臣としてどのようにお考えになっておられますか。
  106. 園田直

    園田国務大臣 PLOパレスチナ代表する機構であることは事実でありますけれども、まだ国ではございませんから、国旗であるとか、あるいはこれを正式に承認するとかいう問題はまだ起こっておりません。
  107. 玉城栄一

    玉城委員 そこまでではなくても、それが望ましい方向ですが、そういう対応措置を強化するということについてはいかがですか。このままで、たとえば外務省内部でのPLOに対する部署のいろいろな問題とか、現地の大使館の人員の配置をいろいろ考慮するとか、そういう点はいかがですか。
  108. 園田直

    園田国務大臣 中東問題が逐次動いてくることは御発言のとおりでありますから、これに対応して十分留意をしながら、外務省の動く場面とか機能も十分検討してまいります。しかしながら、PLO議長訪日をされたからといって、これを機会PLOに対する日本政府の態度が変更することはありません。
  109. 玉城栄一

    玉城委員 今度のアラファト議長訪日一行の中に、たしか経済担当の方が一人加わっていたと思うわけでありますが、石油問題も含めて、経済問題について何らかの接触をされたことがあるのかどうか、その辺、いかがですか。
  110. 園田直

    園田国務大臣 私との会談では全然出ませんでした。
  111. 玉城栄一

    玉城委員 大臣でなくても、外務省事務当局、いかがですか。  それと、もう一つついでに、オタイバ石油相も一緒のような感じになって、そしてアラファト議長会談しているわけですが、その目的をどのように受けとめていらっしゃるか、それも含めて。
  112. 英正道

    英説明員 先生の御質問の、今回のアラファト議長一行の訪日の際に経済問題について話し合いがなされたかということでございますが、私どもの承知している限り、政府との話でそういう話は一切出ておりません。ただ、一行は経済団体との会合を持っておられますが、そこでどういう話があったか、私は存じておりません。  それから、第二の御質問のオタイバ石油相でございますけれども、これは、たまたまアブダビ石油の取締役会が東京で開かれるということで、前々からお見えになることが決まっていたというふうに了承しております。それで、たまたま時期が重なった。しかし、現在の中近東アフリカ局長の村田さんがア首連の大使をしておりましたときに、PLOとの接触を持っておったことは御存じのとおりだと思いますが、そういうときにオタイバさんが仲介といいますか、口をきかれたということがあって、こういうことになってアラファトさんがお見えになったということを恐らくオタイバさんとしては非常に喜ばれたのだろうと思います。したがって、いろいろな場に出てこられてお会いになったというふうに考えております。
  113. 玉城栄一

    玉城委員 中東和平の問題は、わが国にとっても非常に重要な問題でもありますし、わが国としても果たすべき役割りはたくさんあると思うわけでありまして、アラファト議長訪日機会にして、一歩でも二歩でも前進していただきたいことを要望いたします。  次に、一昨日、十三日に起きました横浜の米軍燃料タンクの爆発炎上事故についてでありますが、実はこういう感じの事故は、私たち沖繩の場合、大きい基地を抱えておりまして、日常茶飯事的に今後もそういう心配があるわけであります。そこで、非常にこの問題はこれでいいのかなという感じがいたしまして、まず最初に、原因についても何か新聞を見るとまだ調査中であるというし、補償問題等についてもこれからだというような報道もあるわけでして、いずれにしてもこの事故で地域の住民の方々はショックを受け、恐怖を感じたことは事実であるわけですが、外務省とされて、この事故についてどのようにお考えになっておられますか。
  114. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 今回こういう事故が起きたことそれ自身について、私たちも非常に残念に思っております。事故の発生の直後、外務省からアメリカ側、日米合同委員会の事務局に対しまして、どういうことでこういう事故が起きたのか、できるだけ早くその事実関係を知らせてほしい、さらに今回のこういう事故が起きたのは大変残念であるということを伝えると同時に、関係省庁とも連絡をとって、事実関係の把握に努めております。  さらに、私自身が合同委員会アメリカ側代表でございます参謀長とも電話で話しまして、今回の事故の発生について遺憾の意を表明するとともに、事故の原因の早急な究明、それから事故再発防止に必要な安全措置を講ずるよう話をしております。その際、先方の参謀長も、今回の事故の発生によって住民、特に付近の住民の方々に不安感を与え、御迷惑をかけたことに対して遺憾の意を表明しておりますし、すでにアメリカ側において事故原因の究明に着手しておりまして、判明次第、日本側にその結果を伝えるということを言っております。  当委員会においても、その他の委員会においても、私たちは繰り返して申し上げておりますけれども、今回の事故に限らず、こういう米軍の施設、区域が有効に作用していく上においては、何よりもやはり安全の確保というものが必要でございます。したがいまして、今回の事故に際してできるだけ早く原因が究明され、さらに今後そういうことが起きないように必要な措置がとられるということを、私たちも関係省庁とともに努力していく、あるいはアメリカ側とも話をしていく、こういうことが基本的な態度でございます。
  115. 玉城栄一

    玉城委員 こういう事故が起きましたときの御答弁というのは、大体こういうパターンなんですが、なかなかおっしゃるとおりの実効が上がってないわけです。たとえばこういう火災が基地内といえども発生した場合に、日本側は消防車すら許可がなければ入れないというような問題が一つありますね。これは火災ですから、寸刻を争う、一瞬を争うときに、許可がない限り中に入って消火活動ができない。問題は、それでは米側の消火能力というのは一体どうなっているのかということについて、そういうことを把握しておられるのかということについても、なかなかその点もよくわからない。そういうことの連続なんですね。  それで、きのう総理自身、そういう緊急時において日本側も中に入っていって消火活動ができるように話し合いたいというような御答弁があったのですが、いかがですか。そういうことはできませんか。やるべきではないですか。
  116. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 御承知のとおり、アメリカ側は地位協定の三条によりまして、米軍の施設、区域について管理権を持っております。同時にそれは、安全について万全の措置をとるという点についても、アメリカ側としてそれ相応の注意を払うべき義務を持っているわけでございます。  今回の場合には、基地司令官からの要請に応じて、地元消防隊の応援によって四時間余で鎮火したわけでございまして、他方、私たち承知している点では、昭和五十五年の五月二十日付で、横浜市消防局長と在日米海軍横須賀基地司令官との間に、消防についての取り決め、災害時における相互援助についての取り決めがあるというふうに承知しております。ただ、細部については、現地の取り決めでございますので、それ以上私たち承知しておりませんが、もしそれで不十分であるということであれば、現地レベルでまず話をしていただいて、さらに必要であれば外務省としても、こういう緊急事態の発生の場合については、その事故がさらに広がらないようにという観点から、できるだけのことを、将来必要があればアメリカ側とも話しをしていきたい、こういう考えであります。
  117. 玉城栄一

    玉城委員 時間がございませんので、とにかくそういう緊急時において、消防庁の方もいらっしゃっていますからちょっと伺いたいのですが、消火栓がどこにあるのか、ホースが足りるのか足りないのか、うろうろするというようなことがあっては大変なことなんです。いま局長がおっしゃられたような、そういうことをかちっとしておかないとえらいことになる。そういう火災が起きるということも重大問題ですが、問題は、起きないような災害予防対策がどうなっているかということも非常に大事な問題なんです。この予防対策は、施設庁ですか、消防庁ですか。  それと、あわせて沖繩の場合も申し上げますが、八カ所の中に沖繩のPOLパイプラインがあるわけです。これが四十七キロ、五の市、一の町、二の村にまたがっていまして、住宅、小学校、中学校、高校合わせて十九カ所、病院でも七カ所、それから給油所が十二カ所も埋設されているわけですね。これはもうできて二十年、老朽化して腐食しているわけです。この実態、その対策、これまで何回も油の流出事故が起きているわけですから、これについては、どうなっているのか。
  118. 大場昭

    ○大場説明員 米軍施設の安全対策につきましては、特に米側において公共の安全に妥当な考慮を払ってこれを行うべきものでございまして、米軍としてもその趣旨に沿って措置をとっているものと承知しております。私ども施設庁としても、貯油施設の安全管理につきましては、周辺地域の住民の生活に多大な影響がございますので、その安全に十分配慮して、所要の措置がとられるよう、米側に機会をとらえては申し入れを行っているところでございますが、今後とも米側と不断の接触を通して、安全の確保に十分努めてまいりたいと考えております。  それから、第二の御質問でございますが、沖繩におきまして米軍が使用している送油管につきましては、米側としてその安全基準によりまして安全対策を講じておるところでございますが、周辺住民の不安もございますので、政府といたしましては、これを解消するために、その返還について米側と協議いたしました結果、この一部の移設と返還について合意に達しております。この送油管の総延長は五十キロ弱ございますが、陸軍貯油施設の移設が完了いたしました際に、浦添市のバルブボックス二十号以南の約九キロメートル、それから国道三百二十九号線沿いの、ちょっと数字ははっきりと記憶しておりませんが、約十キロメートルを返還する、そういうふうに措置しておるところでございます。     〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
  119. 玉城栄一

    玉城委員 時間が過ぎましたので、最後に一点だけ。  沖繩の陸軍貯油施設、いまのパイプラインも含めて、たとえばいまのパイプラインも、米軍自体が昭和五十年に本国から呼んで総点検をしましたら、五〇%の腐食が五カ所、三五から四五%パイプが腐食しているのが五十四カ所、三五%以下の腐食が四百四十四カ所という米側の指摘もあるわけですね。ですから、これは日本側としても当然総点検をして、どうすべきかということをしない限り、これはいつ事故が起こるかわからぬわけでしょう。いかがですか、施設庁。消防庁はこれはやった方がいいのでしょうけれども、権限がないというわけですから。そうして、やる意思があれば外務省が対米折衝するわけですから、その辺、防衛施設庁と外務省に、これが最後の質問です。まさかやらないでもいいというお考えではないと思います、米側ですらこういう指摘があるわけですから。その意向があるかどうか、あなたがおっしゃれば、外務省はその線に沿って対米折衝したいということですね。
  120. 大場昭

    ○大場説明員 提供施設につきましては、第一次的の関係は米側にございまして、日本国の法令は適用されないのでございますが、私どもとして、貯油施設、特にパイプラインの安全につきましては非常に関心を持っておりまして、機会あるごとに米側に安全を確保するよう措置するように申し入れておるところでございます。
  121. 玉城栄一

    玉城委員 こういう実態を米側自体も認めているわけですから、日本側も当然そういう実態を把握した上で、どう対処するかということをアメリカ側ときちっと話し合うというのは、外務省としても当然だと思うのですが、最後に一言。
  122. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 いま施設庁の方から御答弁がございましたように、施設庁自身がこの問題についてアメリカ側と不断に話をしていこうという姿勢でございます。そこで、合同委員会、いろいろな仕組みがございます。したがって、それぞれの場において話をして、最終的には必要であればまた合同委員会本体に上げる、こういうことも考えるわけでございます。
  123. 玉城栄一

    玉城委員 終わります。
  124. 青木正久

    青木委員長代理 渡辺朗君。
  125. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 外務大臣は先般来、故サダト大統領の葬儀に参加され、また、その際に各国首脳とも会談をされる、大変積極的な活動をされました。また、飛んで帰ってきてPLOアラファト議長とも会談される。大変活動していらっしゃることに対しましては、心から敬意を表したいと思います。  さて、いまの中東情勢についてでございますけれども、日本国民として大変心配しているのは、新聞紙上あるいはテレビ、そういうもので報道されるサダト大統領暗殺事件以降、ますます何か非常に緊迫しているのじゃないか。北アフリカも含めまして、中東情勢というものがとても身近なものとして緊迫感をもって映っております。しかし、情勢というものは本当にそうなのか。いまにでも発火するような情勢なのか、あるいはそれほどの緊迫感はまだないというふうに見ていいのか、まずそこら辺の情勢分析そのものが実はよくわからない。  したがいまして、いま日本政府がたとえば中東政策に対して積極的に乗り出していこうとしておられる、来年には初頭にも鈴木総理中東訪問をされると言われる、そういうような姿勢そのもの、積極的な姿勢は見えるけれども、それがどう位置づけられるのか。  たとえば、端的にお聞きしますが、いま中東政策というのは一つ方向に向かって進んでおられるのか、それとも模索の最中なのか、大臣、そこら辺、いかがでございましょうか。国民がいま一番聞きたいのは、個々のいろいろな会談はあるでしょう、いろいろな行事も行われるでしょう、しかし、それは一体どこに向かって進んでいるのか。大臣としての一つの構図、構想、こういったものもお持ちでございましたら教えていただきたいと思います。
  126. 園田直

    園田国務大臣 中東地区の和平は、日本から距離は離れておりますが、日本にとってもきわめて大事であります。ここの地区の和平は直ちに世界の平和と結びついている、こういう点で、われわれはこれは非常に大事に考えなければならぬと思っております。単にいままでのように、石油の供給源であるから中東地区に関心を払うという考え方ではよくない、こう考えておるわけであります。そういう意味から言って、世界平和の点から考えると一番重大な地点であるとは考えます。  不測の事態でサダト大統領が亡くなられたわけでありますが、エジプト体制は、次の新しい大統領が順調に選ばれて、サダト大統領の路線を踏襲するということで、イスラエルとエジプト大統領との自治交渉予定どおりに進むものと私は判断をいたします。かつまた、その自治交渉というものは、サダト大統領が亡くなられて、そのためにひっかかることはなくて、むしろ、みんなが一生懸命に心配して努力をするから、ある程度順調にいくのではないか。問題は、その自治交渉の最後の決定がパレスチナ自決権という問題をどうさばくかということが一つのめどになると思います。  それからいたしますと、いろいろ問題はありますけれども、自治交渉、続いてサウジから出された八項目、それからパレスチナ代表するPLOの現実に即した動き、こういうものを見ると、みんなが一生懸命に努力をすれば、中東地区の和平は、紆余曲折、年月はかかると思いますが、逆な方向には動かない、こういうことで、日本も微力ではあっても全力を挙げてこの和平のために力を尽くすべきだ、こう考えております。
  127. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 関連いたしまして、アラファトPLO議長訪日をされました。聞くところによりますと、西側で初めて訪問した国が日本だったというふうにも聞きます。外務大臣も忌憚のない意見交換をされたようであります。  私、考えますのに、中東問題の解決というのは大変むずかしいのじゃなかろうか。先ほどからいろいろおっしゃっておられるお言葉の中にも出てきておりますが、複雑な問題が背景にありますし、いわば国際政治の複雑な絡み合いの焦点の一つというふうに見るときに、日本がこれからどのような姿勢で臨んでいこうとしておられるのか。たとえば、もっともっと強い姿勢で日本はリーダーシップをとっていこうということでおられるのか、それとも、西側との協調体制というところに焦点を置いて進めていこうとしておられるのか。私は、A案の方は独自路線を強く出すという意味評価できると思いますし、他方また、西側との協調ということは非常に重要だと思いますし、外務大臣としてどちらを重点にこれからの中東政策を進めていかれようとしておられるのか、お心づもりを聞かしていただきたいと思います。
  128. 園田直

    園田国務大臣 ただいま見通しを申し上げましたが、決して私は楽観しているわけではございません。いろいろ困難な問題が逐次起こってくると考えます。その際、日本が独自の立場で動くということは、これまた日本の実力からして決して成功するものではない。  私は、きのうも申し上げましたが、公正、中正、これを日本の基本線として、一方のPLOとも話ができるし、それからPLOと相対しておるイスラエルやエジプトとも話ができるし、かつまた、西側陣営とも話ができる、そこに日本役割りがあるような気がいたします。そこで、日本は独自で、ひとり勝手にやるというのではなくて、やはり関係諸国の意見を聞きながら、かつまた西側、やはり何といっても日米関係は大事でありますから、日米との関係も考慮しながら日本の果たすべき役割りを果たすべきだ、こう考えております。
  129. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 外務大臣の大変慎重で、かつ考慮された御発言を聞いて、安堵しているわけでございますが、その具体的な行動の第一歩として、近々にはメキシコで開かれる南北サミットにお出かけでございます。  いかがでしょうか、少なくともそこに集まられる先進国首脳に対して、この中近東問題の核心であるパレスチナ問題について、いまおっしゃったような路線に従って何らかの協議をされる、意見調整をされる、そのような用意はお持ちでしょうか。
  130. 園田直

    園田国務大臣 南北サミットが主でありますから、二国間の首脳会談は当然南北問題を重点に話し合いをされるべきであると考えます。しかしながら、いま申し上げましたような環境のもとで、中東問題も当然意見の交換をすべきであるし、また、相手国からも意見が出てくる、これは悪いことではない、十分意見を交換した方がいい、こう考えておりますが、まだまだ南北問題は、カンクンで話し出して結論が出るというふうに短兵急には話はまいらぬと存じます。
  131. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いまおっしゃったように、私も、南北問題一つ取り上げても、カンクンで集まってすぐに結論が出る問題だとも思いません。中東問題も、話し合ってすぐ結論が出る問題とも思いません。しかしながら、あらゆる機会をとらえながら、たとえばいまの中東問題にしぼって言うならば、私は、中東問題そのものも南北問題の大きな問題点の一つだろうと思います。そういう意味でも、積極的に取り上げて協議をしていくという姿勢が大切ではなかろうかと思います。そのイニシアチブをとっていかれるおつもりはございますか、もう一遍お聞かせいただきたいと思います。
  132. 園田直

    園田国務大臣 中東問題で日本一つの主導権を握るとか、あるいは日本考え方のもとにまとめるとかということではなくて、諸般の情勢から関係国の心が通じ合って、話し合い和平を求めていこうじゃないか、そういう空気をつくることが日本の役目だ、こう考えております。
  133. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 もう一言、くどいようでございますが確認をさせていただきたいと思います。中東問題の解決について、西側との協調ということをひとつ踏まえていくというお気持ちでございますね、もう一遍確認をさせておいていただきたいと思います。
  134. 園田直

    園田国務大臣 正直に申し上げまして、中東問題で、西側とおっしゃいましても、意見はそれぞれ少し違うわけであります。これはよく御承知のとおり、英国、フランス、これもやや違いまするし、それから米国米国意見が違うわけでありまして、西側諸国と協力してというのもなかなかむずかしい問題でありまして、要は、相対立する意見の者がみんなで話し合って、そして本当に中東和平のためにおのおの利害は少しずつ譲り合っていこうという雰囲気をつくることが一番大事だ、そのためには、どこの国と離れてもそういう日本役割りは果たせない、こう思っております。
  135. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それでは、お聞かせをいただきたいと思います。  サダト大統領の死去の後、これは新聞によりますと、外務省中東の安定に寄与するためにエジプトに対し経済協力費を増額して供与する、また、スーダン、オマーンに対しても経済協力を実施する方針であると伝えられております。これは本当でしょうか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  136. 園田直

    園田国務大臣 オマーン、スーダン、それからエジプト、これに対する協力は、サダト大統領が亡くなったからその情勢に応じてやるというのではございません。むしろ、サダト大統領が亡くなったので、正直に言うとちょっときっかけがなくなったというのが真相であります。  オマーンについては、私が特使として参りましたときに、水資源を中心にしてこれに対する協力を約束をしておりまして、これは逐次進行中であります。  それから、スーダンに対してもそれなりの協力はしておりますが、エジプトについては、エジプトの抱えている経済開発についての協力要請が相当前からあったわけでありまして、それを両国間で積み上げてきておりましたが、正直に言うと、サダト大統領訪日されればその際にそのスタートを切ろうか、こう思っておったわけでありますが、サダト大統領が亡くなられて、むしろちょっとそのきっかけを失った、こういうわけで、サダト大統領が亡くなられた環境に応じて日本の協力を増大しようというわけではございません。
  137. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私は、園田外相はいつも率直に物をおっしゃるということで高い敬意を払っております。新聞によりますと、七日付で日本政府アメリカ大統領あるいはアメリカ政府から親書を受け取って、サダト大統領死後の事態を受けて援助を要請してきているということが報道されておりますけれども、いまの大臣の御発言とは全然どうも平仄が合いません。どちらが正しいのでございましょうか。まず、そういう親書は来ておりませんか。
  138. 園田直

    園田国務大臣 私の言った方が正しいわけでございます。大統領から総理に対する親書は来ております。親書の内容は公表しないのが慣例になっておりますが、新聞に書かれたようでありますが、親書の内容は、今日の中東情勢に応じて日本も応分の協力をしてくれ、こういう趣旨でございますが、それによって、私の方がいままでのことを変更してこれに上積みするということは考えておりません。
  139. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そうしますと、新聞に出ているのは根拠のないものであるということですね。政府筋が九日夜明らかにしたところによると、サダト大統領暗殺に伴い、レーガン米大統領は鈴木首相に対し、キャンプ・デービッド路線を引き続き推進するとして、日本にさまざまな援助を求めるという親書を送ったということで、いろいろ詳しく報道されているのです。キャンプ・デービッドの路線を推進するとして、それに基づく援助ということで、いまの三カ国に対する援助が増額されるという決定を見たのではございませんか。
  140. 園田直

    園田国務大臣 それは全く事実と違います。大統領からの親書は、経済協力であるとか、あるいは何をどう援助してくれとかということではなくて、今日の中東情勢に応じて、アメリカはいままでの方向でやる、日本も何分よろしく、こういう意味の親書でありまして、したがいまして、それによって日本の経済協力を変更するとか、上積みをするとか、そういうことを考えたり決定した事実は全くございません。
  141. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そうしますと、私、大臣のお言葉を信頼したいと思います。が、このようなスーダン、エジプト、オマーン、そういうところに対する援助というものは、去る五月の日米共同声明日本として約束した「世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助を強化してゆく」という役割りに沿ったものだというふうに理解してよろしいわけですね。
  142. 園田直

    園田国務大臣 共同声明では抽象的にそういうことが言われておるわけでありますが、オマーン、スーダン、エジプトに関する限りは、私が数年前から私自身の手でやっていることでありますから、アメリカから言われてやったということではございません。
  143. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 別の観点から、もう一つお聞きをしたいと思います。  スーダンは、ヌメイリ大統領がレバノンの新聞記者なんかにも語っているというのが報道されておりますけれども、リビアから大変脅威を受けている、したがって、スーダンはこの戦争をリビア領土内自体に移さざるを得なくなるかもしれない、非常に緊迫をしたような情勢がその中で語られております。そこに援助をするわけです。そうすると、わが国の援助政策の基本とちょっと反するような方向に援助が行われる。紛争当事国に対して援助しないという原則があったと思いますけれども、大臣、そこら辺はどのようにお考えでございましょう。
  144. 園田直

    園田国務大臣 わが国の経済協力では、紛争国周辺の国には重点を置いた協力をいたしております。ただし、紛争国周辺とは、タイ、パキスタン、それからトルコと、この三カ国になっておるわけであります。しかしながら、日米共同声明にも書いてありますとおりに、先進国諸国、西側陣営は世界平和のためにお互いに協力をするということになっておりますので、日本は軍事力の貢献ができませんから、それぞれの国の平和と安定と繁栄のために経済力をもってできるだけ貢献することは大事だ、こう考えておるわけでありますが、それが軍事力に肩がわりされないようにということは注意しながら、平和と安定、繁栄ということで経済的な協力をすべきだ、こう思っております。
  145. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 もう一つ、これに関連してお聞きいたします。私、ちょっと先ほどの自分の発言に返りますけれども、アメリカ大統領は鈴木総理に対し、キャンプ・デービッド、これにのっとった中東和平を推進するということを親書の中で言ってきたと伝えられております。外務大臣はどのような路線に沿って、つまりキャンプ・デービッドでいくのですか、それとも何か違った路線というものも模索しておられるのでしょうか。ここら辺についてもう一遍、援助とも大変重要な関係を持ってくると思いますので。  私は、何も新しい局面が来たら昔の原則みたいなものだけに固執しなさいとか、そういうことを言っているつもりはございません。情勢が変われば積極的にしなければならないこともあるでありましょう。決して物事を何でも反対という立場で言っておるわけではございませんので、意のあるところをおくみいただいて、率直にお答えいただきたいと思います。どういうふうな路線で中東問題をやろうと考えているのか、あるいは本当にキャンプ・デービッドを進めさせるためにわれわれも側面から応援しようという考え方でいるのか、ここら辺のところでございますが、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  146. 園田直

    園田国務大臣 キャンプ・デービッドの合意がエジプトとイスラエルの間で順調に進むことを、日本も期待をいたします。ただ、キャンプ・デービッドの合意中東和平ではない、これは中東和平への第一歩である、われわれはこう考えておるわけであります。  そこで、中東和平の第一歩だということは、キャンプ・デービッドの合意の結論が穏健であれば、またはその他の国々がまあまあと納得できる、これなら次の話に移ろうか、具体的に言えばそういうものでなければこれが逆に中東和平への障害になる、こういうことでありますから、キャンプ・デービッドの合意については、内政干渉にわたらぬ程度に、中東和平の観点からわれわれは関係国にそれぞれ意見を申し上げるつもりでおります。
  147. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 ここら辺、もうちょっといろいろ突っ込んでお聞きをしたいと思っておりますが、時間もなくなりました。  最後に、一つだけお聞かせいただきたい。といいますのは、先日新聞を見ておりましたら、中東政策をわが国として推進するという観点から、アラファト議長の来日の機会をとらえまして、パレスチナ人に対する人づくり援助、同時に国づくり援助の方針を固めたというふうに外務省意向が伝えられております。パレスチナ人に対しての援助、そのような援助の方法をお考えでございますか、お聞かせいただきたいと思います。
  148. 園田直

    園田国務大臣 私も新聞を拝見しましたが、そういう事実はございません。ただ、パレスチナ人と申しましても、中東諸地域では、パレスチナ人というのは正直に言って優秀でございまして、各所の重要なところにおられるわけでございます。したがいまして、そういう方々の研修とかその他には協力しているわけでありますが、現段階で、議長が来られたからパレスチナの国づくりに協力するとか、人づくりに協力するとかということを外務省が検討した事実はございません。
  149. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 パレスチナ人の研修などはしていかれる、いままでもしてこられたし、これからもしていかれますか。
  150. 園田直

    園田国務大臣 誤解のないように申し上げますが、パレスチナという国があるのじゃなくて、先生御承知のとおり、各国の役所だとか、それから重要な機構、もうありとあらゆるところで重要なことをやっておられるパレスチナ人が多いわけであります。その中の各国におられる方の研修その他をやっていて、その中にパレスチナ人がおられる、こういうわけでありまして、パレスチナ人を摘出をして研修をやっているというわけではございません。
  151. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 時間が参りましたからやめますが、外務大臣、いまのお話は大変漠然とした形になってしまいましたけれども、本当にこれはいいと思ったら、やはり試行錯誤の世界でございますから、ひとつ案として新規に出されてみたらどうですか。私はそういうことの方が大事だと思いますよ。そしてまた、単にアラファトさんと会って意見を交換しただけではない、具体的な問題としての一歩を踏み出していく、そういうことにもなっていくのじゃなかろうか、私はそう思いますので、ひとつ大胆に、同時にまた細心に、もう一つは、何とか西側の方の協調体制を整えながら中東問題については進めていただきたいと思います。一言で結構です、最後の点、お答えをいただきたいと思います。
  152. 園田直

    園田国務大臣 非常に貴重な御意見でありますから、十分承っておきますが、現実問題としては、相手が国でありませんから、経済協力であるとかあるいは技術の協力ということは、行政的にいまのところはなかなかむずかしいところでございます。
  153. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 ありがとうございました。終わります。
  154. 青木正久

    青木委員長代理 野間友一君。
  155. 野間友一

    野間委員 時間がありませんので、前置きは抜きにして、端的に幾つかの問題についてお伺いしたいと思います。  まず最初にお伺いしたいのは、先ほども話がございましたけれども、横浜におきます米軍の燃料基地の爆発事件の問題であります。  この点について北米局長は、早速に日米合同委員会に事故の原因について明らかにしてほしいという申し入れをした、こういうお話があったようであります。それで、実はきのうの行政改革特別委員会の中でわが党の寺前議員がこの点についてただしまして、その結果、安孫子自治大臣が共同調査必要性があるということを答弁されました。また、これを踏まえて総理は、事故の原因を徹底的に究明して、その上で万全の措置をとるように、こういう答弁もなされたわけであります。  これは、事はこの周辺に在住する人たちの生命、健康、財産にかかわる問題であります。外務大臣もきのうはこの特別委員会の中で御出席をされておりました。したがって、こういう安孫子自治大臣総理答弁を受けて、具体的に独自に調査をするなり、あるいは共同調査申し入れをする、こういうアクションを当然きのう時点から起こしておられるのじゃないか、こう思うのですけれども、その後の経過についてまずお伺いいたしたいと思います。
  156. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 まず一つ、誤解があってはいけないので明らかにしておきたいと思いますが、当初外務省申し入れたのは合同委員会でございませんで、合同委員会の事務局でございます。同時に、私が合同委員会代表である米軍の参謀長と話をする機会を持ちまして、その際に本件について、こういう事故が起きたのは非常に遺憾である云々と、先ほど申し上げたようなことを御答弁申し上げたところでございます。  今後それではどうするかという問題でございますが、私たち承知している限りでは、早速昨日横浜の警察、消防その他の関係者が防衛施設庁の方々と一緒に現場を訪れまして、アメリカ側から説明を受けたということでございます。  したがいまして、今後は、アメリカ側が現在究明を急いでおりますが、その際、日本側としてどう対応していくか、いま野間委員から合同調査というお言葉がございましたけれども、合同調査ということが、たとえば基地に対する立ち入りということであれば、これはアメリカの管理権という問題もございます。そこで、具体的に一番実効のある方法でこの事態の究明を行っていくのがいいのではないかというふうに考えているわけです。
  157. 野間友一

    野間委員 事は重大なんですね。しかも、これは四十四年前にできたものというふうに聞いておりまして、五年前にこれまたわが党の中路委員が、米軍の内部文書を指摘してやったものであります。しかも、外務大臣、いま申し上げたように、きのうの特別委員会の中では安孫子自治大臣も、合同と言われましたけれども、共同調査の必要がある、こういう答弁をされておりますね。それを踏まえて、さらに総理答弁されております。といたしますと、これは外務省としては当然独自に調査するか、あるいは、それは地位協定の関係がありますけれども、共同で調査するか。アメリカ調査をして、それをうのみにするのではなくて、事は大事ですから、きのうの答弁を踏まえた上で、外務省としてはこれらの答弁に即したそういう措置の申し入れを早急にする必要があると思いますけれども、この点、外務大臣、いかがでしょうか。
  158. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 国会における自治大臣あるいは総理大臣のそういう御発言がございます。したがって、私たちとしても、その点についてはアメリカ側との今後の話し合いにおいて十分これを念頭に置いて処理していきたいと思います。  ただ、合同調査をいつ、いかなる形で始めるか、これについてはまだ未定でございます。とりあえず、昨日の段階では現場に関係者が入ったというのが現状でございます。
  159. 野間友一

    野間委員 これでそんなに長く時間をとるわけにまいりませんけれども、十三日の事故、この事故の原因は事故直後にやはりきちっと調査をするということが、事故の原因の究明について不可欠の問題であります。ですから、きのうの答弁を踏まえて——いままだ具体的なそういうアクションについては考えておられない、これはしかし私は、いま申し上げたように真相を究明するという点からはなはだ遺憾に思います。この点について、具体的に取り組んで、具体的なアクションを起こしていくということ、そういう姿勢がぜひ必要だと思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。     〔青木委員長代理退席、松本(十)委員長     代理着席〕
  160. 園田直

    園田国務大臣 自治大臣からも発言がありましたし、総理からもその趣旨の発言がございます。かつまた、当然これは日本国民の住居、生命に影響することでありますから、そういう方針で早急に調査ができるように、外務省としても努力をいたします。
  161. 野間友一

    野間委員 いまのその答弁を直ちに実行に移していただきたいということを重ねて要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  南北サミットの問題について次にお伺いしたいと思います。  準備会議のときに、外務大臣は、相互依存と連帯、こういうことを強調されました。そして、これが何でも今度の南北サミット一つの大きなスローガンになるということも私は聞いております。今度の南北サミットの中でのわが国の果たす役割りというのは非常に重要だということが言われております。私もそうだと思います。そして、その中で、本当に南の経済的な自立あるいは発展にとって必要なことをどう日本がきちっと対処していくのかということについても、世界じゅうの者が注目しておるところだと思いますけれども、お伺いしたいのは、この南北サミット出席される、これを前にいたしまして、どのように対処されるのか、基本的な、臨まれる姿勢についてまずお伺いしたいと思います。
  162. 園田直

    園田国務大臣 南北サミットでは、それぞれいろいろ憶測がされております。御承知のとおり、このサミットの会議は結論を出したり決議をすべき会議ではございません。自由に首脳者が意見を交換して、一定の方向を出そう、こういうことであります。したがいまして、決議その他はされなくとも、意見がばらばらで南北問題の将来の方向が決まらぬようなことでは困るわけでありますから、第一に日本は、全会一致で日本から出された提案を採決されました、南北が対決を避けて、相互依存、そして連帯ということで助け合っていこうじゃないか、この精神に基づいて、南北の調停役というか、お互いに南北が助け合うようにする、具体的にはやはり、決議その他は別として、国連のGN交渉への方向を何とかしてめどをつけたい、こう思っております。
  163. 野間友一

    野間委員 それでは、いまGN交渉についてお話がございましたので、その点についてまずお伺いしたいと思いますけれども、御案内のとおり、これについてはアメリカが非常に消極的と申しますか、むしろ反対をしておるという状況なんですね。この中で、じゃ一体日本がどういう役割りを果たすことができるのか。新聞報道等によりますと、メキシコ政府がいまのGNについては冒頭に採決するようにいま日本政府に対して協力を求めている、こういうようなことも報道されております。  したがって、アメリカのこれに対する対応、これに対して日本が、いま申し上げたメキシコの方からの意向もあるようでありますけれども、この会議の中でこれが成功するように、ぜひ強力な日本立場日本のそういうアメリカに対する申し入れをするなり何なり、ひとつ成功するように御努力をお願いしたいと思うのですが、この点についていかがでしょうか。
  164. 園田直

    園田国務大臣 お答えをいたします。  いまおっしゃいました新聞に書かれたような事実は、私は承っておりません。しかし、なかなか大変であると私も想像しておりますが、アメリカに対して包括交渉に入るべしということを私は国連総会のときから盛んに主張をし、説得をしておるところでございまして、真っ向からアメリカはこれにノーとは言っておりません。しかしまた、うんとも言ってない、こういうのが実情でございます。  そこで、当初からこの包括交渉が議題になって、これを否決するということはあり得ません。できるだけそういう方向努力をするつもりでございます。
  165. 野間友一

    野間委員 そうしますと、見通しとしては、要するにアメリカもこれについては賛成をして、そうしてこの会議の中ではすべての国が意思統一できる、こういう期待なり観測を大臣はお持ちだということでしょうか。
  166. 園田直

    園田国務大臣 アメリカがこれに賛成をするというところまでは申し上げておらぬわけで、私はアメリカに対して盛んに包括交渉に入るべきだという意見を申し述べておりますが、これに対して、国内事情でいろいろ問題もあるようでありますけれども、私に対して反論はいたしてない、こういうところであります。
  167. 野間友一

    野間委員 今度の南北サミットの成否のかぎはアメリカの対応にかかるというようなこともよく言われております。どうも私はこの南北問題、特に南に対するアメリカの対応、途上国に対する対応ですけれども、これはレーガン政権になってから特に顕著だと思いますが、対ソ戦略を踏まえたということで、いわゆる紛争周辺国、あるいは友好国、非友好国と、こういう分け方をして、発展途上国からの批判を受けておるという状況なんですね。そういう中で、南北サミットの中でのアメリカの対応についても、これはやはり一番皆が注目しておるところであります。  いま申し上げたアメリカの対応からして、特に私が気になることが一、二あるのですけれども、たとえば、一つはIMFの問題であります。これはアメリカの言い分ですけれども、これはもういまでは途上国の援助機関となったというようなことで、かなりその運用の点についても批判をしてまいりました。さらに、第二世銀の第六次の増資、これについても相当かたくなな態度をとってまいりまして、結局は八三年までの三年間で三十二億四千万ドルの出資を約束はしましたけれども、いまの時点で出したのは八億二千万ドル、しかも第七次の増資には応じない、こういう態度をとっておるわけですね。  つまり、国際機関を通じた援助というよりも、二国間という関係で事を処理する、そして、その中心は何に置くか、経済協力、この中心を何に置くかといいますと、いま申し上げたように対ソ戦略を踏まえてやる、こういう姿勢が非常に顕著であります。こういう状態では、いま大臣も申されましたけれども、南北の連帯なりあるいは調和という点からしても大変むずかしい、そういう状況を迎えるのじゃないかというふうに懸念するわけですけれども、こういうアメリカの対応に対しまして、日本政府として、大臣としてはどのように認識され、お考えなのか、この点についてもお聞かせ願いたいと思います。
  168. 園田直

    園田国務大臣 包括交渉で渋ったり、問題になっているのは、結局いまおっしゃいましたような世界銀行初め金融機関その他の改組の問題が絡んでいることは事実であります。しかしながら、これはみんなで話し合えばいいことでありますから、私は、諸般の情勢からやはり包括交渉に入るべきだということを強くアメリカにも助言をするつもりでおります。
  169. 野間友一

    野間委員 いまの二国間の取引というか、交渉ですべてけりをつけたい、こういう姿勢でなくて、日本としてはアメリカに対して物を申すと申しますか、説得して、すべての南北の相互依存とおっしゃいますけれども、そういう関係で、これはもう世界の大方の意向でありますから、アメリカもこれに即して事に対処するように、ぜひそういう説得をされてしかるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  170. 園田直

    園田国務大臣 米国が包括交渉にまだイエスと言うまでに至らぬというのは先ほど申し上げた理由でありますが、国際機関を通じての援助をやめて二国間に切りかえようという露骨な態度は、私はまだ聞いておりません。いずれにいたしましても、南北問題の真の目的が達成されて、お互いが助け合いができるように日本役割りを果たすつもりでおります。
  171. 野間友一

    野間委員 せっかくの機会ですし、これはぜひとも成功させるために最大の御奮闘を期待するわけでありますけれども、そういうアメリカの対応なり、いま大臣答弁されましたけれども、そういうことを踏まえた上で、じゃ日本政府は一体どう対応するのか、つまり、日本経済援助なり経済協力に対する考え方であります。この第三世界と申しますか、発展途上国を対ソ戦略の上から選別することをサミットに持ち込むということになれば、これはえらいことになりますし、途上国からの大きな批判を浴びることは明らかだと私は思うわけでありますけれども、こういう点を踏まえまして、日本政府はこの南北問題を考える場合に、発展途上国に対してどのような姿勢で臨まれるのか。先ほども答弁がありましたけれども、もう少し具体的に敷衍してお答えいただきたいと思います。
  172. 園田直

    園田国務大臣 南北問題に東西問題を持ち込むことは絶対禁物であります。私は正式に反対をいたしております。今後ともそういう場合には反対するつもりでおります。  日本の発展途上国に対する方針は、しばしば申し上げておりますが、これは援助する、援助されるという立場ではなくて、お互いが力を合わせてお互いの繁栄を図る、こういうことが基礎であります。
  173. 野間友一

    野間委員 その点で、いま大臣は東西問題を持ち込んではならぬ、こう言われました。ところが、私はこの点について懸念するわけですけれども、オタワにおけるサミットの際の鈴木総理の発言であります。これは「海外政経情報」の中にもございますけれども、深田経済局長のブリーフィングの中にあるわけですが、「第三世界の経済がうまくいかないと社会不安につながり、結局ソ連に乗じられることとなりかねず、総合的に安全保障を考える必要がある」、「紛争周辺国に対する援助を今後とも続けたい」、こういうことを総理が言われたということなんですね。  そうしますと、先ほど大臣が、東西問題を持ち込まない、こう言われますけれども、日本のいまの経済援助についての姿勢は、総理がいみじくも言われたように、結局ソ連に乗じられかねない、したがって紛争周辺国を中心に援助を続けていく、これはまさに東西問題、東西関係を前提とした考え方になるのじゃないかと私は思うのです。このことと、いま大臣が言われた、東西問題を持ち込まない、つまり南北問題に対する取り組みの姿勢ですね、これとは趣旨が違うと思うのですが、こういう総理のオタワにおける発言に対してどういうふうにお考えになるのか、お聞かせいただきたい。
  174. 園田直

    園田国務大臣 総理の発言及び米国大統領と鈴木総理共同声明の中の案文を読みましても、要は、それぞれの国の平和と安定と繁栄に日本は経済的に寄与する、こういうことでありまして、第三世界に対しても、第三世界の経済の向上、開発に協力することはひいては世界の平和につながる問題であって、私の言うことと総理のおっしゃることは食い違いはないと存じます。
  175. 野間友一

    野間委員 問題をすりかえられまして、直接お答えになっておりません。大臣、すりかえでなくて、実際に率直にお答えいただきたいと思うのです。  総理は一国の総理ですね。この方が、いま申し上げたように、結局ソ連に乗じられるということを前提として、紛争周辺国に対する援助を今後とも続けていかなければならぬ、こう言っておられるわけですね。これはまさに西側に立って、東に対するこういう前提としての発言に間違いないですね。だから、途上国に対してもこのように南北というような分け方でなくて、結局、途上国の中でも東西というような形で経済協力の基準の選別を置いていくということになりますと、これは整合しない。このことは率直に申し上げて、総理の言われることといま大臣が言われた東西関係を持ち込まないということとの間には大きな矛盾がある。これは当然だと思うのです。  この点、総理が言われたことを私はいま引用しましたけれども、これに対して具体的に、率直にひとつ再度お答えいただきたいと思います。
  176. 園田直

    園田国務大臣 第三世界に対する問題でありますが、これは軍事的な配慮からこれに対する援助、協力をやるべきではなくて、やはり平和と繁栄ということであります。平和と繁栄というものは大きく見れば総合的な安全でありますから、軍事的な配慮から来るものではなくて、平和と繁栄への配慮から来る。結局、戦争というものは平和、経済、こういうものの格差から来るわけでありますから、そういうことに援助することは、平和を願う道であります。平和を願う道が安全保障、安全保障は軍事だ、こういうことになれば、これはだんだんつながっていきますけれども、そこまで神経質に考えたら仕事はやれませんので、やはり私たちはそういう意味において、軍事的な配慮からではなくて、本当に相手国の平和と安定、繁栄ということのためにやるべきだと考えております。
  177. 野間友一

    野間委員 時間が参りましたので、これで終わらざるを得ません。また後へ持ち越しますけれども、大変苦しい答弁をされたわけであります。私は、日本経済援助は最近相当変わってまいりまして、結局アメリカの対ソ戦略をにらんだそういう方針といささかの変わりもないようなところにまで来ておるのではないかということを、非常に懸念するわけであります。しかし、いませっかく大臣は、今度の南北サミットの中で東西問題は決して持ち込まない、南北の問題として解決をしていくと申しますか、それに対処していく、こういうふうに言われました。この姿勢でぜひ臨んでいただきたいということを強く要求すると同時に、今後の経済協力について、私はさらに機会を設けて姿勢を先だしていきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  178. 松本十郎

    松本(十)委員長代理 伊藤公介君。
  179. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 サダト大統領の国葬においでになられ、昨日正式に就任をされた次期大統領を初め、中東情勢にさまざまな情報収集と御活躍をされてお帰りになられた外相に、心から敬意を表したいと思います。  きょうは中東情勢について限られた時間の中でお尋ねをしたいと思いますが、その前に、実はことしの夏に当外務委員会で沖繩の視察に参りました。そのときにいろいろな御要請がありましたけれども、私どもの当委員会としても非常に大事な御指摘をいただきましたので、一問だけ最初に御質問をさせていただきたいと思います。  それは、鈴木総理がことしの一月、ASEANに参りまして、ASEANの国々を歴訪されましたときに、日本に国際センターを設置する、これは沖繩につくるというお約束をされたわけでありますが、その見通しについてお伺いをしたいと思います。  あわせて、私どもが訪ねた沖繩の難民センターですね、国際友好センターに参りましたが、収容定員が三百名のところに三百二十四名入居しておりました。そして、お世話をされている職員の方々は十一名でありましたが、皆さんのかわるがわるの御発言は、一生懸命にお世話をしているのだけれども、結局日本に定住をするという希望者はたったの一人もない、こういうお話でございました。私ども、海外に向けて日本はかなり優秀な国になってきたと評価をされ、あるいはわれわれもそういう気概でこれからさまざまな問題に取り組まなければならないときに、何か非常に足元が崩れているような気がいたしました。こうした難民受け入れ体制は十分なのか。  あるいは、日本に定住をしてほしいという希望があるなら、これはきょうちょっと文部省の方にもおいでいただきまして、実はほかの質問で御答弁をいただきたいと思いましたが、限られた時間でその問題に触れる時間がありませんので、違う問題で恐縮ですが、中国の孤児の受け入れにいたしましても、あるいは難民の受け入れにいたしましても、日本語の語学教育等も半年や一年間でとてもできるものじゃない、こういう体制で一体いいのかという問題でございます。  それからもう一つは、具体的なお話で、沖繩の石垣島に近い与那国ですね、ここに実は与那国の税関監視署というのがあるわけでありますが、台湾がすぐ目の前にあるわけでありますけれども、税関は一々那覇まで行かなければいけないという非常に不合理なことをしなければならない、何とかならないかという御提案もございました。さまざまな機構改革のときでもありますので、善処できないか、お答えをいただきたいと思います。
  180. 柳健一

    ○柳政府委員 最初の沖繩に設置される予定の国際交流センターについてお答え申し上げます。  沖繩に設置の予定の国際センターにつきましては、現在政府部内で鋭意検討いたしておりますが、国際協力事業団の付属機関といたしまして設置しまして、ASEAN諸国向けの研修、それからASEAN諸国との人的交流、あるいはASEANの五カ国に設置を予定されておりますそれぞれの人づくりセンターのリエゾンオフィスの機能を果たさせる、こういう方向でいま検討を進めておるわけでございます。  設置場所につきましては、沖繩県の要望もございまして、浦添市の前田地区というところをいま考えております。  なお、具体的にどの程度の規模にいたしますか、また、どういう内容でやっていくかということにつきましては、沖繩の特色を生かしつつやっていく方針でございますけれども、五十七年度の予算編成を行う過程を通じまして固めていきたい、こういうふうに考えている段階でございまして、ただいまはまだ固まっておりません。
  181. 西方俊平

    ○西方説明員 与那国島の税関の件でございますけれども、現在、与那国島には沖繩地区税関の与那国監視署を設置しております。ここでは御指摘のように監視業務を行っておるわけでございますけれども、この監視署で通関業務をあわせて行わせることにつきましては、貨物の量とか入港隻数、それから与那国島の地理的状況、こういったものを念頭に置いて考える必要があろうかと思います。私どもも調査の上、検討してまいりたいと思います。
  182. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 難民の受け入れの問題については御答弁がありませんでしたけれども、ぜひ関係各省庁で連絡をとって、今後いろいろな状況の中で、しかも日本も受け入れということを法的にも認めたわけでありますから、その受け入れの体制について十分御検討をいただきたいと思います。     〔松本(十)委員長代理退席、青木委員長     代理着席〕  それでは、中東の情勢について伺いたいと思います。  実はサダト大統領暗殺という非常に大きな変動の中にもかかわらず、PLOアラファト議長は、当初の計画どおり、自由主義諸国の中で日本に初めて来訪をいたしたわけであります。正直なところ、当初私どもを含めて日本人の多くの方々は、非常に過激なゲリラあるいは赤軍派などという感じまでオーバーラップして、非常にそういう印象を受けていたと思いますが、来日をされたアラファト議長は終始非常になごやかな微笑外交に徹して、そしてそれぞれの会談やインタビューの中でも非常にユーモラスなやりとりをされて、かなりさわやかな印象を残して、けさ七時ちょっと過ぎに羽田を立たれていきました。  しかし、そうした短いアラファト議長の滞在の中に、幾つかの重要な課題を残したし、そして日本が避けて通れないものを課題として残したと私は思います。  ある専門家に言わせれば、サダト大統領の暗殺はケネディ暗殺以来の大きな国際的な影響を与えるであろう、それは中東だけでなしに、国際平和にとっても非常に重要な影響を受けるだろうという中で、先ほどの外相の御発言の中にも、その中東和平PLOなくしてない、こう御答弁をされておりました。  率直に、どういう課題を残し、そしてアラファトPLO議長訪日はどういう意義があったかということを、まず外相から伺いたいと思います。
  183. 英正道

    英説明員 アラファト議長は、前にオーストリア、ポルトガル、スペイン、そういう国はもちろん訪問しているわけでございますけれども、主要先進国という中で、日本で最高レベルの首脳に会われたということは、確かに注目を浴びている点だと思います。  御案内のように、政府としては、中東和平の核心はパレスチナ問題である、それから、やはり中東問題の各当事者と率直な意見交換をしていって、できることがあれば役割りを果たしたいという基本姿勢がございますので、そういう大きな脈絡の中で考えますと、やはり重要な当事者でありますPLO議長のアラファト氏と総理、外相が会われて、率直な、忌憚のない意見交換をされたということは、非常に有意義だったというふうに評価しております。  それから、どういう課題を残したかという御質問でございますけれども、いずれにせよ、これは問題を解決するための訪問とか、そういう趣旨のものではございませんし、それぞれ立場が非常に違う問題を抱えておるわけでございますので、課題があるとすれば前からあるわけでございますし、それが新たにふえたというものではないというふうに認識しております。
  184. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 大臣から御答弁をいただきたいと思いましたが、関連をしてまいりますから、次の質問でお答えをいただきたいと思います。  いままでも確かに課題がありました。しかし、少なくともPLOアラファト議長が、日。八議連、しかもその責任者は政府・自民党の有力議員であり、かつ外相経験者でもあります、しかも日本外務省も、お話を伺えば、今度の訪日にはかなり積極的に側面的な協力をされ、訪日をしたということは、やはりこれはいままで以上に大きな政治的な意味がある、こう受け取らなければ私は判断を間違うのではないかというふうに思うのです。  実は昨晩遅く行われた外人記者クラブでのアラファト議長とのやりとりの中で、PLO東京事務所の法的な地位について合意があったか、こういう記者の質問に、自分はステートメントを述べるだけでなく、行動によって説明させるのを好む、こういう発言をされているわけであります。いまの答弁は、やはり議長訪日というものは非常に大きな政治的な意味を持っている、こう受け取らざるを得ないし、受け取らないと判断を誤ると私は思うのです。  そこで、政府がいままで何回か答弁をしてきた中に、PLOパレスチナ代表する有力な組織だというお話がありました。しかし、これは、総理も外相も今度は正式に会見をされた、国際的にはPLOというものを正式に認知したということになると思いますが、いかがでしょうか。
  185. 園田直

    園田国務大臣 PLOを認知するとかしないとかという問題はいまあり得ないわけであります。先般の質問にもありましたとおり、国連総会の決議で、パレスチナ代表する機構ということでPLOは認めている、国連決議しているわけであります。したがいまして、問題は、そのPLO事務所を、外交特権を与えるとか、あるいは国の外交公館と一緒に扱うとか、そういうことが問題になるわけでありますが、これは国でありますから、制度的にそういうわけにはまいらぬわけであります。したがいまして、事務所その他のことについて一切合意はございません。
  186. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 先ほど外相の答弁の中に、西側といってもフランス、西ドイツ、アメリカ、それぞれ若干のニュアンスは違うのだ、こういうお話がありました。そうしますと、パレスチナ代表する有力な組織というこの表現、認識で一体いつまでいくのか。アメリカが認めたら日本は認めるのか、あるいはどういう新しい状況の中で日本は新しい選択をしていくのか。  実は、中国に対してもそうでありました。アメリカは二十五年間中国を認めなかった。そして、最後には日本の頭越しに中国というものを認めて、日本は大あわてしたというわれわれは苦い経験があります。しかも、アラファト議長はさまざまなところで、今度の記者会見の中でも、日本に来るということを非常に大事にしている、来て、皆さんの受け入れ体制というものにも非常に感謝をしておる、そして、われわれ新自由クラブと社民連合同で議長会談をしましたときにも、河野さんが、PLOははっきり言えば米ソとどういう距離で取り組むんだということを聞かれましたときに、われわれは非同盟という原理に従って、アメリカとかソ連ということではなしに、われわれは国を失った民族として当然の権利を主張していくのだ、そして最後の、これは日本記者クラブでの議長のインタビューでありますが、ソ連はわれわれを支援してくれているし、大変良好な関係にある、しかし、同時に日本や欧州共同体、ECともよい関係を築こうとしていることをぜひ知ってほしい、こういう発言を残されて去っていきました。私は、この議長の残されたさまざまな発言、インタビューというものをしっかり受けとめて対処する必要があると思いますが、外相、いかがでしょうか。
  187. 園田直

    園田国務大臣 日本PLOに対して、先ほど国連決議にありましたように、パレスチナ代表する機構であるということは、もう前々から言っているとおりであります。西欧諸国もそのとおり見ているわけであります。アメリカといえどもこれをそういうふうに見ておるわけでありまして、PLOパレスチナ代表として認めるか認めぬかという問題は、もう存在しないということでございます。  日本に来て、PLO議長が、西欧諸国や日本や、あるいは将来アメリカとも何とかして話し合いをして祖国をつくりたい、こう考えておるのは、御発言のとおりだと私も判断をいたします。しかし、これは中国と違います。まだ領土も決まっていないし、何もないわけでありますから、これは中国とは大分趣を異にいたしております。
  188. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 パレスチナ代表であるということは、もう繰り返し御答弁をいただいてまいりましたが、唯一代表であるということは認められないのですか。どういう条件が、あるいはどういう状況なら認められるのでしょうか。
  189. 英正道

    英説明員 このパレスチナ人の問題とPLOの問題とは区別しなければいけないと思うのでございますけれども、御案内のように、パレスチナ人というのは三百五十万とも四百万とも言われているわけでございますが、それはいろいろな国に住んでいる人もいる。そこで、そういう人たちが難民の状況にいるというのではなくて、やはり祖国を持つ、そういう民族の自決権を行使したいという強い希望が生まれてきて、そういう歴史的な背景の中からPLOという団体が有力な団体としてアラブ諸国の認知を受け、有名な七四年のアラブ連盟の決議によって、これはパレスチナ人代表する唯一機関であるという認知を受けたわけです。  しかしながら、客観的に見ました場合に、パレスチナ人というものをどの機関代表するかということを判断するということは、やはりパレスチナ人自身が行うべきであって、そういうプロセスというものはまだいままで行われていないわけでございますので、したがって、西欧の国は唯一機関と認定することに非常に抵抗がございますし、また、国家でも政府でもないそういう組織の場合に、そういう代表権、要するに唯一代表ということを認めることにもなじまないという問題があって、したがいまして、いっそういうことになるのかという御質問について、われわれの立場から答えることは非常にむずかしいと思うのですね。やはりパレスチナ人自身が、それについて何らかのプロセスなり形を通じて意向が非常に明確になったときにそういうことになっていくのじゃないか、このように考える次第でございます。
  190. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 最後の質問です。  外相は、ムバラク新大統領とお会いになられて帰られました。その会談の中でどういうことをお話しなされたのか。また、伺うところによりますと、来日を要請されたと伺いますが、ムバラク新大統領の来日はどういう予定になるのか。また、来日はあるのか。そして、総理は来年の一月、中東訪問されるということでありますが、その際にはどういう国々を訪問されて、そしてその中ではアラファト議長と再び会うということもその日程の中に今後考えられるのか。もし考えられるとすれば、日本立場として、今回わが国の総理議長にそういう指摘をされましたように、イスラエルの生存権というものをやはり認めるべきだということを、その会談のときにはそういう進言をさらに重ねてする必要もあると私は思いますし、また、アメリカに対して今度の議長訪問についていろいろな状況を伝えると伺っておりますが、アメリカに対してもPLOというものあるいは今回の来日についての状況を伝えて、やはりPLOというものを正式に認める、そして会談の中にも一日も早くパレスチナ人を加えた中東和平という形を整えるべきだというふうに思いますが、アメリカに対してはどういう進言をするおつもりなのか、伺っておきたいと思います。
  191. 園田直

    園田国務大臣 エジプトの新大統領との意見交換では、大統領就任後、サダト大統領の路線を踏襲をして、国内の充実、外交路線もその線をたどっていく、こういう趣旨の話がありました。  それから、私が大統領を招待したのは、サダト大統領が来月日本においでになるように準備をして待っておったところへ、国葬に参列することは、まことに遺憾であります、このエジプト大統領の招待は、サダト大統領が亡くなっても消えたものではございません、したがいまして、国内が落ちつき、時期が来ましたら、大統領の御訪日をお待ちしております、こういうあいさつをいたしましたのに対してお礼を言われたわけでありまして、まだ向こう大統領になっていないわけでありますから、何月ごろ、どう行くかとか、用事なんということはまだ話にならぬわけであります。  総理外遊も、何月とか、どこの国に行くとかということじゃなくて、中東がきわめて大事になってきた、外遊されるならまず中東の方をお願いしたい、こう私が申し上げたのに対して、十分検討しようということで言われているわけで、どこの国へ行くとか、具体的用件はどうとかということは、まだ今後の検討事項にあるわけであります。総理外遊されても、行かれる先は、国を訪問されるわけであります。
  192. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 終わります。
  193. 青木正久

    青木委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十五分散会