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部谷委員 総理府の設置法には、その第十六条の二の第二項に北方
対策本部の行う事務を記載してございます。その第五号に「北方
地域に関する事務に関し、
関係行政機関の事務の総合調整及び推進を図ること。」こういうふうに書いてあります。これを平たく申しますならば、北方
対策本部長である総務
長官は、北方
地域、つまり四島に関する事務については各省庁に対してリーダーシップをとって、そしてその事務を推進するようにハッパをかける権限、こういうものを持っておる、こういうふうなことだと思うわけであります。
ところでこの権限は十分に発揮されてこなかったのではないか、そういうふうに私は思うのであります。なぜこのようなことを私が申すかといいますと、北方領土問題が未解決のためにいろいろな問題が起こっておるわけであります。これらの問題に対しまして各省庁がばらばらで、しかも自分のところの所管範囲の狭い視野、
観点、そういうもので物を考える、そういう傾向が今日までなかったとは言えないと思うのであります。北方領土がわが国の固有の領土であってその返還を要求しております以上は、領土権の主張は内政上の問題においても明確にこれがされなければならないと思います。
たとえば自治省が発行いたしております全国市町村要覧等には、昨年度版まで六カ村の村名すら記載されておりませんでした。
小沢委員長の強い
指摘と強い働きかけによりまして、本年度にはこれが凡例のところへ、しかし申しわけ程度に載せられまして、名称と面積が記載されるようになりましたけれ
ども、まだしかし本欄には記載されておりません。つまり北海道の市町村の数は、六村を入れて二百十八であるにもかかわらず、いまだにその数字が二百十二ということで掲載をされておるわけであります。
また先般、貝殻島のコンブ漁が再開されましたけれ
ども、このコンブ漁の水揚げの際に外国貨物の取り扱いを受けて、関税法上の
手続が必要であるということで、
現地では強い不満があったことも御承知のとおりでございます。ソ連が実効支配しております四島を関税法の
適用から除外するということはいろいろ問題がある、
政府からいろいろな御答弁の中でそうしたことも言われ、理解できないわけではないのでありますけれ
ども、しかし何か領土権を主張するにふさわしいうまい方法が考えられないものかどうか、そういうことも素朴な気持ちとして起こってくるわけであります。
次に、三島六カ村には役場がありません。したがって、戸籍の転籍を希望してもこれを受け入れる方法がないわけであります。先般
政府に対して出された
小沢委員長の質問主意書に対する
政府の答弁でも、「現実に行政権を行使し得ない状態にあり、村長も置かれていないので、六村への転籍の届出を受理することはできない」、こういうふうに答えておるわけであります。つまり村長がいなくて事務ができないというのであれば、何か方策を講ずることによってその事務が行えるようにすればよろしいわけでありますけれ
ども、そうした発想が出てこないところにわれわれは非常に不満を感ずるわけであります。
三島の六カ村を周辺の北海道の市町村に編入すれば、編入先の市町村で、いま申しました戸籍事務だとか、元居住者に対する
調査、援護
措置、現存しております六カ村の書類の保全等の事務を行うことができるのでありますし、また、それに伴って交付されるでありましょう交付税によりまして、振興
対策を行うことができるという大きなメリットも出てくるわけでありますけれ
ども、自治省はこれまたきわめて消極的で、領土返還、隣接
地域の振興という国家的な事業に要する経費を自治省におっかぶされたのではかなわない、こういうふうな態度で終始いたしておるわけであります。
要するに、北方領土問題に取り組む
政府の姿勢に私は問題があると思うわけでございまして、各省庁ばらばらにやっておりますそうした行政を総合的に調整して、そしてこれらにハッパをかける役目をされるのが総務
長官のお仕事であると思います。今後総理府がリーダーシップをとって積極的にこうした万般の問題に取り組んでもらいたいと思うわけでありますが、
長官の御見解を伺いたいと思います。