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1981-11-13 第95回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十一月十三日(金曜日)     午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 小沢 貞孝君    理事 上草 義輝君 理事 川田 正則君    理事 高橋 辰夫君 理事 上原 康助君    理事 島田 琢郎君 理事 吉浦 忠治君    理事 部谷 孝之君       臼井日出男君    小渡 三郎君       奥田 幹生君    熊川 次男君       高村 正彦君    泰道 三八君       中山 正暉君    小林 恒人君       玉城 栄一君    瀬長亀次郎君       菅  直人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      中山 太郎君  出席政府委員         総理府北方対策         本部審議官   藤江 弘一君         沖繩開発政務次         官       岩崎 純三君         沖繩開発庁総務         局長      美野輪俊三君         沖繩開発庁振興         局長      藤仲 貞一君         外務省欧亜局長 武藤 利昭君  委員外出席者         北海道開発庁計         画官      大江 郁夫君         外務省北米局安         全保障課長   加藤 良三君         厚生省医務局医         事課長     吉田  勇君         林野庁指導部治         山課長     小沢 普照君         資源エネルギー         庁石油部備蓄課         長       市川  南君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     植松  敏君         運輸省航空局監         理部長     仲田豊一郎君         運輸省運輸審議         会首席審理官  馬場 一精君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 小沢貞孝

    小沢委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉城栄一君。
  3. 玉城栄一

    玉城委員 最初に外務省の方に伺いたいのですが、最近沖繩米軍基地内において、女子学生、高校生、中学生を含めて、米兵と不純な行為といいますか、シンナー遊びだとかあるいは喫煙とか、そういうことが制服をつけあるいは私服の姿等で行われているという実態が明らかになりまして、県民に大変大きなショックを与えているわけであります。したがって、外務省とされてそのことを御存じであるのかどうか、まずその点からお伺いします。
  4. 加藤良三

    加藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま玉城先生が御提示になりましたような新聞報道があるということを、当省としても承知いたしております。
  5. 玉城栄一

    玉城委員 そこでこの問題は、他の県と同じように子女の教育問題あるいは風紀上の問題でもあるかもしれませんが、この沖繩の場合には、米軍基地が存在し、米軍人とそういうことが基地内において行われていたということが大きな社会問題になっているわけですね。したがってこの問題は、ただそういう女子学生あるいは家庭あるいは地域のみに責任があるのだということでは済まされない、これはやはり米軍人側にも大きな問題がある、私はそのように思っております。したがって、基地内においてそういう不純な行為が行われ、あるいはシンナー遊びが行われる、それが十八歳未満未成年者ですからね、そういうことが行われているということは、ある意味では、広い意味地位協定にも違反するのではないか。地位協定十六条だと思いますが、米兵といえども当然、日本国内法を尊重する義務があるわけでありますから、シンナー遊びとかといいますと毒物劇物取締法だとか未成年者喫煙禁止法等があるわけでありますから、そういう意味から言えば、やはり広い意味地位協定に違反しているのではないか、このように思いますが、外務省の見解を伺いたいと思います。
  6. 加藤良三

    加藤説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、先ほど申し上げましたとおり、玉城先生御質問のごとき報道があることを承知しております。しかしながら、地位協定第三条に基づく米側管理権という問題になってまいりますので、そのような実態の一々を詳細に把握しているというわけではございません。仮に玉城先生がおっしゃられましたようなことが実態であるとした場合、それはもとより地位協定と申しますか、基地使用目的というものの想定している事態でないこと、これは当然でございます。  今般、沖繩現地の方で御指摘のごとき報道がありましたことにもかんがみ、私ども米側に対して照会いたしましたところ、やはり米側はその管理権に基づきまして、問題があったとされている牧港補給地区、ここに日本人立ち入ります場合の手続について改善措置を講じたという旨の回答をいたしております。
  7. 玉城栄一

    玉城委員 そこでこの基地、フェンスもなくて自由に出入りができるだとか、あるいは、その基地内は一面芝生が生えていてかっこうなそういう場所にもなっているわけですね。ジーパン姿といいますかショートパンツといいますか、そういう姿で米兵としているという実態を見ていても、在沖米憲兵隊ですか、見て見ないふりをしている、こういうことも指摘されているわけですね。ですから、非常に大きなショックを与えているわけです。  いま、きのうも鈴木総理がおっしゃっておりますが、アメリカ議会における対日防衛増強要求に対して不快感を示されている、そういう防衛増強問題とか貿易摩擦問題等でいま日米関係がとかくぎくしゃくしているという状況もあるわけですね。そういう中で、こういう問題がいま明るみに出て、非常に反米感情を激化することにもなりかねない、そういうことで、いまおっしゃるようなそういうことだけでこれは済まされない。やはり外務省とされてももっと真剣にこの問題をとらえて、こういうことが絶対に一それは双方で対応対策を講じなくてはなりませんけれども基地内において米兵とともにこういうことが行われているという実態は、二度とあってはならない。当然外務省としても真剣に米側に対して、これはアメリカ大使館を含めて厳重に、こういうことのないようにという注意をすべきだと私は思いますが、もう一回お伺いいたします。
  8. 加藤良三

    加藤説明員 仮にこのような乙とが事実であった場合に、やはり私どもといたしましては、米側地位協定の第三条に基づく管理権に基づいて適正な措置をとるべきものであるという考えを持っております。  これを背景にいたしまして、昨日も在京米大使館を通じて照会を行いましたところ、米側問題点の所在を理解いたしまして、今般、牧港補給地区に対する日本人立ち入り手続を改善した、こういうことを言っておりました。具体的には警備員が、十八歳未満の者が立ち入るという場合には、立ち入りについてその父兄の同意書というものがあるか否かを確認することとした、こういう措置米側としてはとることにしたという旨回答越しております。  他方、米側によりますと、日本人立ち入りというものの中にもいろいろな態様のものがあり得るわけでございまして、それがいわゆる健全な通常立ち入りというものまでも全面的に禁じてしまいますと、これは当該施設区域というものが現地社会から完全に孤立してしまうという事態にもなりかねないわけでございますので、全面的な立入禁止という措置はとるわけにはいかないけれども、しかし、先ほど申し上げましたような立ち入り改善措置をとる、立ち入り手続を強化した、改善した、こういうことを申しております。
  9. 玉城栄一

    玉城委員 それで長官沖繩ではこういう実態が行われているということで非常にショックを受けているわけです。いま外務省のお答えがあったわけですが、長官とされても、この問題は非常に重大な問題だと思うわけですが、御所見を承りたいと思います。
  10. 中山太郎

    中山国務大臣 先生指摘の点は、私もこの問題の報告を受けまして大変心を痛めているところでございます。特に婦女子、若い十八歳未満の少女といいますか青年の女子、この人たち基地内に入るということについては、いま外務省からも御答弁がございましたように、アメリカ大使館を通じてすでに調査を依頼しているところでございますが、沖繩開発庁といたしましても、関係省庁に連絡を密にいたしまして、御指摘の点が一日も早く解除されるように努力をいたしたいと考えております。
  11. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、重ねて外務省の方に伺いたいのですが、いま沖繩に第三海兵水陸両用部隊というのが駐留しておりますが、その駐留目的はどういう目的駐留しておるのか、お伺いいたします。
  12. 加藤良三

    加藤説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、御指摘になりました第三海兵師団、この沖繩における駐留は、極東の安全、平和というものを維持するための抑止力ということになっていると観念いたしております。
  13. 玉城栄一

    玉城委員 そこでおっしゃるとおり、日米安保条約に基づいて駐留しているわけですが、海兵隊ですから、軍隊の持つ特殊な任務からいいまして、紛争地域についてはどこにでも出動していくということは、この海兵隊という部隊性格からして当然理解はできます。ただし、日本駐留している以上は、いまおっしゃるように、日米安保条約に基づく極東の云々という立場でこれは駐留しているわけですから、やはりおのずとその行動には限界があると思うのですが、そのように理解してよろしいでしょうか。
  14. 加藤良三

    加藤説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたとおり、第三海兵師団日米安保条約に基づいて現地駐留しているわけでございます。もちろん、米海兵隊といたしましては能力というものを別に有しておりますこと、これはまた別個の問題であると考えております。
  15. 玉城栄一

    玉城委員 いや、そこでこの間第三海兵水陸両用部隊司令官沖繩記者会見をされて、わざわざ非常に強調していることは、自分らの部隊には行動に全然制約はない、こういうことを断言しているのですね。これはたとえばジャングル地帯であろうが、砂漠地帯であろうが、南極、北極のような冷寒地帯であろうが、必要とあらば出動はどこでもやりますよということをわざわざ言っているわけですね。日本外務省とされてこのことはどう思いますか。
  16. 加藤良三

    加藤説明員 お答え申し上げます。  玉城先生がただいま御指摘になられましたところは、十月十三日に行われました沖繩海兵隊ステファン・G・オルムステッド司令官記者会見ということであると存じますけれども、この御指摘報道についてはもちろん私ども承知いたしておりますが、オルムステッド少将具体的発言内容についてはその詳細を承知しているわけではございませんので、判然としたコメントを差し上げる立場にないわけでございます。しかし私といたしましては、オルムステッド少将当該発言というものは、これは米海兵隊能力について言及したものであるというふうに考えております。
  17. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、それは先ほども私申し上げましたけれども海兵隊の持つ性格からしてそういう能力は確かにあることは理解できます。ですけれども安保条約に基づいて日本駐留していて、やはりおのずとその行動に限定的なものがある。それをわざわざそういうことを強調するということは条約拡大解釈、そのことをその部隊責任者がどんどん記者会見で発表しているということについて、外務省とされては、それは能力があるから構わないのだということではちょっと済まされないと思うのです。厳重にやはり米側に対してそういうことは注意をすべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  18. 加藤良三

    加藤説明員 お答え申し上げます。  若干繰り返しになりますが、私どもといたしましては、オルムステッド少将発言というもの、これは海兵隊能力というものに言及したものであろう、こういうふうに考えているわけでございます。そしてもちろん、第三海兵師団、こういうものが日本基地におります以上、それは当然安保条約というものの枠内に入るものでございます。ただ、やはり先生もすでに御指摘になられましたように、第三海兵師団、それは軍というものの属性といたしまして、わが国より他の地域に移動していくということは当然あり得るわけでございまして、この移動ということについて安保条約上特に問題があるというふうには考えておりません。
  19. 玉城栄一

    玉城委員 その点は、条約拡大解釈をされていくようなこと、それを容認するようなことが決してあってはならないと思うのですね。いまおっしゃるように、この司令官記者会見での発言は、「私が率いる部隊出動する区域には特定の制約はない。中近東への出動可能性として常に存在する。」それは能力だという意味だと思うのですけれども海兵隊の持つ性格から能力というのは大体常識的にわかるわけです。わざわざ記者会見してそういうことを強調するということが、非常に意図的なものがある。こういう考え方を持って実際に実弾訓練を行っているということに非常に不安があるわけです。ですから、そういう危険な方向に行くということを容認するようなことがあってはならない、このように思うわけですね。ひとつがっちり歯どめをかけていただきたいと思うのです。いかがですか。
  20. 加藤良三

    加藤説明員 お答え申し上げます。  海兵隊能力というものは、ただいま私が申し上げてまいりましたとおりでございます。しかし第三海兵師団といえども、これが日本の領土内に駐留する、その場合には、完全に日米安保条約適用があるということでございます。
  21. 玉城栄一

    玉城委員 次に、航空運賃の問題について伺いたいのですが、外務省の方はもう結構です。  この問題は、去年の三月にも引き上げられまして、さらにまた今回値上げ申請がされているわけですが、どういう幅になるかわかりませんが、今回さらにこのようにまた引き上げる、特に沖繩の場合、県民生活県経済に与える影響というのはきわめて大きいわけですね。  そこで、運輸省の方に伺いたいのですが、基本的に沖繩の場合、本土沖繩交通手段というものはほとんど飛行機に頼らざるを得ないということが第一点。県内の離島各地を結ぶいわゆる住民の足に飛行機はなっているという点。そして、御存じのとおり国鉄沖繩にはないということですね、きわめてそういう特殊性があるわけです。そのことをどのように認識をされ、運輸省とされては今回の航空運賃値上げについての対応をされようとしているのか、基本的な点を伺いたいと思います。
  22. 仲田豊一郎

    仲田説明員 お答え申し上げます。  ただいま玉城先生指摘の点につきましては、前回運賃改定のときにも運輸省としてできるだけの配慮をいたしまして、今回も、県の方からまた県民の方々からのいろいろな陳情や御要請を承っております。  ただいま運賃改定運輸審議会に諮問をされまして、運輸審議会検討が行われている状況にございますが、その、審議の過程におきまして、そういうような沖繩地域的な特殊性等も、皆さんの地元からの声というものも十分反映させるように私ども努力したいと思っております。
  23. 玉城栄一

    玉城委員 ということは、そのことは認識をしているということになるわけですね、運輸審議会にそういうことを反映させるように努力しているということですから。  そこで具体的な問題で、団体包括割引運賃制度がございますね、この割引率についても検討されるつもりはございませんか。今回の値上げ申請に伴って、たとえば東南アジア向け国際線並みにその割引率を引き上げるというようなこと、いかがですか。
  24. 仲田豊一郎

    仲田説明員 いま御指摘団体包括割引運賃と申しますのは、実は国内線では沖繩線しかございませんで、前回運賃改定のときに沖繩地域的な特性を考慮いたしまして、十五人以上の場合は二〇%引き、二十五人以上の場合は二五%引きという、国内運賃通常割引に比べましてかなり高い割引率適用することになったわけでございます。御指摘のように国際運賃に比べますと、国際運債通常かなり距離が長いということで、収益性観点それから需要喚起観点からかなり大幅な割引が行われていることは事実でございます。しかしながら、東京那覇に比べられるようなほかの国際路線を比べましても、決して私ども現状においては割引率が二〇%というのが不十分であるとは考えておりませんが、いずれにせよ現在、運輸審議会検討中でございますので、そこで十分検討し、私どもも事実関係をよく比較考量した上で結論を得たいと思っております。
  25. 玉城栄一

    玉城委員 そういうことはよく知っているわけです。さらに今回値上げ申請がされているために、そういう既設制度も動員して県民負担軽減させる措置を講ずべきではないかという意味なんですね。  それでもう一つありますよ。特別往復割引運賃沖繩の−場合、一部離島適用されていますね、こういうものの適用拡大を図るということも検討してみるとか、もう一つは、代替輸送機関のない沖繩航空路線にも課税されている通行税の問題についても、この際検討してみるということはいかがですか。  それは沖繩はいまも特別扱いしているんだからということはよくわかっているわけです。なぜそうしなければならぬかということは、さっき申し上げたように交通手段としては飛行機にしか頼らざるを得ない、国鉄もないわけですから、あるいは離島にとってはまさに住民の足ですから。そういう意味で、こういう制度を今回の値上げ申請について動員して負担軽減立場からさらに検討してみる必要はないかということなんです。
  26. 仲田豊一郎

    仲田説明員 沖繩に関する運賃というものが生活路線として、住民の足として非常に重要であるということは、私どもも重々承知しております。そういう趣旨から先生御存じのように、沖繩県離島に限って特別に往復割引率三〇%というのがございますし、先ほど団体割引二〇%、二五%という割引もございますし、またそのほかに、政府といたしましても通行税軽減本土の半分にいたしておりますし、また那覇につきましては、ジェット路線着陸料航行援助施設料というのもこれを三分の一に軽減するという、いままで私ども沖繩特殊事情を十分踏まえて航空の面で配慮を尽くしてきたつもりでございますが、今回もいろいろ御陳情、御要請がございますが、それを十分考慮して決定をいたしたいと思っております。  ただ、航空会社の側から見ましても、今回の値上げ申請は、およそ百六十路線ぐらいについての値上げ申請が来ておりますが、そのうちで、沖繩東京間の値上げ率が一〇・四%でしたか、一番最低でございます。そういう意味で、航空会社経営状況が非常に芳しいということは、まだ詳細について検討いたしておりませんが、私どもはだで感じておるわけでございますが、その中におきましても、やはり国のベースというよりは航空会社ベースで、沖繩についてはなるべく旭上げ準を抑えたいという気持ちがあらわれていることは事実であろうかと思います。
  27. 玉城栄一

    玉城委員 そこで運輸省の方、何か先ほどから既設制度を宣伝していらっしゃいますけれども、そういう意味沖繩特殊性については十分考慮してあるんだから、今度の値上げ申請についても何かそのまま認めるような感じの、民間会社はそれだけ努力して沖繩については値上げの幅も狭めて申請しているんだからと、何かそれを擁護するようなことをおっしゃっておりますけれども、そういうことであったら、これは全然私が申し上げておる特殊性についての認識は非常に——ですから、そこで長官、これはやはり長官沖繩を担当される大臣とされての熱意で何とかこれを考慮していただく以外ないと思うわけですね。そのことを強く長官に訴える以外にこの問題はないのじゃないかと私は思うのですが、長官のひとつ御決意を聞かしていただきたいと思うのです。
  28. 中山太郎

    中山国務大臣 沖繩に対する航空運賃値上げ申請が出ております。これは非常に重大な影響沖繩県経済に与える可能性が大きい。それはデータで見ると、最近のデータで、観光客が百八十万八千三十六人入ってきているわけですね。これを四十七年の復帰当時と比べると四・一倍の伸びになっています。約四倍強になっております。収入は千八百億。それで大体平均日数が四泊五日くらいの割りで来ているわけです。こういうことから見て、私どもとしたら、何としても沖繩の第三次産業の中での観光というもの、特に第二次振計を立てる際も柱としては観光を考えているわけですが、それにはやはり航空運賃との兼ね合いということが非常に大きな因果関係を持ってくるという意味で、私といたしましては、沖繩経済の繁栄のためにもこの航空運賃引き上げ幅については十分な注意をするように運輸大臣には強く申し入れををいたしたい、このように考えております。
  29. 玉城栄一

    玉城委員 ぜひ大臣、そのことについて御努力を期待申し上げる次第です。  それで、次に通産省の方に伺いたいのですが、最近、御存じのとおり沖繩にはすでに巨大なCTSの基地がありますね、民間サイド備蓄が行われているわけですが、さらに今回その上に国家備蓄をしようということで、民間サイド石油備蓄タンク借り上げ国家備蓄をしようという方針を決められたということを聞いているわけですが、その状況を簡単にちょっと御説明いただきたいのです。
  30. 市川南

    市川説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の件につきましては、私ども沖繩県地元の方から当該報道を入手をいたしまして承知をいたしているわけでございますが、この新聞記事によりますと、国家備蓄陸上基地の完成までのつなぎの措置として、現在沖繩石油基地が建設中の石油備蓄タンクを全面的に借り入れる方針を固めた、こういうことが書いてあるわけでございますが、私ども通産省及び石油備蓄を実施をいたしております石油公団が全面的に構り入れる方針を固めたという事実はございません。  しかしながら、石油国家備蓄につきましては、昭和五十三年度以来、三千万キロリットルの国家備蓄を速やかに達成をするということで、環境のいい時期に備蓄積み増しを行うということで進めているわけでございますが、その積み増しにつきましては、イランの政変の問題とかその後のイランイラク戦争等関係もございまして、石油需給が非常に逼迫をしていた時期が続いたものですから、備蓄がなかなかできなかったわけでございます。今年度に入りまして、非常に環境がよくなってきたということがございまして、当初、百万キロリットル程度の積み増しを五十六年度に行うべきことを予定をいたしていたわけでございますが、非常に環境がいいということで、本年九月二十二日の総合エネルギー推進対策閣僚会議におきまして、二百四十二万キロリッター備蓄積み増しを行うことが決定をされまして、現在石油公団においてその改定手続を進めているところでございます。  先ほど指摘をいただきましたことと関連をいたします地元新聞との関係で本問題を考えてみますと、この積み増しをした油の入れ物でございますけれども、いままではタンカー備蓄という形でもって積み増しを行ってきたわけでございますが、このタンカー備蓄につきましては、泊地の問題、海上航行の安全の問題等諸般事情がございまして、約一千万キロリッターぐらいが上限ではないかということで考えております。このため、今回の積み増しにつきましては、タンカーによる備蓄も行うことといたしておりますけれども、可能な限度を超えます分、約百十四万キロリットル分につきましては、民間タンク短期借り上げという形でもって実施することといたしているわけでございます。  このタンク借り上げと申しましても、私ども国家備蓄は基本的には、恒久施設を建設をいたしましてそこにおさめるということが最終的な姿でございますけれども恒久施設の建設が鋭意準備中でございますけれども、オイルイン、油を入れるベースで考えますと五十八年度以降ということになる、そういうことがございまして、それまでのつなぎの措置としてタンク借り上げをするということを考えているわけでございます。  それで、沖繩石油基地に関連をいたしますと、三菱石油、丸善石油、この石油基地に関連をした会社でございますが、その両社の方から、沖繩石油基地の一部のタンクにつきまして借り上げに応じたい、こういうことで入札に応じられたわけでございまして、応じられたタンクにつきまして適格性等を検討いたしました結果、問題がないということで、その一部のタンク借り上げることとした次第でございます。恐らくそこの新聞記事はそれに関連したものと考えております。
  31. 玉城栄一

    玉城委員 石油備蓄の重大性についてはよくわかるわけです。特に最近中東情勢を見ますときに、国の安全保障という立場から、国家備蓄も適正な場所にきちっと備蓄しなくちゃならぬということは重々わかるわけです。  私申し上げているのは、それを沖繩の場合、民間備蓄でCTSがつくられまして、さらにそこに国家備蓄を持ってくるということですね。いまは一時的に借り上げて入れるんだということですけれども、そういう一地域にどんどん置きやすいところに置いといていいという問題ではないと思うのです。非常に大事であるだけにですね。それを、できるからといってさあと国家備蓄もおっかぶせてそこにやるんだということになりますと、これは国の安全保障という立場から考えて非常に問題があるわけですね。ですから、そういう点をはっきりしないと、民間備蓄はさして、そして国家備蓄もさして、そして国の安全保障だなんて、こんなことを言っていたらとんでもない。ですから、どういうことでこういうことをやっているんですかということ、量、いつまで、それを簡単におっしゃっていただきたいと思います。
  32. 市川南

    市川説明員 ただいま御指摘の点でございますが、今回両社から借り上げ、積むことを決めましたのは、約四十万キロリットルでございまして、短期借り上げということで、とりあえず一年間の契約となっております。
  33. 玉城栄一

    玉城委員 一年後は。
  34. 市川南

    市川説明員 一年後については全く約束はございません。
  35. 玉城栄一

    玉城委員 いつまでやるんですか。
  36. 市川南

    市川説明員 私どもといたしましては、来年度に入りますと民間で全国的にタンクが新たに建設が完了する部分がございますので、それが整った状態でさらに考えたいと思っておりますが、あくまでも民間の企業において貸していただけるという、応札と申しますか、お申し込みがあったときにお借りをするということになると思います。
  37. 玉城栄一

    玉城委員 何かちょっと心配になってきましたね。タンクがあいているから、そこを貸してくれるからそこで国の備蓄をやるんだ、一年ぐらい借りましょう、次は過ぎたらまたでき上がるんだ、そういう感じでやられたら、何か頼りがない。ましてや、いまの沖繩のCTS基地のあるところは非常に反対も強いわけですね、いろいろな環境汚染がひどいわけです。そういうこと等もあって、きちっとその辺の説明をされないままに、置けるときに置いておくという状態でありたら困ると思うのですね。時間がございませんので、その点を強く要望しておきます。  最後にちょっと厚生省の方に、せっかくいらっしゃっておりますので一点だけ……。  この間厚生省の方が発表されました医師・歯科医師・薬剤師調査、その調査のところで、沖繩がやっと戦後初めてお医者さんの数が最下位を脱した——脱したと言っても、一番悪いのは埼玉県ということで、その次ということを意味しているわけですが、埼玉と沖繩の場合は事情が違うわけですね。離島ばかり抱えているところと陸続きというところは事情が違うわけですね。そういう意味で、厚生省が四十五年に発表された、六十年までに人口十万人に対して百五十人の医師を確保するという目標からしても、いま発表された沖繩の医師の数八十二・六人というのは非常に少ないわけですね。適正数を一体どのように見ていらっしゃるのか、その点をお伺いします。
  38. 吉田勇

    ○吉田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、確かに沖繩県の人口十万対の医師の数は八十二・六人でございまして、全国平均が百三十三・六人でございますので、低いということは否定できないと思います。  ただ、沖繩県における医師の適正数をどのようにするかというのは、各地域によりましていろいろ医療圏の問題とかその土地の事情とか、それから医師の地域偏在という問題もあって、算定することはなかなかむずかしいと思います。しかしながら、沖繩において適正な医療が確保されるということは非常に重要だと考えておりまして、私どもも、財政的な裏づけ等の問題もございますけれども沖繩県の意向も勘案しながら、僻地医療等の充実を通じて、それが確保されるようにというふうに努力してまいりたいと思っております。
  39. 玉城栄一

    玉城委員 時間が参りましたので、また次の機会に譲りたいと思います。
  40. 小沢貞孝

    小沢委員長 次に、瀬長亀次郎君。
  41. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は水源涵養保安林の指定の問題について質問いたします。  いま沖繩の水事情の問題については、中山長官鈴木総理と一緒に行かれておわかりだと思いますけれども、県企業局の資料によりますと、七月十五日からきょうまで実に百二十六日間断水状態が続いておる。これはもちろん隔日時間制限も含めてでありますが、復帰時点の四十七年からきょうまで実に七百七十六日間の断水の状態であり、これを平均しますと四・五日に一回断水状態が続けられておるということになっております。まさに水攻めみたいな方向ですが、この問題について一番解決しなければならないのは北部訓練場における涵養保安林の指定、この問題であります。  これはもちろん施設、区域内でありますが、ことしの四月九日、衆議院内閣委員会で私が質問したことに対して伊藤防衛施設部長は、五・一五メモによって、日本国内法で指定するのであればアメリカはこれを遵守するということをはっきり言っております。したがって、安保条約あるいは地位協定問題と関連して考える場合でも問題はない。問題は、政府のそれに対する積極的な取り組み姿勢の問題でありますが、この点について農水省の林野庁はどう考えておるか、まずお尋ねいたします。
  42. 小沢普照

    小沢説明員 お答え申し上げます。  沖繩県民の方々にとりまして水の問題が大変重要な問題であり、また、この北部訓練場内の森林が水源涵養上非常に重要であるということは、林野庁といたしましても十分に認識しておるわけでございます。したがいまして、当該森林の取り扱いができるだけ適切に行われますように、私ども関係の省庁にお願いをいたしているところでございます。
  43. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 はっきり申し上げまして、この保安林の指定をやるつもりであるのかどうか、一言御答弁願いたいと思います。
  44. 小沢普照

    小沢説明員 お答えいたします。  保安林の問題につきましては、関係省庁に関連する事項がいろいろございますので、私どもといたしましては、関係省庁にいろいろ御相談申し上げ、また研究もしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  45. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は、いま申し上げました内閣委員会で質問したときに、時の伊東外務大臣もはっきり水問題は非常に重要である。そして「水源林の問題は、農林省はいまここに出ておりませんが、瀬長さんからこういう質問があったということを農林省の方へすぐ伝えます。」ということも言っております。  中山長官に、これは要請なんですが、こういったものの主管省は農林省でありますが、外務、防衛と関連がありますので、ひとつ長官の音頭取りで関係省庁が集まって調整ができるように、いわゆる水資源の問題を解決する調整委員会みたいなものをつくって早急に実現できるように努力してもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
  46. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 御指摘の件につきましては、沖繩開発庁といたしましても水資源確保の観点から、いずれにいたしましても当該森林の管理が適切に行われますよう、常に関係省庁に連絡をしているところでございますので、再度関係省庁に連絡をいたしまして適切に対処したい、かように考えております。
  47. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は、内閣委員会でも証言があったように、これは別に提供された施設、区域だからどうかなというふうなことではないのです。アメリカは五・一五メモで国内法は遵守するということになっているので問題ないということをはっきり証言している。ですから、ひとつ長官の御意見もお聞きしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  48. 中山太郎

    中山国務大臣 沖繩県民にとって水の安定供給ということはきわめて重大なことでございます。私も就任以来、この水の問題というものについては重大な関心を持っておりますが、今後とも引き続き関係各省庁と十分連絡をとって、県民が安定した水の供給が受けられるように努力をしてまいりたい、このように考えております。
  49. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、沖繩振興開発特別措置法の問題で、これは延長することについて長官もそういうお腹だと思いますが、問題は中身ですね。現在のいわゆる高率補助の問題につきましては、本会議関係委員会で、五十七年度予算審議の過程で慎重に検討して結論を出したいというわけでありますが、お聞きしたいのは、延長した場合に現在よりも悪くならないように努力するということだけは言えるのじゃないですか、どうでしょう。
  50. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えをいたします。  沖繩に係る補助率等の特例につきましては、先生御案内のとおり、本土復帰後まだ九年しか経過しておらず、沖繩経済、社会は依然として厳しい状況にありまして、社会資本の整備のおくれ、あるいはまた市町村の脆弱な財政などの事情を考慮いたしますと、沖繩開発庁としては現行補助率を継続すべきものと考えておりまして、そういうことから今後とも関係省庁の理解を得てまいりたい、かように考えておる次第でございます。  ただ、御案内のとおり本件につきましては、臨時行政調査会の答申もございまして、環境はなかなか厳しいものがございます。しかし私どもといたしましては、いずれにせよ今後の予算編成の過程におきまして関係省庁と十分協議をいたしまして、適切に対処をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  51. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、ひとつ中身の問題について具体的に申し上げたいと思います。  ここに資料がありますが、たとえば沖繩県が五十六年度予算ベースで試算したところによりますと、国民健康保険の給付費の一部負担の問題、それから児童手当、児童扶養手当の一部負担の問題、これが県に負担されるとなると、合計いたしますと三十一億一千三百万円の負担になる。この問題はもちろん厚生省関係でありますが、閣議でやはりそういったことを決定されておるとすれば、閣僚の一人として長官の御意見も聞きたいと思いますが、これが実際そうなると三十億以上県に負担がかかるということになりますが、長官、いかがでしょうか。
  52. 中山太郎

    中山国務大臣 国保とか児童扶養手当等に関する県の負担増の問題を先生お尋ねでございます。この問題については、臨調答申の趣旨に沿いまして、本年末までに関係省庁間において検討することとされておりますが、沖繩開発庁といたしましては、沖繩県の財政事情が他県と比べて違うという点も十分強く主張してまいりたい、このように考えております。
  53. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩県の場合には、たとえそういったのが現に決められても、沖繩の現在の事情はこうだから、これを県の負担にしないように努力されたいと理解していいですね。  では次に、長官も言われたように一応予算の審議になる場合、いまのところ沖繩地域特例については今回の行革法案の対象から外されておる。ところで実際の予算審議の中で、いわゆる地域特例の補助率のかさ上げ額の六分の一カットということになった場合に、大蔵省あたりからこれはやはりそういうふうにしなくちゃいかぬということになりますと、これは幾らぐらいになるかということで、開発庁の調査によりますと、大体公共事業に全部で三百四十億円になるわけですから、そのうち六分の一カットになりますと六十億円そこからカットになってきて、やはり公共事業からカットされる、それで県の負担の方が大きくなるということになりますが、この場合大蔵省と折衝されて、沖繩には高率補助、十分の十ということになるとすればそれを厳守してもらって、沖繩県に負担がかからないようにするために努力してもらいたいと思いますが、その点いかがでしょう、これは実際問題になってきますから。
  54. 中山太郎

    中山国務大臣 いま先生から、沖繩の公共事業に対する補助率のカットについて、カットされないように努力をしてもらいたいという御要望でございますけれども、この件につきましては、本年のいわゆる八月の概算要求の時点におきまして、総理大臣に対しましても関係閣僚に対しましても、沖繩県のいわゆる産業、その中における第二次産業というものが建設業が主力を占めている、そういう中で一律カットということになれば、沖繩県の市町村における地元の負担能力本土と比べるとうんと低いという現状からも、この沖繩の補助率については他県と別に格段の配慮をいたしていただきたいということをすでに強く要望しております。  以上でございます。
  55. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩の方で一番に不安に思っている問題、そこにあるのですね。いままでの御発言で、総理にしても長官にしても、まだ具体的にそこまで踏み込んでいないわけなんです。いわゆる五十七年度予算の審議の過程でこれは結論を出したい、結論がどう出るのか非常に不安がっているわけなんです。したがって、いま私が申し上げましたそういった公共事業の問題で、延長をされる、そして十分の十なら十分の十の項目もありますが、これが守られたにしても、予算の編成の問題ですから、六十億もカットされるとなるとこれは大変な負担になるわけなんで、これが負担にならぬような折衝というのは相当粘り強くやらなくちゃいかぬと思いますが、その点再びお聞きしますが、見通しとしてどんなものですか。
  56. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 若干技術的な点もございますので、私から先にお答え申し上げますが、先生ただいま御指摘の点は、臨時行政調査会の答申によりますると、終期到来時の補助率の抜本的見直しという問題のほかに、財政再建期間中のかさ上げ率の引き下げという問題がございまして、その後者について言及していらっしゃるものと拝察いたしますが、この点につきましては、今国会に提案されております行革特例法案には、沖振法の期限が来年三月末に到来するということから、対象から外されておるわけでございます。  しかしながら、いま先生指摘のように、五十七年度予算の編成の過程においては、おっしゃいますように、今後の二次振計の期間中のそもそもの補助率のあり方と同時に、再建期間中の補助率をどうするかということが問題になる可能性はあるわけでございますが、私どもはこの後者の問題につきましても、先ほど御答弁申し上げました前者についての考え方と同様に対処をしてまいりたい、かように考えております。
  57. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの御答弁にあったように、不安材料がまだ残っているのですね、これからなんですから。問題は、そういったようなたとえば沖振計は延長される、補助率も大体十分の十以内なら以内と決まっても、問題は予算編成の中で六分の一カットというふうなことになりますと、これだけの負担が重なってくる。これについては、よほど長官の方で自信を持って説得してもらわないといかないのじゃないか、だからいま非常に不安を感じていますから。  これは中曽根長官沖繩に行かれて演説の中で、沖繩問題は、中曽根さんは担当長官なんだから別に心配はしないでもよろしいということを西銘知事にも伝えたといったようなことを言っておられますが、まあこのぐらいしかわからないのですよ。だから私がいま具体的に指摘したのは、そういったような不安があるので、長官としては、もう具体的になっておりますから、これが沖繩の負担にならぬように本当に力を尽くすということ一言でもひとつ言ってもらいたい。これをひとつ長官の方で話してください。
  58. 中山太郎

    中山国務大臣 御指摘のいま中曽根長官沖繩の西銘知事に言われたということは、私は大変意味のあることだろうと思います。私もすでに沖繩のこの期限の切れる後の問題についても、格段の配慮関係閣僚、特に総理にもお願いをしておりまして、その点は今後とも引き続き努力をしてまいる、こういうつもりでおります。
  59. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に、航空運賃値上げの問題についてお伺いします。  この前、運輸省の監理部長さんに会ったときにいろいろ日程についてもお聞きしました。たとえば十一月十一日に南西航空及び東亜国内航空社長から聴聞をした。それから、十一月十二日には日本航空、全日空の社長から聴聞する。来週学識経験者三人から参考意見を聴取するという日程まで聞いたわけでありますが、私が申し上げたいのは、そのほかに、これは運輸省設置法十六条にもちやんと書かれている公聴会の問題。まだ時間がありますから、県及び県議会でも全会一致で航空運賃値上げに反対する陳情をやっているわけであります。関係団体もほとんど、そういう航空運賃値上げをされると沖繩県経済が大変なことになる。  そこで問題提起したいのは、いま申し上げました設置法にも書かれているように、沖繩県関係団体をぜひ呼んでこの際公聴会を開いてもらって、慎重に審議できるようにしてほしいと思いますが、運輸省いかがでしょうか。
  60. 馬場一精

    ○馬場説明員 お答え申し上げます。  運輸審議会では先生指摘のように、職権に基づく公聴会という制度がございまして、運輸審議会が必要があると判断したときには開くことができることになっております。しかし運賃問題につきましては、いままでに公聴会が開催された前例を見てみますと、利用者の数が非常に多い、また国民の日常生活に与える直接的影響がきわめて大きいという場合に限って開かれております。今回の国内航空運賃改定事案につきましても、国内航空が国民の足として育ってきている現状というもの、あるいは、先回の運賃改定の際の経緯等も踏まえまして、職権公聴会の開催の要否を審議いたしましたけれども、今回は開催しないということで決定いたしております。  なお、これは全国的なレベルで見た場合にそういうことでございますけれども離島における航空の果たしている役割りというものにつきましては、運輸審議会の委員の方々も十分認識しておりまして、すでに沖繩関係者からの陳情等も運輸審議会に寄せられておりますけれども、その際には会長を初め委員みずからお会いして意見を聴取しておるというようなことをやらさせていただいております。
  61. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 公聴会を開かないという決定をした理由、これはいままで公聴会が開かれたことはないかもしれませんが、その理由は一体どこにあるかという問題。公聴会の問題は、いま申し上げました運輸省設置法の十六条にはっきり書かれているのですね。ですから書かれておるとすれば、この問題はきのうからきょうにかけて各委員からも、いまの航空運賃の問題は沖繩経済発展の関係からいっても実に大変な問題になっている。これは旅客だけではなしにいろいろ花卉園芸、そういったような野菜類まで飛行機を使っておるということになりますと、今度の場合にぜひ公聴会を開いて——これには「運輸審議会は、第六条第一項の規定により附議された事項については、必要があると認めるときは、公聴会を開く」。さらに運輸大臣の指示でも公聴会を開かなければならない。それから利害関係者の問題もありますが、利害関係者というものは、聞きましたら船会社とからしいのですが、これとは別にして、「必要があると認めるときは、」ということになっておりますが、開かないことを決定したということなんだな。必要でないということをどうして判断したのか、そこら辺をはっきりさせてほしい。公聴会はもちろん初めてであるでしょうが、初めてであるだけに、この航空運賃の問題は実に各般にわたって大きい影響を及ぼしているというので、特に私はこの点を主張するのです。もう一遍、なぜ開かないことを決定したか、この理由を特に沖繩県民が納得いくように説明をしてほしい、こう思いますが、いかがですか。
  62. 馬場一精

    ○馬場説明員 今回、職権公聴会を開催するか否かの審議をいたしました過程におきまして、結論的には開催しないということにしたわけでございますけれども、その理由として挙げられましたのは、いままで航空運賃改定につきまして公聴会を開催した前例はないということでございます。それから旅客数で見てみました場合に、五十五年度の利用旅客数は四千万人で、これは国内輸送総量の〇・一%にすぎないということでウエートが低い。前回、五十五年三月の状態ともそう変わっていない〇・一%程度であるということで、前回開かなかった時点とそう事情の変更もないということ。それから、この航空の利用目的といいますか、そういうものを見た場合に、いまだ国民生活に密着したものということを言える状態には、全国的に見た場合にはないんじゃないかということから、開催はしないことに決定いたしました。
  63. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま開催しない理由を二つ述べております。これまで公聴会を開いたことがないという問題と、国民生活と密着しているかどうかという問題。  第一の開いたことがないということになりますと、これは問題にならないのです。では、最初に開いたらどうなんだ。沖繩県民が県を挙げてこの問題に取り組み、反対の県民大会までやっているわけです。だから、開いてなければ今度から開いてやろうというようなことになると思うのです。  国民生活に密着の問題ですが、これは密着していないどころの騒ぎじゃないのです。沖繩国鉄のない唯一の県なんです。さらに離島県であるということからいっても、航空機の利用というものはほとんどの足になっている。したがって国民生活、県民生活との密着度というのはほかの県とは比較にならない密度である。したがって、いま決定したからやらないというのではなくて、会長さんもおられると思いますが、運輸審議会に伝えて、ぜひ開けるように努力してもらいたいと思うのですが、いかがですか。あなたの一存で開かぬことに決定したなどということではなくて、いかがですか。
  64. 馬場一精

    ○馬場説明員 運輸審議会は委員の合議制の機関でございますので、こういう席上で先生のそういう御発言があったということは非常に貴重な判断材料になると思います。先生の御発言の趣旨を十分委員に伝えたい、かように考えております。
  65. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたのでやめますが、最後に長官にいまの水資源の問題、これはぜひ長官がイニシアチブを発揮してもらって、水資源の開発に関する各省庁がもちろんあります、外務省もあるし、防衛施設庁もありますから、ぜひ、長官の方で努力されて、その調整委員会みたいなものを設置してもらいたいということを改めて要望いたしまして、私の質問を終わります。
  66. 小沢貞孝

    小沢委員長 次に、部谷孝之君。
  67. 部谷孝之

    部谷委員 今回の一般質問、きのう、きょうにわたって沖繩関係だけについての御質問が続いてまいりまして、長官も少しおさみしいと思いますので、最初北方の方に少し触れてみたいと思います。  ことしの北方領土の日におきまする行事は、北方領土の日設定の閣議決定から二月七日まできわめて短時日であった、そういうことで、準備が不十分であったと思います。また一年めぐり来ったわけでありますけれども、来年の北方領土の日までもうあと三カ月、そういう状態になっておりますが、来年の北方領土の日の行事につきましては具体的に固まっておるのかどうか、御方針を伺いたいと思います。
  68. 中山太郎

    中山国務大臣 本年の二月七日の北方領土の日につきましては、各党、各会派の皆様方の御協力を得、また地方公共団体の御参加、民間各種団体の参加も得て、短時日ではございましたが、戦後初めて領土返還に対する国論が一つの点に集約されたことは、各会派の御協力のたまものであると深い感謝の意をささげる次第でございます。  短時日でございましたので完全な姿ではございませんでしたけれども、一応大きな成果を上げ得た、海外における反響もきわめて大きかったということも、政府としては大変感謝をいたしておる次第でございますが、来年の二月七日の日の行事につきましては、すでに準備作業を命じておりまして、各県における組織、また地方六団体に対しても連絡を強めておりますけれども、すでに場所等の予約も進めておるということをこの機会に申し上げておきたいと思います。
  69. 部谷孝之

    部谷委員 こうした北方領土の日を中心としていわゆる世論を喚起するためのきわめて重要な日であるわけでありますが、このことは当然、また国際的な世論喚起にもつながらなければならない、あるいは国民の広範な世論喚起につながらなければならない、こういうふうに思うわけであります。ことしのそうした催しは、東京、下田、札幌、その三カ所で行われ、いま大臣指摘のような効果が上がったと思うのですが、さらに国際的な世論喚起をするために、たとえばサンフランシスコ条約に署名をいたしました国々の在日公館、そういうところにも呼びかけてこれを招致する、そうしたことも、これからの国際的な運動をさらに推し進めていかなければならないそういう段階ではきわめて大事な問題だ、こういうふうに私は思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  70. 中山太郎

    中山国務大臣 国際社会における北方領土問題の意識の高揚ということに関しましては、当委員会の小沢委員長の格段の御努力もございまして、世界の地図のメーカーに対してもいろいろと外務省としては、この問題について強く日本政府の意思を申し伝えております。  また、この記念すべき日に外国の公館のうちでサンフランシスコ条約を締結した国の大使を呼べというようなお話であろうと思いますけれども、この問題もきわめて意義の深いことでございますので、政府としては十分な検討課題として考えてまいりたい、このように考えております。
  71. 部谷孝之

    部谷委員 総理府の設置法には、その第十六条の二の第二項に北方対策本部の行う事務を記載してございます。その第五号に「北方地域に関する事務に関し、関係行政機関の事務の総合調整及び推進を図ること。」こういうふうに書いてあります。これを平たく申しますならば、北方対策本部長である総務長官は、北方地域、つまり四島に関する事務については各省庁に対してリーダーシップをとって、そしてその事務を推進するようにハッパをかける権限、こういうものを持っておる、こういうふうなことだと思うわけであります。  ところでこの権限は十分に発揮されてこなかったのではないか、そういうふうに私は思うのであります。なぜこのようなことを私が申すかといいますと、北方領土問題が未解決のためにいろいろな問題が起こっておるわけであります。これらの問題に対しまして各省庁がばらばらで、しかも自分のところの所管範囲の狭い視野、観点、そういうもので物を考える、そういう傾向が今日までなかったとは言えないと思うのであります。北方領土がわが国の固有の領土であってその返還を要求しております以上は、領土権の主張は内政上の問題においても明確にこれがされなければならないと思います。  たとえば自治省が発行いたしております全国市町村要覧等には、昨年度版まで六カ村の村名すら記載されておりませんでした。小沢委員長の強い指摘と強い働きかけによりまして、本年度にはこれが凡例のところへ、しかし申しわけ程度に載せられまして、名称と面積が記載されるようになりましたけれども、まだしかし本欄には記載されておりません。つまり北海道の市町村の数は、六村を入れて二百十八であるにもかかわらず、いまだにその数字が二百十二ということで掲載をされておるわけであります。  また先般、貝殻島のコンブ漁が再開されましたけれども、このコンブ漁の水揚げの際に外国貨物の取り扱いを受けて、関税法上の手続が必要であるということで、現地では強い不満があったことも御承知のとおりでございます。ソ連が実効支配しております四島を関税法の適用から除外するということはいろいろ問題がある、政府からいろいろな御答弁の中でそうしたことも言われ、理解できないわけではないのでありますけれども、しかし何か領土権を主張するにふさわしいうまい方法が考えられないものかどうか、そういうことも素朴な気持ちとして起こってくるわけであります。  次に、三島六カ村には役場がありません。したがって、戸籍の転籍を希望してもこれを受け入れる方法がないわけであります。先般政府に対して出された小沢委員長の質問主意書に対する政府の答弁でも、「現実に行政権を行使し得ない状態にあり、村長も置かれていないので、六村への転籍の届出を受理することはできない」、こういうふうに答えておるわけであります。つまり村長がいなくて事務ができないというのであれば、何か方策を講ずることによってその事務が行えるようにすればよろしいわけでありますけれども、そうした発想が出てこないところにわれわれは非常に不満を感ずるわけであります。  三島の六カ村を周辺の北海道の市町村に編入すれば、編入先の市町村で、いま申しました戸籍事務だとか、元居住者に対する調査、援護措置、現存しております六カ村の書類の保全等の事務を行うことができるのでありますし、また、それに伴って交付されるでありましょう交付税によりまして、振興対策を行うことができるという大きなメリットも出てくるわけでありますけれども、自治省はこれまたきわめて消極的で、領土返還、隣接地域の振興という国家的な事業に要する経費を自治省におっかぶされたのではかなわない、こういうふうな態度で終始いたしておるわけであります。  要するに、北方領土問題に取り組む政府の姿勢に私は問題があると思うわけでございまして、各省庁ばらばらにやっておりますそうした行政を総合的に調整して、そしてこれらにハッパをかける役目をされるのが総務長官のお仕事であると思います。今後総理府がリーダーシップをとって積極的にこうした万般の問題に取り組んでもらいたいと思うわけでありますが、長官の御見解を伺いたいと思います。
  72. 中山太郎

    中山国務大臣 北方領土に対する政府関係各省庁の動きがなまぬるい、総理府がしっかりハッパをかけろという御指摘でございます。まことにありがたい御指摘でございますが、小沢委員長初め各会派の先生方の御熱意で当委員会で決議がされまして以来、昨年の暮れであったと思いますが、衆議院の本会議、参議院の沖繩北方の委員会、本会議と全会派一致で御決議をいただき、その後、一月六日の初閣議で北方領土の日を制定することに決定いたしまして、二月七日に先ほどお話し申し上げたような全会派御参加の意義のある領土の日の第一回が短時日の間にでき上がったわけであります。  その際にも、引き続き総理の現地視察ということもございまして、総理府といたしましては、所管省として各省庁と連絡の上、これの一日も早い実現方というものに全力を挙げて、九月十日にこれが実施されたわけであります。また、北方地域の隣接地帯に対する経済援助、この問題につきましても、北海道開発庁を中心に関係省庁の連絡会議が設置されました。  短い時間の中では総務長官は、ハッパをかけ過ぎたのではないかというくらい実はハッパをかけてまいったわけでございますが、ただいまの御指摘によりまして、さらに政府は民族固有の領土の返還のために一層各省庁の連絡を強化してまいりたい、このような決意でございます。
  73. 藤江弘一

    ○藤江政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、質問主意書が委員長から出されておりまして、それにつきましては御答弁は差し上げているところでございます。
  74. 部谷孝之

    部谷委員 いまの問題は実は、地方行政委員会で一時間以上やっておりますので、例示としていま示したわけでありますから、特段の御答弁はきょうは求めますまい。  そこで、北海道開発庁にお尋ねをしたいんですが、北方領土隣接地域振興対策につきまして、これも五十五年末に閣議における総理の発言に基づいて十一省庁連絡会議が設置されまして、それに基づいて五十六年度はとりあえず、各省における予算配分によってこれを実施するということで実施されたわけでありますが、地域振興の中長期計画については五十七年以降検討する、こういうふうになっておるのでありますが、現在どのようになっておるのでありましょうか。
  75. 大江郁夫

    ○大江説明員 お答えいたします。  お尋ねの北方領土隣接地域に対する中長期の振興対策につきましては、ことしの八月に関係省庁の連絡会議の場におきまして、地元北海道から中長期的な観点に立ちました安定振興対策の基本的な考え方を聞きまして、この会議検討いたしまして、当面その基本的考え方を踏まえまして所要の諸事業について必要な配慮を行っていく、こういうことを決めた次第でございます。  なお、安定振興対策の基本的考え方に記載の諸事業を申し上げますと、漁業を中心といたします基幹産業の振興、それから第二に、交通施設等の開発基盤及び生活環境施設の整備、それから第三点としまして、北方領土復帰啓発機関施設の整備、こういうものを柱にしているものでございます。  以上、お答えいたします。
  76. 部谷孝之

    部谷委員 柱の立て方は結構だと思うのですけれども、この前、五十六年度も道から出されてきた要望書を大体一〇〇%つけたということは、そういう財政がきわめて厳しい折から、これが何%アップでしたかいま数字を覚えておりませんけれども、きわめて強い姿勢を示したものだというふうな御答弁が前回あったと思うのですけれども、私は中長期計画にいたしましても、もちろん地元の意向というものが十分必要であることはわかりますけれども、さっきからるる申し上げておるように、一つの国家的事業である、国家的な一つの要請である、そういうところから、政府の指導性がもっと発揮されるような形で推進されることが必要ではないか、こういうように思います。  次に、御承知のように当委員会は、先般北海道に委員派遣で現地を訪問いたしまして、現地でいろいろな要望をいただいたわけでありますが、時間の関係で、そのうち若干の事項をひとつお尋ねしてみたいと思います。  北方領土問題に関する教育の問題でありますが、これらについてもっと深く取り上げてほしいという要望が現地でもなされました。私も小中学校、高校の教科書の所要のところをめくってみたのですが、少ないところで二、三行、せいぜい百字程度、多いところでも三百字程度というふうに、その程度の関心しか示されないような、そんな形で教科書に載せられております。  特に私は、名前を挙げて悪いかもしれませんけれども、清水書院という本屋さんが発行しました中学校の「日本の領域の変化」という項目の中に、「一八五八年(安政五年)に日露通商条約によって択捉島以南を日本領としてからである。」云々、こういうふうに記載してあるのですね。これは明らかに安政元年でありますから一八五五年であり、括弧のところは安政元年でなければならないわけでありますけれども、このような間違いが堂々とまかり通っておるわけでありますが、そうした内容充実あるいはもっと積極的な記載、そういうものが必要だと思うわけでありますが、文部大臣の方にもひとつそのような申し入れをする必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  77. 中山太郎

    中山国務大臣 御指摘の点は総務長官としても重大な関心を持っておりまして、昨年の十二月に私が文部省に参りまして、文部大臣と直接お話しを申し上げて、学校の教科書等においても、またいろいろな社会教育の資料等においても、北方領土問題の正誤、確認と、資料をさらに充実するように要望をすでに行っております。
  78. 部谷孝之

    部谷委員 さらに全国民的な啓発運動の展開、そういうことについても現地で強い要請、要望をいただいたわけであります。北方領土の日の設定や各種の返還運動についての国民運動の盛り上がり、そういうものによって国民の北方領土への関心がますます高まってきておるわけでありますが、しかし、北海道では知事が先頭に立って、そして道費をつぎ込んで運動を展開いたしておりますが、どうも他県では各県ごとに見ますと、そうした総合的な高まりが見られる中でも、しかしその関心の高まりが出てきておらないというふうな感じをするわけでありますし、そのような要望がされたわけであります。  北方領土返還要求大会を初めとする行事を開きたいというふうに申し出をしておる県は皆無だというふうに聞いておるわけであります。私は当初、そうした返還運動は国際的な世論喚起と同時に国内に向けての世論喚起にあるということを申し上げたわけでありますが、そうした各県に対して総務長官と北対協、そういうものの連名で、各県ごとの大会を開いてもらうように各都府県に通達を出してほしいというふうな要望が現地でされたわけですが、長官の御見解をいただきたいと思います。
  79. 中山太郎

    中山国務大臣 各府県で北方領土返還の県民大会をやってもらいたいということに関しましては、すでに一月に総務長官名で各府県に連絡をいたしております。ただ、当委員会で領土問題が御決議いただくという以前の段階で、昨年の当初まではいわゆる全国的な領土返還の県民の運動というものは私は顕著でなかったことは率直に認めなければならない。昨年の当委員会の御決議、当院の御決議以降、非常に急速な高まりを見せまして、各県でも二月には、大規模ではございませんでしたが、できる限りのいわゆるそういう会議が開催をされておりますし、また、県民会議を設置するように特に総理府でも北方対策本部を中心に指導いたしまして、ただいまのところ五十七年度、明年度には全国各府県に県民会議が設置されるという見通しを持って、また予算もそのような概算要求をすでに終わっております。
  80. 小沢貞孝

    小沢委員長 清水書院の教科書は明らかに違っておるが、それを具体的に直させる、ちょっとこの答弁を……。
  81. 藤江弘一

    ○藤江政府委員 清水書院のただいまの御指摘の点につきましては、大変に遺憾なことでございますので、早速すでに文部省に連絡いたしておるところでございます。     〔委員長退席、上草委員長代理着席〕
  82. 部谷孝之

    部谷委員 それでは、沖繩の問題に入る時間がなくなってしまったのですが、時間もありませんので、二次振計をお尋ねしようと思ったのですが、時間をとり過ぎますので、せっかく資源エネルギー庁からお越しをいただいておりますので、沖繩電力の問題だけ時間の許す限り質問してみたいと思います。  沖繩電力の民間移行の問題につきましては、さきに八月二十五日、沖繩電気事業協議会が「沖繩電力(株)の民営移行に係る中間報告の見直しについて」の報告をいたしております。その中には、このように言っております。  まず、政府としては、今後とも沖繩電力の経営基盤確立のための努力を続けていくべきであるが、いずれにしても十分な措置を講じないまま民営移行だけを急ぐことは適切でない。二番目に、産業振興及び県民生活の安定のためには、本土並み電気料金水準の確保が基本的な条件であるという認識に立って、電力供給体制のあり方について抜本的な検討の必要がある。さらに三番目に、累積赤字を抱えた事態認識して、組織機構、人員配置、諸経費の節減など業務執行体制の一層の合理化の努力、安定的経営の維持に努めるべきである、このように答申しておるわけでありますが、政府としてはこの答申をどのように受け取っておるのか、また、民営移行の具体的な方法についてどのような取り組みをしておるのか、お答えを願いたいと思います。
  83. 植松敏

    ○植松説明員 いま御指摘沖繩電気事業協議会の中間報告でございますが、これは資源エネルギー長官の諮問機関ということで、地元の学識経験者、関係者にお集まりいただきまして、沖繩電力問題についていろいろ御審議いただいて、いまおっしゃられたような点の中間報告を出されておるわけでございます。  これの経緯から申しますと、財政事情が非常に厳しくなってきておるという中で、一方で沖繩の電気事業の供給というのは非常に構造的な不利性を抱えております。その点から、民生の安定あるいは産業の振興のために電気の適正な料金での供給が必要にもかかわらず、なかなか十分な措置が講じられないのじゃないかという点の懸念から、そういった報告、答申をいただいておるわけでございます。  私どもといたしましては、沖繩の電力、電気の供給のあり方につきましては、一つは、現在累積赤字を抱えておるということにつきまして、その累積赤字の解消を図ることはもちろんでございますが、それとあわせまして当面、いろいろな形で電力供給コストを下げていくということをいろいろな側面から政府も支援していかなくてはいけない。それからさらに長期的には、沖繩電力が一〇〇%石油に依存しておるという点から、オイルショック影響をもろに受けるというようなこともございます。電源の多様化も中長期的には図っていかなければならない。こういったいろいろな解決策を総合的に講じていかなければいけない。その面から現在、税制面、金融、財政投融資面あるいは予算面、いろいろな面から関係省庁にも要請をいたしておりまして、これから予算編成が本格化いたしますが、これらの問題の解決のために必要な措置の実現を図ってまいりたいと考えております。
  84. 部谷孝之

    部谷委員 この報告は、つまり、沖電の基盤整備などを条件にして閣議決定どおり五十六年度末に民営移行すべきだという報告書を従来出してきたけれども、その間十分な措置がされていない現状では民間移行は適切でない、そういう指摘をしてきておるわけでありまして、そうした電力の安定的な供給のために抜本的な検討をすることが必要だ、こういうふうに述べておるのですが、政府はいかがですか、民間移行をあきらめるのでしょうか、どうですか。
  85. 植松敏

    ○植松説明員 私どもといたしましては、閣議決定がもうすでになされておりまして、五十六年度末を目途に民営移行するということになっておりますし、また基本的には、効率的かつ弾力的な電力企業の運営といいますか、そういう点から申しますと、やはり民間の活力を活用していくということで、民営移行を図っていくということが望ましいと考えております。  ただ、いま御指摘の協議会の答申あるいは地元からの要請、つまり、適正な料金水準が将来とも確保されるような基盤整備なしに民営移行を急ぐのは好ましくないという答申あるいは地元からの要請というのも十分承知いたしておりまして、その辺の問題を解決を図りながら、円滑な形で民営移行を図ってまいりたいというふうに考えております。
  86. 部谷孝之

    部谷委員 五十五年度の中間報告以来、石油の高騰それからその他いろいろな条件の中で赤字がふえてきた、二度にわたって電気料金の値上げをやった。そういうふうな中で、むしろ県民の中からも、このまま民間移行したのでは県民に対する大きな負担になるのではないか、そういう空気が非常に強く出てきた。そういう中で、いやそうじゃないんだ、民間移行を五十六年度までにやるんだという閣議決定に基づいて今日までこられたわけですが、五十六年度のこれらにかかわる予算要求は大幅に削られたわけで、そういう中では、予算措置から考えてもこれは五十六年度末の移行は無理ではないかというふうな率直な感じがするわけですね。その問題にはどう対処されるのか。  もう時間がありませんので、もう一つは、九月三十日の朝日新聞では、政府筋が九月二十九日明らかにしたところによると、沖電の民間移行は、民営化に伴う引受会社の決定、累積赤字の解消策が大幅におくれておることから、一年延ばす方針を固めた、こういう報道があるのですが、この点とあわせてひとつ御答弁願います。
  87. 植松敏

    ○植松説明員 第一点の予算が大幅に削られたというお話でございますが、予算編成作業は御案内のとおり、これから本格化するという段階でございまして、確かに要求……(部谷委員「五十六年度」と呼ぶ)五十六年度予算要求につきましては、民営移行のための準備段階ということで、いろいろその段階から要求をしたわけでございますが、まだ五十六年度末までには時間的な余裕があるということ、それから、五十六年度予算編成に当たりまして全体としての財政事情等々の事情もございまして、確かに見送られたという経緯がございます。  ただ、五十七年度予算、それから五十六年度につきましてもこれからまだ期間がございますので、その間に来年度を含めまして、先ほど申しましたような中長期の構造対策、あるいはいずれにいたしましても当面の問題というよりも今後の電気料金の安定と申しますか、適正料金を確保するためのコスト引き下げ対策が十分なされるということが重要でございますので、そういう意味では、五十七年度以降につきましても十分な対策ができないかということで、所要の財政投融資あるいは予算面での要求をいたしておりますし、また、限られた期間に累積赤字の解消等についても具体的な対策検討してまいりたいというふうに考えております。  それから御指摘の第二点、新聞報道の一部に、一年延期というような報道があったということでございますが、この点は私どもとしては全く承知をいたしておりません。私どもとしましては、閣議決定の線に沿いましてできるだけ、先ほど申し上げましたような諸措置を講じながら、円滑な民営移行の実現に努めてまいりたいというふうに考えております。
  88. 部谷孝之

    部谷委員 終わります。
  89. 上草義輝

    上草委員長代理 菅直人君。
  90. 菅直人

    ○菅委員 この沖繩及び北方領土に関する委員会で私は初めて質問をさしていただきます。社会民主連合と新自由クラブが会派を一つにしまして、これまで委員であった柿澤さんがやめられましたので、私がかわりに出てまいりました。  時間も短いので、きょうは北方領土についての基本的な長官なりまた外務省の態度等についてお伺いをしたいと思います。  一つは、第二次大戦の中で日本とソ連との間で北方領土の領有をめぐって問題が起きているわけですけれども、同じような問題がソ連と他の国との間、たとえばヨーロッパの国々とか、場合によっては中国等の間でいろいろ領土問題を抱えている事例も多いのではないかと思うわけですけれども、そういったいわゆる第二次大戦を境にしてソ連と新たに領土問題を生じた事例がどういうところがあるのか、どういう事例があるのかということをまずお伺いしたいと思います。
  91. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 現在、ソ連との間に領土問題が表立った懸案となっておりますのは中国でございまして、中ソ国境紛争については御承知のとおりでございますが、状況を簡単に申し上げますと、中ソ間の国境は、たとえば一八五八年の愛琿条約、天津条約あるいは一八六〇年の北京条約等で一応定められているわけでございます。それで、この条約性格につきまして中国側からいたしますと、これらは帝政ロシアの帝国主義的な侵略の結果結ばざるを得なかった不平等条約であるというような考え方があるようでございますが、それは別といたしましても、この条約そのものの規定が必ずしも国境を明確に定めていないという問題があるわけでございまして、中ソ間は大変長い国境線を持っているわけでございますし、特に黒竜江、ソ連側ではアムール川でございますが、あとウスリー江の川の中にございます中州、これがどちらに所属するかという点で紛争があるわけでございます。  そこで、中ソ間の領土交渉、国境交渉でございますが、これは一九六四年に北京で行われたのを皮切りにいたしまして、その後断続的に開かれておりましたけれども、一九七八年北京で行われましたのを最後に中断されているというのが現状でございます。最近に至りまして、本件交渉が再開されるという情報も一部にあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、この中ソ間の国境問題につきましては両国の主張に大きな隔たりがあるわけでございますので、何らかの成果を上げるにはかなりの長期間が要ると思われているわけでございますし、中国側といたしましても、そのようなことは十分承知の上で、この問題は気を長くして解決するのだ、解決するまでは何万年かかっても待つのだという姿勢で臨んでいると承知いたしております。  それから、そのほかでございますけれども、第二次大戦から第二次大戦の直後にかけまして、御承知のとおりソ連は欧州正面におきましてかなりの領土を獲得したわけでございまして、いわゆるバルト三国、ラトビア、エストニア、リトアニアでございますが、そのバルト三国を併合したのを初めといたしまして、北の方から申しますと、フィンランド、東プロシャ、ポーランド、チェコ、ルーマニア等からかなりの領土を獲得している、それから外蒙からも領土を獲得しているというようなことがあるわけでございますけれども、これらの領土につきましては、現在領土問題として顕在化いたしてはおらないわけでございます。  これは一つには、これらの諸国の多くがいわゆる社会主義諸国と申しますか、ソ連と親しい関係であるということもございましょうし、特に欧州につきましては、例のヘルシンキ宣言と俗に言われておりますが、欧州安全保障協力会議最終文書というのが正確な名称でございますけれども、この宣言の中で、国境の不可侵、国家の領土保全ということをうたっておりまして、もちろん国際法に従って平和的手段と合意によって国境が変更され得るという規定はあるわけでございますが、ともかく第二次大戦後の現在の欧州の国境線は、このヘルシンキ宣言で認知されたということになっているということもございまして、領土問題としては顕在化していないというのが現状でございます。
  92. 菅直人

    ○菅委員 そうすると、もう二度御確認をしますけれども、第二次大戦を境にして新たに生じたいわゆる国境線の変更等でいまだに懸案になっている事例というのは日本との北方領土の問題だけ、中国の場合は先ほど言われたように、帝政時代の問題が現在にまで至っているというように理解する、そういうふうに理解していいわけですか。
  93. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 第二次大戦の結果生じた事態ということであれば、いま御指摘のとおりだと存じます。
  94. 菅直人

    ○菅委員 実はもっといろいろな事例があって、その中でたとえばうまく領土問題を返還という形で解決した事例でもあれば、それを参考にしてまたいろいろな日本対応についてお聞きをしたかったわけですけれども、いまの話ですと、なかなかそういった事例が具体的にはないといいましょうか、好ましい事例が余り見つからないようであります。  そういうことを、大変困難な問題ではあろうと思うわけですけれども、長年日本も領土返還要求をやってきたわけですが、その土俵がなかなか定まらない。もともとはいわゆる日ソ共同宣言の段階でその土俵を固めて、その中での協議ということが本来の筋だと思いますけれども、なかなかそれもソ連側の態度でうまくいっていないというように認識をしているわけですが、外務省としてこれから先、対ソ交渉の中での土俵づくりということをどのように考えられているのか、その点お聞きしたいと思います。
  95. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 ただいま御指摘のとおり、一九五六年の共同宣言でいわば土俵ができていたわけでございまして、そのいわゆる土俵は一九七三年、当時の田中総理がソ連を訪問されましたときの共同声明で確認されているというわけでございますが、その後ソ連は、領土問題について非常に態度を硬化させてきておりまして、現在では、領土問題は存在しないということを繰り返し言っているということは御承知のとおりでございます。  このことは、いわば土俵が存在しないということになるわけでございまして、現在私どもといたしましては、ともかくソ連との間にこの領土問題について交渉に入ろうではないか、領土問題があるということは歴史的な経緯に照らして明らかなのであるから、領土問題について話し合おう。日ソ間の善隣友好関係、これを緊密化するということは日本側としても望むところである。ただそのためには、戦後の懸案を解決して平和条約を締結するということが前提になるわけであるので、このような領土問題を含む平和条約締結交渉に入るということを繰り返し呼びかけているということが現在の状況でございまして、いわば日本側からソ連に対しまして、ただいまの土俵という表現をかりれば、一緒に土俵に上がろうではないかということを呼びかけているわけでございます。ところがソ連側の現在の態度は御承知のとおりでございまして、領土問題は存在しないということをかたくなに言い続けるだけであって、せっかくわが方が呼びかけているところの平和条約締結交渉に入る、すなわち一緒に土俵に上るということを拒否しているということでございます。  ただこれは、ソ連側がそのような態度を持しております限り非常にむずかしいわけでございますが、わが方といたしましては、領土問題に関する日本側の主張にはこれは十分理があると考えているわけでございますので、ソ連が現在どのようにかたくなな態度をとろうとも屈することなく、わが方の正当と信ずる主張を言い続けるということ、これが基本的な姿勢であろうと考えているわけでございます。
  96. 菅直人

    ○菅委員 この二、三年といいましょうか、特にアフガンに対するソ連の侵略が始まって以降、さらには北方領土にソ連の軍事力が強化されて以降、日本とソ連との外交関係というものは大変に冷却をしているということでありますけれども、その中で、ソ連にとって日本に望んでいることといいましょうか、たとえば経済的な協力ですとか、よく言われておりますシベリアの開発問題などについていろいろと議論があるわけです。現在、そういったソ連との関係がかなり冷却した状況をこれはしばらくは仕方がないというふうにお考えなのか、やはりどこかで少し何らかの打開策を図っていこうということで、経済問題を含めてどういう態度で臨まれようとしているか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  97. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 ソ連側はいろいろの機会に日本に対する呼びかけを行っているわけでございますが、その言い方は、日ソ間には善隣友好関係を発展させる余地がある、ソ連側としてはそのような善隣友好関係を発展させたいと念願しているということを言う一方におきまして、日ソ関係が本来的でない問題、いろいろ言い方はあるわけでございますが、ざっくばらんに申しますと、すなわち、領土問題を抜きにして日ソ間の善隣友好関係を進めたいというのがソ連側の言い分でございます。わが方といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、領土問題というものは日ソ関係を進展させるために避けて通れない問題でございますので、領土問題を抜きにして、いわば領土問題を忘れてその他の分野で日ソ間の関係を進めるということはできないということを基本的な姿勢といたしているわけでございます。  そこで、ただいま御指摘がございましたとおり、ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入あるいは北方領土におきますソ連の軍備増強等を契機といたしまして、日ソ間の関係が現在若干冷却化しているということは、これは残念ながら私どもとしても認めざるを得ないところであるわけでございますが、このような現在日ソ関係が冷却した原因は、いま申し上げましたとおりソ連側によってつくられたわけでございますので、私どもといたしましては、そのようなソ連の呼びかけに対しまして、一方におきましては、領土問題を抜きにして友好関係を進めるというわけにはいかない、領土問題は避けて通れないということを申しますと同時に、現在の日ソ関係の冷却化をもたらしたソ連側においてその原因を除去するように努力することを期待する、口先で日本との善隣友好関係を言うだけではなくて、それを具体的な姿勢で示してほしいということを言っているのが現状ということでございます。  そこで、この現状をほっておいていいのか、何らかの手だてを打つべきではないかという御質問でございますけれども、その現在の状況がいまるる申し上げましたとおり、ソ連側の責任によって生じているというのが私どもの見解でございまして、これを打開するために日本側から手を差し伸べる、日本側から譲歩するという形になるということは、問題の性質上不適当であろうと考えているわけでございます。もちろん、私どもといたしましては先ほど申し上げましたとおり、日ソ間の善隣友好関係を望むものでございますし、また、日ソ間の正常な関係を発展させるということを望んでいるわけでございます。ところが一方において、そのようなソ連のアフガニスタンに対する軍事介入、北方領土に対する軍備増強というようなものがその阻害要因となっている。その阻害要因を除去するように、まずソ連側の努力を期待するということを基本的な姿勢としているわけでございます。  ただ、そうは申しましても日本側といたしまして、ソ連側との対話を絶つというようなことでは毛頭ないわけでございまして、日ソ間の対話は進める。これは日ソ聞の関係が困難であり、複雑であればあるほど日ソ閲の対話は重要であるということで、対話の必要性は認めているわけでございます。このような日ソ間の対話を通じまして、日ソ間に横たわっております、いま申し上げましたもろもろの問題が解決の方向に向かい、真の日ソ善隣友好関係を確立する道が開けることを期待しているというのが、現在の立場でございます。
  98. 菅直人

    ○菅委員 私も現在の国際状況の中で、日本とソ連との関係が冷却化せざるを得なかったということは重々わかるわけですけれども、ただ、アフガンの問題また領土問題の進展がない限り、いまのような状況がますます冷却化を強めていって、いわゆる軍事的な対立のみが前面に出てくるという形になることは、日本にとって必ずしも好ましいことではないのではないか。そういう点で私は、確かにこれからの選択というものは日本にとっても非常にむずかしい面はあると思いますけれども、ある意味では、対話を進めるという御返事ですけれども、そういった対話のパイプをもっと多様化し、ある部分では経済的な問題を含めて協力できるところは協力をしながら、日ソの関係ももう一つ打開の道を探っていく必要があるのではないかということを感じるわけです。  そういったことで、現在国内でも領土問題について、四島の返還ということでほぼ国論が一致をした中で運動が進められているわけですけれども、これがどういう展開になっていくのか、関係者の人もなかなかわからないと思うのです。長官にお聞きしたいのですが、ことし初めて北方領土の日が生まれまして、来年のことが先ほども議論されておりましたけれども、これからの国内におけるこの返還運動と、いま問題になりましたソ連の非常にかたくなな態度というものをどういう形で打開を図っていくのか。これは国際問題にもなろうと思いますし、また国内の運動の問題とももちろん大変に深く関連あするわけですが、その点について長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  99. 中山太郎

    中山国務大臣 国内で今年二月七日の北方領土の日に各党各派の御参加が得られたということ、また両院における決議が行われたということ、これで北方領土返還に対する日本の民族の考え方というものが、かねてソビエト政府が言っておりました領土返還運動は日本の一部の右翼の人たちがやっているんだというふうな対外放送、宣伝、それに対して、われわれの民族全体が党派を超えて古来の領土の返還を要求するという強い意思表示を行ったということは、私は日本の外交の姿勢に一つの大きな柱が立ったということで、大変意義のあることだと考えておりますし、また、これを一つの出発点にして、これからどれだけの日数がかかるかわかりませんけれども、われわれとしては、一九七三年に田中・ブレジネフ会談が行われたことも委員はすでに御承知と思いますけれども、そこで両首脳の間では、領土問題はまだ未解決であるということが相互に確認をされているわけでございまして、鈴木政府としてはぜひ、北方領土問題はもうないんだ、解決済みだと言うソビエト政府の態度を、何とか一九七三年の田中・ブレジネフ会談の状況にまで戻ってもらうということが、これからの日ソ関係の改善には一番の近い道であろうと考えております。  私はなお、これから毎年北方領土の日が続いていくかもわかりませんけれども、できるだけ早く隣国であるソビエト政府と友好関係を樹立したい、平和条約を早く締結するというのが日本全体の希望でございますから、その一つの前提条件としての、領土問題はまだ未解決だということをソビエト政府が確認をしてもらう、そこから日ソ関係というものは急激な展開をするであろうと実は考えているわけでございまして、それに向かって国民は心を一つにして、ソビエト政府に対してこの領土の返還の問題についての日本の意思というものを外交ルートを通じて強く主張し続けなければならない、こういうふうに実は考えておるのであります。  国際情勢が非常に緊迫をしてきた、これも先生指摘のように、この東西関係の緊迫状態というものはだれも心配をしている現実問題でございますけれども、米ソ両大国以外の国も皆それぞれ、ワルシャワ軍事条約あるいはNATO、あるいはANZUSとか日米安保とかございますけれども、巨大な核の戦いを起こしてはならないという気持ちというのは双方にも相当ある。しかし、この緊張した軍事情勢の中で、われわれはやはり世界のあり方というものについて絶えず話し合う機会をつくるように日本政府としては努力することが、世界のために必要であるというふうな考え方の中で、そういう全世界的な国際外交の調整というものが必ず八〇年代に起こってくるだろう。そういう中で、この領土問題の解決というものの時期が必ず見出されるであろうし、またそうでなければならない、このように考えて、国論の盛り上がりのために一層所管大臣としては努力してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  100. 菅直人

    ○菅委員 もう時間になったようですけれども、きょうは北方領土の問題について基本的なソ連との関係等についてお伺いしたわけですが、いろいろと伺うだけ、ソ連との領土問題が大変に、何といいましょうか、そう簡単なことではないということを一層強く認識をしたわけですけれども、これからも、中国では一万年かかっても二万年かかってもと言っているようですけれども、われわれもそういう覚悟で臨みたいと思いますし、また政府の方もそういう覚悟で臨んでおられると思いますけれども、一層の御奮闘をお願いして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  101. 上草義輝

    上草委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十一分散会