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国務大臣(
河本敏夫君)
経済成長につきましては、
先ほど来
質疑応答があったわけでありますが、一昨年の八月にスタートいたしました新七カ年計画で
平均五・五%
成長を持続すると、こういうことを決めておりますのは、このことによりまして雇用問題を解決する、失業者をできるだけ減していって日本の経済の国際競争力を維持拡大をするということ、あわせて
国民生活の充実向上を図っていく、これを
目標にしておりますので、この
程度の
成長はぜひ必要である、また同時にこの
程度の
成長は十分可能であると、こういう想定のもとにいま七カ年計画を進めておるところでございます。
で、第二次
石油危機の悪い
影響がいま一番この世界を覆っておりますので、これからはだんだんと吸収をされまして、経済は発展の方向にいくと
考えております。たとえばアメリカとの自動車の交渉なども、いまアメリカの経済が非常に悪いわけでありますから、自動車の需要が九百万台を割っておる、八百万台になっておる、こういう
状態であります。しかし、アメリカの経済が景気を回復いたしますと、一千万台を超える、あるいは千二、三百万台にもなろう、こういう可能性もありますので、世界の経済がよくなりますと、自動車の例に見られるとおり、いまの自動車摩擦のごときは私は一挙に解消するであろう、こう思っておりまして、世界の経済が第二次
石油危機の悪い
影響から立ち直るということが何よりもその前提だと
考えております。OECDの昨年の
見通しなども、ことしの後半から来年にかけて十分立ち直ると、こういう
見通しを立てておりますので、そういうことも想定をして経済運営をしていきたいと
考えております。
それから、財政再建ということでございますけれども、これは赤字解消、赤字国債をなくする、こういう意味だと思います。五十九年までに赤字国債をなくする、六十年から償還が始まりますので、それまでになくしたい、こういうことが財政再建の中身だと
考えておりますが、御案内のように五十五年度はざっと五兆を超える税の自然増収を想定しておりますし、五十六年度は五兆弱の自然増収を想定をしております。したがいまして、年間五兆前後の自然増収があるということが私は財政再建の決め手だと、こう思っておるんです。先般
大蔵省から出しました試算を見ましても、やはり大体年間五兆、最終年度は六兆近い税の自然増収を期待しております。しかし、この五兆前後の税の自然増収を期待するためには経済が活力を持続をしなければいけませんので、やはり
先ほど申し上げました七カ年計画の目指す安定
成長路線に日本経済を定着させるということがこれは何よりもその前提
条件だと
考えております。
また、行財政に相当ロスも多いということが指摘されておりますので、当然これも改革をしていかなければならぬと
考えておりますが、さてそれをやってどうしても足りない場合には増税と、実はこれまではそういう
考え方で来たのでありますけれども、増税という逃げ道がありますとなかなかこの行財政の改革はできない。五十六年度の財政がそれを示しておると思うのであります。でありますから、私はこの際は、行財政の改革をやろうとすればやはり退路を断ち切って、増税はしないというそういう前提
条件に立たないと行財政の改革はできないと思うのであります。まあしかしながら、重ねて申し上げますが、目指す金額は税の自然増収の方がはるかに大きな金額でありますから、やはりこの経済の活力を持続するということがその最大の前提
条件であろう。これを持続しませんと、これはもうとても
予算などは組めるものではございませんので、その点を総合的に
考えながら経済運営をしていかなければならぬと
考えております。
それから
個人消費の問題について
お話がございました。
個人所得の問題について
お話がございましたが、これはやはり何といたしましても
物価の安定だと思います。それと、
国民経済に悪い
影響の出ない範囲内でのやはり私は
所得の増加ということが当然
考えられてしかるべきだと。たとえば生産性の向上ということも
一つの前提
条件になろうと思いますが、とにかく
所得の増加ということを当然
考えていかなければなりませんし、また財政事情が許すようになりますと、私は当然
所得減税というようなことも、これはまあ当然これからの大きな課題だと思いますが、当然
考えていかなければならぬと
考えております。
国民の
所得が
伸びて生活が安定向上するということがやはり経済活力を持続するその前提
条件でございますので、そういう点も十分
考えながら経済運営をしていきたいと
考えております。