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政府委員(橋口收君) 独占禁止法と
行政指導の関係につきましては、かなり長い歴史がございますが、それにつきまして御説明を申し上げるのは省略をさせていただきまして、最近時点の状況を申し上げますと、先月から関係省庁との間に独占禁止法と
行政指導の関係につきまして、
公正取引委員会事務局のつくりました試案を提示いたしまして折衝をいたしてまいってきたのでございますが、おおむね機が熟したというふうに考えまして、昨日の
公正取引委員会の
会議におきまして正式に当方の案を決定いたしまして、本日付で
公正取引委員会の事務
局長から関係十六省庁の事務次官あてに、当方の考え方を整理いたしましたものを文書でお届けすることにいたしております。
内容につきましては、いま先生がお挙げになりました先月の日経新聞に書かれたものと基本的に相違はございませんが、もう一度かいつまんで御説明を申し上げますと、昨年九月の東京高裁の判決におきまして、独占禁止法と
行政指導の関係につきまして初めて司法部の判断が明示をされたのを
機会に、
行政指導と主としてカルテルとの関係につきまして、
公正取引委員会の考え方をまとめたものでございます。
内容といたしましては、具体的な法的根拠が定められていない場合の
行政指導と、具体的な法的根拠が定められております場合の
行政指導に分けて考え方を整理いたしておりますが、第一の法的根拠のない場合の
行政指導につきましては、
行政指導のやり方としまして事業者
団体に対する場合と個別業者に対する場合と分けて考え方を述べておりますが、事業者
団体に対する
行政指導はカルテルを最も誘発しやすいというふうに述べております。個別業者に対する
行政指導でありましても、ケースによりましてはカルテルを誘発する場合があるということを申しております。
それから、具体的な法的根拠が定められております
行政指導、つまり業法その他実体法のあります場合の
行政指導につきましては問題は少ないと。ただ、法的に明示をされておりますこと以外の
行政指導をやります場合には、これは法的根拠がない場合と同じ扱いになる、こういう考え方を示しておりますが、ただ、
行政指導の内容としまして、価格、数量、設備等に関するものはその情状が重い、規格、品質、営業方法等に関するものはその情状は軽いということを明らかにいたしております。
ただ、
行政指導は、その目的、内容、方法、程度等に差等がございますので、原則的な考え方は文書で表現いたしておりますが、しかし個々の事案につきましては、関係省庁から疑念をお持ちの場合には積極的に
公正取引委員会に御
相談いただきたいと思いますし、またわが方も必要があれば各省庁と話をいたしまして、独禁法との関係において調整を図るということを明らかにいたしております。
したがいまして、いま先生が御質問になりました自動車の対米輸出の問題につきましても、これはケースの進展によりまして、今回取りまとめいたしました考え方に基づきまして慎重に判断をいたしたいというふうに考えております。ただ、一言だけつけ加えさせていただきますと、これは主として日本の国内マーケットに関する
行政指導の問題でございまして、自動車の対米輸出問題は国内マーケットの問題ではなくて、アメリカの国内マーケットの問題でございますから、原則的な考え方としましては、アメリカの国内マーケットを守るのはアメリカの独禁当局であるというのが原則的な考え方でございます。