○
国務大臣(
渡辺美智雄君)
お答えをいたします。
これだけ
借金かふえてしまって、その
責任と
原因は何かという話で、
総理大臣から
お話かあったとおりてございますか、それは過去七年間で、
税収は
昭和四十八年十三兆か五十五年は二十六兆、二倍にしかなりません。にもかかわらず、
文教予算は約三倍とか、それから
社会福祉の
予算は約四倍というように、
税収以上にそういう面においては、需要といいますか、御
要望が強くて、
税金の
範囲で賄っていれば
赤字にならぬわけでありますか、
税金以上に、
国民生活の
安定向上ということで、
政府か
景気の回復ということと一緒にそれをやった結果が私は
赤字になったと、こう見ておるわけであります。しかしながら、それは成功いたしまして、
日本では
失業者は
世界で一番
先進国の中で少ないといういい面も出てきております。
失業者か少ないから、したがってどろぼうの数も
アメリカやドイツやイギリスより約三分の一だと、強盗もそうだということで、社会的に私はかなり貢献をしてきたことは間違いないのじゃないかと、そう思っておるわけでございます。
その次は、これは
庫出税とか
売上税とか、
EC型の
付加価値税とかいうようなものを
検討しているかという話でございますが、これにつきましては、
税制調査会でそういうような
個人所得に対する
負担を求める
方法についてどう
考えるか、
課税ベースの広い
間接税についてどのように対処するかという点を初め、いろいろ
検討していくべきだ、研究すべきだという
考えか述べられております。しかし、われわれといたしましては、
総理大臣がいまおっしゃいましたように、来
年度予算に向かいましては極力
経費の
削減というものでまずひとつ徹底的にやってみようということてごさいまして、どれくらいのものがどうして出るのか、どれくらい抑えられるのか。これは、要するに
収入と
歳出というものは裏表でございますから、皆さんの国会におけるいろいろな御議論というものに謙虚によく耳を傾けまして、今後
検討をしてまいりたいと
考えております。
それから
中期税制につきましても回しような
考えてございます。これは
財政の
中期展望というようなものを出しまして、いわゆる
調整額というものを出したところか、これは
増税キャンペーンだというようなことでおしかりを受けたのですか、そんなことではございませんでして、これは、
歳出はいまのままではこんなに伸びます。したがって、これを極力切れば、その切った中でおさまってしまえばそれていいわけでごさいますから、そういうような点との関連かございますので、そういう幅広い
観点から
検討していきたい、かように
考えます。
それから大
法人等に対する
優遇税制、これを徹底的に洗い直しをしてやれ、それから
不労所得は
重課だ、
勤労所得税減税というふうな
お話でございますか、これらにつきましては、いわゆる
特別措置法で約一兆円くらいのものかありますか、その大
部分というものは、
個人向けのマル優の三百万円以下の
利子所得を免税にするとか、あるいは
住宅対策とか、あるいは
生命保険料の控除だとか、あるいは
企業向けだと
中小企業対策、あるいは
資源エネルギー対策、こういうようなものが大
部分でございます。しかし、これらにつきましても、もうその必要かないじゃないかというようなことでありますならば将来の
検討課題にいたしたいと思いますか、現在のところ、まだそういう
要望が非常に強いということでございます。いずれにいたしましても、
特別措置というものは
既得権じゃございませんので、その
時代時代に必要なものはつけますか、必要がなくなれば消していくということは、めりはりをつけてやってまいりたいと
考えます。
なお、
所得税減税の問題については、
総理からも御
答弁がありましたとおり、当分、今回は見合わせていただきたいと
考えておる次第でございます。
それから……(「違うじゃないか」と呼ぶ者あり)いやいや、
所得税の問題については、諸外国との
比較等も
考えまして、現在の
わが国の
財政事情の現状を考慮すれば見合わせるほかはない、こういうことでございます。
それから不公正の
税務行政の
執行面につきましては、これはちょいちょい御
指摘を受けておるわけでございますが、非常に
課税漏れ、そういうものがあるのじゃないか、もっと
税務職員をうんとふやして徹底的に調べろという御叱正をいつも受けておるのです。われわれといたしましても、極力、限りある人員ではございますか、まず
納税思想というものを高揚いたしませんと、
幾ら税務職員をふやしましても、
申告制度でございますからこれは限りのあるものでありまして、これについてはまず
納税者の
納税思想の
向上に努める、その一方で事務の
機械化、
合理化、こういうことも進めてまいりたい。
国税職員の充実を図ったり、一方においていろいろな
調査技術、
調査能力、こういうものも高めて、そうして御
批判を受けないように今後とも一層努めてまいりたいと
考えております。
それから
酒税によって
個人の
家計が非常に苦しくなる、
経済運営の点から言っても逆の
政策ではないか、こういうような御
批判でございますが、
民間の
最終消費支出に占める
酒類の
消費支出というものの
割合は大体
三彩程度でございまして、
家計消費支出における
酒類支出の
割合は一%
程度というようなことでございます。したかいまして、それによって大きく
政策に相反するというほどのものではないと、私はこういうように
考えております。
なお、
消費者物価への
影響ということにつきましても、
現行の
小売価格に対して
ビールで一〇%、
清酒では一%
程度でございます。したがいまして、この
影響がないということではございませんが、当然
影響はございますが、二級酒の場合は、毎日一合の晩酌をやっても一本で人体一円五十銭でございますから、月に四十五円というようなことでありますし、その
程度のことであるならば、現在の
国民生活から見て御
負担いただけるものだと、こう
考えております。また、
ビールについては、
ビールが高過ぎると。まあ酒の方はいいけれども、
ビールの方は一杯にしても四円とか五円とか上がるじゃないかと、酒に比べてうんと高いという御
批判があるのです。これは本当にそういう御
批判があることは私もわかっているのです。しかし、一方におきまして、
酒税ということでございますが、実際の
実態感を申しますと、たとえば
昭和五十五
年度の補正後の
状況を見て、
酒税は大体一兆四千億円なんです。中身を見ますというと、名ばかりお
酒税なんでございますが、お酒の
税金というのは二千六百億しかないのです。一兆四千億のうち二千六百億かお
酒税、名前はお
酒税だか
清酒の
税金はわすかに約二割弱。お
酒税と言いながら、実態は
ビール、ウイスキー、これてもう約一兆一千億円を占めるわけであります。いままで非常なスピードで伸びてきた。
これは、結局
ビールの場合は原料か安い、原料か安いものですから
値上げというものはそんなにしなくても済んできた。一方、お酒の場合は、原料というものか国産でございますから、お米で、ストレートに毎年上かった。したがって、これらのことについては、
ビールというものは外国産の麦を使っておりますから、
ビールだけかどんどん伸びちゃう、お酒か小さくなってしまうというのも国全体の
政策としていかかなものかというようなことも配慮をいたしました結果でございますということも御承知願いたいと存します。
それから過去の
酒税負担の
適正率をとう
考えているかということにつきましては、これは、
負担の
程度を決めるに当たりましては、特殊な
嗜好品としての
酒類の特性というものを前提としながら、過去の
酒税負担水準との比較、
国民の
所得、
消費水準の動向、
酒類の生産
状況、
消費の態様、他の
消費税との比較、こういうようなものを十分に配慮いたしまして、しかも国の
財政事情を総合的に勘案して決定したつもりでございます。今回の改正案におきましても、これらの要素を
検討した上で適正な
負担を求めるように
考えたつもりでございます。
それから
便乗値上げの問題でございますが、これも大事な御
質問でございまして、われわれといたしましても、自由
価格でございますから、その
増税に伴って
増税額か
価格に転嫁されることはやむを得ない、しかし、それによって、
赤ちょうちんその他で飲む人が多いんだし、料理屋で飲む人もかなり多いんだから、それを
便乗値上げさせちゃ困ると、全く私もそのとおりたと思います。したかいまして、これらにつきましては、端数の整理ということはある
程度やむを得ないと思いますが、極力行政指導を通しまして
便乗値上げをさせないように指導をしてまいりたいと、かように
考えておるわけでございます。
それから最後に、
従価税に統一する必要があるのじゃないかと。この論争も長く、古くて新しい話でございまして、いろいろ実はあるわけなのです。しかしながら、一長一短ございまして、現在のように量にかけるということは案外つかみやすいのですが、
価格にかけるということになると、
価格か千差万別だということで、非常に捕捉をするという場合にむずかしい問題が一方にございます。それから高級なものについては、値上がりした場合は
価格にかけますからぼっと一遍に
税収もふえますか、値段もうんと高くなるという問題等いろいろございますので、いまのところ踏み切れない。しかし、これはもうかねてからいろいろな議論がございますから、せっかくの御提案でございますので、現実的な
観点をも踏まえながら、お酒の
税金制度全体のあり方とも関係をいたしますので、中長期的な問題として十分に慎重に
検討させていただきたいと、かように
考えております。
以上でございます。(
拍手)
〔
国務大臣河本敏夫君
登壇、
拍手〕