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1981-02-13 第94回国会 参議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月十三日(金曜日)    午後零時七分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第五号   昭和五十六年二月十三日    正午開議  第一 農業共済保険特別会計における農作物   共済畑作物共済及び果樹共済に係る再保険   金の支払財源不足に充てるための一般会計   からする繰入金等に関する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第二 昭和五十五年度水田利用再編奨励補助   金についての所得税及び法人税臨時特例に   関する法律案衆議院提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、新議員の紹介  一、故議員菅野儀作君に対し弔詞贈呈の件  一、故議員菅野儀作君に対する追悼の辞  一、故議員市川房枝君に対し弔詞贈呈の件  一、北海道開発審議会委員選挙  一、国家公務員等任命に関する件  一、昭和五十五年度一般会計補正予算(第1   号)  一、昭和五十五年度特別会計補正予算(特第1   号)  一、昭和五十五年度政府関係機関補正予算(機   第1号)  一、日程第一及び第二  一、永年在職議員表彰の件      ——————————
  2. 徳永正利

    議長徳永正利君) これより会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第八十七番、地方選出議員、岐阜県選出藤井孝男君。    〔藤井孝男起立拍手
  3. 徳永正利

    議長徳永正利君) 議長は、本院規則第三十条により、藤井孝男君を逓信委員に指名いたします。      ——————————
  4. 徳永正利

    議長徳永正利君) 議員菅野儀作君は、去る一月二十五日逝去されました。まことに痛惜哀悼至りにたえません。  同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。  ここにその弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院議員正四位勲二等菅野儀作君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます     —————————————
  5. 徳永正利

    議長徳永正利君) 秦野章君から発言を求められております。この際、発言を許します。秦野章君。    〔秦野章登壇拍手
  6. 秦野章

    秦野章君 本院議員菅野儀作君は、去る一月二十五日、心不全のため東京文京区の順天堂大学附属病院において逝去されました。まことに痛惜哀悼の念にたえません。  私は、ここに、同僚議員各位の御同意を得て、議員一同を代表し、故菅野儀作君のみたまに謹んで哀悼言葉をささげたいと存じます。  菅野君は、明治四十年六月、千葉県市原郡八幡町に生をうけ、県下の名門千葉中学へ進まれました。  千葉中時代の君は、剣道部の猛者として、後に五段、教士となる腕をみがかれましたが、家庭の事情によって三年修了とともに学窓を去り、米穀雑貨商家業を継がれました。  家業に精進する傍ら、町の青年団消防団等において指導的役割りを果たしてこられたのでございますが、昭和二十二年、地方自治体首長の初めての公選に際しまして、地元の人々の一致した強い推挙を受け、無投票で八幡町長に当選されたのであります。  終戦間もない混乱のさなか、極度の食糧不足物資不足の中で町長となられた君は、持ち前の責任感義侠心を発揮し、郷土の復興と発展のため、とりわけ学校校舎再建やグラウンドの整備、さらに全国でも初めての公民館の建設にみずから上半身裸となってトロッコを押して勤労奉仕の先頭に立たれるなど、粉骨砕身の汗と努力は当時人々の心を打ったのであります。  君のお人柄は、上下の分け隔てがないばかりでなく、常に温かく人に接し、人を思いやる心をみずからの心とされてこられました。君の政治家としての資質は、充実した町長時代、すでに君の業績にあらわれ、とうとい足跡となっております。  町の発展の礎を築かれた君は、昭和二十六年、衆望を担って千葉県議会議員選挙に立候補し当選、その後連続五期にわたって県議を務め、さらに県議会議長をも務められました。  政争の激しい千葉県にあって、君は次第に県政界まとめ役として重きをなしてこられました。マスコミは、後年、君を「千葉県のドン」と評しましたが、これは、私利私欲を離れて終始筋を通す君の態度、信義を守り人のめんどうを見る君の温かいお人柄まとめ役としての君の大きな影響力を認めたものにほかなりません。  昭和四十二年、千葉地方区補欠選挙で本院議員に当選された君は、自来十三年余にわたって本院にあり、その間、決算、運輸、逓信、商工、公害等委員や理事を務められましたほか、北海道開発政務次官外務委員長等を歴任されました。  君が外務委員長であられました折、あの歴史的な日中平和友好条約審議が行われましたが、君の誠実なお人柄と公平無私な態度委員のだれからも敬愛され、きわめて円満な委員会運営が行われたのであります。  また、首都圏整備審議会委員のほか、党にあっては中小企業調査会会長両院議員総会会長臨時成田空港建設促進特別委員会顧問東京湾開発委員長党総務等を歴任されました。  しかし、君の政治家としての本領は、表立って脚光を浴びる地位につくよりも、縁の下の力持ちとして、まとめ役に徹することでありました。このようにして君は、閣僚候補に擬せられたときもこれを固辞し、また、生存中幾度か叙勲の話があった際にも、かたくこれを辞退されたと伺っております。  一昨年秋、胆石症の手術を受けられた君は、その後療養に専念された効あって快方に向かわれたと伺っておりました。しかし、不幸にも天は君を永遠に不帰の客としてしまったのであります。  君は、死の直前まで郷里千葉県の政治混乱を憂慮され、その憂慮を遺言として残されたのであります。まさに、郷里人々の心をみずからの心として生きた政治家面目躍如たるものを覚えます。  いまや、ますます複雑化する社会情勢の中で、君のように豊かな経験と識見を持ち、他方地方人々の心を真に国政に反映させ得る実力を持った政治家こそ今日求められているものと信じます。  このようなときに君を失ったことは、御遺族の悲しみ、郷里人々の痛手もさることながら、わが参議院にとっても痛恨のきわみであります。  ここに、謹んで、故菅野儀作君のありし日の誠実なお人柄と数々の御遺徳をしのび、心から御冥福をお祈りして、追悼言葉といたします。(拍手)      ——————————
  7. 徳永正利

    議長徳永正利君) 議員市川房枝君は、去る十一日逝去されました。まことに痛惜哀悼至りにたえません。  つきましては、この際、同君に対し、院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞議長に一任されたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 徳永正利

    議長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  弔詞贈呈方は、議長において取り計らいます。  これにて休憩いたします。    午後零時十六分休憩      ——————————    午後三時三分開議
  9. 徳永正利

    議長徳永正利君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、来る二十三日任期満了となる北海道開発審議会委員二名の選挙を行います。
  10. 真鍋賢二

    真鍋賢二君 北海道開発審議会委員選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  11. 小山一平

    小山一平君 私は、ただいまの真鍋君の動議賛成いたします。
  12. 徳永正利

    議長徳永正利君) 真鍋君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 徳永正利

    議長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、北海道開発審議会委員岩本政光君、北修二君を指名いたします。      ——————————
  14. 徳永正利

    議長徳永正利君) この際、国家公務員等任命に関する件についてお諮りいたします。  内閣から、人事官愛川重義君を、  国家公安委員会委員平岩外四君を、  社会保険審査会委員長加藤信太郎君を、  同委員黒木延君を、  中央社会保険医療協議会委員圓城寺次郎君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  まず、人事官国家公安委員会委員中央社会保険医療協議会委員任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  15. 徳永正利

    議長徳永正利君) 過半数と認めます。  よって、いずれも同意することに決しました。  次に、社会保険審査会委員長、同委員任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  16. 徳永正利

    議長徳永正利君) 過半数と認めます。  よって、いずれも同意することに決しました。      ——————————
  17. 徳永正利

    議長徳永正利君) この際、日程に追加して、  昭和五十五年度一般会計補正予算(第1号)  昭和五十五年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和五十五年度政府関係機関補正予算(機第1  号)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 徳永正利

    議長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。予算委員長木村睦男君。     —————————————    〔木村睦男登壇拍手
  19. 木村睦男

    木村睦男君 ただいま議題となりました昭和五十五年度補正予算三案につきまして、委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  今回の補正は、歳出につきまして農業保険費災害復旧事業費給与改善費など、当初予算作成後に生じた事由に基づき、特に緊要となった事項について措置を講ずることにしており、歳出追加額は一兆二千八十四億円でありますが、他方既定経費節減等により一千百五十九億円の修正減少を行うことにしておりますので、歳出の純追加額は一兆九百二十五億円となっております。  歳入につきましては、租税印紙収入で七千三百四十億円、専売納付金等税外収入で三百二十億円の増収を見込むとともに前年度剰余金受け入れ等計上しております。  本補正の結果、昭和五十五年度一般会計予算総額は、歳入歳出とも当初予算に対し一兆九百二十五億円増加して四十三兆六千八百十四億円となります。  また、一般会計予算補正に関連して、農業共済保険特別会計等十三の特別会計について所要の補正が行われ、さらに政府関係機関予算では日本国有鉄道等予算補正を行うこととしております。  補正予算三案は、一月二十六日国会に提出され、一月三十日渡辺大蔵大臣より趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って、二月十二、十三の両日、鈴木総理大臣並びに関係大臣に対し国政全般にわたり広範な質疑が行われましたが、以下、質疑の主なもの若干につき、その要旨を御報告申し上げます。  まず最初に、「鈴木内閣政治路線が不明確で多くの国民は不安を抱いている。特に憲法に関する奥野法相や竹田元統幕議長発言は許されないと思うが、総理はリーダーシップを発揮すべきではないか」との質疑があり、これに対し、鈴木内閣総理大臣より、「鈴木内閣現行憲法根本理念である平和主義民主主義基本的人権を守り、憲法尊重擁護義務を遵守する決意であり、憲法改正の考えはない。奥野法相発言もこの基本方針を十分了承した上のことと思う。しかしながら、現行憲法には改正の条章が明確に規定されていることに照らして、憲法改正を調査研究することは、憲法第九十九条の尊重擁護義務に何ら背反するものではない」との答弁がありました。  次に、「五十五年度政府消費者物価見通しは、当初の六・四%が実績見込みでは七%に引き上げられ、最近ではそれすら実現が危ぶまれるほどで、政府物価安定策は全然その効果を上げていない。五十五年春の賃上げが小幅であったことも影響して、所得目減りが著しく、これが個人消費住宅建設落ち込みを招き、景気停滞の原因となっていることから判断して、物価調整減税実施すべきではないか。また、例年の税収過小見積もり財政当局やり方から見て、補正後さらに三千億円程度増収が見込めるのではないか」等の質疑がありました。  これに対し、渡辺大蔵大臣並びに政府委員より、「物価上昇は石油の急激な値上げという海外要因によって生じたもので、先進資本主義国の多くで消費者物価が二けた上昇となっている中で、わが国は七%台にとどまっていることは理解願いたい。所得目減りが起きていることは承知しているが、最大の政策課題である財政再建を考えると、物価調整減税を行う余裕はない。さらに、先進諸国に先駆けて課税最低限大幅引き上げを行ってきた結果、わが国租税負担率は諸外国に比べ決して高くないことを国民が理解し、減税は当面がまんしてほしい。補正後に大幅な税の年度内自然増収が見込めるとの指摘については、この補正源泉所得税給与総額を当初予算の九%増の見込みから一〇%程度の増加に引き上げたほか、農業所得は夏の低温被害影響等で当初見込みを下回り、同じく冷夏による酒税を初め間接税鈍化傾向等を勘案し、税目ごとにこれまでの税収実績を慎重に見守りながら積算しており、これ以上の年度内自然増収は期待できない」旨の答弁がありました。  次に、「夏の異常低温による水稲を初め農産物の被害発生による農業の損失は甚大で、農家生活農業経営は非常な困難に遭遇しているが、政府救済対策は手ぬるいのではないか。また、異常気象に対応できる農業の恒久的な対策はどうか」等の質疑がありました。これに対し、亀岡農林水産大臣より、「昨年の異常低温による農業被害の実情に応じ、天災融資法適用激甚災指定等を時期を失することなく適時適切な対処をしている。まず、農業共済金の支払いを五十五年中に完了するようそれぞれの機関を督励して実施を急がせ予定どおり完了したのを初め、天災融資法適用も各県の協力を得て目下実施中である。また、恒久対策については、昨年の被害状況調査の結果でも、基本的な農業技術の基盤がしっかりしている農家や、金肥に過度に依存せず堆肥等による地力維持を心がけてきた農家等被害は軽微であったことにかんがみ、冷害に強い品種改良等とあわせ、異常気象対策の徹底を期するよう農家指導強化を図りたい」旨の答弁がありました。  なお、質疑はその他広範多岐にわたって行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  本日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して赤桐委員反対自由民主党自由国民会議を代表して平井委員賛成、公明党・国民会議を代表して田代委員反対日本共産党を代表して沓脱委員反対、民社党・国民連合を代表して柳澤委員反対の旨、それぞれ意見を述べられました。  討論を終局し、採決の結果、昭和五十五年度補正予算三案は、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  20. 徳永正利

    議長徳永正利君) 三案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。和田静夫君。    〔和田静夫登壇拍手
  21. 和田静夫

    和田静夫君 私は、日本社会党を代表して、ただいまの昭和五十五年度補正予算三案に対し反対討論を行います。  今日、「危機の時代」と言われる八〇年代の二年目を迎え、わが国を取り巻く情勢には一段と厳しいものがあります。よって、いままでより以上に精密かつ大胆な政策運営が明晰なビジョンに基づいて行われることが求められております。  政府は、五十五年度当初予算編成に当たって、経済課題物価の安定を図りつつ景気拡大基調を維持して国民生活の安定を図ることにあるとしておりました。これらの課題は果たして達成されたでありましょうか。いま景気全体のかげりは色濃い様相を強めております。年間ベースでは住宅投資の低迷が非常に低いことを明らかにしており、数年間の実績と比べ実に三割にも及ぶ大幅な落ち込みとなることは確実な情勢になっております。  また、政府は、当初、今年度消費者物価上昇見込みを六・四%とし、それは達成されると実は言い続けてきたのであります。しかるに、消費者物価の動向は、昨年の四月以降、常に八%台の高水準で推移し、ついに昨年暮れの政府消費者物価改定見通しでは六・四%の物価上昇を断念し七%に改定をしたのであります。現実にはこれをも上回る情勢に立ち至っているのであります。これは、政府による各種公共料金の無謀な値上げと、野菜その他への物価政策の無策によるものであります。誤った経済政策による物価の高騰で国民生活は苦しみを増しております。年度間を通じた実質賃金はマイナス必至の情勢となっております。この反面、企業利潤は着実に回復し、当初予想を上回る好決算となっており、大企業優先国民不在政府姿勢が一層明確になっております。ここに鈴木内閣に強い反省を促したいのであります。  さらに、最近の政府政治姿勢はきわめて危険な徴候で彩られております。たとえば、アメリカの対日防衛費肩がわりの要求にこたえるための軍事力の増強を正当化かつ表面化させている点であり、その裏返しとして、福祉見直しの名のもとに、弱者救済ではなく弱者切り捨てをはかることによって軍国化財源を確保し、国民平和意識を麻痺させ、この国の歴史を逆流させようとしている点であります。私たちはこのような政府の危険な発想に対し断固反対するものであります。  以下、若干、本補正予算反対する具体的な理由を申し述べます。  まず第一に、本補正予算は、当初予算編成の段階ですでに組むべきものとして予定されていたということであります。  たとえば、政府は、当初予算において給与改善費のための経費計上するに際し、公務員給与アップ二%相当額しか見込まず、当初から補正予算で処理する態度で臨んでいたことは明らかであります。確かに、補正予算財政法第二十九条によって作成が認められております。しかし、当初に予測できる歳出は可能な限り正確に計上することが財政民主主義基本であります。この基本を否定する傾向が強まる状況にあることを危惧し、政府に強い反省を求めるものであります。  第二に、政府物価対策が不十分であることであります。  冒頭に指摘しましたように、消費者物価上昇は憂うべき事態にあります。いま政府は、野菜供給安定基金による契約栽培市場放出を計画しているようでありますが、放出野菜が本格的に出回るのは大分先のことで、政府政策はいつも後手後手で、真にインフレから国民を守るという姿勢が全く感じられません。また、五十五年度予算修正に際しては五百億円に上る物価対策費が設けられたのに、それがほとんど有効に利用されず、本補正予算計上も約三十億円にすぎません。物価対策予備費を積極的に支出して野菜対策など物価抑制のための適切な施策を講ずべきでありますし、所得税負担調整のための戻し税減税などを考慮すべきであります。  第三に、税収見積もりの不適正であります。  五十五年度の当初税収見積額二十六兆四千百十億円に対し、本補正予算における見積額は二十七兆千四百五十億円であって、七千三百四十億円もの追加補正となっております。五十四年度補正では一兆九千九十億円の増収がありました。昨年に引き続き、五十五年度巨額の税の自然増収の背景には、当初予算における税収見積もりが不当とも言えるほどに過小に評価されていたからであります。政府は、税の自然増収を過小評価し、これによって増税舞台づくりを行っているとさえ考えられ、意図的な税収見積もりだと指摘せざるを得ません。特に物価調整減税の据え置きによって所得税収入は当初見積もりを二〇%も上回り、巨額自然増収を生み出す機構ができ上がっております。こうした点に目をつぶり、財源不足をいたずらに誇張するような政府やり方では、財政再建のための大型消費税導入など、とうてい国民の納得するところではありません。第四には、国債減額財政支出の問題であります。  国債減額が行われないのは、既定経費節減にメスが十分に入れられていないことを意味するのでありますが、特に問題なのは、予算委員会におけるわが党の反対討論でも触れましたとおり、揮発油税収入減少を補てんするため四百二十億円の道路整備事業費を増額させていることであります。揮発油税の減収を補てんするために一般財源を支出することはどうしても理解するわけにはまいりません。  このような安易な財政再建への政府姿勢についてさらに触れておかねばならないのは、これまでの国債発行に対する歴代自由民主党政府姿勢であります。  実は、わが党は、四十年度における戦後初の国債導入以来、一貫して国債発行に強く反対し、あるいは注文をつけ、インフレの危険や、やがて借金を返すために借金をするような財政に陥る危険を再三再四にわたり指摘してまいりました。しかし、政府は、国債政策わが国経済規模から見て何ら心配ないとして、以後増発を重ね、国債発行を完全にとめることができる状況にあってさえも、あえて国債発行し続ける政策をとってきたのであります。そして今日、この借金の泥沼から脱出するに際し政府は何と言っているでありましょうか。国債発行を続けるとインフレになる、借金のために借金をするような事態に陥ると指摘し、これを回避するには増税が必要であると国民に求めているのであります。  十六年前にわが党が指摘したことをそのままいま政府理由としているのであります。このようなやり方には全く言いようのない憤りを覚えます。わが党が強く国債発行に対して反対したとき、なぜもっと真剣に耳を傾けようとしなかったのですか。また、その後これを教訓としてなぜ生かそうとしなかったのですか。本補正においてこの点について強い反省を求め、国民に一方的に押しつけるだけの財政再建に強く反対するものであります。  第五に、地方交付税財源計上、取り扱いが政府御都合主義で行われている点を指摘せざるを得ません。  政府は、昨年と同様な措置をとり、本来交付すべき交付金次年度に繰り越しているのであります。来年度に繰り越し使用を予定しているものを政府はなぜ本年度補正計上したのでしょうか。来年度予算の膨張を一けたに抑えるという国の都合で行われたのだと言われてもいたし方ありません。歴代総理は私に、「地方交付税地方固有財源である」と佐藤さん以来答弁し続けてまいりました。この際、政府は、地方交付税固有財源性を明確にするため、特別会計への直入方式を採用し、御都合主義の介入を速やかに絶つべきであります。  以上のほか、雪害、冷害対策の不十分さもあらわであります。重ねて政府提出補正予算三案に反対することを明らかにし、討論を終わります。(拍手
  22. 徳永正利

    議長徳永正利君) これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  23. 徳永正利

    議長徳永正利君) これより三案を一括して採決いたします。  三案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  24. 徳永正利

    議長徳永正利君) 過半数と認めます。  よって、三案は可決されました。(拍手)      ——————————
  25. 徳永正利

    議長徳永正利君) 日程第一 農業共済保険特別会計における農作物共済畑作物共済及び果樹共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案内閣提出衆議院送付)  日程第二 昭和五十五年度水田利用再編奨励補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案衆議院提出)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長中村太郎君。     —————————————    〔中村太郎登壇拍手
  26. 中村太郎

    中村太郎君 ただいま議題となりました両案につきまして、大蔵委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、農業共済保険特別会計における農作物共済畑作物共済及び果樹共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案は、昭和五十五年度において、低温等による水稲、大豆、温州ミカン等の被害が異常に発生したことにより、農業共済保険特別会計農業勘定及び果樹勘定に生ずる再保険金の支払い財源不足に充てるため、必要な資金を一般会計からこれらの勘定に繰り入れる等の措置を講じようとするものであります。  次に、昭和五十五年度水田利用再編奨励補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案は、衆議院大蔵委員長提出によるものでありまして、昭和五十五年度政府から交付される水田利用再編奨励補助金について、個人が交付を受けるものはこれを一時所得とみなし、農業生産法人が交付を受けるものは、交付を受けた後二年以内に固定資産の取得または改良に充てた場合には、圧縮記帳の特例を認めることにより、税負担の軽減を図ろうとするものであります。  委員会におきましては、両案を一括して質疑を行いましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、両案は討論なく、順次採決の結果、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  27. 徳永正利

    議長徳永正利君) これより両案を一括して採決いたします。  両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  28. 徳永正利

    議長徳永正利君) 総員起立と認めます。  よって、両案は全会一致をもって可決されました。      ——————————
  29. 徳永正利

    議長徳永正利君) この際、永年在職議員表彰の件についてお諮りいたします。  議員江藤智君、阿具根登君、白木義一郎君、故市川房枝君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。  つきましては、院議をもって四君の永年の功労を表彰することとし、その表彰文は議長に一任されたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 徳永正利

    議長徳永正利君) 御異議ないと認めます。  議長において起草いたしました四君に対する表彰文を朗読いたします。    〔江藤智君起立〕  議員江藤智君君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました  参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもつて表彰します    〔拍手〕    〔阿具根登君起立〕  議員阿具根登君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました  参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもつて表彰します    〔拍手〕    〔白木義一郎君起立〕  議員白木義一郎君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました  参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもつて表彰します    〔拍手〕  議員市川房枝君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました  参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもつて表彰します    〔拍手〕  表彰状の贈呈方は、議長において取り計らいます。     —————————————
  31. 徳永正利

    議長徳永正利君) 町村金五君から発言を求められました。発言を許します。町村金五君。    〔町村金五君登壇拍手
  32. 町村金五

    ○町村金五君 私は、本院議員を代表いたしまして、ただいま永年在職のゆえをもって表彰せられました江藤智君、阿具根登君、白木義一郎君並びに故市川房枝君に対しまして、一言お祝いの言葉を申し上げます。  江藤智君は、昭和三十一年第四回通常選挙に全国区より当選され、以来今日に至るまで本院議員として活躍されてまいりました。その間同君は、運輸委員長のほか、第二次池田内閣経済企画政務次官、第二次田中内閣の運輸大臣として、また一方、党内におきましては、自由民主党政務調査会副会長、総務副会長、さらに参議院自由民主党議員会長、同国会対策委員会委員長等の要職を歴任されたのであります。  阿具根登君は、昭和二十八年第三回通常選挙に全国区より当選され、その後四たびの選挙を経て、今日に至るまで本院議員として活躍されてまいりました。その間、社会労働委員長、石炭対策特別委員長及び公害対策・環境保全特別委員長を歴任、党内におきましては、日本社会党参議院国会対策委員長並びに議員会長の要職につかれ、現在は日本社会党中央執行委員会委員長を務めておられます。  白木義一郎君は、昭和三十一年の第四回通常選挙に大阪地方区より当選され、今日に至るまで本院議員として活躍されてまいりました。その間、懲罰委員長、災害対策特別委員長及び公職選挙改正に関する特別委員長を歴任され、党内においては公明党副委員長のほか、参議院公明党議員団副団長の要職につかれ、現在は公明党中央統制委員長を務めておられます。  このように、三君はいずれも議院や会派の枢要な役職を歴任され、そのすぐれた豊かな御人格と御識見によりまして、議会制民主主義の確立と本院の使命達成のために指導的役割りを果たしてこられたのであります。  ここに、われわれ議員一同は、本日栄誉ある表彰を受けられました三君の二十五年間の御功績に対しまして深甚なる敬意を表しますとともに、心からの祝意を表する次第であります。  現下、わが国内外の諸情勢はまことに多事多端であり、本院に対する国民の期待もまた大なるものがあります。  どうか、三君におかれましては、健康に留意せられ、今後とも本院の使命達成と議会民主政治発展のためより一層の御尽力を賜りますよう、切にお願い申し上げる次第であります。  故市川房枝君は、昭和二十八年の第三回通常選挙に東京地方区より立候補当選され政界に入られたのでありますが、昭和四十九年には全国区に転ぜられ、今日に至るまで二十五年の長きにわたり本院議員として活躍されてまいりました。  同君は、皆様御承知のとおり、大正八年以来一貫して婦人参政権運動や婦人の地位の向上等に情熱を傾けてこられました。また、院内においては、昭和三十七年に第二院クラブを結成し、同クラブの議員代表等を務められたのであります。  しかし、同君は、一月十六日突然病に倒れられ、日赤医療センターにおいて療養に努めておられましたが、去る二月十一日午前七時十三分、本日のはえある日を待たず急逝せられました。まことに痛惜哀悼にたえません。ここに心から同君の御冥福をお祈りいたします。  はなはだ簡単でありますが、お祝いの言葉といたします。(拍手
  33. 徳永正利

    議長徳永正利君) 江藤智君、阿具根登君、白木義一郎君から、それぞれ発言を求められました。発言を許します。江藤智君。    〔江藤智君登壇拍手
  34. 江藤智

    ○江藤智君 ただいまは、院議をもって表彰を受け、また、身に余るお祝いの言葉をいただきまして、まことにありがとうございました。ここに厚く御礼を申し上げます。(拍手)  しかし、先輩の市川房枝先生にはこの日を前にして御逝去になりましたことは返す返すも残念でございます。心から御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。  私がきょうの栄誉ある日を迎えましたことは、ひとえに先輩、同僚の皆様方の御指導と、長い間私を御支援くださいました全国の皆様方の御厚情のたまものであると心から感謝申し上げます。  私が最初に当選いたしましたのは鳩山内閣のときでありました。以来二十五年の議員生活を顧みますとき、まことに感慨深いものがあります。  いまや、日本は内外ともにきわめて重大なときであります。この際、私は、微力ながら、初心に立ち返りまして、議会政治発展のために全力を挙げてまいりたいと思います。どうぞ、皆様方におきましては、今後とも御指導のほどをひとえにお願い申しまして、お礼の言葉といたします。  どうもありがとうございました。(拍手
  35. 徳永正利

    議長徳永正利君) 阿具根登君。    〔阿具根登君登壇拍手
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 ただいまは、院議をもちまして、永年在職のゆえをもって表彰を賜りました。さらに、院を代表して町村先生より御丁重なる祝辞を賜りまして心から感謝申し上げ、厚くお礼を申し上げる次第です。  きょうは、一緒に表彰をいただき、私とともに二十八年第三回参議院選挙に当選されて、今日まで御指導いただきました市川房枝先生がこの壇上から謝意を申されることのできないことをきわめて残念に思います。しかし、議会の良心と言われた市川さんの火は、消えることなく、私たちの胸の中で燃え続けていくと思います。いまは、ただただ冥福を祈るのみです。  私は、二十歳から十年軍隊生活を送り、終戦直後、市会議員、県会議員を通って参議院に当選させていただきましたが、本日、はえある表彰をいただきましたことは、先輩、同僚、皆さんの御指導と御鞭撻により、あるいは終始変わらない全国の支持者の方々の温かい御支援のたまものと深く深く感謝申し上げる次第です。  顧みまして、夢と希望のみが大きくて、なすことの余りにも少なかったことを恥じ入っておる次第です。ある人の言をかりて申しますならば、夢を追い夢に追われて三十年、議事堂のほとりにひとりたたずむの感です。しかし、ますます国内外とも多端な今日、残された期間を精いっぱいがんばっていきたいと思います。  先輩、同僚の皆さんの御指導を心からお願い申し上げまして、謝辞といたします。  ありがとうございました。(拍手
  37. 徳永正利

    議長徳永正利君) 白木義一郎君。    〔白木義一郎君登壇拍手
  38. 白木義一郎

    ○白木義一郎君 一言、御礼の言葉を申し述べさせていただきます。  本日、私が永年勤続のゆえをもちまして、議長より院議による表彰を賜り、かつまた、先ほどは本院を代表して町村先生より身に余る御祝辞をちょうだいいたしまして、まことに感激にたえません。  顧みますれば、昭和三十一年、公明党初の国会議員として大阪地方区で初当選をさせていただいてより二十五年、現在ではわが党も衆参六十一名を数えるに至りました。三十六歳より五たびの試練を乗り越え、ただ一筋に議会活動の中で生きてきた私にとりまして、現在の党の陣容を見ますとき、一段と感慨を深くするものでございます。  このたび、不徳非才の私がこのような栄誉に浴し得ましたことは、ひとえに先輩、同僚議員の皆様の厳しくも温かい御指導があったればこそと、衷心より御礼を申し上げる次第でございます。  また、不肖な私を二十五年もの長きにわたり応援し続けてくださった地元大阪の有権者の皆様に心から感謝の気持ちを申し述べますとともに、この栄誉と喜びを分かち合いたいと思っております。  ところで、激動の八〇年代と言われてはや二年、世界の情勢は一段とその厳しさを増し、国際社会におけるわが国の比重はますます高まりつつあります。いまこそ世界平和を目指し、わが国が大きく貢献しなければならない時代に入ってまいりました。さらに、エネルギー、食糧、高齢化社会、教育、財政再建、安全保障など、政治が解決しなければならない問題が山積しております。私は、このときにあって、国民の負託を受けた国会の持つ責務の重大さと、さらにその中にあって本院の果たさねばならぬ使命の重さを痛感する次第でございます。ことわざに「初心忘るべからず」という言葉がございますが、私もこのたびのはえある表彰を機に、初心に立ち戻り、清潔、公平、自由な政治の実現を目指し、さらに精励してまいる決意でございます。  何とぞ、今後とも本院の皆様の御指導をよろしくお願い申し上げるとともに、本日、ともに表彰の栄に浴すべき先輩の市川房枝先生の詳報を心から悲しむと同時に、かつて無所属時代に、私ども、おばあちゃん、おばあちゃんと、実は控室であたかも母親のごとく接してまいりました先生の御他界を知りまして、ひとしお市川先生の残された政治的教訓等を大いに今後活動にあらわしていきたい、そのような気持ちを申し述べまして、今後とも皆様の御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、御礼の言葉にかえさせていただきます。  本日はありがとうございました。(拍手
  39. 徳永正利

    議長徳永正利君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十一分散会      ——————————