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政府委員(
中島一郎君) 単位株
制度をとるにいたしましても、その単位株の数を幾株にするかということについては、当初におきましては全く
議論がなかったわけではないというふうに聞いております。多数の
意見は、ただいま御質問にもございましたように、五十円券千株ということでございました。額面五万円ということでございました。その根拠といたしましては、現在、証券取引所における株式の取引単位が額面五万円であるというようなことが根拠になっておったわけであります。あるいはまた、
株主一人に対する管理費用が
年間二千円から三千円あるいはもっとよけいにかかるというようなことから、新しい
改正法のもとで設立される株式
会社にあっては、一株の額面は五万円以上とするというような線が出てまいりまして、そして自然と千株というような単位が出てきたわけでありますけれ
ども、それに対してただいま御指摘ございましたように、百株単位が相当であるという御
意見もあったわけであります。
確かに、その代表的なものといたしまして東京証券取引所の株式
制度改正試案に対する
意見というものがございます。これでは、具体的な数字といたしましては百株を一単位とするのを原則とするのが相当であるということで、諸外国との株価の比較でありますとか、あるいは現在、転換社横を発行いたしておりますけれ
ども、その転換社債が必ずしも大きな単位で発行されていない、あるいは五万円、十万円というような転換社債も発行されておるわけでありますから、一単位が千株ということになりますと、現在の時価で平均三十万一とか四十万とかというようなことになりますので、その転換社債を転換請求いたしました場合に、株式として一単位未満のものしか取得できないというような点でありますとか、その他いろいろな理由を挙げて百株説を主張しておられるようであります。
ただ、
改正試案において考えておりました単位株
制度というものは、原則といたしまして単位未満の新株を発行いたします場合に、
株主個人に
現実に株式を取得させるのではなくて、その単位未満の新株をまとめて一括処分をいたしまして、換価をいたしまして、そして
株主には現金で配分をするということを原則的に考えておったわけであります。
そうなりますと、
株主といたしましては単位未満株をだんだんふやしていって、株式を増殖をすると申しましょうか、持ち株をふやしていくということができなくなるわけであります。さらには、単位未満の新株を一括して大量に証券市場で処分をいたしますから、それが株価に悪い影響を与えるというようなこともあります。そういうことが
株主に対して株式投資に対する魅力を失わせるのでないかということから、証券取引所方面では難色を示しておられたということが大きな理由であったというふうに考えるわけであります。
それに対しましては、証券業界以外の
経済界、特に発行
会社などからは、百株ではとても合理化効果というようなものは期待できない、少なくとも千株単位でなければ、
改正法の単位株
制度の目指しておる合理化効果というものは考えられないというような
意見があったことはもちろんであります。
そこで、この試案をたたき台にして、さらに法制審議会で
議論をされました結果は、単位株は千株単位とする。しかし、その千株未満の新株を発行する場合には、
現実に
株主に株式を取得させるという
方法を採用するということにいたしたわけであります。それに対して東京証券取引所初め証券業界も、そういうことであればということで賛成、納得をされまして、そして現在の単位株
制度の構想が確定をした、こういう経過でございます。