○円山雅也君 確かにそういう
株式会社の形態をとって、それが節税になるだけの段階でとどまるならば私は商売のやり方の
一つとしてまだ是認できるんでございますけれ
ども、ところがたまたま
会社が有限責任なものですから、
株式会社は有限責任の特典だけを利用いたしまして、それでもって第三者に迷惑をかける。たとえば
会社と取引をして、
会社だけつぶしちゃって個人はぬくぬくとして、個人保証でもしない限り別
法人ですから、ぬくぬくとしちゃって、
会社つぶしてまた別
会社をつくってその
債権者に迷惑をかける。つまり
会社組織を利用して、全く善意な第三者に御迷惑をかけているというような事態までも発生をしている。だものだから、数年前、十年ぐらい前になりましょうか、最高裁が
法人格否認の法理というドイツの理論を取り入れまして、そのような実体が個人商店であって、単に対税上のみ
会社の外形上やっているやつはこれは
法人否認すると。だから、
債権者はそんなものは
会社として否認しておいて社長にでも請求できる、保証がなくてもという
法人格否認の法理の判例を打ち出しました。
ここでそこの問題なんですが、
大臣、私は
考えるんですが、
法人格否認の法理というのは、あれは一種の立法作業だろうと思うんです。というのは、立法府が、こういう組織を持てば
会社として認めるよとやって、そのとおりにつくったわけです。個人商店、
規模が小さいにしろ何にしろ、これをつくったわけです。ところが、司法判断の方ではそんな
会社は認めないよと、対
債権者に関する限りは認めないよと言って、
法律が認めている
会社を裁判所が具体例でもって否認してくるわけです。ということは、本質的には
法人格の否認の法理が発達したのはやむを得ない、つまり立法府がその点について手当てをしない、おくれているから、だからやむを得ず緊急避難的な司法権から立法権への介入みたいな形でもって何とか具体的な妥当性を図ろうというふうに出てきたんだろうと思うんです。といたしますと、この問題ですね、
大臣、そこまで立法の方がおくれておる。だからこそ四十九年の
附帯決議でも、
大小会社区別する
改正をしてくださいよと、衆参ともにそろってお願いをしたわけですね。
ですから、それでもなおかつ今度の
改正に、これは前に寺田先生の質問に
局長が答えられまして、いろんな点で
大小会社の何とか
区別をしようと努力していますが、ストレートに
改正は今度は盛り込んでおりませんとお答えになりましたけれ
ども、ぜひともひとつ
大臣、ぼくは立法府がもたもたしているものだから、だから司法権が三権分立を侵してまでも、
法人格否認の法理までも取り入れて具体的な妥当性を図らなければならないということは、やっぱり立法府の
一つの怠慢ではなかろうか。また、もしも
大小会社の
区別がそれほど単に理論的な問題にとどまって実害を及ぼしていないのならば、何も最高裁が好んで
法人格否認なんかを持ち出して無理な理論
構成をして、立法府が認めた
会社を否認する必要もないわけです。
だから、その辺ひとつ、ぜひとも立法府の責任として
大小会社に、どのような形になりますかわかりません。また
大臣のおっしゃるとおりこれは大変な大改革、大手術だと思いますけれ
ども、その点でも、個人商店が
会社組織にすることが単なる対税上ならば、ぼくはもっと違った形でその恩恵を否定しないで税法上の処理でできると思うんですね。それだから、
方法は何も
商法の大
改正じゃなくて、そっちの方で手当てができたならば、
大小会社の
区別の弊害は
かなりの
部分がなくなるかもしれないし、その辺ひとつ総合的にお
考えをくださいまして、この点について立法府として御努力をされるようお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。