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本岡昭次君 ただいま議題となりました
義務教育諸
学校等の
女子教育職員及び
医療施設、
社会福祉施設等の
看護婦、
保母等の
育児休業に関する
法律の一部を改正する
法律案につきまして、その提案の理由と
内容の概要を御説明申し上げます。
全国の多数の
女子教職員等の長年の懸案でありました
育児休業制度を創設する
法律は、御存じのように
昭和五十一年四月より施行され、早くも五年を
経過するに至りました。その間、本制度の利用
状況等については必ずしも明らかにされておりませんが、医療・福祉施設の
看護婦、
保母等に比べて多く利用されていると思われる公立
学校教員においてさえ、五十三年度の利用率は五四・四%、しかもその休業の期間は約半数が六カ月以下の短期間という
状況にあります。このように、
育児休業制度は遺憾ながら十分に普及、定着したとは言えない
段階にあります。その原因、問題点については、女子職員その他の
関係者から数多く
指摘されているところでありますが、当面以下の諸点について早急に
改善を図る必要があると考えるものであります。
その第一は、
育児休業期間中の期末・勤勉手当の支給に関してであります。
育児休業期間中の女子
教育公務員等に対しては、本法第六条第二項により、給与が支給されないこととされております。そのため、期末・勤勉手当についても、同手当の基準日である三月一日、六月一日または十二月一日に
育児休業中である場合には支給されないことになっております。その結果、産後休暇に引き続き
育児休業に入らず、産後休暇後基準日まで勤務に復帰してから
育児休業に入るという不自然な
状況も一部に出てきており、母性保護や乳児の養育上の見地からも、また
学校の
教育、
医療施設等の運営の上からも問題となってきているのであります。
また、本来、これら手当の支給対象となる在職期間があるにもかかわらず、これにかかわる手当を支給しないことは、
育児休業制度の趣旨から見てまことに不合理でもあります。
したがって、基準日が
育児休業期間中であっても、手当支給の対象となる在職期間に応じた額の手当は支給すべきであると考えるのであります。
なお、同法附則第二項及び第三項により、
育児休業制度の目的達成のため、当分の間、必要な給付を行うことができることとされております。現在、人事院勧告に基づくこの給付額は、共済組合の掛金分相当額にすぎないため、これら職員に不可欠な自己研修のための費用、互助会の掛金、育児のための経費等々経済的負担が重くのしかかり、
育児休業制度の利用をちゅうちょさせる大きな原因となっております。各種の
調査でも明らかなように、
育児休業期間中、互助会等で何らかの金銭的給付を行っている県において
育児休業の行使率が他県に比べて高いことは、そうした事情を物語るものと思われます。こうした点からも、せめて手当支給の対象となる在職期間に応じた期末・勤勉手当は支給すべきものと考える次第であります。
なお、人事院の勧告により、給付額の抜本的
改善が行われる必要があることも申し添えたいと存じます。
第二は、
育児休業の許可に伴う臨時的職員の任用についてであります。
本法第十五条においては、任命権者は
育児休業期間中、業務等に支障がない場合を除き、
教育職員または
看護婦、
保母等を臨時的に任用するものとする旨
規定されております。すなわち、いわゆる臨時職員が
育児休業期間中の職務を補助することが原則とされているのであります。しかし、その臨時職員についてはいまさら申すまでもありませんが、多くは六カ月で任用を更新するなどその身分は不安定であり、しかも賃金、待遇等も悪い状態に置かれております。また、
学校においては
育児休業期間中、いわゆる臨時の
担任教員が数回かわる場合もあるなど、
子どもの
教育上の観点からも問題が
指摘されております。
このように、現行の臨時的任用制度は、身分的に不安定で、かつ勤務条件の悪い臨時職員を多く生み出すという制度的な矛盾を有していると同時に、人材誘致や適切な職務の遂行という面からも十分でなく、
育児休業中の業務の円滑な実施にも支障を来すに至っているのであります。
また、すべてを臨時的任用に依存している現行制度の場合、必要な数の臨時職員が
確保できず、
育児休業が許可されないケースも起こり得るなどの問題もはらんでおります。
したがいまして
育児休業の場合も、
女子教職員の出産に際しての
補助教職員の
確保に関する
法律と同様、臨時的職員の任用のみならず、正式任用の特別の
教育職員または
看護婦、
保母等を
配置できる道を開く必要があると考えるのであります。これら特別の
教育職員等の数については、
育児休業の利用の実績によりある程度の必要数が想定できますので、今後はできるだけいわゆる正規の職員を任用し、臨時職員は必要最少限にとどめる努力が必要と考えるのであります。
なお、こうした
措置が
義務教育諸
学校等の
教育及び
医療施設、
社会福祉施設等の業務の円滑な実施につながることを確信するものであります。
以上が、本改正案を提出した理由でございます。
次に、改正案の
内容について申し上げます。
第一に、期末・勤勉手当については、手当の基準日が
育児休業期間中であっても、手当支給の対象となる在職期間がある場合には、これを支給できることとしております。
第二に、任命権者は、
育児休業期間中の職務を補助させることができるような特別の
教育職員または
看護婦、
保母等があり、それらの者にその職務を補助させる場合には、
育児休業に伴う臨時的任用を要しないことといたしております。
第三に、この
法律は、
昭和五十七年四月一日から施行することといたしております。
なお、最後に、参議院
文教委員会におきましては、第七十五回
国会において本
法律が可決された際、給付の拡充、保健婦等の適用範囲の拡大、財政
措置等について
政府、人事院が配慮すべき旨の附帯決議が全会一致で行われたことも念のために申し添えます。
以上が、本
法律案の提案の理由と
内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
以上です。
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