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参考人(
清水鳩子君) ただいま御紹介いただきました主婦連合会の
清水でございます。
特に本
委員会におきまして女性の
参考人をということで御
配慮いただきましたやに伺いまして、改めてお礼申し上げます。
私は、
制度のことについて、いままで御発言になりました
参考人のように細かく存じておりませんので、場合によりましたら見当違いなことを申し上げるかもしれませんけれ
ども、私たちが毎年調査をいたしましたり、それから
全国の適正化協議会の
消費者委員の会合をいたしましたりする中で出てきております、
消費者の目に映った今度の
改正点について幾つか申し述べたいと思います。
第一点は、
改正が是か非かということでございますけれ
ども、もう
実態が相当
法律と大幅に
乖離いたしておりますので、このまま推移するということは、やはり日本の
食糧の安全保障という観点からも、
制度を維持するということからも、もう限界に来ているというふうに思っておりますので、
改正ということには私たちは賛成だし、当然だというふうに思っておりますけれ
ども、その
改正が
現状追認ということにとどまらずに、
現状からさらに、何というんでしょうか、
制度の緩和の方向に向かうという
改正であってはならないと思いますし、むしろ
制度を、もう一度原点に返った
基本的な見直しの意味での
改正というところで歯どめをきちっとかけていただきたいというふうに思います。
それから、具体的に幾つか問題点として挙げてみたいと思います。
まず第一点は、非常に私たちは
法律の文章は読みにくうございまして、
法律というものがこんなに勝手に解釈できるというのは、今度の
改正を勉強してみて痛切に感じたことでございます。政令、省令という言葉をどういうふうに使い分けるかということもよくわかりませんでした。ですから私たちは、今回も
改正案の中に政令、省令にゆだねられる点が相当多うございます。しかし、これを行政なり
政府の方が自由自在に動かすということではなくて、やはり明確に
位置づけた上で
改正すると。農林水産省に御
意見を伺いますと、米価審議会ですとか適正化協議会の
意見を聞いていくのだということでありますけれ
ども、これは
消費者参加が完全に
制度的に保障されているわけではございませんで、あくまでも
意見を聞くということでございますので、ここの政令、省令にゆだねる部分というものは、もう少し
国民の前に情報が明らかになって、そして
消費者参加のもとで納得づくで進められるような何とかした
制度的な
位置づけをしていただきたいというふうに思います。
それから第二点は、
基本計画のところですが、これは現在の
自主流通米制度と
政府米との
関係にも大きく影響すると思いますけれ
ども、一体いつ、だれが、どこでこれを決めるのかということでございます。
需給の状況をということでございますけれ
ども、私は長年この調査をやってきて思うのですが、
消費者の
消費の動向というものは、
消費者が積極的にそういう
消費の動向をつくり出すというより、むしろ、そういうふうに追い込まれるというふうな色合いが大変強いと思うのです。
たとえば、
自主流通米制度が
発足したときのことを思ってみますと、これはいまとずいぶん姿が違っておりました。むしろ弊害の方が大きくなっているのじゃないかと思うのです。たとえばササニシキ、コシヒカリというもの、名前をつければそれはいいお米なんだ、おいしいお米なんだというふうな、行き過ぎた銘柄嗜好が
消費者の商品の正しい選択を相当大きく誤らせてきたと思うのです。この行き過ぎた
自主流通米の銘柄嗜好というものは、ここら辺でもういいかげんやめていただきたいというふうに思います。
そして、先日も毎日新聞の埼玉西の版というのですか、五月十日のこれを見ておりますと、ロジャースというところのスーパーの新潟のコシヒカリの大量格安
販売というのが出ております。これは十キロ三千九百円で四百袋とか五百袋を店先に山に積んで売りまくったそうですけれ
ども、こういうようなことも、やはり、コシヒカリとかササニシキといえば
消費者はだまされて、それが適正な
内容であるかどうかも判別できないために安いと思わされて買ってしまうということがありますので、これが
自主流通米の銘柄嗜好が往々にして不当な表示
販売とそれからこういう虚偽、誇大な安売り
販売に相当つながってきたと思うのです。
で、現在は
政府管理米と
自主流通米というものが、お互いに力を入れ合いながら何とかこの食管が守られてきておりますけれ
ども、今度は
改正によりまして
自主流通米がきちっとした
法律でお墨つきをいただくことになりますと、一体これがどういうふうになるのか。私はこれ以上、
自主流通米がこういう形でのさばっていって、
消費者の正しい商品選択を誤らせるようなことがあってはならないと思いますし、むしろやはりきちっと量とか
価格を
政府が
管理した米というものが食管の本筋ではないかというふうに思っております。
主婦連合会が去年の十一月に調査いたしました千人の東京の主婦の集計結果を見てみますと、五千四百円、五千五百円、六千三百円、七千三百円というような
自主流通米が売られているわけですね。これは、
消費者の書き間違いじゃないかと言われまして、全部カードを起こしまして御本人に確認したのですけれ
ども、間違ってはおりません。で、どういう形の米がこういう不当な値段で売られているかというふうに調べてみますと、やはり
自主流通米もしくはそれから外れておりますやみ米になるんでしょうか、自然食品センター、健康食品センター、それから共同購入、行商、こういう形でやはりササニシキとかコシヒカリという名前で売られているわけです。それから玄米という姿で売られているわけですね。この
実態が、
自主流通米が法的なお墨つきを与えられた中で一体どうなっていくのかということは、大変不安でなりません。
そして四番目でございますけれ
ども、やはり
食管制度というものは、
消費者がいつでも安心して米が買える、しかもその米の値段は適正な
価格で保証されているということが原則だというふうに思います。標準
価格米のことをちょっと調べてみますと、実際私たちの今度の調査では、標準米購入者が何と一〇%になってしまったわけですね。一〇%になったのだからもう標準米は要らないのじゃないかという御
意見をおっしゃる方が大変多いのですけれ
ども、私はそれは間違っていると思うのです。
なぜ間違っているかと申しますと、
全国の各県で標準米がどのくらい売られているかということを調べてみましたところ、
生産県では非常に標準米の購入者が多いわけです。一番多く買われているのが山形で六六%、それから二番目が秋田で六五%、三番目が岩手の六三%、四位が青森、福島の六〇%でございまして、東京の場合ですと、農林水産省の統計では二一%ということになっておりまして、私
どもの調査よりは高いわけです。
これの数字をなぜここで申し上げるかと申しますと、本当に品質がよくてそして安ければ、六十何%の
消費者は標準米を買いたいんだと、何も好きこのんで六千円も七千円もする米を買いたい
消費者はいないと思うのですね。それから、それでは山形とか秋田と東京では所得水準が違うのじゃないかという御反論があるかもしれませんけれ
ども、むしろ暮らし向きが苦しいのは東京の方だと思うのですね、いろんな物価が高いですから。そしてまた、東京とか神奈川とか大阪とか神戸とかと申しますこういう大
消費地に、安くて、そしていい米が供給されることが本当に
消費拡大につながるし、食管の本来の姿に立ち戻るのではないかというふうに思いますので、ぜひここで、食べないからこういうものは
制度として抹消していってもいいのじゃないかと、だんだんだんだん
政府の
管理は減らしていってもいいのではないかということは、ちょっと私は大変残念な
考え方だというふうに思います。そして、物価の安定ということがいつの時代にも
政府の最大な
国民に対する仕事だというふうに思いますので、ぜひ物価の安定という意味からもこの
自主流通米の無原則な
拡大に歯どめをかけて、そして安くてよい品質のお米を
消費者に提供するような
制度改正であってほしいというふうに思います。
それから次に、
贈答米のことでございますけれ
ども、これは
制度として今度認められていくようでございますが、同じく私たちの五十五年度の調査によりますと、よそからお米をもらったことがあるという人が四九%ございました。そして、去年は四六%でございますから、一年間で三%もふえているわけです。それから、もらいました回数は一年間に一回が最低ですが、最高の方は何と三十回という回数にわたっておりまして、それから量の方ですけれ
ども、一世帯で最高三百六十キロ、平均いたしますと一世帯二十九・六キロの米をどこからかただでもらっているという数字が出てまいりました。この一世帯二十九・六キロという数字は去年よりも四・五キロふえておりますので、この傾向はだんだんふえていくのではないかと思うのですね。こういう質問に対して
消費者の方は、一体食管というのはあるんですかと、まだ食管というのはあったんですかというふうな御
意見をおっしゃっていらっしゃるわけですけれ
ども、今度
制度改正によりまして、
贈答米ということに名をかりましてやみ米が横行するおそれはないのでしょうか。一体この一世帯平均二十九・六キロというこの
贈答米、年間五キロ近くふえていっているこの姿が、
改正によってどうなるのかということは、食管の
制度を守るという意味からも、大変に私は心配している点でございます。
それから次に、表示
制度でございますけれ
ども、この表示は私たちも、米価審議会で
消費者代表は口をそろえて二年くらい前から何とか米の袋に表示をしてほしい、表示のない食品なんて米以外にないじゃないかということで大分一生懸命主張してまいりまして、今度ようやく各地方自治体別に
制度が
確立されたわけですけれ
ども、やはりこの表示
制度をまだ知らない
消費者というのが大体四六%ぐらい調査で出てきたわけです。これはまだまだ行政のPR不足もここで指摘されておりますので、ぜひ表示を
徹底させることによってやみ米をなくし、そして
内容と
価格と品質がきちっと
消費者にわかるような売り方をするということを、今度の
制度の
改正の中でもきちっとしていただけるのかどうかという点も疑問でございます。
最後に、
小売店の問題でございますけれ
ども、これは私たちの調査によりますと、いつも決めた店でお米を買っているという人が八〇%と圧倒的に多いわけです、これはほかの商品とは全く姿が違っているのでございますけれ
ども。ただし、ここで調査をずっと追ってみますと、いわゆるお店をあっちこっち変えてみるという人が毎年四%から五%ふえてきているわけですね。いま
片岡さん、それから金山さんの方でこれ以上というお話がございましたけれ
ども、私はやはり
消費者がもう少し買いやすいという
小売の状況をつくり出していくということが
消費の
拡大につながるというふうに思います。
小売りの
業界が
消費減退の中で大変苦労しておられるので人口急増地帯にとどめてほしいというお気持ちも十分わかるのですけれ
ども、やみ米が発生する背景というのが、やはりお米屋さんが近くにないとか、それから配達が、共働きの方なんかは夜配達してくれないとか、日曜米屋が休んでしまうからとか、それから五キロ、十キロ買わないと配達してくれないとかということがやはりやみ米を発生させている大きな原因になっておりますので、やはりやみ米をなくすためには、この際
改正を
機会にして窓口をせばめていくというようなことは
消費者ニーズにむしろこれは反することですので、やみ米を追放するという意味でも、もう少し
消費者が買いやすいという状況を
小売の
段階でつくっていただきたいというふうに思います。
以上でございますけれ
ども、最後に、
制度の問題とは直接
関係いたしませんかもしれませんが、学校給食の米飯の値引きの問題ですけれ
ども、行財政の改革でなかなかお金も、第一次
計画が終わりまして来年の三月までは予算化されておりますけれど、それから先がどうも心もとないように存じますので、せっかく米が学校給食で定着し、ふえつつあるときでございますので、やはり五年で打ち切りなんということ、もしくは割引率を引き上げるというようなことは絶対しないで、もう少しこの成り行きを大切にしていただきたいということを重ねて
お願いして、
意見を終わらせていただきたいと思います。