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国務大臣(
亀岡高夫君)
水田利用再編対策は、もう熊谷先生も御承知のとおり、長期的視点に立って米の過剰をなくし、需要の動向に安定的に対応した
農業生産体制をつくっていこうということで、
昭和五十三年から十カ年で米の
需給の
バランスをとっていこう、こういう趣旨で始められた
施策でございまして、これなくしては
日本の
農政の確立が非常に困難である、
食管法の堅持も容易ではないという
事態に追い込まれることは明らかであるわけでございます。したがいまして、稲作からこの他作目への転換をしていかなければならないという
事態にぶつかるわけであります。
いままで米を
中心にして米作によって生計を
立てておった
農家の諸君は、
地域的に見ましても、また個別に個人として見ましても、
農家の苦労といいますか、
農家の
立場から言えばなまやさしいことではない、こういうふうに
考えられるわけでありますが、しかし、将来の
日本農業の生々たる、活力ある
農業体制をつくり上げていくには、どうしてもこの
生産調整という道は避けて通れない道である、こういうことで、
生産調整、
水田利用再編対策を開始をいたした次第でございます。
したがいまして、この
施策を進めるに当たりましては、
農業者はもちろん、
農業諸団体さらには市町村さらには道府県の協力なしにはこの
生産調整という大事業はできないと言っても過言ではないわけであります。いかに政府が逆立ちをいたしましても、
農家の協力なしではこの厳しい
生産調整というものはもう実行できないということで、第二期
対策を始めるに当たりましても、何遍か私自身も
農業団体に足を運び、全国市町村会にも足を運び、知事会にも足を運び、そうして、この
生産調整の避けて通れない情勢を誠意を尽くしてお話を申し上げ、そうして膨大な
生産調整の割り当てに協力をいただくということで今日まで来ておるわけでございます。まあ、幸いと申していいのか、あるいは
農業者の皆さん方、団体の皆さん方もある程度の米過剰の実態を克服しなければならないという情勢も理解していただいておる点等もありまして、とにかく今日まで
生産調整はおおむね計画以上に進めてくることができたわけでございます。
しかし、これを進めるためにも、やはり
農家がこれをやることによって
農家の所得がぐんと落ちてしまうというようなことになりますと、これはやっぱり
農家としても生きる
立場を強く主張をするということで、ただいまも先生から御
指摘のありましたように、農協青年部等が、とにかくこうして一応は
生産調整はやらなければならない、協力はしますということで協力はしていただいているものの、その気持ちにおいては、この
決議にあらわれておりますとおり、
農家の
立場も忘れてもらっては困るぞ、こういう気持ちを私はこの
決議に表明しておるものと、こういうふうに理解をいたすわけでございます。
したがいまして、これからも厳しい中を来年、再来年と第二期
生産調整対策、
水田利用再編対策も進めていかなければならぬわけでありますから、この点はひとり経済合理性あるいはそろばん勘定だけで推進してまいって果たして協力が得られるかどうかという問題がこれからあろうと思います。と同時に、転作した作目による収入、これもやはり相当政府としても
考えていかなければならない。しかるところ、大豆あるいは野菜さらにはその他の果樹類等に転作をいたしてみたとしても、いずれもこれは過剰の
状態というようなことで、収入も思うとおりの所得を得るという確信もなかなか困難であるということで、とにかく一部では
品種改良なり何なり技術的の検討を加えまして、単収を上げるという
努力をしながら
農家収入の増大を図るという処置をとっていかなければならない。そういう意味におきましても、なおかつ米をつくったときと比べれば所得がぐんと低くなる、その分をある期間転作が定着するまで見てやらにゃいかぬ、こういうことで奨励金を出す、こういうことにいたしておるわけでございまするから、私
どもとしては、やっぱり
農家に約束したことを約束した期間において忠実に実行いたしませんと、
日本農政の
基本であるところの米の
需給の
バランスをとる——いま御審議いただいておる
食管法の堅持という目的を果たすために大変困難な情勢になっていくということも
考えなければなりませんので、私
どもといたしましては、農協青年部が、
農業に従事する彼らの
立場をやはり一般の消費者の皆さん方からも理解してほしいという私は切なる願いがこの
決議にある、こういうふうに
考えておるわけでございます。
もう少し言わしていただければ、やはり一般の勤労者は昨年の物価上昇の分だけ賃金を上げてもらっておる、
農村は冷害で実質収入ががんと減っておる。そういうときに
農産物の
価格問題等については非常に厳しい批判、
指摘を受ける、そういう情勢に対処いたしますれば、やはりこういう
決議をしたくなってくるのが、これはまあ自然の気持ちではないか。
〔理事坂元親男君退席、
委員長着席〕
そういう気持ちをわれわれといたしましては十分理解した上で、やっぱり厳しいことをやってもらうためには、その厳しい
状態を十分説明をして納得してもらえる最小限のことはしていかにゃいかぬ、こういうふうに私は
考えておるわけでございます。