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国務大臣(
亀岡高夫君)
山田委員の御
質問でございますが、
農業基本法が
制定されて二十年間、この間
構造政策の中で適正な
施策が、
事業が進行したかどうかといったような御
質問でございますが、私はやはり
選択的拡大という
立場で
農業基盤の
整備をしなければならないということで、何度かのいわゆる
基盤整備長期計画等を樹立いたしまして、それに基づいて仕事を行ってまいってきたわけでございます。私はその面においてはある
程度の
事業が現在も進行中であると、こう
考えるわけでございます。できることであればもっともっと
農業面に対する
国家投資というものを重視すべきではなかったかという
反省があります。しかしながら、当時の
事情を
考えれば、苦しい
国家財政の中から、とにかくいまよりもある
意味においては
国家予算に占める
比率の高い
投資が行われてきたわけでございます。
したがいまして、私は
相当な
成果を上げてきておると、こう見ておるわけでございますが、いかんせん、この
基本法に基づくところの
長期見通しのその
見通しが適正であったかどうかという
反省はこれはやはり厳しくされたものと。今回の、昨年の十二月に答申の出ました
農政審議会のあの十年間の
長期見通しを御決定をいただくに当たりまして、その点
大変議論を呼んだようでございます。一人当たりの
日本人の
平均カロリー二千五百キロカロリーというものを今回採用されたというような点は、その
反省であろうと思うのです。その
見通しの適正でなかったという点がやっぱり今日の米過剰というような問題を生み出している
一つの
原因になっておるのではないかというような
反省も、私
どもとしてはいたしておるわけでございます。
と同時に、戦前ほとんど行われていなかった
土地基盤整備という問題が、戦後、とにかく
農業基本法が
制定されて以降特に速力を速めて
基盤整備が進行し得るようになったということは、私は大変その
意味においては
農業基本法は大きな
役割りを果たしたと、こう思いまするし、また、とにかく
都市勤労者並みの
所得を
農家にもということで
制定が行われたあの
基本法でございますが、その
方向に向かってある
程度の
成果を上げ、今日もう
世界屈指の高
所得国家という
立場を占める
日本において、
生産性の低い
農業に対して、
農業者の諸君がやはり
農業によってひとつ生計を立てていこうという
生産意欲を落とさずに今日まで来れたという、そういう
意味における
基本法の
農政の
展開というものは、私は
それなりに
成果を上げてきたと、こう見るわけでございます。
しかし、私はここで
反省しなければなりませんのは、
国内でそれだけ大きな
努力を払っておきながら、国の
貿易額が増大するに従って、
農林水産物資のその
輸入額に占める
比率がどんどんどんどん大きくなってきた。そうして、どこの国の人が来ても、
日本人の顔を見ると、もっともっと
農産物を買えと、もう
日本の
農業なんかそっちのけにしてとにかく買え買え、買え買えと、買わないのは
日本が悪いといったようなことを言わぬばかりにして
農産物を売りつけようと。今回も
経済局長、総理に同行して
アメリカに参りましたけれ
ども、表面的な正式な会合では出なかったようでありますけれ
ども、やはり
アメリカの側としては
日本にもう少し
農産物を買わせたいというような気があるのも、これはもう事実でございます。そのように
外国農産物の、
相手国からすれば輸出を
日本に対してしたいと、そういうのに対する
日本の
政策というものはやっぱりもっと厳しく対処しなければならぬのではないかと、こう私は現在時点において
考えるわけでありまして、話せばわかるという言葉がありますけれ
ども、そういう時代になってきておって、やっぱり厳しい
生活を強いられておる
日本農業の農民の
立場を
相手の連中にとことんまでわからせる
努力、これが必要ではないかと。
そういうことと相まって、私は
基本法農政というものが、あの
精神は今後も生かしていかなければならないと思いまするし、しかも、あのようにしてまいりますためには、やはり
もろもろの
計画等をつくる際のその
基礎データというものの取り方いかんによっては、その結果に大きな国民の負担をもたらすと。今日の米の消費という問題についてはっきりした的確な
見通しがあれば、もっともっと早く、この
生産調整的な
強行策をやらなくともいい
政策が生まれたのではないかという
反省もあるわけであります。
そういう
意味において、私
どもといたしましても、農林水産省挙げて今後の、
国会で議決されました
決議の
趣旨に沿い、しかも厳しい
外国からの
外国農産物輸入の要請に対してこれを適正にさばいていくという強い姿勢をもって
農政に取り組むと同時に、やはり現在
日本の
農業基盤整備はまだ中途半端であって、完成されていないのだということを
農業関係の方は理解されておられるわけでありますけれ
ども、
農業以外の特に
財界とか
産業界とか、そういう方々にそういう点の理解がないということがはなはだ残念である。そういう点に対するPRもわれわれは今後続けてやっていかなければならない、こんなふうに
考えて
指導をいたしておる次第でございます。