○
国務大臣(
亀岡高夫君)
農業者年金基金法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御
説明申し上げます。
農業者
年金制度は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な
年金の給付を行うことにより、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するとともに、国民
年金の給付とあわせて農業者の老後の生活の安定と福祉の向上に資することを目的とするものであります。
その実施状況を見ますと、
昭和五十五年末現在で、加入者数は約百八万人となる一方、
年金受給権者数は十七万一千人に達しており、適期の経営移譲が進んできておりまして、農業経営の若返り、農地保有の合理化に役立っております。
農業者
年金制度につきましては、少なくとも五年に一度、長期的な視点から
年金財政を見直す財政再計算を行うこととされておりますが、今回は、
昭和五十七年一月
基準で財政再計算を実施し、この結果を踏まえて所要の改正を行うことといたした次第であります。
本
法律案の内容は、次のとおりであります。
第一は、給付水準の引き上げであります。
年金額につきましては、農業所得の推移と国民
年金等の給付改善の内容を勘案して、
昭和五十六年七月分から、経営移譲
年金の額を保険料納付済み期間一月につき三千五百七十五円に、ただし、六十五歳以後は三百五十八円に引き上げるとともに、農業者老齢
年金の額を保険料納付済み期間一月につき八百九十五円に引き上げることとしております。また、脱退一時金及び死亡一時金につきましても引き上げを行うこととしております。
第二に、保険料の改定であります。今回の財政再計算の結果によりますと、保険料については、
年金財政の健全性の確保の観点から、相当な引き上げを必要とするのでありますが、農家負担の急激な増大を考慮いたしまして、
昭和五十七年一月から十二月までの保険料の額は五千百円とし、以後毎年四百円ずつ
段階的に引き上げることとしております。なお、
昭和五十八年一月以後の保険料につきましては、
年金額の物価スライド措置が行われた場合には、その措置に準じて政令で定めるところにより所要の調整が加えられた額とすることとしております。
また、保険料の額は、
昭和六十二年一月以後においては、法律で定めるところにより
段階的に引き上げられることとしております。
さらに、農業後継者の育成確保に資する見地から、将来の農業生産の中核的担い手となることが期待される後継者につきましては、引き続き、一般の加入者の場合と比べて保険料を三割
程度軽減することとしております。
以上が、この
法律案の提案の理由及び内容であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
次に、
昭和四十四
年度以後における
農林漁業団体職員共済組合からの
年金の額の改定に関する
法律等の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御
説明申し上げます。
この
法律案は、農林漁業団体
共済組合による給付に関し、恩給制度、国家公務員
共済組合制度その他の
共済組合制度の改正に準じて、既裁定
年金の額の引き上げ等による給付水準の引き上げ等を行おうとするものであります。
次に、この
法律案の主要な内容につきまして御
説明申し上げます。
第一は、既裁定
年金の額の引き上げであります。これは、
退職年金等の金額の算定の基礎となった平均標準給与を、
昭和五十六年四月分以後、
昭和五十五
年度の国家公務員の給与の上昇率を
基準として引き上げ、
年金額の増額を行おうとするものであります。
第二は、
退職年金等についてのいわゆる絶対最低保障額の引き上げであります。これは、恩給制度の改善に準じ、
退職年金、遺族
年金等に係る絶対最低保障額を引き上げようとするものであります。
第三は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。
第四は、遺族の
範囲の改正であります。これは、組合員期間が十年以上である者の配偶者について、遺族
年金を受ける上で、死亡した者との生計維持
関係を要することとするものであります。
第五は、
昭和三十九年改正後の
農林漁業団体職員共済組合法、いわゆる新法に基づく遺族
年金に係る寡婦加算の額の引き上げ等であります。これは、六十歳以上の寡婦または子がいる寡婦の新法による遺族
年金に加算されるいわゆる寡婦加算の額を引き上げるとともに、寡婦加算の適用を受ける受給者が同時に
退職年金等を受けることとなる場合は、必要な調整を行うこととするものであります。
第六は、高額所得を有する
退職年金受給者のうち、
昭和三十九年十月一日から
昭和五十四年十二月三十一日までの間に
退職した者に対する
退職年金の一部の支給を停止することであります。
なお、この
法律案に対する衆議院における修正の趣旨につきまして、便宜
政府側から御
説明申し上げます。
修正の内容は、この
法律案の施行期日である
昭和五十六年四月一日がすでに
経過していることにかんがみ、施行期日を公布の日に改めるとともに、標準給与の月額の引き上げについて、
昭和五十六年四月一日から遡及して適用する等、所要の規定の整備を行うものであります。
以上が、この
法律案の提案理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。