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国務大臣(
亀岡高夫君) その点は
政府のやっぱり
需要の見通しの誤りという点を率直に認めざるを得ないわけでございまして、不景気で
需要が伸びなかったからという逃げ口上もあるかもしれませんけれ
ども、しかし、やっぱりここで
政府が本当にその
責任を
感じて思い切った処置を講じなければ、にっちもさっちもいかないという
状態に踏み込んじゃってから処置をとったんではもう本当にどうしようもないと。いまならば何とかその処置ができるんじゃないか。
たとえて申し上げますと、五月から二国間協定が始まります。韓国は、もう去年はほとんど一俵も
日本に実際に売っていないんだから、五十五年に約束した分は少なくとも入れてほしいと言ってくるに違いありませんし、中国も同じことを言ってくるに違いありません。そういうのに対しまして、これをやはり
相当強い姿勢で、ある意味においては二、三年待ってくださいと、もう全量待ってくださいと、
日本の立て直しをするまでは待ってくださいというくらいの意気込みで外国との折衝をしないと、
日本のこの繭糸中間安定
価格による
制度を保持しながら
養蚕業を進展せしめていくという処置があるいは困難になってくるのではないかと、こういうふうに
考えるわけでありますが、何としてもやっぱり
日本の農業の宿命とでも申しますか、外国から入ってくる農産物、これについては、私は今度の擬装乳製品の
一つの経験しかございませんけれ
ども、やっぱり
日本の実情をよく話して、そうしてともに生きていく道をお互いに講ずるという話し合いをとことんまでやれば、ある程度こう理解し合えるのじゃないかなと。これは去年韓国、中国とも五割も実は減らしてもらったという経験と今度の擬装乳製品等の経験からかんがみまして、やっぱり
日本の農政というものが
日本の農業者のためを
考えなければいけないんだということを相手の国々にもわからせる。これはもうどんなことをしてもわからせなきゃいかぬと思うんです。
そうじゃございませんと、この間もニュージーランドの総理が来まして、ニュージーランドは自動車やテレビやそういうものをどんどんどんどん
日本から買っている、
日本は自動車をつくりテレビをつくる技術が上手だから、いいものをつくってくれるからわれわれは買うんだ、われわれはバターやチーズや、そういう畜産物のつくり方は
日本よりうんと上手だ、だから、
日本はそれをやめてそうしてニュージーランド物を買うべきじゃないかと、こういうことを総理
大臣が言うわけ。買わない方が悪いみたいなことを言うわけですね。それからこっちは、いやそれはちょっと待ってください、
日本だって牛を飼う権利はあるはずですと。やっぱり自衛のために国会でも決議をしてもらったんだから、そこのところはよく間違わないでもらいたいということをこっちも負けずに言うわけですね。そうすると、まあやむを得ないというような顔をして一時そこではもうこまを引っ込めてくれるわけですよね。そういうふうにしてだんだんと話し合いをしていく。
そういう意味においても、やっぱり
日本は農家もこうして苦労しているんだ、だから、苦労しているその苦労の
状態を理解してほしいということを相手に今度は言ってやらなければならない
状態にことしは私は来ていると思うんです。その際に、相手を納得させるための方策は何かというと、
日本は
日本だけうまいことやっておって何にもしないでおって、そうしてわれわれにだけその犠牲をかぶせてくるというのは貿易上思わしくないのじゃないかというような攻め立て方をしてこられますとなかなかこっちも踏ん張りにくいと、こういう事情もありますので、確かに
輸入に関しては、貿易管理令の発動並びに
生糸の一元
輸入の立法をちゃんとしていただいておる中でありますので、そういう点は十分
政府としても今後
考えていかなければならない、こういうことで、実は私も就任以来
事務当局を督励をして外国との折衝もさしておると、こういう事情でございます。