○
政府委員(
今村宣夫君) ブロー
法案の当初の案というのは非常にシビアな案であったわけでございますが、その後いろいろとやりまして、現在成立しておりますブロー
法案について問題を申し上げれば、
一つはフェーズアウト条項というのがございます。これはフェーズアウトという言葉は表面から隠れておりますけれ
ども、実質的にはフェーズアウトでございますが、それは外国漁獲枠の削減は米国
漁業の伸展の度合いに応じたものとするということでございます。
現在のブロー
法案以前においても、それは適正漁獲量を決めまして、それからアメリカの漁獲数量を引きまして、それを外国割り当て数量の総量といたしまして、その総量をそれぞれどういうふうに配分するかということでございますから、考え方としては、ブロー
法案が成立する以前におきましても、アメリカの
漁業が振興をする度合いに応じて外国割り当ては減っていくという考え方が
基本にあるわけでございます。
しかし、そこのところをもう少し端的に、どの程度アメリカの
漁業が発展すればどの程度外国の割り当てを滅していくかというふうな
一つの基準のようなものが設定されておりますから、それをさらに強力に前面に押し出したという形に相なっております。
ただ、漁期当初の漁獲割り当て量が減少いたしました場合にでも、米国が漁獲できない未利用部分が生じた場合にあっては、それは翌期中に割り当てを追加して行うという形になっております。したがいまして、米国の
漁業が今後伸展が見込まれます一部の魚種、たとえばギンダラのようなものについては、わが国に対する漁獲割り当て量の減少度合いが加速されるということはございます。
しかしながら一番大きな問題は、百二十万トンのうち八十万トン以上はスケトウダラをとっておるわけでありますから、スケトウダラのアメリカの漁獲実績といいますか、アメリカの
漁業の振興度合いというものは、これはそんなに急速にいくものではございませんから、当面このフェーズアウトが働くといいますか、大きく働く余地は私はないのではないかというふうに思っております。
それから
入漁料は非常に上がったというふうに認識をされておるわけでございますが、従来のアメリカの三・五%の
入漁料というのは、これは日本の内地へ持ってきた水揚げ価格ではございませんで、向こうでの舷側価格でございますから、これを水揚げ価格に直しますと大体一・七%ぐらいに相当いたします。したがいまして、これが倍になったとして三・五%ぐらいで、通常
入漁料三・五%と言われておった水準になったということでございまして、倍率として非常に引き上がったというふうな印象を受けますけれ
ども、
実態上の負担といいますならばまず三・五%、通常の水揚げ
入漁料の水準になったということでございます。しかしながら、それは上がることは確かでございまして、今後一体
入漁料はどういうふうになっていくのかということにつきましては、これは重大なる
関心を有するところでございます。
それから第三点のオブザーバー問題がございますが、これは法律運用におきまして例外規定を設けられましたので、私は、実行上の問題としてはそれは窮屈にはなりますけれ
ども、そんなに急速に窮屈になるというふうには思っていないわけでございます。
もっとも、実は私たちが一番
関心を持っておりますのは、漁獲割り当て量決定の考慮要件として、明示的にマーケットアクセスということの問題が取り上げられておるわけでございまして、一言で申し上げますならば、アメリカの魚をたくさん買う国にそういうことを考慮して割り当てをするということでございまして、この問題につきましては、わが国としましても、なかなか
対応がむずかしい問題ではないかというふうに思っておるわけでございます。