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1981-03-27 第94回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二十七日(金曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      藤原 房雄君     中野 鉄造君      下田 京子君     佐藤 昭夫君  三月二十七日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     下田 京子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         井上 吉夫君     理 事                 北  修二君                 坂元 親男君                 鈴木 正一君                 川村 清一君                 中野  明君     委 員                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 下条進一郎君                 鈴木 省吾君                 田原 武雄君                 高木 正明君                 初村滝一郎君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 村沢  牧君                 山田  譲君                 鶴岡  洋君                 中野 鉄造君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    衆議院議員        農林水産委員長  田邉 國男君    国務大臣        農林水産大臣   亀岡 高夫君    政府委員        農林水産大臣官        房長       渡邊 五郎君        農林水産大臣官        房審議官     矢崎 市朗君        農林水産大臣官        房審議官     高畑 三夫君        農林水産省経済        局長       松浦  昭君        農林水産省構造        改善局長     杉山 克己君        農林水産省農蚕        園芸局長     二瓶  博君        農林水産省食品        流通局長     渡邉 文雄君        農林水産技術会        議事務局長    川嶋 良一君        食糧庁長官    松本 作衞君        林野庁長官    須藤 徹男君        水産庁長官    今村 宣夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        沖繩開発庁振興        局振興第二課長  塩澤 更生君        農林水産大臣官        房審議官     井上 喜一君        運輸省海運局内        航課長      越村 安英君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○農林水産政策に関する調査  (昭和五十六年度指定食肉及び加工原料乳の価  格算定について)  (昭和五十六年度農林水産省関係施策及び予  算に関する件)  (畜産物価格安定等に関する決議の件)  (蚕糸業振興に関する決議の件) ○漁船損害補償法の一部を改正する法律案(内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月二十三日、藤原房雄君が委員辞任され、その補欠として中野鉄造君が選任されました。     —————————————
  3. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院農林水産委員長田邉國男君。
  4. 田邉國男

    衆議院議員田邉國男君) ただいま議題となりました衆議院農林水産委員長提出農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について、提案趣旨及びその主な内容を御説明申し上げます。  乳業施設資金融通制度は、酪農及び乳業の健全な発達に資するため、乳業を営む者に対し、農林漁業金融公庫から、その乳業施設改良造成等に必要な資金を融通することを目的として昭和三十六年に議員立法により創設され、自来、本制度に対し三度にわたり延長措置が講ぜられ、昭和五十五年度までの二十年間に約百九十四億円の融資が行われ、中小乳業者中心とした乳業合理化近代化に大きな役割りを果たしてまいりました。  しかしながら、乳業施設改良造成については、今後とも引き続き需要に見合った施設改良、拡充、零細施設の統廃合、立地移動による施設適正配置等を進め、もって乳業合理化近代化を図り国際競争力を強化していくことが必要とされております。  このため、本資金制度を以上のような実情に合わせて存続させるために、本年三月三十一日をもって期限の到来する本資金制度貸付期限をさらに五年間延長することとしてここに本案提出いたした次第であります。  以上が提案趣旨及びその主な内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  5. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) これより質疑に入ります。——別に御発言もないようでございますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います、——別に御意見もないようでありますので、これより採決に入ります。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います、    〔賛成者挙手
  6. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  8. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 次に、農林水産政策に関する調査議題といたします。  まず、昭和五十六年度指定食肉及び加工原料乳価格算定について、政府から説明を聴取いたします。井上審議官
  9. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 昨日から畜産振興審議会食肉部会、本日、酪農部会を開催いたしまして、昭和五十六年度指定食肉加工原料乳保証価格等を決定するための諮問を昨日行い、またきょう行っているところでございます。そういう諮問等についての御説明をいたします。  まず、畜産振興審議会食肉部会の中にあります資料をごらんいただきたいと思います。  その中で「指定食肉牛肉安定価格算定説明参考資料その1(去勢和牛肉)」というのがございます、  それの第一ページをお開きいただきたいと思います。算定方式は昨年と同様の算定方式をとっておりまして、P1イコールPOかけるI)かけるmプラスkで調整いたしまして、(1プラスマイナスv)で開いております。P1が求める価格でございます。PO基準期間、つまり過去七年間におきます去勢肥育和牛農家販売価格をとっております。それからIが基準期間過去七カ年間の平均価格に対します価格決定年度去勢の若齢肥育和牛生産費指数、つまり生産費変化率でございます。mとkは、農家販売価格枝肉卸売価格に換算する換算係数でございます。vは価格変動係数でございまして、試算いたしましたのがその下にあります式のとおりでございまして、安定上位価格につきましてはキログラム当たり千八百十七円三十二銭、安定基準価格につきましては千三百九十九円十八銭ということになっております。  それから二ページの算式2につきましては、これも従来から検証いたしております算式でございますが、これで求めますと、安定上位価格キログラム当たり千七百八十三円八十七銭、安定基準価格が千三百七十三円四十三銭でございます。  以下のところ、細部の説明資料がございますが、時間の関係上割愛さしていただきます。  次に、「算定説明参考資料その2(その他の去勢牛肉)」という資料をお開きいただきたいと思います。  この「その他の去勢牛肉」につきましては、昨年までは、去勢和牛牛肉価格算定いたしまして、それから一定の価格差といいますか、そういうもので算定いたしていたわけでございますが、本年度でちょうど五年間の生産費調査が整いましたので、その生産費調査を利用いたしまして、去勢和牛肉とは別途に安定価格算定するようにいたしております。これが昨年と変わった点でございます。  算式は、去勢和牛肉と同様に、P1イコールPOかけるI)かけるmプラスk(1プラスマイナスv)でございます。違っておりますのは、生産費調査期間五ヵ年でございますので、POIの算定につきまして、過去五年間の係数といいますか、数字を用いている、そこだけが違ってございます。試算は、その下にございますように、安定上位価格キログラム当たり千四百五十二円四十三銭、安定基準価格は千百十八円二十五銭でございます。  二ページにまいりまして、算式2で検証いたしましたのが、安定上位価格キログラム当たり千二百八十円二十三銭、安定基準価格が九百八十五円六十七銭でございます。  以下が説明参考資料でございます。  食肉の最後は豚肉でございます。「昭和五十六年度指定食肉豚肉安定価格」の「参考資料」をごらんいただきたいと思います。  一ページでございますが、算定方式はP1=(POかけるIかけるα)かけるプラスk(1プラスマイナスv)でございます。このαといいますのは需給調整係数と言っておりまして、1プラスQA分のQ1マイナスQA)〔α〕で算定いたしております。P1が求める安定価格でございます。PO基準期間肉豚農家販売価格肉豚の場合は基準期間が五年でございます。五年間の肉豚農家販売価格。Iがその基準期間に対する価格決定年度、つまり五十六年度肉豚生産費指数生産費変化率でございます。αがただいま申し上げましたように豚肉需給調整係数でございます。mとkは肉豚農家販売価格生体でございますが、生体販売価格枝肉卸売価格に換算する係数でございます。vは価格変動係数でございます。QA昭和五十六年度豚肉推定需要量でございます。それからQ1が五十六年度の同様に推定供給量でございます。γが価格供給弾性値でございます。  こういう算式に基づいて計算いたしました結果、安定上位価格キログラム当たり七百七十九円三十銭、安定基準価格キログラム当たり六百円ということに相なるわけでございます。  それから二ページにまいりまして算式2でございます。これも従来方式計算いたしたわけでございますが、安定上位価格が七百二十三円十五銭、安定基準価格が五百五十六円七十七銭でございます。これはいずれも皮はぎ法で整形いたしたものでございまして、湯はぎ法で整形したもの、これは皮がついてございますが、これは七%これより安くなる、安い格差がつくわけでございます。  以下、説明参考資料でございますので、省略させていただきます。  以上が指定食肉でございますが、昨日の畜産振興審議会食肉部会答申をいただいておりますが、本文のところを読ませて、いただきますと、「指定食肉生産条件及び需給事情その他の経済事情についてなお検討すべき問題があるが、この際総合的に判断して、試算に示された考え方でその安定価格を決めることは止むを得ない。」ということで、諮問の線で価格を決定するようにと、こういうような答申をいただいております。  次に、本日開催されております酪農部会資料でございますが、「保証価格等算定説明資料」というのがございます。これは酪農部会の袋の中に入ってございます。  まず八ページでございます。保証価格につきましては、算式は。PイコールCプラス(T1プラスTプラスT3)ということでございまして、Pが求める価格、Cが主要加工原料乳地域における推定第二次生産費、それからT1が推定租税公課請負担でございます。T2が推定の集送乳経費、T3が推定販売手数料でございます。つまり工場渡し価格で決めておるわけでございます。  で、試算いたしますと、Cが八十三円九十銭、T1が一円三十八銭、T2が二円五十四銭、T3が一円五銭。したがいまして、価格が八十八円八十七銭になるわけでございます。  それの算定基礎が九ページにございます。  そこで、算定基礎の中で主だったものについて御説明いたしますが、まず十ページをお開きいただきたいと思います。二番目の「飼育労働費(家族)の算出基礎」という項目がございます、これは従来五人以上の北海道におきます製造業賃金でもって評価がえをしてきたものでございまして、この評価単価が千八円三十六銭になっております。「イ」のところでございます、評価単価。こういう五人以上の製造業賃金単価評価をいたしております。それから労働時間が二時間十分でございますので、飼育労働費といたしましては、これは時間と単価を掛けまして、二千百十八円ということに相なっております。  それから十二ページをお開きいただきたいと思います。十二ページの4、一番上でありますが、「副産物価額算出基礎」でございます。これは子牛廐肥でございますが、生産費調査期間は五十四年の七月から五十五年の六月でございまして、子牛価格が高かった時期でございます。したがいまして、五十六年度推定生産費算定いたします場合に、最近の物賃を使いまして修正をいたしております。それが一番上の「子牛」というところでございまして、五十五年度生産費では千百五十二円となっておりますが、それが九百二十六円に落ちております。それから廐肥につきましては、これはそれぞれ用いました生産費でもってここに入れてございます。「子牛」のところが若干安くなっているということは、生産費プラスになるといいますか、生産費を押し上げることに相なるわけでございます。  それからその次の5の地代でございます。地代につきましては、借入地地代基礎にいたしまして所有地地代算定をいたしております。借入地地代が、生乳キログラム当たり借入地地代としては田、畑、その他州にございまして、六十二円五十七銭でございます。これを基礎にして計算をいたしますと、所有地地代の方は、その一番下にございますが、三百五十七円八十六銭でございまして、地代の総計といたしまして四百二十一円四十三銭に相なります。生乳キログラム当たりでございます。  それから十三ページ、6の資本利子でございますが、資本利子につきましては、これは借り入れの場合は借り入れの実績をとっておりますが、自己資本につきましては、これは農協の通常預金の金利をとっております。したがいまして二分五厘の利率をとって算定いたしております。そういったところが主要な算定基礎でございます。  次に、十五ページに参りまして、安定指標価格でございます。安定指標価格についてはすべて据え置きということにいたしております、  次に、〔III〕の基準取引価格でございますが、これは加工メーカー製造経費等を厳正に査定いたしまして、これも昨年のとおり据え置きということにいたしております。  それから十九ページに参りまして、限度数量でございます。限度数量算定方式は、ここに書いてございますように、LイコールDで、Dは推定特定乳製品向け生乳需要量でございます。  この需要量をどうして出したかと申しますと、推定需要量から控除すべきものを差っ引く、こういうことにしておりまして、差っ引きますのは、昭和五十五年度末におきます推定民間過剰乳製品在庫量の三分の一を差っ引く、こういうことにいたしております。  したがいまして、二十ページになりますが、試算といたしましては、需要量が百九十三万トン、それから要控除量が八万三千トンでございます。これはただいま申し上げましたように、民間過剰在庫の三分の一相当量に当たるものでございます。したがいまして、これを差っ引きますと、生乳需要量といたしましては、百八十四万七千トンになるわけでございます。これをもって限度数量といたしております、  以上で、簡単でございますが、説明を終わります。     —————————————
  10. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 引き続き、昭和五十六年度農林水産省関係施策及び予算に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 川村清一

    川村清一君 私は加工原料乳の問題を中心にして若干お尋ねしたいわけでありますが、そこに入る前にちょっと大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、ただいま審議官からいろいろ御説明をちょうだいしたわけであります、いろんな数字を挙げての御説明でございますが、いまこれを聞いて、いただいた資料を見て、そしてこれからいろいろ質問しようと思っても、数字をいろいろ分析して考える余地がないわけであります。  そこで、これは毎年感じていることなんですが、きょうの畜産振興審議会酪農部会政府諮問案を出した、その諮問案内容をいま概略説明いただいたわけでありますが、ここですぐ質問せいと言ったって実際は無理なんですな、  そこでお尋ねしたいことは、国会にこういう資料が出されて御説明をいただく前に、けさ新聞にはこれは出ているわけですね。国会報告される前にマスコミに出されるということは、一体これはどういうことなんですか。そういうことなら、きのうこれをいただければ、ゆうべ徹夜してでも私なりにいろいろ数字も分析して的確な御質問もできると思うのでありますが、とてもできるものではございません。そこで、一体どういうわけで国会に発表される前にマスコミに出るのか。これは大臣、どうも合点がいかないので、この点明らかにしていただきたいと思うのです。
  12. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) この審議会関係のデータにつきましては、統計情報部で最終的な統計数字を出したのがたしかおとといであったかと思います。実は私もその数字報告を受けて初めて生産費実態というものを知ったわけであります。それが原局に渡りまして、原局はその統計情報部数字に基づいて、ただいま説明した諸方式に基づいて計算をいたしていくわけでございます。  これは徹夜徹夜でやっておるわけでございまして、私どもといたしましても、審議会にかける前にその数字が外に出るということで、審議会からも国会からもたびたびおしかりをちょうだいをいたしておるわけであります。厳重に取り扱いを指示いたしておるわけでありますが、新聞に先に出てしまうということにつきましては、まことに申しわけないと、こういうふうに考える次第でございまして、今後も取り扱いに十分注意しなければならない、こう考えておる次第でございます。
  13. 川村清一

    川村清一君 私は新聞に出たことをけしからぬと言っているのでは決してないのです。新聞社の方も報道機関として、一日も早くその実態国民皆さん方にお知らせ申し上げる、情報を提供する、これが仕事でございますから、新聞記者の諸君も命かけてやっている仕事ですから、決してこれはけしからぬと言っているわけではない。新聞が知るように国会の方も、われわれも国権の最高機関として、そうして国民の代表としてここへ来ているわけでありますから、国民皆さん方が心配しておる、特に関係する農民方々が心配しておるその問題については十分に承知して、そうしていま説明されました生産費のようなものも検討して、その上に立って的確な質問国民を代表しての質問を展開したいと、かように思っている。  ですから、新聞皆さんが知るように、われわれにも早く知らせていただいたらいいんではないか。と同時に、審議会においても、これはけさ審議会を開かれて、そこへこういうものを出されて、これを報告される、これを十分御審議の上しかるべき答申をいただきたいと、こうやったところで、審議会皆さん専門家ですから、ぱっと見ただけでわかるかもしれませんけれども、しかしみんながみんなそうでないと思う。その方にも、今度はこういうものを諮問しますから十分検討しておいていただきたいという形で早く出し、審議会も実のある審議をするようにされたらいかがかと私は思うわけですね。これはどうお考えになりますか。
  14. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) まことに恐縮千万でございますが、実はいまお配りいたしているこの資料の完成を見たのが夜中の十二時ちょっと過ぎころであるわけでございます。したがいまして、それから印刷に回しまして、そして審議会に間に合わせるという作業をするわけでございます。  もっと早くやればいいじゃないかという御指摘もあるわけでございますが、私どもとしては、できるだけ近時点における数字農家実態というものに沿うような計算方式をとるべきであるという認識のもとに、諾先輩のつくられたルールが自然にこういうふうになってきたのかなと、こう思うわけでございます。  したがいまして、諸先生方のところに御勉強をいただくということで早目にお届けしなければならぬという御指摘、まことにそのとおりでございますが、夜中にできてしまうという、その辺にもう少し農林水産省としても諸先生方の御要請にこたえることのできるような工夫をしなくちゃ、とても夜中にお届けするというようなこともできませんので、この点につきましては検討をさせていただきたいと、こう思いますので、よろしくひとつお願いしたいと思います。
  15. 川村清一

    川村清一君 そこでお尋ねいたしますが、本日のこの畜産振興審議会酪農部会政府諮問された内容、ただいま発表されまして承知いたしましたが、私といたしましては、きわめて遺憾であって、絶対に承認できないものであります。保証乳価が四年据え置きということは、これは一体どういうことなのか理解できない。  私もこの委員会に長くおるわけでございますが、昭和五十二年度価格は、これはいまの総理大臣鈴木さんが農林大臣のときに決まったものであります。その価格が五十二年の農林水産大臣中川さんのとき据え置き。その次五十四年の農水大臣はいまの大蔵大臣の渡辺さん、このときも据え置き。そうして五十五年の農水大臣は武藤さん、このときも据え置き。そして現在の亀岡農林水産大臣でまた据え置き。四年間据え置き価格にすると、五十二年の価格が五十六年まで続くわけでありますから、まさに五年間現行の価格で据え置かれるということになるわけであります。一体これはどういうことなのか、全く理解できない。  特に、加工原料乳の主産地は北海道です。北海道出身の私としましては、農家実態というものをよく承知しているだけに、理解できないところか、腹が立ってしようがないというのが現在のこれは偽らない気持ちであります。北海道はまだ雪が降っているんですよ、大臣。きょうのテレビニュースでは北海道は雪が降っている。このように厳しい自然条件の中で、道北、道東において酪農をされておる方々は、戦後、食糧増産という大きな使命を帯びて北海道の僻地に入植して、営々として今日まで働き続けておる、そして多額の負債をしょって辛苦に耐えながら経営に懸命な努力をしておる。こういう農民に対する政府処置というものは、まさに血も涙もない冷淡な処置ではないかと私は考えるわけでありますが、理屈抜きにそう考えるわけでありますが、亀岡農林水産大臣、いかがでございますか。あなたの率直な御心境をお尋ねしたい。
  16. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 私は日本酪農が、その浅い歴史にもかかわらず、日本農業の中で非常に短期間の中に生産性を向上し、そうしてその経営態勢を強化をしてきておるということにつきましては、本当に敬意を払っておるところでございます。すでにEC並みの経営規模を超える酪農家も出てくるほどになった。しかし表面上の形はEC並みとは言うものの、その中身においては基礎が非常にがっちりとまではいっておらない、負債も非常に多いということで、その経営が容易でないということも十分承知をいたしておるところでございます。  しかるところ、生産過剰という状態がございまして、自主調整もやりまして生産調整もやっておられる。そういう中に外国の乳製品がどんどん入ってくるということで、これはできるだけ外国からの不当と思われる乳製品の輸入はできるだけ削減していかなければならぬということで、私、就任以来実は疑似乳製品等について強い指示を与えまして、そして事務当局に、その輸入制限、規制を命じたわけでありますが、なかなか意のごとく進んでおりません。しかし最終的に今月いっぱいにそういう面での話し合いの結論も出せるであろうというところまできておるわけであります。  こういう厳しい中で、しかも乳価を四年も五年も据え置くということをいたしたわけがありますが、それを踏み越え、それを乗り切ってやってきていただいておる酪農家の皆さん方でございますから、しかも酪農業というものが、将来の日本の長期見通しや、あるいは八〇年代の基本方向に沿う日本の農業の将来を考えますとき、酪農がトップを切っておる、先駆者の役割りを果たしてくれておる、酪農経営を成功させなければ、日本農業はどんなに言っても政府施策についてきてもらえないという認識を私は持っておるわけであります。したがいまして、過剰な牛乳というものに対する規制をやってまいりますためには、ここのところもう少しがまんをしていただく。もう少しと言っても、もう五年も六年もがまんをしていただいているわけであります。  しかし、そのがまんをしていただけるような施策をそれじゃおまえ何か持っているのかと、こういうことを言われるわけでありますが、私といたしましては、そういう面において負債の問題、この委員会でもかつて申し上げたことがあるわけでありますが、この負債問題について今回相当思い切ったことをさしていただくようなことを事務当局には実は命じてあるわけでございます、きょう審議会でどういう御答申をちょうだいいたしますか、その答申を十分検討いたしまして、そして適正に乳価を決定していきたい。  昨日も北海道からお見えになられた酪農家の方々の話を直接私も一時間以上にわたってお聞きいたしました。その方々の話も十分私は理解しておるつもりでございますので、われわれの施策をひとつじっと信頼していただく。ように最善の努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  17. 川村清一

    川村清一君 私は、亀岡農水大臣の非常にまじめな誠実な人柄というものには尊敬の念を持っておるわけであります。したがって、ただいまの御答弁を聞いてもそれなりに評価はするわけでありますが、しかしこれを繰り返してきている。  先ほど申し上げましたように、五十二年の中川農水大臣のときもずいぶん議論したんです。そのとき中川さんは、これをこのまますれば、第二の米になるということを恐れているんだ、心配しているんだ、だからこの保証価格は据え置く、ただし限度数量については上げるように努力するというお話を伺って、それでわれわれも承知したわけであります。  同じようなことを次の渡辺大臣もおっしゃる、次の武藤大臣もおっしゃる。そして今度は亀岡大臣も切々としてそういうふうに訴えられておる。ところが大臣が、いま申し上げましたように、毎年かわっていくわけです。同じように畜産局長もかわっちゃう。前犬伏局長と私はずいぶんここで議論した。大臣もお聞きになっておるとおりです。ところが、今度は犬伏さんにかわって森実さんが局長になられた。きょう酪農部会の方に出られておって、きょうは審議官がおいでになっておりますが、大臣は毎年かわる、局長も毎年かわる。委員会のときはなるほどというような御答弁をいただくわけでありますが、次の年にはまた同じようなことをこっちで言わなければならない。これは余りひどいんではないかと思います。  いま大臣おっしゃったように、あの寒い遠い北海道からたくさんのお金を使ってたくさんの方々が代表者として上京されてきておるわけです。切々として窮状を訴え、経営の実態を訴えて、何とか助けてくれと言って大臣局長やその他の方々に陳情されているはずであります。野党のわれわれのところへさえ来ているんですから、与党の自民党の先生方のところには本当にたくさん押しかけてお願いをしているんではないかと思うんです。  にもかかわらず一銭も上がらない。おまけに限度数量は、ただいまの説明を聞いたら、百九十二万トンできたのが、今度は八万三千トン減って百八十四万七千トンになる。乳価が据え置き限度数量は減る。四年間乳価は据え置いてきたが、ここのところで限度数量が落ち込んだ。いろいろ理屈はあるんでしょう。その理屈の数字を分析してこれをここで言うほどまだ勉強してないんだから言えないけれども実態としてそうなってきているんです。  どうですか。これではあなた余りに農民に対して気の毒ではありませんか。血も涙もない処置というのはこういう処置ではないかと私は思うわけですが、大臣、もう一度大臣の御意見をお聞かせいただきたい。
  18. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 限度数量の問題につきましても、私どもといたしましては、この酪農界の実態というものと国家財政の状態というものとを考えてこういう案を一応お示しいたしたわけでございます。こういう点に対しまして審議会からどういう御指摘を受けますか、また本委員会からも、ただいま川村委員からもそのような御指摘をちょうだいしたわけでございますので、十分検討をさせていただいて適正に最終的には決めさせていただきたいと、こう考えます。
  19. 川村清一

    川村清一君 審議官にお尋ねしますが、酪農経営農家がこの四年間——私の方は常識で申し上げるんです。あなたが説明された数字を検討する時間がないということを先ほど申し上げたんですから、あくまでもこれは常識でございますが、どうですか、生産費は上がっているでしょう。配合飼料、飼料は上がっているでしょう。労賃だって上がっているでしょう。さらに物価はこの四年間どのくらい上がっていますか。そうすると当然農家の生活費も上がっているでしょう。こういうものを一切考慮しないで決めているんですか。生産費は下がっているのか、上がっているんですか。これをまず端的に説明してください。
  20. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 先ほど説明をいたしました資料で御説明した方がよいかと思いますので説明さしていただきますが、九ページにそのことを書いてございます。  確かに賃金、飼育労働費も、これは五人以上の製造業の賃金をとっておりますので上がっております。昨年は単価が九百三十五円四十二銭でございましたが、ことしは千八円三十六銭というのを使っておりますし、流通飼料費につきましても御案内のとおり上がっております。ただ、流通飼料費の場合は補てんがございますので、流通飼料費の計算におきましてはその補てん金として受けるものは差し引いております。しかしそれを差し引きましても単価が上がっているわけでございまして、これは価格の上昇要因になってございます。  それからその他の費目につきましてもかなり上がっているのが多いわけでございまして、五十五年度の費用合計で見ますと、キログラム当たりで申しますと七十八円五十三銭となっておりますのが、五十六年度推定生産費では八十七円三十二銭と、こういうぐあいに相なるわけでございます。  ところが副産物がございます、副産物価額につきましては、先ほどの説明で御説明いたしましたように、子牛価格が下落をしております。下落をしておりますということは、副産物の収入が少ないというわけでございまして、これも五十五年度生産費に比べまして生産費を押し上げる要因になっております。  そういうことで第一次生産費を比較してみますと、五十五年度生産費は六十三円六十一銭でございますのに対して、五十六年度推定生産費は七十四円十三銭というぐあいにこれも上昇しております。  ただ、昨年と違えておりますのは地代資本利子でございます。地代につきましては、借入地につきましては現実に支払っております小作料というものを計上いたしましたが、自作地につきましてこれをどのように評価するのかというのが問題でございます。昨年はこれを自作地の近傍類地の小作料をとりまして評価をいたしたのでございますけれども、ことしは借りております借地の小作料をとりましてそれでもって評価をいたしたわけでございます。  資本利子につきましては、昨年は農協の一年の定期預金というのを基礎にいたしまして算定いたしましたのを、ことしは普通預金の金利でもって評価をいたしたわけでございます。そこが若干違っております、
  21. 川村清一

    川村清一君 あなた一生懸命力ページのやつを説明しているが、ぼくはすっと見ただけでこれだけはわかる。五十五年と五十六年とを比べて生産費、費用の合計、これは百キロ当たり七千八百五十三円、これが八千七百三十三円と上がっておる、それから副産物が千四百九十二円が千三百二十円に下がった。第一次生産費は六千三百六十一円から七千四百十三円に上がっておる。地代が若干下がった。資本利子は若干上がった、それから第二次生産費は七千四百十七円が八千三百九十円に上がっておる。大体において下がっておるものはない。総体的に言って生産費は上がっているでしょう、生産費は上がっておる。上がっていますね、これは。審議官どうですか、上がっていますね、
  22. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 費用の方は上がっております。
  23. 川村清一

    川村清一君 生産費は上がっておる。そうすると、今度は保証価格を、乳価を抑えるという要因は何か。限度数量を引き下げるというその要因は何か。そうするとこれは需給の不均衡だと。在庫はある。これに帰するんですよ、要すれば。あなた方の言葉で言えば生産過剰だということなんでしょう、生産過剰というならば、酪農家は勝手に幾らでもつくればいいということでやっているわけではないんでしょう。ここに法律があって、法律に基づいて酪農近代化基本方針を五十一年の三月に出しておる。さらに五十五年の十二月に第四次の基本方針が出されて、そうして畜産振興審議会諮問して答申をいただいていますね。それには明らかに生産目標というものがあるでしょう。その生産目標を度外れて生産をやっているんですか、農民の方は。どうですか、審議官
  24. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 確かに昨年第四次の酪近計画といいますか、酪農近代化方針を出したところでございまして、これは農産物の需要の長期見通しに即しまして策定したわけでございます。御案内のとおり、昭和六十五年を目標といたします長期の生産目標でございまして、そういうことから毎年毎年の生産目標については特別の言及はないわけでございます。したがいまして、不足払い法に基づきまして算定をいたします価格でありますとか、あるいは限度数量といいますのは、現実に最近時点の需給動向でありますとか、あるいは生産費の動向等を勘案いたしまして策定すべきものでございまして、われわれはそういう意味におきまして、来年度需給見通しというものの上に立ちまして限度数量を決定するとか、あるいは保証価格につきましては、生産費の動向あるいは最近の需給動向等を勘案して、不足払い法の趣旨に基づきまして、決定といいますか、このような算定をいたした次第でございます。
  25. 川村清一

    川村清一君 その辺のことはわかっているんですよ。それで私のお聞きしていることは、そういうことではなくして、生産過剰が一番大きな要因である。生産費が上がっているんだから、上がっている以上上げなければならない。それを上げないというのは生産過剰だ、在庫がだぶついている、これ以外にないでしょう。  そこで、私がお聞きしたいのは、五十一年の第三次の近代化方針では、一つの見通し、六十年に向けての生産の目標というものを出しているわけでしょう。次に去年の五十五年に諮問したのは、いわゆる長期見通しの六十五年に向けての方針を出しているわけでしょう。そこで一つの生産目標というものがあるんです。これを全然度外れに一体生産しているのかどうか。むしろ二年間自主的に自主調整やって減産しているんでしょう。もっと生産能力あるんですよ。その生産能力を抑えて減産しているんでしょう。だから、生産過剰ということになれば、責任はその生産農民にいくんですが、生産農民には責任ないんだ。この方針に基づいて、見通しに基づいて生産しているんだ。そういう見通しに基づいて経営方針を立ててやるから、それに対して政府はお金を貸してくれるんでしょう。どうなんですか。一体酪農家が、これだけの規模の酪農を経営したい、これに要する費用はこれだけだ、この金をすぐ貸してくれ、こう言った場合にすぐ貸しますか。貸す場合には、一体その計画そのものが政府の一つの目標に合っているかどうか、これでもって経営が成り立つか、成り立たないか、そういうものをしさいに吟味してお金は貸すもんではないですか。借りたいという申し込みがあったら、おっ、おっと言って幾らでも貸すもんですか。どうですか。審議官、この辺説明してください。
  26. 井上喜一

    説明員井上喜一君) たとえば酪農家が農協から資金の融通を受けます場合には、ただ国の長期見通しがこうであるから金を貸すというようなことではございませんで、もちろん農家の経営計画が、営農計画がどういうぐあいになっているのか、そういうことをしさいに検討いたしまして、経営的に十分今後成立し得る、発展し得ると、こういう見込みがあるものについて融資をしているというのが現況だと思います。  ただ、その場合の状況の判断といたしまして、将来の酪農の見通し等を判断いたします場合に、将来飲用牛乳の消費はどのぐらいになっていくのか、乳製品の需要はどうなるのかと、そういう判断をするわけでございまして、それの一つの参考資料として酪農近代化方針等が利用されているんじゃないか。このように考えまして、事実そのようなことで現実の貸し付けが行われているんじゃないかというように考えるわけでございます。
  27. 川村清一

    川村清一君 そこで、そういうことですから、牛乳がだぶついて余っている、乳製品がだぶついて余っているといっても、その責任は酪農民にあるんではないでしょう。ですから、昭和五十一年三月の諮問に対する畜産審議会答申の中に、需要の拡大を図るということを大きくうたっているでしょう。次に五十五年、去年のこの諮問に対する審議会答申も、需要の拡大に努めるということを一番先に大きく打ち出しているでしょう、それが畜産振興審議会の意思ですよ。  私の聞きたいのは、余った、余った、余ったのは農民がけしからぬのだと言わんばかりに、そのしわ寄せを、帳じりをみんな農民のところへ持っていくのがけしからぬと私が言っているんだ。そうでしょう。余っているから、生産過剰だから、だから保証乳価は四年間上げられない、限度数量も下げる。全部犠牲を農民にかけているじゃないですか。政府の責任はちっとも感じてないではないですか。審議会答申は、需要の拡大を図りなさいと一番大きく打ち出しているでしょう。御存じでしょう。ちゃんと書いてある。どうなんですか。審議官、あなたのお考えを述べてください。
  28. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 最近におきます飲用牛乳、あるいは乳製品の需要の動向を見てまいりますと、かつてのような非常に高い伸び率ではないわけでございます。需要はなお伸びておりますけれども、伸び率自身が非常に停滞をしてきているわけでございまして、この点については御理解をいただけるものではないかと思うわけでございます。  ところが、生産の方はと申しますと、規模拡大が順調に進み、また基盤整備あるいは畜舎の整備等が順調に進みまして、生産の非常な潜在力が整備されてきているというような状況かと思うわけでございます。それが生産と需要のギャップを生みまして、過去三年ないしは三年半にわたります過剰のものがいま過剰在庫として積み越されてきているというような現況にあるわけでございます。  将来こういう事態をどのように打開していくのかということでございますが、先生御指摘のとおり、需要の拡大を図っていくというのは当然のことだと思います。特に、これからは飲用牛乳の方の需要の方が乳製品よりは幾分伸びるかと思いますので、こういうところに重点を置いて消費の拡大を図っていくというのを積極的にやっていかなくちゃならないわけでございまして、これにつきましては、われわれといたしましては、一般会計あるいは畜産振興事業団の指定助成事業を通じましてできる限りの応援をやっているわけでございます。民間の方におきましても、牛乳普及協会というような法人をつくりまして、民間からも出損をして消費拡大のためにいまいろんな努力を重ねているわけでございます。  しかし、そういう消費拡大の努力をいたしましても消費の伸び率が鈍化してきているという事実は、これは否めない事実でございまして、消費拡大をやりましても、なおかつ生産の調整をやらなくちゃいけないというような状況が今日の状況でございまして、それにあわせて生産調整をお願いしているというような状況でございます。  この生産調整につきましても、われわれとしてはできるだけの援助はいたしておりまして、一般会計から、あるいは畜産振興事業団からも功成しているところでございまして、御案内のとおり、昭和五十四年度、それから昭和五十五年度年度を通じまして、それぞれ消費拡大と生産調整のために三十三億円というような助成もいたしてきておるわけでございます。このほかに政府の助成あるいは事業団の助成もあるわけでございまして、われわれとしては相当の助成を行ってきている、このように考えているわけでございます。  しかしながら、いかんせんこれでもなおかつ過剰在庫が解消しないような状況でございます。この過剰の解消対策といたしましては、できるだけ生産を抑えていくという以外には解決の方法がないわけでございまして、この点確かに苦しいところがあろうかと思いますけれども、ぎりぎりその過剰在庫を向こう三年間ぐらいにわたりまして解消するという目途で生産調整をお願いしていきたい、このように考えているわけでございます、
  29. 川村清一

    川村清一君 審議官ね、これは農林省からいただいたんです。昭和五十六年三月、農林水産省畜産局「畜産関係資料」、そこにありますね。これの十三ページをちょっと開いてください。その十三ページの五十二年度のところを見てください。  総生産量六百二十五万六千トン、飲用が三百七十二万六千トン、それから乳製品が二百四十万四千トン、自家消費が十二万六千トン、それから総輸入量百四万四千トン、事業団輸入ゼロ、沖繩輸入一万六千トン、学給用脱粉八万トン、その下にナチュラルチーズ九十四万八千トンとあるが、これは何ですか、ナチュラルチーズ九十四万八千トン輸入したということですか。
  30. 井上喜一

    説明員井上喜一君) これは生乳換算の数量でございまして、実景につきましては、五十二年のナチュラルチーズの輸入量は七万三百六十八トンでございます。
  31. 川村清一

    川村清一君 そうすると生乳換算が九十四万八千トンということですか、
  32. 井上喜一

    説明員井上喜一君) はい、
  33. 川村清一

    川村清一君 それで、私はこの数字と八〇年代の長期見通しの参考資料と合わせて見ると、これは五十二年度を基準年度として六十五年度の一つの生産見通しを立てている。そこで、五十三年のこの国内消費仕向量七百一万トンと国内生産量六百二十六万トンというのは、こちらの数字と合うわけです。これは六百二十六万トン国内生産量なんです。仕向量七百一万トンというのは、これは七百一万トン需要があるということだ。そうでしょう、違いますか。この七百一万トンという数字は、総消費量七百一万トンというのと数字が合う。それから国内生産量六百二十五万六千トンというのは、この方の六百二十六万トンと合うわけです。  ところが、その七百一万トンの内訳ですが、飲用が三百七十二万六千トン、乳製品が二百四十万四千トンになっている。そうして自家消費十二万六千トン。七百一万一千トンは合う。そうするとこの九十四万八千トンというのはどこへ入るんですか。これの国内消費七百一万トンと国内生産量六百二十六万トン、これが基準年度数字ですね。それがこれにいくというと、ナチュラルチーズ九十四万八千トンというわけだ。この生乳換算九十四万八千トンというのはどこへ入るんですか。
  34. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 先生のお使いになっています資料は、長期見通しのときに使いました数字をお使いになっているんじゃないかと思うんですが、五十三年の生乳需要量が七百一万一千トンだと思いますが……
  35. 川村清一

    川村清一君 それは合っている、七百一万一千トンは合っている。
  36. 井上喜一

    説明員井上喜一君) それとこちらの五十三年の数字の整合性かと思いますが、こちらで合計をいたしますと、総生産量と総輸入量合計すると、七百万トンをちょっとオーバーするんじゃないか、七百三十万トン弱になるんじゃないかということでございますが、これは私ここですぐお答えできませんので、ちょっと調整させていただきたいと思います。
  37. 川村清一

    川村清一君 冗談じゃないですよ。つくったのはあなたでしょう。私はゆうべこれを読んだわけだ。読んでこの数字とこちらの数字と合わせてみたら、照合してみたらどうもわからぬからいま尋ねている。そんなでたらめな話ありますか。  これは結局、外国輸入品というのが全部入っていないんだよ。事業団輸入というものはちゃんと百四万ここに入っているんだよ。事業団輸入百四万四千トン入れて、ナチュラルチーズ九十四万八千トンとあるんだよ。この数字がどこにいっているんですか。——時間がなくなるから後にしてくれ。  そういうようなことから、大臣ね、端的に素人が考えてみても、これは八〇年代の長期見通しの参考資料なんです。いいですか。五十二年度、これは基本年ですよ。国内生産が六百二十六万トンなんだ。国内消費仕向量が七百一万トン、数字が合っている、そうすると、何も生産過剰でないでしょう。六百二十六万トンしかできないのに、需要が七百一万トンあったら何も生産過剰でないでしょう。だから、六十五年度へ行って、生産目標は八百四十二万トンだ。ところが国内消費仕向量が九百二十七万トンから九百七十二万トンある。どこに生産過剰がある。生産過剰というものは、隠している外国から来ているものが生産過剰の原因でないですか。  そうして在庫がうんとあるんでしょう。それは事業団の手持ちの在庫。事業団は、バターとか脱脂粉乳ね、これはいいですよ。これは法律に基づいて、事業団だって持ってないといろんな調整ができませんから。それで、私がいただいた資料によれば、バターについては、事業団は一万二千トン持っておる。それから脱脂粉乳については四万五千トン持っておる、これは多いか少ないかはわかりませんが、多かったら放出せねばならぬ。売り渡しをして減らしてもらわなきゃならない。バターが一万七千トン、脱脂粉乳が三万八千トンあるんじゃないですか。こういうものをみんな入れるから、国内ではこれだけ生産すると、そのときの需要はこれだけありますよ。需要の方がうんと多いんだ。余るはずがないんだ。  だから、これでいってなお足りなかったら輸入したらいいでしょう。価格がうんと変動して、そして国内生産乳製品あたりに悪い影響を与えた場合には、それは事業団の機能を発動していろいろやらなければならない。そのために事業団がある程度在庫品として持つことは必要だと思うんです。ところが、事業団でなくて、商社を通じて入ってくる民間のいろいろな擬装乳製品があるでしょう。たとえば調製食用脂だとか、ココア調製品だとか。したがって、需要よりも生産が多くなると、こういうことになるんではないんですか。それが原因ではないか、端的に。説明はいいですから、そうなのか、そうでないかだけ、あなたおっしゃってください。
  38. 井上喜一

    説明員井上喜一君) この消費量と生産量がいませんのは、なお検討いたしますが、消費量よりも生産量の方が多いのは、これは実は過剰生産の部分が入っておりますので合わないということでございます。  なお、輸入との関連でございますが、ここに挙げておりますのは、学給用の脂粉でありますとか、ナチュラルチーズが入っているわけでございます。これらは日本の脱脂粉乳の価格が高過ぎてなかなか学給用としては使えないとか、あるいはナチュラルチーズの場合は、国内生産が十分対応できない、こういうような事情で入ってきているものでございまして、すぐさま日本の国内生産でもって置きかえることが非常にむずかしい品目であるとわれわれ考えているわけでございまして、確かに輸入の問題はございますけれども、置きかえることがなかなかむずかしい。そういったものが輸入されてきているんじゃないかというふうにわれわれ考えているわけでございます。
  39. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) いま川村委員から御指摘のとおりであると私も実は認めておるわけであります。したがいまして、とにかく農産物はどこを見ても輸入問題が一番の問題になっておる。これを本気になって解決していきませんと、日本農民が幾ら汗を流し、幾ら努力をしても、なかなか光のある先が見えてこない、こういうことであろうと私は確信をいたしております。  役人諸君が非常にへっぴり腰で答弁せざるを得ない。輸入を防止することは非常にむずかしいですと、こう頭から言ってしまうわけですね。私氷農林省に行ってみて、どうだ、業界に対する強力なる指導をしているかと言ったら、何もしておりませんと、こう言うんです。そんなことであっていいか、こう言って、協議会をやっと今度つくらせたわけであります。  そうして日本国民が本当に打って一丸となって、さなきだに厳しい貿易戦争の中で生きていかなければならない日本、その日本国会における決議をちょうだいをして、自給力を強化してやっていくということになりますと、これは本当に容易なことじゃございません。しかし各国ともその容易なことじゃないことに対して、それぞれの国会なり議会なり、あるいは政府なりで本当に真剣になってやっております。たとえば自動車の一例をもってしましても、自由貿易の政策は変えないけれども、しかし日本よ、もう少し何とかアメリカのことを考えてくれよ、向こうの責任者が日本の外務大臣にこう言う。こういう努力をそれぞれの国でやっておるわけです。われわれもやっぱり負けずにやらなければいかぬというのが、私の実は気持ちであるわけでございます、  そういう意味におきまして、実はIQ制、少なくとも疑似乳製品についてはそういう立場で折衝しなさいと、こういうことで折衝を始めたところが、もう向こうは本当に手回しよく、ジュネーブに集まって、そうしてこの疑似乳製品と称しておる商品を、これはバターではないという国際決定をしてしまう。これほど厳しい国際環境の中で日本酪農は進んでいかなければならない、こういうわけでありますので、本当に私も通産、外務、大蔵の各省にやかましく申しまして、そうしてIQ制にならなくとも、相手の国に自主規制を強力に求めていく、根気よく根強く、しかも強力に求めていくという態勢をとってごらんということで、その成果がここ数日の間にどういうふうに出てまいりますか、通産、大蔵、外務、農林畜産局が中心になりまして折衝を続けておるわけでございますので、それぞれの成果は出てくるものと、私はこう確信いたしておる次第でございます。
  40. 川村清一

    川村清一君 私も時間がありませんから、いまもう一つ聞いてそれで終わりますが、大臣から大変いい答弁をいただいて感謝しております。  まず、需給不均衡であるということは事実です。それからある面から言えば、生産過剰であるということも、これは事実です。しかしながら、生産過剰を抑えるために、いろいろ農民の方が自主規制をし生産調整していることも事実です。この中でどうしてもやらなければならないのは、いま言われたように擬装乳製品、こういうようなものは皆IQの中に入れるということ、事業団の取り扱いの中に、一元輸入ですか、その中に入れるということ、それからいまの在庫——事業団も相当数量在庫しております。これが適正在庫であるかどうかは、これは私は素人ですからようわかりませんが、もしも適正でないものならばこれを始末してもらわなければならない、それから民間のものも、これも一日も早く始末してもらわなければならない。森実畜産局長は、いろいろな手法を使ってと、こうおっしゃっている。いろいろな手法というのはどういう手法がわからぬが、どんな手法を使ってもいいから、要は民間の持つ在庫を早く始末してもらうということが大事でないかと思うわけであります。  それから現在の酪農経営で一番大きなネックは、何と言ったってこれは負債です。もうまさに制度資金はいっぱい借りてしまって、もうなかなか乳価は上がらないといったような情勢の中で、生産費は高くなってきているという状態の中で、それから物価高騰によって生活費もぐんと必要になってきたという状態の中で、とても借金は払えないというのが実態です。このまま推移するならば、農家全部つぶれてしまうと私は判断しておるのです。ですから、この負債整理、特に固定負債、これをどうして整理するか。現行制度でやると言っているわけです。これはここにも書かれているし、それから局長もおっしゃっている。現行制度でできるか。現行制度のものは借りれる分だけ手いっぱい借りてしまった。とても払えない。そして、その負債の話をするというと、負債はふえたかもしれないけれども資産もふえているじゃないか、こういうことも書いてある。確かに資産もふえたかもしれない。しかし大臣、東京都や大都会に土地を持っているなら、これはもう大変な資産ですよ、しかし、そこで酪農を経営しているからこれは資産なんです。酪農をやめてしまいなさいよ。北海道で四十町歩、五十町歩の土地を持って経営している酪農家が、借金の負担に耐えかねてやめてしまったら、離農してしまったら、この土地だって、そこにある施設だって、こんなものは全部三文の値もないくらいに下がってしまう。そうでしょう。天北だとか根釧に行ったら、一時間、一時間半車で走ったって家一軒、人もいない地域なんですから、そんなところに土地が五十町歩あったって、百町歩あったって、何ぼになりますか。借金がふえたがそれにかわる以上の資産があるじゃないかと、これが農林省の言い方だ。実情を知らないのもはなはだしい。何せ東大出た頭のいいエリートの言うことは、小学校しか出ない農民方々やわしらには、そんな学歴ないし、学力がないですから、とてもそういうことはわからない。もっともっと実情に合った立場に立って、ひとつ負債整理に本気になって取り組んでいただきたいというのが、これが私の願いであり、主張であります。  それから大臣の話を聞いてわかったのですが、答申が出てきてもそれをそのままストレートでやるのではなくて、もう一回政府、今度は与党・自民党の皆さん方が大きな責任を持つと思うのですが、あなた方の方でやるわけですね。私は野党ですからこの席しか話す機会がないのだからここで言っているのだけれども、今度はここで言わない自民党・与党の皆さん方がやるわけですから、しっかりひとつやって、農民方々の期待にこたえるような乳価であり、限度数量であり、そして在庫品の処理であり、擬装乳製品の処分であり、そうして農家の負債整理であることを心から期待しております、またその結果はいつかまた御質問申し上げます。  以上でございます。その答弁だけ簡単に。
  41. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 私がここでいかにうまいことを言っても、あと一日でその成果は出てくるわけでありますから、その出てきた成果でごらんいただくということにいたしまして、そのよき成果を得るために、ただいま川村委員から御指摘いただいたような線を十分勘考いたしまして、審議会答申を踏まえ、私どもは政党人でございますから、私だけの感覚で決定したんでは——幾ら農林大臣だからといってそれほど私は増長もいたしておりませんので、党ともよく相談をいたしましてそして結論を出したい、こう考えております。
  42. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、十二時五十分まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      —————・—————    午後零時五十八分開会
  43. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十六年度農林水産省関係施策及び予算に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  44. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 先般二十日の日の委員会で、同僚の山田議員が蚕糸の問題は論議をしたということになっているはずです。同時にまた、当面の課題であります酪農、畜産、畜肉の関係等につきましては、午前中酪農中心にいたしまして川村先生の方から質疑がございましたので、本日は私は水産の問題、それから林業の問題に焦点を当てながら大臣の所信、予算にかかる具体的な内容をお聞をいたしたい。こう考えておるんですが、その前に一言だけどうしてもお聞きしておきたいんです。  先ほどの質疑並びに御答弁を聞いておりました際に出た酪農、畜産農家の負債対策の問題です。擬装乳製品の規制措置の問題について農水、通産、外務それから大蔵、これで協議に入って、たとえばIQ制の問題等も考えつつ具体的に思い切った措置をと、こういうふうに受けとめたんですが、この負債対策の方も思い切った対策が検討されておるのかどうか、この辺が一つ。  それから今日の状況の中で、続いて行われていきます蚕糸の関係がきわめて厳しい状況になっておる。これは二十日の日に、先ほど申し上げましたように、山田議員が触れられておりますので突っ込もうとは思いませんが、今日の状況のままで推移をいたしますと、その厳しい条件というのはよくわかるんですけれども、その厳しさがまともに生産者の側におっかぶせられるようなことになりはしないのか。こういう心配を私自身としては大きくしているわけでありまして、ぜひそうならないように、午前中の川村先生の酪農にかかわる論議と同じ趣旨合いで大臣としては対処していただけるであろう、こう期待をしつつ質問をまずしたいと思います。
  45. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 擬装乳製品に対する対策につきましては、いまEC並びにニュージーランドと現に折衝を続けておる最中でございますので、どういう具体的な内容でどうしているかというような点は、これはちょっともう少し時間をおかしいただきたいと、こう思います。とにかく最後の努力を傾けて折衝を現にいたしておるわけでございまして、こちらの国際部長もジュネーブに急遽派遣しておるということをもってしても御理解をいただけると思います。それから負債対策でございますが、あるいは抜本的と諸先生方からごらんになって言っていただけるかどうかわかりませんけれども、私どもとしては最善の方策ということでいま大蔵等と折衝をさしていただいておるということでございます。  それから蚕糸の件につきましては、率直に言って、私自身一番頭を悩ましておる問題でございます、孝ならんと欲すれば、何々ならんと欲すればという言葉がありますけれども、そんなような気持ちでおるわけでございます。  しかし、ここで現実というものをどういうふうに認識したらいいのかというその認識の仕方。私は長年子供のときから養蚕業をずっと見、自分でもやり、帰ってきてからもずっと蚕糸政策等にタッチいたしてまいっております経験からして、米作農家も、酪農家もそれぞれ厳しい試練を経ながら今日まで来ておるが、もちろん養蚕農家も厳しか試練を経ながら来ておるわけでございまして、本当に今日ほど環境の厳しいときはない。その環境も、ある意味においては、政府が外国生糸を入れなければこんなふうにならなかったじゃないか、政府にすべて責任があるのではないかと、こういう責任論も確かにございます。しかしその責任論だけで果たして現実を打開することができるかというと、これがなかなか難局を打開する方途も生まれてこない。こういうことで、いま実は審議会等に御相談をいたしまして、その辺の考え方をどういうふうに決心をしたらいいのかということをあしたの審議会で御相談願おうと、こういうことでございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  46. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 先ほど言いましたように、それ以上追及をいたしませんが、大臣の所管になっておられます分野では、大変残念ながら、各分野ともそれぞれが一番厳しい情勢を迎えておるわけであります。それだけに御苦労が多いわけなんですが、何といたしましても、農は国の基本でありますし、そういう立場から日本の将来をきちっと踏まえて、今日その生産に従事をしておる方々があきらめてしまって放棄をしなきゃならぬという事態を迎えないように、それだけはぜひひとつ大臣、体を張ってがんばっていただきたい、こういことを申し上げておきたいと思うんです。  本題に移っていきますが、大臣の所信の中で水産業を取り巻く情勢につきまして、諸外国におけるいわゆる二百海里規制の強化、それから燃油価格の高騰、水産物需要の停滞、この三つを指摘されまして、そして特に遠洋漁業はきわめて厳しい条件下にあると。こういう条件の中で、業界はこの厳しさの中でいかに生き残っていくのかという課題が提起をされたと思うんですね、情勢分析として。業界の方では生き残るということなんですが、政府の側からすれば、いかに生き残らしていくのかという課題だろうと思うんです。おわかりいただけると思うんですがね。  そこで業界の方は業界の方で、こうした取り巻く条件の中で必死になって対応策をいま検討されておる。業界は業界で検討してるんですが、政府の側として生き残らせていくという、こういう観点から見て、具体策というものはどういうふうに立てられておるのだろうか。今日までも論議をしてきたことでありますけれども、なかなか努力をされておっても具体的な効果が上がってきていない。これが今日の事情であろうと思うんですが、そういう具体策はいままでどおりでいいのだろうか。そうしたことを踏まえて今日とられようとしておるその具体策、これをまず第一にお尋ねをすると同時に、それを通じて将来の、特にこれはマグロにいま一番大変な課題がかかってるんですが、この将来の遠洋漁業に対して政府自体としてはどういう期待と展望をお持ちになっているのか、そうしてその展望のもとに業界指導にどういうふうに当たられているのか。いま私は三つ続けて関連して質問をいたしましたが、その辺のところをひとつ説明をいただきたいんです。
  47. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) ただいま先生から御指摘のように、遠洋漁業をめぐります水産の環境はきわめて厳しいものがございます。そういう観点から、私たちといたしましては、一つは、二百海里時代を迎えまして諸外国との漁業交渉と申しますか、そういう面におきます積極的なかつ強力な外交交渉を展開する必要があると思います。二百海里時代を迎えましたときには、日本の遠洋漁業は壊滅するのではないかというふうに言われたわけでございますが、幸いにして、漁獲量そのものとしては非常に減っておりますけれども、遠洋漁業としてはまだそれぞれの分野において活発な活動が行われておるという状況でございまして、今後とも諸外国との関係におきましては、その分野におきます積極的な外交交渉を展開すべき必要があると思っておるわけでございます。  第二点は、そういう状況のもとにおいて一体今後の遠洋漁業をどうしていくのかということでございますが、私たちといたしましては、業界そのものとして一体この状況にどう対応していくのかというところが基本ではないかと思うわけでございます。外国から締め出された場合におきます減船その他の措置につきましては、政府としてはこれに対応すべき責任と申しますか、これに適確に対応していかなければなりませんが、締め出されないけれども業界として生き残っていくにはどうしたらいいかという問題になりますと、これは業界として今後どういうふうにその問題に取り組んでいくかということが基本になるのではないかというふうに思います。  たとえばマグロの御指摘がございましたが、マグロにつきましても、将来この問題につきましては、マグロ業界の構造改善といいますか、構造の体質の強化といいますか、そういう問題が当然問題になることであろうと思います。マグロ業界におきましても、今後この問題にどう取り組んでいくかということをいま真剣に検討中でございます。私たちといたしましては、そういうふうな業界の意向を踏まえまして、政府としてこれをどういうふうに援助していけばいいかということについては真剣に取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  48. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしますと、いまの御答弁でいった場合に、まず外交交渉を積極的にやって、そして二百海里内の漁獲物あるいは漁港、こうしたものについての条件緩和を積極的に取りつけていこう。それはそれなりにわかりますし、私もそのことを今日まで主張してまいりました。  ところで、その体制の整備の問題というのはまだまだ私は不十分だろうと思うんです。情報の問題あるいは交渉に当たる打ち合わせをしつつ外務省が代行していくという形をとっていますけれども、それらはさらにいま言われた趣旨合いに基づいてもっと強化しなきゃならぬ、これが一つあります。  それと同時に、外国との話し合いに基づいて減船を余儀なくされた場合は政府責任であると。したがって、外国とのかかわりといいますか、漁業協定にかかわらないで行っているものについては、これは業界の自粛に任せると、こういう割り切りをいま答弁されました。将来にわたってもその考え方というのはそのままなんだろうか。しかもいま言われましたように、業界自体の自粛に任せるということと、日ごろ政府が業界指導をしている責任とのかかわりというのは一体どうなんだろうか、私は大変疑問に思うんです。ただ、減船を余儀なくされた場合のやつは、これは結果から見て明確にわかりますから、これは当然責任を持つのは筋であります。しかしその他のものについてはこれは全部業界任せなんだということについては、これはきわめて問題あるんじゃないんだろうか。たとえば船の数、それらを一体どこで承認しているんだろうか。承認行為その他等含めまして、政府としての責任というものについてどう果たしていくかということがあわせてなければ問題は解決しないんじゃないかと、こういう気がするわけでありまして、その辺の見解を再度お尋ねしておきたいというふうに思うんです。  ただ、今日段階、歴史と伝統をほとんど継承する形で遠洋の場合に運営されてきた、経営されてきた、これはもう間違いのないことであります。そういう形から、今日の厳しい状況を踏まえて関係者は一日も早く、いまちょっと触れられましたように、構造的な変革を図らなきゃならぬ。これは今日図らなくてはそれこそ滅亡を招いてしまうんじゃないか、こういうふうに言われているわけですね。そういう立場にこたえたんだろうと私は思っておるんです。  特定漁業生産構造再編推進事業、これが今年度十億の予算をつけて説明をされているわけであります。この特定漁業生産構造再編推進事業、十億の予算をつけたものが、いま申し上げましたように、従来のいわゆる遠洋の経営を抜本的に構造改善していく一つの事業として期待ができるんだろうかどうだろうか。こういうふうに考えていきますと、どうもこの十億というのは、別に業界が自粛していわゆる減船をやらなきゃならぬ、この減船の共補償的なものに大体予算食われてしまって、この業界の構造変革といいますか、構造改善の方には余り振り向かないようなかっこうになっているんじゃないか。構造改善というのはただ単に生産調整、減船をすればいいのか。こういう話になりかねませんので、この辺をちょっときちっと説明をいただきたい、こう思います。
  49. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 従来の考え方でいきますと、先ほど先生がおっしゃいましたように、外交交渉その他の理由により当方の責めに帰することができないような、そういう状況で減船をやむを得ずしなきゃいけないというふうになったときには、減船補償金を出しまして措置をいたしたわけでございます。しかしそうではないけれども、業界内部の体制として構造改善を推進していかなければならないという場合におきましては、漁業再建整備特別措置法に基づきまして政令指定をいたしまして、それぞれ低利資金農林漁業金融公庫から融資することによりまして、業界内部の構造改善を図っていただくという考え方で対処をいたしてまいったわけでございますが、それだけでは足りないという考え方で、本年、特定漁業生産構造再編推進事業というのを起こしまして、業界がそういう自主的な構造改善を図っていきますときには、国としてもできる限りの援助をいたしたいという考え方で対処いたしておるわけでございます、  初年度の融資は十億円でございますから、これで足りるのかという御質問でございますが、私は初年度の対応といたしましては、この予算で十分対応をいたしていけるというふうに考えておりますが、二年度目、三年度目におきましてこれらの対策について不十分にならないように、この予算措置につきましては十分な配慮をいたす必要があると思っております。  マグロ業界をとってみましても、初年度のスタートは、それほど大きいものではないと言うと語弊がございますけれども、初年度としては着実に事業を実施しようという機運がうかがえますから、二年度、三年度目におきまして、その事業が国の予算的援助によって支障があるというふうなことにならないように私たちとしては十分対応していくつもりでございます。むしろ、逆に言いますと、業界がそれだけの体制ができるかどうかということの方をむしろ心配いたしておるわけでございまして、業界がそういう体制のもとに取り進めます場合におきまして、国の援助措置がそれに伴わないということのないように十分な配慮をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  50. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 説明を聞いている限りでは、ある意味では理解ができぬではないんですね、しかし、これは前にも論議をいたしましたように、たとえば北の方で締め出された、減船対象といいますか、締め出されて漁ができなくなったものが南の方へ下がってくる。こうした状況等も含めて幾つかの現象を起こしているわけですね。そうしますと、たとえば減船対象になって減船し、その減船分は政府で責任を持っていますと、こうは言ってますけれども、業界の中身からいけば、それは微妙に各方面に影響していることは事実としてあるわけです。  そうしたことも含めまして、私は先ほど言っているように、たとえば鉛の建造その他幾つかの条件があって、そして操業している船の隻数の問題その他についても、水産庁としては目をやりながら見てきているわけでありますから、そういうことをとらえながら構造改善というのは一体どうあるべきなのか。ただ減船だけに、いわゆる生産調整だけに向かっておりまして、その他の課題というのがよく理解ができない、ここに一つ問題があります。  しかも、先ほどの答弁で最後の方で言われてますように、業界がたとえば水産庁が指導しようとしていることに対応ができるのかできないのか、できる体制ができれば一番いいんだと、こういう答弁の趣旨だと思うんですが、それでは第一次の減船計画、業界で行ったこの減船計画のときに、当時二割程度の減船ということで目標は二百六十隻、これに対して実行はわずか二十二隻だった。この実績を踏まえまして、じゃなぜ二百六十隻も減船をしようという目標を出しながら第一次の段階で二十二隻にとどまったんだろうか、このことの原因は一体何にあるんだろうか、なぜその減船することが申し合わせをしながら実行が伴わなかったのか、ここの問題をどう分析されるのでしょうか。  私は、業界が業界なりに努力をしつつなかなかそのとおり進んでいかない一つの問題について、これをえぐり出しながらともに考えて対処していくという姿勢をとらない限り進まないんじゃないだろうか。いま再びマグロ業界では第二次の自主減船を検討されておるというふうに私は聞いているわけでございます。しかも、これも今日作業している船の大体二割を目標にして、本年から来年二年間にかけて実行しようと、こういう計画のようであります。これまたそれぞれの事業者では大変論議が行われているところであります。しかし第一次の実績から見て、果たして第二次のそういう論議というのが本当に具体的に生かされていくためにはどうしたらいいのだろうか。ここに一つの指導のポイントというのを明確にしないといかぬのじゃないんだろうか、こういうふうに思うんすが、その辺はいかがなものでしょうか。
  51. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) まことに先生の御指摘のとおりでございまして、第一次減船のときには二百五十八隻を減船することを計画したわけでございますが、五十一年度におきましては二十二隻の減船を実施したということで、計画と実施との非常な食い違いがあるわけでございます。これは五十二年度以降の減船につきまして、二百海里の実施の行方を見きわめようというふうな業界の一つの考え方があったわけでございまして、それで減船計画というのは早く言いますと凍結をされた。  その後、御存じのように、二百海里実施以降カツオ、マグロの価格の動向というのはある意味では非常によかったわけでございます。オイルショックその他のいろいろな不利な条件はございましたけれども、それを克服して魚価は上昇していったということが、早く言いますと、減船計画を実施しなくても済んだという状況に相なったわけでございます。  現在、カツオ、マグロにつきまして、業界としては非常に問題に直面をいたしておるわけでございますが、昨年私が水産庁長官になりまして以降、カツオが非常に不況といいますか、経営が安定しないということで非常に問題があったわけでございますが、現在はそのカツオ業界はまずまずの状況に相なっておるわけでございます。一昨年非常によかったマグロ業界がことしは非常に悪いという状況になっておるわけでございまして、その価格需給と経営の問題というのは、農業のように必ずしも端的に割り切れないというところに非常に問題があるわけでございます。  これはなかなか予断を許しませんが、恐らくマグロの価格というのはいまから上がっていくと私は思っております。どの程度上がるかはわかりませんが、恐らく上がっていくであろうというふうに考えております。  実は、そういう状況になったからといって現実の事態に幻惑をされては本当はいけないわけでございまして、御指摘のように業界全部を挙げての構造改善というのがいまこそ必要なときであるというふうに思っておりますが、そういう状況のもとにおきましてそれが貫徹できるかどうかということは非常にむずかしい問題がございます。  私といたしましては、やはり御指摘のように、現在のマグロの今後の需給等を考えていきますれば、やっぱり二〇%程度の業界が考えているような減船というものは必要であるというふうに認識をいたしておりますけれども、仮にマグロ価格の動向によりましては、そういうことが果して行えるかどうかという点においてはなお問題があるというふうに思っております。  しかしながら、業界として今後これをどうすべきかということを本当に認識をいたしまして、これに真剣に取り組んでいく場合におきましては、政府としてもこれに対してできる限りの援助の措置を講ずべきものであるというふうに考えているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、仮に十億円が初年度足りなければ、その構造改善に必要な予算的措置については国としてもできる限りの配慮をいたすという対応の考え方でおる次第でございます。
  52. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そういたしますと、本年の十億の関係は、業界の対応が整って、その気になって具体的に始まって、足りなければこれはもっとふやしていくんだ、こういう受けとめ方でいいわけですね。  それから減船。第一次の体験からいきまして、魚価が上がって大体採算がとれるから、言っておったほど心配しなくていいということで打ち切っていく形は甘い。それは今回の場合特に甘い。こういう指摘でありますが、私もそうだと思うのです。そういう形の中でただ魚価が上がってくれば、たとえば二年間に減船計画をしたものがある程度長期にわたって順次やっていこうというゆとりはできますね。ゆとりはできますが、結果としてはそこに押えていかなければならぬ、こういう課題になろうと思うのですが、期間が長くかかろうと、あるいは短かろうと、結果としては減船対象に対するところの共補償の問題というのは、これはついて回っていくと思うのですね。したがって、この間の融資の関係あるいは利子補給の問題、あるいは減船対象になったものの廃船の仕事、あるいは廃船をしたものの事業転換の問題、こうした課題について一々組み立てをしていきませんと、ずっと関連をしていくものでありますから、その点のところまではきちっとめんどうを見るべきじゃないのでしょうか。相談にはあずかっているんでしょうけれども、具体的にそうした方向を明確にしていきませんと、ここまでいったら大丈夫ですよという青写真がなかなか浮かんでこないというのが今日の状況だろうと思うんです、  したがって、今日の業者は、残念ながら、話をしておりましても、まず今日の状況の中で減船は必要だ、仮に一時的に減船をしてもまた次のいい機会がくるんじゃないのかということで、言うなら減船じゃなくて休船のようなこういう認識というのがまだ非常に強く残っています。これは私は無理もないことだとは思うんですが、その辺のところをどう業界に強く一緒になって方針を樹立させていくかというところに中心が置かれないと、将来展望というのは開けてこない、私はこういうふうに思うんですが、いかがなものですかね、
  53. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 確かに御指摘のように、業界と行政庁が一体になりまして将来の青写真に基づきます一つの計画を実施するということはまことに重要なことでございます。  しかし、私は実は正直に申し上げまして非常に恐れておりますことは、水産業界というのは、農業と違いまして、悪いときがあればまたいいときがすぐに来るわけでございます。いいときが来ますと、従来のそういう計画を実施するということは非常に困難な事態になるわけでございまして、むしろそれを非常に心配しているということが第一点でございます。  それから第二点は、しかしながら、二百海里に呼応したようなああいう混乱期というのはもはや来ないのではないか。  しからば、そういう一定の条件のもとにおいてその業界の構造改善をどう進めていったらいいのかということを、業界の指導者のみならず、業界のメンバー全体が本当に真剣になって考えるべき事態ではないかというふうに思っておるわけでございまして、もしそういうことで物事が取り進められることでありますならば、われわれとしてもできる限りのこれに援助措置を講ずべきものであるということが基本的な考え方でございまして、先ほどお話がございましたように、ただ単に金の心配だけをすればいいんじゃないんで、乗組員の後々の処理をどうするんだという問題も含めまして、全体的な問題の処理につきましては、これは業界のそういう計画に基づきます処理に即応いたしまして、政府としても当然にこれに対応すべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
  54. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 次に、私いまここに持っておりますのは三月五日の「朝日」の記事なんですけれども、「「魚ころがし」高いツケ 売れないマグロに悲鳴 業界、二百隻減船へ」、こういう新聞記事があるんです。これは結果として業界の苦しみの原因が魚転がし。浜値とそれから小売値の問題、いわゆる魚転がしによって生産者の価格よりも小売値を高くする。あり余っておりながら、それを出し渋ることによって小売価格を高値据え置きで持っていこう。こういうことから消費者が、そんな高い魚は食わないんだということで敬遠をした。敬遠をしたツケが実はこのマグロにきているんだと、こういう流れになっているわけであります。  私は、極端にそのこと自体がずばりではないとは思いますけれども指摘している趣旨合いというのはまさに私どもも感じるところでございまして、この浜値と小売価格とのつなぎになりますいわゆる流通問題自体の改善というのも、これまたたびたび各方面で論議をされているところなんですが、この辺に対するところの是正措置、あるいは今日置かれております仕組み自体はもうどうにもならないし、これは今日の経済を支えていく上からいってやむを得ないんだということなのか、あるいは改善をしなきゃならぬということなのか。ここに分かれ道がございます。  そしてもし仮に、いま二つ申し上げましたが、今日の仕組みの中でやむを得ない流通の仕組みなんだと、こういう話になるとするならば、浜値と小売値の関係についてこのままでいっていいんだろうかどうだろうか、こういう問題が一つの論議として出てくるわけでありまして、ここのところをどういうふうに見られておるのか、ひとつ説明をいただきたい。
  55. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 水産物の流通問題については、御指摘のように、この問題は非常に重要でありますし、私たちとしてもこの勉強を鋭意やっておるわけでございますが、残念ながら農産物の流通ほどその勉強は進んでないということは率直に認めざるを得ない現状であると思っております。  ただしかし、農産物と違いまして、水産物につきましては非常な特色がございます。たとえばマグロをとってみましても、焼津で揚がりますマグロは丸太のまま揚がってくるわけでございまして、そのうちでいいマグロを今度築地に持ってくる。そこで解体をいたしまして小売のところへ行きますと、すぐに奥さんが包丁を入れなくても食べられるような刺身になっておるということでございますから、丸太のままから食べられるものに持ってくるまでは、物的に考えますと、少なくとも半分しか利用できないわけですから、当然に二倍に値段が上がることはあたりまえのことであります、その間に運賃や調理やそれぞれのコストがかかりますと、三倍ぐらいになるというのが常識的ではないかと思います。そこへ持ってきまして、小売のマージン、仲卸のマージンというようなことが加わりますと、どうしても四倍、四倍半というふうになってくるわけでございまして、野菜なら野菜で、リンゴが直ちに市場を通過して消費者の手に渡るというのと違う部面がありますので、一概に魚は高いと言って責め上げられましても、私たちとしては、なかなか苦しいところがあることは確かでございます。  しかしながら、同時にいまの消費の形態を考えてみますと、お頭つきの魚というのは、新婚家庭などはなかなかこれを利用しないというふうな消費の形態も一つはあるわけでございまして、そういう流通、消費の形につきまして一体今後どういうふうに対応していくのかということにつきましては、これは私たちもそういう魚は魚なりの特性を把握しながら、いかに浜値の価格を上げながら消費者に安いお魚を提供するかということも十分勉強すべきものであるということは御指摘のとおりであろうと思います。  ただ、現在魚の値段はさえませんで、物価の面から言うと優等生になっておるわけでございますが、水産庁長官から言いますと、もう少しお魚の値段が上がってもらいたいなというふうにも思うわけでございまして、少なくとも石油の価格が上がったぐらいのコストアップは魚価に反映をしてもらいたいというふうに考えることは実は本心でございますが、そういうふうになりますと、今度逆にまた消費者の方から魚離れというふうな問題も生ずるわけでございまして、その間の問題をどういうふうに一体今後考えていくかということは、われわれに課されたきわめて重要な課題であるということは十分認識をいたしておりまするし、またその部分につきましてのいろいろな勉強、あるいはまたそういうふうな対策につきましても、本年度予算において相応の予算を計上いたしておりますが、流通、消費の問題につきまして、私たちといたしましても、今後十分な検討あるいはまたそれに対する対策、予算措置について配慮してまいりたいという考えでおるわけでございます。
  56. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 かつて言われましたように、大手が価格調整、価格を操るためにというような流通の問題については、一応手を入れてそういうことは許さない体制になっている。この辺は話がございませんでしたが、そういうふうな前提に立っていまの説明があったと、こういうふうに受けとめていいんでしょうかね。
  57. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 五十二年に二百海里になりまして、五十三、五十四年というのは私は非常な混乱期であったと思うんです。そういうふうに御指摘のように思惑あるいはストックというようなことがございましたけれども、五十五年度以降は、そういう反省の上に立ちまして、通常の流通形態が出現をしてきたのではないかというふうに思っております。  それがまたいま魚価がさえない一つの理由ではないかと思いますが、御指摘のように、そういうふうな思惑というふうな形というのは、現実にもはやあり得ないというと語弊がございますけれども、あったとしてもそれは異常な事態であるという、そういうシチュエーションのもとに私がいま申し上げたような流通対策を推進していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  58. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 最後に、昨年ずいぶん問題になりました韓国マグロを中心にした輸入問題、これはきょうは韓国という形だけでは取り上げませんけれども、輸入抑制の関係というのはどういうふうにお考えになっているのか。抑制をすべきなのか、あるいはある程度野放しでも構わないという態度なのか、あるいはそれが入ってきた場合の影響というのは一体どうなっているのか、この辺が一つ。  それから、いずれにいたしましても、今日業界の中では、構造改善に伴うわけでありますが、コストダウンの方策を大いに検討していかなきゃならぬ、こういう課題が課せられていると思うんですね、これは一つには燃油をなるべく少なくという立場も踏まえて、いわゆる省エネ技術の開発の問題もありましょうし、そのほかコストダウンに通ずるような課題というのは幾つかあるだろう。たとえば話に出ておりますように最近の遠洋の航海日数が非常に長くなっている。魚を追いかけてしかも遠方まで行かなきゃならぬ。とった魚を一々国内にその船が持ってきておったのでは、その航海中の沖あるいは日数、こうしたものがなおかつむだになる。こういうことで共同して、漁獲物を現地で違う船に積み込んで、そして専用の、何といいますか、回収船といいますか、そういうものを考えてみたらどうかとか、幾つかの論議があるところであります。したがって、そういう点はお互い検討はされておると思うんですが、そういうコストダウンの方策としては水産庁としてはどういうようなことが考えられておるんだろうか。あるいは省エネ技術の開発については努力をしておると思うんですが、これも早くやらないと、どうにもならなくなってまいりますので、そうしたものの開発の特に重点を置いている課題、あるいは漁業用燃油等につきましては、これは価格と量と両面あるわけでありまして、この価格をかつての三倍に上げておるわけでありますから、これを低く抑える。その間の差を一体どういうふうに対処をするのかという問題。それから必要な燃油の量をどういうふうに蓄えておくのかという課題。こうしたものが残るわけでありまして、これら一括してひとつ御答弁をいただきたいと、こう思うんです。
  59. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) マグロの輸入抑制についての考え方でございますが、マグロの輸入は現在貿管令に基づきます輸入承認制度をとっておるわけでございまして、韓国に対しまして、日本のマグロの市況が回復することは韓国にとっても重要なことではないか、それは何も日本のためだけではなくて韓国にとっても重要なことである、したがって日本の市況回復のためには韓国としても応分の協力をしてもらいたいということで、現在韓国と話し合い中でございます。昨年は韓国から漁船で入ってきましたのは大体五万五千トンぐらいでございまして、通常ベースからいきますと、大体六、七割ぐらいでございましたが、ことしにつきましても、韓国からの輸入をできるだけ抑制したい、韓国のみならず台湾その他についても抑制したいというふうに考えておりまして、現在実務者間でそれらの話し合いを取り進めておるところでございます。そういうふうに輸入につきましてはできるだけ、こういう市況でございますから、抑制をしながら日本の市況回復をしていくということの方策をとっていくべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  それからマグロ漁業のコストダウンのために一体省エネその他でどういう方策を講じておるのかということでございますが、これは私は少し心がけて操業していただくと相当違うと思うわけでございますが、残念ながら、漁業者の心理状況としますれば、だれよりも早く漁場に行き、だれよりも早く魚をとって、だれよりも早く内地に持って帰って陸揚げをしたい、しかも高く売りたいという心情が働くわけでございまして、私たちが言っておりますいろいろな省エネ対策につきましても、すぐに実施されるという状況にはないわけでございます。同時にまた、省エネの漁船でなければ融資をしないよということも言っておるわけでございますが、すべての漁船が必ずしも省エネ漁船になるわけでもないわけでございまして、そういう効果というのが非常に遅々として進まないということは非常に遺憾に存じておるわけでございますが、私たちとしましては、省エネ対策委員会を設けまして、できるものから逐次これを実施していくということで取り進めておるところでございます。  それから燃油価格でございますが、燃油につきましては、私は当面量的確保についてはそれほど心配はないと思っております。よほどのことがあればまた別でございますが、量的確保については心配はないと思っております。もし心配するような事態がございますれば、この前のように通産省その他とよく連絡をとりまして量的確保について遺憾なきを期したいと存じております。  問題は価格でございまして、この価格の上昇というのは水産の漁業経営を非常に圧迫しておるという状況にございます。それで、業界としては、キロリットル五万円以下ぐらいなところで抑えてもらいたい、もしそれを超えるようなことがあれば、補給金を出してもらいたいという強い要望があることはよく承知をいたしておりますが、しかし水産の石油だけにつきまして政府が補助金を出すということは、これはきわめてむずかしい問題でございます。  そこで、私たちといたしましては、燃油資金ということで来年度一千億の要求をいたしておるところでございますし、同時に経営安定資金ということで六百億の経営安定資金を予算に計上いたしておるところでございます。これらをもちまして、できる限り水産関係者のそういう石油価格のコストの上昇を政府としてできる最大限度の援助をすることによりまして、あわせて水産業界の関係者の省エネ努力と相まちまして事態に対応していこうというのが方針でございます。
  60. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 大臣、いま水産庁長官からずっと質問に答えて説明がありましたが、大臣おっしゃられておりますように、きわめて厳しい状況の中で業界が大変苦労をして、しかも水産庁と相談をしつつ幾つかの模索をしていると思うんです。こういう課題には、的確に指導して、将来展望とそして現実とをきちっとつないでいくようなきめの細かい指導というのが求められていると思うんです。またそのことにこたえることが水産業界、特に遠洋の場合には将来性をきちっとつなぐことになると思うんです。したがって、ぜひひとつ大臣の方からも水産庁の、何といいますか、いろいろ検討していることが実っていって業界とともに整備ができますように、ぜひひとつ決意を込めてやってもらいたい、こう思うんですが。
  61. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 水産業は約一千万トンを超すたん白資源を国民に供給いたしておるわけでございます。そういう意味において、水産庁全体の予算を見ましても三千億でございますか、トン数で比較してみますと米が約一千万トン、それに対する国費はどのくらい使っておるか。主食と魚、食べ物で主食と副食という違いはありましょうけれども、食べ物という意味から見ますと、この水産関係にはもっともっと政策的な投資と申しますか、援助と申しますか、いたすべきではないかというのが、私は農林水産大臣に就任したときの記者会見で話した事柄でございます。したがいまして、そんな気持ちで長官にも話し、事務当局にも話しまして、五十六年度予算編成においてもそういう気持ちを少しでも反映さ世だいということで施策を行っておるところでございます。  いま水産庁長官から申し上げましたとおり、本当に各国とも魚をとる技術を向上させて、そしてとった魚はどこへ持っていくのかということを聞きますと、日本で買ってもらうんだと。もうASEANに参りましたときにも異口同音にそう言っておるわけでございます。いや、日本に持ってくる前にとにかくたん白を国民に食わせるということを先に考えてほしい、日本に持ってきたんじゃ、もう魚価が低迷しておって、お互いに苦労してとった魚が売れないような結果になったんではしようがないんだからというようなこと、これも私は漁業外交の一つであろうと思います。    〔委員長退席、理事坂元親男君着席〕  そういう意味において、外務省の大使館なり領事館なり、そういうところに人を配置する際にも、水産関係の堪能な人をできるだけ置くなり、あるいは農林水産省における水産関係の体制を強化しなければいかぬというようなことで、水産庁並びに経済局等にもそういう配慮をいたしてやっておるわけでございまして、今後も、御指摘のとおり、何としても、これは海が育ててくれる魚をとって提供できるわけでありますから、そういう意味においてわが国の重要産業として育てていかなければならないと、こういうふうに認識をし指導をいたしております。
  62. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 次に、林野関係で林野庁。  先般の大臣の所信によりますと、林業に関しましては、木材需要の伸び悩み、それから林業労働力の減少、高齢化、これがもとになりまして、そして一つには生産活動が停滞をしている、二つ目には特に間伐材の保育管理が行き届かない、三つ目には木材関連産業が不振であるというふうに現状を分析されておるわけであります。したがって、こういう現状を踏まえて、その対策としては、第一に木材等林産物の安定的供給を確保する、第二に森林資源の整備充実を行っていく、第三に林業振興施策の推進を行うんだという三点を柱にして、これをさらに具体化をいたしますのに六点、一つは造林、治山、林道事業の計画的な推進、二つ目には集団的・計画的間伐促進のため生産から流通加工までの総合間伐促進対策を実施をする、そしてさらに新規として国産材の供給体制強化のための林業構造改善事業の推進、それから四点目には林業労働者、林業後継者の育成・確保事業、さらに五点目は関連産業の経営安定化、六点目は国有林野の経営改善、こういうふうに所信の中で具体的に系統的に述べられておるわけであります。  ただ、とのことをずっと考えてまいりますと、確かに施策として現象的になるほどと、こう思うんですが、その前に一番大事な問題がどうも欠けているように思うのです。それは何かと言いますと、今日の林業を支えている林家の方々の採算性といいますか、林業の収益というものは果たして勘定に合っているんだろうかどうだろうか。ここが解決をしませんと、幾ら施策を講じてやってみても、どうにもしようがないんじゃないだろうかという気がするんですが、その辺は一体どういうことに相なっておるんだろうかということが一つ。  それからもう一つは、今日までともかく国産材と輸入外材とのかかわりの問題で、かつて国産材が非常に多くて輸入外材というのが非常に少なかったんですが、最近は全く逆になっている。こういう現象をながめてみて、これにはたとえば今日の需要を満たすだけ国産材が確保できないという問題等もありましょうが、結局そういうふうに追い込んできた一つの原因の中に、外材輸入というものが大きく介在をしておったというふうに私は意識をしているんです。そうなりますと、今日の状況を踏まえてこの外材の輸入問題等を一体どういうふうに理解をしているのか、実は所信の中にこの位置づけが全然ないものですから、その辺は一体どうなんだろうかというところをひとつ最初にお聞きをいたしたい。
  63. 須藤徹男

    政府委員(須藤徹男君) お答えいたします。  ただいま御指摘ございましたように、林業生産活動が非常に停滞をしておるという要因はたくさんあるわけでございますが、一つは、所信でも述べておりますように、木材需要が伸び悩んでおる。たとえば昭和四十五年には大体総需要量一億三百万立方、五十四年には一億一千万立方、その間前後いたしましてほとんど横ばいで需要がきておるという点がございます。  それから価格の面でございますが、価格も停滞いたしておりまして、それに比較いたしまして林業労賃が上昇しておるということでございますが、一つの例を挙げますと、昭和五十年を基準といたしまして、杉の立木価格を一〇〇といたしますと、五十四年は九六二八とむしろ下がっておるというような結果がございますし、また造林労賃に例をとってみますと、五十年を一〇〇といたしますと、五十四年は一二五と価格が上がらずにむしろ労賃が上がっておるというようなことがございます。  また、いまお話ございましたように、林業労働力も、減少傾向といいますか、横ばいでございますが、質的には非常に高齢化をしておるという要因がございますけれども、そのほかに御承知のとおり、現在わが国の森林資源の状況を見てみますと、幼齢林が非常に多いということでございまして、いわゆる主伐林分が少ないということでございます。そういうことで生産の停滞が続いておるということでございます、  さらに、最近におきます林家の経営収支状況を見てみますと、五十四年度の林家経済調査の中で見ますと、保有山林規模が五ヘクタールから五百ヘクタールの林家の五十四年度の林業所得は、全国一月当たりの平均でございますから、その年に全然生産活動のない林家も含めた二戸当たりの所得でございますが、五十四年度は木材価格が若干上昇いたしましたので、それらを反映いたしまして、五十三年の三十二万円から四十九万円というふうに伸びておるわけでござγます。しかしながら、わが国の林家といいますか、農林家と言った方が適当かと思いますが、大宗を占めております一ヘクタールから五ヘクタールの林家層をとってみますと、林業所得は九万七千円から十万二千円という低い伸び率にとどまっておるわけでございます。このように林家の経営収支状況はその年度におきます木材価格の動向に大きく左右されておりますが、また経営規模によりましてずいぶん違うわけでございますけれども、全般的と言えば林業経営が非常に厳しさを増しておるということでございます。  それから外材の問題、つまりいま七割近くの外材が入ってきておりますが、これらに対する理解はどうかという御質問でございますが、実は先ほど言いましたように、日本の国内森林資源の賦存状況から見まして、現在の生産量よりは若干資源量としては生産できるわけでございますけれども、長期的に見ましても、たとえば先般昨年の五月公表いたしました長期の需給見通しを見ましても、現在自給率三〇%ということでございますが、昭和七十一年には四一%、なかなか自給率が向上しない、資源状態からいって。そういうことで、日本の国内の木材需要を満たすためにはどうしても外材に頼らざるを得ないという状況下にあるわけでございます。  しかしながら、外材の動向が国内の木材価格を左右するというような問題もございまして、外材の必要な量を安定的に輸入していくということが一番大きな課題であろうかと思うわけでございまして、私どもといたしましては、四半期ごとに需給見通しを公表いたしまして、これはたとえば外材でございますと南洋材、米材、北洋材あるいは国産材というふうに分けまして、それぞれの四半期別の需給見通しを公表いたしまして、それをガイドラインにして輸入をしていただくというような行政指導を実施しておるわけでございまして、そのような体制をとりながら、外材の先ほど申し上げました適正な量を適正な価格で輸入するということを強力に指導しておるわけでございます。
  64. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 ともあれ、たとえばこの事業の中にあります後継者育成の事業等は、林家経営が赤字だというのに、赤字承知でこれを納得して後継者になる、労働者になるというのはなかなか容易じゃありませんね。労働者の場合はちょっと条件が違いますけれどもね。その辺の対策を講じなければどうにもならぬのじゃないんでしょうか。その辺が私は所信をお聞きいたしておりまして一番の問題点だと、こういうふうに思うんです。したがって、これに対してたとえばそれを補完していくような一つの考え方というのはあるんでしょうか。いまの法制度の問題ではなかなかそれは容易じゃないことですね。したがって、そこに問題があるとすると、その解決策というものをどうつくり出していくのか。ここに焦点が定まりませんと、まさに絵にかいたもちになりはせぬのかという心配をするんですが、いかがなものでしょうか。
  65. 須藤徹男

    政府委員(須藤徹男君) おっしゃるとおりでございまして、私どもといたしましては、非常におくれております林業生産基盤の整備、たとえば林道網の整備等が非常におくれておりますから、こういうものの整備をさらに強力に進めていくということと同時に、間伐が非常におくれておるということも問題がございますので間伐を促進していく。と同時に、いままではどちらかといいますと、画一的に拡大造林ということでどんどん造林を進めてまいったわけでございますが、御承知のとおり間伐対象林分がどんどんふえてまいりました。そういたしますと、今後は地域的に特色のある林業を育成していくということが必要でございます。そういう面で地域林業の振興ということを盛んに指導しておるわけでございまして、地域ごとに林業生産活動を活発化していくということが一つ重要でございます。  さらには、先ほどお話ございました林家の所得を向上させる道として何があるかということでございますが、いま投資段階でございますので、林木を売って収入を得るというのがなかなかむずかしい状況下にあるわけでございますので、近年国民生活が豊かになってまいりますと同時に、シイタケでございますとか、あるいはほかのキノコ類を初め特用林産物の需要が著しく増大しておるわけでございまして、これらの傾向に対応いたしまして、これらの特用林産物の生産規模を拡大しながら林家の林業所得を向上させていく必要があるということでやっておるわけでございます。  また、後継者の育成対策につきましても、従来からいろいろな後継者のグループ活動に対しますいろいろな指導助成を行っておるわけでございますが、五十六年度は青年林業士というような呼称を認定いたしまして、大変厳しい環境下にございますけれども、ひとつがんばっていただく意味でそういう制度も企画をしておるわけでございまして、これだけではなかなか十分にいまの環境を打開するということは非常に困難でございますけれども、森林は山村地域にあるわけでございますから、山村振興と同時にこれらの施策を強力に進めていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  66. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局、これは何といいますか、ついて回っているわけですが、林業の場合には投資をしてから回収をするまでの期間というのは非常に長期にわたる。したがって投資の力というのはそれだけゆとりがなければなかなか、逆に言いますと力が入れにくいという性格があるわけですね。  この辺は単なる林業といいますか、その範疇に少し入りにくいことかもしれませんけれども、たとえばいま水田の転換で、何といいますか、花卉を逆に転換して永年作物ということで組合をつくってやり出す。これも組合をつくるときの出資が一年、二年たたないと回収できないというふうなことで、大変資金繰りに困っているのが実態としてあるわけですね。これは林家の場合、その期間がさらに三十年、四十年、六十年と、こういくわけですから、これは容易なことじゃない。これはいままでも論議をいたしましたが、その間もう一つそこに何とか手当てを講じるような方法というのは検討されないといかぬのじゃないんだろうか、これが私が持っている一つの問題点なんです。私どもも検討いたしますが、林野庁としても今日の現状を踏まえてみて、その辺のところをひとつぜひお考えをいただきたいというふうに実は思います。  それからお話がありました間伐材の関係なんですが、私どもの地方で、先般私はある工場の見学に実は行ったわけです。そうしましたところが、ここは日本式のいわゆる唐紙ですね、建具の骨組み、それから唐紙の下地のところまでをつくっている大企業の直接経営の系統の工場なんですが、ございました。よくよく見ましたところが、そこで使っている木の骨組、唐紙を張るあの骨組みがすべて実は南方材なんです。南方材だと狂いがきて大変だろうという話をいたしましたら、確かにそうなので特殊に研究開発をしておりますと、こういう話でしたですね。一番最適なのはどこなのかと言いますと、これは日本の杉、ヒノキが一番いいんですと言うんです。こういう細いものですから、間伐材がもし安ければそれにこしたことはない。材料がいいということがわかっておりながら南洋材を使わざるを得ない。ここに間伐材の利用の問題等についてもっときめ細かく国産材の活用の方法というのがあるんじゃないんだろうか。現にそういうふうなかっこうのものが幾つかあるわけですね。  したがって、そこまで行き届いていきませんと、本当に山のことを心配しながら山を荒らしてしまうようなことになりかねないという感じがいたしますので、ぜひひとつきめの細かい対応の仕方、そしてもう一遍総点検をしてみるという課題に対処してもらいたい、こういうふうに注文をいたしたいんですが、よろしゅうございますか。
  67. 須藤徹男

    政府委員(須藤徹男君) いま事例として建具のいわゆる桟の原料のお話がございましたんですが、実は建具工場の原料につきましては、お話しのとおり、大量生産でき、しかも比較的安い建具をつくるという意味で、なるべく価格の安い材料を使おうということで一ころは米杉を使っておったんです。米杉というのは、御承知でございましょうが、例の秋田杉に非常によく似ておる、きめがよく似ておるということでわりあい安い建具にはすべて米杉を使っておった。  ところが、この米杉が輸出制限がございまして、最近非常に少なくなってきておる。そこで、いまお話しの南洋材を使うようなことになってきておるわけでございますが、昨年この南洋材が非常に高騰いたしまして、その結果、また国産材を使うということで、これは熊本の例でございますが、熊本で間伐材の専門工場がございまして、福岡の市場を相手に、建具でございますとか、そういう小径材で間に合うものに供給するという道が開けてきておるわけでございますが、そのように常に原料の安い方に向かっていくということがございまして、私どもといたしましても、国産材の振興といいますか、国産材をできるだけ使っていただくという意味で、改良型の在来工法の見本住宅を展示いたしましたり、あるいは在来工法の住宅部材の流通消費改善対策事業を実施いたしましたり、あるいは木製サッシ等の新製品の開発、それから住宅用の本質材料の品質向上のためのいろいろな技術開発、それからいまお話ございました間伐材等の小径木の有効利用、あるいは需要の拡大を目途といたしました間伐材等の小径木流通加工、あるいは需要開発促進事業というようなものの実施をしておるわけでございまして、御指摘のとおり、今後ともこれらの施策をさらに拡充をしていきたいというふうに考えております。  また、そのほか国産材全般の振興を図るためには、いわゆる全般的な施策でございますが、森林総合整備事業でございますとか、国産材産業振興資金制度、五十四年にできておるわけでございますが、あるいは新しい林業構造改善事業、あるいは林業振興地域の整備育成対策事業等いろいろな施策があるわけでございますが、これらのものを満席に活用しながら進めていきたいというふうに考えておるわけでございまして、間伐材の需要開発についてはさらに一層の推進を図っていきたいというふうに考えております。
  68. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 ぜひひとつ効果のある強力な進め方をいただきたいと、こう思います。    〔理事坂元親男君退席、委員長着席〕  ちょっと話が変わるんですが、第三次日ソ極東森林資源開発ですか、いわゆる第三次KSプロジェクトの関係、これがこの三月九日の日ですか、契約が調印をされた、こういうふうに聞いておるわけであります。これは引き音量としては千三百二十四万立米、うち製材品が百二十四万立米、これは八一年から八六年までの六年間に期間としては行う。これに伴って八一年から八五年の五カ年間、二千三百五十億円のいわゆる関連設備資材をソ連に輸出をする。こういう往復の契約の内容のようでありますが、この第三次の森林開発の契約が、これが日本の国産材に与える影響等の問題はどういうふうに分析をされておりましょうか。
  69. 須藤徹男

    政府委員(須藤徹男君) いまお話ございましたシベリアの森林開発計画に関連のございますKS貿易でございますが、これは実は第一次が昭和四十四年から始まっておるわけでございます。第三次が、いま先生お話ございましたような経過で契約が成立したようでございますが、実は長期契約でございまして、全体のソ連科の約一二%を占めておるわけでございます。したがいまして、何かKS貿易がいままでの北洋材の上にさらに上積みされるというふうにおとりになる向きもあるわけでございますが、これは現在まで進めております北洋材の輸入の枠内でこれを実施しておるわけでございまして、したがいまして、ほかの外材と同じように、先ほど申し上げましたように、全体の需給の動向を見きわめながら適正な量を輸入していただくという枠内でやっていただくということでございますので、国内に対する影響というものは余り心配する必要はないというふうに私ども考えておるわけでございます。
  70. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 これは構造改善局だろうと思うんですが、最後に一問だけさせてもらいたいんですが、昨年農地関係三法が成立をしたわけであります。そして新たな観点から構造改善、規模拡大の政策が進められているわけですね。そういう状況の中で、くどくど申し上げませんけれども、農地価格が線引きのところでずいぶん上昇をしてきている。田で九%、畑で七%、市街化区域では一五%というような新聞報道もあるわけでありまして、このことからいきますと、政府が規模拡大の推進をしようとしている問題に大変な支障が来るんじゃないのかという感じがするんですが、その辺の見解、それから対策、あんまりよろしくない傾向だというふうに総括的には思いますので、その辺の御判断をひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  71. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) まず田畑価格の動向でございますが、これはいま先生もおっしゃられましたように、地域によって、つまり市街化区域の中であるか、あるいは調整区域の中であるか、さらには都市計画の線引きの行われていない地域であるかというようなことによってかなり差がございます。比較的都市化の影響が及んでない、線引きが行われていない区域の旧市町村の田畑価格、これを見ますというと、調査は全国農業会議所の調査によっているわけでございますが、年々およそ五%から八%程度までの幅で上昇を続けております。市街化区域内はこれよりもはるかに大きな上昇率が見られるというようなことでございます。  こういったことが農業経営の上に影響を及ぼすではないか、規模拡大の上にいろいろ支障があるのではないかというお話でございます。確かに農業経営は自家所有の自作の田畑で経営を行うことが一番望ましいし、そういったことは私ども推進しなければいけないというふうに考えているわけでございますが、ただ、現実に今日のような高価格、それから農家が、単に価格だけでなしに、資産的保有傾向もあり、いろいろな理由からなかなか手放したがらないということを考えますというと、一般的には所有権の移転というよりは、むしろ賃貸借の促進という形で流動化を進める、規模拡大を図るということが望ましいというか、実現の可能性があるのではないかというふうに思うわけでございます。  もちろん所有権の移転を全くあきらめるというわけではございませんが、そういうことも含めて賃貸借の促進を図る。あるいはそういった賃貸借までもいかないような事情のあるところについては、農作業の受委託関係の促進を図るというような各種の幅広い形で流動化、規模拡大を図っておくということが必要ではないか。そして地域におきましては、いわゆる中核農家と言われるような生産性の高い能率のいい担い手によって地域の農業は行われるように進めていくということを考えるべきだと。まさに農用地利用増進事業、農地三法の成立はこういった形での構造政策を進めるということでの中軸になるというふうに考えております。  幸い各方面に、農用地利用増進事業、農地三法の改正は好感をもって受けとめられて、目下円滑にその実施が図られつつあるところでございます、今後ともその点では私どもは努力をしてまいりたいと考えております。
  72. 中野鉄造

    中野鉄造君 大臣にお尋ねいたしますが、酪農家の現況については、もう大臣も現地の方々から直接その実態をつぶさにお聞きになっておられるわけですので、私がまたそれを繰り返すのは省きますが、実は私も先月わが党の衆参の議員六名でもって、北海道の中標津、標津、別海、あの酪農地帯を手分けして酪農農家を訪問し、その家計にまで立ち入った深刻なお話を伺ってまいりました。その実情は、もう大変という状態を完全に超えております。にもかかわらず今回もまた連続四カ年の据え置き、加えて限度量八万三千トン削減ということになっておりますけれども、このような結果を事もなげにこう打ち出されるその根底には、生産資材価格が上がった、しかし生産性は向上しているじゃないか、また負債額はふえてはおろうけれども資産額は増大したじゃないかと、こういったような見方があるのではないかと思います。  たとえば北海道農協中央会及び道庁が酪農家をAからDまでの四階層に分けて、その実態調査の結果を発表しておりますが、A階層というのは、つまり私たちの体にたとえて言えば、健康で、いわば異状を認めない階層、これはほんのわずかでございます。次にB階層というのは、もう借金が粗収入の同額からその二倍までの組である。この中の大半はもうすでに通院治療を必要とするというような病状である。したがって、長期負債の元金の返済を五年間ぐらいは延期しなくちゃいけないんじゃないか。またCクラスというのは、粗収入の二倍から三倍の借金をしている組である。これはもう入院加療、長期治療を要するかなりの重体である。したがって、低金利長期資金に借りかえるとか、あるいはさらに長期負債の元金を五年ぐらい延長してもらわなければ回復はおぼつかない。また利子補給も必要とするんじゃないか。今度は一番最後のDクラスになりますと、これはもう借金が粗収入の三倍以上の組であって、入院、手術、輸血をも必要とするような、もう手おくれに近い状態である。こういう比喩でもってこの階層を四段階に分けております。  ところが、先ほど申しましたように、経営は苦しいだろうけれども資産はふえたからいいじゃないか。こういう見方は、たとえて言えば、瀕死の病床にある子供に、病気は確かに重いけれども、おまえは身長が伸びたからいいじゃないか、こう言っているようなことではないかと私は思うわけでございます。  このことにつきましては、本院わが党の藤原房雄議員が、去る五十六年二月二十八日付の酪農経営の安定対策に関する質問主意書を出しましたが、それに対する答弁書が三月十七日付で出されておりますが、その中にも明らかにこう書かれております。その答弁書の一節ですけれども、「酪農経営については、生産資材価格の上昇等コストアップ要因がみられるものの、生産性は向上している。また、負債額は急速な規模拡大のため増加したが、反面、資産額も着実に増加している。」、こういうふうに明確に記述されておりますけれども大臣の御見解をひとつ改めてお尋ねいたします。
  73. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 日本酪農は、戦後非常に短い間に、その形態においてはECの酪農にもある面では匹敵できるというようなところまで急成長したという見方をすることができると思うんです。しかしその内容を見ますと、いま御指摘になられたようないろいろな難問を抱えて酪農家の諸君は非常な苦労を重ねておる。この短い間にECに近づくだけの経営規模の拡大、飼養頭数の増加等を図って、しかも飼料面における弱さというものを酪農家の努力によって克服しながら今日の酪農業を築いておる。そういう面について私も日ごろから酪農家の皆さんに敬意を表しておるわけでありますが、私は日本酪農業が一番後発だと思うんですね、日本農業の中では。果樹農業あるいは施設園芸農業等も後発ではありますけれども、この酪農業も米作農業や畑作農業から比べますと後発である。その後発の酪農業が一番早く国際的な競争に対処できるような形にまで成長していった、これは重視していかなければならないと、私はこう思うんです。したがって、日本農業の八〇年代の構想なり長期見通しなりを考えますと、ああいう農業を展開していくためにはこういう日本の現在のこの酪農を成功させにゃいかぬ、どんなことがあってもりっぱに成功させていかなければならない、そういう感じを持つわけであります。  したがいまして、今回乳価決定に当たりまして、そういう面に対する対策もある程度強力に押し出せないものであろうか、そういうことで事務当局に対策の検討を命じてあるわけでございまして、諮問の中にもそういう考え方と申しますか、を盛り込ませまして、そして審議会等の意向を聞いて、負債対策とでも申しますか、酪農家の方々の一番苦労しております。そういう点に対する新たな構想を打ち出せればと、こう思って努力をしておる最中でございます。
  74. 中野鉄造

    中野鉄造君 そこで、すでにいまも申しましたように、特に現地の酪農家の方々は、こうした価格据え置き、生産調整、資材の値上がり、それに固体販売価格のダウン、さらには負債償還という五重苦にあえいでおるわけでして、こうした酪農家はこのままで推移すれば恐らく恒常的苦境に陥っていくのではないかと思います。  そこで、いまも大臣からの御答弁があったわけですけれども、きょうあすには正式な決定数字も出されると思いますが、そうするからにはそうした決定が、はっきり申しまして、午前中からの質疑を通して考えてみましても、私たち余り期待できるものではない。であるならば、それなりのそれに対する長期的短期的関連措置というものが用意されておってしかるべきじゃないかと思いますが、その辺のところをお尋ねいたします。
  75. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 負債整理問題については、いま気持ちを申し上げたわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、何としても次に大きな問題は、外国から入ってくるやつに対してどう対処するかということでございます、特に中身がバターであるにもかかわらずバターじゃないという形で入ってきて、これが膨大な数量になっておる、これをほっとくわけにはいかないということでいま関係国とも最終的な折衝を続けておるわけでございます。  したがいまして、これはもう全然ゼロにするということになれば一番いいわけでありますけれども、長い間の貿易関係等もございまして、一遍に全部を断ち切るわけにもまいりません。お互いの了解点に達する努力をしまして、そして自主的な規制をその話し合いによって行ってもらうというようなことをやってほしいということで、いま最終的な努力の詰めをやっておるわけでございます。これも今月中に明らかにできる、こう考えております。  同時に、何といっても飼料問題、これが大変大事だと思いますので、特に草資源の開発という問題については日本は一番おくれているわけでありますので、その面に対しても国家的な研究投資ということで北海道に草地試験場をつくったのがまだ間もない、二十年にならない。そういう日本のいわゆる草資源、飼料開発の実態でございますので、そういう面に対する国としての積極的な草資源の品種改良、開発に力を入れてまいるという五十六年度の予算編成もいたしておるわけでございまして、あらゆる総合的な努力をいたしまして、先ほど申し上げましたように、日本農業の先駆者としての酪農、これを成功させなければならない。こういう気持ちが率直に申し上げて農林水産大臣としての私の気持ちでございます。
  76. 中野鉄造

    中野鉄造君 今後の亀岡大臣の御努力に私だちは期待いたします。  次に参りますが、私、年々強化される減反政策のことについてお尋ねいたしますが、農業の経営の安定と所得の確保のためには、まずやはり農地の有効利用が最大の課題である。これはもう言わずもがなのことでございますが、そしてまたその農地集積というものが農産物のコストダウンを図り農家の体質を改善するための切り札である、こういうように言われております、私は必ずしもそれが切り札とは言いかねる点もあるんじゃないかと思います。経営規模の大小に比例もしましょうけれども、それよりもさらに作物の選択の自由、すなわち経営の自主性というところに負うところが多いのではないかと思います。  しかし、その当否は別として、専業農家の規模拡大の欲求が非常に強くなっているということも事実であります。ところが、今日自作地を取得しようとしても、価格が非常に高いということは当然のことながらも、零細な兼業農家等にあっては農地を生産の手段としてよりも、一つの財産として所有するという事情があるわけです。しかもそれは単に資産保有というものではなく、その根底には農地というものは祖先からの預かり物だといった、非農家では理解しがたい執着と農民的土地所有であるわけでありまして、したがって、まずよほどのことがない限り農地をこれらの人たちが手放すということはあり得ないような実情でございます。これが隆路となって農地流動が思ったよりもスムーズにいかなくなっている。ここに大きな原因があるのじゃないかと思いますが、この二者の異なった要求をいかにコントロールしていくか、これが今後の農地有効利用の大きなかぎではないかと思いますが、この点の見解をお尋ねいたします。
  77. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 農地の流動化を進めていく上で所有権の移転まで実現できればこれは一番望ましい、自作地で耕作が行われるいわゆる自作農が一番経営としては安定するわけでございます。しかしながら、先生がおっしゃられましたように、農家の土地保有についての執着というのはきわめて強いものがございます、それからまた現実に一般地価の影響も受けて農地価格自身もなかなか高いというようなことがありまして、現実に所有権の移転というのはきわめて困難な状況にあります。北海道とか一部の地域ではある程度の所有権移転も見られますが、一般的にはむずかしい。できるだけそういう農地価格の抑制を図るという意味では、私どもいわゆる線引き、都市計画法なり農振法なりの適用を厳正にして、優良農用地が荒らされないように、また転用価格に引きずられて上がることのないように抑制する。同時に、農地法の転用規制の厳正な運用ということも行うということで地価自身の抑制にも努めているところでございます。  しかし、まとまった規模の農地の流動化を進めるということを考えますと、そういう形ではなく、むしろ賃貸借を広範に進めていくということが、これから基本にならなければならないと考えております。その意味で、昨年農用地利用増進法を初めとするいわゆる農地三法の成立、これを見たわけでございますが、これによりまして安心して貸せるような体制をつくる、そして市町村がそのために間に入って当事者間の調停、あっせんを図るというようなことを行うこととしているわけでございます。  幸い一面において、自分のところの労力では農地を有効に経営することができない、耕作放棄までせねばならないというような農家も出てきている反面——これは安定兼業農家に多いわけでございますが、反面、その地域においていわゆる中核農家と言われるような、意欲も持ち能力も持っている生産性の高い農家が、もっと耕作すべき農地があるならそれを引き受けたいという需要もあるわけでございます。それを結びつけるということが相当程度実現し得る兆しが出てまいっておりまして、今日までそういう形でのいわゆる農用地利用増進事業によって利用権の設定を見たものが全国的に四万数千ヘクタールにも及ぶというような状況になっております。今後、私どもはそういう形での農地の流動化、受ける方からすれば規模拡大、生産性の向上ということを図ってまいりたいというように考えております。
  78. 中野鉄造

    中野鉄造君 いまの御答弁のように、政府は昨年末、農地の自主的流動化を促進するための施策として、いまのような賃貸借というような農地の流動化の促進を図っておりますけれども、それは構造政策の一環としての大規模農業化というターゲットがあると思います。  そこで、大臣に今後の見通しなりその構想をお尋ねするわけですけれども大臣、大体何年ぐらい後の将来をめどとして、どういうプロセスを描き、どの程度の規模を目指しておられますか。
  79. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) これは大変むずかしい御質問であるわけでございまして、農業にもいろいろな形態がありまするし、主穀農業の地帯、畑作の地帯あるいは酪農地帯、さらには果樹農業をやっておる地帯、施設園芸を農業の主業としておる農家皆さん、それぞれによってどのくらいの経営面積を持てば、それこそりっぱな農業経営ができるというようなことが、これは割り切ってはなかなか言えないのではないかなという感じ狂いたすわけです。  これも農政審議会等でもいろいろ議論を尽くしたところでありますけれども、私にどういう青写真を頭の中にかくかということで抽象苗に申し上げてみますならば、耕地の利用率がもっともっと高くなっていくような日本農業を展開しなければならない。  実は私ども終戦直後に、裏作奨励ということで灌漑排水や暗渠排水や客土等いろいろやって、裏作奨励ということで実は一三三%くらいまでの耕地利用率まで持っていった。日本がそこまでいったときがあったわけでありますが、いまはもう一〇三%ということでほとんど一毛作と、こういうことでございます。やっぱりそういう技術的な面も加えて考えませんと、平板に主穀農業であれば何ヘクタールあればよろしいというふうにはなかなか言い切れないということでございます。  と同時に、経営者の農業技術というものもこれまた大きく物を言うわけであります。都市近郊農地等においては、本当の小面積で高い所得を上げておる、全部自分の所有農地を温室にして温室経営にしてものすごい所得を上げている人もいる、こういういろいろあって、日本の農業がだんだんと成長していく、こういうことであります。  しかし、一つの基準を設けなければならないということで、農地法ができたときには、三町歩以上持ってはならないということは、三町歩くらいで何とかやっていけるという先輩のそういうあれがあったときもあるのかなというふうに感ぜられまするし、しかし農家の立場からいえば、日本の農産物は高い高いと言われているけれども、もう少し環境と条件さえ、政策さえよろしきを得れば、何もわれわれは外国の農業に負けないだけのものはやってみせる自信はあるんだという、若い農家の諸君も最近は出てきておるわけでありますから、そういうことをいろいろ考えてみますと、なかなか一概に何ヘクタールという線を引くということは大変むずかしいと思います。  また、事務的に本当にそういうことを考慮せずに計算したものがあるのかどうか事務当局の方から答えさ世たいと思います。
  80. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) いま大臣が申されましたように、作物として一体何をつくるのか、それから利用率がどの程度まで上げられるのか、あるいはそういったものをこなしていく農家の技術がどうであるかというようなことによ町まして、所要の農地面積というのは大きく差が出てまいるわけでございます、したがいまして、一概に将来どの程度のものをこしらえていくんだ、それを何年がかりでというような数字は、正直なかなか作業としても大変でございますし、考え方としてもそういうふうにまとめていいものかどうか、若干疑問というか、問題のあるところでございます。  ただ、現在まで腰だめ的にいろんなものを当たりをつけるといたしますと、まず基幹男子農業専従者のいる農家、その二戸当たりの経営面積はどのくらいか。要するに一人前の農業経営を営んでいると見られるそういう基幹男子農業専従者のいる農家、そこにおきましては、都府県の場合単一経営で、複合経営ですとまた複雑な要素が加わってまいりますが、単一経営の場合は、稲作でありますと二・八二、それから施設野菜でありますと一・一八、露地野菜でありますと一。四九というふうに作目によってかなりの差はありますが、稲作の場合は三ヘクタール程度が一つの実績となって出ているわけでございます、  それから、農家の階層別の移動の状況を見てまいりますというと、やはり三ヘクタール以下ではなかなか経営がむずかしいということがあって、農家数、専業農家の戸数は減少する傾向にありますけれども、三ヘクタールを超える農家数は、これは全体としては増加、あるいは減少する場合でも減少率が低いというような状況にあるわけでございます。  そういうことからしますと、これが目標というようなことにはなりませんが、むしろこれを将来においてはさらにもっと大きくしていくというようなことが必要かと存ぜられますが、一つの参考として考えられる数字がというふうにも考えられるわけでございます。
  81. 中野鉄造

    中野鉄造君 そこで、そうした流動化促進と同時に、もう一つ忘れてはならないことは、これが進んでまいりますと、それだけの農家の人たちが農業を離れていくということになってくると思うんです。そういう人たちへの雇用政策なり、あるいは今後ますます日本の農業というものが高齢化していくと思うんですけれども、老齢の人たちの場合であれば社会保障政策の裏づけあるいはそうした受けざらになるようないろいろな施策は考えておられますか。
  82. 杉山克己

    政府委員(杉山克己君) 農家の兼業化の状況というものを見てみますというと、二種兼農家が総農家の七割を占めるというような状況になってまいっております。それから二種兼農家内容を見ますというと、恒常的な勤務が六七%、それから自営業が一七%ということで、これを合わせますと八四%、こういったところが安定兼業農家となっておるわけでございます、つまりは、二種兼でもありますし安定兼業農家でもあるというようなことで、農作業に重点を注げない、そういう農家がきわめて大きくなってきているということがあるわけでございます。  今後農地流動化の対策などを進める場合には、当然農地の出し手として考えられるのはいま申し上げましたようなそういう安定兼業農家であろうと思います。でありますから、ある意味ではむしろ農業の方が出ていってくださいということで、農業をやめていただくというのではなくて、むしろ農業をやっていけなくなるという農家の耕作をかわってお引き受けしますというような形になっていくのが大部分であろうというふうに考えます。しかしながら、地域によっては、個々の農家経営においては安定した就業機会が地場でもって欲しいというような向きも当然あるわけでございます。そういう課題につきましては、従来からも私どもはたとえば農村地域工業導入でありますとか、あるいは山村振興対策でありますとか、定住対策でありますとか、就業機会を確保するような方策を、私どもだけでなしに、通産省でありますとか、労働省でありますとか、各省とも協議協調して打開を図って推進しているところでございます、  それから高齢化して農業をリタイアされる方々に対して社会保障的な手当てが何か考えられるのかということでございますが、今日御存じのように農業者年金制度というものがございます。これに加入しておられますと、農業をやめられるということですと、そして一括して後継者なり第三者に農業経営をそっくり譲渡するということならば、六十歳以後農業経営移譲年金というものが受けられますし、さらには六十五歳以降になりますと、国民年金とあわせて一般の国民年金の場合よりかなり有利な生活保障といいますか、老後対策としての年金の支給が受けられるわけでございます。今後ともこういった面の充実に私どもとしては努めてまいりたいというように考えております。
  83. 中野鉄造

    中野鉄造君 じゃ次に、農産物の価格に関してお尋ねいたしますが、政府は財政圧迫を背景理由として、とかく農産物の価格を決める場合、需給調整機能を重視しようという立場から価格抑制の意向が強いようですけれども、これをやれば結局、専業農家と二種兼農家を比較した場合に、どちらが大きな打撃を受けるかは、これはもう明白だと思います。日ごろ政府は口を開けば中核農家の育成ということを申されますけれども、その言われていることとこの実際とは、かなり矛盾したうらはらな結果が出るのではないかと思いますが、この点いかがなものでしょう、
  84. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) 農産物の価格政策につきましては、先般の農政審議会でも答申がございまして、御指摘のように、農産物の今後の需給の調整の問題あるいは農業所得の確保については、今後の中核的担い手たる農家中心に長期的に所得確保を考えるべきだという御指摘を得ておるわけでございます。全般的に需給が緩和している農産物が多いわけでございますし、同時にまたそうした需給につきまして自主的に生産の調整等を農民方々の力によりまして価格の一定の安定を図ろうという動きもあるわけでございますが、そうした状況を見て、今後日本の農業の中心となるべき中核的農家の所得の確保ということがやはり所得面からは長期の目標とさるべきものだと思います。  御指摘のように、そうした場合に中核的農家のダメージが多いのではないかと、そうした御意見もございますが、一面これまでの酪農の発展の過程その他を見ましても、そうした過程で足腰の非常に強い中核的担い手とも見られるような酪農家が相当育ってきた。かつ、いろいろな問題は先ほど御指摘のように抱えておりますけれども、そうした経過もございます。一概に中核的農家のダメージだけというふうにも言えないのではないかというふうに私どもは考えておりまして、価格政策につきましては、それぞれの作物の性格等に応じた適切な措置を今後ともとってまいりたいと考えております。
  85. 中野鉄造

    中野鉄造君 もう農家方々といい酪農の方といい、いろいろな苦労に耐え忍ぶということは覚悟しておりましょうけれども、将来に希望が持てる苦労だったら何ぼでもするけれども、どうなるかお先真っ暗だというようなことでは、本当に苦労のしがいかないというお気持ちだと思いますので、この農産物の価格についても十分にひとつ今後御検討いただきたいと思います。  次に、ことしもいよいよまた生産者米価決定のための準備がもう始まっておろうかと思いますけれども、この基礎となります従来の生産費所得補償方式ですね、これでの米価算出では、五十四年度ではすでに第二次生産費が決定米価を上回ると、こういう現象が起こっております。すなわち、第二次生産費が一万七千二百八十五円であるのに対して決定米価が一万七千二百七十九円、こういうことであってみれば、この生産費所得補償方式では本来の目的、機能が破綻するというようなことになりはしないか、所得補償という本来の目的、機能が破綻するような結果を招くのじゃないかという懸念もあるわけです、したがって、昨年もそうであったし、この際この方式を見直すべき時期が来ているのじゃないかと私、思うわけです。  と同時に、この米価算出に当たって、特に自作農に対する米価算出の根拠が昨年の九月の統制小作料廃止によってなくなったわけでありますから、この五十六年度生産者米価についていまどのようにお考えになっておるのか、その点お尋ねいたします。
  86. 松本作衞

    政府委員(松本作衞君) 五十六年産米の米価につきましては、まだ十分な検討を進めてございませんが、すでに前年の生産者米価決定の際に、米価審議会におきまして、統制小作料の廃止に伴い、明年の米価決定時までに結論を得るよう必要な検討を進めるべきであるというような建議もされておりますし、ただいま御指摘のような問題もございますので、私どもといたしましては鋭意今後検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  ただ、その際に問題になりますのは、今後の米価のあり方というものの中で需給調整機能というようなことをどう考えるか、ないしは中核農家等との所得の関係をどう考えるかというようなことが問題になってくると思われます、また具体的な算定方法として、いま申しましたような統制小作料廃止後の自作地の地代をどう判定していくかというようなことの問題も含めまして、今後詰めてまいりたいと考えております。
  87. 中野鉄造

    中野鉄造君 この生産費所得補償方式の見直しについてはどういうふうに思いますか、
  88. 松本作衞

    政府委員(松本作衞君) 基本的には現在の米価の考え方でございます生産費所得補償の考え方というものはとっていくべきものであろうと考えております。
  89. 中野鉄造

    中野鉄造君 そうすると、今年度の米価算出の根拠である統制小作料が撤廃になった。それにかわるそうした算出の基礎になるいろいろな作業というのはいまはまだ取りかかってないということですけれども、いつごろから始められますか。
  90. 松本作衞

    政府委員(松本作衞君) 米価決定がいつも七月ないし八月でございますから、その二カ月前ぐらいまでには取りかからなきゃならないと思っております。それまでになかなかデータが出てまいりませんので取りかかれないという問題もございます。
  91. 中野鉄造

    中野鉄造君 時間もありませんので、次は過剰米の処理状況についてお尋ねしますが、現在、在庫数量は五十年以降年度別にどういうふうになっていますか。
  92. 松本作衞

    政府委員(松本作衞君) 五十五年十月末現在の、在庫量でございますが、年産別に申し上げますと、五十年産が二十九万トン、五十一年産が百二十九万トン、五十二年産が二百一万トン、五十二年産が百二十九万トン、ここまでがいわゆる過剰米処理の対象になっておりますものでございまして、さらに五十四年産が百七十八万トン、合計で六百六十六万トンの古米在庫ということになっております。
  93. 中野鉄造

    中野鉄造君 この在庫数量の処理に関してでございますけれども、どのようにいま処理をされる計画があるのか、ひとつ年度別に、用途別にお示し願いたいと思います。
  94. 松本作衞

    政府委員(松本作衞君) 五十年産から五十二年産までの古米につきましては、過剰米の処理計画に基づきまして年次的に処理を進めることになっております、その全体数量が六百五十万トンでございますが、年度別に申しますと、五十四年度におきまして百二十万トン、五十五年度におきまして見込みも含めまして百十四万トン、五十六年度におきまして百二十万トン、五十七年と五十八年合わせまして二百九十六万トンということで、合計六百五十万トンでございます、  この用途別の内訳といたしましては、工業用が百六十万トン、輸出用が二百八十万トン、えさ用が二百十万トン、合計六百五十万トンという計画に相なっております。
  95. 中野鉄造

    中野鉄造君 いまの御説明によりまして大体わかりましたけれども、そうしますと五十三年度米はどういうことになりますか、
  96. 松本作衞

    政府委員(松本作衞君) 五十三年産米につきましては、総体で百六十一万トンが六百五十万トンの内訳になっておるわけでございますが、そのうち五十五年十月までに処理をいたしましたものが三十二万トンでございますので、現在で残っておりますものが百二十九万トンほどございます。これは主として輸出用を中心に充てていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  97. 中野鉄造

    中野鉄造君 これはそうすると国内消費に使はわれないわけですか。
  98. 松本作衞

    政府委員(松本作衞君) ただいま輸出用と申しましたけれども、加工用も出てまいると思いますが、主として輸出用、加工用を考えておりますが、この五十三年産米の中におきましても、低温貯蔵をしたようなものにつきましては、十分に食用になるものがあるわけでございますが、特に希望のあるものにつきましては、主食用に充当するというようなことも考えられるというふうに思っておりますが、この点につきましては、需要者の要求等も見て今後決めてまいりたいと思っております。
  99. 中野鉄造

    中野鉄造君 そうしますと、五十五年産米の生産量が九百七十五万トン、このうち五十六年産米の生産量との兼ね合いの上から、約八十万トンを五十五年産米の中から差し引いていくと八百九十五万トン。これで五十六年の米の消費をしていくことになるわけですが、そこで五十四年産米の古米百七十八万トンをプラスして八百九十五万トンと百七十八万トン、合計千七十三万トンになるわけですが、年間消費量が千百万トン。それに対しまして若干少なくなっておるわけですけれども、その残りの米は先ほどおっしゃった五十二年産米を組み入れるということになるわけですか。
  100. 松本作衞

    政府委員(松本作衞君) 五十六米穀年度におきましては、需要が全体で千七十万トン余と見込んでおりますが、五十五年産の生産量が九百七十万トンほどでございますので、単年度におきましては約百万トンほど不足をすることに相なります。しかし、ただいま御指摘がございましたように、五十四年産米が百七十八万トンほどございますので、これを充当いたしてまいりますと、約八十万トンから九十万トンほどの数量が持ち越しをすることができることに相なります。  それから五十六年産米につきましては、生産調整におきまして、災害対策も考慮いたしまして、需要量よりも若干供給量を余分に見込んでおりますから、そこで二十万トンほどが出てまいるというふうに考えておりまして、実質上は供給全力としては百万トン余のものがさらに残ってくるというふうに考えております。
  101. 中野鉄造

    中野鉄造君 そうすると今後の水田再編対策の上から、前年の持ち越し量約八十万トンと、当年度米の生産量で翌年年間需要を満たしていくことになるわけですけれども、それで十分というわけですね。
  102. 松本作衞

    政府委員(松本作衞君) 今年、五十五年産米が非常に不作だったわけでございますが、こういった非常な不作におきまして、単年度で百万トン足りなくなったわけでございますので、百万トン以上のものがあれば、通常の災害程度であれば耐えていけるものというふうに考えております。
  103. 中野鉄造

    中野鉄造君 次に移りますが、米の消費拡大に対してどういういままで施策をしてこられたのか、またそれに対して成果はどういうふうにあらわれたか御説明をいただきたいと思います。
  104. 松本作衞

    政府委員(松本作衞君) 米の消費拡大につきましては、各方面の努力をいたしておりますが、その一つは学校給食の米飯導入でございまして、学校給食の米飯導入につきましては、週二回の米飯導入を目途として進めておるわけでございますが、現在までのところ、八四%の学校が米食を導入するというところまで成果が上がってまいっております。今後さらに大都市等を中心にいたしまして、この学校給食の促進に努力をしたいと考えております、  それからまた、消費拡大を全国的な、全国民的な規模で御協力を願う必要がございますので、市町村を中心にいたしまして、地域ぐるみの消費拡大事業というものを昨年度から進めておりまして、この地域ぐるみの消費拡大事業によりまして約千八百の市町村を指定をいたしまして、その市町村におきまして市町村が主体となって農民、消費者等を網羅いたします協議体をつくっていただき、その協議体が推進母体になって料理講習会、啓蒙普及の事業というようなことをやっていただいております、  で、こういった地域ぐるみの消費拡大事業によりまして、この消費に対する認識は深まっておると考えておるわけでございますが、これだけの効果ではないと思いますが、政府の売り渡し米の数量は、五十四米穀年度及び五十五米穀年度におきましては、前年に比べて少しずつではありますけれども増加をいたしておりまして、従来の年々の減少傾向というものに歯どめがかかったものというふうに考えております。  そのほか、一般的な啓蒙普及といたしまして、お医者さん、調理師、その他関係方々も含めた一般的な啓蒙指導、ないしはテレビその他の報道機関を通じます啓蒙普及というような形で広く呼びかける事業をやっております、  さらに、今後の日本人の食生活の中で米を中心とした日本型食生活を定着させていこうというような幅広い考え方を打ち出しておりますので、漸次こういった考え方が定着してくるものということを期待しておるわけでございます。
  105. 中野鉄造

    中野鉄造君 いろいろと消費拡大のために御努力いただいているようですが、いまのお答えの中にもテレビ等でも大いに宣伝しているということだったんですが、私も実はその件についてちょっと資料を持ってきておりますが、五十四のテレビコマーシャルで即席ラーメンのコマーシャルが断然トップであった、こういう記録が出ておりまして、二位のかぜ薬を十数倍も引き離しておるわけです。その結果がどうかわかりませんけれども、この即席ラーメンが何と四十一億五千万食消費したと、こういう結果が出ております。こういうことから見ますと、米の消費拡大に関してもっともっと政府としてもユニークな若い人たちに受けるようなそういうPR、コマーシャルでもやっていったらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
  106. 松本作衞

    政府委員(松本作衞君) 現在も、食糧庁が提供いたしておりますテレビ番組といたしましては、三十分物のテレビ番組と、それからいわゆるスポット物のコマーシャルというようなものを組み合わせてやっておるわけでございますが、その内容につきましては、年々趣向を変えまして、特にいまお話がございましたように、若い人たちにも受けるようなコマーシャルということに努めておるわけでございますが、今後ともこういった内容、ないしはその全体の充実というものに努力をしたいと考えております。
  107. 中野鉄造

    中野鉄造君 最後に大臣にお尋ねいたしますが、先月、宮崎県における二月下旬のいわゆる異常低温による農作物の被害に対しまして、同県よりすでに天災融資法の発動並びに自作農維持資金の融通についての陳情もあっているかと思いますが、どのような善後策をとっていただけますでしょうかお尋ねいたします。
  108. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 九州、四国、中国地方を襲った二月末の寒波による被害は激甚をきわめておりまして、被害農家皆さん方には心からお見舞いを申し上げるわけでありますが、農林水産省といたしましても、直ちに担当官を派遣をして被害の実態調査に取り組んでおります。そしてできるだけ早く天災融資法の発動を前提とした金融措置等が講ぜられますように指示を与えておるところでございます。いずれにいたしましても、できるだけ早く被害の実態というものを把握せねばいけませんので、統計情報部を督励いたしまして被害の調査の把握に努めておりますとともに、各種保険、共済保険等に入っております方々に対する保険金の支払いも速急にできますように、これまた被害の調査がもとになりますので、その方の督励を急がしております。
  109. 中野鉄造

    中野鉄造君 よろしくお願いします。  以上であります。
  110. 中野明

    中野明君 それでは、きょうは大臣の所信に対する質問ですので、基本的なことをまず二、三お尋ねしてみたいと思います。  御案内のように、財政再建が鈴木内閣の一番大きな柱として、総理も大蔵大臣も政治生命をかけるとまでおっしゃっているわけでありますが、伝えられるところによりますと、二十四日の閣議の後で、総理が農林大臣に、行革について農業団体の理解を求めるようにという指示がなされたように伝えられておりますが、その辺の経緯をちょっと御説明いただきたい。
  111. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 実は先般の閣議の後に総理から、農業団体が対策のための会をつくったようだけれども、とにかく協力してもらうような指導をしてほしいと、こういう要請が総理からあったわけでございます。したがいまして、早速藤田会長に電話をいたしましたが、郷里に帰っておられて、出張されておって御不在なために、常務の方々にその旨を申し上げ、なお近く藤田会長にお会いして私から私どもの気持ちを申し上げたいと、こう思います。  いずれにいたしましても、この財政再建という国家的大政策を進めてまいります決意をした鈴木内閣といたしましては、もう何が何でもこの財政再建をやらなければいけない。それには増税をせずに五十七年度の予算を組もうというような御意向もあるわけでございまして、したがいまして、既定経費の節減というものを相当厳しく考えていかなければならない。こうなりますと、これは政府が全力を挙げて一致協力して行政改革を進め、そうして財政の健全化を図ってまいる、こういうことに私どもも全力を挙げていかなければならない。そういう趣旨を団体の方にもお伝えしたいと、こう思っております。  と同時に、これは、他産業と違った特色を持っておる、自然的な社会的な経済的な不利条件を持っておる農業という部門でございますから、やっぱり一応筋の通った案を私どもとしてはつくって、そうして全国農村に御協力を呼びかけていかなければなるまい、私としてはそんな気持ちを持っておる次第でございます。
  112. 中野明

    中野明君 特に第二臨調が滑り出し、一つの大きな柱として補助金の整理ということが一番やり玉に上がっているように私たちも思うわけですが、農水省関係も補助金が約二兆円を超えております。そこで、私この機会に官房長にもお尋ねしたいんですが、この補助金——どんな政策でも一〇〇%よい、あるいはまた一〇〇%悪いというような政策はありません。必ず長所と短所というものはあると思うんです。それで、行政当局としてこの補助金制度の功罪といいますか、長所と短所、どのように認識をしておられますか、これは将来大きな攻防になってまいりますので、その辺はどういう認識を持っておられるかお聞きをしておきたいと思います。
  113. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) 御指摘のように、五十六年度予算、現在要求いたしております農林水産省関係の補助金は二兆六百十二億円、概数でございます。御承知ように、これらの各種補助金は、経営規模の拡大とかあるいは生産性の向上、農産物の需給なり価格の安定、あるいは農山漁村の生活環境の整備等、それぞれの目標を達成するためにはこれまでも重要な役割りを果たしているものと私ども基本的には認識いたしております。  ただ、補助金制度自体の功罪の罪と申しますか、問題として私ども自体も、補助金制度自体が、これが硬直化しやすい性格を持っている、あるいは非常に細分化して効果に問題を生ずるとか、あるいは事務処理の繁雑性というような問題等、その弊害を指摘されていることも事実でございますし、またそうした面での改善、合理化に努めております。  そうした例といたしまして、農林水産省におきましても、五十六年度の予算編成に当たりまして八十二件の補助金を廃止し、二百四十七億円を減額いたしましたし、また補助金自体を減額したものは二百十八件、三百三十五億円に達しております。そのほか統合した補助金が二十八件というような、私どもなりに努力はいたしておったつもりでございますが、今日農政をめぐる諸般の問題、特に昨年の国会におきまして自給力決議がなされたこと、また昨年の秋農政審議会からの答申もいただきまして、国として農林水産業の方向づけを行ってこのための有効な政策手段をとっていかなければならない。同時に、先ほど申しましたような補助金の事業の統合化あるいは事務処理の簡素化等とあわせて、人の簡素化につきましても、今後とも検討して改善して必要な助成は確保してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  114. 中野明

    中野明君 私たちもよく現場へ行って第一線で農業生産に従事しておられる方々と話をするんですが、税金から補助金をいただく、非常にありがたいことなんだが、結局生きた補助金を出してもらいたいという意見も最近特に強くなってまいりました。結局、補助金が出ているためにかえって高い物を無理やりに買わされたり、そういうような実例があっちこっちに出ているということで、現場の農民の方も、こういう補助金よりも長期低利の融資をしてもらって、そうして自分で自主的にやった方が農業の発展につながるというような意見すら出てくるような場面もあります。それだけによほど当局としても、補助金というものは、私は必要性を認めておりますだけに、いやしくもそういう批判なり思いが出てこないようなそういう補助金のあり方というものを抜本的に考えてほしい。これは大臣にも特にお願いをしておきます。現場でまじめに農業をやっている人から、この種のこういう補助金のあり方は私たちのためになっておらぬ、こういうような意見が出てくるような補助金というのは、やはりこれは行革なんかで文句を言われたらどうしようもありません。そういう面でこの点について大臣からお答えをいただきたいと思います。
  115. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 御指摘の点はまことにもうごもっともなことでありますので、私どもといたしましても、行政改革、補助金整理等に当たりましては、今日までもいま御指摘になったような立場で整理をしてまいってきておりまするし、今後も何としても農家の立場、農村の地域社会を中心にしたその進展のための十分な効果を上げ得るという立場から補助金の決定をしていきたい、こう考えております。
  116. 中野明

    中野明君 それから食糧の安全保障ということでございます。先日も私予算委員会で議論をいたしましたが、防衛の論議というのは、どういうんですか、かなり長時間にわたって論議もされ、そしてマスコミもこれを非常に大きくクローズアップしました。私どもが、政府はそうじゃないと言っておりますが、防衛予算だけは別枠だ、こういうような状態でいま予算編成もなされているような状態であります。私はこの安全保障ということについて、防衛以上にこの食糧の確保ということが大事であるということは論をまちません。ですから、それだけにこの食糧の安全保障ということについて強力に、農林水産大臣は総合安全保障会議のメンバーでもございますし、あらゆる資料を整えて、そして防衛以上に予算が農林につくようなそういう動きをしていただかなければならないと思うんです。  いま、ジェトロが昨年の八月八日にまとめた資料で見ましても、わが国の八〇年の農林水産物の輸入というのが総額二百四十一億ドル、世界一になった、こういう現状であります。少なくとも先進諸国の中で食糧の安全保障ということについてわが国ほど深刻に考えている国は少ないんじゃないか。最近はどの国も食糧の自給率というものに力を注いで、先進国の中では日本が一番これを深刻に受けとめていかなきゃならぬ食糧の安全保障じゃないか、私はこのように理解をしております。  そういう状況の中で、担当大臣として、この世界一食糧の輸入国になってしまった——けさほどからいろいろ議論がありますように、結局輸入というものが日本の農業というものを混乱さしているということはもう否めない事実です。それだけにこの農林水産業の振興ということ、日本の現状の農林水産業の振興ということについて、大臣として今後基本的な考え方というものをこの機会にもう一度明確にしていただきたいと思います。
  117. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) もう安全保障問題の中でこの食糧問題は、防衛問題に劣らず私は最も重要であるという認識は中野委員と同じくするものでございます。したがいまして、安全保障閣僚会議におきましてもその点は十分強く主張し続けておるところでございます、  と同時に、年々外国から輸入される農林水産物資が膨大なものが入ってくるということで、これはいかぬ、こんな状況を続けておったら日本の国はどうなるか非常に不安である。したがって、政府は食糧自給力向上、自給力強化ということに対してもっと真剣に考えなさいということを、国権の最高機関国会から昨年御決議してちょうだいをいたしておるところであります。この国会決議というものが日本の食糧問題、農政問題に対する大きな一つの支えを与えていただいた。これを支えにしてできるだけ国内でできるものは国内で生産をする。そうしてどうしてもえさのように急速に自給できないものはやむを得ないから輸入をする。しかもその輸入先は、一カ所だけじゃなく数カ所に輸入先を設定して、そうしていざというときに、あるいは天候異変のありましたときにも供給がとだえないようにしていく。こういうことでやろうと考えておるわけでございます。  農政審議会からの答申、長期見通しを閣議決定をいたしまして、全力を挙げて政府としても取り組んでおりますことをひとつ御理解いただきたいとともに、私は、農政関係に日ごろ熱心に取り組んでおられる皆様方によって予算委員会で私も答弁の場をたびたび与えていただいたということは、大変光栄に思うわけでありますが、もっともっとじみちな農政問題、食糧問題、特に林業問題、治山治水、山の問題なんというのはもう本当に大切な問題であって、予算委員会等において国民的な立場からもっともっとPRをされて、そうして国民が心合わせて取り組まにゃならぬ問題ではないかと、そういう感じを受けております。お話の線に沿って努力をしてまいります。
  118. 中野明

    中野明君 それで、この前も申し上げました保が、食糧の安全保障を考えるという上においては、不測の事態に対する研究、そういうことがなければ幸いでありますが、不測の事態に対する研究というものが、この間の議論では農水省が食糧の担当省でありながらどうも——その研究というのは非常にむずかしさがあります。それは私もわかりますが、防衛庁は思い切ってこの研究をして発表している。非常にショッキングな内容でございますけれども、それにおくれをとっているというような感じを私は受けてなりませんが、その後、あのときの御答弁では鋭意研究を進めていくというお話でしたが、どういう取り組みをされようとしておるのか。  あのとき防衛庁からも報告がありましたが、本当に日本の輸入が五〇%になったらもう二千カロリーというような数字をはじき出しております。二千といいますと、これは戦後の一番食糧が不足して皆がかつえな時分のカロリーですね。千九百九十八ですか、あの当時。それに伴って、もし食糧が半分ということになると、油も入る率が悪くなるということで、油がこれに加わってくると、もう一千二百カロリーというような試算を出しているわけです。そうすると、一千二百カロリーというのは栄養失調を通り越して、大体千五百カロリーぐらいで安静状態と言われておりますから、千二百といったら生きていくのが困難でしょうね。そういう発表もしております。  そういう状態で、私は決しておどかすとか、そういうことじゃなしに、事実もしもこういうことが起こったらこうなりますというところから食糧の安全保障ということに対する考え方が決まってこなければ、いざとなってそんなはずじゃなかったと言ったんでは手おくれです。そういう面でいつ具体的にどういう行動を起こされようとしておるのか、その辺。
  119. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) 先般もお答えいたしたところでございますが、農政審議会におきまして、「八〇年代の農政の基本方向」の中におきまして、実際の不測の事態が生じた場合、対応できるような最低限確保すべき栄養水準なり備蓄の規模、あるいはその主体なりの方式、潜在生産力の発揮の仕方をどう持っていけるかというようなことについて今後具体的に検討するということになっておりました。先般も農林省内にこの関係のプロジェクトチームを編成いたしまして、広い角度から省内挙げて検討組織を設けて進めておるわけでございます。ただいま御指摘のように、防衛庁の方のいろいろ作業をした結果等も聞いております。  農政審議会の中途段階で、私どもも輸入が二分の一削減された場合、あるいは三分の一削減されたケースというようないろいろなケースで栄養水準等を算定したことがございますが、ただそうした意味で机上の非常にジョギングなデータということもある意味では必要かもしれませんが、そのときの御議論といたしましても、やはり具体的に食糧の輸入が削減されるという状態と、御指摘のように石油の問題がどうなるのかとか、いろいろふくそうしてくる条件を設定して考えなければならない。また、そうした場合の農業資材なり就業者の確保等がどういうふうにとれるのかという広い角度からそれぞれのケースについて詰めなくちゃいけないという問題。先ほど申しました確保すべき栄養水準の問題も大事でございますが、そうなりますと、国の規模での備蓄対策と同時に家庭備蓄なりの備えをどうするか。こうした点についてスイスの例なりよく指摘されますし、そうした実例をいま調査にも行っております。そのほか、これからの可耕地といいますか、耕作し得る土地の確保、あるいはそれを実現するのにどのくらいの時間なりがかかるか。こうしたものにつきましてできるだけ詳細に詰めるべきではないか。  作業は非常に広い分野にわたりますんで、いまいりまでにできるというふうに申し上げかねますけれども、私どもできるものからお示しするものができ得ましたらその段階で公表してまいりたいと、このように考えております。
  120. 中野明

    中野明君 これは思いでいただきたいと思います。そうかといって、でたらめなことじゃ困るわけですけれども、非常にこれは国民の生活の基本にかかわる問題ですから。  先日も東京都のあれで私たちも調査しましたが、東京に大地震が起こったら一体東京の食糧というものはどうなるのかということでいろいろ調査をしてみますと、各区まちまちでございますが、二日間ぐらいしか各区役所にはない、あとはもう家庭の冷蔵庫に頼る以外にないというようなことですが、家庭の冷蔵庫も限度があります。そういう現状から考えて、本当に不測の事態というのは、外国から入らないという場合じゃなしに、災害もやっぱりその一つになってくる、大地震なんかはその一つになってくる。こういうような時代にもなっておりますので、そういう点は特に検討を急いでいただいて、そして農業というもの、食糧の確保というものは、お金が要るけれども、それは当然政府仕事ですから、こういうデータをきちっと出されて、そして総合安全保障会議で議論を、防衛と並んで、あるいはそれ以上に、議論をしていただくようにならないと、日本の農業というものは立ち上がらないんじゃないかと、私はこのように思いますので、これは強く要望しておきます。  と同時に、いま備蓄のお話が出ましたけれども、ヨーロッパの各国ではこの備蓄という考え方が非常に進んでおりますし、また先ほど私が言いましたように、先進国で食糧のことについてさほど心配をしてないというのは、やはり酪農が盛んだからというのが一つの大きな理由であります。酪農というのは、食糧備蓄の基本だとぐらいに向こうは思っているようです。牛なんかがたくさん生きてそのまま貯蔵をされているという備蓄の一つ。あるいは牧草地、これがいざといったときにはたちまちいわゆる農業地になる。こういうことで、酪農が盛んであるという国ほど食糧に余り不安を持ってない、こういうことも言われております。  それだけに、けさほど来議論になっております今回の乳製品の保証価格の問題等、これを通じましても、大臣に私改めてお聞きしたいんですが、ことし据え置き諮問をされて、結果がまだ出ておりませんが、大臣のお答えを聞きましてまだまだ含みを持っておられるような気もしないでもございませんけれども、基本的な農林省の態度として据え置きと。そうしますと、五十二牛以来五年間の据え置きで、しかも限度数量まで減らしている。こういう状態では、北海道方々から私も現場へ行って意見を聞きましたが、失望して脱落する人が出るんじゃないか。そういうことになると、これはもう食糧の安全保障の逆を行っているんじゃないかというような気がいたすんです。この点について、四年間も引き続いて据え置き諮問をしなきゃならぬ、また限度数量も減らさなきゃならぬという、こういう諮問を出されるに至った大臣の心境ですか、これを改めてお聞きしておきたいと思います。
  121. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 先ほど来いろいろと申し述べてきたところでありますが、何と申しましても、牛乳の生産調整をしなければならないという生産過剰の問題等があり、また乳製品、酪農製品のこれまた過剰という問題も現にあるわけでございます。したがいまして、日本農家にもここのところは忍んでいただいて、そうして生産性の向上に御努力をいただく。そのかわり外国から入ってくるやつもできるだけ農林水産省としてはこれを制限してまいるということで、農家にだけ犠牲になってもらうということじゃなく、国も全力を挙げて農家の立場をカバーできるような環境をつくって、そうしてやがては先行きの明るい希望の持てる日本酪農の実体を建設してまいる。そういうことを実現してまいりますためには、やっぱり忍ぶところは忍び、そのかわり負債対策等についても御理解のいただけるような線を出さなきゃならぬということで真剣に取り組んでおるわけでございます。その辺の事情をよくひとつ御理解をいただきたいと、こう思う次第でございます。
  122. 中野明

    中野明君 大臣のお立場はよくわかるわけなんですが、先ほども大臣が申されておりますように、日本の国でつくれるものはつくる、どうしてもつくれないものは、万やむを得ず輸入に頼るとおっしゃることは、もう本当に全面的に賛成でございますが、けさほど来議論がありますように、この生産過剰の原因が結局輸入になっている。そしてこの長期需給の見通しの参考資料の中でも、これどうなるんですか、七百一万トンですか、国内の生産量は生産調整をしているから六百二十六万トン。まだまだ国内の生産力というものはあるはずです、ですから、これでは自給率八九%というのが五十三年度に出ておるわけです。  これ一つだけお聞きしておきたいと思うんですが、輸入が全然入ってこないとしたら、わが国で牛乳、乳製品の自給率はどの程度あるんですか、全然入ってこないとしたら。
  123. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 具体的な数字をただいま持ち合わしておりませんが、現在の自給率が約八〇%ぐらいかと存じます。したがいまして、輸入が全く入ってこないということになりますと、その分が減るわけでございます。先生御案内のとおり、いま輸入で入ってきておりますのは、この資料の十二ページから十三ページに書いてあります資料でございますと、学校給食用の脱脂粉乳でありますとかあるいはナチュラルチーズ——これはナチュラルチーズとして使用される、消費される場合もございますし、プロセスチーズの原料として消費される場合もあるわけでございますが、こういったものがなくなるということでございます。  これらはそれぞれの理由がありまして輸入されているわけでございます。たとえば学校給食に使われております脱脂粉乳は価格が非常に安いということでございます。最近海外価格も非常に上がっておりますけれども、トン当たり二十万程度でございます。これに対しまして、国内の脱脂粉乳の価格も相当回復してきておりますが、四十五万から四十七、八万というような見当でございまして、二倍以上の開きがございます。したがいまして、直ちにこういった脱脂粉乳が国内の脱脂粉乳でもって置きかわるということはなかなかむずかしいんじゃないかというように考えます。  ナチュラルチーズにつきましては、国内の生産能力が大体一万トンでございまして、そのほかが輸入されているわけでございます。したがいまして、直ちに国内の生産でこれに置きかわるということは価格関係から見て非常にむずかしいんじゃないかと思います。  そういう意味で、仮に輸入がストップいたしましても、国内の方で対応できないといたしますならば、その結果として、自給率自身について申し上げますと、自給率は上がるんじゃないかというようなことに相なろうかと思います。
  124. 中野明

    中野明君 私の質問は、この価格が高いとか安いとかいうことじゃなしに、食糧の安全保障という面から考えていま申し上げているわけで、参考としてお聞きしているんですがね。全面的に入ってこないということになれば、国内でつくる以外ないんです。ですから、わざわざ現在生産調整さしているわけですから、その生産調整をもうやらないとして、できるだけ国内でつくるとしてどの程度の自給率になるんですかと、こう申し上げているわけでして、どうですかその辺。
  125. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 要は、国内品が輸入品にどの程度代替するかという問題かと思うんでございますが、輸入品がございますのは、まさにその価格関係でございます。価格でもって十分国内のものが対応していけるというぐあいになりますと、輸入がカットされますと、その分だけ国内生産はふえるわけでございますけれども、現在の状況から言いますれば、そういうぐあいにまいらないんじゃないか。したがいまして、輸入をカットすればカットした分だけ消費量が少なくなるというような結果になるんじゃないかということでございまして、そういうようになりますと、単なる自給率の計算から申し上げますと、自給率は現在よりは上がってくると、こういうことを申し上げている次第でございます。
  126. 中野明

    中野明君 どうもおっしゃる意味が私とかみ合っていないような気がするんですがね。不測の事態に備えて私たちは研究もしていかなきゃならぬし、それだけの責任があると思うんです。ですから、そういう観点から考えたときに、私は参考の資料として一応お聞きしているんですが、わざわざ生産調整をさせているわけですから、生産調整をさせないでどんどん能力あるだけつくってもらったとしたら、自給率は一〇〇になるんですか、一〇〇を超えるんですか、九〇ぐらいなんですかということが参考までに知りたいんですが、その辺計算したことはないですか。
  127. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 生産能力は先生おっしゃいますようにかなりあるわけでございます。そういう意味で生産を抑制しているわけでございますけれども、何分消費といいますのは、価格を媒介いたしましてあるわけでございますので、価格関係、コスト関係を無視してはなかなかむずかしい問題があろうかと思うわけでございます。
  128. 中野明

    中野明君 それをよくわかった上でお聞きしているのです。あなたと議論をしておってもこれは尽きませんが、要するに、そういう考え方に立たないと、畜産を助成したり畜産を奨励したって何にもならないということです。  日本の国でとれるものは極力輸入をしないようにやっていくと大臣もさっきからおっしゃっているわけです、また日本の国の現状から言って、輸入も国全体の立場から万やむを得ず輸入しなきゃならぬものもあるわけでしょう、これは国策として。ですから、私はいまの現状を全然無視して言っているんじゃないですけれども、現状は現状としてわかる。しかしながら、最悪の事態が来たときに自給率はどれくらいかと、こういうことをお尋ねしているんですけれども、はっきりした数字は出しておられないようです。  そういう点を考えますと、農民感情として、本当に苦労して、現場へ行ってみれば、朝六時から晩の七時まで真っ黒になって働いて、そしてつくったのを捨てなきゃならぬ、生産調整しなきゃならぬというこの心境を考えたときに、少々お金が要っても、国内の産業を保護していくということがどの国でも私はとっている政策だろうと思います、そしてまた万やむを得ず外交上どうしても向こうから押しつけられて輸入しなきゃならぬということになれば、これは国策としてやったんですから、国策としてやった以上は国内の業者を国の責任でやはり保護してあげなきゃいかぬし、国の責任で守っていかなきゃいかぬ。  ところが、けさほど来議論も出ておりますし、私ども現地へ行って、農林大臣にも申し入れをいたしましたが、本当に負債の処理一つにしたって、いまの状態ではもうそれこそ倒産していく酪農家が続出するんじゃないかと心配をいたします、そして希望をなくして、現場の切なる訴えとして、お父さんはとにかくここまでがんばってきた、しかし一番つらいのは子供に借金を譲ることだ、それでも構わぬ、借金を譲ってもらっても構わぬ、おれは酪農で生きるんだと言っているそういう後継者に希望をなくさせるということが、これが一番こわいと、こういうお話です。私、現場へ行ってみて、実際に作業をしておられる姿を見て感じました。これを何とかできないようなことでは、食糧の安全保障もなければ政治もないんじゃないかというふうに私は感じました。  いま大臣、席を外しておられますけれども、そういう点について、この負債の処置にしても、よほど思い切ったてこ入れをして対策を講じてあげないとえらいことになるというふうに私も感じておりますので、大臣おりませんので官房長、その辺。
  129. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) 御指摘の点は十分畜産当局においても了知している点だろうと思います。  本日、審議会酪農部会においても、先生御指摘のような点を中心に御議論がされておるんではないかと思います。そうした御議論の過程なり建議等をいただきまして、私どもも十分営農意欲を持ちます酪農家の皆様方にこたえられるような対策を考えなければならないだろうと、こう思っております。
  130. 中野明

    中野明君 それでもう一点は、営農指導というよりも、酪農家に対しては経営指導というんですか、これが必要じゃないかと思います。それにはまず実情の把握、いろいろあるんですね。同じ酪農家でも入植された時期にもよります、いろいろの状況で個別に実情が違うようです。ですから、実情の把握をしないと適切な救済策というのが出てこないと思います。  余りにも制度資金が多くあり過ぎて、本人にお尋ねをしても、さあ借金が幾らあるんだろうか、大ざっぱに五千万かな六千万かなというような程度で、それでこちらが個人的に尋ねますと、農協の人があわてて書類を持ってきて、いや、この人の借金はこうなっていますと言って、一生懸命他人が説明しておるわけです。そういう現状もありました。  ですから、都会で言えば一億も借金しているということになると、これはりっぱな中小企業でもええとこですね。そうなると経営指導という面にもう少し力も入れていただかなきゃならぬ。これについてその前提となるのは実情調査でございましょうから、実情調査というものを、先日もそういうお答えが出ておりましたが、早急に実態調査というものを行っていただいて、そして個別に適切な救済策を講じないと、一律に救済をしようとしてもこれは無理です。だから、ランクをA、B、Cにでも分けて、そしてそのランクごとの救済策を講じなければ、ただ何とかします、何とかしますだけではどうもならぬじゃないか、こういう感じを受けて帰りましたですが、この点についてもう一度、実情調査、借財の実情なり、そういうことを調べないと救済方法が出てこない。私はこう思いますので、その点お答えをいただきたい。
  131. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 北海道におきます負債の状況調査につきましては、せんだって北海道庁が酪農の主要な五地域の農協、代表的な農協を選びまして、その農協ごとに二十戸ずつ農家を抽出いたしまして、集計いたしましたのは九十二戸でございますが、この結果がわれわれのもとに届いております。  その結果を見ますと、ただいま先生が御指摘なさいましたようにいろんな農家があるわけでございます。経営のいい農家もありますけれども、なかなか負債の償還に困っているというような農家もございます。  ただ、その経営の中身あるいは借金の中身を見ますと、これまた農家区々でございます。困っている農家と言いましても、農家ごとに非常に違っておりまして、十分分析しないと平均的には何とも言えないような状況でございます。  確かにいままでの融資態度あるいは農家が融資を受ける場合のそういう態度等についても、これから自分たちが経営をやっていくんだと、こういう自覚のもとに十分な営農計画を立て経営をやっていく、そういった覚悟が必要ではないかと考える次第でございます。  なお、北海道庁は、昭和五十六年度に道庁予算を計上いたしまして実態調査をすることになっておりますので、そういった調査につきましても十分参考にしていただくつもりでおります。  経営指導につきましては、特に畜産は一般の農業と違いまして専業的な経営が多うございます。畜産の専業経営というのが多いわけでございます。そういう意味で畜産につきましては、畜産コンサルタントというのを各都道府県に設けておりまして、特に大規模層の畜産農家を対象にいたしましてコンサルタントに応じ経営指導をしているというような実態でございますので、こういう点につきましてもさらに充実してまいりたいと、このように考える次第でございます。
  132. 中野明

    中野明君 この問題の最後として大臣に重ねてお願いをしておきますが、いずれきょう答申が出るんでしょうが、もちろん政府・与党間でいろいろ協議をなさると思いますが、現場のまじめに働いている人が、先ほどお留守の間に申し上げましたが、非常にまじめな後継者がおります。そういう人たちの希望を失わせるということが日本酪農の一つの大きな危機につながると思いますので、その辺を十分御考慮されて保証乳価なりあるいは限度額について十分御検討をお願いしたい、こう思います。
  133. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 仰せのとおり、保証限度額につきましても、また負債対策にいたしましても、答申があることでございますので、答申をよく検討し、さらにきょうの審議会の意向等も十分検討いたしまして、ぜひとも全国の酪農家の諸君が酪農に意欲を落とさないような乳価決定、負債対策等を打ち出したい、こう考えております。
  134. 中野明

    中野明君 それじゃ水産庁、  時間がございませんので、先ほど来板倉委員からお話が出ておりますマグロの問題について、私も先日実情を訴えて御質問いたしましたが、一点お尋ねをしておきます。  それは、結局これもまた輸入が絡んでくるわけなんですが、韓国と、輸入なりあるいは船の隻数の問題で、民間レベルで、実務者レベルで交渉しているようですが、なかなかはかばかしくいってないというようなことも聞いておるんですが、その辺は水産庁長官どういうふうにごらんになっていますか。
  135. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 民間協議をやっておりますが、お話しのようにはかばかしくございませんが、これは貿管令で事前確認制度をとっておりますから、政府間交渉をただいま取り進めておりますから、それによって決定したいと思っております。
  136. 中野明

    中野明君 ぜひお願いします。向こうと交渉すると、政府から何も聞いておらぬとかなんとか言って、なかなかうまく話が進まぬようでございます。  それから減船の問題で坂倉委員も話しておられましたが、減損をした後の船はどういうふうにする方針なんですか、その辺。
  137. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) この前の以西の減船のときは全部スクラップにするということにいたしております。大体原則としてスクラップにするんですが、北洋をやりましたときは、あれだけの大きな規模でございましたから、輸出できるものは輸出するというようなことにいたしたわけですけれども、その後の減船の場合は原則としてスクラップにする。  同時に、輸出します場合には、うちの方で内規を決めまして、たとえば韓国なら韓国についてはトロールの船は輸出しない、承認をしない、あるいは年間七隻であるというふうな規制をいたしております。
  138. 中野明

    中野明君 ぜひそれは厳重にやっていただきたいと思います。そうしないと、せっかく日本の業界が自主的に減船しても、その船を韓国へ売ってしまったんじゃ、これはもう話にも何もなりません。その点が一つ気になりますので、ぜひこれは厳重にやっていただきたい。  そしてまた、業界の実情なり、あるいは現場で働いている人たちが、どういうんですか、限界に挑戦するような作業をしながら、一体これでおれたちはどうしたらいいのか教えてくれと、こういうような現状になっておりますので、その辺は先ほどのやりとりで大臣の気持ちもわかりました、長官の方針もわかりましたので、ぜひひとつこれは大事な日本型食生活のメニューの中に欠かすことのできない大事な食糧でございますので、救済なりあるいは今後の対策に万全を期していただきたい、改めて私の方からも要望をしておきます。  それでは最後になりましたが、先ほど同僚委員からも冷害の状態で話がありましたが、愛媛県にも東予、要するに西条あるいは丹原、小松、その方面で伊予カンに冷害で大変な被害が出ております。四国としては珍しく氷点下六度ぐらいまで下がりました。明治何年以来かと言っておりました。そういうことで、全滅じゃないかと言われるような被害が出ております。これもいま実情調査に入っておられるということなんですが、ぜひ早く実情調査されて、そして天災融資法なり災害救助なりいろいろの面で手を打っていただきたい。大臣にもう一度御答弁をいただいて終わります。
  139. 高畑三夫

    政府委員(高畑三夫君) 二月下旬に襲来いたしました寒波によりまして、西日本中心に果樹に被害が発生いたしております。御指摘の愛媛県におきましても、伊予カン、温州ミカンの樹体被害を主体に相当の被害が発生しておるということでございます。  農林水産省といたしましては、先般現地に係官を派遣いたしましてその実態の把握に努めておるところでございます。今後とも被害状況の的確な把握に努め、農業共済金の早期支払い、所要の資金の確保等、対策につきまして万全を期してまいりたいと考えております。
  140. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) いま事務当局から申し上げたとおり、できるだけ早くデータを集めるように統計情報部を通じまして指導をいたしておりますとともに、できるだけ早く天災融資法を前提としたつなぎ融資のあっせん等に関する通達を出したいと、こう思っております。  いずれにいたしましても、この樹体の被害というのは、恐らく愛媛県の果樹農家方々が初めて遭われた経験じゃないかと、こう思うんです。そこで共済の申告とかそういう面、統計情報部調査——真実は一つという、この委員会でもかって去年の冷害のとき申し上げたわけですが、その県から出てくる被害の数字情報部の数字が、この前の冷害のときは一応大体同じ方向でうまくいったわけでありますけれども、そういう面も私ども抜かりないように指導をしてまいりたいと、こう思っております。
  141. 下田京子

    下田京子君 第一番目に、きょう畜産振興審議会酪農部会に出されました資料の中の保証価格の問題でお尋ねしたいと思います。    〔委員長退席、理事坂元親男君着席〕  保証乳価の問題については、私が言うまでもなく、もう過去四年間キロ当たり八十八円七十八銭で据え置かれてきたわけです。ことしもまた据え置きという、そういう資料が提示されました。本当にこれは納得できないものでありまして、以下その幾つかの点でお尋ねしたいわけなんですが、まずその第一は、昨年と同様の算定要素で計算した場合には一体一キログラム当たり幾らになるのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  142. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 先生の御質問は、昨年と大きく変わっておりますのは資本利子のところでございますので、これを昨年どおりに計算をすれば幾らになるのかということかと思います。  ただ、初めにお断わりしておきたいと思いますのは、資本利子、自分の資本につきましての利子の計算でございます。これは通常の経費と違いまして、農家といたしましては経費を支出する性格のものではございません。利潤がありました場合に、その利潤を資本利子として計算をすると、こういうような性格のものでございまして、通常の経費と違うわけでございます。  そういうことを念頭に置いて御説明いたしたいと思うんですが、従来の計算方法でございますと、自分が借り入れております金利よりも高い金利といいますか、高い利息をつけていたわけでございます。自分の金に借り入れましたときの利率よりも高い利率で計算した利子をつけていたと、こういう経緯がございます。これはいかにも不都合じゃないのかというようなことがそもそもの出発点になりまして、それから以降、最近の需給状況等を考えまして、しょせん資本利子といいますのは、農家の所得になるわけでございますので、所得水準等も考慮いたしまして、農協の普通預金の金利でもって今年度計算いたしました。こういうことでございますが、ここを昨年の金利、昨年は六・二三%を使っておりますが、これでもって使いますと三円十銭のアップになります。
  143. 下田京子

    下田京子君 とにかく算定方式を変えたわけですね、要素のとり方を。昨年同様にすれば三円十銭のアップになるというふうなお話でしたが、いまいろいろ資本利子のとり方でお話がございました。  それじゃ第一次生産費そのものでどのぐらい上がっているか。これはけさいただいた資料で、昨年五十五年の推定生産費と比べればわかるわけで、比べてみた結果、幾ら上がっているかといいますと、三円七十四銭アップになると思うんですが、そうですね。
  144. 井上喜一

    説明員井上喜一君) それは第一次生産費でございますか。
  145. 下田京子

    下田京子君 そうです。
  146. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 第一次生産費で、恐らく生産費調査ではそういうふうなことに相なっていると思いますが、私ども計算いたしました結果は、九ページのところに書いてございますが、五十五年度の第一次生産費は六十三円六十一銭でございますが、私どもの五十六年度推定生産費は七十四円十三銭になっているわけでございます。いずれも一キログラム当たりでございます。いずれも生乳三・二%換算の一キログラム当たりでございます。
  147. 下田京子

    下田京子君 昨年のいただいた資料と比較してみたんです、私。そうしたら、五十五年の推定生産費、これを五十六年度推定生産費と比べていかなきゃならないでしょう、ずっと。そうしますと、あとこれで議論するつもりありませんけれども、とにかく第一次生産費のところで三円七十四銭アップしているわけなんです。ですから、本来はそれを乳価に織り込むというふうにならなければならないんですね。    〔理事坂元親男君退席、委員長着席〕  それからさらに、下の方に書いてありますけれども、集送乳の経費のところです。これはキログラム七銭引き下げた勘定になっております、昨年と比べますと、しかし実際はどうかといいますと、北海道ではこの四月一日からメーカーと約束しまして、五十五銭負担増になるんですね。ですから、これも本来なら乳価に織り込まなきゃならないことになるわけですね。  それからさらに、これはプール乳価になりますけれども、メーカーの販売乳価が、実際に五十五年度ですでに五十四年比でもって二円下がっているんですよ。で、そのほかのいろんな経費を含めますと、五十五年度現時点で保証乳価八十八円八十七銭、それを割って手取りが八十六円前後だというのが実態なんです。御存じだと思うんです。こういう状況が五十五年の実態ですから、いままた据え置かれるということになりますと、集送乳経費自体を見ましても、またそこから引かれることになって、実際に手取り額がぐんと下がっていく、五十五年よりも下がるんだという結果になってしまうわけなんです。  ですから、こういうことになりますと、いま出されてもの、あくまでも大臣は大まかな考え方を諮問して、これは資料としてお出しになっているわけですけれども実態とこの資料とは違うということがはっきりしているわけなんですね。この点は大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。
  148. 井上喜一

    説明員井上喜一君) 第一点の集送乳経費のことにつきまして、集送乳経費といいますか、保証価格についての見方が若干違うようでございますので、御説明させていただきます。  御案内のとおり、加工原料乳保証価格制度工場渡し価格ということになっておりまして、したがいまして、われわれ農家の庭先段階におきます保証価格算定いたしまして、その上に集送乳経費等をオンいたしまして保証価格算定しているわけでございます。販売手数料が加わるのもそのためでございます。  ただ、北海道におきましては、保証価格には本来そういった集送乳経費が加算されて計算しておりますが、集送乳経費をメーカー側が負担をしていたという経緯がございまして、それが昨今の需給事情を背景にだれが負担するかというようなことが問題になりまして、生産者とメーカーの方が話し合いまして、結果、そういった本来の生産者負担の原則に返るような、そういったことが確認されたんだとわれわれは理解しているわけでございます。  それから第二点の、実際の販売価格といいますか、受取代金といいますか、この動向でございますが、これは御指摘のとおり、北海道の方も昭和五十五年度は、前年度に比べまして手取りが若干下がってくるような傾向が見えます。この原因は、何といっても、生産が相対的に消費をオーバーしているというような状況でございまして、飲用牛乳を見ましてもかなりの安売りが行われているという実態にございます、こういった状況から販売代金が前年度に比べて低下してきている、こういう状況が出ているわけでございます。
  149. 下田京子

    下田京子君 集送乳の経費の問題では確かに計算上は工場渡し云々ということで、これは別に私、何も言っておりませんが、実際農家の手取りが減りますよ、事実。そうですよね。ということになりますと、農家にとっては、今度資料として出されたその乳価というものよりも、さらに据え置きどころか、下がるという結果になる、このことを私は指摘しているわけなんです。  そこで大臣、私、二十日の目にこの委員会でもって質問いたしました。特に消費の問題から、あるいは負債の問題、あるいは擬装乳製品も含めて輸入問題を総合的にお尋ねしたわけですけれども、そのとき大臣は、北海道の畜産酪農民はもとより、福島にあっても麓山畜産団地の農家の人たちの声を含めまして、その窮状は本当によくわかります、そういうものにこたえられるように私もいろいろと事務当局にもお話しをし、がんばっていますと、こういうふうに言われてきたと思うんです。そしてまた午前中も他の委員に対しまして、あと残す時間、きょうとあしたでわずかになってきているけれども、ぜひ政治的な判断で最後まで何とか手を打てるようにという御答弁もあったと思うんです。  そこで、私は確認をしたいわけなんですけれども、改めて申し上げたい点は、私は二十日のときには具体的に標茶や別海町の話を出しました。きょう新たに申し上げたい点は、とにかくたくさんの方が、大臣も御承知のように、この東京に見えているわけですね。だけれども、その人たちはどういう中で見えているかといえば、実際に経営自体が大変だ、借金も抱えているという中で、十数万円もかけて、皆さんが出してくださったお金でもって出てきている町長さんもいる、議会の代表もいる、酪農民の代表もいる。本当に大変なんですね。そのうちのある代表の方ですが、これはオホーツク海に面した紋別の酪農青年、後継青年が言っていました。ことしになってすでに六戸の酪農家が経営を離れたというんです。それから天塩ではどういう状況が出ているかといえば、そこの農家の代表の方でしたけれども、組合勘定の取引でもって経営悪化だ、だめだということで、生活費は全面ストップになった、そういう農家が何と三十五戸もあるそうです。生活費がストップになったということは、これから牛やなんかを切り売りしていかなければならない、こういう状態なんです。  ですから、いままでずっと大臣が言われてきてておりましたように、本当にこういう状況の中で政治的に最後まで期待にこたえたいということでしたら、その中にはもちろん負債もあるでしょうけれども、乳価そして八万三千トンの限度数量の減という問題、こういったこともできるだけ抑えられるような方向で御奮闘いただけるかどうかという点で、改めて私は酪農民の声を代表してお聞きしたいと思います。
  150. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 私ども農林水産省といたしましては、申し上げてきましたとおり、算定資料として審議会また当委員会にもお示ししましたこれらの数字は、農林水産省として、日本酪農家が厳しい条件の中で、環境の中でとにもかくにもやっていける、そういうデータの上に立って一応作成をして出した数字、こう思っておるわけでございます。しかるところ、私どもの見方、また諸先生方の見方、酪農をやっておられる方々の感じ、そういうそれぞれの立場でそれぞれの御意見があり、そしてきのうからきょうにかけ、あすにかけて私どものところに集中するわけでございます。したがいまして、われわれは最高のものとして出しましたわけでありますけれども、どこか手落ちがなかったかどうかというような点は、審議会の御意向等も十分これから検討いたしまして、そうして日本酪農業をやっておられる方々に先ほど仰せのような方が出ないような政策にしていかなければならぬと、こういう気持ちは変わりございません。
  151. 下田京子

    下田京子君 見方はいろいろあるでしょうが、事実は一つだと大臣が好んでお使いになっている言葉ですから、それにこたえられるようにという御決意を伺ったと思ってよろしいですね。
  152. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 結構でございます。
  153. 下田京子

    下田京子君 二番目にお尋ねしたい点は、水田再編の第二期対策の問題でございます。私が言うまでもなく、昨年のあの冷害と、追い打ちをかけるように豪雪というかっこうで、農家と農業を取り巻く情勢は、米作農家も含めて、本当に重大なところにあるわけで、そういう中で一応冷害の言ってみれば配慮分ということもおやりにはなりましたけれども、しかし実際には面積がさらにふえるということで、また一方で奨励金は引き下げられると、一体何をつくったらいいか、これは非常に頭を悩めていることは大臣も御承知だと思うんです。  そこで、私がお尋ねしたい点のその一つは団地化加算の問題なんです。今回団地化加算だということで、これについては局長があちこちでお話しになっておりますけれども、定着性の高いそういう転作を誘導していくためには団地化というものが必要ではないか、だから、そういうことをやられた地域にはその奨励金をまた別途めんどう見ようと、こういうふうに出されたのですけれども、本当のところ団地化加算ということについての目的というか、その辺はどこにあるのかはっきりさせていただきたいわけです。
  154. 高畑三夫

    政府委員(高畑三夫君) 御案内のように、水田利用再編対策は、米需給の均衡を図りつつ総合的な食糧自給力の強化を図りますために、過剰なものから不足なものへ農業生産の再編成を図っていくという趣旨で進めておるわけでございます。その推進に当たりましては、生産性の高い転作営農を育成いたしまして、水田利用再編対策の趣旨といたします農業生産の再編が、そういった生産性の高い営農で構成されるようにということで進めておるわけでございますが、従来そのために計画加算等の措置をとりまして転作の地域ぐるみでの推進というものを図ってまいりましたが、第二期対策におきましては、さらにこの転作の円滑な取り組みと生産性の高い転作営農の定着の促進ということを目的といたしまして、水田利用再編奨励補助金の体系に団地化加算というものを設けまして、先ほど申し上げましたような生産性の高い定着性のある経営を育成することを奨励金の面からも進めていくという趣旨で設けたわけでございます。
  155. 下田京子

    下田京子君 何か大変はっきりしないですね。生産性の高い定着性の高いものを推進するのだということだけれども、定着化するという点だと、それは定着ですから後はもう水田に戻らないということなんでしょう。水田に戻らないということでいけば、団地化することなんでしょうか。やっぱりどれだけ価格がきちんと保障されているかとか、あるいはどれだけきちんと流通に乗って販売できるかだとか、また永続的な見通しがあるかだとか、そういうことをもって定着というふうになるんじゃないかと思いますし、またそういうふうに聞いてきております。私はこういうあいまいな形で団地化加算というふうにやられるということは、この辺で、出発の最初からなんですけれども、見直していただきたいなと思うんです。  具体例でお話しして大臣から御答弁いただきたいんですけれども、いまのようなはっきりしない形で団地化加算を進められる結果、あるいは地域振興作物というかっこうで加算をやるということなんですけれども、福島県に行きまして県当局やいろいろなところから詳しく聞いてきまして、時間がないから私は一つ一つは言いませんけれども、今度転作奨励金が減額された結果どういう状態になったかということなんですけれども、福島県の場合には、五十五年の転作実績というのは一万七千六百二十二ヘクタールなんです、そのうち基本額と計画加算額で減額されたその減額分というのは十二億三千万円になります。それでもって、今度増額の方ですけれども、団地化加算と地域振興作物加算を合わせますと約四億四百万円になります。ですから、減額、増額の差ですけれども、九億二千六百万円、これだけ少なくなります。で、十アール当たりにしますとおよそどのくらいかということになりますと、およそ五千三百円減というふうな数字が出てきました、これは後で資料等とりましてお調べいただければはっきりすることでございます。  そういう状況なので、この団地化加算の問題については、ぜひ条件の緩和であるとか、あるいは初年度実施してみまして、その結果がどうだったかというその反省を踏まえて、有効な奨励金の使い方を考えていただきたいと思うんですが、幾つかまとめましたけれども、ひとつ大臣お答えください。
  156. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) 団地化加算につきましては、先ほど審議官から趣旨を述べたところでございますが、先生御存じのように、これからの転作営農のためには、規模の拡大をいたしまして、営農としまして生産性の高い転作を進めなくちゃならない。これは皆さんひとしく御理解いただいているところだと思います。そうした意味で、一定の要件に従いました連担団地によりましてこれから進めます営農団地を形成しなくちゃならないということで、すでにそのことは農用地利用増進法等の趣旨もそうした方向でございます。転作についてもこうした方向で進めてまいりたいと存じます。  福島県の数字の点は私ども検討いたしますが、地域作物につきましては審議官の方からお答えをいたします。
  157. 高畑三夫

    政府委員(高畑三夫君) 第二期対策におきましては、団地化加算制度と地域振興加算制度を新たに設けております。  まず団地化加算につきましては、先ほど申し上げましたように、そういう地続き団地の形成によりまして生産性や定着性の高い転作営農を育成するということでございますので、そういった質の高い連担団地を促進するという趣旨に即しまして、その要件につきましても、それにふさわしいものにするということで考えておるわけでございます。  それからまた地域振興作物加算につきましては、これは転作の円滑な推進にあわせまして、これを契機として各地域の特性に見合った農作物の振興を図るという趣旨から、都道府県知事が国と協議して定めます作物につきまして、一般作物につきまして加算するという制度でございます。したがいまして、これにつきましてもその趣旨に見合った要件でこれを対象にするということにいたしております。  そういうことで、その交付額等につきましても、これは各地域地域によりまして対象とする作目の選定とか、それからそれにかかわってまいります農家の範囲や数とか、そういったことによりまして出る額が変わってまいるということもあると思います。今後それらの加算制度につきましては、その趣旨の浸透等によりましてその適用が進んでまいるということも期待できるんではなかろうかと思っております。
  158. 下田京子

    下田京子君 大臣
  159. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 下田委員の御意見としてよく拝聴をいたしました、
  160. 下田京子

    下田京子君 制度を聞いていたんじゃなくって、私はとにかくもう手取りで少なくなるんだから見直してみなさいよと。条件があるのはわかるわけです。その条件を緩和して実効あるようにしなさいと、こういうことで大臣に検討してくれと言ったわけなんですよ。  地域振興作物の問題も御説明になりましたけれども、二点まとめてお尋ねします。一つは、いま知事と協議してやるんだと。これも福島県の具体的な例なんですけれども、地域を十八地域に分けまして作物が十二出てきております、非常に多種多様で花卉、花ですね、春菊だとか、あるいは薬用ニンジンだとか、いろいろあります。これはひとつぜひ協議して、下からそうやって皆さん方が検討されたものを認めていく方向でおやりいただきたいというのが一つ。  それから地域振興作物ですから、地域で本当にそれが振興されていかなければならないと思うんですよ。ですから、もう今回だけで終わりだよということではなくって、五十四年度からやられておりますが、地域農業生産総合復興事業というのがございますね。こういう中に組み入れまして、価格の問題だけじゃなく、奨励金だけじゃなくって、流通だとか、販売先だとか、施設だとか、加工の問題だとか、そういう総合的な対策ということもこの中に組み込んで考えられないんだろうか。この点なんです。端的にお答えください。
  161. 高畑三夫

    政府委員(高畑三夫君) まず、お尋ねの福島県の御協議の件でございますが、これにつきましては、福島県と東北農政局とで協議が行われておるはずでございますが、特に報告は受けておりません。いずれにいたしましても、福島県と地方農政局との協議によりましてしかるべき判断が行われることになると存じます。  それから地域振興加算につきましてのリンクさせた諸対策についてお尋ねでございますが、あくまで地域振興作物加算の趣旨は先ほど申し上げましたようなことでございます。そういった特にリンクさせた施策というのは特段ございません、一般的に各種農作物につきましての都市基盤整備とか、その他各種施策がございます。こういったものを活用して当該作物についての振興を図っていただくというのが趣旨でございます。
  162. 下田京子

    下田京子君 趣旨からいけば地域振興ですから、どんどん振興していかなければならないはずなんですけれども、これは聞いて驚いたんですが、福島県の場合には、東北農政局から、全体の枠どのくらいかと言ったら、九百八十ヘクタール、こういうことで枠が示されているんですね。これは枠を外してどんどん振興させていく。もちろん、そういう要件をいろいろ考えながら、そういうお立場でぜひ考えていただきたいと思うんですが、これは大臣に政治的な問題ですから御答弁ください。
  163. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) お答えいたします。  地域振興作物制度が今回できました趣旨は、むしろ先生先ほど御指摘のような一般的な振興事業と本来すべきもので、加算制度にすべきでないというのが大蔵当局の意見でございましたが、私どもとしては、むしろこういう地域に即したそれぞれの地方公共団体の責任者が……
  164. 下田京子

    下田京子君 簡単に。
  165. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) これからの地域を選定するために必要な加算制度は稲作転換を促進するためにはぜひ必要だ。ただし、そうしたものにも限度を設けるということで、打ち切り補助といたしまして、面積の割り当て等をいたしておるものでございまして、今後この方針で第二期対策は進めてまいる所存でございます。
  166. 下田京子

    下田京子君 それは趣旨と全然違うということで、財政当局からの枠で決めちゃっているんですよね。それがはっきりしたということだは指摘しておきたいと思うんです。転作を一つのきちんとした作物が定着するような方向で、あるいは地域作物が発展されるような方向で考えるんでしたら、枠を決めるだとか、あれこれの条件づけるというんではなくて、基本的にやらなければならないところから手を打つべきだ、これは問題の指摘だけにしておきたいと思います。  大きな三つ目の問題ですけれども、飼料用稲の研究開発問題でお尋ねしたいと思います。  これは大臣がいままでいろんなところでかなり積極的にその重要性をお認めいただいてくださっております。これは非常に私たちも期待しているところでありますけれども、その具体化の点でお尋ねしたい点は、大臣が言われている点で、一つは収益性が低いから、いますぐ実用化するという点では問題があるとか、あるいは識別が困難で流通上問題があるから大変だとか、あるいは脱粒性があって品種的にむずかしいとか、しかし研究という点では本当に期待にこたえられるようにやりたいと、こういうふうにいろいろ理由を挙げられているわけなんです。  としますと、実際に飼料用稲の品種開発を具体的に実用化という点に向けていく場合に、おおよそどのくらいの年数をめどに考えているんでしょうか、大臣が言われている一応三年とかというところをめどにしているのかどうか。
  167. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 技術者の言によれば、三年ないし五年、こう言っておるわけでございます。うまくいけば三年、五年のものも品種によっては出てくると、こういう説明でございました。
  168. 下田京子

    下田京子君 本当に三年かかっても、五年程度でという方向でおやりいただければ、かなり目標が持てるわけですから、皆さん大変確信が持てると思うんですが、ちょっと心配なことは、大臣がそういう三年とか五年とか目標に置く際に、脱粒性が解決したら実用化したいと、こういうふうに言われている場合もあります、それから超多収の品種が見つかれば実用化したいという答弁をされている場合もあるんですよね、超多収のお米ということになりますと、大臣が言われている三年、五年ではちょっとどうなのかなと心配される向きがあるんです。  これは去年の三月に農林水産技術会議事務局が出された資料でございますけれども、逆七五三と言われておりますね。その逆七五三と言われているその中に、いま大臣が言っている超多収と言われる、たとえば五割増し、五〇%増したとか、あるいは倍にするなんというとどのぐらいかかるか。五〇%増しなら十五年もかかる、こうなっているんです。それを二倍にするなんということになったら、二十年も三十年もかかっちゃうことになるんじゃないか。こういう心配があるわけなんですけれども、そういう点ではどのような形での見通しを持って実用化の方向を考えておられるんでしょうか。これは大臣自身が答えていることですから大臣に。
  169. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) これは技術的な問題ですから、私も何も私の一人よがりでお答えしているわけじゃなくて、私もちゃんと筑波の試験場まで行きまして、そうしてえさ米の研究をやっている諸君が十人以上も集まって、そうしてその諸君の報告をもとにして実はお答え申し上げておるわけでございます。したがいまして、私はやり方によって——現在科学技術というものは相当進んでおるわけでありますから、沖繩の亜熱帯と申しますか、そういうところの試験場と筑波の試験場と、米は一年に一遍しか実らぬわけでありますけれども、これを上手にいろいろやれば、二年に三回やれるとか、そういうふうにして試験研究のローテーショを短くしていくことは可能である、そういう努力もしてほしい、こういうふうに技術者の諸君にも私は言ってきているわけであります。  したがいまして、そういう面については大分私もえさ米に関心を持ち、事務当局はいろいろとむずかしいむずかしいと言い続けておりますけれども、水田にえさ米の超多収米ができて、採算性も農家方々が納得してやっていける、そうして畜産地帯とえさ米地帯と協力してそうしてやっていけるような計画がきちんと立つようになれば、これは日本のためになる、こういう気持ちもあるわけでございますので、その点はひとつ私どもは何もえさ米を拒否しているわけじゃなくて、技術会議も農水省も技術体制を確立してがんばっていきたいということでやっておりますので、御期待をいただきたいと思います。
  170. 下田京子

    下田京子君 いろいろお話しくださいましたので確認したいわけなんですが、そうしますと、収益性というところでいけば、確かに五〇%増ということになれば十五年もかかるなどということもあるだろうけれども、しかしそれを待ってというだけじゃなくて、できるところから、有畜農家と結びついたそういうところで実用化の方向も考えたいし、同時に研究のあり方としてできるだけ短期間でやれないかという点での技術者のそういう創意とあれもやりながら二段構えでやっていきたいというふうに理解してよろしいでしょうか。それは大臣が答えたんだから大臣に。
  171. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) もう私はそういう指示をちゃんと与えてあります。
  172. 下田京子

    下田京子君 じゃ、最後に、そういう方向で大臣は指示もし期待をしているということで、ぜひその具体化のために最後に一点お願いしたいわけなんですけれども、非常に大臣自身がそういう飼料用稲のことについて積極的なお立場に立っているということもあるでしょうし、それからまた地域でいろいろ本当に湿田で何をつくったらいいかわからぬということで、水田の有効利用、それからまたえさの自給率を本当に高めようといういろいろな内容があると思うんですけれども、福島はもとより、五十六年度に向けては福島県の場合には大自治体と大農業委員会が試験をやることになっております。それから秋田なんかに行きますと、これはもう大変広く広がっておりまして、山形なんかでもやられております。そこで出てきていることは、本当に実用化ということになれば、地域性のこともあります、いろいろな土壌との関係もあります。ですから、いま現実に五千五百万円ですか研究費をつけている、あるいはえさ用の稲の開発だけじゃないでしょうが、八県にお金一県あたり百万円ぐらいずつおやりになっていますね。そういうお金も充実させる方向で研究者の協力あるいは財政的な援助、そういうことも含めて官民一体になった研究ということもひとつこれから大いにお考えいただきたい、最後に一点だけお答えいただいて終わりたいと思います。
  173. 川嶋良一

    政府委員(川嶋良一君) 先ほど大臣からお答えしたようなことでございまして、私ども全力を挙げてこの超多収稲の品種改良に力を尽くすということでやっているわけでございます。先ほど御指摘のような予算措置等もいろいろ講じてやっているわけでございますが、この品種改良につきましては、大変技術的な問題もございますので、私どもとしましては、国が中心になってこれからも積極的に進めていきたいということでございますので、いろいろ情報交換あるいは検討等につきましては、民間等の方々とも十分情報交換をしてやっていくつもりですけれども、そういうことでやっていく、こういうことでございます。
  174. 下田京子

    下田京子君 大臣から。
  175. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) いま技術会議の川嶋君からお答え申し上げたとおりでございまして、私が指示したことを受けてちゃんとやると、こう言っておりますので……
  176. 下田京子

    下田京子君 技術じゃなくて方向、一日も早くと……。
  177. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) ええ、それはもう先ほど申し上げたとおりでございます。
  178. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は初めに大臣に基本的な問題を二つお尋ねします。  第一点は、日本はいま内政、外交両面から非常に重大な時期に直面しておるわけであります。外交面では防衛、経済、貿易の問題がありましょうし、内政面では財政再建、行政改革、そして補助金の削減、こういう基本的な問題一応了解いたすわけでありますが、そこで気になりますのは、鈴木総理の至上命令的な姿勢で補助金の一律カット、ということは、機械的に一律にカットということにも受けとめられるわけでありますが、そうなった場合に、日本の農政は一大転換期の時期に直面しているわけですが、一番打撃を受けるのが申すまでもなく農水省であると私は理解いたしております。そうならば、大臣はこれをどのように受けとめ、そうしてどう対処していかれるか、この御決意をお聞きしたいと思います。
  179. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 大変現実的な厳しい御質問でございますが、補助金を整理して財政再建をするというのは鈴木総理が政治生命をかけてやり遂げなければならないと、われわれもそれに協力を惜しむものではないということでこの間の閣議で話し合いをいたしたところでございます。したがいまして、私どももいろいろと検討をいたしまして、どういう手法がありますか、これはいろいろ考え方によっては、非常に困難な問題ではあるけれども不可能ではないと、そんな気持ちで現在のところいるわけでございます。  この委員会でもいろいろ御指摘にありましたように、長期低利の、本当に将来の農政を考えました際には長期低利の融資枠を置いてもらえば、中核農家以上の農家の中には、もう補助金は要りませんと言って積極的な姿勢を示しておる農家方々もぼちぼち出ておりまするし、私も北海道の若い酪農家の諸君と話し合いましたときにも、そういう意向を示しておる方々がおられるわけでございます、その辺の工夫というものをしていくことによって私はより強靱な行政を展開できるのではないかなという感じを持つわけでございます。
  180. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひひとつ日本農政の重大性を一層感じていただいてがんばっていただきたいと思います。  第二点は、生産価格は常に生産費に見合う、生産費を上回る価格でなければ再生産意欲もわかない、こう思うわけなんです。  ところで、現実は政府の示す生産費さえも下回っておる、たとえばサトウキビにしましても、酪農にしましても生産費価格を下回っておる。ここに重大な問題があると、私はこう思っておりますが、大臣いかがでしょうか。
  181. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) これも理屈から言えば仰せのとおりでございます、それができれば本当にいいわけでありますけれども、私どもは汗水流して働いて納めていただいた税金でいろいろなことをやっておるわけでありますから、農家の方も努力に努力を重ねて生産性を高めて、そしてその努力された方々に満足してもらえるようにするのはいいが、努力もしない方々まで税金でちゃんと見ていかにゃならぬのだろうかということを常々実は考えさせられるわけであります、しかし、そういう選別をするのはなかなかむずかしいから、できるだけ八割、九割という方々生産費を償う、米価等においてはそういう生産費及び所得補償方式というようなことを考え、またサトウキビ等においてもいろいろ苦慮をしながら生産費の決定をさしていただいておる。こういうことでございますので、私どものそのつらい立場もひとつ御理解をいただきたいと、こう思う次第でございます。  しかし、気持ちにおいては、農業の再生産に携わっていただかなければ物ができないわけでありますから、そうしたら大変なことになるわけでありますので、その点を十分御理解を農家皆さんにしていただきながら行政を進めていきたいと考えております。
  182. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この問題はまた後にお尋ねすることにいたしまして、次に農政審の答申で、農産物価格政策の今後の方向として、需給の調整機能の重視、それから中核農家の所得確保が挙げられておりますが、これを受けて農産物価格の政策をどのように政府としては進めていこうとしておられるのか。価格算定方式自体にも検討を加えておられる、こういう必要があるということがうたわれているわけですが、その検討をどのようにいま進めておられるのであるかお聞きしたいんです。
  183. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) 御指摘のように、先般の答申におきましては、需給調整機能なり、あるいは中核農家の所得確保というような観点を特に強調されておるわけでございますが、御案内のように、農産物につきましては、それぞれの生産、流通なりの特性あるいは需給事情価格政策を異にしております。支持価格的な制度もございますし、不足払い方式もございます。あるいは安定帯によります過度の変動を防止するというような方式もあるわけでございます。それぞれの農産物の性格によって異なっておるわけでございます。これらを通して先ほど答申指摘された方向をどう実現していくかということにつきまして、現在官房におきまして、価格政策の見直し、再検討をいたしておりますが、需給調整機能を重視する等の観点で、価格算定のあり方も含めましていまチーム編成で内部検討を進めております。  ただ、申し上げましたように、それぞれの物資の性格によります価格政策の違いによりまして、必ずしもすべてを一律の方式で表現するわけにはまいらないであろう。全体に整合性がとれるかどうかということでいま検討を進めておるわけでございます。
  184. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、具体的にお尋ねしたいのです。  生糸、乳製品の在庫が価格に重大な影響を及ぼすと思われますが、その在庫の実態はどうなっておりますか、また一体その原因はどこにあるのか。
  185. 高畑三夫

    政府委員(高畑三夫君) 日本蚕糸事業団の在庫につきまして、まず実態でございますが、五十六年二月末現在で十四万五千俵となっております、それでまたこの事業団在庫につきましては、末端絹需要の減退、景気の停滞等を背景といたしまして生糸の国内引き渡し数量が急減いたしております。これによりまして長期にわたり生糸の価格が低迷を続けております。  これに対処しまして、繭糸価格安定法に基づきまして蚕糸事業団が輸入いたしました在庫の生糸の売り渡しの停止をいたしておりますとともに、国産糸の買い入れを計画的に行ってきております。これらを原因といたしまして、先ほども申し上げましたように、二月末で十四万五千俵という大きな在庫になっておるというわけでございます。
  186. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この輸入品の圧力といいますか、あるいはとばっちりといいますか、こういうものが価格に重大な影響を及ぼすことは当然だと考えられるわけですが、そういった面も含めて、この輸入品の価格に及ぼす圧力、どのように影響を与えているのであるか、もっと具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  187. 高畑三夫

    政府委員(高畑三夫君) いま申し述べましたような状況に対処いたしまして、生糸、絹製品の輸入につきましては、生糸の一元輸入を初めとしまして繭、繭糸、絹織物、乳製品に至る輸入貿管令に基づく輸入承認規制の措置もあわせまして措置を強化してまいっております。また、特にその中でも主要輸出国であります中国及び韓国との二国間協定におきましては、生糸につきましては五十四年は対前年比一割減、五十五年におきましてはその削減しましたベースからさらに五割減ということを図っておるわけでございます。しかも生糸の輸入につきましては、事業団在庫が改善されない限り発注しないという条件をつけまして、現在五十五年協定分の生糸は全然輸入を発注いたしておらないという状況でございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたような末端絹需要の減少なり景気の停滞等を背景とします国内生糸の需要が急減しておるということもございまして、糸価の方は二年近く基準糸価前後で低迷して推移してまいっておるという状況でございます。
  188. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、この輸入と需給のバランスを調整していく場合に、国内自給を高め、生産者に意欲を持たせるのか、それに水をかけるのか、マイナスにするのかということが、輸入のバランスに非常に重大な影響を与えると思うんですよ。その場合に、いまお聞きしましても、この輸入が国内過剰に結びついておることは間違いないと理解されるわけですが、その意味からも、生産者の団体の要望、生産者の側に立って政府はその価格決定に当たり、そこにウエートを置くべきだ、こう私は思うんです。  ところが、今度の場合、生産者団体の要望に反してその価格をも抑制しておるということは本質論からすると筋違いじゃないか、一体どこに姿勢を置いて価格を決めようとしているのであるか、こう疑いたくなるわけであります。そういった姿勢を踏まえて、繭糸あるいは牛乳、乳製品あるいは食肉価格、詳しいことは要りませんから、基本的な姿勢をもう一遍聞きたいんです。
  189. 高畑三夫

    政府委員(高畑三夫君) 繭糸の価格につきましては、先ほど申し上げましたように大変厳しい需給事情にあるわけでございます。基準糸価につきましては、繭糸価格安定法の規定によりまして、「生糸の生産条件及び需給事情その他の経済事情からみて適正と認められる水準に生糸の価格を安定させることを旨として」定めるというふうに定められております。先ほど申し上げましたような厳しい需給事情を十分配意して決定する必要があると考えておるわけでございます。  いずれにしましても、現在基準糸価の算定の要素となります諸般の事項につきまして、資料を収集し、検討の最終の詰めを行っておる段階でございます。明二十八日に開催を予定しております蚕糸業振興審議会繭糸価格部会にお諮りした上で適正に決定してまいるという方針でございます。
  190. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの問題ももう少しお尋ねしたいんですが、まだ予定がありますので進みます。  次は大臣にお聞きしたいんですが、沖繩の農業が全般的にまだ基盤整備が立ちおくれておるということは認めていらっしゃる、こう思うんですが、そういう中で、最近の資料によりますと、日本全体だんだん農地がむしろ減じつつある。沖繩の場合には昭和五十一年を底にしてだんだんと統計表の示すとおり上昇しつつおります、これは政府の協力、また現地の生産者の意欲、これがマッチしてだんだん上昇しつつあると思って、これはいいことだと思うんです。  ところが、冒頭に申し上げました、せっかく意欲的に上昇しつつある時点で、鈴木総理の補助金における一律カット、この網をかぶせられた場合には、日本全体も問題でありますが、さらにこれから立ち上がろうとしつつある沖繩自体が大変な目に遭うんだが、それを大臣はどう受けとめていらっしゃいますかな。
  191. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) これは七月になれば具体的にきちんとしなければならぬ、概算要求をしなければならぬということになるわけであります。しかし基盤整備はもう大事なことでございますので、要はこれを消化する工夫をしなければいかぬ、こういうことであろう、こう思うわけでございます。したがいまして、沖繩の農家皆さん方に不安を持たせるようなことはできるだけ避けていくように努力するのがわれわれの務めではないか、こう考えております。
  192. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もう一つ大臣にお聞きしたいんですが、沖繩の農業振興の基本的な考え方ですね、沖繩農業の基本的な姿勢を具体的にはっきりおっしゃっていただきたいんです。
  193. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) わが国唯一の亜熱帯性気候地帯にあるのが沖繩でございますから、その特性を生かして沖繩農業を育てていくということが私の基本的な考えでございます。特に沖繩における現実の問題として、農業が沖繩の地域社会の発展に大きな役割りを果たしているばかりでなくて、特にことし私はしみじみと思ったわけでありますが、端境期における野菜の供給基地に大きく育てていくべきではないかなというような実は感じを持った次第でございますので、そういう面においても沖繩の特性を遺憾なく発揮できるような農業の展開と同時に、何としても今日まで歴史を持っておりますサトウキビ、パインといったような基本産業をこれまた発展をさしていく。こういうふうにいたしますとともに、沖繩を試験研究のための一つの基地というふうにもしていくべきである、そんな考えも持っておる次第でございます。
  194. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま大臣のおっしゃった基本的な問題を私なりに受けとめて、このように理解いたしてよろしゅうございますかね。  まず、沖繩は特殊地域、唯一の亜熱帯地域である、そして無限の太陽エネルギーを持っておる、ならば、いま端境期とおっしゃいましたが、年じゅう何でもつくれる。端境期を利用してつくったものはどうするかということは、これは沖繩自体の問題ではないと私は理解いたしておるんです。他県でできない農産物を、あるいは畜産物を、海産物を沖繩で精いっぱい生産を上げて、それを他県の皆さんにつくって差し上げましょうと、こういう日本国民の食糧の生産の基地であることを沖繩に求める。そうすると、沖繩というのは農業基地であり、漁業基地であり、畜産基地である、こういった特色を持っておるのが私は沖繩の日本における特殊な位置だ、地位だ、こう思っておりますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  195. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 全く同感でございまして、特に他県と競合しない沖繩独得の農産物の主産地にしたいという発想は、私はその意味において農林水産省としても非常に協力しやすい、こういうことを申し上げることができると思います。
  196. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 先ほど大臣、基幹作目としてのサトウキビ、パインとおっしゃったんですが、そのとおりでございますが、ところが基幹作日としてのサトウキビ、それからパイナップルも、それだけに固執するわけにはいかぬ、それのみに頼るわけにはいかぬ。こういうことが再検討されつつあるわけであります。いわゆる基幹作目としてのサトウキビ、パインは捨てるわけではないけれども、もっと幅を広げて多様化しなければいかぬ。この根拠は、たとえばサトウキビの一例をとりますと、作付延べ面積が六七%を占めておるわけなんです。ところが、それが粗生産額が三三%、今度は野菜の作付面積はいま一〇%を占めておるんです。ところが、それの粗生産額は二一%、この実態からしましても、サトウキビ、パインだけに頼らぬ方がよろしいと、こういう明確な答えが出ておるわけでございます。そういう根拠に立って実は沖繩でも最近非常に多様化しつつあるわけなんです。こういった立場に立って沖繩農業を振興させる、この振興策、野菜あるいは花卉類、花ですね、それから柑橘類、大きくいまクローズアップされつつあるわけでありますが、それに対してどのような施策を持っておられますかお聞きしたいんです。
  197. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 先生御指摘のように、沖繩県におきましては野菜が最近大変ふえてきております。数年前に三千八百ヘクタールぐらいでございましたが、現在四千数百ヘクタールにふえてきておりまして、本土に復帰いたしましてから生産基盤の整備、畑灌等を中心にいたします。そういった施策とかによりましてかなり新しい産地も育成されてきておりまして、一方、栽培技術の改善等によりましても大分反収の増加も図られつつあるような状況になっております。  特に先生ただいま御指摘のように、冬場におきます沖繩の非常に有利な気候条件を生保がしまして、露地あるいは簡易なハウス栽培によりまして、カボチャ、サヤインゲン、オクラ、スイカ、ニンジンあるいはキャベツ等につきましての野菜高騰維持対策に対します。その特別の作付等につきましても、御協力をいただいておるわけでございますが、そういった内地の端境期におきます野菜対策としても非常に有利な気候、気象条件を生かしたものとして将来期待できるだろうと思っております。  そういった野菜の生産につきましての対策でございますが、沖繩のそういった地域的な特性を生かす方法で、沖繩の風土に適し、かつ他の産地との比較において販売上有利な野菜の品目の選定を行うということが一つ大事なことだろうと思うんです。引き続き土地基盤の整備も行う、あるいは病害虫の防除等につきましてもさらに努力をいたしまして、集団産地の育成に努めるということが大事だと思いますし、一方、流通対策につきましても、集荷施設あるいは出荷施設あるいは保冷施設等の導入につきましてもいろいろと助成を行っております。これらの生産流通対策につきましては、今年もいろいろと御要望がございますので、そういった要望にも、できるだけ現地の要望におこたえできるような方向でさらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  198. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまおっしゃったように、熱を上げるというと、端境期を利用してカボチャ、インゲン、オクラ、スイカ、ニンジン、トウガン、サトイモ、キャベツ、スイートコーン、ミョーガ、こういうものが年じゅうつくれる実情があるわけなんです。ところが、それはいまどのように本土に運んでおるかといいますと、ここに問題があるんですね。飛行機を利用して運んでおるというのが多くの実情でございます。飛行機で運んでおる。これをどうすれば、結局飛行機の運賃が高くつくわけですが、コストを落として、そして他県の皆さんにも喜んで歓迎してもらえるか、ここに一つの隘路があり、問題点があるわけなんですが、そのことについて農水省として、また関係の開発庁として、また運輸省として、この問題をどのように受けとめておられるかお聞きしたいんです。
  199. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 先生いま御指摘のように、現在沖繩から冬場に本土の方へ送られできます野菜のうちで、特に単価の高いサヤインゲン、オクラ等につきましては、航行機利用もかなりございます。しかし冬場に送られてきております野菜全体としましては、約四割が航空機で、あるいは約半分半分だと思いますが、あと船で送られてきているというような実情にございます。  航空機を利用しているものでございましても、販売価格の中に占めます輸送経費の割合というものを計算してみますと、本土の端境期ということで単価が非常に高いということもございまして、物によっても違いますが、約一割ないし二割程度が輸送経費になっております、たとえばこれは一つの試算でございますが、本島の南部から送られできますカボチャにつきましては、五十五年の五月の計算でいたしますと、約九・七%船舶で、それからサヤインゲンで航空機で送ってきておりますのが一三・五%というような輸送費になっております。  この輸送費のパーセンテージ自体は内地におきます各種の野菜、葉物類、根菜類、いろいろございますが、それの卸価格の中に占めます輸送費のウエートと比べますと、特に高いということではございません、単価の高いものはどうしても輸送経費が安く出てくるということがございますので、そういったことはあろうかと思います。いずれにしましても、輸送コストの観点から見まして、航空機から船舶輸送への転換というのは、一つの重要な課題だろうと私ども思っております。  最近では一部冷蔵コンテナを使いまして、品質の保持を図りながら内地へ持ってくるということをやっておりますが、来年度につきましては、新しく車がうきましたコンテナで、シャシーコンテナというのがございます。かなり大型のものでございます。それを私どもとしましても、助成をできましたらいたしまして、野菜輸送の合理化を図るためのそういった事業もやってみまして、できるだけ輸送コストの低減には今後とも努力をしてみたいというふうに考えております。
  200. 塩澤更生

    説明員(塩澤更生君) ただいま農林水産省の方からも答弁がございましたが、沖繩県からの本土に出荷される野菜、花卉等の輸送問題につきましては、沖繩開発庁といたしましても、沖繩の地域特性を生かした農業の振興を図る上で重要な課題の一つであるというふうに認識しておりまして、今後この対策につきましては、関係省庁とも緊密な連絡をとりまして、十分相談してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  201. 越村安英

    説明員(越村安英君) 海上輸送について御説明申し上げます。  沖繩−本土間の海上輸送量につきましては、全体で三百四十万トン程度ございますが、その中で本土から沖繩向けが大体九割ございます。沖繩から本土向けはわずか一〇%でございまして、船腹、船のキャパシティーとしましては十分に余裕がございます。  なお、多くの船には冷蔵コンテナあるいは冷凍コンテナ用の電源を持っておりますので、そういうコンテナを利用していただければ輸送全力は十分ございます。現に先ほど来御説明ありましたように、野菜につきましても冷蔵コンテナを利用して多くの輸送が行われておりまして、今後ともコンテナの整備を行うことによってさらに促進できるというふうに考えております。そういうことで船舶の整備について、特別に急に行う必要は現在のところないんじゃないかと考えております。
  202. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま冷蔵コンテナのお話がありましたが、それは数量どの程度のものでしょうか、現状は。
  203. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 先ほど申しましたように、野菜の種類によりまして違うわけでございますが、全体としましては六割ぐらいが船を使ってきております、冷蔵コンテナで過去一年間どれだけ入ってきたかということまで統計は整備してございません。  ただ、私ども年度やってみたいと思っておりますのは、十三トンぐらい入るかなり大きなシャシーコンテナというものを使ってやりますと、現実的には品質のいい物がかなり輸送コストを低減した形で入れられるのではないかというふうに考えております。
  204. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしてまた、いまの生産量ではいまおっしゃる程度で間に合っておるということなんですか。あるいはまたこれから拡大していく可能性もあるとか、この見通しどうでしょうか、
  205. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) これ一般にでございますが、野菜を沖繩から送りますときに、航空機を使いましても三日間かかります。収穫しましてから飛行機に乗せて東京へ持ってきまして市場に出すまでに三日間かかります。それから船を使っておりましても現在のところ五日間かかっております。わずかといいますか、二日間の差のために非常に大きな資本投資をしてということがいいのか、あるいは冷蔵コンテナをよりふやし、あるいは先ほど申しましたようにシャシーコンテナまで導入することによって合理化を図った方がより合理的であるのか、もう少し私ども勉強してみたいと思っております。
  206. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 こういうことはどうでしょうか。いろいろいまお聞きしますと、ここには量の問題も出てくると思います。それから年間を通じてむらがないということ。ある時期はたくさんつくるが、ある時期はない、こういったむらが出るとまた困ってくるだろう。そうすると、年間を通じて定量の生産、それでいつでも必要に応じて積み込めると、こういうことが大事であるかと思うんですが、そういった点からの御指導、御配慮はどんなものでしょうか。
  207. 渡邉文雄

    政府委員(渡邉文雄君) 先生十分御承知だろうと思いますが、野菜につきまして一番大事なことは需給のバランスをとるということでございまして、特定の品目をいま非常に高価格であるからということでたくさんつくりますと、ある年大変暴落するというようなことになってしまってはかえってまずいわけでございますので、価格動向を見ながら一番価格の有利なものを徐々にふやしていく。本土の野菜産地との競合を避けながらそういう形でやっていくことが一番大事なことではないかと思っております。そこは慎重に私ども県庁とも相談をしながら取り進めてまいりたいというふうに考えております。
  208. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後にいままでのお話し合いからいきまして、冷蔵コンテナを利用してそして船で通わした方がいいというお話もありましたが、これは聞くところによりますと、テストケースでそれでいけると、こういう結果も出たということも聞いております。私のお願いしたいことは、年間を通じて生産計画ができて、それに応ずる生産が上がったら、いわゆる冷蔵冷凍船といいますか、カーフェリーみたような——といいますのは、沖繩は国鉄の恩恵のない特殊な県であるわけですから、そういった面ともにらみ合わせて、特に野菜・花卉類は本土の皆さんに非常に喜ばれておることを私は知っております。歓迎されております。もっと欲しいと。そしていま東京や大阪を中心に全国的に歓迎されておることを私は聞いておりますので、そういった国民の要望にこたえるためにも、沖繩にしかできない特殊な農産物あるいは花弁類をこれから意欲的につくって、そして政府の助成も、沖繩の経済連も意欲的になっておりますので、タイアップしていただいて、ぜひひとつ国民的な生産に、そして食糧につないでいったらと、こう思っておるわけです。要望にこたえていただくことに努力していただきたい。見通しとしては、将来に向けて冷蔵船、カーフェリーを計画していただきたい。こういうことを訴えたいんですが、大臣いかがでしょうか。  以上申し上げまして私の質問を終わります。
  209. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 御趣旨を体して検討をさしていただきたいと思います。  物価の安定が政治の非常に重要な部門を占めておりますわけでございまして、年を明けまして、一月から三月までの生鮮食料品の動向というものが大きく物価指数に影響してまいります。したがいまして、現在の仕組みをわれわれが経済生活の中で活用してまいります以上、野菜の価格対策というものが非常に重要な地位を占めておるということは、予算委員会でも十分論議が尽くされたところでありますので、そういう点を考慮いたしまして検討さしていただきたいと思います。
  210. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  211. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 坂元君から発言を求められておりますので、これを許します。坂元君。
  212. 坂元親男

    ○坂元親男君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び第二院クラブの各派共同提案による、畜産物価格安定等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    畜産物価格安定等に関する決議(案)  政府は、畜産をめぐる厳しい情勢に対処してその安定的発展を期するため、昭和五十六年度畜産物政策価格等の決定に当っては、次の事項の実現に努めるべきである。  一、加工原料乳保証価格については、過去三年の価格据置き、二年にわたる生産者による生産調整の実施、飼料等生産資材費の高騰が経営収支に及ぼした影響等の諸条件及び最近における牛乳・乳製品の需給事情等を考慮し、生乳の再生産を確保することを旨として適正に決定するとともに、加工原料乳限度数量については、前年度の情況をふまえ、適正に決定すること。  二、食肉安定価格については、労賃及び飼料等生産資材費の上昇等をおりこみ、適正な水準で決定すること。  三、酪農等畜産農家の固定化負債の解消を図るため、実情調査の上、適切な経営安定対策を講ずること。  四、牛乳・乳製品の消費拡大を促進するとともに、国産乳製品の開発、普及に努めること。  五、調製食用油脂等偽装乳製品の輸入については、早急に実効ある抑制に努めること。  また、食肉の輸入については、国内生産に悪影響を与えることのないよう輸入割当及び関税制度等の適切な運用を行うこと。  右決議する、  以上でございます。
  213. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまの坂元君提出決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  214. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、亀岡農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡農林水産大臣
  215. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) ただいまの御決議につきましては、決議趣旨に従い、最近のわが国畜産をめぐる厳しい情勢を踏まえつつ、十分検討いたしてまいる所存であります。     —————————————
  216. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 坂倉君から発言を求められておりますので、これを許します。坂倉君。
  217. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び第二院クラブの各派共同提案による、蚕糸業振興に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    蚕糸業振興に関する決議(案)  我が国の伝統的民族産業である蚕糸・絹業は、最近の絹の需要減退、生糸・絹製品の強い輸入圧力及び糸価の低迷等を背景として、現在極めて厳しい事態に直面している。  よって政府は、蚕糸・絹業の維持安定を期するため、生糸の一元輸入措置を含む実効性ある生糸・絹製品の輸入調整措置及び絹製品の需要増進対策を講じ、繭糸価格安定法に基づく中間安定機能を堅持するとともに、昭和五十六年生糸年度に適用する基準糸価を適正に決定し、併せて養蚕業の生産性向上に努め、整合性ある対策を実施すべきである。  右決議する。  以上でございます。
  218. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまの坂倉君提出決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  219. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、亀岡農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡農林水産大臣
  220. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) ただいまの御決議につきましては、決議趣旨に従い、最近のわが国蚕糸業をめぐる厳しい情勢を踏まえつつ、十分検討いたしてまいる所存であります。     —————————————
  221. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 次に、漁船損害補償法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。亀岡農林水産大臣
  222. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 漁船損害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  漁船損害補償制度につきましては、漁業の生産手段たる漁船の不慮の事故による損害の復旧と適期における更新を容易にすることにより、漁業経営の安定に多大の寄与をしてまいったことは御承知のとおりであります。  しかしながら、近年における漁船の大型化、沿岸海域の利用の高度化等に伴って、他船との衝突その他の偶発的な事故により、漁船の所有者等が、第三者に与えた損害を賠償し、または放置することができない沈没漁船の撤去費用等の不測の費用を負担することによりこうむる損失が、漁業経営に重大な影響を及ぼすようになってきておりまして、このような責任及び費用等を適切に保険する制度の確立が強く要請されております。  政府におきましては、このような事情にかんがみ、昭和五十一年十月以降漁船船主責任保険臨時措置法に基づいて漁船の所有者等の責任等に関する保険事業を試験的に実施してきたのでありますが、その実績等を踏まえて、本年十月から漁船損害等補償制度の一環として漁船船主責任保険及び漁船乗組船主保険を恒久的な制度として確立することとし、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、漁船損害補償制度に新たに漁船船主責任保険及び漁船乗組船主保険を加えるとともに、これに伴い、漁船損害補償法の題名を漁船損害等補償法に改めることとしております、  第二に、漁船船主責任保険及び漁船乗組船主保険の実施体制であります。これは、漁船保険組合の保険事業及び漁船保険中央会の再保険事業のほか、漁船船主責任保険に関し漁船保険中央会の負う再保険責任をさらに国が再保険する事業により行うこととしております。  第三に、漁船船主責任保険は、漁船の運航に伴って、第三者に与えた損害を賠償し、または沈没漁船の撤去費用等の不測の費用を負担することによる漁船の所有者等の損失をてん補することを内容とし、漁船乗組船主保険は、漁船の所有者等であってその漁船の乗組員である者の漁船の運航に伴う死亡等につき一定額の保険金を支払うことを内容とするものであります。  第四に、漁船保険組合の引き受けは、漁船船主責任保険は漁船保険とあわせて、また漁船乗組船主保険は漁船船主責任保険とあわせて行うこととしております、  第五に、漁船船主責任保険の保険料につきましては、漁業者の負担の軽減を図るため漁業者が支払うべき純保険料の一部を国庫が負担することといたしております。  第六に、漁船保険中央会は、従来の漁船保険事業の健全な発達を図るための事業のほか、漁船船主責任保険再保険事業及び漁船乗組船主保険再保険事業を行うものとしたことに伴い、同会の再保険事業の内容に関する規定のほか、その再保険事業の適正円滑な実施を確保するために必要な規定を設けております。  以上がこの法律案提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  223. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案の自後の審査は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会      —————・—————