○片岡勝治君 そういうことでありますれば、社会保障制度の一環として私は明確に位置づけたらいいと思うんですよ。しかし実際にはそうじゃないですよね。つまり国家補償、全額国庫負担だと、また、いまは財政危機なんだというようなことが連動して
考えられますから、いま言ったような他の制度との格差が生まれてくると思うんです。むしろ、ですから私は、これもこれまでここでずいぶん意見が出されました、
恩給というような名前それ自体を変えたらいいじゃないかと。やっぱり
恩給というところの印象からいま申し上げましたような多少遠慮があるんじゃないか。
恩給受給者は納付金をいままで一銭も納めてないじゃないかと、あるいは戦争という異常な事態で、戦争に行った人ばかりじゃない、内地にいたって多くの人が殺されたじゃないか、そういうようなことがあるものですから、まあ多少謙虚な気持ちで受給者がいるということ、あるいは
恩給を支給する側の
政府あるいは担当の局で謙虚な態度にいるということは、私はこれは麗しい姿だと思うんですが、そういう非常にあいまいとした性格が、
恩給制度そのものを非常に他の制度と違って格差をつけている基本的な、根本的などうも要因のような気がしてならないと思うわけです。
どうしてこういうことを申し上げますかというと、あなた方はそういう、
恩給というのは他の制度と基本的に違うんだというような立場で、いろいろ一生懸命
努力をされている点は十分私も理解するんですよ。ところが、これからこの
委員会で審議される国家
公務員の
共済年金の
改正案等、あるいはこれはすでに通過した
法律案でありますけれ
ども戦
傷病者戦没者
遺族等援護法等の一部を
改正する
法律案、これについて園田国務大臣はどういう提案
説明をしているかというと、いろいろ前文がこうありまして、「第一は、戦
傷病者戦没者
遺族等援護法の一部
改正であります。
改正の第一点は、障害
年金、
遺族年金等の額を
恩給法の
改正に準じて引き上げるものであります。」、これは同じような性格の対象ですからわかるんですよ。その中でも、障害
年金の額は
恩給法に準じて、第一
項症というんですか、の場合
現行三百四十七万云々をいついつから幾らにすると、また
遺族年金及び
遺族給与金は先順位者の額を
恩給法に準じて引き上げ云々、こういうふうにすべて
恩給法が準拠されているわけですよね。まだこれは同じ性格ですから、戦
傷病者戦没者
遺族等援護法ですから性格はほとんど同じであると言っていいでしょう。
ところが、
昭和四十二年度以後における国家
公務員共済組合等からの
年金の額の改定に関する法律等の一部を
改正する
法律案提案
理由書、これを見ますと、こういうふうに書いてある。これはまだこちらの方には参っておりませんけれ
ども、大臣の趣旨
説明はこういう言葉です。「ただいま議題となりました
昭和四十二年度以後における国家
公務員共済組合等からの
年金の額の改定に関する法律等の一部を
改正する法案につきまして、提案の
理由及びその内容を御
説明申し上げます。この
法律案は、国家
公務員共済組合法等の規定により支給されている
年金につきまして、別途、本国会で御審議いただいております
恩給法等の一部を
改正する
法律案による
改善措置にならい所要の措置を講ずるとともに、」云々と、こういうことですね。つまり
共済組合で今度
改正する
年金等の内容は、
恩給法が変わったから、
恩給法の
基準がこうだから変わりますよ。こういう提案なんです。あるいはまたその中で、つまり
年金の額ですね、「本年四月分以後、
年金額を引き上げることといたしております。なお、引き上げにつきましては、
恩給における措置にならい、
昭和五十五年度の国家
公務員の
給与の
改善内容に準じ、」云々ということ。つまり、これも
恩給がこうなったから
公務員の
共済組合の
年金というものはこういうふうになりますよと。次に第三番目もこうですね、「
公務関係年金及び長期
在職者の受ける退職
年金等の
最低保障額を、
恩給における措置にならい
改善することといたしております。第三に、国家
公務員共済組合法に基づく
遺族年金に加算される
寡婦加算の額を、厚生
年金及び
恩給等における
寡婦加算の額との
均衡を勘案して引き上げることといたしております。」、これが国家
公務員共済組合の
改正の
法律案提案
説明、
政府の方針と。
つまり、明らかに
恩給が
基準になっている。
恩給がこうなったからこういうふうにしますよということであります。さらに公企体の
共済組合法の
改正の提案
説明も全く同じですね、いまと。すべて
恩給がこうなったからこれはこうしますよ、次にこういう問題は
恩給がこうなったからこうしますよということでありますから、あなたのいままで私の
質問あるいはその他の方の
質問に対するいろいろ答弁を聞いておりますと全く逆なんですよ、これは。全く逆。つまり、いまや
恩給というものは
公務員のみならず、厚生
年金からすべての
年金福祉、そういうものの
基準になっているということですよ、実際これを見ると。もしこれが間違いなら訂正してもらわなくちゃ困るんですよ、大臣の提案
説明書ですからね。しかし、あなたのお答えを聞いてみるとそうではない。他の
公務員の
給与あるいは
年金、そういうものに見合ってだんだん社会保障的なものを取り入れていきたい、あるいは取り入れてきたと、こういうことになっていますね。発想がまさに逆なんですが、これはいずれが正しいでしょうか。