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新谷寅三郎君 当然そうだと思うんです。これはどういう角度から考えましても現在の
放送法の四十四条、つまり
ローカル放送はこれはNHK、民放ともにやらなきゃならぬということになっているわけです。この法律を変えない限りはNHKがどんなにプラス・マイナスがあっても
ローカル放送から離れていくわけにいかない。それからさらに、われわれとしては、これは何も国会議員だけの問題じゃありませんが、公選法を先般改正したですね。いま現に公選法の百五十条、百五十一条で政見
放送とか経歴
放送というものをやっているわけです。これは
ローカル放送でないとできないでしょう。ですから、たてまえとしてはどういう
放送衛星を使ってどういう
放送をされようと
ローカル放送はやめるわけにはいかないということだと思います。私も、それは結論としてはそうせざるを得ないということにこれはだれもが同意すると思うんですけれ
どもね。
そこで、考えますと、そうなってくると、
ローカル放送のために共聴施設、それから
個人的な
受信施設というようなものを拡張していきまして、結局いまの地上
設備というものをそのまま維持していくわけですから、だから、いま難視だ難視だと言っておられるところでも、後で問題にしますが、
放送法七条からいいますとそこまでやはりいまの
ローカル放送も届けなきゃならぬでしょう。それからあなた方が総合
放送と言っている
テレビの総合
放送も届けなきゃならぬ。そうしますと、明瞭にこれは全国
放送の部分に関しましては二重投資になるわけですよ。もちろん
放送衛星を利用しますといろいろ付随的ないい点はあるわけです。たとえば離島の小笠原とか大東島とかそういう普通の波が届かないようなところ、これは衛星でやりますと真っすぐに届きますから、これは非常な利益ですね。それから非常災害の場合も同様だと思います。それからいままで余りあなた方言わないけれ
ども、いまCATVなんか使って非常に各地で問題を起こして困っている問題もあるでしょう。都市の難視ですね、都市の難視なんかにもこれを使えば解消できる。そういった利点はあるんですけれ
ども、二重投資になるんだからこれについてはやり方の問題、それからNHKの負担の問題、そういった点について、ただ、やるんだやるんだということでなしに、もっとやっぱりなるべく
国民のためにもなるように、またNHKの
財政を揺るがすようなことのないように精密にこれは計算をされまして対策を立てなきゃならぬと思うんです。その点はどうも私はまだ
郵政省もNHKも研究も努力も足りないんじゃないか、率直に言ましてそう思うんです。
これは
設備費については、実は私は宇宙開発事業団の担当の理事を呼びまして詳しく調べたんです。そうしたら二個の衛星を上げる費用ですね、これは単純に上げる費用だけですけれ
どもロケットの分を含めまして大体六百十二億かかる、それからNHKが六〇%負担するというんだから三百六十七億かかるということを言っています。ところが、これだけじゃ済まないんですね。そのほかに、NHKがもし仮にやるとすれば地上のいろいろ送ったり受けたりする費用がやっぱりかかりますね。二、三十億かかるでしょう。やっぱりこれどうしても四百億ぐらいのものがいまの中型の衛星であってもかかるわけです。その次の段階をお考えになると、これは今度は五百キロといいますね。それはロケットもそのときになるとそのくらいのものを打ち上げるだけのものはできるだろうということで考えていくと、この次の段階で打ち上げる衛星というのは大体八百億から千億ぐらいかかるんじゃないですか。やっぱりそれについても六割負担ということ。したがって二チャンネルはNHKが使うんだという大前提でお考えになっているのかどうか。もしそうだとすると、現在の衛星だけをもとにしていろいろの
設備費がこうだとか、それから
運営管理費がこうだとかいうようなものだけじゃ足りないんです。
ことに
指摘したい問題が二つある。
一つは、いまの衛星というのは大体五年もつようにしたい、こう言っているんでしょう。寿命が五年あるようにしたいと言っているでしょう。しかし宇宙開発事業団によると五年は努力目標だと言っていますよ、四年は確かですと。しかし、それは五年でもいいです。まあ一応五年にしておきましょう。五年間でやりながら——これは五十七年に打ち上げますね。そうすると六十二年にはその衛星はもう使えなくなるんですよ。使えなくなったらすぐにまた間隔を置いて上げるというわけにいかないんだな。これを本当に国内の全国
放送に使うんだということになれば、いまやっているように五十八年ぐらいから次の衛星の製作にかからなければならない。NHKはそれを出すだけの計算をしていないですよ、まだ。先ほど
大森委員がいろいろ言われた三十億倹約しましたとか、どこか三十億浮かしましたとかいうふうな話が出ていますけれ
ども、年間やっぱり五十八
年度から先毎年七、八十億から百億の衛星の
関係の投資をしていかなければならない。それは計算外ですよ。そういったこともこれは考えておられるのだと思うんだけれ
ども、率直にそういったものを計算に入れてあなた方衛星問題に取り組んでもらわないと、これはだれも何も言わないから問題が起こるまで黙っていようというような
かっこうじゃ、これは幾らNHKの
財政基盤を確立してやろうなんという努力をしても、そういう
かっこうじゃわれわれの努力のかいかないと思うんですよ。その点はどうなんです。NHKも郵政も考えていないことはないんでしょう。