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説明員(野尻栄典君) お答え申し上げます。
私どもの、国家公務員共済
組合法の一昨年の大
改正は、衆議院におきましては大蔵
委員会、参議院におきましては
内閣委員会で御
審議をいただき、それぞれほぼ同様の附帯決議をちょうだいしているわけでございます。附帯決議の項目といたしましては五項目ございました。
最初の項目は、退職
年金の支給開始年齢を六十歳に
引き上げるに当たりまして、将来の雇用保障との関連に十分留意し、段階的に退職勧奨年齢等を
引き上げていくように努めることという御
趣旨でございます。
この点に関しましては、もちろん公的
年金の支給開始年齢と雇用の年齢というものとが非常に密接な関係にあるという前提での御決議と承知いたしておりますけれども、一般的に申しますと、公的
年金の支給開始年齢と申しますのは、やはり平均寿命の推移であるとか、あるいは老齢者の稼得能力、それから
年金財政、そういったすべての要素を総合的に勘案しながら、そのときどきの
状況に応じてある一定の年齢に決めていく、一律的に決めていくというような物の考え方が
基本にあろうかと思います。一方、定年の年齢というのは、ある職種や業種、それぞれの職域ごとにおける労働の対応に応じまして、企業とか職域ごとに個別的に決めていくというのが一般的な考え方のようでございます。したがいまして、この両者の年齢には非常に密接なつながりはあるとは思いますけれども、だからぴたっと一致していなければならないというような性質のものでも必ずしもないのではないか。一般的にはそのように考えられていたわけでございます。
しかしながら、今後わが国が高齢化社会への移行をたどることは明らかでございまして、そういう観点からこの問題を考えますときには、高齢者の雇用政策というものと
年金の支給開始年齢の連係と申しますか、これは非常に重要な
課題であるということは承知しております。したがいまして、これらの一般的な
対策といたしましては、やはり高齢者雇用とか失業保険の活用、あるいは民間等で盛んに最近取り入れられております企業
年金といったような、言ってみれば公的
年金の支給開始までのつなぎ
年金でございますね、こういったものの今後の活用等を総合的に政策として取り入れながら、この問題に対処していかなければならないのではないかというふうに考えているわけでございます。
そこで、別途今
国会に御提案申し上げております公務員の定年制法案がもし施行されることになりますれば、六十歳の定年制というのが
昭和六十
年度に一応実現するかっこうになりますので、そうしますと、共済組合の支給開始年齢を六十歳と
引き上げた一昨年の共済法の
改正の支給開始年齢と一応はぴたっと合うというかっこうに、いまのところはなるのではないかというふうに考えているわけでございます。
二番目の項目といたしましては、高齢者の勤続が不適当と考えられるような重労働職種あるいは危険職種、これらのところに
長期間勤続していた者につきましては、支給開始年齢以前に退職した場合の減額退職
年金の減額率を一般の減額率より緩和するように、そういう検討を将来必要に応じて行うようにという御
趣旨の決議でございました。
この点につきましては、現在、各省あるいは三公社とか
地方公共団体を通じまして、どういう職種が危険職種あるいは重労働職種というものに相当するのか、それにつきまして現在調査を行っている段階でございます。今後、それぞれ
地方団体あるいは三公社等のそういった関係者との間で調整を図りながら、将来必要に応じて、この検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。
第三番目の問題は、
年金給付に対する国庫
負担につきまして、厚生
年金の
負担割合と共済組合に対する
負担割合とが相違していることにかんがみまして、
年金制度間の
整合性に配意しつつ検討を行うようにという
趣旨でございました。
もともと、社会保険に対する国庫
負担のあり方につきましてはいろいろ御議論が多いところでございまして、
基本的には保険料だけでは適当な給付水準が確保できないといったような場合、あるいは被保険者の範囲に非常に低所得層を含んでいるといったような場合におきまして、国庫
負担の必要の緊要度とか、あるいは社会保険
制度全体のバランスとか、あるいは
財源の効率的配分といったような見地から
措置されるというのが原則的な考え方と思っております。この問題につきましても、公的
年金に対する国庫
負担がどういうふうに
整合性を図っていけばよろしいのかという全体の問題といたしまして、今後とも真剣に検討を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
四番目に、先ほど先生の方からさらに詳しくというお話がございましたが、懲戒処分者等に対する
年金の給付制限については、他の
年金制度との均衡も考慮しながら再検討するようにという附帯決議でございました。
この点につきましては、確かに私どもの方も大蔵
委員会あるいは
内閣委員会におきまして現在の給付制限の全廃と申しますか、これは公務員
制度の一環でもある
年金制度としてはできかねるけれども、制限の
内容が非常に厳しいものであるという指摘につきましては私どもといたしましても反省をいたしまして、その後、国家公務員の例で申しますと昨年の十二月から現在まで五回ぐらいにわたりまして、国家公務員共済組合
審議会にこの緩和の方策につきましてお諮りをいたしたわけでございます。いろいろな検討の
内容がございまして、一定の年齢に到達したところで制限を解除するという案、あるいは支給開始後一定の期間を経過したことによりまして制限を解除する案、それらの案につきましてそれぞれ利害得失を御議論いただいたわけでございますが、結果といたしましては、やはり支給開始後一定の期間を経過したことによって制限を解除するということが公平性があるのではないかということで各
委員の方々の御
意見が一致いたしまして、その一定の期間というのは
年金の支給開始後五年を経過した時点で解除する、こういうやり方が一応いまのところ公平な処置ではないかという御議論でございました。
なお、その後
地方公務員の
審議会におきましても同
趣旨のような答申が出されるやに聞き及んでおります。まだ詳しくは存じておりません。
そのようなことで国家公務員、
地方公務員とも同じような足並みをそろえた
措置が図られるという見通しが立ちましたので、私どもといたしましては、去る五月二十六日の閣議におきましてこの給付制限を、いままでは言ってみれば無期の制限でございましたのを五年間の有期制限に切りかえるというような形で、実は政令の
改正を行いました。当面こういう
措置をとったところでございます。
最後に、五番目の附帯決議でございますが、共済組合
制度に関する
基本的事項につきまして一元的に調査
審議する機関の設置について検討せよ、こういう附帯決議を私どもの方はいただいております。
御
趣旨は、国家公務員、
地方公務員とそれぞれ各省ごとに
審議会がございますし、また、公企体共済には
審議会がございません。そういうかっこうで
審議会があったりなかったり、あるいは同じような
内容についてそれぞれの省庁で
審議をしているというのもいかがか、これは一本化した
審議会にしたらどうかというのが御
趣旨かと思いますが、いま申し上げましたように、現在の各省別に分かれている
審議会を統合するに当たりましては、既存の
審議会との関係をどうするのか、あるいはその
審議会を置く省庁をどこに置くのかといったような技術的な問題がいろいろございます。そこで当面は、そういった新
審議会をつくるということをちょっと見合わせまして、昨年の六月から私どもの
大蔵省の方に、大蔵大臣の私的な研究会といたしまして共済
年金制度基本問題研究会といったものを設置いたしまして、そこで国家公務員、
地方公務員、公共企業体職員すべてを通ずる共済
年金の共通的な重要事項につきまして学識経験者である先生方にお集まりいただいて、現在までに十二回程度の研究会を開催いたしております。この研究会をもってこの附帯決議に一応沿った形で処理しているというふうに私どもは考えております。
以上でございます。