○
美濃部亮吉君 あなたのおっしゃることはぼくは間違っていると思うんだ。法人税がたくさんあるといっても、法人税は東京都に非常に不利に分割されているんですよ。
〔理事金井元彦君退席、
委員長着席〕
それは、東京都に本社がありましょう。そうしてそこで働いている人数を
基準にして分割されているんだ。それは本社に働いている人は工場に働いている人よりも少ないことは当然ですよ。これはぼくがいる間にそうなったんだ。そうして法人税が非常に減ったんですよ。これはまたおれをいじめているなというふうに思いましたけれ
どもね。それは当たっているか当っていないかわかりません。
それから、富裕だといっても
——ぼくは全額、一〇〇%返してくれとは申さないんですよ。ただ、五〇%前後しか返さないというのはあんまりだろう、もう少し、六〇%なり六五%くらい返してくれても罰が当たるまい、また、それが当然なんじゃないだろうか、外国なんかはそうなっている。つまり、大都市、大府県が非常に不公平にいじめられている。そうして東京都においては不交付団体であって
地方交付税が
一つも来ない。こんな不合理はないというふうに思っているわけです。
それで、その話はそれだけにいたしまして、それから後は、つまり
地方交付税というものの性格でございますが、
地方交付税というのは、元来は、豊かな県もあり貧しい県もある、それを調整する、豊かな県からある程度において貧しい県へ移してやる、そういうふうに、何といいますか、
財政の
水準を平衡化するということがぼくは元来の目標であったのであろうと、そういうふうに思うんです。ところが、現在においては、府県で言いますならば、先ほ
どもお話に出ましたけれ
ども、ほとんど全部が、東京都を除きまして全部が
地方交付税をもらっているということは、
地方交付税がなければ
財政は赤字になるということなんです。ということは、府県で言うならば、
財政が不均衡である、赤字が出るということが日本の構造的な結果である。それは
地方交付税なんかで完全に平衡化することはできないんで、構造的な点に欠陥があるんで、構造それ自体を変えなければそういう問題は解決はしない、そういうふうに思うんです。ところが、
自治省はそういう構造的な改革、構造的に是正をする、つまり、構造的な改革によって東京都を除くあらゆる府県が赤字を出すということを是正する、そういう努力をぼくは全然やられていないと思うんです。そのやられていないという証明は、今度の
交付税法の改正において、その構造的な変革をやろうとする試みが全然見られない。それはどういう点であるかと言うと、つまり、
地方財政は赤字になることが宿命的な
状況にあるので、その点においては、もしそれを是正しようということになるならば、それは
地方交付税——これはぼくは
地方交付税をよけいにするというのは好ましいことじゃないと思うんです。それは
自治省の中央集権的な権力をより強くすることになるのでかえっておもしろくないとは思いますけれ
ども、しかしながら、
地方交付税の率をもう少し上げるとか、あるいはもっといいことは
地方税の税率を上げるとか、そういうことをして、そうして
地方の
財政を少しは豊かにするということを考えるべきであるにもかかわらず、今回の
地方交付税の改善ではない、是正においては、そういう試みが
一つもなされていない。それは、つまり、国の資金が補助に、援助といいますか、補助に回される額は千三百億円にすぎないので、あとは全部小手先の、つまり恐らくは債務を少しよけいに先に延ばすと。それで、たとえば
借入金の将来の
償還状況というので見ると、いままでの条件のもとにおいては、六十
年度において純
地方負担分は、これは四兆三千八百七十一億円、これが
昭和六十年にピークに達する。それが今度の改正によってピークが六十五年に五年延びただけである。そうしてしかも、
地方の負担は五千七十五億円です、国と両方合わせて九千七百九億円です。だから五年間延びただけであって、借金の堆積はよりふえている。それはつまり私はこの
地方交付税法の改正が何ら根本的な解決策になっていない。まあ少し頭をなでたようなもので、私は何とかして構造的な改革を
——それはいまはこんな
財政状態でむずかしいことはよくわかります。よくわかりますけれ
ども、この前も申しましたけれ
ども、財調というふうなものが幸いあって、そしてまた、もう少し言いたいことは、
地方交付税の
計算の
基礎になる
基準財政需要額
——これ、私は七千円を投じて二冊買いました。(図書を示す)しかしながらとてもわからない、何としても。大臣、わかりますか、これ。これは担当官以外にわかりっこないと思うんだ。だから、担当官以外にわからないことを
基礎にして配分をするというのは密室政治ですよ。もっとオープンにしなきゃいけない。つまり情報の公開ということがいま盛んに言われているんですけれ
ども、それと正反対な密室政治のもとにおいて、
地方の
財政の基本になる
財政需要額というのが決定される。それじゃどうしたらいいのかということを、一人で一生懸命になって考えましたけれ
ども、名案はありません。それはあなた方みたいな有能な公務員が集まっている
自治省ですからね。そのつもりになれば名案が浮かぶと思うんだ。だから、もう少しだれにでもわかる
方法を考えてほしい。そういうことをお願いをいたしまして私の質問を終わります。