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1981-04-16 第94回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十六日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      板垣  正君     加藤 武徳君      関口 恵造君     石破 二朗君      田代由紀男君     鍋島 直紹君  三月二十八日     辞任         補欠選任      吉田 正雄君     田中寿美子君  四月六日     辞任         補欠選任      田中寿美子君     小谷  守君  四月八日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     佐藤 昭夫君  四月九日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     神谷信之助君  四月十四日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     宮本 顕治君  四月十五日     辞任         補欠選任      宮本 顕治君     神谷信之助君  四月十六日     辞任         補欠選任      石破 二朗君     川原新次郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀長 友義君     理 事                 加藤 武徳君                 志苫  裕君                 伊藤 郁男君     委 員                 岩上 二郎君                 川原新次郎君                 後藤 正夫君                 名尾 良孝君                 原 文兵衛君                 福田 宏一君                 小谷  守君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 和泉 照雄君                 大川 清幸君                 神谷信之助君                 美濃部亮吉君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    安孫子藤吉君    政府委員        警察庁交通局長  池田 速雄君        自治大臣官房審        議官       大嶋  孝君        自治大臣官房審        議官       矢野浩一郎君        自治省行政局長  砂子田 隆君        自治省行政局公        務員部長     宮尾  盤君        自治省行政局選        挙部長      大林 勝臣君        自治省財政局長  土屋 佳照君        自治省税務局長  石原 信雄君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        臨時行政調査会        事務局主任調査        員        陶山  晧君        行政管理庁行政        管理局管理官   増島 俊之君        国土庁計画・調        整局計画課長   長沢 哲夫君        文部省体育局学        校保健課長    長谷川善一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政消防行政警察行政等基本施  策に関する件)     —————————————
  2. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月二十七日、関口恵造君、板垣正君及び田代由紀男君が委員辞任され、その補欠として石破二朗君、加藤武徳君及び鍋島直紹君選任されました。  また、同二十八日、吉田正雄君が委員辞任され、その補欠として田中寿美子君が選任されました。  また、去る六日、田中寿美子君が委員辞任され、その補欠として小谷守君が選任されました。  また、本日、石破二朗君が委員辞任され、その補欠として川原新次郎君が選任されました。     —————————————
  3. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 次に、理事辞任についてお諮りいたします。  本十六日、金井元彦君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事加藤武徳君を指名いたします。     —————————————
  6. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 次に、地方行政改革に関する調査のうち、地方行財政消防行政警察行政等基本施策に関する件を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 小山一平

    小山一平君 きょうは田園都市構想行政改革、そしてまた、新幹線整備法ですかの改正案等々の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  大平総理田園都市構想を唱えまして、私どもその構想根底にある理念、哲学などに大いに共感するものがありましたし、特に、地方においては大きな期待が寄せられたわけであります。ところが、大平さんの存命中でもその実現については大分心もとない方向に陥りつつあったように思いますが、大平さんが亡くなられてしまいますと、この構想大平さんと一緒に墓場へ行って安らかな永遠の眠りについたのではないかというような感じがいたすわけであります、  自治大臣、この田園都市構想をいまどういうふうに評価をされ、これからどうあるべきというふうに考えておられますか。もうこれは大平さんと一緒に消えてしまったものというようなことではないと思いますが、いかがでございますか。
  8. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 大平内閣当時の田園都市構想、これは田園都市構想という表現を使いましたけれども、その底流にありますものは、日本現代社会というものをながめていった場合に、将来の日本のあるべき姿というものを、都市と田舎というものが、地方というものが対立的な関係じゃなくてもっと提携してやっていく、つまり、地方には都市的な環境もつくるし、また都市には田園的な要素も入れる、そして日本国家形成をしたいという考え方に基づいて、それを表現するのに田園都市構想という表現を用いられたものだろうと思います。これは大平総理一つ人生観なり社会観なり、哲学的な要素が入っておると思いますけれども、しかし、この考え方というものは、大平総理だけでなくしてすべての人々が心の中に抱いておる問題だろうと思います。  したがいまして、現在これが言挙げはされておりませんけれども田園都市構想というものは脈々として、今後もこうした構想のもとにあらゆる施策というものが進行すべき性質のものだと考えます。私も、そうした構想には賛成をいたしたものでございまするので、でき得る限りこの構想が具現化するようにいろんな施策充実してまいることには努力してまいりたいと、こう思っておるところです。
  9. 小山一平

    小山一平君 そうであろうと思います。  そして、この実現について、国土庁定住圏などを通じて実現を図っていくのだということになっているようであります。国土庁、このことについて。
  10. 長沢哲夫

    説明員長沢哲夫君) お答え申し上げます。  田園都市国家構想につきましては、昨年の七月に政策研究グループから検討結果が報告されまして、内閣から国土庁を含め各省庁に対しましてこれを十分検討政策運営に当たって参考にするように指示がなされております。  国土庁といたしましては、この指示に基づきまして内部で精力的な勉強会等を催して検討結果のそしゃくに努めてまいっておるわけでございますが、大平総理田園都市国家構想を提唱されました時点から、国土庁といたしましては第三次全国総合開発計画定住構想の推進を通じて田園都市国家構想具体化に努力するという考え方をとってまいったわけであります。したがいまして、具体的には三全総の一つ具体化方策でございます全国四十の圏域モデル定住圏整備に当たりまして、特に五十六年度からは田園都市構想モデル事業によって中核的な施設の整備を総合的に推し進めるというような施策を講じております。  しかしながら、ただいま大臣お答えにもありましたように、個々の施策を進めるということよりも、田園都市国家構想の一番重要なポイントは、むしろその理念各般施策考え方として生かしていく、浸透さしていくということではないかというふうに考えておりまして、今後とも同構想理念を尊重し、時代要請にこたえる国土政策各般にわたって推進していくということを基本的な考え方にいたしております。
  11. 小山一平

    小山一平君 また後ほどこの問題に触れてお尋ねをいたします。  続いて、最近よく、地方時代地方時代と、こう言われます。しかし、その意味認識というものがきわめて不明確のまま流行語となっているような気がいたします。まあ私は私なりきの意見はありますが、一体地方時代とはどういう時代なのか、大臣のお考えを。
  12. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 最近の状況は、とかくスローガンが先に立ちまして実行がそれに伴わないという面があるわけでございますが、大平総理田園都市構想という構想展開をした、引き続いていま地方時代という言葉が出てまいりました。これは、やはりそういう構想が出るべき社会的情勢になってきたと、私は基本的にはそう思っておるわけでございます。と申しますのは、明治以降長年にわたって、どちらかと申しますと中央集権的な社会体制国家体制の中に今日に至ったわけでございますが、それもある程度行き詰まってきた、したがって、田園都市構想も背景にありますが、どうしても地方というものがそれぞれの特色を持ちながらしっかりした足取りをもって進んでいくという体制をつくらないと、日本自体がおかしくなるのじゃなかろうか、こういうような考え方根底にありまして地方時代というものが叫ばれるようになってきたものだと思います。  もっと端的に申しまするならば、もう少し地方分権を進めると、地方自主性をさらに尊重して地方の濶達な活動を促進する体制をつくり上げるとか、そういうものに政治の重点を置いていかにゃいかぬと、こういう基本的な考え方地方時代と言われておる中身だろうと思います。これは私も大変重要なことだと思います。この観点からいまの各種の制度を見ますというと、いろいろ直さにゃならぬ点が多々あるわけでございます。そういう問題に今後取り組んでいくことが地方時代と言われるこの実態を実現をさせる大変重要な課題だろうと思っておるところでございます。
  13. 小山一平

    小山一平君 自治大臣所信表明の中に、ただいま述べられたように、「長期的な展望のもとに行財政全般にわたり見直しを行い、地方自治の基盤の一層の充実を図ることが必要である」と、こういうふうに述べられているのはいまお述べになった内容だと思いますが、先ほども国土庁から発言がありましたように、田園都市構想研究グループ報告書というのが昨年の七月出されておりますが、この中にも、いま大臣が述べられているように、今後の日本国家システム方向というものを考えたときに、明治以降の過度集中を是正をして、地方というものを見直し充実強化を図っていくのだと、こういうことが書いてあります。そして、それは同時にそのことが地方時代だと、これは私も同感であるわけでありますけれども、さてこの報告書を見ますと、かなり具体的な提案がございます。たとえば、「基本的に重要なことは、あくまでも地域の「自主性」を尊重することである。「地方への権限委譲」とか「地方への財源配分」」という問題、こういうことが必要な要件であるとも言っておりますし、それからさらに具体的に、「中央は、過度に集中している行政権限補助金を徹底して削減するとともに、地域は、各地域要請対応した行政を自らの判断によって選択し、そのために必要な財源を自ら確保することを基本としなければならない。」と、こう書いているわけです。  ところが、国土庁が先ほど言われた定住圏計画にいたしましても、この根本をなす問題を抜きにして、現在の過度集中縦割り行政補助金行政という枠の中でこちゃこちゃやっていけば田園都市構想なり地方時代なりというものが実現できるのではないかというふうな、いま取り組みにすぎないように思うんです。大臣、いかがでしょうか。
  14. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 従来の惰性と申しますか、一つ構想が出てまいりますと、中央といたしましては、やはり一つ考え方を持ちまして、こういうものが地方時代だということで、それに対して補助助成をするようなことをすぐに考えるものでございます。そして、また、最近はよほど直ってまいりましたけれども、それの地方における選択の範囲を広げるというようなことでその問題が解決するのじゃないか、まあこれは一歩前進だと思いますけれども、そういうことがどうしても先に立つわけでございます。しかし根本はそうじゃなくて、やはり地方自体が創意的に、自発的に活動するという環境をつくるということが地方時代の一番根本の問題だろうと思います。  具体的に申しまするならば、そのためにはどうしたってある程度の財源が必要である。その包括的な財源をどうして地方団体に付与するか、こういう問題が本当は基本的に重要な問題だと思います。そのほか、現在中央地方関係におきましては、許認可の事務でございますとか補助金のいろいろな支出についての制限とか、いろいろな枠組みがあるわけでございまするが、そういうものをさらに緩めまして、地方創意工夫ができるような仕組みに変えていくこと、そういうこともきわめて重要な問題でございまして、そういうものに手をつけることが地方時代とか田園都市構想というものを実現するための一つの大きな問題点だろうと思いますが、ともいたしますというと、そうじゃなくて逆に、田園都市構想はこういうものである、地方時代はこういうものであるという前提のもとに、またそれに対するところの補助助成政策考えていくという傾向があるわけでございますけれども、これは根本的には私は違うのじゃないか、もう少し地方の自主的な活動的な面を促進するための財政の問題とかあるいは行政執行の面についての権限移譲の問題とか、そういうようなものを緩め、これを地方に与えるということが一番基本的な問題ではなかろうかと、こう考えております。
  15. 小山一平

    小山一平君 やはりその問題にメスを入れませんと、現在のように中央行政権限集中をしている、補助金起債等、まあ財政集中をしている、こういう構造では、よくこの場の議論でもそういうことが出てくるんですが、どうも地方自律精神を欠いておるとか独自的な考えに欠けているとか、こういう話が出ておりますけれども、これはやっぱりこういう行財政仕組みの中で、地方自治体はもう独自性自主性をすっかりむしばまれてしまいまして、おんぶにだっこ、何でももらってくればいいわ、取ってくればいいわと、こういったかりの思想が極端に大きくなっていると思うんですね。ですから、地方に活力をもたらし、そして自主的な行政展開ができるようにしていくには、この根源抜きにしたのではとうてい前進を見るはずがないと思うんです。  国土庁——まあ国土庁にこんなことを聞いても酷だと思いますが、何か大平さんのうたいとげた田園都市構想の重い荷物をしょい込んだような感じで同情しているんですけれども、あの定住圏構想なんというものをやったからこれで田園都市構想地方時代理念が花開くなんということになりっこないんですよ。なるほど地方の自主的な計画提出をさせて、それに基づいてやるんですと、こう言いますけれども——広域市町村圏構想だってそうですよ。私が自分でやったからよく承知しておりますけれども、それっていうので、各関係地域市町村からいま望まれている事業は何だというものをわっと寄せ集めて、一つ資料としてもっともらしくつくり上げて、そしてこれを提出をすると、こういうものであってね、あんなものつくるのはわけないんですよ。幾人かのベテランの各課の専門家を集めて、こういうひとつ資料をつくれと言えば、あんなものは簡単にできるんです。中には情熱も魂も実はないんですよ、あの計画には。それがあると思ったら大違いですよ。現に私が昔そうやってつくったんだから。  ですから、国土庁のいまの定住構想モデル地区をつくって、地域をモルモットのように考えてどこか一つ模範的なものをつくろうなんという発想は、しょせん実のあるものになるはずはないと私は思っているんですけれども、このメスを入れるべき一番の根源は、いまも大臣からもお話があったし私も申し上げたように、分権を徹底的に進めるという土台の上に組み立てなければ、既存のこの制度の中で、構造の中で考えたのではこれはだめだと、これくらいの認識国土庁もお持ちだろうと思いますけれども、そういうものだという問題意識、こういうものは持っておられますか、国土庁として。
  16. 長沢哲夫

    説明員長沢哲夫君) 田園都市国家構想具体化一つの例として、モデル定住圏整備を申し上げたわけでございますが、そもそも三全総の定住構想という考え方は、長期の将来にわたって人と国土の間に安定したつながりをつくっていく、そして、都市と農村を対立的なものでなくて一体的なものとして整備をしていく、そして、ゆとりと落ちつきのある社会全国的に展開すると、こういう考え方で、基本的に田園都市国家構想考え方と軌を一にするものだと考えております。  そうして、その定住構想具体化方向というのは実は二つございまして、一つは、圏域整備をそれぞれの地域自主性、主体性を生かしながら進めていく、そういう考え方モデル定住圏も各地方自治体の発案と協力によって計画づくりをやる、国が指図をするのでなくて、地域自主性自発性を生かしながら計画をつくっていく、そうしてその実行をしていく、こういう考え方で進めております。  そういう意味で、圏域整備そのものも先生のおっしゃるような理念につながるものというふうに私どもは確信しておりますが、同時に、圏域整備と並んで重要なのは広域課題に対する対応であります。圏域共通の、圏域をまたがる、あるいはものによっては全国的な問題、場合によっては国際的な問題、そういう広域課題に対する対応圏域整備と並んで非常に重要なわけでありますが、そういう広域課題といたしましては、たとえばエネルギー制約への対応ですとか、全国的に進展いたします高齢化への対応といったような重要問題がいろいろあるわけでございますが、そういう重要問題の一つといたしまして、三全総自体の中でも指摘されておるわけでございますけれども、戦後三十年余りにわたって構築された国土総合開発の諸制度仕組みについて抜本的な見直しを行い、この計画が示す基本的方向に即した新しい制度仕組みの創設のために周到な準備が必要であろう、こういうことを三全総自体問題提起をしておるわけで、この問題提起方向に沿った検討もまた広域課題一つとしてきわめて重要ではないかと、こういうふうに考えております。
  17. 小山一平

    小山一平君 まあ国土庁とすればその程度のお答えだと思います。国土庁、結構です。  いずれにしても、いま大臣の御意見などを拝聴いたしましても、これからの新しい時代はやっぱり明治以来の過度集中的な国家システム分権的国家システム方向に変えていくんだと、この土台の上に、田園都市構想あるいは地方時代という理念があるんだとこういうふうに考えます。  そこで、いま行政管理庁では第二臨調を設置をして徹底的な行財政改革をやろうとされているわけですが、私も大賛成だし、これは徹底的に推進すべきものと思うわけでございますが、地方制度調査会がすでに十八次にわたって答申を出しております。この答申内容を点検をしていきますと、いま大臣発言されたし私も申し上げたような方向を追求をしていることが明らかなんですが、ところが残念なことに、今日まで基本にかかわるような改革は、どんなに答申で明記をしても、これが尊重されぬ、日の目を見ないで、同じようなことが繰り返し繰り返し述べられているということなんですね。  そこで、これは鈴木総理も第二臨調については答申の線に沿って政治生命をかけて実現すると、こう申されているのに、同じ政府の機関である地方制度調査会答申については一体どう考えているのか、きわめてあいまいというか全然むとんちゃくというか、というふうに感じられるわけですね。大臣、これどう思いますか、
  18. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 地方制度調査会において何回かの答申が行われてまいったわけでありますが、これは適切な答申を得ているものだと思っておりますが、そのうちの一部については実現をしているものもございますが、また、実現していないものもたくさんあることは言うまでもございません。  そこで、今度第二臨調が発足するに当たりまして、総理は第二臨調には力を入れるけれども地方制度調査会答申実現については余り力が入らないじゃないかというような御質問の要点であろうと存じまするけれども総理の頭には、第二臨調の問題と同時に地方制度調査会答申の趣旨も十分私は認識しておるものだと思います。  そこで、地方制度調査会答申が、ある程度実現したものもありまするが実現しないものも多々あるというその原因は、いままで客観的情勢が、それを実現するための環境と申しますか条件がなかなか整わなかったということも一つ原因ではなかろうかと私は思っております。  そこで、第二臨調発足ということになりますと、第二臨調は、国家財政が非常に危機に立っておる、これをどうしてもこの際メスを入れにゃいかぬと、こういう根本的な条件がありますので、第二臨調が発足したわけでございまするが、この第二臨調答申がどういうことになるかは定かではございませんけれども、この問題に取り組むためには、いままで申し上げましたような地方の問題というものがきわめて重要な要素をなすものであろうと存じます。したがいまして、この機会にひとつこの問題をも論議をいたしまして、答申の中に盛り込みたいというようなことがあることは御承知のとおりでございまするが、林君もこの委員の一人になっておりまするし、地方制度調査会の従来のいろいろな答申が行われました、そのことも第二臨調論議の中におきましては相当展開するものだろうと思うのでございまするが、そうして結論が出た場合に、総理はこれは何としてでも実現をすると、こういうことでございまするから、従来地方制度調査会答申が比較的実現をしなかったという問題も、あるいはこの機会におきましてある程度の前進を見る結果になるのではなかろうかと、私なんかは考えておる一人でございまするが、さようにひとつ御理解を願ったらいかがなものだろうかと存じます。
  19. 小山一平

    小山一平君 まあ大臣は同じ内閣ですから当然ですけれども、中曽根さんにしても鈴木総理にしても、この行革についていろいろ熱弁をあっちでもこっちでもふるっているけれども、いまだかつて、第二臨調を通じての行革の中で、地方制度調査会の貴重な答申をその改革の中にこれを重視をしてやっていくのだなどということを言ったのを聞いたことがない。まあ多分そういうことを認識をされ、そのつもりになっておられるのだろうと、自治大臣は大変寛容な、理解の深い御発言でございましたが、私はそのことを大変心配をしているわけです。本当に大臣の言うように、鈴木総理が、こういう十八次にもわたる地方制度調査会答申というものをこの改革の中に取り入れて、そしてやっていくのだという気があるならば、一度ぐらいはどこかでそんな発言をされてもしかるべきものだと思うのですが、そういうことを聞いたことがないので、私は大変心配になるわけです。  そこで、行政管理庁から来ていらっしゃると思いますが、お尋ねいたしますが、行政管理庁としましては、取り組んでおられる行財政改革に当たって、今日までの地方制度調査会答申、報告、これを一体どういうふうに評価して、どういうふうにこれを扱おうとされているのか、お尋ねいたしたいと思います。
  20. 増島俊之

    説明員(増島俊之君) これまでの地方制度調査会の御答申、いろいろございますけれども基本的な考え方は、やはり地方分権を推進すると、それから国、地方を通ずる行財政の簡素合理化を推進するということであると思いますけれども、この考え方につきましては、数次にわたるこれまでの行政改革政府でつくっております計画の中で、そういう考え方は非常に尊重されるべきだと思いますし、また、されてきていると思います。現実の実行の過程の中ではいろいろ不十分な点があるいはあると思いますけれども考え方としましては、まさに尊重すべきであるということで参っておるというふうに考えております。
  21. 小山一平

    小山一平君 そういうお答えをおやりになるのは当然だと思いますが、いままでの経過や状況を見ていまして、大変どうも、本当に行政改革地方分権方向というものを重視をしているとはとても思えないわけです、私には。  そこで大臣、いかがでしょうかね、第二臨調でいまいろいろ作業をされている大事な時期ですから、地方制度調査会の会長も委員の一人になってはおられますが、大臣として、この第二臨調に、今度の改革案作成に当たっては、今日までの地方制度調査会答申というものを尊重をしろと、こういうふうなことを申し入れておいた方がいいように思うんですが、いかがでしょうか。
  22. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 第二臨調は第二臨調独自の立場におきまして答申をするわけでございまするから、私の立場でこれにどうこうと言うことは適当じゃないと思っております。ただ、幸いなことには地方制度調査会の会長も有力な委員の一人でございまするので、会長の判断に基づいて、第二臨調の内部における議論の際には善処をされるものだろうと期待をいたしておるところでございます。
  23. 小山一平

    小山一平君 なぜ私がこういうことを言うかといいますと、いま行政管理庁からも御答弁がありまして、まあまあ無難な当然の内容でございますけれども、中曽根さんなんか地方自治のことなんか全く知らないんじゃないですかね。知っているけれども無神経な発言を平気でやるのかどうか知りませんけれども、私は、どうも地方自治についてきわめて不勉強であると、こう言わざるを得ないんですよ。なぜかと言えば、衆議院でも議論になったようですけれども国家公務員の数は減らしてきたけれども地方公務員は七十五万もふえて、いるのはけしからぬなんということを平気で言うんですから。一体それはなぜかというようなことについての勉強を全くしておらぬ。ただ資料に載っている数字だけで勝手な独断をしているように私は思えて仕方がないんですよ。一体その要因は何であり、国と地方とのかかわり合いがどういう姿であり、そういう中から地方公務員の数というものがふえてきた。何も地方自治体が警察官をどんどんふやそうとか、教員の数をふやそうとか、消防の数を勝手にふやすとか、そんなことをやってきたわけじゃないんですよ。それは増加したいという考えはあるにしても、これは国の政策、国と地方との財政関係等々を通じて、今日的な行政需要にこたえると、こういう形の中で地方公務員の数がふえてきているわけですね。それが、いかにも地方はけしからぬと言わぬばかりの発言を平気でなさるなんというのは、私は全く了解ができないわけです。大臣、どう思いますか、これ。
  24. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 行管長官も旧内務省に奉職したことでありまするし、地方の問題を全然知らぬというわけはありません。  それから、いまの人員の増加の問題も、これは結局、中央官庁というのはどちらかと言うと企画的な要素が多い。しかしながら地方になりますと現場的要素も多い。おっしゃるとおりに教員、警察官、あるいは消防、そういうもののほかに、各種社会福祉施設の増加に伴う要員、あるいは病院等々で国の基準なり国の指示に従って増員しているものが大体九割ぐらいだろうと思うんです。本当に地方独自でやっておるものは、減らしている県もあるぐらいでございまして、まあ一割弱だろうと思うんです。行政事務が非常に増加しておるのでやむを得ない面があるわけです。それを、地方の方がぜいたくに人を使っていると言うのは、これは本当に見当違いの議論でございます。この辺は行管長官だって知っていると思います、まあ時間の関係その他でそこまで詳しく述べる余裕もなかったから表向きの話だけをしたということじゃなかろうかと私は思っておりますが、全然その事情を知らぬということだけはないと思います。  これからも、この点についてはさらに認識を深めるように、私としては努力をしていこうと思っております。
  25. 小山一平

    小山一平君 同じ閣僚ですから、自治大臣は大変深い配慮のもとに御発言をされているように思います。  それから、いまの問題ばかりでなしに、非常に細分化された縦割り行政の中における補助金行政というものが、非常な非効率、非経済性、そして職員の増加を余儀なくされるようなことがたくさんあるわけです。こういう点にメスを入れていけば、ずいぶんと効率的な経済性の高い行政システムというものが私はつくれると思うんです。  たとえば一つの市に——市は総合行政ですから、一つの区域の中で総合的に物を判断をして効率的にやっていこうと考えているんですが、たとえば、一つの市の中に勤労青少年ホーム、これをぽんと来てぽんとやる、働く婦人の家だ、勤労福祉センターだ、社会福祉センターだ、ほら公民館だ、こういうふうにまちまちにおりてくるわけです。そうすると、これが自治体へ参りますと、どの施設をつくったって、それだけ独立してそれっきりで——専門的なものもありますけれども、総合的に極力効率的に市民のために活用をするという考えに立ってこれを管理運営するわけです。ところが、いまのようにいろんなものを縦割り行政でもってどんどんどんどんやるものですから、たとえばそれが、五つの施設をかなり大きな規模の中でこれが総合的に運営できるような建設が可能であるとすれば、私は、建設費においても相当の節約ができるし、五カ所のところへ五人ずつ職員配置を余儀なくされれば、五、五、二十五人でしょう。これを一カ所で済むようにやったら、半分とはいかなくたって三分の一ぐらいの職員は少なくして、しかも効率的な管理運営ができる。こういうことを考えますと、今日のこの細分化された縦割りによる補助金行政というものがどれほど非効率な、経済性を欠いた結果をもたらしているか。そして、地方の自治体が考えているような管理運営、こういうものを阻害をしているかということを、例を挙げれば幾らでもあるんです、私はいま一つの例を挙げたんですけれども。  ですから私は、少なくも徹底的な行革をやるというのであれば、こういう補助金行政の矛盾や弊害や、こういうものまで深くメスを入れて改革を図るべきだと、こう実は痛感するわけです。いかがでしょうか。
  26. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 小山さんも私なんかも、末端におきまして実際の仕事をしてきた者にとりましてはおっしゃるとおりのことでございまして、本当にこの辺に非効率的であり、むだであり、経費の点からも問題もあるし、運用の面からも問題がある、そういうことを強く考えておるものでございます。先般も大蔵大臣にいろいろな問題を話しましたとき、特にこの問題も提示をいたしまして、今度の予算の問題についてはこの点はぜひ大蔵省も十分に認識をして、これが是正方について予算上の工夫をしてもらわにゃいかぬということだけは申し入れてあるわけでございます。ぜひそうした点は直していかにゃいかぬと、私も思っております。その努力をいたします。
  27. 小山一平

    小山一平君 それから大蔵大臣も、あれはどこでの答弁だったかはっきり覚えていませんけれども地方に自主財源を与えて、そして地方の判断でいろんな行政ができるようにするという問題について、そういうことをすれば、道路の好きな市長は道路ばかりつくる、学校をつくることの好きな市長は学校ばかりつくるというようなことになりかねないと、こういうばかげた発言をされたことがありますけれども、これは大臣も御承知のように、地方自治体の責任者たるものは、地方自治体は総合行政ですから、その総合行政の中で——それは時と条件によってはどこかへ重きを置くとか重点を置くということはあっても、この総合性なんというものをそっちのけにして勝手なことなんかやるはずもないし、できるはずもないんですね。それを何か、地方に権限を与えたり財源を与えたりすると一体どこへ進んで行っちゃうかわからないようなことをおっしゃるというのは、大変認識不足だと思うんですよ。大臣、そういうことを感じませんでしたか。
  28. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 大蔵大臣のその発言は、これは民社党の構想で、第二交付税ということで公共事業費は一括して地方に付与して、そして地方団体で自由に使うようにしたらいいじゃないかという、まだ煮詰まってはいないと思いますけれども、そういう構想があるわけですね。それについて大蔵大臣意見はどうだと、こういう質問のあったときに大体いまおっしゃったようなことを言っておりました。これは、第二交付税も固まっているわけではございませんし、また大蔵大臣も、率直な気持ちを申し述べたのだろうと思いますが、決して地方団体全体が、あるいは地方団体の責任者が全部そうだという趣旨でもなかったように私は聞いております。
  29. 小山一平

    小山一平君 ひとつ閣僚の一人として、そういうとんでもない認識は改めるように自治大臣から教育をしていただきたいとお願いをしておきます。  それから、今日までずいぶん行革ということが取り組まれました。最近では大平さん、福田さんなんかもずいぶん声高らかに行政改革と言ったけれども、これがその都度挫折をしてきているという歴史があるわけです、一体どうして内閣行政改革をやろうやろうと何度やっても挫折を繰り返してきたか、その原因は一体どこにあると、こういうふうにお考えですか。
  30. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 行政改革の問題は、理屈から申しますと機構から入るのが一つの常道だろうと思いますが、その機構から問題に入ったというところに、非常に歩どまりが悪かったと申しますか、そういう原因があったのじゃないかと思っております。  ところが今度は、そういう機構とか何かじゃなくて、金だと、こういうことを一番先に出しますと、これはやっぱりある程度の成果を上げる可能性は私はあるのじゃないかと思います。従来の行革と申しますと、すぐに各省庁の権限とか統廃合とか、そうした機構上の問題、そういうような問題が真っ先に取り上げられるわけですね。そこになかなか進まなかった一つ原因があるのじゃないかと私は見ております。
  31. 小山一平

    小山一平君 まあ余り大臣として露骨なことも言いにくいんでしょうが、これは、はっきり言えば中央集中している権限や財源というものを何とかして死守しようという官僚軍とそのお先棒を担ぐ議員集団、これが、改革というものが出てくるとつぶしにかかる、こういうのが私は一番大きな原因だと思います。  そこで私は、心配されるのは、今度の行革でもそういう抵抗は必ずある、すでにもう起きている。ところが、むだなところはできるだけ切って必要なところは厚くというふうにやらなくちゃいかぬのに、血を出すならみんな平等に出せなんというので、一割削減だなんて、こういう能のない発想になるのも、私は原因はそこにあると思うんですよ。  これ、行政管理庁、どんな答申が出てくるか知りませんけれども、こいつに一番抵抗をするのは皆さんの仲間だ、これはもう明らかなんですがね。さてどうですか、今度はこれ抑えてやるつもりですか。できるつもりですか。
  32. 増島俊之

    説明員(増島俊之君) ただいまの御質問につきまして、説明員が説明するようなことではあるいはないかもしれませんが、私どもが聞いておりますのは、従来、行革を進めていくときに、やはり各省庁一体となります。そういう体制というものが欠けているということで、今回につきましても、政府それから与党の行政改革推進本部というものをつくりまして、それで強力に進めていく。それから総理も、四月十日に強い指示を出されまして、行革に積極的に取り組むようにという御指示があったというふうに聞いております。そういうことで、私ども行政改革を推進するいわば庶務部局としましても、従来と変わって、さらに一層強力に進める体制ができつつあるというふうに理解しております。
  33. 小山一平

    小山一平君 そこで、この行政改革機会に、私は、地方公営ギャンブルの収益金の問題にも徹底的なメスを入れてこの機会改革をすべきだというふうに考えるわけです。このギャンブルの収益金、五十三年度までしか私の手元にないんですが、五十四年度は総額幾らでしたか。
  34. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 五十四年度の公営競技の収益金は三千五十一億円余りでございます。
  35. 小山一平

    小山一平君 五十四年度の特別交付税は幾らでしたか。——ざっとでいいです。
  36. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 四千八百億余りに二百四十四億を追加いたしましたので、五千億ちょっと超えておったと思いますが、ちょっと端数までいま記憶しておりません。
  37. 小山一平

    小山一平君 約五千億、この収益金が三千億、特別交付税の果たしている地方財政上の大きな意味と比べても、これだけの大金があるわけですから、しかもこの収益金が地方財政計画の基準財政収入額にも算入をされないで、これが、若干特交でいろいろ配慮をしているという範囲にとどまっているわけです。これを、全部というわけにもいきますまいが、この中の相当額基準財政収入額に算入をするという改革ができれば、それだけで千五百億もの財源があるんでしょう。これ、極端な例を一つ拾ってみますと、五十三年度で宮島町、これが二十二億八千三百万の収益金を上げているんですね。そして、何とこの町の標準財政規模は四億一千二百万円、この町の総予算がこの年三十四億七千百万円であったわけですから、ほかの町であれば、この二十二億八千三百万円を引いた十一億八千八百万円の予算を組むことになるはずなのに、その二倍に近い二十二億八千万円もがプラスアルファでこの町は潤っているわけですね。この不合理については、この委員会でも何年も何年も、何回も何回も議論をして、こういう不合理は是正をしたいと、こういうことを自治省からもお聞きをしているわけですけれども、どうですか、この不合理について、若干自治省の御見解をまずお聞かせ願いたいと思います。
  38. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) いまいろいろとお示しがあったわけでございますが、公営競技については、御承知のとおり、過去いろいろな経緯等の背景があったわけでございまして今日に至っておるわけでございますが、ただ一部の団体に非常に大きな財源があるということについてはいろいろ批判もございます。その意味で、総理府にもいろいろと懇談会を設けて検討をしてきておりましたし、また、各党超党派でいろいろ研究をされた機会もあるわけでございます。いろいろ議論されておるわけでございますが、なかなかこれを一挙に解決する方法というものが過去の経緯に照らしてもないわけでございます。  たとえば、いまのような基準財政収入額に算入するという問題も提起をされておるわけでございますが、基準財政収入額そのものが、地方税なりこれに準ずる収入を対象として地方団体の普遍的な、標準的な財政力を算定するためのものでございますから、公営競技収益金を対象とするかどうかとなりますと、その他いろいろ地方団体が工夫して財源確保のために収益事業等を営んでおる、そういった収入全体についても波及をするということもございます。基本的にいろいろやっぱり問題があるだろう、こういったいわば特殊な収入でございます。そういったことからそういう議論もございます。むしろ、そういった意味では、いま特交で減額をしておるわけでございます。そういう措置の方がなじむのじゃないかということでそういう措置がとられておる。また、たとえば財源超過額の大きい不交付団体等に対してはその効果は及ばないということにもなります。いろいろな点から今日に至っておる。しかし、いろいろといまのような御意見があることも確かでございます。  そこで、私どもとしては、今日まで収益については均てん化ということについて努力をしてまいりました。四十五年度から御承知のように公営企業金融公庫納付金制度を設けまして、また近年は、ずっとその納付率を引き上げてきておりますほかに、先ほど申し上げました特別交付税による減額調整、あるいは地方債によってもこれは調整措置をとっておるわけでございます。そういったやり方をやっておりますし、さらに全国レベルの均てん化のほかに、特に昨年は見直しの年でございましたので、私どもいろいろと話し合いもいたしまして、都道府県レベルでのいろいろな、みんなが使えるような振興基金への拠出とかあるいは自治会館への金の拠出とか、そういったことでできるだけ均てん化をさしてきておるわけでございます。  しかし、なおこの問題が解決しておるとは思いませんし、交付金のあり方等、いろいろな事項と全般的に関連しながら検討しなきゃならぬ。現に関係省庁間で連絡会議を発足させて協議をしておる最中でございます。これがより合理的な運営ができますように、私どもとしても努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  39. 小山一平

    小山一平君 大変むずかしい問題であることは私もよくわかっているし、わずかではあるけれども、この収益金の中から均てん化を図るような方策もとられていることも承知をしておりますが、これは問題にならない金額ですよ。この町に二十三億近いプラスアルファの収入があるのに、普通交付税が二億五千万も交付されるという、こういう大変不合理なことが行われているわけですね。私は、このむずかしいギャンブルの収益金の抜本的な改正というのは、今度のような徹底的な行政改革をやるというような機会をやっぱりとらえてやらないと、なかなか平和な時代ではとてもこれは困難だと、こう思うんですね。  そこで行政管理庁、まあ課長さんがお見えですが、余りむずかしいことをお聞きをしても何ですが、いまおわかりのように、三千億もの特別収入が不公正に特定の自治体を潤している。三千億も。たとえ五割でも何とかこれを、まあ取り上げるなんと言うと言葉は適当かどうか知りませんけれども、これを全体の財政運営の中に合法的に繰り入れられれば、途端に千五百億もの財源があるわけです。これ、いまここであなたに答弁を求めても無理だと思いますが、ひとつぜひ、よくこのことの問題提起をしていただいて、そして今回の行政改革の中で、この問題も重要な課題として取り組むように、あなたの方から報告をして、連絡をしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  40. 陶山晧

    説明員(陶山晧君) ただいまの先生の御指摘は、第二臨調でそうした問題を取り上げたらどうかという御趣旨かと思いますが、調査会での検討事項につきましては、基本的には委員の先生方が御審議の上お決めになることでございますけれども、せっかくの先生の御指摘でございますから、何らかの機会調査会の委員の先生方に御報告する段取りを考えたいと思います。
  41. 小山一平

    小山一平君 これは、こういう問題を抜きにして、ただ補助金を切っていくんだなんという、そんな安易なことではいけないと思うんですよ。ぜひひとつこの点について御連絡を願いたいと御要望を申し上げておきます。これで行管結構です。  それから、最後でございますが、報ずるところによると、新幹線整備法改正案というのが議員提案で出てくるような模様でございますが、大臣、これについて承知しておられますか。   〔委員長退席、理事加藤武徳君着席〕
  42. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) その問題は私も承知いたしております。
  43. 小山一平

    小山一平君 これはとんでもない話でしてね。自治省は強く反対されているというふうに私も承知はいたしておりますが、いずれにしても、赤字ローカル線はどんどんどんどん切って捨てる。そして、つくれば必ず赤字の出ることがわかっている新幹線を建設するために、地方自治体に三分の一もの負担をさせよう、それによって建設を促進しようなどということは、断じて容認のできない暴挙だというふうに思うんです。これは自治省として、自治大臣として断固粉砕をすると、こういうことで多分取り組むつもりでおられるとは思いますが、大臣の御意見をお聞かせください。
  44. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 自治省といたしましては、三分の一だとか四分の一だとか、そういうようなことを地方団体が持つなんということは、これはとうていできないことなんです。それは一部の論者は、交付税で見たらいいじゃないかという議論だってないわけじゃない。そんなことはとてもできる話じゃない。いまでも交付税率が足りなくて臨時措置を講じておるわけですから。しかも、交付税ということになりますれば全国の各自治体が全部関係する問題でございますから、そんな、交付税から出すなんというわけにはとうていいかぬわけでございます。それならば地方団体において一体どうするのか。地方団体においても、いやまあ地方で持ってもいいんだという話もあるということも聞きますけれども、個別的に聞きますと、とても持てるものじゃないと、こういう話もあるわけでございます。  そこで、これは党の方でやっておることでございまするから、積極的に私ども話もいたしておりませんけれども、聞いておるところでは、結論といたしまして、とにかく地方団体と新幹線建設について協議をする場を設けるということですね。それから、一定率を地方に持たせるなどというものではない、相談事にするんだと、こういう話でございます。そしてまた、相談事をする場合には、自治省としては、あるいは地方行政部会と申し上げてもいいのでございまするけれども、これは交付税なんかで措置するわけにはいきませんよということだけははっきり党内においても申し入れをして、おおむね了承を得ておるというふうに私は聞いております。
  45. 小山一平

    小山一平君 地域によってはぜひ新幹線が欲しいと、そのことは理解ができますけれども、そうだからといって、その弱みにつけ込んで、地方自治体が一部負担をすればつくるとか、こういう考えが大変間違っていると思うんです。  それから、どこかの知事で、つくってくれるなら一部負担してもやむを得ないなんというようなことを言ったとかなんとかというようなことも耳に入ってくるわけですけれども、これはよほどどうも頭のどうかした知事だと私は思うんですけれども、いまの地方と国との間の財政構造の上からいっても、それから、いま国と地方との事務の配分を明確化して再編成を図っていこうというようなときであることも考えましても、とてもとてもそんなことのできるはずはないと思うんです。やっておいて、後になって困ってきたから、自治省の方に泣いていって相談をすれば、ひょっとすればまた何とかしてもらえるのかもしらぬなんという甘えがあると思うのです。最初申し上げたように、どうもこのごろ自治体にはたかりの思想、他力本願の思想が充満しておりますから、そういう甘えも下手をするとなきにしもあらず。  そこで、前からも述べられておりますが、万が一そんなことが行われるようなことがあったとしても、国としては、地方交付税はもとより、いかなる財源もそれに関連して措置することは絶対あり得ないと、こういうことをやっぱり明確にしておいていただきたいと思うんです。
  46. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 自治省の財源でもって措置することはいたしません。
  47. 小山一平

    小山一平君 もしそんな法案が出てくれば——聞くところによると、地方自治体は、新幹線鉄道建設のための必要な資金について補助金交付など財政上の措置を講ずることができる、という条文になるのじゃないかというようなことを聞いておりますけれども、私どもも、こんな法律というものは断じて成立させてはならぬと、こういう立場で努力をしていくつもりですけれども自治大臣としても、あなたも党内で仲間の議員がこういうばかなことをやろうとしているわけですから、ぜひともこういう法律はつくらせないと、ひとつこういう立場でがんばってもらいたいと思うんですよ。どうですか。
  48. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 法律をつくることは党として決めておることでございまするから、これはもう自治省といたしましては、党の決定に従うべきものだろうと思っております。党として出すわけでございまするから。ただ、その財源措置については、これは具体的に今度は自治省の財源問題に関係してまいりまするので、交付税等でもって、これを後始末をすると申しますか、負担をすると、地方団体が。そういうことは、地方団体が独自の財源でも見つけてそれで負担するのなら、これはまあ自治省として容喙すべき問題でもございませんが、交付税目当てにその措置をするということは、自治省としては絶対できませんということは、党にもはっきり申し上げております。
  49. 小山一平

    小山一平君 自治省とすれば、新幹線建設のために地方団体がどういう金を支出するというようなことがあっても、断じてそのための財源措置は講じないと、こういうことをはっきり確認させていただきました。    〔理事加藤武徳君退席、委員長着席〕 まあひとつ、党としてやるというのですから、どうも自民党さんもずいぶん地方自治地方自治体財政構造やこういうものの認識の足りない議員がいかに多いかということにびっくりする思いでございますけれども、ぜひひとつ御努力を願いたいと思います。  それから、どこでどうなのか、確たるあれもないんですけれども地方自治体で、中には相談に乗ってもいいというようなことを言う人もあるやに聞いています。これは、自治省とすれば、ほとんど財政関係の重要なポストに自治省から多くの有能な職員を派遣をしているわけでしょう。もう知事そのものも片っ端から自治省で征服してしまうような勢いを示しているわけでしょう。こういう問題について、何といいますか、日常的に自治省として、そんなばかなことを考えてはならないと、こういうことについての指導といいますか、そういうようなことが不十分なんじゃないでしょうか。これ、いまの自治大臣のお話を聞いても、私どもの常識から言っても、とてもとても、いまうわさされているような、資金を地方団体が独自でもって支出できるなんということのあろうはずがないわけよね。鉄道を欲しいという弱味につけ込む方もつけ込む方だけれども、それに乗っかって相談に乗るようなことを言い出す方も言い出す方だと、私は腹立たしく思うわけです、これは。いろいろ自治省が主宰する会議などで、こういうことの徹底は十分されているんでしょうか。
  50. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) いまいろいろお話がございましたが、新幹線の建設というのは、私ども国土の基幹的な交通網の整備の一環でございますから、本来、日本国有鉄道なり鉄建公団等が今日まで行ってきた事業でございますし、いまの事務配分なり財源配分のたてまえから見ても、やはり今後とも国なり国鉄、鉄建公団の負担でやろうというのが正しいのではないかと、これがまあ基本的な考え方でございます。  ただ、新幹線については、非常に地域において強い熱望がございます。そのことのために、早く敷設をしてもらいたいというようなことで、関係県でいろいろと強い希望が打ち出されておる。もう昨年の暮れの予算時期からもそういうことがございました。そういった中で、その強い希望がいろいろな形で言葉になってあらわれてきておりますので、私どもはそういう強い希望のあらわれだというふうに見ておりました。しかし、やはり当時出されておった案のようなきわめて多額の負担をするかしないかということについて、持てるといったような誤解を与えるというのは、これは非常に大きな問題でございます。私ども関係のところの方とも直接お会いをして、どういう意味で負担ができるとおっしゃったのかということもただしました。しかし、いろいろ聞いてみますと、いや、私どもとしては、できるだけ協力すると、そしてまた、新幹線を誘致したいと、こういう強い希望を申し述べたのであって、そういった大きな金が持てるとはとても考えておりませんと、そういう点は明確な話でございましたので、そこらのところは私どもとしても、最初に申し上げましたような基本的なことを頭に置いて、希望は希望でよくわかるけれども、慎重に対応してもらいたいということは、会う機会にいろいろ申し上げておるわけでございます。そこらはよくおわかりなわけでございますが、やはり地元の新幹線についての魅力というのもございますから、いろいろな機会でそういった希望を述べられるということはあり得ると思います。  その一環として、いま議員立法で、地方団体が協力をすると申しますか、国と地方とが協議するような機会を設けるという動きが出てまいっております。まさにいま申し上げましたような議員立法での動きでございますが、それについて自治省としてどうするかと申しますと、先ほどから大臣が申し上げたようなことでございまして、これは従来から申し上げておる線でございます。
  51. 小山一平

    小山一平君 第二臨調答申というのはどんな内容で出るかいまはっきりいたしませんけれども、明らかなことは、土光さん大変ハッスルいたしまして、しかも財界挙げてこれをバックアップすると、こういう状況の中で、いま憂慮されるのは、大変財界主導的な改革ではないかというふうに見えるわけです。  そこで、この改革というのは、先ほど来議論してまいりましたように、集権構造から分権構造への改革というものも重視をしなければならないし、それから補助金を通じる非能率、非経済的な弊害、こういうようなものにもメスを入れていかなければならないし、そういうことを抜きにしてやりますと、この第二臨調行政改革が、田園都市構想だの地方時代などと言われているのに、一番大きな被害を地方自治体に及ぼすようなことがあってはならない。先ほど申し上げているように、どうも何となく——独断であるかもしれませんけれども鈴木総理にしても中曽根行管庁長官にしても、地方自治ということに必ずしも十分な認識を持っているとは思えない。こういうことで心配になるわけですが、一番頼りにしなければならないところは自治省ですから、先ほど来自治大臣も述べられているように、この改革田園都市構想理念やそれから地方時代を具体的なものに変えていく一つのチャンスになるように格段の御努力をお願いをいたしたいと思うんです。  大臣から、そのことについての決意をお聞きをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  52. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 第二臨調答申内容については、いまつまびらかでないことはそのとおりでございまするが、先ほど私がるる申し上げましたようなそうした基本構想に基づいて、この機会地方分権が促進されるような、そうした答申を得たいものだと考えております。  ただその際に、御指摘もありましたけれども、私も若干懸念しておりますことは、財源なき地方分権という形では困るという問題でございます。この点については十分留意をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  53. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと関連。  財政局長、さっきのギャンブルの益金の話、やりとりありましたね。行政管理庁は責任者でありませんから言いませんでしたが、一部にやっぱりそれに目をつけて、税金でもぶっかけて国税として取っちゃおうという、こういうことになったのではこれは元も子もないわけですね。地方財源としてわれわれは均てん化をどうするかということを考えるわけでありますからね、どん欲な大蔵が別の方から目をつけて取るなんということになると、これでは、あなたの方が対応がもたもたしていますとそういうことにもなる可能性がありますので、その辺はきっちりとらまえておいてください。
  54. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) よくそこらは、その点につきましては、私ども地方全体を見ておりますので、御意見は十分承知をいたしております。
  55. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 あらかじめ御連絡申し上げておきました文書館法の制定の問題につきまして、二、三の意見を申し上げて、特に自治省、安孫子さんの御意見等をいただきたいと思います。  近、現代、特に明治以降なんですが、公文書関係の保存のきわめてずさんな点が多いわけでございます。江戸時代の検地帳、これはリサーチングブックというのかリサーチングダイアリーというのかわかりませんが、土地を具体的に調べて、その生育の上に土地台帳というのが明治以降できたわけなんですが、この検地帳というのがいまでも有効に裁判等においても使われているわけなんです。明治、大正、昭和と、非常に有効に使われていたわけでございますが、戦後圃場整備事業等が行われてすっかり地形が変わってしまった、こういうふうなことから、この検地帳を土台にした土地台帳、こういうようなものが捨てられているような現状でございまして、東京あたりの古本屋には片すみの方に置かれているところもときどき散見するわけでございます。  これは別に土地台帳ばかりではございません。戦後、町村合併等によって、非常に問題でありました農地改革に伴う所有権の移転問題等も絡んで、それらがほとんど紙くずかごに一方的に捨てられているような現状であることもお認めいただいていると思うんです。私は、こういう日本の歴史の上において一番大事な行政資料、こういうようなものがどんどんどんどん捨てられていく現状は、これはまさしく文化の破壊というか、民族文化の破壊につながるのではないか、こんなことを非常に恐れているわけです。  ところが、そういう問題について、文部省を初め総理府あるいは自治省等においても、十分に指導が行き渡っていないために置き去られている、これは行政上の一番欠陥ではないだろうか、こんなふうに私は感ずるのです。その意味でこういう現実をどう認識しているかということを、一言お伺いしておきたいと思います。
  56. 大嶋孝

    政府委員(大嶋孝君) 大臣からお答えになります前に、私の方から申し上げたいと思いますが、地方におきます、地方団体のいわゆる文書の管理というものにつきましては、それぞれの団体で定めております文書管理規程等に基づいて適切に行われておるものと一応考えます。  しかし、いま御指摘のように、もっと古い文書、あるいは歴史的に意義のある資料というものにつきましても、これはきわめて多種多様であるわけでございます。それらの整理、保存あるいは活用というものにつきましては、文化的遺産の保存の見地というものから、地方団体の自主的な判断に基づいて行われるべきものであろうと考えております。  また、公文書の処理がうまくいっていない。それによりまして行政の処理に支障を生じておるというようなことがあれば、必要に応じて指導をしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  57. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 外国の場合は、すでに御案内であろうと思いますが、西ドイツでは地方の文書館を含めて約八百ぐらいあると言われておりますし、フランスでは十八世紀フランス革命後、一七九〇年に国立公文書館をつくっておりますし、さらにほとんどフランス全土にわたって、全市町村に文書館が建設されているわけでございますし、ドイツあるいはイギリス、オランダ、スウェーデン、アメリカ、ソ連を初めとして、いわゆる先進国と言われる国々、特に、人権関係というものをきわめて大事にしなければならないという、国々の発生の歴史もありますけれども、ほとんどこういう行政資料の管理については重要な行政一つとしてとらえている現状であります。特にフランスにおいては、職員の養成機関もありますし、いわゆるそういう文書士というものが至るところで活躍をしている現状であります、  時間がありませんので詳しく申し上げることもできませんが、日本においてはどういう現状であるかというと、おくればせながら、昭和三十四年の十一月に日本学術会議から勧告書が提出されているわけでございまして、政府はこれを受けて、公文書の散逸防止と一般利用のために、総理府の附属機関として四十六年、できてからまだ十年そこそこというようなところでございましょうか、国立公文書館、これが設置されたわけでございますが、地方においては非常に少ない現状であります。  国立公文書館の設置の実態を見ますと、確かによくやっていると私は見ておりますが、やはり図書館あるいは博物館、そしてこういう文書館、これが三つそろって初めて文化施設と言えると思うんですが、ところが、文書の整理等については全然、どう進めたらいいのかということについての配慮がないまま今日に至っている現状であります。図書館法では司書というものが置かれておりますし、さらに博物館においては学芸員というものが、それぞれの訓練を受けて配置されている現状であります。ところが、公文書館の場合は何にもない。きわめて不安定な身分の関係で、十分な研究もできていないのが現状であります。フランスのように文書士というような制度をつくってやる考え方を私はその中にどうしても織り込んでいくためにも、この法律をおつくりになっていただく必要があるのではないかと、このように思うんです。  やはり行政資料の収集、保存、調査、こういうようなものを進めていくのには、いろんな経験が必要であります。地籍図なりあるいはマイクロフィルムなり磁気データの取り扱いの問題なり、あるいは古文書の読めるところまでやはり勉強さしていただく必要もあるわけでございますし、それからこういう行政内容、あるいは情報工学、こういうようなものもある程度知っていただく、そういう職員の設置も必要であると、このように考えるわけでございます。  すでにこの問題については学術会議の方から、四十四年の十一月の一日に勧告、これを受けて政府ではようやく国立公文書館ができたわけでございますが、さらに昨年ですね、五十五年の五月十二日に文書館法の制定をされてはどうかと、このような意見が強く出されているわけでございまして、その勧告は、総理大臣初め各省大臣あてに出されておるわけでございます。それを受けまして、その窓口は科学技術庁ですが、自治省と総理府にこの所管省として決定をしてお願いをしたはずでございます。  私の調べたところによりますと、自治省とそれから総理府がどういうふうに答えているかということを見ると、一番親切丁寧に答えているのが自治省でございます、どなたが答えたかは私はわかりませんが。その内容を見ると、官公庁の資料保存、これは地方公共団体の自主的判断で推進されておりますが、自治省としてもできる限りの協力をしていきたいと、このように述べておられるわけでございます。したがって、自治省としてはやはり責任を痛感していると、このように私は見ております。  これは、いまは地方時代と言われておる中でどう進めるかについては、いろいろの入り組んだ行政、それをどう消化していくかということは、それぞれの県の知事の姿勢にもつながってくることでございますし、なかなかむずかしいと言ってしまえばむずかしいものであるかもしれません。これは博物館なりあるいは図書館などは教育委員会であるとか、あるいは警察を抱えている場合にはこれは警察庁の管轄ではないだろうかとか、まあどうしたらいいのかということについて戸惑いを受けるであろうことは事実であろうと思いますが、やはりそれぞれの地方行政文書を取り扱っている県の実態を見ると、それぞれ想をこらして十分にお互いに連絡をとり合いながらやっている現状でもあることを思うときに、やはりそれぞれの県の主体性に従って一日も早くこの行政資料の収集、保存、調査、こういうようなものをおやりになる必要があると、私はそのように思うんです。また、そういうものを指導するのが自治省ではないだろうか。それを指導をしないで、これは文部省であります、これは総理府でありますということになると、なかなかこの縦割り行政の中では思うように行政指導が生まれないということも現実であると思うんです。  特に、最近は知る権利の問題あるいは情報公開法の制定を急ぐべきではないだろうか、こんなふうなことを言われる。しかし、その行政資料を一体どう整理したらいいのか、どう分類したらいいのか、同和問題等々、ある民族的な一つの具体的な内容を抱えている日本として、秘密はどう守ったらいいのか、どこまで公開したらいいのか、そういう判断さえもつきかねている中で、やはり住民の側から見れば、あるいは国民の側から見れば、知る権利、これを一日も早く指導する必要があるんじゃないかと、こういうふうな声だってないわけではないし、また、そういう声が強くなってくることも一つの大きな歴史的な流れであろうと、このように思う。思えば思うほど、やはりその前提になる資料というものをどう整理をしたらいいのかという問題を整理をすることなくして、ただ単にこの住民の意向を聞いてやりなさいよという指導だけでは真の指導とは言えないと、このように思いますので、私は、この地方の実態をよく御存じの安孫子さんにぜひがんばっていただきまして、とかく逃げ腰の各官庁の姿勢を正していただいて、できる限り行政資料の収集、保存のための公文書館の設置、これをぜひお願いしたい。  しかも、この声はもう全国津々浦々に響き渡っている現状でございまして、やはりこういう隠れた一つの運動——選挙には余り関係ないかもしれませんけれども、やはり一番大事な問題、隠れている問題、しかも一番取り扱いにくい問題、それかといって民族文化の遺産としても一番大事に育てていかなければならない、こういうところに重点を置く、そういう政治なり行政のあり方が私は大事なことではないだろうかと思いますので、ぜひ安孫子大臣にこの問題について積極的な姿勢をお示しいただきたい。われわれも及ばずながら側面から御協力を申し上げますし、また、全国のこういう運動を展開しているそれぞれの団体がたくさんございますが、バックアップをしていきたいと思いますので、特にひとつ大臣の御所見を最後にいただきたいものと願ってやまない次第でございます。とうぞよろしくお願いいたします。
  58. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) この問題は、私は中央よりもむしろ地方が相当活発にその必要性なりこれが充実の問題について認識を深めつつあると思っております。それは、たとえば昨今におきまして県史編さんということが非常に各県において活発になりましたし、各市町村におきましてもそれぞれ各市町村の史を編さんをいたしまして、そして資料の収集もやっておる、それによって町村史を編さんしておる。ところが、その際に一番困りますことは、資料の収集がなかなかむずかしい。明治以前でございますとある程度はっきりしておりますが、特に明治以降の資料というものが本当に散逸しておりまして、市史、町史の編さんにも大変事を欠くというような実情にあるんじゃないかと私は思っております。全国的にこれを調べたわけではありませんけれども、そんな気がいたしておるわけでございます。  それだけに、地方の自治体におきましては、これから地方時代と言われるその中におきまして、自分たちの地域社会の過去における基礎的なデータ、こういうようなものを収集して、そして後代に引き継ぐということはきわめて重要な仕事だと思いまするので、それだけに地方団体におきましては、数は少のうございますけれども、その気分が非常に盛り上がっておると、こういうふうに私は認識をいたしております。したがいまして、国といたしましても、これに対して応分の手助けをしていくというようなことをすることが大変大切だと、こう思っております。  この点について、いまお話のございましたとおり、各省とも、どちらかといいますと引っ込み思案でございまして、まあ余り積極的にならないというのが実情だと思います。自治省は起債的な措置によりまして、こうした資料の収集の整備されたものの収納についてはいろいろと応援をしておるわけでございまするけれども、これは文部、総理府とも関係のある問題でございまするので、私としては以上申し上げましたような立場から積極的にひとつこれを、方策の推進につきまして努力をして岩上さんの御期待にも沿いたいものだと思っております。
  59. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 大変御丁寧なごあいさつをいただきましてありがとうございました。  ただ、私の願っておる問題は、起債なり補助金なり、そういうようなものをおねだりするということよりも、むしろそれぞれの各県が悩んでいる問題として、図書館法なり博物館法との絡みにおいてどうしても文書館法という法律をつくることによって内容が十分に整理されるのではないかと、このような考え方が非常に強いわけなんです。ですから、その内容をどう整理するのかということについても、各県とも盛り上がってはいるものの、内容がみんなばらばらです。ばらばらであるばかりでなしに、必要性にこたえて適当に兼務でもってやっているようなのが現状なんですね。したがって、文書士みたいな、そういう特定の身分関係がはっきりされない、そういう中で知事部局から何人あるいは警察庁から何人とか、あるいは教育長をおやめになった方が嘱託として何人とか、そんな人たちが一グループをつくって行政資料の収集、保存に当たっているというような現状が大半なんですね。  これは先ほど外国の例を申し上げましたけれども日本は非常にそういう面についてはおくれているんですね。過去の歴史をたずねるという性格も余りないせいか、非常におくれているんですね、あるいは木造文化のせいか。まあとにかく日本民族は過去のことについては忘れがちな民族でもあるかもしれないですね。インドあるいはインドネシアよりもずっとずっとおくれている。日本が一番世界的に見てこういうものについての認識というものがおくれている民族と言ってもいいんですね。  したがって、各県に対して、いま大臣お答えになったように、できるだけ自治省としても応援をしてあげたいという程度が現実であろうと思うんです。しかし、そこらあたりの認識では地方はなかなかこういう行政資料の問題について取り扱うという、そういう機運が動かないと運動として進まないんじゃないだろうか、こんなふうに思うんです。ですから、もう過去の資料はどうだっていいじゃないか、前向きに物を考えようじゃないか、こんなふうな考え方、こういうふうなものが一般にとられがちな一つ方向ではないだろうかと思うので、私はぜひこれは自治省の方で、まあ十条か十二、三条のわずかなもので結構ですけれども、指導体制をどう進めていくかということと、その中に盛られる内容について、これは非常に重要な職分というか、身分関係をはっきりさせる、そういうふうな方向とあわせて——もちろんこれは来年度すぐつくるということじゃなくて、十分に御検討おきいただき、一つの法律の内容をどうしたらいいのかということを含めてごあいさついただければ私は非常にありがたいと思うんですけど、その点、大臣の特段な御意見を伺いたいものと思っておりますので、再度ひとつお願いを申し上げる次第でございます。
  60. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) もうお話の点、私もよく理解できるし、その必要性も認めます。話の要点は、法制化するという、体系をつくるということだと思います。私もそれは大変大切なことだと思います。したがいまして、ひとつ今後御相談いたしまして、そうしたことができるような努力を私としてはいたしたいと思いますから、ひとつゆっくり、この場は時間もございませんので、御相談を願いたいと思います。
  61. 岩上二郎

    ○岩上二郎君 どうもありがとうございました。
  62. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時四十分まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      —————・—————    午後三時四十四分開会
  63. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  64. 大川清幸

    ○大川清幸君 初めに、大臣所信表明の中にも触れられておりますので、とりわけ高校生のバイクの問題についてお伺いをいたしたいと思うんですが、この所信表明の中では、免許保有者は三人に一人で四千三百万人。この中で、十六歳から十九歳で四輪車と二輪車、原付バイクの免許を持っておる方が二百十万人ほどおられるそうで、最近、とりわけこれらの若い人たちの交通事故がかなり多くなっておるようでございますが、まずその辺の事故状況から御報告いただければお願いをいたしたいと思います。
  65. 池田速雄

    政府委員(池田速雄君) 二輪車によります事故の発生の状況でございますけれども、他の事故と同じように、四十五年をピークにいたしまして事故が減少してきておりましたのが昨年からふえたということでございますが、二輪原付の場合には、実はピークが三十九年でございまして、その後若干の変遷はございますが、ほぼ順調に減ってまいっておりましたけれども、五十三年からまた、原付二輪車の台数の増加等とも関係があると思いますけれども、事故が増加いたしておるわけでございます。  その中で、特に若者の事故の増加率が多いということはただいま御指摘のとおりでございまして、十六歳から十九歳までの少年によります二輪車原付の事故が、昨五十五年には一万七千八百八十七件発生いたしておりまして、死者数が六百三十四人でございます。五十一年には一万五千四百二十八件で、死者数が四百九十六人でございましたので、その状況から見ますと、発生件数で一五・九%、死者数では二七・八%増加いたしておることになるわけでございます。  さらに、その内訳を見ますと、十六歳の場合には、昨年が六千三百六十三件の件数、死者数が二百六十三人でございまして、五十一年に比べますと件数では四%、死者数では六一%の増ということになっております。  十七歳は、昨年の発生件数が六千百五十九件、死者数が二百十六人でございまして、件数で申し上げますと、五十一年に比べますと四%、死者数では二一%の増というふうになっております。  十八歳では、昨年の発生件数が三千二百七十一件で、死者数が百三名でございまして、五十一年に比べますと、件数で一三%の増でございますが、死者数では一三%のマイナス、こういうことになっております。  十九歳では、昨年の発生件数が二千九十四件で、死者数が五十二人でございまして、五十一年に比べますと、件数では三九%の増、死者数では四四%の増、こういうぐあいになっております。
  66. 大川清幸

    ○大川清幸君 そこで、各年度で状況が違うのですが、やっぱり事故死の数もかなり多いし、それから件数も、減ってはきていますけれども、今後もかなり心配されるケースがいろいろあるようでございまして、この文部省の体育局の監修によって出されている資料も見せていただきましたが、「高等学校・交通安全指導資料 主として二輪車に関する指導」ということで、大変りっぱなものが出ておりまして、いろいろ地元の県警あるいは警察とも連携をとりながらこれらの安全対策なり指導をやっておられるようでございます。御苦労のほどはわかるんですが、なかなかうまい根絶方法がないようで、資料を見ますと、各県によっては校長さんの会といいますか、あるいはPTAの皆さんの御協力、こういうようなことで、全面運転規制とか、それから一部何か、シールなどの目立つものをつけて規制をするような方法で、対策については大変各県とも熱心に取り組んでおられるようですけれども、これらの安全指導ですか、交通安全指導等についてはどんなことをやっておられるか、まあ一々御報告を願うというのも大変だと思いますから、主なものを御報告願えればお願いしたいと思います。——これは文部省の関係がいいですかな。どうでしょう。
  67. 長谷川善一

    説明員長谷川善一君) 高等学校における交通安全指導は、先ほど先生お話しございましたとおり、規制をやるということも一つでございますけれども、規制だけでは不十分でございまして、より積極的にその指導を展開しておるわけでございます。  特に、交通安全指導は、小中学校における指導をさらに発展させるという観点に立ちまして、交通社会の一員として、自己の安全だけではなく他の人々や社会の安全に貢献できる態度や能力を養うということを目標にしておりまして、ホームルームあるいは学校行事を中心に教育活動の全体を通じて組織的、継続的に行うということにいたしておるわけでございます。生徒や地域の実情に応じまして、二輪車の安全に関する内容についても適宜取り上げ、安全に関する意識の高揚とみずから実践する力をつけるということをやってまいっておるわけでございます。
  68. 大川清幸

    ○大川清幸君 時間がないから細かいことはきょうは省かしていただきたいと思っておりますが、ところで、この運転免許証の取得に関する問題で、これは道交法の関係もございまして、運転免許証の交付についてはいまのところそれなりの法律の規制があるわけですけれども、高校生というと、生活の実態は、やはり定時制などへ行っている生徒さんは昼間はお仕事もあるでしょうし、そういうような関連があって、埼玉県なんかでは校長会で発行したシールをつけて乗っている者は認めようとかいろいろ苦労して、工夫なさっているようです。  これは少年法の規定で言うと少年というのは満二十歳未満ということで、それから児童福祉法ですと十八歳以下が対象になっているようですが、この辺の法律のすり合わせの問題もあるんでしょうけれども、少なくとも十八、九歳以下の方々が二輪車の免許を取得するについては、まあ働く都合で他県へ出て努力をしている高校生も中には幾分があるんでしょうけれども、全体的に見たら、いわゆる法律で少年という範疇に入れられているクラスの方々が運転免許を取る場合、二輪車については父兄の同意書みたいなものを必ず添付していただくような方法はとれないかどうか、その辺はいかがですか。
  69. 池田速雄

    政府委員(池田速雄君) 免許を取得いたします場合の要件といたしましては、現在、法律上は先生御指摘のとおりそういったものはないわけでございますけれども、やはり免許を取得します場合には、少年でございますので、親あるいは——学校に通っております場合には学校の教育方針というものもそれぞれあるわけでございますので、親あるいは先生方の指導をいただいておるわけでございますので、そういった運用につきましては警察といたしましても十分尊重をしてまいりたいということで運営しているわけでございますが、法律的な要件ということになりますとまた別の観点からの問題もあろうかと思いますので、当面は運用面その他を見ながら、できる限り少年にとりまして安全に運転できるような措置というものを考えてまいりたいと思います。  その趣旨で、現在十六、十七歳の少年が免許を取ります場合には、これも指導でございますけれども、免許試験に合格しました後におきまして、官の方で任意の講習の制度を設けておりますので、こういった制度を今後十分活用してまいりたいというふうに考えております。
  70. 大川清幸

    ○大川清幸君 大臣、いままで事故状況等の報告があってお聞き取りをいただいたので、状況はおわかりだと思いますが、高校生にかかわる交通事故の件数も千単位で毎年起こっておりますし、多い年は数百人の死亡者が出るというようなこと、それから暴走族その他の問題にも関連いたしまして、この二輪車の免許証についてはいろいろ社会的な問題にもなっておることでございますので、せっかくひとつ今後の免許の取得についても、何かよい知恵があれば、法律のかかわりがあって技術的にはむずかしい面もあると思うんですが、前向きに取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお願いいたします。
  71. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 免許の年齢を繰り上げると申しますか、そういう議論も内部でしておるわけでございまするが、これ、なかなか聞けば聞くほどむずかしいような状況でございます。しかし、現実にまた事故が多発しておることもそのとおりでございまするし、また、暴走族その他の問題にも関連をしていくわけでございますから、ただいまお話のございましたとおりに、年齢引き上げはむずかしいにいたしましても、その間を何か規制するようなことをまとめて方針として打ち出して実行させるというような工夫を内部でもひとつよく検討してみます。
  72. 大川清幸

    ○大川清幸君 警察庁と文部省、結構です。どうもありがとうございました。  次に、先般行われました千葉県知事選挙ですが、これについては衆議院の方でも小沢貞孝先生から文書質問があって、御回答が、何か選挙にかかわる御回答があったようですが、これはいろいろな社会的な経緯、背景があって、県民も白けムードで余り選挙に参加しなかったのじゃないかということは推測がつくんですが、二五・三八%、これは史上最低だそうですね。しかも、今回の知事さんは、有権者総数の一二・四%の票で知事に選出をされたので、一二%知事というのはこれはちょっと問題だと思うんですが、現行法上でいうとああいう回答になるのだろうかと思うんですが、やはりこれから地方時代と言われて知事の権威が高められなきゃならないような時代の趨勢にあるのに、まあ投票率はこれは県民の意思によることで、民主主義のたてまえからいうと、なかなか規制したりすることはむずかしいんですけれども、どうも一二%で知事さんというのはいかにも権威がないみたいですしね。先々考えると、何かこれ検討する要素にはならないかと思うんですが、いかがですか。
  73. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 私どもも、先般の千葉県知事選挙をめぐる政治的背景、大変心配いたしまして、このままでは投票率がかなり低下するであろうと、千葉県の選挙管理委員会にもてこ入れをお願いすると同時に、県の選挙管理委員会でもその間の事情は先刻十分覚悟をしておりまして、従前の知事選挙の啓発費をさらに増額をいたしまして、テレビ、新聞、チラシ、あらゆる方法を駆使いたしました。市町村におきましても、チラシをわざわざ全戸に配布する、さらに民間の啓発団体にもお願いをする、事業所、店内放送を通じまして職場の方にも啓発を進めると、あらゆる手を尽くしたわけでありますけれども、非常に低率に終わったことを残念に考えております。  確かにこういった極端に低い投票率を前提といたしました場合には、現行法のような有効投票数に対する一定割合ということではなしに、つまり有権者数の一定割合というのを当選点、法定得票数とするというのは立法政策的には一つ考え方であろうと思います。ただ、投票率というものが、御承知のように、その選挙の種類なり時期なり、あるいは選挙をめぐりますいろんな政治的な背景でありますとか候補者の顔ぶれでありますとか、いろんな要素が非常に強い影響力を持っておるということも御承知のとおりでありまして、有効投票数を基準とするのじゃなしに、有権者数の何割というかっこうにいたしますといたしましても、その何割がいいかという基準がむずかしいという問題はさておきまして、仮にそういう基準を設けましても、同じような政治的な背景のもとで行われる選挙でございますれば、再選挙をいたしますとか、あるいは決選投票を行いますとか、いろんなやり方はあろうかと思いますが、恐らくは、ほとんどの場合結果はそう変わらないであろうと、ほとんどの場合同じ結果に落ちつくのではないだろうか。むしろ逆に、よけいに二回目の選挙が激烈になる、さらに選挙に多額の金が必要になるというようなことも予想されるわけであります。現行法が有効投票数というものを基準にいたしまして当選点を定めておる、片や同じような考え方から、いわゆる御承知の無投票当選というような制度を認めておりますのも、そういう趣旨によるのだろうと思います。  諸外国の一部でよく強制投票制というのをやっておるところがありますけれども、こういうものは余りどもも感心した制度とは思いませんし、本来、現在のようにいわゆる任意投票というものを前提といたします限りは、やはり選挙に参加をいたしました有権者の意思というものがその地域の全有権者の意思とみなして有効投票の何割というかっこうの現行法の考え方はやはり維持されざるを得ぬのではないかという気持ちを持っております。要は、有権者の自覚あるいは選挙管理機関のさらに有効な啓発方法ということにかかってくるのであろうと思いますけれども、啓発の手法につきましては、さらにこういう事例を頭に置きながら効果的な方法を考えていかなければならないという気持ちは強く持っておるところでございます。
  74. 大川清幸

    ○大川清幸君 いまの御答弁の中で、今回の千葉県知事選については前から心配があって、啓発その他でも特に御注意をなさったようですし、予算もちょっとおつけになったのでしょうか、いまの御答弁では。
  75. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) はい。
  76. 大川清幸

    ○大川清幸君 前回、参議院の補選でも二七・九六ですからね、これ低かったので、当然棄権と、そういう心配は予想されたわけですから、具体的には千葉県選管ではどんなことをやったんですか、啓発については。
  77. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 県の段階で行いましたのは、予算の増額を前提といたしまして、広報車の宣伝、それから新聞広告、テレビのスポット放送、横断幕、懸垂幕、屋外広告、ポスター、啓発物資の配布、こういうことで呼びかけを行いましたほか、市町村におきましては、チラシの全戸配布、広報車による宣伝、広報紙の配布。それから、民間団体でございます明るい選挙推進協会におきましても街頭啓発を行いましたほか、特に各事業所、デパート等に対しまして、社内放送、店内放送によりまして従業員に対する、あるいはお客さんに対する呼びかけを行ったという報告を得ております。
  78. 大川清幸

    ○大川清幸君 それらの運動はかなり大きいんですが、市町村までは結構ですが、県レベルでは通常の啓発費——自治省からも出ていると思いますが、啓発費、それはかなり上乗せした形になっているんですね。
  79. 大林勝臣

    政府委員(大林勝臣君) 千葉県の知事選挙でございますから、これは県の費用ということになるわけでありますけれども、従来は、大体知事選挙におきましては千五百万という啓発費を組んでおったようでありますが、今回、特に心配がありましたので、二百万ほど増額をいたしまして、千七百万の規模で啓発を行ったというふうに聞いております。
  80. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは、選挙のことはこの程度にいたしましょう。しかし、どうも一二%知事というのはどうしても私ひっかかりますのでね、これは何かの機会に一回検討をしてもらった方がいいのじゃないかと思いますが、まあ意見だけ申し上げておきます。  次に、市町村長さん、首長さんですが、これは自治省なり自治大臣が直接指導の権限なり何なりはないんですけれども。まあ一ころ、昭和四十七、八年ごろは、何か議員がずいぶん汚職をやったりして、留置場から当選したりして、茨城県や四国の方で問題になったりマスコミで騒がれたことがありますが、物事にはリズムがあるらしいんですけれども、最近どうも、週刊誌なんかでも取り上げられて、市町村長さんの不祥事件がいろいろ報道されています。収賄事件がこの記事だけでも十一、二件、それから酔っぱらって不行跡に及んだり、女性関係の問題が五件、選挙違反にかかわるものが四件、こういうようなことで、選挙違反等のことで裁判の結果がまだつかないでいるような首長さんもおられるようですし、それから石川県の珠洲の市長さんなんかは、お気の毒に、借金があり過ぎて市政に余り専念できなかったようなことで問題になっておりますが、これは直接には道府県の地方課等でそれなりに、行政がおくれないように指導なり何なり、必要があればなさっているのだろうと思いますけれどもね。これらのことについては、自治省の方にはそうしたことで報告か何か入っていますか、特に問題がないような状況でしょうか。聞いていないですか。
  81. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 市町村長さんの不祥事が発生をいたしておりますこと、まことに遺憾なことだと存じております。このことによって市町村のいろいろな行政に遅滞を生じておりまして、そういうことで問題がまた住民の方にもはね返るということで、大変これはゆゆしい問題だとは思っております。  ただいまお話がございましたが、市町村長のこういういろんな問題につきましては、お話しのように、府県で大体これを行っておりますので、自治省の方に報告が来るということはほとんどございません。特別に何か非常に大きいことが発生をして国と打ち合わせをしなきゃならぬということが起きればともかくとして、一般的には都道府県の中で全部処理しておるというのが実態でございます。
  82. 大川清幸

    ○大川清幸君 事務的にはそれでよろしいし、大体処理ができるのだろうと思いますけれども、こういうふうに一、二年の間に十数件も地方の長にかかわる不祥事件が起こることについては、これは地方自治にとってもきわめてゆゆしき問題だと思いますので、まあ個々のことについてはどうしようもないと言えばそれまでのことかもしれませんけれども、何か機会があったら、やっぱりこれは、国政選挙なんかではさんざんこの委員会でも倫理委員会等の問題も論議されたんですけれども、どこもこれは指導する立場にないというようなことになると問題ですから、知事会のときなんかに、あんまり不祥事が発生しないように注意を喚起するような措置をとってもらった方がいいんじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
  83. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 実は、最近そういうことが起こっておりまして、この二、三年の間に大変地方公共団体で汚職事件なども起きておりまして、五十四年の統計を見てみましても、実はその汚職事件の中の職員数が五十四年で二百四十人ほどございましたが、特別職の汚職というのが最近大変発生をいたしておりますしこれがいろいろ問題を起こしておりますので、私の方といたしましても、公共団体におけるそういう調査をここ二、三年実はいたしております。その調査をした結果を各公共団体に配付をいたします。そのときに、総務部長の会議なり何かのときに、こちらの方から、そういうことで住民の信託を受けている人たちが住民の批判を受けることがないようにということを十分注意しているわけでございます。
  84. 大川清幸

    ○大川清幸君 次に、もう一点だけ伺っておきますが、何か東京の小金井市の市長さんはおやめになる意思をきのうだか固めたようですから、この問題は一応落着すると私は思うんですけれども、臨時会の招集を要請されて、何か初めの段階では星野市長さんはすっきりした対応をなされないような報道が一昨日あったんです。これは、議会の招集に関する権限は御承知のとおり自治法の百一条、それから臨時会等については百二条の条項があるんですが、これは「招集しなければならない。」という規定だけで、臨時会の招集等については日限は特別に決めておられないようですけれども、これは要するに市町村長あるいは県知事さん、こうした立場の方々を擁護する精神からそうなっているのかなと思うんですけれども、まあ常識でいえばそんなにばかばかしく引っ張っておけば運営上問題になるので、そういうことは起こり得ないだろうと思いますけれども、今回の小金井の市長さんみたいなのがいますとまたまた物議を醸すので、その辺の法律の精神はどういうことになっているのでしょうか。
  85. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 実は、議会と執行部の関係というのは、そういうような問題が起きたときに、片っ方が招集をしないなどということを前提にして法律ができておりませんので、すべての人が善であるという前提に立って実は法律ができておるわけであります。そういう意味で、議員の方から招集の問題について長の方へ要請をするということがあれば、法律の規定に従って要請をすることになるわけでありますが、一般的には選挙が終わりましたら議会を開くのが通例でありますから、それを開かないでおくというのは余り例のないことでございまして、法律自身がそこまで、そういう悪いことをする人がいるということは実は考えながらつくるということはほとんどございませんので、通常常識どおり開かれるものだという前提で法律ができているわけでございます。
  86. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは、選挙関係その他、以上で結構です。  次に、先般行われました大臣所信表明に関連をして幾つか御質問を申し上げたいと思うんですが、大臣のこの所信表明、なかなか共鳴するところが多くて、私も感銘を受けているのですが、しかし、いろいろ実際の運営上から言うと、やっぱりかなり問題があるのではなかろうか、こう思うわけでございます。  大臣所信表明の中のお言葉で、「民主主義は健全な地方自治の基盤の上に成立するものと確信」するということで、以下、最近の社会経済の変化に伴い、「国民の価値観の変化」の進む中で、「住民の福祉の向上と地域社会の健全な発展を図るためには、長期的な展望のもとに行財政全般にわたり見直しを行い、地方自治の基盤の一層の充実を図る」必要があると、このように述べられておるわけでございまして、まことにこのとおりだと思うんですが、「新しい時代に即応した地方自治の確立」、そのための長期的な展望に立った行財政全般見直しということでございますが、この所信から言うと、幾つかの課題なり構想をお持ちになっておられるだろうと思いますし、また、将来への展望ということでありますから、事務当局にもそれなりの宿題でもお与えになったのかと思うんですが、その辺いかがですか。
  87. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) いま、具体的に宿題を与えているということは、まだいたしておりません。何せ私、就任いたしましてから大変当面の問題に追われておるのでございまして、各局長ともそんな問題について意思の交換を行って、将来の展望についての、また将来における自治行政のあり方なんかについての意見交換も十分いたしておらない現状でございます。予算が通りましたし、また、懸案の法案でも片づきましたならば、この点は十分私としては意思の交換を図って、今後における自治行政のあり方について論議をしてみたいと思っているわけでございます。  そこで、その第一点といたしまして、臨調答申のいかんはまだわかりませんけれども、とにかく従来の惰性でこれから自治行政をやるということは非常に困難になってくるのじゃないかと私は思っております。高度成長などというわけには、夢見るわけにはまいりませんし、財政が相当苦しい、そういう中において、これからの自治行政を進めていくという点に、従来の惰性によるあり方だけではこれは済まないのじゃないかという一つ考えを持っております。そこをどういうふうに能率的にやっていくかという問題もきわめて重要な問題だと思います。  それから、午前中も御質問がございましたが、地方時代とか田園都市構想とかというものもありますけれども。これはその方向にどうしても進めにゃいかぬと思うんです。しかし、それを進める手法につきましては、もちろん地方自治体考え方をひとつ変えてもらわにゃいかぬということは私はあると思います。率直に申しますと、いまの自治体の現状を見ますと、零細な金でもぜひ補助金をつけてくれというようなのがいまの自治体の現状だと思います。しかしこれも、財政が苦しいからそういう動きになることもやむを得ない面もありますけれども、もうちょっと自発的にやるような気構えというものが必要じゃないかと思いますが、これは各自治体の心構えの問題でございまするから、政策課題として取り上げるわけにはまいりませんけれども、そういうふうなことを促進をする。  あるいは国の政策においても、地方に活力を与えるような、それから大都市の問題になりますれば、環境の浄化、それからいろいろな懸案となっている問題、そいつを具体的にどういうふうに解決をしていくかという問題、これは自治省自体の問題から離れるかもしれませんけれども基本はそういう問題があるわけでございまするから、それに対応して自治省がどんな取り組み方をしていくかというふうな問題だって、やはり一つの見通しとしてはそのことを意識しながらやっぱり自治行政をやっていくということも大変大切じゃないかと思うのでございます。  そんな二、三点につきまして、私としては心の中にあるわけでございまするけれども、これは具体的にいまどうこういうことを指示をしたこともございませんが、繰り返して申し上げますけれども、国会が一段落いたしましたならば、そういうような点について自治省の内部のそれぞれの責任者とも意思の交換をしながら一つ方向というものを出していきたいものだと考えておるわけでございます。  特に、財政上の問題から来る臨調、それを政府がどう取り上げるか、これによって相当また問題としては当面取り組まにゃならぬ問題も出てくるかと思いますけれども、そういう結論を見ましてこれからやっていこうかと、こんなふうに思っているわけでございます。
  88. 大川清幸

    ○大川清幸君 本当に、これから惰性でやっては、いままでもそうですが、これからはなおさらできないだろうというのは同感でございまして、この所信表明の中でも、「国と地方公共団体との機能分担の適正化」を図るというようなことで御意見が述べられておりますが、このことは、御承知のとおり、十七次地方制度調査会答申でもまさに言っていることと一致するわけでございまして、抜本的にやるには、平素から論議されておりますように、行政事務の配分ですとか、経費負担の原則ですとか、あるいは財源配分等、これらから見直さないといけないことはよく私もわかるんですが、とりあえず従来から言われているもので比較的容易に手をつけられそうなものが幾つかあると思うんですよ。それは、たとえて言えば許認可事務の整理とか、それから国の出先機関、これの整理統合、ちょっといろいろ問題があるかと思うけれども、これも国側でやる気になれば手がつけられる問題ではなかろうか。それから地方事務制度の廃止、これは前から言われている問題で、とりあえずこの辺なんか、まあマクロで全部手がけるというと大変ですから、せっかくおやりになるのなら、この辺から着手をされたらいかがかなと、こう思うのですが、どうでしょうかね。
  89. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) まことにおっしゃられるとおりでございまして、もともと行政改革を行うというのはやはり国と地方公共団体の間の機能分担をどうするかということにかかっているのだと思います。  実は、もう御案内のとおり、第一次の地方制度調査会以来、行政事務の再配分の問題なりあるいは許認可事務の問題なり、おっしゃられました国庫補助金の整理の問題なり、いろんな点から実は議論してまいりましたが、なかなか物になりませんでした。特に、行政事務配分に至りましては、なかなか国の権限との調整がつかないということで、これも実現をしませんでした。国の出先機関の問題につきましても、四十五年のときの閣議決定がございますが、これも数年のうちに国の地方出先機関を廃止をするということを実は閣議決定をしておりましたが、これも実はだめになってしまいました。そういうことで、なかなか行政改革というのが進まないことは事実でございます。地方事務官につきましても三十年来言われてまいりましたが、これもなかなか関係省庁との間の権限配分の問題でこれも片づきませんでした。  言うならば、こういういままで片づかなかった問題が、今回の臨調の中で議論されて少しでも片づく方向に行くのなら、それは大変な私は進歩だと思っております。そういう意味で、自治省といたしましても積極的にこの臨調の中に取り組みをしまして、こういう問題が解決される方向へ向かいますように努力をしてまいりたいと存じます。
  90. 大川清幸

    ○大川清幸君 その方向で御努力願うんですが、臨調を待つことが従来の惰性を保護する一つの答弁みたいなことになることについては私は了解できないんですよ。ですから、臨調でどんな答申が出るかはさておいて、とりあえずできるものについては、これは関連の各省庁とも関係のあるものもありますけれども、やはりいろいろ行政仕組みなり事務レベルの技術的なことなりはおわかりになっているでしょうから、そういう立場から、この制度についてはこうあるべきだの案ぐらいは、地方公共団体に関係のある分野については至急検討をされて、成案みたいなものを持っていて闘われるようにしてもらいたいと私は思うんですけれども、その辺いかがですか。
  91. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) ただいま申し上げましたのは、自治省においてほとんどの案を持っているわけでございます。許認可事務につきましても、実はもうすでに行管庁の方へ百四十件にわたる許認可事務地方への移譲の議論をしておりましたし、地方事務官に関しましても、いち早く地方公務員にするようにということを実は申し上げているわけでして、一つ一つ実は問題を提起しながら私たちの方がしていただきたいことを十分申し上げているつもりです。  ちなみに、変な話でございますが、ただいま地方自治法の改正案について各省といろんな議論をしておりますが、実はこれ一つでさえも、前に進もうと思いましてもなかなか進まないのが現状であります。そういう点で大変私の方の力不足ということもございますが、事権限に関しますようなことが起きますと、やはり地方に対する権限移譲みたいな議論というのは大変むずかしい問題になってしまうわけであります。  そういうことで、今回の臨調がそういう意味では、おしかりをまた受けるかもしれませんが、一つのやはりネックを解消する方法だと思っておる点もあります。ですから、あらゆる機会を利用いたしまして、そういういろんな、地方からも出ている、あるいは六団体から出ている要望事項等もこれまたたくさんございます。そういうことを持ちながら、そういうところで少し議論をしていただいて、少しでも地方の方が自分の創意工夫で仕事ができるような方向へやはり持っていくように努力をしていきたいと思っております。
  92. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは次に、やはり大臣の御発言で、「地方自治の基盤の一層の充実」は先ほど御答弁のあったとおりでございまして、やはり地方財政の強化、これがどうしても欠かせない条件になるだろう、こう思うわけです。それで、先ほどから御答弁があって、いろいろ成案をお持ちになったりしても、比較的着手がしやすい問題でも、今日まで、まあ惰性と言えば惰性でそのまま持ち越されてきたという経緯があるわけで、ある意味ではまことに残念なんですが、地方財政の危機が叫ばれてもう七年ですか、になるわけで、やはり財政の不安定な状況を解消するということについてが第一の命題だろう、こう思うんです。  そういう立場から考えますと、交付税制度とか補助金行政、こういうような運営面から見ますと、言葉は悪いんですけれども大臣がさっき惰性と言ったから私その言葉を使うんですけれども、まさに大蔵省と自治省の間で、惰性で、今日までだらだら経過してきてしまったような感じもしますしね。というのは、たとえば本年の財政不足額の一兆三百億だって、これはあれでしょう、普通交付税の総額に対比すると一三・三%で一〇%を超えていますからね。五十年度からすれば、五二・何%とかというようなずっと悪い状況が続いてきて、五十六年度だけ見れば幾らかよくなってはいるけれども、やはりこれだって問題の率ですからね。これがもう何年来このままだらだらきたというようなことについては、まあそれなりの御努力をなさって、今度は交付税率を上げるような交渉も大蔵省となさったというようないきさつも仄聞していますけれども、こういうことを考えると、中央政府でもこれらの地方自治の養成というか、育成、自主権の確立については態度として問題があるのではなかろうかと思うし、先ほど大臣の御説明の中にもあったように、今度は地方公共団体側にも問題があったように思うんですけれども、今回はあれですか、やはり財源がないという国の方の財政の御都合で大蔵省に押し切られて、交付税率その他も一切いじらずに泣き寝入りをしたということですかな。
  93. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 昭和五十六年度の地方財政対策に当たりまして、地方財政の見通しを私どもいろいろな角度から検討したわけでございます。しかし、結果としては、いまお話のございましたように一兆三百億円の財源不足ということでございました。これはまさに地方交付税法六条の三の第二項に該当するということは私ども認識しておるわけでございます。そういったことで、交付税率の引き上げを含めていろいろと交渉したわけでございますが、いままさにおっしゃいましたような国の厳しい財政状況ということもございまして、まあ国も地方も厳しいわけでございますが、やはり地方の立場からのみ考えまして国から財源を移譲させるというには、やはり国と地方とが両輪となって行政を行っておる、それも考えざるを得ないわけでございますから、なかなかそう簡単にはまいらなかったわけでございます。そういったことから、私どもも決して根本的な方策とは思っておりませんが、暫定的な措置ではございますが、いろいろな方途を用いて交付税率の七・九%の伸びを確保するということになったわけでございます。  先ほど、惰性的にだらだらと財源不足を暫定的な措置で穴埋めをしておるじゃないかという御指摘に対しましては、私ども率直に申しまして歯がゆいのでございますけれども、本当に国全体がいまのような経済状態のもとで、そしてまたいまの行政水準を維持していく中ではなかなか簡単にまいらない点もございまして、まあやむなくこういった形になっておるわけでございます。しかし、おっしゃいますように、地方行政の今後のますます重要性ということを考えますと、何とかして早く健全性を回復したいと思っておるわけでございます。そういった意味では、基本的には国と地方との間で適切な機能分担と申しますか、事務配分をいたしまして、それに即して地方税源、あるいはまた地方交付税の安定的な確保ということを考えなければなりません。  しかし、いまのような状態のもとでなかなか簡単にはまいらないのでありますけれども、御承知のように、いま行政全体の見直しをやっていこうということで行革の機運が盛り上がっておるわけでございます。こういう時期にこそ、私ども全体としての、国、地方を通じてのいろいろな機能分担のあり方を見直して、その中で行政水準をにらみながら、どういった形で税財源の配分をするかということが当然議論されてまいると思います。そういう中で、私ども従来から申しております主張などを述べまして、できるだけ具体的な方策について財政健全化のための検討を進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  94. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 五十六年度の交付税の問題について、これは決して惰性でやったものじゃございませんで、もうせっぱ詰まった中において、自治省としては非常な努力をいたしまして、そしてああした結論を得たということでございます。もう緊急的な問題でございまして、予算編成のわずかの期間においてその点をどうするかということで、非常な努力をして結論を得たものでございまして、そうしたことが繰り返されないようにもう少し基本的な問題の仕組みをきちんとすべきじゃないかと思うのでございますが、先ほど来お話のございまするように、それぞれの各省の立場の固執というものがございまして、私が考えますればそんなことは問題ないじゃないかということが執拗に抵抗があるというのが現状でございます。そんなことでなかなか遅々として進まない。まことに歯がゆい限りではございますけれども、現状はそういうことでございます。  したがいまして、惰性でやるということは——そうした中においてもう最大の努力をしてやっておるのでありますが、そういうことじゃもういかぬのじゃないかということで、この際、総理大臣も思い切ってやると、こういうわけでございまするから、私どももそれに協力をして、その線が一歩なり二歩なり前進するようにと、こう思っていまいろいろと考えておるところでございます。決して交付税の問題はことしは惰性でやったものじゃないので、真剣勝負でやったことだけはもう一度申し上げておきます。
  95. 大川清幸

    ○大川清幸君 時間がなかったり、それから自治省としてそれなりに御努力をなさったことについては私は理解をいたしますが、今回の交付税を決めるについて、その交付税率のことでは大蔵省との間に具体的な論議はあったんですか。
  96. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 私も、就任早々でございましたけれども、二回ぐらい大蔵大臣とこの点については真剣に話し合いをいたしました。しかし、何にいたしましても大蔵省としては国家財政関係で応じかねると、こういうことで、それじゃひとつ緊急措置としていろいろな仕組み考えようということで結論を得たわけでございまして、決しておざなりなことではなかったのでございます。
  97. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは、そのときには、パーセンテージなんかの具体的な話まで折衝の中身にあったんですか。
  98. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 私ども財源不足の総額をにらみながら、率直に申し上げますが、五%増ということで交渉を始めました。
  99. 大川清幸

    ○大川清幸君 それで、今回政府提出した「地方財政の状況」、これは五十六年三月ですね、この中でも、やはり地方財政の状況についてはかなり精細に述べておりまして、三十兆八千百三十六億、中央政府分が十二兆八千二百二十一億円で、国民総支出における構成比、これが地方が一三・八%、前年とほぼ同じですか、それから中央政府が五・八%、前年より〇・二低くなっています。これはいわゆる地方政府地方公共団体というか、地方で支出する経費というのは家計支出に次ぐ大きさになっています。これはやはり地方政府の普通会計分は二十六兆九千七百五十四億円で、総支出の一二・一%ということで、これ、普通会計分見てもかなり大きな数字で、今後もこうした形というのは引き続き同じようなことになるだろうと思うので、国民経済に占める公的部門での地方の割合、やはり同じような状況で推移するだろうというふうに思われますので、地方行政需要というのは、見通しとしては、やはり今後も同じような考え方で見てよいのではなかろうかというふうに考えます。  一方、地方交付税だけで地方財政そのものが健全かどうかという判断をするには、そのほかにもいろいろ補助金やそのほかの起債もあったりして、それから、何といいますか、債務負担行為や何かがありますから、そんなものを考慮しなければ、本当に各地方公共団体の財政が健全かどうかという判断は、また別の次元からもできるのだろうと思うのですけれども、交付税制度だけに関して言うと、毎年こうした調整財源で調整をして、それなりの努力はなさっているんですが、不交付団体が市町村段階でも、恐らく三千幾つあるうちの四、五十程度で毎年推移してきていますね。こういう点から考えると、要するに自治省で行っている一つの方法、基準団体を想定して単位費用を決めたり、補正係数を決めて操作をなさっているんですが、これは従来はそれなりの地方公共団体の財政のでこぼこをならす効果ということについては、かなり効果的にやってきたし、これ、手法としては別にほかに名案がなかなかないと言えばないのだろうと思うんですけれども、いま申し上げたような不交付団体がきわめて少ないと、もう見る影がないほど少ないという状況からいうと、この基準団体の設定とか単位費用の決め方とか、補正係数の操作の仕方について、もう現実に実際合わないということになるのじゃないか。先ほどお話がありましたように、そういう点でも、地方行政の健全化等の考え方からすると、この辺も一回、この制度を抜本的に変えると言っても無理だと思いますけれども、何か今後の地方行財政を健全化していく上では抜本的に考えなきゃならない時期が来ているのじゃなかろうか。あるいは、基準団体の設定その他の条件が現実に合わな過ぎるのじゃないかというふうにも思うんですが、その辺についてはいかがでしょうかね。なかなか論議するには時間も足りないし、むずかしい問題なんだけれども
  100. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) お話のございましたように、国民総支出における公的支出の割合は地方政府の方が高いわけでございます。将来の展望を見ましても、やはりますます地方の責任の分野というものが広がってまいりますから、私はそういった形というものは今後とも続いていくだろうと思っております。そういった中で、安定した一般財源というものをどうしても確保していかなければならないわけでございますが、交付税制度そのものは地方税のほかにどうしても財源保障あるいは財源調整という意味で必要なものだと思っております。  いまの仕組みというものは、戦後地方財政平衡交付金から交付税制度へ変わり、いろいろな改善をしながら今日に来ておりまして、地方税、地方債、交付税、いろいろなこの仕組みというものは長い間の経緯を経て今日来ておるわけでございますから、私は重要な柱だと思っておるわけでございます、ただいまお話のございましたように、不交付団体の数が五十五年度で都道府県では東京都が一つだけ、市町村で六十五団体で、六十六団体となっております。五十三年度が五十、五十四年度が五十七、五十五年度が六十六ということで、ふえてはおるわけでございますが、全体として少ないということはお示しのとおりだと存じます。ただ、普通交付税の算定は、交付税法なり省令等の規定に従ってできる限り客観的な統計数値を用いまして、あるべき財政需要額あるいは財政収入額をもとに、私どもとしては的確に行ってきておるつもりでございます。  そういう形で来ておりますけれども、いまおっしゃいましたように非常に数が少ない、不交付団体がだんだん減っておるということは、だんだん交付団体になっておるというわけでございます。したがいまして、そこらのところをどういうふうにやったら少なくなるかということになってきますと——交付団体が少なくなって不交付団体成りをする方がいいという前提でおっしゃっておりますならば、むしろそこのところは私は基本的には地方税のいわばシェアが低下したと、そこに原因があるように思うのでございます。財政収入額についてことさらによけい見積もっておるわけでもございませんし、財政需要額は適正に見ておるつもりで、これを非常に大きく見ればますますこれは交付団体が多くなってくるわけでございます。なぜこういうふうになったかとなると、やっぱり基本にある地方税だけでは財源偏在がありますから、それだけではなかなか成り立たないわけでありますが、もう少しやっぱり地方税の比重が高くならなければいかぬのじゃないか。そこにやはり基本的には原因があると思われますので、地方独立税源としての地方税の充実強化ということは、今後の全体の国と地方との財源配分の中でやはり検討をしていかなければならない問題であろうと思っております。  もちろん、地方交付税そのものの中身につきましても、いろいろと社会経済情勢の変化に伴って合理化すべきところは私どもとしても努力していかなければならぬというふうに考えております。
  101. 大川清幸

    ○大川清幸君 交付税のことは、また後で法案が来るので、あんまり細かいところまでは御質問をしないつもりですが、しかし、気がかりになる話題は、行革に関連していろいろ報道が出されておりまして、地方交付金の削減——削減というふうに読めるか読めないか微妙な表現でもあると思うんですが、国側の財政硬直化の大きな原因にもなるというようなことで、交付税率の引き下げなり何なりを行ったらどうかという御意見も一部にあるようです。きょうの新聞にも報道されています。  ところで昨日ですか、衆議院の方の地方行政委員会で、大蔵大臣も御出席になった席上で御論議があって、この交付税のことについても、交付税率の引き下げについて前向きの御答弁だったんだか何だか新聞ではどっちにもとれるような記事が幾つも出ていますのでね。そのときの御論議はどんなふうだったんでしょうかね。
  102. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 大蔵大臣との質疑応答の中におきまして、新聞に載っておるのはちょっと間違った報道でございまして、大蔵大臣は、いろいろあらゆる問題を論議せにゃいかぬという中に交付税だってあり得るというような話があったのが、これが新聞記事になっておるわけでございますが、それは交付税率を引き下げるというようなことでの応答じゃなくして、いや交付税の問題だって、全部洗い直しをするとすれば論議の対象から外すという問題じゃないんだと、こういうような論議の過程においての発言でございますが、最終的には、やはり交付税というものは地方団体の共通の財源でもあるし、補助金なんかとはやっぱり違うんだなと、全然性質が違うものだという点の論議の過程において、認識は一層大蔵大臣としては深まったと私は見ております。それで、最終的には、交付税というものはそう手をつけられるものじゃないなというような感覚で委員会は終了したと私は思っております。
  103. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは、交付税はこの辺にしておきましょうか。どうせ法案が来たときにまたやる機会があるでしょう。  次に、地方財政政策について幾つかお伺いをいたしたいんですが、五十六年度財政不足額一兆三百億、五十四年度が四兆一千億ですし、五十五年度が二兆五百五十億でしたから、これで形の上だけ見ますと地方財政の状況は見通しがかなり明るくなっているのじゃないかと言う学者さんもいるんですけれども、先ほどから論議していますように、基本的ないろいろな制度仕組み等はそのまま今日まで持ち越されてきましたし、調査室などから出されている資料を見ても、地方財政が必ずしも先行き見通しが明るいというふうには読めないんですけれども、この辺に対する感触はどのように大臣お持ちなんですかね。
  104. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 詳しいことは財政局長から申し上げますけれども、私は決して好転していない、悪化しているのだという結論でございます。恐らくここ二、三年いたしますと、地方団体は非常な財政的な窮境に陥るのじゃないかと、こういうふうに思っております。この点については、私は各地方団体も十分認識してもらわにゃいかぬ。そして、その土壇場でなくて、いまからそれに対応するような態度をもってやってもらわにゃいかぬと、こういう危機感を持っております。
  105. 大川清幸

    ○大川清幸君 そこで、五十六年度の「地方財政の状況」の中で、最近の地方財政の動向と問題点ということですが、五十四年度の地方財政においては、都道府県で黒字に転換しているところ、これはそれなりに歳入でのいろいろな努力なども手伝っているんですけれども、しかし、この資料で見ますと、十四ページと十五ページに出ていますが、やはり地方公共団体側の借金というものは今後もずっとふえていく状態で、多額の借金を抱える状態が明らかにされているわけでございまして、今後の地方財政の圧迫要因に地方債というのがなるだろうというふうに言われております。  私がいただいた資料の中で、臨時なんかに関係した地方公共団体側の負担なんかで見ますと、地方側の負担というのは、新しい表と比較してみると、六十三年から六十六年あたりはこの表だけでももう倍ぐらい負担しなきゃならないようになりますな。国の方もこのときの負担大変なんですけれどもね。だから、国の財政事情でまた自治省と大蔵省の交渉で将来どうなるかという課題も残っていると思われますし、今後、五十七年度以降の起債がふえていくこともこれは明らかだと思うので、そういう点から見れば、この資料で提供されている、将来地方の借金の負担というのはやはり大きくなっていく傾向は避けられないし、地方財政の大きな圧迫要因になるだろうということは間違いないように思うんですね。この点についてはいかがでしょう。このとおりじゃないでしょうかね。見通しはどうなりますか。
  106. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 先ほどお話のございましたように、表面的な財源不足額は減ってまいっておりますが、普通会計における地方債の残高が五十五年度末で約二十九兆円ということでございます。ただいまお示しになりました交付税特別会計の借入残高が五十五年度末で約七兆七千億ということでございまして、基礎に大変な借金をしょっておるといったことになっておるわけでございます。そういったことで、たとえば交付税特別会計の借入金の償還につきましても、国が実質的には返還の際に二分の一を負担するという制度改正もやっておりますし、また五十六年度においては、償還費負担の平準化を図りますために、五十年度から五十二年度までの借入金の償還条件を変更いたしまして平準化して、負担がなるべく軽くなると申しますか、楽になるような手段もとったわけでございます。  しかしながら、いまお話のございましたように、八兆にも上るような交付税特会の借入金等は将来返していかなければならないわけでございまして、その償還額は相当なものになってまいります。交付税特会では、まあ六十五年ぐらいが一番ピークになると思いますけれども、そういったことで、かなりこれは地方財政運営にとっては影響するわけでこぎいます。私どもとしては、全般的な財政対策の中で、地方財政の運営が円滑にいくように、これはもう当然のこととして努力をするつもりでございますけれども、そういったことに対応できるように、地方財政の健全性といいますか、財政構造の健全化ということを図っていかなきゃならぬというふうに思っておるわけでございまして、お示しの点は、私どももそのように考えておるわけでございます。
  107. 大川清幸

    ○大川清幸君 そこで、部分的な問題ではあるかもしれませんが、地方債の計画的な活用ですね、この点ではやはりこの「地方財政の状況」の中でも、できるだけ良質な資金を提供できるようなことを考えるべきだろうというふうに報告されていますので、方向としてはぜひその方向で努力をしていただかなきゃならぬわけです。五十五年度と五十六年度で、まあこの政府資金との比率ですがね、これは御承知のとおり五十六年度の方が幾らかいいですから、それなりの御努力はなさったんだろうと思うんですけれども、この公債費の中のやはり良質化ということについては、もう少し努力をしていただけなかったんだろうかというような気がしますが、どうですか。
  108. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 五十六年度の地方債につきましては、御承知のとおり財源対策債をできるだけ縮減したいという方向で、五十五年度の一兆三百億円から六千九百億円に三千四百億円縮減したわけでございます。そういったこともございましたために、政府資金は五十五年度の四三・八%から四五・九%とそのシェアを高めておりますし、公庫資金も高まっておるわけでございます。ただ、五十年度ぐらいまで六〇%ぐらいあったということを考えますとまだ不足でございまして、そういったことからその民間資金と政府資金との間の利子の差額については国庫で見るという、いわゆる利差臨特ということで手当てをしておるわけでございますけれども、いま申し上げましたように、全体としてはまだかつてのところまで達していない。私どもとしては毎年これはできるだけ努力をしておるわけでございますが、何せ原資が足りないといったようなことでこういう状況になっております、そういうことは大蔵省もある意味では認めておりますがゆえに、利差臨特も出ておるというようなことでもございます。しかし、今後ともいまおっしゃいましたように良質な資金の獲得には努力しなければならぬと思っております。
  109. 大川清幸

    ○大川清幸君 それで、先ほどの問題にちょっと返って、交付税率の問題で、五%の折衝を大蔵省になさって、それなりの努力を本年なさったということについては了解いたしましたけれども、先ほどもちょっと触れたんですが、財界なんかでは下げるようなことを言っているんですが、制度的には地方譲与税だとか、そういう形みたいなことで何とか形を変えられた方が、まあ一回吸い上げて交付をしてくるから、財界の方々や何かもその辺の感触でこの地方交付税についてはお考えになっているのじゃなかろうかという、ちょっと心配もあるんですけれどもね。やはり地方の一般財源の重要なこれはファクターですからね。この点についてはちゃんとやはりはっきりしておかないとまずいのじゃなかろうか。今後もこのままだらだら地方交付税を減らせばいいんだなんという論議が進んじゃうと困るので、その辺をはっきりしておいてもらいたいと思うんですがな。
  110. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 交付税の性格をめぐって、実はきのうも議論があったわけでございますけれども、私どもとしては、たびたび申し上げておりますように、地方行政分担がこれは七割やっておるわけでございますから、それに対応する地方税があればいいわけなんですが、税源の偏在等もございますので、結果的に御承知のように国税三税の三二%ということで、これで財源保障と財源調整をやっておるということでございますから、私どもは、やはりこれは本来共通の地方の税である、こういうふうに認識しておるわけでございます。  ただいまおっしゃいましたように、国税三税というかっこうで一応入って、一般の歳出を通じて出ておるものでございますので、やはり国が支出する、交付するんだと、通常の補助金と同じようなものではないかといったような誤解が生ずるかもしれません。それについては性格論をめぐる論議の中で、かつて地方制度調査会等でもいろいろの議論もございまして、そういう誤解を受けるから、いっそもうこれは交付税特別会計へその三二%分は直入をして直接入れて、そして配ったらどうだという意見もございます。実は昨年の暮れの地方制度調査会答申でも、やはりそういったこと等についても考えたらどうかと、そこらをもう一回考える必要があるというような御答申もいただいておるわけでございます。  ただ、この問題は、長い間のいわば国と地方との税財源配分基本的なものでございますから、非常にそれぞれ意見があるわけでございまして、そこまではなかなか至っていないわけでございますけれども、私どもとしては、そういった論があるぐらいにこれは地方としても基本的に固有の財源だと私は思っておりますので、その点は今後ともあらゆる機会に主張してまいりたいと思っております。
  111. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) ちょっとつけ加えておきますが、それはいまのように従来の経過もありまして、これはもう一般会計に入れるから補助金並みに考えられる、だからこれは切り離して、三二%はすぐに特別会計に入れる方が、性質から言うと私はいいのだろうと思うのですが、これは自治省と大蔵省が長い間論争をしながら実現しないできているわけでございます。それから、交付税については、自治体固有の財源であるという考え方、きのうも論争が行われたわけでございまするが、大蔵省は絶対そうじゃないということで、これも対立したままで来ている。常にその議論は繰り返されている問題でございます。  しかしながら、それはそれとして、きのうも衆議院の地方行政委員会で申し上げたのでありますが、そういう論争はある、しかしながら、現実の問題としては、とにかく両者共同して、そして、地方自治が本当に窮境に陥らないように話し合いをつけながらきておるのだということできのうの衆議院の地方行政委員会は済んだわけでございますが、これはそういう論争は決してまだ解決はしておらないということだけは私も承知をしております。
  112. 大川清幸

    ○大川清幸君 多少まだ時間が残っていますから、交付税関係でちょっと一つだけ聞いておきますけれども、臨時の千三百億ですね、これ昨年とことしと偶然金額が同じなんですね。財政課長さんかなんかの御説明、去年とことしのを私、読み比べましたらね、余り変わっていないんですな。偶然こういう金額になったというお答えならそれてしょうがないですけれどもね。なかなかおもしろいですね、あれは。御説明がほとんど、多少どこか違うのかな、一言か二言活字が。これ計算の経過でこうなったということなんだと思うんですけれども、どうでしょうかね、これ。
  113. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) いろいろ経緯があるわけでございまして、この臨時特例交付金の千三百億相当部分というものは、これはまあ所得税において源泉分離課税を選択しておる者については住民税が課税されないということとか、その他全般的な地方財政の状況を勘案して決めるということでございまして、率直に申し上げまして、国の厳しい財政状況のもとでは、今回はこれはゼロにしてもらいたいというのが大蔵省の提案でございました。しかし、私どもとしては、いまの財政状況から見てとてもそれは無理であるし、同時にまた、五十五年度のようなわずか五%の交付税の伸びではとても処し切れないということで、国の厳しい財政状況はわかりますが、増額を図りたいということで臨時特例交付金を主張したわけでございまして、そういった経過の中でもろもろの情勢を判断して決められたという経緯がございますので、去年とことしがぴったり一致したのはこの理由であるという詳細にわたる説明はなかなかやりにくいわけでございますが、全般的な財政状況の中で交付税の総所要額を確保する、そういう中での一つ論議の結果決まったことでございます。
  114. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは最後に、毎年大蔵省からは国の財政収支試算というのが出されまして、これに対応して自治省の方でも地方財政収支試算を発表なさっておったんですが、本年はたまたま大蔵省から「財政の中期展望」というのが出ました。このことは断り書きにもありまして、この中期展望なる案は将来の予算編成を拘束しないということとか、それから五十六年度の財政事情の試算と基本的には変わらない、こういうようなことがついていますから、自治省から出ているあれは財政計画でしたか、試算でしたか、それで技術的には間に合うし、検討をする場合に私たちも別に不足はないんですけれども、従来の慣習から言うと、「財政の中期展望」が出たのですから、自治省側でも、これに対応する何らかの資料をおつくりになる考えがあるのかどうか。これは中期展望というのは何年かマクロでやらなきゃならないからちょっとむずかしいかなと思うんですが、どんなお考えでおりますか。
  115. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) お示しのございましたように、国において中期財政展望というものをつくったわけでございまして、私どももいつも、国の財政収支試算が出ますとそれと対応して地方財政収支試算というのをつくってきたわけでございますが、今回の国の中期展望のつくり方は、御承知のように、後年度負担額積み上げ方式ということでかなり積み上げてやっておられます。そういったものに対応していろいろと検討してみたのでございますけれども、御承知のように地方財政は三千数百の地方団体がそれぞれ自主的な判断に基づいて財政運営を行っているものでございますし、しかもまだ、交付税なり国庫支出金等国の財政と関連する面もきわめて多いわけでございます。したがいまして、国の計画との整合性を図りながら、このような多様な地方団体固有の施策を織り込んだ後年度負担額積み上げ方式によります地方財政収支試算をつくるということは、きわめて困難な要素が多いわけでございます。さらに、国において地方団体財政運営を拘束するような、そういった積み上げでやるとなりますと、かなり拘束する結果になってきます。そういった計画なり収支見通しをつくることは、基本的に問題があるのじゃないかといったような意見もございまして、まあ慎重に検討をしなければならないということでございまして、なかなか私どもとしても踏み切れない。そして、御承知のように、国の試算の中にもいろいろ調整額とかどうとかというふうなものがございまして、それがどうなっていくのかがわからなければ対応しにくいという面もございます。  しかし私どもとしては、いままで地方財政の運営に資する参考資料として収支試算をつくっておりましたので、何らかそういうものはつくるべきじゃないかということで、内々検討はしておるわけでございます。しかし、その準拠すべきものが七カ年計画あるいはそのフォローアップしたものとか、いろいろ経済審議会の企画委員会のもの等がございますが、どこをどうとっていけばいいのか、なかなか不明な点も多いわけでございますし、去年つくった後のいろんな経済なりその他もろもろの条件が変わっておるものですから、いささかその点で、世間に、こういうものでどうであろうかと申し上げるにはやや心配な点もございまして、なおいま検討中だという状況でございます。しかし、国のこの後年度負担積み上げ方式のようなものはちょっと無理じゃないかという感じがいたしております。
  116. 大川清幸

    ○大川清幸君 いま言ったような中身でおつくりになるのはむずかしいと思うんですけれども、やはり大蔵省側で中期見通しを出したことに関連して、何らかのものをおつくりになるんですか、ならないんですかということが一つです。  それから、いままでのような、試算みたいなものを単年度ずつお出しになって、このままでやられるのか。それはどうなんですか。
  117. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) まあ従来の収支試算方式で一定の、幾つかの前提を置いた場合に、たとえば昭和六十年ならどれぐらいになるかというようなものはつくりたいと思っておりますし、準備はいろいろやっておるわけでございますが、非常にその基礎になる前提の置き方が問題で、従来なら国の置いた前提と合わせてということでありましたが、方式がちょっと違うものですから、私ども独自で、こういうものを前提として、こうなればこうなるといったような見通しをつくるのが、まあ相当詰めてみないとちょっと心配があるので、議論はしておりますが、公表するようなところまで至っていないと、こういうことでございます。
  118. 大川清幸

    ○大川清幸君 時間残りましたが、これで終わります。
  119. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三分散会      —————・—————