○岩上二郎君 外国の場合は、すでに御案内であろうと思いますが、西ドイツでは
地方の文書館を含めて約八百ぐらいあると言われておりますし、フランスでは十八世紀フランス革命後、一七九〇年に国立公文書館をつくっておりますし、さらにほとんどフランス全土にわたって、全
市町村に文書館が建設されているわけでございますし、ドイツあるいはイギリス、オランダ、スウェーデン、アメリカ、ソ連を初めとして、いわゆる先進国と言われる国々、特に、人権
関係というものをきわめて大事にしなければならないという、国々の発生の歴史もありますけれ
ども、ほとんどこういう
行政資料の管理については重要な
行政の
一つとしてとらえている現状であります。特にフランスにおいては、職員の養成機関もありますし、いわゆるそういう文書士というものが至るところで活躍をしている現状であります、
時間がありませんので詳しく申し上げることもできませんが、
日本においてはどういう現状であるかというと、おくればせながら、昭和三十四年の十一月に
日本学術会議から勧告書が
提出されているわけでございまして、
政府はこれを受けて、公文書の散逸防止と一般利用のために、
総理府の附属機関として四十六年、できてからまだ十年そこそこというようなところでございましょうか、国立公文書館、これが設置されたわけでございますが、
地方においては非常に少ない現状であります。
国立公文書館の設置の実態を見ますと、確かによくやっていると私は見ておりますが、やはり図書館あるいは博物館、そしてこういう文書館、これが三つそろって初めて文化施設と言えると思うんですが、ところが、文書の整理等については全然、どう進めたらいいのかということについての配慮がないまま今日に至っている現状であります。図書館法では司書というものが置かれておりますし、さらに博物館においては学芸員というものが、それぞれの訓練を受けて配置されている現状であります。ところが、公文書館の場合は何にもない。きわめて不安定な身分の
関係で、十分な研究もできていないのが現状であります。フランスのように文書士というような
制度をつくってやる
考え方を私はその中にどうしても織り込んでいくためにも、この法律をおつくりになっていただく必要があるのではないかと、このように思うんです。
やはり
行政資料の収集、保存、
調査、こういうようなものを進めていくのには、いろんな経験が必要であります。地籍図なりあるいはマイクロフィルムなり磁気データの取り扱いの問題なり、あるいは古文書の読めるところまでやはり勉強さしていただく必要もあるわけでございますし、それからこういう
行政の
内容、あるいは情報工学、こういうようなものもある程度知っていただく、そういう職員の設置も必要であると、このように
考えるわけでございます。
すでにこの問題については学術会議の方から、四十四年の十一月の一日に勧告、これを受けて
政府ではようやく国立公文書館ができたわけでございますが、さらに昨年ですね、五十五年の五月十二日に文書館法の制定をされてはどうかと、このような
意見が強く出されているわけでございまして、その勧告は、
総理大臣初め各省
大臣あてに出されておるわけでございます。それを受けまして、その窓口は科学技術庁ですが、自治省と
総理府にこの所管省として決定をしてお願いをしたはずでございます。
私の調べたところによりますと、自治省とそれから
総理府がどういうふうに答えているかということを見ると、一番親切丁寧に答えているのが自治省でございます、どなたが答えたかは私はわかりませんが。その
内容を見ると、官公庁の
資料保存、これは
地方公共団体の自主的判断で推進されておりますが、自治省としてもできる限りの協力をしていきたいと、このように述べておられるわけでございます。したがって、自治省としてはやはり責任を痛感していると、このように私は見ております。
これは、いまは
地方の
時代と言われておる中でどう進めるかについては、いろいろの入り組んだ
行政、それをどう消化していくかということは、それぞれの県の知事の姿勢にもつながってくることでございますし、なかなかむずかしいと言ってしまえばむずかしいものであるかもしれません。これは博物館なりあるいは図書館などは教育
委員会であるとか、あるいは警察を抱えている場合にはこれは警察庁の管轄ではないだろうかとか、まあどうしたらいいのかということについて戸惑いを受けるであろうことは事実であろうと思いますが、やはりそれぞれの
地方の
行政文書を取り扱っている県の実態を見ると、それぞれ想をこらして十分にお互いに連絡をとり合いながらやっている現状でもあることを思うときに、やはりそれぞれの県の主体性に従って一日も早くこの
行政資料の収集、保存、
調査、こういうようなものをおやりになる必要があると、私はそのように思うんです。また、そういうものを指導するのが自治省ではないだろうか。それを指導をしないで、これは文部省であります、これは
総理府でありますということになると、なかなかこの
縦割り行政の中では思うように
行政指導が生まれないということも現実であると思うんです。
特に、最近は知る権利の問題あるいは情報公開法の制定を急ぐべきではないだろうか、こんなふうなことを言われる。しかし、その
行政資料を一体どう整理したらいいのか、どう分類したらいいのか、同和問題等々、ある民族的な
一つの具体的な
内容を抱えている
日本として、秘密はどう守ったらいいのか、どこまで公開したらいいのか、そういう判断さえもつきかねている中で、やはり住民の側から見れば、あるいは国民の側から見れば、知る権利、これを一日も早く指導する必要があるんじゃないかと、こういうふうな声だってないわけではないし、また、そういう声が強くなってくることも
一つの大きな歴史的な流れであろうと、このように思う。思えば思うほど、やはりその前提になる
資料というものをどう整理をしたらいいのかという問題を整理をすることなくして、ただ単にこの住民の意向を聞いてやりなさいよという指導だけでは真の指導とは言えないと、このように思いますので、私は、この
地方の実態をよく御存じの安孫子さんにぜひがんばっていただきまして、とかく逃げ腰の各官庁の姿勢を正していただいて、できる限り
行政資料の収集、保存のための公文書館の設置、これをぜひお願いしたい。
しかも、この声はもう
全国津々浦々に響き渡っている現状でございまして、やはりこういう隠れた
一つの運動
——選挙には
余り関係ないかもしれませんけれ
ども、やはり一番大事な問題、隠れている問題、しかも一番取り扱いにくい問題、それかといって民族文化の遺産としても一番大事に育てていかなければならない、こういうところに重点を置く、そういう
政治なり
行政のあり方が私は大事なことではないだろうかと思いますので、ぜひ安孫子
大臣にこの問題について積極的な姿勢をお示しいただきたい。われわれも及ばずながら側面から御協力を申し上げますし、また、
全国のこういう運動を
展開しているそれぞれの団体がたくさんございますが、バックアップをしていきたいと思いますので、特にひとつ
大臣の御所見を最後にいただきたいものと願ってやまない次第でございます。とうぞよろしくお願いいたします。