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1981-04-22 第94回国会 参議院 大蔵委員会、農林水産委員会、逓信委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月二十二日(水曜日)    午後一時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    大蔵委員会     委員長         中村 太郎君     理 事                 衛藤征士郎君                 嶋崎  均君                 藤井 裕久君                 穐山  篤君                 塩出 啓典君     委 員                 岩本 政光君                大河原太一郎君                 梶木 又三君                 片山 正英君                 河本嘉久蔵君                 塚田十一郎君                 藤井 孝男君                 多田 省吾君                 矢追 秀彦君                 近藤 忠孝君                 三治 重信君                 野末 陳平君    農林水産委員会     委員長         井上 吉夫君     理 事                 北  修二君                 坂元 親男君                 川村 清一君                 中野  明君     委 員                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 下条進一郎君                 鈴木 省吾君                 高木 正明君                 初村滝一郎君                 降矢 敬雄君                 宮田  輝君                 坂倉 藤吾君                 村沢  牧君                 山田  譲君                 下田 京子君                 栗林 卓司君                 喜屋武眞榮君    逓信委員会     委員長         福間 知之君     理 事                 長田 裕二君                 成相 善十君                 長谷川 信君                 大森  昭君     委 員                 小澤 太郎君                 亀井 久興君                 郡  祐一君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 高橋 圭三君                 西村 尚治君                 藤田  進君                 白木義一郎君                 山中 郁子君                 藤井 恒男君                 青島 幸男君    国務大臣        大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君        農林水産大臣   亀岡 高夫君        郵 政 大 臣  山内 一郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       中曽根康弘君    政府委員        行政管理庁行政        管理局長     佐倉  尚君        行政管理庁行政        監察局長     中  庄二君        臨時行政調査会        事務局次長    佐々木晴夫君        大蔵省主計局次        長        西垣  昭君        農林水産政務次        官        野呂田芳成君        農林水産省畜産        局長       森実 孝郎君        郵政政務次官   渡辺 紘三君        郵政大臣官房長  奥田 量三君        郵政省電気通信        政策局長     守住 有信君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君        常任委員会専門        員        竹中  譲君        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    説明員        日本電信電話公        社総裁      真藤  恒君        日本電信電話公        社営業局長    西井  昭君        日本電信電話公        社業務管理局長  稲見  保君        日本電信電話公        社計画局長    岩崎 昇三君        日本電信電話公        社経理局長    岩下  健君    参考人        日本中央競馬会        理事長      武田 誠三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政運営に必要な財源確保を図るための特別  措置に関する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————    〔大蔵委員長中村太郎委員長席に着く〕
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) これより大蔵委員会農林水産委員会逓信委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。     —————————————
  3. 中村太郎

    委員長中村太郎君) この際、お諮りいたします。  本審査のため、本連合審査会日本中央競馬会理事長武田誠三君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 中村太郎

    委員長中村太郎君) それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 川村清一

    川村清一君 私は、農林水産委員会を代表して質問をいたすものでございますので、したがいまして、農業サイドからを主体として質問をいたしたいと思っておるわけであります。  最初に、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、財政運営に必要な財源確保を図るために日本中央競馬会から五百億の特別納付金を収納するということでございますけれども、五十六年度の一般会計予算案を検討していましたところ、予算案には中央競馬会特別納付金は二百億、こういうことで計上されておるわけてあります。そこで、五百億と言いましてもすでに第二納付金から三百億を収納することをこれは見込まれていると思うわけでございます。中央競馬会予算書もちょっと見たわけでございますが、大体のところ中央競馬会といたしましても五十六年度におけるところの剰余金を大体六百億、こう見込んでおるようでございます。したがいまして、その剰余金から第二納付金というものは黙っておっても三百億は入ってくるわけであります。そこで、それに二百億足して五百億にしたいと、こういう腹で大蔵省予算を出されておるわけでありますが、私といたしましては大大蔵省が、渡辺大蔵大臣が、もうすでに三百億入ってくることが確定的なのにたった二百億をふやすためにわざわざ特別立法をするなんということははっきり言って少しみみっちいんではないか、こう考えるわけです。どうせ財源確保のためにやるというのであれば、中央競馬会はずいぶんたくさんお金を持っておりますから、五百億なんて言わないで一千億も一千五百億もこれは取られたらどうなんですか。たった二百億を上積みするためにこういう特別立法をするなんということはどうも私としては腑に落ちないわけです。この点ひとつ大蔵大臣からお考えをお聞かせいただきたいんです。
  7. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 確かに川村委員の御指摘のように、第二納付金は三百億円くらい入ってくるだろう。去年と同じぐらい行くとすれば三百五十億円ぐらいになるかもしれませんね、去年は三百四十八億入っておるわけですから。そうすれば百五十億が実質だということになる。しかし、これはやってみないことにはわからない。いずれにいたしましても、競馬会といたしましては第二納付金の積み立てはそれなりに必要があるから積んであるんで、そう何千億とか言われてもとてもできないということで話し合いをいたしました結果、ここらが限界だというようなことで、これをまとめて丸くして五百億ということにしたわけでございます。  そういたしますと、やっぱり法律が必要だと。法律がなければ二百億ぐらいは足りなくなるわけですねへ最初から予定できない。もう一つは、第二納付金の場合は後になってみないとわからぬわけですがね、最初予算に金が不足しているわけですから、最初からそういう予約がほしいと、そうなりますとやっぱり予算最初から余分に組むためには法律がどうしても必要だと。後からならばあるいはもっと入るかもわからない。やってみないことにはわからない。最初から予定するために法律をつくったと、こういうことでございます。
  8. 川村清一

    川村清一君 やってみなければわからぬし、そんなお金を要求しても日本中央競馬会としてはとても出せないというようなお話でございますが、それはやってみなければわからぬけれども、しかし、競馬というものは毎年やっているわけですから、したがって、競馬馬券売り上げの一五%は中央競馬会、そして一〇%は国庫納付金、そこで剰余金が出るとその剰余金の二分の一は国庫納付金。これは法律にちゃんと規定されているわけですから、毎年ふえてきておるのにこれが減るということはちょっと想像がつかないわけで、これはふえてくることは確かである。中央競馬会も六百億ぐらいは考えているわけですから、したがって、三百億はもう既定の財源ですから二百億上積みするだけなんです。わずか二百億ということは渡辺大蔵大臣の人柄からいって余りみみっちいのではないかというのが私の意見で、どうせお取りになるならば一千億ぐらい取られたらどうかということを申し上げているのですから、私の言っていることは決して間違いないと思っております。  それでは次に、農林大臣にお尋ねしますが、これは中央競馬会法という法律に基づいて中央競馬会を監督し、毎事業年度収入支出予算を認可し、さらに毎事業年度収支決算はもちろんのこと、すべての会計を監督する農林大臣という立場からいって、今度の法律に対してどういう御意見をお持ちになっておられますか。
  9. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 財政再建という至上命令に対処して、鈴木内閣が厳しい情勢の中で予算編成をすると、そうして公債を検討する。こういう基本姿勢のもとに各特殊法人等においての納付金ということもとにかく厳しい中ではあるけれども実行しよう、こういうことでございまして、ただいま大蔵の方からも話がありましたし、競馬会の方にもとにかく金が不足いたしまして競馬開催にも支障を来すというようなことであったんではこれは元も子もなくなる面も出てくるわけでありすから、やはり競馬会関係者の十分なる協力というものがありませんとこれはもう実現できませんので、理事長を初め馬主、調教師それから厩舎関係方々、騎手、そういう方々にも十分協力をいただくということで話し合いを申し上げたところ、国家財政厳しい折から協力をすることができますと、こういうことで第二納付金も含めて五百億、こういうことで話し合いに応じた次第でございます。
  10. 川村清一

    川村清一君 それでは今度は、きょう参考人として御出席をお願いいたしました中央競馬会理事長さんの御意見を承りたいと思うわけでありますが、このような経過で、ことしは第二納付金のほかにさらに二百億円を納付するということです。今度は取る方でなくて納付される方の立場から、中央競馬会理事長としてこれに対する御意見を承りたいと思います。
  11. 武田誠三

    参考人武田誠三君) 本年の私ども競馬執行上どの程度の第二国庫納付金といいますか、あるいは剰余金が出るかということをいままでの経過で考えてみますと、大体馬券売り上げが五%ぐらいいま伸びております。このままで大体推移をいたしますと、剰余金としては六百億ぐらいのものが出ようかと思っております。したがいまして、そのうち五百億をいわばお納めするわけでありますから、競馬会としても現在の特別積立金をまた上積みが多少出るかなというような感じでおるわけでございますが、私どもとしては、競馬会としての剰余が今後どういうふうに出ていくかわかりませんが、一つには、国庫への御協力も申し上げなければなりませんが、一つにはやはり競馬関係を維持していただいております厩舎関係、あるいは生産者関係、あるいはまたファンの関係にもでき得れば還元をする道が今後図られ得れば幸いだというように考えております。
  12. 川村清一

    川村清一君 お三方からいろいろ御意見を伺った次第でございます。  いま理事長さんのお話にもありましたように、剰余金大体六百億は見込まれておる、したがいまして、法律に基づいて第二国庫納付金として三百億入る予定になっておるところを二百億を国庫に納付するために——それでも百億というものは、これは完全に特別積立金の中に入ってくるわけであって、決して上がりではないわけです。三百億が、百億ただ積まされるということで、二百億は国の方に協力するということなんで、中央競馬会としては大した痛手はないと私は考えております。それから、いろいろ中央競馬会積立金問題等につきましてはまた後ほどお尋ねすることにいたします。  さて、私は冒頭申し上げましたように、農業立場から質問をいたしますので、農林水産省主体にしてお尋ねしたいと思うわけでありますが、言うまでもなく、御承知のように競馬法という法律がありまして、この競馬法中央競馬地方競馬組織運営並びに競馬による収益金使途等については明確に規定されておるわけであります。それで、この法律に基づいて中央競馬会というものが設立され、その中央競馬会の設立の趣旨でありますが、これは、中央競馬会法第一条に明確に規定されておりまして、「この法律は、競馬の健全な発展を図って馬の改良増殖その他畜産振興に寄与するため、競馬法」「により競馬を行う団体として設立される日本中央競馬会組織及び運営について定めるものとする。」と、こういうふうな規定があり、この中央競馬会法の第二十七条には、いわゆる勝馬投票券を発売する、そのうちの百分の十というものはこれを国庫納付金として国庫に納める、そして一五%でもって競馬運営する。こういうかっこうになっておるのであって、さらに剰余金規定があって、剰余金の二分の一に相当する金額を国庫に納める、これがいわゆる第二納付金というかっこうになっておるわけでございます。さらに第三十六条には、いわゆる国庫に納まったお金というものがどういうふうに使用されていくかというようなことが書かれておるわけでございます。  そこで、農林水産大臣にお尋ねするわけでありますが、この中央競馬会法の第一条の趣旨並びに第三十六条に規定されておりますところのその納付されたお金使途について、きちっと法律規定どおりなされておるかどうかということを具体的にひとつお示しいただきたい。
  13. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 最近までの国庫納付金推移を申し上げますと、五十六年は国庫納付金が千八百三十八億円、五十五年は千三百八十一億円となっております。そのうちの四分の三が畜産振興に充てるといったてまえで考えますと、それの相当額は五十六年が千三百七十九億円、五十五年が千三十六億円になります。  一方、国が畜産振興に関連して計上しております予算は、五十六年が千七百四十一億円、五十五年が千六百八十一億円となっておりまして、大体立法趣旨に即した予算の計上が行われているものと理解しております。
  14. 川村清一

    川村清一君 大蔵大臣にお尋ねしますが、渡辺大蔵大臣農林水産大臣も御経験なさった方でありますので、その方の行政についても通暁されております。  そこで、いま農林水産省からそういう御答弁がありましたが、競馬法規定によって四分の三は畜産振興に使う、四分の一は社会福祉向上のために使う、こういうふうになっておるんですが、そういうものをしかと頭において予算を編成されておられるかどうか、納付金というものはそういうものに使うんだということをしかと御存じの上で予算を編成されておられるかどうかをお尋ねします。
  15. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) そういうことは頭に入れてやっておるわけでございます。五十六年度の予算における日本中央競馬会法第二十七条の規定による国庫納付金の額は千八百三十九億円でございます。その四分の三は、つまり千三百七十九億円となりますし、四分の一は四百六十億円となります。  ところで、五十六年度予算に計上されている畜産振興に必要な経費は千七百四十一億円でございますから、四分の三の千三百七十九億円よりも多くなっているし、民間社会福祉事業に必要な経費三千九百二十一億円というようなことになっておりますから、いずれもそういう点では別に抵触はしてない、かように考えております。
  16. 川村清一

    川村清一君 森実局長、あなたが衆議院大蔵委員会でわが党の戸田委員質問に対してお答えしておるのがありますが、この中で——これは五十五年度の予算だと思います、大蔵大臣のいま言われたことは五十六年度の予算ではないかと思うんですが、五十五年度の予算で四分の三に当たるものは千三十六億円である、それから畜産振興予算は一千六百八十一億円である、こうおっしゃっておる。そうすると、畜産振興予算に一千六百八十一億円、これを使ったと、そして今度は競馬納付金の四分の三、千三十六億円、これは上回っていることは事実ですわ。上回っていることは事実ですが、これをちょっと引き算やってみましたら六百四十五億円なんです。  そこで、農林大臣に私はお尋ねしたいのは、畜産局のいわゆる畜産予算畜産振興のための予算の千六百八十一億円のうち千三十六億円、これが競馬納付金であると。そうすると一般の方からはわずか六百四十五億円しか出ていないと、こういうことですね。大蔵大臣もこれはおわかりですね。そうすると、巷間競馬ギャンブルだ、公営ギャンブルだとずいぶん言われておる。しかし私はこれはギャンブルとは思わない。それはある程度ギャンブルですけれども、私はギャンブルでもいわゆるボート競走だとか競輪ですか、あれと同列のものではないというそういう感覚の上に立って言っているんですがね。そこで一体農林水産省畜産というものは、畜産予算というものは、馬を走らせてそしてもうけたお金畜産行政をやっているのかとこう言われても、いやいやそんなことはないと言われるんでしょう。そこで重ねてお聞きしたいんですが、いま農林水産省畜産行政主体は何か、相手の家畜は何か。これは牛と豚と鶏なんです。したがって生産品は肉と乳と卵なんです。これは日本人の大事な食糧ですからそれは当然であっていいんですよ。いいんですけれども、その金をかせいでいるのは馬なんですよ。馬にかせがせて、馬でかせいだ金を牛と豚と鶏に使っておると。この辺はちょっと腑に落ちないんですが、この辺をあなたちょっと説明してくれませんか。
  17. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) まことに川村委員の事実関係は御指摘のとおりと私も日ごろ思っております。私のところでも競馬用の馬を生産しておる農家がたくさんおります。この牛や鶏や豚にだけ畜産予算を使っているわけでございませんで、やっぱり軽種馬等振興にもいろいろと施策をめぐらせておるわけでございます。一例を申し上げますと、優良な軽種馬生産助長策として中央競馬会等を通じて優良種雄馬を購入をして生産地に配付する事業、あるいは国内産馬活用促進策としては競走馬妊娠馬の輸入に対する関税の緩和措置、それから競馬施行面における内国産馬の優遇措置等を講じております。もう一つは、軽種馬生産農家に対する融資対策として昭和五十五年度から新たに農林漁業金融公庫資金及び農業者年金基金農地等買い入れ資金融通円滑化を図っておるということで、馬でかせがせてもらっておる割合からすればあるいは微々たるものかもしれませんけれども、一応日本のこれだけの競馬を施行するに足る十分な競走馬生産に足る対策は講じられておると、こんなふうに考えておるわけでございます。
  18. 川村清一

    川村清一君 御承知だと思うのですが、私は北海道の日高から出ているんで、この日高に私の自宅があるわけで、それで日高産業の最大の柱は軽種馬産業なんです。後でまたよくお話しますがね。そこで、これまでずっと農林水産委員会に所属しておるものですから、もちろん畜産の問題としてはこれは酪農の問題、あるいは肉の問題あるいは卵の問題でずいぶんやってきた。当然なんです。しかし余り馬に何も構わぬから、馬は一体畜産対象外なのかということで、一体農政上馬の位置というものは、軽種馬産業というものはどうなんだということをずいぶん質問してきているんです。  たとえば昔は——戦争後こうなったんで、戦前はこれは御承知のようにそれは軍隊の軍馬ね、軍馬生産軍馬馬匹改良、それから農耕馬、りっぱな農耕馬をつくるということで、わが日高には私の町に農林省の種馬牧場があり、現在はそれは牛になって種畜牧場になった。それから中央部にはいわゆる皇室の財産である御料牧場があり、とにかく馬というものがずいぶん強く重く見られておったんですが、その後畜産行政というものが、時代の変転とともに先ほどから申し上げたような状態になっておる。しかしこういう過去の歴史の上から言って、いま一生懸命になって強い馬、よい馬、たくましい馬、そして外国の国際的な競馬にも通用する馬をつくらんければならぬといって一生懸命やっておる生産者に対して何もない。いま大臣がおっしゃった、それは種雄馬——いわゆる種牡馬、これを外国から二頭入れる、たった二頭ですよ。それも言って言ってようやく昭和五十四年、五十五年に外国産は——内国産のはもちろん中央競馬会が買っていますが、中央競馬会が二頭買って、それでこれを全国に配付しているというようなこういう状態。  それから融資の問題も、公庫お金を借りることができるようになったのは、これもおととしからだと思うのだ、大臣。五十四年、五十五年から始まったんです。それまでは牛や豚には幾らでも助成をしているけれども、馬に対しては何にも助成をしていない。それで農家人たちはこれを強く訴えられるんで、それを代弁して私はずいぶん国会でもやってきたけれども、全然顧みられないで今日に来たというのがこれが一つの歴史的な経緯なんですよ。やってますなんて言ったって、それはやっているのはおととしからです、五十四年と五十五年。公庫お金を借りるようになったのは五十四年と五十五年だ。こういうことなんですよ。そこでまだ馬に対して何かやっているか、これは畜産局長からひとつ何かあったら具体的につけ加えてください。
  19. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 馬の生産に関する支出は、実は中央競馬会自体支出しております支出と、それから国が支出しております事業とが二つあるわけでございます。  中央競馬会のラインといたしましては、いわゆる競走馬確保するための優良種雄馬の供給の問題とかあるいは育成の条件整備とか市場施設整備、さらに賞金等を通じて生産者に対する賞金交付等を行っているわけでございます。国といたしましては従来から実施しておりますのは、基本的には指導方針としては、需給の均衡ということが一番やはり馬についても重要な課題になっておりまして、その点の指導には努めておりますが、制度として実施しておりますのは、先ほど大臣も申し上げました関税の賦課による外国産馬からの保護の問題、それから団体営の草地改良事業の実施、それから特定の家畜に限定しているわけではございませんけれども、種畜検査、これは外馬も大きなウエートを持っております。それから伝染病の予防、蔓延の防止のための施策、さらに馬に固有の問題としては伝貧の試験研究等を実施しているわけでございます。  金融といたしましては、先ほど大臣から申し上げましたように、五十五年から農林漁業金融公庫資金を馬の生産農家に全面的に適用すると同時に、近代化資金についても繁殖雌馬の購入等は対象として実施をすることになっているわけでございます。しかし、金額としてどれだけかと言われますと、それぞれの費目の中に馬の生産農家も対象になっているということでございまして、率直に申し上げまして国の一般会計としてそう馬に固有の予算をたくさんつけているわけでないということは否定できないだろうと思います。
  20. 川村清一

    川村清一君 馬にたくさん予算をつけてくれと言うんでなくて、牛、豚並みとも言いませんわ。言いませんけれども、それに相当するぐらいのね、ということは私も外国ずっと歩いてみまして、昨年ニュージーランドの国会の議長の御招待をいただいて自民党の藤井先生なんかと一緒にずっと行ってきたんですが、オーストラリアなんか行っても、それからニュージーランドへ行っても競馬というものは非常に盛んですわね。ヨーロッパへ行ってイギリスはもちろんのこと、フランスでもどこでも競馬のない国はないんですよ。社会主義の国でも競馬全然やってない国は、私のあれで言うと中国ぐらいであって、あとはどこの国でも競馬——ただシステムが違いますけれども競馬をやっている。したがって競馬というものは、いままさに健全な国民娯楽として、まあシステムは問題ありますよ、これは時間あれば後から言いますが、競馬そのものは健全娯楽であると思っております。  そこで、中央競馬会理事長にお尋ねしますが、中央競馬会として馬を育成強化する、よい馬をつくるための一つ事業、それから馬を生産する地域に対するいろんな助成事業、こういうようなことは中央競馬会事業の中にありますかどうか、あったらお聞かせいただきたい。
  21. 武田誠三

    参考人武田誠三君) 私どもとしてはやはり日本国内産馬が、優秀な馬が数多く生産されることが即競馬のためにもプラスになることでありますので、一昨年来強い馬をつくるためにはどういうことをしたらいいかということで学識経験者にお集まりいただきまして、そのためのいろいろ対策を検討していただいたわけであります。  で、私どもとしては馬産、特に軽種馬生産についてどういう形で御援助を申し上げるかということになれば、やはり農林省の馬に関する行政、それに即応した形でこれを実施していくということになろうかと思います。  で、現在やっておりますことは、いま畜産局長からもお話がございましたが、種牡馬の輸入でございますとかあるいは育成牧場のための、設置のための一部御援助を申し上げたこともございますし、生産農家の牝馬の整理のためにこれに伴います利子補給といったことを、先生御承知のようなことをやってまいっております。で、今後とも農政当局等の御指導を得ながら、その線に沿ってできるだけの可能な援助は加えてまいりたいというように思っております。
  22. 川村清一

    川村清一君 やっぱり農政当局がいわゆる中央競馬会の監督権、指揮監督、これを持っているわけですから、やっぱり農政当局の政策が中央競馬会事業運営につながっていくわけですから、そういう立場中央競馬会をひとつ指導していただきたいというのが私の意見なんです。願いなんです。  それを具体的に申し上げます。申しますと、第一に、何と言ったって種牡馬種馬です。これは御案内のように、競走馬というものは常に種を更新しいい種を植えて、そうして馬をつくっていかなければならないんであって、そのためには、外国の優秀な種馬の輸入というものが避けられないことなんです。ところが、これは中央競馬会は五十四年からやられておりますけれども、わずか二頭なんです。十億ぐらいの予算なんです。で、わずか二頭なんです。それでこの二頭を輸入したものを、これを全国の軽種馬協会に預託して、預けてそれで軽種馬協会の支部でもってそれを種馬に使っているわけですが、まあ私の地域の話をしてちょっとあれですけれども、全国の生産馬の七三%を日高が出しているんです。それで大体日高にはサラブレッドの繁殖牝馬が八千七百頭、アラブの繁殖牝馬が三千頭あるわけです。これに対して中央競馬会が預託している種馬というのは五頭ぐらいしかないわけですね。やっぱり全国にこれを配置するからそういうことになるんですが、これではとてもやっていけない。そこでどうしているかというと、これは畜産局長もよく御存じだと思いますが、生産農家がシンジケートをつくって、そして自分でもって一頭四億円だ、五億円だという馬を買ってきて、そうしてそれでもって種つけをやっているわけですが、交配料というものが非常に高くなるわけですね。そういうような点があるので、何とか種馬の輸入をもっとふやす。それはお金がないというならしようがないけれども、これは私も中央競馬会予算書をずっとこう見たところが、結構お金あるわけですよ。だから、もっとそれを強くやっていただきたいというのが私の第一の訴えなんですが、これに対して局長、どういうお考えですか。
  23. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) ただいま御指摘のように、確かに日高地方に七五%の馬の生産農家が集中している事実があります。また、私ども調べてみますと、やはり軽種馬協会から供与している種馬日高地方で九頭しかないわけでございます。全体の五十四頭の中では生産農家の比率から見るとはるかに低いという事実もございます。  私どもやはり基本的には、優秀な国内産馬生産育成を図っていくためには、優良な種雄の導入と積極的に取り組む必要があると思っております。中央競馬会も現在この方向で前向きに御検討中であると伺っておりますので、私どもも十分状況を見ながら種牡馬の供給をより潤沢にする方向で、また地域的なでこぼこがなくなるように十分配慮していきたいと思っております。  確かに先生御指摘のように、種つけ料が民間所有の場合、シンジケート所有の場合に比べて、この供給種牡馬による場合ははるかに安くて、コストが安いという実態がありますので、そういう点も十分考慮していかなければならないだろうと思っております。
  24. 川村清一

    川村清一君 私の言った数字とあなたの答えた数字が若干違いますが、私の言っているのは、外国産の種牡馬を言っているんであって内国産を入れているわけじゃないので、そこを間違えないようにひとつ……。したがって年に二頭というのは、これは外国産を言っているので、中央競馬会がこの内国産の馬も買っていることも十分承知していますが、シンジケートをつくってやっているのは何も内国産の馬をやっているんでなくて外国産の馬をやって、そして高い交配料を払ってやっているということで、そういうようなのが積み重なって、わが地域の生産農家の経営というものは非常に困難をきわめているわけです。  それで、これは農林当局の非常に力をかりたわけでありますが、過剰生産になったもんですから、そこで繁殖牝馬を淘汰するということで約一千頭淘汰しました。そのときに二十億のこれは信連のプロパーのお金を借りてやったわけですが、それに対する利子補給等につきましては国のいろいろなめんどう見ていただいたことは承知しているんですが、そういうような面で何とか農家の負債整理、いま日高の場合千五百十二牧場がある、それで、そこで三百八十五億二千九百万円の借金がある。一頭当たり二千三百六十九万円の負債を背負っておる。なぜそれはそんなに負債ができたかというと、今日のこの競馬を支えるために、競馬でどんどん益金が上がっているけれども、走る馬がなかったら競馬できないわけですから、競馬を支えているものは生産者が馬を生産して出すから競馬が行われているんであって、その競馬を支えるために軽種馬の輸入であるとか、付設設備、機材、土地等の購入のために莫大な投資をしておる、借金をしておる。ほとんどが短期であって高金利である。これが一番つらいわけです。ですから、今後何とか牛にやるように、豚にもやるように、畜産行政の中にこれも一枚加えて、同じような融資あるいは利子補給といったような問題について努力してもらいたいというのが私の要望ですが、いかがですか。
  25. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 実は、昭和五十五年から農林漁業金融公庫資金を全面的に馬の生産農家に適用することにいたしましたのもそういう理由も一つあってのことでございます。しかし状況がなかなか苦しい。特に比較的短期のわりあいに金利の高い借金が多いということは私どもも調査でわかっております。そこで、現在一月から中央畜産会が経営実態について調査を進めております。固定負債の調査、経営収支の調査等が終わりましたところで十分実態を判断して必要な対策を要するものであれば考えていきたい、調査の結果を待って判断したいと思っております。
  26. 川村清一

    川村清一君 そういうようなことで調査することは結構ですから、これは実態なんですから。私の言っていることは、畜産行政の中に入れてほかの家畜と同じように十分その点については考えてくれということなんです、それ以上にしてくれなんていうことを言っているんじゃなくて。大体畜産行政の中から外れているんですよ。畜産局へ行ったって馬やっている課ないんですよ、競馬監督課というのがあるだけで。そうでしょう、何もないんだから。そのことを私は言っているんですよ。  次に、流通の問題についてちょっと意見を聞きたいんですがね。生産地で馬が売れて流通していくわけですが、庭先販売というやつ、庭先で取引するのと公設の市場でやるのと二つあるわけですよ。せっかく公設市場があるにもかかわらず公設市場のいわゆる競りにかけないで庭先でもって取引するのが大体七割あるわけです。これは非常に不公正な取引でないか。こういうようなことからいろんなトラブルがやっぱり発生するわけですよ。ですから、農林水産省としては厳しくこれを監督し、馬の生産地における取引は市場取引をあくまでも主体とする。庭先取引というものをなくするように努力してもらいたい。庭先取引をするといろんなトラブル、これは大蔵大臣にも関係することですが、いわゆる税務上の問題がいろいろ出てくるわけですよ。同じ売る方と買う方、買う方が税金の問題いろいろとありますから、いろんな問題があるわけですね。それからその中にある調教師なり家畜商、本来的に言えば、法律的に言えば調教師が馬を買ったりなんかすることはできないが、実際問題として私が仮に金をもうけて馬を買うたって馬なんかわからぬから、そこで経験豊かな馬に詳しい調教師に頼む、調教師が見ればわかるわけですから。ところが調教師はそういう仕事はできないことになっている。そうでしょう。ところが実際の問題としては調教師が行って買う。家畜商的な仕事もやる。そこで今度は売った人と買った人と中に入っている人と、こういう中でいろんな問題が起きるわけです。したがって公正を期し適正な価格、大した馬でないものを買ってきて、そうしてだまかして売るとかこういうようなことがないように、適正な価格で公正な取引ができるように市場取引を主体としてやる。法律的には主体であっても実際はそうでないけれども、本当に現実の問題として庭先取引をやめさせるような方向に指導してもらいたいというのが私の希望ですが、これに対する御意見を聞きたい。
  27. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 率直に申しまして、軽種馬の市場取引の比率は、実は先生が御指摘よりももう少し低いんじゃないかと思っております。全体として見ればやはり市場取引を伸ばしていくための助長策は私ども重要なことだろうと思っております。  そういう意味で、従来からも市場取引で買った馬が入賞した場合の奨励賞の授与ということをやったり、あるいは市場取引馬だけの競争の編成ということもやっていただいてきているわけでございますし、また競馬会が購入するいわゆる抽せん馬の育成馬等も市場で購入する。さらに産地の市場施設整備等の助成等の措置競馬会を通じてやってきたわけでございます。やはり基本的なラインとしてはこの市場取引を育成することが重要であろうと思っておりますので、これに対する優遇ということはいろいろな面でこれからも継続したいし、強化していく必要があるのではないかと思っております。
  28. 川村清一

    川村清一君 ぜひそれを強く進めていただきたい。  そこで中央競馬会理事長さんにちょっとお尋ねしますが、いま中央競馬会がこういう競馬施設をつくるわけですが、たとえば美浦のトレーニングセンターであるとか栗東のトレーニングセンターなんていうものの設備は、これはもう非常にりっぱなものだと聞いております。諸外国に比しても遜色のないような設備である。さらに今度は競馬場ですが、競馬場の施設も、私は中山の競馬場へただ一回行ったきりであとはわかりませんが、東京競馬場であろうと中山競馬場その他の地方の競馬場あたりも非常にりっぱであって、スタンドなんかの設備は諸外国に比べても何ら遜色ないと、こういうふうに言われております。ただ地方の競馬市場、これは非常に設備が悪いということを聞いておるんですが、それが事実ならば、市場取引を主体とするとするならば、市場取引をするその市場の設備をもっとしっかりやってもらいたいということが一つ。  それから、馬というのはわれわれ素人にはなかなかわからないんであって、私も競り市に二、三度行きましたが、競り市をやっているそこでは全部馬の名簿がありまして馬の血統を全部書いてあるわけですね。ところが各市場でそういう仕事をするんではなくて、馬全体をコンピューターシステムに入れる。そうすると、たとえばまあ有名な私の好きな馬ハイセイコーならハイセイコーというのがある。これをひとつコンピューターにきちっと入れてやってボタンを押すというと、この父は何であって母は何であって、じいさんが何ではあさんがどうで、その前の出がどうでどうだということが全部わかるんですね。いまのところはその市場市場でわかるけれども全国ではわからない。そこでそういうことが明確になっていないから、たまたま家畜商やそういう人にだまされて余り走らない馬を大した金を出して買うと、こういうことになるわけなんですね。そういうようなシステム、いまもうすべてコンピューターでやるような時代になったんで、われわれは絶対反対だけれども国民背番号なんて、国民に全部番号つけてやるなんて、これは大蔵大臣は大賛成だと思うんですけれども、そういうことには反対だけれども馬なら別段いいんではないですか。そういうことになれば全部これは明確にわかるわけで、中央競馬会理事長としてそういうことをやられる意思があるかどうかひとつお聞かせいただきたいと思います。
  29. 武田誠三

    参考人武田誠三君) 馬の取引のための市場施設についてでございますが、これはできるだけ近代化をし、りっぱなものにするという現地での御計画があれば、それについて検討し助成を進めるということについてはやぶさかではございません。  それから、いまの馬の背番号制みたいな全体としての軽種馬についての資料の整備でありますが、これは私どももその点に欠陥があることを感じておりまして、日本の馬の取引を適正化する、またいい馬をつくっていくということのためにはぜひ必要であると考えておりまして、その点についてはこれを実現すべくいま検討中でございます。
  30. 川村清一

    川村清一君 ぜひそれをお願いしたいと思うんです。  それで、そういうことをすればとてもお金がないんだというようなことをおっしゃるかもしれませんが、私がいただいたこれは大蔵省の資料なんですがね。積立金ですね。積立金が驚くなかれ二千九百億でしたかな、そのくらいあるんですね。そしてその予算の中で利息の収入が六十五億かあるんですが、そんなにお金あるんですか。利息収入が六十五億くらいあるんですが、そのくらいのお金があるというんなら、やるなら幾らでもできる。  そこで私は、最後にひとつもう少し、中央競馬会のやることにけちをつけるというわけじゃないんですが、お金があるわけですからもっとやってもらいたいことはどういうことかというと、競馬というものは、私が言うまでもなくまず馬がある、競馬ですから馬がある。それと馬をつくる生産者がある、生産者の努力によっていい馬ができる。いい馬が走ることによって競馬は栄えるということ、ファンにこたえることができるということ。その次にその馬を持っている馬主がいるということ。その次にその馬をいろいろ走らせるように調教する調教師がいるということ。それで馬に乗って走らせる騎手がいるということ。そしてその走る馬のように、ちょうど競馬のときにコンディションよく走れるような状態にするために一生懸命縁の下の力持ちで働いている厩務員という者がいる。この五つが一体となって、そうしてよい競馬をやるように努力することによって本当のよい競馬、健全なる競馬というものがぼくは発展すると思うんです。  私は一番こっち側の馬を生産する生産農家の話に主力を置いてやってきたんですけれども、この五つの中で一番恵まれない立場の人が、最後に言った五つ目の厩務員です。厩務員というのは、これは調教師との間に雇用を結んでいるわけですね。ところが、調教師そのものがそれは大きな調教師、小さな調教師、たとえば有名な尾形厩舎のように馬房をいま幾つ持っているか知りませんが、まあ四十ぐらいも持っているんではないですか。そしていい馬が入っているんではないですか。そういういい厩舎から走った馬がたとえばダービーで優勝した、有馬記念で優勝した、あるいは天皇賞を取ったといったようなことになれば賞金ががさっと入る。賞金ががさっと入ればそのうちの一〇%は調教師がもらう、騎手も五%いただく、厩務員も五%いただく、馬主は八〇%いただく、こういうような仕組みになっているわけでしょう。ところが、どの調教師厩舎にいる馬もみんなそういうことではないわけですから、したがっていいところで働いている厩務員はいいけれども、余りお金の潤沢でない、入ってこないような調教師のもとで働いている方々は大変これは不遇なわけだ。そこで彼らも厩務員でもって労働組合をつくって、そうして団体交渉をやるわけだ。しかし、雇い主の調教師はそれだけの力がないんだ、力がない。そこで春闘でもってストライキをぶつ。そのために仮に天皇賞の大レースが行われないというようなことになったら大変だから、そこで本来的に言えば雇用関係にないところの馬主が馬主会から金を出して、そして何とかそれをまあまあと言って抑える。若干中央競馬会からも出てきてこうやる。したがって、厩務員の労働条件、雇用関係というものが非常にまずいんだが、そこで農林省でもいいし、中央競馬会でもいいですが、厩務員という者の労働条件、一体給与はどのくらいなのか、初任給がどのくらいで最高がどのくらいで平均でどのくらいなのか。勤務時間は——これはもう私は馬のことよく知っている。必ず朝四時に起きるんだから、あの牧場で働いている牧者さんなんかみんな朝四時に起きるんだから。四時に起きて一日の労働をやって、そして夜になって休むということなんだ、非常に厳しい労働をやっている。この厩務員に対する手当とか、そういうものは一体どうなっているのか。これは日本中央競馬会もこの厩務員に対する待遇というものをどう考えてどういうようなことをやっているのか。  それで、最後に私が申し上げたいのは、この厩務員の労働関係をきちっとするために調教師との間の雇用を結ぶんではなくて、中央競馬会との関係の雇用関係を結ぶ。団体交渉でもって調教師方々——もちろん組合的なものがあるんでしょうが、それ言ったって当事者能力がないわけですから、一番大きな中央競馬会がこれを抱え込んで、中央競馬会の職員として中央競馬会と団交するというかっこうにすることによって、厩務員の身分というものは一番確立されるものと私は思っておるんですが、いまちょっといろんなことを申し上げましたが、それを整理してひとつ御答弁いただきたい。
  31. 武田誠三

    参考人武田誠三君) 厩務員は御承知のように、調教師に雇用されて調教師の考えるような形で馬を調教するということに従事しているわけでございますから、そこに各調教師の考え方、技術としての特殊性が出てまいりますので、中央競馬会が厩務員を雇うということになりますと、これはきわめて画一的なふうになってしまいますし、いまの関係が非常に崩れておかしな形になると思います。私どもとしてはいまの調教師と厩務員との間の雇用関係がより正常化していくように側面的に援助をしていくということにいたしたいと思っておりますし、現在もそういう形でやっておるつもりでございます。  で、厩務員の給与その他でございますが、いまごく最近のデータをちょっと持っておりませんが、また何級何号俸という細かいものを持っておりませんけれども、平均的なことで恐縮でございますが、たしか五十四年と思いますが、年の平均収入は約四百万でございます。そのうちの基本給に属するものが二百十数万円。それから先ほどお話がございました進上金に関連いたしますものがこれ平均いたしまして約六十五万円ぐらいであります。その他が諸手当あるいは期末手当等でございます。  大体そんなことになっております。
  32. 川村清一

    川村清一君 それで、中央競馬会で雇うわけにいかぬ、それは調教師はいまそうなっているんですが、私が言うのは、一番いいのはそれではないか、こういうことを言っているんですがね、それはやっぱりまずいですか。  それから私は、この厩務員の労働組合の方々意見もちょっと聞いたんですが、そうしてくれということをずうっと前からいろいろ要求しているんだけれども、なかなかそれが実現しないと言っているのだが、まずい点はどういう点ですか、はっきり言って。
  33. 武田誠三

    参考人武田誠三君) 先ほども申し上げましたように、厩務員は調教師の指示あるいは考え方に応じて馬を調教する、飼育するという立場にあるわけであります。したがいまして、この馬をどういうふうにきょうは歩かせるかあるいは馬場でどういう乗り方をするか等々につきましては、調教師がそれぞれ馬を見て自分の考え方に応じて調教を厩務員にさせておるというのが実態であります。したがって、調教師の言うことをよく聞いてよく働く厩務員もありましょうし、またあるいはなかなかそうはいかない人もあろうかと思いますが、それを一括して私どもの方で雇用するという形にいたしますと、そういう点についての配慮もできませんし、また調教師としても自分の雇い人としていろいろ命令をし、指示をするということもできにくくなろうかと思います。そういうことではいまの調教師としての仕事も十分勤まらないことになりましょうし、また競馬のおもしろみも失われていくというおそれが多分にあるんではないかというように思っておりますが、先生の御意見につきましては、また別途よく検討をさせていただきたいと思います。
  34. 川村清一

    川村清一君 それはそれでわかるんです。私の言いたいのは、そのシステムでやっていって、厩務員の待遇とかそういうものが平均的によいならいいわけですよ。さっき申し上げましたように、その勤めておる厩舎によって、非常に好成績を上げる厩舎もあるし、そうでないものもある。調教師間に格差があると、これは事実でしょう。馬房は中央競馬会で、調教師にそれを受け持たせているけれども、馬房を三十も四十も持っておる調教師もあるし、馬房を十ぐらいしか持っておらない調教師もいるわけでしょう。それぞれそこで働いているその厩務員に格差がないかというんです。格差がないならそれでいい。格差があるでしょう。だから、格差をなくするためにはそうすることが一番いいんではないかということを申し上げておるんで、これに対してもう一遍御答弁をいただいて、時間ですから私の質問は終わります。
  35. 武田誠三

    参考人武田誠三君) 進上金を除きます。その他の給与につきましては、Aの厩舎、Bの厩舎特別の差があるような給与体系にはなっておりません。  それから、各調教師の所有馬房につきましては平均化の措置をいまとっておりまして、その間の格差は以前に比べますとずっと少なくなっております。
  36. 中野明

    ○中野明君 最初に総括的なことでお尋ねをいたしますが、今回のこの特別措置でございますが、大蔵大臣、赤字公債は毎年法律を出されて、要するに財政の節度を守るということで予算の単年度主義と、こういうことをとっておられるわけなんですが、今回初めてこの輸出入銀行あるいは開発銀行の納付金、また電電の納付金は複数年度にわたる内容を組み込んで出しておられるわけなんですが、これはやはり単年度主義からいって毎年出されるべきじゃないかと、このように思うんですが、どういうお考えですか。
  37. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) そういう考え方もあろうかと存じますが、これは五千億円という話が出まして、それで、五千億円をとても一度にはできないと。ある一定の計算方式で四千八百億と、それを四年分割ということで四年間と、額も毎年同じ額というように決めたものですから、電電公社の場合は今回四年間ということを決めさしてもらったわけでございます。ぼくは委員のような考え方もそれは間違っているというふうには思っておりません。どちらをとるかというだけのことだと存じます。
  38. 中野明

    ○中野明君 なぜ私こういうことを言うかといいますと、予算委員会でも申し上げましたように、公社からこういう性質のお金を国に納入させるということはわれわれはもともと反対でございます。そういったてまえから、私どもの試算によりましても、大体財政再建、やり方によりましょうけれども、五十九年までにはできるという考え方を持っておりますので、もし財政再建が早く終わればこういう納付金も途中で打ち切ってもいいんじゃないかと、こういう考え方があるものですからそう申し上げているんですが、その辺はどういう御見解でしょうか。
  39. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 私も本当に景気がよくなって途中で打ち切ってもいいような時代になることをこいねがっておりますし、そういう努力をしているわけです。ところが現実の世界というのは、まあ世界じゅういま不況でございまして、失業者はいっぱいはんらんしておりますし、それで一%成長すらできないと。日本は五・三%成長と言っているんですが、これも本当になかなか大変だと思っているんです、私も実際のところは。そういう現況でございますから、まあともかく打ち切ることまではいまのところ考えていないんです。何とかこれを五十九年までに脱却できないかということで頭がいっぱいで、なかなかそういうなまやさしい経済環境にはないと、そう思っております。しかし、そういうときが来ればそのときには別途考えさしていただきます。
  40. 中野明

    ○中野明君 では中央競馬会の問題に移りたいと思いますが、このいただきました参考資料によりますと、中央競馬会国庫納付金について見てみますと、いわゆる第一国庫納付金と第二国庫納付金、このようになっておりますが、この合計額が一千八百三十九億円ですか、これが中央競馬会納付金として計上されております。そして前年度予算は一千三百八十一億、こうなって、「見積の事由及び計算の基礎」の中で、「日本中央競馬会における本年度の勝馬投票券収入及び剰余金の見込額を基礎として納付見込額を算出」した、このように書いてありますが、この金額、「見積の事由及び計算の基礎」と、こうなっております。これはこのとおり読んでよろしいんですか。
  41. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 事務的な問題でございますので私からお答えさせていただきます。  いま御指摘のところは「昭和五十六年度農林水産省主管歳入予算明細書」の中の中央競馬会納付金、それから中央競馬会特別納付金のところだと思います。御指摘のように、日本中央競馬会納付金は一本で書いてございまして、昭和五十六年度予算額千八百三十八億九千百三十五万、この中に第一納付金と第二納付金といずれもが入っているわけでございます。「見積の事由及び計算の基礎」のところに「日本中央競馬会における本年度の勝馬投票券収入及び剰余金の見込額を基礎として納付見込額を算出」とございまして、前段が第一納付金、後段が第二納付金ということで基礎をそこに説明したものと、そういうことでございます。
  42. 中野明

    ○中野明君 前年度予算、要するに五十五年度の一千三百八十一億も同じ理由によるんですか。
  43. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 前年度予算額、つまり五十五年度予算額の千三百八十一億九千五百六十万円につきましては、これは第一納付金だけでございました。したがいまして、前年度の歳入予算明細書では、本年度は「及び剰余金の」というのがございますけれども、それがございませんでした。そのときの考え方は、剰余金によって決められます第二納付金につきましては、剰余金の発生の見込みも正確には立てられないということで予算には計上しなかったものでございます。ところが、五十六年度につきましては、この第二納付金特別納付金を合わせまして五百億ということでございまして、一応三百億、二百億ということでかたく見積もることができるというようなことで、事情が変わっておりますので今年度は第二納付金も計上することにしたわけでございます。
  44. 中野明

    ○中野明君 この同じところへわざわざ、予算書を見せていただいて私も思うんですが、非常に便宜的な、そのときの都合でこういう書きようをされるというのはまことに不都合だと思うんです。去年だって、競馬会が始まったのはきのうやきょうのことじゃありませんで、毎年第二納付金というものがきちんと決算では上がってきているわけです。ですから、予算にないものが決算に上がるということもおかしな話でして、ことしだけ特にこういうふうにされるというのは何か特別の理由があったのかどうかということを非常に私疑問に思うわけなんですが、こういうやり方をとられるということになりますと、来年度からどういうふうなやり方をされるつもりなんですか。
  45. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) ただいまも申し上げましたように、五十六年度につきましては特別納付金という制度が設けられまして、第二納付金と合わせまして五百億円の歳入が期待できると、これは確実に期待ができるということになっております。そういった意味で、本年度につきましては、第二納付金につきましても、その三百億と計上いたしましても歳入不足が出るおそれはないわけでございますが、こういう特別納付金という制度がない場合には幾ら納付金が出てくるかわからない、それは剰余金の発生の出方によって変わってくるということで五十五年度までは計上しなかったものでございます。  そこで、五十七年度に今度その特別納付金がなくなった場合にはどうするかということでございますが、それはそのときに判断すべき問題ではございますけれども、一応の考え方としましては、五十五年度までと同じようなことになるわけでございますので、先例に従うことをベースにしてその時点において検討するということになろうかと思います。
  46. 中野明

    ○中野明君 ちょっと私、理解しかねるんですが、じゃことしだけは確実に入るという見通しがあるから挙げるんですけれども、来年からはまた見通しがなくなると、去年もそうだったと、そういうことになるんですか、理屈にちょっと合わぬのですが。
  47. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 私が申し上げましたのは、今年度につきましては第二納付金の額とそれから特別納付金の額を合計して五百億までは納付金として期待ができるということでございまして、三百億が多少移動することがございましても特別納付金と合わせれば五百億が期待できると、そういった意味で五十五年度までと違った状態にあるわけです。で、五十七年度にはまた五十五年度と同じような状態になることになりますので、それは五十五年度までの取り扱いを基礎といたしましてその時点で検討したいというふうに考えているわけです。
  48. 中野明

    ○中野明君 やはり決算で上がってくるんですから、当然予算でもある程度の見込みが立っているものは挙げておくのが本当じゃないだろうか、こう思うんですがどうでしょう。
  49. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) お答え申し上げます。  一応のめどが立つならば挙げておくべきではないかという御意見一つの御意見だと思います。そういった御意見も参考にさせていただきまして五十七年度には検討したいというふうに思います。
  50. 中野明

    ○中野明君 ぜひそうされるべきだと思いますね。他の特殊法人も一応皆出ているわけです。ですから、見込みがあるんであれば、それは予算ですから見込み違いということもありますかもしれませんが、大体もう何年も何年も決算をしてやってきておるわけですから、大体の見込みというものは立つはずですからきちんと予算に挙げられるべきだと、私はこのように思います。非常にそういう点ではこの説明を見ただけでは、ちょっといまの御説明を聞かないとわからない非常に不親切な予算書の書き方になっていると思いますので、来年からいまの御答弁のように検討をしていただいて、挙げられるものはきちんと予算書に挙げていただきたい、このように思います。その点は、これは農林省の主管でございますが、農林省もよろしいでしょうか。
  51. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) ただいま大蔵省から御答弁申し上げましたように、いわば第二国庫納付金特別納付金を合わせて五百億と。これは逆に申しますと、特別積立金を崩すという意思決定があって行われているわけでございますので、まあ見積もりやすかったと。それに対して、実は第二国庫納付金は第一国庫納付金と違いまして、かなり年度によって変動がございます。減少している年も最近でもあるわけでございます。したがって、どういう見方をするかという技術的な問題についてはかなり詰めを要するのではないかと思いますが、御指摘の点も十分理解できる点がありますので、大蔵省とも十分協議をして、手がたい見方としてどういう見方ができるかも研究さしていただきたいと思います。
  52. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) いま書き方が不親切だという御意見でございましたが、私どもといたしましては、これも、予算書につきましてはもう非常に多様にわたる積算をまとめなくちゃならないという要請がございまして、やたらに複雑にするわけにいかないということもございます。そういったことで、先ほども申し上げましたように、歳入予算明細書の「見積の事由及び計算の基礎」の中で、昨年度までとは違った書き方をしたわけでございます。それだけでは不十分だということもございまして、別途予算の説明の中で「日本中央競馬会納付金は、中央競馬勝馬投票券収入の一〇%相当額千五百三十九億円及び剰余金の二分の一相当額三百億円計千八百三十九億円の納付金を見込む」ということを書きまして、少しでもわかりやすくするという努力はしたつもりでございます。
  53. 中野明

    ○中野明君 それで、これ要望でございますが、このようにして法律が出てまいりましてね、それで私どもも審議をするに当たっていろいろ勉強をさしていただいて、そしてまあこういうこともわかるわけでして、そうでなければなかなかわかりません。そういう点で今後、せめて全額出資の特殊法人関係の分は予算書の資料としてでも、資金の使途とかあるいは経営状況が把握できるような資料というものをつけてもらいたいと、このように思うんですが、その点はどうでしょう。
  54. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 予算審議の便宜に供するように政府全額出資法人については関係資料を出すようにという、そういう御意見だと思うんですが、実は財政法の二十八条に「国が、出資している主要な法人の資産、負債、損益その他についての前前年度、前年度及び当該年度の状況に関する調書」を添付して提出しなければならないという規定がございまして、主要な法人につきましては現に添付して出しております。で、たまたま日本中央競馬会につきましては、現在の二十八条の参考書類として出すものに該当してないわけでございます。で、これは短期間に取りまとめて国会に提出しなくちゃならないというふうなことで、もう主要なものに限られているということでございます。  そういった意味で、二十八条の参考書類としてではなくて、必要に応じて必要な書類は出すということで従来もやっておりますので、私どもといたしましてはそういうことで今後とも対処してまいりたいというふうに考えます。よろしくお願いいたします。
  55. 中野明

    ○中野明君 私は、せめて「主要」というこの解釈なんですけれども、全額国から資本が出ているという特殊法人はそうたくさんあるわけじゃございませんので、せめてその程度のものは参考資料として出されるべきじゃないかと思うんですが、もう一度お答えいただきたいと思います。
  56. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) いまの御議論のような御議論がございまして、実は昭和四十八年三月一日に衆議院予算委員会の理事懇談会で申し合わせがございまして、提出すべき政府出資主要法人の登載基準といたしましては「国の出資額が百億円以上の法人及び国の出資額が百億円未満でも国の出資率一〇〇%の法人。但し、大部分が現物出資の法人、国際機関、清算法人及び国の出資額十億円以下の法人は除く。」というようなことになっております。  それから、その他の基準といたしまして、「国が出資している法人であって、当該年度財政投融資計画の対象となっている法人。」、それからこれらのほかに「当該出資法人の事業内容が国の諸般の政策上特に重要であると認められる法人。」ということで、この三項につきましてはそのときどき主管庁とも御相談をし、国会とも御相談をして出すというような、そういう運用になっているかと存じます。
  57. 中野明

    ○中野明君 一応状況はわかりましたけども、こういう法律が出てきて私どもも初めてこういう事態がわかる。そして、予算書の書き方も去年とことし変えたんだなということだってわかるということでございますので、一応私の言わんとする趣旨はおわかりだと思いますが、強く一応要望をしておきます。  それで、中央競馬会の中身の問題でございますが、最近、衆議院でも連合審査がありまして、非常に競馬会の天下りの問題とかあるいは役員の報酬の問題とか、また出資した小会社の不正事件の問題とかいろいろ問題が指摘をされ、非常に騒がしく言われておるわけでありますが、この小会社、要するに中央競馬会の小会社に対して監督官庁の農林水産省としてはどの程度まで関与することができるのか。要するに、監督権がどこまで及んでおるのかという点についてお答えいただきたいんです。
  58. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 関連団体といたしまして、公益法人の場合と株式会社の場合と二通り現にございます。公益法人につきましては農林水産省の監督のもとに置かれておりますので、大体三年に一度の原則で立入検査を実施しております。株式会社につきましては、その性格にかんがみまして、競馬会に対し出資会社の業務が本来の目的に適合するように適正に運営され、経理が明確に行われているかどうかという指導監視を督励する立場にはございますが、農林水産省が直接立入検査権限があるとは理解しておりません。なお、会計検査院は、会計検査院法第二十三条第五項の規定で、検査権限を保有していると理解されるわけでございます。  私どもといたしましては、そういう実態で、やはりそういう制度の本質から言っても、また事業の内容から言っても、やはり競馬会を通して指導監督するということが本筋であろうと思っておりますが、立入検査権限がない場合でも、必要な場合においては個別の指導をやはり行うべきものと思って、今後十分状況を見てまいりたいと思っております。
  59. 中野明

    ○中野明君 非常に最近そういうことで騒がれております。監督官庁として権限の及ぶ限り、しっかり監督をしていただきたい、こう思います。  それから、競馬会法の二十九条一項、二項ですか、これに特別積立金ということ、先ほども議論がありましたが、特別積立金規定があるんですが、この特別積立金の性格はどのように理解すればよろしいですか。
  60. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 特別積立金は、一般の経理で申しますならば、出ました利益のうち、いわゆる中央競馬会法の二十七条の第二項で第二号納付金として納付したものの残額ということで、その累積額が特別積立金になるわけでございます。
  61. 中野明

    ○中野明君 これはいまどれぐらい残額あるんですか。
  62. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 特別積立金の累計額は五十五事業年度末で二千八百四十五億円、五十五年の決算ベースで、となります。そのうちいわゆる大部分は固定資産化されておりますが、九百十五億円が流動資産として保有されております。
  63. 中野明

    ○中野明君 それでこの二項で、「特別積立金の処分については、政令で定める。」、このように規定があるんですが、これ政令はできているんですか。
  64. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 実はこの政令は制定しておりません。と申しますのは、処分というのは結局いま申し上げた積立金の性格から取り崩す場合を予定しているわけでございます。その場合に、国庫納付につきましては、やはり現在の法制から見て二十七条ではっきり一号納付金、二号納付金を定めているわけでございますし、今回の特別納付のような場合も当然特別立法措置でやると解されるわけでございまして、そうなりますと特別積立金を取り崩す場合としてたとえば考えられますのは、当該年度で欠損が出た場合とかあるいは特別事業特別支出をまとまってやるような場合ということになるだろうと思います。そういう意味においては、目的なり出資すべき金額、充当すべき金額が明確な時点において個々別々に政令で定めるべきものが本来の筋だろうと解しておりまして、目下のところそういう具体的事情がございませんので定めておりません。
  65. 中野明

    ○中野明君 いま局長、損失が出たときというふうにおっしゃったんですが、損失は二十八条で損失補てんに充てる場合、損失補てんの準備金として別に積み立てているんでしょう。ですから、損失で出た場合は関係ないと思うんですが、どうでしょうか。
  66. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) お答え申し上げます。  これは実は、いま先生御指摘のものは準備金としてすでに限度額いっぱい積み立てが終わっているものでございまして、これは二億円なんでございます。したがって、通常今日の膨大な事業規模から考えられます損失の発生については、やはり特別積立金を取り崩すという形で埋めざるを得ないだろうと思います。そういう意味でやはり損失の場合取り崩すという場合が通常の場合としては一番考えられると思います。
  67. 中野明

    ○中野明君 それで、この政令をお決めになっていないというのが私ちょっと合点がいかぬのですが、政令は当然これは「政令で定める。」こうなって、政令をつくれというふうに私とれるのですが、そうするといままで先ほどおっしゃったように累計で二千八百四十五億円で、流動的なものがそのうち九百十五億で、あとは設備ですか、固定資産にしたと、こうおっしゃるのですが、その処分のときはどうなったんですか。政令を出されたんですか。
  68. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 資産としてどういう形で特別積立金を保有するかという問題でございますから、特別積立金自体を取り崩したわけではないわけでございまして、特別積立金が大半が固定資産として保有され、一部が流動資産として保有されている、このように御理解いただきたいと思います。
  69. 中野明

    ○中野明君 それで将来ともに政令で、こういうときに使うんだと、取り崩すんだと、そういうことを決める考えはないんですか。
  70. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 実は私ども前々から議論のある点でございますが、特別積立金の性格から言って、やはり具体的な目的と取り崩すべき金額を明らかにする必要があるのではないかと思います。そういう意味においては、あらかじめ予測をもって定めることはちょっと現実的ではなかろうと、このように考えているわけでございまして、すべきではないということではなくて、現実的になかなか定められないで、必要が出たとき政令を出さしていただくと、このような意味でございます。
  71. 中野明

    ○中野明君 そうすると、今回の場合はもうこれは法律でこうなるのだから政令は要らぬ、こういうことですか。
  72. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 中央競馬会法は第二十七条で、一項でいわゆる第一納付金売り上げの百分の十、それから第二項で剰余金の二分の一のいわゆる第二納付金を決めております。この立法全体の構成から見ますと、国庫に対する納付というのは、本来第一納付金と第二納付金でおしまいであり、しかもそれは明らかに明示しているということである。立法過程で、法律を通じて明らかにしている。そういう趣旨から申しますと、第一納付金、第二納付金以外に納付する場合においても、これは法律をもって定めるべきものだろうと立法趣旨を解すべきだろうと思っております。そういう意味において、いわば特別積立金の取り崩し理由には実は国庫納付はむしろ予定すべきものではなかろうというのが私どもの全体としての制度としての判断でございます。
  73. 中野明

    ○中野明君 そうすると、この政令は決めなくても構わぬという解釈を持っておられるわけですね、全体的に。——じゃ一応それで法律の解釈としてそのようにお持ちになっているということで理解をしておきます。  それで次は、先ほども川村委員からもおっしゃっておりましたが、この三十六条の規定国庫納付金畜産振興費への充当ということでございますが、この規定が非常にあいまいだなどいうような感じを受けてならぬのですが、農水大臣どういうふうに御理解なさいますか。こういう納付金がなくても畜産振興はしなきゃなりません。農林水産省として当然中央競馬会からの納付金がなくても畜産振興というのは農政の一つの大きな基本としてやらなきゃなりません。そうなりますと、先ほど川村委員の御説じゃございませんけれども、何だがこの規定があっても、本来この畜産振興に農水省として当然やっているそれ以外に、この競馬会からの納付金が上積みされるというんなら非常に私ども納得できるんですけれども、本来の畜産振興の費用をひっくるめてそれが納付金より上回っているからこの規定には違反していないんだ、こういうふうな理解がされているような気がしていかぬのですが、その辺はもう一度御答弁いただきたいんですが、農水大臣どうお考えになっていますか。
  74. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 法律の解釈の問題でございますので、私から前もってちょっと御説明さしていただきます。  法律の第三十六条ではいわゆる畜産業の振興と民間の社会福祉に必要な経費に充てるとなっておりまして、民間の社会福祉の振興のために必要な経費は四分の一に相当する額と。その反対解釈として、したがって四分の三が畜産振興だということでございますが、これはいわば特定財源を定めた規定ではないだろうと思います。そういう意味においては一般的な訓示規定としての性格を持っているだろうと思います。  私ども畜産振興のためには農政の立場から必要な予算を計上していかなければならないわけでございますが、しかしやはりこういった立法があります以上、いわゆる明確に違反しているかしていないかというふうな性格ではないと思いますけれども立法趣旨を体して、少なくとも四分の三を超える分が畜産振興に計上されてしかるべきものであり、それが立法趣旨に合致しているというふうに理解すべきものだ、このように思っておるわけでございます。
  75. 中野明

    ○中野明君 非常におっしゃったように私この規定というのは何かちょっとあいまいなような気がしていかぬのですが、余りほかの法律も詳しくありませんけれども、どうもこういう例が余りないような気がしていけません。ですから、やはりその点訓示規定、確かに趣旨から言えばそういう感じを受けないことはありませんけれども、もう少し農水省としてこの規定というものがあるんですから、そういうことを背景にして畜産振興ということに——いま畜産というのは大変な危機に立っております。そういう面で競馬会から明らかにもう額は決まって国庫に納入されていることははっきりしているわけですから、その点を基本にしてやはり畜産振興費というんですか、畜産振興対策というものをもう少し力を入れられるべきじゃないか、このように思うんですが、大臣どうですか。
  76. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) やはりその意味において、いまこの競馬法日本畜産振興一つの大きな訓示規定と申しますか、バックボーンと申しますか、そういう役割りを果たしておると思うんです。というのは四分の三を下ってはならない、こういうことでございますから、やっぱり畜産予算競馬会から納めた納付金よりも少なけりゃ、何だ法律違反じゃないか、こういうことを言えるわけでございますから。まあ幸い毎年納付金をはるかに上回る畜産を重視した予算を計上することができておりますので、その点はそれなりの法律的効果を発揮しておる、こう私は理解しております。
  77. 中野明

    ○中野明君 いや、あんまりこれ消極的な受け方をしておりますと、畜産予算というのは中央競馬会国庫納入金に限定されてしまうという心配があるわけです。どこまでも農水省の畜産関係費というのは、農水省が主体性をもって畜産にはこれだけの金をつぎ込むんだというのが本来の姿だろうと、その上に中央競馬会から畜産振興費として、指定じゃないんですけれども国庫に納入されているというのは別の問題ですけれども国庫に納入されているというものがプラスアルファとして回ってくるという考え方をされた方が正しいんじゃないかと私は思うんですが、その点どうなんですか。
  78. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 国庫に入ってしまえばこれは国の原資でございますから、畜産振興に必要にしてかつ十分な予算措置を講ずるということがこれが当然本筋になるわけでございます。そのために、競馬会からの納付金がその裏づけを一部がなしておるという考え方を先生は指摘されておるわけでありますが、それでも私はいいと考えております。
  79. 中野明

    ○中野明君 私申し上げているのは、この競馬会から、たとえて言えば、極端な話をすれば、一銭も入らなくても、畜産振興として農水省としては予算を組んでやらなきゃならぬじゃないかということでしょう。ですから、これは競馬会の納入金よりも上回っているからまあまあ法律違反じゃないということで甘んじておられては困る。ですから、本来畜産関係にこれだけはどうしても要るんだという上に、納入があってプラスアルファが出てくるという考え方で今後も強く畜産関係に力を入れていただきたい、こういうことを申し上げているんですが、よろしいでしょうか。
  80. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) はい。
  81. 中野明

    ○中野明君 では時間が余りございませんので、私きょう連合審査ということで電電の関係にも触れたいと思いますので、おいでになっていますか。——  電電公社来ていただいているようですが、予算委員会でも私は議論いたしましたが、電話料金の遠近格差、これの是正というのが日ごろから非常に議論がありまして、そして余りにもわが国の電話料金の体系というものが遠距離が高過ぎる。現行では一番高いのが二・五秒ですから、一番低いところと比べて七十二倍、こういうことになっております。この遠距離が非常に先進国の中では圧倒的に高いということについては、総裁お越しいただいていると思うんですが、一応お認めになりますか。
  82. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) お答えします。  御承知のとおり、非常に割り高になっております。
  83. 中野明

    ○中野明君 先進諸国の倍率というのはわかりますか。主なところをおっしゃってください。
  84. 西井昭

    説明員(西井昭君) お答えいたします。  ただいま先生お話しのとおり、わが国の料金は近距離が諸外国に比べて安く、遠距離が高いという関係で、遠近格差が一対七十二と現行料金で開いているわけであります。  これに対しまして、諸外国ともそうでございますが、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、国によって多少の出入りがございますが、大体一対十五、六程度というのが遠近格差でございます。
  85. 中野明

    ○中野明君 営業局長ね、すぐ近距離が安くて遠距離が高いということを言うんですが、結局近距離が安いという言い方は私改められた方がいいと思います。遠距離が高くて近距離が安いという、そんな状態ならばこんなに公社が黒字が出るわけがありません。結局高いところが高過ぎるから黒字が出ているのであって、近距離が安いからという言い方は、私いまの公社の経理状態から見て納得できないわけです。それで問題は遠距離が高過ぎるわけで、公社の利潤というものがそれだけ上がってきているわけでしょうから、遠距離を下げるというのが当面の公社の、国民といいますか電話利用者に対する最大のサービスといいますか、当然の責務だろうと思うんです。ところが、今回納付金を取られるということになりまして、公社が本来計画をしておった遠距離の格差を是正しようということがそれだけ常識的に考えて計画がずれる。もしこの納付金がなかったならば、もう少し計画的に経理状態を見ながら遠距離の格差を縮めることができたろうと、このように私は理解をするわけなんです。その辺私の考えは違うでしょうか。
  86. 西井昭

    説明員(西井昭君) お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいますとおり、この納付金によって公社の経営に対して全く影響がないかということになりますと、これは当然のことながら影響がございます。ただ、この納付金は現在のところ資本勘定からお納めをする、こういうことになっておりますので、さしあたっての問題といたしましては利子部分だけが公社の経営に響いてくる。これが借金を返すころになってまいりますともっと大きく響いてまいりますが、さしあたりはそういうことでございまして、そういう意味で著しくこの料金に影響を与える、そこまでは現在のところまだ至っていない、こういうふうに理解をしているところでございます。
  87. 中野明

    ○中野明君 現在のところはそうでしょうけれども、将来は必ずこれは返さなきゃならぬのですから、ですから元利ともに八千二百億ですか、それだけは返していかなきゃならぬのだから、料金体系を是正するのにそれだけこれがなかったとしたら計画は狂うはずであります。現在は確かにそのとおりです。けれども、将来にわたっては計画が崩れて、それだけ結局遠距離格差の是正がおくれると、私はこのように理解をしているんです。それはそれで時間がありませんから議論をしよるとどうしようもありません。  もう一点は、そのときに問題になりました経営委員会のあり方なんですが、現在経営委員会は欠員ができております。その欠員はいつ補充されるんですか。
  88. 奥田量三

    政府委員(奥田量三君) ただいま欠員となっております電電公社経営委員一名につきましては、この国会の御同意をいただいて任命の任に当たります内閣当局と、電電公社の監督の責めを負っております郵政省とで連絡をとりながら後任の人選について作業を進めているところでございます。当然のことながらなるべく速やかに補充すべきものと考えますが、具体的な人選の最終的な確定、また国会の御同意をいただく手続につきましては内閣において取り運ぶものでございまして、ただいま郵政省から具体的に申し上げる用意はございませんが、私どもといたしましても、内閣と連絡をとりながらできるだけ早く後任の任命について国会の御審議をお願いできるように努力したいと考えているところでございます。
  89. 中野明

    ○中野明君 過日私が指摘しましたように、この経営委員会のあり方、存在をいまのままでほっておきますと、普通よく物を考えた人ならば経営委員になり手がないんじゃないかと私は思うんです。というのは、今回の処置のように全然経営委員会が何の権限というんですか、機能も発揮できないで頭越しですべてが済んでしまうというようなそんな経営委員会にわざわざ内閣任命だといってなってみたって何の意味もない、こういうことにも通じるわけでして、郵政省の方としてこの経営委員会の機能の充実強化ということについて、今回たまたまわかってきたわけなんですが、これ何か方法を考えなきゃならぬのじゃないか。簡単に申し上げれば、独立した事務局もスタッフもない、スタッフもおらぬ。こんな状態で果たして経営委員会が責任を持って電電公社の経営委員として責任を果たせるだろうかということが一つ。あるいは待遇の問題、これらを含めて機能の強化に対する改善の処置を考えられるつもりはないか、こういうことなんです。
  90. 守住有信

    政府委員守住有信君) 経営委員会の問題についてお答え申し上げます。  経営委員会あるいはその監事、まあ不正経理問題が出たわけでございますけれども、その監事室の強化ということで経営委員会の方と執行部である総裁の方と御相談なさいましてそういう方向で御検討中だと、こういうふうに聞いておる次第でございます。  それから、お尋ねの経営委員の月収と申しますか報酬と申しますか、この点につきましては、立法当時からの考え方といたしまして、これを兼職の方でいく。したがいまして、広く人材を選定できる、こういう考え方もございますし、それからもう一つは、公社の方と、公社の執行部の方と全く無関係に自由で積極的な御意見を公社の執行部に対して反映できる、こういうことからも業務運営上必要な実費は別でございますけれども、いわゆる月給という形の報酬は求めない、こういう立法当時からの考え方でいっておるわけでございます。  それから、この前予算委員会でお尋ねになりました点で多少不明確な御答弁を申し上げましたのでお答え申し上げたいと思いますけれども、この納付金問題というのにつきましては、電電公社と連絡をとりながら、最終的には政府部門で郵政、大蔵両方で政府案、予算案を決定する際に調整の段階で処理されまして閣議決定を経たものでございます。したがいまして、公社法で申しますなら、四十一条の予算の作成、調整、決定という手続に従ってこれは決められたものでございまして、当初の段階での経営委員会での予算の議決ということの後で政府部内でこれは決定されたと。また経営委員会の権限といたしましても、政府の決定や国会の御決定にはこれは経営委員会としては権限が及ばない、こういったてまえになっておるところでございますが、しかし公社当局としては、そのプロセスの中で経営委員会の方にも絶えず御報告して御了承を得ておる、こういうふうに聞いておる次第でございます。
  91. 中野明

    ○中野明君 その議論を蒸し返したらこれは時間がございません。経営委員会は、いま補足説明がありましたが、法律で議決をしろということになっているんですから、それを蒸し返しておったら時間がもう来てしまいましたので、またの機会に譲りたいと思いますが、いまのこの経営委員会のことについて広く人材を求めるとかいろいろ兼職とかおっしゃっていますけれども、変な経営委員が出てきて自分からやめなきゃならぬというのはこの間の事件でしょう。ですから私は、この経営委員会というものをかっちりした本当に公社の経営に全責任を持ってやれるような人をつくるような経営委員会のあり方に持っていかないとおかしいじゃないかと、このように申し上げているわけでありまして、これはこの点時間がありませんので、総裁から最後に、総裁は新しくおいでになって非常に斬新な気持ちから公社の経営というものをごらんになっているでしょうから、経営委員会の存在、あり方、これについていま私申し上げましたことについて、総裁の御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  92. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) 私は、経営委員会の存在ということは非常にユニークなりっぱな組織の考え方と思っております。  着任以来、経営委員長といろいろ御相談をしながら、いまお話がありましたように、まず、経営委員会の一番大事な仕事である監査機能を実際持っていただきたいということをお願いいたしまして、いまその具体案を経営委員長のところで関係のところと御協議中でございます。それが目鼻がつきましたら、また次の手といたしまして、経営委員長といろいろ御相談いたしまして、本当の姿と本当の動きをしていただくということを切にお願いするつもりでございます。
  93. 中野明

    ○中野明君 時間がありませんのでこれで終わりますが、先ほどの経営委員会の議決の問題については、また機会を得ます。あの答弁では私納得できません。終わります。
  94. 下田京子

    ○下田京子君 私はまず、日本中央競馬会の財政状況といいますか、それらについてお尋ねしたいと思うんですけれども最初に、昭和四十四年から五十四年の過去十年間に、一つは売上高がどのぐらいになっているか。それから二つ目には、利益積立金がどの程度になっていて、三つ目に、利益積立金の累計残高がどうなっているかということで、当時の金額と五十四年との比較でお知らせください。
  95. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) まず売得金について申し上げます。  昭和四十五年の売得金収入が全体で四千七十億円でございます。五十五年は一兆三千六百億ということになっております。  それから、積立金その他の状況でございますが、四十五年の時点での特別積立金は合計額で二百九十億でございます。五十五年度末の積立金は二千八百四十五億になる見込みでございます。
  96. 下田京子

    ○下田京子君 私、日本中央競馬会の「中央競馬のあらまし」という資料を見せていただきまして、ちょっと調べてみたんです。そうしましたら、売上高では十年前と現在と比較しますと約三・九倍、それで利益積立金の方が約三倍、そしてまた、利益積立金の累計残高で見ますと実に八・六倍というふうに大変伸びております。かなり高い収益状況だなということがわかりました。  そこで、二番目にお聞きしたいんですが、これは大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども日本中央競馬会の決算書を見せていただいたわけです。その決算書を見ますと、短期の借入金だとか未払い分はありません。ゼロです。流動負債の合計はどのくらいかと見ましたら、二百四十九億。一方、流動資産の方は一千四百十七億。そしてしかも、現金、預金を合わせますと八百五十八億円。さらに有価証券が五百三十六億ということになりますと、余裕がたっぷりあるというふうに私は見るわけなんです。そればかりか、退職金の引当金を見ますと、職員が一千八百人、ところがその引当金は、百一億円も積んであるんですね。だから、一千八百人の人が全員退職してもいいみたいな、しても対応できるような形になっている。こういうことを見ますと、ずいぶん潤っているという感じがするんですけれども大蔵大臣としてはどのように御認識されておりますでしょうか。
  97. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 決算書を見る限り、そのようでございます。
  98. 下田京子

    ○下田京子君 決算書を見る限りというのは、私は見てこうだから、その御認識といいますか、どういうふうにお考えなのかと。潤っていると感じられているというふうに見てよろしいわけですか。
  99. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 立場上そうはっきりも申し上げられないわけでございます。
  100. 下田京子

    ○下田京子君 わかりました。やはり財政的に見れば、数字的に見れば潤っているということははっきりしたわけです。  とこで、さっき他の委員からもお話がございましたが、競馬会法の第二十九条に「政令で定める。」というふうに特別積立金の処分について書いてあるんだけれども、その政令がない。これはいろいろ理由を述べられましたけれども法律として不備じゃありませんか、いかがですか。
  101. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、中央競馬会として特別積立金は相当巨額に上っております。しかし、具体的にそれを取り崩さなければならない場合ということはやはり考えられるわけでございます。しかし国庫納付自体は、先ほど申し上げましたように法律で決めておりますので、それ以外の事由というのは、具体的な事由が発生した場合に具体的な金額を想定して定めるべきものだろうということでございまして、たとえば損失が出た年度における当該年度の損失補てんの取り崩しとか、あるいは特別経費支出をする場合の取り崩し、こういうことになるわけでございまして、抽象的に定めてもなかなか、そういった目的なり金額の特定はできないわけでございますから、そういう意味で不備とおっしゃられれば、あるいは政令がないのは不備というごく一般的な意味での形式論はあるかもしれませんけれども、具体的な必要に応じて本来定めるべき政令というふうに私どもは判断しておるわけでございます。
  102. 下田京子

    ○下田京子君 法律には「政令で定める。」と書いてあって、その政令がないから不備なんですよ。  その論議はいいとしまして、これはやはり必要だなと思うんです。といいますのは、大蔵大臣立場上言えないと言いましたけれども、決算書を見る限り潤っているということがはっきりしましたし、それから特別積立金もかなりふえてきていますし、そういう点からして、事情が財政逼迫だということで今回は特例でやるんだ、こういう話なんですけれども、もうけている、その活用がどうあるべきかということをはっきり定めてないという点でも、大変逆用されるというか、財政的にも問題があるんでないかなということを私は申し上げたいのです。  これは言うまでもございませんけれども、一九七九年にかなり問題になりました例の発馬機の問題です。日本発馬機会社からどんどん出されていたのが水増しであって、六年間もその水増しに気がつかないでいて、そして伝票もチェックしないで九億円もやっていたなんという話でしょう。大分問題になりましたでしょう。そういうことがありましたし、それから、これは時間がありませんから詳しく申し上げませんけれども会計検査院の指摘によりましても、労賃等も含めて非常に問題だということでのそういう指摘があるわけなんです。  そしてさらに、これまた問題だと思うんですが、きょうお見えいただいていて大変武田理事長に恐縮なんですけれども、いま天下りの問題だとか渡り鳥の問題が行革と関連されて非常に問題になっていますよね。武田理事長の場合にちょっと調べてみましたら、四十一年から四十三年までは農林省の事務次官をされていましたね。退職金は幾らだか、そのときのことは私はちょっとわかりません。それからその後、大日本水産会の副会長をお勤めになりましたね。その後、農林漁業金融公庫の総裁をされておりましたね。そのときの退職金は三千六百六十八万円です。現在が日本中央競馬会理事長をされておりまして、お給料は幾らいただいているのかなと見ましたら、百万五千円。これで一期でおやめになったとして仮に計算しますと、推定でも一千三百二万円という退職金が出てくる。これは行革なんかでもいろいろ議論になっているわけなんですが、こういう点からいけば、どういうふうに処理するかという、この政令問題の指定というのは必要でないかと思うんですけれども、これは大臣にお答えいただきたいと思います。
  103. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) この政令の問題につきましては、局長からお答え申し上げましたとおり、やはり特別積立金といったようなものをどう使うかというような際にこれはそのときに政令をつくる、激甚災あるいは天災融資法なんかにおきましてもやはりその災害があった都度金額がわかってから政令をつくりますですね。あれなんかもやっぱり金額が、災害被害額がわかりませんとこれは政令つくりようがないわけですから。やはりこの政令もそれなんかと同じようなあれでもって、経費支出をどうしてもしなくちゃならぬというようなときに、来たときにそれを政令としてその経費支出の諸規則を閣議で政令決定すると、こういう式になるんだろうと、こう思います。  同時に、政府関係機関、特殊法人の人事の問題についてはすでに閣議決定がございまして、できるだけ民間の方々の採用を図っていくという努力をいたしておるわけでございます。しかし特にこの競馬会等につきましては、やっぱり人格、識見ともに日本最高というような方に御就任をしておいていただかないと、やはりこれは本当に先ほど申し上げましたように、国民の健全娯楽ということで、本来であればもう発馬機のようなああいう問題が絶対あっちゃならぬと、こう私は日ごろ考えておりますし、そういう意味において、今後名理事長のもとにきちんとした体制をとってまいると、財政の面においてもやはりいろいろと検討してみたいと、こう考えております。
  104. 下田京子

    ○下田京子君 他の特例公債の発行等については非常に問題があるんですけれども。ちょっと大蔵大臣に今度はお尋ねしたいんですが、いまのこの日本中央競馬会の問題につきましては、私もっときちんとした形で政令も定めて、納付金をいただいていいんじゃないか、協力いただいていいんじゃないかと、こう思うんです。そういう点から財政的に見ても潤っているというのははっきりしましたでしょう。それから、いま問題にしております利益積立金の問題にしても、政令をなぜつくらないかといろいろ言っていますけれども、つくろうと思えば、たとえばある一定の利益を生み出した場合には自動的に入れるというふうな形での政令の仕組み方もできるわけなんでしょう。それが一点ですね。  それから、たとえば第一納付金の率ですけれども、いまは一〇%、一割なんですよ。これはさらに引き上げてもいいんじゃないかと思いますし、それから第二納付金の割合ですね、これは二分の一なんですけれども、この割合も引き上げるということだって考えられると思うんです。そういう点で私はやっぱりこれはもうちょっと、いまの財政事情を言うんでしたら基本的に協力を求めるための施策を検討すべきでないか。いかがでしょうか。
  105. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) いろいろな議論があります。こんなに取ってけしからぬと言う人もいるし、下田委員のように取り方が足らないと言う方もおりますし、いろいろございまして、これは政府といたしましても今回はともかく、そういうような両方の意見があるわけですから、その中でまあどちらにもがまんしてもらうということで今回は合わして五百億円ということを決めたわけでございますから、将来の問題は将来の問題、ともかく今回は異例の措置として臨時的にこれでひとつせっかく決めたものですから御承認をいただきたいと、かように存じます。
  106. 下田京子

    ○下田京子君 臨時だというだけじゃなくて、今後の検討課題ということには、大臣いろいろ勉強されるのがお好きですし、いろいろお詳しいわけですから、そういう点で検討の課題にはなると思うんですけれども、その点はいかがですか。
  107. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) これは競馬会だけでなくて、特殊法人全般の問題についても第二臨調等では当然に検討項目の一つに入るのではなかろうかと、そう思っております。常に非常に厳しい財政事情でかなりの歳出カットを今回も行わなければならぬ。これはもう増税も大変なことでございますが、歳出カットということも言うべくして、現実にそれで恩恵を受けている人からは引っぱがす話でございますから大変なことなんです、実際は。したがって、そういうふうな経過を通して層一層国民の理解を深めなければならないという点からも、常に今後とも検討は続けなければなりません。
  108. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、広く広げちゃったんです、私は個別の問題で言っているんですね。だから潤っている……。一つ一つ見ないとだめなんですよ、一律にばっとやるやり方は問題があるということで、その議論は後にしまして問題だけ指摘しておきたいと思うんです。  それから次に、一月の二十六日の閣議の後で、亀岡大臣が記者会見で、新聞報道によりますと、場外馬券売り場をもっとふやして国の台所を助けてくださいということでお話しになったというふうに報道されているわけなんですよ。  で、これは事実としますと、これはいろいろ問題が大きいんではないか。私はそのことについていまどうこうというだけじゃなくて、実は大臣も御承知だと思うんですけれども、宮城県の仙台市に場外馬券売り場の設置の問題が出てきたわけですね。で、このことについては地元から大変反対があって市長さんも反対されていて、市議会はいろいろ二つに分かれているんですけれども、その後もたくさんの方が請願署名を持って御当地にも、競馬会の方にも、それから政府にも見えているわけなんです。そういうやさきに、まあ大臣がいままではですよ、五十五年の昨年の決算委員会なんかでは地元の協力を得ないで一方的なそういう進出はしないと、ちゃんとしておりますにもかかわらず、何かどんどんつくってください、国の台所助けてくださいみたいなことを言われたということは、この特例措置との関係で何か取引でもしたんではないかというふうな見方も出てくるわけなんです。しかもそういう大臣お話をしたからかどうかわかりませんけれども、大郷町だとか、古川市であるとか、その他仙台市周辺でも次々話が出てきているんですよ。そういう話を政府の方に持っていきますと、いやもう初めて聞いただとかというこういう形になるんですけれども、たとえば古川の場合ですね、これはもう大変な事態ですよ。議会の中で促進派陳情書千五百人、反対派三千五百人、市長反対です。そして産業常任委員会が調査に参りました。そのときに今度日本中央競馬会の高橋場外調査室長が言ったことがまた大変ですね。どういうことを言ったかというと、こう言っているんですね。古川市への開設については聞いてないと、しかし仙台市が適当だとは考えているので、市長は反対しているけれども、まあ仙台圏を半径二、三十キロの対象でたとえば泉市なんて、こう名前まで挙げて話をされているんです。こういう一方的な形で出ていくということは非常に問題であるんじゃないかなと思うんですが、大臣、取引なんかされたのかどうか、あるいは地元の協力なくてでも一方的に農水省の何か政府の方針として今後そういう形で進出なんて考えていらっしゃるのかどうか、一言。
  109. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) まあ場外馬券売り場の件につきましては一月の二十六日の記者会見で確かに申し上げました。そうして、私は至って慎重派でありますから、そのときは地元の十分なる協力のもとにという前置詞があったわけでありますが、新聞にはそれが載っておりません。したがいまして、御承知のように競馬は先ほど来の御議論でもわかりますように、健全娯楽ということでもう本当に大衆の娯楽として定着してきておると、ところが一方では場外馬券を買いたいといっても場所がないので買えないという声も出てきておることは確かでございます。しかもノミ行為といったような法律違反の行為があちこち摘発をされておると、こういう事態でありまするから、地元の協力があって、地元の了解のもとに場外馬券売り場を設定ができるということであれば、これはきわめて幸いなことであると、そういうふうなところがあれば設置してもよろしいと、こういうことを記者団との話し合いのやりとりの中で申し上げたことは事実でございます。いまでもそう思っております。
  110. 下田京子

    ○下田京子君 武田参考人に一言お聞きしたいんですが、昨年三月五日に決算委員会で参考人としてお出になりまして、そのとき「場外馬券売り場の設置につきましては、地域社会との協調ということが大変重要なことと考えておりまするし、無理押しをしてこれを設置するとか、そういうようなことは一切考えておりません。」というお話をされておるんですが、いまもそのことについてお変わりないかどうか。
  111. 武田誠三

    参考人武田誠三君) そのような考えでおります。
  112. 下田京子

    ○下田京子君 時間参りました。はい、よろしいです。
  113. 三治重信

    ○三治重信君 農林省にお尋ねをいたしますが、先日府中の競馬場へ御案内いただいていろいろ説明を願ったわけなんですが、そのときに私は二つの問題をちょっと感じたわけなんですが、いまの競馬馬はだんだん何か非常に故障が、いわゆる優秀な馬と言われていても骨折、故障が非常に多くなってきたということと、日本馬だけでやっていて果たして、サラブレッド系とか非常に競走馬みたいに言われるけれども外国との競争やそういうものにおいて本当に、いわゆるあんまり封鎖的な競馬になって、外国との競争とか、いわゆる競技的なものもあるわけなんだけれども、余りそれが駑馬的になってしまうと興味がなくなる。本当に外国の一流のところと競争してもこれはりっぱな競馬だと、こういうふうにやられるかどうかについては自信がないといいますか、よくわからないというふうなことじゃないかと思うんですが、農林省の方でそういうことについて特別なお考え、またはこういうふうな改善を考えているというようなことがありましたら、ひとつ御説明願いたいと思います。
  114. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 先生御指摘のように、実は事故がわりあいにふえてきております。登録頭数の増加を若干上回るという状況でございます。調教に問題があるのかあるいは競争の際のラフプレーが問題なのか、馬場の状態が問題なのか、騎乗技術の問題が問題なのか、いろいろ議論もあるようでございますが、一つの重要な議論としては、やはり競走馬自体の御指摘のような資質なり育成という問題が論議されている点があるわけでございます。  そこで、実はこのことは前々から問題になっておりまして、中央競馬会で強い馬づくり、つまりスピードとスタミナのある丈夫な馬をつくるということを目指しまして学識者や調教師関係者を集めまして検討を進めているように聞いております。この二月には中間的に報告もあったように伺っております。そういった方向に沿ってやはりこれから競馬会が強い馬づくりにいろいろ取り組むということについては、農林省も指導監督の立場からできるだけ慫慂してまいりたいと思っております。議論としてはいろいろな問題もあるでしょうけれども、やはり何といっても一つは研究機関の整備という問題もあるでしょうし、育成条件の整備、育成牧場の整備というふうな問題もあるだろうと思うんです。いろいろ投資や新しいシステムも要る問題だろうと思いますが、その結論に沿って競馬会がこれから取り組まれることについて私たちできるだけ好意的に見守ってまいりたいと思っております。
  115. 三治重信

    ○三治重信君 せっかく武田さんお見えになっていますから、何かいまの農林省の御答弁の中の、いわゆる強い馬づくりというものの具体的なだれにでもわかるような御説明があったらひとつしていただければ、強い馬づくりについて。
  116. 武田誠三

    参考人武田誠三君) 毎年ワシントンのローレルの競馬場で世界の一流馬の競争がございます。それに私ども日本からもここ二、三年行っていなかったのですが、昨年は一頭参りましていずれも惨敗をして帰ってくるわけでありまして、どうも日本のいまの競馬馬は、向こうへ行って環境が変わるとか、いろんなことがあるとも思うのですけれども、レベルがどうも低いというように感じておりますし、一般の識者もそのような考え方をいたしております。そのようなことで、スタミナのあるスピードのある強い馬をぜひつくっていきたいということで、先ほど局長からお話をしましたようなことを始めたところでございます。
  117. 三治重信

    ○三治重信君 そういうことなんだけれども、強い馬づくりの中身というのか具体的な考え方というのは農林省も全然説明できませんか。
  118. 武田誠三

    参考人武田誠三君) お答えしますと大変長くなるわけですが……
  119. 三治重信

    ○三治重信君 例でいい、一、二の例で。
  120. 武田誠三

    参考人武田誠三君) 生まれたての、たとえばいま馬がトレーニングセンターへ入ってくるまでの間の育成が十分いっていないということから、もやし馬が非常に多いということが言われておるわけです。過保護的になる面も一部あるようです。その辺のところからも直していかなければなりませんし、調教方法それ自身にもいろんな問題があるようでございます。
  121. 三治重信

    ○三治重信君 そこで何というのですか、いわゆる競馬は非常に華やかに見えるけれども、そこへ行くまでにいわゆる馬主はいい馬を自分で求めたいし、それを調教師が請け負って調教をしていく。それを維持管理をしていくのが厩務員というふうな、また競争のときには騎手が乗るというようなことがあるわけなんですが、それできょうの同僚委員の質問の中にありましたんですけれども、やはりそういうそれぞれの専門的な馬に対する任務を持った職業についておって、そうしてそういう人が馬をつくって、そうして競馬になるわけなんですが、この中で私は労働関係の問題を、昔から聞いていた問題ですけれども、農林省の方も、競馬会の方も特に御配慮を願っていることとは思いますけれども、私の意見も申し添えてお考えを聞きたいと思っておるわけなんですが、従事者のうちの一番多いのが厩務員、厩務員は労働組合をつくっている。調教師というのはこれはたくさんの馬主から数頭というのですか、数十頭になるかもわかりませんが、預かってやるわけなんです。しかし一般の常識からいくと、法律上は労働省の方も調教師がいわゆる使用者で、厩務員が被用者だということであるのだけれども、どうも一体的に見て、法律的に細かく分析していけばそういうことになるかもしらぬけれども、全体として一番第一線の馬を管理する厩務員の労働条件や待遇改善、またそれに対するいわゆる指導訓練、こういうことになっていくと調教師だけでは、きょうの話もあったけれども私は不十分であり、またトラブルの起こる原因もそこにあると。それから調教師そのものは、またこれは組合をつくって、馬主に対してもっと請負費を上げろとかいうようなことにもなるわけです。階級的に、段階的に労働組合もできるわけなんですが、そういうふうになってくると、いわゆる多数の使用者に対する多数の労働者、厩務員と、こういうことになるから、どうしてもそこにふだんは何でもないときには何でもないけれども、一たんそこに問題が起き出すと、その解決について責任の体制——責任はあると言いながら、そこに統一的な解決をするリーダーが不足すると、いなくなると、こういうことを考えるわけなんです。  それで考えられるのが、だれでも競馬会、中央では中央競馬会またそれに所属する馬の関係調教師や厩務員、地方競馬地方競馬であるわけなんですが、そういうところの関係を私はやはりどうしても、それは中央競馬会が雇用主のかっこうをとってやるというのも一つの案かもしれませんけれども、やはり現実にこういうぐあいになっちゃっているやつをそういうふうに変えるということはちょっとむずかしいと思うんです。競馬会の方はどうしても専門家を雇って、この中のいわゆる馬主と調教師関係調教師と厩務員との関係の調整、またその間の労働条件や日常の勤務の状態、それの改善指導ということについてやはり競馬会が配慮する。こういうことはぜひ必要なことじゃないかと思うんですが、またそういうことが必要となれば、現実に中央競馬会なり農水省がおやりになっていることについて御説明願えれば……。また今後、将来どういうふうに考えられるのか。
  122. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) お答え申し上げます。  厩務員と調教師関係は、長い間現在の関係で来たわけでございます。基本的にはやはり馬主が調教師を選んで、調教師が自己の判断で調教していくと。その際、自分の手足として厩務員を使っていくわけでございますから、基本的に厩務員の雇用関係を切りかえるということはなかなかむずかしいのではないかと。やはりそういった競争的な関係競馬の世界ではどうしても基本にあると思います。しかし御指摘のように、厩務員が早朝勤務に従事しておりますし、事故発生の危険もある、また特別のトレーニングセンター等へ居住するといういろいろな特殊な条件があるわけでございます。そういう意味で、いままで中央競馬会が宿舎の整備とか厚生会館の整備とか災害補償の実施とか、さらに場合によっては一定の範囲では諸手当の一部の助成を行う等の援助措置を講じてきたわけでございます。これは私ども、やはり労使関係の安定に役立ってきたと思います。われわれは、今後とも競馬会が実情に応じて適切な措置をとるよう指導していくことが現実的な対応ではなかろうか、このように思っているわけでございます。
  123. 三治重信

    ○三治重信君 筋をそこまで認められるならば、やはりこの関係について競馬会として専門部というんですか、専門の部課をつくられて、そこにこういう労使関係や労働条件の、結局団体交渉というのは厩務員と調教師とやると、こういうぐあいになっているけれども、現実には相当こじれるとえらい時間をかけたり、大変競馬そのものも支障が来るようなストライキの問題もあるわけなんですが、したがって、そこに競馬会の方でそういう専門家を競馬会の職員として持って事に当たられ、またしかも、ほかのこういう働きに適応する労働条件をやはりみずからつくっていかぬと、ほかの一般畜産会社なり、ほかの一般の、こういう厩務員的な労働について一般のほかの例が、一般の工業や商業の中の労使関係みたいな例があればいいわけだけれども、これはもう例が余りないわけだから、競馬会の方がほかとの関連も考えながらこういう生き物を扱う、馬を管理するところに従事する労働というものについて労使関係といいますか、労務管理、団体交渉——組合があるわけですから、組合に対する交渉と、こういうものについてやはり専門的に扱うと。ただそれが、そういうことをやるというと、とかく競馬会がいわゆる会社の労務担当重役みたいにとられそうだという警戒があるかもわかりませんけれども、そこはひとつ区別されるなら区別されていいんですが、やはりアドバイザーというんですか、専門的なコンサルタントとか、そういう立場をはっきりして、しかも実質的にはいわゆる民間における労務担当の専門家と匹敵するような関係をつくって、特殊なそういう専門家をつくっていかぬと、これは将来やはり問題になってくるというと収拾がつかぬ問題が起きてくる、こういうふうに思うわけですが、それについての御意見を伺いたい。また、実際やっておられることを……。
  124. 武田誠三

    参考人武田誠三君) 厩舎関係の問題につきましては、私の方で特別に専門の部がございまして、厩舎関係、すなわち調教師の問題、厩務員の問題、騎手の問題等については取り扱わせております。ただ、労使関係の問題に直接私どもが介入するのがいいかどうかということになりますと、これは非常に問題があると思っております。現在は直接介入ということでなく、間接的に適当な指導あるいは助言をするということは、もう当然のことながら行っている次第でございます。
  125. 三治重信

    ○三治重信君 法的なたてまえとすればこれは間接的だと、こういうことでいいと思うんですけれども、しかしこれの関係をよくしていくためには、何といいますか実質的に相当めんどうを見るというか、に入っていかないとそこの関係に、調教師と厩務員との関係については信頼関係ができないと思うわけなんです。そこが重要だと思うんですよね。きょう私鉄が解決したけれども、私鉄の関係でも私鉄総連と各社との、昔はいろいろ、対角線交渉と各個別にやったけれども、結局集団的な交渉。そうすると私鉄のあれだけの大きな会社でも、いわゆる私鉄経営者協会という、これは直接雇っているわけでも、組合員に対する事業主でも何でもないわけだけれども、経営者から委託を受けた協会の方が主になって賃金紛争とか何かというものがやはり統一的な意思で解決をしてやっているわけですよね。だから、それで私鉄経営者協会というものが、これは全部の私鉄の従業員の雇用者というわけでもないわけなんだ。  そういうふうなことを考えていくと、こういうふうに、ことに調教師と厩務員と同じような仕事をやっているけれども調教師も非常にたくさんおるわけですよね、多人数。それから厩務員も一つの、一調教師についている厩務員はわずかで、けれども、そこの厩舎全体から見るというと何百人というふうにいるわけなんです。それがどうしても統一的な労働条件を要求してくるわけですね、組合があれば。そういうことを考えてほしいと、こういうことなんです。  大臣、そういうふうに労働関係というのは一つの一定の場所、同じ職業、産業に従事する者が統一的な要求をし、統一的に解決したいと、そのほかに個別的なやつはまたいろいろ個別的な交渉がたくさんあるわけですけれども、大どころはそういうふうにだれかが、そういういろいろの条件のときにはだれかが入って、そこでどうだと、こういうことによって解決する、こういうふうなのが近代的に持っていく道であるし、やはりそこの全体を統括していく競馬会が一番適当じゃないかと、こういうことですよね。私鉄の解釈でも私鉄労使のやつに行って私鉄経営者協会というものが代表でやるというふうに、やはり競馬会の方も担当者じゃなくても、そこに調教師から委託されてそこの間の仲を取り持つ。こういうふうなことでやっていった方が近代化する。こういう考え方を持っているわけですが、大臣ひとつそういうことについての御見解を承れれば……。
  126. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) まず馬主初め調教師、厩務員、騎手、これらの諸君並びに管理された施設、こういうものが渾然一体となって初めてりっぱな競馬ができる。大衆の健全娯楽としての競馬が実施できるわけでありますから、そういう空気をつくっていくためには、労使間の信頼関係と申しますか、理解関係と申しますか、そういうものが一番大事だということはもう十分理解できるわけでありますから、ただいまも武田理事長からお話のありましたとおり、そういう点にもずいぶん苦労されておるようでありまするし、いろいろと御検討、御研究もされておるわけでありますので、御指摘のような点を十分注意いたしまして、とにかく戦後競馬会の歴史を見ましても、最近では非常に落ちついてきて、そう大きな問題というようなものも少なくなってきておるというのも、やはり近代化され進歩してきておると、こう言うことができると思います。これからもそういうような点、私どもとしても十分心して、何と言ってもやはり一番働く人が一番ばかをみないようにきちんと目を届けて、そして配慮をしていくというのが大事かと思います。  それから、強い馬の話先ほどあったわけですが、これは、金肥で草をつくって馬をつくったら強い馬出ないと、こういうアメリカの本を一遍読んだことがありますが、やっぱりダービーの名馬を出しておった牧場から一匹ももう名馬が出なくなった。いろいろある技師が研究をしたら、その牧場の中のいわゆる土壌のミネラルですか、そういうあれが非常にもう老化しておったというんで、直ちに次の山を開いて、そしてそこに牧場を移転したらまた名馬が出るようになったということを読んだ記憶があります。日本のあれはもう戦前からずっと同じところで同じ馬を飼っている、しかも金肥でどんどんどんどん。ですから牛でも何でも金肥でできた牧草は余り見向きもしないで、さく外の草をいかにもうまそうに食っているという情景よく見かけます、牧場に参りますと。そういう点やはり十分考えていかにゃならぬと思います。  もう一つ御示唆いただいた点は、外国との馬の交流と申しますか、そういう点について御発言ございましたね。これもたしかさっき川村先生からも競馬をやってない国はないと、こういうことでありますから、そういう意味で国際親善と申しますか、そういう意味においてももう少しその辺新しい考えを取り入れてもいいんじゃないかなという、私も就任以来そんな感じを持っておりますので検討させていただきます。何かそういう御研究の成果でもお持ちでしたらお教えいただきたいと、こう思います。
  127. 野末陳平

    ○野末陳平君 先ほども場外馬券の売り場が出ておりましたけれども、法案の中身については大蔵委員会でやっておりますから、競馬に関して農林大臣にお聞きをしたいと思いますが、ここまで競馬がレジャー化してきますと、当然先ほどお答えにもありましたけれども、場外馬券売り場というのを拡張するあるいは増設するということは必要だろうと思います。思いますけれども、いまのイメージのような町の中に大きな売り場をつくるということが果たしていいかどうかということで、ぼくは余りよくないと思うんですね。やっぱり町も汚れますし、それから土日の混雑というもの、それからやはり環境なども決してよくはならないですね。そんなわけで地元の協力ということを先ほどからかなり気にされておりますが、地元の協力を得ながら場外馬券の売り場をつくるという努力は必ずしも効率的ではない、こう考えているんです。  そこで、競馬会の方針などもあれやこれやといろいろ苦心なさっているようですが、住民との摩擦を解決しながら町中に大きな場外馬券売り場をつくっていくという発想は非常にもう無理がある。これからはもうこだわらない方がいいんじゃないかというふうにぼくは考えているんですが、大臣の基本認識はいかがですか。
  128. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 実は私も先般競馬官を呼びまして場外馬券の件話したわけでありますが、もうむしろお好きな方は多少遠くとも買いに行く。福島にも場外馬券あるんですけれども、遠くからもうやっぱり買いに来られるということがありますから、まあ人のいないところにも、きれいな公園的なところにでも置いて、駐車場の大きなところがあって、そういうところにむしろだれにも迷惑のかからぬところに設置した方がいいのかななんて話も実はしたわけです。そういう発想もどうかなというふうな検討をいたしておるわけでございます。確かに町中で、人込みの中で人に迷惑をかけながら町を汚すというような点から考えまして、発想の転換を図るということは必要かと、こう考えます。
  129. 野末陳平

    ○野末陳平君 それと似た案もぼくもかねてから競馬会にもいろいろ提案したりしておりまして、アメリカの野球場のようにずっと離れたところに相当な駐車場のスペースをとって、人に迷惑かけないと、住民にですね。これの検討をということはかねてから提案しているんです。ですから大臣がもしそういうことに興味おありなら、競馬会の方にもなお検討してもらえば、車で買いに行くんだったらもうレジャーですから、家族連れで行くと。子供たちと奥さんなど遊ばしておくところもつくると。このぐらいのことはもう当然になってきたんじゃないかと思うんです。  それから同時に、しかし、それだけじゃどうしてもファンというものは、テレビ、ラジオで茶の間に競馬がここまで浸透しますと、もっと手軽に買いに行くと、あるいは買いに行ける場がなければだめだということも事実なんで、ここからまた新しい提案をさしてもらいたいんですが、きのうも大蔵委員会でちょっと触れたんですがね、大臣に聞いてほしいんですが、もう大きいのはやめちゃうと。そこで小さい、まあいわゆるミニ売り場ですね、こういうのを新設する。で、これはもちろん中央競馬会の管轄下に置いてやるわけですけれども、喫茶店とかスナックとかそういうところで馬券を売らせる。そうすると、なおそれだったら周囲の人が反対するだろうというんですけれども、現実に喫茶店などは競馬ファンを集めてテレビ中継やりながらやってますからね。それが行き過ぎてノミ屋やっちゃうわけで、あれは暴力団ばっかりがノミ屋じゃないんですね。やむを得ず一般のお店などもノミ屋に近いことをやってしまうんでかえって弊害がありますから、むしろ何らかの条件をつけてこういうことを認める方向で検討したらどうだろうかと。  あるいは、渡辺大蔵大臣のアイデアなんですが、映画館このごろすいてるから、土曜、日曜なんて地方へ行くとはっきり言ってがらがらですよ、映画館はね。ですから、この映画館などもそういうものに活用できないだろうかと。まあいろいろと工夫をこらすことが、ただ場外馬券売り場ということを何とか地元の協力という線で努力するよりも、方向転換した方がかえっていいんではないかということなんですよ。  で、ぼくは考えましてね、周辺の住民とのトラブルを少なくしてしかも場外馬券の売り場がふえるというのは、地方にどーんと一つ先ほどのアイデアのものをつくる。それと同時に町中には小さいミニ売り場をふやしていくことじゃないかなと、まあそう思うんです。そうするとノミ屋は減るでしょう。まあ思うように減るかどうか、ノミ屋には別の条件もありますけれども、ノミ屋も減るし、ファンも喜ぶし、それから納付金も結果的にふえると、こういうことになるんじゃないかとまあ都合のいいことを考えているんですが、こういう検討をなさる気があるか、興味をお持ちかどうかということを、大臣競馬会とそれぞれの立場から意見を聞かしてほしいと、こう思います。
  130. 武田誠三

    参考人武田誠三君) いま先生のお話の何といいますか、効外に広いところへ公園あるいは遊園地みたいなものとも併設しながらつくってみたらどうだというようなお考えにつきましては、私どももこれからの一つの行き方だというふうに考えておりまして、適当なところがあればそういうようなことも実現に向けて努力をしてみたいというように思っております。  それから喫茶店あるいはスナック、必ずしもそうでなくとも小型のものをたくさん置いたらどうかと、こういう御意見だと思うんですけれども、これにつきましては、いまのオンラインに乗せたり、あるいは払戻金の扱いとかいろんな物理的な点、あるいは保安上の問題等むずかしい問題がたくさんございまして、いまそっちの方がすぐできそうだというふうなお答えはちょっと申し上げかねるわけでありますが、いずれにいたしましても、私どもとしても発想の転換はできるだけしてまいりたいというように思っております。
  131. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 小さなところで何カ所もというこれにはやはり法律改正がどうしても必要になってくると、こう思いますので、発想は発想として私もそういう点、ノミ行為をできるだけ防止していきたいという気持ちを持っておりますので、勉強さしていただきたいと思います。
  132. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃあと一問だけ。  納付金と関連してくるんですが、先ほどもほかの委員からちょっと出たと思いますが、この返還率ですね、七五%賞金に返還するというこの線が果たして適正かどうかというのは非常にむずかしいめんどうくさいところもありますけれども、いまの二五%の中で納付金を決めるというやり方と、この二五%を今度三〇%に上げるという、これはかなり乱暴な、これがいいかどうか全くわかりません。しかしこの七五%賞金に返還していくというこの線について、農林水産大臣はどういう意見をお持ちか、それを最後にお聞きしておきます、参考までに。
  133. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 当分はこのままでいくべきであると、こういう考えをいたしております。そしてもしあれであったら、やはりファンにも返せという声が強いと私は見ております。しかし片方では、社会資本の充実がまだ非常におくれている日本、ある程度の社会資本の充実するときまではもう少し率を高くしたらいいじゃないかと、二五じゃなくて三〇にすべしという議論も片方にございますが、これはもう法律事項でございますので、なかなかこの法律を提案をするということは容易ではないと。当分このままの方がいいじゃないかというのが私の考えでございます。
  134. 大森昭

    ○大森昭君 提案理由の説明、これを何回かさっきから読んでいるんでありますが、どうも少し私どもと見解を異にいたしますが、いずれにいたしましても、財政再建ということで特別立法をということでありますが、特殊法人というのはたくさんあるんでありますが、百ちょっとあるようでありますが、特に電電公社に目をつけた理由というのはあるんですか。
  135. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 特殊法人は確かにたくさんございます。ございますが、限られた非常に短い時間の中であったため、各法人全部見直すということも実際問題できなかった。たまたま電電公社はここのところ労使の協力、それからいままでの景気動向その他によって一兆六千億の利益準備金を持っておられる。そういうような中で、国家財政がこのように異常な厳しい不均衡な状態にある中でございます。そこで、一方大増税もしなければならぬと、こういうような状況のために、ともかく電電公社に納付金をしてもらいたいと。電電公社では実質的にいままでの一兆六千億円という巨大な利益準備金を持っているわけですから、これはもちろん現金化されておるものではございませんが、それは承知でございますが、それだけの利益を上げてきたということも事実であります。  本来普通の会社でございますと、大体半分ぐらいは税金で払うというのが、まあ民間の場合はそういうことになっております。競馬会等も納付を毎年しておりますし、専売公社も納付をいたしております。電電公社だけは納付する制度がないということでございますので、この際は非常に臨時特例な措置として、電電公社においても生産性を高めて、その資本準備金の中から四千八百億円を御納付をいただきたい。しかし一挙にというわけにはいかないと、したがってこれを四年間に分割をして納めていただきたいということで話をつけたわけでございます。
  136. 大森昭

    ○大森昭君 大蔵大臣よくおわかりで、現金が現実になくて資本勘定に組み入れられておることも御存じだし、また同時に、電電事業が建設投資をしたりあるいは借入金を返済したりということも御存じの上でこの特別立法をということなのでありますが、どう考えましても、大体その財政が不均衡になった原因がどうかという、まあ長い時間議論する必要はないと思うのでありますが、電電公社がその責任を負うというような理由がどうにも納得できないのでありますが、そういう赤字財政、不均衡、そういうのは公社とは関係ないけれども、とにかく何とか頼むということなのかどうなのか、余り理論立てじゃないのでありますが、あえて私は理論立てて物事を聞こうというのじゃないのでありますが、一言で言って、何としてもとにかく頼むということなのか。どうなんですか、これは一体
  137. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) まあわかりやすく言えば、ひとつよろしく頼むと、ぜひこの際はということで、前の秋草さんも言っていましたがね、いままで大蔵省が電電公社へ来て物を頼んだこと一回もないというんですよ。今回だけは何回も足を運んで、ともかくひとつ御了解願いたいといって、大蔵省の主計局長か次長か知らぬが何回も来ましたと言っておりました。したがってこれは頼むということは間違いないと思います。
  138. 大森昭

    ○大森昭君 まあ大蔵大臣ね、物事というのにはやはり道筋がありましてね、ただ頼もうということだけではちょっと問題があるんですね。というのは、公社は国の事業と違いまして別個の法人を持っておりますし、同時にまた独立採算制をやっていくというときには、国会でも大変議論があったんだろうと思うんですね。で、恐らく郵政省もそういう経過を知りながら大蔵大臣に了承したのだと思うのでありますが、本来この独立採算制の事業体で利益金の使い道というのは明確になっていると思うんでありますが、郵政省はどういうふうに判断していますか。
  139. 守住有信

    政府委員守住有信君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、公社制度発足のときからこの納付金という問題、非常に国会で御議論があったわけでございまして、簡単に申し上げますけれども、政府原案の中には国庫納付の規定があったわけでございますが、衆議院、参議院、さらには両院協議会という御議論の中で、やはり公社運営上の弾力性を認めることによって、戦後荒廃した状況の中での需要に応じ切れない電話需要に対しまして電信電話事業の復旧改善に資すると、これが第一点でございます。第二点といたしましては、将来のコストの低下やサービス向上等にこれを利用すべきだ、このような両面から両院協議会で国庫納付の規定が削除されたと、こういう経緯がありますし、また御指摘の独立採算という点につきましても、これまたいろいろ御議論もあるところでございまして、専売公社等も納付をいたしておりますが、その以下のところで独立採算が保持されるべきだ、こういう御議論もございますけれども、公社制度本来の趣旨なりあるいは公社発足のときの趣旨から見てもいろいろ議論があったと、こういうところでございます。
  140. 大森昭

    ○大森昭君 いや、ですからそういう議論があったわけでありますから、本来、いま提案されている法案というのは成り立たないというのが筋道なんだろうと思うんですね。しかし百歩譲りまして、いま大蔵大臣が端的に言いますから、百歩譲ったところで納付金を取られるということになりますと、公社自身がいま四年間で四千八百億ですか、を国に納付をするということになると、みずからのいわゆる公社の建設投資だとかあるいは借金の返済の今後の計画というのは電電公社自身はどういうふうに判断をしていますか。
  141. 岩下健

    説明員(岩下健君) お答えいたします。  先生御指摘のように、この納付金の四千八百億という数字は公社にとっても決して少ない数字ではございません。またさらに、その自主負担を考えます場合に、将来の財務を考慮いたしますと、大変厳しい試練に当面しておるというふうに私どもは考えております。ただ、公社自身のもっと幾つかの課題がございますが、一方、国の財政再建の緊急性、緊要性ということを考えますと、政府関係機関といたしまして、この際政府の御方針に従ってあるいは強い御要望に従って財政再建に御協力を申し上げるということもまたやむを得ない措置と、かように考えたわけでございます。  その場合に、今回の措置が臨時かつ特例的な措置であるというふうに私ども理解をしておりますし、政府の方からもそのように承っておるわけでございます。この場合に、この国庫納付に伴いまして利用者への負担の増加にならないようにということも考慮いたしまして、これをいわゆる損益勘定の支出に計上しないで、つまり損費に含めずに一種の資本取引といたしまして資本勘定支出に計上したと、またその財源も借り入れといったところに求めるといったことをやったわけでございます。  御指摘の建設計画その他に対する影響につきましても、そういった加入者サービスへの影響その他事業運営に支障がないように、公社としましては政府の御協力も得ながら格段の経営努力を今後重ねてまいりたいと、かように思っています。
  142. 大森昭

    ○大森昭君 国の施策であるし、臨時であるし特別だからというお話もありましたけれども、長い歴史を持つ電電公社というのは独立採算制の事業体で運営してきたわけでありますが、従来、独立採算制として経営を行ってきた、その変化は今回の納付金の問題で生じますか、どうなんですか。
  143. 岩下健

    説明員(岩下健君) お答えいたします。  先生御指摘のように、公社は設立当初から独立採算制、あわせてまた受益者負担の原則によって運営をされてまいりました。ただ、たまたま今回先ほど申し上げましたような国の財政再建の喫緊、緊要な課題ということからの御協力に応ずるということにしたわけでございますけれども、これはあくまで四年間に限る特別措置であるということでございまして、独立採算制あるいは受益者負担の基本理念、これは公社といたしましては設立当時の趣旨といささかも変わるところなく、将来ともに理念としては維持をしてまいりたい、かように思っております。
  144. 大森昭

    ○大森昭君 ですから、何か話聞いていますと、正直言うと何か他人事みたいに聞こえるんですがね。公社の経営の責任というのはあなた方にあるわけですからね。ですから、たとえばこの法案というのは明らかに公社の経営上独立採算制というものを否定をしているし、それから公社が長い歴史の中で受益者負担ということでやってきた問題などについては明らかに道筋としては違っているんだという考え方を持ちながらも、しかし大蔵大臣じゃないけれども、頼むと言われたから臨時にやるんだという認識を持ちませんと今後の問題にかかわることですからね、これは。ですから私は、そういう意味からいきますと、問題があるところは問題があると。しかし、郵政、大蔵両省のこれは恐らく協議で決まったというんならいいんですが、その辺のところは余りあいまいにしてもらいたくないわけですよ。ですからこういう実は質問をしているわけですがね。  そこで端的に言いますと、借入金を、大蔵大臣が言うように金がないわけでありますから借入金を強制をいたしまして、そしてまさに独立採算制をしているわけでありますが、財投ですか、この借入金を繰り入れるというのは。これはどういう発想になるわけですか。
  145. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 電電公社ももう二年も前からこういう話があれば、それは心構えというのは私はあったと思うんですよ。電電公社の方にしてみれば突如降ってきた話で迷惑だという御議論も私はあったって少しも不思議はないと思うんです。しかし、実情を話せばこういうわけだということで、一応の投資の計画はしているわけですから、電電公社といたしましてもね。金は全然ないわけじゃない。やっぱり投資の計画も持っておると。金に色目はありませんけれどもね、もっとも。しかしその投資の方を、じゃ一部控えるということになればそれは納付はできます。しかし、既定どおりこういう不景気でもありますし投資はむしろしてもらわなきゃならぬという別な国家的要請もあるということから、その投資の予定の金を納付するとすればそれば足りない部分が出るかもしらない。ですからそういうような面で、それと全く同じではないが、おおよそ似たような数字のものを財投で投資の資金として手当てをするということで話をつけたわけでございます。
  146. 大森昭

    ○大森昭君 ちょっと大臣、もう一回念を押すようで申しわけないんですが、あれですか、電電公社にやらせている独立採算制というのは、もうかったときはいただく、損したときは経営努力でもってやりなさいというようなことじゃないんでしょうね。
  147. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 独立採算は電電公社ばかりでなくて、みんな独立採算の公営企業についても極力独立採算でやってもらいたいということをみんなやっておるわけです。しかし独立採算といっても、にっちもさっちもいかない国鉄のようなものにはやはり政府の、政府一〇〇%出資の機関でございますから、政府の機関といってもそれは法律的に言えばいろいろなことがあるだろうけれども、政府機関みたいなものですよ。したがって、それは確かに金を出しておることも事実でございます。電電公社の場合はそれはもう政府からは金は受けないし、自分でやれるということでやってきておると、これも事実なんです。したがって、独立採算でそれはよくできたということは私は時代も合っておったと。国鉄とよく私は比較してみるんですが、競争相手も余りないと、自動車の競争相手、飛行機の競争相手、船の競争相手というのはない。郵便物の競争相手はもちろんございますよ。電話、電報、はがき、手紙という競争相手はありますが、これはまあ競争相手といってもそれだけのことでございまして、そこで、結局独立採算性を放棄されちゃ困るわけでございまして、それが余り大きな金額であるならばわれわれも考えるわけでございますが、全体の売り上げが電話を入れまして、電報まで入れて幾らになりますかな、三兆九千億円ぐらいですか、四兆弱でしょう。それの約三・何%というのが毎年の納付金ということでございますから、それらについては要するに生産性を上げて、その利息分は払っていただくと。それで利益の取り崩し分については、ある年限はかかりますが、それを取り崩していきながらそいつを政府に納めていただくと、こういうようなことでやったわけであります。
  148. 大森昭

    ○大森昭君 私は、今日公社が置かれている状態というのはまさに自主性を発揮をいたしまして、労使間もそうでありますし、経営能率化を発揮して成果を上げたんだろうと思うんですね。ですから、そういう意味からいきますと、お互いに努力をして経営能率を上げて、努力をしたわけでありますから、これは国民の期待にこたえる——いま逓信委員会でも遠距離格差の料金の問題やってますがね、多くの施策をやらなきゃいけないんだろうと思うんで、先ほどの臨時的な措置だからという意味合いも余り納得しないんですがね。臨時的な措置でも余り許すべきじゃないと思うんですが、しかし現実の問題としてそういうことで物事が進んでいますので、納付金が四年間で四千八百億円とした算定根拠ですね、これは電電の方が算定したのかどうか。
  149. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) お答え申し上げます。  先ほども大臣からお答え申し上げましたように、国の財政が現在異常な状態にございまして、国民の負担を求めるにしましても、国の関係機関の協力も求めなくちゃならないというようなことから電電の納付金をお願いしたわけでございますが、そのときの考え方は、極力損益収支に影響をしないような形で資本勘定からお出しいただくと。一応のめどといたしましては、過去十五年間を平均した自己資本比率に比べまして、現在それを上回っておりますので、その上回っている分を一応のめどにいたしまして四千八百億円の納付金をお願いすると。しかし、四千八百億を直ちにお納めいただくということは、電電公社の方の資金繰りあるいは財務状況からいっても無理があると。他方、国の方も今後引き続き安定的な財源が必要であると。両方を考慮いたしまして四千八百億というふうに決まったわけでございますが、それを四年間、四分の一ずつ納付していただくと、こういうふうな考え方に従いまして今度の制度が仕組まれたわけでございます。
  150. 大森昭

    ○大森昭君 そこで、過去十五年間の平均とか、ここにも算出基準があるのでありますが、十年間の平均でとりわけ赤字の期間——四十九年から五十三年度は除いてとかという計算方式がありますがね、普通からいきますと、公社事業発足以来の平均で平均値を求めるということならわかるんですが、何か特別に十五年とか十年で、四十九年から五十三年を除いてなんというと、何かあらかじめ四千八百億を予定しておいて計算を算出したんじゃないかというふうに思うんですが、なぜ公社発足以来の財政事情を平均して算出をしなかったわけですか。
  151. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 公社の自己資本比率がどうあるべきかということにつきましては、これはなかなかむずかしい問題でございます。日本の通常の企業の自己資本比率、これは非常に低いものでございまして、たしか一〇何%程度の話でございますから、それを基準にするわけにはまいりません。そういったこともございまして、公社が過去順調に推移してきている期間、これを十五年間平均でとりますと、大体三三%ぐらい。それから過去十年の中で特に、まあいわば正常に推移してきている期間だけを捨ってみても、やはり三三%ぐらい。そういったことを考えたということが一つ。  それからもう一つは、やはり公社の経営に余り大きな影響を与えることができないというふうなことも総合勘案いたしまして、いま申し上げましたような四千八百億という金額をつくり上げたわけでございます。
  152. 大森昭

    ○大森昭君 大変危険な要素を実ははらんでいるんじゃないかというふうに見るんでありますが、いま答弁がありましたように、自己資本率をどうやって見るかということはむずかしいのだけれどもといま言われましたけれどもね、むずかしいと言われながら三三・五%というふうに根拠を置いたわけでしょう、それが一つと。この落ちつく三三・五%を公社財務上の適正な自己資本率と見たんでありますが、その前に新聞の報道からいきますと、行政管理庁は当初案は五千百五十二億という案が出ているわけですね。そうすると、三三・五%で四千八百億。五千百五十二億ということは自己資本比率で行政管理庁ははじいたのかどうか、この辺はどういうぐあいになっているのですか。
  153. 中庄二

    政府委員(中庄二君) お答え申し上げます。  行政管理庁では今年度の行革の計画としまして、去年の九月から各年の特殊法人の財務状況をずっと調査してまいりました。その中で電電公社も対象になったわけでございますが、非常に多くの剰余金があるということからいろんな計算方法があろうかと思います。政府の部内での、すでに国庫納付制度のありますところの例をとりましても、当期の利益でいくものもございますし、貸し付けの残高あるいは収入の残高の一定の利益比率でいくものというものもございますし、ただいまお話ございました自己資本比率というのも一つの見方でございます。また公社の方の私的諮問機関での公共的必要余剰というような見方等もございますが、先ほど申し上げましたように行管といたしましては、過去五年間の財務諸表を分析いたしまして、収入の面、支出の面、それから資産の状況、利益の積立金、こういったものを見ておりますが、私どもの方も総合いたしまして五千百五十二億円という積算を出したわけでございますが、詳細は口で申し上げるのはちょっとあれでございますので、かいつまんで申し上げますと、大体昭和五十四年度、五十五年度に当たりますいわば過去の累積利益から積算したものでございまして、政府の決定案に至ります場合の一つの検討の試案でございます。その後、財政当局それから郵政、電電各当局との検討の結果、ただいまのような結論になったわけでございまして、私どもの検討といたしましては、自己資本比率という考え方で出したものではございません。
  154. 大森昭

    ○大森昭君 大蔵省は自己資本比率で三三・五%を基礎とした。いま行管の方のお話があるように、行管の方の方はそういうのじゃなくて利益を見て、まあ五千百五十二億が適当だろうと、こういうことですね。  そこで、どうもそういうやり方されるとちょっと困るんでありますが、電電公社としては大蔵省が算定基準にいたしました自己資本比率の三三・五%についてはどのように理解をしているのですか。
  155. 岩下健

    説明員(岩下健君) 企業にとりまして自己資本比率が一体どの程度が適正なのかということにつきましては、業種業態によりまして大いに差があるかと存じます。  たとえば電気通信事業をとりましても、これは実は国内に類似の企業がございませんので、外国の例などを見ますと三十数%あるいは四〇%という例もございます。結局帰するところは、私ども電気通信サービスを安定的にかつ永続的に提供していくためには、やはり経営基盤がそれなりに強固でなければいけないと、こういう観点から考えますと、自己資本比率はある程度の高さ、端的に言えば低いよりも高い方がよろしいということは一般的に言えるかと、そのように今回の問題も受けとめておるわけでございます。
  156. 大森昭

    ○大森昭君 低いよりか高い方がいいなんて、そんなあんた大ざっぱなことを言っていたんじゃ困るんですよ。たとえば行管の方が言われたり大蔵省の方が言われるならいいけれども、あなたは電電公社の関係者でしょう。少ないよりか高い方がいいなんという、そんなふまじめな答弁ないですよ。なぜかと言うと、いまあなた諸外国の例なども引きましたけれども日本における電電公社の政府出資金というのは百八十八億でしょう。そうすると、国の出している資本が少ないわけでしょう。そうすると、当然加入者の方々の金よりかも自己資金というものを高くしなければ経営は不安定になるわけですよ。そうでしょう。だからそういう意味で、あなたがいろんな例を引かれますけれども、少なくとも日本における、日本の電電公社というのは百八十八億しか政府が出していないわけですから、当然この三三・五%の自己資本というのはよりふやさなくちゃいけないし、なおいろんな自己資本比率の議論をしておりますが、これは全部国民の財産なんですね、一言で言えば。そうでしょう。だからそういったてまえからいきますと、利用者の財産をたまたま政府出資何%、自己資本何%と、こういう区分をしているだけなんでありまして、実際には電電公社が持っておる全体のものというのは利用者の、国民全体の財産であるというふうに理解をしていけば、三三・五%に固執する必要ないんじゃないですか、電電公社も。違うんですか。
  157. 岩下健

    説明員(岩下健君) ただいまの答弁、若干言葉が定りませんで大変失礼いたしました。  私が先ほど申し上げました趣旨は、業種業態によって非常に違いますので、なかなか財務的に見た適正な自己資本比率というものは特定しがたいということを申し上げたわけでございます。  で、電電の場合、いわゆる自己資本と申しましても、その中のいわゆる政府出資の資本金としましては、先生御指摘のとおり百八十八億円でございます。五十四年度末の自己資本が総額で三兆二千六百七十二億円ございますが、大多数は、具体的に言いますと資本剰余金、これは利用者の方が新設時に公社にお払いいただくいわゆる設備料の累積額でございます。これが一兆九千百億円。それから、過去二十数年間の同じく収支差額の累積額が一兆三千三百七十五億円ということになっておりまして、自己資本のほとんどすべては利用者の拠出にかかわるものでございます。したがいまして、財務的に見ましても、自己資本比率はある程度の高さを維持しなければサービスの安定的な提供にも資することがむずかしかろうということと同時に、利用者拠出にかかわりますこの自己資本というものをできるだけ有効に活用して、よりよいサービスをより安い料金で提供すると、こういう経営努力をすることが公社の社会的な責任であると、このように考えております。
  158. 大森昭

    ○大森昭君 まあこういう納付金の算定基準を数字であらわしていきますと、何となく今後の公社の経営自体にある一定の拘束力ということはないんでしょうけれども、型がはまるような感じがするんですよ。そうでしょう。そうすると、三三・五%を超える自己資本比率を持ってはいけないというふうになっちゃっているのか。それからさっき行政管理庁の方の言われるのは、年度年度でそれは剰余金も利益金も出るんですけれども、しかしそういうことで五千百億を取った方がいいなんということをやられますと、実際の話、これは恐らく後でまた質問しますが、ずっと恒常的にこれは利益が上がっていくわけじゃないんですね、公社の状態というのは。ですからそういうことになってきますと、どうも利用者の個人をとりましても公社の運営にとりましても、全く何か一つの臨時的な措置であると言いながら、経営に拘束を加えるというような印象があるんですが——なきゃないと言ってもらえばいいんですがね。さっき大蔵大臣なんというのは、余り理屈なく、とにかく頼むと言っているんだから、それは公社がまた今後は自主的にやっていきゃいいじゃないかと、困ったときは国鉄や何かと同じようにやってやるよと、こう言っているわけですからね、わかりやすく言うと。だからそれならそれで、また理解がしいいんですがね。どうも数字が出てきますと、今後の公社の運営にかかわりますので、もう一回ちょっと答弁してください。
  159. 岩下健

    説明員(岩下健君) 私どもこの納付金の受けとめ方としましては、昨年の暮れに郵政、大蔵両省の間の合意に従って、先ほど申し上げましたような趣旨によりまして、財政再建協力することもまたやむを得ない措置だと、こう考えたわけでございます。したがいまして、いまのお尋ねの自己資本比率という問題につきましても、これはまあ一つの目安と申しましょうか、という体の性格だろうというように受けとめておりまして、これによって将来ともに公社のいわば自己資本比率といった財務状況が規制されるものとも考えておりませんし、本来、国庫納付金の性格はそういうものではなかろうというふうに理解しております。
  160. 大森昭

    ○大森昭君 政府が決めたことだからやむを得ないということでは困るというように私が言っているのは、いまお話を聞いていますと、大蔵省は三三・五%を基準にしているわけですよ。そうでしょう。そうすると、これから先、公社の運営の中で利益金が出た場合に、引き続き国庫納付でやっていくんじゃないかというふうに——一つの基準を決めたわけだから。それから行政管理庁の方は、三三%とかなんとかというのは、そういうのは余り関係なくて、とにかく年度年度見ていったら金が余っているからということでやったということになりますと、どうもいま私はこの議論をちょっとしつこく詰めているのは、この措置は臨時特例措置ということを言われておりますが、大蔵大臣、どうもやっていることは、ある一定の物差しをつくり、あるいは財務諸表を見て、利益があればそれを取るということでは、果たして臨時特例措置なのかどうなのかというところに疑問があるからいま話を詰めているんですから、そういう視点でひとつ答弁してみてくださいよ。
  161. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 臨時異例の措置といたしまして、一応の基準として何をとるかという、その一応の基準といたしまして、過去の自己資本比率というものを物差しとして使ったわけでございます。諸外国立法例でいきますと、日本は利益が出ましても積み立てをするということで、納付という制度は持っておりませんけれども、各国の立法例といたしましてはいろいろございます。たとえば、ドイツとかスイスにおきましては納付金という制度がございますし、それからアメリカにおきましては電話利用税というような制度がございます。それからドイツ、スイスにつきましても、収入金比率で算定するというのがたしかドイツの例でございますし、それから利益について何%というような決め方をしているのがスイスの例でございます。恒久制度としてはいろいろあるわけでございますが、私どもが今回考えましたのは臨時異例の措置だということで、その臨時異例の措置として、極力損益には影響させないと、資本勘定の中から取り崩して一定の金額を納付していただく、そのめどとして何を使うかという、そのめどを出すところで自己資本比率というものを使ったわけでございまして、それを使ったことによって適正自己資本比率がこういうものであって、今後これを超えるときには吸い上げるというようなことまでを決めているという趣旨では全くございませんので、誤解がないようにお願いしたいと思います。
  162. 大森昭

    ○大森昭君 そうするとあれですか、いろいろ物差しを使ったり財務諸表を見て納付金を、一定のめどを立てたりということはしたけれども、まあいずれにしてもこれは臨時特例措置であって、今後の問題とは何らかかわりがないということなんですか。
  163. 中庄二

    政府委員(中庄二君) お答え申し上げます。  私ども立場でございますが、先ほども申し上げましたように、政府案検討の過程の一つの案といたしましていろんな見方がございましたが、私どもは過去のものを見た、過去のものでございまして、今後の運営の問題につきましては財務の適正な運営を考えながらやっていただくということでございまして、電電の今後の運営についての拘束等は私どもは考えておりません。
  164. 大森昭

    ○大森昭君 そこで、さっきも大蔵大臣も言われたように、現実には金がないわけでありますから、納付金の金は借金か何かして調達をするんだろうと思うんでありますが、この調達の方法とこの借金をする金利は総体で八千二百億と言われておりますが、そういうことなんですか。
  165. 岩下健

    説明員(岩下健君) 資金調達の方法でございますが、先生先ほど御指摘のように、公社の収支差額の累積額が一兆数千億あると言いながら、これはすべて固定資産になっておるわけでございます。したがいまして、資金調達の道はほかに求めるという意味で、外部調達に頼るということでございます。  現在電電の外部からの資金調達の方法としましては、具体的には電信電話債券の発行という形をとっております。この債券の発行条件が、償還期限が十年、それから金利は現在八%前後でございますが、そういう前提で算定いたしますと、四千八百億円をすべて電信電話債券によって調達をすると計算をしました場合の金利が三千四百億円、これは年額五十六年度が百億でございますが、最も多い年度で約四百億。これを累計いたしますと、昭和五十六年度から最後に償還が終了すると考えられます昭和六十九年まで合わせますと、十四年間の金利の負担の合計額が三千四百億円になるわけでございます。五十六年度の千二百億円の調達につきましても、そういった電信電話債券の発行あるいは引き受けをいただくという中から調達をするという方法を考えております。
  166. 大森昭

    ○大森昭君 とにかく四千八百億円召し捕られて、利子が三千四百億ついて、それでも公社経営に支障はあるけれども、公社の経営には最善の努力を尺くすと電電公社が言っているわけですから、これはここで質問したり、なお議論を詰めてもあれなんでありますが、少し過大ですよね、これは大蔵大臣ね。四千八百億円を取って三千四百億また利子を払うわけですからね。そうすると、一口で年に千二百億ずつ四年間で国庫へ納付してもらうということだけでは済んでないんですね、これは、現実問題として。ですから、そういう意味からいきますと大変なやはり公社には負担をかけているということを大蔵省考えてもらわなきゃいかぬし、とりわけ五十七年で電話の拡充法が切れるんでしょう。今後どういうふうな資金調達の長期的展望を持っているかわかりませんが、一体こういう状態での今後の長期展望は電電公社としてどういうふうに考えておるんですか。
  167. 岩下健

    説明員(岩下健君) 今後の資金調達の見通しにつきましては、端的に申し上げまして非常に厳しい局面を私どもとしては予想をしております。と申しますのは、サービスの整備拡充に伴います設備投資につきましても、今後とも相当額を必要とすると考えられております。五十六年度はこれが一兆七千七百億円でありますが、今後さらにこれの増加も予想されるわけでございます。加えて五十八年度から五十九年度にかけまして、先ほど申し上げましたような電信電話債券の償還額もかなり増加をいたします。そこにただいまの国庫納付金の毎年千二百億円というものがあるわけでございます。  これに対する調達の方法といたしましては、料金の値下げ等の要因も含めまして収支状況は必ずしも今後はよくならないといいますか、むしろトレンドとしては悪化するんではないかということが予想されますだけに、増収あるいは経費の節減といった努力を重ねながら、まず第一に、内部資金の充実に努力をしてまいる所存でございます。と同時に、外部資金の調達のパイプの多様化ということも数年前から努力をしてまいりました。国内における公募、特別電電債の発行あるいはいわゆる外債の発行、さらにまた最近では市中金融機関からの借り入れ、こういった形で資金調達の多様化に努力をしております。と同時に、政府からのいわゆる安定した、また金利の低い財政資金の供与という形の協力もぜひ期待をしたいところでございます。  御指摘の拡充法の期限切れということを迎えまして、こういった近い将来の局面としては大変厳しい状況を私どもとしては覚悟しておるわけでございますが、しかし先ほど申し上げましたような幾つかの方途、また経営努力というものを精いっぱいやりまして、何とかこの厳しい局面を切り抜けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  168. 大森昭

    ○大森昭君 いま郵政大臣、公社の方が言われたような状態で、そうはた目で見て実情は裕福な財政じゃないんですよね。ということになりますと、今後拡充法をどうするかということもあるでしょうし、公社経営を健全に確保していくということになると、監督機関としての郵政大臣の見解はどうですかね。
  169. 山内一郎

    国務大臣(山内一郎君) 今回納付金を納めるとすることになると思いますけれども、その場合は公社の経営というのは私は大変なことになると思うんです。そう簡単じゃないと思うんです。ただ耐えられない限度ではないと思うんです。最近の実績からいきまして。大分財務状況もよくなっておりますし、それからいろいろと新しい技術の開発もやっていただいている。また経営の努力もやっていただいている。そういう実績に照らし合わせまして、今後大変でございますけれども、懸命な努力をしていただければ、納付金は納め得るというふうに考えているわけでございます。ただ収支差額というものは年によって違ってまいりますけれども納付金を納めている間ずっと、じゃ黒字になるかどうかということは公社の経営の努力いかんにかかわる問題でございますので、その点はひとつできるだけ黒字を続けていただくように御努力をお願いをしたいと、こういうふうに考えております。
  170. 大森昭

    ○大森昭君 きのうの逓信委員会における公社側の見解と、まあ大臣は努力目標のお話ですから高邁な話をしていますがね、電電公社は今後の収支見通しは、いま大臣が努力してもらいたいという話がありましたけれども、五十九年度までの見通しはあるんでしょう、納付金を納めるということをあれしたわけですから。
  171. 岩崎昇三

    説明員(岩崎昇三君) お答えいたします。  五十六年度の収支差額は九百三十八億円ということで予算が決められておるわけでございますが、それの中身といたしましては、昨年十一月に実施いたしました夜間割引時間帯の拡大、それから深夜割引の新設、それらの影響と、五十六年度に法案でお願いしておりますところの遠距離通話料金の値下げ、それから日曜祝祭日の割引、さらに納付金の影響というようなもの全部組み込んだものでございます。  それで、五十七年度と申しますのも、特段の大きな景気変動といいますか、経済情勢の変動がなければ黒字でやっていけるであろうという見込みを立てております。それ以降五十八年度、九年度と申しますのは、やはり逐年収支の状況は悪化するんではないかという見込みでございます。ただ、いろいろと料金の割り引き等実施しながら早期に収支が赤字になるということでは公社としては利用者の方々に申しわけないわけでございますので、現在増収並びに経費節減といいますか、効率的な経営を行うにはどうしたらいいかということを検討中でございまして、そういうような努力の結果、一年でも長く五十八年、五十九年、いまのところ五十九年までどうかということはお答えできる状況にございませんけれども、少しでも長く収支差額を黒字で保っていくという努力を続けてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  172. 大森昭

    ○大森昭君 そうしますと、大蔵省と郵政省で毎年千二百億ずつで四年間でと五十九年度までの話があって協力を要請されたわけでありますが、公社としてはその五十九年度までどうなるか、いわゆる見通しも立てずに納付金を納めるというふうに決めたんですか、総裁どうなんですか。
  173. 岩下健

    説明員(岩下健君) 五十九年までの将来見通しもなしに引き受けたということではございませんで、この納付金というものの性格が先ほど申し上げましたように、国の財政再建ということのために公社の持っている事業活動力といいますか、これをフルに発揮するということを政府としても期待されての強い要請というふうに受けとめているわけでございます。したがいまして、この国庫納付に伴いまして公社の持っているマンパワーあるいは設備あるいは技術、こういったものをともかく一〇〇%、限度いっぱい活用すると、いわゆる経営努力を重ねるということによって何としてでもこの国庫納付金による財政上のインパクトは吸収といいますか、それによって経営に影響を与えないように努力すると、そういういわば決意のもとにこの国庫納付の御要請に応ずることにしたということでございます。
  174. 大森昭

    ○大森昭君 監督機関が郵政省で、お金を持っている大蔵省から両方で言われたわけだから公社にも限界があると思いますがね、しかし公社の経営の責任を持つのはあなた方なんだよね。だから仮に国の要請でやむを得ないということであっても、いまの状態で行くと五十八年はかくかくしかじか、五十九年はかくかくしかじかとならざるを得ないけれどもというものがあって納付金を承諾したというならわかるけれども、政府がそれ決めたんだから納めるけれども、後は五十八年も五十九年もどうなるかわかりませんよなんという、そういう無責任な態度というのは全くお粗末限りないですよ、これは。いずれにいたしましても、赤字になれば料金改定ということになるわけでありますが、過般の郵政大臣の御答弁では、五十八年度以降きわめて苦しくなっても納付金を納めている間は料金値上げというのは利用者の納得を得られないだろうというお話があったようでありますが、郵政大臣、この辺はどうなんですか。
  175. 山内一郎

    国務大臣(山内一郎君) 公社に一生懸命勉強していただいて現在の料金水準を維持してもらいたいと思っているわけでございますが、いま大森委員のおっしゃいましたような事態になって値上げの案を出した場合ですね、私は、電話を利用していただいている方には、納付金を納めながら値上げするとはどういうことだという値上げの御納得はいただけないものであるというふうにいま考えております。
  176. 大森昭

    ○大森昭君 そこで、しばしば経営努力をやってという話があるんですが、いままで自動化するのにも、大分電電公社自身もそうだし、郵政事業が委託をしておる事業所もそうだし、最大限合理化には、電電の組合もそうでありますし、郵政省所管しておるその方の組合の方も協力してきたと思うんですよ、大変な協力なんですよ、自動化を完成するまでには。そういうことを考えますと、これからの経営努力に大いに期待をしたいというんですが、当面電電公社として経営努力の期待というのはどういうことを考えておるんですか。
  177. 守住有信

    政府委員守住有信君) 先生御指摘のように、かつて電話の自動化ということで郵便局の段階、公社の段階、いろいろその間の円滑な移行ということで御苦労があったわけでございますが、さらに今度は、公社の問題といたしましてやはり電電公社の仕事、総裁もよくおっしゃいますけれども、全国的なネットワークの一つの装置産業でございますし、情報化社会に向かってこの利用の増と申しますか、需要増というもの、さらには高度化、多様化という方向へ向かっての進展があるというふうに見ておりまして、その電話網さらにはデジタル網と申しますか、そういう高度化に向かってのいろんな技術開発能力を発揮した新商品と申しますか、需要に即応したものを開発し、その需要に即して増収を図っていくということがあろうかと思います。もちろん合理化の問題もございましょうし、いろんな冗費の節約や経費の節減等々の問題もあろうかと思いますが、そういう点で私どもとしては、公社全体の技術力あるいは設備力あるいはマンパワー等々含めましてそれに期待をしておる次第でございます。
  178. 大森昭

    ○大森昭君 経営の努力なんというとすぐ経費を節減したいとかいうことが出るんですがね、何と言っても経営を改善をして努力をさせるというのは、公社の中に働いている人たちをどういう形で意欲を持たせて公社の多くの施策を進めていくということが基本だと思うんですよね。何か経費の節約をしてとか何とかというお話はある意味ではむだがあれば当然やってもらわなきゃいけないことでありまして、それは限界があるんですね。とりわけ、いまの電電公社の業務というのは新しいものを開拓していくわけでありますから、したがって先ほど言ったように、多少の剰余金が出ても建設投資をしなきゃいけないんじゃないかと、だから剰余金が出たからと言って国庫納付金として召し上げるのはいかがなものかという指摘をしているんですよ。  そこで総裁、新しく民間からお見えになりまして、目下公社全体の中を総体的に見直しておられるんだろうと思うんでありますが、たとえば給与総額の問題などについても民間とはこれまた違った形で公社の枠があるわけでありますが、就任早々でありますから、何もかもということではないのでありますが、経営努力をするという意味合いからいって、何か総裁就任でお考えになったことありますか。
  179. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) 電電の経営がだんだん苦しくなるということはいままでのお話のとおりでございまして、私ども当事者は、これを値上げを伴わずに収支バランスをとっていく責任があるというふうに心得ております。しかしながら、これから先のインフレの傾向、あるいはいまの納付金の問題、それからその他をいろいろ考えますと、現在まで電電がやってきております経営のあり方ではとうてい赤字を出さずに切り抜けすることは不可能だというふうに考えております。したがいまして、現在の公社法に明記してある範囲内のことを実行できるように、個々の問題についてそのうちにいろいろ御当局にお願いをしたいと、またしなくちゃならぬと思います。それが実行できれば私は何とか切り抜けるんじゃないかというふうにいま感じております。その点また後々いろいろお願いすることがあるということをはっきりここで申し述べておきたいと思います。
  180. 大森昭

    ○大森昭君 それで大蔵大臣ね、大変厳しいけれども大蔵大臣がまあ頼むということでもって一生懸命これはやるわけですな。いずれにしても経営努力をいたしまして公社運営に成果を上げなきゃいかぬということの宿命をしょったわけですよ。  で、いま総裁からも言われましたけれども、いろいろ公社内における規程の改正とか、あるいは予算総則の改正だとか、いろいろ何かあるんだろうと思いますが、きょうは具体的な問題は出されませんでしたけれども、この公社運営の中で一番阻害をしているのは、端的に言いますと大蔵省なんですね、端的に言いますと。なかなか公社の方の皆さん方が弾力的に、そしてまた効率的に事業運営を図ろうとしても大蔵省がガン——ガンと言うと怒られますが、頑迷なところがありまして、いままでずっと質疑をしてきましたように、総裁の発言ではありませんが、最大の努力をするというわけでありますから、どうかひとつ、成果が上がったときは、労働条件の問題は労使間でやるんでしょうからあれですが、大蔵省としてもどうかひとつ、いまの公社運営を弾力的にやるということについて、それにふさわしいことをひとつ大蔵省としても措置をしていただきたいと思うんですが、どうですか。
  181. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 国民の理解と協力が得られるような中で何かうまいことはないかと思って考えています。
  182. 大森昭

    ○大森昭君 いずれにいたしましても、納付金を出せ、経営努力をしろといっても勤労意欲もわきませんよ、正直言って。それだけをやはり押しつけるなら押しつけるなりに、働く人たちに意欲を持たせるようなことをぜひひとつやっていただきたいと思うんであります。  この間、期末手当の問題でもいろいろ総裁も御努力をされましたけれども、当然経営の状況がよくなるということはそれだけそこに働いている人たちは多くの努力をしているわけでありますから、どうかひとつそういう点に報いるような施策をいたしていただくことをお願いをいたしまして、ちょっと時間が早いようでありますが、協力する意味で質問を終わりたいと思います。
  183. 白木義一郎

    白木義一郎君 初めに中曽根長官にお伺いをしようと思ったんですが、何かかぜを引かれてぐあいが悪いということで、まことに残念でございますが、かわってお尋ねをしたいと思います。  今回の、私も大森委員に口を合わせて召し上げ納付金という表現をいたしますが、それについては、この口火を切ったのは長官だと伺っております。そして、五千百五十億電電公社から巻き上げるべきであるというような旗を振られたと伺っております。その後いろいろな交渉経過があって、現在四千八百億、こういうことでいま議論がされておるわけでございますが、その間の事情についてひとつもう一回御説明を願いたいと思います。
  184. 中庄二

    政府委員(中庄二君) お答え申し上げます。  去年の九月でございます、閣議で今後の行政改革の進め方をどう持っていくかという中の項目の一つに特殊法人の経営実態の見直しということが出てまいりました。その前から、中曽根大臣赴任の後から私ども事前勉強を命ぜられておりましたが、政府でそういう方針が決まりましたので、私どもで特殊法人全部の、百ちょうど九でございますが、当時の財務諸表を集めて一わたりの、全部分析をいたしました。その後、約二十一の法人でございますが、特殊法人の累計がたくさんございます。その累計別、それから国庫納付の累計がございます。累計別の調査をいたしました。その後、次第に私どもの所見なりを財政当局等にお伝えをいたしまして、行管といたしましての最終案を十二月の初めに出しましたのがただいま先生御指摘の額でございます。  考え方につきましては先ほど申し上げましたところでございますが、財務諸表等の分析をいたしました。過去の、五十四年、五十五年の分につきましての詳しい計算等をいたしまして五千百億というものを出した次第でございますが、その後、政府部内での検討それから大蔵当局と郵政当局等との御検討の結果、今回の法案の形になった次第でございます。
  185. 白木義一郎

    白木義一郎君 行政管理庁が値切られた、こういうことになるわけですね、結果的に言いますと。  そこで、それについてこの話が広がりましたときに、逓信の委員会においてこの議論が行われましたときに、郵政大臣は、笑わぬ殿下ほどではありませんけれども、非常に謹厳寡黙な面持ちでいつも委員会に臨まれているんですが、その郵政大臣がさらに厳しい目つきをして、大変な怒りをまさに爆発せんような面持ちで答弁をなすっていたことがいまだに私は脳裏から離れないわけでございます。いつもポーカーフェースの大臣がこの問題に限ってはきわめて厳しい目つきと風貌をされた、そしてこの納付金が行われている間はどんなことがあっても値上げはすべきでないと厳然と確信を述べられたことをいまもって覚えているわけでございますが、その後いろいろ交渉があったようでございます。その後大変電電公社の方も姿勢が変わります。現在では協力金としてこれをとらえていこう、こういうお考えを発表をされておりますが、総裁、改めてお考えを伺いたいんですが。
  186. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) さっきから御説明しておりますとおりに考えております。
  187. 白木義一郎

    白木義一郎君 それで、いままで伺ったところでは、電電公社は大変な黒字だから政府に協力せよということが、先ほどは伏してお願いしたというようにだんだん移り変わってきているわけですが、公社の方としてはあくまでも協力をしていこう、こういうことですが、協力をするという考え方からは借金をしてまで協力をするというのはちょっと考えられないんじゃないかと、こういうように思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  188. 岩下健

    説明員(岩下健君) 私ども本件につきまして、先生おっしゃいますように、協力金の拠出というふうに基本的に受けとめておるわけでございます。で、ただ政府関係機関として国の財政にやむを得ず協力をするということになりましても、現実の資金調達の問題になりますとそれだけの余裕はございません。したがってその資金源としては外部借りに求めざるを得ないということでございます。この協力金ということの意味合いは、もちろんいわゆる税ではございませんし、言葉のとおり、ほかに的確な表現がございませんけれども財政再建への協力金の拠出というふうに基本的に受けとめているところから先ほどの資金調達の方法も出てまいったということでございます。
  189. 白木義一郎

    白木義一郎君 資金調達というような言葉を使いますとかっこうがいいわけですが、実際は借金をして大蔵大臣の顔を立てると、こういうことにどうしても聞こえるわけです。そのかわり、大蔵大臣の方は財政投融資をサービスするからそれで賄っていけと、こういうふうに伺っているわけですが、そこで、そもそも何がために協力するかというと、政府が大変な赤字を、国債を背負っている、七十兆五千億。そのうちの特例国債は二十八兆二千五百七十一億円を五十九年度末までにゼロにする。そのためには協力をせよと、あるいはまたお願いもすると、こういうことなんですが、そこで端的に伺いますと、この協力をするためには調達をしなければならない、その調達の主たる財源は借入金と電電債である、こういうふうに伺っているわけですが、そこで特例公債の利息と、それから電電債の利息の内容をお知らせ願いたいんです。
  190. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 建設公債と特例公債を合わせました公債の利払いと償還額を合わせたものを国債費というふうに整理いたしておりまして、その合計額が五十六年度でたしか六兆六千億だと思いますが、先生の御質問はその中で特例公債の利息分が幾らかと、こういう御質問でございますか。
  191. 白木義一郎

    白木義一郎君 そうじゃなくて、特例公債の利率は幾らで、電電債の方の利率は幾らか。
  192. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 手元に資料はございませんけれども、記憶によりますと、国債の応募者利回りでございますが、八・二二七%でございます。
  193. 岩下健

    説明員(岩下健君) 電電債の種類、現在約四種類ほどございます。で、種類ごとに若干応募者利回りから見ました金利は違いますけれども、現時点では大体応募者利回りベースで見まして八・三%前後でございます。
  194. 白木義一郎

    白木義一郎君 大蔵大臣、いまお答えがあったように、国債の方の利率は応募者の利回りは八・二二七%、それから電電債の方は八・三二九%、電電債の方が利率が高いわけです。ですから高い金を借りさして、それでこっちへ穴埋めをさせるというのはちょっとそろばんが出てこないんじゃないかと。国債の方が利率が高くて、払わなきゃならない、それはつらいからひとつ公社の方で利率の安い金を調達してそれで応援してくれと、こう言うならあたりまえですけれどね。わしは困っているんだから何でも構わない、高くても何でもいいから金を耳をそろえて持ってこい——こうじゃないでしょうけどもね。そういうように私は思うんですが、いかがですか。
  195. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 根本がこれは違うわけでございましてね。利率だけの計算をやると建設資金として予定しておいたお金が一時ここへ納めなきゃならぬと。それじゃ足らないだろうからと、財投の方はそのかわり運用利回り八%の利回りはお貸ししているわけなんです。お貸しするわけです。ですからその利率だけの話では事の真相はわかりませんでして、要は一兆六千億円の要するに利益積立金、普通の会社だと利益が出たときに大体半分近いものを税金で納めるわけですよ。国際電電なんというのはもう——電電公社と全く一致した私は考え方ないんですよ。ないんですけれども、御参考までに申し上げると、大体千四百五十億円の収入がございます。それで約二百億円税金を納めていただいておる。民間はみんなそんなことです。したがいまして、本来ならば仮に電電公社がもしそういうような税金を納める立場にあれば、当然半分ぐらいのものはとっくにもう税金で納めていなきゃならないと。しかしながら、これは何といっても電話というものが積滞が多くてそうしていっぱい投資をしなければならないという状態のときがございまして、そういうようなものは納付金の構想もあったけれども、とりあえずは国に納めるということよりもまず電話の拡充をしろと、どんどんどんどんみんな、電話希望のあるところはみんなつけてやれ、そういう方の金を回せというようないきさつで納付金制度という構想が法案であったんですが、さしずめ積滞というものがあるからこれは納付金やめということになって、納付金をしないからその分だけはよけい仕事ができたということは確かに言えるだろうと思うんです。そういうような状況で来たんだけれども、先ほどお話があったように、そんなにもうかっていろんならば民間に、利用者の金だから利用者に返したらいいじゃないか、こういうような御発想もございます。それも一つの方法でしょう。公共事業というものはみんな民間から金集めるわけですから、東電でもどこでも民間から集めてもうかっているんだから、もうからないとんとんのところまで民間に電気を安くしろという理屈もそれはございましょう。決して間違っている議論だと思いません、私は。しかしともかく、今回は国の方も非常に困っておるので、そういうような積立金のうちから毎年千二百億円、合計四千八百億円四年間でひとつ取り崩して協力をしてもらいたいと、そのためには現金がないから一時は借りるということをいたしますが、借りた借金の利息というのは、これはともかく売り上げの三%強の納付金でございますから、生産性の向上の中でそれは消化をしていただきたいということを申し上げておるわけでございます。したがって、利息の議論だけしてもいかがなものかと、かように考えます。
  196. 白木義一郎

    白木義一郎君 長い間大蔵大臣の答弁を伺っていますと、自信のあるときには非常に簡潔に、納得のいく答弁をずばりとなさるわけです。ところがそうでないときは、優秀な頭脳をフル回転して答弁をなさるわけです。  そうしているうちに、電電公社の生い立ち、歴史と、それから一般私企業とを同じように考えられて、普通の商売だったら税金をちゃんと納めるんだと、だけれども公社は納めてないじゃないか、その分だけ納めればいいんだという協力をお願いしているんだと、こういうことなんです。となると、もうかっている、もうかっているというから出せということだとすると、普通は利益金から納付するのが普通なんですが、いままでのお話を聞いていますと、実際に納付する金がないんだと。だから借金をして納めると。公社が借金するくらいなら政府が借金をした方がいいんじゃないかと、はっきりして。それを、いままでさんざん放漫に赤字国債を発行したために、どうしてもここで区切りをつけなきゃならないためにひとつ公社は泣いてくれと、後はよきに取り計らうというようなことじゃないか。そこで先ほど申し上げたとおりに、郵政大臣もふんまんやる方ない、言葉はおっしゃらなかったけれども、表情にお出しになったんじゃないかと思うわけです。  そこで、さらに大臣の御答弁を伺っていますと、加入者への還元と同じで、この金は文教とかあるいは科学技術とか、福祉に使っていくからいいじゃないかということですが、それでは軍事費ですね、防衛費の方にもこの金は回っていかないのかと、こういう心配をするわけです。あえていままでの御答弁に防衛費というのは入ってないわけです。軍事費と言っている人もいますけれども。振り分けていきますとどうしてもそっちの方へよけい納付金が行っていると、こう思うんですが、いかがでしょう。
  197. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) おっしゃるとおりでございます。一兆三千百七十二億という歳出の増加があったわけですから、一兆四千億円の増税をいたしましても、政府の一般歳出に回せるお金は一兆一千億円でございますので、その他の不足分を電電公社の納付金とかその他のものでそれは足して、一兆三千百七十二億という分だけふえたわけですね、一般の歳出増が。その中では、確かにいま言ったように社会保障、恩給、文教、科学技術、経済協力で八五%になります、ふえた分の。だから、確かに防衛費も一二・九%そのシェアを持っているわけですから、どの金がどこへ行ったかというようなことは、これは一緒にしちゃっているわけですからわかりませんでして、電電公社から出た金も、じゃ防衛費の方へ一二・九%、千二百五十億の一二・九%行ったんだろうと言われれば、それもさようでございますと言うほかはないわけであります。
  198. 白木義一郎

    白木義一郎君 これは、私がちょっと皮肉を言っているだけのことです。  そこで、この特別措置に関する法律の第四条一項、二項によりますと公社法「第六十一条第一項の規定による積立金の額から減額して整理するものとする。」、こういうふうな法律になっておりますけれども、このまま私は読むと、積立金の額から減額して納めなさい、こういうことで、いろいろと細工をして調達して納めるとは決して言ってないよと、こういうように読んだのですが、その点いかがですか。
  199. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) これは要するに、公社の経理の問題でございまして、資本準備金、利益準備金、その中に積立金といいますか、いろいろな言葉を使いますが、その中から減額をするんでございますと、したがって、これは経費には入らないのでございますと、経費にはなりませんということであります。
  200. 白木義一郎

    白木義一郎君 そうであれば、あえてこんなにはっきり二項なくたっていいと思うんです。紛らわしいだけだ。  そこで、この問題を私は狭い立場で考えてみたんですが、おやじがせがれにすねをかじらして、息子が独立をした。これからはおまえ一人で生きていくんだぞ、しっかりもうけろと。いよいよとなったら、おれがおやじだから拾ってやるけれどもというんで、せがれが世帯を持ち、営々としてかせいだわけです。そうしてもうけて、家の一軒もというので小さな家を一軒持って、一生懸命かせいでいた。ところが、おやじが極道しまして大変な借金をしたと。だから、おまえは昔すねかじったじゃないか、おやじがこうやって困っているんだから金を出せと。それはお父さん、そうはおっしゃるけれども、いま私この家を売ったら、女房子供行くところもないし、後の商売に困るんだと。困ろうが何だろうが、何とかサラ金からでも借りておやじを助けろと、こういうことじゃないかと思うんです、国というものと一軒の世帯とを比べますと。ですから、ずばりと言うと、政府がかっこうよく一生懸命かせいできた公社をおどかして、召し上げた——ぼくが言ったんじゃない。召し上げたと皆さんが言うから私も召し上げたと。こういうことで、まことにさっぱりしないやり方じゃないかと。まだまだ精鋭秀才のおそろいになっている政府あるいは各省のエキスパートが真剣になって対処なされば、私もこんな言い方をしなくても済むような財政再建ができるんじゃないかと、このように思います。  それで最後に郵政大臣に、前に申し上げたとおりに、この納付金の間は値上げをさせない、すべきではないという御答弁を伺いたいと思います。そして大蔵大臣からは、ひとつおまえの考え方も一つの見識だというような御答弁をいただければ……。
  201. 山内一郎

    国務大臣(山内一郎君) 納付金を納めることによって電電公社の経営は私は大変だと思っているわけでございます。しかし、最近の企業努力あるいは技術の開発、こういうものを見てまいりますと、納付金を吸収し得る限度内に私あるんじゃないかと、こういうふうに考えているわけでございます。したがって、経営状態がこれからどうなっていくかと、昨年、夜間の深夜割引やったのでございますが、通話回数というものは従来よりうんとふえてきたと、こういうような経緯もございますし、五十六年にもまた割引というようなものも考えておりますが、いろいろ工夫をしながら何とかして従来の料金の水準をひとつ守っていってもらいたいという心から念願を持っているものでございます。  そこで、いよいよ収支差額が赤字になったからというので、これは納付金を納めている年度内の話でございますけれども納付金を納めながら値上げをするということは、いまの電話を利用されている方には非常に理解のしにくい問題であると、こういうとらえ方をしているものでございます。
  202. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 私は、そういう考えもあろうかと思いますが、しかし長男が非常にいい暮らししていると、何とかね。しかしお父さんの方が困ったと、次男も、六男も七男もいるものですから、六男や七男の病気の人もいるしいろいろいるので、お金が要だから暫時立てかえて借りてきてひとつ助けてくれと、そのかわりその借金、借りたものは家を売っちゃだめですよ、節約をしてだんだんに払うんですよと、そういう言い方もあるんじゃないかと思っております。
  203. 山中郁子

    ○山中郁子君 十分間の質問ですので、三点お伺いできればと思っています。  私は五十一年に電電公社が赤字だからといって値上げを提出したときに、これはつくられた赤字である、第一に、莫大な設備料を損益勘定に入れないで資本勘定に入れてしまっているじゃないか、それからさらには過大な減価償却をしている、そして国民の電話利用に必要でない大企業向けの莫大な設備投資をしている、そういうところからつくられた赤字で、それを理由として値上げを要求することはけしからぬという立場でかなりいろいろと論議をいたしました。そのとおりになったと私は思っています。つまり、そんなことして値上げしたらあなたの方、お金もうかり過ぎて困るんじゃないかということまで私は申し上げた記憶があります。で、結果的にそのとおりになったじゃないかと私は思います。  そのことをまず前提として大蔵大臣にお伺いしたいんですけれども、「歳出百科」でもそうなんですが、公共料金の問題について大蔵省は、「歳出百科」から引用させてもらえばこう言っているんですね。「公共料金を抑制するためといった目的での財政援助を行うことは、国民の税金を特定の公共料金関係事業に注ぎこむことであり、受益者負担の原則から、本来そのサービスの利用者が負担すべきものを納税者一般に負担させることであるので、負担の公平の見地から問題があります。」と、こういうことを言っておられる。これはいままで電電料金に限りません。国鉄それから郵便その他公共料金の値上げのときに必ず政府が言ってこられた理屈です。で、今回私は、こういう経過でもって利益金を上納しろということについては、この理屈自体がまるっきり矛盾するじゃないかと、負担の公平を欠くと、それだったら利用者の料金によっての利益と見られる電電の利益から一般財政に納入させるということは全く理屈が通らなくて矛盾しているわけで、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  204. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) ともかくもうけ過ぎたと私は思っておりませんが、まあ結果的に労使の御協力、時代の流れ、いろいろございましょう。そういうようなことで利益が積み立てられたということは大変結構なことじゃないか。しかしそれは、料金を上げ過ぎたからだという見方もそれはあるかもしれません。しかし、労使双方の協力でそれは節約ができたかもしれませんし、それからもう一つは、大変いい景気にぶつかって、それで電話の利用とか、もう長距離電話をどんどんかける人が出たりして収入がふえたかもわからない。いろんな私は理由があると思います。それを国民に、利用者だけに返すという手も一つでしょう。しかしながら、国家財政が非常にピンチに立っておって増税をしても足りない。増税をもう少しするか、増税をしないか。二千億分だけはすでにもう先にそういうものができているわけですから、それをやはり政府の窓を通して国民に分配したということも言われると私は思うんです。
  205. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は基本的な理論の問題言っているんです。政府は公共料金を赤字だから上げると、こうおっしゃる。私どもは国民生活からいって、前提として先ほど申し上げた考えを電電料金について私は持っていますけれども、それはさておくとして、必要なものは国が出すべきじゃないかということを言ってまいりました。その都度政府は、先ほど私が「歳出百科」の中から引用したように、それは公平な負担を欠くんだということを言っておられたわけね。つまり、利用者が享受すべきいろいろな問題について一般の税金からそれにつぎ込むということは公平じゃない。じゃ逆に言えば、利用者が料金を払って生み出されたものを一般の税金と同じように国庫に納入させるということはやはり負担の公平を欠くんじゃないですか、同じじゃないですか。だから、あなた方が今回このことで理屈でおっしゃっていることは矛盾はしているんでしょうということを申し上げている。ちょっと簡単に答えてね。
  206. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 私は矛盾していると思いません。
  207. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、どうして公共料金を値上げするときだけ国の方から出さないで、そして利益があったと見たらそれは国へ吸い上げる、それが成り立つんですか。
  208. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 先ほど私が申し上げたように、値上げの幅だけが大きかったから利益が出たというばかりでなくて、いろいろな景気やその他がよくて——不景気になっちゃって電話利用者がうんと減っちゃったというようなことになればそんなの出てこないわけですから、それから労使の要するに努力によって生産性を上げたという結果も出ているかもしれませんから、私は値上げの幅だけでというわけにはいかないんじゃないかということが一つ。  それからもう一つは、やはり今度は国の方で集めて還元する場合も、電話普及率は国民の七〇%ですからね、そうすると国民と利用者というものは大体同じようなものですわね、これは世帯ごとにほとんど電話が入っていますから。だからそこへ還元されたという見方もできるじゃないかと、そう思って言ったわけです。
  209. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは値上げの場合だって同じなんですよね。逆に国がお金を出す必要があるという場合にだって、それがたとえば料金部分にだけ相当するのかということになればそうではないし、公社の収入が料金であるということは、もう主要な柱がそうであるということははっきりしているわけですから、そこのところは時間とれませんからこれ以上やりとりはできませんけれども、明らかな矛盾であるということを指摘しておきます。  次に、大蔵省にもう一つお伺いしたいことは、昨年十一月に郵政省との折衝の中で提案した内容として、収入の一定率を納付金とする、これをコストに算入して損益勘定に入れて、赤字になったら値上げをすればいいと、大体こういう間接的な電話税と言えるような提案をしたということが報道もされていますし、私どもが担当の方からいろいろお話を伺う過程の中ではそういうことも述べられておりましたけれども、この法案ではもちろんこれは採用されてないわけですよね。このお考えは当然消えた、捨てたと理解してよろしいわけですね。
  210. 西垣昭

    政府委員(西垣昭君) 先ほどもお答えいたしましたように、今回の措置は臨時特例措置として積立金から取り崩すということでございます。ただ立法論、制度論といたしましては、外国の例にございますように企業体から納付金を取り上げるという制度と、それから電話利用税というような税金の形で吸い上げる制度と二つございますし、それから納付金の中にも収入を基準にいたしまして一定の収入に対する一定率というふうな納付金基準を持っている国もありますし、利益を上げた場合の利益の一定割合というようなこともございます。そういったことで、制度論としてはいろんなことが考えられるわけでございますが、今回とりましたのはそういった恒久制度ではなくて臨時特例ということで利益積立金の中から取り崩す、こういう仕組みでございます。
  211. 山中郁子

    ○山中郁子君 私がお尋ねしたことにストレートにお答えになっていないので困るんですけれども、先ほど申し上げました大蔵省が過程の中で出してきた考え方は捨てたと、消えたという理解をせざるを得ません。時間がないからもういいです、その点は。  それでもう一つ、これは電電公社にお伺いしたいんですけれども、私は、こうした問題は、まず、とにかく利用者に還元すべきであると思います。それは具体的な料金引き下げという形ないしは——そういうことも当然前提ですけれども、と同時に、利用者サービスの拡充ということも出てきます。利用者サービスの拡充の中でやはりいま一つ大変重要な問題になっているのは、電話料金が請求されても自分が本当にそれだけ使ったのかどうかわからないような仕組みになっているということなんですね。これはもう申し上げるまでもなく、新聞でもいろいろ報道されたりさまざまな意見も寄せられておりますし、一種の社会問題ともなるし、事故が起こるたびにそういう現象としてあらわれるわけです。私はこれは、公社がすでに四十八年に単独用可視式料金即知方式、つまり、宅内度数計ですね、これの検討経緯ということで出した時点ですでにこのことは技術的に解決をしたと、「可視式即知は一次、二次の試用試験を実施し、商用に供し得るとの結論を得た」ということをちゃんと述べておられるんですね、もう大分前ですよね。私も専門家からも話をいろいろ聞きましたし、調査もいたしまして、確実にこれは実際に商用化できるんですね。にもかかわらず、公社はそれを一向に本格的に、具体的に商用化しようとなさらない。ここに私はやはり一つの大きな問題があって、こういうところにこそ、料金の引き下げと同時に、公社がもっともっと力を入れていかなきゃいけないところだと思っておりますけれども、ぜひこれを、たとえば最初の手がかりとして、制限された地域でいいですよね、一部地域に先行的に、試験的に実施をするというところにぜひとも踏み切っていただきたい、その具体的なお約束をいただきたいと思います。総裁にぜひそのお約束をいただきたいと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  212. 稲見保

    説明員(稲見保君) お答えをいたします。  確かにおっしゃるとおり、お客様の手元に使った都度の料金額が表示できるということになりますと大変便利であるということはおっしゃるとおりでございます。電電公社としてもいろいろ検討を続けてまいっておりますが、具体的に実用に供するという段階までには、ハードウエアと申しますか、装置自体についても、安くてかつ信頼性があるということが必要条件でございますし、さらに実際にお客に提供するということになりますと、そのことによって新たなトラブルと申しますか、疑問といったようなものが起こらないような仕組みを考える必要がありますし、それから運営上の総合的なコストが一体どうなるかということもよくよく詰めまして、総合的に安くて、使いやすくて、信頼性もあって、トータルコストも上がらないというふうなものでなければなかなかこれは踏み切れないという問題ございまして、私どもとしては技術面、運営面含めて検討を続けておると、そういう状況でございます。
  213. 山中郁子

    ○山中郁子君 総裁にひとつ。
  214. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) いまお答えしましたのが大体実情でございます。できるだけ早く実現をするように努めたいとは思っておりますが、いろいろまだ研究しなくちゃならぬ問題もございます。御趣旨はよくわかっております。
  215. 三治重信

    ○三治重信君 これは電電関係質問時間ですけれども、電電関係の方は私は質問をいたしません。この電電の何というんですか、財源の拠出については行政管理庁が大分協力されたということで、行管の関係がこの合同審査で出ておられますので、行政管理庁の行政管理の部面で一、二御質問をしたいと思います。大蔵大臣、結構です。  私は、労務関係のちょっとお尋ねをしたいんですけれども、敦賀の原発の事故できょうなんか大きくサンケイ新聞に報道されているわけなんですが、通産省の現地の原子力発電所の監督官が、農林省の米の検査官を長年やっていた人が、いままでの行政管理庁のいわゆる行政改革による配置転換で通産省の方に行かれた人だと。まあ米の検査官が原発の発電所の保安、安全の管理ができるかというような問題で大きくけさのサンケイ新聞でやっているんですが、これは行管はそこまで、配置転換の後の訓練や、その人がどうかというまでとても責任負えないと、まあこういうようなことだろうと思うんですけれども、これは今後の行政改革を、機構改革や人員の配置転換というものは、まあ首切りをやらぬで行政改革をやろうとすると、配置転換はこれは非常に重要なことなんです。それを今度の原発の保安管理のずさんさと、また監督がそれを知らない人のように出ているんですけれども、技術的な問題はとにかくとして、行管として、こういうふうな配置転換で行った人に非常に迷惑がかかるというような問題では今後の第二臨調の行革も非常にまずい印象を国民に与えるのではないかと思うわけなんです。それでひとつ、事実こういうような配置転換であって、こういうようなことが本当にできないものか。何か、どうもやっている与えられた仕事というのはそんなにむずかしいことではないわけなんで、一定の報告をとってそういうことが間違いなく行われているかどうかということを監視監督するだけの問題で、特別そういうことが技術的な、本当の専門的な技術者でなければそれが勤まらぬ職種ではないように見えるわけなんですが、そういう専門的なことはとにかくとして、こういう配置転換の上における受け入れ側、また出す方の側も、職種やなんかもよく照合してやるというようなことで、ひとつ政府全体として、もう少しこの配置転換について真剣ないろいろの討論や受け入れ、供出側の個別的なものまで入る配転体制というものをつくる必要があるんじゃないか。  なぜこういうことを言うかというと、民間においては第一次、第二次のオイルショックの後、大量の首切りが本当は当然出ているやつを、実際はほとんど出なかったというのは、みんな相互のいわゆる超企業的な配置転換まで、あるいは一次の出向制度まで大量にやっているということが非常に大きな原因。だから自動車産業が造船企業から何万人と各企業が受け入れている。それからいろいろの繊維関係からいくとこれは逆現象で、大企業から下請の本当の零細企業にまで賃金を補給してでも出向させてそして仕事を与えていると、こういうことを労使双方が真剣な討議で現実にやっているわけなんです。これを私は行管がぜひ政府の中で音頭を取って配置転換をスムーズにやってもらいたい。そのやさき、こういうようなちょっとおかしいじゃないかというようなことが聞かれるのは非常に残念なことだし、また事実内容を見ていると、そんなにおかしい——米の検査官が十日間の研修を受けていって検査をやっていたけれども特別何の役にも立たぬというようなことでもないと思うんですが、具体的な実際はとにかくとして、こういう配置転換の問題が、もうだからだめだと、こういうことにならぬというような保障体制をやるということについてどういう対策をとっていく用意があるか、ひとつ答弁を願いたい。
  216. 佐倉尚

    政府委員(佐倉尚君) 行革を推進するに当たりまして、部門間配置転換の問題でございますが、これはあくまで私ども非常に重要な一つの手段であるというふうに考えていたわけでございますし、これは先生御存じのとおり五十五年度から着手したところでございます。今回その敦賀原発の事故に関しまして新聞記事に出ましたこれが、この部門間配転というものに対して何らかの阻害するようなことになりますと、非常に残念なことだというふうに考えております。  先生御指摘のとおり、その配置転換による出向職員に対しましては、出向先の業務はそれぞれ異なります。またもと何をやっていたかということによってもまたいろいろございます。それによりまして各出向職員が新しい業務に早くなじみ、それがちゃんと遂行できるように、各受け入れ側の省庁において十分配慮し訓練するというようなのが筋であろうかとわれわれは考えているわけでございますが、配置転換推進連絡会議、私ども行政管理局がこの庶務をやっておりますが、こういうものをこの問題に関する一つの連絡会議として各省庁にお願いをし、またいろいろ考察を加えて、そういういま申し上げましたような個別の事情を含めましてそれぞれ再訓練を行うということを申し合わせしていっているところでございますが、なお一層にこれを強化し対処していきたいというふうに考えているわけでございます。  まあ新聞記事につきましては、もと米の検査官だった人はこの中には一人もいないわけでございますが、そういう事実と違っているとかどうとかという問題はここで私が申し上げる必要もないと思いますが、これと配置転換に応じた職員の勤務との因果関係などについては軽々に結びつけて考えるべき問題ではないとは思いますが、なお一層ただいまのような配慮をしてまいりたいと、こう思います。
  217. 三治重信

    ○三治重信君 これはひとつ大臣に、いまから言うことはひとつ大臣にちょっとよくお伝え願いたいと思うんですが、今度の臨調で五人の委員のほかに専門委員とそれから参与ですか、あるが、その中でこういう、これから七月の中間答申のやつは補助金や予算関係のやつかもしらぬけれども、どうしても行革をやるという場合には労働関係の問題が非常に重要だと思うんですが、委員を見てみると、やはり労働界の、組合の代表者はたくさんとは言いませんが、それだけの者が入っているけれども、いわゆる労働問題の専門家が委員に入ってないわけなんで、この点ひとつぜひ、そういう政府がいろいろ行革をやって、人員配置やそういう労使関係の配慮をしていくに当たっての行革の中で、発言を持つ専門家をぜひ入れてもらいたい。それだけ要望しておきますから、大臣に篤と今後の専門委員やそれから参与の専門家をやる場合にひとつお願いしたい。
  218. 青島幸男

    ○青島幸男君 私ども小会派は、幸か不幸か質問の順位が最後になりますので、さまざまな先輩方の御質問並びにそれに答弁なさる方々のお答えで大方のことは拝察いたしました。かなり重複する質問もございますのでこれを避けまして、ただひたすら伺っておりまして疑問に感ずる一、二点のことだけ御質問申し上げたりあるいは御要望申し上げたりすることで、きょうの質問を終わりたいと思うんです。  まず大蔵省のお考えも重々わかりました。るる大臣から御説明がありました。しかし、私かねがね疑念に思いますのは、確かにおっしゃられるように一〇〇%政府出資で始めた政府機関には違いございませんが、出したお金が百八十八億ですか。で、現在は幾らですか、八兆幾らになっているわけですね。これは利用者の方々と電電の、電電法に基づいた両者の契約と信頼関係に基づいて、公社も一生懸命おやりになったでしょうし、しかし利用者の方も各種の債券だとか、あるいは設備料の一部を負担をなさるとか、あるいは信頼して御使用になって使用料金をお支払いいただいているというようなかっこうで積み立ててこられた累積がそうなっておるわけですね。ですから考えようによれば、これはやっぱり国民の財産ですね。その中から、少し経営状態がいい、収支がいいから、まあ国も困っているんだから少しぐらいいいじゃないかという御趣旨と思うんですがね。しかし、それはそれで考え方としては一理あると思うんです。そこから来たお金を究極は国民に還元するんだから。しかも利用者は七〇%おいでになる。国民と利用者というものはまさに重なっているんだから、結果はそれでいいではないか、こういう御趣旨ですね。まさに私はそのとおりだと思います。しかし、もともとの民主主義の鉄則は、原則は、個々の国民の一人一人の権益と考え方を守りながら国を運営していくということが原則ですね。これは間違いない事実だと思います。そうすると、最も根源的に考えますと、この使用者の方々、国民の方々と電電の努力との相互関係、相互理解と信頼に基づいてでき上がった国民の財産を、真の権利者たる国民に一言のあいさつもなく御都合で決めてしまうというところが、私は一般の国民の方々も電電の職員の方々も納得しないゆえんではないかと思うのですね。で、実際は真に権利者なのは利用者である国民であるにもかかわらず、大蔵大臣と行管庁長官と郵政大臣がごちょごちょっと話し合って、御都合で決めてしまったというような認識を受けるわけですね。一片の了解も求めずに、真の権利者たる国民あるいは利用者の一片の了解も求めずに実質上そうなるのはいいじゃないかと、結果よければそれでいいだろうということでは筋が通らないと思いますね。ゴルフやってるんじゃないですからね。結果よければオーケーだというわけにまいりません。それならそれなりのきちっとした筋道と論理とだれが見ても明快だという納得のいく論旨がなければ、国を運営したり——大臣国務大臣の一人として、閣僚の一人として国を運営する責任に当たられる重大な責任を果たすわけにまいりませんので、結果よければオーケーじゃないかという線に、実は一番の不満を利用者も郵政の方々もそれから三十万の職員の方々も思うんじゃないかと思いますね。その点を明確に御説明いただければありがたいと思うんですけれども、いかがなものでしょう。
  219. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) さあ明確に説明できるかどうかわかりませんが、純理論的に言うと青島さんの言うのも私は筋道だと思います。しかし、国民に相談するといったって相談のしようが実際はない。したがって、私はただいま国民の代表である国会の皆さんに御相談をして、こういうことではいかがなものでございましょうかと、ひとつ御賛同くださいと言ってちゃんと国民には相談しているんです。
  220. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、この六十一条との兼ね合いも非常に不明確な部分が多いわけです。先ほども山中委員の質問にもありましたけれども、公共料金の値上げの際のおっしゃり方と矛盾している部分が私はやっぱりあると思うんですね。ですから、実際には六十一条をいじくるというかっこうで、つまりは大蔵委員会逓信委員会が連合審査を申し入れるというかっこうではなくて、実はその主たる主管庁であるところの郵政あるいは逓信委員会で六十一条についてまずいじくらなきゃこの答えは出ないだろうというところで、逓信委員会がむしろ主導権を握ってこの問題を論議して、逓信委員会大蔵委員会が辞を低くして連合をお申し込みになって御了解いただくというような筋道になるのがしかるべき手順ではなかろうかという気が実はしたんですが、これは国会の中の問題でございますし、私がどうこうする問題でもございませんし、大臣にこのやり方はおかしいぞと言ってお答えいただくのもいかがなものかと思います。  ですから私申し上げたいのは、その主たる真の権利者たる国民に一言のあいさつもなくというのを、大臣はこの場で御了解を得ようとしているんだからいいじゃないかと言いますが、その感覚が国民に伝わるという配慮が少なくともほしかったと思います。いきなり三者でお決めになってしまわれて、あなた方は黙っていればいいんだと、結果は悪いようにはしないよというようなかっこうで国民に受けとめられるとすれば、それは政府不信を招いたり政府に対する信頼を失うという根本原則にもなりますので、その辺をもう少し御配慮あったらいかがなものであったろうと私は考える次第です。これ以上もう水かけ論になりますのでお伺いいたしません。  あとは公社の総裁と郵政大臣にお願いを申し上げますけれども、私のような考え方を持っている方は一般の国民の中にも郵政の職員の方々の中にもおありになると思います。と申しますのは、一生懸命やって収支がよくなれば国に召し上げられるじゃないか、一生懸命やって召し上げられた後で収支が赤字になったらじゃ国で補てんしてくれるのかというとそうじゃないですね。先ほどからの質疑を伺っておりますと、勝手に値上げして収支合うようにすればいいじゃないかという発言はございませんでしたが、それに近いニュアンスで私ども受けとめておりますし、経過、いままでも他の部門の政府のやり方を見てましても結果そうなるようなことはわりあい明白に考えております。そうなりますと、三十万郵政職員の方々の間には一生懸命やる意欲を失ってしまう方もおいでになるんじゃないかと思いますので、そういう方々にどう理解を求め、どう意欲を喪失させないように協力を求めていくかという御決意を郵政大臣と総裁からお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  221. 山内一郎

    国務大臣(山内一郎君) いま国の財政が大変な時期であるところからこの話が始まったわけであります。したがって、来年度の予算編成をするに当たりまして大蔵省の方から国家財政が非常に喫緊の状態である。この状態では国債も削減しないといけないし、大変な増税もやらざるを得ない、こういうことであるからともかく御協力をいただきたい、こういう申し出があったわけでございます。  そこで、ただ御協力と言われても電電公社の経理がどうなるかという問題もありますので、電電公社と相談をしながら過去の経営状態、こういうものを調べてまいりますと、最近は財務状況が大分よくなっている、これはもちろん電電公社の御努力によるところが大変——ほとんどそうでございますけれども、そういうことはわかっていても緊急の事態であるので、納付金という点を協力をせざるを得なかったといいますか、御要請に応じたというのがその内容でございます。  そこで、やっぱり電電公社の職員の方に、まず第一はこういうことでございますということを十分に御納得いただかなければ、ただ単に納付金を納めるというのはどういうことだと、いろいろいままで苦労しているじゃないかということでもございますので、まずその点を十分に御了解をいただいて、皆さん御苦労さんですけれども、いままで十分にお働きいただきましたが、さらに引き続いてよろしく経理内容の向上、あるいは技術の開発の点について十分ひとつ御協力をいただきたいという点で納得をしていただきたいと思っているような次第でございます。
  222. 真藤恒

    説明員(真藤恒君) お答えします。  当事者の私どもといたしましては、いま御質問の点がこれからの経営のやり方の主眼点にならざるを得ないのでございまして、実際この納付金の問題で経理的に圧力がかかりますのは後二、三年先からでございます。したがって、その二、三年先からの圧力に対してどれだけの生産性を上げていくかということにかかってくるわけでございますが、何さま多人数の世帯でございますと、生産性をあしたから上げろと言って上がるもんじゃございませんで、これだけの世帯でございますと私の経験では、数字の上にいい結果が出てくるのには早くて三年かかるというのが私の経験でございます。それはただ人間の勤労意欲だけの問題じゃなくて、技術と資本と人間の勤労意欲、これをかみ合わせて初めてそういう数字の上に結果が出てくるのが経営の原則でございますから、したがっていまからいろんなことを準備して、その時期にそういうことができるようにということでございまして、具体的にいろんなことを——いままでどおりのやり方じゃだめでございますので、関係のところに必要に応じて必要な時期にお願いに行かざるを得ないと、またそれは、何も非常識なことをお願いする考えもございませんし、いまの法律の枠内でお願いしたいと思っております。そのときに御協力お願いしたいと思います。
  223. 青島幸男

    ○青島幸男君 せっかく御努力あるように要望申し上げます。  最後に一言だけ申し上げますが、今回のやり方は独立採算制というものの基本原則を根底から踏みにじるようなやり方でしてね、非常に民主主義的な原則から離れた暴挙であるというふうに私は思いますので、この問題また始めますと後何時間かかかってしまいますので、ただ私の見解だけ申し上げて終わりたいと思います。
  224. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認めます。よって、本連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時五十分散会