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政府委員(加藤隆司君) 若干御質問から外れますが、先ほどの御
発言に関係しましてちょっと申し上げてみたいと思うんですが、御
指摘のように八〇年末で大体非産油途上国の借金の残高が三千五百億、
大臣は三千九百億と言われましたようですが、三千五、六百、そんなオーダーでございます。
それで目下の見通しですと、八五年ぐらいに倍ぐらいになるんじゃないかというようなことでございます。それで、こういう事態というのは非常に深刻であるわけなんですが、その場合に非産油発展途上国全体を一括して見るのは現実的じゃないんじゃないかと。大体いろんな分類のやり方がありますが、私などはたとえばこういうことで
考えたらどうかというふうに見ています。
一つは、ポーランドなんかは途上国に入っておりませんが、ポーランドとかトルコとかパキスタンとかそういうような非常に政治的な問題の国があるわけです。で、こういうのもかなり借金が大きいわけです。たとえばポーランドの場合ですと二百三十億ドルとか、そういう借金を抱えているわけですが、こういう国はそれぞれ一番利害関係のある国がおります。そういう国が関係国を集めて対策をとっていくというようなことになると思うんです。それから二番目のグループは、最貧途上国というのがございます。大体非産油途上国が九十ヵ国ぐらいありますが、その中で三十ヵ国ぐらいが先ほどの飢餓状態云々のひどい国になりますが、こういう国の債務残高というのは七九年で二、三百億ぐらいのものであるわけです。こういう国に対しては、先ほど
大臣が言いましたが、先進国が税金の金によるODAというやつで対策を立てていく。そうしますと、三番目のグループが一番問題になるんですが、これはたとえばブラジルとか
——名前挙げるとちょっと差し支えありますが、ブラジルの場合ですと五百五十億ドルぐらいの借金がある。あるいはそういう中進国的な開発途上国ではありますがかなり力のある国々があるわけです。こういう国の対策が非常にクローズアップされている、それが南全体みたいの問題になっちゃっているというようなきらいがあるわけです。
それから二番目の問題といたしまして、どうやってこれらの国のめんどうを見るかということなんですが、一つは、
民間のマーケットでOPECに偏在したドルをリサイクルしていくということを第一次オイルショックの後でもやったわけですが、第二次オイルショックもそういうチャンネルが主流になっております。それから二番目には、御
指摘のIMFや世銀がこれを補完的に強化していくというチャンネルがあるわけです。それから三番目には、OPECからダイレクトに世銀なりIMFに金を持ってくるなりあるいは彼らも自分で基金をつくっておりますが、そういうようなOPECの金を直接使うというようなやり方があるわけです。それから四番目には、
日本とアメリカがそういう国のODAとか、そういうようなかっこうのやり方がある。五番目には、昨年のベニスのサミットで問題になったんですが、東欧の工業国というものも軍事援助ばかりをやっていないでそういうこともやってみたらどうだというような
議論もなされているわけです。
こういうようないろんな国がそれぞれ分に応じていろんなことをやっていく、そこの中で三番目に、御
指摘のIMFなり世銀の機能強化の問題があるわけでございますが、IMFにつきましては御承知のように、各国がクォータを出して、金を出してその大体いま四五〇%を借りられるわけですが、これはかつては二〇〇%ぐらいだったんですが、昨年の九月からは四五〇%まで借りられる。トルコなんかは限度いっぱい借りております。こういうような借金ができる枠を広げた。それからコンディショナリティーと言いまして、借金しますと経済を締めるとか、いろいろ再建計画を求められるわけでございますが、こういうような条件を一年ごとに厳しくやっていたのを、三年ぐらいのレンジで見たらどうだとかあるいは将来のことを
考えまして供給サイドの施策をとった場合にはその分は余分にめんどうを見るとか、そういうようなコンディショナリティーの緩和というような対策がとられております。
それから三番目のグループとしては、IMFの金が足りなくなるんではないかという
議論があります。われわれは本来IMFというのは増資で対処すべきだという
考え方を持っておりますが、現に同
委員会におきましても昨年はIMFの増資法案、第七次法案を成立さしていただいたわけなんですが、足りなければ八次増資というものを急いだらどうだ、これはいままで五年に一回くらいやっていたのですが、そういう
議論をやっておりますが、増資が間に合わない。しからばどこかから金を集めるというようなことで、先般サウジアラビアからIMFが本年四十億SDR
——アバウト五十億ドルになりますが、そういうようなものを借ります。それから主要国はそれぞれ分に応じた
貸付金をIMFに出します。そういうような
財源の強化というようなことも
考えられております。
それから世銀の方でございますが、世銀の方は、昨年の九月のIMF総会・世銀総会におきまして構造調整融資、要するにIMFの方は短期の国際収支の補てんというようなことを任務としておるわけでございますが、世銀の方は従来プロジェクトローンということで橋をかける、トンネルをつくる、あるいは農業の灌漑施設をつくる、そういうものについて金を貸していたわけなんですが、国際収支の調子が悪い場合にそういう特定のプロジェクトに関係のないプログラム融資とか、セクター融資とか言われておるわけでございますが、まとめて特定のプロジェクトに関係のない金を貸す、それで国際収支の将来の改善に資するような融資の
制度を新設いたしたりしております。
こういうようなことで、幾つかの道具立てがあるわけでございますが、御質問の国際機関のリサイクリングにおける役割り強化というような点においては、昨年の九月にそういうことが行われておりますし、それから先般のいろいろな国際
会議をやっておるわけでございますが、そういう席上でただいま申し上げましたような
財源強化策なりそういうことが
議論されて、国際的にもコンセンサスができて前進をしておるというような状況にございます。