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説明員(
松浦晃一郎君) 先生からいろいろ御質問ございましたのをまとめて御説明いたしたいと思います。
最初の、今回の新しい
政府開発援助計画の中期目標についてでございますが、過去五年間の
政府開発援助の実績が大体、まだ昨年につきまして最終的な数字がわかっておりませんので推計になりますが、全部昨年を含めまして足しまして約百七億ドルになっておると思っております。今回の中期目標はその過去五年間の実績を今後五年間で倍以上にするというものでございますので、数字で申し上げますと百七億ドルの倍の二百十四億ドル以上にするということになります。
それから、具体的な点につきまして今回の中期目標には三点盛られておりまして、最初が国の
予算つまり一般会計の
政府開発援助にかかわる
予算についてでございまして、これにつきましても過去五年間の実績を今後五年間で倍以上にするということになっております。一般会計の
政府開発援助
予算は過去五年間の累計は一兆二千四百六十九億円でございますので、今後五年間でその倍以上といいますと、二兆四千九百三十八億円以上ということになります。それからあと、具体的な点は数字にはなっておりませんが、二つ中期目標に入っておりまして、一つは
政府借款の積極的
拡大を図るという点でございます。それからもう一つは、国際開発金融機関の出資等の
要請に対し積極的に対応するという点でございます。
それから、先生御質問の円安との関係でございますが、今回の中期目標は、いま申し上げましたようにドル建てで基本的な点は立ててございますので、したがいまして、ドルが中心になっておりますので、円安などによる目減りということはないものと考えております。
それから、御質問の三番目の、来
年度の
政府開発援助事業
予算全体の伸びが従来に比べまして低いのではないかという御指摘でございますが、
政府開発援助にかかわる事業
予算の中の一番中心は一般会計でございます。一般会計に関しましては来
年度は一二・八%ということでかなり大きな伸びになっております。ただ残念ながら、あと二つの柱でございます
財政投融資と国債が五十五
年度に比べまして四%から六%のマイナスになる見通してございます。したがいまして、全体といたしましては先生御指摘のように、数字では八千八百八十八億円で、伸び率といたしましては五・八%ということになりますが、
政府といたしましては一般会計に一番力を入れておりまして、一般会計につきましては、いま申し上げましたように一二・八とかなり高い伸びになっております。したがいまして、今後の問題といたしましては、一般会計の
予算を今回設定いたしました中期目標に従いまして伸ばしていくと同時に、先ほど御指摘ありました
政府借款、それから国際開発金融機関への出資に対して積極的に対応していく、こういうことで
政府開発援助事業
予算全体を伸ばすようにしてまいりたいと思っております。先生まさに御指摘のように、
政府開発援助は日本にとりまして、特に平和に徹し軍事大国にならないということを内外に表明しております日本にとりましては重要な施策でございまして、また日本の総合安全保障にもつながるものでございますので、私どもとしては力を入れて
政府開発援助を今後伸ばしてまいりたい、こう考えております。
それから、最後に御質問の米国のレーガン政権の今後の対外援助政策でございますが、確かに先生御指摘のように、レーガン政権は多数国間援助よりも二国間の援助に重点を置く、それからまた二国間の援助の中でも政治的な色彩の濃い援助に重点を置いていく、こういう政策を確かに内外に表明しております。ただ先般伊東外務大臣が訪米いたしました際に、二国間援助の配分につきまして、一時アメリカは事前に
開発途上国を友好国それから非友好国に分けて、友好国には援助するが非友好国には援助しないというようなことも伝えられておりましたので、その点をヘイグ国務長官に指摘してもらいましたところ、そういうようなことはないということを言っておりましたので、一般的な傾向といたしましては伝えられておりますように、二国間の援助の中でも政治的色彩の援助を伸ばしていくと思いますけれども、必ずしも事前に友好国、非友好国を分けて、友好国は援助するが非友好国はしないということではないと私どもは了解しております。しかしながら、日本の援助政策のあり方といたしましては、伊東外務大臣が
予算委員会などでも繰り返し説明しておりますように、日本独自の立場から今後とも実施してまいりたいと思っておりまして、特にいま二国間援助の配分の
基準といたしましては、私どもといたしまして相互依存、それから人道的
協力と二つの尺度を採用しておりまして、それに基づきまして日本独自の立場で判断していきたい、こういうふうに考えております。