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1981-03-19 第94回国会 参議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月十九日(木曜日)    午後一時開会     —————————————    委員の異動  三月十八日     辞任         補欠選任      岩本 政光君     藤田 正明君  三月十九日     辞任         補欠選任      藤田 正明君     岩本 政光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 衛藤征士郎君                 嶋崎  均君                 藤井 裕久君                 穐山  篤君                 塩出 啓典君     委 員                 岩本 政光君                大河原太一郎君                 梶木 又三君                 片山 正英君                 河本嘉久蔵君                 古賀雷四郎君                 塚田十一郎君                 野呂田芳成君                 福岡日出麿君                 藤井 孝男君                 大木 正吾君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 和田 静夫君                 近藤 忠孝君                 三治 重信君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       矢澤富太郎君        大蔵省主計局次        長        吉野 良彦君        大蔵省主税局長  高橋  元君        大蔵省関税局長  清水  汪君        国税庁間税部長  小泉 忠之君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        公正取引委員会        事務局取引部景        品表示指導課長  波光  巖君        公正取引委員会        事務局審査部審        査統括官     相場 照美君        厚生省環境衛生        局食品化学課長  藤井 正美君        通商産業省基礎        産業局アルコー        ル事業部管理課        長        井上  正君    参考人        西宮酒造株式会        社社長      森本 省三君        小玉合名会社社        長        小玉順一郎君        朝日麦酒株式会        社専務取締役   中小路茂次君        日本洋酒酒造組        合常務理事    渡邊 剛權君        山梨果実酒酒        造組合会長    笠原 信松君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○酒税法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  酒税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、西宮酒造株式会社社長森本省三君、小玉合名会社社長小玉順一郎君、朝日麦酒株応会社専務取締役小路茂次君、日本洋酒酒造組合常務理事渡邊剛權君山梨果実酒酒造組合会長笠原信松君、以上五名の方々参考人としての御出席をいただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人方々には御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきまことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。皆様から忌憚のない御意見を承りまして、今後の本案審査参考にいたしたいと存じます。  これより参考人方々に順次御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方からお一人十五分以内程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただくという方法で進めてまいりたいと存じます。何とぞ御協力をお願い申し上げます。  それでは、まず森本参考人からお願いをいたします。森本君。
  3. 森本省三

    参考人森本省三君) 私は西宮酒造株式会社森本でございます。参考人として意見を述べさしていただきます。  このたびの酒税税率の引き上げにつきましては、清酒製造業事業経営者といたしましては、酒税の担荷体でありまする消費者と、流通並びに納税義務者でありまする私ども等業界が受けます影響を考えますと、増税がないのにこしたことはないのでございまするけれども、国の財政が必要とするのだということでありますので、免許業者の使命といたしましてこれに協力せざるを得ないと考えます。  先般の衆議院大蔵委員会におきましては、各党の諸先生方から私ども清酒業界に対しまして温かい御配慮と御意見を賜りまして、心強く思っておりますが、当委員会におかれましても御検討を重ねていただくことを心からお願いいたしまして、以下率直に意見を申し述べさしていただきます。  四点でございます。  第一点は、先般衆議院大蔵委員会酒税法の一部を改正する法律案につきまして、酒税法見直しとか紋別制度のあり方、課税方法税率構造、未納税取引業界構造問題、助成措置需要開発原料米の問題、増税需要に及ぼす影響増税後の価格増税の時期、端数調整小売免許制度等々が俎上審議されまして、大蔵省庁では懇談会を設けて諸制度見直し検討が行われるやに伺っておりますが、制度見直しをしていただきまする場合には、立法府におかれましては、基本姿勢として酒類種類の中で清酒の位置づけをどうするかということを先行して御検討願いたいのでございます。  清酒日本文化の象徴であると申し上げても過言でないと思います。この民族的な伝統酒でありまする国酒を、日本アルコール飲料産業の中におきましてどう位置づけていくか、いわゆるポジショニングの問題を提起いたしたいのでございます。これはまさに立法府政治課題である、あってほしいと訴えたいのでございます。  御高承のとおり、世界の各国は、民族伝統酒につきましては国民酒としての地位を明確にし、国の誇りとし、国を挙げてその保護発展に努めでおります。世界にたぐいのない清酒保護育成、助長につきましては、衆議院各党先生方から異口同音に温かい御意見をいただいておりまして、心強い次第でありますが、このような御賢察は清酒業界の階層、態様のいかんを問わず、生販三層企業界の一致した心願でもあります。清酒産業発展に国を挙げて取り組んでいただきたい、どうかこの点につきまして、立法府並びに行政府で御理解をいただきまして、この点御確認をしていただきたいとお願いする次第でございます。これが第一点でございます。  第二点でございまするが、ウィスキー、ピールのような寡占産業と、零細な企業集団でありまする清酒産業についての政治的対応についての問題でございます。  公正取引委員会の御調査でも明らかでありまするように、酒類市場の現況は、非常に高い集中度を持った寡占部門最低位に近い清酒部門とが競合しなければならないという全く悲劇的な状況にあります。私どもも鋭意企業努力はいたしておりますが、これは経済的次元の問題としてではなく、政治的な次元での対応を考えていただく以外に解決の方途はないのではないかとさえ思うのでございます。特に清酒は、まさに農耕文化の所産でありまするから、近代化合理化あるいは構造高度化には必ずしもそぐわない面もございますので、どうか民族的視野に立っていただきまして、清酒業界の諸問題につきまして政治的にどう対応してやればいいのか、どうかこの処理を立法府行政府が精力的に推し進めていただきますることをお願いいたす次第でございます。  清酒業界は二千九百四社ございまして、大手、中小多重構造になっております。きょうあすの問題も大事ですが、現在はこうなんだと、いまこの道を歩いているんだと、近未来的にはこうなるだろうと、中央会も二十一世紀委員会ぐらいをつくって、規模の大小を問わず、決断と行動の谷間に苦悩している業者に対しまして、啓蒙と自覚と激励の素材を提供して業者に供するくらいの決意があってほしい、かように思うのでございます。  私は未来学派でありませんけれども、ホエア・アー・ウイ・ゴーイングでは対応してやっていける時代ではないと考えます。業界グレーゾーンからいまやまさにクリティカルゾーンに入っておると申し上げても過言でないと存じます。  第三点は原料米の問題であります。  すでに衆議院大蔵委員会におきまして明らかにされておりまするように、清酒原料供給の体制的問題は、他の酒類部門とのギャップが大きく、清酒業界の最も苦痛な条件となっております。制度的な問題につきましては、業界消費者を含めた社会的コンセンサスが必要でありますが、原料供給の仕組みの中で特に国内産原料米価格の問題は立法行政の意思によりまして処理される政策決定の問題であると存じますので、一日も早く安い良質な原料米を入手できまするよう御尽力をお願いしたいのでございます。  第四点を申し上げます。  清酒業界に対する管理行政の問題でございます。  行政業界に対する管理指導につきましては、生販三層免許事業であるということをさらに御理解をいただきまして、特別立法であります酒団法や、酒団法に基づいてつくられました特殊法人でありまする私ども業界中枢的機能役割りを果たさなければならない日本酒造組合中央会を、十分効果的に、効率的に指導啓蒙していただきまして、活用をしていただきたいのでございます。  合理化競争のメカニズムの導入中心としましたいわゆる近代化政策は、私どものような上位の企業にとりましては一見有利なようにお考えになろうかと存じますが、行政対応につきましては何かとむずかしい問題もあろうかと存じますので、自由化論にはいささか背反する意見誤解のないようにお願いしたいのでございますが、もう少し行政管理指導技術的展開を広げていただくようにしていただいてはどうかと存じます。また、このようにして行政指導性を広げていただきましても、現在のように民主的な行政体質と国会の監視的機能のもとにおきましては、恣意的な行政管理は起きないと考えております。  十二分間でございます。以上私の意見の陳述を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  4. 中村太郎

    委員長中村太郎君) どうもありがとうございました。  次に、小玉参考人お願いをいたします。
  5. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) ただいま御紹介いただきました秋田の太平山の小玉でございます。座って意見を述べさせていただきたいと思います。  ただいま森本さんから私ども業界のことにつきましていろいろお話がございました。重複する点も多々あろうかと思いますが、重複するということはそれだけ大事なことであるということでございますので、ひとつお許しをいただきたいと存じます。  わが国清酒業界は、国のお酒、国酒と言われながら、過去数年にわたりまして売れ行き不振を続けておるわけでございます。昭和五十年度に百七十一万七千キロリットルであったものが、昭和五十五年度は百五十五万キロリットルと落ち込んでおります。ビールウイスキーとの種類間の競争の中で毎年のように苦戦を強いられているわけでございます。このことは昨年度の実績で見ますと、二千九百四社のうち税引き前の利益が五十万未満、これはもう採算すれすれという企業でございますが、これが千四百八社ございます。実に五一%に上っているわけでございます。このような清酒業界でございますので、今回の酒税増税案はまことに厳しいと言わざるを得ないわけでございます。しかしながら、累積が七十兆にも及ぶという赤字国債を抱えたわが国財政事情を考えますときに、またさらに、昨年の春行なわれましたコストアップによる値上げのため、従量税になっている清酒負担水準が下がっておりますので、これを回復するという見地から言いますと、今回の増税はやむを得ないんじゃないか、かように存ずるわけでございます。特に、清酒に対しましては税率格差をつけていただいた結果、小売価格で他の酒類と比べ相対的に有利になっております。御配慮いただきましたことにつきまして感謝を申し上げたいと存じます。ただ、今後の私ども清酒業界を考えますと、どうしても解決しなければならない幾つかの問題があるわけでございます。次に、それらの点につきまして述べたいと存じます。  まず第一に、原料米の問題でございます。先ほどもちょっと触れましたように、もちろん清酒業界内部での競争もあるわけでございますけれども、それ以上に大きな競争相手ウイスキービールとのシェアの争いであろうと思います。東京工業大学の黒沢先生は、清酒需要動向につきまして分析を行いました結果、こういうことを申されております。清酒需要動向規定要因の中で、近年酒類間の相対価格が決定的にきく時代に入っているということはきわめて重要な認識でなければならない、こう述べておられます。もしそうだとするならば、多少の国内産麦使用があるとは申しながら、その大半を国際価格原料を輸入できるビールウイスキーと比べて、国際価格の三倍という国産原料に依存し、しかもコストの七〇%が原料費である清酒業界は著しく不利な立場に立っていると言わざるを得ないわけでございます。  それでは、その価格の推移がどうなっているのか、これちょっと数字を挙げてみますと、昭和四十四年を一〇〇といたしますと、清酒の米はちょうど二〇〇になっております。またアルコール原料糖みつば一六一、ビール麦芽は一三七、ホップは一五〇、輸入モルトは一〇六にしかなっていないわけでございます。この数字を見ましても、私ども清酒業界は本当に不利な立場に立っていると言わざるを得ないわけでございます。今年度は自主流通米といたしまして四十万トンに対しまして、政府米を新米で十万トン払い下げていただきましたが、そのメリットは平均いたしますと一俵当たり約四百十円程度にしか相当しないわけでございます。原料米の面で特別価格を考えていただく等、さらに徹底した政府の御援助お願いをいたしたい、このように存じます。  次に、需要開発の問題について申し上げます。清酒業界の最大の問題が需要の停滞にあることは申し上げるまでもないことでございますが、私どもはこれが打開のために酒蔵開放冷や酒キャンペーン、十月一日の日本酒の日、全国のきき酒コンクールという一連のキャンペーンを行いまして、新しい生活様式対応した日本酒需要喚起並びに日本酒の正しい知識の普及のために、また青少年市場女性市場対策中央会中心といたしまして鋭意努力をいたしております。また国から助成をいただきながら地酒の振興、日本酒センター設立等を急いでいる現状でございますが、さらに一層の国の資金的な援助を拡大をしていただきたいと存じます。私たちが先人より受け継いだ日本人の文化的遺産とも言えるこの日本酒を次の世代に引き継いでもらうためにも、ぜひお願いをいたしたいと存じます。  また、どこの国でもその国の国民酒と言われている酒、たとえばドイツのビール、イギリスのウイスキー、フランスのワイン等は、国際化が急速に進むことによっていろいろなお酒がその国に入り込んでまいります。またその国でつくられるようになります。そういたしますと、自国内でのシェアを下げているというのが現状であると言われております。しかしそれらの酒は、ほかの国に輸出をすることによって自国内の消費のマイナスをカバーして、さらにその上に上積みをしているということでございます。五十四年度の輸入酒類の総量は十一万二千九十二キロリッターでございまして毎年二けたの伸びを示しているわけでございますが、清酒輸出は二千九百九十五キロリッター、もうささやかな量にしかすぎないわけでございます。今後、清酒業界といたしましても、この清酒輸出に対しこれまで以上の努力をしなければならないと存じますが、この面に対しましても原料米その他の助成措置をぜひお願いをいたしたいと思います。  次に、紋別制度について申し上げたいと思います。紋別制度は、消費者のみならず酒類販売業者生産者にも長い間なじんできた制度でございまして、またある意味では地方の中小メーカー保護にも役立っている制度ではありますが、一面、一般方々には大変わかりにくい側面を持っております。と申しますのは、JAS規格のような品質保証の面と酒税を徴収するための基準としているという二面があるわけでございます。この二つの面を何か無理やりにくっつけてしまった結果が、一般方々に対して紋別制度をわかりにくくしている原因じゃないだろうかと存じます。たとえば、これはきわめて例外的な例ではございますが、二級酒で特級よりも高いものがあるというのがあるわけでございます。こういうのがもしあるとすれば、買う方の側からいきますとこれは一体どうなっているんだと、こういうことにもなりかねないわけでございます。それでは従価税制度導入したらいいんじゃないかという意見もあるかもしれませんけれども、現在のように毎年のように原料米が上がり、コストが必然的に高くならざるを得ない清酒業界にとりまして、従価税制度導入すればコストが上がるたびに酒税も一緒に上がることになりまして、消費者方々に大変大きな負担を強いることになります。ひいては清酒需要減退を招く結果となることは明らかでございます。したがいまして、この問題につきましてはさらに時間をかけて検討すべきであろうと考えております。  次に、未納税取引についてでございます。私ども会社ではおけ買いもおけ売りも一切いたしておりませんので、私からは私の感じだけを申し上げたいと存じます。いろいろ未納税につきまして誤解があるようでございますが、現在は注文生産制に移行いたしまして、未納税移入企業が十分な技術指導を行って品質向上に努めております。また清酒ブレンド自体も、品質向上のために必要なものでございますので、消費者方々にも信頼していただけるんじゃなかろうかと考えております。  最後に、増税時における流通段階手持ち課税のことにちょっと触れたいと思います。前回の増税時には、千五百リッター限度としてそれ以上手持ちした場合に全部の量に対して課税されたわけでございます。ことしはそれが千八百リッターになるようでございますが、これをぜひひとつ、種類別にそれぞれの量を決めていただく方法がないだろうかと存じます。アルコール度数が四三%のウイスキーも、一五、六%の清酒も、四・五%のビールも同じリッター数ということはちょっと問題があるんじゃないか。また価格酒税額もそれぞれ違うわけでございますので、できれば各種類間のシェアに応じて清酒は何リッタービールは何リッターウイスキーは何リッター、あとはその他ということででもいかがかと思いますけれども、これは非常にむずかしい問題もございます。と申しますのは、一口でシェアと申しましても、東北九州では全然違うわけでございます。東北清酒シェアが高いし、九州に参りますと乙類しょうちゅうのシェアが高いと、こういうことでございまして、技術的に非常にむずかしい問題もございますので今回は無理かと思いますが、これもひとつ将来の課題としてぜひ考えていただきたいと思います。  以上をもちまして意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。
  6. 中村太郎

    委員長中村太郎君) どうもありがとうございました。  次に、中小路参考人お願いをいたします。
  7. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) 私、朝日麦酒株式会社専務取締役中小路でございます。  ただいまより参考人といたしまして意見を述べさせていただきます。着席してよろしゅうございますか。
  8. 中村太郎

    委員長中村太郎君) どうぞお座りください。
  9. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) すでに御高承のこととは存じますが、ビールビール大麦を発芽させてつくります麦芽ホップ主原料としまして、それに米、でん粉などを副原科として仕込みをいたしまして、それから酵母によって発酵、熟成させてつくりますところの低アルコールの健康的な嗜好飲料でございます。  現在わが国では五つの会社生産供給を行っておりまして、昨昭和五十五年、暦年での生産者国内向け蔵出し高は四百四十七万五千キロリットルでございます。これは現在わが国消費されております酒類全体の約六六%を占めておりまして、国民各層に広く飲用され、大衆の生活に密着いたしております最もポピュラーなアルコール飲料であると申せるかと存じます。また昭和四十八年のオイルショック後の総合物価対策の際には、ピールだけが生活関連物資五十三品目の中の一つとして価格凍結品目に指定されたという経緯もございます。このように国民生活の場に広く溶け込んでいろいろな場で飲用されておりますものでございますので、非常に健康的なものであるというようなことから、私ども生産者といたしましては常によりよい製品をできるだけ低廉な価格で供給したいと考えておりまして、経営合理化努力をいたしますとともに、私ども企業努力の及ばない外部的なコスト要因、たとえば原材料価格とか税金の負担とかにつきましても、できるだけ低くかつ安定したレベルに保つことが望ましいと考えております。  ピール生産いたします工程は昔から原理的には変っておりませんが、工場設備は当初から比較的近代化された大規模なもので生産をしてまいっておりまして、酒類生産方式の中ではいわゆる装置産業的な形態で大変合理的、効率的なものとなっておると幸せますが、生産会社間の競争の激しいこともございまして、各社とも新鋭設備導入省力化省エネルギー化のための設備投資を行うなどの経営効率化を進めまして、原価低減への努力をいたしております。それらの結果、ピール価格昭和四十年を一〇〇として指数的に比較をいたしますと、昭和五十五年のそれは標準的な小売価格では二〇〇、生産者価格では一八五となっておりまして、消費者物価指数総合では三〇八、同じく食料品で三一三というような指数と比較いたしまして非常に低く抑えられたものとなっておりまして、先ほど申し上げました努力の結果が反映されていると考えております。しかし、これも昭和五十年以降について見ますと、昭和五十年を一〇〇といたしますとビールの標準的な小売価格は現在一三三でございまして、消費者物価指数総合昭和五十年を一〇〇といたしまして現在のそれが一三六、同じく食料品で一二九というぐあいに相対的には割り安感が失われる方向をたどってまいっております。  特に、近年の石油価格上昇と、それに伴いますいろいろな原材料、資材の値上がりによりますコストアップや、さらには輸入麦芽に比べまして三倍強も高価につきます国内産麦使用比率上昇といったような諸要因によりますコスト上昇を強いられてもおります。一方、経営合理化の面ではかなりその限度に近づきつつあるということから、現在非常に厳しい状態になってきております。  また、酒類消費動向酒類全体で昭和三十年代では年率平均一〇%の伸びを見ましたものが、四十年代では五・八%、五十年以降では三・四%と伸びが次第に鈍化をしてきておりまして、ビールにつきましても三十年代では一八%も伸びましたものが四十年代では七%、五十年以降では約四%強と鈍化してまいりまして、いわゆる成熟期に入ってきているものと考えております。  ところで、酒税特にビール税についての問題でございますが、現行のわが国ビール税は従量税でございまして、ビール一キロリットル当たり十六万一千百円、普通のビールびん一本当たりにしまして百一円九十八銭となりまして、税負担率は標準的な小売価格の二百四十円に占めます割合では四二・五%と非常に高率なものが訳せられております。このたびの増税案によりますと、これがビール一キロリットルあたり二四・二%増の二十万百円になるということでございますので、普通のビールびん一本当たりでは百二十六円六十六銭ということになる勘定でございます。私どもといたしましては、これを消化いたしますことは、先ほど来申し述べてまいりました事情からとうていなし得ませんし、酒税は間接税、消費税でございますので、基本的には小売価格に転嫁される性質のものであると考えますので、このたびの増税案でまいりますと、標準的な小売価格は一本当たり二百四十円から二百六十五円になると試算されるわけでございまして、この場合は小売価格につきましては、四七・八%を税金が占めることとなりますので、標準的な小売価格が二百四十円から二百六十五円、すなわち一〇・四%の値上がりとなりますと、そういう価格が上がりますと需要影響が出るということは基本的には否定できないと思っております。私どものメーカーの経営上にも、また卸ですとか酒販店などの流通業界にもその影響が及ぶことを懸念するわけでございます。しかし、ピール需要価格のほかに消費者の所得ですとか、他の商品の価格動向とかのいろいろな相対価格との関係、さらにはビールは特に天候に影響されることの大きい商品でもございますので、夏場の天候がどうなるかといった大きな要因がございますために、需要の見通しにつきましては確かなことが申し上げられないわけでございます。  ところで、このたびの増税案が国家の財政再建という現在緊急の国民課題から出されてまいったものでございますし、昭和五十六年度におきまして現行税制として対応できる範囲内で相当規模の増収を図る必要があるという事情のもとにおきましては、酒類がいわゆる財政物資であるという実体から考えまして、この際は応分の負担を負わなくてはならないものであるということも大局的な見地からは理解できるわけでございまして、したがいまして、このたびの増税案に対しましてはこれに同意せざるを得ないのではないかと考える次第でございます。  ただ、私どもビール業界にある者といたしましては、現行のビール税でもすでに小売価格に占めます税負担率が四二・五%という高率でございますが、酒類に含まれますアルコール一度当たりの税額では、他の代表的な酒類と比較いたしましてもあるいはまた諸外国のビール税と比べましても、いろいろと国情の違いはございますものの高い税負担率となっているのでございます。国民大衆の健康的な嗜好飲料という見地からいたしまして、私どもは常々よりよいものをより安くと念じておりまして、その意味からもかねてから機会あるごとにビール税の低減化を図っていただきたいとお願いを申しておるわけでございまして、先ほど来申し述べてまいりました事情などを御勘案いただきまして、近い将来ビール税の負担見直しをぜひともお願いをいたしたいと考えております。  以上、参考人として意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございました。
  10. 中村太郎

    委員長中村太郎君) どうもありがとうございました。  次に、渡邊参考人お願いをいたします。
  11. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) 私、日本洋酒酒造組合の常務理事渡邊剛權でございます。  きょう、この参議院大蔵委員会におきまして、酒税法の一部を改正する法律案につきまして、参考人として洋酒関係の意見を述べさせていただきますことを非常に光栄に思い、また大変ありがたく存じます。  まず、洋酒の概要について簡単に御説明申し上げます。  一口に洋酒と申しましても非常に多種多様な酒類がございます。ウィスキー、ブランデー、リキュール、スピリッツ、果実酒——甘味果実酒がこれに入り、その中でもたとえばウィスキーとブランデーにはそれぞれ特級、一級、二級の三つの紋別がございます。またリキュールの中には、お節句に使われる白酒や草根本皮の薬剤を浸した薬味酒等が含まれております。同様にスピリッツの中にはジン、ウォッカ、ラムといった蒸留酒が含まれ、甘味果実酒にはスイートワイン等が含まれております。  日本で洋酒の製造が始められましてから一世紀近くになってまいりましたが、その間に洋酒業界酒類業界の中でも特に他の酒類業界と異なり自由化が早く、かつ国際的な競争も年々増大してきたため、企業努力によって品質を非常に向上させるとともに、コストの引き下げ努力もした結果、洋酒の価格も御愛飲家の方々に親しく御愛用いただけるような状態になっておりますために、今日では日本人のほとんどの方々に御愛用いただくまでになりましたことを深く感謝しております。  洋酒と申しますと何か舶来の物で、日本の大部分の方々に余り召し上がっていただいていないように感じておられる方もあろうかと存じますが、今日の日本人のすべての方々が洋服を着ておられるように、洋酒も日本人のすべての方々に召し上がっていただいており、非常にうれしく存じております。今日、日本の服装の関係では洋服と和服が並び用いられておりますように、お酒の関係でも日本に昔からあったお酒と洋酒とが並び用いられております。いまや洋酒は国民の多くの皆様の生活に溶け込み、国民大衆のものとなっております。このように日本の多くの国民の皆様に御愛用いただいております洋酒の立場から、酒税法の改正法案について意見を申し上げます。  まず最初に、今回の酒税法改正法案についての総括的意見を申し上げます。  今回の改正法案の主要な部分は、申し上げるまでもなく酒税増税でございますが、これにつきましては次のように考えております。  酒税増税は、今回のものを加えますと、昭和五十一年以来この六年間に三回も行われることになり、酒類に対して再三このような増税を行うことはいかがなものかと存じますが、特に洋酒につきましては、従量税率についてはその都度増税率が最大でございまして、その結果、洋酒を御愛用いただいております国民の皆様の酒税負担が大きくなってまいりました。ただ国家財政の再建という緊急な重要問題を考え、また既存の他の税目についてもほとんどその見直しが行われることとも考え合わせますと、今回の酒税増税には大局的な見地から従わざるを得ないものと考えておりますが、次の三点につきまして、なるべく早い時期にぜひ実現していただきますようにお願い申し上げます。  その第一点は、洋酒の酒税負担の均衡でございます。洋酒の酒税負担は、他の酒類のそれに対して割り高になっております。今回の改正法案が実施された場合にはその不均衡がさらに拡大いたします。つきましては、将来なるべく早い機会に酒類間の酒税負担のバランスの御検討をいただき、洋酒と他の酒類との酒税負担の均衡を図っていただきたいと考えております。  このように申し上げますのは、次のような事情によるものでございます。  洋酒、特にウイスキー類は、他の酒類に比べて相当重い税負担となっております。たとえばウイスキー特級のサントリーの角びん、ニッカのノースランド、オーシャンの特色クラスの二千百五十円の物の小売価格に占める酒税負担割合は四七・三%でございまして、従量税適用の酒類中最高の酒税負担率となっております。  先ほど申し上げましたように、洋酒は御愛飲家の皆様のおかげをもちまして、日本人の方々のほとんどの方々に御愛用いただくまでになっており、すでに大衆のお酒になっております。ところが一方、同じ大衆酒と言われるものでも洋酒に比べてはるかに低い税負担率となっているものがあり、洋酒を飲んでいただいております国民方々は割り高な酒税負担していただいている現状でございます。さらに、洋酒は、次に申し上げますように、国際的な自由貿易体制のもとで輸入酒と厳しい条件で競争をしていることもあわせて御配慮の上、何とぞ将来できるだけ早い機会に洋酒の酒税負担見直しをぜひ実施していただきたいと考えております。  お願いの第二点は、酒税の従価税の課税標準についてでございます。  国産洋酒業界は、他の酒類業界と異なり輸入酒と激しい国際競争を行っておりますが、その課税標準は輸入洋酒に比べて国産洋酒が著しく不利になっておりますので、この不平等をぜひ是正していただきたいと存じております。従価税の対象となる酒税課税標準は、国産洋酒につきましては生産者の販売価格と定められておりますので、生産者の広告宣伝費、販売費、一般管理費等の経費及び利潤のすべてが課税の対象となっております。これに対しまして輸入酒の場合には、法律上、CIF価格に関税を加えた額と定められておりますために、輸入洋酒についての輸入業者の広告宣伝費、販売費、一般管理費等の経費及び利潤の全部または一部が課税の対象から除かれ、国産洋酒に著しく不利になっております。ウイスキー類特級に対する酒税の従価税率は二二〇%あるいは一五〇%と特に高いため、内外酒類課税標準の差による影響がきわめて大きいので、酒税負担の公平を図るため、同一税率のもとでは酒税課税標準も当然実質的に同一水準のものとしていただきたいことを国産洋酒業界は最も強く希望いたしております。どうぞ、内外ウィスキーの酒税課税標準につきましては、以上申し上げましたような大きな不公平がございますので、できるだけ早い機会に課税方式等を御検討の上、その是正をしていただきたいと考えております。  最後に、海外旅行者が日本へ持ち帰る免税酒類の本数を、現在の三本から他の先進国並みに縮小していただくようにお願い申し上げます。  先ほども申し上げましたように、今回の酒税増税が実施されますと最近六年間に三回の増税が行われることになり、また他の諸税も多く増税が行われる見込みでございまして、まさに増税時代を迎えた感がございます。このようなときに当たり、外国旅行に行ける人は比較的裕福な方のように思います。その裕福な人が高率な酒税の免税を受けた酒類を一人三本も持ち帰ることができるということは問題ではないかと思います。またこのような免税酒類が、大量に国内に持ち込まれることによる国産業界に与える影響も決して少ないわけではございません。どうぞこれらのことを考慮されまして、日本へ持ち帰ることのできる免税酒類の本数を、現在の三本から他の先進国並みに縮小していただきたいと考えております。  以上、私の意見を述べさせていただきましたが、重ねて申し上げますと、第一に、洋酒と他の酒類との酒税負担の均衡を図っていただきたいこと、第二に、内外酒類酒税課税標準の不平等を是正していただきたいこと、及び第三に、海外旅行者の免税酒類の取り扱いを改正していただきたいことの三点につきまして、ぜひできるだけ早い機会に実現されますよう重ねてお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
  12. 中村太郎

    委員長中村太郎君) どうもありがとうございました。  次に、笠原参考人お願いをいたします。
  13. 笠原信松

    参考人笠原信松君) ただいま御紹介を受けました山梨県の果実酒酒造組合の会長をやっております笠原でございます。着席させていただいてよろしゅうございますか。
  14. 中村太郎

    委員長中村太郎君) どうぞ。
  15. 笠原信松

    参考人笠原信松君) きょう、この参議院大蔵委員会におきまして参考人としてワイン関係の意見を述べさせていただきますことは、私の非常に光栄に存じますとともに、ありがたく、厚くお礼を申し上げます。  私は山梨県の果実酒酒造組合でございますので、話は県内のことに要約されると思いますが、恐らく全国的なことにも共通しているんじゃないかと思いますので、その辺お含みの上お聞き取りいただければ非常にありがたく存じます。  ワインがわが国における酒類消費量の総量の中に占める割合は、昭和五十四年度におきまして六百八十万キロリッター消費されている中でわずかに四万一千七百六十九、約四万二千キロリッターでございまして、構成比がわずか〇・六%にすぎないのでございます。それにもかかわらずワインが注目されまた酒類業界動向に少なからぬ影響力を持つに至っているのは、最近におきます急成長と将来性にあると存じます。しかし実態は先ほど申し上げましたとおりで、評判だけが大きくなっております。しかもその内容を見ますと、大部分が、つくっている者が零細業者の集団でございまして、細々とやっているのが実態でございます。ワインはブドウ果が主原料でございまして、そのためにブドウの産地に集中生産されておりまして、言いかえればブドウに根差した農村のローカルカラーの強い産業になっております。私ども山梨日本のワイン生産の過半数を占めているのもそのためでございます。  ここに山梨の実態につきまして少し申し述べさせていただきますが、現在私どもの県内で免許場数が九十七ございます。これは大学であるとかあるいは県の試験場なども入っておりますが、その中で組合員数が八十六名、これは昨年の数字でございます。専業者が三十社、パーセンテージにいたしますと三五%でございます。  製成高——つくり高でございますが、五十三年は全国で一万七千八百八十七キロリッター、そのうち山梨県が一万二千三百二十七キロリッター、パーセンテージで六九・二、約七〇%山梨でつくられております。それから五十四年度が全国で二万四千百六キロリッター山梨が一万三千二百七、パーセンテージで五四・八%になっております。過半数以上が山梨でつくられているということがおわかりかと存じます。  それから課税移出でございますが、五十三年度が二万七千六百五十一キロリッター、そのうち山梨が一万三千四百八十四、四八%でございます。  消費高でございますが、五十三年の全国が三万六千六百十キロリッター、それから山梨が三千百六十八キロリッター、パーセンテージにしますと八・六でございますが、これは一人頭の消費量からいたしますと約四リッターになります。このとき同様全国民の一人頭にしますと、約一億としますれば三百六十ccということでございますので、山梨が四リッターでございますから、それの約八分の一ぐらいになるわけでございます。それから五十四年度が全国で四万一千七百六十九キロリッター山梨が二千八百七十二キロリッター、全国に占める割合が六・八%、この場合が一人頭三・五リッターでございます。もし山梨並みに全国民一人当たりが飲むとしますと、現在日本でつくられておりますブドウ全部を一粒も残さないでワインにいたしましても足らないぐらいの量になるわけでございます。  しかもこの移出量の中の九五%が、これは山梨県の中でございますが、九五%が従量課税のものでございます。このうちまたさらにその半分に当たるものが従量税の下位税率のものでございます。しかもこの山梨の中でも、特にブドウの生産地帯といいますと甲府から東京寄りになるわけでございますが、きょうの委員長の出身なさっていらっしゃる山梨市、それから塩山市、勝沼町、一宮町、その辺が生産地帯になっておりまして。この辺では、私ども日常の飲み物としてお茶がわりに飲んでいるといったような状況で、全く生活の中に取り入れられているのが現状でございます。このことは、ワインとブドウが密接なかかわり合いを持っていることのしるしでもございます。もちろん日本を代表するようないいワインを生産しております。  いずれにいたしましても、ブドウづくりが、いわゆるブドウを栽培することがワインづくりのスタートでございまして、私どもがブドウ生産農家と表裏一体の関係であるということはこのためでございます。したがって、原料ブドウの取引につきましては長い間いろいろのいきさつがございますが、その慣行の中から試行錯誤を重ねまして、ようやく最近になりまして円滑に取り進められるようになっております。ワインの動向はこれらブドウ生産農家にも非常に重要な、重大な関心事となっております。ワイン業界の安定はこれらブドウ生産農家の安定にももちろんつながっております。  私どもがいま一番心配しているのは原科の数量もさることながら割り高なことでございます。これは日本の農業の宿命でもございますが、栽培規模が小さいことでやむを得ないにしても、これが製品として日本へ入ってくる輸入品との競合で非常に不利な立場に立たされております。酒類業界の中では本当に微細な業界で、まだ芽が出たばかりの零細メーカーの多い業界でございますが、今後、成長のための育成と地域のブドウ農業の安定のために、今回の増税はやむを得ないにいたしましても、ぜひ今後とも国内のフィンをまず育てるということに御配慮いただきまして、地域産業振興のためにぜひ特段の御配慮をお願いいたしたいと思います。  以上で私の意見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  16. 中村太郎

    委員長中村太郎君) どうもありがとうございました。  以上で参考人方々意見の陳述は終了いたしました。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  17. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こして。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  18. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 どうも皆さんお忙しい中大変御苦労さんでございました。貴重な御意見をちょうだいいたしましてこれからの審議に大変参考にさせていただけるので、心からお礼を申し上げます。  ただいま聞いていますと、われわれがそれぞれの方と直接話したときに比べると大変模範答案のような、何か税金を上げるのはやむを得ないというふうなことばっかりおっしゃるんで、これは相当なプレッシャーかかっているんだなと実はその点で同情申し上げます。  最初に、日本酒森本さんと小玉さんにお伺いいたしたいんですが、まず森本さんのところは石数どれくらいなんでございましょうか、おたく自身の会社
  19. 森本省三

    参考人森本省三君) 約三十八万石でございます。
  20. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 三十八万石ですか。
  21. 森本省三

    参考人森本省三君) はい。
  22. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それから小玉さんのところはどうなんですか。
  23. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) 大体二万四千石ぐらいです。
  24. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 二万四千石。そうすると、大手と中小ということでございますね。  実は一昨日社会労働委員会で質問したことなんですが、いま日本酒で使っておる合成乳酸、これの問題についてどうお考えになりながらお使いになっておるか、森本さんからひとつお願いしたいと思います。
  25. 森本省三

    参考人森本省三君) 合成乳酸……。
  26. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いや、おわかりにならなきゃ結構です。  じゃ、小玉さん。
  27. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) 戦前は乳酸は発酵乳酸を使っておりまして、戦後になりまして合成乳酸を使うようになりました。その合成乳酸につきまして、私どもいままで何ら疑問を持たないで使っておるわけでございますが……。
  28. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、実はこれは厚生省の方も問題があると思うんですが、合成乳酸はシアン化水素が原料だということは御存じですね。
  29. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) はい。
  30. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 昨年、FAO——国連の食糧農業機関、ここが非常に、これは特に幼児に対する安全を保証しがたいと。これは必ずしも幼児だけじゃないんですが、マウスの実験でも出ております。ということで禁止を呼びかけ、特にヨーロッパは粉ミルクについては全くこれを使わないことになっております。ところが日本の国内のお酒のメーカーに聞いてみますと、本質的にそういうものだということを意外と知らない方が多いんで、実は私たちびっくりしておる。これの取り扱いというのは相当慎重にしなきゃならぬ、量とか。そういう点についての特にいままで行政指導はあったかどうか、お伺いいたします。
  31. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) いままで私も技術の方に直接タッチしておりませんので、大変申しわけございませんが、私の耳にもまだそこまでのニュースは入ってきておりません。
  32. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それから、これは全部の方にお聞きいたしたいと思っておるんですが、酒類関係の政治団体がたくさんございます。それで、自治省にきのう聞いたんですけれども、どうもよくわからないということなんで、これは日本酒業界では業界としての政治連盟というふうなものはございますか。
  33. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) 政治……何でございましょうか。
  34. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 政治連盟。政治資金規正法による届け出の団体は……。
  35. 森本省三

    参考人森本省三君) 私も詳しいことは存じませんが、たしか酉政会というのがございまして、これは中央会じゃなくして、私ども個々の業者が……。
  36. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ユウセイ会ですか。
  37. 森本省三

    参考人森本省三君) はい、酉政会。
  38. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 友の政治の会ですか。
  39. 森本省三

    参考人森本省三君) ユウはことしのえとの酉でございます。お酒のさんずい取った酉でございます。酉政会というのがございまして……。
  40. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これは名前をあれしないと自治省でわからぬというものですから……。
  41. 森本省三

    参考人森本省三君) 個々の業者が集まりまして自治省に届けて、そういう団体があることは私承知いたしておりますが、細かいことについては存じ上げません。
  42. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それから、ビールの方はどうでございますか。
  43. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) 私、寡聞にして政治団体というのは存じませんですが、卸業界か何かでは何かそういういまのお話のようなものがあるかもわかりません。よく存じません。
  44. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 はい、結構です。  洋酒の方は……。
  45. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) 洋酒はございません。
  46. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 果実酒、これはないですわね。
  47. 笠原信松

    参考人笠原信松君) ございません。
  48. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 どうもありがとうございました。  それでは、個々の問題にちょっと入らせていただきたいと思うんですが、ただいま森本さん、小玉さんからそれぞれ清酒というのは国民酒だと、こういうことはいろんな機会に言われております。ただ、これは各国ともあるということなんですが、それぞれの国の国民酒というのは大変そういう意味では伝統とプライドがありまして、厳しい品質管理の法律等もございます。もちろん原料等についても大変厳しいんですが、いまの日本酒のように外国から輸入した大量のアルコールが入っていて、これは国民酒と言えるかどうか。この点についてちょっと疑問があるんで、どちらからでも結構です、お答え願いたいと思います。
  49. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) このアルコールを添加する問題につきましては、これは戦時中にどうしてもお米が少なくなりましてアルコールを多少足さざるを得ないということで、現在もその流れでつくっているわけでございます。  それでは純水——全部、全量をお米だけでやったらいいじゃないかと、こういう議論もあるわけでございますが、現在の状況からいきますとコストの問題、設備の問題がございます。そのほかに、一番大事なことは一般消費者方々の嗜好の問題がございます。嗜好品でございますので必ずしも純水のものが消費者方々に喜ばれないと、むしろさっぱりしたものが最近喜ばれる時代に入ってきていると、こういうことでございます。ただ、最近の推移を申し上げますと、年々アルコール使用量は減っているという現実はございます。
  50. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そのことはよくわかるんですけれども、たとえばいまの清酒の全消費量の半数以上はアル添酒でございますね。それも昔から、何といいますか、水割りとかいろんなことで玉を入れるなんということで、そのことがちょっとは味がよくなるというふうなこと言われていますが、これもその比率の問題です、私の国民酒というのは。相当程度のものを外国から入れたアルコールで延ばした場合に国民酒と言えるかどうかと。小玉さん自身の見解で結構です、言えると思いますかどうですかということです。たとえば三倍増酒。
  51. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) 私といたしましては、国民酒とは何かという定義の問題にもなると思いますけれども国民酒というのはそこの国で生まれてその国で育ってきて、その国の大半の方々に召し上がっていただけるものというぐあいに考えます。  そうなりますと、確かに戦前のお酒はお米だけでつくられておりましたが、現在はそれに対してアルコールが入っております。それじゃ国民酒と言えないじゃないかと、こういう議論はあろうかと思いますが、私は現在の段階ではやむを得ない面もございますので、やはり国民酒と言っていいんじゃないだろうかと、このように考えております。
  52. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると三倍増酒も国民酒と言っていいと、こういう御見解でございますね。
  53. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) 三倍増醸酒の方も年々これ比率が減ってきておりますので……
  54. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いや、それじゃない、ちょっと……
  55. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) ですからそれに、本当のものを目がけて私ども努力はいたしております。それで、やはり急激な変化ということはいろいろリアクションもございますので、緩やかに本物にやっぱり取り組んでいかなきゃいけないんじゃないだろうかということは共通の認識であろうと思います。
  56. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、清酒業界においても、三倍増酒というふうなものからできるだけ昔のものに戻す努力をしながら逐次近づけていると、それは年々まあ少しずつそうなっていますということでございますね。
  57. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) はい。
  58. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういう意味で名実ともに国民酒となれるようにがんばっていただきたいと思います。  それからもう一つ酒の方でちょっと聞いておきたいんですが、実は大変最近冷や酒ブームになってきました。ところが私たち、昔から日本酒というのはフーゼル油が多いのでかんをした方が体にいいと、こういうふうに教えられてきたんですが、その点はいかがでございましょうか。
  59. 森本省三

    参考人森本省三君) お答えいたします。  現在、フーゼル油というものは全く入っておりません。で、二日酔いとかなんとかというお話がございましたけれども、やはり清酒というのは品質がどちらかというとソフト・アンド・スムーズといいますか、どうも消費者がそういうものを好まれるようでございます。したがいまして、先ほど先生の御質問に関連するわけでございますが、私どもも純米酒を実は三千石つくっております。全国では大体二%程度ではないかと思います。ところが、この純米酒をつくっておりますと、非常に製造過程におきまして肉が多過ぎまして、どうしても活性炭をたくさん使わなきゃならぬと。肉を削ったりあるいは骨を削ったりして酒質を精製いたしまして、非常に苦労しておるわけであります。先ほど小玉参考人からお話がございましたとおり、コストアップが大体純米でやりますと一五〇%直接原価は高くなります。そういう問題もありまして、いま申し上げましたような消費者の嗜好もありますので、逐次昔の酒に近づけていきたいと、消費者の嗜好の関係もありますので、漸次三増を減りして、先生がいまおっしゃいましたように、国酒とは何かと、外国のアルコールを使っているのは国酒と言えないんじゃないかという御質問がございましたが、逐次さような努力はいたしておりますが、いかさまこの三増酒に長く慣熟された消費者がございます。したがって、私どもはやはり徴調整をしながらやっていきませんと商売になりませんし、消費者にも御迷惑がかかりますので、ちょっとこの点御質問に多少なにしているかと思いますけれども、お許しいただきたいと思います。  以上でございます。
  60. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は、私はやっぱりできるだけ純水酒——昔の酒に戻していくべきだと。特に私は一昨年、決算委員会で、なぜ日本の皇室が外国から来たお客さんに対して日本酒で乾杯しないんだと強く質問をして、その後日本酒も入ったということに大変喜んでいる一人なんです。そういう点ではいい日本酒をやっぱり国酒として、民族文化の象徴として自慢できるように努力願いたいという意味で申し上げたんで、その点ひとつ御理解をいただきたいと思います。  それからピールの関係ですが、実はそのピールについて、昔は日の当たるところに置いたりするとすぐ腐る。それから、できるだけ地下室がなくとも室のようなところへ北海道なんかじゃ入れておけと、こういうことで慎重に扱ったものです。ところが最近、かんかんと日の当たるところなんかでも、お店屋さんで平気に並べるところがあると、ああいう関係についての業界としての指導はどのようになっておるのか、ちょっと……。
  61. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) お答えいたします。  昔は日に当てると腐るといういまお話がございましたけれども、昔からびん詰めをしまして密栓をしてございますので、腐るという表現は一般的にあるいは使われたかもわかりませんけれども、いわゆる腐るという、腐敗するということはなかったと思います。ただ、おりができるとかあるいは味が悪くなるとかということは事実としてございました。最近はそういった面が、何でおりができるのかとか、あるいは何のために味が変化するのかということがかなりよくわかってまいりまして、製造方法の中で私どもそれを排除するような方法を講じておりますものですから、昔に比べますとはるかにそういったことは少のうございます。  それから、地下室、室などに置くようにということでございますけれども、このビールというのはやはり醸造品でございまして、味の変化というものが日々刻々というと大げさでございますが、ございます。したがいまして、それも保存条件によりまして、いい条件でございますとかなり長く味も香りももつという、性質上ございますものですから、室とか地下室とかあるいはそういう温度の変化の少ないところは非常にいまでもいい状態だと思います。ただ最近はそういうところが少なくなっておりますものですから……。  それから、店頭に平気に並べておくということに対する指導でございますが、これは私ども流通業界の方にはそういうことのないようにということでお願いをしまして、たとえば私ども工場からビールを出しますときには必ずシートがけをして出すとか、あるいはいまも茶色いびんでできるだけ日光を通さないびんを使っておりますが、そういう意味で私ども指導はしておりますけれども、先生御指摘のようなところもあるかと思いますが、ただウインドーなんかに並べておりますのは、見本で水を詰めて並べておるのもかなりございますので、その辺は私ども気をつけてまた指導をしてまいりたいと思っておりますが、なお、レッテルにも、なるべく丁寧にお扱いくださいというようなことも注意表示としてはやっております。これは破びんの方が主でございますけれども……。  以上でございます。
  62. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 腐るというより、専門的に言うと酸化が進むというふうに言った方がいいかと思いますけれども、それはそれで結構でございます。  それから、いま御説明の中でピールは麦からとった麦芽ホップ、米、アルコールと。この米というのは正確に言うとくず米ということでございますね。どうなんですか、ちょっとそこのところだけ一点。
  63. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) アルコールといま先生おっしゃいましたけれどもアルコールは使っておりません。それから米でございますが、米はいわゆる普通のお米、御飯に炊けるようなそれではございませんで、やはりくず米に属するものでございます。
  64. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、単価も大分安うございますね、普通の清酒なんかに使うお米に比べますと。
  65. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) 私、寡聞にしてちょっといまその正確な値段を覚えておりませんが、それは安うございます。
  66. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それから、通常麦芽ホップ、米というふうに並んで説明を受けますと、私たち麦でつくった麦芽が一番大量で五〇%で、ホップが三〇で、ちょっとくず米を入れているという感じを受けるんです。この比率はどうなんですか。
  67. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) あそこに並べてございます順番は、酒税法で規定されておる順番で並べております。それから量的な関係は、酒税法で規定されておりますのは、原料のうち麦芽主原料ということで、それの五〇%を超えてはならない、副原科がですね、超えてはならないということになっております。したがいまして、それはあとの米と、それから最近ではコーンスターチ、コーングリットというようなものを使っておりますが、それをでん粉原料として使っておるわけでございますが、その辺の比率につきましては各社いろいろとやっておりますので、正確なことを申し上げられません。  以上でございます。
  68. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 要するに、比率等については企業秘密に属すると、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  69. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) 企業秘密というほど大げさではないと思いますけれども、いいものが入る入らないという、われわれの手に入る手に入らないという問題がございます。したがいまして、年じゅうどこでも同じ比率で使っているということではございません。したがって、一概になかなかこうですということを申し上げられないかと思います。
  70. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 非常に多額の税金を納めていただいているんで大変ありがたいと思っておるんですが、ただ問題は、原価が安ければこれはあたりまえの話なんで、そこいら辺一体どうなっているかということでお伺いいたしましたのと、それからもう一つは、できるだけ国産の麦ももう少しお使いいただかないと非常に困るんじゃないかという面もありまして、あわせてこれは御要望いたしておきたいと思う次第です。  次に、洋酒の関係についてでございます。課税標準のとり方が不公平だと、こういうお話でございます。これをもうちょっと簡潔にわかりやすく例を挙げてお話しいただきたいと思うんです。
  71. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) 先生も御存じのように、洋酒の場合の課税標準のとり方は、一応生産者の蔵出し時点での価格課税標準といたしております、先ほど申しましたんですが。蔵から出した時点ということは、すべての経費がその商品にかかっているということでございます。輸入洋酒の場合でございますと、先ほど申しましたとおり、いま現在のところ実際に支払われるべき価格、それからまた支払われるべきであろう価格というようにただいまの関税法でなっております。そうしますと、実際の活動関係をいたしております、卸、エージェントなんかは、広告いたしましたりそれから販売活動をいたしましても、その経費というのは従価税の課税の対象には入っておりません。したがいまして、市場で同じ価格、たとえば八千円なら八千円というような同じ標準のものをとりまして、国産の方が酒税額が多くなると、この不平等を直してほしいという意味で関係当局に御陳情もしたり国会の場をかりてお願いいたしておるわけでございます。よろしくどうぞ。
  72. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 先ほどお話ありました洋酒の場合は自由貿易体制の中で外国製品と競争しなきゃならぬと、私は外国の製品でもこちらへ入ってくれば税金がかるんだから同じことでないかと思ったんですが、先ほど言われた意味は、そういう点が違うから対抗上むずかしいと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  73. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) はい。
  74. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それから免税の酒、これは三本のやつを一本にという話なんですが、これ楽しみに外国へ行く者もおるんでなかなかむずかしいことなんですが、ほかの外国はどうなんで。ざいましょうか、これらに対する制限というのは。
  75. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) 外国の資料二通り私の方にございまして、大体先進国一本、それで国によりましてその一本以外にワインを一本つけ加えることができると。ですから、ウイスキーなりブランデーに相当するものは一本ということではそろっておりまして、国によりましてはそれにワインが別に含まれることになって二本という、そういう国がございます。
  76. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それから、国産洋酒にもどうもアルコール類を使うんですが、このアルコールは自家醸造というのはできないんですか。自分のところではできない仕組みになっているんですか。
  77. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) 先生のおっしゃっているアルコールというのは、糖みつからのアルコールですか、グレーンからのアルコールですか。
  78. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 糖みつからです。それと粗留、粗製アルコール。グレーンはモルトですから使ってない。
  79. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) それは蒸留酒を兼業しているメーカーの場合はこれは自家になりますが、蒸留機を持たない場合はこれは買わざるを得ないと思います。
  80. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 グレーシアルコールの場合はこれは別の問題だと思うんですけれども、そうしますと、自分のところでアルコール醸造の権利を持っている洋酒屋さんと外から買わなければならない洋酒屋さんとの間では差がつきますね。その点については、業界全体の問題としてはどうお考えになりますか。
  81. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) まことに申しわけございません。価格とそういう取引のことば私寡聞にして存じておりませんのですが、確かにそれは買う方が高いと思いますんですけれども、データ持っておりませんので申しわけございません。
  82. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 たとえば粗留アルコール、輸入価格か三言うと十一万か二万のものですね。しかしいま市場で醸造用のアルコールアルコール会社から買うとすれば、三十万近い値段がいたします。そうすると、自分のところで持っていますと、粗留アルコールを精製した醸造用アルコールにするということは、それほどコストが高くならないわけなんです。ですから、そうするとこれはやっぱり業界としては、そういう点で洋酒業界が全体としてメーカーが並べるような努力をひとつこれからお願いいたしたい。  引き続いて笠原さんにお願いいたしますが、ただいまわずか〇・五%のシェアでワインはどんどん伸びている伸びていると言われて、これは一面大変なことだなという気もいたしますが、ただ生産農家と表裏一体でやっていくという考えですね、これは業界全体としてはどうなんでしょうか、そういう姿勢が貫かれておりますでしょうか。山梨県だけで結構です。
  83. 笠原信松

    参考人笠原信松君) お答えします。  ワインというのは丸谷先生も御存じのように、日本のブドウというのは従来ずっと現在でもその基調は変わらぬと思いますが、青果志向なんでございます。青果のためにつくっている、市場へ果物として出している、これが日本のブドウづくりの栽培のやはり基本姿勢じゃないかと思っております。だからそういう点から考えますと、現在フィンがこういうふうに伸びてきまして、私ども原料、もちろん絶対量足りませんが、ただ従来の原料の需給の面からいたしますと、そういう青果志向でつくっているブドウでございますから、どうしても青果の方に影響されるんです。したがって、青果の方も生産者の皆さん勘案してやっていらっしゃる。私どももそれらと関連しながら私どもは無理をしないで、そして農家の方たちがいま生産されているものをまた売ってもらえるものをいただこう、そういうつもりはしておりますが、ですが、これだけワインが定着してまいりますと、量が少なくともやはりもうこの辺で日本独自のブドウをつくることを進めていかなければ、いわゆるブドウの生産体制でございますが、続けていかなければならないんじゃないかと私は考えております。これは丸谷先生のところはもうとっくにやっていらっしゃいますが、そういう形に持っていくのがやはり国産ワインの筋じゃないかと思っております。
  84. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 どうもありがとうございました。どうか農家のためにがんばってください。
  85. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私からも引き続き御意見をちょうだいしたいと思うんです。本当にお忙しいところ御苦労さんでございます。  いまのお話を聞いておりまして大変私は奇異な感じを持って聞いておったんですが、これは皆さんの業界酒類業中央団体連絡協議会というのがございますね、七団体が加盟している。この七団体の加盟が五十五年の十月の一日に自由民主党政務調査会の税制調査会山中さんに要望書を出されていますね。その要望書も細かに言わなくたってわかると思いますが、とにかくここで言っていることは酒税税率を下げてくれ、ましてや増税なんというのはまかりならぬと、こう言っておりますね。そしてその理由の中にはもう担税能力はないんだ、皆さんの業界には担税能力がないんだ、だから困ると、こうおっしゃっているんだと思うんです。それから年々コストアップが行われるから非常に経営が苦しい、そういう立場からも困る、そうおっしゃっているんだろうと思うんです。あと三、四と具体的な問題はありますけれども、そういう要望書を出されているのに、今回皆さんのお話聞いておるとやむを得ないというお答えのようですね、もう仕方ない、こういうお答えなんです。どうもその点が納得でるないものですから、各業界ごとにもう一度本音を言っていただきたいんです。
  86. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 森本参考人から順次御発言願います。
  87. 森本省三

    参考人森本省三君) ただいま五十五年の十二月一日に何か増税は困るということを中央会あるいは団体の方で、執行部の方で担税力がないと、あるいはコストアップで苦しいんだという要請があったということでございます。私はっきりその書面見ておりませんので存じませんが、この昭和五十年を一〇〇といたしますと、清酒は九四・四%、ビールが一一九・八%、ウィスキーが一四一・三%、計数に誤りがありますればお許しいただきたいのでございますが、いま先生がおっしゃいましたように、この五年間に清酒は九四・四になっております。そしてこの八年間に、原料米の関係で実は五回価格改定をさしていただいておるというような状況でございまして、確かにいま先生がおっしゃっておりますように、清酒業界には担税力がないんじゃないか、コストアップで苦しいんじゃないか、にもかかわらず今回の増税にアグリーメントするというのは少し問題があるんじゃないかと、かような御意見かと思うのでございますが、しかし私どもは、何といいましてもやはり大いに期待をいたしたいのでございますけれども、五十九年度でもってどうにか健全な財政になるんだと、私は必ずしもそうなるかどうかわかりませんけれども、少なくともそういう大きな前提といいますかそういうヒポテーゼに立って国会の方でいろいろお考えになっておりまする以上、やはり私ども免許業者でございます、いかなる努力をもってしてもなおかつやっぱりこれはやっていかなきゃならぬ。  特に、皆さん方御承知のように、私どものような会社には元参議院議員をしておりました伊藤保平というのがおりますが、やはり彼ら先覚の生霊たちがつくりましたこの清酒業界でございまするので、どういう苦境にありましてもいかなる苦難がありましてもやはりこの道は歩んでいって、少なくとも先輩の残したこの資産を二十一世紀につなげていきたい。確かに増税は苦しゅうございます。苦しゅうございますが、私はやっぱり先覚の生霊たちにこたえなきゃならぬ、こういう決意で実は今回の増税に賛成をいたしました。そして会社の中におきましても従来以上に大変な企業努力をいたしております。薄い布団の上にあぐらをかいておるんじゃないかというような御意見もあろうかと思いますけれども、少なくとも私を含めまして他の多くの業者が大変な苦汁をなめておるということは事実でございます。しかし免許事業でございます。だれでもできる事業ではございませんので、そういう使命感で私どもは国会の方で何とか国の財政を健全化しようという大きな大前提に立っておられます以上、私ども業者といたしましても何とか将来に明るい希望をつなぎまして今回賛成をいたした、こういうことでございます。
  88. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 済みません、時間がないものですから皆さんの御意見を伺いたいと思いますが、いま森本さんから伺いましたから……。私が一番心配することは、皆さんの決意は決意としてそれはそれなりに承ります。しかし幾ら決意をしても担税能力がなきゃどうにもならぬのですね。つまりそれは消費者に転嫁するということになりますね。そうすると、本会議でも私は質問したんですが、コストアップの問題とそれから増税の問題とイタチごっこになっちゃって常に消費者に振りかぶるわけですね。皆さんのいろんな資料を見ても、また酒か、またおれをねらったのかとこうみんな言っているじゃないですか。なぜもっと堂々と皆さんの立場を主張なさらないのかわからないんです。私は皆さんから陳情書をもらったわけじゃありませんから、社会党は反対なんですから。皆さんと同じなんですわ。皆さんの陳情をなさった自民党がやるんですから、そこだけ間違いなく思っていただきたい。  さてその次は、私は中小路さんにお伺いしますが、ビールもあれじゃないでしょうか、冷夏とか何かがあって大変需要が低下していますね。私のお聞きしたところによれば、これから伸び率大体二・二%ぐらいだというように私は聞いたんですけれども、それが今度の増税の問題で影響がどのくらいあるかというと約二%くらいあるだろうと、いろんな天候とか何かもありましょうけれども、つまりとんとんであるというような状態なんだというようなことをお尋ねして聞いたんです。さてそうしますと、企業努力でこの増税分を何とか賄おうじゃないかということになれば、企業努力ということは何をもってなさるのかちょっとお尋ねしたいんですが。
  89. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) お答えいたします。  確かに昨年冷夏というような異常なことでもって需要が少し足を引っ張られたというのは事実でございます。しかし長い目で見ますと、先生二・二%の伸び率というふうにお聞きになったようでございますが、私どもも安定成長へ入りまして成熟期に入ったと先ほど申しましたように、まあ余り大きな伸びではないんですけれども数%、まあ人によって二%、三%、四%というこれはいろんな計算がございますが、そういうことを言っております。それで確かに、一方で増税の今度の影響を計算するとどうなるかというのでそのまま計算ずみと二%とか言っている向きがないわけじゃございません。ただピール需要というものは夏場の、先ほど申しましたように夏場の天候とか天候要因なんかが非常に大きく作用いたしますし、それから先ほど申しましたように他の物価あるいは国民の所得でございますとか、そういうような面にも非常に影響されてまいりますので、正直言いましてまあ天候次第と言うと余りにいいかげんでございますけれども、そういった面がかなりございますので、これから先の需要というものは確かに言いにくいわけでございます。しかし私どもといたしましては、こういう健康的なアルコール飲料あるいは嗜好飲料でございますので、できるだけたくさんの方にお飲みをいただきたいということで、ビール全体の総需要の増加ということは、企業努力としてやっていかなければいけない問題だと思っておりますし、その点では担税能力云々ということにそれがすぐ結びつくかどうかは、私どもとしましてはむしろ担税静力があると余り過大に言われているんじゃないのかな、むしろその辺はわれわれの企業努力で、現在まで企業努力でかなりそれをカバーをしてきたわけでございますけれども、今後も今度のような事態になりますと、われわれ一層の企業努力をやっぱりしていかなきゃいけないなというふうには考えております。
  90. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 企業努力という言葉が、非常にストレートに聞けば大変いい言葉なんですよ。しかし、実際上現場段階で起きるのは設備投資の問題もありましょうし、それから操業ですね、労働者の頭数の問題もありますから、この増税によって非常に利益が少なくなるということとの関係で、労働者への影響というものを私は大変心配するんですよ。これ以上は言いませんけれども、ぜひ労働者にはね返らないような努力はしてもらわなきゃいかぬと思うんです。  もう一つ、中小路さん朝日ですからちょっと答えにくいかもしれませんけれども、私がもう一つ心配しているのは、二四・二%上がったら麒麟さんばかりもうかっておたくの方は困っちゃうんじゃないでしょうか。シェアが大きい方にみんな食われちゃって、朝日さんとかサッポロさんな九かは本当に困るんじゃないかなと私は心配するんですけれども、そういう御心配はございませんか。
  91. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) 非常に微妙な問題でお答えがしにくいのでございますけれども、確かに麒麟麦酒のシェアが非常に大きいということで、私ども下位メーカーというのは非常に苦しい戦いをしておるということは事実でございます。ただそうは言いますものの、私どももまだまだ努力の余地があると私ども自身には言い聞かせておりまして、企業努力というと、それだけでは言葉だけになるかもわかりませんけれども、いろんな意味での合理化を、まだまだ私ども自身探せばあるということで努力をしておりますし、それだけではございませんで、新製品の開発とかそういった面でまだまだ売り上げをふやしていって、そういう寡占の状態というものをわれわれの企業努力ではね返していって、いま御心配いただいているような面がないように、私ども自身が努力をしなきゃいかぬと思っております。
  92. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私は、笑い事でなくて、シェアの問題というのは大きい問題ですから、寡占の問題につながってきますから、余り大きくなって一人だけもうけるようなら分割もしなきゃならぬような大変大きな問題を含んでいると思うんですわ。これは根本的な問題ですからここでこれ以上は申しませんけれども、われわれ自身も真剣に取り組んでいるという状態だけはお認めいただいて、またいろんな意見があったら聞かせていただきたいと思うんです。  それから私、小玉さんにお尋ねいたしますが、先ほど森本さんからお話しのあった話をずっと聞いておって、大変清酒業界のつまり革新というか、従来にないお話が森本さんのお話の中にあったように思うんです。たとえば一つの例をとれば、もっと国の管理体制を強めたらどうかというお話がございました。これはもっと聞かなきゃわかりませんけれども、従来のお酒類の自由競争というものがもう限界に来ている、ある意味では。だからもっと行政指導というかそういう国の指導というか、それは財政物資という前提に立つからですよ、そういうことをやったらどうかというお話のように私は承ったんですけれども、これは大きい改革だと思うんですよ。同時に、日本酒というものの酒税法上における定義というものが非常にあいまいだと思うんです、私は。非常にあいまいだと思う。見れば見るほどあいまいになってくる。だから丸谷先生の御質問じゃありませんけれども、米と水と米こうじでつくられている清酒がいろんなアルコールが入ってきたらおかしいじゃないかというのは当然出てくるわけです。そのときにお尋ねしたいのは、私の聞いた中では、大手と中小の中で二級酒というのが最近非常に重宝がられていますね。二級酒というのは、私は経済性の問題だけじゃないと思うんですわ。つまり安いからというだけじゃなくて、本当の地酒として品質本位に努力した結果、今日の二級酒の地位がずっとこう上が保ってきているんじゃないでしょうか。それをまたマスプロ式の経済合理性だけを追求していけば、せっかくこの地酒というものがこう——いわゆる民族酒というのに私は賛成です。そういう意味からした場合に、大変問題があるなと思うんですが、その辺の御見解いかがでしょうか。
  93. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) ただいま二級酒の問題につきましてお話があったわけでございますが、昨年度の実績を見ましても二級酒の伸びが大きくて、特級、一級が引っ込んでいるという結果が出ております。昨年値上げがございましたので、私ども業界の中で、これが一過性のものなのかあるいはこの後もこういう歩調が続いていくのかということでいろいろ議論が分かれるところだと思いますが、先ほど先生からお話ございましたように、私ども自体、業界ぐるみで地酒の振興という問題に取り組んでおります。こういう効果もやはり出てきているんじゃなかろうか。地方にあるいいものが見直される時代に入ってきているんじゃなかろうか。これも一つのやはり本物志向の動きじゃなかろうか、こういうぐあいに考えております。
  94. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 この前私、本会議で、酒類というのは伝統的、歴史的、文化的であると本会議で言ったら、みんなわあっと笑いよったんですわ。しかし私は、清酒というものを語るときに、やっぱり民族酒、国民酒と言っていいと思うんですよ。もっと自信を持って言うたらいいと思うんですよ、それは何といってもカビでアルコールつくる日本独得のやっぱり製法なんですから。そういう意味ではもっと大胆に述べていいと思うんですね。そのときに、しかしそうは言っても、現在の清酒業界の状態やいろんなことを見ると、私はある程度保護的なものをやらないとだめじゃないかなと思うんです。保護というのは、税制改正、酒税法改正というものをやらなきゃいかぬ。私はおけ売りというものに対して余り賛成じゃないんですよ。あれは一体どういうことかなと言ったら、日本酒民族性とか国民性なんか言ったって、全然なくなっちゃうでしょう。地方製の、地方の地酒というものも。それをずっとこう突き進めていけばもう民族酒なんということは言えないと思うんですね。十七度しか、後上げられないというのもそうでしょう。日本の食生活それからまた生活に密着した農耕文化というさっき言葉がありましたけれども、まさにそういうものだと思うんですね。だからそういうことから考えると、いま二級酒業界というか、中小というか、そういうところはなるべく純粋ないわゆる清酒そのものをもう一回復元する、このことを私は本気になって努力してほしいと思うんですよ。つまり民族の酒というものがなくなるということは、民族の文化がなくなることですから、民族の文化がなくなるといったら大変なことでしょう、これは。そういう意味で私は皆さんの業界がしっかりしていただきたいと思うんです。  さて、そういう意味からすると、今度は大手の方の森本さんの方にお尋ねするんですが、そういうことから考えたときに、いまの等級の決め方とかそれから品質との関係ない現行の酒税法に関して、いま業界としてあれでいいと思うのかどうか、お尋ねしたいんです。
  95. 森本省三

    参考人森本省三君) お答えいたします。  いまの先生の御質問は、集約いたしますと、紋別制度の問題と考えてよろしゅうございますでしょうか。
  96. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 紋別です。
  97. 森本省三

    参考人森本省三君) はい。この点につきましては、実は存続すべきかあるいはまた廃止すべきかと、いろいろ御異論がございます。先生御承知のとおりだと思います。しかしながら、やはり消費者も、それから販売業者も、それからメーカーもやはり長い間なじんできた制度であるということ、こういう歴史を持っているということ、これはひとつ御理解をいただきたいと思いますのが第一点。それからよくこれ忘れやすいんでございまするけれども紋別制度あるがゆえに約四〇%のシェアしか持っていない約二千八百五十社の中小方々のむしろ救済をする、そういう役割りも果たしておると、こういうふうにひとつ御理解をいただきたいと、かように思うわけでございます。  いずれにいたしましても、酒税法の全文改正が行われましたのはたしか三十七年でございますから、その後十九年たっております。十九年たっておりますので、世の中の価値観とかあるいは嗜好とか、あるいは私ども時代のような質実剛健、進取敢為、花鳥風月の趣というそういう文化のわからない方々が大変ふえてまいっておりますので、やはり酒税法というものは今日の時代にある程度マッチした改正、こういう時期はかなり熟しつつあるのではなかろうか、かように思います。  お返事になりましたかどうかわかりませんが、以上でございます。
  98. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう一つお尋ねします。  私は出身がたばこなものですから、酒とたばこというのはいつもねらわれてばっかりおって大変苦しいんですが、私はもう酒もたばこもある意味では財政物資と言うことは限界がなと実は一人で思っているんです。同時にもう一つ問題点なのは、未成年者対策ということがいつも言われるわけです。たばこを吸うと肺がんになるといって大変問題になって、有害表示をしたらどうかという議論があったりして健康注意表示に終わりました、のみ過ぎ注意です。お酒についてもそのことは言えるのじゃないでしょうか。飲み過ぎ注意、飲み過ぎたら大変だと。そういう意味では、飲み過ぎ注意というようなものの対策をやろうとしたら業界の皆さんはどういうふうに反応、お考えになりましょうか。渡邊さんいかがですか。
  99. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) アルコール健康医学協会というのが昨年発足いたしまして、それで適正飲酒というそういうような運動をこれは酒類団体すべてで共同してやっております。現在先生方お願いして適正飲酒とはどういうものなのか、これは人体のことでございますので個人差が非常に強うございますけれども、平均値的な答えが出るのではないかという意味での適正飲酒というものに対するアプローチと申しますか研究ですか、それにアルコール健康医学協会というものと各団体一緒になりまして現在取り趣んでおるところでございまして、幾ら飲めば適正飲酒であるかということに対しての答えはまだ出ておりません。そういう姿勢は持っております。
  100. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 この問題も、先ほどの森本さんのいろいろな提唱、提言などを含めていくと必ず自由競争から国のある程度援助とか指導とか、行政を入れるというのであればそういう問題も私は出てくる可能性は多分にあると思うんです。いずれまた皆さんの御意見も伺いたいと思っております。  とにかく、私が最後に言いたいことは、皆さん大変苦しいと思うのですよ。しかしお酒を上げなければ国の財政再建はできないのかというと、私らは意見が違うのです。皆さんと気持ちは一緒なんですよ。向こうの方が上げようとしているんですから、ここだけ間違いのないように申し上げて質問を終わります。
  101. 藤井裕久

    藤井裕久君 きょうは参考人の皆様方大変お忙しい中、また遠路お越しいただきましてどうもありがとうございました。  また、与党といたしましては、各参考人からそれぞれ意見の御開陳がありましたように、大変業界の事情が厳しい中で政府与党の決めました増税案に御賛成いただきまして心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。(「まだ決まっちゃいないでしょう」と呼ぶ者あり)御賛成をいただきましたことをお礼を申し上げます。  そこで、どうもこういう場所では与党は時間を遠慮するようなしきたりになっておりますので大変短い時間しかございません。そこで問題を限定いたしまして、清酒参考人のお二方にだけ御意見を伺いたいと存じます。  なお、ほかの御参考人からいろいろ有益な御意見をいただきました。酒類間のアンバランスの問題、あるいは渡邉さんからは輸入酒と国産酒の課税標準のとり方の問題等々、これは主税局で検討課題として取り上げるという委員会ができるようでございますが、与党といたしましてもこういう場に積極的に働きかけてまいりたい、このように思っておりますので御理解をいただきたいと思います。  そこでお酒の問題でございますけれども、先ほど来民族の酒、亡くなった大平さんは国酒、こういうふうに言われてまいったわけでございますが、需要が必ずしも伸びないむしろ減退をしているという中で、需要拡大策等いろいろ政府業界の皆さんも検討しておられるわけでございますが、一つ大きな問題はやっぱり原科米なのだろうと思うのです。それで、いまの食糧管理制度の中では原料米というものを消費者米価より安くするという仕組みがなかなか仕組めない。これは論理的には必ずしも私は仕組めないわけはないのだと思うんですが、まあその話は別にいたしまして、仕組めないために各種の助成だとかなるたけ政府管理米を回すとか、こういうことをやってきたわけですが、昨年、昭和五十五年の酒造米についての価格決定の際に、与党としては、米の消費拡大あるいは先ほど来のお話の純米酒の育成ということを含めまして、アルコール添加分を落としたその分に原料米を使ったものについては米の価格を下げようという案を出しまして、まとまる寸前までいったわけでございますね。そしてことしはぜひ実現を図るということで継続的に検討することになっております。そこでまず、その物の考え方について両参考人はどうお考えになっているかひとつ伺いたいと思います。それから、昨年最後のところまでいっていろいろ問題になった中に、古々米を使うという問題が一つの問題点だったと思うのです。これについては、食糧庁が低温貯蔵というものにもっと力を入れればいいのだとか、あるいは業界としても技術開発を図れば古々米であっても何ら差し支えないのだというようなことも意見が大分ありますが、そこいらの問題でございますね、これについて業界の実情はどうかということを伺っておきたいと思います。  時間がありませんから全部まとめて伺います。  第二番目は、先ほど来もちょっと話が出ておりました課税方式、紋別の問題です。確かに長い歴史の中で定着していると。森本さんのお話で、同時に中小業者に対して大変プラスになっている、これはそのとおりだと思います。しかし同時に、小玉さんはお話しになりました、二級酒が一審いい酒になっているというような問題。また第三者的に見ますと、鑑定官の舌の感じでもって特級だとか一級だとか決めてしまう、官能で決めてしまう、それで税金が物すごく違うというやり方、これは世界にも例がないのだと思います。世界税率の違いは大体度数で決めているのじゃないかと思いますが、そういういろいろな問題を含んでいると思います。どうもいまのお話ですと、これは間違っていなかったら結構でございますが、小玉さんは若干紋別制について疑問があるよという御指摘だったと思います。森本さんはいまの紋別はまだ守っていくべきだというふうな御意見だったと思いますが、違っておりましたら御開陳をいただきたいと思います。同時に、本当から言うと、これはそういうのをやめた場合にどういうふうに考えていくのかということでございますね。清酒業界が従価税は絶対反対だよということはよく存じております。しかしこれをやめたときに一体どういう課税の仕組みがいいのか、これは検討課題だというふうに言っておられますが、たとえば度数課税がいいのか、あるいはラフな二段階の従価税のようなものがいいとかいろいろあると思うんですが、そこいらについて御意見があったらひとつおっしゃっていただきたいというのが第二点でございます。  第三番目は、おけの問題なんです。  ことしの一月の三日のある大新聞にややおけがけしからぬというような角度から記事が大きく取り上げられて、森本さんのところはたしか第何位のおけ買いであるというようなことまで書いてあったと思います。私はおけは必ずしも悪いことじゃないと思いますし、私の親戚にはおけ売りをしている零細業者がおりますから、これはおけ売買がなくなったら零細中小の酒屋は大分つぶれると思うのですね。そういう問題にとどまらず、やっぱりあそこに書いてあったような、またいまお話しのように、大手の方もおけ売りの方に対して品質管理を十分した上でこれは一つの内部のフレンドとして考えているのだというお話がありました。私はそういうのもあっていいし本当の地酒のようなものもあっていいし、おのおの彼此融通し合っていくものだろうと思います。  さらに、これの表示を出せというのは少し私は行き過ぎじゃないかと思います。あの新聞にそう書いてありました。そうしたら反対の意見として、自動車で何の部品はどこの下請がつくって何の部品はどこの下請がつくっているというのを書くようなものでそれはできませんというような反対意見も出ていましたけれども、私も確かに表示問題は行き過ぎだと思いますが、おけ売りの実態があるということは、やっぱり国民の前に知らせる必要があると思います。あると思いますが、それが悪だとか表示を全部出せとか、それは行き過ぎだと私は考えておりますが、それについての両御参考人の御意見を伺いたい。限られた時間ですからこのぐらいで終わっちゃうのかもしれません。時間があればまた再度御質問をいたしますが、その点について両参考人の御意見をいただきたいと思います。
  102. 森本省三

    参考人森本省三君) お答えいたします。  まず第一番目は、原料米で純水酒をつくっている人はできるだけ安くしたらどうかと、こういう意見でございますが、先ほど申し上げましたように、全国の純米酒というのはグロスでわずか二%でございます。しかもいわゆる純水酒を礼賛しておる方々は、まさに純水酒オールマイティーの議論をされますけれども消費者の嗜好からいきますと、純米酒礼賛論というものを余りにも高く評価することによって原料米価格を安くするということは、やはり業界二千九百二社の平等感からいきまして、多少でなく大変問題があるかと思います。したがって、あえてこれを差別化する積極的理由は私は見つからないように存じます。現に私どもも純水酒をつくっておりますので特に申し上げておきたいと思います。  それから第二点の、古米を使ったらどうだと、こういうことでございまするが、誤りがあればお許しいただきたいんですが、たしか五十一酒造年度、五十二酒造年度に低温貯蔵の古米をいただいたことがございますが、たしか約七%ぐらいいただいたと思いますけれども、何といいましても品質がよくございません。しかもそれじゃ幾らでも出せるかということになりますと、私どもが報告を受けておりまする段階におきましては、全国にそれだけの低温貯蔵するだけの倉庫がない、したがってそれを業者に払い下げるというだけの対応能力がないと、こういうふうに聞いております。結論を申し上げます。古米は品質向上にとってはプラスしない、したがって古米はいただきたくございません。これが第一点でございます。  それから第二点は、二級酒がいいという意見がある、また官能審査で紋別を決める、そういう点には疑問があるんじゃないかと、こういう御意見でございますが、現在の紋別制度は確かに官能審査によってやっております。したがいまして、ウイスキーなんかのようにモルトの全体の含有率に占める度合い、そういったどっちかといえば科学的といいますか論理的といいますか、どちらかというと官能審査というと非常に説得力が少ないと、こういうふうにお考えかと思いますけれど様、何といいましても業界三層長く続けてまいった紋別制度でございますし、また官能審査というと、何かすぐに、非常にこういいかげんにやっているんじゃないかというふうにお感じになる方が非常に多いんでございますけれども、坂口先生もおっしゃっておりまするけれども、これは非常に説得力がないかと思いますけれども、私ども業界人といたしましては、やはり非常に酒というのは深遠な風味を持っておると、まさに味覚といいますか臭覚の芸術であると醸造試験所の坂口先生あるいは山田先生等もおっしゃっているわけでございまして、日本清酒の製法というものはまさにテクノロジーの最先端を行っていると。いまだにわからない、サイエンスでわからない分野さえあるという非常に深遠な製品でございますので、官能審査はどうも論理的でないと、科学的でないと、酒税法の施行令の第十一条でございますか、それによって官能審査を受けてそして申請をして特級にする、あるいは一級にするということは少し矛盾があるんじゃないかという議論でありますけれども、私どもはこの点につきましては、やはりいいかげんな特級、一級を出せば、その結果は私ども会社に反映してくるわけでございます。会社が信念を持って出している酒でございます。二級と特、一級と同じじゃないかと、むしろ二級の方がうまいんじゃないかという議論には賛成いたしかねます。私ども会社が幸いにして三十八万石の消費者を持っているというゆえんも、まさにこういう点にあるんじゃなかろうかと、かように思います。  それから、いま御質問になりました……
  103. 藤井裕久

    藤井裕久君 おけです。
  104. 森本省三

    参考人森本省三君) 次はおけでございますね。実は先生、おけという言葉を使わないようにしていただきたいのでございます。(笑声)非常に誤解がございますので……。
  105. 藤井裕久

    藤井裕久君 未納税
  106. 森本省三

    参考人森本省三君) 未納税ということにしていただきます。といいますのは、私も中央会委員になりまして、一体未納税制度というものはどういうふうにするんだという、委員会で数年参加をいたしたことがございます。おけという文字は一切先生方もお使いにならぬように、ぜひとも私これをお願いをいたしておきます。  御承知のように、おけ取引というのは非常に長い歴史を持っております。(笑声)現在では大体業界も——これ参議院ですから、私もう大ざっぱに言います。約二千人おけ売りをしておられます。——おけ売りじゃございません(笑声)未納税売りを、売っていらっしゃいます。それから、買っておる方が大体八百六十社。そしてその量は生産した量の大体三分の一と、こういうふうにお考えいただいたらいいのかと思うんでございますが、実はこの未納税取引につきましては四十八年度に注文生産制度というものを私ども委員会でいろいろ知恵を出してつくりました。私の会社の例を申し上げますと、一〇〇%出資しておりまする、資本参加いたしておりまする会社が二社ございます。これは私どもの子会社でございます。それから一部資本参加している会社が三社ございます。これはまさにプロダクションチームでありまして、長期契約の相手方として取引をいたしております。よし資本参加をいたしておらなくても、現在私どもの未納税取引先は三十八社ございますのが、ほとんどこの方々の大半は私どものプロダクションチームとして提携してやっていきたいと、かように思っております。  私ども会社の例はさようでございまするが、それじゃ一体一般はどうなのかと、こういうことでございまするが、実は売る方と買う方ではどうしてもいろいろ——国会のように社会党あるいは自民党という、やっぱり何だかいろいろ争点がございます。争点がございまして、どういう争点かといいますと、簡単に申し上げますが、要するに売っておられる方はもっと長い期間、長期契約をしてくれという願望であります。しかしながら、この願望につきましてはいかさま需要が非常に変動期に入っておるときでございまするので、先ほど申し上げました資本参加、私ども会社はほとんど取引は続けてまいるつもりでございますけれども、やはり需要にマッチするということ、そういう生産をやりませんと会社は大変なリスクを負うと、こういうことになりますので、実質的には資本参加をし、あるいは精神的には長期契約をやっていこうというすでに分類はいたしておりまするけれども、この長期契約の問題につきましてはなかなか私ども、未納税をいただいておる方といたしましてもいろいろ苦慮している点であります。したがいまして、特にそれじゃなぜ長期契約をしないのかと、まあ一般の例でございますが、投下した資本を何とか回収していきたいというのが私どもどちらかというと大手の現在の課題でございます。フルに稼働しておらないのでございます。操業度が非常に低下をしております。しかも未納税の方が自製酒よりも高いという現実であります。こういった面を考えてまいりますと、私ども会社はおかげで大体プロダクションチームとして一応かっこうはつきましたが、その他の多くの方々の、いま申し上げました約二千業者の中にはかなり未納税の取引につきましていろいろな問題が介在しておるのが実態じゃないかと、かように思います。  それからもう一点は、未納税をした場合に表示をしろと、こういうことでございます。皆さん日本の灯籠をごらんになりますとわかりますが、五角の場合は円堂と言いません。六角になった場合に初めて円堂と言います。私は庭好きでございますのでいつもそういう感じを持っております。六角円堂。五角円堂とは言いません。やはりいろんなお酒をできるだけブレンドしていくというところに酒の妙味があるんでございまして、そういった面から見ましても、できるだけ多くの酒を調合していく。私どもはコンピューターで何とかそういう方法はできないものかといま研究をいたしておりますけれども、この表示を、いやこれは山口の酒が入っている、いやこれは秋田の酒が入っている、いやこれは新潟の分が入っている、いやこれは金沢の分が入っていると、一々そういう表示というものはとてもできるものじゃございませんし、知る必要も全くないと思います。現に私どもの醸造を担当いたしております者におきましては、こういった未納税の酒につきましては君のところはこういう酒をつくってくれと、君のところはこういう酒をつくってくれと、そして会社の酒と合わせまして、いろいろ本当に言葉で言えない苦労をしておるのが実態でございまして、先ほど先生がおっしゃいました未納税の表示をしろというようなことは、私は、とてもじゃございませんができませんし、まさにナンセンスだと、ここまで私申し上げておきたいと思います。  以上、答弁にならなかったかと思いますが、時間がないと思いますのでこの辺でひとつ遠慮させていただきます。
  107. 藤井裕久

    藤井裕久君 ありがとうございました。  大体いまで尽きていると思いますから、時間の関係もございますので結構でございます。ありがとうございました。
  108. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 参考人の皆さん、大変いろいろな有益な御意見を聞かしていただきまして心から感謝をいたしております。私たちもそういう御意見参考に今後努力してまいりたいと思っております。  そこで、森本さんにまず最初にお尋ねをしたいわけでございますが、ここ何年かの動きを見ましても相対的に清酒需要は減ってきておる。しかもその中で特級が減って一級はふえてきておる、あるいは二級の方に移ってきておる、こういうような傾向が見られるわけでありますが、この清酒需要の後退、相対的に減ってきておる、その原因についてどこにあるのか。どうしても原料米価格が八割近くを占めておる。こういう点から、どうしてもビール等に比べて相対的に値段が高くなってきておる。そういう値段が相対的に高いということ、あるいはまた国民の嗜好の変化ということ、あるいはまた広告、宣伝の違いとか、そういうふうにいろいろ原因はあると思うんですが、率直に言ってどういう点に原因があるとお考えか承りたいと思います。
  109. 森本省三

    参考人森本省三君) お答えいたします。  いま先生おっしゃいましたように、確かに一番大きな原因は、昭和四十八年価格改定ございました。四十九年もございました。五十年もございました。五十一年増税。五十二年価格改定。五十二年は増税。五十四年はこれは何もありません。それから今回もしこの法律案が通りますれば増税ということでございますので、実に九年間に五回の値上げとそれから三回の増税と、先ほどどなたかの先生がおっしゃいましたけれども、まさにイタチごっこになっておる、こういうことは事実でございまして、その元凶は一体どこにあるか。これはいろいろあると思います。  いま先生全部おっしゃいましたが、何としても大きいのはやはり原料米が、先ほど小玉さんからもおっしゃいましたように、四十八年を一〇〇といたしますと二〇〇%になっておる、こういうことでございます。しかもそれは製造直接原価の七割を占めておると。非常に相対的な不利な価格になっておって、まあきょう朝日麦酒さん、皆さんお見えになっておりますけれどもビール、ウィスキーとの均等な競争条件に立ってない。したがってぜひともこの環境を整備していただきたい、こういうことを特にお願いしたいのでございます。原料米価格によるいわゆる原価アップ、したがって末端価格の希望価格が非常に高くなっておる。景気が悪いために消費者はどうしても財布のひもをあけにくいという実態は、確かにいま先生がおっしゃったとおりでございます。  いろいろ清酒が退潮をたどっていった原因にはそのほかに、私を含めましてやはり企業努力というものが業界全体にも足りなかったのではないかと。そういう意味におきまして、先ほど最初に陳述申し上げましたように、せっかく中央会というものがあるんだから、中央会を激励してほしいと。そしてその中枢機能を果たして、清酒業界よもっていかんとすという、ひとつ激励を諸先生方からぜひやっていただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。  嗜好の問題とかいろいろな問題がございます。確かに最近はそういったぐあいで消費者ニーズというものも変わってまいっておりますし、何としても大きな原因はやはり原料米であると。同時に非常に代替性の強いウイスキービールというものが現代的な世相に非常に受け入れられておると、まあこういった時代的な借景もあるかと思いますが、清酒需要がなぜ落ちるのかということにつきましては、まず業界努力が欠落しておったと、これが第一番。第二番目は原料米価格の毎年の値上げによって末端価格が大きくなって不利な条件になっておるということ。嗜好の変化、これが第三番目であります。  以上のような借景がございまして清酒は退潮をたどっておると、こういうことであります。したがいまして、私は先ほど行政対応についてひとつぜひとも御協力をいただきたいと言いましたのは、まさにそういう危機的な状況というものが私にはある程度洞察できるわけでございます。そういった場合に堂々と胸を張って二十一世紀を迎えたいという念願がありますために申し上げたのでございまして、その点はひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。  お返事になるかどうかと思いますけれども、以上でよろしゅうございますでしょうか。——それじゃ、これでお返事にさしていただきます。
  110. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先ほど森本参考人は、やはり清酒業界合理化とか高度化にはなかなかそぐわないと、そういうお話をされたわけであります。私どもそれは理解できるわけでありますが、まあ確かにビールウイスキー業界に比べて原料米国際価格よりも三倍も高いものを使うと、そういう意味で非常にハンディがあるわけで、まあそれを公平な条件にするということは、これは私は政治のやるべき姿としてそれは必要ではないかと、このように考えておるわけであります。  そこで、特に業界努力も足りないと、そのようにおっしゃったわけで、その中でいわゆる中央会に対してもっとがんばってもらいたいと、こういうお話だったわけですが、具体的に中央会中央会なりに一生懸命やっていらっしゃると思うんですが、率直に簡単でいいんですけれども、こういうことをもっとやるべきだというそういうお考えはあるんでしょうか。
  111. 森本省三

    参考人森本省三君) お答えいたします。  前段のビールウイスキー等との環境条件をできるだけ整合化してほしいと、ついては清酒業界構造というものは構造高度化はできないということを先ほど確かに申し上げました。実は三十八年でございましたか、大蔵部会のいろんな御協力をいただきまして近代化指定業種になりました。近代化指定業種になるためには三つの条件が必要でありまして、一つは零細企業が多いということ、それからもう一つは、いまと少し情景は変わっておりまするけれども輸出をしているということ、もう一つはいわゆる構造高度化と、この三つの基本条件を満たしませんと指定業種にはなれないというふうに私記憶いたしておりまするが、まあしかし、零細な企業が多いということを取り上げていただいて近代化の指定業種になったわけでございまするが、皆さん方御承知のように二千九百社はそれぞれお家とそれからお蔵とひっついてございます。これをスクラップにして、そしてスクラップ・アンド・ビルドということはできるような状況にございません。したがって構造高度化というものはできません。したがってこれは非常にむずかしい問題でありますがゆえに、私は業界の将来に対しまして二千九百社が果たして残れるかどうかと実は心配をしておるのでございます。  それから先ほどの第二番目の、中央会はもう少しヘゲモニーを握るべきだと、具体的に言えと、こういうことでございますが、私この質問にはちょっとお答えさしていただくのを遠慮さしていただきたいと思いますが……。
  112. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 では結構です。
  113. 森本省三

    参考人森本省三君) これはちょっと私の立場から申し上げるのは……わかっております。(笑声)わかっておりますが、やはりこれはひとつ触れるのを避けさしていただきたいと、かように思います。お許しいただきたいと思います。
  114. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 やっぱり最近は——私広島ですけれども、広島においても一升びんを紙の容器とかそういうようないろんな研究がなされておるわけでありますが、そういうような清酒業界の改革に果たす中央会役割りも非常に重大ではないかと思いますし、そういう点はぜひ率直に業界内で意見を述べてひとつがんばっていただきたいと思います。  それから小玉参考人にお尋ねをしたいわけでありますが、二級で特級よりも高いと、そういうお酒もある。確かにこれは非常に理解に苦しむわけで、そういう点から言えば従価税というのが非常に筋が通っておると。けれども従価税になると、毎年毎年原料が上がると税も上がってくるというそういう点はあるわけですが、しかし税金全体を量を一定とするならば、やはり従価税の方がより合理的ではないかなというそういう感じがするんですけれども、そういう点はどうなんでしょうか。  それともう一つついでにお尋ねしますが、後継者の問題ですね、非常に杜氏というそういう専門的な技術を持った人がだんだん減ってきておる、そういう意味で酒造業界の将来を考えるときに、後継者の育成が非常に厳しい、また大事な問題であると理解をしているわけですが、その点の状況についての御意見を承りたい。
  115. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) お答えをいたしたいと思います。  二級酒で特級より高いお酒があるというお話を先ほど私、したわけでございますが、先ほどお話し申し上げましたように、どうも紋別というのは品質保証、JASのようなですね、品質保証の面と税金を取るための一つの基準にしているという問題がございます。この二つの問題をどう調和させて紋別をつくるのかということが大変大切なことじゃないかと思います。何かその努力がちょっと私どもも足りないと思っております。ただ私いまここで、それではこういう方法があるじゃないかと御提案を申し上げるようなものを持ち合わせておりませんので、それはちょっと避けたいと思いますが、何とかしてやっぱり消費者方々から信頼されるような紋別制度を持てればなという願望を持っているようなわけでございまして、やはり二級よりも特級が安いんではおかしなことになりますので、その辺のところをひとつ考えたいと、このように考えております。  また後継者の問題でございますが、この問題確かに先生御指摘のように、私ども業界にとりまして非常に大切な問題でございます。杜氏その他の技術者の問題もございますし、経営者の後継者という問題もございます。この問題につきましては、中央会中心といたしましていろいろその養成に取り組んでいるわけでございます。こういった業界努力が必ず実を結んでくれるんじゃなかろうかなという期待を持っているようなわけでございますが、現在の状態ではちょっと心細いような感じもしないではございません。ただ私、その実態の数字その他をきょう持ち合わせておりませんので、この程度で失礼をさせていただきたいと思います。
  116. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから中小路さんと渡邊さんにお尋ねをしたいと思います。  お二人の御意見で共通している点は、一つは非常に税率が高くなってきておる、ピールにしても半分近いのが税金で、これは世界的にも非常に高い。ウイスキーにおいてももちろん税率が特級等はもう五〇%に近いわけでありまして、そういう意味から税の全体の見直し、ということは相対的にピールウイスキーの税金を下げてくれと、当然そういう御要望ではないかと思うわけでありますが、しかしいまの状態でも、どちらかといえば清酒からビールウイスキーに嗜好が移っておる、また先ほど申しました清酒の場合は原料米が国産であり、ピールの場合、麦も国産をどんどん使うような方向に努力はされておるわけですが、それにしても相対的に考えればやはり清酒業界よりはより有利ではないかと。それと装置産業と申しますか、近代化合理化も非常にしやすい。そういう点から国としても大変な税金を負担をしており、常々われわれも感謝をしているわけですけれども、そういう点から考えて、税率清酒より高いのは、これは私はやっぱりやむを得ないんじゃないか、こういうように考えておるわけですが、それについての御意見をお二人から承りたいと思います。
  117. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) ただいまの先生のお話、まあ私どもが税金を下げてくれという要望をしておるけれども、相対的にはまた負担能力があるじゃないかというような御指摘かと思いますけれども、私ども税率が高いと申し上げておりますのは、やはりビールは特にアルコール度数から申しまして非常に高率になっておるということが一つございます。それから、国際的な比較も申し上げたかと思います。それよりも何よりも、私どもは非常にこういう健康的な嗜好飲料としてビールが今日非常に大衆化されておりますので、できるだけいいものを安く供給したいということでございます。したがいまして、余り過度な税金を負担をさせられるよりも、国民の大衆健康飲料として安く提供したいというようなことから、ほかのものと比較いたしまして非常に高いんではないかというふうに申し上げておるわけでございます。それからそれと同時に、税金が下がれば当然価格の面でももっと需要も、総需要が喚起できるということはもちろんございます。したがいまして、相対的な点で清酒より近代化もできるし、また原料の面でも恵まれているではないかというお話でございますが、そういうことも入れて、われわれはまたさらに一方、企業努力経営努力をやって今日の価格を維持しておるわけでございますので、それはそれなりにひとつ評価をしていただきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  118. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) 業態自体につきましては中小路さんがおっしゃったのと非常に近似しております。確かに伸びてはおります。ですが、これは努力して伸びて、伸びたことがまた担税能力がある、そういうふうにこれもまたイタチごっこだと思いますので、実際の消費税を負担するのは国民方々でいらっしゃいますので、そうしますと支出した金に見合った納税、こういうことをやはり先生方にもお考えいただきたいと、こういう気持ちでございまして、清酒を上げろうちの方を下げろ、そういうことではなくて、消費者負担する金額に応じたバランスをお願いしたい、そういうことでございます。
  119. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから中小路さん、渡邊さんに続いてお尋ねをしたいわけですが、現在の酒類の販売につきましては免許制度があるわけです。最近免許制度というものをこれは憲法違反ではないか、もっと自由に販売できるようにしろ、こういう裁判も行われまして、たしか一審ではその主張が認められたように聞いております。確かに一般消費者から見れば、限られたところではなしにいろんなところにお酒が売られている方が、非常に消費者にとったはいいかもしれない。しかしまた、税金を確保するというこういう大きな目的から考えて、現在税金は酒造メーカーが蔵出しするときに負担をしておるわけですが、余り売り掛けが取れないとか、こういうようなところがふえてもこれは非常に困る、そういう点があろうかと思います。もちろん小売店にとりましては、そういう自由化になりますと非常に弱い小売店が倒産をするという、こういう危険ももちろんたくさんあるわけですけれども、メーカーの立場から見た場合、この免許制の問題についてはどのようなお考えをお持ちであるのか、これを承っておきたいと思います。
  120. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) お答えいたします。  酒類販売免許の制度でございますけれども、これはいま先生御指摘のように、税収確保ということから発しておると思いますが、同時にまた、非常に長い歴史的な背景もございますし、いま先生御指摘のような各小売店はかなり零細業者が多うございます。そういう面での保護もある意味では必要かと思っております。  それで、メーカーから見てどうかという御質問でございますけれども、私ども何よりもやはりその流通が安定をしておるということがメーカーサイドとしても非常に大切な要素であると思います。したがいまして、この免許制度そのものが憲法違反云々になりますと私どもの判断を超えておりますけれども現状からいたしますと、私ども自身、多少流通段階のところをもう少し卸売業者小売業者のルートの再編成でございますとか、そういった面で合理化を図る必要があると思いますが、それがすぐは免許制度と関係しているとも思っておりませんので、それと別に流通業界のもう少し整理をしていかなければならないというふうにメーカーサイドとしては考えております。  以上でございます。
  121. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) 私どもの方はメーカーサイドではなくて、メーカーの事業者団体としてでよろしゅうございましょうか……。  私の方の組合は酒税の保全に協力するという目的でつくられている団体でございます。この団体は生販三層それぞれございまして、現在の免許制度のもとに酒類というものが販売され、そして青少年への飲酒、そういう問題がございますので、現在の免許制度のあり方については現行で適正なのではないかと考えております。
  122. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 最後に笠原さんにお尋ねをいたしますが、大変山梨県においては地場産業として非常にブドウ酒を生産をしておる。私たちもそういうお酒においては地酒がだんだん発展してきているように、それぞれの地域における独特のお酒、ワイン、そういう方向は非常に私はいいんじゃないかと思うわけですが、一方輸入品との競合も非常にある、こういうお話だったんですが、そういう輸入品との競争状況はいまどうなのか。それに対して、それに打ちかつために、そういう見通しはあるのかどうか、このあたりをお伺いしたいと思います。
  123. 笠原信松

    参考人笠原信松君) 現在輸入品が大体、私の記憶では二〇%から三〇%近くびん物で輸入されております。ですが、ただワインについて有利なことは、原料がブドウである。平たく言えば青物でございますから、その土地の風土というものに非常に大きく左右されます。したがって同じ品種であっても、山梨でつくった場合あるいは山形でつくった場合とか、あるいは広島でつくった。場合、北海道でつくった場合、そういうふうに同じ品種によってもその土地の気候風土によって大いに左右されます。ただ問題は、完全に熟した良質のブドウ、そうでないと、そのブドウの持っている特性、いわゆる持ち味がフィンに反映されません。したがいまして、いまおっしゃいました向こうさんのワインと確かに同じ市場の中で競争はしておりますが、これからの個性というものを強調する、そういうワインをつくっていきさえすれば、価格の面でも、そういう個性の面でも十分太刀打ちできるのじゃないかと思います。といいますのは、向こうさんの気候風土とこちらの気候風土は全然別でございますから、こういう例を言ったらこれは当たっているか当たっていないかあれですが、私実はいまから二十年近く前にコニャックというブランデーのフランスの世界的な産地がございますが、そこでブランデーの実は製造方法、蒸留方法ですが、そういうものを三ヵ月ばかりにわたって勉強してきたんですが、帰るときにそこの社長さんから大分ほめられて、日本人は勤勉だし、お支え帰ったらコニャックに負けないブランデーつくるんだろうと言われたんです。いやそのつもりですと。そうでないと私はもうここへ来たかいがありません。そうしましたら、いや、君は大事なことを一つ忘れている。どういうことだ。さあ、私そのときはっとしたんです。いままでやってきておって、いまここで大事なことを忘れていると言われてこれは大変だな、そう思っておったんですが、やおら言われたことは、君、コニャックというのはここにしかできないんだよ。というのは、機械器具でもブドウの苗木でも何でも持っていける。ただし気候風土は持っていけない。そういう意味合いから、日本のワインというのは本当にまだ日が浅うございますが、こういう段階を踏みながら本当に今後日本独自の、その土地土地の気候風土に合った品種を選定して、それなりのワインに適合するようなブドウづくりをしていくならば、いわゆる国際的なワインの中でも日本のワインとして十分やっていけるんじゃないがと思います。
  124. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 どうもありがとうございました。結構です。
  125. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私の持ち時間は質問とお答え合わして十分ですので、端的にお答えいただきたいと思います。  まず小玉さんにお伺いしますけれども清酒中小メーカーが今日の困難を乗り越えようと大変真剣な努力をしていることは大いに敬意を表します。よい酒をつくろうと、特色のあるお酒をつくろうということ、それが清酒メーカーの生きる道だというんで、お米を中心としたお酒ということが大変問題になっております。  そこで、その観点からお伺いしますけれども、第一には清酒の定義を、お米を中心に置いたそういう定義づけをできれば立法としてしたらどうかと、こういう意見がありますがどうお考えか、それが第一点。  それから、先ほどからお二人の方から紋別問題が出まして、紋別をやめた場合に新たな問題ですね、どうなのかと。先ほど特別のお考えないように出ましたけれども、しかし実際いいお酒をつくった場合にそれをそれとして評価させたいと、これは当然のことだと思うんですね。課税の問題は別にしまして、消費者から正しい評価を受けるそういう方法として、たとえば製造方法に着眼して何段階に分けると。たとえばこれは星印の格づけ問題とかですね、そういう点がありますが、それについていかがお考えか、お答えをいただきたいと思います。
  126. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) お答えいたしたいと思います。  第一番目に清酒の定義についてでございますが、確かに昔は米と米こうじだけでお酒がつくられておりましたし、日本酒は本来そうあるべきだという考え方が一つあろうかと思います。あろうかと思いますが、現在の嗜好、それから先ほど申し上げましたように現在われわれの業界が置かれている経済的な立場、そういうものから考えますと、いま急に立法化して米と米こうじ以外は清酒じゃないと定義されますと、大変なダメージを受けることになると思いますし、やはりそういう問題については緩やかな変化を私ども望みたいと、このように考えております。恐らくいますべてを純水酒と、お米だけの酒というものを出しましたら、消費者方々から逆にこれは何だというような問題が出ないとも限らないと思います。と申しますのは、やはり最近の嗜好の状態からいきましてやはりソフトなもの、さっぱりしたもの、そういうものが好まれる時代に入ってきておりますので、余り味の濃い純水酒というものは必ずしも市場で受け入れられないんじゃないだろうかなという懸念が私どもございます。  それから紋別の問題でございますが、どうも日本酒というのは大変デリケートな商品でございます。世界に類のない並行複発酵と申しますか、糖化と発酵を同時に行うというような醸造酒でございます。そのために、できましたお酒が一本一本全部違うというようなこともございます。そういうデリケートなお酒でございますので、そういうものを製造方法だけで規定をするということは大変むずかしいのじゃないかなと思います。最近は分析技術が進歩いたしまして、ガスクロですとかいろいろ微量分析をする機能があるわけでございますけれども日本酒に限って言いますと、そういう微量分析よりも舌の感覚、鼻の感覚の方がさらに鋭いわけでございまして、やはりそういうものを考えますときに、これを機械的に分類してしまうことは、私非常に困難があるんじゃないかと思います。たとえば原料的に低位のものであっても、できたお酒がいいという場合もあり得るわけでございますので、そういうものをどういうぐあいにして処理すればいいのか、ただ単に機械的にこれをやることは非常にむずかしいということを考えております。
  127. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次に洋酒、それからビール清酒の順番で端的にお答えいただきたいんですが、値段の決め方ですね。小売価格流通業者との間でいろいろ協議されるかどうかという問題ですが、反面からいうとこれは流通マージンの問題です。これがどういうぐあいに決められるのか。考えられるのは、一つは製造業者の方が一方的に価格を指定して売らせるという方法。それから二番目には、小売業者が勝手にどんどん自分で値段を決める方法と。それから三番目には、両方で話し合いと。そういうぐあいにそのいずれかで決まっていくと思うんですが、それぞれのところでどのように決められておるのか。特に流通業者との間の懇談とか協議がある場合はどんな過程で決まっていくのか、それぞれお答えいただきたいと思います。
  128. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) お答えいたします。  事業者団体は価格問題に一切タッチできません。したがいまして、価格問題というものは個々の企業がやっておりますので、私存じておりません。
  129. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) 現在お酒の方の価格は自由価格制度でございます。したがいまして、全部自由に決めております。ただし——といいましても、私どもふだんから卸業者小売業者とはたくさんの接触がございます。それぞれなりの経営の内容あるいはまたそれにかかります経費というようなものも大ざっぱには承知をいたしておりますので、そういうものを勘案しながら私ども生産者価格を大体決めていっております。  以上でございます。
  130. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) いまお二方からお話があったとおりでございますが、私どもといたしましても、大体このお酒はこのぐらいで売っていただけたらなという希望価格というものは一応出しております。出しておりますが、これは別に強制する価格じゃございません。結局自由価格でございますから、卸の方、小売の方がどのように売られましても、私の方はそれに対して強制する何物もないわけでございます。
  131. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 しかし実際言えば、希望価格が大体基準で売られておると思うのですね。  そこで、マージンを見てみますと、私が質問した順番にだんだん高くなっておるわけですね。ということは、洋酒とかビールの場合にはやはり皆さんの力が強いから、流通業者との間では大変強い地位にあるので、ほぼ皆さんの申し出が受け入れられると。ところが清酒メーカーの場合は先ほど来問題になっているとおり、大変業界自身困難な状況にあるという点で、その辺でやっぱりマージンがどうしても高くなっておると、そういう面があるんじゃないかと思うんですが、その点は小玉さんいかがでしょうか。
  132. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) お答えいたします。  このマージン率の問題につきましては、いま急にできたあれでございませんで、そして戦後を申し上げますと公定価格がございまして、それから自由価格に移ったわけでございますが、その流れの中で自然に決まったように私ども理解しておるわけでございますが、これはやはり歴史的な背景がございますので、いまできたことじゃないと思います。
  133. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それからこれも小玉参考人ですが、これは将来の問題として規模別免許税を望む声が大変強いですね。特にこれは中小清酒メーカーの立場を考えてという意見が出ていますが、この点はいかがお考えですか。
  134. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) お答えいたします。  ドイツのピール業界のように、規模別に酒税を決めたらどうだというような意見業界の内部にございます。またこれにもいろいろ問題があるようでございまして、私いまどちらがよろしいと申し上げるまでの資料を持ち合わせておりませんので、ただ中小立場からいくと、確かにそっちの方がいいのかなというような感触だけはございます。
  135. 三治重信

    ○三治重信君 もういろいろの御質問がありましたので、ごく簡単に御意見を伺っておきますが、各業種でいろいろ販売の部面で競争されておるわけなんですが、しかし末端の小売免許制度になっているんですよね。これに対する御意見をちょっと伺いたいわけなんですが、各業界の方で、果実酒の方はまだ余り量がないから結構ですけれども、ひとつ日本酒、洋酒で小売の末端の免許制度というものに対して、一部スーパーや何かは自由価格にせいとか、また一部の人もありますし、それからわれわれ、小売免許制度小売業者の団体からいくというと、これによって非常に零細企業が維持されているし、また非常に価格なりある程度の安定をすることによって秩序が維持されると、こういうふうに非常に一長一短があろうかと思うんですが、製造業者としてどういうふうにお考えになっているか、ひとつごく簡単に各業界ごと御意見があればお伺いしたい。
  136. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) 先ほど免許制度につきましては、現行の制度下でよろしいのではないかというふうに考えておりますので^免許制度は先ほどのあれで憲法違反とか、そういう論点ではございませんです。
  137. 三治重信

    ○三治重信君 商売上、商売上いいか悪いか。
  138. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) 商売の方はごめんください。事業者団体で、実際タッチしておりませんものですから、その点の解釈はお許し願います。
  139. 森本省三

    参考人森本省三君) ただいま先生のお尋ねのありました免許の制度論の問題でございますが、行政管理庁とかあるいは臨調等でいろいろと議論が出ておるようでございます。現状のままだと、現状のままでいいんだと、あるいはもっと規制を強化すべきだと、あるいは緩和すべきだと、いろいろ御意見があるようでございますけれども、実は私、いままで二十数年間に約千軒以上小売屋さんを訪問いたしておりますが、特に最近伺いました小売屋さんの御意見総合しますと、現在小売店は、清酒に関しましては小売店は十七万軒あります。年間に大体二千五百軒ぐらいふえておるやに伺います。間違いがあったらお許しいただきたいんでございまするが、現在の免許を持っておる人は非常に資力が薄弱であります。それから新規参入ができますと流通が非常に混乱を来します。乱売になり過当競争も来します。そういった問題がございまして、免許の認可をこれ以上緩和するということにつきましては、私どもメーカーサイドといたしましてはよほど慎重にやっていただきたいと、こういうふうに考えるのでございます。ある二世から聞いたんでありまするが、いまの小売店のおやじの一生懸命やっている姿を見ると、見るに忍びない早くかわってやりたい、そしておやじの希望をかなえてやりたいと。ちょうど私が結婚の仲人をした二世でありますけれども、そういったまじめな二世も育ちつつありますし、現状のままがいいのか、規制を強化するのかあるいは緩和すべきか、この三者択一の問題についてはよほど慎重にやっていただきたいと、かように思う次第でございます。  以上でございます。
  140. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) 免許制度でございますが、実は私ども会社ではお酒のほかにしょうゆ、みそも一緒に醸造販売をいたしております。その実態を見ますときに、もし酒に免許が緩和され、またなくなった場合はどうなるであろうかということを考えますと懐然とするものがございます。と申しますのは、いま秋田のような田舎でさえ恐らくはしょうゆ、みその流通の六〇%ぐらいが量販店経由で売られているわけでございます。この量販店がどういう売り方をされるかといいますと、ひどいときには私どもが問屋さんに上げる価格よりも低い値段で売られております。それで、それじゃ量販店もうからないじゃないかと、こういうことでございますが、量販店さんの考え方は何を目玉にすれば何人お客様を動員できるかと、こういう考え方でやっているんでございます。ということを考えましたときに、もし量販店の方々が皆さん酒の免許を取られて、あるいは免許がなくなった場合、お酒を扱うことになった場合、必ず一番いい目玉になるのは私はお酒だと思います。そうなった場合、先ほど森本さんのお話しになった十七万軒の販売店の方々、これはもう商売ができないんじゃないかと思います。で、いま一般小売店の方々が売っていらっしゃる商品は酒しかございません。調味料ですとかそういうものはもうスーパーで皆さんお買いになりますので、本当に足りないときに最寄りの小売店から買うというのが消費者の実態でございますので、免許制度はそういう意味からもひとつ堅持していただきたい、このように考えております。
  141. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) ピールのメーカーの立場から申し上げますと、まあ小売免許というものは徴税の、税収確保という点でつくられておると思いますけれども、私ども先ほど申し上げましたように、そういう意味で安定的になっているということが一番大切だというふうに思っております、流通の機構がですね。ただし一方、それから免許下付の場合に、税務署がそれぞれよく調査をされておりますので、そういう面での安心感というものが商売上一つございます。しかしそうは言うものの、免許にあぐらをかいているような業者といいますと、今日やはり相当競争条件が厳しくなっておりますので、それは免許とはまた別に、それぞれの企業会社の、お店の努力というものが要請されるわけでございますので、その辺では余り販売免許が商売上にどうのこうのということはそういう面ではないんで、むしろ安定しているというところで私どもは現在は評価をしております。  以上でございます。
  142. 三治重信

    ○三治重信君 ありがとうございました。  まあ先ほど言われましたみそ、しょうゆなんか、それで大変えらいおとり商品に使って苦労している。だから酒みたいなのは、確かにそれをやられると大きな被害を受けるということが考えられる。  それからもう一つは、やはりいま最後におっしゃったように、どうも免許制度の上にあぐらをかいていると、これが伝統的になって、ことに日本酒なんかは販売力について非常に鈍ってきているんじゃないかと、むしろこれがない方が各製造業者が本気になっていいじゃないかと、利害得失いろいろいま論ぜられておりますが、こういうことについて私も検討したいと思ってお伺いしたわけで、どちらがどうということを私が意見を持っているわけではございません。  それからもう一つは、やはりわれわれ議員の中で、日本酒伸びが少ないということから、いろいろ業者の方にお尋ねをしておられると思いますが、私は率直に、これもまあ結論を持っているわけじゃないんですが、果実酒の笠原さんがおっしゃったいわゆる果実酒、ブドウのワインのように、清酒の方もやはり日本の醸造酒ということになってくると、やはりできた生産地の風味、味覚というものでその郷土色を出すことが、一つの消費なりこれからの、いわゆる味覚というけれども、やはりそこに一つのふるさと意識というものですか、その産地を思い出すと、飲みながら。そういうことに非常に影響するというふうなことの方がむしろ私は日本酒に対する愛情が残るんじゃないかと思うんですが、こういうものについてひとつ御意見をお伺いしたいと思います。  それで、酒と洋酒にだけは級別があるんですがね、そしてビールとワインは余り紋別はないんですが、こういうようなのも慣習によるかと思うんですけれども、こういうのはむしろ私は大蔵省が税を取りやすいためにこういうことをやったんじゃないかと思うんですけれども、むしろやはり業界の方としては日本酒なら日本酒のほかのやつも全部含めても、こういう製造業のいわゆる奨励策のような、別に酒税法でよけい取ろうとするなら、なお業界をしっかり育成するためにこういう酒類の製造業法みたいなので、もう少し皆さん方と相談していろいろ販売というんですか、これは酒類というのはその民族の歴史をあらわしているわけなんだから、そういうことがわかるようにしたいと思うんですが、そういうことについての業種のいわゆる奨励法をつくったらと、酒税、税金の方を取るだけでこういういろいろ規定しているのはどうも発展上おもしろくないんじゃないかと思うんですが、そういうことについて御意見をひとつ各業界お願いしたいんです。簡単で結構です。
  143. 森本省三

    参考人森本省三君) 製造業の奨励策というんですか、そういうものを法で皆で相談してやったらどうかと、こういうことでございますが、私も非常に不勉強で申しわけないんでございますが、醸造試験所というものがあるのは、日本以外にないのではなかろうかというふうに感じますが、ちょっと私間違っておるかもしれませんが、お答えさしていただきます。  それから、郷土色を出す方が日本清酒のためにいいのではないかと、私どもも全く先生のおっしゃるとおりでございまして、地方の方々もいろいろ努力をしておられます。しかし必ずしも十分に企業努力をしておられるというふうに見受けられない、行政の対象にすらならないであろう、趣味でつくっておられるような業者もやはり一部にはある。こういうことを申し上げては非常に失礼かと思いますけれども、そういう方もないことはないということだけ一つ申し上げておきたいと思います。
  144. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) 私どもビールの方は級別ございませんが、原料、製法とも大体類似しておりますので、また品質的にも大部分のピールが同じようなものでございますので、私どもは紋別の必要を感じておりません。  以上でございます。
  145. 三治重信

    ○三治重信君 結構です。
  146. 野末陳平

    ○野末陳平君 さっき小売価格に占める税の負担割合の話が出まして、バランスが悪いんでその辺を何とかしてほしいというようなこともありましたけれども、これお客の立場からいっても非常に差があり過ぎて、その差が必ずしも合理的な理由に基づいていないので非常におかしいとは思っているんですね。ですけれども、長い歴史もあることで、たとえば五割近い負担率のものを、じゃ下げるかというとなかなかいかないように思いますしね。それから今度はワインのように非常に低いのがあって、あるいはしょうちゅうとか二級酒も低いですけれども、それを上げるかというとそれもむずかしいし、簡単にはいかないと思いますよ。でも、とりあえず業界の一方的な要望といいますか意見で結構ですから、まずビールと洋酒は比較的負担率が高いですね。一体どの程度までになれば適正だと考えているのか。これはやや紋別に言ってもいいし、それから平均でもいい、あるいは上限はこの辺というのでもいいんですがね、それは業界の考えを参考までにお聞きするわけですから、率直に言ってほしいんですね。それで清酒の場合は、言っては悪いけれどもこれからますます飲まれなくなる傾向にあると思うんですね。そうなるとなお一層税負担の問題というのはきつくなってくるんで、そんなことも含めてやはりいま言った皆さんが考える適正な負担率、小売価格に占める税の負担割合ですけれども、それについて意見を聞かせてほしいと思うんです。  それからもう一つ、洋酒の渡邊さんにお聞きしたいのは、さっきの旅行者の免税枠の問題ですが、ぼくもよそはどこも一本なんで日本のつもりでやって、ばかばかしい思いをしたこともありますけれども、さて三本が洋酒業界にそんなに影響を与えているのかどうかという点になるとさっぱりわからないんですが、これが一本になればそんなに皆さんもうかるのか、もうかるというか——だって、いまだってかなりもうかっている業界なんだから。(笑声)だから、そこは非常に——つまり旅行者の数が四百万人ぐらいになっていますけれども、全員が買ってくるわけじゃ当然ありませんが、そういう楽しみを一本に減らしてまで洋酒のことを考えるべきかどうか見当もつかないんで、たまたまふだん考えていたことですから、それについて、それも業界サイドの意見ですから、あくまで参考にしか聞きませんけれども、よろしくお願いします。
  147. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) いまの先生のおっしゃいましたとおり、三本を一本にしたからすぐ国産の洋酒が売れるか、これはまた別だと思います。私たちの申し上げておりますのは、要するに日本の場合は戦後急成長を遂げまして先進国の中へ入った。そうすると、先進国で同じことを大体同じレベルで物事をやっていて、なぜ日本だけが譲歩しなければならないのか。この場合は諸外国に日本人は非常に出かけまして、観光の楽しみという点を先生は御指摘になっていらっしゃるんだろうと思います。ただ業界から見ますと、日本へ輸入されている洋酒の、あれは大体二割ぐらい入っております。市場競争がございます。そうすると、それに対する二割には携帯品免税の品物は入っておりません。これがウィスキーでございますか、ブランデーでございますか、いずれにしても高価な物、特にこういう増税時になりますとそれが私どもにはなお痛切に感じられます。ここで増税する、だけれども免税がある。要するに競争者がまた出るわけでございますので、きつく締めろというんじゃなくて、同じよにしてほしいというだけで御了解いただきたいと思いますんですが。
  148. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ、ひとつ負担率のことについて。
  149. 中小路茂次

    参考人(中小路茂次君) ビールに関しましていま先生の御質問は、適正と考える税負担率はどれぐらいかということの一点だろうと思いますが、これは一方的な意見でいいということでございますので、お許しを得たいのでございますが、私どもビールがいま勤労大衆が非常にたくさん飲んでくれている一番いいお客さんでございます。したがいまして、勤労大衆に提供するものでございますのでできるだけ安くしたい、したがって税負担率が非常に高過ぎるんですよと、もう少し下げていただきたい。その例としまして、外国あたりのことも、あるいは二級酒、清酒の二級でございますとか、ウイスキーの二級とか一級とかというようなところを頭に描くわけでございますので、それと比べますと私どもの方がちょっと高いんじゃないのかなと、これは一方的な意見かもわかりませんが、そのように考えておるわけでございます。
  150. 小玉順一郎

    参考人小玉順一郎君) 税負担につきましてはどのぐらいが適正かというのは、これは大変むずかしい問題でございまして、具体的に申し上げることは避けさしていただきたいと思いますが、ただいま野末先生から日本酒はもう減退することに決まっているというような話がございましたので、それに対してはちょっと反論をさせていただきたいと思います。(笑声)  実を申し上げますと、先日坂口謹一郎先生とお会いしまして、実は私、野末先生と同じようなことを申し上げたわけでございます。酒はもう量近だめですわという話を坂口謹一郎先生にいたしたわけでございますが、先生は小玉、おまえ何言ってるんだ、見直される時期が必ず来ると、こういう大変心強いお話を承りました。と申しますのは、最近日本の栄養学というものが見直されてきているということでございます。と申しますのは、日本人が世界の中で寿命の長いことはトップクラスだということが言われております。それはどこに起因するんだ、やはり日本の食事がいいんだということでございます。明治以降、日本人は西欧人に迫いつけ追い越せということで、肉を食べなさい牛乳を飲みなさいと、こういう食事の指導をし、また栄養学者もそういうようなことを言っておったんだけれども、その誤りにいまごろになって気がついたんだと、日本食が復活すれば日本酒は必ず一緒に復活するんだ、こういう大変心強いお話も坂口先生からいただいたわけでございます。  日本酒につきましてはいろいろ誤解があるようでございます。どうも先生方にもあるんじゃないかと思いますけれども、私は糖尿だから日本酒を飲まない、ウイスキーを飲む、ブランデーを飲むと、こういう方がよくいらっしゃいますが、糖尿というのは別に日本酒が原因なんじゃございませんで、トータルのカロリーをとり過ぎるとそういうことになるわけでございますので、日本酒がおいしいからたくさんついつい飲み過ぎてしまう、こういう結果であろうと思います。飲み過ぎないようにしていただければ、トータルのカロリーを抑えていただければ糖尿の心配はないわけでございますので、その点ひとつお間違いのないようにお願いをいたしたいと思います。  また、先ほどどちらの先生でしたか、お話ございましたが、たばこだとかお酒の宣伝に、控えなさいと、社会的な問題になるぞということをおっしゃった先生がおられたわけでございますが、日本酒造組合中央会は大変フェアな広告をいたしております。肝臓を一週間に一回は休めなさい、こういう広告もいたしているわけでございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  151. 森本省三

    参考人森本省三君) 清酒業界につきましては税の担税力といいますか、そういうものは今日的な状況下では大体私は限度だと、こういうふうに考えておりますので、よく新聞なんかで一般消費税というんですか、間接新税というんでしょうか、将来もしそういうものが導入されるというような議論の場がありました場合には、どうかひとつ清酒酒税につきましては、先ほど来申し上げましたように、いろいろ不利な条件下で競合しておるわけでございまするので、この税をどうするかと、そういった税率の引き上げの場合にはぜひとも考慮をしていただきたい、こういうふうに思います。少なくとも間接新税においてはこれを別にすると、清酒業界を。これはひとつお願いしておきたいと思います。  先生方はどうも清酒業界に、こういうときになると非常に清酒業に対して御興味が深いようでございますが、どうかひとつ、日本酒というのは——余談を申し上げまするけれども、やはり庭とか家とか、あるいは清元、新内、一中、繁太夫節あるいは千利休を見ましても、やはり日本の文化の象徴であります。私は日本の文化の象徴というのはまさに間だと思います。この間というものを持っているのは、いわゆるウイスキーあるいはビールの方に悪いんでありますけれども、そういう日本文化の間というもの——皆さん方、そういう方には御堪能だと思いまするが、いろいろ御質問をいただくのも結構でございまするが、どうぞ日本酒もひとつ皆さん飲んでいただきませんと、何か洋酒を最近お飲みになっている先生方がかなりふえつつあるというようなうわさもうかがいますので、どうぞひとつ清酒の方もときどき御愛用いただきますようにお願いしたいと思います。私の父も九十二歳でございまするが、いまだに五勺飲んでおります。非常に健康でございます。(笑声)
  152. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ渡邊さん量後にお願いします、さっきの負担の問題。
  153. 渡邊剛權

    参考人渡邊剛權君) 事業者団体といたしますと、安ければ安いだけありがたいというのはこれは偽らないことでございます。ですけれども、税金は事業者が持っているのではなくてお買いになる方が御負担になる。そうしますと、その税金のバランスで消費動向が決められるおそれもまたございます。アルコール度数、先ほどでいきますと、一度当たりで確かに一番高いのはビール六・三ぐらいだと思います。清酒の二級を一とした場合でございますけれども、ウィスキーの場合が五。八というバランス。それで業界といたしましては高い。ではどこが適正か。要するにそれぞれが順調に伸びるところが適正なのかもしれませんけれども消費者のサイドの心理として、支出金額に応じたものという考えが私どもの考えでございます。
  154. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございます。心から御礼を申し上げます。どうぞ御退席ください。  それでは午後五時まで休憩いたします。    午後四時六分休憩      —————・—————    午後五時一分開会
  155. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、酒税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  156. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私、きょうは小売免許の問題、それから便乗値上げ二間、それから指導価格と自由価格の問題、アルコール専売の問題、それから酒団法の関係の問題、公正規約における安売り禁止等の問題、それから課税客体の把握の問題、それから酒税の抜本的な見直しに関する問題、合成乳酸の問題、そして合成乳酸に関連して醸造用資材規格協議会、それから酒の品質管理と、大体以上十一問ぜひ聞きたいと思っております。  したがって、ひとつ大臣お願いしておきますが、これだけたくさん聞かなきゃならないので、衆議院でやったように——あの記録は全部読んでますから、あれの蒸し返しの御答弁は要らないことをまず冒頭お願いしておきませんとなかなか進みませんので、ひとつ御協力をお願いいたしたいと思います。  まず最初に、酒の小売免許の問題につきまして、太田薫さんが行政改革の一環として小売免許を廃止せよというふうなことを言われておりますし、これについて「日本経済」あるいは「朝日」等でそれらに対する意見が出ております。いずれを見ましても現有の小売制度がそのままでいいというふうな新聞論調でもございません。しかし一方では、十七万と言われておる現在の零細な小売業者中心にしたこれらの既得権あるいは生活をどう守るか。また行政管理庁は、この問題についてしばしば現在の免許制度というものの検討の時期に来ているというふうなことを言っておりますので、これらをあわせて酒の小売免許の今後の課題として大臣はこれをどういうふうにお考えになるか、ひとつ大変大きな政治問題になってきそうな状態にもございますので、お考えございましたらお答え願いたいと思います。
  157. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) なるべく簡潔に申し上げます。  ともかく小売免許は、やはり確かに社会の商店を守るという点もございましょうが、余り過当競争になって小売屋がつぶれたり醸造屋に金払わなくなるということになると、結局酒税の収納にも影響あるという問題でございます。したがって、ある程度の簡素化は結構だと思いますが、小売免許をなくすというような考えはございません。
  158. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで大臣、戦前小売店が一番多くあったときに何軒くらいあったか御存じですか。
  159. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 昭和十五年に小売の販売場が三十五万三千三百六十四場ございました。現在は十七万一千五百十四であります。
  160. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 その十七万のうち、いわゆる限定免許がどれくらいございますか。
  161. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 全酒類の販売免許を持っておられるのが十三万四千五百五十九場、洋酒に限定していますのが一万九千九百三十六、その他の限定免許が千二百四十八でございます。
  162. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣、いまの数字でおわかりのように、現在よりも昔の方が小売の免許数が多かったんです。ただ、いろいろ問題があって免許制に切りかえてから一時がたっと減りました。それから徐々に復活してきているというような状態なんですがね、そのころに比べまして酒の何と言いますか消費というのはもう大変にふえているんです。当時十二億リッターぐらいの酒のときに三十何万軒あったんです。現在は六十八億リッター消費がうんとふえていますがね。にもかかわらず小売免許、特に限定免許を除くと十三万何ぼです。余りふえていないんです。これはこれで適正配置ができているかどうか、この点について国税当局のひとつ……。
  163. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 御指摘のように酒類課税移出数量、大分以前のことでございますが、昭和十五年の計数を申し上げますと九十四万八千キロリッター、それに対しまして五十四年度の酒類消費量は課税移出数量は七百万キロリッターということでございますが、その間実に二十九年の経過がございます。その間戦争後の経済状態とかいろいろな状況を越えまして現在に至っているわけでございますが、先ほども主税局長からお答え申し上げましたように、現在全国では十七万一千の免許業者消費者のニーズに合わせながら流通界で大事な財政物資の酒類を扱っておりまして、その間最近ではいろいろ倒産その他の事案も非常に少なくなっております。酒税の保全は非常に何といいますか順調にいっておると申し上げて差し支えないかと思いますが、そういう現状にございますけれども、私ども執行当局といたしましても、酒税法に規定されました免許条件と言いますか、免許の趣旨にのっとりまして適正な、流通界がさらに問題なく国民経済の中で、この機能を発揮するように常々注意しながら指導をいたしておるわけでありますが、その間やはり一番大事なことは、先ほども大臣からお答えがございましたけれども酒税の保全という意味も一方にございますが、同時にまた、中小零細な企業流通界として非常に重要な役割りを占めておるわけでございますので、そういった経営の状況をも勘案しながら免許の条件については適正に措置をしておるという状況でございます。
  164. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 小売免許というのは、本来、税を確保するということが主たる目的でございますか、それとも消費者の利便ということとどちらにウエートがございますか。
  165. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) お言葉ではございますが、率直に申しまして両面をにらんでおるということでございますが、重要な何といいますか嗜好品として、国民生活を豊かにする酒類の歴史というのは非常に長くございまして、今後もますます重要になると思うわけでありますが、そういった面で消費者に対しては適正な酒類を妥当な価格で安定的に供給するという役割り流通界が担っておるわけでございます。  一方では、酒税の転嫁というものが、間接税でございますので、流通界を通して実際の負担者である消費者からさらに代金が回収されてその酒税の保全が図られると、両面が必要だと思います。
  166. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 両面が必要だということと、ウエートがどちらにかかっているかという私の質問に対する答えにはならないんです。  本当に両面があれですか、ウエートはハーフハーフでかかっていますか。どうなんです。
  167. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) ウエートは質的な面と量的な面といろいろ論理的にはございますわけでありますが、お言葉ではございますが、量的にウエートが五十とか四十五とか、そういった評価はちょっとできないと思いますが、言うなれば両方百であるというような感じでございます。
  168. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうしますと、消費者の便利ということから言うと、消費者のそれに百のウエートかかっているとすれば、三十何万軒あったのが、消費者伸びているのに店は減ったと、これはどうですか。しかも新開地なかなか許可にならないというような状態。きょうは具体的な例は入ると時間がありませんので入りませんが、たくさんあるわけです。どうなんですか、その辺。
  169. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 簡単にお答えさしていただきますが、御指摘のように数量的には非常に三十年の間ふえておりますが、同時に経済構造として流通機能というものも非常に整備されておるということは、率直に言って申し上げられると思います。トランスポーテーションその他の問題について、合理化はやはりその期間に済んでおる。  一方でやはり、この十七万一千軒というものを仮にほかの食料品の商店と比べますと、たとえば八百屋さんとか魚屋さんとか、そういった全国の計数と比べますと、二倍、三倍に及んでおるということでございまして、全国の世帯数と比較いたしましても、概算して三百世帯に一軒と、あるいは飲酒人口から見ましても三百人に一軒というような計算になりまして、地域的にはタイトな部分もあるいはあろうかと思いますが、一方ではイーズな面もあろうかと思いますが、全国的にごらんいただければ、一応消費者のニーズにはマッチしておる現状ではないかというふうに見ております。
  170. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実はある税務署でこれ調べてみたんですが、その管内には二百五十軒の小売屋さんがあるんです。そのうち五キロ以上売る店がわずか二十軒、デパートだとか農協だとかスーパーだとかという、よりビッグなところが二十軒なんです。一割にも満たない。あとはみんな二キロとか三キロというふうな、総体の売り上げても二百万、百五十万程度の売り上げしかない小売屋さんが非常に多いんです。いま、ほかの野菜屋さんとかいろんな話が出ましたけれども、そうした地方の地域に行きますと、酒の小売免許かたばこの小売免許を売っているうちはやめないんです。で、それ以外の食料品を売っている店はどんどん少なくなっているんです、過疎地において。要するに、たとえば粗利益から言うと大体一八%ぐらい。先ほども問題になりましたけれども、ウィスキーやビールだと一五・五%、清酒類ですと二〇%ぐらいというふうな、粗利益から言うとまあお酒を持っていれば二キロくらい売っておっても生活費だけあると、こういうことになるものですから、この人たちはやめないで、ほかの者はやめていくというふうなことがどこにも過疎地の町村にあります。そういう点でいくと、まさにこういうところの酒の小売屋さんというのは保護していかなきゃならぬと思いますよ。  しかし一方では、先日の「日経」か「朝日」にもありましたが、だからといってこの小売免許が特権意識の上にあぐらをかくようなものになってはいけないと、こう思うんです。その点でどうですか、一体酒の小売免許というのは本質的にはあれでしょう、税を確保するための手段として行われた行為なんでしょう。消費者のニーズということが昭和十何年ですか、八年ですか、あのときにそういう論議がありましたか。
  171. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 御指摘のように、制度自体の基本は酒税法に基づく免許制度でございます。したがって、本旨は酒税の確保ということが申し上げられると思いますが、その運用に当たりましては同時に消費者のニーズに十分こたえるようにということで、弾力的に運用をいたしておるということでございます。  具体的に申し上げますと、先生も御存じだと存じますが、全国をいろいろな地域に分けまして大都会地あるいは市制区域あるいは町村区域と、そういった地域に分けまして、消費者のニーズが距離的にあるいは数量的にどのくらいになるかという尺度をもとにいたしまして、しかも免許業者となる方々の人的な要件といいますか、大事な財政物資であると同時に致酔飲料でございますので、国民健康の上からも大事な方に扱っていただくという趣旨で、人的な要件等も十分に吟味した上でこの免許確保を行っておる歴史が続いておるわけでございます。
  172. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 こういう小さな小売屋さんは保護していかなきゃならぬと思うんですよ。実際実態調べてみると、これとっちゃったら大変だと。また近くにスーパーなんかが出てきて、どんどん安売りされたりなんかしたら大変だというふうな心配もあります。しかしそこで、これは大臣が冒頭に多少見直しもしなきゃならないけれども、根幹は維持していきたいというような御趣旨でございますので、それはそれで実はそういう二面を持っていると、それに対する弾力的な対応と同時に、始めたときは確かに税を確保するということが主たる立法の精神だった、しかし三十年やってくればもういろんなことが起きてますから、これらを含めて実は解決していただきたい問題が一つあるんです。  というのは、新しいメーカーが非常に困るんです、新しいメーカーが。置いてくれないと。そうすると、これはまさにもう独占的なものになっちゃって、新しいメーカー、後発メーカー、特に日本酒なんかそうですが、戦後割り当て制度ありました、原料のね。ですから実績主義で、小さい日本酒業者なんというのは少なくしかもらってなかったんです。シェアを広げられなかったと。こういう人がいまどんどん食えなくなってやめてますわね。これらのものがそれぞれの地域でもう少し小売店に置いてもらえるような措置を考えないと、きょう現在で二千九百四軒という酒の小売屋さんのうち十五社の大手が四〇%売っている九ですから、残りの二千八百軒というものが残り六〇%をみんなで分けているんです。こういう人たち非常に困るのが出てきているんですよ。これらに対する対応はどう考えますか。
  173. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 御指摘のように、酒類の市場につきましては全国的な広がりを持っておりまして、地域的に見ましてもいろいろつくる側と売る側とのマッチングについてはなかなかスムーズにいかないという面は、現実的には御指摘のようにいろいろな面であろうかと思います。  しかしながら、現在の、先ほど申し上げましたように、流通段階では消費者のニーズにそれほど不便があるというような現状ではないと存じますが、しかしながら、日進月歩の技術等であるいは消費者のニーズが微妙に変化しておりますので、それに応じた新製品とかあるいは特殊な酒類というような、新商品の開発というものも最近随時行われております。そういった場合には、かなりロットの少ない形で実験的に消費費者のニーズをはかるというような行動も出てくるわけでございますが、それが果たして全般的な流通段階へうまくマッチングするかということにつきましては、確かに御指摘のような点はあろうと思いますが、さればと言って、販売店をふやすからそれが解決できるといった問題でもない面がかなりあるんではないか。と申しますのは、ロットが少なければ輸送コストもかなりかかります。それから消費地と生産地との地域的な距離というものも、これはつくるところが消費地に近ければ問題ないわけでございますが、かなり酒については、地酒というものが日本酒については特にそういった点が強調されておる昨今でございますので、そういった点つつがないような、何と申しますか、流通の店舗の設置ということについては一層弾力的に留意してまいりたいというふうに考えております。
  174. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣ね、私も苦い経験あるんですが、いまそういう日本哲、特に日本酒の小さい業者がいい酒——大臣が盛んに主張していた純水清酒というふうなものを、一生懸命研究していい酒をつくろうと努力しております。そういうグループもたくさんあるんです。この人たちが異口同音に、現在の流通過程の中でわれわれの酒をなかなか置いてもらえないというふうな悩みの訴えもあるわけなんです。こういう場合にどうですかね、いまお聞きしますと特定免許というのは大分出ているんです。地酒ですから、この県の中においてはほかが置いてくれない場合にはその酒だけ売るという、これいまの法律ではちょっと無理。しかし政令変えればできますね。できますから、特定免許でその県内の地酒をいま小売免許のないところで売ると。これ沖縄なんかは本当に薬屋さんだの本屋さんでも酒売っていますね。そういう例もあるから、これは無制限にやると小売屋さんに響きますから。あちこち置いてくれないので困っていると、少し大きくしようと思っても方法がないというふうな人に対する措置、こういうことは考えられないでしょうか。
  175. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) かなり技術的な問題も含んだ御質問でございますので、適宜お答えさせていただきますが、免許に条件をつける場合に地域的に限定してという御質問でございますが、問題の本質は、地場産業である清酒のメーカーが大都市で、大消費地で潤沢に酒を売りたいと、こういう御要望でございますと、いまのような措置ではマッチしないわけでございます。  そこで問題は、やはりそういった面で考えますと、酒販店をふやしてもこれは賄えない問題でございますし、やはり輸送とかそれから消費者の分布といいますか、それをお好みになる消費者がどこにあるかということがやはり前提になるわけでございまして、くどいようでございますけれども、現在は近代化計画の中で地酒振興という面で、そういった零細といいますか、中堅の地酒のメーカーさんが共同されまして地酒頒布会というものを、現実に私が存じ上げている数は五十社ぐらいですが、自信のあるお酒を相互に売るというような活動をいたしておりますが、それにつきましては私どもも特定の免許を下付いたしまして、順調にそれが進むようにというような配慮をいたしております。
  176. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣、いまのあれじゃ質問に対する答えに全然なってないんです。私の方はきょうは具体的な提言をして、そして少しでも全体をどうよくしていくかという、酒の業界全体のことを考えながら、現状だけに固執するんでないことについて御理解をいただきたいと思って提言しているので、社会党の案だから何でも反対するなんというようなことを言わないようにひとつ大臣お願いしたいんです。  いま私が申していますのは、日本酒の小さな人たちが地酒だからその地域で売ろうとしても、大手が盛んに宣伝でばんばんばんばん売っている。そのほかに、衆議院でも問題になりましたように一本づき二本づきというふうなことが行われているんです。特にこれは大手のメーカーがやっぱりリベートをつけているんです。そういう事実、私たくさん知っています。ですから、それぞれの地域で売りたいけれどもなかなかそう全部の小売屋さんが置いてくれないと、しかしいま酒の免許ないけれどもひとつこの酒やってやろうというふうなところへは、いまは雑酒の免許と出しますと雑酒一般になっちゃうから、間税の方で言うようにそう簡単には出せないということになるんですが、少し考えれば、その地域の日本酒なら日本酒を、その地域でなかなか小売屋さんが扱ってくれない場合は、たとえば隣でも新しい店を置きますよと、こういう措置を多少いじればできるはずなんで、御検討いただきたいと思うんですが、いかがですか。
  177. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) やっぱり既存の人は一軒でも新規な業者はつくりたがらないですからね。だから組合に相談すればみんなそれはだめと、こうなるに決まっているんですよ、そいつは。しかし中には、実際は看板もらっているけれどもほとんど売ってないというような店もあるでしょう。ですから、適正規模というんだから、そういう店を整理して別に新規免許をおろすとか、それからいま言ったように何で地酒を売ってくれないのか、そこらのところちょっと私も納得いかないんですが、結局地酒を置いてももうからないから売れないということなのか、問題は。しかし、やっぱりもうからない酒だったらだれでも扱わないかもわからぬし、そこのところで扱うというようなことがあって地酒振興というような、限定された地域でということになれば、私は余り弊害が出ないんじゃないかと。臨時的に、試験的にやってみるのも一つの手かなと思っておりますが、まあいずれにしてもいろいろ利害得失両方あるでしょうから、事務当局に謙虚に、社会党の人が提案したから、そんなけちな考え毛頭私は持っておりませんから、まじめに検討させます。
  178. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ちょっと大臣、もう少し御理解いただきたいと思うんですがね。というのは、利幅が少ないというのは売れなくて少ないという意味じゃなくて、大手の方がいまリベートなんかつけているんです、実際には。これは酒税課の方ではわかるはずなんですよ、報告取っているんですから、毎月。そういうのを見てくれば必ずわかるはずなんです。わかっているんです、実態は。ですから、そういう点で、一〇〇%の米のいい酒を地酒としてつくってやろうと思っても、大きなのが原価割って一本つける、二本つけるというふうなところで置いていきますと、その方を売った方が小売はもうかるからなかなか置いてくれないという問題があるわけなんです。そういう場合に、やっぱり小さな日本酒のメーカーを守っていくという立場で、いまの制度の中で特定免許というのがあるんですから、しかもそれをもっと限定して、限定免許ですね、いまのように雑酒の限定免許だとか一般の免許だとかということよりもうちょっと小さくして、新潟県なら新潟県の中だけでは多少この酒だけを売る店も、特約店を認めますよということに国税庁の方が踏み切れば、今度は置いてくれるようになると思うんです。いいですか。そこいら辺をひとつ勘案をしていただきたいということです。
  179. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) こんなことを事務的に言ったってそれは堂々めぐりに決まっているんだから、私は、一つのアイデアだからそれは試験的にどっかでやらしてみたらいいだろうと思いますよ。検討させますから。どういう弊害があるか——余り弊害あっちゃだめですよ、そのかわりね。私よくわからぬわけだから。しかし、なかなか新規の人が出るとなったら、みんなでそれは出させたくないというのも事実なんですよ。だけれども、そういうふうなことでまたみんながそういうものを抑えるという空気ならそれはまずいことであって、消費者のためにならぬわけですから、だから抑止力の点からいってもいいのかもわからない。だからそれは検討させます。
  180. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 既存の小売屋の権利も守りながら、やはりそういうニーズにこたえていくという対応の仕方をお願いをしたい。  次に、値上げに対して衆議院の答弁を見ていますと、もう端数切り上げ当然だというふうな大蔵側の答弁が続いております。これはちょっとぼくはいただけないんですよ。四捨五入するくらいならまだわかるんですが、とにかく端数切り上げというふうなことで全部上に持っていくと。そうすると、必ずいや酒は自由価格ですと、こう逃げる。いいですか、酒は自由価格。ところが、大臣だけは便乗値上げにならないように指導いたしますと、こう言っているんです、衆議院でね。どっちが本当なのか。値上げと四捨五入の問題及び自由価格指導価格との対応の仕方、この点についてひとつ改めてお伺いします。
  181. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) これは自由価格なら値上げも値下げもないんですよ、これ。四捨五入もあるし、それから切り捨てもあるし切り上げも、自由価格なら。ですけれども指導価格をどうするかという問題でしょう、恐らくは。だけれども、私としてはこれは前の話と違って税金が上がってコストがその分だけ上がる。そうしてやはり金利も、結局税金分も金利がかるわけですからね、とっておけば。だから消費者の方にはまことに申しわけございませんが、多少の切り上げは私はやむを得ないんじゃないかと、消費者の方には申しわけありませんが。しかし競争時代ですから、それは何も税金上がった分だけ上げないで売って罰金取られるということもないだろう、あれは。——ないらしいから、それは私は、そこはやっぱり自由価格だというのも決して間違った答弁じゃない。大体は指導価格に従う人が多いでしょう、よく知らぬけれども。だけれども、そこらのところは、私は多少のものはやむを得ないんじゃないかなという気がしているんです。
  182. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 まあ多少の値上がりはやむを得ないというお話を再三にわたってしておりますけれども、いまの酒類のそれぞれの原価から言うと、十円未満くらいの端数を切り上げなければならないような、そういうコストにはなってないと思うんですが、いかがですか。
  183. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 大臣からお答えございましたように、最終的には酒類価格は自由価格でございまして、しかも市場の中で商品として消費者に買っていただく価格ということになっておりますので、市場の慣行と申しますか、市場のこの状況というものが前提になって各企業がお決めになるというのが大前提でございます。  そこで御指摘のように、この市場の慣行はどうなっておるかということが問題でございますが、これはたとえば、ビールにつきましては五円刻みの値段が慣行になっている、あるいは容器によって違いますけれども清酒については十円刻みである、あるいはウイスキーについては百円というような市場の慣行がございまして、それに応じた値決めが行われるであろうというふうに思います。その場合に、今回最も大事なことは税額をいかに吸収していくかと。さらに大臣からもお答えいただきましたけれども、税額がふえますとそれに応じた、たとえば酒はすぐに売れないわけでございまして、在庫期間が一ヵ月であればそれに伴う金利相当分というものはそのまま金利負担が直接的な流通界の負担になるわけでございまして、これらも合わせて妥当な価格が形成されるようにということで、それを超えたいわゆる不当な値上げについては、これは必要があれば私どもも必要に応じて指導をしてまいりますというふうに申し上げたわけでございます。
  184. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それぞれによって違うと思いますけれども、メーカーから卸、卸から小売の手形の大体サイトはどれくらいだと思いますか。
  185. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) それぞれの段階で、また時期によって異なるかと思いますが、たとえば清酒で、メーカーの場合で申し上げますと六十日というようなことになっております。
  186. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、先ほどの答弁ちょっとおかしいでしょう。酒はすぐ売れないから、その分の金利も見てあげなければならないとおっしゃいましたね。二ヵ月後に払うんですよ。大体普通のあれかと言いますと現金回収して払うと。二ヵ月というのはごく一番短い方をいま課長さん教えたんだと思います。そうでない実例たくさんありますからね。
  187. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 途中で申しわけありませんが、いま申し上げましたのはメーカーの手形の回収の期日と、こういうことでございまして、流通段階でそれがさらに卸が小売から回収する期日がございまして、それのずれというものが時々刻々変わるといいますか、その差があるわけでございます。それがやはり商品が寝るという期間になるわけでございまして、金融的にもそういった点につきましてはかなりの借入金を全体について流通界で行っておるというのが現実でございます。
  188. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それぞれ手形を割っておりますからそういうことになるかと思いますけれども、しかし実際に酒が寝るからということだけではないんです、これはね、流通の期間において手形が出されておるのは。どんどん回収になってきたって回収率の非常にいいところでも手形支払いが……
  189. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 細かい数字で恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたのをさらにコンブアームいたしまして申し上げますと、清酒で製造業者の手形のサイト、これは平均いたしまして六十一日、六十二日、六十四日と、こんなようなデータが出ております。最長はどのくらいかと申しますと、九十六日、九十八日、九十三日というようなことでございまして、そのメーカーによってあるいは相手の流通業者によって一ヵ月ぐらいの差は出てくる、こういうことでございます。さらにこの卸売業者……
  190. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いいよ。
  191. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) よろしゅうございますか。
  192. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ええ。それでこの小売の問題に関連して、公正競争規約で安売りが禁止されておりますね。公取、来ておりますか。
  193. 波光巖

    説明員波光巖君) 酒類小売業における酒類の表示に関します公正競争規約が五十五年三月に認定されておりますけれども、これは致酔性という酒の特性にかんがみまして、業界における広告宣伝に一定の自粛を講じようとするものということでありまして、表示の適正化を図るという趣旨でございますので、安売りを規制するというものではございません。
  194. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうしますと、ついでに公取の方を先へお伺いをいたしたいと思いますが、実はきのうおとといですか、「独占禁止法と行政指導との関係についての考え方」という文書が回ってきました。これの所管課の人、来ておりますか。——アルコールの専売の問題なんですが、行政改革の一環としてアルコールの製造の方を特殊法人に移管するというふうなことが言われております。ところが一方で、これは四国の方で聞いた話なんですが、ある大きなお酢のメーカーが、いずれ民間に払い下げになるんだというふうなことであの地方のお酢屋さんが非常に心配しておる問題があるんです。それで聞いてきました。そんなふうになるんだろうか、絶対ならぬだろう、そうなったら大変だという話なんですが、通産の方はどうなんですか。民間移管というふうなことはありますか。
  195. 井上正

    説明員(井上正君) お答え申し上げます。  アルコール専売事業につきましては、一昨年末の閣議におきまして、五十五年度行政改革計画の一環といたしまして、専売制度は維持いたしますけれども、製造部門を昨年の秋に発足いたしました新エネルギー総合開発機構に移行するという基本方針が決められております。通産省といたしましては、その閣議に基づきまして現在移行に際しましてのいろいろな問題点を検討しておるというのが現状でございまして、工場のいわゆる民営化というふうなことは一切考えておりません。
  196. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで実は、仏そのときに不思議に思ったのは、アルコール専売というのは国営事業の中じゃもうかっている方なんですよね。で、これを特殊法人に移行するという場合にも、国家公務員の試験を受けて入ってきた人たちはどうなるんですか、これは。
  197. 井上正

    説明員(井上正君) お答え申し上げます。  現在移行問題に関連いたします諸問題を検討しておりまして、その中でいま先生御指摘の問題、身分保障の問題でございますけれども、どういう形で新エネ機構に移行したらよろしいかという問題を検討しておりまして、現在まだその結論は出ておりません。
  198. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣、これはもうかっているんですよ。ですから、こういうところから先に手をつけるというのはちょっと私たちは不思議でかなわないんです。どうですか、御存じてしたか、アルコールもうかっているということ。
  199. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 専売アルコールは実は酒税課税から除かれておるわけでございます。したがいまして、アルコール専売の益金から酒税相当額を取ったといたしましたならば、必ずしも黒字ということにはなりませんので、その点何と申しますか、本来一〇〇%アルコールまで酒税を徴収するものとすれば、これはむしろ赤字企業だというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  200. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そういうことになると、ちょっとこむ言わなきゃならないことになってくるんですがね。まあにやにや笑っておられるけれども、いま酒屋さんの方に出しているのは、三十万三千三百円というのが指導価格ですね、そうですね。
  201. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) トン当たりのお値段かと存じますが、これまた自由価格でございまして、指導価格とおっしゃいましたけれども、私どもそういう指導はいたしておりません。
  202. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、これは大蔵省はこれらについての指導はしていないんですか。
  203. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 指導価格ではございませんですが、いろいろ最近の事情、先生も御存じだと存じますが、海外の粗留アルコール、これがガソリン関係と関連いたしましてこの供給がタイトになっておる、あるいは値段の値上がりがあるというような事情は私ども拝聴いたしておりますが、それをもって幾らに云々というようなことはいたしておりません。
  204. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうしますと、五十四年十月一日二十三万七千円、五十五年十月一日三十万三千円、こういう価格を設定する場合に大蔵の方では全然業界のそういう相談にはタッチしていないと、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  205. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 何と申しますか、先ほどお答え申し上げましたように、客観情勢といいますか環境の変化とか、それから蒸留酒業界はやはり酒類業界の一つでございますので、それの健全な経営とかそういった点については十分留意していろいろ御相談があれば応ずるというような態勢をとっておりますが、値段を幾らにということはいたしておりません。
  206. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私の質問にちょっと答えてないんですがね。  私はこの値段の決められた段階で、大蔵は相談にもあずからないし会合にもだれも出ないし、意見も言ってないというふうに理解してよろしいんですね。
  207. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 各企業がお決めになっているお値段だというふうに思います。  それともう一つは、アルコールはいろいろ種類も実はございますけれどもアルコールとしては、その精製の程度ということによって種類は違いますけれどもアルコールそのものとしてはかなり均一化された商品ではないかと思います。したがって、各アルコールの製造業者の方が酒類業者の方にそれをお売りになるという場合のいろいろな契約ございますけれども、たとえば六ヵ月で契約するとかあるいは三ヵ月とかいろいろ契約ございますが、その間の値決めのいろいろ御交渉があって決まると。ですから、トン当たり三十万何がしというのは、そういったものの平均値といいますか、そういったものではないかというふうに心得ます。
  208. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 重ねてお伺いします。  私のお聞きしているのは、五十四年十月一日、五十五年十月一日——これは醸造用アルコール価格が値上げされているんです、この時点で。その日からこう決めているのですよ。この決める会合に、あるいはそれに対する下相談なり、そういうことについて大蔵の方としては出席はしていませんねと聞いているんです。
  209. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 直接の御質問でございますので定かにお答えは申し上げられませんが、先ほど来申し上げておりますように、価格を幾らに決めるということは個々の企業でお決めになるし、それについてのいろいろな協議ということもあるいはあるかをしれませんが、私どもとしてはそういった問題について幾らにすべしとか、あるいはどうであるというような御相談については承知いたしておりません。
  210. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 あなたが承知していないということですね。  私の言うのは、いいですか、もう一回言います。五十四年十月一日、業界は二十三万七千円に決めました。五十五年十月一日、三十万三千三百円に上げました。これらを皆さんが相談して——業界の名前もありますけれどもこういう席ですから申し上げません、それぞれのメーカーの名前は。いいですか。こういう相談の席におたくの方は出席していなかったですねと聞いているんですよ。
  211. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 昨年の十月でございますか。
  212. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 はい。
  213. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 十月に建て値が変更になったようでございます。その後、本年に入りましてから円高になっておりまして、これの引き下げも図っておりますが、業界の会合には全然出席はいたしておりません。
  214. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ぼくはさっきからそういう業界の会合に出席しているかいないかだけ聞いているのに、こんなに十分も持って回るような、これじゃとてもじゃないけれども、一時間半でもって終わりゃせぬですよ、こんな答弁されたら。していないといま言うんだったらすぐ言えばいいでしょう、そんなもの。三十秒もあれば答えられることを、何でそんなに持って回らなければならぬのです。どういうわけなんです、それ。
  215. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 業界の会合には全然出席をいたしておりません。
  216. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 相談にも乗ってませんね。
  217. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 個々の企業がお決めになる値段について、何と申しますか、環境はこうであるとか、そういったレポートはもちろんございますし、それに対してそれは承知しておくというような事実行為はもちろんございます。
  218. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 じゃ、こういう値段にしましたという報告を受けてはおると、しかし相談には乗ってないと、そういう意味ですか。
  219. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 大体そのとおりでございます。
  220. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大体というのは気に入らないんだな。こんな簡単なことが大体ということあるかい、あんた。
  221. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 御無礼しました。そのとおりでございます。
  222. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、報告を受けていて、いいですか、先ほど主税局長の方で専売のアルコール酒税や何かが入ってないから安くなっているというふうに言われましたね。この業界の、たとえば二十三万七千円、三十万三千円と、こういう金額には酒税は入っているんですか、それじゃ。
  223. 高橋元

    政府委員(高橋元君) これは酒税法アルコール分九十度以上のアルコールは除外しておりますから、酒税は当然負担しておらないわけでございます。
  224. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、先ほどの答弁は訂正しますね。
  225. 高橋元

    政府委員(高橋元君) これは酒造業者原料として引き取るわけでございますから、未納税の売買でございます。
  226. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私の聞いているのは、先ほどの答弁訂正しますかと聞いたんで、未納税だとかそんなことわかっているんだよ、それね。先ほどあなたは専売の方が安いのはアルコールの、醸造用のアルコールの方が酒の税金が入ってるから高いんですと言ったから、それを訂正するかしないかって聞いたんで、未納税聞いてるんじゃないんだよ。
  227. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 私が申し上げましたのは、アルコール専売事業で益金が出ているように見えますのは、もしそれが酒税負担したとしたならば必ずしも黒字と観念できないのではないかという趣旨の御答弁をしたわけでございまして、したがいまして、いま委員から御指摘のありました点につきましては、そういう趣旨であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  228. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 お酢になったり工業用に使うアルコール、専売のやつは。酒税の話どうして出てくるの、そこで。酒になるんじゃないんですよ。何でそこで酒税の話が出てくるんです。
  229. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 企業体として一般価格で販売しておったよりも安い価格で売っておるわけでございますから、したがいまして、一般価格で売ります場合に、それはやはり一〇〇%まで原料アルコール課税をするといたしますと、それは酒税負担することになるので、その点は黒字が出たといった場合でもしんしゃくしなければなるまいという趣旨を申し上げたわけでございます。そこで丸谷委員のおっしゃったことと私の申し上げておることは若干食い違っておるかと思いますので、以上の点を御了承いただきたいと思うわけであります。
  230. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 先取りして御答弁いただいたんだろうと思うんですがね。ただしかし、業界の方の三十万の建て値を決めた、ここもやっぱり酒税は払ってないんですよね、この値段に入ってないんです。いいですか。それで、国の機関でさえいま二十一万七千円の建て値です、九五%の変性アルコールが。しかもこれは変性するためにもう一つ手を加えてるんですよね、業界の売っている三十万のアルコールよりも。それで、国の方は乙の価格で売っていてもなおかつ利益が上がっているんでしょう。そしたら同じように税金のかかってない業界団体が建て値を集まって決めると、しかもそれは三十万三千円、これを大蔵省はどうして黙って認めているんです。国の機関でこんなに安く売っているのにおまえら何だということになぜならないんですか。
  231. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 先ほど来申し上げておりますが、値段についてのレポートなり状況のレポートというものは随時いただく場合もございますが、その過程で、たとえば先ほど御質疑のございました昨年十月の変更について申し上げますと、そこで、業界内でその建て値についていろいろ談合があったというようなことは私ども聞いておりません。
  232. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 聞いておる、おらない……。
  233. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) おりません。
  234. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 公取、これはたまたま公取から今回出ましたんで、前の質問からちょっと外れて、これはもうちょっと問題だと思っているのは、アルコール業界が相談して建て値決めていくと。大蔵全く知らないと言うんです。この問題については、さらに問題としては残ると思うんです。大蔵が全く醸造用アルコール価格の形成に関与しないと。これは大臣、大変なことなんですよ。まさに自由価格、本当かと。しかしこれらが関与しないとしても、どうですか、こういうことが建て値として皆業界で相談して、しかも相当高いんですよ、こんなところへ決めるということ、これ実勢はただし必ずしもこのとおりいっていませんよ、大量に買うというような場合。しかし建て値として決めることによってぐっと値段は二十三万から一気に上がったことだけ間違いなんです。買っている連中が言うんですから、上がっていたって。これはどうですか、公取として放置できますか。
  235. 相場照美

    説明員(相場照美君) お答えさせていただきます。  ただいまの議論をいろいろお聞きしておったわけでございますが、制度の内容その地よくわからない点もございまして直ちにどうだということは申し上げられませんけれども、今後事情等私どもとしても十分勉強したいと、こういうふうに考えております。通常の場合ですと、業界方々が集まられて談合されてそして値段を決められるということは、これは御承知のとおり独占禁止法に違反する行為でございます。そのような観点で、私どもとしても制度その他の内容がよくわかりませんので、現在の段階でどうだということは申し上げられませんけれども、一応私どもとしましてはこの状況について十分勉強してみたいと、こういうふうに考えております。
  236. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 参考までに、アルコール原科はコーンあるいは糖みつそれから粗製アルコールから蒸留したりしています。アメリカでは、これはつい最近の「科学朝日」に出ていたんですが、トウモロコシですと一ガロン当たり一ドルくらいなんです。これはもう、ですからトンにしても十万円切るくらいですわね、国際価格。そしてしかも問題なのは、原料の九五%海外依存しているんです。これはアルコール専売も同じなんです。それから民間の醸造用アルコールをつくっているところも同じように九五%海外依存です。そうしますと、このとおりでないとしても原料価格、粗製アルコール、糖みつ、いずれにしても通産の方でアルコール専売が売っているいま二十一万七千円、これは最近に上げなきゃならぬけれども、円高の関係もあるので、大体原価計算からいくと、この方は役所の方ですから原価計算は出てますね、これ。このこともひとつあわせて御記憶願いたいと思います。おたくがよくわからないということですから。
  237. 相場照美

    説明員(相場照美君) 先ほど申しましたように、ちょっとわからない点もございますが、十分に私どもとしましても勉強させていただきたいと、こういうふうに考えております。
  238. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それから通産——。おたくの方ではこれの原価計算に基づいて販売価格決めているわけですね、黒字になっているんですから、もちろんこれは原価計算を割っているということじゃないですわね。
  239. 井上正

    説明員(井上正君) そのとおりでございます。
  240. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 この点については公取に事実関係を十分調べていただくことにいま答弁いただいたんで、通産の方は結構です。  それから今度は、それぞれきょう開陳のありました中でも、洋酒その他から輸入酒とそれから国内生産の洋酒類、これが非常に税の賦課方法が違うので、不公平でないかという意見が開陳されました。この点について、現況のままで公平だというひとつ根拠をお示し願いたいと思います。
  241. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 酒の従価税でございますが、従価税の課税標準は国産品の場合は原則は製造者の販売価格、つまり蔵出し価格でございます。それから酒税法にも書いてございますように、輸入品の場合にはCIFプラス関税でございます。これが食い違っておるのではないかというお尋ねでございますけれども、国産品の蔵出し価格対応いたしますのは、輸入品の場合、輸入品が初めて国内の流通過程に入る際の価格、すなわちCIFというふうに考えるべきものというふうに思っておりますので、国産酒と輸入酒で課税方法に違いはないというふうにお答えを申し上げたいと思います。
  242. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、業界の言い分の方が間違っていると、こういうことでございますね。
  243. 高橋元

    政府委員(高橋元君) たとえば輸入後、流通の段階で広告宣伝費がかかる、それについて課税をすべきかどうかということが問題かと思います。国産品の製造者に対応いたしますのは輸入品の場合は輸出国の製造者または輸出業者でございます。したがって、国内の輸入業者は卸売業者と観念していいんではないかと思います。卸売業者が行います広告宣伝を課税標準に入れるべしという御議論は、直ちには成り立たないんではないかというのが従来から考えておったことでございます。
  244. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これは酒税の申告も自主申告ですからどちらの方をとるか、それはメーカーが決めることです。しかし、従量税の下位税率にしても上位税率にしてもメーカーが提出する希望価格を基準にして三二%でしたか、三八%ですか、控除をして従量税課税という方法があるわけです。そうしますと、貿易商社が入れてくるものは卸売だからそこで課税の対象にならないとおっしゃいますと、庫出税との関連から一言うと矛盾しませんか。庫出税というのおかしいことになりますよ、そうしたら。
  245. 高橋元

    政府委員(高橋元君) ただいまもお答えしておりましたわけでございますが、従来からの私どもの考えは、蔵出しに当たりますのは引き取りという行為だと思います。つまりCIFプラス関税で税関の倉庫に入りまして、そこから引き取られることが国内で申しますとメーカーの蔵から出るというところと観念すべきで、したがってそれを輸入の扱い者が、輸入業者が扱います場合の行為というのはすべて卸売業者がなす行為と、国内品で申しますとそういうことに当たるという御説明をしたわけでございます。
  246. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、CIFプラス関税、これは卸価格だと。
  247. 高橋元

    政府委員(高橋元君) メーカーの蔵出し価格でございます。
  248. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、それからメーカーから希望価格はとるんですか。
  249. 高橋元

    政府委員(高橋元君) ちょっと詳細はもう少し専門的にお答えをさしていただきますが、とっておりません。
  250. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それじゃ不公平じゃないですか。CIFプラス関税、それを蔵出し価格と設定した場合に、そこで税を決めちゃったらあと二千円に売ったって従価になるんですよ、二千五百円に売っても。いま業界の常識としては、たとえばワイン等についても二千円までは従価だと、こういうことが公然と言われております。また、事実の取り扱いもそうなってますよ。おかしいじゃないですか。
  251. 高橋元

    政府委員(高橋元君) ちょっと御説明が行き届かなくて申しわけないと思いますが、一定率制度を輸入品になぜ適用しないのかという御趣旨だと思います。国産品の場合には、申し上げましたようにメーカーの蔵出し価格を原則といたしておりますが、メーカーの蔵出し価格はロットごとにかなり変わってまいります。非常に複雑な算出手続が要りますので、御承知のように一定率という道を開いておるわけでございます。そういう意味で、一定率を適用するということになりますと、それは小売価格から逆算をして蔵出し価格をはじくわけでございますが、洋酒の場合にはそういう必要がなくてCIFプラス関税ということに相なっておりますので、一定率制度というものを適用する必要はないという考え方でございます。
  252. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうしますと、先ほどの答弁、同じだと言ったのはどうなんですか、同じでないんでしょう。
  253. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 酒税法のたてまえは、あくまでも製造者の移出価格課税をいたすということでございます。したがって、製造者の移出価格に当たりますものは税関からの引き取り価格、すなわちCIFプラス関税であると申し上げておるわけで、それはどういうふうに、輸入業者の扱いました場合の広告宣伝費等のそういう経費を課税標準に入れるべきかべきでないかという問題につきましては、税関からの引き取り価格をもって移出価格と観念すべきだというお答えをいたしておるわけであります。
  254. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 業界ではそういう広告宣伝費のこと直言っているけれども、私はそんなことを一遍も聞いてないよ、いま質問してないんだよ。もっと前の話をしてるんで、余り先走って聞かないことを答弁されると時間がなくなっちゃう。私の聞いてるのは、いま聞いてるのは、いいですか、輸入されたボトルの酒類と国内メーカーの同種の酒については課税方法は同じだと局長は言ったけれども、違うでしょうと聞いてるんで、違うとか同じだとか言ってくださいよ、それだけでいいんですから。広告宣伝費なんてものは聞いてないんだから。
  255. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 一定率制度はあくまで任意的な簡便法でございますから、したがって、複雑な原価計算を要する国産品について利用されておるわけでございます。しかしながら、輸入品の場合には課税標準は、たびたびお答えしておりますようにCIFプラス関税ということで明確でございますから、したがって、一定率を強制するということにはなじまないというふうに考えておるわけであります。
  256. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 重ねてお願いしますが、私の質問に答えてください。いいですか、私そういうことを聞いているんでなくて、あなたがさきに言われたように、輸入酒も国内も同種のもの、同じ課税方法ですと言うから、違うでしょうと言ったんで、それを同じなら同じだと突っ張ってくださいよ。同じでなかったら前言を改めてくれなきゃ。持って回ったようなそんなわかり切った話してもだめだよ。
  257. 高橋元

    政府委員(高橋元君) たびたびお答えしておりますが、どうも正確でなくて申しわけございませんが、明確でなくて申しわけございませんですが、一定率の選択の余地がないという意味では国内品と輸入品とは違うわけでございます。
  258. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 もう一回聞くよ。同じでないんでしょう。それを言いなさいよ、あなたね、先ほど同じだって言ったんだから。
  259. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 重ねて恐縮でございますが、課税段階ということで考えれば——繰り返しお許しいただきますが、税関からの引き取りということとメーカーの蔵から出るというところが同じだと私はお答えしておるわけでございます。一定率の適用の有無ということで言えばそれは違う、一定率の選択の余地がございません、輸入品の場合には。そういうことでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  260. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 委員長ね、とてもこれじゃどうもならぬわ、進まなくてね、こんなことじゃ。いいですか、私はCIFプラス関税の蔵出し価格、輸入商社の。これと日本のメーカーの蔵出しの課税方法は同じですかと聞いたんじゃないんです、さっき。いいですか、そう聞いたんならあなたの答弁いいんだよ、それで。私は課税方法に違いがあるでしょうと聞いたんだよ。それをまだあなたはがんばるの、そんなことを言って。
  261. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 一定率の選択ができるという意味でのお尋ねでございましたら、私の申し上げておりましたことでなくて、輸入品については一定率の適用の選択の余地がない、そういう意味で違っておるというお答えになると思います。
  262. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それを言ってもらうのに、これ二十分もかかっているんじゃ。こんな簡単なことですよ。ちょっと委員長から少し御注意していただきたいと思うんですよ、まずね。とてもじゃないけれども、こんなことだったら日暮れちゃうよ。
  263. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 委員の質問には的をしぼってお答えをいただきたいと思います。
  264. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで問題は、実はそのことを早く答弁してもらいたかったんです。というのは、これは日本のいまの酒の行政の中で酒の品質管理制度というのがないということのために庫出税一本にできない根本的な欠陥があるんじゃないかということを聞きたかったのよ。どうですか、そう思いませんか。
  265. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 酒税法は、これも私、またくどいようなことを申し上げて恐縮でございますが蔵出し課税で、蔵出しの場合に従量をかけるか従価をかけるかという区分がございますが、酒税がかかるのは蔵出し、国内品の場合に。輸入品の場合には引き取りでございます。
  266. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ですから、そういう制度に、要するに同じ課税方法をとれない便法のそういう何といいますか、従量税の控除を設けて、希望価格から三二%控除するというような方法をとって一定率を掛けていくという方法をとらなきゃならないのは、先ほど局長からお話のありましたように、ロットによっていろいろ違う、だから蔵出し一本というわけにはいかない、だからそういう方法もしなきゃならぬとおっしゃいましたね。まさにそのことだと思うんです。それはなぜかというと、今度は酒税法の問題です。  酒税法というのは税を収納するということが中心であって、酒税法の中では酒の品質管理ということについてはきわめて現在不備でないか。どうですか、これはお酒の方の……。
  267. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 酒税法の問題はさておきまして、酒類品質管理につきましては、税務行政上十分留意して行っています。たとえば参考人の御質疑にもございましたように紋別制度、これにつきましては課税の前提になることはもちろんでございますが、同時にまた、品質の保証といった面で、たとえば中小のメーカーさんの場合に銘柄力がない場合にはやはりそれなりの保証力はある。したがって、そういった品質管理といいますか、法定上の紋別制度あるいは同時に、私ども全国に百名の鑑定官がおりますが、各地の醸造につきましてはその製造期間中醸造の技術指導等あるいは貯蔵、出荷の管理指導、いろいろな面でこの品質管理には心がけておるわけでございます。
  268. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 衆議院の方でも紋別の問題として官能テストということで言われました。これはほかの国でもそういうことは行われておりますから、そのこと自体がどうかということじゃないんですが、問題はそういう点で品質管理の問題です。十分だとおっしゃいましたね。紋別決めるときにたとえば特級、これは特級だと決めるときどういう方法でやりますか。
  269. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 十分な品質管理が行われるよう心がけて税務行政を行っておると申し上げたつもりでございます。  紋別の御質疑につきましては、これは先生よく御存じだと思いますが、全国で各国税局単位に地方酒類審議会というのを置きまして原則九名以上、これは府県の醸造試験所の技術者あるいは私どもの鑑定官あるいはまた業界の経験者、こういった方々が中正な立場で毎月、場所によって違いますが、ほとんど毎月任意出品された酒類につきまして正確な鑑定を行っておる。それをもとにいたしまして、その諮問をもとにいたしまして、国税局長が紋別を決定する、こういう段取りになっております。
  270. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 決める場合には蔵へ行って決めますか、それとも持ってきてもらって決めますか。
  271. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 概略で申しわけございませんが、全国で年間約八万点程度になりますが、それを百名の鑑定官にプラス民間の方がお集まりになってやっておるという現状でございまして、とても蔵へ参りましてその一つ一つを行うという時間的な余裕もございませんが、その蔵のどこのタンクから出てきたものであるということについては厳密な判定をいたしまして、その結果を紋別にいたしておるということでございます。
  272. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 その蔵の何番の、皆番号打ってありますね。そこのやつを抜き出してきたのはこれだと、それは確認していますでしょう。そこでこれはいい酒だ、紋別決めます。紋別決めて特級だと、管理しているとおっしゃるんでしょう。その後に今度は加水しますね、このときは管理するんですか。
  273. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) メーカーの方は酒が少しでもよくなるようにということで市場へ移出されるわけでございますので、加水におきましても良心的な管理というのは当然行われるわけでございまして、酒が悪くなるような加水ということはあり得ないと思いますが、鑑定官室といたしましては随時そういった点も余裕があれば指導等は行っておると思います。
  274. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 その次にろ過しますね。このときはどうなんですか。
  275. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) マンパワーの余裕があれば常時監視するということもあるいは可能かと存じますけれども現状では各メーカーの商品に対する熱意と良心というものを前提に、それに期待して全体を順調に行っておるということでございます。
  276. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 その次に熱処理しますね、このときはどうなんですか。
  277. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 一つ一つの工程についてお答え申し切れるものではございませんけれども、およそそういった最終製品がよくなるような免許業者としての責任を持って行っておるという前提で、特に異例な問題がございますればこれは国税当局としても行政指導を行うというようなことでやっております。
  278. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 あとまとめてやります。  その後脱酸しますね、それから補酸する場合もあります。この補酸で問題なんですがね、合成乳酸の問題があるんです。あるんですが補酸もします。それから防腐剤も入れます。いいですか、加水をし、ろ過をし、熱処理をし、脱酸もしくは補酸をし、それから防腐剤も入れると、こういう段階を経た酒がその工程において管理、監督していなければ税務署が品質管理したということになりますか。もう官能テストをしたときの酒とは全然別なものが出てきているんですよ、これは。
  279. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 最近は昭和五十一年度からかと思いますが、市販酒につきまして全国的にかなりの点数になりますが、これを採取いたしまして、その品質の面についてこれは醸造試験所を中心に毎年の各地の清酒につきましての品位あるいは性能についてのデータを蓄積しつつございます。そういったマクロ的な作業もいたしておりますが、各部分部分についてできるだけその工程において間違いのないようにという指導は鑑定官室を通じて行っておる。いろいろな技術的な御質問でございますのではしょって申し上げますが、除酸あるいは脱酸でございますか、補酸、こういったことが行われるのはきわめてまれであるというふうに聞いております。
  280. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 本当ですか。きわめてまれですか、そういうことは。
  281. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) きわめてまれであると聞いております。
  282. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それじゃその中に、たとえば補酸に合成乳酸を日本酒使っておりますね、これは御存じですね。
  283. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) これまた釈迦に説法でございますが、乳酸は酒税法上酒の原材料のほかに保存用の物品として、特に清酒につきましてはこはく酸と乳酸というものが掲名されております。これ釈迦に説法でございますが、清酒の製造工程では乳酸というのは欠かせないものでございます。「一に麹、二にもと、三に造り」と、こう言われておりますが、そのもとに関係するわけでございまして、御案内のように、こうじは……
  284. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それはもういい、わかったから。質問していないんだから、ここのところは。
  285. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 米を糖化いたしまして、それを今度は発酵いたします際に乳酸が必要でございます。その乳酸につきましては、食品衛生法上認められた基準に沿って各業者が適正に使っておると、こういうことでございます。
  286. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 きわめてまれだと言っていますけれども、補酸というふうなことに。しかし合成乳酸、あなたは乳酸乳酸と言ったけれども、乳酸には発酵乳酸と合成乳酸あるんです。もうほとんど合成乳酸なんです、いま使っているのは。いいですか。そしてこれを相当使えばこれは補酸にもなるんですよ、糖化だけでなくて。
  287. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 御無礼でございますけれども、私も科学的な知識はそう豊富ではございませんが、乳酸というのは、いわゆるヨーグルトとかカルピスとか、そういったものに入っておりまして、これは有害なものでも何でもありません。そこで、御指摘の合成乳酸と発酵乳酸というような御分類もあるようでございますが、専門家に言わせますと、発酵乳酸の精製過程で硫酸等を使いましてこれを沈でんさせて合成するということでございまして、正確に申すとやはり合成乳酸ということになるそうでございます。
  288. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これは有害でないということですが、厚生省来ておりますね——。実は一昨日厚生大臣に、私は、ヨーロッパは粉ミルクその他に対して使用を禁止したということと、それからフィンとかそのほかの酒にはこういうものを使ってないというふうなことについて質問いたしました。そしてその中で厚生省側からは、シアン化水素が原科ですから本来その物質そのものは有害だけれども、人体許容量で微量の場合には認めていると。しかしそれも欧州は今度は認めなくなったんですね。そうでしょう。有害だけれども許容量の問題で許可しているんだと。有害でないという価値判断では実は大変なんだ。このことはぼくはもう非常に大変なことだと思っているんです。どうなんですか。そうでしたね、おとといは。
  289. 藤井正美

    説明員藤井正美君) 発酵乳酸並びに合成乳酸とも現在食品添加物として指定いたしております。その根拠は、先生の言われるとおり量の使い方によって指定しているわけでございます。したがいまして、有害であるか有害でないかということをお答えするわけにはまいりません。ただ発酵乳酸の安全性について疑惑がないということは事実でございます。
  290. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それは裏を返せば、合成乳酸に対してはいろいろ現在問題も出てきておるということをお認めになった御答弁と理解をいたします。  それでこの問題をもう少し掘り下げないと——案はこれ酒屋さんに行って聞きますと、いやこれは大きなメーカーや有名な薬屋さんが売っているんだから何でもないんだという程度なんです。それから、これについては食品衛生法で規制をしているんですね。そうすると、食品衛生法で規制をしているんですから、厚生省の方も酒屋さんの日本酒のこの種の問題については監督しているんですね。
  291. 藤井正美

    説明員藤井正美君) 食品添加物につきましては、その使われ方並びに使われる量、この面から添加物の衛生問題については私どもが責任を持っておりますが、その範囲内で使われる限りは自由でございます。
  292. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そこで、さっきの品質管理の問題に移るんですが、要するに添加物として許可をするまでは厚生省だけれども、あとは知らないということなんです、厚生省の方としてはね。そうすると、量はどういうふうに使われている、そういうふうなことについては一切今度は監督責任は大蔵省にございますね。
  293. 藤井正美

    説明員藤井正美君) 使うことについて製造業者の自由だと申し上げましたが、使われ方がどのようになっているかにつきましては、私どもは常に市場調査をやっております。
  294. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、防腐剤の関係についての品質管理その他便われ方は、厚生省の食品衛生法ですか——で、やっておるわけですね。
  295. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 酒類行政上も品質管理というのは、先ほど申し上げましたように、できるだけの指導はいたしておりますが、基本は先ほども課長からお答えございましたように、食品衛生法上認められた規格基準というものに沿ったものにつきましては、それぞれの商品にマークがつけられるわけでございます。そのマークを前提にいたしまして、マークのあるものを買うというような指導はいたしております。  それから、これまたよく御存じのことだと思いますが、純粋な乳酸そのものの安全性はFAOとかWHOで、合同食品添加物専門家委員会で、成人に対しては、D−乳酸、これはL−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸といろいろございますわけですが、そのうちのD−乳酸につきましても、一日当たりの摂取量の制限を必要としないという評価がエスタブリッシュされておるというふうに伺っております。それでこの純粋な乳酸をつくる際に、先ほど御議論が出ましたシアンが不検出ということが厚生省から規格基準として定められておりまして、それに沿って不検出な乳酸を利用しておる、活用しておるということでございます。
  296. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 この問題についてはさらに論議を深めなければならない。というのは、私たちがタール系の色素をこれはいかぬと言って三十年代に建議したときに、アメリカが許可しているからいいと言った厚生省が、四十年代に入ってアメリカがこれだめだとなったら、途端にだめだとなったという経緯があるのをおととい説明したのです。だから厚生省で、いまいいと言っているからいいと、これヨーロッパでだめになったから、まずだめだと、これはこの次、今度はアメリカに飛び火します。そうするとアメリカがこれをだめだとなると、きっと日本の厚生省は、まただめだになるのですよ。そういうようなことがいままでもしばしばありますので、厚生省がいいと言ったからいいというだけのものではないのです。しかし残念ながら、大蔵省の方にはその種のことについての権限ございませんわね。品質管理もそこまでなんで、もう時間がないからやめますけれども、そこまでなんです。実はそういう品質管理の問題、庫出税の問題、いろいろまだ問題がたくさんあるんです。  そこで大臣、ドイツのビール会社幾つあるか御存じですか。
  297. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 知りません。
  298. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これはもう大臣、そこまでは御存じないと思うのです。ドイツでは五千くらいあるのです。というのは、税法なんです。累進課税なんです、蔵出しの。ですから私は、いま盛んに特級がどうだ二級がどうだという話が出ておりますけれども、これだけに詰めていくと、小さな日本酒業者非常に困るのです、メーカーが。困る問題がたくさんあるのです、きょう言えませんが。それでそういうことと、ビールがドイツで非常にたくさんあるということは、大メーカーが育たない。むしろ小さなメーカーがたくさんできる。累進なんです。だから種類別ですね、ビールとかフィンとか日本酒とか、それぞれの種類によって違うということの税率のほかに、蔵出しのときに累進課税税率を用いればいまの非常にむずかしい酒税法の問題点というのはある程度前進すると思うのです。これはまた、きょうは時間でございますから、これでやめて、さらに次の、こういう場合には質問を留保してですな、本日はここまでにしておきます。
  299. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは今回の一連の増税法案の一番最初に、酒税を参議院の大蔵委員会で審議をするわけでありますが、最初に大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。  先般第二次臨時行政調査会が正式に発足をいたしまして、増税のない行政改革こそ第二臨調審議の出発点であると、こういうように土光会長は述べておるわけであります。そういう点は国民の大半の共感を得ていると思うわけでありますが、こういう増税なき行政改革によって財政再建をしていこうという第二次臨時行政調査会の方向についでどのように考えておるのか、所感を承っておきたいと思います。
  300. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) その意気込みはまことに高く評価をいたします。私も好きで税金をお願いをしているわけじゃございませんので、やむにやまれずともかくお願いをしているわけでございますから、できることならば増税なき財政再建、これは何よりも理想的なことでございます。極力努力もしてみたいと考えております。
  301. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今年度の予算でも大蔵大臣として不要な経費の節減には努力をされたと思うわけでありますが、しかし印象としては二兆円の国債は減額したけれども一兆四千億円に近い増税、あるいは所得減税も行わない、あるいは電電公社等から引き上げる、こういうものも本来から言えば電話斜を下げなければならないこういうお金で、大変国民負担のもとに赤字国債減らしが行われたと、そういう感は否めないと思います。しかし前々から大蔵大臣も言ってるように、今年度は一般歳出の伸びが四・三%あるいは一般会計の伸びは九・九%と、こういうことは一応の成果であると思うわけでありますが、大蔵大臣として今年度のこういう行政改革等による歳出削減の結果の今年度予算案を大体みずからはどのように評価しているのか。百点満点で言えば大体自分としてはどの程度であると思っているのか、これを伺いたいと思います。
  302. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、ともかく百点満点と言えば公式答弁になってしまうだろうと思います。やはりもっとやりたかったと思う点もないわけではありません。ありませんが、限られた時間で、もう年度内編成というような中で、限られた財源の中でやるわけでございますから、まあまあ百点とは言わないが九十点以上はつけていただきたいと思っておるわけでございます。
  303. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これからまた五十七年度の予算編成にもやがて時期が来れば始まるわけでありますが、政府財政中期展望においてはいままで論議されていますように、一般歳出が五十六年度の四・三に比べて一〇・四、これは五十七年度でありますが、その次が九・四、九・穴と、こういうようにかなり高いわけであります。この数字行政改革等やらなければこうなるという数字であって、大蔵省として何も手を打たないとこういう数字になるんだと、このように大蔵大臣は御答弁されているように理解をしているわけですが、それでよろしいんでしょうか。
  304. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) さようでございます。
  305. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、増税なき行政改革といいますと、この一〇%前後の一般歳出をかなり切っていかなければならない。いままで大蔵大臣は、たとえば補助金の問題にいたしましてもこれは八割が法律補助で、結局法律を変えなければできないんだと、いかにも国会が悪いんだと、こういうようなニュアンスの答弁があったわけでありますが、私はやはり大蔵大臣としては、増税法案にしても法律改正、これは大蔵省から出してきておるわけですから、そういう行政改革についても積極的にやるべきじゃないかと、いままでのような答弁では、われわれは大蔵大臣の姿勢として非常によろしくないんじゃないかと、このように思うわけでありますが、その点をどう考えているか。  それと、この一般歳出一〇%前後というものを大体どの程度を目標に考えているのか、これを承っておきます。
  306. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 行政改革については積極的にやらしていただきます。準備不足というような点もございましてこの国会では提案をいたしておりませんが、その全部については。かなり思い切ったものを五十七年度においては、その事前かもわからない、に提案をして国会の御理解を得て準備をしなければなかなか乗り切っていけないと。御承知のとおり来年は、五十七年度はこのままではともかく二兆七千億円程度の不足ができるわけですから、これは。これはいかにも数字を発表する前は自衛隊でもうんとふえるのかとみんな思っておったところが、予算委員会数字をちゃんと発表してみたわけですから、どういうところがふえていくかというと、社会保障費とか地方交付税というのがもうどんどんふえていくわけですから、そういうところにも非常な問題がある。したがって結局どれだけ削減できるかということがまず第一、増税なき予算というからには、本当にこれが二兆円ぐらいのものを削減できるのかどうなのかという大きな問題にかかってまいります。したがってこれは決して国会の責任なんて私、言っておるんじゃなくて、これは政府も国会も共同責任と言えば共同責任かもしれませんね、政府だけでは法律はできませんから。したがってわれわれも大いに責任を感じておるところでございまして、具体的な案が出たときにもひとつ御推進を願いたいと、えてして総論賛成、各論反対ということがいままでは多かったわけでございますが、これだけ世論も盛り上がっておりますから、そういう点では私は今度は賛成いただけるものと、かように考えております。  なお、五十七年度の一般歳出については、じゃ幾らぐらいを目標にしているかと、まだそいつについて計算をいたしておりませんが、それはもうできることならゼロベースが一番いいことであります。しかしなかなかそうもいかないかもしらない。あるいはどうするか、これは今後の検討課題でございます。
  307. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは酒税法の質問をいたしたいと思いますが、五十五年度の酒税の税収の見通しがどういう状況であるのか、本年度は、五十五年度は冷夏等の影響もあり、また国民の実質賃金も前年度より下がると。そういう中で、国民のお酒を飲むのもだんだんクラスの低い方に移るとか、そういう点が考えられるわけでありますが、大体税収の見通しはいまのところどういう状況であるのかお伺いしたいと思います。
  308. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 五十五年度は、先ほどの補正予算で二百五十億減額をさしていただきまして、現在補正後で一兆四千二百七十億円の収入を予定いたしております。一月までの税収で申しますと、それに対しまして九千八百五十五億円収納済みでございまして、補正後予算に対しまして六九・一%入っておるわけでございます。補正後予算は先ほど申し上げました一兆四千二百七十億円でございますが、これは前年度に対しまして九七・七%の税収でございますが、その原因は、一つはいまお話のありました冷夏、もう一つは昨年の春にありました値上げによりまして、どうも早出しの出荷があったらしいというようなことから税収の伸びが悪かったわけでございますが、今後は冷夏によるピールの移出の減少というような特殊要因がないということを考えますと、申し上げました一兆四千二百七十億円という補正後予算額に到達するのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  309. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 五十六年度の税収の見通しは大体どの程度を考えておるのか。
  310. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 五十六年度でございますが、五十五年度のいま申し上げました一兆四千二百七十億円から、その上に最近の消費動向を勘案いたしまして、ただいま御提案申し上げております税率の引き上げを織り込みまして一兆八千三百億円というふうに考えておるわけでございます。
  311. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 酒税が上がりますとそれだけ製品の価格上昇すると。さらには原材料、人件費、そういうものも加わるわけでありますが、そういう点で、いま申されました税収の増加を見込むというその根拠にある消費量ですね、消費量は五十六年度は五十五年度より大体どの程度伸びると考えておるのか、それを伺いたいと思います。
  312. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 五十五年度の補正後に対比いたしまして清酒で一・七%、ビールで八%、ウイスキーで一〇・九%、その他の酒類で四・七%、合計いたしまして数量で六・五%の伸びを見込んでおります。
  313. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 で、現在一般歳入の中で酒税の占める割合が、私のいただいた資料では大体五・何%ぐらいであったと思うんでありますが、税収の中に占める酒税の割合というのはどの程度が妥当であると、長期的に見た場合ですね、考えておるのか、これを伺いたいと思います。
  314. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 間接税の割合が非常に高かった時代、たとえば戦前で申しますと、よく直間比率が二対一だと申しておりましたが、その時代六五二一%というのが間接税でございますが、その中で酒税一般会計の一七・六%の税収を上げておったわけでございます。現在では、いまもお話のございましたようにそれが五・四%に下がり、間接税全体で二九・一ということになっております。酒とかたばこという嗜好品課税の税収のウエートが下がってまいったのが間接税比率が下がってまいった一番大きな理由であろうというふうに思います。  財政需要に応じてどのような租税構造を考えたらよいかということになりますと、これは非常に広い見地から深く掘り下げて検討いたさなければいけないわけでございますが、酒の税金がいかほどの大きさでなければならないかという点については、アプリオリな基準というのはないのではないかと思います。ただし特殊な嗜好品であるという酒の性格からいたしまして、財政物資として相応な税負担を求めるということは、各国共通、酒類についての特殊な租税上の性格、財政上の性格であろうと思います。どの程度の割合を保つかということにつきましては、いま申し上げました繰り返してございますが、財政需要、それから従量税のもとで次第次第に低下してまいります税負担率をどう是正していくかということが基本になるというふうに思います。その点は五十二年、五十五年と最近の税制調査会の中期答申の中でも、従量税率によって構成されております酒税率について、社会経済情勢に応じて適時に見直しを行っていくべきだという御指摘があるとおりと私どもは考えているわけであります。
  315. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 アメリカ等は歳入の中に占める税率が非常に低いようにいただいた資料にあるわけですが、たとえばビールの税金等を見ますと、非常にわが国は諸外国よりも高い、こういう状況になっておるわけでありますが、諸外国と一般的に比較した場合、わが国酒税の特徴というのはどういう点にあるのかお伺いしたいと思います。
  316. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 日本は、伝統的に非常に低いアルコール度数の酒を飲んでまいったわけでございます。したがって外国の税制のように蒸留酒に高くて醸造酒に低い、しかも蒸留酒の場合でもアルコール分を中心として税率を持っていくという制度と異なりまして、日本の場合にはアルコール課税だけでなくて、酒の特性、生産消費の実態、そういうことのいろいろな要素を加味いたしまして、消費課税として消費者の支出の背後にあります担税力に照応する分類差等課税というのをとっておりますので、比較いたしますと、ただいまのお尋ねにもございますように、日本の場合には醸造酒でありますピールなどの税金は高い割りに、蒸留酒の税金は各国並みかそれよりも低いということが特色と申し上げられようかと思います。
  317. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大蔵省として酒税の抜本的な見直しを近い将来にやる、このようにお聞きをしておるわけでありますが、これはどういう観点から見直しをされるのか、この点はどうでしょうか。
  318. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 昭和三十七年に酒税の全種類を通ずる減税と制度の全面的な見直しを行いました。それから二十年近い年数を経ておるわけでございますが、その間に、たとえば原料事情と申しますと清酒でございますし、生産の事情と申しますと、たとえば清酒製造者の中の比較的零細な方々が二級をつくっておられるというようなことでございますが、そういうことを中心としてかなり社会経済的な変化というのが出てまいったわけでございます。  現在酒税制度について私どもが考えております問題というのは、大別して四つぐらい申し上げられるかと思います。  一つは、先ほど申し上げました分類差等課税というものは、酒の級別ということを一つの根拠にしておるわけであります。特、一、二級という級別が、これもお尋ねございましたように、客観基準でなくて官能基準と申しますか、客観的でなくて味または品質というものによって設けられている。それからまた、級別が申請によって行われるということでございます。かつて特級、一級、準一級、二級とか、特級、一級、二級、三級というような四階級だったこともございます。その級別の数なども一つ問題であろうかと思うわけでございます。級別についてその存廃ということもまた指摘されておる問題でございます。この辺が級別制度のあり方の一つの柱でございます。  もう一つは、従量税と従価税の併用を現在いたしておりまして、全体の酒の約七%ぐらいかというふうに承知しておりますが、それが従価税によっておって、その余の九三%は従量税率によっております。こういう課税方法について、衆議院の御審議でももっと従価税というものの機能を大きくしていったらいいではないかという御指摘もございました。従量、従価、またはその併用、そのやり方というものを具体的にどう考えていくかというのが第二の問題のグループであろうと思います。  それから第三の問題のグループは、税率構造でございまして、たとえば清酒は高くて合成清酒は極端に低い、しょうちゅうの甲と乙の間に税率のバランスがあると、まあいろいろ酒の種類ごとに税率が異なっております。これは三十七年以来バランスをとりながら、そのときどきの生産事情、消費事情に応じて改定をして今日に至っておるわけでございますが、酒類間の税率バランスが今日ここに至っていいのだろうか、またしばしば御指摘のありますように、零細な生産者というものに対する配慮というものが十分かというような、そういうことを含めまして税率構造のあり方というのが第三番目の問題であろうかと思います。  それから第四番目が、免許、許可。こういうことのあり方が現状で十分か、さらに簡素化を図り、またはさらに注意深く指導なり保護なりというものをやる必要がないか。  以上四つぐらいが現在私どもが考えております大きな問題で、そういうことをめぐって基本的に検討をしてみたいと。それには時間がかかると思いますが、いろいろな方々の御意見を伺いながら、何よりもこの国会における御審議を踏まえて、時間をかけて研究していきたいというふうに考えております。
  319. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 きょうも午後、清酒業界ウイスキービールあるいはブドウ酒業界等の代表の方々参考人としていろいろな御意見を承ったわけでありますが、特に清酒業界、これは民族の酒と言われながら、この原材料の七割を占める原料米が非常に高い、そういうことから大変経営も苦しい、相対的には消費量もピールウイスキーに比べて伸び悩んでおると、こういう状況にあるわけでありますが、全国の二千何百社の中でかなりの不採算企業が多い、このように聞いておるわけですが、全国的にその経営状態はどういうようになっておるのか、これを伺いたいと思います。
  320. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 清酒業界の製造業者の収益状況についての御質問でございますので、国税庁の方から適宜お答えさせていただきたいと思いますが、近年におけるこの清酒製造業の売上高に対する税引き前の純利益、これがやはり経営の基本でございまして、それで収益性を拝見いたしますと、ここ数年横ばいの傾向で推移いたしておりますけれども、きょうも御議論いろいろございましたが、部分部分にはかなり厳しい状況も出ておるようでございますが、業種全体といたしまして他の食品業と比較いたしますと、極端に悪いというわけでもないような状況でございます。  数字的なことで申し上げますと、五十三事業年度の売上高税引き前純利益、これを率で申し上げますと、清酒につきましては二・六%という計数になっております。食科品全体の製造業のそれに見合う売上高純利益率は二・七%ということでございまして、ほほ同水準ではないかと思います。それから御指摘ございました赤字企業の状況でございますが、これも清酒製造業全体で申し上げますと、五十二事業年度は二九・六%、五十三事業年度になりますと二八・六%、やはりほほ同水準で、若干ながら減少しておるというような状況が一つございます。  それから清酒製造業のうちほとんどが、これ九割近くは法人企業になっておりますが、その赤字の状況、法人企業としての赤字の状況を申し上げますと、五十三事業年度では二九・七%ということでございまして、約三割が赤字企業ということでございますが、食料品製造業全体で申し上げますと五十三事業年度では四五・五%ということでございますので、食料品製造業全体と比べますと一〇%以上低い赤字企業割合ということになっております。そういう状況でございますので、繰り返して申し上げますが、清酒製造業の収益性というのは高いとはもちろん申せませんけれども、他の業種に比較して悪いという状況にはなっていないのではないかというふうに判断いたしております。  ただ、この赤字企業のほかに年間五十万円未満の黒字の企業というのも常に問題になるわけでございまして、この低収益企業もあわせてごらんいただきますと、やはりこの五一%がそういったグループに属するということではないかと思います。
  321. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私がいただいた資料では、清酒の場合原材料費が大体八割近い。ビールの場合は七割、ウイスキーも大体七割前後は原材料費。この原材料費のうち清酒の場合は全体の七割が原料米であると。清酒業界としては本来輸入をすれば三分の一の安い米があるわけですけれども、そういう米を使わないで、言うなれば国策に沿って高い米を買っておる、そういう点がビールウイスキー業界とはかなりのハンディがあるんではないか。  私は先般もビール会社へも大蔵委員会の視察に同行いたしましたが、かなりビール会社等もコスト低減、合理化にかなり努力をして生産性も非常に上げてきておる、こういう努力は当然われわれは評価をするわけですけれども、やっぱり本質的にピール業界も最近は国産の麦等も徐々には使っているようには聞いているわけだが、大半がまだ輸入をしておると、そういう差があるわけですが、このあたりの清酒業界のハンディキャップというものは数字的にはどうなるのか。と申しますのは、ビールの原材科費七割の中で輸入するものの占める割合というのはどの程度であるのか、これはわかりますか。
  322. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 計数の問題でございますので繰り返して御答弁させていただきますが、御指摘のように清酒のびん詰めまでの製造原価、このうちでやはり八割弱、七七%が原材料になっております。その内訳として米の代金は六割ということでございまして、その六割のほかに容器代等の材料費があるという。ことでございます。で、他のビールあるいは、洋酒全体、これも概数でございますが、私ども拝見しているところによりますと、ビールについてはこの八割に見合うものは七一%、それから洋酒全体につきましてもやはり七割程度ということでございまして、一割程度の格差がやはりある。それがやはり御指摘のような原料が米になっておるということでございまして、たとえば一級酒で千六百円のうちで大体二百円程度が米代ということでございまして、一〇%から一四、五%の間が米代ということでございますが、それがやはり食管制度の枠内で国内産の米を原潜として使っておるということでございますけれども、最近は五十一年度以来業界自体も努力をいたしまして、政府としてもそれを支援しておるわけでございますが、酒米については従来四十四年以来自主流通米を基本にいたしておりますが、その価格をできるだけコストダウンするような要望をいたしておりまして、その要望が食糧庁等で取り上げられまして、昭和五十一年以降は割り安な政府管理米の払い下げを受けておるということで、それが全体の大体二割に匹敵するようになってきておりますが、全体の問題を解決するにはまだ距離がある。それからピールにつきまして、輸入の枠等の利用が主体でございますが、国内産の麦芽使用につきましても、やはり国策に、農政に協力するという意味で、ピール業界は現在ほぼ二〇%程度は国内産の麦芽を使っておる。値段にいたしますと大体三倍の値段でございます。
  323. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、清酒日本の伝統的なお酒でもありますし、そういう点で、やはり原料米に国産の米を使うというこういうハンディだけはなくして、そうしてあとはそういう同じ条件の中で企業努力をし、そして競争をする中からいろいろ前進もあるんじゃないかと思うんでありますが、そういう意味で現在の原料米制度ではまだまだ不十分じゃないか。やはりこの清酒用の原料米対策については、今後さらに大蔵省としてはどのように前進される考えであるのか、これを承っておきます。
  324. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 御指摘のような事情でございますけれども、やはり酒は嗜好品であるというのが原則になっておりまして、同じ米を使いますけれども、主食用の米の値段、自主流通米の値段とやはり酒米の原科米というものについて、主食米よりも価格を引き下げるということにつきましてはやはり国民の皆さんの御納得がいけるかどうかというところに非常な食管制度上の悩みがあるというふうに伺っております。    〔委員長退席、理事藤井裕久君着席〕
  325. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 次に、特にお酒をつくるというのは杜氏とかかなり長年の経験に基づいてつくる、そういう点が多分にあるわけですが、最近は若い人がこういう杜氏等になかなかならない。そういう意味で民族の酒である酒造の後継者問題ですね、これが各地で深刻な問題になっておるわけでありますが、こういう点についてはどう考えているのか、これを承っておまます。
  326. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 杜氏さんの現状認識の御質問でございますが、御指摘のように杜氏が全国で大体二千五百名程度の杜氏さん、それに蔵人の方々が一万人を超しまして、全体としては二万人程度の従業員がございます。なかなか年々老齢化が進んでおられるということで、後継者の確保のための施策がやはり年々必要な問題となってきているのは御指摘のとおりでございます。原則は、やはり各企業において酒造従業員の不足に対してどう対処するかということが基本でございますが、それにつきましては、やはり酒造業界としても地元の従業員の採用を積極的にする、あるいは場所によりましては通勤制で杜氏の方々にやっていただくというような手段を講じまして対処をして毎年を乗り切ってきているという状況でございますが、国税庁といたしましてもこういった業界の施策に協力いたしまして、やはり経験の浅い酒造従業員の方々の技術のレベルをできるだけ早く向上するために、そうしていい酒をつくるために、参加していただくために杜氏組合等の主催の講習会等には積極的に国税局の職員を派遣いたしまして、そういったレベルアップということについて支援を行っておるということがございます。  それから、酒造従業員の方の福利厚生ということについても、やはり後継者確保のためには大事なポイントでございまして、清酒製造業の退職金共済制度というのがございますが、これの実施を遺漏なきように行っておるということでございます。
  327. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、きょう午後の参考人方々意見の中に今回の酒税を値上げする場合の手持ち品課税、これが千八百リットルにふえた。これはいいわけですが、これが全酒類一律に区別なしに千八百リットルということを、もっと酒類別に分けるべきじゃないか、こういう意見があったわけであります。これは恐らく千八百リットルまでが非課税ということであれば、できるだけ今回のいわゆる酒税の値上げの幅の広いやつを集中的に手持ち品にしていく、そういうことから非常にバランスが崩れるという、そういう意味でのメーカーの要望ではないかと思うんですけれどもね、私どもやっぱりそういう点は確かにもうちょっと限度の決め方を千八百リットルという量一律でいくんではなしに、もうちょっとバランスのとれた方法にやるべきじゃないかな、そのように考えるわけです。その点はどうですか。
  328. 高橋元

    政府委員(高橋元君) これはいまもお話ございましたように一・八キロリットルを限度としておるわけでございますが、これを酒類ごとに異なったものを決めたらどうかという御意見でございます。それは確かにそういうお話のお気持ちはわかるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、全国の小売屋さんとなりますと全酒類小売をやっておる方が圧倒的に多いわけでございますから、小売屋さんの店頭でたとえばウイスキーは何キロリットル、酒だったら何キロリットル、こういうふうに分けて手持ち品課税やりますことは、十二万ですか小売屋さんですと、卸屋さんを入れまして十七万という販売業者にしますと非常に繁雑な手続になる。そこで従前から一・八キロリットル、これは五十三年のときには一・五キロリットルでございましたが、そういうふうに大体販売量の伸びに応じて一・八キロリットルというものを決めてやらしていただいておるわけでございます。
  329. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それからみりんに対する課税も今回増税になったわけでありますが、私がお聞きしている範囲では、みりんというものは大半が調味料に使われておると、その家庭調味料に課税をされるということはちょっと酒税の趣旨から言っておかしいんじゃないかと。こういう点、大体現在のみりんの生産量等がどの程度であるのか、また今回の増税によってどの程度の税収増があるのか、これを伺いたいと思います。
  330. 矢澤富太郎

    政府委員矢澤富太郎君) みりんは御承知のように、米と米こうじとしょうちゅうを加えまして、しょうちゅうの中に米の糖化した甘さを加えたものでございます。濃さといたしましては十二度あるいは十二度というようなものでございます。確かに調味料としてほとんど使用されているわけでございまして、ごくまれに飲料に供されるということもあるようでございますが、調味料と見るかあるいは酒と見るかというところが御質問の問題点であろうかと思うんでありますが、いずれにせよ十二度という濃さを持った飲み物でございますから、液体でございますから、かねてから酒という分類になっているところでございます。  それからもう一つ、これは本直しというのがございまして、これはみりんにしょうちゅうを加えまして、二十二、三度の濃さにしたものでございますが、これは柳蔭とかということで完全に飲料に供されているわけでございます。そういう意味で、みりん等は確かに現在のところほとんど調味料として使われて、飲料に供される例は乏しいことは御指摘のとおりでございますけれども、もう一つ、みりんのきょうだいに当たる本直しというのが飲料に供されているというような事情がございますので、みりんを調味料であるからといって現在の酒税課税対象から除外するということは適当でないというふうに考えております。  それからそういった事情もございますので、今回の増税に当たりましては酒税増税税率の引き上げ幅を最低の九・五%に圧縮しているわけでございます。なお、税収増収額でございますが、全体で五十六年度、税額が四十億、増収額が四億予定しているわけでございます。
  331. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だからみりんは六万四千六十三キロリットル生産をされておる、そのうちの約六百七十二キロリットルが本直し、これは全体の約一%でありますが、これは確かに飲用に使うわけですから税金がかかるのはいいと思うんですけれども、家庭調味料に使われているものが確かにお酒と同じような内容であるからといっても、この酒税の本来の趣旨から言えばそこまで課税をするのは私はちょっと行き過ぎではないかと。これはどういう根拠で調味料にまで課税をするという、そういう根拠はどうなりますか。
  332. 矢澤富太郎

    政府委員矢澤富太郎君) 使用形態がほとんど大部分が調味料であるということは御指摘のとおりでございますけれども、調味料と申しましても、みりんのように米と米こうじを使ってしかもしょうちゅうを使っているというのは、品質的にいわゆる新みりん風の調味料とはまた異なったものでございます。それから酒類全体の考え方といたしましては、アルコール分一度以上の液体という定義でございまして、実際問題として飲料には供されていないにしても飲料になり得る可能性はあるものでございますから、現行の酒税法の考え方ではみりんを課税対象から除外するということは適当でないというふうに考えておるわけでございます。
  333. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 補足して申しわけございませんが、いま審議官がお答え申し上げたとおり、みりん本直しと本みりんの関係はそのようでございますが、御質問のもう一点の、甘味調味料でみりん風のものがございます。これにつきましては、これは酒ではございませんですが……
  334. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それまだ聞いてない。それはまた次の質問ですから。非常に先へ先へと御答弁いただいて……。(笑声)  それで一方、みりん風の調味料というのができまして、それは実は税金はかかってないわけであります。そういう意味でいろいろみりん製造業者がアンケート調査をした結果、大体半分がみりんと思って買っておる、こういう状況が出ておるわけでありますが、そういう点では同じようにみりん風の調味料には課税はされてない、みりんのみに課税をされるというのは非常に不公平ではないかと思うわけでありますが、そういう点がどうなのか。  それと、いま言ったみりん風というそういうものは、みりんでないにもかかわらず消費者を非常に惑わす結果になるんではないか。公正取引委員会はどう考えているのか、この点について伺っておきます。
  335. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 公取の御答弁の前に恐縮でございますが、先ほど酒類としてのみりんの御答弁がございましたけれども、御指摘のように、甘味調味料は、糖類——グルタミン酸ソーダとかそういった物品を原料といたしておりまして、アルコール分は一度未満のものが主体でございます。そのほかに発酵調味料というものもございまして、これは米、糖類等を発酵させる過程の、いわゆるもろみの段階で相当量の食塩を入れまして、致酔飲料にならないような措置が入って、アルコール分は一度以上の場合もございますが、そういったものもございます。したがいまして、この両者はやはり致酔性の嗜好飲料には供しがたいという判定になるわけでございまして、課税上は酒税課税はないというのが現実でございます。そういたしますと、御指摘ございましたように酒税法の適用を受ける歩みりんとみりん、あるいは本直しというものと調味料としてのそういったものとが販売ルートにおいて実は差ができてくるわけでございます。販売免許の免許業者が売らなくても、それは売れるということで、そういった面もございまして、かなり競争上のハンディキャップといいますか、こういったことについて業界サイドの議論があることは事実でございます。そこで私どもとしては、免許方式をいろいろ工夫をいたしまして、そういった面でいわゆるみりんの限定免許による販売ルートの拡大、みりんの方の、本物の方の販売ルートを限定免許の形で拡大していくのはどうかというようなことも考えながら、市場の実情を踏まえて免許制度の弾力的運用が可能かどうか鋭意検討してまいりたいというふうに心がけている段階でございます。
  336. 波光巖

    説明員波光巖君) みりん類似商品にみりん風調味料が付されておる問題で、景表法上の問題はないかということでございますけれども、何とか風という表示につきましては、そのものに類似はしておるけれどもそのものではないと、こういうふうに理解できるのでありまして、景表法上は問題ないと考えておる次第でございます。  なお参考までに、「生めん類の表示に関する公正競争規約」というものがございますけれども、これではめんの製造方法で手打ち風というのがございまして、こういう手打ち風、一定の機械を用いているようなものについては手打ち風というように表示できると、こういうふうに規定いたしております。
  337. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 最後に大蔵大臣に要望したいわけでありますが、今回酒税の全体のあり方を検討するというお話でありますが、私はやっぱりそれぞれ筋が通ってなくちゃいけないと思うんですね。だからみりんにしても、酒だって料理に使っておるじゃないか、こういう論理も成り立つわけで、それはほんの一部であって、みりんの場合はもう本みりんはすべて調味料であると、そういうものに税金をかけるというようなことは筋は通らない。    〔理事藤井裕久君退席、委員長着席〕 そうなると、いわゆるアルコールだって税金を、これは工業用のアルコールだって飲むかもしれないから取らにゃいかぬとか、こういう論理にもなるわけでありまして、そういう点を筋を通して御検討いただきたい。  それから一つ、私たちはこの酒税の値上げにも賛成はしがたいわけでありますが、今後ともひとつ庶民のささやかな願いである一杯の酒が余り値段の上がらないように業界合理化への指導、さらにはまた行政改革によって増税をやらない、こういう方向でさらに努力をしてほしい、このことを要望して質問を終わります。
  338. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 御趣旨に沿いまして十分検討いたしますし、今後とも極力歳出カットでできるだけ対応できる最大限の努力をいたしてみます。皆さんの御協力をお願い申し上げます。
  339. 藤井孝男

    藤井孝男君 質問に入ります前に、私は去る二月一日に当選したばかりでございます。まだ議員になりましてから一ヵ月余りでございますので、このように早くに質問の機会を与えていただきましたことを厚く御礼申し上げますとともに、初めての質問でございますから、ふなれな点があるかと思いますけれどもお許しをいただきたいと思います。  最初に、行政改革に対しまして大蔵大臣の姿勢についてお伺いしたかったんでございますけれども、先ほど塩出委員よりも質問がございましたので、このたびの酒税法の改正、あるいはそれに関連する問題にまず入っていきたいと思います。  このたびの酒税の改正によりまして約二千八百三十億円ほどの税の増収を図ろうとしているわけでございますけれども、お酒につきましては特殊な嗜好品として、諸外国におきましてもこれにかなりの税額の負担を求めているわけでございますけれども、このような酒の性格から、これに相当の負担を求めることは、大変日本におきましては厳しい財政事情等も考え合わせますとそれ相当の理由はあるかと思いますけれども、一方やはり国民の間では今回の増税というものは大衆課税だということで反対する意見もあるわけで、この点につきまして政府のお考え方をお聞きしたいと思います。
  340. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 大臣からたびたびお答えがありますように、財政体質の改善に資するために現行税制の基本的な枠組みの中で相当規模の増収を図って、公債二兆円減額ということで五十六年度予算の御審議をお願いしておるわけでございます。その一環として、現行税制の中で酒税についても負担の引き上げのお願いをするわけでございますが、歳入充実の要請とともに、酒税が従量税率を原則としておりますために、物価水準が上がってまいります、また酒の価格が上がりますと、消費税でございますから消費者のポケットから払われます金額の中の税負担水準というものが下がってまいります。そういう事情も考慮いたしまして、従量税率を原則二四・二%上げるという案をつくってただいま御審議をお願いしておるわけでございます。これによりまして五十三年の五月の税制改正直後の酒の税負担率水準に戻るということでございます。しかしながら、清酒一級、二級、それからしょうちゅう、こういう大衆酒につきましては消費の態様も考えまして税率の引き上げ幅を圧縮をいたしておりまして、先ほど二四・二と申し上げましたが、清酒一級の場合には一四・五、清酒二級、しょうちゅう、みりん等につきましては九・六ということでございます。そういう配慮を行って、大衆の税負担ということには、消費の態様を考えて税率引き上げ幅を圧縮することによって配慮をいたしておるということでございます。  もう一つつけ加えさしていただければ、税負担の配分が累進的であるか逆進的であるかということになりますと、一歩一歩の税金だけでなくて三十二兆円という税収を構成いたしております全体の税体系の中で、またさらには四十七兆円に近い歳出全体を含めた財政全体の観点から累進性、逆進性ということは判断すべきものであろうかというふうにも考えておりますが、まあ分類差等課税のもとで、消費に応じたより高級な消費にはより高い税負担を求めるという酒税の基本的な性格の中で、先ほど申し上げたような配慮を行いながら税負担お願いをいたして、それによって財政体質の改善に資したいというのが私どもの考えでございます。
  341. 藤井孝男

    藤井孝男君 いまの御答弁の中で、いろいろ今度の増税に関しまして特に格差をつけてということで配慮を持って当たっているということでございますけれども、これの物価に対する影響をどの程度と考えておられますか。
  342. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 家計の消費支出の中で酒類に対する支出は万分の百八十七ということであろうと思います。今回の酒税の引き上げがすべて酒の価格上昇となったという前提で試算をいたしますと、CPIへの直接の影響は〇・一二%というふうになります。そのほかに、外食という項目の中にビールが入っておりますので、それも含めて試算をいたしますと、〇・一六%というのが今回の酒税引き上げによります消費者物価への影響でございます。
  343. 藤井孝男

    藤井孝男君 衆議院大蔵委員会におきまして、今回の酒税法につきましては附帯決議がなされているわけでございますけれども、その中で、「小売価格の不当な値上げにつながらないよう十分に指導すること。」という項目がありますけれども、この点について十分御留意願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  344. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 十分に注意をしてまいりたいと存じます。
  345. 藤井孝男

    藤井孝男君 酒税につきましては、いろいろ外国におきましても近来の財政困難からたびたび増税が行われておりますけれども、特にイギリスあるいはまたフランスでは過去何度か増税が行われたわけです。また最近八一年、ことしになりましてからイギリスがまた税制の改制を行うと聞いておりますけれども、その概要がもしわかりましたらお教え願いたいんです。
  346. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 石油危機後、先進国の財政が危機に置かれたということは各国共通でございます。それに対応いたしまして、経済動向を踏まえて財政節度を維持するという観点から各国とも必死の努力を行っているわけでございまして、その一環として酒税増税がたびたび行われておるわけでございます。  いまお尋ねのございましたヨーロッパに例をとりますと、イギリスは一九七五年から八〇年までに四回、フランスは同じ六年間に五回、ドイツは二回増税をいたしておるわけでございます。それでイギリスは八一年の先ほどのハウ蔵相の予算演説で申しますと、酒税について日本の円に直しまして二千五百八十億円の増税ということを提案をされておりまして、アルコール税が一四・六%、ピール税が三七・九%、ブドウ酒税が一六・九ないし三〇・八%の引き上げというのが財政演説で提案をされておるわけでございます。
  347. 藤井孝男

    藤井孝男君 基本的なことをちょっとお伺いしたいんですけれども、イギリス初めヨーロッパの諸外国の酒税制度は従量税があるいは従価税制度どちらでございましょうか。
  348. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 従量税が大宗でございます。
  349. 藤井孝男

    藤井孝男君 現在わが国酒税制度は、皆さん御承知のとおり従量税を基本としているわけでございますけれども、比較的高額なお酒につきましては、酒類につきましては従価税を課するという制度がとられているわけです。従量税により課税されるものについては、今回の改正のように物価の水準の推移に応じて随時その負担見直しが行われているのがこれまでの例でございますけれども、やはりどうしてもそういう形ですと、その見直しがおくれるという傾向があろうかと思うわけです。やはり適正な負担水準を維持するということから考えますと、この酒税につきましてわが国従価税制度というものに移行すべきであるという意見もあるわけですけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
  350. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 大きな検討課題であると存じます。従価税制度価格が上がってまいりますと、定率の課税でございますから所得、物価水準の推移に即応して適切な税負担率を維持できるという意味で、消費税としてすぐれた特徴を備えておるということは仰せのとおりでありますが、一方で、これを納税義務者でございます酒類のメーカーの方から見ますと、課税標準の算定が大変むずかしい、それから税務執行の面で同様にむずかしい問題があります。納税者はコストアップによって価格を引き上げていけば必ず税額はそれに伴ってふえてくるので、税率が高い場合には価格への転嫁がむずかしくなるという問題もございます。清酒のようにたびたび価格引き上げを行わざるを得ない業界には不利であるというのも、そういう御意見も寄せられているわけでございます。従価税への移行ということにつきましてはいま申し上げましたようなメリット、デメリット両面あるわけでございますけれども、税務執行上の問題、酒の生産流通の実情などを十分考慮する必要があるから、現実的な観点も踏まえて酒税制度全体のあり方とともに検討を行うことが適当だというのが過般の税制調査会の中期答申の御趣旨でありまして、私どもとしてもそのとおり考えて今後中長期的な問題として慎重に検討をしてまいりたいと存じております。
  351. 藤井孝男

    藤井孝男君 その酒類のうち、一部従価税制度導入されていない清酒の一級、二級、またあるいはしょうちゅうの中にかなり高額なものもあるわけですけれども、いわゆる高額に対する税負担のあり方について部分的な従価税制度導入ということは考えていますか。
  352. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 清酒の二級でございますと一・八リットルで一万円という酒があります。これになりますとそれの負担いたします税額は百五十四円四十四銭でございますから、小売価格に対する税負担率は一・五%ということになります。二級酒は通常一二・九%小売価格に対して酒税負担していただいておりますので、こういうことは行き過ぎではないかという考え方が起こると思います。しょうちゅうにつきましても通常は七・二%の対小売負担率でございますが、中には七百二十ミリリットル、つまり四合びんで二千二百円というようなものも出てまいっておりまして、極端なものは二・二%ぐらいの税負担ということになっております。  こういうことで、従量税だけで価格の転嫁に十分即応しきれないというような酒類清酒の一級、二級、しょうちゅう乙というふうなものに出てまいっておるのは事実でございます。それは消費税ということからしますと、より高い酒を買いますときにはより高い負担お願いするのが本来でございますから、いかにも合理性を欠いておるということも十分問題でございまして、そこでこれらの問題につきましては税制調査会の中でも従価税率の適用範囲を拡大していく、「税負担の公平の観点から従価税率の適用範囲を拡大していくことを検討する」というような御指摘がありました。それで今回の改正についてもいまお尋ねのありましたような酒の種類につきまして執行面、それから生産者方々の御意見というものを踏まえながら検討してまいったわけでございますが、先ほどお答えしましたような従価税全体についての大きな問題ということもございますから、今回は見送ることにいたしまして、今後従価税制度全般の中で検討を進めたいというふうに考えております。
  353. 藤井孝男

    藤井孝男君 今回の増税によりまして、先ほども話にあったんですけれども、いろいろ各段階に分けて、特に特級酒と二級酒との間の税率には相当な配慮を持って、また格差を持っているわけでございますけれども、これは非常な配慮を持ってというお答えでしたけれども、片やこれ考えますと、昨年の需要伸びということから考えますと二級酒の伸びが大分大きくなってきている、シェアが広がってきているということで、いわゆる上級酒から二級酒への移行がさらに今回の特級と二級との間の税の格差によってさらにこれが拡大されるのではないかという、これはまあ言ってみれば大変な大きな変化であろうかと思います。この点について、この需要動向を今回の税改正においてどういうふうに見ておられるか。また二級酒市場というのは、ほとんどが中小生産されているわけですけれども、こういったことが大きく需要動向が変わりますと大手メーカーが中小メーカーに入り込んでくるということになりかねない、そういうことがまた懸念されるということでございますけれども、この辺に対する対策をどう考えておられるかお伺いしたい。
  354. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 需要の問題でございますので国税庁の方から現状の御説明申し上げたいと思いますが、御指摘のように清酒需要動向、昨年一年をごらんいただきますと、特級酒では一割減になっております。一一・一%、一級が五・四%、それに対しまして若干二級は五・一%御指摘のように増加いたしております。これはしかし、昨年の後半以来顕著になっているような状況ではないかというふうに見ておりますが、御存じのように昨年の二月から四月にかけて全酒類の一〇%程度価格の改定がございました。その反動あるいは仮需等の要因も織りまぜて観測しなければならないというふうに考えておりますが、事実として二級酒が徐々に増加してきていると。その原因につきましてはいろいろ御議論があるところでございますが、第一にはやはりきょうも参考人の御意見等がございましたけれども、地酒が見直されておるというような状況が各地に出てきておるのであります。これは二級酒というよりも地酒そのものというふうに判断されます。  それから御指摘のように、特一級との価格差、これが価格改定もございましたし、税負担の増加もございましたわけですが、たとえば昭和五十年来この五、六年の状況を見ますと、やややはり特級酒の価格の上がり方が三〇%、それから一級酒が二五%、二級酒が二〇%。ややそこに違いが出てきておる。そういったことで価格差もやはり種々の原因の一つではないか。  それから、往年はやはり二級酒が主体の酒類消費状況になっておりました。約六割が二級酒であったわけですが、最近は逆に一級酒が五六%ぐらいになっております。二級酒は四割を切っておるという状況が年々続いてきたわけでございまして、全体の酒類の高級化といいますか、そういった状況が行き過ぎたのが若干調整されているのかなというような状況もございますので、もう少し動向を見定めまして問題を適切に考えていきたいというのが率直に言って執行の方の考え方でございます。  大手メーカーの二級酒進出の問題、これも大変重要な問題でございますが、従来からエスタブリッシュしております酒類業界の慣行は、やはり地酒は二級酒で大手メーカーは特一級というような、分野調整ではございませんけれどもそういった慣行がございました。それがこの状況によって変化するかどうかというところがポイントでございますが、私どもとしては制度的な制約がございませんし、そういった活動に入ることに率直に言ってイエスでもノーでもないわけでありますが、できればしかしそういった分野の調整と言いますか、大手メーカーは大手メーカーらしい、もう少しがんばってほしいと、需要が特一級にまた戻ってくるかもしれないというような状況もございますので、慎重な行動をやってほしいというふうに一つは期待いたしておるわけでございます。
  355. 藤井孝男

    藤井孝男君 ぜひともその十分な動向を監視していただきたいと言いますか、よろしくお願いしたいと思います。  もう皆さんからたびたび言われておりますように、この清酒というのはわが国民族の酒ということでもございまして、今後とも何としてもこれはやはり育成をしていかなければならないことは当然でございます。しかしながら、清酒業界経営というのは先ほども御質問ございましたけれども、大変経営状態というのは相当数の企業が赤字状態にあるのではないか、また不安定ではないかということでございまして、民族酒たる清酒の製造業者経営の安定のために国税庁、大蔵省これまでその保護育成についていろいろ対策を講じてきたわけですけれども、大体これまで国税庁はこの民族酒たる清酒の製造業者に対してどのような育成策、保護策を講じてきたか、ちょっとお伺いしたいのでございますけれども
  356. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 酒税行政上とってまいりました対策につきましては、簡単に申し上げますと六点ほどございます。  第一は、これは税制の当局の問題でいらっしゃいますが、増税率の調整を増税のために図っていただいておるというのが一つでございますが、そのほか業界対策といたしまして、清酒製造業の安定に関する特別措置法というものをおつくりいただきまして、それに沿って安定的な経営を伸ばしていくということが一つでございます。  それから近代化の促進ということも、近代化促進法に沿って現在第三次の近代化をいたしておりますが、これも努力いたしておるわけでありますが、第一点は清酒製造業振興対策を実施しておるということでございまして、先ほども申し上げましたけれども近代化と同時に、この地酒振興対策といったようなものも需要開発の一環として振興対策を行っておる。大体近代化の予算としましては、この三年間で十億円の近代化資金をこの事業に投入しておるというのが率直に言って事実でございます。  それから酒造資金の信用保証事業も、これもまた安定法に基づきまして五十三年度からさらに資金を増額いたしまして実施しておるという状況でございまして、これにつきましては業界の資金も入れまして、五十億の資金を活用してこの信用保証事業を行っておる。  それからもう一つは、第三次近代化の実施でございます。先ほど申し上げましたけれども、五年間五ヵ年計画で、五十二年度から五十六年度までの間に主として新商品の開発とか、それから人材の養成事業とか、そういった共同事業、さらにはまた販売面の卸売あるいは小売業界とタイアップいたしました共同事業をいたしておるという状況がございます。  それからやむなく清酒製造業を廃止する方々、先ほど申し上げましたような環境でございますので、倒産する前にやはり自主的に他の業種に転換するという方々につきましては構造改善給付金というものを支出いたしておりまして、これは業界の二分の一の負担が重なるわけでございますが、これもこの数年間十六億円の支出が行われておる。  さらに最後に、原料米に対する助成でございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、食管制度の枠内におきましてできるだけの措置が行われておる。ざっと計算いたしますと百八十八億円の助成が行われておるというような状況でございます。
  357. 藤井孝男

    藤井孝男君 実は、私の地元の岐阜県でも酒造業者が七十五社ほどあるわけですけれども、いずれも中小メーカーであるわけです。ただいま種々具体的な措置を述べられたわけなんでございますけれども、これまでそういった保護育成あるいはまた今後ともそういったことを十分お願いしていくことはもちろんでございますけれども、やはり私は、皆さんこれはもうどなたも同じことなんですけれども、何としましても清酒需要の低落をどうやってとめなければいけないかというのが、これが本当の一番基本的な課題だと思うわけでございます。そして何としてでも、少しでも需要の喚起を呼び起こさなければいけないということから、私もいろいろ一生懸命勉強といいますかアイデアを考えておるんですけれども、大臣、何かいいアイデアはございませんでしょうか、具体的に
  358. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も突然聞かれましてもいいアイデアもないんですが、現実の問題としてお酒が洋酒とかピールに押されてきたということは、一つにはやっぱり世の中の変わりというものもあったでしょう、嗜好の変化。それからもう一つは、原料面において毎年お米の値上げということでストレートにその影響を受けてきた。一方ウイスキーとかビールなんというのは小麦で、大部分あれは外国産品ですから、したがって相当長期間にわたって原料が値上げにならない。そういうような有利な面を持っておったということなどが私は主たる原因じゃないかということも考えまして、やはりお酒は、米も余っておるという状態でもございますし、民族のこれは飲み物でもございますから、多少政策的な配慮というものも考えなければならぬというふうなことで、まあコップ一杯でやっぱり二級酒だったら一円五十銭がどこの値上げにとどめる。そのかわりピールの方は四、五円ぐらいはちょっとがまんしてもらうかとかという配慮も全然ないわけじゃないんですよ、これは。やはりまあ各政党とも外国農産物を入れるのをやめろと、国内でできるものをつくれと、こう言っているわけですから、しかしどんどん売れちまうのは仕方のない話でして、そういうような点も考慮もして、幾らか考慮してると言っても私は言い過ぎではないと、こう思っておるわけであります。競争条件をそろえてやらぬとかないっこないわけですから。しかしなかなか競争条件はそろわない。そろいませんが、税金の方で多少そこらの調整をしたっと言っちゃしかられるのかな、これは。しないかもしれないが、このような、まあ主税局長の話と違っちゃうわけですからね、値上げの理由が。しかられちゃうかもしれないが、これは頭のすみっこになかったというわけではないという程度にしたいと思っております。  いずれにしても、お酒はやっぱり日本の本当の民族のものですから、とだえさせないように、これがだめになっちゃうとお米の方でも六十万トンとかいうものがだめになっちまうわけですから、また、これはもう大変なことなんです、実際は。大変なこれはもうお客さん、酒屋さんというのは農家にとっても大変なお客さん。これがともかくつぶれることになると、早い話がこれだけ生産調整したが、さらに五十万トン追加というふうな話になってくるし、またそこで金がかかるし、波及効果でか過ぎますわね、これは。したがってそういう点も考えて、やはりお米の消費拡大というような点もやはり政策としては考えていかなきゃならぬというような点からいろいろと配慮をしていきたいと。また、実務上の清酒需要振興対策についてはいろいろございますから、国税庁の方から答弁させます。
  359. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 国税庁自体でも、五十六年度予算におきましては需要開発が、大臣のお答えございましたようにポイントでございまして、全国の主産地その他を見渡しましてこの需要開発の拠点についてどういう方向で問題があるかということにつきまして、本格的に本年度は調査いたす予算を計上していただいております。で、それに沿いまして、できるだけ早く具体的なプロジェクト、これが業界指導になるように、指針になるように今後発力してまいりたいと思います。
  360. 藤井孝男

    藤井孝男君 今回の増税につきましては、私は自由民主党の議員といたしまして賛成の立場であるわけでございますけれども、ぜひとも大蔵省も国税庁も増税ばかりでなくて、常に需要の喚起というものをぜひとも努力していただきたいと思うわけでございます。  多少時間が残っているかと思います。  先ほど塩出委員からお話ございましたけれども、みりんについてちょっと触れたいと思うわけでございますけれども公正取引委員会の方からの見解で、みりんの名称、特にみりん風といった名称については問題がないという見解であったわけでございますけれども、このみりんというのは調べたところによりますと、みりんという名前は室町時代あるいは戦国時代からこれが出ているということで、日本人の頭の中に、消費者の中にはこれはもうみりんという言葉が根づいているわけですね。したがいまして、たとえみりん風というふうにしましても、頭にみりんという言葉があれば、これはもうみりんの一種というふうに考えるのが普通ではないかと思うわけですが、その点はいかがでございましょうか。どうお考えになりますか。
  361. 小泉忠之

    政府委員(小泉忠之君) 適宜国税庁といたしましても適正な表示になるように業界とは御相談を始めておりますが、いろいろ言葉の表現の問題でございまして、みりん風調味料で占めている表示が調味科が主語でございまして、みりん風は形容詞であるとか、それから新みりんとか発酵みりん、塩みりんと、これはみりんが主語になります。そういうような御議論までございまして、なかなか業界内でこれがという決め手が現在ないような状況も事実としてございます。
  362. 藤井孝男

    藤井孝男君 もう時間ございませんけれども、いずれにしましても先ほどの質疑の中でもやはりこのみりん風が相当出回っておりまして、いまやみりんの市場大分その影響が及んでいるということがございますので、その点十分配慮を願いたいと思います。  時間が参りましたので、私の質問はこれにて終了させていただきます。どうもありがとうございました。
  363. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時五十一分散会