○
参考人(辻彌
兵衛君) ただいまの
吉田先生の御質問に対しましてお答えを申し上げたいと思います。
まず最初に、
商工会の組織は御承知のように現在全国各地に二千八百六十の単位
商工会がありまして、それぞれが四十七の都道府県連をつくり、それが集まりまして
全国商工会連合会を形成をいたしております。会員数は全部で百七万、そのほかに後ほどまた御説明申し上げますが、青年部、婦人部約三十万を合わせますと約百三十万に及ぶ大きな
団体になっておるわけでございます。
商工会はいわゆる中央会等の業種別の組合と異なりまして、業種、業態、
規模の大小を問わず、おおむね市町村という地域をベースに地域のあらゆる商工業者を包括した地域総合経済
団体という性格を持つものでございます。したがいまして、組織運営面におきましては、まず組織率を高めることによりまして地域の代表性を高めていくことが要請されておるわけでございます。現在全国の平均の組織率は六六・九%でございまして、まだ十分な水準とは申せませんので、今後ともこのような組織の量的な強化について努力をいたしてまいりたい、かように存じておるわけでございます。
次に重要なことは、そのような組織であるだけに組織の活性化ということに常に心がけていくべきでありまして、組織が動脈硬化に陥ることは厳に戒めなければならないと思います。
かような観点から、私
ども商工会といたしましては十五年前から青年部、婦人部の組織を設置促進いたしまして、常に
商工会活動に清新な血液を注入し、組織の活性化を図るように努力をいたしてまいったのでございますが、今回の法
改正を機会に業種別の部会あるいは問題別の
委員会等の設置促進によりまして、組織の活性化、活動の活発化を図ってまいりたい、かように
考えております。
また、
商工会は本来自主的な地域における組織
団体でありますから、当然その組織運営におきましては、その基本原則はあくまでも自主性、主体性の確立ということが大切な観点であることは申すまでもないわけでありまして、その
意味では特に会員、特に役員の
商工会への帰属意識と申しますか、そうした自覚の向上というふうなことに対しましては一層留意をいたしてまいらなければならないと思っております。
最後に、
商工会の存在意義につきましては、先ほど申し上げましたように総合的な地域経済
団体であるという性格は、あくまでもわれわれの基本的ないわゆるレーゾンデートルでございまして、私
どもはこの
商工会の運動は地域における零細小
規模企業者のいわば復権運動だというふうな意識で運営に携わっておるわけでございます。一言で言いますならば、できるだけ地域における多くの産業、つまり農林、漁業等の第一次産業あるいはその他第二次の地場産業、地域産業等のあらゆる地域が持っておる潜在的なエネルギーを掘り起こしまして、それらのエネルギーを
商工会を通じて集約することによって、地方の時代にふさわしい地域経済の振興の核としての役割りを今後果たしてまいりたいと、かように
考えておるわけでございます。
最後に、
商工会の抱えておる現在の課題についてのお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたような観点に立って、私
どもはこの十五年間それなりに努力をいたしてまいったのでありまして、地方の時代の到来とともにまさに私
どもの存在の意義が問われる重要な時期に差しかかっておるというふうに理解をいたしております。したがいまして、私
どもは商工業者の集団でありまして、商工業者の利益あるいはまた社会的な地位の向上を図る
団体でございますが、それと同時に、私
どもは何よりも地域での生活者であり、地域住民の一人であるというふうに
考えておりますので、単に地域の経済的な側面のみならず、社会的、文化的な側面におきましても多くの役割りを果たすことが期待されておるというふうに理解をいたしております。つまり、私
どもの努力によりまして私
どもの住んでおる地域がより文化的にもすぐれ、あるいは生活環境が豊かであるような地域社会をつくることに私
どもなりに努力をいたしてまいりたいと、これが今日の
商工会の抱えておる共通的な課題でございます。そのためには、
事業活動の一層の活発化と組織の強化、活性化が必要であろうと
考えております。今回の法
改正の内容はいずれもこの趣旨に沿ったものだと、このように理解をいたしておるわけでございます。