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政府委員(
森山信吾君) 産
炭地域振興臨時措置法の一部を改正する
法律案につきまして、ただいま
大臣が御
説明申し上げました提案
理由及び要旨を補足して御
説明申し上げます。
御案内のとおり、
昭和三十年代のエネルギー消費構造の急激な変化に伴って、石炭鉱業は、厳しい不況に見舞われ、それによる石炭鉱山の閉山は、ひとりその従業員及び家族にとどまらず、その周辺の産炭地域の
経済、社会に急激かつ深刻な影響を及ぼしました。
産
炭地域振興臨時措置法は、このような産炭地域の
経済的社会的疲弊を解消するため、石炭鉱業にかわる鉱工業等の急速かつ計画的な
発展等を図ることを
目的として、
昭和三十六年十一月に制定されたものであります。
本法は、当初、産炭地域振興の緊急性にかんがみ、五年間の臨時
措置法として制定され、
昭和四十一年にはさらに五年間延長されました。その後、石炭鉱山の予想を上回る急速かつ大
規模な閉山が相次ぎ、有効期間の到来した
昭和四十六年には、それに伴う疲弊の累積と当時石炭鉱業が置かれていた厳しい
状況を考慮して十年間延長され、本年十一月十二日をもってその効力を失うこととなっております。
政府は、これまで、本法を基礎とし、地域振興整備公団による
事業の
推進、地方公共団体に対する財政援助、進出
企業に対する税制上の特別
措置等各般にわたる手厚い施策を通じて、工業団地、
道路等の産業基盤の整備、石炭鉱業にかわる鉱工業等の誘致、旧炭鉱住宅、上下水道等の生活環境の改善等を図ってきたところであります。
この結果、産炭地域振興
対策は、現在までのところ、相応の成果をおさめつつあります。すなわち、産炭地域では、閉山によって悪化した生活環境は、これら諸
事業の
推進に伴ってその修復が進みつつあり、人口もかなりの地域で増加傾向に転じ、石炭鉱業にかわる鉱工業等の導入も徐々に進展を見つつあります。とりわけ、産炭地域のうち比較的立地
条件に恵まれた地域においては、相当数の
企業が進出し、石炭鉱山の閉山による
経済的、社会的疲弊の解消を図るという産炭地域振興の
目的が次第に達成されつつあると言える
状況となっております。
しかしながら、内陸部等の産炭地域では、これまでの施策の実施にもかかわらず、特に、
前回の本法の延長後に生じた大
規模な閉山の影響が大きく、今日なお累積された著しい疲弊が残存している
状況であります。すなわち、産炭地域では、厳しい雇用失業情勢、全国水準を上回る率の生活保護者の滞留、高年齢層の増大、老朽化した旧炭鉱住宅街、さらには、産業活動の停滞による低い所得水準、地方公共団体の困窮した財政
事情等の諸問題が解決されないまま残されております。
このような産炭地域の現状を踏まえ、昨年六月、産炭地域振興審議会に、本法の延長問題を含めて、今後の産炭地域振興
対策のあり方についてお諮りした次第であります。
同審議会におかれましては、現地視察、地元
関係者からの意見聴取等を行うなどして鋭意御
検討いただき、昨年十一月、産炭地域の累積した
経済的、社会的疲弊を解消していくためには、なお相当程度の期間を要するという
事情等を考慮の上、本法の有効期間については、さらに延長する必要があり、その期間は十年間とするのが適当である旨答申されました。
政府といたしましては、この答申を尊重し、この際、本法の有効期間を延長し、今後とも本法を基礎とする産炭地域振興の諸施策を実施していく必要があると考えている次第であります。
今後の産炭地域振興
対策の
推進に当たっては、従来の
対策の進め方の反省を踏まえ、この答申の御示唆を受けて、近隣市町村が地域の特性等に応じて機能を分担しつつ、一体的に
発展していくという広域的地域
発展を図ること等により、早期に産炭地域振興の
目的を達成するよう努めてまいる所存であります。
なお、この
法律案の附則におきまして、通商産業省設置法の一部を改正することといたしておりますが、これは、産炭地域振興審議会の存置期限を延長しようとするものであります。同審議会は、産炭地域の振興に関する重要事項を調査審議するため、
昭和三十六年四月から通商産業省の附属機関として置かれているものであり、今回の本法の有効期間の延長とあわせて、その存置期限を十年間延長することとする次第であります。
以上、この
法律案につきまして補足して
説明いたしました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
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