○
政府委員(
志賀学君) お答え申し上げます。
私
ども石油の自主
開発につきまして、これは
一つには、
日本周辺海域の場合には最も安定した
供給源であるという
観点、それから
海外におきます自主
開発、これは
一つにはもちろん安定した
供給源の確保という
意味と、同時に地域の多角化を図っていく場合の
一つのてこということで重視をしているわけでございます。さらに、
海外におきます
石油の自主
開発の場合には、産油国とのいろいろな面でのつながりを一層深めるという
意味もあるというふうに思っているわけでございます。そこで、従来から
石油の
海外あるいは
周辺海域におきます自主
開発について積極的に取り組んでまいっているところでございます。
まず、
日本の
周辺海域の
状況について申し上げますと、
周辺海域の自主
開発につきましては、これは実は従来から五カ年
計画を順次積み重ねて推進をしてまいっております。現在は五十五年度を初年度といたします第五次五カ年
計画を実施中でございます。この五カ年
計画におきましては、
周辺大陸だなの
石油、
天然ガスの生産量を五十四年度の五十八万キロリットル、これは
石油換算でございますが、五十八万キロリットルを五十九年度におきまして四百十万キロリットルまで引き上げるということを
目標にしております。この
計画に従いまして、国といたしましては、たとえば基礎調査、さらに基礎調査の一環といたしまして、従来は物理探査にとどまっていたわけでございますけれ
ども、今回の第五次五カ年
計画からは基礎試錐を国が実施する、そういうことによって
企業の探鉱
活動を誘導していくという施策を講じているところでございます。こういった累次にわたります五カ年
計画の結果、現在
わが国の
周辺大陸棚におきまして生産中のものといたしましては、新潟県の阿賀沖の
プロジェクトがございます。それから探鉱に成功いたしまして生産に移行しようとしているものといたしまして、けさほど
青木先生から御質問がございましたけれ
ども、福島県の
常磐沖の
プロジェクトがございます。
それから
日本の大陸棚につきまして日韓の共同
開発の問題が
一つございます。この
日韓大陸棚の共同
開発につきましては、昨年二本の
試掘を行ったわけでございます。これは第五小区域と第七小区域につきましてそれぞれ一本ずつ
試掘を行ったわけでございますけれ
ども、結果は一応商業生産ができるような
石油あるいはガスの発見に至らなかったところでございます。
引き続きまして、
日本側、
韓国側両
開発権者におきまして今年度以降の探鉱
計画を現在鋭意検討を進めているところでございまして、五十六年度におきましても、まず四月から物理探査を実施するということで、その物理探査の結果とさらにすでに
試掘をいたしました井戸からとりましたいろいろな試料、これをあわせまして次の
試掘地点を決定いたしまして、今年度中にその第五小区域及び第七小区域におきまして、各一本ないし二本の
試掘を行う予定というふうに承知をしております。
次に、
日本の大陸棚ではございませんけれ
ども、中国沿岸の問題について触れさせていただきます。
一つは、先般
新聞にも大きく報道されたところでございますけれ
ども、渤海湾におきます日中共同
開発プロジェクト、これが実は昨年の十二月から本年の三月にかけまして第一坑の
試掘を行ったわけでございます。この結果、この一号井にして相当量の出油を見たというふうに承知をしております。
なお、この
試掘の結果、油の層が三層にわたって存在するということが確認されておりますが、先般出油テストを行いまして発表されましたのは、一番下の第三層についての出油テストの結果でございます。今後第二層、第一層につきまして出油テストを行ってそこで初めて総合的な判断ができるというふうに承知しておりますけれ
ども、油層の厚さから申しますと第一層が一番厚いわけでございます。その次が第三層、一番薄いのが真ん中の第二層と、こういうことになっておるわけでございまして、したがって、今後第一層のテストをいたしますと、私
どもの期待でございますけれ
ども、かなりの大きな期待を持っているというのが現状でございます。
それから、同じく中国のそのほかの海域でございますけれ
ども、中国側は黄海・南海の大陸棚につきまして先般来この外国の
企業に基礎的な調査を依頼しておったわけでございます。
わが国におきましても
石油公団などがこれに参画をしているところでございまして、私
どもが承知しているところでは中国側におきましてこれらの基礎調査の結果を踏まえまして、ことしから来年にかけまして恐らく黄海・南海海域についての
探鉱開発につきまして国際的な
入札を行うであろうというふうに存じております。その際には当然
わが国といたしましてもこういった黄海・南海の
探鉱開発事業につきまして積極的に参加してまいりたいというふうに思っております。なお、中国側におきましても従来から
わが国の参加に対しまして好意的な感触を伝えているところでございます。
それから次に
海外の
状況でございます。
海外のいわゆる自主
開発につきまして、これは従来から
石油公団の助成を中心にいたしまして推進をしてまいっているところでございます。現状を申し上げますと、
石油公団の助成対象になっております
プロジェクト、現在五十二
企業、これは五十二
企業ございますが、そのうち
海外が四十三
企業ということでございます。こういった
海外の四十二
企業が現在公団から助成を受けましていろいろな
活動をやっているわけでございますけれ
ども、このうちすでに生産中のものが
海外で十三
企業ございます。それから生産準備中のものが一
企業、それから現在商業生産の可能性につきまして検討中のものが
海外で五
企業あるわけでございます。私
どもこういった点からかなりの成果を上げつつあるというふうに思っているわけでございますけれ
ども、いずれにいたしましても、
冒頭に申し上げましたように
供給源の多角化を図っていくに際しまして、自主
開発というのは非常に有力なてこになるわけでございまするので、今後とも
海外におきます。辺海域の自主
開発を含めまして、自主
開発につきまして積極的に努力をしてまいりたいというふうに存じております。