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政府委員(小松国男君) 石油化学工業につきましては、いま先生からも御指摘がございましたように、国内の
景気が低迷いたしておりますために
相当の減産を余儀なくされているという状況にあるわけでございます。ただ、同時に海外、特にアメリカの
景気が非常に悪いものですから、米国の場合には石油化学工業というのは安い天然ガスを原料といたしておりますので、そういう
関係で米国とかカナダの石油化学製品の輸出攻勢、これが非常に厳しい状況でございまして、たとえば東南アジアの市場は
相当部分アメリカ、カナダ製品に席巻されるというふうな状況もございますし、一方国内につきましても、ここへきて輸入が
相当増加しているということでございまして、海外からの攻勢、それから輸出市場の減少、さらには国内の需要の低迷ということで、石油化学工業自身の生産ベースも昨年の前半は前年並みぐらいの生産で続いたのですが、後半以降
落ち込みまして、前年ペースに比べまして大体七二%、約三〇%ぐらい落ち込んでいるという状況でございます。
そういうことで、特にこういう海外
景気、国内
景気の低迷という
景気の問題がベースにあるわけですが、同時に、先ほど申し上げましたような原料高という問題がございまして、この点につきましては単なる
景気問題ではなくて、構造問題というのも秘めているわけでございまして、そういうことで、現在石油化学工業の国際競争力上の問題ということにつきましては、昨年七月に石油化学原料問題
懇談会というものをつくりまして、そこで今後の石油化学工業の体制をどう持っていったらいいかという問題も含めて検討をいたしておる状況でございます。
さらに、その石油化学製品の中でも特に塩化ビニール、これは非常に現在不況にあえいでいるわけでございまして、それを脱却するために現在不況カルテルの検討を行っておるという状況でございます。
国内の生産状況につきましては、これも大体石油化学製品と同様でございまして、昨年前半までは好調でございましたし、一部特に前半は仮需などがございまして、生産ベースが高かったんですが、四月以降急速に需要が
落ち込みまして、前半のたとえば昨年の三月の生産のピークというのは月十五万トンベースだったんですが、これが六月以降は十万トン台と約三分の二の生産のベースに落ちるというようなことでございまして、在庫も昨年の四月の六万トンからことしの一月には八万トンということで大幅に増加しているわけでございます。
さらに、輸入の方につきましても、本来塩化ビニールというのはむしろ輸出産業であったわけでございますが、そういうことで内需に対する輸入比率というのは、五十二年にはたとえば輸入が一・一%、それから五十三年は二・八%、五十四年は一・一%、それから昨年は二・六%と、依然として塩化ビニール自身につきましては、輸入比率は低いんですが、ここへ来まして輸入が
相当大幅にふえておるという状況がございまして、たとえば昨年の十月、十一月の二カ月につきましては、従来大体一カ月一千トンベースでございました、ないしは一千トンから三千トンぐらいのベースでございました輸入が大体八千トン台ということで、かなり輸入が急増しておる状況にございます。ただ、ここへ来まして、アメリカからの輸出攻勢も若干緩和の状況にございまして、輸入の増勢も少し落ちついてきているというのが実情でございます。ただ塩化ビニールにつきましては、アメリカ以外にたとえば台湾とか韓国からの輸入もございますけど、輸入品は非常に値段は安いんですけれ
ども、国内の塩ビ自身非常に品質もよいわけですし、それからユーザーに対するサービスその他きめ細かいいろいろのサービスをいたしておりますので、そういう面で現在国内市場で競争力を失っている
状態には必ずしもないというふうに
考えております。今後
企業が努力すれば、こういう
景気の
回復を待ちながら
企業努力、合理化努力をいたしますれば、何とか立ち直れるきっかけをつかめるんじゃないかというふうに思っておりますし、さらに一部、二塩化エチレン、これはEDCと呼んでおりますが、こういう中間原料につきましては、確かに海外のエチレン、塩素それぞれ安いわけでございますので、こういうものについては一部EDCの形で入れまして、これで塩ビを生産していくということも今後は必要ではないかというふうに
考えておりまして、EDCの輸入につきましては、輸入の合理化ということで共同輸入の体制を検討するというようなことも
考えております。
いずれにしましても、石油化学製品、塩化ビニール製品とも、原料高の問題を今後合理化努力その他を含めて克服していかなければなりませんので、そういう問題、長期の問題につきまして、今後、業界、私
ども一体になって今後の対応策について検討してまいりたい、かように
考えております。