○沓脱
タケ子君 それで私は、大企業の生産計画、出勤率についてですが、やはり
実態を
調査して御
指導にならなければならないんじゃないかと思うんです。
これはちょっと実例を示しますが、豊田系のダイハツ工業の全従業員が持っているカレンダーなんですよ。これには、工場別に皆違うんですけれ
ども、二直制で昼勤組と夜勤組というのでちゃんと丸がついてある。一月から十二月まで、何月何日は自分が昼勤、夜勤というのがわかるように丸がついてあるんです。ちょっと一遍見せましょうか。見ていただいたらいいんです。これはちょっと焼いた分がありますからごらんください。それで、昼勤というのは八時から四時四十五分まで。それから、恒常的な所定外
労働時間が一時間半から三時間。夜勤は夜の九時から朝の五時四十六分まで。それで所定外
労働時間は、勤務始めに三十分、勤務が終わったときに三十分ないし一時間。こんな、この昼勤組と夜勤組というのは一月から十二月まで自分はたとえばきょうの四月十六日だったら黒丸だから昼勤やと、皆縛られてあるわけです。年の始めに、十二月まで一年間の自分の昼勤、夜勤全部これ決められてしまっているわけです。
それで、これ
大臣おもしろいのは、四月二十九日というのは祝日でしょう。ここは四月二十九日はそんなのはもう全然
関係ないんです。祝祭日なんてないんです。勤労感謝の日の十一月二十三日も祝祭日にはなっていない。それをごらんになっていただいたらわかります。こういう状況ですからね。
労働大臣、こんなのむちゃくちゃだと思いませんか。もう一月の初めに十二月まで、私は何月何日昼勤、私は何月何日夜勤というのをぱちっと決められて、これはみんな
労働者、全従業員持たされているんですよ。そこへ二枚分の資料をお出ししておりますのは、本社工場と京都・滋賀・多田というそれぞれの工場の分をもらっているんですけれ
ども、こういう状況なんです。ですから、こんなことでやっておりますから、なかなか年休なんかとれない。
だから、ここの工場では驚異的に生産を伸ばしております。
労働者一人当たりの生産台数で言いますと、
昭和五十年が四十七台、これが
昭和五十五年には六十二・三台、三二%ふえている。これだけ見ても、どれだけ合理化、
労働強化がひどいか。国際的な自動車戦争の陰に超過密
労働があるということです。当然合理化や技術革新もありますが、その主な要素というのは、
労働者の超過密
労働——ライン
労働者及び間接部門
労働者も含めてそういう過密
労働の中で、半数以上と言いたいですけれ
ども、本当に六割から七割までの
労働者というのは腰痛を訴えている。それで、若い
労働者なのにはりをしたり電気かけたり、そういう治療を受けざるを得ないというのが
実態になっている。こういうこの過密
労働の中で、ダイハツ工業では労災隠しと思えるようなことが依然としていまも続いています。
これちょっと、これも資料を……済みませんが。私が二年前の当
委員会で実は御
指摘を申し上げたんですが、本社工場で、あれは全社だったか、届け出の労災が五件。ところが
職場での安全衛生課の
調査では三十件ということになっておるが、労災隠しがあってはならないから
調査をしなさいという、
調査をして
指導するようにということで二年ほど前に御
指摘を申し上げました。ところが依然としてそうなんですね。これも資料差し上げましたけれ
ども、こんなのどうなっているのかなと思いますのはね、この差し上げた資料の二枚目、この上から四番目なんか、これは「左瞼上」まぶたの上に裂創を起こして二針縫うている。その下は「右手第一指切創」、これも六針縫うているというからかなりひどい切り傷です。ところがこれ「赤チン」と書いてある。その次のページを見ますと五十六年一月度です、一月度。この一番初めの「顔部額裂傷」というのも「赤チン」なんですね。三番目には「左手第二指亀裂骨折」これも「赤チン」なんです。その下は「両膝切創」、「赤チン」と書いてあるんですが、この両ひざを金属板ですぽっと切ったんですね。だから四針縫うたがら一週間休んだそうです、恐らく歩けないでしょうからね。ところがこのランクは「赤チン」となっている。ここの工場おもしろいのだけれ
ども、「赤チン」、「不休」、それから「休業」と
三つのランクがあるらしいのです。「赤チン」というのはどうも赤チンをちょろっとつけたらいいようなすり傷とか、そういう軽微な負傷という意味でしょうけれ
ども、骨折まで赤チンになっているでしょう。
その次のページを見ましても、第一の「左手第四指指骨亀裂骨折」ですね、手の指。それから三番目も「左手示指骨骨折」です、これは不休ですわね。まあこれ骨折をしたような
患者というのは、そんなに手を包帯してもらってぶらぶら振って歩けるような状態と違いますよ、痛くて。これは私前回も申し上げましたけれ
ども、そういう状態というのがずうっと続いているんですね。これは時間の都合で資料全部申し上げられませんけれ
ども。そこで、私は「不休」とかあるいは「赤チン」ということで済ましているというのが余りにも多いと思いますし、これは届け出の義務がないということになるんですが、そうなってくると治療は一体どうしているかということになるんですね。で、労災として扱わないということになりますと、治療は当然しなければならないので、治療は健康
保険で治療している疑いがあるわけですね。
で、
厚生省おいでいただいていると思いますが、ちょっとお
伺いをしたいと思いますけれ
ども、
業務上の疾病で健康
保険で治療はできますか。