○沓脱タケ子君 これはこの機会に抜本的な施策を踏み出されなければならないと考えます。
大臣もおっしゃったように、五十三年の二月以来満三年を超す診療報酬の据え置きでございます。この間に春闘というのが四回目がいまやられている。消費者物価指数から言いましても、これは五年で見ても一四〇%以上上がっている、一四〇・五%になっていますからね。前回の診療報酬の引き上げというのが、特に無床のいわゆる開業医の
人たちには非常に割合が低くて、平均をいたしますと三年前の値上げのときには約一・一%内外だと言われておりますので、無床の診療所の
人たちから言わせると大体五年間放置されているに等しいのだという印象を持っているのが率直なところでございます。特に保険医療機関及び保険医療養担当規則の二条にはこういうふうに言われているのですね。「懇切丁寧に療養の給付を担当しなければならない。」というふうに規定をされております。私は改めて拝見をしてその感を非常に深くいたしましたのは、これを実現するに足りるような診療報酬あるいは技術料の
評価というものをきちんと位置づけなければ、今日医療不信等が広がっている中で、一層国民医療というもののひずみというのが大きくなってしまうであろうということを大変
心配をいたします。
具体的にちょっと伺っておきたいと思います。時間がありませんからごく簡単にしておきたいと思いますが、たとえば技術料の問題等につきましては非常に
たくさん問題点がございます。手術料
一つを取り上げてみましても、これはもう御承知ですから細かいことは省きますけれ
ども、たとえば盲腸寒の手術
一つをするのに二万三千五百町ですね。それから胃の全摘、全部胃を摘出するという手術で六万五千円です。胆嚢手術に至っては五万円、子宮を全部取り出すという手術、これは富士見病院で大分問題になりましたけれ
ども、あれだって五万一千円という
程度で、恐らくこれはもう技術料ところか諸経費さえもなかなか賄いきれないということになってきております。その証拠にいわゆる外科の有床診療所というところはどんどん病床を閉めてしまって無床になってきています。これはもう私
ども大阪の実例を申しますと、たとえば二十万の人口の生野というところでは二十九軒の有床外科診療所があったんですね。それが今日ではわずかに二軒だけが残るというほどの変化が起こってきているということで見ましても、手術料というのが、いかに今日の必要経費、技術
評価、そういうものが妥当な
評価になっていないかという点を示していると思うわけでございます。
さらに、時間がありませんから細かいことは
たくさん申し上げられませんけれ
ども、私は、医師としてのあるいは歯科医師としての技術料
評価というものの正当な
基準というのが非常に大事だという点をいつも申し上げているんですけれ
ども、たとえば注射
一つ見たって、皮下注射が百四十円で静脈注射が二百円でしょう。今日二百円のお金で一体何が求められるかという点を考えますと、一体どうなんだろうかというふうに思います。さらに入院料に至ってはもうこれは大変だと思うんですね。いまベッド代千円ですけれ
ども、ユースホステルの二段ベッド三段ベッドでセルフサービスのところだって千三百円ですよ。国民宿舎の素泊まりが二千二百円ですよ。それが病院のベッドが千円ですわ。こんなことが
——私はそこを高くしたらいいというだけのことを言っているんじゃないんですよ。しかし、いかにも周りの社会の物価の上がり方、変動と比べれば不十分ではないかというふうに思うわけなんでその実例を申し上げておきたいと思います。
特に私はパラメディカル
——薬剤師あるいは
栄養士、看護婦ですね。これらの技術
評価というのはきわめて不十分だと思うんですね。その点の
一つは、看護婦の場合には、入院の病室の場合には入院看護科がやっとついたですけれ
ども、外来の看護婦さん働いたって看護料ゼロなんですね。
評価がないんですからゼロなんですよ。これはひどいと思うんですね。それなら看護婦雇わなくていいのかということに、点数のシステムから言うたら看護婦が外来では要らないみたいになっているんだけれ
ども、医療法によるとちゃんと何人について何人の看護婦が要るということが規定されているんですから、その辺はやっぱりはっきりするべきだと思います。特に在宅ケアが重視されなければならない老齢化社会を迎えている時期には、訪問看護についてもこれはきちんと保険点数で、看護婦さん
たちがただ働きを連続してやらなければならなくても済むように、そういった点の位置づけというのはきわめて大事ではなかろうかと思います。
さらに、もうまとめてお伺いをいたしますが、薬剤師ですが、これは私は同じ薬剤師で病院の中の薬局の薬剤師が薬をつくる値段と開局薬局の薬剤師が同じ薬をつくる値段とこんなに違ったら、これは病院内薬局の薬剤師はこれは怒りますわ、現に怒ってますよ。御承知だと思いますから詳しくは言いませんけれ
ども、第二薬局というようなものができる理由がここにあるんですよ。やっぱりきちんと必要な技術者に対する
評価というものは、どこへ行っても同等の
評価ができるような対処というのはきわめて必要だと思います。同じ薬つくったって、たとえば薬剤師のいない医院でつくったらあれでしょう、処方せん、処方料が八十円と調剤料の四十円で何日分つくったって百二十円ぽっきりでしょう。病院の中におる薬剤師がつくった場合にはこの百二十月に五十円つくんでしたね。薬剤師の調剤技術基本料というんですか、五十円ですわ。百七十円になるんですね。ところが調剤、その処方せんをもらっていわゆる調剤薬局で同じ薬をつくってもらったらどうなるかというと、調剤基本料というのが二百六十円でしょう。そしてそれぞれの内服調剤料の加算分がついて大体三日分ずつ同じようにつくったら病院の薬局でつくった薬は百七十円プラス薬代なんですね。ところが開局薬局あるいは調剤薬局でつくってもらいますと六百六十円プラス薬代ということになるわけですよ。こんなことをやったらやっぱり同じことをやって、保険財政から支出される金額が制度として
たくさんになる方を使うのはあたりまえなんですよね。こんなばかげた点数制度をどうしてつくったか、やっぱり薬剤師の
評価というのは、病院の中におる薬剤師も開局薬剤師も正しく同等に
評価をされるべきだというふうに思います。細かいことは言うたら
たくさんあるのですけれ
ども、時間の都合がありますから、
たくさん言いませんが、もう
一つは。歯科です。
歯科の
先生が一番怒っているのは歯科の
先生は再診料がほとん
どもらえないと言うんですね。それなら、歯科の
先生というのは初診料だけで後はもう診断の必要がないのかと言って怒っています。こんなことは、やっぱりちゃんと制度としてやるべきだと思うんです。絵義歯の問題にしたってそうですよ。これは上、下で何か三万円余りですな、三万七百二十円かな、保険点数では。こんなものできないんですよ、実際には。技工士に払うお金だけでも一万六、七千円払うているのですからね。それをつくるまでの技術料あるいは材料費、そんなもの全部
先生が持つわけですから、時間だってものすごくかかるわけでしょう。それが全然
評価されないから総義歯については
一般的に言われているように、三万ないし四万が自己負担プラスアルファをせざるを得ないというのが通説になっていると言われているのです。その点について、こういうところを抜本的に今度の診療報酬の改定の時期にぜひ解決をしてもらえるようにしていただきたいと思うわけですが、御見解をお伺いをしておきたいと思います。