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政府委員(矢崎市朗君) 果樹共済の加入率が非常に低いというのは御
指摘のとおりでございまして、これには収穫共済と樹体共済がございますが、収穫共済でも全国平均では二七%、樹体共済では七%、こういうふうな
段階に現時点ではございます。
この原因でございますが、ただいま御
指摘のあったような
制度の中身の問題も確かにないとは申せないというふうに思いますが、何と申しましても、基本的には、この共済
制度が発足いたしましたのが四十八年でございまして、まだ日が浅いということで、十分に浸透していない点が
一つではなかろうかというふうに思います。
それからもう
一つは、特に樹体の
関係で低いのは、
一つには、樹体
被害が発生するということが非常にしばしばございませんで、きわめてレア
ケースとして起こっておるというふうな実態がございます。しかも、それも
流失したり埋没したり枯死してしまうというふうな本当の激甚の
ケースというのは非常に少ない。
それに対しまして一方、収穫共済の方でございますが、共済の責任期間が比較的長いというふうなことで、樹体の方は比較的短期間で回復する
ケースが多いのに対し、果実の影響の方はかなり長期に補てんをされるというふうなことがございまして、なかなか樹体共済に加入しないというふうな傾向があるのではないかというふうに見ておるわけでございます。
しかし、今回のような
被害を受けていますれば、何と申しましても、こういう場合に支えますものは共済が本来であるべきでございまして、十分にこれを機会に共済加入を私
どもも推進してまいりたいというふうに思っております。
なお、内容の点につきましては、私
どももできるだけ、特に大規模の、しかも技術の高い農家が魅力を持てるような中身にしたい、こういうふうな
考え方を絶えず持っておりまして、すでに御案内のとおり、昨年実はこの果樹共済
制度につきましては、かなり大幅な
改善を、
法律改正もお願いをしたわけでございます。その中で樹体の面では、従来からそういった農家から非常に要望のございました、一割を超える
損害が農家単位で起こらなければ支払いの
対象にはならないといったものが、どうも支払い機会の均衡を失するというふうな声が非常にございまして、そういう点も考慮いたしまして、一割以下でありましても十万円以上の額になるときには、共済金の支払いの
対象にするというふうなことも講じたわけでございます。したがいまして、今後はそうした
改善された
制度をもとに十分に加入をしていただきたいと思っておるわけでございます。
なお、樹体共済の
損害の認定でございますが、一本一本につきまして三分の二以上の
損害のない場合には
対象にしないという
お話、そのとおりでございます。試験実施の
段階では実は全損だけを
対象にしておったんですが、一歩を進めて、分損であっても三分の二以上のようなものにつきましては、後に大きな影響が残るというふうな趣旨でこれを
対象にするというふうにいたしたわけでございますが、仮に御
指摘のようにこれを二分の一以上にするというふうなことをやりますと、すぐに直結いたしますのは、これは掛金の増高がつながってくるわけでございまして、その辺のところは、どういう程度の
段階で、かつ負担をどういうふうなところで見合わせるのがいいのかというふうな問題がいろいろと
関連してまいりますので、私
どもは慎重を要する点だというふうに思っておりますが、今後も長い目で、私たちも地方の
実情に十分に即するような
方向で内容の
改善充実には
努力をしてまいりたいというふうに思っております。