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1981-08-19 第94回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年八月十九日(水曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  七月二十二日     辞任         補欠選任      近藤 忠孝君     下田 京子君  八月八日     辞任         補欠選任      鶴岡  洋君     藤原 房雄君  八月十日     辞任         補欠選任      松本 英一君     対馬 孝且君  八月十三日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     松本 英一君  八月十八日     辞任         補欠選任     茜ケ久保重光君     対馬 孝且君  八月十九日     辞任         補欠選任      松本 英一君     丸谷 金保君      対馬 孝且君     川村 清一君     —————————————  出席者は左のとおり。     委員長         村沢  牧君     理 事                 熊谷  弘君                 鈴木 省吾君                 鈴木 和美君     委 員                 井上  孝君                 岡部 三郎君                 古賀雷四郎君                 田代由紀男君                 谷川 寛三君                 松尾 官平君                 川村 清一君                 対馬 孝且君                 丸谷 金保君                 藤原 房雄君                 下田 京子君                 伊藤 郁男君                 青島 幸男君    国務大臣        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官)  原 健三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    説明員        北海道開発庁総        務監理官     大西 昭一君        北海道開発庁水        政課長      狩野  昇君        防衛施設庁施設        部施設対策第一        課長       米田 昭典君        国土庁長官官房        審議官      川俣 芳郎君        厚生省公衆衛生        局栄養課長    大澤  進君        農林水産大臣官        房審議官     大坪 敏男君        農林水産省構造        改善局農政部管        理課長      合馬  敬君        農林水産省構造        改善局計画部計        画調整室長    大脇 知芳君        農林水産省構造        改善局計画部事        業計画課長    北村 純一君        農林水産省構造        改善局建設部防        災課長      村山  昶君        農林水産省農蚕        園芸局農蚕企画        室長       近長 武治君        農林水産省農蚕        園芸局農産課長  芦澤 利彰君        農林水産省畜産        局自給飼料課長  高原  弘君        林野庁指導部治        山課長      小沢 普照君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部財        政課長      丹羽  晟君        気象庁予報部長        期予報課長    菊池 幸雄君        建設省河川局長  川本 正知君        建設省河川局河        川計画課長    岸田  隆君        建設省河川局治        水課長      玉光 弘明君        建設省河川局都        市河川課長    萩原 兼脩君        建設省河川局開        発課長      広瀬 利雄君        建設省河川局防        災課長      谷口 雅宥君        建設省道路局国        道第一課長    信高  裕君        建設省住宅局民        間住宅課長    伊藤 茂史君        自治大臣官房参        事官       鶴岡 啓一君        日本国有鉄道旅        客局営業課長   有馬 訓祥君        日本国有鉄道施        設局土木課長   村上  温君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (北海道における集中豪雨被害に関する件)     —————————————
  2. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七月二十二日、近藤忠孝君が委員辞任され、その補欠として下田京子君が選任されました。  また、八月八日、鶴岡洋君が委員辞任され、その補欠として藤原房雄君が選任されました。  また、昨十八日、茜ケ久保重光君が委員辞任され、その補欠として対馬孝且君選任をされました。  また、本日、松本英一君が委員辞任され、その補欠として丸谷金保君が選任されました。     —————————————
  3. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、北海道における集中豪雨被害に関する件につきまして、政府から報告を聴取いたします。川俣国土庁長官官房審議官
  4. 川俣芳郎

    説明員川俣芳郎君) 被害状況と今後の対策につきまして簡単に御説明申し上げます。  お手元に「八月三日からの大雨等による北海道災害」という資料を差し上げてございますが、ごらんいただきたいと思います。  八月三日からの北海道大雨等により、石狩空知日高釧路等ほぼ道全域で、河川はんらん土砂流出等が発生し、激甚な被害が発生いたしました。  この災害による被害状況は、八月十八日現在、死者八名、負傷者十四名、建物の全半壊百二十六棟、床上浸水七千四百五十二棟、床下浸水一万九千五棟となっております。田畑冠水は六万九千八百十五ヘクタールとなっております。なお、田畑被害につきましては、冠水のほか浸水等を含めますと、十六万二千ヘクタールに及んでおります。  このため、十二市町村におきまして災害救助法が適用されたほか、北海道庁を初め道内八十九市町村災害対策本部が設置されました。  現地における関係機関におきましては、各河川記録的増水に対する水防活動、施行中の石狩放水路緊急通水措置消防職団員等による防災活動、警察官による被災住民避難誘導交通規制等災害警備活動、自衛隊の災害派遣などの応急対策活動がなされました。  政府といたしましては、八月六日に災害対策関係省庁連絡会議を開催し、被害状況把握に努めるとともに、八月七日及び八日には原国土庁長官北海道開発庁長官団長とし、関係省庁からなる政府調査団現地に派遣いたしました。  一方、被害状況及び政府調査団調査結果を踏まえまして、八月十一日、第二回目の災害対策関係省庁連絡会議を開催し、今後政府として講ずる措置について協議を行いましたが、その主なものは次のとおりでございます。  第一に、交通通信公共施設等早期復旧についてであります。  道路国鉄線区のうち冠水等により不通となりました区間については、早期開通に全力を挙げることとしたところであります。また電話、郵便等通信手段確保に努め、被災した公共土木施設農地農業用施設文教施設社会福祉施設等につきましては、できる限り速やかに災害査定実施し、早期復旧を図ることといたしております。  第二に、金融措置についてであります。  本災害により被害を受けられました方々に対する災害援護資金及び災害復興住宅資金貸し付け並びに被災中小企業者に対する政府系中小金融機関災害復旧資金貸し付け農業共済金早期支払いを行うことといたしました。今後、被害状況の的確な把握を踏まえまして、被害農業者等に対する資金確保措置を含め、適時適切な対策について検討することといたしております。  税財政上の措置といたしましては、国税の申告書等の提出、納付または徴収に関する期限の延長等を行うとともに、関係地方団体被害状況財政状況に応じまして、地方交付税の繰り上げ交付地方債の許可、特別交付税措置等を検討することといたしております。  なお、今後被害状況把握に努め、激甚災害につきましては、最終的な被害報告がまとまり次第検討することといたしております。  最後に、治山治水事業につきましては、河川改良復旧激特事業を含め、その推進に努めていくことといたしております。  以上、政府対応について簡単に御説明申し上げましたが、関係機関との緊密な連絡のもとに適切な対策を講じてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  5. 村沢牧

  6. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) それでは、八月三日から六日までの北海道におきまする大雨による農林水産業関係被害状況と、当面の対応につきまして、口頭により御報告申し上げます。  まず、農林水産業関係被害状況でございますが、北海道庁報告、これは八月十五日現在でございますが、これによりますと、農地農業用施設につきましては、約二百九十七億円、農作物被害額調査中でございまして、まだ報告が参っておりませんが、冠浸水等被害を受けました農地面積は約十六万二千ヘクタールに及んでおります。このほか治山林道等林業被害が約百六十億円、漁船、漁具等水産被害が約七億円でございまして、農林水産業被害総額は現在のところ約四百六十億円となっております。  このほか、国有林野関係被害につきまして、約百六十億円という、そういう数字が出ております。  このような被害状況に対処いたしまして、農林水産省といたしましては、農林水産大臣臨時代理団長とする調査団現地に派遣いたしましたほか、緊急の措置といたしまして、担当課長等を数次にわたり現地に派遣いたしまして、農地農業用施設等につきましては、緊急排水応急対策実施災害復旧事業実施等につきまして指導に当たらせますとともに、農作物関係につきましては、被災農作物の手入れ、病害虫防除の徹底、秋まき用麦種子確保等技術面につきまして指導を行ってまいっているところでございます。  さらに、八月十四日付をもちまして経済局長通達を発しまして、農業共済金早期支払い既貸付金につきましての償還猶予等貸付条件の緩和につきまして、関係機関に対する指導を行ったところでございます。  なお、今後とも被害状況に応じ、適時適切な対策を講じてまいる考えでございます。  以上でございます。
  7. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 以上で報告の聴取は終わりました。  続いて、先般当委員会が行いました、北海道における集中豪雨被害に関する実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。鈴木省吾君。
  8. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 派遣委員を代表して、北海道における集中豪雨被害実情調査について御報告いたします。  去る八月十一日、十二日の両日、村沢委員長鈴木和美理事藤原委員下田委員伊藤委員青島委員と私、鈴木省吾は、北海道大雨災害実情調査のため、札幌市、江別市、岩見沢市、長沼町、門別町、石狩町に行ってまいりました。なお、対馬委員岩本議員北議員川村議員丸谷議員現地参加されました。  北海道は去る五十年八月にも台風六号に伴う暴風雨によって石狩川はんらんし、大きな被害を受けたのでありますけれども、今八月三日から六日にかけての前線と、台風十二号の影響による大雨は、道央道東地方中心に記録的な大雨をもたらし、道内各地に大きな被害を与えました。被害状況はいまだその全容が判明しておりませんが、状況が次第に明らかになるにつれ、被害規模と範囲は、五十年災害を上回るものとなってきております。  私ども現地入りしました十一日は、時折晴れ間も見える空模様で、札幌市内を流れる豊平川の河川敷では、テニスを楽しむ人々も見受けられたのでありますが、しかし、道庁で今次災害状況説明を聴取した後、江別美原地区災害地に一歩足を踏み入れると、様相は一変し、災害の大きなつめ跡に驚かされました。  江別市は石狩川の破堤で田畑を初め、家屋の多くが水没し、最も大きな被害を受けたところでありますが、穀倉地帯土色にくすんだ小麦の穂や、水に掘り起こされたタマネギ畑が延々と続き、あちこちには、押し流されてねじ曲がった鋼板製の水路の残骸が無残な姿で横たわり、洪水のすさまじさを物語っておりました。昭和二十七、八年ごろ、この地に入植し、今日まで営々辛苦の努力をし、ようやく自立のめどがつきかけた開拓者方々は、昨年は冷害に、そしてことしは水害に打ちのめされ、すでに三戸の離農が確定しているということであります。痛ましく、悲しいことだと思います。  また、江別豊幌地区では、天井まで水につかった福祉施設恵明園視察しましたが、どろ水に洗われた内部は足の踏み場もない状態で、多くのボランティアの人たちが、どろ水の除去と家具類の搬出に懸命の活動を続けておりました。ただ幸いにも、関係者の適切な避難誘導により、目の不自由な二百五十名のお年寄り全員が無事であったということは、何よりの明るいニュースでありました。  次いで、岩見沢市で空知支庁長岩見沢市長より災害状況説明を聴取し、岩見沢市、長沼町の災害現場視察いたしました。美唄市、岩見沢市、栗山町、長沼町、北村など、空知南部に位置するこれら市町村は、いずれも今回四百ミリを超える大雨に見舞われ、内外水はんらんによって大きな被害を受けたのであります。その被害状況は、岩見沢市で床上浸水千三百四十七世帯農地冠浸水六千三百八十八ヘクタール、長沼町で床上浸水二百二十七世帯農地冠浸水八千九百二十二ヘクタールと発表されており、両地域とも、農地の約八〇が冠浸水するという惨状であります。  このため、冠水した一面の麦畑は土色にくすみ、七日に降った雨に洗われて青々とした水田との対照が強く印象に残っております。しかし、その色の青さとは別に、冠水した稲作も収穫が余り期待できないのではないかと心配されるのであります。  翌十二日は、朝から降り出した雨の中を日高門別町に直行し、日高支庁長門別町長から日高地方被害状況説明を受け、豊郷清畠地区被災地視察し、取って返して札幌市北部、東部浸水地域石狩放水路視察いたしました。  日高地方は、門別町、静内町、浦河町など沿岸部中心に三百ミリに近い大雨に見舞われ、太平洋岸に張り出した軟弱な火山灰土に覆われた台地が至るところで崩壊し、住家等に大きな被害を与えました。日高地方全体の被害額は、日高支庁発表によりますと百三十二億三千万円ということでありますが、同地方は去る七月二十日にも大雨によって約二百億円という大きな被害を出したばかりで、わずか一カ月の間に二度の災害を受け、合計三百三十億円もの大打撃をこうむったのであります。  私ども視察した門別豊郷地区は、山腹崩壊によって赤茶色にはげた山はだが随所に見られ、競走馬の無残な死体が横たわったと言われる災害現場は、泥流が雑木をのみ込んで山間から流れ出し、広い草地一面を覆い尽くすというまさに地獄の惨状でありました。しかも、同地方交通のかなめである国鉄日高線富内線も寸断され、視察当時なお開通の見通しが立っておらず、生活必需物資輸送にも支障を来しているところでありました。  一方、石狩放水路石狩川に注ぐ茨戸川流水を直接日本海に放水しようとするもので、本年度末に完成する予定になっておりましたが、今回の災害に際して、石狩川本流石狩町の浸水冠水した地域水位を下げるために突貫工事が行われ、八月六日午後六時、被災関係者待望緊急通水が開始されたのであります。これにより、茨戸川水位は二十センチ、石狩大橋では十五センチも水位が低下したということで、札幌市北、東部低湿地帯は大きな被害を免れたのでありますが、激しい雨の中、一昼夜にわたって通水工事に携わった人たち大局的見地から緊急通水に踏み切った関係者の英断に敬意を表する次第であります。  以上、現地調査の概要を申し上げましたが、次に今次災害状況を総括して御報告いたします。  まず、大雨をもたらした気象状況でありますが、八月四日から五日にかけて、日本海から移動した低気圧に伴う前線北海道を縦断する形で停滞し、北海道中央部中心に全道にわたって大雨となり、さらに五日に入って三陸沖を北上した台風十二号の影響が加わり、中央部では一層降雨量を増し、また道東方面にも雨域が広がったのであります。  このため、強い雨は六日朝まで降り続き、三日から六日までの総雨量は、空知南部中心に四百ミリに達し、道東では山沿い地帯中心に三百から三百五十ミリに達したのであります。この集中豪雨により、道内ほぼ全域被害を受け、札幌市ほか十一市町村災害救助法が適用されました。死者行方不明者は合わせて八名、また、鉄道道路などの交通網随所で寸断され、住家農業土木などに甚大な被害を与えたのであります。特に石狩川本流下新篠津築堤が二カ所溢水破堤したのを初め、支流も十一カ所が破堤し、大きな被害をもたらしたのであります。内水はんらんによる冠浸水被害の大きかったことも、今次災害一つ特徴となっております。  このように、今回の大雨災害は、被害規模がきわめて大きく、かつ広範にわたっているため、いまだ被害全容は判明しておりませんが、視察時の十二日十二時現在の被害状況は次のとおりであります。  住家被害は全壊五十二棟、半壊四十四棟、床上浸水六千百五十四棟などで被害総額二十七億五千八百万円、農業被害は流失、埋没農地千二百七十七ヘクタール、冠浸水農作物十六万千五百三十三ヘクタール、家畜三千四十七頭などで被害総額二百三十二億円、ただし、農作物家畜等被害額調査中のため集計されておりません。土木被害では、河川千六百五十二カ所、道路七百四十二カ所、橋梁百一カ所などで被害額五百四十八億八千七百万円、このほか、水産被害六億三千三百万円、林業被害二百七十一億八千七百万円、衛生施設被害一億九千三百万円、商工鉱業被害十七億五千百万円、文教施設被害三億円等総計千百九十四億九千五百六十二万円となっております。  一方、国鉄被害も著しく、切り取り崩壊二百七十八カ所、築堤崩壊百五十九カ所、線路浸水土砂流出百十五カ所など合計千百四十五カ所にわたって被害を受け、被害額工事費、減収額合わせて約百億円にも達しております。いずれにいたしましても被害額は今後さらに増大するものと思量されるところであります。  次に、道及び各市町村から寄せられた要望現地調査を通じて痛感した幾つかの点について申し上げます。  第一は、河川改修工事がしっかりと行われているところは、記録的な大雨にもかかわらず、被害がきわめて少なかったということであります。石狩川流域は泥炭の低湿地帯が広範囲に分布し、それが戦後農耕地として開拓され、また札幌市等の都市周辺では宅地化が進展しているため、一たび豪雨に見舞われれば大災害となるおそれがあります。したがいまして、今回の教訓を生かして石狩川本流を初め、支流中小河川治水事業を大幅に促進することが、何よりも肝要だと考えます。  第二は、昭和四十年に策定された石狩川水系工事実施基本計画の見直し問題であります。同基本計画は、石狩川水系最大流量となる本流河口地点計画高水流量を毎秒九千三百トンに想定し、これから逆算して本支流治水方針工事実施計画が策定されておるのでありますが、今回の大雨災害時には河口地点最大流量計画高水流量を超えたとのことであります。したがって、今回の最大流量を解析の一つ資料として計画に取り入れ、基本計画を早急に見直す必要があります。  第三は、今回の災害特徴一つとして、内水による被害がきわめて大きかったことが指摘されております。さきにも述べましたように、石狩川流域低湿地帯は近年急速に開発が進んでおりますが、これに伴い外水の防御、流水の調節とあわせて、内水対策がきわめて重要となっております。現在、石狩川流域内には幾つもの内水排除施設が設置されておりますが、今回、内水被害が大きかったということから見て、さらにその整備網を拡大するとともに、内水排除機場浸水防止対策排水能力の強化を図る必要があります。  また、内水排除機場の運営は、各河川流水量影響を及ぼす重要な問題でありますので、系統的、組織的に行う必要があります。したがって、これら施設は、国の直轄管理にする等適切な措置が講じられる必要があります。この点につきましては、江別市及び空知地方総合開発期成会から強く要望された点であります。  第四は急傾斜地保全対策必要性についてであります。特に日高地方は、今回の大雨でがけ崩れが多発し、大きな被害を受けましたが、このことは急傾斜地対策がいかにおくれているかを示しております。したがって、急傾斜地崩壊による災害を防止するため、保全対策事業を早急に実施促進する必要があります。  第五は、国鉄日高線富内線を早急に復旧させ、日高地方輸送手段確保を図ることであります。視察当日、国鉄北海道総局発表では、両線の開通見込みは長期にわたるとのことでありましたが、同地方にとって両線は住民生活上必要不可欠な唯一の路線であり、運行確保のため万全の対策を望むものであります。  第六は、農作物被害に対する救済問題であります。農業被害につきましては、現在まだその被害状況が判明しておりませんが、冠浸水した農作物が十六万千五百三十三ヘクタールにも及んでいることから見ましても、被害額は相当大きなものになっていると思われます。しかも、転作した麦などの作物は、農業共済への加入も少ないことから、その救済にはきめ細かな万全の対策が必要であります。また、同じく大きな被害を受けました畜産農家に対しましても十分な救済措置実施することが必要であります。  最後になりましたが、現地調査に際し、私ども多くの要望陳情を受けましたが、以下北海道知事から寄せられました要望事項を申し上げ、各市町村からの詳しい要望陳情事項につきましては、これを本日の委員会会議録の末尾に掲載させていただきたいと存じます。この点委員長にお願いいたします。  道の要望事項は次のとおりです。  一、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づく激甚災害としての指定について  二、災害早期復旧について  三、治水事業の促進について  四、改良復旧事業実施について  五、治山林道事業緊急復旧について  六、急傾斜地保全対策について  七、農作物災害対策について  八、社会福祉施設災害復旧対策について  九、環境衛生施設復旧事業及び防疫対策に対する財政措置について  十、国立、国定公園内の施設等災害復旧について  十一、政府系中小企業金融機関の融資について  十二、公立学校施設災害復旧について  十三、地方財政対策について  以上であります。いずれにいたしましても、北海道の厳しい冬が訪れる前に、各種対策が早急に実施され、被災地が一日も早く復興することを心から念願し、簡単ではありますが、報告を終わります。
  9. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御苦労さんでした。  ただいまの要望事項等につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議がないと認め、さよう取り計らいます。  以上で派遣委員報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 対馬孝且

    対馬孝且君 今度の災害に対しまして、まず八名の亡くなった方に対しまして心から哀悼の意を表したいと思います。  また、私は現地に六日に入りましたが、七日、八日、原国土庁長官北海道開発庁長官という立場もございまして、いち早く現地に出向いて調査をしていただいたということに対してひとつ敬意を表したいと思います。  まず、私は時間もありませんから、いま御報告ございました、ポイントをしぼってひとつ申し上げたいと思うのでありますが、今度の被害災害特徴を私なりに申し上げますと、一つは観測史上記録的な大雨災害だったということは当然でありますが、先ほどの国土庁の報告とちょっと違うんでありますが、現地北海道が取りまとめたのでいきますと、災害救助法適用が十二市町村、それから被害市町村が百七十七と、こういうことになっているんでありますが、この点ひとつ私の認識としてはそういうふうに受けとめているということを申し上げなきゃならぬと思います。  そこで、われわれが、現地に三回入りましたが、まさに驚嘆、異常、地獄のさたの物語と言ってもそのとおりだと思います。まあそういう意味では河川道路、橋梁の決壊、これは私の把握している限りでは、この国土庁の資料とちょっと違うんでありますが、道のあれからいきますと四千百八十八個所、道関係市町村関係を含めますと四千を超える道路決壊あるいは河川、橋梁、土砂崩れ、日高における山津波、そしてまた第三の特徴農業被害、これは麦、水稲、タマネギ、野菜を含めて、それに酪農農民に与えた馬、牛、豚の異常な災害というのは今次の一つ特徴ではないかと。しかも、住宅被害というのは、これは異常でありまして、私も昭和五十年六号台風のときに現地へ行って、本院でも質問いたしておりますが、このたびは約二万九千七十六世帯被害人員が九万四千三百三十三人、これは道の調査と国土庁とちょっと違うんでありますが、道の報告で言いますとこういう結果に一応なっております。加えて、国鉄がまさに全線麻痺状態、こういう異常災害だったということは長官現地へ出向いておわかりのとおりだと思います。  そこで、私は第一点、時間もありませんから、基本的な問題をひとつ二、三お伺いしたいんでありますが、この災害についてはもう言うまでもなく現地へ行って、一番現地の実情を把握して、先ほどの報告にも若干ございましたが、異口同音に江別の市長並びに岩見沢の市長、各町村長が言ったのは、激特事業河川改修を完全に行ったところについては、今回の被害はほとんど最小限度にとどまったと。これはやっぱり激特事業の教訓だと私は思うんです。これを生かす意味で、私は今次災害についてはまず激甚災にこの際速やかに指定をすべきである。この基本姿勢を長官にまずお伺いをしたい。同時に、北海道開発庁長官でもございますので、天災融資法の発動についても、当然これを北海道開発庁長官の立場で閣僚会議でもひとつやっていただきたいと思います。  当然、農林省も来ておると思いますが、農林省に対しても天災融資法の発動をすべきである、この基本姿勢をまず冒頭お伺いしたいと思います。
  12. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) お答え申し上げます。  対馬先生のおっしゃったとおり、このたびの北海道各地の大きな被害が生じたことに対してまことに残念に存じます。  被災者の方々に対し、謹んでお見舞い申し上げたいと存じます。  まず、政府としては速やかにこれが早期の復旧等に全力を挙げて被災者の御期待に沿いたいと、こう思っておるのでございますが、御指摘いただきました激甚災害の指定については、これは御承知のようにいろいろまだ資料が全部集まっておりませんので、集まり次第これが対策を考えたい、検討いたしたいと、こう思っております。大体前向きに検討いたす考えでおります。  それから、もう一つのいわゆる天災融資法の発動を早期にやるべきであるという御意見でございます。これは主として農業関係被害について出されるものでございますが、すでに農林水産省においてこの農作物被害等を検討いたしております。それで、農作物被害の軽減のための技術指導、緊急の排水、農業共済金早期支払い等についてはすでに指導実施をしておるところであります。それで、天災融資法の発動について、すでに農林水産省においては検討しておると私どもは承知いたしております。それで、私といたしましても、農林水産大臣とも連携をとりながら、御期待に沿うようにこれも検討いたしたい。すでに私とともに農林水産大臣臨時代理が一緒に視察もいたしましたので、よく協議して御期待に沿うようにいたしたい、こう思っております。
  13. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま長官から、激特並びに天災融資法の問題は積極的に取り組んで対処したいと。災害長官、これは待ったなしだからね。災害に関するだけは待ったなしという基本姿勢でひとつ、まあお答えがありましたけれども、前向きというよりも、激甚災害は指定をするということで、基本姿勢として臨んでもらいたいということをひとつ強く申し上げておきます。  天災融資法は関係大臣とも協力するということでありますが、これももう過去の五十年災害、有珠山の災害——私はもう本委員会で、今回で三回目でありますが、この種の災害はその立場で発動されておりますので、ひとつ積極的に取り組んでもらいたい、ということを申し上げておきます。よろしゅうございますか。
  14. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) 承知しました。
  15. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで農業問題、その他の問題は同僚議員から伺われますので、基本的な問題で石狩川の基本見直しについてしぼってお伺いをしたいと思うんです。  私、十四日もまた現地へ行ってきました、江別へ。これで三回行っているんでありますが、この基本的問題について先ほども報告にございましたが、四十年の石狩川基本計画というものは今日まで推進をしてきた。これは大体進捗率は三二%前後である。それから、今回、五十年の六号台風後、いろいろ開発庁が進めてきて、建設省もやっているんでありますが、私は今回の問題について、やっぱり九千三百五十万トンという水量を確認して、実際は最大量は十一万トンあったのではないか。これは開発局の小西局長も若干言っておりましたが、そういう意味では推定ですけれども十一万を数えたろうと。通称二百年に一回とも五百年に一回とも言われておりますけれども。そうしますと、問題の進捗率が一体どうあったのか。四十年基本計画に立ってどういう進捗率で行われてきたのか、この点がやっぱり一つは問題点があるんではないか。  それからもう一つの問題は、この基本計画の見直しということについて私もこの間も、十七日開発庁の出先の担当課長ともいろいろ意見交換をしましたが、私は現地へ行ってみて感じましたのは、一つ石狩川本流それ自体が限界にきている、という意味よりも、こういった現実に四百ミリを超えた雨が降ったんですから、十一万トンという水量を超えたんですから、そういう基本に立つとするならば、見直しの基本というのは一体どういう点が問題なのかということを考えてみますと、これ時間がありませんからポイントをしぼるんだが、一つはやっぱり中流河川の拡幅をする必要があるのではないか。この見直しが第一点として必要ではないか。  第二には、ダム建設をして一定量を石狩川に注がない、もしくは遊水地を計画をする、こういうことが第二の見直し点として考えられるのではないか。  第三点は、これは現地へ行ったら町村長も言っていましたが、江別の市長に言わせれば三十六本の川が全部江別の下流に集中する。石狩川に入ってくる。大中小河川含めて三十六本が入る。これではとても江別はたまったもんじゃない。それを全部江別でかぶれと言ったってとてもかぶれるものじゃないという市長の声は、まさにそのとおりだと思います。したがって、石狩川基本見直し、第三の見直しとしては、千歳川があそこに入ってきているわけです。千歳川の雨量というのは相当の量に上っていると私も聞いています。あの千歳川の流域にこの際放水路を切って、日本海側に流すんじゃなくて太平洋岸に流すということになれば、千歳川の分だけの水量はその分減量するのではないか、こういう方途をこの際石狩川の抜本対策として見直してみる必要があるのではないか。この点について提起をしましたが、担当課長の方はやっぱり第三の、千歳川の放水路を切って太平洋に石狩川を流す、太平洋に切りかえる。これは、そういう意味ではベターであるという考え方に立ちますということを言っておりました。いずれにしましても、こういった今回の教訓に立って抜本的に石狩川対策を見直すという基本姿勢に立つとするならば、いま私が三点の問題を挙げましたけれども、そういう問題を含めて、ひとつどのようにお考えになっているか、またどういう見直しをしようとするのか、この点をひとつ明らかにしてもらいたいと、こういうわけです。
  16. 川本正知

    説明員(川本正知君) お答え申し上げます。  先生いま御指摘のように、石狩川の工事実施基本計画といいますものは昭和四十年時点で決めておりまして、先生御発言の数字をちょっと訂正さしていただきますけれども計画高水流量は九千三百トンでございまして、今回それを上回る一万トン以上の水が出たであろうという推定をしておりまして、先生御指摘のように非常に今回工事実施基本計画を上回る出水があったということで、いろいろと私どももこの基本計画の見直しということをやらなきゃいかぬと思っております。  実はこの作業につきましては昭和五十年に災害が起こりまして、その災害を契機にいたしまして見直し作業は行ってきていたところでございます。しかし、今回その五十年をはるかに上回る、大規模な出水がふえたわけでございますので、今回の出水をも踏まえまして総合的な検討をしてまいりたいと、そう思っております。その検討を実施した上で工事実施基本計画というものの改定といったものも考えてまいらなければいけないのではないかと、そう思っております。  そこで、いま先生おっしゃいましたいろいろ具体的な御提案がございました。私どももこれからの総合的な検討にまつわけではございますが、石狩川もいまおっしゃったような拡幅あるいは遊水地、ダム、そういったものも必要でございましょうし、また掘削をして河積を広げるといったことも必要でございましょう。いろんなものを含めて検討をこれから進めてまいりたいと、そう思っております。  それから、千歳川の放水路のお話もございましたけれども、非常に大きな構想でございまして、そういったことも地域の御意見等も踏まえましていろいろ慎重に検討していかなければならないと思っておりますが、いま御指摘のいろいろな三つの問題、それを含めまして検討を進めてまいりたいと、そう思っております。
  17. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま私具対的に——まだ細かいことはありますが、柱としては三点ぐらい考えられるという、問題点として整理したわけでありまして、それを積極的にひとつ見直しを検討していきたいと、こういうことですね。  長官北海道開発庁長官という立場で、いまの見直しについてどうですか。
  18. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) これは建設省ともよく相談して積極的にその対策を検討いたしたいと思っております。
  19. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、私は時間もありませんから、第二の問題として、これは有珠山のときにも五十年の六号台風のときにも私は当委員会で申し上げたことがあるんですが、縦割り行政の弊害というのが今回もやっぱりあらわれていると思うんです。これはまさにそういう意味では局地人災だと私はこう断定しているんです。  これは、二カ所具体的な例を私挙げます。  これは有珠山のときも同じ問題があったんですが、開発庁と農林水産省の担当区分によって泥流の流れた区域は、開発庁と農林水産省のために、そのための被害が起き上がったという事実を当委員会で指摘しました。このこととまた同じ例が実はここにあるんでありますが、これは長官の方にひとつ資料、地図を、(資料を示す)これは江別市の八幡地区というところでありますが、中島地区でありますが、この地区の場合どういう現象があるのかというと、私だめ押しをして三回現地の住民の方々とお会いをして話をした。それはこういうことです。端的に申し上げますと、中島、八幡地区の境界線まではこれは開発庁がやる。もちろん工事は開発局がやっていますが、それから篠津運河の地帯は、これは農林水産省がやっている。ところが、水というのは一定の量が段差がなくて来るわけですから、水はあんた、片一方は二メーターで片一方は一メーターなんという、水は水害が出るときは格差がついて来るわけじゃないんだから、これは同じ水位で来るわけですから。ところが、現地住民のあれを私聞きまして、これは町内会長にも会ってきましたが、現実には一メーター五十開発庁の工事と篠津運河の地帯のかさ上げの率が低いと。そのために非常に今回の美原地区という団地の水害が、長官も行かれてわかったと思うんでありますが、私行ったときにはもう腰の上までつかっておって、私は舟で実は酪農の家まで行ったんですけれども、そういう状態だったですね、六日の時点は。  だから、あれは完全に縦割り行政の弊害として、開発庁の区分と農林水産省の予算との関係もあるんでしょう。もちろん運河ですから農業基盤が中心になっていると思うんでありますが、これはやっぱり将来的には河川と位置づけるのか、あるいは管理体制においても、私はっきり申し上げますが、これは現地の人からはっきり言われたことは、大体この排水機場ができ上がって十五年になると。農水省に言わせれば二十年もつと、こう言っているんだが、しかし、もっともつまいと、今回機能していなかったんだ。全然機能しなかったんだよ。こういう状態では、これは私はやっぱり単なるこれ自然災害だという、不可抗力だということにはならないと思うよ、これはやっぱり。そういう意味では、美原団地の水害は全域に広まり、それこそ天井まで水がついたということは、ある意味ではやっぱり縦割り行政の弊害による局地人災だと、こう言っても私は過言ではないんじゃないか、こういう指摘をせざるを得ないわけです。  私は、結果論をいまどうだこうだと言うんではなくて、早急にここらあたりを、管理体制も、機場の関係も、排水機場においても、ここからここまでは開発庁だ、ここから農水だというんじゃなくて、そういう意味ではやっぱり一元的に現地の人に——江別の市長からも出ておりますし岩見沢の市長からも出ているでしょう、要望書が。国の一元化した管理体制をつくってもらいたいと。これは当然なんです。これは有珠山のときもずいぶん言ったはずなんだ。将来、よくそのことも言って、有珠山の場合は、馬が一頭あそこでわざわざ流されてしまったというような経験があるわけです。それから、流域によって全壊で流失してしまったという事実がある。そういう教訓からいけばいまなお縦割り行政の弊害というものをどうして克服できないのか。この点を私は管理体制を含めて一元的にしていく必要がある。この点ひとつこの機会にお伺いしておきたいと、こう思うんですよ。
  20. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) いま先生御指摘の美原地区でございますが、開発庁と農水省と、こう御指摘がございましたが、実は河川の方は建設省でございまして、まあいずれにいたしましても建設省と農水省の所管の事業がちょうどジョイントしているところで起きた水害でございます。  これはそれぞれ、いま先生のお話の中で、一元的にあるいは統一的にということで、私どもとしては農水省の御計画なりあるいは建設省の河川計画なり、十分調整をとった上で事業を進めておるんでございますが、それぞれ事業目的が違っておりまして、なかなか現地一つだからというぐあいに、実は河川の場合と農業の場合、農業の場合で申しますと、これは受益者負担の問題もあったりいたしまして、なかなかその辺、一元的、統一的と言われましても、そうなかなか現在の制度のもとではいかない点もございます。しかし、農業につきましては現在立案中の篠津中央土地改良事業というふうなのを調査、検討を進めておりますし、先ほど河川局長からも御答弁ございましたように、いずれ石狩川の改修計画事業等の目安等が置かれますので、その際十分調整を、両省庁にも私どもも積極的に進めていただきまして、事業が円滑に推進していくというふうな方向で努めてまいりたいというふうに考えております。  なお、それぞれのあれにつきましては、それぞれ所管省からお答えがあろうかと思います。
  21. 対馬孝且

    対馬孝且君 それじゃ簡潔に。
  22. 川本正知

    説明員(川本正知君) 大まかに申し上げまして、河川関係する事業というのは建設省でございまして、農業排水路あるいは農地の湛水排除といったような事業になりますと農水省の方でやっていただくというふうな仕分けでやっておりますけれども、それぞれの関連いたします双方についてはできるだけ連絡を取り合ってやってきているつもりでございます。先生の御指摘のようなことがあってはならないと思っておりますので、そういったことを、従来からの努力をさらに十分現地でも対応して、御指摘のような事実がないようにこれから進めてまいりたいと、こう思います。
  23. 合馬敬

    説明員(合馬敬君) ただいま先生が申されました篠津運河につきましては、国営篠津地域泥炭地開発事業という事業におきまして、約六千八百ヘクタールの農地の灌漑と排水というものを行うために築造されたものでございます。今回の冠水は未曽有の豪雨によりまして石狩川が増水したということがあくまでも基本でございますが、加えまして特殊土壌の関係から堤防の一部に沈下現象があったということによって発生したようなものでございます。  このたびのような災害を防止するには、根本的には運河の堤防を石狩川の洪水位との関連におきましてかさ上げするということが必要でございますが、現在、五十四年度から五十七年度までの予定で本地域におきます灌漑排水施設の更新及び部分改修を図るための事業を計画して、調査中でございますので、この計画との関連も考慮しつつ、地元受益者の意見等も参考にしながら対策を検討してまいりたいというように考えております。
  24. 対馬孝且

    対馬孝且君 そういうことで、やるということだからいいんだけれども、いま言ったように、現地の住民に言わせると、これはいつも災害が起きるたびに出るんだ。これは五十年の六号台風のときもそうですよ、北村、月形。あのときも私当委員会でしゃべっているんだ。同じことが起きているんですよ。築堤の高さが違うんです。これいまも言ったけれども、これは江別の八幡地区の場合は一メーター五十の格差がある、現実に。そういう状態を私現地へ行って見てきたんだ、実際問題として。これではやっぱり、五百年に一回とか二百年に一回とか、あんたそんなことを言うが私に言わせれば局地人災だと思うんですよ。美原地区の農民が私が行ったときに、もう豚が、豚というのは泳げないんだよ。牛は泳ぐけれども馬とか豚は泳げないんだ。水流の中にすくまって何頭あんた死んだかね。私の命だと言って、私はとめたんだけれども、体ここまで入って、自分のうちへ行くと言って、牛と豚は私の命だとこう言ってここの主人が、やめなさいと言ってぼくはとめたんだけれども、こう入って途中まで行ったけれども、胸までつかえて帰ってきましたけれども、そのとき私はすぐ船を出して自宅までやりましたけれども、そういう状態で、もう酪農農民は生きがいを、もう二度とこういうことがあるんだったら離農すると言っていますよ、いま。私はそういう意味ではこれははっきりひとつ農水省は腹を決めてやってもらわぬと、それは住民にすれば農水省であろうと建設省であろうと被害には変わりがないんだから、そんなこと言ったって、あんた。それが私の言う縦割り行政の弊害だ。そういうものを、かって有珠山でやった災害対策本部のように一元化してやれば、これだってそれなりの前進をするんだよ。やり方はぼくはあると思うよ、本当言って。まあそれは一応やるということだから、そういうことでひとつ積極的に取り組んでもらいたい。これを申し上げます。  それから第三の問題は、これも同じ例なんだけれども札幌の東区にあんなところがあるかと思って、私も札幌に住んでいて責任の一端を感じているんだけれども、中沼という団地があるわけだ。あれは東区です。私も行ってみてびっくりしたのは、毎年水つくんだと言うんだよ、毎年。これはあんた方よりも札幌市の管理責任があるとぼくは思うんだけれども、中沼団地三百六十世帯、私が行ったときは冠水で、水洗トイレでないから、くみ取りだからもう水があふれちゃって、もうとにかく病気が出ないかと思って心配してすぐ札幌市に当たったんだけれども、管理体制、都市計画上これは根本的な問題がある。これはあなた方に言ってもしようがない。都市計画で市街化調整区域だと称して、実は札幌市は野放しにしてきたということがある。毎年、これ水についてんだよ。五十年は二回、融雪期とそれから六号台風、それから今回また一回、その間に一回ついている、前後四回ついている、私が町内会長に聞いたら。そういう状況であって、そういう問題について考えた場合に、これだってまさに人災じゃないですか。毎年毎年そういう問題が出されてきた。これはまあ国の問題という——責任上から言えばこれ札幌市の管理の問題になるんだが、市街化区域だからと言って、都市計画上、市が認知して住宅を建てた限りこれに対応すべきでしょう、私に言わせれば。私は市長にもいま言おうと思っているけれども、とりあえず私は国の関係で申し上げますならば、伏籠川の総合治水対策事業というのをいま現在やっている。私もこの間行って見てきた、二回行ってきたから。あのいま創成川と発寒川と伏籠川と三流合流でもってこの石狩川切った放流地点に流された。これによって第二の災害を防ぎとめた。これはそれなりに私は効果があったと思う。しかし、中沼団地のように年に一回必ず床下まで水が来ている。毎年毎年こういうことを繰り返されて、しかもポンプの常時排水もなければ、それからはっきり申し上げますけど、私、現地から聞いた町内会長の意見では——石本という町内会長だが、大体あそこの水門が作動しなかったと言うでしょう。これは民間委託でもって民間人にかぎを預けて、あの雨が降ったときに、どこだというが、探しようがないんだ。探し探してきたときには、もう水門をあけようといったってあけようがない、水量が多くなっちゃってどうしようもならなかったと。こういうずさんな、私に言わせると現地住民は怒り心頭に発しているよ、こんなずさんなことがあるかと。民間にこんなものの管理を委託して、それでかぎを持った者がどこへ行ったかわからないと、そのためにあんた、水門がもうあふれて、水かさが増してきたと。たまたま犠牲者が出なかったからいいようなものだけれども、これあなた、ここの地区は六日間ですよ、六日間避難したんですよ、六日間。こんなばかげた話があるかというのが率直な意見なんだが、そこで基本対策としては、国の関係から言うならば私は何といってもやっぱり伏籠川の総合治水対策事業の一環としてのこれをぜひ促進をしてもらいたい、これがやっぱり一つの基本解決の道にもつながるわけですから。あそこにあるモエレ沼という沼がありますけれども、そういう沼のはんらんもあるでしょうけれども、基本解決をしてやっぱりこの伏籠川の総合治水対策事業を完全にひとつ完了してもらいたい、この点いかがですか。
  25. 萩原兼脩

    説明員(萩原兼脩君) お答えいたします。  先生御指摘のように伏籠川は鶴見川などと一緒に旧河川でございますが、昭和五十四年度から御指摘の総合治水対策特定河川事業ということで対象にいたしまして、昭和五十四年から大体十カ年で、それを目途に整備を図ることといたしております。  御指摘のように、まず改修計画の内容といたしまして、一つ石狩湾へ直接放水いたします石狩放水路、これが今回緊急通水をいたしましたわけでございますが これを五十七年度中、つまり来年度中には完成さしたく思っております。  そのほか、伏籠川、創成川、発寒川などの河道を整備する。  それともう一つ。御指摘の上流につきましては、モエレ沼等の遊水地をさらに掘りまして遊水能力を大きくいたしまして対処する、そういうことを考えてございます。特にモエレ沼につきましては、その遊水地化工事とあわせまして、雁来新川という河川が豊平川の方に向いて流れてございます。これに排水機を設置いたしまして、モエレ沼の遊水効果とその排水でもって特にあの辺の対策をやりたい、そういうふうに考えております。  まあ十年ということでございますが、今回の災害もいろいろ考慮いたしまして、できるだけ一生懸命やらしていただこうと考えております。  以上でございます。
  26. 対馬孝且

    対馬孝且君 それじゃ、時間もあと少のうございますから、住宅被害がやっぱり特徴的に多いということが先ほどの発表にもなっております。そこでこの間、岩見沢市長からも出ましたけれども、床上、床下、全壊、半壊という場合に、市町村ではたとえば一万円から三万円ぐらいの見舞い金を出すというわけだ。一万出したって千三百万だと言うんだ、千三百世帯だから。三万出すと言えば三千九百万になるわけだ。そういう問題もちろんあるんだけれども、これも有珠山のときもぼくは言ったことなんだが、一つはやっぱり住宅被害の床上、床下で畳がいかれる、家財道具はいかれる、全部被害をこうむって、天井までついてくるという、こういう状態に対してとりあえず特別融資、これはいまある、現行災害対策の中にはあると思うんですが、これはこれなりにひとつ措置をしてもらいたい。中小企業の被害対策、これはやっぱり貸付限度額、これはまあ特に言ってみりゃあの豊幌、豊幌もそうだけれども江別からずっと札幌へかけての先ほど申し上げました中沼団地付近の商工、雑貨屋なんか全部商売にならないですよ。こういう状態で全部水かぶっちゃって。こういうことについての貸付枠の拡大あるいは返済猶予の問題、これはひとつ対処してもらいたいということが一つですよ。  それからもう一つは、私はこれは会議録をきょう持ってきているんだけれども、有珠山のときに当委員会で私が申し上げたのは、個人救済という問題についてやっぱり災害があったときに考えるべきではないか、いわゆる個人災害共済制度というものを創設したらどうだろうかということで私はここで提案いたしました。そこで、これは田澤国土庁長官、私に対しては、全く同意見であるので積極的に取り組んでまいりたい、それから丹羽政務次官、私に対して、これ会議録がありますが、これも積極的な姿勢で進めてまいりたいと、これ参議院のそれぞれの段階で、小委員会で、委員会でもそれぞれ検討されていることでありますが、もちろん委員会だけでなしで政府側として、どうも個人救済は実際問題としてちょっぴり、一万円やそこらの見舞い金とか仮に市町村にいただいたとして、あるいは救済したって、貸し付けしたって返さなきゃならない金ですから。こういうことを考えた場合に、本当に私はいまなお全壊、半壊、それから床上なんかの場合の個人救済の本当にこの一定量を更生資金としてやっぱりその家庭に差し上げる、あるいは救済してやる、こういう制度があっていいんじゃないか。ことに有珠山の場合は、車から何から全部適用にならなかったということもあって、このことを提案したんだが、その後一体どうなっているのか。もう三年もたって、これ五十三年十一月二十二日の委員会で、私がしゃべっているのがここにありますけれども、これは一体その後どうなっているんだ、さっぱり検討、検討とは言っているが、どのように個人災害共済制度というものをどういう考え方で対処しようとしているのか、この点もあわせてひとつお伺いしておきたいと思います。
  27. 川俣芳郎

    説明員川俣芳郎君) 個人救済制度についての御質問にお答えをいたします。  個人災害に対します救済制度といたしましては、災害弔慰金の支給あるいは災害援護資金貸し付け等の制度が現在ございまして、これらにつきましては従来からその改善に努めてまいってきているところでございます。ちなみに災害弔慰金につきましては、本年度従来二百万円でございましたものを三百万円に引き上げる等の改善措置を講じてきておるところでございます。  先生御指摘のお話は、個人災害につきまして共済制度を設けたらどうかという御意見であろうと思うんでございますけれども、この点につきましては、実は長い経緯がございまして、政府としましても共済制度がこの個人災害について成り立つかどうか調査、検討をしてまいってきたわけなんでございますけれども災害の性格上、地域的に非常に偏在する傾向がございまして、共済制度にはなじみにくいのではないか等々いろんな問題点が指摘されました上で、実は先ほど申し上げました災害弔慰金の支給あるいは災害援護資金の貸付制度が設けられたという経緯があるわけでございます。そこで、共済制度につきましては、私どももいろいろ検討はいたしておりますが、当時検討された事情というものはやはり現在も変わっていないのではなかろうかという認識を持っておるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、関係省庁とも連絡をとりながら現行制度の改善策について今後とも検討をすべきではなかろうかと、かように考えておるところでございます。
  28. 対馬孝且

    対馬孝且君 それから住宅貸付制度の問題。
  29. 伊藤茂史

    説明員伊藤茂史君) 住宅被害につきまして金融措置としてどういうものがあるかと申し上げますと、金融公庫の中に災害復興住宅制度というのがございます。今回の災害につきましても、八月六日の段階で建設省から融資の受け付けをするようにということで指示をいたしまして、各銀行の窓口開いてすでに受け付けを開始しております。  災害復興住宅の制度の中身でございますが、まず、罹災直前の建物の価格の五割以上の被害を受けた場合には、建設資金の融資といたしまして、その場合に整地費でありますとか、土地の取得——新たに場所を変えた場合には土地取得費まであわせて融資をするようにいたしております。それから十万円以上の被害で建物全体の価格の五割までの場合には補修ということでやっております。そういう制度で今回も住民に対するPRをしながら受け付けを開始しているところでございます。
  30. 対馬孝且

    対馬孝且君 なぜこれを言うかといったら、これはほとんど知られていないんだよ。それは札幌市の場合も言うけれども、三百六十世帯、さっき中沼団地の例を挙げたが、そのほかに屯田団地というところは千三百世帯だ。こういう問題だって、床下、床上までいっているのもいるが、こういう問題ほとんど知られてないよ。むしろ積極的に行政指導してやっぱりそういう貸し付けなり、融資なり、そういう対処をするという方法を積極的にとってもらいたい。これは特に申し上げておきます。  時間も参りましたから、あと一問だけ。まず長官の方にお伺いしたいんですが、今回第二臨調絡みのいろいろな問題が言われているんでありますが、これは常識的なことですけれども、今度の災害、仮に激甚災害なりあるいは天災融資法で決定した場合、当然これは、激特事業が、補助率のかさ上げを引き下げるなんて、こんなばかげたことを、災害は待ったなしなんだから、まさに病める病人の布団をはいでいくような、そんな無残な思いやりのない政治をやりたってしようがないんだから、そういうことは常識的にないと思うが、これだけはひとつ明確にお答え願っておきたい。長官にお伺いします。
  31. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) 説明員に先に答弁させます。
  32. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) 第二臨調の先日の答申の中に地域特例について財政再建期間中かさ上げ率を引き下げるというふうな答申が行われておるわけでございます。政府は実は七月十七日の閣議で臨調の答申は最大限尊重するというふうなことで、いま政府部内でいろいろ地域特例について財政当局含めましていろいろ実は検討が行われております。検討が行われておりますが、私どもとしましては、実は五十五年度から、先生御案内のとおり北海道の補助負担率の特例については三カ年間である程度の補正をするというようなことで現在進んでおりますんで、その点を十分ひとつ今回の地域特例の調整に当たっては配慮してほしいというふうなことを関係方面に述べておりまして、現在それについて見通しその他等はちょっとまだ私どももつけておりませんけれども、そういうことを強く主張いたしておる最中でございます。
  33. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) いま説明員から答弁したとおりでございますが、災害復旧事業被災地の復旧のために対する緊急に対応すべき事業でありますので、地元の地方公共団体は一時的に過重な負担をこうむる、こういう特殊な事情がございます。でありますので、そういうものを一律一体に削るということになりますと、国民感情から見ても一般の特例と同一に取り扱うことには問題があろうと私どもも考えておる次第であります。だが、まだ結論が出ておりませんが、現在関係省庁の間においてわれわれの主張はわれわれの主張としていま主張いたしておるところであります。そのうちに適当なところへ妥結するであろうと考えております。
  34. 対馬孝且

    対馬孝且君 適当なところで妥結するというのもあれですけれども、だけど、評論家みたいなことを長官に言ってもらったってこれ……
  35. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) それは大体われわれの言うことも若干聞いていただけると、こう思っております。
  36. 対馬孝且

    対馬孝且君 大西監理官の言うとおり、これだけはやっぱり姿勢を守ってもらわぬと、それでなかったら、これは災害だけは待ったなしだから、災害までこんな切り込みをやるなんというのは、それこそそんなもん臨調も何もへったくれもない、おれに言わせれば。災害まで切り取るなんというのはまさに人間の、それこそさっき私が言ったとおりだろう。病人の寝た布団をはいでいくようなそんなやり方は何が思いやりの政治だ。鈴木総理にそういうことを思い直してもらいたいよ。思いやりの政治とは一体何ぞやということをひとつ深くかみしめてもらって、この措置はひとつ絶対守ってもらうように申し上げて私の質問を終わります。
  37. 丸谷金保

    丸谷金保君 私は水害多発地帯の町長を二十年やっておりましたので、規則とか、わりと細かい説明はよろしいですから、質問に端的にまず答えていただければ大体のことは規則やその他わかってますので、長々とやらないようにお願いいたしたいと思います。  そうした体験で今回災害地視察をいたしまして、被災者の悲惨な状況に対してはもう本当に大変だなと心から同情し、お見舞い申し上げる次第でございます。できるだけ早い復旧について関係当局の努力をお願いいたしたいと思います。  しかし、一方では明治九年の測候所が開設以来の集中的な豪雨というのに対して非常に被害を食いとめた事例も各所にございます。これは五十年災の経験を生かして関係機関が努力したという点もあろうかと思いますが、特に被災地市町村長がいち早く避難命令を出した。これはなかなか空振りというふうな心配もありまして、市町村長が避難命令の決断をするというのは大変なことでございます。しかし、今回はその判断が非常に適切であったというために逃げおくれたというふうな人的な被害を最小限に食いとめ得たということは高く評価していいんじゃなかろうかと、関係市町村長さんの努力というものは大変だったろうと思うわけでございます。それと同時に、開発建設部を初め、消防団、地域の住民がもう不眠不休で水防活動をやったという点についてもそれなりの成果を上げております。三日も四日も寝ないでがんばったそれらの方々、特に中には水防活動中に事故も起きております。これらの人に対する十分な手当てということは、前例がどうだこうだということでなく、特にひとつ御配慮を長官にお願いしておきたいと、かように思う次第でございます。そういう点はいろいろよくがんばってくださったという評価もできますけれども、しかしやっぱりもう少し事前にやっとけばまだ被害を食いとめ得たんじゃないかという点もたくさんございますので、それらを中心災害復旧や罹災者対策等について御質問申し上げたいと、かように思う次第でございます。  冒頭、いま対馬先生の質問に対しての答弁でちょっともう少し突っ込んでおきたいと思うのは、江別の市の対岸の美原地区、これは建設省と農林省との縦割り行政に問題があるわけですが、これ長官北海道開発庁の場合ですね、農水も建設も一緒なんです。ここでどうしてそういう調整ができなかったのか、事業主体としてそれぞれがかんでいるわけですから、開発庁という機構の中では。総合調整やっているわけです。  それからもう一つ、農林省の管理課長ですか、堤防の沈下があったと。これ建設省の方の計画ですと、そういう沈下しそうなところは余盛りをある程度事前にやっておきます。農業施設の場合には、そういう地盤の沈下しそうなところの余盛りというふうなことは予算的な措置として考えていなかったのかどうか。沈下したから仕方がないということには私はならないと思うんで、この二点補足してひとつとりあえず御答弁をしていただきたいと思います。
  38. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) お答えします。  ただいま丸谷先生から御指摘ございました点でございますけれども開発庁としまして、開発局におきまして御指摘のとおり、農業水産事業、それから河川事業両方所管しておるわけで実施しておるわけでございますが、在来ともそれぞれの事業を実施する段階におきましてできるだけの調整をとりながら実施してきておったつもりでございますが、それぞれの事業、それぞれの実施するタイミングあるいは目的等いろいろございましたので、若干御指摘のように不十分な点があったかに思いますが、今後なお一層調整いたしまして円滑な推進に努力いたしていきたいと、かように考えております。
  39. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) 若干技術的にわたるものでございますので、私正確にお答えできるかわかりませんが、私の承知する限りにおきましては、先生御指摘のように特殊土壌ということから、余盛りにつきましては当然配慮したわけでございますが、何せ造築した時期が古うございまして、長年月の間に沈下をしたということじゃないかと考えておるわけでございます。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 長官開発長官としては農業も建設も総合調整やっているんですから、農林省と建設省によく言っておくということにならないので、その点は十分配慮してください、それが、開発庁の総合調整の機関なんですから。
  41. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) 先生御指摘のとおりでございます。大変専門家の先生にお教えをいただいて恐縮ですが、御承知のように北海道開発庁でその調整をいままでもやっておるし、各現地北海道開発局に命じてそういうふうにやっておるんですが、このたびいろんな事業必ずしもうまくいかなんだ、しかも水害が突然来たというようなわけで十分行きませんでしたが、今後はその点を十分注意してそごをなきよういたしますから、御了承いただきたい。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 長官ね、水害はいつも突然来るんでね、突然来たということは言いわけにならないのでひとつその点は……。  それで、宅地の災害も非常に大きくて、ただいま対馬委員の方から話があったような状況でございますが、農業被害、これももう全道的に未曽有のものでございます。先ほどの報告がありました十六万ヘクタール、特に空知管内が四万八千で、十勝——かなり災害がひどいというふうに報道されておりませんけれども、十勝でも四万ヘクタールの災害があります。これは冠水災害のほかに大雨による倒伏、麦だけでも約一万七千ヘクタール、十勝でもあるんです。こういうふうに農業被害というものについてはもう全域にわたっているということについて十分御認識をいただけば、激甚災害検討するなんということは、もう出てくるんじゃなくて、それはやりますと、すぐ当然言っていただけるような非常に広範囲の大きな被害だということについて、長官ひとつ認識を新たにしていただきたいし、天災融資法——これは農業関係で農林省に聞きますが、これは適用するということは当然決まっているんで、問題は貸付限度額、これをひとつふやしていただかなければ、適用するだけでは困るので、この点ひとつ明確な答弁をお願いしたい。  それから、自作農維持資金につきましては、やっぱりこの際借入残高が多いので特例貸付限度額、こういう制度を設定していただかないとちょっと対象になれない農家がたくさん出てくるんじゃないか、これ二点。  それから、被害農家に対する償還猶予措置、それから災害査定を、特に農業災害については水が引いてしまうとわからなくなってくる点も多いので早急にやって、災害復旧事業には、これは毎年五、三、二というふうなぐあいで補助金その他の支払いがおくれるものですから、一気にやってしまえないというふうな市町村の悩みもあります。これはやっぱり進捗に応じて適宜こういう大災害ですからやってもらわないと、早期にやらせますといっても予算面でなかなかそう簡単に市町村がやれないというふうな状況も出てきますので十分考慮していただきたい。  それから、農業共済早期支払いは、これは当然事務的にも市町村も準備、いまからですからできるから早くできると思うんです。問題は損害評価の特例措置をしていただかないと、従来の農業被害というふうな考え方での共済の観念では、ちょっと整理がつかなくなるんじゃないか、かような感じがしますのでその点もひとつお願いしたい。  それから、規格外米の政府の買い入れ、それから麦の場合の買い入れの特例措置や、それから麦の価格差補てん措置、それから豆類の特例規格の設定というふうなことについても十分に配慮していただけるかどうかひとつお答えをいただきたいと思います。  それから、ことしは病害虫がこれは続発するし、そのことによって被災していないところに蔓延するというふうな危険もございますので、農薬購入費等についての補助制度というふうなこともひとつ一考していただかなければならぬと思います。  大体そうしたことについてひとつできるとかできないとか簡単に一応、一括お答えを願いたいと思います。
  43. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) まず天災融資法の発動でございますが、御案内のように、この発動は被害が著しく、かつその国民経済に及ぼす影響が大であると……
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはわかっているんだから、質問自体に答えてください。そんなこと言ってると時間がなくなっちゃう。
  45. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) 天災融資につきましてはそういった要件を勘案しながら、かつまた被害状況を考慮しながら検討しているわけでございますが、いずれにいたしましても、農林水産省の統計情報部の被害調査結果を待って決定いたしまして、所定の手続を進めたいと考えております。なお、統計情報部の被害調査につきましては、今月中にはまとまるというふうな見込みでございます。  また、天災資金の貸付限度につきましては、北海道につきましては、内地に比べまして特例的に二百八十万となっているわけでございますが、おおむねこれで対応し得るんじゃないかと考えておりますが、なお、すでに天災資金の借り受けを行っているものにつきましては、借り受けている天災資金の償還に充てるためということでさらに八十万の加算をしておるわけでございますので、一応これで対応し得るんじゃないかというふうに考えているわけでございます。  次は、償還猶予の問題でございますが、これにつきましては、今月十四日付で経済局長通達を出しまして、既貸付金の償還猶予等、貸付条件の緩和につきまして関係金融機関に対しまして指導をいたしておるところでございます。  また、災害査定の迅速化につきましては、おっしゃるまでもなく、北海道は冬季の到来が早いという事情もございまして、早期な復旧工事の着手が必要でございますので、査定業務の早期化ということから、査定関係に必要な書類の作成につきましても、各般の応援体制をとるとか、査定関係の業務の簡素化を図る等々によりまして早期の査定実施のために格段の努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。  共済金の早期支払いにつきましては、すでに指導しているわけでございますが、先生御指摘の麦等の品質低下に応じました損害評価の特例措置につきましては、内容につきましては省略さしていただきますが、結論として申し上げれば、特例措置を講ずる方向で目下検討中でございまして、結論を得次第必要な指導をいたしたいというふうに考えております。  また、規格外米の買い入れ等につきましては、目下検討中でございますので、やや時間をおかしいただきたいと思うわけでございます。  最後に、病害虫発生が懸念されるわけでございますが、農薬等の助成につきまして要望が参っておりますが、これにつきましてはかって助成をした実績がございますが、最近の厳しい財政状況の中で、再びこの助成につきまして国として取り上げるということは非常にむずかしいというふうに考えております。  以上でございます。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 災害復旧の査定の早期化についてはわかったんですが、補助金が非常におくれるんです。そのために施行主体の市町村がやはり余り急いでやっちゃうと後金詰まりになっちゃうと、これの早期支払いについての補助金をできたらどんどんと払っていくというふうな措置はとれませんか。
  47. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) 工事の実施につきましても、極力短期間で完了するというふうにやりますと同時に、補助金の交付につきましても迅速に行うという方法で対処してまいりたいと考えております。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 農業はまだもう少し後で一括してあるんですが、先に、五十年災に比べ内水はんらんが非常に多かったということで、これは各地で陳情を受けております。これで、特に石狩川基本計画との関連で御質問申し上げたいんですが、今回の災害についてはそのはんらんもとを阻止しなければ最終的な計画実施状況にいかないだろうと思います。思いますけれども内水をどんどん外水に入れていく、堤内に入れていきますとそれだけ計画水量は上がってくるわけなんですわ。上がってくることになりますわね。そこら辺の総合的な考え方、これについてひとつ建設省から御説明願いたいと思います。
  49. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) このたびの災害は、先ほどからお話が出ておりますように、雨量が非常に多かったわけでございまして、石狩川流域では五十年の場合に比べまして雨量が一・六倍あるわけでございます。計画高水も大幅に上回ったということでございます。また、そういう多量の豪雨とそれから継続時間も非常に長うございました。内水被害が大変大きかったというのは御指摘のとおりでございます。  そこで、内水対策につきまして基本的な考え方でございますが、御承知のように、内水を吐く場合には、順次大きい河川へと吐いていくわけでございまして、したがいまして河川の改修としましてはまず本川筋の受け入れ体制を十分整えておきまして、それから支川を整備して支川の水を入れる、その先に内水をその支川に入れていくというつながりがあるわけでございまして、これらを十分総合して、連携のとれた、整合のとれた改修ということをやらなきゃいけないわけでございます。  現在、わが国におきまして、全般的に申しまして、大変その外水対策という事業もおくれております。それを鋭意進めておるわけでございますが、しかしながら、内水につきましても、低地の内水でございますが、それにつきましても国民経済上大変重要な地域におきましては、積極的に建設省も取り組んでやっているわけでございます。  内水対策の、まあ限られた内水ということで方法としましては、その内水河川の整備というのもございます。それは山水を切って大きな川につなげていくというのがいまの種類でございます。それから、ポンプ排水によりまして吐いていくということがございます。それからもう一つは、従来持っておりました流域全体から考えまして遊水機能とか、保水機能、これをやはりある程度持たしていくということで、土地利用もあわせて考えていかなきゃいけないというようなことでございます。そういうことを考えた上で、内水外水との問題を十分考えながら、整合のとれた事業を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 まあ一般論としてはそういうことだと思うんですがね。ただ、たとえば今回、石狩大橋の観測地点で計画水量の八メーター七十五を約五十センチも上回る水量があったわけです。月形大橋の観測地点から石狩大橋の観測地点の中でもまだ相当の暫定断面が残っておりますよね。そういう中で、それとの兼ね合いの中で内水排除の問題を考えた場合に、どんどん入れれば片っ方に盛ることになるんでしょう、完成断面できない……。それで、内水排除というのも非常に大事だし、その地域としては非常に効果は上がるけれども、そうした石狩川から石狩川水系という全体的なその工事を進めていく上での基本的な考え方、一体、暫定断面を、たとえば月形——これは全部でなくてもいいです。月形大橋から石狩大橋の間の暫定断面だけを完成断面にするのにどれくらいの年月、どれくらいのあと金がかかるんですか、現計画で。
  51. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) いま御質問ございました月形大橋から石狩大橋までの堤防を完成堤防にするという工事につきましては、概算しましたところ四百億ないし五百億かかるわけでございます。今回、あの個所で行われておりました事業は、計画水位に五十センチプラスした高さで、それを目標にしまして事業をやったわけでございます。それがまあ沈下もございまして、ちょうど計画水位五十センチ上がった水位が出たわけでございますが、溢水していたわけでございます。これにつきましては、早速また事業を見直しまして、その区間につきまして促進させるわけでございます。これを何年かということで、ちょっといま申し上げられませんが、石狩川全体の事業費が約二百五、六十億でございますが、それを勘案して——いろいろやるところがたくさんございますので勘案していただきたいと思いますが、いずれにしましても今回の災害にかんがみまして、本川の受け入れ体制がこれが一番重要だと思いますので、その区間につきまして河川激甚災害特別緊急事業、いわゆる激特と申しますが、こういうものを考え合わせまして、早期にある程度の手当てしたいと思います。ただし、本地域は大変な軟弱地盤でございまして、一遍で高い堤防が盛れないという技術的な限界がございますし、従来も少しずつ上げてまいったわけでございます。  以上のようなことを勘案しまして、内水対策あわせた外水の重要性が非常に重要でございますので、本川につきましても十分な措置をしたいと考えておるわけでございます。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 私の申し上げたいのは、先ほど対馬委員からの話のあった美原地区、これはもう外水による被害ですわね、溢水によるね。これは一番大きいし、あれはもう行ってみても、あれだけの大きな鉄の側溝が押し流されるというような大変な水量で、よく、それはまあ家畜被害はあったけれども、人間の被害が最小限に済んだと思うような、濁流が出ていってますよね。これは、外水があふれていくことの恐ろしさというのは大変なことなんです。そうしますと、まずああいうところを全力挙げてやってもらわなきゃならぬ。それから、地盤沈下、地盤沈下と言うけれど、工法としてはパイル打ったり、くい打ったりしてある程度とめるような工法ができるんでしょう。それを地盤沈下があるからという逃げはぼくは技術屋としてはひきょうだと思うんだけれども、どうなんです。そういう工法あるんだもの、あるし、現にやっているんじゃないですか。それを地盤沈下のためと二言目には言うようなことというのはぼくはちょっといただけないんだけれど、いかがですか。
  53. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 御指摘のように、治水の基本的な考え方は、大きい流域、これは多量に水が流れてまいりまして、これが破れますと大変な水が堤内地に入るわけでございまして、本川筋を含めた幹川の改修事業というのは最も重要でございます。先ほどからも述べたとおりでございます。  いま申しました地盤改良の話でございますが、これは実は申し上げませんでしたが、五十年災以後あの地域でとられた激特事業におきましては、地盤改良事業、サンドパイルを打ち込んだりいろいろな工法をとりましてかなりやりました。それでかなりの成果が上がったわけでございます。今後も必要があればそういう処理の方法をとりまして実施していきたいと思っております。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 だから地盤沈下するところでも工法によっては大丈夫だと。何かいままでの答弁聞いていますと、いや、盛ったんだけれども地盤沈下してそこからあふれたというような、地盤沈下に責任転嫁するようなことはこれからはひとつ言わないようにお願いしたいと思うんです。  大体ざっと聞いてみますと石狩川水系で二千五、六百億ですか、という計画のうち激特でこの五十一年からこっち千五百億ほどつぎ込んでいますわね。そうするとあと一千億ほど現計画でも残っているということですね。そのうち月形から石狩のあの一番のはんらん地帯、あそこは五百億で、その他は大体水系としてやっていくところが残っている。こういう判断だと、時間的な、何年あとかかるだろうか、いまの計画をあれするのでもまだ何年かかかりますね。これを長官、これ、北海道開発庁長官としてお願いしたいのは、まず五十年災から五十一年、五年かかっているんです、百五十億。そうするとあと一千億はまた三年くらいかからなけりゃならない。これはもう工事の状況にもよりますけれど、これは行政改革なんということを言わないで、災害のあれですし、差し引きずるとえらい国の損になるんですから、全力を挙げてまず暫定断面をなくすると、やっぱりあわせてポンプアップ、これはもう危険個所やらなきゃならないと思いますが、そういうことを進めると、できるだけ早く進めると、こういうことについて長官のお考えをひとつお伺いしたいと思います。
  55. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) 先生のおっしゃった御趣旨は賛成でございます。そういう趣旨でいま各省にも申し上げておるし、最終的にそういうとこ出ろへいくように期待して奮闘しておるところでございます。御声援のほどをお願い申し上げます。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 それから、今回の水害地帯を見て、これはやはり農林省と建設省との中でもう少し計画時における詰めをやっておかなきゃならないのじゃないかと思うことが一つあるんです。それは水田であった場合には貯水能力があります。ところがそこが転作をしてどんどん畑になったために被害が非常にふえたという面が出てきていると思います。しかし、建設省の方の利水計画は、そういう農林省の方の減反政策というふうなものを勘案して立てられていないと、何年度になったら石狩川水系の水田は何ぼになるんだと、そうすると水田の持つ水をためる力がどれだけ減るんだと、こういうふうなことについてはどうもそういう意味での横の連絡が全くないというふうに私どもは感じられるんですが、いかがですか。治水計画の中でそういうことを、水田が少なくなってきて水をためる力が少なくなってきたことによる治水事業の改定なんということはやったことがないでしょう。
  57. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 御指摘のように、流域内の土地利用の変化によりまして治水計画をいろいろ見直すということは必要だとは思いますが、治水事業はなかなか大変な労力と費用がかかることでございまして、一挙にある区間を完成するというのは非常に大変な事業でございます。しかしながら、他事業との関連は十分調整しているわけでございます。しかし、基本的には、治水事業と申しますのは、先ほどからも申し上げますように、河川施設だけを考えるんではなくて、流域全体のことを考えながら、流域のいろいろな保水能力等を考えながら、あるいは土地利用を考えながら対応していくべきものだと考えております。こういう総合的な治水計画というものをやらなけりゃいけないと考えるところでございます。  この例としましては、特に都市部の大変な宅地開発が行われているようなところで、流出率が急激に変わってくるというところにおきまして、都市河川の総合治水対策特別事業としまして実施されるようになっておりますが、こういう考え方をほかの地域でもとってまいりたいと、考えてまいりたいと考えておるところでございます。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 次に、自治省。  災害地方税の減免その他によるところの徴収猶予というように非常にたくさん財政需要がふえると思います。特交要因としてこれを見ることは、見てくださると思うんですが、これがなかなか、早く決まらないと自治体の方としては大変立て方が、一体幾らくらい来るんだろうということが毎回こういう災害のときには悩みの種なんです。これらの特別交付税、その他市町村の突発的な財政負担に対して極力早く対応をし、現地の実情に応じて増額をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  59. 鶴岡啓一

    説明員鶴岡啓一君) 風水害により被害を受けました市町村に対する特別交付税につきましては、現在、自治省令で、被害額、罹災世帯数、損壊家屋数、農作物被害面積、それから死者行方不明者数に応じまして所要の額を算定することにいたしております。特別交付税につきましては、現在、十二月と三月の二回に分けて交付することになっておりまして、今回の災害につきましては、関係地方団体それから関係省庁からの数値の報告を求めまして、十二月の特別交付税の算定に間に合うように措置してまいりたいと考えております。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 厚生省。  防疫対策、これは現地へ入ってみますと、それぞれの自治体によって対応の仕方に微妙な差があります。これらは厚生省として一本での防疫指導体制というふうなものはとっておるのかどうか。防疫体制というのは市町村の固有事務、衛生事務でしょうけれども指導としてどうなんでしょう。
  61. 大澤進

    説明員(大澤進君) 災害時における特に災害防疫対策につきましては、これまで災害防疫実施要綱というのを定めておりまして、これに基づき都道府県並びに市町村のそれぞれの責務なり、役割り分担、あるいは各家庭における役割り分担と、こういうものを含めて一本にして指導してまいっております。根底には、御承知のように、伝染病予防法というものを運用しながら対処すると、こういうことでございます。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 それではいいです、そちらは。  今度は農林省、林野庁にお伺いしますが、先ほどの報告の中でも治山事業が非常におくれておったというふうなことがうたわれております。私たちも現地へ行ってみてその感を強くしたのですが、特に門別町の豊郷という現地を見まして、これはわれわれ素人が見ても、いままでどうしてこういうところで治山が行われていなかったんだろうかと逆に不思議に思うくらいなんです。聞きますと、何十年か前にもやっぱり大災害が出て、古い人たちはだから道路のこっち側には家や学校やお寺なんかはないんだと言うくらい、その災害の出る地域、したがってそういう意味での人間の被害がなくて幸いだったと思うのですが、馬の被害はあったようなんです。が、どうしてあんなところで——私なりに考えてみると、上の方が牧草地になっている。それはちょっとむちゃじゃないか、そういう災害地に。これは保安林に確定して治山をするという農水省としての基本的な行政指導を怠っている。自治体から上がってこないからやらないんだという、陳情を受ければやるんだというふうな姿勢が、ああいう、本当に一つ間違えば大変な人間の被害になりかねないような崩壊を起こさせたのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。何か、緊急治山をやるという話ですよ。それは聞いておりますけれども、いままで予防治山をやっていなければならないところですよね。何でああいうところがやっていないのかと不思議に思うんですが、いかがですか。
  63. 小沢普照

    説明員(小沢普照君) お答えいたします。  先生の御質問でございますけれども、私ども治山事業を年々計画に基づいて実施しておるわけでございますけれども、この治山事業の計画につきましては、治山治水緊急措置法に基づいてやっておりますが、年々災害の発生が非常に多いものでございまして、そこでまず災害の復旧というものをどうしても主体に考えて、現在、七対三くらいで災害復旧の方が多いわけでございます。  で、先生のいまおっしゃいましたお話は、予防治山という分野でやっておるわけでございますけれども、予防治山につきましても、私ども、その過去の災害の発生の状況でございますとか、それから不安定土砂等のようなもの、こういうものを総合的に勘案いたしまして計画を立てておるわけでございます。今回につきましては、非常に未曽有の豪雨ということもございまして、災害が大量に発生しているという事実がございますので、私どもは、今回の災害を教訓といたしまして、今後災害の復旧計画を初め、早急に対応して災害の防止に努めてまいりたいというふうに考えております。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 最後長官にお願い申し上げますが、実は、いつの災害でもそのことが言えるのですけれども、それぞれのセクションセクションでいろいろ努力はしております。しかし、総合的な国土計画の中で、たとえば、林野行政における山をよくすること、これが保水能力がどの程度できるというふうな数値は全然ないわけです。ただ、山をよくする、ダムとか、そういうのは出てくるでしょうが、全体的な山林の保護ということがどれだけ下流災害を少なくするか、こういうことについての数値が出ていない。そのために林野では、一方では、独立会計だから林野の中で赤字を出すなというふうな行政改革が行われようとしております。しかし、これは下流の被害をそれでもって防ぐということのプラスのトータルの計算というものがなされていないんですよ。ぼくはここら辺にもこれからの治水計画という、国土計画の中で行わなければならない欠落した部分があるのではないか。災害が起きれば漁業にも影響してきますし、これは総体のマイナス面もあれば、たとえば特別会計の林野の山を守るということに下流の税金を使ったっていいじゃないですか。それを、税金は使わないで独立採算でやれというふうな形、これが今回のような災害のときに、年々過去の災害の経験とは別に違った水の出方がしてくるということにつながっているんじゃないか。総合的な国土計画の立場からひとつ御検討を願いたい。ただ、その中で今回の、まだこれは確定的なものではないにしても、石狩大橋地点でのあれでは岩泥量は五十年災に比べて少なかったというような感触を現地の技術屋さんたち持っております。このことは何だろうかと、開発が進むんだから岩泥量がふえてくるという計算の一方で、護岸工事が非常に進んだんで河岸決壊が少なかった。これについては当然災害復旧で護岸の壊れはやると思いますけれども、そのほかに国もやはり改良復旧、なかなか困難かと思いますけれども、そういう地点も集めて岩泥量がやはりできるだけ少なくなるような護岸、今回は非常に効果あったんじゃないかと、これはまだ細かくは——きっとそういうことにもなるかと思いますが、そういう点について総合的な、ひとつ国土計画の立場での治水、災害対策について御検討願いたいと思います。
  65. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) いまいろいろお話を承りまして、最前からのお話お聞きしましても、どうも各省庁間の連絡がうまくいっていない点が、災害を、被害をより大きくしたと、こういうこと、私も同感でございます。それで、そういうことはもう常日ごろからよく言うておるんですが、ぜひ北海道の方は、先生おっしゃったように、北海道開発庁というのがありましてわりあい連絡ができやすいような仕組みになっておるんですが、なおかつそれでもいまおっしゃられたように十分でございませんが、今後は改めて通達を出してでも、開発庁が中心となって各省庁間の連絡をもっと密にしてやるようにということを指示いたしたいと思っております。よろしくどうぞ。
  66. 川村清一

    川村清一君 私は、この委員会の冒頭に、先般災害特別委員会北海道災害状況調査に行かれまして、その代表として鈴木理事から報告がありました。その報告の中に、特に日高線あるいは富内線の国鉄の災害並びにその復旧を要望する報告があったのでありますが、実は私は日高の住民でございまして、私の自宅は日高の浦河町にあります。二十の年に日高へ行きましたので、五十年間この日高に住んでおるわけであります。五十年間の歴史を考えてみると、ずいぶんいままで何回も水害がございました。しかし、私自身が、今度の日高災害というものにつきましては、全く驚くほかがないというほどの災害で、地域住民の人たちに対してまことにお気の毒だと思っておるわけであります。私自身が、この大雨が降ったときには札幌におったわけでありますが、自宅の浦河に帰ろうとしましても、国鉄は通らない、それから国道は不通、汽車でも車でも帰ることができないわけで、ようやく今月の八日になりまして、国道通れませんから、何カ所か奥地へ入りまして道道あるいは町村道といったようなところを通って迂回して、そうして各町村にお寄りして町長さんにお見舞い申し上げますとともに、ひどいところはちょっと見ながら自宅に帰ったと、こういう経験があるわけであります。  で、この地域住民の足である日高本線それから富内線、この点を中心にしてお尋ねしたいと思うわけでございますが、その模様はただいま長官のお手元に写真をお出ししてありますので、ごらんいただきたいと思うわけでありますが、とにかく開通の見込みがまだ立ってないんです。札幌で道総局長の報告を聞きましたら、開通は長期にわた借るという御報告であります。一体いつになったら開通するのか。住民の生活必需物資輸送にもいささか困難を来しておるというようなこと等もあるわけであります。そこで、現状はどうなのか、いつになったら一体開通の見込みが立つのか、このことをこの際ひとつその地域住民にはっきりと答えると、こういう意味でお答えをいただきたいと思います。
  67. 村上温

    説明員(村上温君) 線路が不通になりまして大変御不便をおかけしておりますし、御心配をおかけしておりますが、まことに申しわけないと思っております。  災害が起こりましてから地元の北海道総局はもちろんのこと、国鉄の本社、あるいは地質の非常に特殊なところでございまして、技術研究所等が入りまして、なるべく早く復旧するという方向で調査を鋭意行い、復旧の方針を立てたところでございます。とりあえず早く手のつけられるところから、早く復旧できるところから開通させるということで全面的に手を入れておりまして、すでに苫小牧の方から日高門別まではおかげさまで開通いたしております。比較的被害の少ない静内から様似の間、それから富内線の方の入口の鵡川から振内までの間、これはできれば八月いっぱい、まあ九月にかかるかもしれませんが、かなり早い時期に開通させたい。残る区間のうち厚賀−大狩部間というところ、これは国道がなく、鉄道線路が非常に狭い海岸沿いに走りでおるところで非常に被害が大きいということでございますが、この区間を除きましては何とか九月いっぱいぐらいに開通させたい。この区間と富内線の振内から奥は、これは大変大きいがけ崩れが起きております。現地調査に参りました報告によりますと相当の時間かかるということでございますが、まあ年末も迫ることでございますので、少なくとも十二月の声を聞かないうちには開通させたいというふうに考えております。いましばらく御不便をおかけいたしますが、よろしくお願いしたいと思います。
  68. 川村清一

    川村清一君 この日高本線は、御承知のように、地方交通線となりまして、まず廃止予定線であったわけであります。それが地域住民のいろいろな運動、まあ私どもも先頭に立ちまして政府関係省庁にいろいろと陳情してまいりまして何とか廃止は免れました。地方交通線といいましても苫小牧から様似まで百四十六キロの線でありまして、これが本州の小さな県なら県境から県境へ行くぐらいの線が、北海道は何せ広いところですから、このくらいの線路でも地交線ということで、日高本線の方は何とか免れたわけでありますが、この富内線の方は特別地方交通線ということで第一次では廃止線になりませんが、第二次の予定線になっておるわけであります。そういうことから、余りにひどい被害でありまして、一体これは国鉄直せるのか、一体これはどういうことになるんだろうと私自身もそう思っております。それで、住民の方々は、この際国鉄はこの日高本線並びに富内線を廃止してしまう、これは線路を取ってバスで代行させるんだといったようなことになるのではないかといって大変な不安を持っているんですが、そういうことはないんだ、絶対にこれは復旧して線路を通すということをこの際はっきり答弁していただきたい。責任ある答弁をここでしていただきたいと思うんです。
  69. 村上温

    説明員(村上温君) 先生、地元ということで十分御承知のことで、ただいま御説明がございましたとおりで、日高本線につきましては政令の段階で廃止予定線区には入っておりませんが、富内線につきましては、現在の第一次の廃止予定路線の議論が終わりましたのに続きまして、廃止予定ということにはなっておるわけでございますけれども災害復旧と廃止予定の所定の事務手続とは別に考えて進めたいというふうに考えておりまして、先ほど御説明いたしましたように、すでに鋭意復旧に努めておるところでございますので、その点につきましてはとりあえず災害復旧だけは全力を挙げて取り組むというふうに考えております。
  70. 川村清一

    川村清一君 ここではっきり確認させていただきますが、日高本線につきましてはこれは廃止などはしない、それから富内線については第二次の予定線にはなっているけれども、これがはっきりそう決まるまでは、残っている線ですから復旧に努める、そしてできるだけ早期に全線開通の運びに努力していくというのが国鉄本社の方針である、こう確認してよろしいかどうか。  それから、いずれにしてもことし中なんといったって十二月いっぱいかかるんじゃどうにもならないので、何とかもっと早く開通するように努力するという御答弁をいただきたいと思うんです。
  71. 村上温

    説明員(村上温君) 先ほど御説明いたしましたように、全力を挙げて取り組む所存でございますので、残っておる間はとにかく万全の復旧をいたしたいと思います。  それから、先ほど申し上げましたように、相当の被害でございますので、いま何月何日ということはなかなか申し上げられないんですが、言うまでもなく一日も早く開通させるということで、本社からも逐次工程等の厳重な管理をして開通に努めたいと思いますので、ごしんぼういただきたいと思います。
  72. 川村清一

    川村清一君 私は、今次の大災害によって地方交通路線の持つ役割りの重要性というものを本当に認識したわけです。これがこのような状態になると大変なことになる。いわゆる住民の生活必需物資輸送から——現に十七日から、北海道は夏休みが短いですから、小・中・高校はもう二学期の勉強が始まったわけです。そこで、高等学校の生徒は日高線あるいは富内線を利用して通学しているわけです。その数は相当の数あると思うんですが、そういうようなことから考えて、やっぱり重要性というものをこの際見直して、それでこの線路の災害復旧とともに今後のこういう地方交通線に対する方針というものを再検討する必要があるんではないかと思うんですが、いかがですか。
  73. 村上温

    説明員(村上温君) 地方交通線の取り扱いにつきましては、別途昨年の国会で法律制定のときにいろんな論議がございまして、一定の整理がされてございますので、おおよそはその方針に沿って進めるということになると思いますが、当該の日高本線は廃止の予定にも入っておりませんし、先ほどから再々申し上げておりますように、復旧には鋭意努めたいと思っております。  それから、ふだんからの補修等も決して怠っておるわけでございませんで、ローカル線だからといっておろそかにするというようなことはないようにしたいと思っております。
  74. 川村清一

    川村清一君 一点ここではっきりしておきたいのですが、いま申し上げましたように、十七日から国鉄にかわってバス路線でもって通学生が通学しておりますが、この代替バスの場合に、いままでは国鉄パスを使って、いわゆる通学しておった。パスを持っておるわけですが、この国鉄のパスで代替バスに乗車はできるのか。いわゆるバス代と鉄道とが違うのですが、このことによってその通学生はさらにこのパスは使えないで、いわゆるバス代を上乗せして払わなければならないのかどうか、この点をやっぱり父兄は心配しているわけですが、この点どうですか。
  75. 有馬訓祥

    説明員(有馬訓祥君) お答えいたします。  日高線につきましては八月十六日まで道路が不通でございましたので、十七日からバスで代行輸送をやっております。代行輸送と申しますのは、バスをチャーターで国鉄で貸し切りをしまして、それで列車のダイヤに合わせまして、これはスピードが違いますから必ずしもぴったり合いませんけれども、ほぼ合わせまして運行いたしております。この場合は、国鉄のレールを使う場合の乗車券、定期券、これを使って乗っていただくということで措置しております。日高本線の場合は、普通列車につきましてはほぼ完全に近いバス代行をいたしております。
  76. 川村清一

    川村清一君 まあ日高の地勢は十分御存じだと思うんです。海岸線にすぐ山が迫ってきておる、それで山の下の方に国道が走っておる、国道のさらに下の方に国鉄が走っておる。それで、山すそから国鉄のここの線路まで非常に短い距離しかないわけですね。したがいまして私、先ほど五十年間の歴史をちょっと申し上げましたが、いままで何回も、何回もあるわけですよ。ちょっと雨が降るとどこかここか崩れまして、そのたびに国鉄は不通になっておる。今度のようなことはちょっといままで例がないことですが、そういうことが何回もあるわけです。したがって補修というものに、まあ地方路線だからといったようなことでなく、やはり常日ごろ補修というものにもっと力を入れてほしいと思うんですが、これはいかがですか。
  77. 村上温

    説明員(村上温君) 先生御指摘のように、日高本線は全国でも有数の災害に弱い路線ではあるわけでありますが、決して投資をしていないということではございませんで、非常に乏しい会計ではございますが、日高本線だけに限って言いますと、過去の三年の平均でそれぞれ年間二億ずつぐらいの投資はしてございまして、土砂崩壊の防止あるいは河川はんらん防止等には努めてございますが、今回の災害等を契機にいたしましてなお効果的な防災対策というものについては考えていきたいというふうに考えてございます。
  78. 川村清一

    川村清一君 この百四十六キロのうち、門別から三石町まで約六十キロ近くあると思うんですが、この六十キロの区間において数十カ所のがけ崩れが起きているわけですね。その崩れた土砂が今度は国道を埋め、さらにこの国鉄線路を埋めて、一番ひどい個所は、ぼくは専門家でないからわからぬのですが、静内の保線区で聞いたら一カ所約七千立米近い土砂が落ちてその線路が埋まっておる。それから専門語では何と言うのかわかりませんが、この鉄橋の、橋のけたと言うのか、橋の台と言うのか、これが流れてしまって線路がこういうふうになっておるというような個所もある、まあ大変なことなんですね。一体、この大被害で、日高本線だけでどのくらいの損害を国鉄は受けたのですか。
  79. 村上温

    説明員(村上温君) 現在まだ工事をこれから進めるところで、確定的な数字ではございませんが、とりあえず汽車を走らせるだけのための応急復旧費と、それから少なくとも原形程度には災害に対しての強さを上げるという復旧工事費と両方合わせまして約五十億、この線区の上げます収入から考えますと大変な被害を受けておる状況にございます。そのほかに、列車がとまりまして、いわゆる減収というものもございます。
  80. 川村清一

    川村清一君 日高本線だけで五十億も損害ということになったら、これは大変なことだと思うんですが、それを復旧するための財政措置は一体どういうことになるんですか。実は私は、国鉄の災害だけれども、これは山は農林省、林野庁の所管である。今度は、道路北海道開発庁、建設省の所管である。この農林省所管の山が崩れてきて、今度は建設省の道路を埋めて、余った土がもろにその下の国鉄にかぶさってきたと。いうならば、そうなったのは国鉄に責任がないわけですよ。迷惑を受けたのは国鉄なんだよ。  そこで、この災害復旧は当然国庫の補助、一般会計からの補助があるものだと思っておったんですが、このことをちょっと札幌で聞いてみたら、それはないんだと、国鉄自賄いでこれを全部処理をせねばならぬという話を聞いてびっくりしたんですが、それは本当なんですか。本当だとしたらこれは大変なことだね。赤字でどうにもこうにもならなくなって、その地方線路をぼつぼつ切ってしまうと、廃止してしまわなければならないというその国鉄がこれを全部災害復旧やる、その工事費は国鉄が持つんだということになったら、これやれるものではないでしょう。当然国庫の補助がなければならないと思うんですが、そういうことを聞いてびっくりしたんですが、それは本当なんですか。
  81. 村上温

    説明員(村上温君) 私の直接の所管ではございませんが、国鉄は御承知のように大変な赤字でございますが、全体の財政補助という形では大変な補助金を実はいただいておりまして、直接災害復旧ということでなくて、工事費全体に対して利子を補給するというような形では補助が出ておりますので、まあ大きい意味で、間接的に言いますと補助が出ておるという言い方は可能なわけでございますが、実はこういう天災のときの大きい災害につきまして、そのものに直接補助をいただくということは実はお願いはしてございますが、まだ実現はしてございません。私たちの所管の防災工事につきましては、河川の改修、河川の拡幅とか、あるいは低下等に伴って橋梁等を改修する場合、これは折半で工事をすることになってございますが、こういう河川の改修工事、あるいは石が落ちるとか、なだれが来るというような場合で、下に道路やあるいは村落があって、国鉄だけの防護でなしに一般の防護もできるというような場合には、防災補助金ということで補助が出ることになってございますが、これはそういう特定のものに補助をいただいておるわけで、災害につきましては間接的な援助はいただいておりますが、直接にはいただいてございませんのは事実でございます。
  82. 川村清一

    川村清一君 その点、そういうことになりますれば、運輸大臣なり大蔵大臣に質問せねばならぬですけれども、おいでにならぬから聞くわけにいきませんが、運輸省おいでになっていますか、どなたか——運輸省にお尋ねしますが、いまのような状況なら非常にこれ不合理じゃないですか。大体ますます赤字がふえていくわけですね。日高本線だけで五十億もかかるんならやっていけないということで、それでまた地方線をぼつぼつ廃止してしまうと、そういう方針を強めるといったようなことになれば、これは大変なことなんで、いまの私の質問に対する国鉄当局の御答弁に対して、運輸省としてはこれでいいと思いますか。
  83. 丹羽晟

    説明員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問に関連しまして国鉄側からの答弁がございましたように、防災事業費補助の考え方は、将来発生してはならない災害を防止するための、そういう工事を行う場合の助成でございますので、確かに災害が発生した後の原状回復の話につきましてはその助成の制度の対象にはなっておりません。しかし、それでは災害復旧のやり方につきましてどんなふうな考え方でいるかということでございますが、現在の国鉄の支出予算の中に、まあ小さな工事につきましては修繕費というような項目で対応いたしますし、それから大きな工事、大規模な工事みたいなことではその工事経費のお手配をするというふうなことでそれらの費用を充当するということにしてございますが、それでも足りない場合は、毎年数百億の予備費を計上してございますので、それで対応するというような形で、災害の復旧につきまして直ちに対応できるような形にしてございます。  それで、それに対する助成の面でございますが、国鉄からの説明の中にも一部触れてございますように、いま私申し上げましたその工事経費で対応するような分につきましては工事費補助金という制度がございまして、これまあ、たとえば五十六年度の予算でいいますと千六百億ほど計上してございますが、その中で、これはまあ国鉄の工事経費についての利子負担を軽減するという助成でございますが、そういう助成を使えるという形になってございます。それから、その使用しました経費につきましての、まあ欠損というような形でふえる部分につきましては、国鉄全体の赤字対策の中で考えてございますが、まあ先ほど国鉄の御説明もありましたように、五十六年度予算でいいますと七千三百億ほど、国鉄全体に対する助成を現在行っております。それで、そんなようなことで対応していきたいと考えておりますが、現実の北海道災害の問題につきましては、いまのような既定の支出予算の中の対応と、それで足りない部分がございますれば、五十六年度は予備費が五百億ほど計上してございます。このあたりで一刻も早い復旧ということができますように、国鉄に対していろいろと適切な指導をしていきたいと考えております。
  84. 川村清一

    川村清一君 まあいろいろ対処する方法があることをお聞きしましたんで、どういう方法をとられても結構ですから、国鉄の赤字をますます拡大して、そのことがはね返ってまた住民を困らせることのないように、そしてまた国鉄当局もできるだけ早期に、しかも万全なる策をとって、ちょっと雨降るというとまただめになるというふうなことのないような復旧工事をやっていただく。  それで、復旧工事と何か防災工事と別のように考えられていらっしゃいますが、これは河川の場合もそうですが、復旧工事は即防災工事にならなければならないわけですね。そうでしょう。復旧工事は復旧工事で、またすぐいかれるというようなことでなくて、復旧工事をする河川の場合にはいわゆる災害関連工事といって、その災害受けた個所だけでなく、この次にそういうことがないようにという、少し拡大した工事をやっているわけなんで、そういう方法を国鉄にもとってもらいたい。  それから、開発長官にお願いするわけでありますが、あなたは日本の国土を守る最高の責任者なんでありますから、ひとつ国鉄このものを、いわゆる国土保全の上において重大な意味を持ってることでございますから、ひとつ国鉄のこれに対しても力添えをしてやって、まあ大蔵大臣でも、あるいは運輸大臣でも、北海道開発庁長官国土庁長官という立場からいろいろと協力をしてやっていただきたいことをお願いを申し上げたいと思います。——よろしゅうございますか。
  85. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) 最前からいろいろ日高線の被害状況等とその復旧について、御高説はよく承りました。これ、国鉄から、一般会計でこれを持っていくとか、早急に対策やる大問題でございますんで、私もひとつ、関係閣僚とも慎重に検討してまいりたいと、こう思っております。
  86. 川村清一

    川村清一君 河川局長ですか、建設省の河川係のどなたかいらっしゃいましたらお尋ねしますがね、この日高というところは襟裳岬から北の方に日高山脈が走って、この日高山脈によって北海道は東と西に分けられておるといったような、一つの分水嶺をなしておる山脈ですが、この日高山脈の根元が日高であるわけです。したがって、日高山脈から太平洋に向けて川がくしの歯のように出ておる。日高管内では一番苫小牧寄りには沙流川という大きな川があり、その次は厚別川、それから新冠川、それから静内川、それから三石川、それから幌別川といったような大きな川があって、この川はこれは昔は本当に水害があったんです。私の記憶で一番ひどかったのは昭和三十年の七月三日の大水害で、新冠川におきましては約二十数人の方が亡くなるような大被害等があったわけです。ところがこの大きな川につきましては改修工事が非常に進んでおって、おかげさんで今度のような大雨が降っても、いま私が挙げた大きな川は一つ被害がなかった。結局、何が、どの川がはんらんして被害を起こしたかというと、言うならば中小河川です。特に町村が管理している普通河川です。本当に谷川のような小さな、下水のよう川なんです。これが集中豪雨によって水があふれて、そしてその沢全体を壊滅してしまった、こういうことなんです。  そこで、私の言いたいのは、これは前々から言っているんですが、なかなか、全国的にはもう何千カ所もあるんでしょうから、簡単には手が回らないことも十分承知はしておりますけれども、この普通河川の改修というものに何とかもっと努力してもらわなければいけないと思うんです。町村管理ですから、町村にやれといったって、町村の財政では対応できないんですよ。したがって、これははなはだ悪い言葉で、町村長さんがこんなことを聞いたら怒るかもしれませんけれども、早い話が、災害が起きて、初めてこれは災害と査定されて、そして改修工事がなされる、災害の場所に。そのときに災害関連事業として、そこを受けただけでなく、これをもっと広げてやっていただく、そのことによって普通河川の改修が進んできておるというのがこれが今日までの歴史なんですよ。言うまでもなく、この関係者は御承知のとおりであります。そこで何とかこの普通河川の改修にもっと努力をしてもらいたいというのが私の願いなんですが、これに対する考えを聞かしていただきたい。
  87. 谷口雅宥

    説明員(谷口雅宥君) 先生おっしゃいますとお借り、日高地方では今回相当の中小河川被害を受けてございます。特に日高地方につきましては、先月、七月の初旬にも相当の雨が降りまして、この場合にも、静内等、今回災害を受けなかったような地区にも非常に大きい災害が出ております。  で、おっしゃいますとおりに、特に中小の河川、いわゆる普通河川につきましても相当の数が出てございます。それで、それらの川につきましては、現在すでに現地でその川の復旧の方法をどうするかということを協議に入ってございまして、特に被害が大きいというふうなところにつきましては、おっしゃいますとおり、いわゆる改良費を加えまして、災害関連事業というふうな形で、再度災害を防止するというふうな見地から改良復旧ということに努めたいというふうにいまいろいろと協議中でございます。  で、その前段の普通河川の改良、いわゆる改修工事ということにつきましては、普通河川市町村の管理ということを明確化するということで、河川法の準用河川にするというふうなことで、準用河川の改修事業というものを日高につきましてもある程度行ってございますが、そういった準用河川の改修事業という制度とあわせて災害改良復旧というふうなことも加えまして、おっしゃいますように、今後十分努力をせねばいかぬというふうに考えております。
  88. 川村清一

    川村清一君 本当に普通河川の改修については、まあ国の財政が苦しいこともようわかるし、そういう個所は全国にもう何千何万とあるんでしょうから、先ほどの御答弁にもあったように、災害の復旧工事にほとんど力をとられてしまって、災害が起きていない河川はどうしても投げやりになっておると、こういうことなんで、やっぱり災害が起きてからやるんじゃなくて、災害を予防するという立場から、そういう普通河川の改修に全力を挙げてほしいということを意見として申し上げておく次第です。  時間がありませんから、最後にもう一点、先ほど丸谷委員からも話があったんですが、急傾斜地の上の方——日高は御承知のように日本一の競走馬の生産地でございまして、競走馬の生産によるいわゆる経済というものが最大の経済の力になっているというのが実態なんです。そこで、土地が少ないもんですから——急傾斜地の上の方が比較的緩やかな丘陵地になっておりますね。そこを全部木を切ってしまって、そうしてそこを草地にして、牧草採草地にしている、あるいは馬の放牧地にしている、こういうことがあるんです。もし草地造成に補助金でも出しているとするならば、いかに私有地であっても、補助金などを出しているとするならば、あるいは出していなくても、国土保全の上からいわゆる治山の担当の林野庁、あるいは農林省、そして地元市町村、これが十分協議し、検討して、そういうところには草地をつくらせないような、そういう行政指導があってしかるべきじゃないかと。今回はそれが全部の原因とは言いませんけれども、やはりそういうところにこのような雨が降った。戸板を斜めにしてバケツをひっくり返したようなもんですから、そうすると低いところに集中的に流れていって、そうして小さな谷合いを削って出ていって、それが家屋を倒壊させ、農地を壊滅させ、そして人畜にもいろいろな被害を与えているという要因の一つになっていると思うんです。これは今後やはり気をつけてもらいたいということを申し上げて、それに対する御返答をいただいて私の質問を終わります。
  89. 高原弘

    説明員(高原弘君) 先生ただいま御指摘ございましたような点でございますが、御案内のように、畜産経営の合理化を図るという見地から、私ども日高の丘陵地帯で草地造成をやっておるものでございます。この造成に当たりましては、従来から工事の施工中あるいは造成後の草地が地域におきまして災害等を発生させることのないように、事業に先立ちまして現地の気象なり、地形、地質、こういう諸条件を調査いたしまして、草地の造成候補の決定と同時に、必要な防災施設の設置等を織り込みまして草地の造成計画を樹立して事業を実施するよう指導しておるところでございます。したがいまして、防災につきましては、草地の維持なり保持上の、これが草地造成におきます防災の基本的事項でございますが、当然、草地の保全のみならず周辺地域に対しましての保全につきましても、必要な関係省庁等とも、関係部局等とも調整を図りながらやっておりますし、また、事業に際しまして草地開発の事業計画設計基準というものを策定しておりまして、こういう中で、土砂流出汗止のための土砂だめとか、あるいはのり面保護のため等、防災にかかわる基準等を設けまして、これに基づいて事業を推進しておるというのが現状でございます。  今後とも、こういう諸基準の徹底を図ること等によりまして、草地の造成に伴う災害ということの防止には万全を期してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  90. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時三十二分開会
  91. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 今回の北海道災害に際しましてお亡くなりになりました方々に深く哀悼の意を表しますと同時に、被災されました多くの方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  八月三日から六日にかけての北海道大雨、これは栗山の四百四十七ミリというのを初めといたしまして、北村、美唄、岩見沢長沼、いずれも四百ミリを超えるという、連続雨量といたしましてもかってない量でありますし、また、札幌岩見沢の日雨量の記録もこれは気象観測史上初めてというふうなものでございます。このような大雨をもたらした気象要因につきまして、まず最初に気象庁からお伺いをいたしたいと思います。
  93. 菊池幸雄

    説明員(菊池幸雄君) お答えいたします。  八月三日に低気圧がサハリンを通過いたしました。この後、この低気圧から南西に延びる前線北海道を縦断いたしまして、それが四日、五日、六日の朝までほぼ停滞いたしました。ちょうどこのとき三陸沖を北上してまいりました台風十二号がありまして、この影響によりましてこの前線活動が活発となりまして今回の豪雨がもたらされたわけであります。  先生も御指摘になられましたけれども、この期間中の雨について申しますと、北海道中央部中心に一時間に二十から五十ミリの強い雨が断続的に降りました。特に四日と五日は、それぞれ一日の雨量が多いところで二百から三百ミリに達しました。また、三日の降り始めから六日の二十四時までのほぼ四日間ですけれども、この総雨量は空知南部と知床半島の一部で四百ミリを超えまして、そのほかの地域でも北海道全域にわたって百から四百ミリ降っております。それからなお、四日には札幌岩見沢で、それから五日には浦河と北見枝幸で一日の雨量が観測開始以来第一位を記録いたしました。また、先ほど申し上げました空知南部で四日間に降りました総雨量が四百ミリを超えたということも、これも観測開始以来の記録でございます。  以上でございます。
  94. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 従来、北海道には梅雨がないと言われておったわけでありますが、ことしは梅雨前線による降水被害も相当あった。さらに八月は、北海道としては必ずしも降水が多い月ではございませんけれども、その時期にこのような豪雨を見た、こういう事実を考えますと、何か北海道の天候を左右する基礎的な要因が従来とは変わってきたんではないかといったような感じがするわけでありますが、その辺はいかがでしょうか。
  95. 菊池幸雄

    説明員(菊池幸雄君) 天候を左右する基礎的な要因にどんなものがあるかということは現在まだよくわかってない点が多いものでございますから、ここでは近年の天候の特徴がどうなのかという観点からお答えさせていただきたいと思います。  世界的に見ましてある地域が非常な高温になっている一方、他の地域は非常な低温になったり、あるいは同じ地域でも年によって非常な高温のときと非常な低温のときがあったりいたしまして、変動の大きい天候があらわれているというのが現状でございます。日本でも気温や降水量あるいは日照時間などにつきまして、御指摘ありましたように記録を更新する現象がときどき起こっております。このように変動の大きいということが近年の世界の天候の特徴でございまして、このような状態は当分続くものと考えております。したがいまして、御質問にありました北海道というような地域に限って見ましても、同じような状態が続くものと考えております。  以上でございます。
  96. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 次に、国土庁長官にお伺いをいたしたいと思うわけでありますが、今回の災害に対しまして直ちに長官みずから現地においでになりまして、災害地視察されまして、ちょうど私も同じ時期に北海道におったわけでございますが、このことによりまして関係者大変に意を強くいたしたということを感じたわけでありますし、特にその際の談話の中で災害規模、特に農業関係被害が非常に大きいということから判断して、激甚災、天災融資法、この両法の適用は十分あり得ると、またその方向でひとつ検討したいということを述べられておるわけでありますが、これらの問題を含めまして、今回の災害に対する政府の基本的な対応につきまして御意見をお伺いをいたしたいと思います。
  97. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) 今回の北海道の大変な洪水、出水、まことに被災者に対しては御同情にたえないところであります。  三日から御承知のように六日まで出水がありまして、その八月の六日に私どもが早速現地へ行きまして、関係省庁関係者省庁の専門家とともに現地視察させてもらいました。それで八月の七日と八日に現地視察し——、八月六日に災害対策関係省庁連絡会議をまずやって、それから現地へ飛んだわけでございます。それから帰ってきてから二、三日してからもまた関係省庁の第二回目の連絡会議をやってその情報の収集に努めてきたわけであります。それで、この調査を踏まえて、いろんな結果が、災害の実情はわかっておりますが、それは最前担当審議官報告したとおりでございますので、それは省きたいと思いますが、要するに被災者に対する融資のことも考えておるし、地方財政に対する措置も考えておる。また、激甚災害指定、いま岡部委員から御質問ありました激甚地災害指定をやるかも、それもまだ、いわゆる現地災害の実情をいろいろ資料を集めておりますが、前向きに激甚災害指定をやる方向でいま検討を進めているところであります。  それから、第二の天災融資法、これは農林関係ですが、これは農作物被害等々、これはかなり広範囲に及んでおります。で、その結果が出るのは若干おくれる予測でございますが、これについても激甚災害と同様関係省庁寄って前向きに検討して御期待に沿いたい、そういう希望が現地においても非常に強いので、そういう方向で進んでいきたい、こう思っております。
  98. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 ぜひそういうことで万全の対策をひとつお願いをいたしたいと思うわけであります。  北海道は、御案内のように、内地と比べまして冬の到来も早いわけでありますし、生活基盤を早急に取り戻すためにも、何といいましても早期査定、早期復旧ということが必要であります。このために、まず第一に査定業務の簡素化ということを図る必要があると思います。二番目には、今回は特に被災個所が非常に多い。農地関係だけでも冠浸水したところが十六万ヘクタールということでございますから、その査定のための設計書をつくる。この業務が相当膨大になるんではないかと思うわけでありまして、これはなかなか市町村の職員だけでは間に合わないわけでございますので、どうしても他県、あるいは他の分野から応援をしてもらう必要があると思いますが、そういった応援体制が一体どうなっているか。さらに、これに要する経費でございますが、これも全部市町村に負担をさせるということは、それでなくても非常に出費が多い時期でありますから無理なわけでございますので、何とか助成の道を開いていただきたい。少なくとも外注をするもの、あるいは委託をするもの等については助成の対象にしていただきたいと思いますが、この三点についてお伺いをしたいと思います。  これらにつきましては、建設、農水両省に関係する問題でございますけれども政府対応はおおむね同じだと考えられますので、両省を代表してひとつ農水省からお答えを願いたいと思います。
  99. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) ただいま御指摘のございました農地等の災害の査定の問題でございますが、今回の被害が相当広範囲にわたっているということと、御指摘のように北海道の場合には冬の到来が早いということもございますので、災害復旧の早期実施が強く要請されているところでございます。そういうことから災害の査定に当たりましては、特に従来から査定設計書の作成に当たりまして利用してまいっておりまするところの総合単価につきましてその適用範囲を図ることを検討しておりますし、さらにまた被災写真等が十分に整備されておりまして、これによって復旧工法の適否の判断が容易にできるような個所につきましては、非常査定を取り入れる等々の簡素化措置を検討しておりまして、これらを通じまして災害復旧の早期の実施に努めたいと、かように考えている次第でございます。  また、災害査定業務の迅速化を図るための措置といたしまして、人的な体制の整備でございますが、本来事業主体は多くの場合市町村であるわけでございますが、これに対しまして、道の職員あるいは道の土地改良事業団体連合会の職員等々の応援体制を整えるよう、すでに関係方面に対しまして指導をしているところでございます。  また、災害査定設計書作成のために要する経費につきましては、本来事業主体が負担することがたてまえではございますが、今回の災害による被害状況を勘案しながら、予算の範囲内で助成措置を講ずることにつきまして、前向きに検討しているところでございます。  以上でございます。
  100. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 北海道の場合には、間もなく降雪期を迎えるわけでございますので、それまでに被災個所の復旧を緊急に図る必要があるわけでございまして、そのためにどうしても査定前の着工あるいは初年度経費の弾力的な運用等が必要になってくると思うわけでありますが、これに対する処置、これも両省にまたがりますけれども、ひとつ建設省からお答えをいただきたいと思います。
  101. 谷口雅宥

    説明員(谷口雅宥君) 先生おっしゃいますとおりに、今回北海道災害、非常に多岐にわたりまして、建設省の所管施設につきましても、昨日十八日現在で九百二十億円という巨額に及んでございます。それで、それの早期の査定並びに早期の復旧ということに関しましては、先ほど農水省さんの方でお話しになりましたような体制を建設省としても同じようにとってございます。それで、そのうち査定前に緊急復旧を行わなくちゃいかぬような場所がやはり相当ございまして、直轄河川につきましては四十三カ所、約二十五億という個所につきまして、緊急復旧を行う必要がございまして、すでにこれは鋭意施行中でございます。また、こういうのは、いわゆる破堤をしているとか、そういった緊急個所でございます。補助の河川のそういった個所につきましても約二十八カ所ございまして、これらにつきましてもすでに応急工事に着手してございまして、現在鋭意施行中でございます。冬季に至るまで、できるだけ早く、あるいはこれ、次期出水に至るという時期を、目的時期を置きまして、現在施行を急いでいるところでございます。
  102. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 次に、治水の恒久対策について、若干建設省にお伺いをいたしたいと思うわけでありますが、今回計画雨量を相当大幅に上回る豪雨があったにもかかわらず、石狩川本流は一部で溢水、あるいは堤防の決壊等がありましたけれども、五十年災に比べますと比較的被害が少なかった。これはやはり多年にわたる河川改修事業の成果であるというふうに思うわけでありますし、特にこの五十年災以来激特事業等によりまして堤防のかさ上げが行われまして、計画水位以上五十センチまでの暫定断面がほぼ完成されておった。さらにこの石狩川の最下流に私も参ったわけでございますけれども石狩放水路の掘削が行われまして、これが竣工直前の状態であったわけでありますが、これを緊急通水等の適切な処置によりまして、その効果を発揮した。これが今回の被害を最小限にとどめた上において大きな力になったんではないかというふうに思うわけでありますが、しかしながら、そうはいっても江別市内等では左右岸で溢水あるいは堤防の決壊があって、これによって相当の面積が浸水をしたということでございますし、また石狩大橋では、計画水位以上四十八センチと、あと二センチで堤防をオーバーするというところまで水位が達したわけでございますので、どうしても現在の暫定堤防を一日も早く本堤防に完成をさしていただくということが必要ではないかと思うわけであります。特に先ほどもお話ございましたが、今回溢水をした、あるいは破堤をした江別市周辺等では、この事業をひとつ激特で実施をしていただきたいという強い要望があるわけでございます。これについてもひとつぜひお願いをしたいと思います。  さらに、今回のこの豪雨計画雨量を相当大幅に上回ったという厳然たる事実がある以上、先ほど来お話がありましたように、この本流基本計画の改定ということはぜひ必要だと思いますが、その場合には当然今回の実績をもとに計画高水量は算定されるものだと思うわけでありますが、これから恐らく具体的な検討には入られることだと思いますけれども、先ほども一万トンとか一万一千トンというふうなお話も出ましたけれども、現在の九千三百五十トンの計画高水量をどの程度まで高められるのか、試算でもありましたらお教えをいただきたいと思います。
  103. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) いま先生御質問の第一点目の江別市周辺の改修でございます。これにつきましては、破堤個所につきましてただいま緊急に復旧をやっております。間もなく終わるところでございますが、今回の出水にかんがみまして再度災害防止の観点から、河川激甚災害対策緊急事業——激特事業でございますが、これによりまして右岸の破堤個所並びに左岸の溢水個所を含めて一連区間を早急に実施したいというふうに検討してまいりたいというふうに考えております。
  104. 岸田隆

    説明員(岸田隆君) 先生御質問の工事実施基本計画の改定につきましてお答えしたいと思います。  現在の工事実施基本計画は、昭和三十六年、三十七年の連続しました洪水をもとにいたしまして昭和四十年に新河川法に基づきまして工事実施基本計画を策定してございます。基本高水が石狩大橋で九千三百という数字でもちまして現在の工事実施基本計画ができ上がっておりまして、現在これに基づいて改修を進めておるわけでございますが、五十年に大きな出水がありまして、それを契機に見直し作業を現在実施しておったわけでございます。そこへ今回のそれを大幅に上回る大きな出水があったわけでございまして、当時の工事実施基本計画計画雨量でいきますと、流域平均で百七十ミリでございますが、今回、まだ調査中でございますが、大幅な、概略の推定でいきますと二百八十五ミリぐらいの流域平均でありまして、したがいまして降雨量としては相当な増でございます。したがいまして今回の出水、そのいま申し上げました総雨量、それから降雨の地域的な分布だとか時間的な分布だとかそういった状況、それからさらに洪水のはんらんしました状況、それから河川に実際に流れました流量、そういったものにつきまして詳細な調査を現在実施中でございます。現在までの調査では、これも推定でございますが、そのピーク流量といたしましては、現行の工事実施基本計画の九千三百を上回りまして一万トン以上の流量が出たというふうに現在では推定されるわけでございまして、この結果を十分取り入れまして、さらに見直し作業を総合的に検討いたしまして、そうして工事実施基本計画の改定に向かって検討するわけでございますが、先生御質問の規模につきましては、現在いろいろ検討中でございまして、まだいまの段階では正確なことは申し上げられませんけれども、現計画を五割程度あるいはそれ以上上回るような規模になろうかと、これは現段階での推定でございますので、多少結果的には狂うかもしれませんが、そのような見込みの計画規模の改定になろうかと思います。
  105. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 現計画を五割以上も上回るということになりますと、これは相当の大容量になるわけでございますが、その洪水を流過させるための方法として恐らく、この本堤が完成をするということになりますと、いまの暫定堤防よりさらに一メーター五十ぐらい堤防の高さが高くなるわけでありますが、その上この堤防をかさ上げするということは、これは恐らくいろいろの面で支障を生ずると思いますし、特に支派川の整備等の関連も出てくると思いますし、また内水排除、後から申しますが、内水排除も非常にやりにくくなるというふうな点も生ずるわけでございますので、その方法としてはやはり上流にダムをつくる、あるいは遊水地をつくる、あるいは先ほども話がありました他流域に流すための放水路をつくるとか多面的な対応をひとつお考えいただかなければならないと思うわけでありますが、特に私は石狩川の河床、特に高水敷、この部分をできるだけひとつ掘り下げていただいて、その土を特に今回大きな湛水が起きた周辺の低湿地、これにかさ上げをしていただく、あるいは客土をしていただく、こういうことになりますと、河川の改修も非常にスムーズにいくと思いますし、また今回の湛水被害も相当軽減をされる、あるいは耕地の客土効果等にもつながるのではないかと思うわけでございますが、そういう点につきましてもひとつこの改定計画の際に十分に御検討をいただきたいと思うわけであります。それにつきましてちょっと御意見ございましたらお願いいたします。
  106. 岸田隆

    説明員(岸田隆君) お答えいたします。  増大します基本高水のピーク流量をどのように処置するべきかにつきましての基本的な考え方は、先生ただいま御指摘のとおりでございまして、技術的な可能性あるいは経済性、社会的な条件、諸条件を勘案いたしまして、河道の掘削、先生ただいま御指摘になりました高水敷の掘削を含めました河道の掘削あるいは放水路また上流のダム群、遊水地等によります処理を多面的に検討いたしまして、計画水位は極力上げないというふうな配慮をしていきたいと考えております。  具体的な方法につきましては、今回の出水を含めまして十分調査解析を行いまして検討した上で、詳細に実施していきたいと、かように考えております。
  107. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 今回の水害に当たりまして上流のダム群の洪水調節に果たした役割りも非常に大きかったのではないかと思いますが、それについていかがでしょうか。
  108. 広瀬利雄

    説明員(広瀬利雄君) お答えいたします。  石狩川には洪水調節を行う多目的ダムといたしまして五ダムございます。金山ダム、大雪ダム、豊平峡ダム、漁川ダム及び桂沢ダムの五ダムでございます。  このダムの洪水調節の実態でございますが、金山ダムにおきましては、最大流入量が毎秒四百八十六立方メートルでございましたけれども、ダムで調節をいたしまして最大放流量は毎秒八十立方メートルでございました。大雪ダムにおきましては、最大流入量が毎秒四百八十五立方メートルに対しまして最大の放流量は毎秒七十立方メートル、豊平峡ダムにおきましては、最大流入量毎秒三百二十一立方メートルに対しまして最大放流量は八十立方メートル、漁川ダムにおきましては、最大流入量七十六立方メートルに対しまして最大放流量六十七立方メートル。桂沢ダムにおきましては、最大流入量毎秒四百五十一立方メートルに対しまして最大放流量二十二立方メートルということでございまして、これらダムの総計をいたしますと、最大流入量は毎秒千八百十九になりますが、そのうち千五百立方メートルをダムで調節いたしまして、下流に放流いたしましたのは三百十九という数字になるわけでございます。  以上でございます。
  109. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 今回の災害一つ特徴は、五十年災に比べますと雨の降り方が中、下流部に非常に多くて上流部は比較的少なかったということがあると思うんですが、これがもし逆に上流部に非常によけいな雨が降ったと、五十年災のときには多少そういう傾向があったと思いますが、こういうことになりますと、いま言われたような上流のダム群、これの調節能力も今回の場合には非常に効果を発揮しましたけれども、そういう雨の降り方になるとなかなかそれだけの効果が、調整能力の範囲を超えるということにもなりかねないわけでありまして、そうした場合には、石狩川の破堤ということにもつながるわけでございますので、やはり洪水対策全般の強化も必要でございますが、特にこの上流ダム群の一層の充実を今後も図っていただきたいというふうに考えるわけであります。  次に、もう一つの今回の災害の大きな特徴は、石狩川支流あるいは十勝、日高等の多くの中小河川はんらんによりまして、人家、田畑被害が大きかったことでありますけれども、こうした中小河川の破堤あるいは修復の状況はどうなっておりますでしょうか。
  110. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 石狩川につきましては、大変、非常な大きい洪水が出まして、計画水位を超えるという大出水となりましたが、御指摘ありましたように、ほかの河川におきましても特に十勝川、留萌川等におきましては計画水位に近い水位まで迫ったわけでございます。そういうことで各地で支川がはんらんしたわけでございまして、現在特に支派川として破堤の多かったところは石狩川、破堤または溢水でございますが、石狩川流域でございまして、その個所につきましては直ちに緊急の復旧を実施してまいっておるところでございます。
  111. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 この本流河川の改修が進むにつれまして、どうしてもこの本流の洪水量が増大をしていきますし、また到達時間も早くなってくるということから支派川の受ける影響が非常に大きいわけであります。その整備をひとつぜひ促進してくれと、これも非常に強い地元の要望でございますので、その整備に当たりましてもひとつ極力御努力をいただきたいと思いますし、それと同時に、いまお話ありました他流域の中小河川、この整備も大変におくれているわけでありますから、この促進につきましてもひとつ本流同様に、大河川同様に促進をしていただきたいと思います。  それから、今回の水害は、五十年水害に比べますと、これも午前中の御指摘にもございましたけれども外水はんらんは三一・五%と非常に少ないわけでありますが、内水はんらんが二三一%と二倍以上に上っておるということでございます。河川改修とともにこれらの内水排除の強化も治水対策の一環として非常に重要だと思います。もちろんこれは河川の改修と並行して調整をとりながら進める必要があるわけでありますが、これに対する対策はどういうふうにお考えになっておられますでしょうか。
  112. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 内水対策でございますが、内水対策外水対策との関連で十分整合性をとりながら考えるべきであります。これは先生御指摘になったとおりでございまして、まず外水があふれますと、これは量も多いし大変なことになりますので、外水はんらんしないように本川の整備ということから始まりまして、それに続きまして、整合させまして支川の改修ということを関連づけてやるわけでございます。また、それに続きまして、低位内地の排水ということがつながってくるわけでございます。これらの問題を外水内水それぞれ十分な整合をとりながら進めてまいりたいと思っております。  御指摘のように外水に対しまして、本川筋に対しまして、今回かなり改修の成果が上がったわけでございますが、支派川につきましてまだこれからやるべきことがたくさんございますので、支派川の改修を促進したいと考えております。
  113. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 いろいろお伺いいたしましたけれども、今回の経験にかんがみまして、石狩川並びに他流域の総合的な治水対策の強化を望みたいと思うわけであります。  次に、今回の災害に当たりまして、全作付面積の一四%に当たる十六万ヘクタールの農地が被災したということでございます。農作物被害については、まだ最終調査がまとまらないようでございますけれども、恐らく相当膨大な量に上るのではないかと考えるわけであります。  私も災害直後に長沼町に参りましたけれども、これは災害直後の役場の推計でございますが、長沼町だけでも五十億以上の農作物被害があるのではないかというふうなことが言われておったわけであります。  また、五日の日に私も十勝に参りましたが、比較的、従来は余り水害の少なかったこの十勝におきましても、代表的な畑作地域が水害によりまして麦の倒伏あるいはデントコーン等も倒伏、また豆等も相当な被害を受けておるさまを見たわけでございまして、これら被災農家に対する対策ということが今回の災害対策の重要な柱になるのではないかというふうにも思うわけでございますので、この点につきまして二、三お聞きをしたいと思います。  先ほど大臣からの御答弁もございましたけれども、まず第一に天災融資法の発動の見通し、また、災害資金等の限度額の引き上げ等につきまして農水省からお答えをいただきたいと思います。
  114. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) 天災融資法の発動の問題でございますけれども、現在、被害状況を勘案しながら検討しているところでございますが、最終的な農林水産省としての方針につきましては、目下統計情報部におきまして被害調査のとりまとめ中でございますので、その結果を待った上で決定いたしまして所定の手続を進めることといたしたいというふうに考えているわけでございます。  また、貸付限度額の問題でございますけれども、内地につきましては百六十万円、北海道につきましては二百八十万ということになっているわけでございますが、一応この金額で対応し得るのではなかろうかと考えておりますが、なお特例的な問題といたしまして、すでに天災資金を借り受けている者につきましては、借り受けております天災資金の償還に充てるためといたしまして八十万円を貸付限度額に加算をするという特例も考えているわけでございまして、そういった面で適切な対応をしてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  115. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 今回の被災農家は、いずれも五十年の水害以来、昨年の冷害も含めまして各種の災害に見舞われておるわけであります。いわゆるダブルパンチ、トリプルパンチを受けておる、こういった農家が多いわけでございます。したがいまして、すでに借り入れた借金の残高も相当な額にまで達しているということでございますので、これらの制度資金の返済条件の緩和、あるいは共済金の早期支払い等によって少しでも農家の負担を減らすということが強く要望されておるわけでございますが、これらにつきましてはすでに通達も出されておるわけでございますので、これが適切な実効を上げるように強力にひとつ御指導を願いたいと思います。  さらに今後の問題として自創資金の融資枠の拡大、あるいは戸当たりの借り入れ限度額の引き上げ等の問題もあるわけでございますが、これらの点につきましても従来各種の災害につきましてもいろいろな配慮がなされておるわけでございますから、今回のこの大災害に当たりまして、ひとつより一層の御努力をお願いをしたいと思います。  特に、今回の災害では、先ほども申しましたように麦あるいはバレイショ、てん菜、タマネギ等の畑作物の被害が相当に大きいわけでございますが、中でも麦につきましては例年ならばもうこの時分には相当刈り入れが進んでいるころでありますけれども、ことしは春先の低温等の影響もありまして、全道でも一、二割ぐらいしか収穫されておらない。大部分が収穫直前の状態で畑地に置かれておったということで、大変に被害が大きいわけでございまして、中にはもう全滅して秋まきの種もないといったようなところもあるわけでございます。これらの種の確保はもちろんでありますけれども、特に共済金の支払いに当たりまして、品質低下に応じた評価の特例措置、これをぜひひとつお願いをしたい。  麦の場合には今回は特に赤さびあるいは穂発芽等の発生が予想されるわけでございますので、こうしたものによる品質低下につきましてもぜひこの際御処置を願いたいと思うわけであります。  さらに、規格外麦の価格差補てん、これはなかなかむずかしい問題でございますけれども、これにつきましても何とか工夫をして農家の要望にこたえるような強力な手だてを講じていただきたいと思いますが、特にこの種子の確保あるいは共済金の特例措置、価格差補てんの問題等につきまして御答弁をお願いしたいと思います。
  116. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) ただいま御指摘ございました農業共済金早期支払い問題、既貸付金の償還猶予等の貸付条件の緩和につきましてはすでに通知を発したわけでございますが、引き続きこの面での徹底を図るため指導を強化してまいりたい考えでございます。  また、自作農維持資金につきましても、資金枠の問題、融資枠の問題、さらに貸付限度額の特例等につきましては天災資金との関連も考慮しながら、被害の程度、さらには北海道にはやはり特殊事情というものもございますので、そこらも十分に踏まえた上で、実態に即した適切な措置を講じていきたい、かように考えているわけでございます。  また、今般の被害につきましては、麦の被害が相当多額に上るという点が懸念されるわけでございますが、麦に関します共済についての損害評価の問題でございますが、ただいま御指摘の特例措置につきましては、いわゆる赤カビ、穂発芽等によります被害粒を収穫量から除きまして、それに相応する数量を減収として扱うという、そういった特例措置でございますが、この点につきましてはこの特例措置を講ずる方向で目下検討中でございまして、結論を得次第指導をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  また、最後に御指摘ございました規格外麦の価格差補てんの問題につきましてはいろいろむずかしい事情がございますが、現在検討中でございますので、若干の時間をおかしいただきたいと存ずる次第でございます。
  117. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 さらに規格外米の政府買い入れの特例措置並びに再生産に必要な種もみの確保、助成等の問題でございますが、これらにつきましても過去に若干やった例もあるようでございますので、実情に応じた御配慮をぜひお願いをしたいと思います。
  118. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) ただいまの点につきましては所管部局におきまして目下検討中でございますので、しかるべき時期には結論を出したいと、かように考えております。
  119. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 今回の災害に当たりまして、石狩川水系に設置された五十七の内水排水機場、これは全体として見ますと非常に大きな効果を発揮したと思います。この点は五十年災のときとは大分事情が違ったんだと思うわけでありますが、しかし、なお不十分な個所もありまして相当の湛水を起こした。特に今回の冠水の激しい、あるいは浸水の激しい地域につきましては、やはり内水排除機をひとつもっと設置してほしいという強い要望があるわけでございまして、これにつきましてはもちろん河川改修との関連がありますから、要望があるからといって直ちに設置するというわけにはなかなかまいらないという事情もあろうかと思いますが、特に長沼のネシコシ地域、これは嶮渕川の決壊ということもありまして、今回非常に大きな湛水を起こしまして最後まで水が抜けなかった地域でもあります。こういう地域の排水につきましても何とか特段の処置を講じていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  120. 北村純一

    説明員(北村純一君) お答えいたします。  内水の排除につきましては、河川の整備状況をも勘案いたしながら鋭意推進しているところでございますが、御指摘の地域は特殊土壌と低湿地で排水条件が悪い地帯であるために排水路の改修、それから排水機場の機能の増強等の排水改良を中心にいたしました国営土地改良事業を実施するべく、総合灌漑排水事業といたしまして御指摘のネシコシ地区を、また直轄明渠排水事業といたしまして千歳地区を、それぞれ直轄調査計画中でございます。  今回の豪雨による被害の実態にかんがみまして、排水条件の改良を図るべく極力早期に事業化できますよう努めてまいる所存でございます。
  121. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 全体として見ますと、内水排除の施設は非常によく稼働したわけでありますけれども、若干のポンプ場におきまして今回浸水被害のために洪水途中で運転を中止せざるを得なくなったというところがあるわけでございます。この理由についてはこれはまあいろいろあろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても、排水機場が洪水途中で中止するということはこれはあってはならないことでございますので、こういう機場の復旧については再度そういうことのないような構造にひとつ直していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  これはまあ具体的には、縦軸のポンプにするのが一番いいわけでありますけれども、そうしますと、非常に管理費もよけいかかるということで、五十年災のときにも若干こういうことがございまして、ポンプの周囲をコンクリートの壁で囲むというふうなこともいたしたわけでありますが、これも管理上出入りに非常に不便だというふうなこともあって、なかなか徹底しなかったというふうな点があって、非常にむずかしい問題でありますけれども、しかし、何とか工夫をこらしてこういう洪水途中に運転中止ということのないような復旧をぜひお願いをしたいと思います。この点についていかがでしょうか。
  122. 村山昶

    説明員(村山昶君) ただいまの御指摘の点につきましては、確かに今回の被災に当たりまして非常に地元から指摘されたことでございます。したがいまして、私の方といたしましては、被災した機場そのものは災害復旧ということで直ちに復旧するわけでございますけれども、ある意味では次の災害に備えたいわゆる予防的な、防災的な見地につきましても十分地元等に留意するように指導しておるつもりでございます。したがいまして、これは私どもの方の災害復旧の関連事業ということで取り込んで進めていくことができるわけでございますので、この点は今回の経験を踏まえましてできるだけ善処したいと思う次第でございます。
  123. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 最後に、今回の災害農作物被害中心といたしましてその規模も大変に大きく広範な地域にわたっております。しかも深刻な事態となっておるわけでございます。私が参りましたある市の責任者の方が、現在考えていることは、住民がどうやって生き抜いていくか、そういう生活の手だてをまず講ずることだと、そしてその次には営農のめどを何とか早くつかむことだと、それ以外にはいま私の頭の中には何もないというふうなことを言っておられたわけでございますが、こういった第一線の行政の責任者の悲痛な叫び、また被災住民の声にこたえるためにも、関係機関が総力を挙げて被災地の復旧あるいは営農指導に対処すべきであると考えるわけでございます。大変に行財政の面で厳しい時期ではございますけれども、こういった災害復旧事業の特殊性を配慮していただきまして、たとえば災害復旧事業に関する国庫負担の北海道の特例につきましても、何とか大臣のお力によりましてこれを存続していただくようにお願いをいたしたいと思いますが、これについての大臣の御決意を最後にお伺いをいたしまして質問を終わりたいと思います。
  124. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) 岡部先生のいまの御趣旨には賛成でございます。御承知のように、災害復旧被災地の復旧のために緊急に対処しなければならぬ。でありますから、一般の特例と同一に取り扱うことには賛成いたしがたいのでございます。そのことは各関係方面にも申し入れをいたしております。でありますから、今後各省庁の間で検討して御期待に沿うようにいたしたい、こう思っております。
  125. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 終わります。
  126. 藤原房雄

    藤原房雄君 限られた時間ではございますが、過日視察に参りました北海道のこのたびの災害につきまして御質問を申し上げたいと思います。  最初に被災者の方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、人命にも多大な被害がありました。お悔やみを申し上げるわけでございます。  このたびの災害については、午前中から先輩議員いろいろ御意見がございました。私ども一緒に参りましたし、またいろいろ話し合ってまいりましたからそう変わった意見があるわけじゃございませんが、何点かについてはもう少しはっきり御答弁をいただきたいし、また質疑していきたい、こういうことで何点かについて御質問申し上げるわけでございます。  最初に、このたびの災害には大臣も国土庁長官ということとともに北海道開発庁長官ということで、いち早く現地にはせ参じたというこの点については、私どもも非常に熱意といいますか決意のほどをうかがわれるわけであります。大臣は北海道なんというのは余りそう足しげく通われたところではないところだと思います。夏場にはいらっしゃっても冬場には余りいらっしゃらないと思います。今回の、八月三日から六日にわたりますこの被害状況をごらんになりまして、台風十二号による北海道大雨災害、ここにいち早く参じて、担当大臣として、所管の大臣として目の当たりに被害状況をごらんになってお感じになられたものは一体何であったろうか。新聞にはちょこちょこ出ておるんですけれども、直接お伺いしたいものだと思うのでありますが、どうでしょうか。
  127. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) 私も関係省庁の専門係官とともに現地視察いたしまして、そしていろいろ新聞やテレビで大変な被害がある、大洪水であるということを知っておりましたが、現地へ行って自衛隊のヘリコプターをお願いしてヘリコプターで方々視察して回りました。空から見ましたら一番よくわかりますので、大出水、洪水で被害の広大な地域に及んでおる石狩川流域等々、その被害の重大なのに驚きました。そして現地方々でヘリコプターをおりましくそしてお聞きしました。地元の市、町長等の切実な声もよく聞きまして、速やかに復旧事業をとにかくやらねばならぬ。また今後こういう災害が再び起こらないようにしなければならぬと感じました。地元の方々には謹んでお見舞いを申し上げてまいったような次第でございます。  災害特別委員会も開催されましたので、皆さん方のいろいろの御注意も参酌しまして、すでに私ども政府連絡会議というのをもう二回やりましたが、さらにいろんな被害のデータも集まりつつありますので、何回かこれを開いて、最終的には地元の方の要望委員各位の御要望等にもこたえて災害の復旧に当たりたいと、こう思っております。
  128. 藤原房雄

    藤原房雄君 これから私お話しすることも、またいままで先輩議員がお話しになったことも、結局はお金のかかることでございまして、しかも石狩川というのは金食い川と言われるぐらい泥炭地に工作物、堤防を築いたりなんかするわけであります。こういうことで、どうしてもこれは大臣の実際ごらんになった実感、先ほどのお話、飛行機の上からながめたということですが、その水の中にはもう市民の、農民の方々が生活をしていらっしゃる。その生活の場が奪われておるということでございまして、これはそこに生活の場を持っている方々にとりましては大変なことです。そういうことから近々しなければならないこと、そしてまた大変なお金のかかること、こういうことで、大臣もそれはそれなりの御決意をなさっていると思いますけれども、いま決意している十倍ぐらいもっと決意していただきませんと、実際これは進まないといいますか、地元の方々要望にはこたえ切れないことになるのではないか。いま臨調絡みでいろんなこと言われております。こういう中にありますが、しかし毅然と北海道開発庁長官北海道開発法にのっとりまして、大臣がその責任ある立場に立っておるという、こういうことで道民にこたえるひとつ強い強い決意でこれに臨んでいただきたい、こう思うのですがいかがでしょう。
  129. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) いま藤原先生から大いに叱吃激励を受けまして勇気百倍いたしております。その決意で臨むつもりでおりますから、いろいろと今後とも御声援を願いたいと思います。やはり第二次臨調の答申等もありますし、苦しいときでございますが、災害災害で特別のものでございますので、そういう点も政府部内でよく話し合って前進をしていきたい、対策を進めていきたいと、こう思っております。
  130. 藤原房雄

    藤原房雄君 私どもがこうやって話しておる間に、先ほどちょっと電話入れましたら、日高大雨洪水警報が出ておりまして、またあの災害のところへ雨が降ったら一体どうなるのかという、こんな心配をいたしておるわけでございます。私ども視察いたしましたときも大変な雨量でございまして、石狩なんかも警戒しなきゃならぬというような状況のときにあの委員会視察をいたしました。これからまた台風シーズンが参ります。先ほど気象庁の方がちょっとお話ししておりましたが、ことしはどうも災害といいますか、台風が多いようだと、こういうことのようでございます。そしてまた、このたびの前線の停滞というのは、五十年にもそういう状態があったのです。何も六百年に一遍あったんじゃなくて、つい五、六年前に雨量は確かに差はあったかもしれませんが、大きな被害をもたらしたやはり前線の停滞があった。気象条件といいますか、そういうものが、まあ確率的にはいろんな論議があるのかもしれませんけれども、現実先ほど気象庁の方のお話のように、こういう大雨をもたらすような状況に変化しつつある、こういうように厳しく見なければならないのではないかと思います。そしてまたこういう台風十五号ですか、北上しておるということ等も合わせまして、またいよいよ台風シーズンを迎えるということでございます。こういうことで、緊急性、そしてまた多額の金がかかるという、こういう中でのことでございます。私どももここでただ一問一答論議をしてそれで終わりということじゃなくて、こういういろんな角度から論議をし合ったことをぜひひとつ生かしていただきたいし、また、そのために長官としましてもひとつ全力を尽くしてこの問題には取り組んでいただきたい。これは本当は行政管理庁長官とか、官房長官とか、もう総理大臣なんか来てもらって、いろいろお話といいますか、こういう問題についてぶつけたいぐらいなところで、災害という範疇の中での議論だけではならないような気がするんですが、しかし、きょうは初めて——衆議院は後ほどで、参議院が先という、こういう現場的なお話が中心になるわけでありますけれども、また後日、後ほど機会を見て、ぜひひとつそういう財政の裏づけ的なことにつきましても議論しなきゃならぬと思いますし、またそういう取り組みが是が非でも必要だと、こういうふうに思う次第であります。  以上申し上げまして次に移りますが、石狩川の水系工事につきましては、これは四十年につくりました石狩川水系工事実施基本計画というのがあるわけですね。これに基づいてできているわけでありますが、この基本計画を見ますと、この基本計画には最初「河川の総合的な保全と利用に関する基本方針」と、こういうことで理念的なことが書かれておるわけでありますが、この石狩川につきまして、石狩川水系は、この流域は面積が一万四千三百平方キロに及び、北海道における社会、経済、文化の基盤をなし、本水系の治水と利水についての意義はきわめて大きいと。まあ十六年たっておりますけれども、こういう基本的な認識というものは今日も変わらないと私は思うんですが、これは建設省でつくったんですが、建設省の担当の方どうでしょう。
  131. 岸田隆

    説明員(岸田隆君) お答えいたします。  石狩川水系におきます治水、利水につきます意義はきわめて大きいということが現在の工事実施基本計画の冒頭に書かれておりますが、この認識につきましては、現在もいささかも変わりません。
  132. 藤原房雄

    藤原房雄君 特に都市化が進んだそういう中におきましては、この意義は非常に重大なものだと思います。それに伴いまして、明治以来営々として今日までやってきておるわけでありますが、それに伴いましてこの計画高水流量というものについても再三見直しがなされてまいりました。  北海道につきましては、北海道総合開発計画とか、道央地区新産業都市建設基本計画とか、こういういろいろな計画がございますから、それに伴いましての機能的な発展が今日までいろいろ計画がなされてきたんだと思いますけれども、この保全のことについて、洪水調節とか発電所及び各種用水の補給を目的とする多目的ダムとしてはかくかくしかじかと、こうずっと書いておるわけでありますが、そしてまたこの石狩川の掘削とか、それから無堤地区における築堤、それから有堤部における腹付け、かさ上げ、水衝部には護岸とか水制を設置するとか、河岸の決壊及び河道の乱流を防止するとか、こういうことで、洪水の安全に対しましていろいろな対策を講ずるということと、下流部の低地地域における内水対策等もあわせて実施すると、こういうことがうたわれております。そして、各種用水の補給を行うほか水資源の広域的かつ合理的な利用の促進を図ると、こういうふうに一番目は結んであるんですけれども、これはまあ五カ年計画、いろいろ計画を進めてきてはおりますが、一番きょうも議論になりましたことは、計画高水流量、これをどういうふうにするかということですが、五十年のときにこれは一応見直しがなされて、それが今回私ども視察をいたしまして、やっぱりそれなりに補強したところは、改良したところはそれなりの強さを持っておった。五百年に一遍とか六百年に一遍の洪水のためにということじゃなくて、やっぱりこういう事実があったという認識の上に立ちまして、こういう前文でいろいろ述べられております総合的な計画とともに、計画高水流量というものについても当然これは考え直さなきゃならない、このたびの、同じ石につまずくことのない治水対策のためには計画高水流量を見直す、こういう必要が絶対あるんだというふうに私どもは思うんですが、建設省ではこの点についてもいろいろ御検討なさっていると思いますけれども、どうでしょう。
  133. 岸田隆

    説明員(岸田隆君) お答えいたします。  現在の石狩川水系の工事実施基本計画は、昭和四十年に策定されたものでございまして、それに基づきまして現在いろいろ工事を実施しておるわけでございますが、昭和五十年の出水を契機にいたしましてその見直し作業を実施しておったところでございます。そこへ今回の大規模な出水が生じたわけでございまして、この出水を踏まえまして総合的な検討が必要だと考えております。  今回の出水で観測されました水位に基きます流量を現在の段階で推定いたしますと、毎秒一万トンを超える程度と考えられますが、さらに詳細な検討を踏まえまして、この流量も十分対処できるような総合的な検討を実施した上で工事実施基本計画の改定を行っていきたい、こういうふうに考えております。
  134. 藤原房雄

    藤原房雄君 基本計画の改定を行うという、そういうことですから、それはそれでいいんですが、ただ、第五次の治水事業計画、これはことしで終わるわけですね、第六次に入るんだろうと思うんですが、この第六次の治水計画につきましても、浸水常襲地帯をなくするということが一つの大きな柱になっていますね。こういうことから言っても、当然今回こういうことがあったわけでありますし、また、きょう午前中もありましたが、札幌の北部また地域によりますと、もう常襲地と言ってもいい、こういう状況でありますから、これは当然かさ上げをした、いま一万トンをオーバーというか、一万一千トンとか、いろいろ言われておりますけれども、それは調査の結果によってもう少しいろいろな調査をしなきゃならないんだろうと思いますが、そういうことで改定は当然必要なことだろうと思います。まあ改定するということでありますから、またそれに沿った今後の計画が進められると思います。  そこで、石狩川の河口部分というのは、本当に海抜ゼロメートルといいますか、もう非常に湿地帯みたいな落差のないところですね。そこへ北海道の三分の一ぐらいの流域面積の水が押し寄せてくるということになりますと、やっぱりどうしても河口部分についてはそれなりの配慮をしなきゃならぬことは当然のことです。そういうことの中で、このたびの総合的な治水計画というものが是が非でも必要になってくるんだろうと思います。貯水ダムも今日まで何カ所かつくられたわけでありますけれども、直轄のダムのことについてはいろいろお話があったようですが、これは流域石狩川水系の発電所やなんか全部これ関連するわけでしょう。当然発電所につきましても、こういう水かさが多くなったときにはやっぱり放水ということもあり得るわけですね。総合的にこの石狩川水系というものを管理監督するのは開発庁なんだろうと思うんですけれども、これはどうなんですか。
  135. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) 石狩川流域全体の河川コントロールという意味では、計画の調整でありますとか、それから計画の推進という意味では私どもでございますけれども、実際やっていただくのは建設省さんでございます。これにつきましては、やっぱり建設省さんの河川管理者としての立場から、いろいろ発電あるいは農業それから治水のダム等を合わせて、私どもの出先であります石狩川開発建設部がその仕事に当たっております。
  136. 藤原房雄

    藤原房雄君 何かわかったようなわかんないような話だけれども、実際やるのは開発庁だけれども、監督は建設省。改修工事とか何かどう進めるかとか、そういうこともこれから大事なことですから、そういうこともあれなんですけれども、現在、実際水位がどんどん高まってきて、それに対して各河川の流量とかそれからダムの現状、そういうものを把握していろいろ対策を講ずるとか指示をするとかというか、コントロールセンターみたいな、中心になるのは開発庁ではないかということなんですけれども、どうなんですか。
  137. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) 先ほども申し上げましたように、私どもの出先であります石狩川開発建設部が総合的にやっておりますが、それを管理監督するという立場にありますのは、これは建設省でございます。
  138. 藤原房雄

    藤原房雄君 それは直轄のダムとか、それから発電関係のダムとか全部、総合的にすべてを含むわけですね、建設省、水系全部。
  139. 岸田隆

    説明員(岸田隆君) 河川管理者として洪水時にはそういった利水ダムを含めまして総合的に十分連絡調整をとりながら実態を把握し、必要があれば河川管理者の方から洪水の調節等についての指示もできるようになってございます。
  140. 藤原房雄

    藤原房雄君 これはややっこしいことを何度も申し上げて申しわけないですが、実はいま地元で大変問題になっているんですけれども、朱鞠内ダムですね、これは幌加内町の添牛内部落というのとそれから政和部落という二つあるんですけれども、これが今回の、まあ朱鞠内ダムというのは発電用が主になっているわけですけれども、これの放水のために牧草地少なくとも五百ヘクタールについては大変な被害を受けた。しかも放水する量も三十トンほど流しておったものが、五日の日に四時間か五時間の間百九十四トンという大変な水を流したために、まあ自然河川ですね、この辺あたりは。そういうところですから、せっかく営々として築いた牧草地が一遍にやられたということで、まあそれはいろんな事情があったろうと思いますし、詳細にこれはまた調べてみなきゃならないことですが、とにかくこういう大きな石狩川河川であるだけに、全体系をよくつかんだ上でコントロールするところがきちっとしていませんと、雨量が多いことは、絶対量が多いことは間違いありませんが、朱鞠内でも二百七十ミリ降ったということですから。しかし全体の調整機能というものがますます重要になってくるんだと思うんです。で、地元ではこんな大量の放水のために被害を受けたということでいろいろ言われているんですが、このことについては突然申し上げたんで把握しておるかどうかわかりませんが、これはわかった時点で後からまた御報告いただければ結構ですけれども、こういうことでぜひこれは全体的なコントロールセンターといいますか、こういう全体系を把握するものがはっきりしていませんと各所にやっぱりこういう問題を起こす。  それから石狩川の、茨戸川ですね、今度は導水路が緊急につくられまして、そのために確かに救われた部分もあるんですけれども現地でいろんなお話を聞きますと、茨戸川については水位が刻々上昇しておりまして、地域人たちがもうこれ以上水がたまったら大変なことになる、早く運河水門を閉めてもらいたいということで申し上げたけど、なかなかしていただけなかった。これはただそこの運河水門だけの問題じゃなくて、これはもう伏籠川から各都市河川札幌から流れてくるものと、総体的な状況把握いたしませんとどうするかということは出ないだろうと思いますけれども、こういう石狩川本流水位がどんどん高まってくる。そのことのためにこのままだと茨戸川の方へ逆流してくる。その付近の人たちはそれを目撃して、これは大変だと、早く運河水門を閉めてもらわなきゃということで何度か、四回か五回と言っておりましたけれども、町長に言って、町から開発庁の方に一生懸命申し上げたけれども、なかなかやっていただけなかった。こういうことで、私ども当地へ参りましたときに札幌から強い要請があり、そしてまた地元の漁業者との話し合いがつき開通に踏み切ったという、こういうきれいな言葉でお話があったんですが、それはそういう手続は経なきゃならぬだろうと思いますけれども、実際あそこの水門をあけるとか、それから導水路をあけるとか閉めるとかというのは、関係の町村とか関係方々、これは漁業組合なんかも入るんだと思いますが、どういうところでその話し合いがなされてこれを閉めるとか、あけるとか何するとかという決断がなされるんですか。どういうふうになっているんですか。その辺をちょっと御説明ください。
  141. 萩原兼脩

    説明員(萩原兼脩君) お答えいたします。  運河水門と石狩放水路の件についてでございますが、今回出水に遭いました時点で、構造物としては運河水門の方は操作が可能な状態にはなっております。それから石狩放水路の方は一部まだ埋まっておりまして、そこの土をのければ放水が可能な状態になってはおりましたが、構造物の機能的な面で見ますと、いわゆるまだ操作の状態に入れる状態ではなかったわけでございまして、いわゆる工事中の施設ということになっておったわけでございます。まずそれが一つございまして、運河水門に関しましては先生御指摘のように、石狩町の方から、多少本川からの逆流の傾向が見えるので閉めてくれたらどうかというお話を開発局の方にいただいたようでございます。ただいま御説明しましたように、いずれも工事中の施設なんでございますが、運河水門はそもそも石狩放水路といわゆる一体の施設になっておりまして、石狩放水路が完成いたしまして水が直接石狩湾の方へ抜けるようになった状態で作動する計画のものであるわけでございます。これは計画上の話でございます。実際、当日雨が降っておりまして、水門だけは閉められる状態になっておりましたんですけれども、その閉めてくれというお話がございました時点でまだ茨戸川の背後地といいますか、いろんな川が流入してございます。この流域に相当な雨が降っておりましたので、一時的な逆流があったにしろ当然茨戸川の方の水位が相当急速に上がってくるだろうという判断がございました。しかも、その時点でまだ、結果的にはあとで石狩放水路を抜きましたんでございますが、その四日の午後の時点では石狩放水路がまだ抜けておりませんでしたものですから、閉めてしまいまして完全に茨戸川が袋状態になってしまうということは、やはり、今回対策上好ましくないだろうという判断をいたしまして閉めるのを少し見合わせたわけでございます。実際にいずれも緊急の措置でございましたものですから、河川法等を読み下しましても、どういう手続で、どこと相談した上でというものはまだ決まってない状態でございます。構造物としましては、当然重要な構造物になりますので、将来完成いたしまして正常な操作に入りましたらばいずれもその操作規則というものを河川法上設けなければいけないことになりまして、これは当然直轄の構造物であれば道の知事さんの方へ御相談をしまして、意見を聞いた上でそういう操作規則を決めるということになるわけでございます。  今回はまだそういう状態になるかならない前でこういう事態にぶつかったということでございますが、結果的には石狩放水路を、漁民の皆様の御協力等もいただきまして抜きまして、茨戸の水位は非常に急激に下げることができたということで、開発局としましては、結果、大過なく操作をさしていただいたという判断をしておるわけでございます。  以上でございます。
  142. 藤原房雄

    藤原房雄君 放水路の工事を早くやって水を通さなきゃいかぬということで緊急に急いで工事をやったのは何日の何時ですか。
  143. 萩原兼脩

    説明員(萩原兼脩君) お答えいたします。  緊急に石狩放水路をあけた方がよろしいのではないかという判断をしましたのは五日の午前中、昼に近い時刻であったと聞いております。その後石狩町及び漁連との相談をさしていただきまして、相談がほぼ具体的にまとまりましたのが五日の四時過ぎというふうに聞いてございます。その間現場では実際に開削をするための機械等の手配をやっておりまして、実際には五日の夕方五時過ぎから開削を始めたというふうに報告を受けております。
  144. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは導水路完成してない、いまお話がありましたけれども、完成してない、工事中ということでありますから、操作規程やなんかというのはまだはっきりできてなかったということなんだろうと思いますけどもね、でもこの雨量は四日から五日にかけて相当な雨量であり、これは容易なことじゃないということは当然国土庁でもこれはおわかりになっていらっしゃったことだろうと思います。昔は旭川雨が降って一週間ぐらいして石狩川に来たという故老の方のお話、いまはもうショートカットでこれはもう三日もしないうちに来てしまう。そういうことですから、四日の時点、五日に入らない四日時点でもう相当な雨量で、いまだかつてないこれは大変な雨量だということはおわかりになっていたはずですわね。それが石狩川に相当な水位を高めておるという、これは一つ石狩大橋が観測の地点になっているんですけれども、こういう運河水門ができるということになりますと、その開閉のためにはどういう時点でどうするかということでやっぱり運河水門の推進というのも大事なことじゃないんでしょうか。だから当然できたらやるということかもしれませんけれども、内々こういうことについては、特にこれから秋に向けてという、完成してないからこういうものはまだできてなかったんだ、緊急に話し合ってやったんだという、それで終わらしていいことかどうか、これはそれなりに五十年のあの経験を踏まえて導水路というものは考え出されたことでありますから、確かに漁民の反対があってなかなか工事が進まなかったという、そういういきさつについても私ども聞いてはおりますけれども、話し合ってわかんないことでは決してなかったはずですし、こういう五十年の災害、そこから出発したことであればもう少しこの手順というものは決めておってしかるべきじゃなかったかと私思うんですけれども、どうですか。
  145. 萩原兼脩

    説明員(萩原兼脩君) 先生のおっしゃいます雨の降り方と開削、緊急通水を決意する時間的な問題かと思いますが、御存じのように今回の雨は二山の雨であったかと思います。二山目の雨の大きさを見まして、やはりこれは相当むずかしい問題を解決してでも開削をすべしという決意をしたわけでございまして、時間的に、私どもはこちらにおりましたわけでございますが、決して遅い判断であったんではないんじゃないか、適当な時期の判断であったというふうに考えてございます。それからこれからは石狩放水路が抜けますれば、茨戸川流域というのは、運河水門につながってはおりますが、確かに水理的にほとんど石狩本川とは洪水的には縁がなくなることになりますので、当然茨戸川流域と申しますか、その切れました方の流域の中でのいろいろな管理体制ということを考えなければいけないと思いますし、現にその線に沿いましていろいろな工事をやっておりますわけですから、それなりの勉強もしておりますし、おくれのないような管理体制がしけるようにできると考えております。
  146. 藤原房雄

    藤原房雄君 私はかくかくしかじかの事実で何がどうだということで建設省責めているわけじゃないんですけれども、地元ではやっぱりこれはちょっといろいろ問題だということで議会なんかでも議論になっているようですが、そこらあたりひとつきちっとけじめをつけてもらいたいということと、これから台風シーズンが参りますので、これを緊急に通水したということでありますが、完成ということは一体これからどういうことになるのか、いま通水した時点でこれでもうということではないんだろうと思いますが、いつまでにどうするのかということや、また先ほどもお話があったこういう管理規程やなんかのことについてはこれは早急につくって、そして場というものを設けませんと、これはもう十五号台風が向かっているということですから、そういう先々のことではなくて、緊急にやらなければならないことではないかと思いますし、また、それに伴いまして通水のために漁民の方々は大変お気の毒といいますか、相当被害があったんだろうと思います。それは大きな市街地を守るためにやむを得ざることだといたしましても、それに対しましてはやっぱりそれなりの補償といいますか、お考えを持っていらっしゃるんだろうと思いますが、その辺についてはどうですか。
  147. 萩原兼脩

    説明員(萩原兼脩君) お答えいたします。  まず石狩放水路の今後の見通しでございますが、これは漁業問題が片がつかなかったので工事を中止していたということではございませんので、鋭意毎年やっておったわけでございまして、このまま工事的には五十七年度で大体完成といいますか、ほぼ完成の状態に持っていく、つまり五十八年度には完全な状態で操作ができるということにしたく考えてございます。当然その期間を通じまして漁協の方と漁業補償に関しまして交渉さしていただくということになるかと思います。  それからまた、当然完成しました時点で、ややこしく言いますと、開発局長の方から操作規則の案の上申が建設大臣の方へ来るという手続になるわけでございますが、工事中にあらかじめ暫定の操作規則をつくっておくというようないろいろ便宜的な手段もございますので、先生御指摘もございましたことですし、その辺をあわせて開発局の方で検討さしていきたいと思います。  それから、今回の放水と補償の関係でございますが、実は通水できない状態にはございましたが、ことしの四月三日で河川という認定をしております。したがいまして、石狩放水路そのものは水は通らない状態でございましたが、河川法上は河川そのものにもうなっておりましたので、当然河川の機能として水をはいたことになりますので、将来の問題も含めまして全体の漁連との補償交渉の中でお話が進んでいくことになるかと思います。
  148. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから、このたびの災害で思いますことは、先ほどもいろいろお話ございましたように、特徴一つということでしょう、内水とか外水とか、どっちが内か外かって見る見方によって違うんだろうと思いますが、それ皆様方のお使いになっている言葉から言うと、外水よりも内水というものが非常に多かった。二倍、三倍ということでありますが、そのためにはポンプアップをするとか、それから水をかぶって揚水機が働かなくなるというのは、揚水機の位置が大体水はこんなところしか来ないんだろうということだからそういうことになるんじゃないでしょうか。やっぱりこういうことの教訓の中からそれなりの位置づけをしなきゃならぬだろうと思いますし、内水排除ということについては先ほど来いろんなお話ございましたが、これは今後取り組まなければならない一つの大きな課題だと思います。  ただ、御存じのとおり、この水田がもう五割方減反をしておるということでかつては水田で、幾らかでも保水の能力があったのかもしれません。いまみんな畑ですから、畑になりますと少しでも水が来たら大変です。そういうことで保水力というのは極端に一ころから見ますと少なくなっておる。それから、山林のことや都市化の進行、こういうことでこれはただ河口でのことだけ、河口といいますか、最大高水流量だけではなくて、これは総合的な対策といいますか、考え方を持って対処いたしませんと、この問題については必ず弱いところにしわ寄せが来るということになるのじゃないでしょうか。五十年にやりましたところについてはそれなりに守られておる。しかし、弱い内水という、こういう都市河川、また農業用水、こういうものに行き先がなくなって大きなはんらんを起こす、こういうことから今日までも洪水のためのダムの建設や、それからそれぞれ今日までの計画がありましたし、またそれなりに進んでおるんでしょうが、どうしてもここで遊水地といいますか、現在都市における利水という、水を使う量が多くなっておりますので、降った雨をみんな流してしまうということは非常にもったいないことであります。そういうことでいろんな計画がそれぞれの都市でもなされておるわけですけれども、そういうダムの建設やそれから治山事業ですね、植林や何かのことについてのこととか、こういう総合的な観点でこれをつかまえていきませんと、ただかさ上げだけしたからそれでいいんだとか、内水排除のポンプアップしたからいいんだということでは済まされない。やっぱり総合的な計画をぜひこれはつくっていただかなけりゃならぬと思うんです。今日までもそれなりにやっておったことだと思いますけれども、とにかく何千年、何万年の長い歴史の中で石狩川は蛇行しておる。これをショートカットをして流水、水の流れは速くなったのかもしれません、百キロから縮まったということですから。それだけに水の勢いがある。そしてまた、河口にそれが押し寄せるということですから、丈夫なところはいいとしても、非常に弱いところに全部集中するということになるわけであります。そういうことから遊水地、北海道の今日までの河川状況等勘案しまして、洪水調整ダムとともに遊水地といいますか、こういうものももっと計画的にやりませんと、かさ上げだけで物事が進むというわけにはこれはいかないのではないか。こういうことで今後建設省としましても、先ほどお話しございましたが、最大高水流量だけじゃなくて、そういう総合対策というものもひとつ十分に勘案して今後の計画を進めていただきたいし、またその推進のためには大臣もひとつ決意を新たにして取り組んでいただきたいというふうに思いますが、どうでしょう。まず、建設省。
  149. 岸田隆

    説明員(岸田隆君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、今回の出水を踏まえまして基本計画の見直しを実施するつもりでございますが、その際に基本高水のピーク流量は現計画を大幅に上回るようなことが十分予想されるわけでございます。これは十分検討した結果でないと正確な数字については出てまいりませんけれども、そういう推定ができるわけでございますが、それの対処の方法といたしましては、先生御指摘のとおり単に河道改修のみならず、上流のダム群あるいは遊水地、それから当然河道の掘削必要でございますが、さらにまた放水路等もあわせて多面的に検討していく必要があろうかと思います。この点につきましては、具体的な法律につきまして流量の算定とあわせまして十分多面的に検討していきたいと考えております。
  150. 藤原房雄

    藤原房雄君 先ほどお話あったかもしれませんが、私ども長沼に行きましたときには、本当に太平洋の方に水を抜くような大胆なことをしなきゃ根本的なことにはならぬじゃないかというような、もう本当に抜本的な、根本的な改革をしなきゃならぬと、そういうことをおっしゃる方さえもいらっしゃるわけでありまして、小手先といいますか、いままでやっておりましたものにちょっとかさ上げするとか、そういうことだけではならないという感じがします。しかし、それらのことも全部これは財政が裏について回るわけで非常に困難なことだろうと思いますが、それはひとつ建設省も、また国土庁調整役としまして開発庁総力を挙げて、このたびのこの雨量が多いということで済ますのじゃなくて、こういうことに対処してこういう機会をとらえてひとつ真剣な取り組み、総合的な計画をお進めいただきたい、こう思います。  石狩川のことについては、札幌の都市近郊になります伏籠川総合治水事業、これも相当金かけて今日までやっては来ておるんですが、都市化進行の中でつまりこれも緊急に取り組まなければならない問題ですね。  それから、それぞれの地域に行きますとそれぞれ問題があるようですが、たとえば美唄のようなところでは町が国鉄によって二分されておるんですね。山手の方で雨降ったものが国鉄の線路をはさんでこっちへ流れてくる。導水路というものが非常に限られておるということで今回非常に被害を大きくした、こういう被害の実態等をつぶさに調査をなさいましてそれなりの対策をひとつ講じていただきたいと思うんです。時間もありませんからそれぐらいにしておきます。  次に、日高の方へ参りまして、日高で問題になったのは、治山事業というものをもう少ししっかりしてもらいたいということですね。これはもう三十年来、よく雨が降りますと苫小牧から室蘭の間、しょっちゅう河川が決壊しましてあの室蘭本線がとまったものです。最近は河川もしっかり改修いたしましたし、それらの対策を講ずるようになりましてからここ数年というのはとまったことがないようですね。ところが、日高というのは、日高地方は同じような火山灰地、こういうことで経済効果とかいろんなことでという、地元の方はそういう非常にひがんだ言い方をするんですが、少なくともそこに多くの方々お住まいになってそれなりの産業の振興のためにがんばっていらっしゃる、こういうことから言いますと、日高だからおくれてよろしいということはないだろうと思います。この火山灰地の、非常に金のかかる事業ですけれども、いま崩れたところにつきましては緊急治山事業、また緊急の砂防事業、ぜひひとつこれは取り組んでいただかなければならぬことだと思います。このことについては現地調査をなさってこれからまたいろいろ対策を講ずることだと思うんですけれども、今回の被害のあったところについては砂防事業や治山事業、こういうことで進めるだろうと思いますが、どうでしょうか。——建設省いませんか。
  151. 小沢普照

    説明員(小沢普照君) お答えいたします。  今回の災害、非常に広範囲に発生いたしておりまして、これに対しまして私どもといたしましては次のような方針で対策を講じてまいりたいと思っております。  それは、今回新たに発生いたしました林地崩壊の中で次の降雨等によりましてさらに人家とか公共施設等被害を与えるおそれのある個所につきましては、緊要なものから緊急治山事業ということによりまして早急に復旧する予定にいたしておるわけでございます。  その他小規模な林地崩壊につきましても、災害の程度に応じまして林地崩壊防止事業、あるいはまた小規模山地災害事業というような事業によりまして緊要な個所から復旧するよう準備を進めてまいっております。
  152. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから、日高では市街化区域の急傾斜地ですね、これの事業もしなければならないところがありますね。これは建設省の担当の方いらっしゃらないかもしれませんが、治山事業、それから砂防事業、緊急の事業と、それから急傾斜地の事業、こういうことについては、災害地でありますからそれなりに担当のところで取り組んでいらっしゃるのだと思いますけれども、ぜひひとつこれは調整官庁といいますか、国土庁長官被害地につきましては最大限ひとつ調査をなさって、現状を一番把握していらっしゃるわけですから、この問題についてのひとつ推進を図っていただきたいと思うんです。  次に、農業関係なんですが、農作物のことについては先ほどいろいろなお話もございました。このたびの被害状況、私どもも参りまして、いろんなことがございましたが、農地が相当泥をかぶっておるとか、その排除が大変だという、先ほど来いろんなお話ございまして、皆さんも十分に御存じのとおり、去年の冷害で大変な被害を受けておる、借金をしておる。そこへこのたびの被害ということで、中には、極端な言い方をしますと、もう手をつけるすべを知らないという方々いらっしゃいます。先ほどの視察報告の中にも三世帯離農する方がいらっしゃったというお話もございましたように、私どもここでああでもない、こうでもないという議論しているさなかに、農民の方々は将来どうしようかという方々も数多くいらっしゃるということです。この農地の堆積した土砂とか、農地の復旧に当たりましてはこれは法律で対処できることになっていると思うんですけれども農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、暫定措置法ですか、これで大体復旧のめどはつくんじゃないかと私どもは見ておるんですが、今回の被害の非常に大きいことや、また集中的なこととか、こういうこと等もあわせて、農林省が把握していることと、この法律の適用等についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、その点ひとつ御報告いただきたいと思います。
  153. 村山昶

    説明員(村山昶君) ただいまのことにつきましては、先生の御指摘のように、俗に申します暫定法の中で取り扱えることになっておりまして、この件につきましては非常に復旧が急を要することでございますので、現地におきましてその実情に応じて早急にその土砂排除をするようにということを指導しておる次第でございます。
  154. 藤原房雄

    藤原房雄君 具体的にはどういうことなのかさっぱりわからないけれども現地に即応したようにということですが、この法律は比較的よくできている法律だと思います。とにかく農民にすると、われわれもう自己負担なんて一銭だって出しゃしないぞという感じなものですから、ひとつ現状をよく把握して、適応した対応をしていただきたい、こう思うんです。  それにしましても、大臣、こういう暫定法とか、そのほか天災融資法とか、いろいろな制度があるんですが、激甚災害の指定がございませんと、これはあるとないとでは大変なことです。これはもう先ほど来お話しのように、実態がわからないからということですけれども、これはもう役所の方もいろんな努力をなさいまして、最近は一ころよりはずいぶん早く作業をして結果が出るようになりましたですね。前向きでという話なんですけれども、もう九月になると涼しくなる、十月になるとちらほらという、こういうことで来年の営農ということに、再生産——牧草地なんというのはもうこれは大変なんです、生き物を扱っていますから、それはあるとないとでは大変なことです。現在受けた被害と、それからこれから再生産のためにそれが、本当に来年営農できるのかどうかということ、こういうこともかけまして、激甚災の指定ということは非常に被害を受けた方々の今後の見通しの上において大事なことなんです。それだけに地元からも強い要望もあり、各委員からも強いお話があったわけでありますけれども、天災融資法にしましても、暫定法にしましても、やはり激甚災の指定がありますと、それに伴います低利な措置とか、またそれぞれの対策が講じられる。それは実態がわからなきゃというのは、そんなことは当然のことなんですけれども、大体の見通しとしていつごろまでに、または作業をいままでよりももっとひとつ急がしてやって早くにやるとか、それとそれからまた前向きなという話ですけれど、当然そういうことになるだろうということで、まあ早くそういう対策を講じさせるとか、去年冷害のときにはこれはもう大変な被害状況だということで、それなりの処置とられましたですね。こういうことで、今回も実態わからないからそういうことは言えませんよということじゃなくて、やっぱりやれることはやるような適切な処置というのは、これはお考えいただかなきゃならぬでしょう。現場をよく御視察になった大臣ですから一番この実態はおわかりになっているんだと思いますけれども、どうですか、この点の問題は。
  155. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) 御承知のように記録的な大雨北海道が大変な災害をこうむってまことに残念に思っております。  それで、最前から各委員方々からも質問がありましたが、この激甚災害の指定をやるかやらぬか、早くやるようにという御意見がございました。私も同感でございます。いつやるか、指定するかという断定は私一存だけでは何とも言いかねますが、大体前向きにそれを考えておるというところで御了承願いたいと思います。現地においてもそういうことを申し上げましたし、それで大体、一応の御了承を得ております。でありますから、前向きにひとつ検討いたします。いろんな災害の実情から見て明るいというか、いわゆる激甚災害の指定については明るい見通しにあると御了承のほどを願いたいと思います。  それからさらに天災融資法についても、これは農林省でやるんですが、この調査を進めておりますが、内々においてはこれも前向きに善処したいという意向らしゅうございます。
  156. 藤原房雄

    藤原房雄君 大変、太陽がちょっと上りかけたみたいな明るい話で、ひとつ調査時点で対処すべきことについては積極的にお取り組みいただきたいと思います。  厚生省とか、大蔵省とか、それぞれの立場でまたいろいろお聞きしたがったんですが、時間もございませんで本当に申しわけございません。  中小企業につきましてもいろいろお尋ねし、または御要望したいこともございます。要望書にもいろいろございますけれども一つ申し上げておきたいことは、北海道全体としましては非常にここ——こんなこと言っていいかどうかわかりませんが、倒産が相次いで起きまして、また非常に不況感に覆われております。去年の冷害、これがまた、町村におきますお店屋さんとかそれぞれの経済にまた大きな影響を及ぼすことは当然のことでありますけれども、そういうことで、建設関係についても相当な倒産件数が多かったのであります。そういうことで地元企業としましては非常に経済力といいますか、力がない、そういうことでこれからいろんなお仕事が始まるに当たりましてもひとつそれらの企業に活力を与えるといいますか、力を与える意味で、金融面のことについてもまた工事等についても、やっぱり地元の業者がそれなりに立ち上がっていけるように、とにかく査定にしましても何にしましても、限られた人数でこんな大きなことを査定するということはなかなかこれは大変なことで、これは冬場間近に迫っているという北海道の特殊事情を勘案して、ひとつ適切な処置をいただきたいと思いますし、またことしの春ですね、一月、豪雪で大変な被害を受けた。夏は夏でまたこの大雨のためにという、とにかく町村によりますと大変な、想像を絶する状況にあることは間違いありません。門別町に参りますと、あの町自体一般会計でおよそ五十億足らずのところで被害額は百億を超しておるということですから、およそこの状況を見ればおわかりになることだと思います。こういうことで非常に不況感の中にある中小企業、こういうことに対しての金融とか工事発注等につきましても十分にひとつ御配慮をいただきたいと思います。  また地方自治体の財政ということが、これはもう一番大事なことになるんだろうと思います。自治省の方もお呼びしておるわけでありますが、自治省もそれなりにいろいろ対処をしているようでありますけれども、このたびのこの被害に対しまして自治省として決めたこと、それからこれからまたやろうとすること、いろんな要望がございますが、時間ありません。いま考えておりましたことで、今後また取り組んでいきたいということで自治省からひとつ地方自治体に対する財政的な問題について御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  157. 鶴岡啓一

    説明員鶴岡啓一君) 被災地方公共団体に対します財政措置でございますが、とりあえず資金繰り等の問題もありますので、きょう付で九月交付分の普通交付税の繰り上げ交付実施いたすことにしております。  なお、今後被害状況等につきまして関係地方公共団体あるいは関係省庁より事情を聞いた上で地方債の配分、あるいは特別交付税措置等により適切に対処してまいりたいと考えております。
  158. 藤原房雄

    藤原房雄君 これで終わりますが、大臣、いまわずかの時間ですから、もう思っていることの幾らもしゃべれないうちに時間になってしまった。まあ何申し上げても全部その裏にお金がついて回って、特に北海道という、こういう特殊——もう冬は雪深い、積雪寒冷、そしてまた夏にこういう雨、去年は冷害、どこの町村も四苦八苦です。税の減免とかなんと言ったってもうその穴埋めはどうするんだというようなことがついて回る。石狩川にしましても、これは膨大な、何兆とか何かいろいろ試算もあるようでございますけれども、こういうことで、ひとつ大臣、国土庁というのは調整機関で調整していればいいという、こういうんじゃなくて、ひとつもう少しきちっとしてがんばっていただきたいと思います。また北海道開発庁長官ということでありますから、ひとつ是が非でも北海道のこのたびのこの被害、二度と同じ石につまずくことのない対応策、対策ひとつ力強く手を打っていただきたい、このことを要望いたしまして私の質問を終わります。
  159. 下田京子

    下田京子君 今回の北海道水害でまず亡くなられた方々へ心からのお悔やみと、また罹災者へのお見舞いを申し上げて質問に入りますが、第一番目に、いろいろ議論されておりますけれども石狩川水系の工事実施基本計画の見直しに当たって現行計画の約五割増しでいま営々検討中だという話がありました。これに関しまして、私は以下三点を特に留意されたいという点で御質問申し上げます。  その第一は、お話がございましたが、ダムあるいは遊水地そして河道その他放水路など全面的見直しに当たって過去の治水あるいは水害の実態を歴史的に踏まえて新たな今回の災害の教訓を導き出した上で進めてほしい。つまり、三十六年、七年の場合には、まだ無堤地区がかなり多かった。そういうところでもって洪水、越水というものが非常に大きく出たわけですね。また五十年に当たっては一応連続的に堤防がつくられたけれども、その中で暫定堤防が部分的に決壊してというふうな中での災害が多かったと思うわけです。今回の場合には、石狩川本堤は一応守られて、むしろその全水量が下流にばあっと短時間で運ばれて長時間高水になるというような事態の中で内水排除がうまくいかなくなる、あるいは石狩本流との合流地点で溢水するとかというふうなことで特に下流で被害が出ていた、多かったと思うわけです。この点でのひとつ教訓をしっかり踏まえていただきたい。  それから第二番目には、そういう点から見まして河川流域の土地利用のあり方という点を十分に検討されたい。本来湿地帯には、これはもともと遊水地的な役割りが果たされていたわけですけれども、現在はそれがいろいろと技術的にも改良されまして、水田あるいは転作によっての畑地、そして宅地ということになってきたわけですけれども、非常にこの河川流域の土地利用、特に内水排除という点で具体的な、そしてまた総合的な対策が必要ではないか。  それから、三つ目には、特に後でまた札幌市の問題でお尋ねしますけれども、都市河川の整備を重点的にしたいわゆる都市開発という問題も考えた、こういった点での総合的な見直し、これらが必要ではないかという点で、以上三点を踏まえた上での見直しという点で、細部にわたってこれから具体的に対応いただけるかどうか。
  160. 岸田隆

    説明員(岸田隆君) お答えいたします。  石狩川水系の工事実施基本計画の改定につきましては、今回の出水を踏まえまして総合的な検討を実施した上で改定してまいりたいと思うわけでございますが、先生御指摘のように、現在まだ調査検討中でございますが、その規模はかなり現計画を上回りそうだという見通しが立てられております。  それに対します処置といたしまして、いま先生三点御指摘いただいたわけでございますが、まず、この工事実施基本計画の根本でございます基本高水の処置につきましては、十分技術的な可能性あるいは経済性及び社会的な条件を勘案しながら、ダム群あるいは遊水地、また河道改修、放水路、そういった多面的にわたって検討してまいりたいということでございますが、その際に、過去の水害の実態を見詰めて十分検討しろと、こういう御指摘でございます。過去の水害、三十六年、三十七年あるいは五十年の水害、今回の水害、それぞれ降雨条件も違います。それから改修途上の段階におきます状況もいろいろ違いますので、それぞれの被害状況はそれぞれのまた結果を生んでおるわけでございます。そういった過去の水害の実態は十分調査検討の際に盛り込んで、改定の計画の中には織り込んで検討していきたいというふうに考えております。  それから、また、第二点の河川流域の土地利用のあり方でございますが、特に、最近の水田が畑地になり、さらには宅地になるような状況から、内水排除の問題等も起こっているのではないか、こういう御指摘でございました。そういった面も十分あろうかと思いますし、土地利用のあり方も十分に踏まえながら、今回の改定に際しまして、特に、石狩川全体の、幹川と申しますか、本川の流出流量につきましては、流域が非常に大きゅうございますので、細部にわたります土地利用のあり方は直接本川の流量にそう大きな影響はないかと思いますが、支川等につきます小流域につきましては、やはりそういった土地利用のあり方等によります流出量の問題がかなり影響ございますので、その辺も十分勘案して、検討していきたいと思っています。  また、第三点目の都市河川の整備につきましても、十分に最近の都市化の進展等を考慮しながら、これもいま第二点に申しましたいわゆる大流域、全体の流域についてはさほどの流出量の増大に占めるウエートは小さいかと思いますが、支川等の小流域につきましては十分に流出量に対する配慮が必要だと思います。その辺も考えながら検討を進めてまいりたいと思います。
  161. 下田京子

    下田京子君 総合的に検討するということですが、具体的にお尋ねしますが、これは江別市から出されている御要望なんですけれども、特に、下流対策という点で非常に重要な意味があるんじゃないかと思うんです。陳情項目等一々読み上げませんけれども、その一点を見ますと、石狩川を初め、千歳川、夕張川、幌向川、清真布川、厚別川及び野津幌川の各築堤並びに樋門等河川管理施設の総点検をいま一度実施するとともに、各河川基本計画の見直しとその早期実施を願いたいということを言っておられるわけで、私はここでは、特に、江別市にはっきりあらわれておりますけれども石狩本流の下流対策という点で、やはり各河川の総点検ということが必要ではないか。    〔委員長退席、理事鈴木和美君着席〕  これが一つと、その中で、いま基本計画を見直しするということですけれども、その際に、こういうふうに出されているように、住民の意向あるいは関係者の意向をいかにくみ上げていくかという点でそれらが大切ではないかと思うんです。私は江別市の場合には二度ほど伺ったのですけれども、豊幌の農家の皆さん方も、何日間も避難されていて、農協の三階なんかにお泊まりになっていましたけれども、一日も早くお帰りになれるようにという話をしましたら、帰れる家があるかどうかもわからぬ、三十六年、七年も水害に遭ったし、五十年にも遭った、去年は冷害で、ことしも遭った、幾ら努力したって借金借金でどうにもならない、借金はいずれ返さなければならない、国がめんどうを見てくれるのかと、こういうふうに言われて私もおしかりをいただきましたけれども、まさにそのとおりだと思うんですね。そういう農家の皆さんの声にどうこたえていくのかという問題もありますし、それから豊幌の施設、これは委員調査報告にもございましたけれども、恵明園のお年寄りの皆さん方が五十年にも災害に遭っている。今回もそうなんですよね。幸い、一人もけがなど出さないで、たまたま訓練もやられていたということで避難が早くやられたようですけれども、本当にこれらの皆さん方のことを思うとこれは人災だと言われても仕方がない部分があるんじゃないかと思うわけで、そういう点で中央の河川審議会等ございますけれども地方河川審議会は、これは、状況に応じて別途設置される場合もあるでしょうけれども、とにかく、石狩本流のみならず、そういう総合的な問題でどうするのか、特に下流対策をどうするかといったときに、地元住民の意向をよく聞けるようなそういう対応をしていただきたい。  二点についてお尋ねします。    〔理事鈴木和美君退席、委員長着席〕
  162. 岸田隆

    説明員(岸田隆君) 石狩川下流部の江別市周辺につきましては、確かに、五十年の災害、また今回も災害を受けたわけでございまして、まことに残念でございますが、五十年のときは本川の溢水でございます。今回はまた支川の方の災害というふうなことで水害を受けたわけでございます。今回の基本計画の見直し作業の中でそういった経験を十分に考慮いたしまして、基本計画が安全に処理できるように、十分検討してまいりたいと思います。  また、地元の要望河川審議会等の中でくみ取っていくべきだという御指摘かと思いますが、工事実施基本計画を策定いたす場合に河川審議会の議を経てつくるわけでございますが、河川審議会の原案を作成する段階におきまして十分地元の御意向をくみ取りまして、いろいろ協議させていただきまして、検討を加えて原案を作成し、そうして河川審議会は河川に関します学識経験者の委員の先生方をメンバーとしてつくられております。その中でまた十分広い観点から検討を加えていただきまして、地域要望に沿った方向での工事実施基本計画にしていきたいというふうに考えております。
  163. 下田京子

    下田京子君 この見直しに当たって大臣に一言お尋ねしたいんですけれども、いま建設省の方からお話がございましたが、特に私は、いま建設省が来年からスタートします第六次の治水事業計画、これに当たりまして、災害を未然に防ぐ、あるいはまた災害の一日も早い復旧をという点での、所管大臣として、特に私は第六次の治水計画の中に、都市河川対策と言いますか、都市災害対策という面を十分に考慮して総合的に対応いただきたいということで、その決意をお聞きしたいわけなんです。と言いますのは、他の委員からも御指摘ございましたが、札幌市ですね、これは札幌市長さんからは大きく三点、伏籠川の総合治水の事業の早期完成の問題であるとか、その他のことについていろいろございますけれども、もういろんなところで毎回毎回被害が起きているんですね。ですから札幌市独自で、そういう湿地帯あるいは水害常襲地帯には住宅を建てる際にげたをはがせようなんということで条例なんかもつくっておられるようですけれども、それは一時しのぎなんですよね。これはもう建築費がかさむでしょう。根本的に下排水道なのか、雨水はどうするのは、あるいは内水どうするのかというふうなこととあわせて都市河川というものが非常にいま重要になってきていると思うんです。そのところに焦点を当てて、都市災害対策、都市河川を重点的に見直していく、あるいは改修していくという点でぜひ第六次の治水事業計画の中に大臣としても積極的に意見を盛り込んでいただけるようにお願いしたいと思うんです。
  164. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) 御説はよくわかりました。  第六次の治水計画の中に都市災害対策等を十分考慮して入れるように、具体的には札幌においてその被害が非常に出ておる、そういうことでございますが、都市河川の見直し等について関係省庁と相談して御期待に沿うように考えていきたいと、考慮していきたいと思っております。
  165. 下田京子

    下田京子君 考慮と考えと若干違うんですが、単なる考慮じゃなくて具体的に検討するというふうに私は解釈させていただきたいと思います。  個別の問題になりますけれども長沼町の問題で、こういう現地からの訴えが届いているのでちょっとお読みしたいと思うんです。これは長沼町の第十二区の区長さんが町当局に出されたものなんですけれども、お読みしますと、町当局には今回の集中豪雨被害の後始末に日夜にわたり御苦労さまです。今回の豪雨は区内全域にわたり大被害をもたらしましたが、特に炭山川の流域に大きく、そして馬追山からの流木等が河川に詰まり、がけ崩れを起こし、水田や畑地に石や土砂が流入しました。このままでは農地として再使用できないところが各所にあります。昭和四十三年五月以来のミサイル基地の建設に当たり、炭山川にも砂防ダムをと陳情してきたことがありますが、なぜか取り入れてもらうことができませんでした。今回の被害も、炭山川に砂防ダムがあり、河川の改修ができておりましたらと思うとき残念でなりません。関係住民の被害をつぶさにごらんの上、今後の対策をお願いしますと、これは八月の十日付で出されている問題なんです。こういう訴えが出ていることにかんがみまして、建設省にお尋ねしたい点、これは炭山川あるいは馬追山に関する被害の実態がどうであるか。それからまた、今後どのような対策を検討されているか。
  166. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) お答えいたします。  炭山川につきましては、これは馬追運河の支川でございます。馬追運河は夕張川に入っております。この上流にもう一つ支川がございまして、そのまた支川でございまして、流域面積が一・一平方キロ、長さが〇・九キロ区間が河川となっている区間でございます。この区間につきましては、今回の施設災害としましては一カ所だけ護岸が崩れたところがございますが、あとは施設災害はなかったようでございます。またこれにつきまして、この改修事業でございますが、これは下流の方、いま馬追運河を鋭意改修しているところでございまして、下流の受け入れ体制をつくった上で上流に上がっていくわけでございまして、現在のところまだ改修する計画はございません。以上が現状でございます。
  167. 下田京子

    下田京子君 同じく炭山川、馬追山に関して、農水省、今回どのような被害状況をおつかみになっておりますでしょうか。
  168. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) 今般の大雨によりまするところの長沼町の炭山川流域及び富士戸川流域農業被害でございますが、同町からの報告によりますと、長沼町全体としての耕地面積は約八千八百ヘクタールでございますが、そのうち炭山川流域におきまして冠水ないしは浸水被害を受けました農地面積は二十五ヘクタール、また富士戸川流域におきまして冠水または浸水等被害を受けました農地面積は三十二ヘクタール、両川の流域におきまして冠水浸水等被害を受けました農地面積合計は五十七ヘクタールという報告を受けております。
  169. 下田京子

    下田京子君 防衛施設庁お見えですね。——この問題は過去のことについてはいま係争中です。ですけれども、今回の災害については、いま建設サイドでは施設被害一カ所と、それから農水省はそれぞれ被害面積等報告ありましたが、現地の皆さん方の私への訴えですと、写真もここにあるんですが、七カ所出ています。防衛施設庁に私はいま検討いただきたい点は、一つは、まず現地に赴いて調査してもらいたい。それから二つ目には、裁判中の問題は過去のこと、今度の問題は別途現地とよく協議して新たな対応を考えていただきたい。この二点についてお答えください。
  170. 米田昭典

    説明員(米田昭典君) 長沼の分屯基地を過去建設したわけでございますが、建設によります地形の変更があったわけでございます。この変更につきましては、私どもといたしましては必要十分な代替施設を設置しておるという考えでございまして、実は今回の水害の原因がこのわれわれの基地をつくるために地形変更したことによるものであるとは考えていないわけでございます。したがいまして、今度の災害につきましても実はすでに現地調査をしておるわけでございますけれども、富士戸川につきましては災害はないというふうに報告を受けております。  なお、炭山川につきましては、いま申し上げましたとおり、地形の変更によりますことにつきましての必要十分な代替施設をつくっておるということから、現地調査を実はやっておりませんでございます。したがいまして、今後も私どもといたしましては、炭山川につきましては自然災害というふうな考え方でおるわけでございます。
  171. 下田京子

    下田京子君 これは議論しても始まらないところですけれども、そういうふうな考え方では国を守ることもできませんし、そして民生の安定もできないでしょう。いまお話伺っておわかりでしょう。富士戸川については被害がないと言っているけれども、これは三十二ヘクタール冠水浸水と出ているんです。で、現地では被害があるから何とかせいと言っているんです。町長さんも民生の安定という立場から考えろと言っているんです。現地に一方は調査に行ったと言って、一方は行かないと言っているけれども、まず赴いて調査するということは当然必要じゃないでしょうかということを再度申し上げて、この点については質問を終わっておきます。  次に農業災害に対する問題でございますけれども、共済の未加入のいわゆる小麦作付農家が大変今回被害に遭っているわけですね。で、空知石狩はもう本当に転作小麦が中心なんですけれども、ほとんどが共済に入られてない。これは私が言うまでもなく当然加入でございます。で、なぜ入らないかといったらそれぞれの理由はあると思うんですよ。五十三年以降にばっとつくったとか、まだ実績がないだとか、いままで作柄もまあまあだったとか、そういうこともあって農家も積極的でなかったなどという、まあいろいろありますけれども、とにかく災害対策の柱はやっぱり共済制度だと思いますね。ところが、今回災害に遭われた空知石狩がほとんど入ってないという点でこれはもう早急にひとつ今回の教訓から特別の措置と助成措置も含めて共済加入促進を図るべきではないか、これが一点と、念のために、あとその共済の損害評価の特例、検討中だということですけれども、早くに結論を出していただきたい、二点。
  172. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) ただいま御指摘を受けましたように、麦、特に水田の麦につきましての農業共済の引き受けにつきましては必ずしも順調でないという実態にあるわけでございます。これまでも農林水産省といたしましては適確な引き受けを行うよういろんな機会をつかまえて指導をしてまいったわけでございますが、先生も若干お触れになりましたように、非常にむずかしい問題がございます。  たとえば一つは、共済制度といいましても保険の一種でございますので、共済掛金の納付という農家の経済的負担を伴うという側面があるわけでございますし、また、水田麦につきましては栽培経験が浅いために基準収穫量を適正に把握するということは非常に短期間では無理である、むずかしいと。たとえば二、三年程度は必要とするというふうな事情もございまして、組合等が農家全体の合意を得るということにつきましてはかなり説得と時間を要するという実情にあるわけでございます。しかしながら、最近におきましてはやや加入の動きが出てまいっておりまして、たとえば今回被害が大きかった長沼町について見ますると、ことしの秋麦から引き受けを開始するということの決定をしてきたわけでございますが、また、その他につきましても来年度あるいは再来年度からは開始をするという、そういう経過があった組合もあるわけでございます。しかしながら、いずれにいたしましても今回の災害を契機といたしまして、農家の間にも共済に関します認識が深まるものと期待されますので、これを機会にひとつ私どもといたしましても北海道庁なり道の共済連合会等と十分協議しながら、農民の理解と協力を得ながら、円滑に麦共済が開始されるように指導を強化してまいる、そういう考えでございます。  また、次の第二点の麦の損害評価の特例措置でございますが、これにつきましては特例措置を認める方向で検討中でございますし、近く結論を得次第その方向で指導をしてまいりたい、かように考えております。
  173. 下田京子

    下田京子君 時間がなくて、簡単によろしく。  いま私が言ったのは、特別措置や助成金も含めて検討しなさいと、それは答えていただいてないわけ。  これは過去の例を見ますと、五十五年には一組合平均しますと二十万八千田ほど事務費で補助しているんですよ。それはもうやっていただけるというふうに私はとらえて、ぜひお願いをします。  次に、規格外麦に対する麦振興特別基金の補てんの問題。これは他の委員についても、検討してできるだけ実施したいという話でしたが、私もあえてこれは申し上げておきたいのは、五十二年度限りで十八億円ほどの基金で始まったわけですが、その後五十四年、五十五年も実際にはやられていますし、一定の数量、要件等合えば当然考えてしかるべきだと、ですから、もう再度私からもぜひこれは補てんを実施していただきたいということを重ねて要望したいと思います。  それから、自作農維持資金災害資金の特例の実施の問題ですが、いまこれも検討中だということなんですけれども、具体的に申し上げますと、昨年は貸付額、これは自創資金で百二十万円を特別に加算いたしましたよね、昨年。ですから、せめてこの百二十万円加算した、これを下らない額でやっていただくということで対応をしてほしい。いかがでしょう、簡単にお願いします。
  174. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) 自作農維持資金の問題からお答えさせていただきますが、融資の限度額の問題でございますが、先生おっしゃいましたようないろんな意味の特殊事情もございます。そういうことを踏まえまして、実態に即し適切な措置を講じたいと考えております。
  175. 下田京子

    下田京子君 麦振興のこと答えてませんね。
  176. 芦澤利彰

    説明員芦澤利彰君) 今回の大雨で麦に大分被害を受けていますが、私どもは、いまともかく収穫期でございますので、早く収穫して、被害を受けた麦と被害を受けてない麦とを振り分けして乾燥するとか、調製をよくするとか、そんなことでできるだけ高く売れるような麦をつくるようにという、そういう指導を目下せっせとやっている最中でございます。今後、後検査その他で規格外がもし出てくるというふうなことになりますと、麦振興特別対策事業の定むるところによりまして一定の要件その他が出てくればその時点で適切に対処してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  177. 下田京子

    下田京子君 国鉄関係でお尋ねしますが、これも他の委員からお話がございましたが、私は当面の具体的なことでお答えいただければと思うのです。  日高本線の問題ですけれども、根本的にはこれは災害線だということでローカル線廃止の対象等にはしないというお話ございました。当然そうあってしかるべきだと思いますし、そのためにも早期復旧という点で力を注いでほしい。具体的な点では当面代替運行をなされておるようですけれども現地からお聞きしますと、八月十七日から静内高校が始まっております。上り門別方面から百三十二名の学生が通っていまして、それから下り浦河方面から百六十四名の学生が通っている。それからきょう十九日からは浦河高校が始まりますし、農業高校も始まる。これは浦河高校は二百十九名おりますし、上り線が使われております。それから八月二十一日になりますと様似高校が下り線を利用して百四十八名ということになって、こういう学生の代替運送、代替運行といいますか、それが万全にやられているというふうにさっき御答弁があったかに思うんですけれども、部活動含めて一定の学校活動が支障なく行われるように対応されているかどうか。
  178. 有馬訓祥

    説明員(有馬訓祥君) お答えいたします。  先生御指摘のように、十七日からバスをチャーターいたしまして代行輸送をやっておりまして、通勤時間帯にはお客さんの数に合わせまして三台程度、それからそのほかの時間帯は一台ないし二台というようなことをパスを使ってやっておりまして、大体六つ高校がございますけれども、その始業時期とか、お客さんの数というのも私ども把握しておりますので、その御利用の実態に合わせて必要であれば輸送力を増強していきたい、こう考えております。
  179. 下田京子

    下田京子君 最後に一点。  時間になりました。最後に大臣にお尋ねしたいんですが、これは災害地にあってまあ臨調から指摘されているその特例補助金の削減などということがないように、これは関係方面から強く御要望されてあるところでありますので、私も再度大臣の決意を伺いまして質問を終わります。
  180. 原健三郎

    ○国務大臣(原健三郎君) いまの御質問の趣は、地元からもよく篤とお聞きいたしておりますし、本委員会においても最前からたびたびお聞きいたしました。  それで、災害復旧事業は緊急に対処すべき事業であるし、そのため地元の公共団体は一時的に過重な負担を負う等特殊な事情がありますので、国民感情から見ましても皆一般の非常に要望もありますので、一般の特例とは同一に取り扱わないという方針で進んでいきたいと考えております。現在関係省庁とその協議の調整を図っておるところでありますが、われわれとしてはその方針でいきたいと思っております。
  181. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 最初に今回の大雨災害によりまして被害を受けられました方々に対して心からお見舞いを申し上げておきたいと思います。  そこですでにもう質疑の中でさまざまな問題が出ました。そして、大臣を初めといたしまして各省庁関係者方々からの対策についての見解も十分にお伺いをしたわけでございます。私も最初に四点ばかり要望を申し上げて、それから質問に入らしていただきたいと思います。  今回の大雨による被害がきわめて甚大であるということにかんがみて、激甚災害の指定を早急に行っていただきたい、これが第一点でございます。これにつきましては、大臣から前向きに検討をするというお答えがありましたので、そのまま言葉どおり受けとめておきたいと思います。  第二点は、災害早期復旧を図るために、緊急査定を実施することとともに、復旧事業をできるだけ単年度で実施すること、このことを第二点として御要望を申し上げておきたいと思います。  第三点は、農作物被害がきわめて大きかったということにかんがみまして、天災融資法を早急に適用すること、これも前向きに善処するという大臣の御答弁がございましたので、これも言葉どおりに受けとめておきたいと思うわけでございます。  第四点は、例の石狩川の水系工事実施基本計画、これを根本的に見直し、このことを要望をしておきたいと思います。これにつきましても、建設省の方から見直しをするんだというお答えがありましたので、それも言葉どおり受けとめておきたいと思うわけでございます。  以上、最初に四点の御要望を申し上げまして、具体的に質問に入らしていただきたいと思います。すでにもう各委員からの質疑がありましたので、若干ダブる点もあると思いますがそれは御了承をいただきたいと思います。  最初に国鉄なんですが、今回の災害によりまして十路線が被害を受けて、大変な被害を受けられたわけであります。しかし、関係者皆さんの御努力によりまして真剣に復旧に努められていること、これに対しまして深く感謝を申し上げておきたいと思うわけでございます。  そこで、先ほども川村委員からもお話がございましたけれども日高本線の被害の問題ですが、これはもう国鉄の報告によりますと、道床流失十九件、築堤崩壊五十一件、切り取り崩壊というのが百五十五件ある、その他六十三件で、計二百八十八件と、こういう他の路線とちょっと変わった、内容の違った被害というものが起こっているわけでありますが、この被害原因について国鉄当局としてはどのように考えておりますか、最初にそれをお伺いしておきたいと思います。
  182. 村上温

    説明員(村上温君) 先生の御質問、かなり専門的な御質問でございますので、説明が若干専門的になりますが、一つには七月にすでにかなりの雨が降りまして、相当の災害を受けておりました。鉄道線路の性格上、とりあえず応急復旧を先にいたしますということで、通常の状態よりは弱い状態にあったと思います。それが被害を大きくした  一つの原因だというふうに考えます。  それからもう一つは、現地を御視察になったときにもごらんになったように、段丘状といいますか、丘状の地形でございまして、海に向かって山が傾斜をしておる、高さが二十メーター近くあるということで、それからわずかな平地がありまして、それから海がございます。このわずかな平地のところに鉄道線路がございます。昔は道路もございましたけれども道路は勾配がとりやすいということで上の方へ逃げてございまして、こういう地形でございますので、大雨が降りますと、こののり面の表層が非常に滑りやすいという地形にございます。こういう特殊な地形、地質状態にあったということが、前回に雨を受けておったということと相まって、ああいうふうに異例の大きい被害になったというふうに考えております。
  183. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 いまお話がございましたように、地形上に非常に問題があるわけですね。で、確かに現場を見ますと、下にはかたい岩盤があって、上に火山灰がたまっておるということで、したがって、もう雨が降れば絶えず被害が生ずると、こういう状況であると思うわけでございます。  そこで、やっぱりこれらの対策としては、先ほども緊急の治山事業はこれはやるんだと、こういうお話がございました。しかし、これはもう長期的な観点からこの問題は解決をしていかなきゃならぬと私は考えているわけでございます。  したがいまして、それに関連をいたしまして、これはもう運輸省にお聞きをしたいんですが、国鉄に対しまして年間に約百億円程度の防災補助金が出ておるわけですね。この防災補助金はいつころから出されておるものか。それと、それに関連をいたしまして、この補助金というのは一体ふえていっているのかどうか、この点が第二点。それから、この補助金によってどのような効果、成果というものが、これはまあ北海道日高線だけじゃなくて、全国的に見てどのような成果、効果というものがあったのか、この点についてお伺いをします。運輸省の方からお答えをいただきます。
  184. 丹羽晟

    説明員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  先生の御質問のうち、第三点の問題につきましては国鉄の方からお答えする予定でございますが、最初の二つでございますが、まずは、いつからかという御質問でございますが、五十三年度から防災事業費補助金ということがついてございます。それで、以降どうなってるかという御質問の点につきましては、五十三年度、決算額の関係で申し上げますと約八十九億、五十四年度が九十九億、それから五十五年度が九十七億、それから五十六年度の予算は九十七億、こういう形になってございます。
  185. 村上温

    説明員(村上温君) いま運輸省の方から御説明がございましたように、補助をいただいて工事をやっておるわけでございまして、この効果というのの判定は、まあ全般でいきますと非常にむずかしい判定になるわけで、国鉄の災害は年間約四千件ばかりございますが、これは、この数年間は全体的には減る傾向にございます。十年ぐらい前にもう少し、五千件以上ございましたものが、いま四千件前後になってございますから、そういう全体的な観点ではやはり防災補助金というのは有効というふうな判断をしております。それから、もちろん個々の、本当に補強しましたところにつきましては、これは災害の防止に非常に効果があったということは確実でございますが、何せ、災害といいますのは、全体の外力の大きさとか、そういうものと密接に関連しますので、そういうふうにマクロに見まして効果があったというふうな判断はしておりますが、それ以上の詳しい効果というのはなかなか御説明むずかしいような状態でございます。
  186. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 まあ私は、この補助金のもたらした効果というものはかなりいまのお話のようにあったと思うんですね。まあ、なだれの防止とか落石の防止とか、そういうことで、日常の、事前の防災というんですか、そのためにかなり私は効果はあったと思うんです。しかし、今回のような日高本線の現状を見ますと、あれが、今度はもういままでのように今回のような被害というんですか、そういうものを起こさないためには、かなり長期的に考えて、日常から事前の対策を講じていかなけりゃならぬと私は思うんです。で、まあ北海道だけで百億の被害で、日高本線だけでその半分の五十億の被害ですからね、この被害をやはり未然に防ぐということは大変大切なことだと思うんですが、そこで、いまお話がありましたように、補助金が五十三年度から五十六年度、大してふえてないですね、工事費もかなり上がっていると思うんですが。そして今回の被害のことを考えまして、日常の長期的な防災対策、そのためにはこの補助金を増額をしていくべきではないかという私は見解を持っているんですが、運輸省としてはその増額について積極的に要求をしていく気があるのかどうか、この点をお伺いをしておきたいと思います。
  187. 丹羽晟

    説明員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、防災事業費補助金は、先ほど私申し上げましたとおり、著しい伸びがあったということではございません。ただ、国鉄の防災対策といいましょうか、そういう関係工事費につきましての国の助成の制度は、防災事業費の補助制度ということにとどまりませんで、現在、工事費補助金という制度が別途ございます。  それで、工事費補助金の方の金額の方で申し上げていきますと、これは一般的な工事につきましての利子負担を、国鉄の利子を三・五%までに抑えるという趣旨の利子補給の制度でございますが、これは五十三年度から数字を申し上げますと、五十三年度千三百億——約でございますが、それから五十四年度が千四百億、五十五年度が千四百億、五十六年度予算は千六百五十億程度、このぐらいの金額を計上してございます。  それで、この防災事業費の補助の増額の問題でございますが、このような厳しい国の財政状況のもとでございますので、いろいろな点を勘案して考えていかなければならない問題かと思いますが、国鉄全体につきましてのその助成の枠の中でどのように考えていくかという問題かと思います。  それで、国鉄全体の助成につきましては、ここ数年相当な程度の助成金の増を考えておりまして、五十五年度で申し上げますと約六千七百億、五十六年度が七千三百億、このような金額を国鉄に対して助成しております。それで、その中で、いま申し上げましたように工事費補助金のような制度でもこの防災対策ということは対応できる部分がございますので、この辺をうまく使いまして防災上の遺漏のないように仕事を進めていきたい、こういうふうに考えております。  なお、先ほど私が答弁申し上げました数字のうち、防災事業費補助金の五十三年度の金額を八十九億と申し上げたかと思いますが、八十七億の誤りでございますので訂正させていただきます。
  188. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それは、国鉄全体に対する補助金のことなどはよくわかっているわけですが、今度のような災害時において、金を出すところがない、だから国鉄は自前で勝手に復旧しろというような冷たい仕打ちというんですか、そんなことを感ずるわけですね。だから適当に、先ほども答弁がありましたけれども、予備費を使ったり、あるいはいま言った工事費補助金をうまく活用してと、こう言われるんですけれども、その辺のところが私はちょっと、余り十分な対策ではない、こういうように考えておりますので、しかし、いずれにいたしましてもこういう事故が再び起こらないように積極的な対策を立てていただきたい、このように考えます。  もう一点、国鉄に関連をいたしまして、先ほどもお話がありましたが、日高本線の復旧の見通しは、十二月の声を聞かない前に全面開通をしたいということですから、十一月中には何とかなる、こういうように私も判断をしておるわけでありますが、それでよろしゅうございますか。
  189. 村上温

    説明員(村上温君) 午前中に御説明いたしましたとおりに、一番長くかかる区間、これは駅の区間にしましては一駅だけの区間でございますが、その区間は非常に特殊な地形の、先ほど説明いたしましたような非常に工事のしにくい個所でございまして、そのぐらいかかる見通しでございますが、その他の区間につきましては、やりやすいところからといいますか、でき次第逐次あけていくということでございますし、それからいまの見込みでは十一月いっぱいぐらいはかかると思いますが、これはもちろんこれからまだ時間がございますので、鋭意工程の短縮には努めたいというふうに考えております。
  190. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 ひとつ鋭意御努力をいただきたいと思います。  と同時に、こういう日高本線の問題については、緊急な対策と同時に、この機会に本格的な工事というんですか、そういうものにも着目をして努力をしていただきたい、このことを御要望を申し上げておきたいと思います。  それから、この日高本線の開通の問題に関連をいたしまして——国鉄はもう結構でございます、運輸省も。  建設省にお伺いをしておきますが、われわれがあそこへ視察に行きまして、あそこの沙流川にかかっている、あれは沙流川橋というんですか、国道二百三十五号線だと思うんですが、その幅員が非常に狭いですね、だから一車線片側交通しかできないというような狭さなんですよね。だからこういうような災害時にはあそこがネックになって渋滞をしてしまう、こういう状況なんですが、一体あれ今度のような災害を契機にして幅を広げるというようなお考えはないかどうか一点だけお伺いします。
  191. 信高裕

    説明員信高裕君) お答えいたします。  ただいま先生御指摘の一般国道二百三十五号沙流川橋でございますが、これは昭和二十九年に架設されました約延長四百メーターで車道付近が五・五メーター、総幅で六メーターでございますが、の橋梁でございます。昭和四十二年度に交通安全対策として本橋の上流側に幅員二・二五メーターの歩道橋をかけております。いま御指摘のように交通量も非常に多うございまして、一日の交通量は約一万一千八百台になっております。ただ、本橋の約七十メーター西側に国道二百三十七号が三差路に交差しておりまして、そのため非常に交通渋滞を生じることが多くなっております。このためにこれの交通対策につきまして、本年度、五十六年度から北海道開発局で調査を開始しておりまして、いま申し上げましたように二百三十七号の交差点がございますものですから、単に拡幅だけでいいのか、あるいは二百三十七号の交差点処理にも着目した総合的な改良計画の検討をしたい、そのように考えております。今年度の調査は現況のいわゆる構造の詳細調査、それから交通の現況と問題点の把握というふうに考えております。
  192. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 その点については積極的にできるだけ早急にやっていただきたい、これも要望しておきます。  それからこれは農水省にですが、今度の水害で、内水の排除でございまして、この内水排除のための排水機場、かなり効果を発揮をしたというように私は判断をしております。そのことによって被害が最小限に食いとめられたところもかなりあるように私は見たわけであります。  ところが、この排水機場が、先ほども御質問がありましたけれども、実際冠水しちゃって動けなくなったというところもあったわけですね。そこで各市町村からも要望があるんですが、この機場の見直し、それから排水能力の向上、こういう要望があるんですが、この点についてどう考えられておるか。  関連をいたしまして、その排水機場の維持管理はこれは市町村に委託をされているわけですが、これについても国が直轄管理をしてほしい、こういう要望があるんですが、これについてはどう考えるのか。年に二、三回動く機場の国の直轄管理というのは私もどうかとは思うんですが、そういう要望が具体的に市町村から出ているものですから、これについて見解をお伺いをしておきたいと思います。  それからまた、災害時に運転する、特に石狩の町の排水機場は百三十時間フル運転をしたということでかなりの運転経費がかかっているんですが、この経費についても国で見るべきではないかという要求があるんですが、これについてどう考えられますか、お聞きをしておきたいと思います。
  193. 大脇知芳

    説明員(大脇知芳君) ただいまの先生の御質問の前半の部分に関してお答えさしていただきます。  石狩川水系の最近の耕地の地盤沈下とか、土地利用の形態の変化といった事態が起こっておりますために、こういった事態に対応して排水施設の機能の検討ということが必要になってきておるわけでございまして、農林水産省としましては、広域農業開発基本調査というものの一環といたしまして、五十五年度から、石狩川水域全体の排水政策の基本計画を策定すべく、各種の排水施設の機能について基本的な調査実施しているところでございます。そこで、とりあえず、この調査を活用しまして石狩川流域全体の排水政策計画を早急に策定するように努めまして、その過程において地元の要望等、必要に応じて逐次事業化についても検討してまいる所存でございます。
  194. 合馬敬

    説明員(合馬敬君) 先生の後半の御質問にお答えいたします。  土地改良事業で造成いたしました土地改良施設につきましては、維持管理について国が何らかのめんどうを見てほしいという要望がきわめて強いものがあるわけでございますが、本来、土地改良施設は特定の農家を受益者といたしましてその申請に基づきます事業で造成されたものであるということと、それから事業の効果が十分に、その施設の管理費、これは先ほどの先生申し上げました運転経費等を含めての問題でございますが、これをも十分に償うという計画のもとに事業を採択し事業を実施した、こういうことでございまして、当該施設の維持管理は受益農家が組織いたします土地改良区などが行うということが維持管理の原則になっておるわけでございます。しかしながら、水利施設が非常に高度化してまいったとか、あるいは非常に大規模化しておる、さらに最近の兼業化が進展して農村共同体と申しますか集落の自治的な管理が崩れてきたとか、そういったようないろいろな情勢がございますので、一定の要件に該当いたします特殊な基幹水利施設につきましては、例外的な措置として国または県が管理を行っておる実例はございます。一般の土地改良施設につきましても、施設の整備補修に対する助成措置というものは講じておるところでございまして、今後ともこのような施策をあわせまして円滑に推進していきたいという考え方でございます。
  195. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 例の水稲から畑作物への転換、かなり北海道地域は積極的に進めてきたと思うんですが、今度の水害地域の転作率というんですか、そういうものを把握されておりましたらお伺いをしたいということと、それから畑作物に転換をするためには何としても排水事業というものが並行して行われなければこれは意味がないわけですね。だから、転換政策と排水事業、これが十分に連携されて行われておればいいんですが、その辺の関係がどうなっておりますか、お伺いをしておきます。
  196. 近長武治

    説明員(近長武治君) 第一点の、今回の北海道の水害の非常に被害のあったところで転作の実施状況はどういうことかということについてお答え申し上げたいと思います。  具体的な被害状況はまだこれから詳細な調査をまたなければならないわけでございますが、現在、特に被害の大きかった地域石狩支庁管内、それから空知支庁管内、上川支庁管内、十勝支庁管内、こういうところが大きかったというふうに見られております。これらの地域では、具体的な数字で申し上げますと、石狩支庁では大豆への転作が約千九百ヘクタール、それから飼料作物への転作が四千五百ヘクタール、それから麦への転作が五千三百ヘクタール、そのほか、てん菜でございますとか、野菜でございますとか、こういうものへの転作がございまして、石狩支庁管内では転作が約一万四千七百ヘクタールになっております。それから空知支庁管内での転作は、やはり麦、飼料作物、大豆、それからこの地域ではてん菜、ソバ、野菜などもかなりの面積になっておりまして、転作全体では三万五千ヘクタールでございます。それから上川支庁管内での転作は三万四千ヘクタール、それから十勝支庁管内では四千五百ヘクタール程度でございます。大体、転作の実施状況は以上のとおりでございます。  それから第二点のお尋ねは、転作を進める際には排水の条件その他の条件整備を適確に進めていかなければならないのではないか、こういうことであろうかと思います。当然のことながら、水稲というのは湛水性の作物でございます。そこに転作を進めていくということは、元来水田であったところに畑作物を植えるということでございますから、そういう地域の条件、たとえば排水条件を変えていくというようなことが非常に重要なことでございます。それからもう一つは、やはり転作についての目標を、国から都道府県、都道府県から市町村、それから農業者に配分をしてございます。それを目標にしながら転作を進めていくわけでございますが、そういう目標を配分する際に、それぞれの地域におきます農業生産の地域特性でございますとか、それから転作へ進める際の排水条件とか圃場の整備状況ということを勘案していかなければならないということでございます。ただ、全国におきまして現在お米の消費が非常に減退してきております。各地域、稲作としての適地でありながら畑作物についてはいま一歩というところが現状では確かにございます。そういうようなところでございますので、やはり転作を進めながら排水対策の条件を進めていく、それから、できれば湿田地帯においても向くようなそういう転作物もないかどうか、こういうようなこと、そういういろんな方面から対策を総合的に進めていかなければならないと思っておりますし、従来も大体そういうような基本的な考え方で進めてきているところでございます。
  197. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 最後に、自治省にお伺いをしたかったんですが、これは先ほど御答弁がありまして、普通交付税の繰り上げ、それから特別交付税の問題につきましてはぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  最後に、これは先ほどもお話がありましたけれども石狩川の今度のような水害を防止するために、例の雄大な計画といいますか、千歳川の川の流れを変えて太平洋に注ぐとか、あるいは別に千歳川に放水路を設けたらどうだろうか、それが最大の治水対策だ、こういう見解も現地にはあるわけでありますが、先ほどもそれにつきましては検討をしていきたい、こういう御答弁があったんですが、これは地形的そして技術的にそれは可能なのかどうか、この点をお伺いをして質問を終わります。
  198. 岸田隆

    説明員(岸田隆君) お答えをいたします。  千歳川は石狩川の支川でございますが、支川にいたしましてもかなり流域は大きゅうございます。また、低平地を流れておりまして、石狩川本川の排水の影響を強く受けております。したがいまして、大きな内水河川というふうな言い方もあるいはできるかと思います。したがいまして、これの抜本的な治水対策として、非常にそういった意味で複雑な条件を持っておるわけでございますが、その解決策の一つとして放水路計画——太平洋へ抜く放水路計画一つの方法かと思います。物理的に可能かどうかという御質問でございますが、地形的には、物理的には放水路は可能でございます。ただ非常に膨大な計画でございますので、具体的なこの工事実施基本計画の改定の中でそれが十分取り組めるかどうかにつきましては、慎重に検討をしてまいりたいと思っております。
  199. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 本日の調査はこの程度にて、これにて散会いたします。     午後四時三十一分散会      —————・—————