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茜ケ久保重光君 昨年十二月十五日から十八日までの四日間、宮之原
委員長、川原委員、原田委員、栗林委員と私茜ケ久保の五名は、鹿児島県及び宮崎県における
建設事業並びに
建設諸
計画の実情
調査、特に奄美群島の徳之島、大島本島の
振興開発計画に係る
事業について
調査いたしました。
以下、いろいろ申しますので、
建設大臣初め諸関係
局長諸君は報告をよく聞いておいて、これらの点の早急な
実施について格段の努力をしてもらいたいと思います。
まず、鹿児島空港に到着し、県当局等から管下の
建設事業概要と、これらに関する要望事項を聴取し、引き続き現地の実情
調査をいたしましたが、ここでは視察事項を
中心としてその概略を報告いたします。
まず、奄美群島の
振興開発について申し上げます。
本群島の
振興開発は、奄美群島
振興開発特別措置法に基づき諸
事業が進められていることは御承知のとおりであります。同法は、さきの第八十七回
国会において改正され、五十四年六月十三日
改定十ヵ年
計画が決定されましたので、現地事情の報告に先立ち、これらの
計画に係る
事業の成果等につきまして参考までに若干触れておきたいと思います。
本群島は、
昭和二十八年十二月二十五日本土復帰以来、
わが国の社会
経済発展の
状況に従いそれぞれ
事業推進の
目標を
改定しつつ、鋭意その
振興開発に努力してまいりました結果、相当の成果を上げてきましたが、依然として本土との間には格差が見られるので、引き続き
事業の
推進を図る必要があります。この間の事情を主要指標について見ますと、国県道
整備は、五十四年
改良済み六九・六%、舗装済み八一・六%となっておりますが、幅員五・五メートル以上の
改良率は、鹿児島県の四四・三%に対し三三・五%と低位にあります。
次に、人口一人当たり所得は、対県格差の是正を図ることが
目標とされてきておりますが、復帰時五一・五%に対し五十三年八六・七%とかなりの
向上を見たものの、依然として格差が見られるのであります。人口の推移から見ましても、三十年から四十五年まで二四・一%の減で、以来減少の一途をたどってきましたが、五十五年〇・一%増とようやく横ばい状態になったのであります。
このように見てまいりますと、いまだその後進性を克服したとは言えない
状況でありまして、今次
改定計画がますます強力に
推進されなければならないことを強調しておきたいのであります。
以下、視察
状況を簡略に御報告いたします。
第一に、空港、
道路等交通基盤整備についてであります。
空港につきましては、今日では各島に
整備されるに至り、特に徳之島においては空港のジェット化が実現し、昨年七月から運航開始となりました。大島本島のジェット化もすでに
建設位置が予定され、実現の
計画が進められております。
道路については、特に五・五メートル以上の
改良率が低位にあるということにつきましては前記のとおりでありまして、幅員、線形、勾配等
道路構造上も問題があり、
産業振興、日常
生活の
向上を図る
観点から、その解消について今後十分配慮すべきものと思われます。
徳之島においては、主要
地方道伊仙−亀津−徳之島空港線で、現在南原及び亀津工区の二ヵ所三・六キロメートルの
改良工事が
実施されております。
また、一般県道伊仙−松原−花穂線では、浅間及び花穂工区の二ヵ所計五・五キロメートルの工事が施行されておりますが、
改良工事の
推進が強く望まれております。
本群島内では、大島本島だけしか
国道昇格がなされておらず、五十八号線として鹿児島本土から種子島—大島本島—沖繩と貫通された形となってはおりますが、いまだ徳之島、沖之永良部、与論島の各島においては指定がなされておりません。このうち空港のジェット化、港湾
施設の
拡充等が漸次進められつつある徳之島については、特にその
振興開発、住民の日常
生活の利便に資するために、地元の強い要望を踏まえて早期実現を図る必要があると思われます。
大島本島においては、まず
国道五十八号線の
整備についてでありますが、現在五ヵ所十二・六キロメートルの区間に工事が進められており、五・五メートル以上の
改良率が七二・六%とかなりの進捗を見たものの、いまだ大型車の通行不能個所も見られ、工事の
推進が強く望まれます。
本茶バイパスは延長八・二キロメートル——一キロメートルのトンネル工事を含む、の二次改築
事業で、五十五年着手六十一年完成予定となっており、五十六年度において本格的に
事業が開始されることが
期待されております。大島空港のジェット化
計画と相まって、その完成が地元住民の熱望であります。
なお、現在進められている瀬戸内網野子工区の工事が完成も間近いのですが、本島南部の
振興開発に資するところが多大であると思われます。
県道の延長五百三キロメートルのうち、五・五メートル以上
改良済み三三・七%、舗装済み八一・六%、
市町村道二千五百五十七キロメートルのうち、五・五メートル以上
改良済み二・三%、舗装済み二二・八%と、一般的に言って本土に比し低位であり、早急な
整備が今後の
重要課題であります。
幹線
市町村道、
地方生活関連
道路の
整備が国の重点
施策とされている点から、また、本群島
振興開発計画の
基盤整備計画の重点項目という点から言っても、積極的な
事業の
推進が望まれます。
第二に、港湾及び漁港の
整備についてであります。外洋離島の隔絶性の解消策の
一つとしての港湾の
整備拡充は、住民の日常
生活に直結した最も重要な
課題であり、各
市町村の強い要望でありました。港湾関係では、名瀬ほか十一港が
整備されておりますが、船舶の大型化、スピード化に伴い、名瀬港では一万トン級岸壁の一パース増設、亀徳港等についても同様、
施設整備とともに防波堤の
建設がなされております。また、異常気象時
対策としての裏港の
整備についても
建設が急がれております。
漁港については、水産
振興のため、大熊漁港ほか十八港の
施設整備が進められておりますが、特にこの
地方の漁港基地として機械漁船の入港を可能にするとともに、船だまりとしてもその
整備が急がれております。二百海里時代を迎え、東シナ海と太平洋の合流する好漁場を有する
地域優位性を有効に活用した水
産業の
振興を図るためには、漁業の
近代化、漁船の大型化、漁業技術の
改善を行うほか、製氷、冷蔵
施設などを
整備し、流通機構の
合理化を図ることが緊要と思われます。
第三は、
海岸事業についてであります。
本群島の
海岸総延長は八百キロメートルに及び、県管理五十七ヵ所、六十九・四キロメートルとなっております用地形の特殊性から各集落は
海岸に接近して
形成されており、しかも台風常襲地帯であるところから、すでに六十二ヵ所、一万五千六百メートルの
改修がなされましたが、なお
事業予算の一層の
拡充が望まれております。
竜郷町円地区においても護岸工事が施工されておりますが、住民
生活の安全
確保上、かさ上げについて
計画高の
改定変更をされたい旨の強い要望がありました。
第四は、
産業の
振興及び
基盤施設の
整備についてであります。
群島内の
産業では農業のウエートが最も高い位置を示し、中でもサトウキビは重要な農作物で全作付面積の六五%を占め、また
生産額は四十八年の五十四億円に対し五十三年は約百二十五億円、農畜
産業中五二%を占めており、特に徳之島では最も盛んで、群島
生産額の五〇%以上と隆盛な
状況でございます。
水田の畑作転換、土地
改良事業等を
実施し、機械化農業の導入、
生産組織の
整備、企業の
合理化等を進め、
生産性の
向上を図っております。
このほか比較的
生産性の高い野菜、果樹、花卉、たばこ等も
地域の
特性を生かしつつ
生産の
振興を図り、畜
産業についても島内
需要に対応して
推進を図っております。土地
改良事業として県営畑地帯総合土地
改良事業、灌漑排水路、農道、ため池等農業経営
近代化を図るための
事業として、五十三年度には約六十八億四千万円の投資が行われております。
本群島の特
産業である大島つむぎの五十五年の
生産額は二百八十七億円余りでありまして、年々助成策が講ぜられてはおりますが、
生産技術、
生産基盤、後継者の育成等種々問題が見受けられ、特に流通機構の
改善、販路の開拓については今後重要な
課題として検討を要するように思われました。
最後に、鹿児島県本土及び宮崎県における視察個所について申し上げます。
鹿児島市における鴨池ニュータウンは、錦江湾に面する旧鹿児島空港の跡地を
利用して、青い海と緑に調和したニュータウンを目指し、
住宅公団、県
住宅供給公社、一部民間業者等が
協力して総面積七十六・二ヘクタール、二千六百戸の
住宅を
建設しようとするものであります。着手以来すでに八年を経ましたので
生活利便
施設、
道路、
公園等の公共公益
施設のほか、
生活環境施設についてもほぼ
整備を終わり、
住宅建設も民間のものを残し概成の
状況であります。
鹿児島県下の高速
道路は、えびのから鹿児島まで七十・一キロメートルでありますが、第二次施行命令区間の加治木から鹿児島北までの間二十四・二キロメートルは現在供用中、鹿児島北から鹿児島まで四・八キロメートルは設計協議中で、これもほぼ完了の
段階となり、これから用地測量に入りますが、来年度中には幅ぐい設置、本格的用地交渉に入り、
事業は進捗することとなっております。指宿有料
道路との連結が地元の強い要望で一日も早く完成することが望まれます。
また、第五次施行命令区間のえびのから栗野まで十三・七キロメートルは、現在舗装工事中で今年秋ごろまでには完成する
目標で工事は順調に進んでおります。
国道十号線につきましては、鹿児島市では日
交通量二万九千台に達し、同市のほか
都市周辺において
交通渋滞の個所が多発し、市民
生活に著しい影響を与えております。
都市周辺の
交通混雑の解消、
環境保全対策、
交通安全
対策のための二次改築
事業として鹿児島北バイパス、加治木バイパスのほか二ヵ所において拡幅工事等が
実施されております。
宮崎県下の高速
道路は、えびのから宮崎までの八十二・六キロメートルの区間の
建設が進められております。しかし、えびのから高原の間二十八・五キロメートルは現在供用中で、高原から都城まで二十・四キロメートルは舗装工事中、今年度中には供用開始の予定であります。また、都城から宮崎までの三十三・七キロメートルも舗装工事中であり、今秋供用を目指し鋭意工事が
実施されており、その早期完成が
期待されておる次第であります。
最後に、県当局等からの要望事項を本日の
会議録の末尾に掲載することを
委員長にお願いいたしまして、報告を終わります。