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最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいま
鶴岡委員御
指摘の新日本興産株式会社という東京地方裁判所に現在係属しております破産事件の関係の問題でございますが、実は昨年の九月に、この破産会社の債権者と称する者から、事件担当の裁判官に対して質問状形式の内容証明郵便が参りまして、その内容証明郵便の中に、井上破産管財人を非難いたしますとともに、担当の裁判官、谷合裁判官が井上管財人とゴルフをした事実があるというふうなことが、その質問状の中に
指摘されておったということがあるわけでございます。そこで、東京地方裁判所において早速谷合裁判官から事情を聴取いたしましたところ、昨年の九月に破産管財人とともにゴルフに行ったことがある。このゴルフといいますのは、まさにその破産会社が
経営しているゴルフ場でございますが、そこへ事実上の検証等に行き、その際にゴルフをした事実はあると、ゴルフの費用はその際は支払っていないということが明らかになったわけでございます。そこで、東京地方裁判所におきましては、李下に冠を正さずという
趣旨で、直ちに同裁判官を他の部へ配置がえするという
措置をとったわけでございます。
ところが、その後、また井上管財人と対立する債権者のグループが、管財人の解任の申し立てというのを、昨年の暮れ近くにやっておりまして、この破産事件の
関係者の間に、非常に相対立するグループがあり、紛争が激しくなってきたということがわかってきたわけでございます。
最高裁判所といたしましても、先ほど申しましたゴルフの事実がわかっておりまして、それで配置がえも東京地裁においてやったわけでございますが、何と申しましても、具体的に破産事件が係属しておることでもございますし、こういう紛争があり、管財人に対する解任の申し立てもなされておる、そういう状況でございますので、司法
行政の
立場で、それ以上詳しく調べるということになりますと、そういう事件そのものに関するいろんな紛争に介入するということにもなりますので、とりあえず配置がえということにとどめまして、後の
事態を静観するということにしておったわけでございます。
ところが、御承知のように、先月の末に、ある新聞がこの谷合裁判官のゴルフの事実を
指摘する記事を出しますとともに、谷合裁判官よりもっと前に関与しておりました、現在山形の
鶴岡支部に勤務しております板垣裁判官についても、やはりゴルフ場に行った事実があるという、そういう疑いがあるということが報道をされたわけでございます。
そこで、最高裁判所といたしましては、従前そういうことで静観するたてまえをとっておりましたけれ
ども、新聞にも大々的に報道されたことでもございますので、四月の二日に急選臨時裁判官
会議を開きまして、この問題の疑惑を究明するために、最高裁判所の事務
総局内に調査
委員会を
設置するということに決定いたしました。その調査
委員会におきまして、山形の所長に対して板垣裁判官に対する事情聴取を指示したわけでございます。そこで、ただいま
鶴岡委員御
指摘のように、山形で調査をいたしましたところ、この板垣裁判官もやはり事実上の検証に行った際に、道具を借りて検証のときにゴルフをしたことがあるということは認めたわけでございます。
なお、そのほかに、その後の新聞で、井上管財人がこの棒ゴルフ場を買収のために設立した東京二十という株式会社に対しまして、板垣裁判官が四百万を融資していたのではないかという事実が報道されまして、最高裁判所といたしましては、この点も山形の所長に対して事情聴取を指示したわけでございます。その関係の報告もすでにいただいております。ただ、この問題につきましては、ある新聞では板垣裁判官が融資したというふうに書いてございますけれ
ども、他の新聞ではそうではないのだと、板垣裁判官ではなくて、親戚の者が融資をしたようだというふうにも書いておりますことからおわかりいただけますように、いわゆる融資、出資の問題につきましては、事実関係の把握が非常に微妙でございまして、現在まだ調査をしておるところでございます。
この問題につきましては、さらに調査を継続する必要がございますので、ここでは公表することは差し控えさしていただきたいと思うわけでございます。
以上でございます。