○
柄谷道一君
大臣冒頭に、やはりトータルディフェンスという中における
政府開発援助の占める役割りというのは非常に重大である、重要であるということを指摘されたわけですね。しかも、この援助額というのはこれからふえていくわけです。わが国の財政事情というのが非常に厳しいものであることはこれ当然でございます。となりますと、今後この
政府開発援助を拡充していくためには、どうしても国民の理解、コンセンサスというものがなければ、私はこれ単なる目標に終わってしまうと思うのでございます。いま
大臣の答弁、現段階ではそれより一歩も出られないと思いますけれ
ども、ひとつ閣内において、これを実務者の段階にとどめるのではなくて、
政府としてやはり明確な方針を固めていく。また、その過程において、野党とも十分の
意見交換を図っていく、こういう姿勢がやはり一番必要ではないか、こう思いますので、これは十分に今後
大臣として配慮されるように、この際強く
要請をいたしておきたいと思います。
そこで、具体的に金額でございますけれ
ども、わが国の
政府開発援助は一九七五年から七九年までの五カ年におきまして、金額、対GNP比率とも、中間で一時落ち込みましたけれ
ども、増大をいたしております。一九七八年の四月、
政府閣僚
会議は、
政府開発援助三カ年倍増
計画を決定されました。七七年実績十四億二千万ドルを、八〇年までに倍増するという
内容でございます。そして、七九年には二十六億四千万ドル、五千七百八十一億円の
政府開発援助が供与されました。しかし、この供与実績の評価につきまして、私は
政府部内に食い違いがあるんではないかと思うのでございます。すなわち通産省は、七九年の供与は対前年比一九・一%増、対GNP比も前年の〇・二三%から〇・二六%に増加しており、わが国の厳しい財政事情の中で、ODA拡充努力は十分評価できる、このように通産省は受けとめているわけですね。ところが一方
外務省は、対GNP比率が国際目標の〇・七%に及ばず、DAC加盟国平均の〇・三五%をも下回っており、財政事情は苦しいとしても、なお十分と言い得ないと、これが
外務省の評価ではないかと思うのでございます。私は、こうした
政府部内において評価が異なる、それは今後のこの問題を対処するために、その根底でございますから、
一つの大きな問題点ではないかと思いますが、
大臣の御所見はいかがでございますか。