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1981-09-17 第94回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年九月十七日(木曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 静夫君     理 事                 高橋 圭三君                 降矢 敬雄君                 円山 雅也君                 佐藤 三吾君                 峯山 昭範君     委 員                 石本  茂君                 河本嘉久蔵君                 塚田十一郎君                 仲川 幸男君                 福岡日出麿君                 福田 宏一君                 粕谷 照美君                 丸谷 金保君                目黒朝次郎君                 鶴岡  洋君                 安武 洋子君                 柄谷 道一君                 森田 重郎君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        運 輸 大 臣  塩川正十郎君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        行政管理庁行政        監察局監察官   加藤 武久君        防衛庁防衛局運        用第一課長    萩  次郎君        防衛庁経理局施        設課長      南雲  彬君        大蔵省理財局国        有財産審査課長  森  厚治君        運輸大臣官房総        務審議官     石月 昭二君        運輸省鉄道監督        局長       杉浦 喬也君        運輸省自動車局        長        飯島  篤君        運輸省航空局長  松井 和治君        運輸省航空局技        術部長      長澤  修君        会計検査院事務        総局第三局長   坂上 剛之君        会計検査院事務        総局第五局長   丹下  巧君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道理        事        加賀山朝雄君        日本国有鉄道理        事        吉井  浩君        日本国有鉄道理        事        半谷 哲夫君        日本国有鉄道理        事        繩田 國武君        日本国有鉄道理        事        橋元 雅司君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      仁杉  巖君        日本鉄道建設公        団理事      藤田 雅弘君        日本鉄道建設公        団理事      吉村  恒君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告に関する件 ○昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十三年度特別会計歳入歳出決算昭和五十三年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十三  年度政府関係機関決算書(第九十一回国会内閣  提出) ○昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十一回国会内閣提出) ○昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十一回国会内閣提出)     —————————————
  2. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、当委員会が行いました国家財政経理及び国有財産の管理に関する実情を調査するための委員派遣について、各班からその報告書委員長手元提出されておりますが、口頭報告はこれを省略し、本日の会議録末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  4. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 昭和五十三年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行います。     —————————————
  5. 和田静夫

    委員長和田静夫君) この際お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 和田静夫

    委員長和田静夫君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は冒頭、何か一日違い塩川運輸大臣日韓閣僚会議、私は自分の金で朝鮮民主主義人民共和国実情調査に行きまして、一日違い板門店の向こうとこっちでお互いの国を見たらしいんですが、それはまた国務大臣と一国会議員として別な論争をするとして、きょうは運輸決算ですから。あなたは京城から羽田に帰ってきておるんですね。私は成田から上海上空まで下って北京に飛んで、北京から平壌に入ると。あなたは京城から真っすぐ羽田に飛ぶと。非常に同じ航空関係で不便なわけですね。日朝議連などでは、あなたの方の自民党の代議士さんを先頭に、こういう航空協定の問題について、ちょっと時間的にも、金もかかるし、エネルギーもよけい使うし、何とか日中の航空協定について改善をしていこうじゃないかと、そういう話が日韓か日中か、あるいは朝鮮民主主義人民共和国も途中に第三者が介在しながら、航空協定改定の話がずっとここ七、八年続けられてきているという話を承ったんですが、たまたまあなたが韓国に行かなければ私は聞かないんですが、あなたが韓国に行っていますから、この日中の航空協定改善方について考慮余地があるのかどうか、担当大臣としてまず板門店を通じて接触した中ですから、一番実感があると思いますが、どうですか、この日中の航空協定について、聞くところによると北京から成田または羽田に飛ぶ際に、上海回りでなくて直行すると、こういうことについて、朝鮮民主主義人民共和国韓国も含めて、うまくやろうじゃないかという話が大分出ているという話を、北京の大使館でも聞いてまいりましたし、多分あなたが行っている韓国でもそういう話は、この前の労働大臣と国労、動労の酒の席じゃありませんが、その辺ではちょっぴりぐらいこの日中の航空協定改善について出ていると思うんですが、その辺の感触大臣の今後の取り組みについて、冒頭ちょっとさめないうちにお伺いしておきたい。具体的な問題については航空局長なり、外務省と詰める必要があると思うんでありますが、大臣の大枠の考え方をまず冒頭聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  9. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) お尋ねの日中間の航空路線は、上海経由で行っておりますので、これで確かに時間も、それから経費もかかっておる。これはわれわれ何とか改善いたしたいと思うておりますし、また中国側もその希望を持っておりまして、その点におきましては路線の変更ということに基本的には一致しておるんです。  ところで、それじゃ直接どの上空を飛んで行くかということになってまいりますと、日本側の主張しておりますのは、韓国上空を行きまして、ポトウというんですか、そこへ入って、そこから北京へ行きたいと、こういう希望を持っておるのであります。それに対しまして中国側は、むしろ北回りで入りたいという希望を持っておられる。いずれにしても距離は大して違わないんですけれども、現在の運航しております路線よりは短縮することは事実でございます。  これは単に航空協定だけの問題ではなくして、いわば外交問題が絡んできておりますので、外務省も鋭意その努力をともどもにしておるわけでございますが、なかなか、具体的な問題になってまいりますと、上空を通過いたします関係国との関係も非常に複雑に絡んできておりまして、いま国際運送協会と申すんですか、そこで一つ試案のようなものを研究してもらっておる。それを中心にして、関係当局話し合い機会を何とか見つけて、話し合いをしてみたいという、そういうところまで努力してきておるという状況でございます。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま大臣がいみじくも言った国際運送協会一つたたき台ですね、たたき台試案についてはここでは公式の場でありますから私は触れません。しかし、中国側朝鮮民主主義人民共和国は、そのたたき台の素案について、きわめて十分な理解を示していると、こういう感触を得てまいりました。問題は、北の脅威論韓国側の御都合はどうですかと、それに机を並べている日本政府の御都合はいかがですかと、やっぱり韓国日本政府の御都合がいかがですかというところにもうかかっておるようであります。したがって、私はこれ以上言いませんが、ぜひ外務省運輸省を通じて、われわれも可能な限り協力する用意はありますから、誠意を持って取り組んでもらいたいということを冒頭要望だけしておきます。  次に、運政審から総合交通政策も出ておるわけでありますが、この総合交通政策の確立という関連で、国鉄基幹交通手段であるということが再三言われておるわけです。その中で、今日の新線建設ということがどういう意味を持つのか。もう財政再建が、六十年度までその期間限定をしておるけれども、その期間中はたな上げして、あるいは一時停止と。しかし、財政がある程度潤沢になる見通しが出た場合には、再び新線建設ということを考えているのか、考えていないのか。その辺が非常にあいまいなので、まず冒頭この総合交通政策民間新線を含めて国鉄新線建設というのについて、どういう展望を持っていらっしゃるのか、まず大臣にお伺いしたいと、こう思うんです。
  11. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 御質問の趣旨に基本的な問題でお答えいたしまして、あと具体的に基準というものにつきましては鉄道監督局長からお答えすると思うんですが、基本的に申しまして、過日の運輸政策審議会におきましての答申で、鉄道はやはり今後においても国の基幹的交通機関であるという位置づけは明確にいたしております。そして、しかも鉄道は今後鉄道特性に基づいて廃止もし、建設もすべきであると、もっと柔軟に対応しろと、こういうふうに言っておるのであります。そこで、新線建設はするのかというお尋ねでございますが、私は、鉄道特性が生かされる、そういう路線については、今後新線を積極的に建設していくべきだと、そういう考えでおります。それではどういうところを新線建設の、いわば鉄道特性が発揮し得るところであるかという、そういう具体的な基準とか対象につきましては、鋭意鉄道監督局検討しておるところでございますので、この点につきましては、鉄道監督局長からお答えいたしたいと思います。
  12. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) ただいま大臣からお話がございましたように、総合交通政策の中の鉄道役割り、最近出されました答申に沿いまして、検討を進めておるところでございますが、やはり鉄道の長い歴史の中で、現代におきまして、もう一回鉄道意義というものを見直しをする必要があるというふうに考えております。基本的には大臣が申し上げたとおりでございますが、現代におきまして、かなり鉄道特性といいますか、役割りというものが変化したことも事実でございます。何といいましても、モータリゼーション、自動車発展が大変なものでございますので、またそれに伴います道路の発展ということが大変なことでございますので、鉄道役割りというものも、昔の独占形態からずいぶん変わってまいりました。そうした観点からいたしまして、今後の新線あり方につきましても、やはり鉄道特性大量輸送という観点からする鉄道特性にやはり着目せざるを得ないんではないかというふうに考えるわけでございます。  先般の国鉄再建特別措置法におきましても、こうした観点から、一定基準を下回るものにつきましては、従来鉄道建設公団建設をし、国鉄がこれを運営をするというのが原則でございましたが、これに対しまして法律的に例外措置を設けております。いわゆる第三セクター、あるいは純粋民間私鉄、こういうものが鉄道建設公団建設を受けまして運営をすることが可能なような道を開いたわけでございまして、こうした点に代表されますように、今後の新線建設あり方につきましては、こうした基準以上のもの、つまり大量輸送という特性を発揮できるものというものに限定をして建設を進めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、鉄道敷設法という法律がありますね。この鉄道敷設法については、わが党は六〇年代、七〇年代を含めて、あなたが言い、あるいは大臣がいみじくも言っている、その鉄道の持つ意義、あるいは交通機関多面化多様化段階における鉄道の持っている意義、性格、そういう点から考えて、当然現代にマッチし、あるいは先取りをするような敷設法改正すべきじゃないかということを、再三再四、私が動労委員長当時から提案しているんですがね。この敷設法をもとにやって、いわゆる、まあ自民党だけとは言いませんが、往々にして自民党系の、政治路線AB線とかという形だけにこだわっていると、行く行く大変なことになりますよと、したがって、交通機関多様化多面化に伴う、それに対応する敷設法に改めるべきじゃなかろうかと、こういうことを再三提案してきたわけですがね。いま大臣局長答弁を聞いていますと、やっぱり今日時点においても、あなた方が言う、今度の運輸政策審議会の提起した問題、八〇年代の交通機関の問題も含めて、やはりこの鉄道敷設法について見直し改正を図って、大臣が言うような方向に、今後の鉄道はこういう方向敷設を促進すべきだと、こういうふうに根本的に、一部例外規定なんて設けないで、もう抜本的に見直し改正整備すべきだと、こう思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  14. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 御承知のように、鉄道敷設法は制定されまして五十数年——約六十年近くの歴史を持っております。この運用につきましては、法が非常に幅広く運用されておりまして、それがこの六十年近い慣行としてずっとこの法の運用を受けてきております。そこで、現在におきましても、私はこの敷設法現行のままで十分新線建設に対応し得るそういう制度なり、活用が図られてきておると実は思うております。新線建設につきましては、その都度鉄建審なり、あるいは国会でも御承認いただいておりまして、国会審議事項としてもこれを取り扱いを受けておるわけでございますしいたしますので、現行のままの運用で十分適応されていける。ただ、おっしゃるように、将来の鉄道展望路線展望について明確な一つの方針を出せというお言葉でございますとするならば、それに対応したものはわれわれとしても今後運政審答申を受けて考えていかなければならぬ。具体的な作業というものは、どのようにやっていくかということはまだ私のところでは全然準備をしておりませんが、そういうことによって対応し得られるのではないかと思うておる次第であります。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、きょうは鉄建公団にも来てもらっておりますが、あなたがそういう強弁するなら強弁として受けとめておきましょう。  では、AB線建設について具体的に聞きます。AB線建設については、鉄建公団が設立されて以来、今日までずうっとやってきているわけですな。そして、この鉄建公団がやってきた大部分が、今回の鉄道再建整備法切り捨て御免と、こういう運命になっているんですが、これは鉄建公団、一番古い線は何年に始まって、今日なお整備もされていない、開通もされていないという一番古い線はどこの線ですか。昭和何年、どの線で、予算は幾らつけて、着工以来今日まで何年かかっていますか。一番古い線を言ってください。私は資料を持っていますが言いません。各年度年次別予算を言って、現在の進捗状態開通見通しを言ってください。
  16. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) 御承知のとおり、鉄道建設公団昭和三十九年に設立されましたので、それ以前に着工している線がずいぶんございまして、まだ完成していない線がございます。ちょっといま手元線名を持っておりませんけれども、調べましてすぐお答えいたします。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 きょうはAB線質問をしますよと言っているじゃないか、あんた。資料がないって、ふざけるなよ。
  18. 藤田雅弘

    参考人藤田雅弘君) お答え申し上げます。  鉄道建設公団昭和三十九年に設立されまして、そのときにすでに国鉄建設をしておりました路線が十六線ほどございまして、この路線につきましては、私どもは、それがいつ着工になり、いつどうなったかということをいまつまびらかにしておりませんが、その十六線のうち、現在まだ何といいますか、完成しておらない線が全部で四線ほどございます。その予算配分その他等につきましては、予算事情等もございまして、現在のところ、その四線につきましては、昭和五十五年度地方交通線対策法律ができまして、それに対する整合性関係で、乗車人員密度が一日当たり一キロメートル当たり四千人以下の線につきましては、第三セクターによる運営が確定的になった野岩線を除きまして、すべて予算凍結されておりまして、現在建設をやめております。国鉄線として現在建設しておりますのは、鹿島線内山線呼子線の一部の三線でございます。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣ね、資料を持ってない人に言ってもしようがありませんから。私はここに持ってますよ。たとえば一例として阿佐線というやつが、三十九年は一億、次は四億、また二億、二億、二億、二億、あるいは四十五年がゼロで四十六年は三億、四十七年が九億、四十八年が二億、あと四十九年は高度成長で二十五億、それで五十年十三億、二十一億、二十三億、二十四億で十七億と、ざっとこう、三十九年から何年ですかな、いま五十六年ですから。ざあっとつなぎ予算で一億、二億程度の予算をつけておって、そしていまだに完成しない。今度は再建措置法でパアだと。その今度の根拠になったのがこの鉄道敷設法ですよ。そうでしょう。これは否定しませんな。鉄道敷設法によって選定されて、当時の、何という政治家か知りませんが決めて、それで三十九年から一億つけて、ざっと二十年近くこれを、住民の意思を引っ張ってきて、それで今日段階鉄道再建措置法切り捨て御免だと、いま鉄建が言っているとおり、予算凍結だと、これが鉄道敷設法なんですよ。これで鉄道に対する住民要望が生かされると思ってますか。どうです、大臣。そのほかいま十六線全部持ってますよ。皆、以下同文ですよ、これは。時間がないから言いません。こういうことが鉄道敷設法なんですよ。いわば選挙に絡む政治家の金もうけと選挙資金の徴収と、土地とたんぼをただで出させて、あげくの果てに住民の期待を裏切って路線廃止だと、これが政治というものですか、大臣。余りにも酷じゃないですか。いかがです、これは。
  20. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 御指摘のように、かなり長い年月かけまして、いまだに完成しないというところがたくさんあることも事実でございます。限られた予算の中で、各線ともに非常に建設につきましては、地元住民の方の強い御要望がございます。そうしたことにおこたえするためにも、予算の中でこれを、まあいわば、ある時期におきましては総花的に配分をして建設をしてきたというところから、かなり長い年月がかかったことも事実でございます。そうしたことではなかなかいかぬということで、五十四年になりまして重点的な施工ということをいたしておりまして、現在の建設路線を四段階に分けまして、第一段階を第一順位にいたしまして、重点的な配分を行ったわけでございます。ただ、事態はますます深刻になってまいったわけでございまして、客観的な交通事情の情勢も変化いたし、それから、これを引き受ける国鉄財政事情もきわめて悪化をしておるという事情がございまして、やはりこうした重点的な配分によることもかなわない状態になってまいったわけでございます。したがいまして、五十五年度、昨年度からは、先ほど公団が申し上げましたように、一定基準、つまり四千人という輸送密度を超えるものに限って建設を認め、それ以外のものにつきましては凍結をしてきたということで、現在に至っておるわけでございますが、この鉄道敷設法との関係におきまして、根本的に見直すべきではないかという御指摘につきましては、そうした御指摘の本当の意味につきましては、私ども十分検討をし理解をしたいと思いますが、先ほど大臣が申し上げましたとおり、非常に多くの路線の、多くの地元の方の御要望等もございますので、この運用につきましては法律改正ということによらずに、適切な運用ということによって対応をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 局長ね、あなたはうまく逃げてますけれども、それは運輸省とか鉄建公団というのはそれが一番都合いいんですよ。いわゆる政令とか省令とか運用規定とか、そういうものをあなた方行政サイドで、まあ適当と言っちゃ語弊がありますが、まあ余り適当と言うとばかになるから、十分な配慮はしているんでしょうけれども、われわれ立法を預かる、議論する国会の場にしますと、みんな省令政令運用規定で逃げられてしまうと、これは行政サイドだといって国会に全然報告しない。それで見切り発車をしてみたり、いろんな具体的な問題が起きてから国会にもう一回戻ってくる、こういうことを現に繰り返しているのがこの新線建設、特にAB線であり、CD線であると思うんですよ。現にいまも提起をしている問題もその一環だと思うんですがね。私は少なくともこういう基本法があって、政令をつくる、省令をつくる、運用規定をつくるという場合には、関係委員会報告して了解を求めるとか、少なくとも委員会理事会に事前に報告して、そして理事会了解を得て、政令とか省令つくる、そういう形に、行政府と立法府が密接な連携をとるという前提があれば、ある程度考慮余地がありますが、ただ、行政が一人歩きするという意味でのいまのあなたの五十四年なり、五十五年の運用規定については、私は了解できないんですよ。運政審答申しかり、運賃値上げの問題しかり、そういう点ではもう少しやっぱり私は、法律法律としてつくるということであるならば、まあ大臣答弁については一応了とするとしておいても、行政サイドにおけるいろんな姿勢については、運輸省はもう少し立法府関係について十分な配慮をすべきだ。そうしないとわれわれ国民の代表があなた方にどういう機会に言うチャンスがあるんですか、全然ないじゃありませんか。ですから、そういうことについては基本的に鉄道敷設法改善すべきだ。  それで、AB線の問題についてもそれじゃ鉄建公団にちょっとお伺いしますがね。あなたの方では工事を始めましても、国から予算が来れば工事をする、予算が来なければ、休眠、休業だと。そうして国鉄とか政府側予算をくださいとかという行動はしないんですか。また、現にやっている工事開通見込みについて、それは国鉄運輸省が決める問題であって、鉄建公団は毎日毎日路盤と線路さえつくっていればいい、開通の問題については住民に責任を負わないと、こういう姿勢なんですか、どうですか、鉄建公団経営姿勢は。
  22. 藤田雅弘

    参考人藤田雅弘君) 私ども予算は一応、要求をいたしますのは運輸省から予算を要求するようになっておりますので、私ども実情運輸省にお話し申し上げまして、AB線予算等についてはいろいろ努力をしているところでございます。  また、開通見込みその他につきましては、私どもといたしましては、先ほど、五十四年度から重点化しておりますが、そういう線につきましては、おおむね現在程度の予算が配賦されるならば、この時期におおむね開業にいけるのではないかというようなことで、完成目途を立てておりますが、すべての線につきましては、先ほど鉄監局長さんからお話しございましたように、乏しい予算の中ですべての線にそういう予想を立てるということは非常に困難でございますので、そういうことはいたしてはおりません。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 国鉄にお伺いしますが、国鉄はどうなんですか、鉄建公団が敷いた線路について駅をつくったり、信号をつくったり、人員を配置したり、それも運輸大臣がうんと言わなければ国鉄開通の見込みについて責任を持てないと、こういうのも国鉄姿勢ですかな、総裁。
  24. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) ただいままでこのAB線建設に関しましての協議は何回か受けておりますが、その場合には公団の方で工事の計画内容を立てまして、それについて国鉄側に協議があるわけでございます。それに対しまして国鉄側として意見があれば申し上げ、意見が一致したところでその御協議をお返し申し上げるという経緯でやってきております。ただし、先ほどからお話がありますように、現段階ではAB線の一部を除きましては、工事をほとんど実施してないという状況でありますので、そのような協議が現在は一部のものを除きましては行われていないという状況であります。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、大臣ね、いま鉄建公団国鉄側の意見を聞いていますと、結局いろんな予算をつける運輸省の部隊、鉄道建設する鉄建公団の部隊、それから営業開始に伴う整備をする国鉄部隊、この部隊はあっても、結局あんたのところで生殺の権を握っていると、こういうことが言えるわけですな。あなたが関係予算を幾ら取るかによって、鉄建公団国鉄側も生か死か、あるいは生殺しか、そしてそのあおり食ってふうふうしているのは住民と、こういうかっこうになるという仕組みになっていますが、この仕組みは肯定しますか。いま鉄建公団の言うことは違う、国鉄の言うことは違うと、余りに無責任だと、こういう考えか。いやそのとおりだと、こう思うんですか、大臣の責任ある見解を聞きたいんですがな。
  26. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先生も御承知のように、この鉄建公団ができましたときは、そのできた大きい理由は、やはりその当時、つまり昭和三十年時代でございますが、日本の経済も復興から新しい経済基盤づくりということに飛躍する時期でございました。その当時はやっぱり鉄道が何としても交通機関の骨幹となって維持されるものだという、そういう前提に立ち、しかも国鉄だけでは工事に能力の限界があるし、予算配分も限界があるというところから、鉄建公団という建設部門だけはもう一つつくって、それによって一挙に拡大して建設をしようという趣旨からできた、これはもう私は釈迦に説法、もう一番よく御存じだと思うんです。ところが、それ以降道路の方が飛躍的に整備されてまいりまして、それはやっぱりガソリン税を中心とする自主財源を持っておったと思うんです。片っ方は自主財源というものを持たないで、国の予算配分内、そして国鉄の自己償却資金の中で生み出していくということで、そこに差がついてまいりました。それが今日こういう事態になってまいりました。でございますから、私たちは現在までのことに対して、欠陥がなかったとか、あるいはこれでもう間違いなく一生懸命やってきたんだというようなことだけでこれは済まされない問題があると私は思います。けれども、これはみんなが善意で一生懸命やってきたんだけれども、こういう事態になってまいりました。そこで、これからの将来を見た場合に、こういうAB線あるいはC線というような線をどうするかということが、今後の課題として大きく私たちの責任にかかってきております。そこでとりあえずこの国鉄の再建とあわせて、現在建設中のたくさんな線がございますけれども、その中でまず乗車密度基準にしてやるべきものは工事を進めていこうと、それ以外に地方開発として活用されるというものは、できるだけ地元でひとつ活用してもらうようなことも考えてみようと、そういう基本方針のもとで、これからのこの残されておりますいろんな建設中の路線というものを、国鉄の再建を図ると同時に、これの整理もやっぱりしていかなきゃならぬと、こういうことでございまして、現状認識におきましては、仰せのようなことわれわれは痛感いたしております。でありますから、運輸省が、これは国鉄がやったんだ、鉄建公団がやったんだと、そんなことは私たちは申しておりませんで、これをやはり日本国土全体の総合交通政策の中で生かしたい。ですから、これをAB線の中で、地域交通の中で活用する方法があるならばそれをとってほしいと、それがもしどうしてもできないというならば、それならば現在建設路線を道路として活用するならばどうだろうかと、できるだけ鉄道として活用してもらいたい、それには国の助成の方法も考えましょうと、相談しましょうと、こういうことを申し上げておるというのが実情でございます。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣あんたいみじくも言ったけどね、昭和三十九年、まあ計算しやすく四十年としますとね、四十七年田中内閣ができて、鉄建公団法の改正をして、田中角榮の資金ルート、政治資金を集める建設ルートだと、鉄道建設なんて田中という偉い人の政治資金の建設路線だと、こう公団で言われたんですがね、いま裁判やられているから、その是非は裁判に待ちましょう。ただ、年代的に昭和四十五年、現在五十七年、あなたがたまたま自動車とか道路ということを言葉を使いましたがね、私はその事実経過についてはそれを認めます。しかし、道路とか自動車とか、あるいは目的税をつくってやったということは、これは業者が勝手にやったんじゃなくて、日本の政治機構が決めたんでしょう。道路にしたって、石油にしたって、エネルギーの問題にしたって、この国会という場において、日本の政治機構が逐次政策として言い出して、それを行政が実践して、それで今日のというふうになったわけですね。だから、そういう経緯があるならば、私は昨年の臨時国会でも言った、国鉄財政再建措置法でね、このローカル線の廃止の問題について、もう少しそういう政治の責任ということを考えて、関係住民の意向を十分に尊重すると、そういう手だてを尽くすべきだと、そして合意をしてからやるべきだと。社会党としては、特に公明党の皆さんの協力も得て、二年間の時限立法で切り捨て御免、これは過ちだと、誤りだということを強く主張したけれども運輸委員会では絶対多数でやられてしまったわけですね。しかし、私は最後の総理の質問なり、あるいは附帯決議の中で、少なくともそういう経過はあるけれども関係の地域住民、当該県知事の意見を十分尊重すると、あなたも尊重しますと、そして総理大臣も尊重しますと、こう言って附帯決議は締めくくりになっておるわけですね。ところが、私はゆうべ朝鮮から二十四時にうちに帰ったんですが、けさの二十四時十分ころですよ。うちへ帰って新聞見たら、これは大変な記事が載っておったですな、あした決めるんだって。何をそんなにあわ食って決めるんだ。二十四日に臨時国会の召集を決めたから、臨時国会の召集が来ると、目黒というばかたれにまたいじめられるからさっさと食い逃げせいと、これで決めるんですか。  それなら具体的に聞きますがね、県知事はどういう意見を持ってきたんですか、そこで述べてください。四十県知事はどういう意見を運輸大臣に提示してるんですか、教えてください。
  28. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 関係の道県知事は二十県でございまして、八月の末から九月の初めにかけまして、全二十県全体の御意見が出そろったわけでございます。一県一県申し上げてもよろしゅうございますが、主なところをまとめましてお話を申し上げたいと思いますが、大きく分けまして二つに分けられます。一つは一般的な総合的な御意見、各県共通な御意見と申し上げてもいいと思います。それからその第二は、それぞれ各県に特有な御意見というふうに申し上げてもいいと思います。  第一番目の、一般的な御意見といたしましては、これは各県とも共通でございますが、地方の住民の代表としての知事としては、地方交通線の廃止に反対であり、国鉄におきまして維持存続すべきであると、これは各県とも共通な御意見でございます。第二番目、この地方交通線の廃止というものを真っ先にやることについては賛成しがたい。国鉄の経営改善あるいは合理化は幹線、貨物輸送、そうした部門におきまして非常に大きいので、まずこうした部門から改善を実施すべきである。地方線対策はその後にすべきであるという御意見。それから三番目、地域の総合的な交通政策なり、交通体系というものを明らかにすべきであり、その上で地方線の存続を考えるべきである。四番目、画一的な基準で地方線対策を実施をすることは遺憾である。地域ごとの特性を十分に考慮すべきである。五番目、経営改善計画の具体的な内容を各線ごとに地域住民に十分説明して、その理解を得るべきである。  概括いたしまして、一般論としては以上のようなことになろうかと思います。  第二番目の各線ごとの個別の御意見を、これもまとめてお話を申し上げますと、第一番目にそれぞれの線の、いわば地域開発、こういうものがたくさんある。それを十分に評価をし、それに伴う輸送増というものを付加すべきである。それから第二番目、代替輸送道路が狭隘でありまして、安全上も問題であり、バス転換が困難である。第三番目、貨物輸送について配慮がされることが少ない。トラックに転換した場合に非常に問題がある。第四番目、新線建設の行われているところにつきましては、新線部分と在来線とを一体的に評価をすべきである、こういう御意見。  概括いたしまして以上のような御意見に集約されるかと思います。
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それで大臣、十一月二十七日の再建法の締めくくりの際に大分議論をしまして、「地方交通線対策を進めるに当たっては、地域住民の意向及び知事の意見を尊重する」、「政令の制定と実施に当たっては、委員会の審議経過を尊重し慎重に措置する」、こういう二つの件で、これは当時は、きょうは伊江自民党理事さんがいないんですけれども、彼がいると一番わかっているんですけれどもね。大分反対があったけれども、最終的にこの法案のまとめとして、私は附帯決議として、共産党を除く各党が了解したものと、こう受けとめているんです。そうすると、いま鉄監局長が述べた意見、その意見について運輸大臣としてはどういうふうにそれを生かすために措置をされようとしたのか、あるいは措置をされたのか。あるいは私も運輸委員会委員会招集を、国会閉会中に、ローカル線の問題について、国鉄総裁とか運輸大臣があっちこっちへ行って大分ラッパを吹いているんで、これは大変なラッパだなと、こんなラッパじゃ困ると思って、それを、事情聴取をする意味も含めて、自民党の理事に対して運輸委員会の招集をお願いして、その運輸委員会段階において、いま言った知事の意見、地方の動向、あるいは岩手県における第三セクターの問題点、野岩線における問題点などについて十分の事情を聞いた上で、国会と国民との間に誤差のないようにという配慮をしたんですが、自民党都合大臣都合で八月末には委員会の招集ができませんでした。したがって、私は自民党の理事に、少なくともこのローカル線の問題については、知事の反対意見は強い。したがって、臨時国会までこれを許可するようなことがあっては、野党の理事としては承服できない。臨時国会冒頭において十分に運輸委員会で議論して、そこで今後の運営に支障のないように、少なくとも運輸委員会をろ過してから見切り発車すべきだと。あるいは発車に当たって、専門の運輸委員会の意見を十分に尊重してやるべきであるということを自民党の理事には申し入れてあるんです。したがって、私は今日は決算委員会でありますから、余りそういう政策論争するのは適当じゃありませんが、もう時間がありませんから、ひとつ各委員の方にもお許し願って、この附帯決議の実施に当たって、県知事の意向をどのように受けとめて、それを説得し、納得させるために、あるいは一部生かす面もあると思うんですが、そういうことをするためにどういう措置をされてあす決断と、こういうふうになったんですか。その具体的な協議の日程、あるいはその作業の内容、それをひとつ——私は昨年の十一月の委員会終わってから、失礼だけれども、鉄監局長から、運輸委員会の社会党の理事として一回もあなたから説明を受けていませんからね。あなたがとんとことんとこひとり歩きをしておったんだから。少なくとも私は運輸委員会の理事でもあるし、決算委員でもあるから、その辺の、十一月二十七日の委員会における附帯決議の実施に当たって、どういう具体的な取り組みをしてきたのか、具体的にひとつこの段階答弁を求めたい。私は何もしてきてないと、こう思っているんですがな。
  30. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この特定地方交通線というのは、御承知のように昭和四十六年からの話でございまして、そのときには国鉄地元の市町村長、知事との間で、いわば話し合いで何とか廃止、代替路線ということを相談しておったんですが、なかなか決着がつかない。そこで、再建法によりまして、これは何とかして転換をさしてもらいたいということで、昨年の秋に法律を成立さしていただいたような次第でございます。  そこで、あの法律が成立いたしますにつきまして、附帯決議をつけられておるのでございますが、この附帯決議の趣旨は、私は政令を作成する段階、すなわち本年の二月、三月、この段階におきまして関係知事とはもう何遍となく話し合いをいたしておりまして、最終的に政令案をまとめた、これが第一段階でございます。そのときにはもちろん個々の路線にどう影響するかということ、この政令制定の影響というものはどうなるかということについて、知事とは十分に話し合いをしたつもりでございます。でございますから、当初あの法案を提出いたしました昨年の二月の通常国会当時から見ますならば、ずいぶんと私は地方の意見が取り入れられた結果として政令は定められたと思うております。もちろんその段階におきましても、知事さんにいたしましたら、一線たりとも廃止させぬというのが基本方針でございますから、これはもう文句なしにそういう方針なんでございますから、これはもうオーケー、賛成だということは絶対ございません。けれども、私たちは知事の意見を最大限集約した形で政令を制定したつもりでございます。それから、その制定いたしました政令に基づき、省令を定めたのでございますが、そのときにも再度にわたりまして知事会と話し合いを持ち、また関係の市町村とも接触をいたしておりました。そうして、六月十日、国鉄から申請書が出てまいりました。その段階で私たちは大体一カ月ないし一カ月半以内に、この処理をいたしたいと思うておったのでございますが、しかしその段階になりましても、なお知事の意見をもう一度聞きたいと思いまして、全国知事会で関係府県、二十県ございますが、関係者が集まって四回会議がございまして、鉄監局長がそのたびごとにずっと説明に参り、話し合いをしてまいったのでございます。その知事会や連絡会が終わりまして、それから八月の中旬ごろになりまして、知事会で質問書というものを出すということでございまして、その質問書に対しまして八月の中旬に私の方から回答いたしました。それに基づいて各知事さんから意見書が正式に八月の末から九月にかけて提出されてきたと、こういう段階でございます。でございますから、この問題に関しましては、知事会とは十分に話してきたつもりでございますし、今日までおくれてまいりました理由も一にそこにあったわけでございます。けれども、依然としてそれは廃止対象になる自治体並びに知事さんにしたら、これでよろしゅうございますということは絶対それは申しません。でございますから、意見あることは当然でございます。けれども、私が感じますのは、先ほど鉄監局長が意見を紹介いたしましたように、これは国会で審議された意見が全部国会で集約されております。それと同じ意見が知事会から出ておるということでございます。しかしながら、特定の路線につきまして運輸省として調査いたしましたら、事情のあるところも実はございます。そういうところにつきましては協議開始の時期を若干おくらして、なおかつ運輸省地元と十分に話し合いをいたしたいと、そういう姿勢で、特定路線は、そのように知事が具体的に事実を挙げて言ってきておりますものは、知事の意見を尊重しておるわけでございまして、他の路線につきましては、いわば国会で論議されましたこと、それは政令で、あるいは省令で私たちが十分参酌して決めていったことでございますので御理解いただきたい。今日までおくれたということで、きょうはおしかりを受けるかと思うておったんですが、今日までおくれた理由は、そういうふうに知事との意見の交換で時間がかかってきたということをおくみ取りいただきたいと思います。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣ね、私はそんな泣き言聞いているんじゃないんですよ。昭和四十六年からのことは百も知っているしね、この前も意見は聞いているし、あなたが福岡へ行って、請願に行って総スカン食ったということも知っているし、あるいは高木総裁が西日本新聞のシンポジウムにおいでになって、いろいろ国鉄総裁らしからぬ親切な答弁があったということも聞いているんですよ。しかし私は、そういう努力をしても、依然として岩手県の三陸鉄道を除いては、これは絶対反対ですよ。絶対反対の意見が当該知事から出ているということは、今後協議会を設置しようと、国鉄が逆立ちしようと、どうにもこうにも進まぬということですよ、これは。進まぬということはあなたがあした大臣のメンツにかけて、十一月の改造があるからかどうかは知らぬけれども、改造までにやっておこうなんという助平根性じゃないだろうと思うけれども、天下の運輸大臣はそんな助平根性じゃないだろうと思うけれども、九月の二十四日臨時国会が召集されて、議論の場があるんですよ。どんなに行政当局が努力しても、絶対反対の姿勢が変わってないと、したがって、運輸委員会としては、この問題どうしましょうかということをもう一回運輸委員会で議論するのが当然じゃないですか。当該の県知事が絶対反対、全体の首長が絶対反対だと言うのに、国鉄が協議会を発足させたって会議が円滑にいきますか、総裁。  私、あなたに聞きますがね、これはあしたやって線区別に協議会を持つ際に、当該地方自治団体なり、関係住民会議に参加すると思っていますか、思っていませんか。総裁、どういう見通しですか。あなたもあしたボタンを押す限りは、さっきの理屈じゃないけれども運輸大臣から全然相談なくて、あなたはオーケーは言ってないはずだ。あなたも内心はオーケーを大臣に言っているでしょう。あなたは当該の総裁としてオーケーは出したけれども、直ちにこの協議会が発足できて、円滑に地方住民の意見が聞けると思っていますか。あなた行政の責任者としてどう思うんです、総裁。
  32. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) いま大臣からも御答弁ございましたように、知事の意見はいろいろな形で運輸大臣がお求めになりました。各知事のお立場で賛成という御意見はなかなか出にくいというのが実情であろうと思います。私ども、多くの知事さんあるいは関係市町村長さんにお目にかかる機会がこの半年の間にございましたけれども、どなたももちろんわかったということではないのでございますけれども、しかしさりながらとにかく相談をしましょうと、協議会の運営はどういうふうにしてくれますかというようなお話はいろいろあるわけでございまして、私どものいまの見通しとしましては、公式見解としては強い反対があるとはいうものの、協議会に臨んでいくかどうかということについては、各線ともテーブルに着いて相談に乗っていただけるというふうに見通しておるわけでございます。  そこで、どうも非常に私どもの至らざる点が多いのでございましょうか、なかなかまあ私どもの考え方なり、その線区のいろんな問題点なりのお話ができるところまでいってないわけでございますので、協議会のテーブルに着いていただけましたならば、そこでいろいろ相互に事実関係を中心として情報交換をするといいますか、そういうことを熱心に行っていかなければならぬと思うわけでございまして、私はいまの段階では大変意見は離れておりますけれども、とにかく一つのテーブルで御相談するという雰囲気は生まれてくるに違いないと考えております。
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ総裁の見通しは実際に現実にぶつかってみてからどういう感じがするかまた判断するとして、あなたは福岡の西日本新聞のシンポジウムで、二年後には見切り発車しない、十分住民の合意を得た上で移行しますと。いわゆる俗に言う見切り発車はしないという公約を大衆の前でなさったということを、私は熊本に行って新聞で知ったんですが、それは事実と間違いありませんか。
  34. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 協議会が始まりまして、協議を重ねる、その期間は大体二年を最長限と考えるということは法律のたてまえで明らかであることは御承知のとおりでございます。  そこで、しばしばいろいろな機会にいわゆる見切り発車をするのかしないのかという御議論が出るわけでございますが、私はそういう事態、見切り発車をしなければならぬというような事態に立ち至らないようにぜひお願いをいたしたいということを繰り返し申し上げておるわけでございまして、いろいろな新聞等の報道の中に、一部そういうふうに見切り発車をしないという表現をとったように伝えられている部分もございますけれども、多くの記事、シンポジウムそのものの記事につきましても、そういう表現ではなくて、見切り発車というような事態にならないようにお願いをいたしたいというふうに申し述べていることは、多数の報道ではそのように伝えられておりまして、私もそう表現をいたしております。何とか見切り発車というような、そういう事態に立ち至らないで、つまり何らかの意味において合意を得られるようにわれわれも努力をいたしますが、関係者の御協力を得たいというのが私の気持ちでございます。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣ね、これはもう二年後に——大分昨年も論議したんですが、いま総裁が言った気持ちというか、協議の段階で、二年が来たから機械的に見切り発車というのでなくて、やっぱりあくまで合意を前提に時間を重ねて努力すると、そういう行政指導を総裁がとっていると、私はもう理解するんですが、その総裁のとっている心構えといいますか、それについては大臣としては、それは法律違反だからおまえ二年で見切り発車せいと、こういうお気持ちなのか、ああ高木総裁よろしいと、こういうことなのか、大臣の見解を聞かせてください。
  36. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私も総裁の言っているその気持ち、これでやっぱり協議会を実りあるものにしてもらわなきゃならぬと思うております。ですから、あくまでもやっぱり地元も真剣に話し合いをし、具体的な対応策を持って相談をしてもらいたいと私は思うておるんです。  ただし、私は一番心配しておりますのは、一人の反対があれば橋をかけないという、この発想で物事が相談されておる間は、これはどうしてもまとまらぬと思うのでございまして、そういうことのないように、やはり大多数の意見が集約されて、結論を二年以内に出してもらうようにいたさなければならぬと、それは私も同じ気持ちでございます。
  37. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣、大多数が反対しているんだからね、自民党の県知事さんとか、自民党運輸委員の方々はどうか知りませんがね、自分の立場があるから。自民党の代議士さんも含めて大多数が反対しているんですから、むしろ譲歩するのはあなたの方じゃないかと思うんですがね。まあ、それは幾らやっても平行論議だから。  それから、もう一つ念のために聞いておきますが、総裁ね、これは法律が二年来てもね、国鉄には労使関係があるわけですね。このローカル線であなた方は二万人の削減をすると、こう言っていますが、全体で。労使関係が調わないのに、片方法律だから見切り発車と、そういうへまはやらないでしょうな。住民住民、労使の合意は労使の合意で従来の慣行があるんですから、労働条件の変更ですから、労使の合意がない限りはローカル線の廃止はできない、ローカル線の廃止と労使関係は表裏一体であると、このことについては否定はしないでしょうな、総裁。
  38. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) その問題は必ずしも地方交通線の問題に限りませず、現在の経営改善計画全体について、いまだ組合側の完全なる合意というのはとても得られない状態でございます。しかし、このままでは国鉄の経営は危殆に瀕して、国鉄という組織そのものの存続にもかかわる問題であるということも、また組合としても大勢としては理解をしているものと考えております。そこで、今後この地方交通線問題に限らず、経営改善計画を計画のとおり実行いたしますにつきましては、非常に多くの労働条件にかかわる問題が絶えずついて回るわけでございますので、それぞれの改善計画によりますところの労働条件の改善については、今後とも従来どおりの労使の約束に従って、個別、個別に協議をしていくんだということに変更はないだろうなという確認を求められ、われわれとしてはそのとおりという回答をいたしておるわけでございまして、地方交通線問題に限らず、すべての経営改善計画の個々の施策につきまして、一つ一つ協議をしてまいる、そういうことでございますから、ただいま御指摘の点につきましても、労使間の話し合いといいますか、協議が整うということが前提になっていることもまた事実でございます。
  39. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、大分幅が広くなっちゃったけれども、ローカル線問題の二年の期限は法律的にあるけれども国鉄の労使関係がまとまらない限りは、その二年の問題は発効しない、まとまれば別でありますが、まとまらなければ労使関係が先行する、そういうふうに確認していいわけですな。
  40. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 私どもとしては、この交通線問題につきまして、当然私ども国鉄の中の問題でございますから、労働側といいますか、組合といいますか、十分納得をしてもらった上で、労使ともどもにこのことに取り組んでいきたいというふうに考えております。  現状は、地域全体がまだ反対ということでございますから、組合自身としていいとか悪いとかというところの表現はなかなかとりにくいわけでございますが、あくまでその点については私どもがうちの職員の納得を得ていくということでやるという確信を持っておるわけでございます。
  41. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、くどいようだけれども法律法律であるけれども労使関係は労使関係が優先するという総裁の見解を確認しました。  それで大臣ね、労使関係はわかったと。それから地域住民ですよ、県知事の問題。それで、さっき鉄監局長が共通課題、線区別課題、それから一応客観的な条件の変更などについて五つか六つありましたがね。私はここで、やっぱりきょう十七日ですからね、あと一週間足らずで鈴木善幸総理大臣が臨時国会召集されるんですから、少なくとも県知事の意見書、それに対する大臣答弁、それに対する国会運輸委員会としてのやはり政策なり、問題の取り組みなり、そういうものについては最小限運輸委員会の議論に付してもらいたい。運輸委員会の議論に付すことを私はここで改めて——まあ、前もって八月段階自民党の理事さんには申し入れをしておきましたけれども、きょうは委員会ですから、あとは二十四日まで委員会ありませんから、運輸関係は、これが最後ですから、少なくとも臨時国会での運輸委員会にその知事の意見書、それに対する大臣の回答、それに対して運輸委員会は専門的にどう答えていくのか、こういうことについて明確な一定の議論をして、方向を示して、今後の問題に少しでも支障のないように、与党、野党間並びに政府と立法関係で意思疎通を図った上で、私は問題の処理をしてもらいたいということを要求しておきます。これは答弁は要りません。大臣の決断です。あなたがどう決断するか、それによっては今後の運輸政策にわれわれが協力するか協力しないか、真っ向からむしろ旗を立てて反対行動起こすか、関西新空港を含めて。そういうことを考えていますから、これは答弁要りません。私は社会党の決算の委員として、運輸委員会の理事として、私は大臣に問題を提起をしておく。回答はあなたが自身で考えて、それによってはあなた自身が責任を負ってもらいたい。絶対に運輸委員会をろ過してからやってもらいたいということを強く私は要求しておきます。これは答弁するとまた委員会で、答弁したから云々という逃げ口上使われますから、答弁は要りません。厳重に提案しておく。  それからもう一つ、この問題で第三セクターという問題が、逃げ道があるのですがね。鉄監局長、この議事録当時は、十一月の二十七日、あれは野岩線の問題について福島県知事と栃木県知事に直接私が聞いたことをあなたに申し上げて、あなたが答弁して、そして決まった段階で云々と、こういうように話がなっているのですが、その後野岩線が全然あなたからも、あなたの部下からも連絡ありません。  それから岩手日報を見ますと、岩手県の三陸鉄道のこの第三セクターについて、いろいろ前提条件を挙げて黒字になる、こういう計算をしているのですな。この前提条件は少なくとも運輸委員会でいま運輸委員会委員長をやっている公明党の桑名先生も私も、第三セクターについて政府側が供給する便宜ですな、便宜についてどういう便宜があるのか、どういう条件を提示するのか、それがひとつまとまったならば、運輸委員会に、委員会であれだったら少なくとも理事会に私はおたくの考え方を提案してもらいたいということを、これは再三、自民党さんも含めて私は各党で意見が一致しておる問題だと思うのですよ。ところが、全然その第三セクターの提示がないと。ないままに岩手県のこの岩手日報を見ますと、ずいぶん都合のいい第三セクターの条件出ているわけですな。建設費、利子全部ただで貸します。貸し賃は取りません。災害が起きた場合には、鉄建公団が災害復旧の一切のお金を負担します。これどこで決まったのですかな、こんなこと。全然われわれは知らないですよ、私は運輸委の理事として。全然われわれの知らないことを、ぽんぽんぽんぽん、岩手県にはやっぱり鈴木善幸さんが総理大臣だから出しているのですか。そして、私の生まれ故郷の丸森線には、第三セクターの提案は宮城県知事と福島県知事には全然別個なものを提案して、岩手県の中村知事にだけはいい甘い汁をいっぱい出しているのですか。そんなことしたら三陸鉄道は、岩手県内は第三セクター、青森県絶対反対、宮城県絶対反対。それはメニューが違うからね。岩手県にはいいメニューを出しているから賛成なんですよ、第三セクターは。そういう行政指導をまさかやっていないと思うのですがね、鉄監局。第三セクターの条件について、明確な統一指導方針を出してもらいたいです。あなたの方が岩手県と野岩線に出したら、それをぜひここで明示してもらいたい、どういうメニューを出すのだか。それと新聞記事とメニューが合っていれば私はそれなりに理解しますよ。新聞記事が勝手にやっているメニューならば、私はどうしても文句言いたい。  それから時間がなくなったが、鉄建公団。あなたのところはどういうどろぼう根性と言うのですかな。これはうそですか、本当ですか。鉄建公団が去年六月第三セクター計算したって。これうそですか。本当だったら私は大変な越権行為だと思うのですよ。だれに頼まれて第三セクター計算したのですか。この計算の根拠は何を根拠に第三セクターの根拠を計算したのですか。われわれ担当委員会でちっとも知らない、こんなこと。鉄建公団は仕事が欲しいから、もうおぼれる者わらでもつかむということでやったというならそれなりに気持ちはわかります。何の権能と根拠があって第三セクター計算をやったんですか。この二つを鉄監局と鉄建公団に聞きたい。
  42. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 運輸委員会理事会におきましてそのようなお話を私お受けいたしました、確かに。その後検討を重ねておるところでございまして、最終的にはまだ決断ができてない状況でございますが、この検討の途中の経過につきまして、先般新聞で報道されましたような岩手県知事との会談におきまして、私ども検討途中のお気持ちを申し上げたことも事実でございます。御質問といたしましては、岩手県の方の第三セクターに対する各種の助成措置、あるいは国鉄あるいは鉄建公団の所有財産等の取り扱い等、あるいは第三セクターに対する免許の手続の簡素化の問題、こういうような諸点につきまして、いろいろと御質問がございまして、それに対しましてそれまでの検討の限りにおきましてお答えを申し上げ、新聞等におきまして一部報道があったことも事実でございます。中身につきまして詳細は申し上げませんが、また機会がございまして、先生初め関係委員会等におきまして、詳細にわたりましてそうした考え方につきましては御報告を申し上げたいと思います。
  43. 藤田雅弘

    参考人藤田雅弘君) 私どもが昨年来一応第三セクターというお話が出てまいりまして、御承知のように私ども建設をいたします場合は、当初からそこのお客さんが何人ぐらい、貨物がどのくらい出てどうなるかということをいろいろいたしまして、線路なり、駅のいろいろ設備を決めてまいるわけでございます。そういうことをやってこのいわゆるAB線CD線、すべての線というのは国鉄との協議を経て決まっていっているわけでございます。そういう経緯がございますんで、たまたま第三セクターというお話がありましたときに、私どもとして実際そうやって計算しましたものが、ある仮定条件でやったときに一体どうなるんであるかということで、部内で勉強的な意味でいたしたわけでございまして、正式にどうこうということではございませんし、これが権威を持ってどうこうというようなものではございません。私ども建設線をつくるためにやっております手法をただ使っていろいろ勘定をしたということでございます。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 では鉄監局長ね、結局あなたの答弁だとまだコンクリート化されてない生コンの段階だということですな、この第三セクターの条件は。生コンの段階関係知事に出すなんというのは、それは行政としては必要なことも認めないわけではありませんが、関係のわれわれの委員会の理事の方に一言も中身の相談が——国会で議論にならないんならいいんですよ。国会で議事録の至るところに第三セクターの条件というのが出てきているでしょう、各党から。それをあなたの方でまとめて理事会報告しますと言っておるじゃありませんか。理事会に全然報告しないで、生コンの段階のやつを中村知事とか、野岩線の知事さんに出すなんていうことはちょっと軽卒ですよ。国会無視ですよ。そんなことはやめてください。少なくとも当該委員会である程度所定の手続をとってからしかるべき措置をしてもらう、これは大臣にお願いします、あなたの責任で。委員会にしかるべき措置をしてから、当該知事に正式に提案をすると、その提案を受けて県知事はどうするかということを判断してもらう。そういう生コンで国会無視のことはやめてもらいたいということを議事録の経緯から言って、きょうは十七分までしか時間がないから言いません。  それから鉄建ね、あなたこの新聞見たでしょう、あなた岩手県だから。見ない。鉄建公団支社調査、「10年後には黒字?」、隣には岩手県の「第三セクターに可能性」「開業11年で黒字に」、どっちも十年か十一年で黒字ですよ。この計算のやり方皆同じ、これは。鉄建公団もあれも同じ。あなたそんな首振っているけれども、私だって鉄道で四十年飯食っているんだからね。あなたよりおれは鉄道で長く飯食っている。こんなやり方ありますか。これほどあなた鉄建公団がやるんなら、国鉄に貸すなんていうことやらないで、青函トンネルも含めて、鉄建公団が経営しなさいよ、あなた、こんな経営能力があるんなら。何も国鉄にわざわざ貸して、国鉄の高木総裁を赤字にさせておく必要ないんですよ。あなたが総裁になってやりなさい。鉄建公団兼第三セクター総裁になって、あなたの鉄建公団建設する線を全部あなたたちやりなさいよ、青函トンネルを含めて。こんなことは行政権の越権行為ですよ。部内でやったら、部内にきちっとしまっておくべきですよ。何で報道陣に発表するのか、こんなこと大臣鉄建公団が第三セクターまでやるなんというのはこれは越権行為じゃないですか、行政の。鉄建公団は経営面までやるんですか。大臣にお伺いしますが、鉄建公団は経営面までタッチしているんですか、鉄道運営について。どうですか、大臣
  45. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いま藤田理事が言っておりますように、ただ勉強してみたと、ということは、やはり自分らが建設する鉄道工事も、資本投資をできるだけ安くする、それが経営にどのように響いてくるかということは、そういうようなものはやっぱり勉強しても私は別に構わないと。ただ、それを決定事項として、何か業務上の対策として行動するということなれば、おっしゃるように越権だということが起こってくるかもわかりませんが、ただ勉強しておるだけでございまして、それは新聞でどう、私はまだそれを拝見しておりませんが、勉強しておるというのは、やっぱり鉄建公団だって経営的な才覚を持って考えてもらわなきゃいかぬと思いますし、まだ私はその中身についてとやかく言うべきものじゃございませんけれども、先ほど藤田理事の言っておりますことは、真実ではないかなと思ったりいたしております。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 あなたがいみじくも外部に発表するのはちょっと越権だと、後で議事録調べますが、そう言っておりますが、鉄建公団に要求します。この調査書の全部を出してください。どういう関係で新聞社には漏れたのか。しかも、去年の段階というと、ちょうど国鉄再建措置法がどうなるかというので、国会の情勢としてはきわめて大事な段階ですよ。大事な段階にあえてこういう調査をして、一歩下がって勉強のためというのは一応認めましょう。それをこういう形で、国鉄の経営のやり方がけしからぬと言わんばっかしの、この外部の発表の仕方というのは一体どうことなのか。原文を全部出してもらいたい、委員会に。原文とこれを発表した責任者、これは盛岡支社長ですか、盛岡支社長の釈明書、それを委員会に出してもらってから私は引き続き追及します。  それから、大臣のいまの御発言は追って議事録で確認します。  それから、最後に一分間だけ。  三陸鉄道の釜石線の在来線とおたくの新線に六十か七十の落差がありますな。あれはどういうわけでああいう落差ができたのか。  それから、成田空港の中に駅がありますな、成田新幹線の。その関係資料。  それから、上越新幹線の中山トンネルの開業がおくれたと、これは私は前回の決算委員会で、よもやそういうことはないでしょうなと言って、ずいぶん老婆心ながらいい質問をしてやったにもかかわらず、絶対御心配はありませんと答弁したにかかわらず、東北新幹線は六月、おたくは十一月とずれがあって、大分上越新幹線関係住民に悪い影響を与えている。なぜ前回の決算委員会答弁と、今回の開通がずれてしまったのか、たった二カ月足らずの間にどういう重大な変更があったのか、その理由について具体的な資料を提示願いたい。  以上三点、資料の提示を要求します。これで終わります。出すか出さないか答弁をしてください。
  47. 藤田雅弘

    参考人藤田雅弘君) ただいま先生のお話しございましたのはそれぞれございますので、私どもも第三セクター等のことについてはちょっとよくわかりませんが、調べまして御希望に沿うようにいたします。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その他の資料は。
  49. 藤田雅弘

    参考人藤田雅弘君) 成田新幹線と上越のお話もいたします。
  50. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 まず最初に大臣にお伺いしますが、わからなきゃわからないと答えてもらって結構です。上野から新潟までの新幹線のキロ数と駅の数、特に新潟県内におけるキロ数と駅の数、それと東京−神戸間の在来の新幹線のキロ数と駅の数、御存じでしょうか。わからなきゃわからないでいいんです。
  51. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) わかりません。
  52. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 国鉄総裁、同様の質問お答えいただきたいと思います。総裁いまわからなきゃわからないでいいんです。
  53. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) まず上野から出まして、その次が大宮でございます。大宮の次に熊谷にいまつくっております。それから熊谷の次が高崎でございます。高崎の次が上毛高原という仮の名前にしておりますが、これはどういう名前にするか。その次が湯沢でございましょう。それから湯沢の次が浦佐になりますか。浦佐の次が長岡になりましょうかと思います。それで、その次に名前をまたどうするかともめておりますが、三条燕にするか、燕三条にするかということでございますが、その次が新潟ということで、あるいは一つぐらい抜けていたかもしれませんが、大体そういうことでございます。距離は三百ちょっと欠けますかな、そのぐらいの見当であろうかと思います。  東海道は大阪までで約五百キロとお考えいただきたいと存じます。
  54. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣、これは大臣におわかりにならないのは無理ないと思うんです。しかし、国鉄の総裁もさっとキロ数と数は出てきませんでした。しかし、一つ一つ考えながら隣でちょっと書いておったようですから、ちらっと見ながらカンニングしてお答えいただいたようでございます。もっとも見なかったかもしれませんが。  ただもう一つ問題は、総裁、この上野−新潟間が開通した場合の在来線の運賃の減少分、これは予想額ですから大づかみでいいです。一体それはどこで負担するのか、このことについての総裁の御見解ございますか。あるいは大体年間どれくらい減収になると考えておいでですか。
  55. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) これ大変むずかしいのでございまして、われわれも明年開業いたしました後、とりあえず五十七年なり、八年なり、さらにこれが上野までつながってくる、東京駅までつながってくるときにどういうふうになるかということは、私どもの経営上非常に重大な問題でございますので、何遍もいろいろ試算をいたしておるわけでございますが、とりあえず明年の状況で申しますと、ちょっといま東北の部分と、上越の部分とを区分しての数字をいま記憶しておりませんけれども、両方合わせまして、そして、それぞれ片方が六月、片方が十一月という開業を前提といたしまして、運輸収入では大体二百億から二百五十億ぐらいの増収かなと、これは新幹線の方の増収部分と在来線の方の減収部分と差し引きをいたしまして、そんな感じかなと思っております。  ただ、御存じのように、現在大宮−上野間は、日本でも一番混んでおるところでございまして、これ以上増発ができないということで、非常に御迷惑をおかけいたしておりますが、上野と大宮の間がつながりました暁におきましては、相当在来線を増発をいたしまして、たとえば熊谷−大宮間とか、あるいは宇都宮−大宮間の住宅がどんどんふえております地域の方々に乗っていただくということが予測されておりますので、上野まで来ませんと、非常にまあ言ってみれば欠陥商品でございまして、大変ぐあいが悪いんですが、上野まで来れば、その差し引き増減収はそう御心配いただかなくてもよろしいんではないか。ただし、新幹線の方の建設費が非常に巨額に上っておりますので、それの償却なり、金利負担なりを考えますと、最初の数カ年は四千億近いオーダーの資本費負担が加わってくるということで、大変心配をいたしております。
  56. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私の質問は、在来線の減少部分は幾らかということをお聞きしているんです。差し引きプラスになる、マイナスになるんじゃなくて、新幹線が走ることによって、在来線の減少部分は幾らかと。おわかりにならなきゃ後で、それが一つと、それから新潟県内に入ってのキロ数と駅の数、この二つ、調べていただいて、後で結構ですから、この時間が終わる前にひとつ正確にお答え願いたいと思います。  それで次に移らしていただきますが、大臣、池田町に「池田よいとこ汽車の町」という小うたがあるんです。これは駅ができたから町ができた、北海道は大体そういうことで町の形成がなされてきている、象徴的な歌だろうと思うんです。それからもう一つ「挽歌」という小説ありますね。原田康子さんの、一時非常に有名になりました。この小説では、失恋の痛手を受けたヒロインが釧路から乗って、夜中の急行です、夜遅くの急行が着いた駅が池田だったと、こういう表現がされているんです。このことはこういうことになるんです。実は五五・一〇で八時三十四分発急行「ぬさまい」、列車番号が四一三D、これが釧路へ十一時〇四分に着く、帯広−釧路間です。これで着きますと、釧路で用事を足して、いまの「挽歌」の列車に乗って、夜には帯広へ帰り着くんです。人口二十万と十五万の都市の間、二時間足らずで走ります。非常に有効だったこの急行「ぬさまい」が五五・一〇でなくなって、地域は非常に不便なんです。そうすると、昼まで急行ありませんから、日帰りで釧路へ帯広の人が用事をするということは非常に多いんですが、車走らせて二時間半、往復五時間ですが、これに頼らざるを得ない、こういうことでどんどん車利用がふえています。だから、五五・一〇の中の時刻改正でそういう矛盾がたくさん出てきているやつは、次のこの五六・一〇の時刻改正ということで全国的にいろいろあると思うんです。それでたくさん要望出ていると思います。こういうものについては考慮する余地があるのかどうか、ローカル線問題とも、あるいは国鉄の合理化ともきわめて関係の深い問題でございますが、これらについて、国鉄当局として見解をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  57. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 昨年十月、五五・一〇でございますが、私ども、利用者の御利便にこたえ、需要にマッチしたダイヤ改正、そして、また他方効率性を増すというためにダイヤ改正を行ったわけでございます。先生御承知のように、たとえば新幹線におきましては、御利用の高いひかり号を増発いたしまして、他面御利用の悪いこだま号を削減するといったような形でダイヤ改正をいたしたわけでございます。  先生ただいま御指摘の四一三D、「ぬさまい」という急行でございますが、池田駅を九時七分に発車をいたしまして、十一時四分に着いておったわけでございますが、これを各駅停車に格下げをいたしまして、九時十三分発の十一時五十三分、池田駅の発車時刻で六分おくれまして、釧路駅の到着時分が四十九分遅いという列車になったわけでございます。これはいろいろ理由がございまして、実はその前に走っておりました、下り列車でございますが、新得から池田に参ります、これは貨物と混合列車でございましたが、これが非常に暖房効果も悪いというようなお話もございましたし、かつまた池田から釧路へ向けまして御利用率が非常に悪い、三割ぐらいの乗車でございました。したがいまして、これを池田どまりにいたしました。他方この混合列車が釧路駅に着きます時刻が十一時三十七分という非常に遅い時間でございまして、釧路の方々はその前の列車九時十七分から十一時三十七分まで到着する列車がないということがございました。そういったことで、今度は白糠発の釧路行の列車をその間にはさんだというようなことがございまして、そういったもろもろの関連を勘案いたしまして、この急行列車を各駅停車に置きかえた、こういう事情でございました。  そこで五十六年十月、この半月余りに迫りましたダイヤ改正時にどうかという御質問でございましたが、私ども一年間の御利用の実態をよく調査いたしまして、そういったもろもろの御要望によくこたえるように、できるだけダイヤ改正の際に配慮いたしたいと思っておりますが、この急行列車につきましては、特段の措置をこの十月期にするつもりは、考え方は持っておりません。
  58. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣、いまの御説明聞いていてもおわかりだと思うんですけれども、こういうふうにしたからいいという、きわめて専門的な説明ですが、乗客の心理状態として、帯広−釧路の急行なくなった、途中の貨物列車はこうして四十九分おくれてこういうふうになって、ことんことん行けばいいではないか、そうならないんです。それは途中の人の問題とは別に、帯広−釧路という十五万と二十万の都市の間を日帰りできるかできないかということになりますと、いまのような説明にならないんですよ。ぼくは、そこら辺に国鉄の合理化問題赤字問題の一つのポイントがあるんでないか。やはり乗客のニーズなり、心理状態というふうなものを的確につかんだ営業に対する姿勢といいますか、こういうものを専門家の考えた角度でこうこうこうなるからこうだというふうなことに置きかえて、いつも判断をしていくというきらいがあるんでないか、心理的な、乗客の乗る乗らないのあれは違うんです。総裁もこの点ひとつ、赤字問題と取り組む場合の一つの問題点として指摘しておきたいと思います。  それから、先ほど目黒委員からも特定交通線に関する問題の質問がございました。確認する意味でもう一度。これは北海道知事から出ている意見書の内容ですが、「道内八線区の廃止は、基本的に反対であり、これを凍結すべきである。」、こういう意見書が出ております。以下それぞれ項目に分かれておりますが、この意見は尊重するのですか、無視するのですか。これは大臣、総裁それぞれひとつ。もう一回読みます。「道内八線区の廃止は、基本的に反対であり、これを凍結すべきである。」という知事の意見書です。どちらか、尊重するのか、無視するのか。あした答申を出すとすれば、どっちかにしなければできないわけでしょう。この点についてひとつまず大臣。これはやはり大臣見解でしょうかね。
  59. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 知事の意見でございますから、知事の意見としては私たちは聞いておりますが、政策上やむを得ないこともあり得るということでございます。
  60. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 やむを得ないこともあり得るというよりは、もうあした何か結論を出されるというんでしょう、そうすると、こともあり得るなんということは、もういまの段階ではないでしょう。どちらなんです。
  61. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) やはり廃止せざるを得ない線は廃止することにいたします。
  62. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、この意見は尊重はできない、こういうことになるわけですね。
  63. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 意見は、私たちは知事の意見として、意見としては尊重いたしております。しかし、だからといって、そのとおりしなければならないのかと言えば、これは行政的な配慮が必要でございまして、そのとおりにはならなかったということでございます。
  64. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、そこを聞いているんですが、意見として尊重して、しかし、具体的にはそうできないとなったら、それは尊重しないということじゃないですか、日本語で。どうなんですか、これはっきりしていただきたいんです。
  65. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 意見として尊重したこともございますし、尊重してもできなかったこともございますと、そういう意味でございます。  具体的に申しまして、最初北海道では、先生御承知のように全部で十何線か、私ははっきりした数字は忘れましたけれども、予定をしておったわけでございますが、それからいろいろと知事の意見をお聞きいたしまして、知事の意見に非常に客観性があり、また政策上から見て配慮しなければならぬ意見はこれは尊重いたしました。しかし、意見としては聞いたけれども、どうしても行政上それは意見の言うようには具体的にはならないというものに対しましては、やはり廃止方向で決定せざるを得ない、こういうことでございます。
  66. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 しつこいようですが、非常に大事なところなので重ねて御質問申し上げますが、私はこの意見書を尊重するのかと言ったんです。意見書には廃止路線の八路線しかないんです、について言っているんですから、十何路線あったうち、いろいろ知事の話も聞いたからこれだけにしたといういまの大臣答弁は、私の質問には答えていないんです。私は、九月の三日に出された北海道知事の意見書、これを尊重するのかしないのかと聞いているんで、これには、現在新聞等でいろいろ取りざたされておる廃止路線しか入ってないんですから、その前の十何路線とかなんとか、いろいろな従来の折衝じゃないんです。この意見書を尊重するのかと。意見はいろいろいままで聞いたでしょう。そのことと出された意見書を尊重するのかどうかという私の質問とは別の質問なんです。私の聞いているのはこの意見書を尊重するのか、最低の場合には無視するのか、これはどっちかしかないんですよね。そのことについて、きょうは国会の場ですから、明日発表するとなれば、もう大体腹づもりできているので、ここで言えなくて、今晩よく考えてあした決めますなんというような答弁にはならないと思うんで、ここのところを明らかにしていただきたいと思います。
  67. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いや、最初は意見をとおっしゃいましたんで申し上げたんですが、意見書と申しますと、具体的に申しますと、つい最近出されました九月三日付で出された意見書と、こういうぐあいに解釈してよろしゅうございますか。これに対しましては、意見は尊重いたしましたが、おっしゃる御意見のとおりにはならないということでございます。
  68. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大臣、どうもしつこいようですがね。尊重したけれどそうならないという乙とは、日本の言葉で尊重したというのありますか。全然これは、全部一つも取り入れないとなった場合に、それを尊重したという表現が日本語として使えますか。どうです。
  69. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 尊敬はイコール応諾ということと違うと思うております。
  70. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 意見書だから尊重すると。それで意見書を尊重したと。しかし全部ナッシングだと。これで尊重したということになるんですか。どうも私はそこのところがもう少しやっぱりはっきりお答えいただきたいと思うんです。これはどうしてもわかりませんよ、いまの答弁では、私は何度聞いても。
  71. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 重ねて申しますが、意見書は尊重いたしますが、しかし、決定にはそれと違う方向で決定するということであります。
  72. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それ以上お答えにならないんならやむを得ないでしょう。しかし、これは私は尊重したということにはならぬと、たくさん皆さんも聞いておりますけれども、このお答えを聞いて、意見は尊重したけれど、知事が基本的には反対である、道内八線区の廃止には反対であるということは一つも取り上げないで明日出された場合に、この国会運輸大臣が意見は尊重するけれどと言ったということは、私は世間には通らないと思いますよ。と思いますでしょう、大臣もね。  そのことをまず言っておいて、青函トンネルの問題に入らせていただきます。  実は、つい最近、五十九年度に三線軌条を採用して、青函トンネルを完成するということが審議会の議を経て決まったようでございます。このことについては道民がひとしく待ち望んでいたことなので、大変遅まきながらほっとしておるというのが実情だろうと思います。これで初年度百二十億、これは来年一月早々に用地交渉に入るということなんですが、私は鉄建公団のこの種の仕事、「池田よいとこ汽車の町」というふうな汽車の町に育ったんで、目黒委員のように鉄道生活はしてなくても、国鉄とのかかわりをずいぶん持ちまして、いつも感じていたことをまた今回も感ずるのですが、百二十億、年明けから用地の買収交渉にかかって、三カ月しかないんです。これで百二十億こなすということになると大変なんです。勢い言い値で買うということがしばしば行われます。いわゆる時価主義であるところの用地買収がときにもうぎりぎり三月の三十日だ、しょうがないというふうなことになって、ことさらに建設費がかさむことの要因になるんだ、こう思うんですが、鉄建の総裁、どうなんですか、そこのところは大丈夫なんですか。
  73. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) 青函トンネルのアプローチの着工がおくれていることは御承知のとおりでございます。いま御質問のございました三月三十一日に決算するために用地を急いで買うというような問題についてでございますが、実際問題として今年度予算が消化しにくいということは事実でございますが、繰り越してまいる所存でございますので、そういうような失態をすることのないように、十分注意してまいりたいと思っております。
  74. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、それは繰越明許というふうな方法で次年度予算を送るというふうな措置もとるということですね。
  75. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) 御説のとおりでございます。
  76. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、この全体の今度決まった建設費が、総工費で大体千五百八十億程度と、こういうふうに報道されております。トンネル掘って供用開始できるまでの間の総体の莫大な建設資金、これはもういまからとてもペイしないと言われております。それで、国鉄総裁にお伺いするのですが、一体これが完成したとき引き受けるということの腹が決まっているんですか、どうなんです。
  77. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 現行の法制では、鉄建公団がおつくりいただくときに、完成しました場合には私どもの方で運営するというたてまえになっております。ただ、青函トンネルは、実はなかなかそれだけの建設に要しました経費、一部補助金はございますけれども、経費をベースにして計算されました借損料に見合うだけの御利用がないだろうというふうに考えられるわけでございまして、もし現在の青函トンネルが、いわゆるCD線方式で計算されますと、約七百億円弱毎年私の方が借り料を払わなければならぬという計算になってまいります。ちょっとそれは非常に困難だといいますか、不可能に近い、そういう状態でございます。多くの線は、これはAB線、これはCD線というふうに線区が分かれておりまして、それによってあとの負担関係がどうなるかということは、建設を始めるときから決まっているわけでございますが、たまたま青函トンネルにつきましては、どういう方式で、どういう計算で私どもが借料を払わなければならぬかということが実はまだ決まってないわけでございますので、ぜひ今後われわれの方が引き受けて運営さしていただくまでの過程においては、借損料の計算方について、合理的なといいますか、負担し得る可能な範囲の借損料で貸していただけるように、運輸省を初めとして、政府に強くお願いをいたしたいというふうに考えております。
  78. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私は、鉄道建設公団というのは、トンネル公団というか、きせる公団というか、後先なくて真ん中だけやる、あとは政府と国鉄の責任ですわね。そうすると、公団としてはでき上がるまでに何らかの形できちんと受け取ってもらうか、借料を払ってもらって、減価償却ちゃんとできるようにしなければ困りますわね。公団の総裁としてはそこら辺どう考えているんですか。
  79. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) お説のとおりでございまして、いま国鉄総裁から答弁がございましたが、私どもとしては法体系のもとでこれを建設するという体制で、建設を進めているわけでございまして、借損料その他については、私どもといたしましては、金利、減価償却等がこれだけかかるということを運輸省の方に申し出てちょうだいしたいということになるということでございます。
  80. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それで、さっき目黒議員の話にもつながるんですが、大臣がそういういろいろな計算なり、研究なりするということは、時によって許されると、私は職務専念義務はないと思いますが、公団ですからね、ないとしても、よそのことの心配して計算をするということが許されるとするならば、当然これらも公団公団なりに、国鉄さんにこれ譲って、これだけ借料もらった場合に、国鉄さんはこれだけ黒字になる方の計算でなくて、これくらいはへっこみますよという研究もしておるんでしょう。どうなんですか、公団
  81. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) いまの体系のもとにおきましては、私どもとしてはこれをいわゆるディスカウントするというような考え方をするということは非常にむずかしいということで、一応これだけのもの必要であるということを申し上げるということの立場だと思います。
  82. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ちょっとおかしいんだよね、さっきの話と。そういうことはやらないわけでしょう。やることの方がおかしいんでしょう。  大臣、お聞きになったとおりなんです。本来そういうことをやることはおかしいですよ。大臣はそういう研究やることも場合によっていいと、これも勉強させなさいよ。これだけ大事な差し迫った問題なんです、一番。当然国鉄側とはまた違った数字が出てくるかもしれません。しかし、どちらにしても相当な借料、損料というふうなものが出ないというようなことだけははっきりしているんじゃないかと思いますね。大臣はこれ命令をしてやらせているんですが、どうするつもりです。
  83. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはできるだけ用途の多様化を図り、少しでも国土の一部として活用される方法を考えていくべきだと思うております。
  84. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 どうもときどき大臣の日本語はわからなくなるんですが、多様化すると言ったって、汽車を走らせるよりないんですよね。しかも当分新幹線は見込みないでしょう、ここ五年や十年。そうすると、少なくともここ十年の間レール二本で走るんですよ。どう多様化するんです。人を乗せるのと貨物を乗せるしかないわけですよね。  その多様化ということで、実は一つ心配があるんです。これは七月十三日の北海道新聞に載っていたんですが、自民党鉄道交通整備促進議員連盟、正式機関ではないが、二百二十名の国会議員が参加している、これが緊急避難路線は残せというふうなことを言っておりますね。お聞きだろうと思うんです。大臣の言う多様化というのはそういうことなんですか。そういう伏線を持って多様化とおっしゃったんですか。とすれば、ぼくは大変な問題だと思うので、あと多様化というと何なんです。
  85. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) たとえば電話線を通すということも多様化ですし、それから電気のケーブルを通すということも多様化でございまして、いろんな用途が考えられると思うておりまして、どうぞいい知恵がございましたら教えていただければ結構かと思うております。
  86. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 電話線だとか、電灯線だとか、これらのものは普通の経営者なら掘る前にもうオーナーあれして、全部契約して、何ぼずつ賦課金を取りますよということで相談しますよね。やってないんですか、まだそれ。私はそのことの方が驚きですね。そんなことは常識のことで、橋一つつくったって、水道を通すんだったらどれだけの圧にしなきゃならぬとか、あるいは電話ケーブルをそれに通すんだったら、ピアの耐久力をどれだけふやさなきゃならぬというのは、全部重量計算しながら設計しますよね。トンネルの中通すにしたって、それを通すとすれば、当然その分だけの余裕を何らかの形で見なきゃならぬでしょう。保安的な要因もあります。それは当然そういうところから利益を上げようとしているなら、普通の経営者なら、その程度のことは計画の時点で全部織り込み済みだと思ったんですがね。国はそういう点は全然場当たりですか。いま考えている話ですか、決まってないんですか、九電力や、あるいは電電公社との間で、そういうことの利用の方法というのは。
  87. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 私どもは、先ほど申しますように、非常に借損料が高くなるということでは困るものですから、かなり前から何か少しでも多様的な使い方がないかしらと、ほかの鉄道以外のところで御利用いただく、そして一部御負担いただくという方法はないかしらということを研究はしているんですけれども、なかなか結論が出てこない現状でございます。  なぜそういうことを初めから計画に織り込まれていないかということは、大変不思議といいますか、一般的な常識から言って外れているというふうな御指摘でございますが、実は率直に申しまして、このトンネルは非常に技術的にむずかしいトンネルであり、世界的にも例のないトンネルであるということで、どのぐらいの期間で掘れるか、あるいはまたどのぐらいの経費をもってこれができるかということは、概算では見当がついておりましたけれども、かなり未知の部分があるというこどもございましたものですから、ついついいつどういうふうにできるかなんというふうな方に、どちらかと言うと気をとられた傾向がありまして、最近われわれとしてはどうも両側の整備新幹線もなかなか急にはできそうもない。そうなってくると、在来線以外に通すものがないということで、率直に言って前々から考えておりました状態よりもどうもちょっと使い勝手が悪いということにだんだんなってきているわけでございまして、そこでわれわれとしては鉄道だけでこれを、そして、いまのこのCD線方式による借損料ではちょっとうまくいかぬということでいろいろ研究はしておりますが、いまおっしゃいましたような点は、まことにお恥ずかしいといいますか、ごもっともな御意見だと思いますけれども、実はそうした事情もありまして、多様化は考えなきゃいかぬということではありますけれども、私どもまだなかなかどこにどういうふうに使っていただくか、いい案が見つかっていないというのが現状でございます。
  88. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 たとえば電電だっていまの無線の時代で、料金払ってまでそこを通すか通さないかということになると非常に問題だと思いますよ。そうしますと、大臣の言う多様化と言っても、電力だってあの高圧の電力をどうやってあれするかというのも大変むずかしい、むしろ危険の保安というふうな問題も出てきますね。ですから、なかなかいま大臣が言われたような多様化ということも大変困難だろうと、しかし、それはあればあるに越したことはないと思います。ただ、私はこの青函一つを見ておりましても、いわゆる企業の採算という観点からだけ手をつけたんじゃないと思うんです。もっと国家的な長い目でながめて、これはやはりここに一つトンネルを掘っていくことが損得を抜きにして必要だという判断が私は政治的に働き、配慮されたんだと。そうすると、それの赤字のつけだけ国鉄の方に何とかいろいろな計算のやり方をしながら押しつけるというふうなことは、私は無理だと思うんですよ。いまの国鉄赤字というのはこういうのが多いんです。政治のつけを独立採算制という名のもとに国鉄におっつけて、国鉄の方に国家財政の赤字のしわ寄せを持っていった。本来国が背負うべきものですよ、当然ね。これは大臣ね、こういう問題についてはやはり毅然として、本来国が背負うべきものだ、当然税で負担すべきものだという点はやはり明らかにしていかないと、赤字ローカル線の問題だけで人の少ないところだけ切り捨てていくというふうな論理では、やはりぼくはみんな納得しないと思うんです。いかがですか。
  89. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) その点おっしゃることは全く私も同感でございまして、やはりそういう声が、委員会等で強く要請していただくということはわれわれもやりやすいと思うております。これはわれわれも実は国鉄再建整備法の審議中におきましても、再三この問題は言っておるんです。私自身も大蔵当局と話しておりますのは、これは再建法のいわば六十年までの経営改善計画の中で、この分も負担しろと言ったって無理だよということを私は何遍も言っておるんですが、まあ注文主が国鉄なんだからというので、とりあえず国鉄に押しつけられておる。  私は、おっしゃるように、これはただ単なる鉄道のためのみにつくったとは私は思わないんです。本州とそれから北海道を結ぶ唯一の幹線として、そしてまた、これによって心の結びつきは、私は非常に違ったものができてきておると思うんです。ですから、これはただ単に国鉄計算だけでやれというのは、これは私はなかなか過酷な処置だと思うんです。だから、どうぞひとつお助けいただいて、協力していただいて、これはひとつぜひ国家的な、何か私はいろんな措置がとれると思うんですよ。そういうことで、われわれもできるだけ鉄道が使う部分は賃料として払わなきゃならぬけれども、しかし、それは建設費の全部を頭割りして、これだけ全部持つんだというんじゃなしに、ひとつ考えてもらいたいということを私はもう再三再四言っておりまして、全く同感でございますので、今後とものひとつ御支援をお願いいたします。
  90. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 いまお話が出ているように、ローカル線についても同じようなやっぱり政策的な面で国鉄に押しつけて、赤字だけ国鉄だと言っている問題ばっかりですわね。つくるときには国鉄が経営の採算はじいて、よしここはやったらもうかるというふうな一般の私鉄と同じような形でつくった新線でないんです。ローカル線全部そうですわね。私がこの問題取り上げたのは、いまの赤字ローカル線も同じことじゃないか、過去において。そこで、やはりその点については、大臣、もう一踏ん張り、最後のひとつ踏ん張りをしていただかないと困るし、それから、国鉄総裁、これは普通の企業の社長だったらどんな圧力があったってそんな賃金払えない、ノーと言いますよ。やはりそれだけの腹決めしてやってもらわないと、赤字と取り組むなんてことに私はならぬと思うんです。根本的にそこに問題があると思う、一番赤字線の問題は。ですから、赤字だ赤字でないということだけでもちろん考えてないところもたくさんございましょうけれども、論議がどうも経営の採算が合うとか、合わないとかというふうなことに走りがちな赤字ローカル線問題というのを、もっと国の全体的なバランスの上に立ったところに論議の焦点がくるまで、知事の言われるように凍結すると。総裁もひとつそこら辺、会社の社長とは違うから、いろんな法的な規制もあるかと思いますが、がんばっていただかないとこれは困ると思うんです。大臣の決意は聞きましたが、総裁の決意もひとつお伺いいたしたいと思う。
  91. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) お言葉ではございますけれども、地方交通線の問題と、この青函トンネルの場合は大分性格が違うんじゃないかと私は考えております。  青函トンネルについては、どういう計算方式で私ども公団にお支払いするかという借損料の計算方式が決まってないと、つくる方だけが先行して、後どういうふうなお互いの経費分担になるか。お互いのと申しましても、鉄建公団自体には負担能力がないわけでございますから、結局一般会計と国鉄の間の負担関係はどうなるかということについては決まってないという状況でございまして、これはぜひとも早く決めていただきたい。リーズナブルなところで決めていただきたいと考えているわけでございます。  一方、地方交通線の問題は、先ほども大臣お触れになりましたように、長い問題でございまして、昭和四十六年ごろからの問題でございますが、長い間これは国鉄の経営の中で赤字であるということで取り上げられてまいりましたが、最近では、残念ながら私どもの経営がなかなかうまくいきませんで、むしろ幹線の方にも非常に大きな赤字が出てきておるわけでございます。その場合に、相対的に赤字がそれほど大きくないのに、ローカル線の問題をどうして取り上げるのかということでございますが、いかにも道路が整備されてまいります。道路と鉄道とが非常に多くの点で並行して走っております。私どもの御利用は以前に比べてどんどんと減っていくという状況でございまして、これはまあサービスが悪いという点もございましょうけれども、やはり、道路の整備によって条件が変わってきておるわけでございますので、決して地方なるがゆえにということではなくて、道路と鉄道とが両々相まってやっと輸送ができるという地域もございますが、道路と鉄道と両方あって、両方ともむだが起こっているという場合には、御利用がだんだん道路の方に偏っていくならば、ひとつ道路をフルに御活用いただいて、鉄道は撤退をしていくということにさしていただきたいと考えるわけでございまして、ローカル線の問題も、昔はほとんど道路がないから、鉄道だけが唯一の交通手段であった時代と現在とは、非常に事情が違うわけでございますので、そうした道路の事情鉄道事情、総合的に御判断いただいて、両方ですきすきで走っているということでなしに、どっちか片っ方で効率的、能率的に使っていただいた方がよろしいのではないか。これは国鉄の立場で申しますと生意気になりますが、交通の問題といたしましても、それから国全体としての資源活用という点からいたしましても、その方がよろしいのではないか。現在、約三千億の赤字に対して、千二百億補助金をいただいておりますけれども、それでもとてもまだうまくいきませんので、これ以上補助金をいただくというのもいかがかということで、一方において経費節減を図ると同時に、どうにもならない部分だけは自動車の方に切りかえさしていただくという考え方でございますので、青函トンネルの問題と、この地方交通線の問題は、かなり意味の違う問題ではないかと考えておるわけでございます。ぜひそうした点について協議会等で御説明申し上げて、十分御理解をいただいた上で、物事を進めさしていただきたいというふうに考えております。
  92. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 違うんでないかと言いますが、財政的な措置の仕方としては非常によく似ている。たとえば新線をどんどん鉄建公団建設をして、国鉄が引き受けてきました、道路のない時代、ぜひ必要だと。これはやっぱりもう出発の当時から採算割れがわかっているようなところも引き受けているわけです、国鉄さんはいままで。最初から採算が合わないというところでも、これは国家的な見地で必要だということで新線を引いて。これを今度採算が合わないからやめるんだということになったら、いままで国鉄の出したそうした何といいますか、資産を受け取るときの支払った勘定というのは、計算して国から取れるんですか。取らなきゃ不合理でしょう。どうなんです。それは泣き寝入りということでございますか。そこら辺は似ていると思うんですよ。いま青函トンネルで総裁がお考えになっているような、やはりペイするくらいの貸し料にしてくれなきゃ困るということであれば、その考えを最初からずっと貫いていれば、赤字の体系はいまとは違った形になったと思うんです。上越、東北新幹線についてもしかり、同様の問題が必ず出てきます、在来線はどっと今度少なくなるんですから。そういうのをきちっとやはり整理をするということについては、何かこうはっきりしない。そこにやはりわれわれのところだけにしわ寄せ来るのかという、切り捨てられるローカル地帯の住民の怒りが、自分たちでは説明できないけれども、どうもおかしいという形で残るから、なかなかすきっと協力態勢にならないと思うんです、いかがでしょうか、そこら辺。
  93. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 申すまでもなく昭和三十九年までは全体として黒字であったわけでございます。全体なぜ黒字であったかといいますと、それは鉄道が全体として御利用いただけたわけでございまして、そして、そのころは当然地方交通線につきましても、線区別に見れば赤字でありましたけれども、一方において幹線その他が黒字でございましたから、相互補助というような感じで全体としてバランスがとれておったわけでございますが、その後交通事情が変わりまして、幹線の方もそれほどいい成績ではなくなってまいりました。地方交通線においては極度に赤字の程度がひどくなってきたわけでございます。そこで、やはり時代の変化、特に交通事情の変化に応じて、やはりわれわれとしては、お願いすべきものは補助金をお願いいたしますけれども、余りにも限度を超えるものについては、やはりやめさせていただくということではないかと思います。現在のいわゆるAB線というのは、どこへどういう線を引くかということは、六十年前に法律で決められたわけでございます。六十年前の交通事情といまとは全く変わっておるわけでございますので、それをおくみ取りいただきたいということでございます。そういう意味で、海の中を通るというような新しい青函トンネルの場合と、それから従来道路がなかったところに鉄道を御利用いただいたのが今度は道路ができたという場合では、いま御意見ではございますけれども、私はずいぶん性質の違い問題ではなかろうか、その辺のことをひとつおくみ取り願いたい。十年前、二十年前、三十年前の道路事情と、当時の鉄道事情と今日とどう変わってきているかということをひとつゆっくりと御相談いたしたいと、お互いにそこらの事実関係をまず議論をさしていただきたいと思うわけでございまして、私は青函トンネルとは違うと思っております。
  94. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これは平行線——国鉄の線路みたいなことでかみ合わないようでございますが、違うという面もあろうかと思いますけれども、六十年前にできたと言いますけれども鉄建公団できてから始めているのはたかだか二十年くらいですから、その間にどんどんどんどん進んでいったものは、六十年前の判断とは違うんです。もう道路計画から何から全部できている、そういう中でやはりどんどん進んだ。そして、赤字最初からわかっておっておっつけられた。これあるんですから。しかし、この議論やっていると、どうも時間がなくなりますので、一応そういう問題を指摘をしておきます。  それと、それから大臣に、先ほどちょっと触れましたけれども、自民議連ですか、緊急避難、有事立法、まさに何かとんでもない方向に持っていくような二百二十人からの大集団の意見が要求として浮上してきたと、こういうショッキングな記事が大きく七月十三日の北海道新聞に出ておるんです。これは非常に何か私はけしからぬ、まさにますます浮き足立たせるんですよ。緊急避難路線で、いざという場合それに乗って逃げるんだから残せというふうなとんでもない発想で残せ。そして、残らなかったらもうとてもそこには危なくていられないということになっちゃうんですよ。まさか大臣はこういうことに耳をかしているわけじゃないですが、この席で、この種の問題については全然運輸大臣として関知しないと明快なひとつ答弁を要求したいんですが。御存じなかったら、これちょっと読んでいただいてもいいんですがね。御存じでしょう。
  95. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いいえ、知りません。
  96. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 これだけ大きく北海道新聞に出ているやつを、大臣のところまで行ってないんですか。
  97. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私はどこの新聞がそういうことを書いたのか私はわかりません。また、自由民主党からそういう申し入れば一回もございませんし、全然われわれ関知いたしておりません。
  98. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 関知していないから知らないということでなくて、このことについて運輸大臣は、こういう方針はとるとか、とらないとか、知らないから答弁のしようがないでなくて、非常に私はこれは重要な問題だと思いますので、もう一度それを読んで御答弁願います。
  99. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは北海道新聞がどのような趣旨で書いたのか私はわかりませんが、とにかく自由民主党の議連からこういう要求とか、あるいは意見というようなことは私のところへ全く来ておりません。これは明確に申し上げておきます。
  100. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 来ていないということと、その記事を読んで、大臣自身としての見解もあわせてひとつ表明願いたい。
  101. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは私ども申しましたように、このトンネルは本州とそれから北海道を結ぶ貴重な連絡路、これはもう大変な国土ができたという私は認識を持っておるんです。ですから、いろんな使い方があるでしょう。しかし、緊急避難だ、どうのこうのと、そういう考え方に立って物事を考えるべきではない。こういうような議論は私のところへ全然来ておりませんからお答えのしようがないと思うんです。私もこの線引いた赤のところだけ読んだんですけれども、北海道に限らず、この記事全体については、私ども何の申し入れも連絡もございませんので、私からいまこれに対する意見を申し上げるのは差し控えさせてもらいたいと思います。
  102. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それじゃ、次に空港の問題でお伺いしたいんですが、帯広空港、騒音対策その他を含めて四万人以上の署名がそれぞれ関係大臣のところへ届けられておる。運輸大臣のところにも届いております。大蔵大臣その他各大臣に届いているんですが、実はそのことについては、航空大学の跡地を市民に開放してほしいという要求と、自衛隊が航空基地を広げたいという要求がぶつかっております。特に航空大学が他に移転する理由は騒音だったんです。市民がもうとてもうるさくてかなわないと、町の真ん中のようなところにありますから。それで、騒音の測定をするということになりますと、不思議と自衛隊の飛行機飛ばないんです。飛ばないから騒音ないとか、三回ぐらいやったんですがね。これは運輸大臣の方としてみれば、航空大学はもうほかへ移して要らなくなると、こういうことだからあとは大蔵省へ返すということになるわけですが、このことについては、航空関係で特にお願いしたいのは、環境庁はこれについての対応をどう考えておりますか。——大蔵参っておりますね。大蔵の方では、一応これまだ所管がえになって財産が返ってきていないわけですけれども、来てからのことについては、住民から多数の、これは自衛隊には渡さないでほしいと、市民に開放してくれと、騒音問題等も含めて要求が出ておると思いますが、これに対する見解をひとつ聞かせていただきたい。
  103. 森厚治

    説明員(森厚治君) 国有地の利用に関しては、国有地の最適利用を図るという観点から各方面の利用要望を調整して決めておるというのがわれわれのやり方でございますが、本件につきましても利用計画ということを調整いたしまして適切に処理をしてまいりたいというふうに考えております。
  104. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 運輸省の方で航空大学の跡地はいつ返すんですか。
  105. 松井和治

    説明員(松井和治君) 航空大学校の帯広分校の新空港への移転につきましては、現在鋭意工事中でございます。移転の予定は十一月中ということでございまして、当初の予定よりは若干おくれておりますが、十一月中には移転が完了する、こういう予定でございます。
  106. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、大蔵省の方では所管がえになって、来た時点から考えるということになりますね。
  107. 森厚治

    説明員(森厚治君) 航空大学校につきましては、これは早晩移転するということは既定の事実でございます。したがいまして、跡地ができるわけでございますが、その跡地につきましては、先ほど申しましたとおり、有効な利用を図るという観点から、適切な処分を行いたいということで検討しております。
  108. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 国有財産の地方審議会には諮ってはいないんでしょう、まだ。
  109. 森厚治

    説明員(森厚治君) まだかかっておりません。
  110. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そうすると、当然その審議会の意見等を、尊重と言うとまた先ほどのような言葉になるんですけれども、当然尊重して最終的な結論を出すということになりますわね。
  111. 森厚治

    説明員(森厚治君) 国有財産を処分いたします場合には、通常一定の手続を経まして、国有財産審議会を通すもの、通さないもの、いろいろございますが、一定の手続を経て適正な処分をするということになっておるわけでございます。本件についてはちょっとつまびらかにはいたしておりませんが、恐らくおっしゃるような手続を踏んでやるということになろうかと思います。
  112. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 自衛隊の施設部来ていると思うんですが、率直に言って、あの町の真ん中の自衛隊基地というのはどうですか、適当だと思いますか、専門的に。
  113. 南雲彬

    説明員(南雲彬君) 旧帯広空港、現在は自衛隊の十勝飛行場として三月一日から運用しておるわけでございますが、自衛隊といたしまして、道東地域に自衛隊が管理できる飛行場というのが現十勝飛行場唯一のものでございまして、部隊の運用上ぜひともいただきたいということで所管がえを受けたものでございます。
  114. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私の質問は、あそこにしかないから必要だということよりも、あの場所が現在の現状で適当な地域だと思うかどうかということなんです。
  115. 南雲彬

    説明員(南雲彬君) 現状が市街地に接しておるというのはそのとおりでございます。ただ、防衛庁の方で現在考えております飛行隊でございますが、ヘリコプターを主体にする部隊でございます。そして運用につきましては、これは全般に自衛隊の飛行場について部隊の方で考えておることでございますが、十勝飛行場につきましても、夜間、早朝の飛行は自粛する、それからできる限り市街地の上空、病院、学校等を経路から外して運用をするということでございます。現在は、滑走路の北側を自衛隊がもっぱら使用し、南側を航空大学校の航空機が使用するということでございまして、自衛隊の方は市街地に近い部分を場周経路としております。このため防衛庁としては、現在夜間の飛行につきましては特に市街地全体をぐるりと回るような場周経路を設けて飛行するというような工夫を重ねてまいっておるところでございまして、今後とももちろんそのような運用を行いつつ、地元との調和というものを考えていきたいという考えでございます。
  116. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 大変上手な言い回しなんですが、市街地に近接してというよりも、周りが全部市街地でしょう。市街地の中にあるんですよ。近接してというのは、市街地の外れにあることを言うんです。周りが全部宅地になっちゃっているでしょう、市街地になって、住宅に。そういうところが適当と思うかどうかということだけれども、なかなか直接的に私の質問にお答えいただけないようです。間接話法で上手にお逃げになっているところを見ると、心の中では、あそこしかないから仕方がないけれども、適当なところとは思っていないようですし、ヘリコプターの基地ということを強調しておりますけれども、ヘリコプターの音の方がもっと大きいんですよ。ヘリコプターの音というのは意外とうるさいですわね。どうなんですか。
  117. 南雲彬

    説明員(南雲彬君) いま使用しております機種がHU1BとOH6というヘリコプターでございます。この騒音測定でございますが、これは防衛施設庁の方でやった数値でございますが、大体七十ホンあるいは六十ホン、千フィートぐらいの高度だったかと思いますが、その程度の音でございまして、その一瞬一瞬の音につきましては、七十五というのはそれなりの音でございますが、回数が現在のところ大体平均しまして一日三十回足らずでございます。こういうことから、環境基準の上では合格と申しますか、基準内にあるものというふうに考えております。確かに、ヘリコプターの音自身は小そうございますが、遅いために滞空時間が長いというようなことで、地元の方に御迷惑をかけるということもあろうかと思います。この点については、先ほど申しました飛行運用の工夫というようなことで、対処してまいりたいということでございます。
  118. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 自衛隊自身のやったのでさえも六十から七十出ている。道や何かの環境課の方でやろうとしますと、その日飛ばないんですよ。これはお願いしておきますが、ほかの機関が測定するときも飛行機飛ばしてくださいよね。三回やったけれども三回とも飛ばなかったというんですよ。だからはかりようがないんですよ、その日飛ばないんだから。だから地元では故意に飛ばさないんだ、こういう声が強いので、これはまあおたくに言っても、おたくが飛ばす命令権者でないからだめだけど、とにかく伝えておいてください。
  119. 南雲彬

    説明員(南雲彬君) 私どもの方では、帯広市の方で騒音測定をなさったということは事前に通報その他がございませんで、新聞紙上で承知したわけでございます。ただ、この実施につきまして、みずから意識的に飛行を抑制したということはございません。ただ、お話の中で心当たりと申しますのは、ことしの五月十一日から十五日の三日間ということの測定をなさったという記事でございますが、このうち実は五月十二日は、自衛隊の方の行事がございまして、緊急の場合以外には飛行をしないという運用をした日でございまして、結果におきまして飛行はしなかったということでございます。  ただ、ここでぜひとも申し上げたいことでございますが、現在五月の管制記録の上で、自衛隊の航空機は一日平均、これは土日を除きました平均でございますが、三十二回飛んでおります。それで五月十一日から十五日の平均回数は三十四回でございまして、この意味で自粛、抑制したということはないということで御了解いただきたいと思います。
  120. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それでそのヘリコプターの問題なんですが、口を開けば、むしろ作戦というよりは緊急の援助とか、そういうことに出動する、地域のためにも必要なんだということを盛んに言われているんですが、この間の八月の北海道の大災害ありましたね、あのときにきわめて対応が遅いんです、おたくのヘリコプターの。最初に死体を運んでくれと言ったら、死体は運べないと言って断わられた。それから今度は、そうでない、たくさんあっちにいるんだということでやったようですけれども、実は、これは調べてみますと機構的にそうなっているようですが、市町村長が直接依頼できないことになっている。知事を通すと。これはそういう規則だと思うんです、全国。これはいいんですよ。そうすると、状況はどうだということや何かが一回一回知事を通して現地に来るわけです。また今度は現地は知事を通してその報告をする。それに重ねてまたその報告を送る。だから、最初の要請は知事からの要請ですが、後は現地に幾らでも連絡方法があれば、的確に地元市町村と連絡をとって、対応のできるような体制にひとつ変えてもらいたいと思うんですが、いかがでしょうかね。
  121. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) 先生御指摘のとおり、法律によりまして、自衛隊に対する災害派遣というのは都道府県知事が行うということになってございます。これは、もう一つ言えば、だれでも自衛隊に頼めるということになりますと、自衛隊の乱用ということがあるものですから、そういうふうになっております。  それで、一たん知事からお話がありました後、それぞれの都道府県の関係者と部隊が話ができるということは、事実そのようにやっております。一々すべての話し合いを知事さんを通さなければできないということではございません。
  122. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それはもう確認できますね。現地ではやっぱりそう言っているんです。知事というのは知事部局ということですよ、知事さんその当時は南米へ行っていたんだからね。それはいいです。そういうことであればそれは結構なことなんですから。  そこで、先ほどの質問の御答弁だけ願いたいと思うんです。
  123. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) お尋ねのございました上越新幹線でございますが、東京−新潟間三百キロのうち、新潟県内で百三十九・四キロメートル、駅数先ほど総裁申し上げました五駅でございます。  なお、収入の問題でございますが、新幹線におきましては運賃、料金とも、これいろいろ細かい前提がございますけれども、四百九十億円の新幹線の収入に対しまして、在来線では約三百八十億の減収ということになります。差し引き百十億の増と、こういう推定をいたしております。
  124. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後一時三十三分開会    〔理事佐藤三吾君委員長席に着く〕
  125. 佐藤三吾

    ○理事(佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十三年度決算外二件を議題とし、運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  126. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はきょうは特に国鉄の問題を前半に、後半を関西空港の問題について質問さしていただきます。  国鉄決算の概要というのをきょうお配りいただきまして、私も読ましていただきましたけれども国鉄が大変な赤字であるということは日ごろから聞いておりましたし、私も国会に参りまして十何年になりますけれども国鉄の問題について質問するのはきょう初めてであります。今回の質問当たりまして、何点かいろいろと調べてみましたけれども、本当にこれはわかりにくいですね。わが決算委員会提出されております決算書並びに検査報告も含めまして、いろんな角度から読みましても、幾ら読んでもこれはどうしてこんなに赤字になっているのかということはわかりません。当然これは専門の運輸委員会ではもう少し多少わかっているのかもしれませんが、私は運輸委員会の経験がございませんので、少なくとも決算委員会に、私たちの手元に配られた資料をひっくり返して大分読んでみたり、ひっくり返して検討してみましたが、本当にわかりにくい。どういうふうにわかりにくいかということをきょうは大臣に聞いていただきたいと思いまして、これから質問をさしていただく次第でございます。  そこで、初めに検査院にお伺いしたいんですが、検査院は当然日ごろから国鉄の検査につきましては熱心にやっておられるわけでございますから、当然何でこういうふうに赤字になっているのかということもおわかりでしょう。しかし、そこで初めにどうしても検査院にお伺いしておきたいのは、今回は五十三年度決算報告でございますので、とりあえず五十三年度決算報告を中心にやります。ところが、五十三年度決算報告を見てみますと、いわゆる不当事項として幾つかの点の指摘はございますけれども、少なくともこれは検査院の皆さん、先ほどの会議録の後ろへ載せることになりました国鉄の八千八百六十七億円という赤字ですね、これに多少かかわり合いがあるかどうかわかりませんけれども、少なくともこの五十三年度決算報告に掲載された不当事項、こういうふうなことは、これはもう枝葉の枝葉のもう一つ枝葉ぐらいじゃないか。本当の赤字というのは、やっぱりほかのところにいっぱいあるんだろうと私は思います。そういうふうな意味で、なぜもう少し検査報告に、こんなに大変な赤字になっているということはこれはもうどうしようもないと、したがって、こういう点とこういう点とこういう点は、やっぱり制度改正なり、いろんなことをやるべきじゃないか、こういうふうな指摘なり、何なりがあってしかるべきじゃないかと思うんです。実は私も思いまして、私がこれから何でしやへんのやと言うと、やっているということを答弁されるかもわかりませんが、実は私も検査報告をずっとひっくり返して読みました。そうしますと、昭和五十三年度決算報告には、確かに国鉄のいわゆる現状につきまして書いてあります。しかしながら、これは事業概要についてとか、損益についてとかということで書いてあるだけでありまして、検査院法三十六条にいういわゆる改善意見の表示または要求というふうな正式の要求ではないみたいにも見えるわけです。そこで、何でこういうことになっているのか、あるいは、これから出すであろう昭和五十六年度決算報告でこういうことを考えていらっしゃるのか、そういうことも含めて、一遍検査院の御意見を初めにお伺いしておきたいと思います。
  127. 丹下巧

    説明員(丹下巧君) 国鉄がこれだけの赤字になった原因につきましては、いろいろあるかと思いますけれども、会計検査院の任務といたしましては、会計経理を監督して、その適正を期し、かつ是正を図るというふうなことになっておりまして、検査報告にまた書く事項につきましては、主として不当事項中心と、そのほかに改善意見ということになっておりますけれども改善意見の場合に、三十四条と三十六条がございますけれども、基本的には不当事項、不当な事態、それからあるいは非常に不合理な事態ということを主にして記述するようになっているわけでございます。それで、私どもといたしましては、いろいろ決算委員会の御審議などもございまして、従来決算検査報告の内容を充実するようにということで、これまでずいぶん努めておりまして、中身も最近の検査報告では決算概要を書くのはもちろんでございますけれども、不当事項、あるいは処置要求事項、あるいは処置済み事項、あるいは特記事項というふうな形で、いろいろ書いておるわけでございますけれども、最初に申し上げましたように、会計検査院の任務というものはある程度限られているわけでございまして、やはり時代的に、率直に申し上げますならばかなり不合理な事態があるということを一応前提にいたしまして、その中身を皆さんに納得いただいて、それが改善できるということでいろんな点を指摘しておるわけでございます。赤字の問題とか、いろんな問題につきましては、これまでも不当事項なり、あるいは処置要求事項で記述してございますけれども、そのほかにもたとえば国鉄の貨物関係への投資の問題とか、あるいは機器の遊休の問題とか、そういったものを検査報告の中に記述いたしまして、幾らかでも国鉄の経営再建に役立つようなものがどこかにないかということで努力しておるわけでございます。
  128. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、検査院の皆さんとあと二、三やりとりをしてみたいと思います。ことしの——ことしのといいますよりも、昭和五十三年度決算における、先ほど委員会の始まる前に提出をいただきました資料によりますと、五十三年度の純損失ですか、これが八千八百六十七億円、それが、これはことしの五十五年度には単年度損失一兆八十四億円、こういうふうに私の手元資料によりますとそうなっております。したがいまして、それだけではなくて、五十五年度までの国鉄の累積した長期負債の額、いわゆる一般勘定、特別勘定を合わせますと、実に十四兆円というような膨大な額となっております。国鉄の総資産の合計が十一兆一千二億円というふうに聞いておりますんですが、この総資産をはるかに上回る金額となっているわけです。こういうふうな国鉄の現状について、これはやっぱり会計検査院としては、先ほどの任務の問題もありますけれども、そこのところの詰めは後でやるといたしまして、要するに、この現状についてどういうふうに御認識をいただいているのか、あるいはこの因果関係の分析等についてはどういうふうにやっていらっしゃるのか、そこら辺のところの御認識を初めにもう一回お伺いしておきたいと思うんです。
  129. 丹下巧

    説明員(丹下巧君) 国鉄の赤字の問題ということは、国鉄当局なり、あるいは運輸省当局はいろいろと分析しておられるところでございますけれども、私どもとしては、やはり全体的に時代の趨勢といいますか、道路の非常な発達によって輸送の形態が変わってきている、そういった諸般の事情もあるんじゃないかというふうに考えております。
  130. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうですか。それじゃもう一回お伺いします。  これはね、やっぱり私はいまの会計検査院の見方ですと、時代が変わってきたからしゃあないんや、赤字になるのはあたりまえでございますと、こういうふうにおっしゃっているわけですね。これは私は実際問題として、私も決算委員の一人といたしまして、決算書やなんやかやひっくり返してずいぶん見ました。私たちが国鉄にお伺いして、具体的にその会計の帳簿やなんやかや全部見してくれるかというと、これは見していただけないわけですよね。そんなことできるわけがない。現実に私の手元にある資料で、赤字が何でこういうふうに赤字になってこうなってと、本当にこれはもうとてもじゃないけど不可能だと私は思います。本当に国鉄の中のいろんな実情を本気で調査し、検査し、あるいはあらゆる面で調査ができるのは、これは独立機関である検査院だけなんですよね。それがこういうふうな八千億、一兆円の赤字になったのは時代の趨勢で仕方ありまへんでと、こういう認識ではちょっと私はもう本当に検査院というのはがっかりですな。もう少し私たちは検査院を叱咤激励して、もう少ししっかりがんばれとわれわれ言ってきましたけれども、そんな認識じゃちょっと私も本当にがっかりしましたな、本当に。院長来てまへんか、きょうは。本当に局長もうちょっとしっかり頼んまっせ、本当に。
  131. 丹下巧

    説明員(丹下巧君) 私が先ほど来答弁しておりますのは、私どもはそういう環境というものは、客観的な事態の推移というものは一応認識しておりますけれども、その中でやはり国鉄自身の経営努力はあるんじゃないかと、それを会計検査院という立場から、会計検査の立場から見て、何らかの指摘するような事態がありはせぬかということで、一生懸命努力しているわけでございまして、環境が変わったから仕方がないというふうなことは思っているわけじゃございませんで、ただそういうこともあると、その上に立って、そういう環境の中でなおかつやっぱり努力しなきゃいけないというふうなことを考えているのは当然でございます。
  132. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一つぴりっとしませんな。まあ私はもう一回最後にあれしておきたいんですが、先ほどから申し上げておりますように、検査院だけなんですね。そういうふうな意味では先ほど局長おっしゃいましたように、三十四条、三十六条それぞれ任務規定はあるわけです。それで、現実にこの三十六条によりましても、改善意見の表示または要求ができることになっております。「検査院は、検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる。」私がわざわざこれ読むことないわけですけれども、こういうふうにあるわけですね。やろうと思ったらできるわけです。現実に、たとえば五十年度の会計検査報告を見てみますと、国鉄以外にもたとえば成田の空港の勧告を初め、それから住宅公団の土地の購入に関する特別勧告とかいろいろあるわけですな、これ。そういうふうな立場から見てみますと、私はこれは非常にいま国鉄の赤字をなくする、あるいは運輸省国鉄それぞれ努力していらっしゃると思います。けれども、会計処理上やっぱり、また会計処理上だけではなくて、そういうふうな面から私はもっと何らかの方法があるんじゃないか。そしてその原因はどこにあるのか。たとえばこんなことを私が直接言うわけじゃありませんが、これ言っていいのかどうか私迷いながら言うんですが、皆さん方はよくわかっているわけですよ、会計の中身見ているから。たとえば人間が多いんじゃないかとか、ここら辺のあれがおかしいんじゃないかとか、それはおかしいところはわかるわけでしょう、やっぱり。何にも資料なして見たってこれはある程度はわかるわけですから、皆さんは中へ入って会計の検査をしているわけですから、それなりのことはわかると私は思いますね。ですから、そういうふうな意味では、もう少し国鉄財政再建についてのしかるべき意見があっていいんじゃないか。一生懸命やっていると思いますよ。やっていると思いますが、これは来年また第二臨調の新しい答申があります。そういうふうな答申に向けても、やっぱりそれなりの、会計検査院しかないわけですから、いわゆる検査院としてしかるべき意見があってしかるべきじゃないか、そう思います。そういうふうな意味で、ぜひ、これは来年度のいわゆる検査報告をいまつくっていらっしゃる段階だろうと思うんですが、そういうふうな意味でも、やっぱりそこら辺のところはがっちり検査院としての立場、意見というものは、いわゆる戦後もう三十何年たって国鉄に対するこれだけの事態になるまで、もう本当にそれは局長おっしゃるように、何回かやっていると見ました。やっていますね、確かに。そやけど、本当に抜本的なやつは本当にないですね。いわば枝葉だけだと私は思います。そうじゃなくて、本当に根幹にばちっとメスを入れるような意見、あるいは制度の改正の要求、そういうふうなものがあってしかるべきじゃないか。これは国鉄さんや運輸省はそれなりに自分の身内ですからね、やっぱり見方も違うと私は思うんですよ。だから、検査院の意見は意見としてある程度のそれなりの私は意見ができるんじゃないか、そういうふうに思います。この点はぜひ頭に入れていただいて、そこら辺のところを慎重にこれからのいわゆる検査報告の中で、また検査の中で御検討いただきたいと思うんですが、いかがですか。
  133. 丹下巧

    説明員(丹下巧君) まあ先生のおっしゃることは大変ごもっともだというふうに思うわけでございますけれども、やはり会計検査院というのは、これまでもそうであったんですけれども、これからもそうだと思いますけれども、非常に皆さんからその発言を大変尊重されてきた役所でございますので、やはり検査院が何か物を言うという以上は、それなりに根拠があるし、また非常に説得力があるというふうな内容のものでなければならないというふうに考えておるわけでございます。  おっしゃられますとおり、国鉄の赤字の問題というのは、大変大きな問題でございますので、私どもとしても、先生おっしゃるとおりのいろいろな角度から検討いたしまして、なおかつ何らかの形で抜本的な対策というふうなものがありますれば、さらに検討させていただきたいというふうに考えております。
  134. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで運輸大臣にお伺いします。  これはけさお配りいただいた日本国有鉄道決算概要、これも見させていただきましたし、それから、総括の初めのときに、政府関係予算概要説明のときの資料もいただきました。もうみんなあるわけです。五十三年度にしぼりますと、政府関係機関の決算書というのもあります。これ全部見させていただきまして、非常にわかりにくいですね。それでは大臣は、たとえば初めの概算説明書の中の、もちろんこれは勘定別に収支をしまして、収入が幾ら、支出が幾ら、そして収入が支出を上回ることこれだけ、こういうふうに一応黒字になっておりまして、そして、その上で損益計算上では八千八百六十七億の赤字でございます、こういうふうになっているわけであります。これはどうしてこういうふうな説明の仕方になるのか、ちょっと私は、会計上はこれでいいんだという説明はきのう会計検査院の皆さんにも聞いてわかったわけです。けれども、実際問題として、たとえば、大臣、ここに五十三年度の収支決算書というのがあるわけです。そういうのがありまして、損益勘定というふうになっておりまして、それで収入が幾ら、支出が幾ら、もう金額は申し上げませんが、そして収入が支出を超過すること幾ら、二百幾ら黒字、こうなっているわけです。それで、その後「なお」ということで書いてあるわけです。「なお」というのは、これは言ったらただし書きみたいなものです。本文じゃないわけです。そのほかの、たとえば会計のあれで言えばいわゆる添付書類です。添付書類で八千億赤字ですよと、こう言っているわけですが、これは非常にわかりにくいです。もうちょっとわかりやすくする方法ありませんか、これ。赤字だというのはわかるんです、私は。わかるんですが、片っ方でちょっと黒字ですよと、それは現金ベースだとか、いろいろなこといっぱい説明あったんです。それも聞いた上で私は言っているわけです。大臣、これどうですか。
  135. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私も同じようにこれ本当にさっぱりわからぬのです。私は何遍聞いてもこの勘定がわからぬのですが、要するにこういうことじゃないかと思うんです。役所は、皆お金を出すのを出納と、出し入れ、納める、こういった現金だけ勘定しているんです。だから、まさにどんぶり勘定というのがこれなんです。ですから、収入は、その中で売り上げがあっても収入、それから補助金でもらっても収入、財産を売ったものが入ってきても収入、収入には違いないんです。だから、入ってきた収入を、出納係がおって、出納役を通って入ってきた金は全部で三兆一千九百四十一億幾らですと、それから、払う方は何でも構わないんです、払ったら払ったになるんです。それが、支出が三兆一千七百四十億円払っております、だから金面はこうなりますよと。しかし、これはどんぶりの勘定でございまして、企業的に損益というものを計算いたしますと、八千八百六十七億何がしの赤字になります、こういう説明だと私は認識しておるんです。それでわからぬのは、それだったら、こっちの収入、支出ということを初めから言わんでおいて、初めから損益一本で言うたらはっきりわかるのに、なぜこうなっておるのか、ここが私も実はわからぬのです。初めからこうして企業会計でやればいいものを、これやはり昔から、明治以降の伝統なんでしょうか、大福帳づけのこれがずっと官庁公計、何も国鉄だけじゃないんです、全部そうなんです。これが実はわかりにくい。それはなぜかと私もいろいろ考えてみたら、さっき会計検査院の方がお答えしておりますように、会計検査院は現金の支出が適正であったかどうかということであって、それが何のためにこういう事態になったのかという、そこまでは会計検査院といえども踏み込んでできない。しかし、この支出が適正であったか、適法にやられたかということを調べる、つまり現金中心の経済が役所で伝統的にとられてきたということが現在の制度になっておるんじゃないかと、わかったようなわからぬ話でございますが、そう私は思うておる次第です。
  136. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、私も実はいまの大臣と同じような説明を聞いたわけです。ですから、それなら、いわゆる官庁会計ということになっていて、だからこういうふうになっておりますと、とにかく、全部国鉄だけじゃなくて、そのほかのものもみんな同じようにこうなっておるんですわというわけですね、これ。それなら、私は会計の制度を全部変えろと。それで企業会計にして、そこを表にして、そうした方がやはり企業の運営とか、いろいろな面から言ってもその方がいいんじゃないか。実際その議論は私はあるんだろうと思いますが、そこら辺から先の詳細については、またこれからちょっと勉強さしていただいて、相当突っ込んで一遍議論をしてみたいと思っております。大臣も私と同じ程度、私よりちょっと認識たくさんしていらっしゃると思いますけれども、私もその程度なんです。  そこで大臣、実はこの損益計算書というのをいただいてまいりまして、もう本当にどこがどうなっているのか、一生懸命突き合わせをしてみました。そこで大臣、ちょっと申し上げてみたいと思んですが、とにかく、突き合わせるもとは、五十三年度決算ですから、五十三年度にとりあえずしぼりました。  それで、九十一国会提出をされました政府関係機関の決算書の四十九ページに、一般勘定損益計算書という国鉄のがあるわけです。それから、これに対応するものとして、八十四国会提出されました政府関係機関予算、これは政府関係機関の予算でありまして、六十二ページに日本国有鉄道一般勘定損益計算書というのがあるわけです。それで、これを比較してみますと、これだけの予算だったのがこういうふうに実行されて決算になった、こういう比較ができぬわけですよ。何ぼやってもできぬ。何でかと言いますと、この項目の中で一応予算決算と一致しているという項目というのは、雑収入とか、助成金受入、利子及債務取扱諸費とか減価償却費、固定資産除却費、繰延資産償却費、営業外収入とか営業外経費の八項目ですね。そのほか、決算で旅客収入、貨物収入と区分しておりますけれども予算では運輸収入というふうにくくっておるわけです。これはそれで大体わかるわけですけれども、そのあと、決算の方は人件費というのがあるわけです。人件費というのは予算の方の給与其他諸費、これじゃないかなあと思うわけです。決算に動力費というのがありまして、これはどれがなるのかちょっとわからないんですよね。決算の方では修繕費、業務費、こうなっておるわけです。予算の方は営業費、保守費、管理共通費、受託工事費、こうなっておるわけです。  こういうふうに、決算の人件費とか多少わかるのもあるわけです、給与という名前が出ていますからね。ところが実際は、それ以外のところはもう推察しにくいものもあるわけですね。こういうふうに見てまいりますと、これだけのたくさんの赤字も出ていることでもありますし、決算書そのものをもうちょっとすきっとするという意味からも、いわゆる損益計算書の少なくとも科目、項目、これをもうちょっと統一できないか、要するにこれだけの予算で、これだけ使われたと、これだけ足りませんでしたと。これは少なくとも私たちが見る上では当然のことじゃないかと、こんなことは。これはどうやろかというて検査院の専門の人に聞きましたら、そのくらいのことはいけるのと違うかと、こういう話だったわけですがね。これは国鉄並びに運輸省の方はどうですかね。どういうふうにお考えですか、この点。
  137. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 峯山先生の方からあらかじめいろいろ御指摘をいただきまして、私も調べてみたわけでございますが、御指摘のように、損益計算書について、予算書の上にあらわれておりますところの予定損益計算書の表現方と、それから決算の上の損益計算書の表現方がかなり違っておる。これは一つには、予算上の予定損益計算書の様式は、主として大蔵省の方で決めておられるわけでございまして、私どもの方のこの表現方と、他の公社等におきます表現方がほぼ肩を並べております。それから一方、決算上の様式につきましては、昭和四十年ごろでございますか、私どもの部内で民間の主として会計学の先生方にお集まりいただきまして、どういう形式をとるのがよろしいかということで決めたものを今日までずっと伝統的にその分類に従ってきておるようでございます。この様式の決め方の方は、国鉄総裁が自分で決められるように法制上なっておるわけでございまして、御指摘のように予算におきます予定損益計算書と、決算におきますところの損益計算書を比較をいたしますと、お示しのように非常に読みづらいものになっておるわけでございまして、この点については、いまにわかにこのようにいたしますとはなかなか申し上げかねますけれども、何か工夫を要するということは御指摘のとおりであろうかと思います。ただ私どももこうした面については素人でございますので、こういう分類をとりましたにつきましては、やはりそれなりに相当大ぜいの会計の先生方の御指導を受けているところでもございますので、どちらをどういうふうにしたらいいのか、予算の方の組み方を少し変えていただく方がいいのか、あるいは決算面でのこの損益計算書の分類方を変えたらいいのか、何かいずれにしても、御指摘のようにもう少し両方を見比べたときに見やすいようにするべきではないかという御指摘については、私もまだ十分は勉強しておりませんけれども、そういう感じを持っておるわけでございまして、今後少し研究をさしていただきたいというふうにお答えをいたしておきたいと存じます。
  138. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総裁の方には大分質問の通告をしておりましたので、御研究いただいているようでございますが、それはそれでぜひそうしていただきたいと思います。急にこうこうしろなというたらそれはむずかしいことで時間もかかるとは思いますけれども、ぜひわれわれ素人が見てもわかるように、またお金の動きがどうなっているかがわかるようにぜひしていただきたいと、そういうふうに思うわけです。  そこでもう一点、これは国鉄総裁にいまの問題と絡んで、こういうこともあるぞということを一遍わかっていただければいいと思いますので、お伺いしておきたいと思います。それは、今回の質問をするに当たりまして、国鉄の皆さんから資料をいただいたわけです。これは比較損益計算書というのがこれはガリ版で刷った分ですが、この比較損益計算書。これはいろいろとあるんですけれども、私の手元へ先ほどから議論をいたしております決算予算の政府に正式に提出された損益計算書と、ガリ版でいただいた損益計算書と、ちょっとまず科目が違うわけですよ。これはやっぱり一般に出すのはちょっとこないして違えて出すわけですか。とにかく科目を違えて出されると、要するに検討ができないわけですよ。これはどういうことなんですかね。こういうような一般向けのいわゆる損益計算書の書き方と、これはもちろん多少中身の違うところもありますが、五十三、五十四、五十五と、三年連続で書いておりますからね。ですから予算向け、決算向けと三種類違うわけだ。何とかもう少しすきっとしていただきたいと思うんですが、これはどうですか。
  139. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) 実は先生から資料の御要求ございまして、これは正式のものではございませんが、人件費、物件費等を丸めまして、経営費ということで出さしていただいたわけでございます。したがいまして、いま御指摘のとおりちょっと様式が変わったんでございますが、一応予算決算、私ども余り比較した表をつくってないものでございますから、こういうような様式にしたわけでございまして、別に規定とか、そういうものはございません。
  140. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は悪気があって違えて出しているとは思いませんけれども、もう勘ぐるとこれできるだけわからぬように、できるだけ比較できぬようにして出してあるんじゃないかと、そういうような感じがするわけですよね。  それからもう一つ、私は数字は間違いないと思いますが、もう一つ具体的に申し上げてみましょうか、一カ所だけね。たとえば一般勘定の損益勘定書の雑収入というのがありますね。きょうの資料にもありますが、雑収入は八百八十八億ですな、損益計算書決算の方も両方とも八百八十八億になっているんですが、あなたの方からつくっていただいた資料は千三百億になっていますよ。これはぼくはミスプリントかなと思って聞いたら、いやミスプリントじゃありませんというのだよな。これもう少し何とかしてもらいたいと思うんですが、これはどうなんですか、実際問題は。
  141. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) 実は、提出いたしました資料の左の受託工事費の五十三年の欄をごらんいただきたいんですが、予算では百億でございますが、決算で四百十億になっております。この受託工事費は、部外から工事を受託いたしまして、決算したものでございますが、それを実は収入では雑収入に一緒に入れておるわけでございます。したがって、その差の三百億、あるいは五十五年では五百億ぐらいになるかと思いますが、そういう差が出てきておるわけでございます。
  142. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは要するにこれは予算総則第十四条に基づいて、そういう措置をしているんだそうですが、間違いじゃないでしょう。これは受託工事費の予算で百億が四百十億になってオーバーしたからその分を雑収入の方へ回したと、こんな理屈全然わからぬわけや。要するにあなたから説明聞いてわかるわけでね、何でそんなわからぬ資料を出すのやと言うのですよ、これね。だから、国鉄の皆さんはわれわれに全然わからぬように、ややこしくなるように資料をつくって出しているのかと、こういうことになる。もう少しやっぱりこういうふうな資料も、もう一歩統一して、そしてまた一つ一つその金額の検討等ができるようにやっていただきたいなと私は思うんです。決して帳じり枠を全部計算してみると、トータルのところでは合ってるのに中身が違うから、それはどこかでやっぱり数字の入れ違いになっているんだろうということは気がつくわけですけれども、そういうたとえば受託工事費の予算よりオーバーした分は雑収入に入れるなんて、そんなことは普通ではとてもわかりませんね。ですから、これほんのちょっとしたことですけれども、私たちが決算検討する段階で、こういうふうな問題があるわけです。先ほど総裁から御答弁いただきましたので、その点もあわせて、総裁もう一遍、こういうふうなことになっておりますと、本当はもうちょっと詳しく言いたいけれども、時間の関係もありますので、この程度でやめますが、総裁の方からここら辺のところをもう一遍御検討いただくように御答弁いただいておきたいと思います。
  143. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) ただいま御指摘になりました参考資料としてつくりました比較損益計算書というのは、これは法的根拠も何もあるわけではなくて、便宜つくって御提出申し上げたわけでございますが、どうもこのつくり方はかえってわかりにくいものをつくったようでございまして、大変恐縮でございますが、この資料そのものの方はひとつなかったことにしていただきたい。きわめて表のつくり方が不親切といいますか、誠意を持ってやったんだと思いますけれども、わかりにくいものになりましたので、これはひとつ今後の参考にはならぬものとして御理解をお受け取りいただきたいと思います。  先ほど来御指摘の、予算決算の上での損益計算書の作成方、いろいろな区分の立て方については、先ほども答弁申し上げましたが、ひとつこの際勉強さしていただきまして、なかなかこれわかりやすいものになりにくいんではございますけれども、いまより少しわかりやすいものにできないかということで検討さしていただきたいと思います。
  144. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは最後に、国鉄関係あと二問だけお伺いしたいと思います。  一つは、運輸大臣、これは今度の行革と絡みまして、河本経済企画庁長官が、最近の新聞にも報道されておりますけれども、本来の行革のキーポイントは、いわゆる国鉄、健保、米である、いわゆるこの三Kの問題を何とかしないとどうしようもない、この三Kの問題を解決すれば、この財政再建の大部分をやり遂げたことになる、こういうような意味の発言をしていらっしゃるわけです。それで、その後続いて、国鉄の親方日の丸的な企業形態を抜本的に変えなければならず、どこかで民営に移す決意が必要だ、こういうようなことが報道されております。これは非常にそれぞれ問題点を指摘していらっしゃるわけですけれども国鉄民営論というのはいろんなところで何回か出てきてはいるわけですが、こういう問題も含めて、大臣、どういうふうにお考えか、この点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  145. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私も、これが決め手の意見というようなものはいろいろ聞いてはおりませんが、しかし、民営論があり、そしてまた官営論もあり、いろいろな意見がございます。しかし、私は、個人の意見をいま申す立場にはないと思うのでございますが、したがって、運輸大臣という立場から申しますならば、やはり国鉄の持っております公共性というもの、これはいわば私鉄なりへあるいは他の代替交通機関、バス、タクシー、トラックというような機関が持っております公共性と比べまして、ウエートははるかに高いと実は思うております。もちろんその他の交通機関も公共性は十分高いのでございますが、国鉄はそれをはるかに超えた高い公共性を持っておると思うのであります。でありますから、民営論、官営論を議論いたします場合に、それは経済合理性を中心として考えた場合に、それは出てくる議論ではなかろうか。そうではなくして、公共性という事態を踏んまえてまいりますと、やはり国鉄は国の幹線交通機関としての機関を維持していかなきゃならぬ、したがって、その幹線交通機関という中身は何かと言いましたら、鉄道としての特性を発揮し得るもの、これがやっぱり基幹交通機関基準になってくると思うんです。ですから、その鉄道特性にそぐわないところは、これはやっぱり思い切って整理をしていかなければならぬ、その整理が民間に移行していくということもあり得るかもわからないと思います。けれども特性を維持していかなきゃならぬところは、あくまでも現在の国鉄の制度のもとにおいて維持していくべきだ。ただし、ここで運営するのはやはり人でございますから、大事なことは、いかに公共性高いといえども、そこに従事しておる人たち全体がその公共性に埋没してしまって、経済合理性を忘れてしまった場合、その場合は余りにも国民的犠牲が大きくなってまいります。その場合には、やはり制度的に果たしてこの公共性一本で議論することができるかどうかということが、再度議論になってくるんではないか、こう思うておりまして、そのときになれば、はるかに経済合理性に重点を置いた議論が出てくる。そういうことは、私は将来においてあり得るかもわからない。けれども、現在の制度の中において、公共性と経済合理性を双方満足していくための努力は、なお一層とる余地はあると思うております。  その余地はどこにあるかと言いましたら、昭和六十年をめどにいたしました経営改善計画、これがこの努力の第一目標ではなかろうか。でございますから、この昭和六十年までの経営改善努力というものが結実した、実際に効果が上がったということになりますならば、この制度で私は将来においてもやっぱり国の基幹交通機関として維持していくべきだ。しかし、昭和六十年をめどにいたしまして、これではとてもじゃない、余りにも公共性というものに対する犠牲が大きいということになれば、ここで再度制度を一回どうするのがいいかということが見直されてくると私は思うておりまして、そういう現在の考え方でこの国鉄の再建問題に取り組んでおる次第であります。
  146. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣のおっしゃること、よくわかります。  そこで、もう一点だけ、同じことを聞くようで申しわけないんですが、これは赤字が非常に多額に上がっているということで、国鉄当局も相当努力をしていらっしゃるようですね。昨年度も何か一万一千人の人員の削減を初め、それこそ減量経営に一生懸命がんばっておる。しかしながら、現実の面は、われわれが審査いたしております五十三年度の赤字八千八百億、それが五十六年度は一兆三百億、それで五十七年度は一兆四千億ですか、こういう赤字になって、だんだん赤字がふえてきている。それで、ずいぶん合理化をやり、いろいろ努力をしているけれども、幾ら努力を重ねても赤字が減らないで、どんどんどんどん赤字が累積していっている。これは、そういうふうになってまいりますと、国鉄の経営そのものがこれは成り立たなくなるのは当然でありますけれども、いわゆる国鉄の再建というのは、ただ単に合理化というだけではもう限度がある。そういうふうになってまいりますので、やっぱり経営形態の見直しということが必要になってくる、そういうふうにずっと詰まってくるわけですね。  そういうふうな意味で、先ほども話をしたわけでございますが、いま大臣の方から、六十年経営改善計画、六十年を一つのめどにしているということでありますので、それで六十年でもしめどが立たなければ考えざるを得ないということになってくるわけですが、確かにこういうふうな大変な状況の中で、今度は国鉄総裁、いま先ほどの大臣答弁等も受けまして、これからの国鉄あり方、再建の方途等を一遍総裁の御所見としてお伺いしておきたいと思います。
  147. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 以前から、あるいは分割論でございますとか、民営論でございますとかということはよく議論をされておるわけでございますが、やはり基本は国鉄という企業体及びその仕事をどのように位置づけるかということによって決まってくる問題ではないか。もう少し別の表現をとりますと、どういう意味で公共的役割りを果たすべしという位置づけをしていただくか、どういう意味で企業性を発揮せよということで位置づけをしていただくかによって変わってくると思いますが、そういう組織論、あるいは経営形態論といったものは、大いに議論をしていただいてよろしいわけでございまして、これだけの経営状態になってまいりますと、それが議題に上るというのは当然のことであろうかと思います。しかしながら、現にこの経営に当たります者といたしましては、そのような論議はこれまでもずいぶんございましたことから言いまして、そして、それがなかなか新しい展開が開かれないで、従来の形で今日まで続いてまいりましたことから申しまして、私自身といたしましては、そうした組織論なり、経営形態論に気をとられてはいけないのではないかと、現在の組織のもとにおいてどのようにして赤字を少しでも少なくしていくか、また別の意味においてはどのようにしてお客さんに御利用できるようなサービスを提供していくか、いまの経営形態のままで。その中において、その土俵の中でベストを求めていくことに、私としては力をそこに注いでまいりたいと考えてやっておるわけでございます。  ただ、お願いといたしましては、なぜこの赤字が出るかということの原因の一つといたしましては、やはりもろもろの設備投資が大部分が借入金に依存をしておると、一部国庫補助をいただいてはおりますものの、ほとんど全額に近いものを借入金でもって賄っておる。ところが、最近の鉄道は、大変初期投資が大きな額になってまいりますので、その新規設備をうまく活用して、利子負担をしてまで償うような形というものはなかなかとりにくいという点が一点。それからもう一点は、過去の問題がいろいろと何といいますか、底によどんでおりまして、一つの例としては人員構成が非常に異常であり、年々やめていく人の数が多く、よってもって毎年支払わなければならない退職金の額が異常なほど大きな額になっておりますのと、職員は毎年減ってまいっております一方、老齢化によりますところの退職者の数がどんどんふえまして、年金負担額が異常にふえてくるという問題、これはいずれも過去から生ずる問題であると同時に、年金等については制度論から起こってくる問題でございますが、こうした点につきましては、申しわけございませんが、われわれの手では何ともならぬ問題でございますので、その解決策について何とかお手伝いをいただきたい、手をかしていただきたい。この借入金がどうも多くなって困るという問題と、過去の問題と、この二つにつきましては、皆様のお力によりまして、何とかお助けいただきましたならば、日々の運営につきましては、まだ相当赤字になっておりますけれども、毎年いわゆる減量経営を進めてまいりまして、毎年の経営に関する限りは収支が償うようにいたしたいと考えておるわけでございまして、それを先ほど大臣お触れになりました経営改善計画の中で、そのことを明確にいたしておるわけでございますので、六十年までにわたりまして、その方針のもとに進めてまいりたいと考えております。  経営形態等についてどう考えるかというお尋ねに対するお答えにはならないかもしれませんけれども、現在の私自身の物の考え方といたしましては、以上のように思っておる次第でございます。
  148. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間がなくなりましたので、国鉄の問題は以上にしまして、空港の問題に入りたいと思います。  関西国際空港の問題につきましては、大臣もいろんな角度でがんばっていただいておりますんですが、私はきょうはこれから何回かにわたりまして空港問題を議論をし、そして空港ができるまでいろんな討論をしながら、できるだけいい空港をつくって、そして本当に地域の発展に役に立つような、あるいは日本の将来に役に立つような空港にしなければならないと思っております。そういうふうな意味で、きょうは具体的な問題は大分質問資料としては二、三時間できるぐらい書いておりまして、きのう皆さんお見えになったんで全部お見せしたんですけれども、とても時間ありませんので、そんな全部質問できません。したがいまして、きょうは初めの方だけ少しだけやっておきたいと思います。これは答弁大臣でなくても結構でございますが、航空局長なり、それぞれ専門的な立場の方で結構です。  私は初めにどうしても議論しておきたいなと思ったことは、これからの空港はどういうような空港でなければならないのかという議論ですね。これは当然現在まで相当空港議論につきましては資料もたくさん出ておりますし、また私も昭和四十二年ごろからもう十何年にわたりまして、これらの資料が出ているわけです。現実の問題として空港の整備計画もいろんな角度で進んできているわけです。昭和四十二年当時、五十二あった空港が現在は七十七になっているんだそうでありまして、それぞれ空港整備が進んでいるわけです。それで、私はここで一遍ぜひお伺いしておきたいのは、空港というのは一体何なんだと、要するに空港はどうあるべきか、こういうことについて、いろんな議論をしたいんですけれども、きゃうは時間がございませんので、端的にお伺いをしておきたいと思います。  運輸省運輸白書というのがありますね、あれをずっと読ませていただきますと、この空港の問題がずっと出てまいります。それでその中にも出てくるんでございますが、いわゆる空港のあるべき姿というんですね。これはその資料から私は申し上げているわけでございますが、まず第一に、やっぱり周辺住民に騒音公害等を与えることなく、第二番目に、航空輸送需要を安全効率的に満たしと、それで三番目に、経済社会の発展に寄与すべきものであると、こういうようになっているわけです。  ここら辺の考え等が大体これからの空港をつくるに当たっての運輸省が考えているあるべき姿なのかなと、こういうように思うわけですが、ここら辺についてはどういうふうにお考えですか。
  149. 松井和治

    説明員(松井和治君) これからの空港のあるべき姿という問題につきましては、二つの意味があろうかと思います。一つはただいま先生お話になりました、個々の空港がどういう場所に、どういう大きさでつくられるべきかというような問題、もう一つの問題は、日本全国の先ほども先生ちょっとお触れになりましたが、現在七十七ある空港、これを日本の空港全体としてどういう姿に持っていくべきかという二つの問題があるのではないかという気がいたします。まず全体の問題について簡単に触れさせていただきますが、現在七十七の空港があることは御指摘のとおりでございますが、そのうちジェット機が就航し得る空港は二十九にすぎません。しかも、昨年の輸送実績で申しますと、年間四千四十万人の旅客が航空機を利用いたしまして、国民の三人に一人が利用した形になっておりますが、その四分の三が東京と大阪の両空港のいずれかを利用したという実績になっております。そういう東京と大阪という両拠点が航空輸送の中心でございます。しかしながら、御案内のとおり、羽田空港も伊丹空港ももはや限界に達しておる。こういうことから、私ども今後の日本の空港のあるべき姿といたしましては、やはり首都圏と近畿圏の空港をまずりっぱにすること、これが第一であると。そして第二に、地方空港のジェット化、大型化というものを現在進めておりますが、先ほど申しました現在二十九しかないジェット空港を、将来の機材構成等も考えまして、最低二千メーターの滑走路を持つ空港に仕上げていく、これが第二に必要ではなかろうかと考えております。  そういうような形で、全体の姿を考えておりますが、個々の空港について、しからばどういうふうにあるべきかということは、先ほど先生も御指摘いただきましたとおり、まず第一に、地域社会と共存共栄が図り得る騒音問題のない空港をつくる。第二に、輸送需要に適合した空港でなければならない。そして最近の空港は、空港が立地いたしますと、その付近にかなり多くの工場等も立地するというようなかっこうになっておりまして、地域社会の発展に寄与するようになってきております。そういう地域社会の経済社会の発展に寄与し得るということを念頭において考えるべきである、かように考えておりまして、その両方を含めまして、私ども関西の空港を海上につくろう、あるいは東京の羽田の空港を沖合いに展開しよう。これはいずれも騒音のない空港をつくろうと。しかも京浜地区、阪神地区の空港をりっぱにしよう。この両方の要請にこたえる道ではなかろうかと考えております。  また、地方空港のジェット化につきましても、宮崎、松山、新潟、そういう空港につきましては、今後の滑走路の延長はいずれも海上に延ばす計画になっております。あるいは高松、岡山といったような空港は、いずれも現空港を撤去いたしまして、現在から言えばかなり山地の方に新しい土地を求めて空港をつくろうという計画になっております。いずれもただいま申し上げましたような、日本全国の空港の配地と、地域社会との調和ということを考えて、今後の空港の整備を進めてまいりたい、かように考えております。
  150. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは焦点はやっぱり関西の空港でございますので、そちらの方の話で進めてまいりたいと思います。  そこで、先ほども話ございました周辺住民、地域社会と共存共栄というお言葉を使いましたが、これはやっぱり当然公害のない騒音の少ない空港ということであります。  そこで、この騒音の問題ですが、これは現在航空機の騒音というのは、これは現在どういうふうになっているのか。この点ちょっと一遍お伺いしておきたいと思います。  大分航空機の騒音というのが改良されまして、最近は本当に昔のあれと全然違うようになってきた。大阪で空港ができるというので、私たちも空港問題の委員会をつくって大分議論をしているわけでございますが、将来飛行機が無音航空機というのはできるのかできないか、できないのかもしれませんが、そういうふうなところに近づいていきつつあると、そういうようなことを言う人もいるわけですが、これから騒音なんというのは余り考えなくてもいいんじゃないかというような人がこの聞いて、私たちは本当にそうなっているのかというような、技術的なことわからないんですが、航空機というのは最近どういうふうに進歩しておるのか、騒音というのはどの程度われわれが頭に入れて考えていかなければいけない問題なのか、ここら辺のところはどうですか。
  151. 長澤修

    説明員(長澤修君) 航空機エンジンから発しまする騒音の改良の状態でございますけれども、当初ジェット機が出現いたしましたときには、その推進力といたしまして、ジェットエンジンの中で燃やしました高温、高圧の燃焼ガスを高速で吹き出すということで推力を得ていたわけでございます。したがいまして、非常に高速で空気を吹き出しますので非常に大きな音がした、振動のエネルギーが非常に大きかったわけでございますけれども、近年のボーイング747あるいはDC10等の大型機に装備されておりまする大型のエンジンは、私どもではバイパス比が高いという言葉を使っておりますが、ジェット噴流の一部で大きなファンを回しまして、それによって空気の流れをつくって推力の大部分を得ておると、こういうことでございます。こういうふうにしますと、どうしてその騒音が静かになってくるかと申しますと、ファンによる空気流というものは、量は非常に多うございますが、排出されるスピードが従来のエンジンのジェットのスピードよりもかなり減ってまいります。減ってまいりますと、相対的に振動のエネルギーが減りまして、音が静かになってくるわけでございます。そういうものでジェットエンジンの中心を流れます高速の空気を包み込んでしまうような形で排気を排出いたしますので、これで大幅にジェットエンジンの騒音が減ってまいっております。  このほかにジェットエンジンの内部に吸音材をいろいろ工夫をいたしまして張りまして、吸音材によって騒音軽減をするというような、こういった対策が両々相まって、だんだんと音が静かになってきておるわけでございます。現在でもエンジンのメーカーは引き続きエンジンの内部構造、あるいはジェット噴流の排出口の形、そういったようなものについての改良研究を重ねておりまして、基本的には空気を吹き出しますので音はなくなるというわけにはまいりませんけれども、さらに徐々に改良が進むものというふうに期待をいたしております。  なお、先ほど先生から全然音のしないエンジンはどうかというお話もございましたけれども、音は相当に下がってまいりますが、もう一つ飛行機が相当の高速で空気中飛びますので、飛行機が空気を切る音というものが、これはなかなか消しがたいものであろうかと思います。しかしながら、技術の進歩によりまして、今後なお改良が期待できるというのが実情でございます。
  152. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いよいよ時間なくなりましたんで、直接大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。  これは大臣相談したいこといっぱいあるんですけれども、場所ですけどね、これは泉州沖ということにいまなっておるわけですが、これは泉州沖で本当にいいんですか。
  153. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 昭和四十九年に航空審が決定いたしましたのは泉州沖。その泉州沖を決定する前には神戸沖合い、あるいは播磨灘沖合い、あるいは西宮沖合い等、いろいろ候補地を挙げて検討いたしました。  その一つの例といたしまして、たとえば神戸沖合いを取りました場合に、離発着の騒音が全部人口過密の西宮、尼崎、それから灘周辺に騒音が降り注いでくる。いま先ほどおっしゃっている騒音がやはり空港建設につきまして一番問題でございます。そういう初めから公害がわかっておりながら空港を建設するということは、これはむしろ慎むべきではないか。そういたしますと、泉州沖での離発着は、いずれのコースをとりましても、海の真ん中であるということと同時に、周辺に及ぼします騒音の公害というものは全然考慮しなくてもいいほどに減少しておりますので、そういう点から言って泉州沖ということが一点。それから気流の関係を見ます場合にも、条件として泉州沖がいいということ。それから伊丹空港を、もしこれを継続して利用するといたします場合に、空域調整が泉州の方がとりやすい。神戸沖でございましたら、伊丹空港と非常に接近いたしておりますので、おのずから空域制限を受ける。そういうところをいろいろ勘案いたしまして、最終的に専門家の手で泉州沖ということを決定した。私たちは専門家が決めましたことを、やはりこれを一応技術的には最高のものであるということを信じまして、泉州沖という決定をし、そしてそれの建設にいま準備をいたしておるというところでございます。
  154. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは余り議論をしている暇はないんですが、大臣のこの間から何回かいろんな委員会での答弁を全部読ましていただきましたんですが、要するに大阪空港はもう継続して置いておくというような感じの答弁をしょっちゅうしておられますね。空域調整がむずかしいという話がしょっちゅう出てくるわけで、いま一回だけじゃなくて、もう前からずっと出てきていますがね。しかし、答申では大阪空港の廃止というのが前提になっておりますね。これはもう変わったわけですか、ここのところは。
  155. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 大阪空港——現伊丹空港を廃止ということが前提になっておるということではございません。
  156. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 答申の主文を読んでみますと、「関西国際空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、その位置を大阪湾南東部の泉州沖の海上とし、」と、こうなっておるのですがね。そうなってないんですか。
  157. 松井和治

    説明員(松井和治君) ただいま御指摘ございました答申の主文に確かにそのように書いてございます。それは必ず廃止をするということでお書きになったのではなくて、伊丹空港が廃止になった場合に、関西地区の航空輸送需要を賄えるだけのものをつくるということで、廃止になったとしても大丈夫な空港をつくるという意味で、すべてのその審議会の計算、たとえば空港の面積その他の審議にいたしましても、伊丹空港がなくなっても関西の航空需要に耐え得るような規模のものというようなことで、その審議のいわば前提になったという意味で、そこに廃止を前提としてという言葉が使われたということでございます。
  158. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはやっぱり廃止を前提としてというのは、要するに大阪空港は廃止を前提としてということじゃなくて、それじゃもともと存置するということを前提にしてということとは、あなたの説明だと、大阪空港の大きさだけを決めるに当たってということになりますね。そうじゃなくて、答申そのものはそうでしょう。やっぱり廃止ということを前提にして新しい空港を考えると、これは何もこれを詰める必要はないんです、このことについてですね。そういう考えならそれで結構です。これは後で何かの機会にたびたびやって詰めていかなきゃいかぬ問題ですからね。  それで運輸大臣、これはいろいろまだいっぱいあるんですが、泉州沖という問題ですね。これは私も大阪ですから泉州沖がいいということで大分旗を振らなきゃいかぬのですけれども、実際問題として泉州沖から大阪の市役所まで考えましても、航空局長何キロあるんですか。
  159. 松井和治

    説明員(松井和治君) 正確な数字ではございませんが、約四十キロだと思います。
  160. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは直線距離で、定規でぽっとはかって四十キロでございまして、これは実際車で来るともうちょっとあります。そういうふうに考えてみますと、東京の成田というのはとにかく遠いですね。これはもうちょっと何とかならぬかという声がちまたに多くなっているわけですけれども、大阪で泉州沖、大阪の人はいいですね。和歌山の人もちょっと喜びますね。しかし、関西全体というものを考えた場合に、本当に泉州でいいんですかな、大臣
  161. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) その前にひとつ、私が先ほど答弁いたしましたことにちょっと補足させていただきたいんですが、大阪国際空港——いわゆる伊丹空港でございますね。これにつきましては、航空審の前提は先ほど松井局長が説明したとおりですが、実はこういうことがございまして、騒音問題等で公害等調整委員会で調停案が示されました。その調停案がいわば地元運輸省との間において、伊丹空港の取り扱いの基本条項になっております。  それによりますと、第三項で、本件空港、つまり伊丹空港ですね。の存廃については、被申請人、つまりこれは運輸省なんですが、運輸省はその責任において、関西国際空港開港時までにこれを決定すること。こういうふうなことになっておるわけであります。私たちがいま一番意を使っておりますのは、その騒音公害が伊丹空港にある。これをどのようにして理解をしてもらい、そして周辺整備を進め、その上で伊丹空港の存廃を決めたい、でき得ればそういう完全な騒音対策が講じられ、あるいは運用についての配慮をされるならば、この空港を活用いたしたいというのが先ほど私が答弁いたしました一つのスタンスでございます。  ついては、先ほどお尋ねの関西新空港の方でありますが、確かにアクセスから見まして、私は最高のところではないと思うております。けれども、その前に答弁いたしましたように、この空港の建設と騒音問題そして空港を建設することによって多くの方に迷惑をかけてはいかぬ。その兼ね合い。迷惑をかけない程度で、しかも最大限便利をとるところはどの辺かということになりまして、現在の泉南沖合いとなった。それはもう田舎の端っぽの山のところへ持っていけば、騒音問題は解決するが、そのかわり大変不便になる。それじゃ便利なところへ持っていけばどうか、騒音問題でこれは多大な迷惑をかける。そこの接点、座標をどこにとるかということの結果であったと思うております。
  162. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣の言わんとすることもよくわかるんですが、私は、要するに騒音で迷惑かけるような空港をつくれと言うわけじゃないんです。やっぱり大臣の言うように騒音で迷惑をかけないようなすばらしいところにつくりたいと思っているわけです。それにはいま初めから候補に挙がった泉南沖、岸和田沖、西宮沖、六甲沖、ポートアイランド沖、明石沖、淡路島とかいうような、そういうところでないところでないのかと言うわけですよ。もっとあるんじゃないか。もう一つは、この泉州沖がこの間御存じのとおり、行革のあの中でも大分厳しい注文をつけている感じですね。泉州沖がさあっとできるんならそれなりの意味もあると思いますね。ところがこれはもう国にお金ないわけですから、これは非常に厳しい問題が出てきます。そういうような意味では、いわゆるアクセスの問題も含めて、もう少し安い空港で、もう少しいいところで何とかならないのかという見直しはもう全くできないものなのか。泉州でぱあっと突っ走るべきものなのか。ここら辺のところのお考えはどうですか。これで私の質問を終わります。
  163. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは先ほど申しましたように、とてつもない海上につくるとか、あるいは山のてっぺんに——これは気流の問題ございますし、とてもむずかしいと思います。そもそも空港をつくりましても、そこにはどうしても都市が形成されてまいります。先ほど丸谷先生のお話にあった帯広がそうでございまして、空港ができる当時は騒音の問題がないほどまだ市街地は広がっておらなかった。それがやっぱり市街化してくるんです。そういたしますと、後のけんかは先にしておく方がいいという考え方に立って、もう初めから騒音逃げてしまった方がいい。その逃げるのはどこかというと、やっぱりこれは私は海しかないと思うんです。いま成田運営につきましても、三期工事をやったりなんかいたしましたら、やっぱり最終的に困ってまいりますのは騒音問題です。そうすると海の中だと、海であって、やはり大都会に近いところと言えば先ほど言った候補難になってきたと、こういうことでございます。  それともう一つ、行革で確かに厳しい意見はございました。しかし私はあの行革の決定によりまして、むしろやっぱり建設を前提としておるということを受けとめたのであります。建設するんだが、現在のこういう財政事情であるから、できるだけその財政への配慮を考えて計画を密にやれ、だから必要な調査はやれということになったと思うておりまして、むしろ私は行革の答申によりまして、将来における建設というものが担保されたと思うておる次第であります。    〔理事佐藤三吾君退席、委員長着席〕
  164. 柄谷道一

    柄谷道一君 最初に自動車運送事業の問題について御質問したいと思います。  私は、本年の一月二十日に本決算委員会でいろいろの角度から貨物自動車輸送秩序の確立及び道路運送法の抜本的見直しの問題について質疑をいたしました。それを受けて運輸省では、新聞報道されておりますところによりますと、来年度トラック輸送事業の白トラ、名義貸し、過積載などの違法行為を是正し、輸送秩序の改善を行うため、現在トラック協会が各都道府県に自主的に配置しております輸送秩序改善専任指導員に準公務員的な位置づけを与え、民間の活力を利用しつつ、新しい制度を創設をする、そういう方針を決定して、現在人選、活動内容等の基準づくりを急いでいる、こう承知するものでございますが、その構想及びその内容の大綱について、まず説明を願いたいと思います。
  165. 飯島篤

    説明員(飯島篤君) お答えいたします。  先生いま御指摘の輸送秩序の確立の問題につきましては、トラック行政におきます最重要の課題と私ども認識をいたしておりまして、これまでも陸運局、陸運事務所におきまして警察あるいは労働省それぞれの当局との相互協力を行いながら、その防止、改善、取り締まりについて努力をいたしておるところでございます。  五十二年度から五十四年度にかけまして、陸運局及び主要の陸運事務所に貨物輸送監理官というものを十七名配置して、その仕事に当たっておるのでございますが、また一方で、いま先生お話がありましたように、業界におきましても、五十二年度から各都道府県トラック協会に輸送秩序改善専任指導員百六人を自主的に配置いたして、当方の監理官と協力して輸送秩序の改善に努めておるところでございます。  私どもとしては、輸送監理官の増員要求を続けてまいったのでございますが、昨今の行政の簡素化ということで、事実上増員は困難であるというふうに見通されますし、また、民間の自主的な専任指導員では限界があるのではないかということで、この民間の輸送秩序改善専任指導員に公的な裏づけを与えまして、私どもの貨物輸送監理官と協力いたしまして、輸送秩序の改善に当たらせることが最も効果的ではないかと考えたのでございます。方法といたしましては、陸運局長からいまの指導員に対しまして、輸送秩序改善のための業務の委嘱を行おうという考えでございまして、百十五人分、主要な地区は五、六人、各県平均で二人ということで、必要な経費について来年度予算で謝金、事務費等を要求いたしているところでございます。  類似の制度が労働省とか警察等にございますが、これを参考にいたしまして、専任指導員を選び、それに委嘱をするということで、専任指導員は関係の事業所を巡回する、あるいは道路をパトロールするというようなことで、実態の把握と、それから指導を行う、また悪質な事案が発見された場合は、陸運局、陸運事務所へ情報提供を行うということを業務にしてもらいたい、こういうふうに考えております。
  166. 柄谷道一

    柄谷道一君 俗称トラックGメンでございますが、私は前回の質問で、全国十七名では何ともならぬではないか、すでに出された増員計画を達成してもらいたい、こう要請いたしましたところ、大臣は責任を持って実現を図る、こう言ったんですが、五十五年に引き続き五十六年度も増員は見送られました。ことし五名の増員を要求されているようでございますけれども、これは大臣相当がんばってもらわぬと、これはなかなかふえないと思うんですね。第二臨調の答申にも示されておりますように、行政業務の民間委譲、小さな政府づくりということは時代の要請でございますし、この運輸省の発想というものはぜひ実現を図らねばならぬ、こう思うのでございます。  そこで、一点だけお伺いいたしますが、確認しますが、百十五名でございますね。——それからもう一つお伺いしておきますが、労働省の労務改善推進員制度、これはたしか現在年間四、五千円程度の手当、これはわずかな金額でございますが、支給をいたしておりますが、いま局長は労働省の制度に準じと、こう言われたんですが、どういうようなことをお考えでございますか。
  167. 飯島篤

    説明員(飯島篤君) 労働省の自動車労務改善推進員は、謝金といたしまして一人当たり年五千円程度でございますが、私どもいま考えておりますのは、指導員当たり年一万円程度を要求をいたしたいというふうに考えております。そのほか類似の制度といたしましては、海上安全指導員、これは海上保安庁の分でございます。それから警察の少年補導員、それから私どもでやっております自賠責の無保険者の指導員について、それぞれ謝金が出ているようでございますが、こういったものを参考にして要求をいたしておるのでございます。
  168. 柄谷道一

    柄谷道一君 この制度実現に対する大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  169. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは私もこの前の国会のときに、この制度充実を図っていくということを申し上げました。しかし、なかなか現在予算的に、あるいは定員の制限という点等でいろいろの苦労をいたしておりますが、やはり自動車運送の秩序を確保していくために、さらに一層の努力を進めていきたいと思うております。
  170. 柄谷道一

    柄谷道一君 行政管理庁にお伺いいたしますが、昨年七月から十月にかけて、通運事業法に基づく通運事業の監察を実施した、こう聞いております。しかし、その監察結果はどういう理由かまだ発表されておりません。私は近く運輸省に対する勧告という形で行われると、こう聞いておるわけでございますが、その勧告のおおよその時期及びその勧告のいわゆる骨子です、柱ですね、お伺いします。
  171. 加藤武久

    説明員(加藤武久君) 通運事業に関する調査につきましては、私ども日本国有鉄道監督、行政監察と合わせまして、昨年の七月から十月にかけて実地調査をいたしましたことは、先生御指摘のとおりでございます。目下その取り扱いにつきまして鋭意検討を行っているところでございますが、通運事業につきましては、国鉄の貨物輸送と密接な関連がありますものの、最近におきましては、通運事業者のほとんどがトラック運送事業者、あるいは倉庫業者を兼ねているわけでございます。したがいまして、もう少し広い観点から見た方がより的確な指摘ができるのではないか、このように考えているわけでございます。私ども今年の十月から十二月にかけまして、陸上貨物の輸送保管事業に関する行政監察を行う方向検討いたしておるわけでございますが、通運事業につきましても、その中で改善方向を考えていきたい、このように考えているわけでございます。
  172. 柄谷道一

    柄谷道一君 いま御答弁にございました五十六年三・四半期、いわゆる十月から十二月、戦後初めて貨物自動車運送事業に関する行政監察を実施されるということでございますけれども、そのねらいは何でございますか。
  173. 加藤武久

    説明員(加藤武久君) 近年におきましては、貨物自動車による輸送の拡大と長距離化が進む等、輸送構造が大きく変化してきております。一方で道路運送法にいたしましても、通運事業法にいたしましても、基本的には戦後間もない当時の輸送構造を前提にして制定されたものでございます。したがいまして、私どもといたしましては、陸上貨物の輸送保管事業につきまして、各種の規制及び運営が実態に即応したものになっているかどうか、また行政の簡素効率化を推進する余地があるのかどうかという観点から行政監察を行う方向検討をいたしておるわけでございます。また、監察に当たりましては、私どもの出先機関でございます管区行政監察局及び地方行政監察局を二十局程度動員いたしまして、陸運局等についての実地調査を行いたい、このように考えております。
  174. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は行管庁の性格といいますか、任務からしますと、行財政の簡素効率化の推進、これが中心的な立場になると、こう思うんです。となりますと、輸送需要の多様化、輸送形態の複雑化が進む中で、免許区分、認可運賃、各種規制やその運営をチェックして、輸送実態に現行制度が適合しているか否か、これが調査の主たる対象になる、これは行管庁の性格からするとそうだと思うんです。しかし、反面考えなければならないことは、トラック関係の労使では、さきにも運輸大臣指摘されましたけれども、白トラの横行など輸送秩序が確立されていない、しかも最近荷動きが非常に低迷しておる、そして過当競争が激化しておるということもこれまた一つの現実でございます。そこでその監察と勧告の内容いかんによりましては、行政効率を上げる、いわゆる簡素化するという一つの目的を果たしたとしても、逆に悪貨が良貨を駆逐する、そしてそのことが産業基盤を危うくするということにつながる、これは両面を持っていると思うんです。そこで、私は少なくとも監察の実施をするに当たっては、当然事前に関係労使に対してヒヤリングを実施いたしまして、その意見を徴して監察内容というものをやはり決めていく、そういう配慮が行管庁にとって必要ではないかと、こう思うんですが、いかがですか。
  175. 加藤武久

    説明員(加藤武久君) 陸上貨物の輸送保管に関する事業につきましては、わが国の社会経済に重大な役割りを果たしている重要な事業分野でございます。したがいまして、私どもといたしましては、勧告の方向を誤ってはそれこそ先生御指摘のとおり大変でございますので、必要に応じまして労働組合を含め、関係方面への意見をも十分聴取いたしまして、妥当な結論をまとめていきたいと、このように考えております。
  176. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひそのような運営を御配慮いただきたい。  そこで、きょうは時間の関係で公取をお呼びしていないわけでございますが、運輸省にお伺いしますが、公正取引委員会でも現在この種の検討が行われているやに承知しております。公取の動きに対しまして、運輸省はどういう認識をお持ちでございますか。
  177. 飯島篤

    説明員(飯島篤君) 公正取引委員会におきましては、事業者の自由な事業活動を確保するという観点から、政府規制の見直しという作業をしているやに聞いております。ただ、先ほどから言われております行政監察の結果、あるいは公正取引委員会検討の結果等はまだ公にされておりません。またトラック事業に対する行政監察は先ほどからのお話でこれからということで、私どもとしてこれらについて云々する段階ではないと認識いたしております。  ただ、対応といたしまして、私どもは事業の実態と現行規制の意義について行政管理庁、あるいは公正取引委員会に必要な機会をとらえて十分認識していただくよう努力してまいりたいというふうに考えております。
  178. 柄谷道一

    柄谷道一君 貨物自動車の産業政策につきましては、すでに関係労使が具体的な政策提言を行っておる、これは現実ですね。また行管庁も公正取引委員会も問題指摘、勧告を行う構えでの動きが進んでおる。そういう中で、私は運輸省というものは座してそれらの勧告を待つという姿勢ではなくて、交通部門における許認可行政と事業規制のあり方について、片や行政の効率化、片や業界の秩序の確立、この両面からこれを相調整し、そして新しい交通政策を打ち出すということが、私は運輸省本来の任務であろうと、こう思うんです。いまの局長の御答弁を聞いておりますと、何かいまのところ語るべきときではないと、静かにちょっと見守りましょうという印象を受けるのですけれども、それは私は現在の実態から見ると、きわめて消極的に過ぎる姿勢ではないか、こう思うんですが、大臣いかがでございましょう。
  179. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この問題につきましては、自動車局長も実は消極的ということじゃございませんで、積極的にやっておりまして、それはなぜかと申しますと、これは過般答申いただきました運輸政策審議会の中におきましても、自動車運送関係に対する考え方と、それが総合交通体系に及ぼす影響というものが明記されてきております。そういうものを踏まえまして、ただ単に業者規制ということだけではなくして、自動車運送が将来総合交通の中にどのように占めていくか、そしてまたその中において、営業と、それから自家用車との関係というものをどうして扱っていくのかという問題につきまして、いま一生懸命勉強しておるところでございますので、仰せのそういう諸要件を検討し、一つの方針をまとめていきたいと思うております。
  180. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいま御答弁のありました運輸政策審議会でございますが、本年七月六日「試練のなかに明日への布石を」と、これはりっぱなサブタイトルでございますが、これをつけて「長期展望に基づく総合的な交通政策の基本方向」と、こう答申されております。私はその詳細につきましては時間の関係もあり、また改めての機会質問したいと、こう思うんでございますが、本日は二つだけをただしておきたいと思います。  その一つは、事業規制のあり方について、答申は時代の変遷に伴い不必要となったもの、企業の活力を発揮させるために障害となるものについては見直す必要がある、これは八十九ページに厳しく指摘しておるところでございますが、具体的にそれではどの事業法を見直しの対象とお考えなのか。第二点、さらにこれを受けて物流政策のあり方において取扱業制度の検討と総合運送取扱業制度の創設を提起しておりますが、具体的にどのようなことを考えておられるのか。また、その場合答申をそのまま実行しようと思えば道運法第五章、すなわち自動車運送取扱事業の法改正というものに発展していくのではないか、こう思うんですが、いかがですか。この二点をお伺いします。
  181. 石月昭二

    説明員石月昭二君) お答え申し上げます。  第一番目の事業規制の問題でございますが、これに伴いまして今後どのような形で事業法を改正していくのかという点でございますが、先生御承知のように、今回の答申当たりまして、ただいま先生がお話しされましたように、今後の総合交通政策の実現にとって、事業規制自体がそれの障害になるというようなことのないように、やはり事業規制というものは時代の変遷に伴って見直していかなきゃならぬというのが運輸政策審議会の御指摘でございました。その具体的な事例といたしまして幾つかの例示を挙げておりますが、一つは御承知かと思いますけれども、たとえばエネルギーというものがこれからだんだん不足してくる、特にトラックに使う軽油というような問題につきましては、将来の供給不足ということも考えられるわけでございますが、そのような場合に、現在のトラックの積み合わせの制度というようなものについて、もう少し考え直す必要があるんではないか。それから、大都市の交通混雑その他の問題もございますので、この点については検討しろというのが第一点。それから、八〇年代の物流を見た場合に、今後荷主の要望というのは、どういう輸送経路をとるかということではなくて、どのような所要時間で、どのようなサービス内容で、幾らの運賃で目的地に着くかというような形で、荷主の要望というのが変わってきているんじゃないか。そういう荷主の要望に的確に沿えるような総合運送取扱業制度というようなものを考えていく必要があるのではないか。従来の形では縦割り制度を横につなぐという形でそういう輸送が行われておるわけでございますが、その辺をどうするのかというような問題。さらには、今後エネルギーの輸送の問題で内航海運による二次輸送というようなものを頻繁に行わなければならぬだろうけれども、現在内航海運業の安定というような問題から、スクラップ・アンド・ビルドでスクラップをもって当てなければ新船をつくれないというような船腹調整規定がございますが、このような問題も時代に即応して見直す必要があるのではないかというような、その他幾つかの指摘がなされているわけでございますが、こういうような形で指摘されております。したがいまして、私どもはこれらの指摘に対しましてこれから検討いたしまして、必要があれば法律改正もやらなきゃならぬ、物によりましては通達その他によりまして、運用面でこれに対応していくというような対処の仕方もあろうかと考えている次第でございます。  それから、第二番目の総合運送取扱業制度の問題でございますけれども、御承知のように、先ほども申し上げましたように、八〇年代は、七〇年代の量的対応に比べまして、質的によりベターなサービスを貨物輸送の面では強く求められる時代になるのではないか。その結果、荷主産業といたしましては、いろいろ多様な商品が出てくるだろう。高級な商品、ファッション化した商品、そういうような商品に個別的に対応できるようなきめの細かいサービス。また一方、輸送サービスの範囲につきましても、いろいろな輸送機関を通しでサービスするような全国ネットワークをカバーできるようないいサービスというようなものが要ると、その場合にいまの縦割り体制は十分ではないんではないかというような議論もございました。これに対しましては、一方で現在の横割り体制の中で十分そのような荷主のニーズにこたえていけるという議論もございますけれども、いずれにいたしましても、そういう時代の要請があるわけでございますので、今後そのような問題につきまして、たとえばそういうものを導入する場合に、資格条件をどうしたらいいのか、責任範囲をどうしたらいいのか、さらには現在の縦割りの事業種別との間の関係の調整をどうしたらいいのかというようなことを検討してまいりたい。これにつきましても、来年若干の予算を要求いたしまして、荷主のヒヤリングであるとか、現在の取扱事業者の御意見であるとかというようなことをいろいろ勉強して、今後の体制を考えていきたいということでございます。したがいまして、先生から御質問の道路運送法の第五章でございますか、自動車の取り扱い制度をどうするかという問題は、それらの結論を待って決められるべきことになると思います。
  182. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は前回道路運送法の抜本的見直し改正を提起したわけでございますが、私はこの運輸政策審議会答申をずうっとすみからすみまで読みますと、当然道路運送法そのものについても、いま御答弁がありましたように、この際根本的な見直しということに発展せざるを得ないと、こう思うんです。  そこで、私の前回の質問を受けまして、本年二月に運輸省は通運課長を欧州に派遣された。そして、事業法のあり方をめぐる調査をされたと、こう承知しております。早速質問が取り上げられて感謝しておるところでございますが、その調査結果はきょうは時間の関係がございますから改めて、私は資料としてお示しを願いたい、このことをお願いいたしますとともに、お伺いしたいのは、その調査の結果ですね、道路運送法の改正を、いわゆる見直し改正を行う要ありという答えをおつかみになったのかどうか、それだけをお伺いします。
  183. 飯島篤

    説明員(飯島篤君) 通運課長が調べてまいりましたのは西ドイツ、フランス、イギリスの三国でございます。三国の規制につきましては、各国各様でございまして、簡単に言いますと、イギリスはどちらかというと経済的な理由による規制を廃止するという方法をとっております。それから、フランスにつきましてはそこまではいきませんで、参入規制、運賃規制等をいたしてはおりますが、規制緩和の方向に進んでおります。それからドイツは、御案内のとおり、かなり細かい規制を短距離、長距離に分けましていたしております。  これらを見まして考えられますことは、それぞれの国が地理的な事情も違う、歴史も違う、社会経済情勢も大分違うし、法制度も違う、またトラック事業の果たしている役割りも国によって違うということで、すぐにわが国に導入できるような制度があるとは考えられないのでございますが、十分参考にしながら、引き続き勉強してまいりたいというふうに考えております。  なお、道路運送法の問題につきましては、各方面からいろんな意見が出ておりますので、それらについても耳を傾けながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  184. 柄谷道一

    柄谷道一君 道路運送法が、微調整が行われたとは言うものの、施行以来三十年を経過して法律が古くなる、そして実態と遊離しておるというこの認識は、私は総論においては関係者の一致しておる認識ではないかと、こう思います。こうした中で、さきにも質問として取り上げましたけれども、行管庁の求める行政簡素化と、公取の目指す自由化の動きが顕在化しつつございます。私はこの二つの、目的は異なりますけれども、行き着くところは現在の許認可制、免許制、運賃制度自由化への方向であることは間違いないと、こう思います。そして、それは一九七九年のOECD理事会における競争政策などに関する理事会勧告、また五十四年末の規制監督行政見直しにかかわる閣議決定に端を発していることは明らかであろう。もちろん私は、不必要あるいは実行力がない許認可業務が適正化され、行政が簡素化され、企業の活力を増す法改正や施策が推進されることは当然であろうと、こう思います。  しかし、反面、新二・九通達の監察結果、六七・五%が一日十三時間の拘束時間が守られていない。これは労働省の発表でございます。総労働時間が月二百五十時間以上という労働の実態、また、交通事故、環境破壊という現況の中で、過労運転の防止、騒音、排気ガスの規制強化などの立法化を求める声が高まってきておる、これもまた一つの現実でございます。  そこで、単にこの自由化という名のもとで短絡的な施策が行われるとすれば、それは労働条件の悪化、環境の破壊、交通事故の多発という問題に発展するのみならず、産業の混乱を招く。そして産業自体が社会的責任、公共的使命を果たし得ないという現況に追い込まれる恐れがあるという一面もまた無視することはできないと、こう思うのでございます。この両面をどう調整し、どのような産業政策を展開するか、ここに、いま曲がり角に来ております貨物自動車の産業の今後の方向を決する重要な使命を運輸省そのものは持っていると、こう思うのでございます。  私は、このような視点に立って、道路運送法の抜本的見直しを本委員会で前回指摘したところでございますけれども、私は、まあ急場しのぎの姿勢というものを続けたのでは大変なことになるという考えを捨て切れません。行管、公取、臨調の勧告、答申、これを待つのではなくて、本気になって、運輸省は道路運送法を初めとする現在の各諸法規について、運輸省としてのメスを当て、その時代の要請にこたえていく、この姿勢こそが必要であると、こう痛感するものでございますが、運輸大臣の御所見をお伺いしたい。
  185. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 仰せのように、私の方もこれは真剣にいま検討いたしておるところでございまして、新しい時代に臨む陸上輸送関係の、いわば諸制度見直しの一環といたしまして、検討を進めてまいりたいと思うております。
  186. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、国鉄問題について御質問をしたいと思います。  国鉄当局は、去る五月一日に国鉄再建のプログラムと、こう銘打ちまして、経営改善計画を運輸大臣提出されました。当時、高木総裁みずから新聞紙上では恥ずかしい計画であると、こう述べられたと報道されておるのを拝見しました。計画期間たる昭和六十年度までは全体の収支均衡が望めないということをこの経営改善計画は率直に示したものだと思います。すなわち、三十五万人体制の確立、赤字ローカル線の廃止を柱とする合理化を進め、年五%平均の運賃値上げ、ローカル線の割り増し運賃制を導入し、国庫補助金を五十六年予算と同額の七千三百余億円を横ばいさしたとしても、なお六十年度の全体収入は九千九百億円の赤字、これに東北、上越両新幹線開業に伴う約四千億円の赤字を加えると、一兆三千九百億円前後の赤字を出さざるを得ないというのが、私なりに読み取れば経営改善計画の示した国鉄の前途であろうと、こう思います。  しかも、八月二十七日、昭和五十五年度監査報告書が発表されましたけれども、それによりますと純損失が一兆八十四億円。これは五十四年度よりもさらに千八百六十六億円収支が逆に悪化をしておるわけでございます。もちろん、私は、ただいままでの質問に対する答弁がありましたように、地方交通線の構造的な問題、退職金、年金等、特定人件費の増大など、過去のしがらみによるツケの増大、電力・石油料金の大幅値上げによる経費の高騰がその背景にあることは当然肯定いたします。しかし、この監査報告を見まして痛感しますことは、たとえば増加傾向にあった東京、大阪の定期利用客が、前年度より二%落ち込んでおる、新幹線も収益率が低下しておるなど、国鉄離れが着実に進んで、従来の黒字部門にもかげりが見え出した。経営改善計画の中で最大の柱とした幹線系鉄道の収支も、黒字から一転して七百億円の赤字を出すに至った。また、貨物部門は、前年度に比べまして一三%も減少いたしまして、そのシェアはわずか九%という、国鉄史上最低のシェアを示すに至っております。  このように、監査報告を読めば読むほど、再建計画初年度の実態は、その計画や意気込みとはうらはらに、むしろ厳しさを増し、国鉄の体質は悪化をしておるということが、監査報告から読み取ることができるわけでございます。  まず、運輸大臣及び総裁に、この現実をどのように御認識されておるのか、簡潔にお答えをいただきたい。
  187. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 数字その他についてはただいまお示しのとおりでございます。  ただ、一言申し上げておきたいと存じますのは、経営改善計画を提出いたしました、また御承認いただきましたのは、この五月の前後でございますけれども、実は経営改善計画の案を私ども手元で練りましたのは二月、三月の時点でございます。したがいまして、五十五年度がどういうことになるかということにつきましては、決算または監査報告書で国民の皆様の前に明らかにされましたのは八月の二十七日でございますけれども、実は五十五年度の営業の実態というものは、経営改善計画を立てました時点において、ほぼつかんでおったわけでございまして、六十年時点の見通しを立てますもろもろの作業をいたします場合にも、今回発表になりました五十五年度決算状態というものを前提にいたしておるわけでございまして、六十年時点で、非常に恥ずかしながら、年金、退職金等をすべて含めますと、しかも東北・上越新幹線の開業に伴います経営の悪化見通しを除きまして、九千九百億円ぐらいまでしか改善できませんということを申し上げたわけでございまして、今回の決算によって私どもが意外と思う事態が新しく発生してきたということではありませんので、その点は六十年までの計画は現時点においてはそごを来したということにはなっておりません。  ただ、いまお触れになりましたように、貨物の成績が非常に悪いわけでございまして、これは、このように急激に一年の間で成績が悪くなったのは、貨物はだんだん悪くなってきておりますけれども、これほど極端に一年の間に悪くなりましたのは初めての経験でございました。そこで、今後の傾向を見通す場合に、経営改善計画で織り込んでおりますような状態で推移するかどうか、貨物については非常に心配をいたしております。  それから、定期収入が従来になく落ちましたということは事実でございますけれども、それを多少細かく調べてみますと、主として東京と大阪で落ちておるわけでございまして、その東京、大阪落ちております中身を線区別に調べてまいりますと、新しく東京におきまして、また大阪におきまして新設し、開業されました地下鉄の沿線が軒並み定期収入が落ちておるわけでございまして、これはやはり新しい線路ができて、お客様にとって、運賃の問題もございましょうけれども、何といっても便利な線ができたということによる転移がもたらしたものではないかと思っておりまして、その点は余り多く心配はいたしておりません。  それからもう一つの心配事は、やはり北陸線あるいは湖西線という、琵琶湖周辺の線区が収入が落ちておりますが、これは北陸に新しく道路ができましたことによるものでございますし、また中央東線と言っております部分の収入が落ちておりますが、これも中央道がだんだんと整備されてきたことによるものでございまして、今後道路の整備が進みますと、かなり私どもは打撃を受けることが予測をされます。それらについては、一面において新しいもろもろの営業施策を講ずることによって、経営改善計画に予定しておりますところの事業を何とか維持をしてまいりたいと思っておるわけでございまして、いろいろと心配の種はございますけれども、現時点におきましては、何とか六十年時点の見通し数字までは到達できるのではないかと考えつつ、なお同時に事態の変更に応じながら、現在計画に織り込んでおりますもの以上にいろいろと工夫をする必要があるということで、いろいろと腐心をいたしておるところでございます。  五十五年度はそういう状態でございましたが、五十六年度におきましては、旅客は大体順調にいっております。しかし、貨物はいかんせんやはり減少ぎみでございます。今後のそうした推移を見ながら、経営改善計画がただ絵にかいたものになりませんように、努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、五十五年度中に計画いたしました合理化と申しますか、人を減らす計画、それによって人件費を減らす計画は予定どおり進行いたしました。よって、今年度におきましても、さらに一万二千人の減員計画を間違いなく進めなけりゃならぬということも重要な問題だと考えております。
  188. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいま総裁から、どちらかというと、楽観的ではないんでしょうが、経営改善計画の達成可能というニュアンスのお話がございました。私は、従来の国鉄再建が十分効果を上げなかった要因、これはまず第一に、経済構造や社会的情勢の変化、他の交通手段の発達、多様化に適時適切な対応ができなかった。第二には、輸送量や営業収入を常に過大に見込み過ぎたその計画そのものに無理があり、国鉄の輸送量は見込みとは逆に大幅に減少し続けた。第三には、収支の改善を運賃の大幅値上げで補おうとした運賃政策に無理があった。そのために他の交通機関との競争条件整備をみずから放棄するという結果につながってきた。第四には、構造的欠損に対する政府の助成についても、ツーレイト、ツースモール、すなわちタイミングを失した。こういうことが挙げられると思うんです、言ってみればですね。しかし、第一に重視しなければならぬ問題は、やはり労使関係上の問題ではないか。私たちは国鉄再建にとって最も肝要なことは、その当事者である国鉄労使みずからがどれだけ再建に真剣に取り組むか、いかに汗を流すか、そこに国鉄再建のすべてはかかると主張し続けてまいりました。しかし、時間の関係で具体的な事例は私は申し上げませんけれども、経営改善計画の中で全職員の士気、使命感を強調し、監査報告の中でもいろいろなことの指摘をされておりますけれども、しかし、みずからの経営姿勢を反省し、抜本的にこれを改めて行動するという決意がなければ、私はこの経営改善計画は空念仏に終わってしまうと思うのでございます。  そこで、ひとつ具体的にお伺いします。八月十八日付の夕刊フジは、五十五年度職場管理監査結果の内容を報道いたしております。これをマル秘扱いとして、部外に公表されない理由は何でございますか。
  189. 吉井浩

    説明員(吉井浩君) 職場管理監査につきましては、過去五年余りの間逐次行ってまいったわけでございます。この目的は、あくまでも問題ありというふうに考えられます職場につきまして、果たして実態はどのようであるかということをまず徹底的に承知をいたしまして、それに基づいてこれが改善を行いたいということでございます。  ただ、歴史的に振り返りますと、この問題で一番われわれ逢着いたしました難点は、やはり現場からなかなか実態を聞くことがむずかしいということでございました。やはり現場の管理者といたしましては、自分の職場の芳しからぬことごとにつきましては、できるだけ触れたくない、あるいは言いたくないという気持ちがございます。  それから第二点に、これまたわれわれの反省でございますが、仮に実態が明らかになった場合に、果たして局、本社は現場を助けてともにその改善をやってくれるだろうかという現場としての疑念があったということも、私ども否定できない事実であろうかというふうに思います。したがいまして、最初はその実際の声を引き出すのに大変苦労いたしました。  そこで、私どもは現場に対しまして、これはあくまでも実態を知るための内部的な監査である。決して世の中に公にするものではない。したがって、恥を忍んで実態を言ってもらいたいということを申しました。  それからまた、ここで明らかになったものの是正につきましては、決して現場だけにこれを任せて、局あるいは本社はいざというときにはしごをはずすと、こういうことは本部は絶対にしないということを再三繰り返して申してまいりました。その結果、私どもといたしましては、ずいぶんと実態が明らかに把握できるようになったというふうに考えております。したがいまして、何ゆえにこれを公表しないかと、こういう御質問でございますが、やはり私どもは現場の声を率直に聞き知るためには、あくまでもこれは内部的な監査ということにいたしまして、一般に対する公表は今後とも差し控えてまいりたいというふうに思うわけでございます。  ただし、この内容につきましては、やはり部内に、他の部局に対しましても、国鉄の一部においてこういう職場がある。したがって、これを他山の石としてお互いに自分の足元を見詰めて、こういう事態を起こさないようにということで、本社並びに国鉄の現場隅々では十分に活用いたしておるつもりでございます。
  190. 柄谷道一

    柄谷道一君 そういう趣旨であるとすれば、私もあえてその内容の資料要求はいたしません。  しかし、一点お伺いしますが、これ新聞に相当出ているのですね。「ポカ休、ヤミ休暇、保線手抜きでボルトゆるみ そして事故 ”現場協議”かくれミノにサボタージュも」、こういうことで、これは本紙が入手したということで、マル秘の管理監査報告全部載っちゃっているんですよ。一点だけお伺いします。この報道は間違いありませんね。
  191. 吉井浩

    説明員(吉井浩君) 残念ながら監査いたしました一部の職場におきまして、そのような事態があったことは間違いございません。
  192. 柄谷道一

    柄谷道一君 私が聞くところによりますと、その中で、国鉄当局は、管理者の教育に今後重点を置き、資質を高め、職場問題の改善、職場規律の確立に取り組む管理者をバックアップし、業務への一時的な支障を恐れず、必要によっては対決を辞せずという姿勢で悪慣習の是正や、現場協議の正常化に取り組む、また信賞必罰の体制を強化する、こういうことが御決意としてその中に含まれていると、こう理解するんですが、それも当然ですね。
  193. 吉井浩

    説明員(吉井浩君) 仰せのとおりでございまして、また、この新聞紙上に報ぜられました一部の職場につきましては、その後現場長以下幹部を更迭いたしまして、局、本社一体となって悪慣行の是正に努めまして、かなりの改善を見たという職場もございます。したがいまして、今後とも、もちろん最初から紛争を、反目を事とするものではございませんけれども、十分に現場に対し、また対応の組合に対して説得、協議をいたすことはもちろんでございます。最悪の場合には紛争を恐れず断固たる措置をとるという決意であることは変わりございません。
  194. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間がまいりましたので、もっと多くの視点から相当質問をしたいと思っておったんですが、二点だけお伺いして質問を終わります。  その一つは、私はいまの御答弁は当然再建をしなければならぬという厳しい情勢の中にあって、当然あるべき姿だと、これは大方の国民がそれを肯定するであろうと、こう思うんです。しかし、国労さんが発行しております「国鉄新聞」によりますと、総評第六十三回の定期大会で森影委員長が、「労務監査と称するマル生攻撃が再び始動している。現場協議での労使の合意を一方的に破棄し、これに対する組合の抗議を権力的に弾圧するなどの不当労働行為は断じて許すことはできない。大会の名において当局に厳重に警告を発し、闘いの先頭に立つ決意を明らかにする。」と、こう報道されておりますし、また、現在職場討議中で、ことしの秋に決めると言われております順法闘争基準要領を私手に入れまして読んだんでございますが、これ読めば読めほど、順法ということに名をかりた完全な私はこれはサボタージュだと、こう見るんですね。私は、国鉄を危機から蘇生させて再建させなければならないときに、本当の正常な労使関係の確立、これがむしろ最近の報道からは逆行しているという感を受けるわけでございます。これに対する総裁の御意見をお伺いしたいことが一点。  同時に、私は第二点は、経営改善計画の中で、国鉄は、「発想の転換を行い、民間企業における手法も採り入れるなど、企業的感覚を醸成」すると、こう書かれてあるんです。しかし、私はそのベースになるべきものは生産性の向上という問題ではないかと思うんです。生産性の向上というものが否定される体質の中で、民間企業における手法が取り入れられるわけはないと思います。民間のそれと等しいやはり取り組み、努力、そしてその効果、これが民間感覚というものではないかと、こう思うんです。この点に対しては運輸大臣、お二人にお伺いしまして、質問を終わります。
  195. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 第一点の組合の内部でのいろいろなやりとりの話は、新聞の報道にありますようなことが組合の内部で論議されているように聞いております。それは一般的にどうこうということではなくて、職場職場ごとに非常に何といいますか、様相を異にするということがやや目立ってきておるわけでございまして、私どもとしましては、私どもの目から見て好ましからざる職場が是正されていくということを強く期待しつつ、職場監査というようなこともそういう意味もあって行っているわけでございまして、それについていろいろと、何といいますか、私どもは当然常識的でない悪慣行というふうに見ているものにつきましても、これが長年の闘争の結果かち得た一つの権利であると申しますか、そういう立場で物を見る諸君もいるわけでございまして、これらにつきましては、先ほど担当常務から御答弁申し上げましたように、きちっとした姿勢で是正してまいりたいと考えておりますので、国労の中でそうした論議が盛んであることは承知はしておりますけれども、それに対しましては、われわれとしては毅然たる態度で臨むことによって、全体の水準が少しでも上昇していくように努めたいと考えております。  それから、生産性の向上ということは当然のことでございまして、日本のすべての企業において、あらゆる努力によりまして、生産性の向上に努められておるわけでございまして、それが日本の経済を支えておるものでございますから、われわれはそうした全体の日本の水準より劣っておるところが非常にあるわけでございまから、それに早く追いついていきたいというふうに考えておるわけでございます。なかなか多種多様の職場、規律の好ましからざる状態のある職場につきましても、これまた程度は多様でございます。それを漸次直していかなければならないわけでございまして、それにはもう少し企業全体が各職場職場におきまして、自分がそこで給料をいただき生活をさしていただいているわけでございますから、その企業の実態というものをもう少し一人一人の職員がきちっと理解をするといいますか、承知をする、そして、自分たちの態度といったようなものが、おのずからお客様の方からごらんになりまして、どうもぴりっとしてないというふうに受け取られてくることが、また営業成績が落ちていくことにつながるわけでございますので、一人一人の日々の行動なり、態度なりが、民間のサービス業に少しでも近づきますように、指導、教育をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  196. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 生産性向上を否認して経営の改善はない、私は全くそのとおりだと思うております。当然努めるべきだと思うのでございまして、そこに民営論の発想が出てまいりますのは、まさにそこにあると私は思うておるんです。でございますから、私は民営論につきましては先ほどお答えいたしましたので、私はその立場はいささかも変わるものではございませんが、民営的な要素を取り入れていく必要は十分にある。それがためにはやはり現在の労使関係、並びに国鉄の経営者側の当事者能力、こういうようなもの全般的にもう少し経済の合理性が発揮できる制度に改めるべきではなかろうか。資金はまるまる見ていく、そのかわりにいかにかせいでも仲裁裁定でぴしゃっと国会で決められてしまう、これは余りにも能力がなさ過ぎる、これはやっぱりいかぬと思うんです。当事者能力をつけるものはつける、そのかわりに一般民間がやっておるような労使慣行でやってもらう、これが当然だと思うんです。そこにおいてこそ初めて民営論的な発想ができてくるのではないかと思うのでございまして、公共事業であるということで、これはやはり鉄道建設であるとか、あるいはそれに対する特定路線に対する政府助成、これは公共機関としてやっていかなければならぬ、そこらは一度やっぱり整理をしていくべきだと思うておりますが、しかし、それは何も制度の改正をいま直ちにやる必要はなくして、そのようなことを志向しながら、現在の労使双方が努力をしてくれることが、これが一番望ましいと思うておりますので、今後ともそういう行政指導は続けてまいりたいと思うております。
  197. 安武洋子

    ○安武洋子君 五十五年度の監査報告についてお伺いをいたします。  報告を拝見いたしますと、昨年末に成立をいたしました国鉄の再建法に基づく改善計画のスタート、この早々なんですけれども、赤字が一兆円を超える、そして旅客、貨物ともどもに輸送量が減る、こういうふうな深刻な事態になっております。この原因というのは報告では景気低迷とか、あるいは電力料金の引き上げなど、こういう外的な要因を述べておられますけれども、そういう要因もあろうと思います。しかし、根本的には貨物の赤字、この貨物の赤字とか膨大な利払い、こういうふうな構造的な要因が私は大きく影響をしていると思います。総裁は先ほどの御答弁で、貨物以外は余り心配ないというふうな御答弁なさっておられましたけれども、私は時間の関係上三点についてお伺いをさせていただきます。  まず、最初は貨物の問題です。赤字全体の約七割を貨物赤字が占めておりますが、五十五年度は輸送量が一三%と大幅な減になっております。幹線での損益で収支均衡を達成する、こういうのが六十年度に向けての目標の上で最大の課題なんですけれども、この点で国鉄の貨物輸送機能を総合的な国内の物流機構の中でどう機能させるか、それからさらには国内貨物全体の低運賃、この状況にどうメスを入れるのか、こういう抜本的な方向は全く触れられていないわけです。私は、運輸省は今後どういう方向をお考えなのかということをまずお伺いをいたします。
  198. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 御指摘のように、五十五年度決算におきまして大変問題なのは、貨物輸送が思ったより悪かった。これはその前年度の五十四年度が比較的よかったという反射的効果もございますが、何にしても一三%の落ち込みということは大変問題であるというふうに私どもも思っております。ただ、依然として国鉄のシェアは狭いながら、貨物というものも全国ネットワークの中でシェアを持っておるわけでございまして、何とか今後貨物の輸送体質というものを強化いたしまして、六十年に向けまして目標の固有経費で収支均衡ということに向けて、もう少し一歩前進といいますか、国鉄自身ががんばっていただくということが必要ではなかろうかというふうに思うわけでございます。なかんずく貨物輸送に関する合理化の徹底というところをもっと重点化していただきたい。それから、運賃制度、あるいは荷主の確保という面での各般の工夫をもっとこらしていただきたい。この二点で出るを制し、入るを図るということを今後とも国鉄自身が懸命の努力をしていただく、これによりまして何とか六十年の目標を達成していただきたい、このように考え、指導していきたいと思っておるところでございます。
  199. 安武洋子

    ○安武洋子君 一歩前進とか、合理化の徹底とか、そういうことでやっていただきたいということで、言葉の上ではなるほどそのとおりなんですけれども、私はもっと抜本的な方向に触れない限りは、この貨物の問題は解決できないのではないかということでいま御質問したので、大変御答弁は私は上をなでているというふうにしか思えないわけですけれども、時間の関係がありますので、次お伺いいたしますけれども、国庫助成なんです。この国庫助成は国鉄の再建努力、これと並ぶ主要な柱になっているわけですけれども、これがいま臨調の抑制方針が出ております。この抑制方針に基づいて来年度の概算要求を拝見いたしますと、ほぼ横ばい状態のままです。これではいま国鉄が非常な赤字を出しておりまして、新聞などでも国鉄赤字一兆円突破なんて大きく報道されるというふうな、深刻な事態とは全くかけ離れている状態になっているわけです。これでは再建計画を政府がみずからの手で破綻させてしまうと私は言わざるを得ないと思うわけなんです。  大臣にお伺いいたしますけれども、臨調のこの抑制方針と、国鉄の再建の重要性、この関連をどのようにお考えでございましょうか、お伺いをいたします。
  200. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 臨調で補助体制を抑制しておるというのは、これは臨調が発足いたしました趣旨から申しまして、財政再建行政改革、この緊縮にあるということでございまして、そういう方針から申しまして、厳しい要請をしてきておるのは、これは私たちも当然として受けとめておりますが、しかし国鉄助成の要求を私たちいたしておりますのは、どうしても公共輸送機関として確保しなければならぬ運用に要する費用、これはぜひ確保いたしたいと思っております。したがって、助成の額が思うように確保ができないといたしましても、この財政の苦しい時期にあって、国鉄自身もやはり経営改善計画の目標を掲げておりますその計画の路線に沿って、着実に成果を上げてもらいたい、こういうぐあいに思うております。
  201. 安武洋子

    ○安武洋子君 着実に成果を上げるどころか、第一歩からつまづいているというふうな状況の中で、やはりいま国庫助成ですね、これが横ばい状態というふうなことで、政府みずからの手で再建計画を破綻させてしまう、それでさせっぱなしだというふうなことになりますと、緊縮財政というのはわかりますけれども財政再建とはやはり逆コースを行くというふうなことになって、ますます大変なことになろうかというふうに思うわけです。私は、国鉄再建の重要性ということをいまおっしゃいましたけれども、もう少しこの国庫補助の面についてもお考えをいただかなければならないのではなかろうかというふうに思います。  ここでもう一つお伺いしてまいりますけれども、運賃の値上げに加えまして、定期の乗客ですね、この減少傾向がいま続いているわけです。大都市圏での乗客離れ、それから定期乗客の特に減少、先ほど御答弁の中で新設の地下鉄の沿線だけというふうなことで、余り心配ないんだとおっしゃいましたけれども、事態はそんなことございません。企業などでも、経費節減の一環としまして、国鉄と並行している場合は私鉄に乗れ、それでなくても、乗り継ぎなどを利用してでも私鉄の方を利用するというふうにやっております。そして、とりわけ通学定期の場合が問題なのですけれども、この三年余りの間に、運賃は値上げする、そして割引率は引き下げる、こういう二重のしわ寄せを受けまして、五十二年の七月と、五十六年の七月と比べてみますと、この四年間で通学定期というのは二・二倍以上にもなっているわけですね。このために通学も私鉄を利用するということはもちろんなんですけれども、いまは私鉄の沿線に家をかわっていこうかというふうなところまで事態は深刻なんですね。大学生なんかで下宿する場合の第一の条件というのは、国鉄沿線でなく私鉄沿線だというふうなことも言われているわけです。これほど深刻な事態ですので、私はこの際学生割引制度、この根本に立ち返っていただきたい。割引率をせめて私鉄並みに引き上げるというふうなことで、再検討をお願いしたいと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  202. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 先ほど総裁申し上げました五十五年度の定期旅客の動向につきましては、先生御指摘のような景気の動向等々、あるいは国鉄運賃改定による影響等々も含まれておると存じますけれども、その一番大きなものは、先ほど総裁申し上げました、やはり新しいルートができたことによるものではないかと私ども分析をいたしております。  なお、通学定期の問題でございますが、確かにここ数年の運賃改定の際、常にその都度割引率の修正をあわせてお願いをしてまいったわけでございますが、私ども実は一昨年部外の学識経験者にお願いをいたしまして、旅客運賃制度の研究会でいろいろ御議論いただいたいきさつがございます。その際に、やはり使用回数、あるいは回数乗車券とのバランス等から見まして、通勤定期運賃と格段に差をつける理由はない。しかし、従来からのいきさつ、あるいは社会的に学生に対する割引がある程度行われておるということを考慮いたしまして、当面通勤定期の割引率に、これは約五〇%でございますが、これに一定率を加えた割引率を目途に、漸次段階的にその修正を行うことが適切であるというふうに御結論をいただいているわけでございます。  私どもとしましては、現在、先生御承知のように、通学定期の割引については、各私鉄まちまちでございますし、また営団地下鉄あるいは公営地下鉄等は、特に公営地下鉄につきましては六割を割る割引率になっておりますので、そういったいろいろな他の運輸機関の状態ども考え合わせまして、やはり私どもとしては現在の七四・三%という割引率は高きに過ぎるのではないか、今後ともある程度の修正をお願いしたいと、こう考えております。  なお、先生御承知のように、私ども通学運賃問題につきましては、一種の公共負担というふうに考えておりますが、いろんな機会にこの公共負担につきましては、関係省庁において御措置をお願いするということでございまして、現在関係省庁でいろいろ御検討をいただいているように承知をいたしております。
  203. 安武洋子

    ○安武洋子君 ちょっと聞き漏らしたんですけれども、いま七四・三%でしょう、国鉄は。私鉄は八一・三%ですね、大体の大都市圏の。ということは、国鉄はまだ何か高きに過ぎるとおっしゃったんですか。まだ、もっと割引率を引き下げると、こういうことで御答弁なさったんですか。
  204. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 先生、八一・数%というのは私鉄の全体の平均でございまして、各私鉄ばらばらでございます。また、営団地下鉄あるいは公営地下鉄は、特に公営地下鉄につきましては六〇%を割る割引率になっております。そういった情勢を踏まえまして、私どもとしては、なおただいま先生おっしゃいました七四・三%という割引率につきましては、ちょっと過重な負担であると、このように考えておるわけでございます。
  205. 安武洋子

    ○安武洋子君 私が御質問申し上げた趣旨というのは、やっぱり認識の差というのがあると思うんですよ。何か悪いところを出してこられて、自分たちはもっと引き上げていくんだというふうな御答弁ですが、私けしからぬと思うんです。やっぱりいまの学生たちの国鉄離れというのは、家をかわろうかというのは、何も一つや二つの県でなくて、本当にあちらこちらでささやかれておりますし、それから下宿などを求めるときには、何よりも私鉄の沿線をまず探すんだということが常識になろうとしているようなときに、やはりこの学生の割引の根本は何だというところに立ち戻っていただかないと、ただ収益だけの問題で物を言われるというのは、私は公共事業としての国鉄としてだめだというふうに思います。だからこそ再検討していただきたい。私鉄は大都市で平均いたしますと八一・三%ですよ。やはりここぐらいの努力はしていただきたい。逆のお答えを出されるなんてもってのほかだと思いますが、もう一度御答弁願います。
  206. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 冒頭に私申し上げたのでございますが、部外のいろいろな先生方の御意見も、通勤定期とその使用回数、あるいは回数乗車券とのバランス等から見て、国鉄として負担すべき限度は、通勤定期と差をつける理由はないということでございまして、私ども通勤定期は現在大体五〇%程度になっておりますので、その通勤定期と同率程度までは、さらにちょっと詳しく申し上げますと、その通勤定期に一定率を加えた限度ぐらいまでは、私どもの負担から外していただくという方向でお願いを申し上げたいと、こう申し上げているわけでございます。
  207. 安武洋子

    ○安武洋子君 そういうところにしわ寄せを持ってこないで、なぜ貨物運賃にもっとメスを入れないんですか。通勤定期も私は安いとは申しませんけれども、自分で働いているわけでしょう。通学というのは自分で働いていなくて、やはり次の世代を担う人たちの教育のためにやっぱり必要な経費なんですよ。その点を私はやっぱり考えていただきたい。国鉄姿勢の中に一貫してそれを感じますので、どういうふうに私は感じているかというのを、ちょっと立場は違いますけれども、視点が違いますけれども、申し上げたいのです。  十月の一日から開業が予定されております線がありますけれども、これは北海道の千歳空港と新得間を結ぶ石勝線ですね、これが十月一日から開業されますけれども、その開業の目的と概要についてお答えください。
  208. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) いま御指摘のありました石勝線でございますが、これは鉄道建設公団において建設線として建設をされてきたものでありまして、工事は四十一年以来続けられてまいりました。ルートといたしましては根室本線の上落合から分岐いたしまして、千歳線の千歳空港駅というのができておりますが、そこまでを結んでまいります新しい線、一部在来線を含んでおりますけれども、石勝線という、百三十二キロの幹線でございます。これは道央と申しますか、礼幌、小樽地区、それから先ほど申し上げました千歳空港、あるいは道南地区、函館、室蘭、苫小牧、こういった地域と道東地区、帯広、釧路、こういった地域とを短絡いたしまして、この間の交通を便利にいたしまして、地域間の経済、あるいは文化の交流、増進に資するという目的で建設されたものでございます。
  209. 安武洋子

    ○安武洋子君 短絡線ですね、要するに。そういうことですから、乗客の多くは、これはいままで従来線からの振替というふうになって、私は乗客の大幅増というのは望みにくいと思います。同時に、短絡線ですから、距離が縮まりますから、運賃減、こういうことをあわせて考えますと、経営的には非常に厳しいと思います。旅客と貨物の営業損益の見込みですね、それから開業後の鉄建公団への借損料、こういうものがありますけれども、どのような予測を立ててなさいますでしょうか。
  210. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 十月一日開業の石勝線の旅客収入が約三十二億程度でございます。貨物収入につきましては二十五億程度と、締めて五十七億程度の収入を見込んでおります。  なお、公団借料につきましては、まだ確定いたしておりませんけれども、ほぼ六十六億程度と見込まれますので、それらを含めました営業経費は百六十四億ということで、収支差額百七億程度でございます。係数にいたしまして二八八ということになると推定をいたしております。
  211. 安武洋子

    ○安武洋子君 では国鉄としましては石勝線は地方交通線にならないというふうにいま思っていらっしゃるわけですね、そういう見込みでございますね。
  212. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) 石勝線は先生おっしゃるとおり幹線に入ってくるものと思っております。
  213. 安武洋子

    ○安武洋子君 ですから、将来は。
  214. 加賀山朝雄

    説明員加賀山朝雄君) はい、将来とも幹線であると思っております。
  215. 安武洋子

    ○安武洋子君 これは私の方で計算をいたしました。そうすると旅客の場合ですね、釧路−札幌間で四千六百円が四千二百円となって四百円安くなります。これで利用者が従来と余り変わらないと、こういう場合ですね、年間十億から十一億ぐらいの赤字になるのではないかと思います。満席になっても黒字にはなりません。  それから貨物は短絡化によって時間が短縮されるので、貨物はふえようかと思いますけれども、しかしトン当たりの運賃が低くなりますから、収益はほとんどふえないのではなかろうか。公団の借損料、これ総建設費が六百五十億と聞いていますから、三十年間の借損料の支払いだと、年間約六十六億から六十七億というふうなことで、合算しますと、開業後毎年七、八十億近い持ち出しが予想されるというふうに私は計算をいたしております。しかし、確かに道東と道央ですね、この交通は石勝線の開通によりまして非常に便利になります。釧路−札幌間を現在六時間かかっているのが五時間で行けるというふうになりますと、これは大変便利ですし、しかも運賃が安くなるというふうなことで、沿線の住民の方も便利になりましょうし、これを利用する人は便利になり安くなる。これは国鉄が利用者のために大変努力をされているということで大変結構なことだと思います。しかし、私はこの点で国鉄に申し上げたい。国鉄としてはこういう姿勢を一貫してどの地方にもどの線にも持っていただきたい、平等な姿勢を持っていただきたいと思うんです。たとえばなんです。同じC線で仙台−福島間を結びます東北本線のバイパスとして建設が進められております丸森線がございます。この扱い全く違っております。丸森線の場合は、公団が百二十億かけまして、路盤工事もほぼ完了して、開業設備を残すのみとなっております。現在、槻木−丸森間一・七キロの部分の開通、これを行っておりますけれども、この新線が石勝線のように全線開通させるどころか、現在の部分開通の営業成績だけ見て赤字が大き過ぎる、こういうことで廃止対象路線に挙げられてしまっております。同じC線でありながら丸森線の場合は、どう考えても石勝線への対応と非常な違いを感じざるを得ないわけです。さらに、AB線凍結ということで、全国三十線余りの路盤工事が放置されてしまっております。兵庫県でもその一つに智頭線がありますけれども、これは長年の住民の悲願です。もう開通を目前にしておりながら凍結の憂き目に遭ったというふうなことで、毎年毎年陳情が繰り返されておりますので、私は運輸省国鉄も智頭線の実情についてはよく御存じのことと思いますけれども、丸森線とか智頭線、こういうことも私は石勝線開通に見せられたような姿勢をぜひとっていただいて、一貫性を持っていただかなければ、余りにも不公平ではなかろうか、こういうふうに思いますけれども、この点いかがでございますか。
  216. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 地方交通線の全体の扱いの中で、石勝三線と、その他のAB線、C線とのバランスが違うのではないか、崩れておるのではないかというような御指摘でございます。全体的な考え方といたしましては、やはり数字上の判断というものが基本になってくるわけでございますが、何といいましても旅客の輸送密度、こういうものに着目をせざるを得ないわけでございまして、鉄道特性というものを判断するメルクマールとしましては、どうしてもそうした点に注目をいたしまして、現在の方針といたしましては、一応特定地方交通線のいわば対象となる路線、四千人の旅客輸送密度というものを基準として考えていかざるを得ない。そういたしまして、他のものをいろいろと検討をいたしておるわけでございますが、なかなか現在建設をしております新しい鉄道につきましては、こうした基準を満たし得ないところが非常に多うございます。したがいまして、今後の取り扱いといたしましては、残念ながら依然としてそうした路線については、工事凍結を続けざるを得ないわけでございますが、ただ、法律上の措置といたしましては、国鉄の経営以外のものが行う場合の道というものを開いておりますので、第三セクター等の経営主体によりまして、そうしたところが建設を継続できるようなことも考えておるわけでございまして、すべてが地方の要望を全部シャットアウトするということでもない。ケース・バイ・ケースによりまして対応していきたいと、このように考えておるわけでございます。
  217. 安武洋子

    ○安武洋子君 大変納得のできない御答弁で、石勝線も輸送密度云々とおっしゃいましたけれども、四千人ぎりぎりだと聞いております。ですから、私が先ほどこれは地方交通線になるというふうなことはないかとお聞きしたぐらいなんです。そして、丸森線につきましても部分開通なんですよね。全面開通すれば十分機能を発揮するんだということは、これは知事からも陳情が上がっているということで、十分御承知だろうと思います。全線開通させてみないと、部分的なところだけとって赤字だというのは、これは私はやはりおかしいと思うんですね。石勝線との対応と違うと思います。  まあ大変時間がないので急ぎますけれども、この石勝線の開通する北海道で、いま乗客が利用しているというのに廃止しようと、こういう線が八線ございますね。線区別営業成績、これを見てみますと、八線の赤字合計というのは三十億円です。石勝線の持ち出し、先ほど私が申し上げたように七、八十億もあろうかというわけですね。兵庫県の高砂線、三木線、北条線、この三線も廃止の対象に挙がっておりますけれども、この赤字額は十六億円なんですね。国鉄運輸省としても、私は利用者の利便はもちろん、地方の都市の将来の発展もやはり見通していただいて、その発展にどう寄与するかというふうなことで、石勝線開通のような姿勢をとっていただかなければ、これはいけないと思うんです。こういう姿勢をどの線にもやはり貫いていってもらいたい。  さらに私申し上げたいんですけれども、特定地方交通線につきまして、臨時国会の開会も待たずに、あす廃止を決定するなどということは、これはけしからぬことだと思うんですね。知事とか住民の意見、この合意も得ないで、こういうことをするということは、これは明らかに国会の決議のじゅうりんだというふうに思うわけです。  私は大臣に最後にお伺いいたしますけれども、石勝線ではこういうふうな対応をされているわけですね、先ほどから私が申し上げているように。それは結構なことなんです。結構なら結構で、丸森線、申し上げました部分開通だけ見て全線開通させないで、もうこれは廃止対象だと、そうして北海道の廃止する八線の赤字合計三十億、兵庫県の三線の場合は十六億なんです。それなのに七十億、八十億出しても開通させようという、こういう姿勢をとっておられるなら、全部にやはりこういう姿勢を貫くべきだと、特定地方交通線についてもやはり国会の決議は尊重していただいて、十分私は知事、住民の意向を尊重していただきたい、こういうふうに思いますので、大臣の御答弁をお聞きして私の質問を終わりたいと思いますので、御答弁をお願いいたします。
  218. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 石勝線の建設につきましては、先ほど鉄監局長申しましたように、いわゆる輸送密度四千人を超えることが確実であるという、そういう判断に基づいて建設を継続し、完成した次第でございます。  なお、特定地方交通線の廃止につきまして知事の意見を聞けとおっしゃることでございますが、いままでには私はずいぶんと聞いてきたと思うておりまして、それがために、むしろもっと早く決定すべきものが今日までおくれてきた、おくれてきた理由はそこにあったということも御承知いただきたいと思うております。
  219. 森田重郎

    ○森田重郎君 私、実は五、六点総裁並びに大臣に御質問を申し上げたいということで、実は質問要旨を用意してきたんでございますが、柄谷委員から私の質問をそっくりそのまま私にあたかもかわってやってくださったような形でなさっていただきましたので、若干同じようなことで重複するかと思いますが、若干視点を変えて二、三お伺いしたい、かように存じます。  まず、国鉄総裁にお伺いしたいのでございますが、今回のこの国鉄さんの経営改善計画というものは、あくまでも昭和六十年度に健全経営の基盤を確立する、赤字を即座に解消するということじゃないんだと、その基盤確立にある、こういうようなお考えと私は承知いたしておるわけでございますが、仮に、もし昭和六十年度にいわゆる現在の国鉄経営の基盤が確立をすると、その時点において国鉄さんの累積赤字というものが果たしてどのぐらいになるであろうかというようなことを、もし総裁おわかりでしたらお答えを願いたい、かように思います。
  220. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) ちょっと手元に正確な数字を持っておりませんが、現在私どもが持っております累積赤字が六兆ちょっと超えております。それで、何らの新しい対策がとられないという前提で、つまり助成金は今後全く伸びませんという前提で考えますと、残念ながら毎年単年度で約一兆円弱の赤字を発生してまいりますので、六十年時点では現在の六兆円が十一兆ないし十二兆ぐらいになるという見通しでございます。  私どもといたしましては、六十年時点において特別の年金とか、退職金とかという異常な負担が七千七百億円ぐらいに及びますので、まずそれについての対策をどうするかということについて、私どもの手では何ともなりません関係上、政府全体としてお考えおき願いたいということと同時に、何とかこの六十年までの経過時点で発生します赤字についても、応分の御助成をお願いしたいと考えておったわけでございますけれども、最近のようなこういう、先ほども他の委員からお触れになりましたような、財政なり、あるいは行政なりの立て直しということとの関連で、なかなか助成金額をふやしていただくことができないということになってまいりますと、この間に発生いたします赤字の始末をどういうふうにつけていただくかという問題はどうしても残るわけでございまして、これらについては、今度の再建計画におきましても、そこの辺は必ずしも明確になってないフィールドの問題でございます。
  221. 森田重郎

    ○森田重郎君 恐らくそういう膨大な赤字が出るんではないかというふうな懸念、危惧は、私も個人的にそんな感じがいたしておるわけでございます。現在の累積赤字が、棚上げ分を含めて、ただいま総裁がおっしゃったように六兆五千億ですか。それに加えて、今後の新幹線の開業というふうな問題もございましょうし、先ほど来何回か質問が繰り返されましたが、旅客、貨物の減少の問題、あるいはまた十兆円になんなんとする長期の負債、それに伴う金利の増高負担、そういったような問題を考えますと、ただいま総裁がおっしゃったように、十一兆や十二兆ぐらいの赤字というふうなものは何か目に見えておるような感じがするわけでございます。  そこで、六十年度をスタートの時点といたしまして、現在のような国鉄御当局の経営姿勢の中で、国鉄再建が果たして可能であるかどうかというふうなことについて、私は端的に申し上げまして大変な困難さが要求されるんじゃないだろうかと。したがって、ただいま経営改善計画を云々しておるわけでございますが、この見通しの問題でございますが、これについ見通しの問題が来るんではないかというふうな感触が非常に強いんでございますけれども、改めてその点を最初に総裁に御答弁賜りたい、かように思います。
  222. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 現在の改善計画はついまだ最近作成したものでございますが、その改善計画の内容といたしましては、やはり何といいましても人手を減らしていきたいということでございまして、現在四十二万弱という職員を、約二割減らしまして、しかも、なおいまと同じぐらいの仕事をしていくと、これによりますと、大体七万人余りの職員が減るわけでございますが、しかし、この七万人の職員をこの五年の間に減らして、しかもなおかつ同じだけの仕事をしていくということにつきましては、なかなかむずかしい仕事でございます。いろいろと運行の仕組みを変えますとか、駅のもろもろの仕事のしぶりを変えますとか、あるいはまたいろいろな機械化を図っていきますとか、そういうことを前提として、私どもといたしましては精いっぱいのことだと思っておるわけでございます。そうした経費節減について、いま見直しというお言葉がございましたけれども、やっと昨年一年間かかりまして一万一千人少ない人で仕事をする仕組みをつくったわけでございますし、ことしもこれから半年の間に努力をいたしまして、一万二千人少ない人で来年の仕事をするような仕組みをつくることに取り組んでおりますが、なかなかこれ容易でないわけでございまして、改めてさらにこれを経費節減のための強化を図るということは、率直に申しまして実現可能な範囲を超えるのではないかというふうに考えるわけでございます。  また、収入増加でございますが、これは大体消費者物価指数程度の増収ということで、年率五%余りの増収を、運賃改定を伴いつつ計画をしておるわけでございますけれども、先ほど来しばしば御指摘がありましたように、かなり現在のわれわれの運賃水準は高いものになってきておりまして、特に都市周辺におきます通勤運賃等は、私鉄との間での乖離が大きくなってきておりますし、長距離につきましては、やはり航空機との競争が激しくなってきております。また、中距離におきましても、道路の開業がどんどんと進みますので、なかなか競争がむずかしいということでございまして、いま申しました水準の増収を図りますことも、これまた精いっぱいという考えでございまして、それやこれやから、まことに先行き見通しは暗いわけではございますが、何をおきましても、いまの計画そのものを実行するということに、まず全体の精力を集中することにいたしたい、その後どうするかという問題につきましては、国の財政全体の姿が今後どう推移するかということでございますけれども、相当額をやはり国庫にお願いせざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  223. 森田重郎

    ○森田重郎君 ただいま総裁の御答弁の中で、経営改善計画そのものが実現可能な範囲を超えるのではないかというふうな意味の御答弁がございましたが、ずばり申し上げまして、これを協約どおりに果たせるのかどうかというふうな意味の率直な御答弁、それが非常に困難性を伴う、ときによっては非常にむずかしいというような御趣旨に実は拝聴したわけでございますが、先般の国鉄の監査報告書に対します総裁の率直な御意見、これをあわせてお伺いしたいと、かように思います。
  224. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 監査報告書ではいろいろな点を御指摘いただいておりますが、基本はどうやって私どもがみずから立てました再建計画を実行するか、そのためには労使間の、何といいますか、紛争といったようなことがあってはどうにもならないわけでございまして、そういう点をより一段と取り進めなさいということ、それから、増収をするためにはサービスを改善しなければならない。サービスというのは単に立ち居振る舞いのことではなくて、安全運行、そして安定運行、そういうことを中心にしたサービス改善をなすべしというようなことが指摘をされておるわけでございまして、これらは日ごろから私どもがぜひそこに集中をして取り組まなければならない問題であるというふうに考えておるところでございますので、監査報告での御指摘ということは、どう思うかというお尋ねにつきましては、私どもはいずれもごもっともといいますか、私どもがぜひ今後取り組んでいきたいということを御指摘いただいたということで、これを遵守してまいりたい、今後のポリシーの最重点事項として考えてまいりたいというふうに思っております。
  225. 森田重郎

    ○森田重郎君 実は八月二十八日の日経紙でございますが、これを見ますと、「国鉄赤字一兆円を突破」、五十五年度決算に対する監査報告の結果でございますが、総裁談というようなことで、こういうようなことが書いてございます。このとおりに総裁がおっしゃったかどうか、それは別といたしまして、ちょっと読ませていただきますと、「五十五年度は十月のダイヤ改正を機に大幅な減量、合理化に取り組んだが、景気停滞や電気料金大幅値上げなどで赤字がさらにふえたのはまことに遺憾である。」云々と、こういうお話なんです。このとおりかどうかそれはよく存じません。それに対しまして、監査委員長の安居さんの方のお話としては、「一兆円を超える赤字の原因には、景気停滞のほか、国内輸送市場が近年大幅に構造変化しているのに対して、」云々というようなことで、この構造上の問題を大きく取り上げているような感じがしてならないわけでございます。  先ほど来、交通機関というものが、独占の時代からまさに競争産業の時代に入ったというような意味の中で、民営分割論じゃございませんが、そういうお話がままこの質疑応答の中に出てきたわけでございますが、総裁御自身にこの民営問題について、何か御意見があったらお伺いを申し上げたい、かように思います。
  226. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 民営論については、いろいろな角度での民営論が各方面から寄せられておるわけでございますけれども、よくあります、たとえば電力会社のように、九電力分割といったようなことにして、さらにそれを現在の公共企業体システムから民営システムに切りかえたらどうかというお話がございますけれども、私といたしましては、民営の切りかえに伴いまして、いろいろなフリクション、トラブルが起こることは間違いないわけでございます。したがいまして、経営形態を民営に切りかえるかどうかということは、議論としてはあり得ると思いますけれども、現実的な対応としては必ずしも適当ではないんではないか、むしろそういうことにもろもろの気を奪われるよりは、現在の体制のもとにおいてもなおかつ是正すべき点はいろいろある、能率性を上げるべき点はいろいろある、それらを進める上において、いわば民間的手法を取り入れると申しますか、そういうことが大変おくれておりますので、組織論に触れることなくして、もう少し何といいますか、現在民間でいろいろ御努力になっておりますところの取り組み姿勢というものを、われわれも見習いましてやってまいりたいと思うわけでございます。  なお、今回の経営改善計画の中におきましても、一部の作業で、私どもが直営でいたしますよりも、むしろ委託といいますか、民間事業への請負注文といいますか、そういう形でやることにした方が、作業の性格その他から能率が上がる部分がありますので、そういう意味で、全体としての民営とかなんとかいうことじゃなくて、作業フィールドの中で、最も私どもになじみにくいものについての請負化、民間への注文をいたしていく、われわれ自身の労働力に頼らないでやっていく、そういう切りかえは十分この計画年度におきましても取り入れてまいりたいと思っておるわけでございます。また、地方交通線の一部につきまして、いわゆる第三セクター論というようなものが盛んに行われるようになってまいりましたが、そういうごく一部の部分での民営化を進めていくということについては、それがふさわしいものである限り、積極的に取り組んでまいりたい、そういうふうに考えております。
  227. 森田重郎

    ○森田重郎君 いま総裁のお話の中で、かつての日本発送電のお話がちょっと出ましたが、たしか、これは四、五日前に朝日新聞でも、ちょっと名前を私ど忘れしましたが、編集委員の方が民営分割論を述べておられたと思うんです。昭和二十六年でしたか、日本発送電の電源開発が思うように進まない、電産ストというものが繰り返される、停電続きであるというような中で、これが九電力に分割されて、その後ストのない電力労組というふうなものができたというふうなことがたしかいろいろ書いてあったかと思うんです。  ただいま総裁の民営論についてのお考えというふうなものをちょっとお伺いした中で、運輸大臣のお考えと若干ずれと言ったらいいんでしょうか、あるいはまた違いと言ったらいいんでしょうか、その辺ちょっと響きが違うような印象、感覚を受けるのでございますが、大臣、率直にいかがでございましょうか。
  228. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、民営論については先ほど申し上げたとおりでございまして、現在は公共性ということに重点を置いた国鉄の経営体系をとっていかざるを得ない、こう申し上げておるのでございます。しかしながら、それじゃ、現在までやってまいりました、なお現在やっておる制度でいいのかといいましたら、私はこれには厳しい反省も必要だと思うております。  そこで、まず民営論だ、官営論だという論争をします前に、私は国鉄の基本的な公共性というものを全面的に是認しながら、なおかつ経済合理性を導入する方法はないだろうか、それには一つは、従来の労使の慣行等について、これを根本的に見直しをしていく必要があるんではないか。たとえばスト権がある、ないとか、そんな論争をやっておりますし、またそんなことおかまいなしにどんどんストをやっていく、こういうことであるならば、現在の公共企業体労働組合法そのものも一回見直す必要があるんではないかということも提案して、考えておるわけであります。  それからもう一つは、資金一つにいたしましても、親方日の丸で、もう必要な資金はみんな見てやるということであるからこそ、当事者能力を縛りつけてしまっている。いま総裁にいたしましても、何ら当事者能力という、何らとは申しませんが、完全なものではございません。たとえば、賃金交渉一つにいたしましても、最終的には国会で是認されるかどうかということになってまいります。こういう当事者能力を片っ方に与えない、そのかわり資金は見てあげます、これは甘えの構造なんです。こういうものをぴしっとする必要があるんではないか、そのかわりに資金の一定枠はこうして公共企業体であるから、これはやはり政府は保証するけれども、他は自分の努力でやりなさい、そして、努力して成績がよくなれば、給料だって総裁のところでどんどん決めるようにしなさいと、これをやってやらなければ、当事者能力をつけなければいかぬと思う。それは厳しい試練に私はかえってさらされると、いまのような甘えの構造ではとてもいけるものじゃないと思うております。  ですから、昭和六十年までこの経営改善計画がうまくいかないで、どうしても国鉄あり方を考えなければならぬという事態になったといたしますならば、まず私は考えるべきは、労使のあり方について、本当に民間企業と同じようなものを導入してきて、そのかわりに国鉄には当事者能力をつける。そのかわりに国鉄の公共部門というものについては、政府は、これとこれとは公共部門として負担するものはする。たとえば新線建設は国の資金でやりますとか、あるいはどうしても運営のできない路線については、一定の補助金は確保いたしますとか、そういう公共部門はきちっとすべきだと、そういう問題は全般的な問題でございます。ですから、こういうのはいま一朝にして、それじゃ民営がいいかどうかというのは、私はこれは余りにも無責任な論争だと思う。ですから、とりあえず昭和六十年まで、現在のこの制度のもとに置いて、せっかく国鉄みずからが汗を流し、知恵をしぼって立てました経営改善計画、これは国鉄の責任において出てきた経営改善計画でありますから、これを最後のチャンスとして実施しなさい、一回やってみなさい、その結果において、そういうあらゆる諸制度の見直しをすべきではないかということを言っておるのでございまして、私は、朝日新聞で大谷健という論説委員でございますが、書いておりましたあの趣旨は私は理解いたしますけれども、しかしながら、これは国鉄というのは国民の財産でもあるし、国民も幅広い利害関係がございますから、あんなに直ちに経済合理性を追求するという一点だけで論ずるわけにはいかないと思っております。
  229. 森田重郎

    ○森田重郎君 大臣のお考えは大変よくわかりました。  私があえて申し上げたいことは、何も即刻民営論というような立場に立って、そういった意味での作業を云々ということでは決してないのでございますが、えてしてこれまでの国鉄さんの姿勢というものを拝見しておりますと、大変皆さん努力なさっておると思うんですね。あれもしたい、これもしたいという点がずいぶんあると思うんです。ところがなかなか現実の姿というのが、そういった考えどおりにいかないと、そういうような形の、要するに努力の蓄積があるにもかかわらず、労働問題一つとってみても大変御苦労が多い。果たして四十二万人体制というものが、これが六十年度に三十五万人体制になるかどうかというようなことについても、完全な労使間における話し合いというものもついていないというふうに私は理解しておるわけでございますが、そういう中で、先ほど総裁から御答弁がございましたように、十一兆、十二兆というふうな赤字が、雪だるま式に六十年度において増高してくるというような時点に立って、果たしてその時点から再建計画というものがスムーズにスタートするかどうかというふうなことを危惧する者の一人なんです。したがいまして、経営改善計画というものの中には、従来の経営形態というものを、あるいは増収対策により、あるいは職員の削減によりというような考え方から、一歩、二歩、三歩飛躍するような意味での発想の転換というものが要請されないことには、なかなか御苦労が多いんじゃないかというふうなことを、老婆心ながら懸念を申し上げたわけで、そういう意味での質問というふうに御理解、御了解を賜わりたいと存じます。  以上で終わります。
  230. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 忘れもいたしません、いまから十年前、岩手県雫石町の上空で、自衛隊機と全日空機が衝突をして、百六十二人の乗客、乗員全員が死亡するという、いわゆる雫石事故、あれから十年を経ております。改めて日本の空は一体安全なのかと、こういう気持ちを込めて、本日は特に米軍機と、自衛隊機と、そして民間機が錯綜しておる沖繩の空の安全について、私は担当大臣であります、航空行政をあずかる運輸大臣に幾つかの質問をいたしたいと思います。  時あたかも去る九月十四日に鈴木総理大臣が沖繩に行っておられます。このことはいろいろの立場から認識しなければいけないと思うのでありますが、私は現職の総理大臣が公式の訪問をなさったということに、その目的は一体何なのか、こういうことについて幾つかの疑問を持たざるを得ませんが、ストレートに言いますならば、少なくともこの公式の訪問は、沖繩の現状を幅広く理解していく、そして沖繩県民の生の声を幅広く聞いていく、そしてそれを持ち帰って今後の施策に反映していくという、こうでなければいけないと、こう思うわけなんです。ところが事実はどうであったかと言いますと、きょうは実はこの席に鈴木総理も来てもらって、じかに私の立場からお尋ねしたいたくさんの問題があるわけですが、きょうはその場でもありませんので、特に運輸行政関係する問題について、担当大臣お尋ねいたしたいと思うのでありますが、まず、総理の今度の訪問は、復帰十年の節目に当たっておること、それから、総理として復帰後初めての公式訪問であるという、ここに一つの特徴があると思います。ところが、目的は私がさきに述べましたことでなければいけないと私は思うのですが、事実はどうであったか、上空から一時間そこそこの駆け足での沖繩を見ておられます。しかも、その見ておられるポイントは、あの石油基地、いわゆるCTSの石油基地を、それから軍事基地を、これを中心に見ておられると私は理解しております。そうして地上の視察というのは、いま時の話題になっております国際センターをつくるということのあの敷地、これはじかに見ておられます。それ以外は、一応県民の声を聞いたということになっておりますが、ここに考えなければいけないことがある。その歓迎のあり方に、いわゆる歓迎するという一つの集団と、総理の来沖を糾弾するという、こういう二つの集会があったということなんです。しかも、その糾弾をする集会は、政党初め三十一の団体が結集して、一万人を超えると評価されておりますが、この集会の名において、代表として五名の者がじかに総理に会いたいといって申し入れておりますが、これを拒否しておるということなんです。私も実は怒りを込めて糾弾をする、こういう気持ちを込めて、いまはしょって訴えておるわけでありますが、ところがその場ではありませんので、特に運輸行政に関する面から、大臣の率直な見解を求めたいと思います。  さて、本論に入りたいと思うんですが、沖繩の空の安全性を考えるときに、最も大事な焦点が二つあると思います。その第一は、大切な問題は、管制業務の問題。もう一つは那覇空港の民間占用化の問題。この二つが沖繩をめぐる空の安全の立場から切実な問題であると私は集約いたしております。  そこで第一点、沖繩空域における管制業務は、現在どのような状態になっておるのであるのか、まずこれをお伺いいたしたいと思います。
  231. 松井和治

    説明員(松井和治君) 先生御案内のように、私ども航空局は現場業務を持っております。その一つがただいまお話のございました管制部、これは全国に四カ所ございまして、その一つが那覇にございます。それから、そういう交通の管制をする仕事のほかに、運航している航空機に対して電波その他を使いまして方位なり、距離なりを知らせる、いわゆる航行援助施設というものの運営をする業務、このような業務を私ども航空局が所管しておるわけでございまして、これらはいずれも航空の安全にかかわる問題でございます。私ども航空局の最大の任務は、空の安全を守ることにあるというふうに考えております。そこで、私ども民間航空機の飛びます航空路というものを、最も安全に維持するということが関心の中心でございますが、沖繩の場合においてももちろん例外ではございませんで、民間航空機の安全性を守るための航空路の設定ということに重点を置いておるわけでございますが、御案内のように、沖繩の場合には、米軍の訓練空域等の存在という問題がございます。しかしながら、私どもは十分に米軍あるいは自衛隊との話し合いのもとに、航空路と訓練空域の分離を図るということをいたしておりまして、その限りにおきまして安全上支障はないというふうに考えております。このように、訓練空域と民間航空機の航空路を分離するというのは、冒頭先生が御指摘になりました十年前の雫石の事故の貴重な教訓として、私どもが精力的に行った措置でございまして、その後十年間おかげさまで日本の定期航空に関しては、大きな事故は一件も起こっていない、十年間無事故ということでございまして、この記録は今後さらに永久に続けていきたいと、かように考えております。
  232. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの話はまだ舌足らずの面があると私は思っておるんですが、もっと明確にいたしたいんですが、結局米軍とのつながりにおける問題とも関連しまして、飛行場管理業務は復帰の時点で返されていますね。航空路管制業務はこの四十九年の五月十五日に返還されておりますね、二年おくれて。ところが進入管理業務は現在も米軍に依然として掌握されておりますね。これが問題だと思うんですよ。この進入業務がいまだに米軍の手中にあるために、空港は運輸省が管理、その上空六千メートルまでは米軍が管制、そのまた上は運輸省が管理するという、こういう三段式になっておる。先日の鈴木総理の沖繩訪問も、実に皮肉なことには「返還されぬ空飛ぶ 首相米軍の許可を得て」と、このローカル新聞にでかでかと出ておるんです。このあり方をわれわれは日本国民として、さらには沖繩県民として割り切れないものを感じます。沖繩の空は日本の総理といえども自由には飛べない状態にある。この変則的な状態大臣は一体どのように理解しておられるか、明確な答弁を求めたいと思います。
  233. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 沖繩には御承知のように嘉手納基地がございまして、それがやはり一つの空域を形成しておるということは、私も承知いたしておりますが、だからといいまして、米軍がそれを全面的に独占しておるとか、そういうものではございませんで、これは日米地位協定等に基づき、わが国との合意の上でやっておることでございますし、また総理の飛行機が連絡をしておりるということは、それは事務的に、あるいは技術的にそういうことがあったと思うのでございますが、新聞がそういうセンチメンタル的に書いておるということに対しまして、私はその記事は見ておりませんけれども、いずれにいたしましても、米軍との連絡は密接にして、飛行計画等をやっておることは事実であろうと思うております。
  234. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣はいまセンチメンタルなことと言っておられますが、私はそのことに対してまた一つの抵抗を感じます。あなたのもとで働いております国家公務員として全運輸省労働組合を結成しておるその職員が、米軍優先の沖繩の空に対してどういう調査結果を出しておるかということをあなたは御存じでしょうか。申し上げるまでもなく、この国家公務員で結成しておる全運輸省労働組合が、沖繩の場合にはニアミスとコンフリクション、これを経験した管制官は那覇航空交通管制部で職員四十一人の四五%、那覇空港事務所で十五人の三七・五%に当たる。この職員のまじめな調査によって出されたその結果が、全国平均の約一・五倍の高率を示しておるという危険を指摘しておることは、大臣はよもや知らぬとおっしゃるまい。このようなことで、一体沖繩の空は安全であると理解しておられるのか、安全でないと思いなさるなら、どのような対策をとろうとしなさるか、その見解を求めます。
  235. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは過密であるということ、これは私も承知いたしております。でございますだけに、十分な管制業務を続けてくれておる管制官に対しましては、私もニアミスが多いということも承知しておりますだけに感謝もしてしておるわけでございますが、と言って、それぞれが緊密な連絡をしておりますだけに、今日まで沖繩那覇空港並びに嘉手納空港等の間において空域調整上のトラブルが起こってきたかと言ったら、そういうこともございませんし、また、航空機そのものに大きいトラブルが起こったかと言いましたら、いままでの管制業務は順調に行っておると思うております。でございますから、今後においてそういう事故が起こらないように十分な配慮をする、ここに重点を置いた政策を考えていかなければならぬと思うておる次第です。
  236. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの大臣姿勢は一応認めます。問題は今後の行動の中でそのお考えがどのように反映していくか、これを私は期待いたします。  次に、那覇空港の民間専用化に関する問題、この問題については、私は本委員会、あるいは他の委員会、あるいは質問主意書によってたびたび訴え続けてまいりました。ところが、一向に進展しておりませんばかりか、このたびの鈴木総理の沖繩訪問によって、大幅に後退した感があるということなんです。私が言いたかったのはここなんです。それは一体何なのか。その前に、この那覇空港の民間専用化というのは、大臣も御承知のとおり、沖繩の本土復帰に当たって、米軍移設後において民間空港として整備されることが政府において決定されておる。復帰の際の目玉として、県民も期待し、喜んでおったその矢先に、復帰後の那覇空港が「沖繩の直接防衛責任の日本国による引受けに関する取決め」、もう一つは、那覇飛行場の使用等に関する協定、このひもつきによって那覇飛行場を自衛隊が継続使用している、そして自衛隊機の事故も発生しておることを御承知でしょう。そしてまた、都市防災のための早急に撤去すべき米陸軍所有施設、いわゆるガソリンパイプラインですね、そのままいま取り残されておる危険きわまりない状況にあるということも御承知でしょう。  この那覇空港の軍用供用について、こともあろうに鈴木総理は、民間専用化が望ましいが、適当な代替場所や国際空港をつくるだけの場所と面積を確保できるか。また、内地の自衛隊との共用空港と比べると、まだ余裕があると聞いている。いますぐ民間専用化は困難であるとコメントしておられるということなんです。  総理のこの発言は、那覇空港から軍用機を撤去し、民間専用空港として整備すること、さらには那覇空港を沖合い展開の国際空港として整備するという、沖繩全県民の要求に逆行するものであり、沖繩返還の際の政府の公約でもあったんですよ。こういったいきさつからしても、これは許せません。  さらに聞き捨てならないことは、内地の自衛隊との共用空港と比べると、まだ余裕があると聞いておるとの発言であります。沖繩県民の平和への願い、県民の命と暮らしの安全性、さらには那覇空港の重要性に対する理解と、空港からのわずか三十キロ離れた隣り合わせに、極東最大の嘉手納飛行場があるという、この危険きわまりない状態を故意に無視した発言と私は言わざるを得ません。  そこで、大臣にこの件に関してお尋ねしたいことは、第一点、他の共用空港と比べてまだ余裕があると言ったこのコメントに対して、大臣の立場からどのように受けとめておられるか、大臣の見解としてどのように受けとめておられるか、あるいは事実をどう判断されているか。  第二点は、那覇空港および沖繩空域の安全性は保障されておると、このように理解しておられるかどうか。ずばりでいいですから、この二点についてまず。
  237. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 那覇空港に余裕があるという発言はどの点を指しておられるのか、総理から私は直接聞いておりませんので不明でございますが、那覇空港全体のキャパシティはまだ余裕があるという意味ではないかと思うております。しかし、私たちは那覇空港の整備拡充を実は急いでおるのであります。これは国際空港としてやはり整備していきたいという方向から、現在の空港の滑走路を延長するなり、あるいはターミナル地域、あるいは整備区域というものを拡充いたしまして整備をいたしたいと思うております。でございますから、それだけに現在十分な余裕があるとは思うておりませんが、しかし、現在の空港で、それじゃキャパシティいっぱいをオーバーしておるかと言えば、まだそういう状況ではないと、そう受けとめておりまして、総理の言いましたのは、キャパシティから見てということではないかと思うております。
  238. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 憶測はいけないと思いますので、いつか他の機会でまたそれを真意を直接確かめることにいたしまして、いま大臣のお気持ち、お考えはわかりましたので、時間も参りましたので次に移ります。  次に、この空域の安全性、そして空港の民間専用化と並んで、沖繩県民が日常的に関心を払い、しかも県民生活に重大な影響の大きい航空運賃の問題であります。  いわゆる航空運賃の値上げの問題で、このごろまたちらほら値上げ論が報道されておるのでありますが、特に他県としても、この問題は国民としても重大な問題があるわけですが、離島県である国鉄のない沖繩県では、航空機は文字どおり県民の翼であり、足である。さらには、政策的に観光立県で何とか本土並みに経済格差を解消しようと、あの手この手で粘っておる。現在の沖繩では、経済の発展や、物価の問題にもストレートに影響を与えておる、いわば沖繩県民にとって死活の問題であります。であるがゆえに、航空運賃の値上げのときにはいつも島ぐるみで大騒ぎをしておるいきさつも御存じかと思いますが、この利用者の沖繩のこの実情を踏まえて、そして、利用者の負担が軽減される形での運賃体系の確立をしていくことができないものであるかどうだろうか、大臣の御見解をお聞きし、特に私、もう一言申し上げたいことは、タイミングとして、さらに、裏づけて申し上げたいことは、沖繩ではこれまで国鉄の延長としての沖繩本島。ところが沖繩本島からさらに宮古島、八重山、ここへつないでくれという多年にわたる宿望があったわけなんですね。それが幸いに十月一日付で宮古島、八重山にもその延長が実現すると、こういう朗報を聞いて、実はくしくもきょう、現地でその問題が発表されておるようでありますが、念願の国鉄連絡運輸先島延長が十月一日云々と書いて、大変な感激、感謝をしている、長文のその電報が西銘知事から私あてに来ておるわけでありますが、このことと思い合わして、幸いにこれは運輸省の御指導、そして、国鉄の御協力でこれがやっと実ったわけでありますが、ところが、一方では今度は県民の足であり、翼であるその航空運賃が上がっていく、こういうことでは大変なことであると、こう思い合わして、この運賃値上げに対する大臣の御見解を承りまして、私の質問を終わります。
  239. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まだ具体的に航空運賃の値上げの話は相談に来ておりません。感触は出てきておりますけれども、まだ正式に書類をもって航空運賃を値上げしたいということは言ってきておりません。できるだけ低廉に押さえたいと思うております。しかし、一方におきまして、沖繩地域におきましては、先生御承知のように、通行税は本土に比べまして半分にしておりますし、着陸料なり、あるいは航空施設の利用料等も大幅に引き下げておりまして、それだけ運賃を決めますときには、低額になるようにきちっとこちらの方で計算をして、普通でやるならば着陸料を幾ら払うべきところを、これだけしか払わなくていい、これだけはディスカウントするから、そのかわりに運賃もこれだけ引けという行政指導をして、値段を決めておるわけでございます。これは今後も続けていきたい。特に離島でございますから、そういうものについての配慮は十分していきたいと、こう思うております。しかし、ここに私、ちょっと先ほどから資料をずっと見ておったんですが、南西航空が主体でございますか、ここが経営が非常に悪くなってきております。五十五年度はやっとこ何とか収支償うてまいりましたが、これは値上げをいたしました結果でございますが、五十六年度、本年度を見込みますと、どない見積もりましても一億八千万円の赤字が出てくるわけであります。そして、五十七年度は六億の赤字が出てくる。この来年度六億の赤字といいますのは、総収入が百二十三億に対する六億の赤字ということになってまいります。これはどこで上がっておるのかと、経費はどこで上がっておるかと言いましたら、やはり燃料代が非常に高くなってきておるということと、人件費のベースアップがこれに響いてきておるわけでございます。ここらは、私らの方に方一申請があったと——いま申請はないんです。ないんですけれども、申請が来たとしましたら、ここは十分に精査いたしまして、われわれとして支援し得られるところは、それなりで十分いたして、最終的に決定いたしたいと思うておりますが、まだ先ほども申しておりますように、値上げをいたしたいという、書類上の申請はまだ来ておりません。ちょっと局長に聞きましたら、まだ航空局あたりへちょっとジャブ程度で探りを入れておるような程度だということでございますから、行政指導を十分にいたしてまいりたいと思うております。
  240. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 一言言わしてください。  一般論としての赤字論、これはもう申し上げるまでもありませんが、沖繩の特殊事情という、離島県と、さらに多島県、しかも先ほど来繰り返しております空の、県民の翼であり、足であるという、このことと、沖繩のGNPが、県民の所得が六六%、毎年落ち込んでおるんですよ、格差が。こういった実情に即した配慮をしてもらわなければ、ただ一般論の赤字ではなしに、いま大臣がおっしゃった、具体的に沖繩の県民の生活に即した、そして特殊事情に即した、こういった御配慮を一段とひとつ考えていただきたいということを強く申し入れておきたいと思います。よろしくお願いします。
  241. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 他に発言もないようですから、運輸省及び日本国有鉄道決算については、一応この程度といたします。  次回の委員会は明十八日午前十一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十七分散会      —————・—————