○安武洋子君 法案の審議の過程でも
指摘されておりますように、廃止路線の選定が政府に白紙委任をされております。それから、政府の部内でも
意見の一致を見ないままに法案という枠組みだけが提案されるというふうな、
国鉄再建法の根本的な欠陥がいまでもなお政令作成ができないという事態を私は引き起こしていると思います。
国鉄の路線というものは、
運輸省とか、国鉄が机の上の
計算で、はいなくしましょうと、こういうことでやれるものではないということなんです。行政の各分野とか、あるいは
国民の日常生活、それから国の経済活動というのはもちろんのこと、自然や
環境、こういうものまでも含めまして、非常に
地域に密着しているものなんです。
ですから、私は先日、
兵庫県内の輸送密度一日二千人以下、こういう路線でございます三木線、鍛冶屋線、北条線、高砂線、これに
関係します
自治体とか、住民の
方々に実情をお聞きしてまいりました。共通して言われておりますことは、廃線には絶対反対なんだと、困るんだと。廃線になれば、産業や観光など、
地域開発に大きな影響が生じるのはもちろんのことですけれ
ども、通勤とか、通学とか、お年寄りの足がなくなる。それからバスを走らすなど、代替の輸送が大変困難であるというふうなことを訴えられております、
私、きょうここに持ってきておりますけれ
ども、
昭和四十八年現在、国鉄副総裁の馬渡さん、これは大鉄
局長を四十八年当時なさっておられますけれ
ども、公文書を出しておられます。これは四十八年当時の合理化を見切り強行するときに、三木線、鍛冶屋線、北条線三線について、各
自治体に、
地域開発の進展と関連して、複線、電化、線路の延長等の早期実現を図りますと約束されております。そうしてそのために
計画調査に関する体制も強化しますと、こういうふうに約束されているわけです。だから、各
自治体はこの約束を信じまして、これに沿った
地域開発を
計画し、進めようともし、進めてもきているわけです。その後、ところが、ダイヤ改正もよくしますと言いながら、ダイヤ改正のたびに
利用しにくくなってしまう。その上に運賃は上がるということで、残念ながら国鉄離れが進んで、今日では廃線対象にまでなってしまっているというふうな
現状です。これではいままで立ててきた
地域開発が挫折するという
自治体の言い分ですけれ
ども、私は全くそのとおりだと思います。
それからまた、昨日私豪雪で
質問いたしましたけれ
ども、今回も豪雪で国鉄地方線のストップしたところが、ピークどきはずいぶんと数多く出ております、
運輸省の選定基準案では、代替輸送道路が積雪で一冬延べ十日以上遮断されるところは、廃線対象外とすると、こういうふうになっておりますけれ
ども、審議の中では、その対象というのは一、二線程度だと、こういうふうに言われておりましたけれ
ども、この冬だけでも私はピークどきは六、七線ぐらいというふうに思っておりますし、まだ今後の事態でどういうふうになるかもわからないと思います。そして、なお、ことしだけでなく、今後についても、
日本の気象上、この数がふえていくということもあり得ると思っております。路線を廃止してしまってからでは遅いわけです。だから、選定に当たりまして、十二分に
地域の実態を反映させられる私は弾力的な基準と条件をつける必要があると思います。このことをお伺いさせていただいて、私の
質問を終わりたいと思います。