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国務大臣(
田中六助君) 十三日間、具体的に申し上げますと、十二日から二十四日まで、IEAの
会議と、これは第七回IEAの
会議がパリで行われまして、エネルギーの
会議でございます。それから第三回の日サ――
日本とサウジアラビアの定期の
会議、その二つに出席し、その間
日米自動車問題と
関連いたしまして、EC諸国が自動車その他洪水のようにどんどん
日本の製品が向こうに行きますので、貿易のインバランス、そういうものの是正、非常に口やかましく言っておるので、それの鎮静化と申しますか、
総理が先に参りまして、後は
通産大臣が来るからということをずっと残していっておりましたこともありまして、その穴埋めと申しますか、その話し合いをずっとやってきたわけでございます。
IEAの
会議は第一次、第二次オイルショックがあった。しかし、現在御
承知のように石油は世界の需給
関係が非常に緩んでおりまして、これは各国の節約あるいは代替エネルギーというような問題もあったでしょうけれ
ども、全体に不況というようなこともあり、いろんなことが折り重なって、石油の需給
関係が緩んでおります。したがって、今回のIEA
会議は、昨年私が出席したときと違いまして、非常に緊張感が薄らいでおる。したがって、私は冒頭に
発言いたしまして、第一次、第二次とあって、もうこれでいいというようなことじゃあるまい。石油
関係というのはいつどういうふうにどうなるかわからないから、私
ども消費国といたしましては、第三次がいつあってもいいような対処をしなくちゃいけない、もう少し緊張した態度が必要じゃあるまいか。したがって、具体的にはどうするか、それにはやはり備蓄というものを
考えていく、備蓄があればまた消費国同士でそれを十分カバーできることがありますし、そういうことを強調いたしましたけれ
ども、
結論として
声明にはいろんなこと、そういうことを織り込んでおりますけれ
ども、私の感じでは非常に緩やかな緊張感の薄い
会議であったというような気がいたします。
それから、貿易のインバランスにつきましてのEC
関係の十ヵ国でございますけれ
ども、これはECのハフェルカンプ、あるいはダビニョン、トルソというような副
委員長、
委員長あたりの連中と七時間にわたって私は
会議を持ったんですけれ
ども、これらのECのそういう本部では、EC十カ国を中心にやってくれまいか、つまり窓口を
一つにした交渉態度をやってくれ。というのは、おまえの
日本は、西ドイツ、あるいはベルギー、あるいはその他各個撃破しているじゃないか、それはひどいというわけですね。しかし、私は、それならばあなたのところは十カ国を
一つに、非常に平たいようなことにしてくれなければ交渉のしようがない。たとえば自動車問題に例を引いてみましょう、イタリーは年間
日本の車を二千二百台に抑えているんです。それからフランスは三%以下、イギリスは多少の話し合いはございましたけれ
ども一一%以下、そういうふうに非常にでこぼこがある。これを
一つの窓口にどういうふうにするんですと、あなたの方こそまあ顔を洗って出直せというようなことじゃないんですけれ
ども、そういう私の気持ちがあったわけです。したがって、あなたのところがもう少しフラットにしたような形で持ってくればできる。しかし、私
どもは特定の地域に集中豪雨的な
輸出というものは、これからも気をつけましょう。むしろ、皆さんの国国の製品輸入、皆さんの国からインバランスをなくするためにどんどん輸入いたします。それには
日本の国からの輸入ミッション、あなたたちのところからの
輸出ミッション、あるいは製品を輸入するというディクレア――宣言をしましようというようなこと。それからフェア、つまり見本市を開こうというようなことなどを具体的に話し合ってまいりまして、かなり鎮静化されておりますと思います。しかし、それはあくまで私は表面的なことであって、まだ氷山の一角であとの下の方ではぶすぶすぶすぶすくすぶったものがたくさんありますので、実はサミットの今回の
オタワの七カ国
首脳会議でも私は心配になることばかりでございます。その点はまだまだ私
どもの努力をしなければならない部分があるじゃないかというふうに思っております。
それから、日サの第三回定期
会議は、私
どもが石化の問題が
日本の出資が五〇%向こうは望んでおったんでございますけれ
ども、いろいろのことで四五%になって、しかしそれでも解決を見ておりましたので、非常にサウジアラビアとの
会議はスムーズにまいりまして、御
承知のようにサウジアラビアは
日本が一番油を依存している第一の国でございます。したがって、これらの国々とは仲よくしなければならないということから、いろいろアプローチいたしましたが、非常に私は好結果を生んだんじゃないかと思います。
それから御
指摘のイランの問題でございますが、これは日サとの
関係はむしろほとんどないわけで、イランの三井の石油化学のプラントの問題でございますが、これはどうしてそう熱心なのか、イランの国情から
考えてちょっとおかしいじゃないかという御疑問、確かに現時点ではそうでございます。昨年の九月のイラン革命と申しますか、内紛、それからイラン・イラクの紛争、そういうようなことで、もう世界の紛争地帯になっておるわけでございます。そこに
日本のそういうプラントがある。これは御
承知のようにそういう革命以前の約束で、八五%ぐらいでき上がっておるさなかで革命があり、そういう紛争があって、戦争があっておるわけでございまして、私
どもは、これを国家プロジェクトにいたしたことについて御疑問があるようでございますけれ
ども、これもサウジアラビアに次いでイランから私
どもは石油を輸入しておりますし、石油依存度の大きな部分を占めておる国でございまして、向こうの方からこういうことをやってほしいということを言ってきて、それからそれはやはり
民間会社だけでは、向こうの
政府が非常に
要求している安定度というようなことから、私
どももナショナルプロジェクトに格上げをしてやってきたわけでございまして、これはイランに対してではなくて、まあ先ほど申しましたサウジアラビアもそうでございましょう。それからブラジル、アルゼンチンその他のいろんなところにナショナルプロジェクトというものはございますし、こういう国々がやはり大事な国である、しかも向こうが非常に熱望しておるというようなことで、こういう
事態になっておるわけでございまして、私
どもは戦争があっておるから、これをもうぽいと捨てるということは非常に簡単ではございますけれ
ども、そういう国々、あるいは周辺の国々が
日本の態度というものをながめておるわけでございます。どうするんだろうか、
日本は簡単にそうしてしまうのかというようなこと、いろんなことを勘案するときに、私
どもは慎重にやはり対処をしていかなければならないと思っております。しかし、こういう紛争が長引いたり、いろんなトラブルがいつまでもあるさなかで、いつまでもじんぜんと日を送るわけにはいきませんし、国家に対しても、
国民に対しても私
ども責任がございます。したがって、そういうものを勘案して、十分
考えた上で対処しなければならないという
考えは常に持ち続けておりますし、われわれもこれを等閑視しているわけじゃなくて、強い関心を持って検討していくということを現時点では申し上げておきたいと思います。