○渋谷邦彦君 条約案件に入ります前に、日昇丸事件について再度確かめたいと思います。
ただ、本日は大変限られた時間でございますので、すべてをあれこれ申し上げられないと思いますが、今回の事故は、いずれにせよ大変陰湿な、国民をしていらいらせしむるそういう
状況の中で依然として
解決がおくれている。いままでも
政府から繰り返し答弁がありましたように、あるいは中間報告というようなことも考慮に入れつつ、アメリカ
政府に対して
要請を繰り返してまいりました。しかし中間報告も拒否されると、果たしてそういう
状況の中で三十日以内に回答が来るのであろうかという疑問等々がいまわれわれの眼前に横たわっていることも事実であろうと思うのです。大変不思議なことは、断定的な結論が出る前にからめ手と言った方がいいのか、周りの方からいろいろな分析あるいはその経過というものについて、ときにはその事実
関係についての断定あるいは推測というものを織りまぜながらその全貌というものが逐次浮き彫りにされてくるようなありさま、だから調査結果の報告が全然おくれている、そういう中で先ほど浅尾さんの答弁を聞いておりましても、レーマン海軍長官が明らかにアメリカ側の過失であるということを言明された。ここまできますと、何を一体ちゅうちょする必要があるのだろう。それは乗組員あるいはその家族に及ぼす
影響というものも、それはアメリカ側としてあるかもしれません。しかし、国全体ということを
考えてみた場合に、その及ぼす
影響というものはおのずから違ってくる。日米
関係というものの
関係というものを今後とも友好というそのきずなのもとに持続するとするならば、やはり
日本政府の要求に敏速に対応するというのがやはり外交の
一つのあり方ではなかろうか。アメリカにはアメリカのいろいろな事情があるのだろうとは思いますけれ
ども、こうなってきますと、いままでの日米
関係の信頼
関係というものは一体どうなんだろう、どう受けとめたらいいんだろうという新しいそういう疑問が出てくるわけです。ひょっとすると、こういう問題がきっかけになって、日米
関係に悪い
影響を将来にわたって残しはしまいか、いままでの答弁も一切もうアメリカを信頼してということが繰り返しあるんです。先回も私、当
委員会で申し上げました。アメリカの原潜は恐らく
日本の領海を悠々と運航しているのではなかろうか、だれもそれを確かめる手だてはございません。
今回の起こった事故現場についても宇治島のわずか離れた地域で起こっているわけです。それで公海上であるからそこまで言及するわけにいかぬと、しかしわれわれが素人的な発想でもって
考えましても、これはやはり艦船の運航については領海というものを通過するその
可能性というものは十分に
考えられはしまいか。それもただ信頼する以外にはないと、ただそういうことで果たして問題の
解決になるのであろうか。今回の結果報告についておくれをとっている、そこに
一つの非常にぎすぎすした問題が表面化してきている、そういうことで全くその信頼
関係が失われるとは私、思いません。思いませんけれ
ども、やはり何となく気まずいような、あるいはというそういう気持ちを国民に抱かせるようなものが今回の事故を通してあったろうと思うのです。それをその前提に
考えてみた場合に、領海侵犯というのは当然
考えられはしまいか、そこへ今度核弾頭を搭載しているということになれば、非核三原則の問題はどうなるのだ、当然事前協議の対象になるのではなかろうかという問題が出てくる。しかし核弾頭を積んでいるか積んでないかということは、積んでいませんということを言われればそれを信頼する以外にない。しかし核弾頭を搭載しているということについてはアメリカ側は公表しないということが前提になっているわけです。こうなると、どこまでいっても水かけ論になりますね。いまそういうような非常に頻繁に、この東シナ海あるいは
日本近海を中心としてアメリカの原潜のみならずソビエトの原潜もいろんな地域を水中においても運航しているということが、今回の事件を
一つの発端にいたしまして明確になったのではないだろうか。
では、そういうことが何もなければ、なぜ一体調査結果の報告がおくれなければならないのだろうか。あと十日しかありませんよ。果たして物理的に十日以内でわれわれが要望している三項目、賠償を含めると四項目にわたっての
政府のいままで要求したことが、果たして満足のいく回答として返ってくるのだろうかというような新しいいま時点に立っての疑問が私の脳裏をやはりかすめて仕方がない。中間報告が拒否された、で三十日以内の回答を待つ以外にはない。どうでしょう、いままでの経過の中で、伊東さんとしても今度の問題はずいぶん苦慮されたと思うんです。世間の批判も背に受けながら、
日本政府として何とかしなきゃならぬということで、もうとにかく死にもの狂いであったろうと思うんです。マンスフィールド大使とのやりとりの中身も見せていただきました。そうした中でも伊東さん、いろいろ苦心の跡があるような発言もされている。果たしてそういう
日本の、あるいは
日本の国民の気持ちというものを十分
理解しているとは言うものの、その
理解しているというそのものが、われわれの要求していることに対して満足のいく回答として一体来るのだろうか。ちょっと質問の中身が長くなりましたけれ
ども、いま日米首脳会談というものが目の前にぶら下がっているものですから、それやこれや心配の
余り、この辺を伊東さんとしての率直な気持ちを伺っておきたいのですよ。