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1981-04-16 第94回国会 参議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十六日(木曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      田  英夫君     宇都宮徳馬君  四月六日     辞任         補欠選任      小谷  守君     田中寿美子君  四月十六日     辞任         補欠選任      永野 嚴雄君     岡部 三郎君      戸叶  武君     坂倉 藤吾君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         秦野  章君     理 事                 稲嶺 一郎君                 大鷹 淑子君                 松前 達郎君                 宮崎 正義君     委 員                 岡部 三郎君                 中村 啓一君                 夏目 忠雄君                 鳩山威一郎君                 細川 護煕君                 町村 金五君                 坂倉 藤吾君                 田中寿美子君                 渋谷 邦彦君                 立木  洋君                 木島 則夫君                 宇都宮徳馬君                 山田  勇君    国務大臣        外 務 大 臣  伊東 正義君    政府委員        防衛庁防衛局長  塩田  章君        外務大臣官房審        議官       栗山 尚一君        外務省アジア局        長        木内 昭胤君        外務省北米局長  淺尾新一郎君        外務省経済協力        局長       梁井 新一君        外務省条約局長  伊達 宗起君        外務省国際連合        局長       賀陽 治憲君        海上保安庁次長  大塚 正名君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        外務省国際連合        局外務参事官   小宅 庸夫君        大蔵省関税局輸        入課長      忠内 幹昌君        郵政省郵務局次        長        永野  明君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○わが国貨物船米国原子力潜水艦との衝突事  故についての報告万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結  について承認を求めるの件(内閣提出) ○小包郵便物に関する約定締結について承認を  求めるの件(内閣提出) ○郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締  結について承認を求めるの件(内閣提出) ○郵便小切手業務に関する約定締結について承  認を求めるの件(内閣提出) ○日本国グレートブリテン及び北部アイルラ  ンド連合王国との間の郵便支払指図交換に関  する約定締結について承認を求めるの件(内  閣提出) ○日本国政府オランダ王国政府との間の文化協  定の締結について承認を求めるの件(内閣提  出) ○日本国政府ギリシャ共和国政府との間の文化  協定締結について承認を求めるの件(内閣提  出) ○アフリカ開発銀行を設立する協定締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○一次産品のための共通基金を設立する協定の締  結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議  院送付) ○東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター  を設立する協定締結について承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付) ○北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約  を改正する千九百八十年の議定書締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○南極の海洋生物資源保存に関する条約締結  について承認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付) ○渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国  政府中華人民共和国政府との間の協定締結  について承認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付) ○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 秦野章

    委員長秦野章君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  伊東外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。伊東外務大臣
  3. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 日本貨物船米国潜水艦衝突事故につきまして簡単に御報告申し上げます。  去る九日に、貨物船日昇丸米国原子力潜水艦衝突して沈没し、日本人乗組員二名がいまだ行方不明であるこの不幸な事故に関しまして、経過の概要を御報告申し上げます。  米側からは、十日正午前、在京米大使館より外務省に対しまして、本件事故米国潜水艦関係している可能性があるので、現在、米側において調査中であるが、結果判明次第通報するとの連絡がありました。  日本側からは、できるだけ早急に調査してもらいたい旨要請をいたしたのでございます。  在京米大使館からは、その後、同日の夜九時過ぎに、衝突を起こしたのは米海軍ポラリス型原潜であるとの電話連絡があり、また、本件事故に関する米海軍スポークスマン発表文とともに、本件事故の発生について遺憾の意を表明するマンスフィールド日米大使のステートメントを手交越しいたしました。  十一日には、マンスフィールド大使が私を訪ね、本件事故について重ねて遺憾の意を表明するとともに、本件事故について念入りな調査を行うことを保証し、また、責任及び補償の問題についてもこれに取り組み、迅速に処理されることについて確信していただきたいという旨を述べた次第でございます。  さらに、大統領ヘイグ国務長官ワインバーガー国防長官レーマン海軍長官ロング米太平洋軍司令官を初めとして米政府関係者本件事故に対し遺憾の意を誠意をもって表明しております。  政府としては、本件事故が発生したことを非常に遺憾と考えており、また、行方不明の二人の方ができるだけ早く無事に発見されることを切に祈っており、政府としてはかかる不幸な事故が二度と発生しないことを強く希望するものであります。  この事故につきましては、米側徹底的調査を約しておりますが、事故通報の遅延、米側救助努力が十分であったか等の問題につき、国民が疑問に思っている諸点がこの調査を通じて十分に解明されることが今後の日米関係への影響を最小限にするため非常に重要であり、政府としては、これらのことが一日も早く明らかになるよう今後とも米側に強く働きかけていく所存であります。  以上でございます。     ―――――――――――――
  4. 秦野章

    委員長秦野章君) 万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定締結について承認を求めるの件、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定締結について承認を求めるの件、郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件、日本国グレートブリテン及び北部アイルランド迎合王国との間の郵便支払指図交換に関する約定締結について承認を求めるの件、以上五件を便宜一括して議題といたします。  五件につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 郵便問題について質問を申し上げる前に、まず、先ほど伊東外務大臣から御報告がありました今回の原潜による事故の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。  この問題につきましては、衆議院においても今日まで各委員会でいろいろと質疑がされました。また、参議院におきましても決算委員会におきまして御質問がありまして、これに対する政府答弁等もこれあり、また伊東外務大臣アメリカマンスフィールド大使とり会見等、今日まで政府があらゆる機会をとらえてこの問題についていろいろと解決を図るために努力をしておられることに対し、私は敬意を表するものでございます。  それで、私といたしましては、まず、ぜひ知っておきたいことは、事故原因調査がどこまで進捗しているのか、また補償問題等についてはどういうふうな話し合いになっておるかということ、まず、その二つをお聞きいたしたいと存じます。
  6. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 先週の土曜日でございますか、十一日でございますが、マンスフィールド大使が私のところに来られまして、アメリカ側の遺憾の意を表明するとともに、なるべく早く調査をして報告をする、それから海軍の方でも補償の問題あるいは責任問題ということについては取り組む、なるべく早く結論を出すので、さっき申し上げましたようにそういうことについて確信していただきたい、というような旨の私に対する報告があったわけでございます。  レーガン大統領ワインバーガー国防長官も遺憾の意を表しているというようなことも口頭で私に伝えてきたのでございます。そのときに私が特に申しましたことは、この問題が日米友好関係に傷がつくというようなことになることを私は非常に恐れる、そのためにもひとつ事故がどうして起こったのかという原因、これをはっきり調査をして報告してもらいたい、再発防止にもつながることでございますから、事故原因をまず徹底的に調査して報告してもらいたい、それから、どうも国民の素朴な感情からすれば、なぜ通報がおくれたのか、あるいは言われるように人命救助に十分でなかったじゃないかということが言われ、疑われるのでありますから、この点もこれは国民の納得のいくような説明ができるような調査をしてもらいたい、それから、これは事後処置が大切でございまして、事後処置をしっかりやるということがやはりこれからの日米友好関係を維持発展させることに大切なことなんだから、事後処置というものはちゃんとしてもらいたい、それは一つは補償の問題がある、そういうことを含めてはっきりしてもらいたいというようなことを数点挙げまして要請をしたのでございます。その後もアメリカ向こうワシントン日本大使館ワインバーガー国防長官に会って調査を早急にしてもらいたいというようなことを催促もしておりますし、国会における御審議の模様も全部向こうには伝えてございますし、なるべく早く報告をしてもらうようにということを再三催促をしているところでございます。アメリカからも海軍の人が来まして、来たのは十三日でしたか、こちらで調査をやっておるわけでございますし、私どもは何回も早く調査の結果を催促をしているところでございます。  それから補償の問題は、これは今度の損失を受けた日昇丸関係者代表として弁護士さんが、外務省にも連絡がございまして、アメリカ大使館に行って話をするということでございましたので、外務省としましても、大使館連絡をとり、できるだけの補償のことについては協力し便宜を図ってあげるということをやろうということをしているわけでございまして、いまは的確な調査の結果を早く報告してもらいたいということをやっておるところでございます。
  7. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 ただいまの外務大臣の御報告によりますと、この問題につきましてはアメリカにおいても慎重なる態度をもってわが政府と交渉をしてもらうということがわかりました。  それで私は質問並びに提案をいたしたいと思うのでございますが、今後のこの原潜の問題は――日本アメリカ関係について私どもが心配いたしますのは、日本アメリカ関係というものは、現在の世界情勢におきまして東西の対立の中において日本アメリカが完全に手を握っていかなきゃならぬと、こういう立場から私はこの問題を考えるべきじゃないかと思っております。外交、防衛、その他の問題につきましてこの日米機軸というものはどこまでも確保するという前提のもとにこの問題を取り扱う必要があるんじゃないかというふうに考えておりますので、その点につきまして、私は質問と同時にまた私なりの要望もいたしておきたいと思うのでございます。  私は沖繩でいつも問題が起きる場所におりまして感じるのですが、こういう問題は、問題をセンセーショナルに扱って、これが大きな問題にまで発展するという可能性が常に起きやすい性質のものでございます。そういう私の長い間の経験からいたしまして、今度の問題につきましては、関係当局が十分にアメリカ側の方と接触を保って日米関係にひびが入らないような形においてこれを処理をする。また一番大事なことは、問題に不明瞭な点を残さないということが大事でございます。うやむやのうちにこの問題を残す場合においては後遺症が残りまして、将来に与える影響は私は必ずしも小さく考えるべきじゃないというふうに考えておりますので、この点につきまして、外務大臣におかれても十分なる配慮を持って対処していただきたい。今日までレーガン大統領からも遺憾の意の表明があるし、あるいはたびたびマンスフィールド大使とはお会いをしておられるし、その感触をも含めて、私が先ほど申し上げましたような、この日米機軸をどこまでも崩さないという線においてこの問題に対処されるように私は期待をいたしたい。  それからまた、この問題につきましては、五月に予定されておる日米首脳会談でも本問題を取り上げてお話をされるのじゃないかと思いますが、これについては、将来にかかる事故が再度ないように、再発を防止するような考え方も含めてアメリカ側話し合いをすべきじゃないか、そして日本船舶が安心して操業をやれるような方向に持っていくべきじゃないかというふうに考える次第でございます。  また、もう一つ申し上げたいことは、きのう得た情報でございますが、ジョージ・ワシントン原潜が所属しております第十五潜水隊最高司令部アメリカ太平洋艦隊太平洋軍司令官ロバートロング大将矢田統合幕僚会議議長の招待で本日日本に来られるということでございますが、これについても外務大臣ロング司令官とお会いをなさるようになっておられるかどうか、その点についてひとつお伺いいたしたいと存じます。なおこの際、われわれ国民はこの問題について非常に関心を持っております。特に本委員会日米の将来について最も関心を持っておる委員会でございます。その意味におきまして、ロバート司令官と本委員会とお会いをいたしまして意見交換する機会をもし持つことができるならばまことに幸いだと存ずる次第でございますが、これについても外務大臣の御意見をお伺いいたしたいと存じます。  希望とそれから要請と二つ取りまぜて話をしたのでございますが、大臣の御答弁をお願いいたします。
  8. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 先生から四点、御意見なり御質問があったわけでございますが、第一点の信頼関係を損なわないようにすべきだとおっしゃった、私もそのとおりの考えでございます。それで、いま稲嶺さんおっしゃったように、こういう問題をうやむやにするというようなことがあっては、これは本当にかえって信頼関係を失うということになりますので、私はやっぱり本当の友人であれば是は是、非は非と、間違ったら自分が間違っていたということも認めるということ、是々非々ということは、これは大切なことだと思うわけでございますから、そういう態度でこの問題と取り組むつもりでございますし、私がアメリカ側に言っていますのは、一日報告がおくれればおくれるほど信頼関係が薄れるということになるんだから、もう時というものは大切なんで、なるべく早く、本当に早く報告をしてもらいたいということを言っているわけでございまして、その点先生と全然同感でございます。  それから首脳会談の問題でございますが、私お供して参ればヘイグさんに私は当然言いますし、総理大統領に会われたときは、こういう話は、当然、今後のことを踏まえまして御発言になるものと私は思っているわけでございます。  それから、ロング司令官がということでございますが、これは実はこの事件の前から日本に来られるということになっておりましたので、私は、きょう国会が終わった後でロング大将とお会いする予定でございます。会いましたら、平生のことのほかに、このことにつきましてはマンスフィールド大使に言ったと同様のことを私は司令官に言う考えでございますし、できれば私は早く報告をしてもらいたい、それが少しおくれるというようなことであれば、中間報告でもひとつ日本側としてはぜひやってもらいたい、たとえばなぜ通報がおくれたかとか、救助活動――浮上してみたが霧と雨で見えなかった、飛行機も、アメリカ飛行機が捜したけれどもわからなかったというようなことは当時の報告に言われているのでございますが、その辺の点をもう少しはっきり、なるべく早く連絡をしてもらいたい、おくれるようであればアメリカとしては中間報告でもぜひしてもらいたいというようなことをきょう私、会いましたら司令官には話すつもりでおるわけでございます。  それから、委員会がお会いになるかどうかということは、これは私からいろいろ差し出がましいことを言うのはいかがかと思いますので、これは失礼しますが、委員会の方でしかるべく御判断になり、私の方で何かすることがございましたら、連絡等はいかようにもいたすつもりでございます。
  9. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 ただいまの外務大臣のはっきりと是は是、非は非でもってアメリカに対処していくという態度に対して、私は敬意を表するものでございます。この問題については、どこまでもはっきりさせるというひとつかたい信念を持って臨んでもらいたい。  次に、今後の問題でございますが、私は日本海運王国であり、また水産国家であると、この意味において海というものはきわめて重要性を持つが、特に鹿児島から台湾までの間というものは、この前ソビエトの原潜の問題もございましたが、私は軍事その他あらゆる面においてきわめて重要性を持っておるところではないかと思うのでございます。ホルムズ海峡から来る日本の油送船にいたしましても、すべてあの近海を通る、だから私はあの地域日本生命線であるというふうに考えております。また船の今後について、そういう意味からまいりまして、あるいは水産関係の船、漁船、あるいはほかの船舶等があの方面において事故が起きないという保証は私はなかなかむずかしいんじゃないかという感じがいたします。その意味におきまして、あの地域におけるところの海難救助体制というものはきわめて私は重大でございまして、これに対して海上保安庁がどういうふうに考え、また今後どういうふうにこの問題に対処していくかということについてお伺いをいたしたいと存じます。
  10. 大塚正名

    政府委員大塚正名君) お答えいたします。  先生御承知のように、私ども海上保安庁海上交通の安全の確保、海難救助あるいは汚染防止漁船の取り締まり、その他海上防災業務等、非常に複雑多岐業務を所掌しているわけでございますが、特に昭和五十二年以来、領海法やあるいは漁業水域に関する暫定措置法が施行されまして、領海で見ますと従来の約四倍、あるいは二百海里の漁業水域を入れますと約五十倍の広大な海域担任水域とすることになったわけでございまして、これらの広大な海域に対しまして、私ども整備勢力も非常に貧弱でございましたので、五十二年以来、緊急四カ年計画によりまして、鋭意、船艇航空機の増強を図ってきたわけでございます。  おかげさまをもちまして、本年四月一日現在、巡視船艇三百四十隻、その中にはヘリコプターを搭載できます大型の巡視船四隻を含んでおりますが、また航空機も四十九機を擁することになったわけでございます。これらの勢力を持ちまして、所掌業務について効率的な運用を図っているところでございますけれども、この非常に広大な海域におきまして、たとえば昨年非常に遠距離海難が多発したわけでございますが、そういった事例に当たりまして、具体的に必ずしも十分な体制にないという反省もございまして、今後はぜひ広域哨戒体制を確立していきたい。特に、私どもアンバーと呼んでおりますが、船位通報制度、これは各通航船舶がある定時にどこそこ向け、どういうふうに航行しているという通報を私どもにちょうだいすることによりまして、広大な海域における通航船舶船位もわかることになるわけでございますが、そういった制度の活用、あるいは救難体制情報の収集についての整備体制をつくっていくということによりまして、海上における、あるいは海洋全般における通航船舶情勢把握を十分にいたしまして、海難救助に対しても即時有効な体制をとってまいるよう最大の努力を今後とも続けていきたい、かように考えている次第でございます。
  11. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 私は東西関係がだんだんむずかしくなるに従って、あの海域におけるところの複雑な国際情勢から勘案いたしまして、かなり従来と変わったような形の問題が発生する可能性が生まれてくるんじゃないか。先ほど海上保安庁の方から、広域哨戒等もいまやっておられるのだということの話がありましたのですが、今後情勢が変化をする、これにどういうふうに対応するかということも考えながら、万全を期する必要があるのじゃないかと思いますので、将来予見し得る問題等を考慮に入れながら、ただ従来余りなかったから、ごく近い海洋関係だけで済ますのじゃなしに、もっと広い区域において、私は海上保安庁がその任務を果たすようにやることが今後大事じゃないかと思っております。どうか、その点については十分なる御配慮を賜るように願いたいと存じます。  それから次に、時間がありませんから、原潜の問題はこのぐらいにいたしまして、次にカンボジアの問題に移りたいと存じます。  鈴木総理ASEANを訪問されましたときに、ASEAN立場を全面的に支持いたしました。わが国としては、国連決議にのっとった国際会議開催のために努力する旨を明らかにし、また外務大臣は、国連に対してぜひ早く会議を開催するようにしてもらいたいという提案をいたしたわけでございまして、私はその点高く評価するものでございますが、最近のカンボジア情勢を見ますと、ヘン・サムリンの政権においては実効支配をしようというわけで、あるいは総選挙の実施等、常に彼らが常套手段として使っております、もうこの問題は済んだのだ、何も残ってないじゃないかということでいくのじゃないかと思っております。その点を考えた場合において、これにどう対処していくかということ、これは国連決議というものを実際に効果あらしめるようにするためにはどうすべきかという問題についても、大田において考えておられると存ずるのでございますが、この点についての外務大臣の御見解をお伺いいたしたいと存じます。
  12. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) カンボジア問題がなかなか進展をしないというのは、稲嶺さんおっしゃったとおりでございますが、日本としましては国連決議に基づく国際会議をなるべく早く開くべしというASEANの一致した意見を支持するということを公表しているわけでございますし、鈴木総理もそういうことを言われたわけでございまして、バンコクからすぐに国連にいます西堀大使にも連絡をしまして、国連事務総長が積極的に動くようにということを実はASEAN大使ともどもニューヨークで督促をしたのでございます。事務総長特別代表を任命しまして、エサフィという特別代表でございますが、この間、日本にも来たわけでございますが、ASEAN全部、それからベトナムにも寄って考え方を各国に打診をしたわけでございます。それで、ASEANはやっぱり、なるべく早く国際会議を開くようにというのが一致した意見でございますが、ベトナムは、これはもう、あの事件は終わったのだというようなことを言いまして、なかなか国際会議の開催には賛成をしないというような態度でエサフィ特別代表意見を言ったわけでございますが、本人はニューヨークへ帰りまして事務総長と相談をしまして、そしてどういうふうにするかということをいま相談をしているところでございますが、これはやはり国連事務総長が強力に国際会議を開けるように動くことを日本としても支持していくという態度で進みたいというのが日本側考え方でございまして、やはりASEANの諸国が言いますように、何とか国際会議を開いて、そしてテーブルについて話し合いをする、それを国連が事実上の世話をするということが一番私はカンボジア問題の解決のためには効果があることじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  13. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 時間がございませんので、あと一点だけ御質問したいと思うのですが、先ほど外務大臣が言われましたように、ベトナムにしても、あるいはカンボジアにおきましても、もうこの問題は済んだということで、その点はロシアの方も同様の意見のようでございますが、ところが、そういうふうに発言をする半面において、あるいはベトナム、あるいはラオス、あるいはカンボジアにおいて軍事基地の増強を図っておる。これは私どもとしては今後東南アジアの平和と安定と安全のためには大きな影響を与えるのじゃないか。あるいはラオスの飛行場がインド洋までもにらんでいるんだという話も聞くのでございます。それで、いまこの軍事基地の増強がどういうふうになっているのか、また、この問題はさらに私はフィリピンにおけるアメリカ海軍の方ともあるいは関連を持つのじゃないかというふうに考えるのでございますが、今後のわが国に対する影響はどういうふうになるか、その見通しについてお伺いをいたしまして、私の時間がありませんので、問を終わりたいと存じます。
  14. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) ベトナム、ラオス、カンボジアというインドシナ半島の問題でございますが、ASEANを回ったときも、ベトナムの施設をソ連が使用しているというようなことが考えられるので、ASEANとしても安全保障の問題について問題があるんだということを、特にそういう意味の主張をしたのは、フィリピンでございますとか、あるいはシンガポールとか、そういうところで話が出たわけでございます。  この間、私アメリカに行きまして世界情勢の認識論をやったときも、ベトナムの施設をソ連が使うのではないかという意味のことをワインバーガーさんが言って、北大西洋におけるアメリカの安全保障上の努力防衛上の努力というようなことを一般的な話として説明をしたわけでございまして、アジアの国々あるいはアメリカ等がそのことについて非常に重大な関心を持っている、防衛上の問題でですね、ということは、そういう感じを受けたということは確かでございます。これは防衛庁からお聞きを願えればいいことかもしれませんが、日本としましてはこれは防衛の問題、これは憲法からきている個別自衛権ということでございますので、どうやって個別自衛権の範囲で日本を守っていくかということを考えなければならぬ問題でございまして、有事の際は危機に日米が共同で対処するということがあるわけでございますので、広い意味で太平洋の西側の問題につきましては日本としてもやはり関心を持っている、その中にいまのような問題もあるということだと私は思うわけでございます。
  15. 松前達郎

    ○松前達郎君 最初に条約等について幾つかお尋ねをして、その後日昇丸事故関係の問題、またその他についてお尋ねをいたしたいと思います。  この条約ですが、万国郵便連合というのが三十九の理事国からなる執行理事会を持っている、大会開催国というのは理事会の議長国となる、こういうふうに中に書いてあるわけですね。そこで、現在の執行理事会のメンバーですね、このメンバーは一体どういう国で、しかもそのメンバーになるのはどうやってなるのか、どういう選び方をしてメンバー国を決めているのか、その辺ちょっとお知らぜいただきたい。
  16. 永野明

    説明員永野明君) ただいま先生おっしゃいましたように、UPUの執行理事会の議長は前回の大会議を開催した理事の国が議長になることになっておりますので、一九七九年に開催されましたブラジルが現在の執行理事会の議長国ということになっております。  それから、執行理事会になりますには、世界を数カ地域に地理的に分けまして、それらの地域からほぼ衡平の考えのもとに選出をされるということで、それが先ほどの四十カ国ということになっておるわけでございます。ただし、いわゆる三回続けて理事国になるということは禁止されておりますので、二期理事国になりました場合には三回目には選出をされることはできないということになっておりまして、日本は七九年のブラジル会議までは理事国でございましたけれども、そこで二期連続をいたしてまいりましたので、現在は理事国に選ばれておりません。
  17. 松前達郎

    ○松前達郎君 理事会の開催国と次回の理事会の開催国ですね、これは自動的に決まっているのですか、それとも何かほかの方法で決めていくのか、そういうことと、それから国際事務局というのがありますけれども、国際事務局とわが国の関連ですね、人を出したりするかどうか、そういういろいろな問題があると思いますが、こういったような関係というのは一体どういう関係にあるのか。
  18. 小宅庸夫

    説明員(小宅庸夫君) 先生御指摘の国際事務局はUPUの事務局をしているわけでございますが、これには現在わが国から高級参事官一名及び準専門家一名を派遣しております。
  19. 松前達郎

    ○松前達郎君 それから今度は理事会の権限のことですが、その一つに「国際郵便業務関係のある行政上、立法上及び司法上の問題を研究し、その研究の結果を加盟国の郵政庁に通知すること。」また、さらに研究の実施並びに加盟国の承認を得るための報告書作成等について国連との接触その他の接触を行う、こういうことが述べてあるのですね。さらに必要に応じて議案を作成、大会で承認を得るような作業も行う、こういうふうにあるのですけれども、これ各国の国内法との関連があるんですね。この国内法との関係についてこのような大会でいままで細かい検討が行われたことがありますか。
  20. 永野明

    説明員永野明君) 特にそのような事項に関しまして検討されたことはございません。
  21. 松前達郎

    ○松前達郎君 と申しますのは、郵便物等の内容チェックの問題ですね、この問題と関連があると思うのですが、これは三十六条、三十七条あたりにもそういうことが出ておりますけれども、これらについて検討したことがあるのか、もう決まっているから検討する必要はないということですか。
  22. 永野明

    説明員永野明君) ただいま先生おっしゃいましたように、こういった郵便の禁制品等につきましてはかなりいわば確定的な取り扱いに従来からなっておりますので、その検討対象として取り上げたということはございませんけれども、やはり執行理事会の役目といたしまして、こういったことにつきましての実態の変更等に伴いまして変更を加える必要があるかどうかというような点につきましては、若干の検討等はいたされてまいっております。
  23. 松前達郎

    ○松前達郎君 郵便物の中で個人から個人への郵便ですね、これは情報伝達活動だと私は思いますけれども、これについて政府機関が内容をチェックするというふうなことがあるとすれば、この点はよほど慎重にやらなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに思うのです。私も経験したことがあるんですが、手紙が開封されるとか――日本においてはないですよ、諸外国でそういうふうなこともどうもあるというふうに私は考えておるのですが、そういう問題等のことを私申し上げたんですが、そういうことについてはこの会議その他では全然話題になっていないかどうか。
  24. 永野明

    説明員永野明君) 郵便物の内容をチェックするということにつきましては、ただいま先生御指摘のように慎重に取り扱わなければいけないということは十分存じております。ただそれにつきましては、この執行理事会の委員会の方で具体的に検討されたことはないようでございます。
  25. 松前達郎

    ○松前達郎君 それから今度国外から日本に送られてくる郵便物ですね、これらについての問題なんですが、関税との関係でチェックが行われる、こういうことが往々にしてあるわけですね。この点一体どういうふうな方法で行っているのか、その判定の内容ですね、どういうふうな基準で判定をしているのか、その辺の問題についてひとつ説明していただきたい。
  26. 忠内幹昌

    説明員(忠内幹昌君) 郵便物の検査につきましては関税法七十六条によりまして、信書以外のものについては関税法で検査できるという規定がございまして、さらに「信書の秘密を侵してはならない。」という規定が第二項にございます。したがいまして、私どもといたしましては、信書以外の郵便物につきましては、その郵便物に貼付されております税関告知書あるいはグリーンラベル、そういったものによりまして外形から、その他必要な検査を行いまして、必要なものについて開披検査を行うということになっております。  それから信書につきましては、発信局、配達局に送り戻しまして、郵政省の方が本人に開披を求めまして、その中からその本人が信書を出しまして、それ以外の課税物件につきまして税関に返送していただきまして、税関で検査し、必要の場合課税する、こういうことになっております。
  27. 松前達郎

    ○松前達郎君 信書であるかどうかの判定というのは、それは郵政の方で行うんですか。
  28. 忠内幹昌

    説明員(忠内幹昌君) 第一義的には郵政省が行うことになっております。
  29. 松前達郎

    ○松前達郎君 それからもう一つは、為替の問題がこれ出てくるんですけれども、為替というのはこれはレートがしょっちゅう変動しているわけですね。このレート変動に伴う決済というのはこれは相手国がやるんですか。どういうふうにして実際にやっておられるんですか。
  30. 永野明

    説明員永野明君) 外国郵便に関します決済につきましては、幾つかの費用につきまして行われておるわけでございますが、具体的に例を挙げますと、通常郵便物――普通小包以外の郵便物でございますが、それの到着料という種類の料金がございます。これは各国に到着する郵便物の国内処理費用と申しましょうか、そういった費用を到着料と申しております。  それから、郵便物を外国に送る場合に、中継国を介して送る場合もございますが、その中継料と申しますもので継越料というものがございます。その費用等を支払うというようなものがございます。  それから、航空機に積みますので航空運送料、その他幾つかの国際的に決済を要するものがあるわけでございますが、このようなものにつきましては、年額あるいはある期間ごとに取りまとめまして、債権または債務として、UPUの国際事務局または関係国の間でこれを確認した上で相殺をいたしまして、その差額が金フランで示されるわけでございます。各国はこの金フランで示された金額をUPUで定めます一定の換算割合によりましてSDRによって表示をいたしまして、これを各国の支払い通貨の最新の公表された交換割合によりまして支払い通貨にそれぞれ換算をいたして清算をすると、こういうふうなことになっているわけでございます。
  31. 松前達郎

    ○松前達郎君 それと、これは今度は外務省だと思いますが、この条約の一番最後、いろいろな書類をいただいた一番最後を見てみますと、署名国百三十四カ国、いまの状況では百三十四というふうに言われておりますが、その中で北朝鮮を未承認と、括弧して書いてあるんですね。この理由は一体どこにあるのか。  それともう一つは、ほかの国は一体北朝鮮あるいはその他そういう未承認というのがあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  32. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) お答え申し上げます。  まず、万国郵便連合の加盟国あるいは署名国中、北朝鮮を承認していない国と申しますと、現在万国郵便連合に署名しております国は、そこに説明書にございますように百三十四でございますが、このうち七十九カ国が北朝鮮と外交関係を有しております。したがいまして、これらの国につきましては北朝鮮を当然なことながら承認しておるというふうに考えられます。残余の国は北朝鮮をまだ承認するに至っていないというふうに考えられます。署名国以外にも万国郵便連合に加盟しておる国はございまして、加盟国全体といたしましては百六十三カ国でございますが、このうち北朝鮮と外交関係を持っておる国は百カ国というふうに承知しております。  それから御質問の第一点につきましては、現在の朝鮮半島の情勢、南北のバランスを基礎とした朝鮮半島における国際的な枠組みというものを考えました場合に、現段階においてわが国が北朝鮮の承認に踏み切るということは、この南北の微妙なバランスに影響を生じかねないということで、現在のところわが国は北朝鮮を承認するということは考えておらないということでございます。
  33. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうしますと、外交関係がないからというのが一つ、それともう一つは、南北の朝鮮が分かれているからと、そしてその朝鮮側の理由ですね、これは一つのね。その二つが理由だということでよろしゅうございますか。
  34. 栗山尚一

    政府委員(栗山尚一君) 先ほど御答弁を申し上げましたときに、言葉が足らなかったかもわかりませんが、政府といたしましては、現段階におきましては朝鮮半島の情勢に照らしまして、北朝鮮を承認するということは、この現在の朝鮮半島の情勢というものに微妙な影響を、微妙なバランスに立っておる朝鮮半島の情勢影響を及ぼしかねないと、こういう外交的な配慮から北朝鮮を承認するに至っていないと、こういうことでございます。
  35. 松前達郎

    ○松前達郎君 わかりました。  それでは条約等についてはそのぐらいにしまして、今度は原潜の問題なんですけれども、この事故が起きてから今日までの間の経過をずうっと並べてみますと、何かちぐはぐな状況が非常に多く出てくるわけなんです。これはやはりこの辺がはっきりしませんと、恐らく国民も納得できない点がたくさんあるのじゃないかというふうに思いますから、そういう意味で、きょうは質問さしていただきたいと思うのです。  まず最初に、海上保安庁にお尋ねしたいのですが、これ海難事故として、海上保安庁はその海難に対する救助その他についての責任を持っているはずですね、そういうふうなことが仕事である。で、海上保安庁として、この事故に対して独自に調査をされているかどうか、それをまずお聞きいたしたいと思います。
  36. 大塚正名

    政府委員大塚正名君) 海上保安庁といたしましては、十日、自衛艦が救助しました乗組員十三名につきまして、同日引き取ってから二日間にわたりまして乗組員の皆さんから事情を聴取さしていただいているわけでございまして、現在もなお補充的にその手続をとっておるとともに、現在全体の輪郭を取りまとめ中でございまして、そういっ意味で私ども鋭意現在海難原因調査に当たっているわけでございます。
  37. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうすると、最初からちょっといろいろとお伺いしたいのですが、まず最初、普通海難の場合は、船の場合、緊急信号を出すわけですね、SOSを出す。新聞によればこれが出る暇がなかったというのですが、確かにこのSOSは日本のあるいはその周辺にいた船舶も含めて傍受していないのかどうか、出されなかったということなのかどうか。  それからその次は、この海難事故を、この事故をいつ海上保安庁はお知りになったか、この二つについて。
  38. 大塚正名

    政府委員大塚正名君) 海上保安庁といたしましては、現在全国四十カ所に陸上通信所を持っておりますが、それと行動中の巡視船艇が二十四時間こういったSOSの受信をキャッチするべく態勢をとっているわけでございまして、本件の場合には日昇丸は遭難信号を発したということでございますが、傍受していないわけでございます。  なお、乗組員の事情聴取の際に、関係者である通信長の方がおられるわけでございますが、通信長の方から事情聴取をした結果によりますと、退船直前に船長の命によりまして、予備電源により、予備送信機を使い、遭難信号を出したが、電波が正常に発射されたかどうかわからないというふうにお述べになっているわけでございます。なお、もしこれが正常に発射されているといたしますと、先ほど申しましたように、具体的には当時、私どもとして受信可能な範囲にあるものは北九州に海上保安庁の統制通信事務所というのがございます。ここと、佐世保の通信所、それから鹿児島にございます第十管区本部の通信所、それらの各海岸局及び行動中の巡視船の通信室において受信されることになっておるわけでございますが、いずれも受信しているということにはならない、受信されていないわけでございます。  また、電電公社所属の下関、長崎、鹿児島の各海岸局におきましても受信を受ける状態にございますが、受信したという結果の報告はございません。なお、一般的に通航船舶もSOSの場合は受信することになっておりますが、これらも受信したという報告は一切なかったわけでございます。
  39. 松前達郎

    ○松前達郎君 それではこの事故を初めて知られたのはどういうところから知られたのですか、いつごろ知られたのですか。
  40. 大塚正名

    政府委員大塚正名君) 海上保安庁といたしましては、十日の朝、二隻の護衛艦「あおくも」と  「あきぐも」が二隻のゴムボートに乗っている漂流者十三名を発見したということを佐世保保安部が通信を受けたのが最初でございます。
  41. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうすると海上自衛隊の方からの通信だったわけですね。
  42. 大塚正名

    政府委員大塚正名君) はい。
  43. 松前達郎

    ○松前達郎君 海で一般的に軍事的な演習を行う場合というのは、普通は、大体大がかりな演習だけかもしれませんけれども海域を通告することになっていますね。そういったような通告、二、三私も前に経験がありますけどれども、そういった通告に関しては、こういったものについては全然なかった、この付近で演習を行うということについて、この原潜の行動と関連なくてもこの期日に通告があったかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  44. 大塚正名

    政府委員大塚正名君) この件に関します関連情報は一切入手してございません。  なお、日本付近におきます訓練の情報入手経路につきましては、参考に申し上げますと、米軍関係につきましては射爆撃等の火器による訓練につきましては防衛施設庁から情報を提供していただいて航行警報を出すことになっております。  それから、自衛隊関係につきましても、同じく射爆撃等火器による訓練につきまして防衛庁内局あるいは海上幕僚監部、航空幕僚監部、陸上幕僚監部、各幕僚監部から情報をいただくことになっております。
  45. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうしますと、もしかこれが演習だとすれば、公表された演習の対象といいますか、演習ではないということになるんじゃないかと思いますが、そうすると、その次は通告といいますか、通知を受けてから海上保安庁はどういうふうな対処をされたか、その点をお伺いしたいと思います。
  46. 大塚正名

    政府委員大塚正名君) 十日の朝、自衛艦が救助いたしましたという通報を受けましてから、当庁といたしましては直ちに巡視船「さつま」と巡視船「かみしま」という二隻を出動させるとともに航空機二機、これは鹿児島の航空基地からでございますが、これにあわせて出動さして捜索を開始したわけでございます。
  47. 松前達郎

    ○松前達郎君 こういったような事故が、原潜事故だけじゃなくて、その他米艦船との事故、これが大分起こっているということをいろいろと報道もされておるわけですが、これらの事故については海上保安庁としては把握されておるわけですか。  たとえば油送船ですからこれはまたちょっと種類が違いますが、油送船とそれから海栄丸という船が衝突したとか、それからアメリカの艦船が浦賀の沖でもって海星に突っ込んだとか、それでソナーをおっことしたとか、いろんな――これは単独事故ですから直接海難、それも海難に入るかどうか、艦船ですからちょっと違うかもしれませんが、そんなこととか、それから油送船と日本の船がぶつかったとか、あるいは駆逐艦ダンカンと十七幸洋丸というのが接触をしたとか、いろんなことが報道されているのですけれども、こういったことについては海上保安庁は把握しておられますか。
  48. 大塚正名

    政府委員大塚正名君) 具体的な事例につきまして、それぞれにつきまして詳しく手元に資料がございませんのでお答えできかねますが、通常の場合、それぞれ行動中の巡視船がおりますと、それが視認した場合にはもちろん当然直接でございますし、その他の事故につきましては通航船舶からの情報とか、あるいは遭難通信とか、それぞれの情報経路を通りまして私どもは確知するわけでございます。
  49. 松前達郎

    ○松前達郎君 その辺で、やっぱり民間の船ですからね、事故を起こしているのは。ですから、当然これは海難として取り扱うべきものであろう。それで、そういったものを、相手がたとえば米国の艦船であった場合、往々にして何かうやむやのうちに葬り去られてしまうような感じもしないではないんですが、海上保安庁と、特に海に関しては防衛庁、それからさらにこの処理の問題については外務省、こういった三省庁の連絡というのがどうも今回も余りよくなかったような気がしてならないわけですね。そういうことで、今後その点を、やはり縦割り行政じゃなくて、そういう横の連絡がぴしゃっととれて救助ができるように、救助の面から言いますとできるように、ひとつその点検討していただきたいと思うんですね。これは海上保安庁の方はもっぱらつんぼさじきで、防衛庁の方からの連絡でわかるというふうなことですから、あるいは外務省からの連絡防衛庁がわかる、何だかその辺がおかしい、横の連絡が余りないような気がしてしようがないんですが、その点について、特に海難事故の場合今後改善をしていかなければいけないのじゃないか、相手が米国の艦船であろうとなかろうと、ぶつけられた方はわが国の商船ですから、人命救助意味からもその点は十分やっておいていただかなきゃいけないのじゃないか、こういうふうに思っておるわけです。いままで申し上げたのが第一点です。  それからもう一つは、事情聴取というか、乗組員の方からいま海上保安庁がいろいろ聞かれている内容ですが、これは報道によると、どうも沈没した後も何か潜望鏡が二本出たとか、あるいはいろんな音がした、あるいは巨大なものが上に上がっていくのを見たとか、黒煙を吐いたとか、いろいろあるわけですね。こういったようなことからどうも推察をすると、何か演習をやっていたに違いない、そうじゃなければこういうことはあり得ないとアメリカ側の専門家も言っている、こういうふうな報道がされておるわけなんです。その点についてやはり船員、いわゆる乗組員からの情報というのは聞かれておりますか。
  50. 大塚正名

    政府委員大塚正名君) 先ほどお答えいたしましたように、自衛艦から遭難者を引き取った直後から二日間にわたりまして事情聴取を行うとともに、その後も補充的にいろいろお伺いしているわけでございますが、いろんな場所でいろんなことをおっしゃっていることもございますので、それの追跡的な事情聴取を現在行っております。したがいまして、いま御指摘のような事実につきましてもそれぞれ私どもとして一応把握しておりますが、それについてのいろいろ関係者も十三人おられるわけでございますので、いろんな方面からその情報をもう一度、再度確かめるということもいたしている状況でございます。
  51. 松前達郎

    ○松前達郎君 いろいろいろいろというのがどうもはっきりわからないんですが、そういった報道というのはこれは何人もが言っているわけですから、当然内容的にはそうめちゃくちゃなことを言っているわけじゃないと私は思っておるんですが、この潜水艦がたとえば作戦活動をする、それに伴って訓練をする、これはもう潜水艦を持っている以上当然やると思うんですね。ですから、演習をやったのがいいとか悪いとかいう問題じゃなくて、やはりそういったような情報、これは人命救助とそれから作戦活動の関係をいま申し上げておるわけですから、そういう意味で、そういった内容のものが真実性があるのかどうか、信頼性があるのかどうか、そういうことももちろんあると思いますけれども、十分聞かれておいた方がいいじゃないか、かように思ったものですから申し上げたわけです。私は演習をやっていたのだろうと思っていますけれども。  そういうことから、今度防衛庁にお伺いしたいんですが、少し、ほんの少しですが、疑義が少しあるという報道もあるんですね。その疑義というのは何かというと、日本海上自衛隊がこれに関与しているのじゃないか。関与というのは、何らかの行動を一部分担していたのじゃなかろうかという見方もあるわけですね。そこで、最初にお伺いしたいのは、救助した「あおくも」、「あきぐも」ですか、この二つの護衛艦が、これは奄美大島から出航したということを報道されておりますが、奄美大島を一体いつごろ出たんですか。
  52. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 二つの護衛艦が奄美大島を出ましたのは四月九日午前九時でございます。奄美大島の古仁屋港を出ております。
  53. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうしますと、その遭難現場をこれがたまたま通りかかって、それで発見をしたということなんですが、何というんですか、船でゴムボートを探すというのは、この部屋の中から針の先を探すようなもので、大変な作業だったと思うのですけれども、これは偶然ですか。
  54. 塩田章

    政府委員(塩田章君) ちょうど十日の午前四時三十分ごろに、「あきぐも」の左舷の見張り員が左前方約四海里のところに信号弾が上がっているのを発見したわけでございます。
  55. 松前達郎

    ○松前達郎君 信号弾が上がっているのを発見したということですね。そうしますと、この二つの護衛艦というのはスピード、巡航速度はどのぐらいなんですか。
  56. 塩田章

    政府委員(塩田章君) この発見した時点のスペードは十二・三ノットでございます。
  57. 松前達郎

    ○松前達郎君 ふだん十二・三でもって、佐世保へ帰るのに十二・三で走っていたと、こういうことですか。
  58. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 通常の巡航速度は大体十二ノット前後でございます。
  59. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうしますと、時間からいきますと、これは計算すれば出てくるんですが、大体奄美大島からの距離というのは遭難現場まで約三百五十キロぐらいですね、それで割っていきますと、たとえば十五ノットで走ったとすると十四時間で行ってしまうわけですね。十二ノットにしても十八時間ぐらいじゃないですか、何かそのぐらいの計算になろうと思いますが、いまお伺いしたのだと、全くこれは二十数時間のところで発見している。その辺がちょっと時間差がありますから、この辺で疑義が出てくるわけなんですが、途中で何かいろいろやっていたんですか。
  60. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 奄美の古仁屋を出ましてから一たん進路は奄美大島の東側を通っているんです。北東の方向に向かって進んでおりまして、奄美大島のちょうど一番北東端のころからいわゆる戦術通信訓練というのに入りまして、訓練をやりながら北上しまして、九日の十五時十分に今度は進路を北西に変じまして、いわゆるトカラ列島という島がございますが、その真ん中を突き抜けるようなかっこうで北西に転じまして、九日の二十時に今度は佐世保に向かって真っすぐ進む、ほとんど大体北と言っていいコースに変進をしまして、翌日の午前四時まで特に夜間の当直員の通信訓練等を主体に実施しながら佐世保に向かって帰投中であったと、こういうことでございます。
  61. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうすると、途中で進路を変えて少し蛇行していったということになりますね。
  62. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま申し上げましたように、初めの九日の二十時までは進路をいろいろ蛇行しております。九日の二十時以降は佐世保に向かって真っすぐの航路に乗るような形での進路をとっております。
  63. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうしますと、大体途中距離がかかっているからそのぐらいの時間にその付近をたまたま通りかかった、そうしたら信号弾が上がったから救助をしたと、それで救助をしたと、それで救助をしていろいろ聞いてみたらどうも衝突事故であるということになるわけですね。それで、その事故がわかってすぐどこに報告したんでしょうか。
  64. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 四時半ごろに信号弾を見ましてすぐ現場に行ったわけでございますが、十三人の方の救助を完全に終わったのは五時五十七分でございますが、その前に、五時四分に「あきぐも」から第一報を佐世保の海上保安本部に送っております。
  65. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうしますと、今度の事故に関しては、いまの第一報とおっしゃった、これが一番最初の通知である、連絡であると、こういうことになりますね。
  66. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私どもはそのように承知しております。
  67. 松前達郎

    ○松前達郎君 その後はその情報はすぐ防衛庁へ入ってきたんですか。
  68. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま申し上げましたように、最初は佐世保の海上保安本部に入れたわけでございますが、引き続きまして、護衛隊司令、これは第二十三護衛隊という隊でございますが、護衛隊司令を通じて海幕――海上幕僚監部へ報告をしております。
  69. 松前達郎

    ○松前達郎君 いまちょっと質問したのは、その辺の時間がえらくこうちぐはぐなところが幾つかあったわけですね、後から見てみますと。そういうことでその順序が一体どうだったのか。  外務省の方はいかがですか、北米局長の方への連絡があったという話も聞いておりますけれども
  70. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) まず最初に、十日の日の正午ごろでございますが、在京のアメリカ大使館から北米局の方に日昇丸事故に関連してアメリカ潜水艦関係している可能性がある、現在アメリカ側調査中であるという通報がございました。その際に私の方はアメリカ側に対して調査を急いでほしいということを先方に言ったわけでございます。さらに、少し時間を置きまして、大体夜の九時ぐらいに同じく在京アメリカ大使館から北米局の方に日昇丸事件にアメリカ原潜が関連していたという、すでに新聞に報道されております海軍の発表分について通報があったわけでございます。
  71. 松前達郎

    ○松前達郎君 わかりました。  情報がどうもあちこちからいろいろ入ってきているから、その辺が整理するところがなくて、一遍まとめてみると非常にちぐはぐになっているというふうな感じを私、持ったものですから、それで質問さしていただいたんですが、これは外務大臣、今後こういったような問題に対して、いろいろな疑惑が出たりいろいろやっているわけですね、そういったようなことについてやはり解明をするというふうにおっしゃっておるわけなんですが、作戦行動がもしか伴っているんだとすればなかなかそう簡単にいかないのじゃないか、非常に時間がかかるような感じも私は持っております。恐らくこの問題は将来、日米安保事務レベル協議もあることですし、またその後ワシントンあたりでの防衛庁長官とアメリカの国防長官との会談もあるというふうに言われています。また同時に、その後首脳会談もあると、こういうことですから、もしかこれが解明が長引いてくれば当然そういう会談なり協議なりの中で取り上げられていくことになるのじゃないかと思いますが、アメリカ側の返事がおくれた場合、解明がおくれた場合には当然そういうふうにされますか。
  72. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私の方はなるべく早くということで一日も早く調査の結果を教えてもらいたいということを言っているわけでございまして、向こうも誠意をもってなるべく早く報告できるようにするからということを再三向こうは言っているわけでございます。  それで、先ほども申し上げましたように、きょうロング司令官に会ったら、私はその辺の見通しもただしてみたいと思っておりますし、また必要があれば中間報告ということも向こう要請するということをやろうと思っているわけでございますが、どの時期でどういう報告が来るかということはいまちょっと予想がつかぬわけでございますが、もし、そういうことが、たとえば首脳会議のときもまだ調査報告が来てないとか、あるいは事務レベルの段階でも来てないとか、もしも、大村長官がワインバーガーさんに会うときもまだそういう問題が残っておるというようなことがもし万一あるとすれば、私は、その段階でその都度これはアメリカ側要請し主張するということは当然だと思っております。
  73. 松前達郎

    ○松前達郎君 その辺はひとつ、先ほど来お話も出ておりますけど、はっきり主張しておいていただきたいと思います。  それともう一つ、今度は防衛庁にまたお伺いしますけど、前に私、予算委員会の最後の段階でも申し上げたのですけども日本の近海、周辺の海域でもって原子力潜水艦が非常に行動をしているという、これはソビエトの原子力潜水艦事故の問題でもはっきりしましたし、今度の事故でもはっきりする。これからの戦略というのは恐らく原子力潜水艦が中心になるんじゃないかと私は考えておる。防衛庁として、原子力潜水艦、もちろん原子力以外の潜水艦、一般のもの――大体原子力潜水艦が主体だと思いますが、こういった海中における作戦活動、これらについて情報収集的な努力というか把握をされているのかどうか、それをちょっとお伺いしておきたい。
  74. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 平時と戦時とでは、これはまた違うわけでございますけれども、有時になりますれば全力を挙げて当然情報収集をしなければならないわけでございますが、平時におきましては、別段そんな努力をしておるわけでもございませんし、また、そういった特に海の中にもぐっている場合にはいまの海上自衛隊の情報収集能力ということにもやっぱりおのずから限度もございまして、十分ではございません。特に今回のように平時の場合におきまして、個々にそういう情報を収集するというようなことをやっておるわけではございません。
  75. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうしますと、攻撃を受けたら全部奇襲だということになりますね、ふだんやってなければ。その辺がまたいろいろ問題で、これは後でまたいずれの機会かにいろいろとお伺いしておきたいと思うんですが、たとえばソナーなんかを使って潜水艦探知をする、たとえば三海峡封鎖なんといういろんな問題出ているけれども、海峡なんていったら二十キロ、二十キロでやるとソナーでもって全部探査できるわけですね。そういったようなソナー、いわゆる水中聴音機といいますか、最近のは性能が上がっているわけなんですが、そういったようなもので探査するとか、そういうこともやっておられないのですか。
  76. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま御指摘の海峡地区につきまして、水中機器を使っての調査をやっていないのかということでございますが、これはやっております。
  77. 松前達郎

    ○松前達郎君 それは津軽海峡、これは一番やりやすいところだと思うんですね。対馬その他ありますけれども、それは当然やっておられると私は思っていますが、そこでこういったようなことに関して今後もやはり起こり得る可能性があるわけですね。相当潜水艦が、数は大したことはないけれども、行動範囲が非常に広い原潜日本近海をうろうろしている。これは何もアメリカだけじゃなくて、ソビエト、これも含めてですね。ですからこれがやはりこの情報をわれわれつかんで全部発表しちゃって――発表しちゃうということが一つの防衛力になるのじゃないか、それを沈めるとかやっつけるとかいうようなことで一生懸命やることももちろん皆さんにとっては防衛力かもしれませんが、情報を早く的確につかんで全世界へ発表するということは、行動できなくなるだろうと私は思うんです。そういう意味でやはり情報をつかむ方向に一まあ日米安保を是認するわけではないけれども、もしかその中で分担を強いられるのであれば、そういう方向も一つの考えじゃないか。直接戦力といいますか、正面兵力の問題よりも情報活動でもってわが国立場というものを――協力をするならそういうふうなこともできるんじゃないかと私は考えておるんですが、そういうこととの関連がどうも今度のことに関連して出てきそうな気がしてしようがないんです。  まあその問題はそれだけにしまして、今度は北太平洋防衛について最近いろいろと問題になっておるわけですね。グアム島の西、フィリピンの北といいますか、北西太平洋といいましょうか、この防衛について対潜作戦の面では防衛庁としては恐らく面防衛といいますか、シーレーンとかいう狭い範囲の帯だけではなくて、面の防衛というのを打ち出しておられる、これは最近の研究の結果を報告されておりますね、これの中では束シナ海も対象としているのかどうか、その点お伺いします。
  78. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 東シナ海のみならず、日本周辺数百海里、航路帯を設けた場合には一千海里というようなことを平素申し上げておりますが、そういった意味での周辺海域防衛の対象区域として考えておりますので、束シナ海も当然その中に入るわけでございます。
  79. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうしますと、わりと広い範囲を防衛として考えておられる。その対象というのはたとえば商船ですね、先ほどちょっとお話出ましたが、たとえばタンカーとかそういったものの、いわゆる一言で言えばシーレーン防衛になるかもしれませんが、そういったものの安全を確保するための防衛なのか、それとも第三国が日本を攻撃するもの、するそのものを対象として、たとえば潜水艦とか、そういうものに対する防衛なのか、その点いかがでしょう。
  80. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 防衛計画の大綱なりあるいは日米ガイドラインで海上自衛隊の防備力整備目標、あるいは作戦の任務といいますか、考え方というものは、周辺海域海上防衛及び海上交通の保護、こういうことでございますので、いま御指摘のような点は個々の具体的な作戦要素にもよりますけれども考え方としては両方入るというふうにお考えいただきたいと思います。
  81. 松前達郎

    ○松前達郎君 それからもう一つ、これはお考えをちょっとお聞かせいただきたいのは、シーレーン防衛とよく言いますけれども、こんな広い太平洋の中を走っている船、航行している船を防御するなんということはどんなことをやっても私はできないと思うんですね。たとえばアメリカ、ソビエトより以上の防衛能力といいますか、こういうものを持ったとしても、完全にこれを防衛することはほとんど不可能である、これは戦略関係者がみんなそれは口をそろえて言っているわけなんですね。ですからこれをもしか本気になってやるとしたら大変なことになってしまう。そういうことですから、この辺一体どういうふうに考えておられるのか、シーレーン防衛はできるのかどうか、その辺についてお考えをちょっとお聞かせいただきたい。
  82. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いまの問題は、日本に限らず、米ソにしましても同じことだと思いますが、昔制海権というようなことを言っておった時代、いま同じことを制海と言いますけれども、二通りの概念があると思うんですけれども、いわゆるコマンド・オブ・ザ・シーという考え方とシーコントロールという考え方がございまして、これは両方とも日本語としては制海と言っておりますが、昔の、要するに制海権を確保すると言った場合はコマンド・オブ・ザ・シーの方であったというふうに言われております。ところが現在は、いま先生もお話ございましたように、たとえ米ソの海軍といえども広い大洋を完全に支配するということは実際問題は大変困難な問題でありまして、自分の国にとって必要なだけの海のコントロール、シーコントロールができればいいのじゃないかというふうに一般的な戦略思想が変わっておるというふうに言われております、同じ制海という言葉でございますけれども。  日本の場合も、いま先生の御指摘のように広い海域を完全に支配するというような意味防衛ができるわけではとうていございません。日本にとって必要な海上防衛ができるということであればよろしいわけです。また、それが限度でもあろうというふうに考えております。
  83. 松前達郎

    ○松前達郎君 今度の原潜については完全な核搭載の原潜である――搭載してあるかどうか知りません。これはグアム島に基地があるわけですね。ちょっと古くなった潜水艦だというふうに言われてますが、この「ジョージ・ワシントン」は海中にひそかに潜航してひそんでいるのが目的である、あるいは常に場所を変えているのが任務である、こういうことから考えますと、どうも最近よく、すぐ領海の中か外かなんて盛んに言いますけれども、こんなのもういま関係ないんですね。ですから、そういう面から言うと、やはりわれわれも相当その辺を十分考えていかなきゃならないことがあるのじゃないかと、こういうふうに思うんです。ですから、原則的な面といいますか、これがやはり一つの大きな柱になってくるのじゃないか、領海から何マイル入ったとか入ってないとかいう問題じゃなくて。  今度の「ジョージ・ワシントン」については、アメリカの統合参謀本部直属の戦略核搭載原潜である。これは防衛庁長官によれば、自衛隊は通常兵器による侵略に対応するものである、核戦略は全面的にアメリカのかさの中に入るんだと、こういうふうにおっしゃっておるわけですが、さてそこで、全面的に米国のかさに依存することになると言うのならば、わが国がとっている非核三原則をアメリカが全面的に尊重し、かつ遵守するのかどうか、あるいはこれと反対に、わが国アメリカの核戦略、戦術による核使用を無条件に認めて協力するのか、そのどっちかしか選べないと思うんですね。これは防衛庁じゃなくて外務省にお伺いするのですが、こういった見方からしたとき一体どっちをとるのかということが基本問題になってくるのじゃないかと思うんです。その点どういうふうにお考えでしょうか。
  84. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) 私たちとしては、やはり日米安保条約日本の安全保障を、自衛力の整備と両輪になって確保していこうということでございまして、核の抑止力についてはあくまでもアメリカに依存していくという考えでございます。他方、日本の場合には御承知のとおり非核三原則という国是がございますので、非核三原則はあくまでも貫いていくというのが私たちの基本的な方針でございます。
  85. 松前達郎

    ○松前達郎君 それは、たてまえはそうかもしれませんけれども、どうも、今回の事故で初めてじゃないんですが、原子力潜水艦の行動とかいろんな面を考えてみますと、いろんな情報を集めてみると、どうやらそんなことを言っていられないような状況じゃないかと私は思うわけなんですね。日本近海でいろんなことが起こっているわけです。ですから、安保条約というのは現にあるんですから、これはしょうがないとしても、やはりこの点についてじっくり考える必要があるのじゃないかと私は思っておるわけです。これはしかし、ここでどうのこうのという問題じゃなくて、もっと大きな問題でしょうから。そういうふうに私は考えておりますので、今後、外務省立場から言えばいまのようなたてまえとして一つのあれがあるという、これはわかりますけれども防衛庁の方からいくと恐らくそんなのじゃ話にならぬとおっしゃるのじゃないかと思うんですね。そういったような問題、大きな問題をこれは提起しているんだということをここで申し上げておきたいと思います。  それと、これは私の勘ぐりかもしれませんが、さっき、水中聴音機といいますか、ソナー、これは船が曳航していくソナーというのがございますね。これで潜水艦探知ができるわけですね。これは二十キロから四十キロぐらいの範囲でできるわけなんですが、こういうやつ、何も艦船じゃなくたって探知できるわけですね。私自身も民間の船でそういったことができるという可能性については、十分検討してみたらできるということなんで、そうなるといろんな問題が出てくるんですね、この新しい複雑な戦略時代に。  たとえば日ソ漁業交渉だって、これは何だかそういうものに関連する可能性も出てくる。原潜の行動、網に原潜がひっかかったというのがありましたね。そういうふうなこともありますから、北海道周辺や、たとえばアメリカの二百海里水域内でのサケ・マス漁についてアメリカがうんと言わない、あるいはソビエトについても海域を相当大きくただ縮めてくる、縮めてくるということは、彼らの範囲からどんどんと遠ざけてくるわけですね。そんなようなことも、あるいはこれは勘ぐりかもしれませんよ、防衛上の問題、戦略上の問題、原潜の戦略に関係があるような気がちょっとするわけなんです。これもないと言えばそれっきりなんですが、非常にそういう点で、最近の戦略というのが複雑になり、あらゆる面で関連を帯びてきている。ですから、この辺で一遍わが国そのものも、いわゆる防衛といって、ただ兵力を高くすれば防衛なのかというふうな問題について、やっぱりここで徹底的に考え直さなきゃいかぬ時代が来ているのじゃないか、こういうふうに私は思うわけなんですが、外務大臣いかがですか。いま私見を申し上げたんですが、そういうことに関して何かございましたら……。
  86. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いま先生おっしゃったことで、いま淺尾君も言いましたけれども、やはり非核三原則というのは、これは国の大方針として、何省がどうなんということじゃなくて、大原則としてこれを貫いていくということがやっぱり世界からも評価されることでございますから、これはどうしても堅持していくというのが政府の方針でございます。  先生は、たとえばでございますが、漁業の問題等もそういうことに関連があるのじゃないかというようなお話がございまし、たが、私の知る限りは、ソ連の方が先に漁区を狭めたというのがあったんですが、あれはオホーツク海は繁殖の海だというようなことで、あれ全部締め出しがら始まったわけでございます。私はやっぱり資源のことが非常に大きな理由だと思っているのでございますが、今度アメリカの二百海里の問題も、あれは海産哺乳動物の関係の保護ということから初めてああいう問題が出てきて、イルカの混獲があるという問題であの問題が起きてきたのでございまして、私は原潜関係からだというふうには見ていないわけでございます。  ただし、先生のおっしゃった、防衛というものは単に軍事の問題だけじゃない、もっと広い面で、経済もそうかもしらぬ、技術もそうかもしらぬ、いろんな面から考えなけりゃならぬとおっしゃることは、私はその点は同感でございます。
  87. 松前達郎

    ○松前達郎君 それは、どうも日本の外交を見ますと非常にたてまえははっきり、すっきりしているんですけれども、どうもいつも諸外国に先を越されて、裏の方じゃ非常に違った方向に動いているのを気がつかないというような感じもなきにしもあらず。アメリカあたりですと外交そのものはやはり二本立て、三本立てでやっているわけですね、表面は表面でちゃんとやっていますけれども。これは軍事も同じ。そういう意味で、この辺で少し、余りお人よしのことを言っていても話にならないので、少し考えた方がいいような私、気がしたものですから、ちょっとあえて――ないことかもしれませんが、いまの漁業の問題も、オホーツク海あたりは非常にソビエトにとっては原潜の跳梁する、あるいは出口でもありますし、そういったことの関連はないのかという疑義があったものですから申し上げたわけなんで、それだけ意見として申し上げたわけです。  私の質問はこれで終わらしていただきます。
  88. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 起こしてはならない事故が起こるべくして起こった、それが今回の米原潜による日昇丸沈没であろう、こう思います。私は、今回の事故についてずっと新聞報道等を通じまして私なりに思いをいたしましたのは、二つあると思うんですね、直接の原因と、その直接の原因になる背景、この二つが絡み合って今回の不幸な事態が引き起こされた、これほど日米関係に陰うつな印象を与えたことはないだろうというふうに思います。もうすでに総理大臣初め外務大臣がそれぞれのお立場からこの問題の解決に当たってその措置を急がれているようでございますけれども、いまだわれわれの気持ちがすっきりしないまま現在を迎えているというのが事実であろうと思うのであります。  そこで、私はいま二つの原因があると申しました。その一つは、原潜の操縦ミスによるのか、訓練の失敗によるのかという直接的な原因があったろうと思うんです。しかし、もう一つのその背景は、日本海あるいは東シナ海あるいは太平洋、こういった広大な海域におきまして行われているであろうと推測される米ソ二大陣営による核戦略の犠牲ではあるまいか。したがって、この根本的な問題解決がなされない限り、二度と起きない保証というものは考えられないであろうというふうに思えて仕方がありませんが、まず、その辺からの伊東さんとしてのお考えをお示しいただければありがたいと思います。
  89. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 起こるべからざる事故が起きたという感じは私も同じ感じを持ちまして、まさに予想もしてなかったことでございますので、この事故原因になって日米関係に悪い影響を与えるというおそれがございますので、日本としてもこの処置は間違っちゃいかぬと、毅然とした態度でこの処置に当たらなけりゃならぬということを私も感じたのでございまして、それは言うべきことは言い、間違ったらお互い間違ったということを認めるということが今後の関係に非常に大切だ、友好関係を維持するのに大切だということを私は本当に強く感じておるわけでございます。  起きましてから今日までまだ報告がないのでございまして、いま渋谷さんもすっきりしないとおっしゃいましたが、国民の皆さんも恐らく同じ感じだと思いますし、私どもも何かもう少し早く向こうの、たとえばどうして通報がおくれたかとかいうようなことや何かは早く連絡をしてもらうことが大切だと、そういうことがおくれればおくれるほど何かあったのじゃないかということで信頼関係が失われてくるということになりますので、その点は一日も早い通報を、調査の結果あるいは中間報告ということを待っておるわけでございます。  それで、基本的な問題を御質問がありましたか、これはまさにいまの国際情勢を反映している、非常に厳しいということを反映している情勢のもとで、先生がおっしゃったようなことが――いろいろどうやったら世界のバランスを保っていけるか、これはこの場合は力のバランスでございましょうが、平和を保っていけるのかということをやっているということが、いまの情勢のもとでその一端がうかがわれるような私も気がすることは同感でございます。ただこれは一切そういうものはなくしてしまえということも、これまた非現実的なことでございますので、そういう情勢の中でどうやったらこういうことの再発が防げるかということでございますので、私は起きました事故原因、これを徹底的に解明をして、そういうことを二度と起こさぬように、いま先生がおっしゃったいわゆるその対策、ミスでございましたら、そういうものの対策とかを立てなけりゃならぬことが一つと、もう一つは、やはり日米関係友好関係、これはもう基軸でございますので、やはりお互いがお互いを信頼し合って、そしてその信頼を崩さぬようにしていくのだという構え、気構え、考え方をやっぱり日本アメリカともに持ってやっていくという基本的な問題が非常に大切なことじゃないのか、信頼関係を失うようなことがあってはいかぬということをお互いの国民が十分認識するということからこういう事故を防いでいくということも、私は何か遠い回り道のようでございますが、やっぱりそれが正道でなかろうかというふうに考えております。
  90. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いろいろ言いにくいことを大変回りくどくおっしゃったのじゃないか、大変失礼なことを申し上げて恐縮でございますけれども、後段の私が申し上げた米ソ核戦略の犠牲という言葉が余りに厳しければ、そういう影響によって今回の事故が起きたのではないかということについては、明確におっしゃっておられないのですけれども、いかがでございましょうか。
  91. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) さっき私が申したのでございますが、そういう力のバランスといいますか、そういうことで国際情勢というものが非常に厳しい情勢にあるということは、これは否定できない事実でございます。その一つのあらわれとして、日本アメリカの核の抑止力に頼っているということもこれも現実でございますから、そういう情勢の中で出てきた一つのこれは事故でございますので、まあ犠牲という言葉はどういうことになりますか、そういう情勢のもとでこの事故ができたということはこれはもう間違いないことであると私は考えております。
  92. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いまは力のバランス、これもしばしば言い古されてきた考え方の一つであるわけですが、今回の事故をきっかけにいたしますと、力のバランスというものじゃなくて、むしろ恐怖のバランスに変わりつつあるんじゃないかというような感じもしないではない。絶えずその恐怖におののきながら公海上を航行しなければならない、今回の日昇丸のみならず、あるいは近海で操業している漁船についても、果たしていかなる気持ちを抱いておられるであろうかということに思いをいたしますと、安心できる状態にあってのバランスじゃないのですね。むしろ何か起こるのではないかということを頭に描きながら仕事に取り組まなきゃならぬ、こういうふうにだんだんなっていくような傾向に押し込まれていく危険性というものは考えられませんか。
  93. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 恐怖のバランスという言葉でございますが、これはまさに核の兵器の開発ということは力のバランスから、言葉で何でございますが、先生おっしゃった恐怖のバランスと、核を使ったらそれはもうえらいことになるという意味の恐怖のバランスということを言われていることはこれは確かでございまして、そういう恐怖の、あるいは恐怖のバランスの上に平和が保たれているということはこれは言えると思うのでございますが、いま起こり得べからざることが起こったということにつきまして、やはり国民の皆さんが、それじゃ何かあるのじゃないかという恐怖を持ったということもこれは私は否定できないと思います。ただ、そういうことを万が一にも起こしちゃいかぬというのがわれわれの考えることでございますので、なぜこういうことが起こったのだと、それは先生のおっしゃる、核というものがなくなってしまえば、それはもう核のいわゆる恐怖がなくなるということはわかるわけでございますが、現実の問題としては一挙にそういうことにはいかぬというのが世界の現実でございますので、それをどうやってその恐怖が現実にならぬようにするかということが外交のこれは役目だと、われわれの役目だと、こう思いますので、今度の起こった原因を徹底的に洗ってもらって、そしてそれに対策を立てて、こういう恐怖が現実にならぬようにするということをわれわれはやる必要があると、こういうふうに思っております。
  94. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かに原因の究明ということは大事なことだと思いますね。二度とこういう災害を引き起こさない。しかし最近米ソ両国が日本列島近海に相当数の艦艇の増強をしているということも否定できない、何隻かということはわからないにしても、おちおちできないという現状でございますね。したがって、今回相手国がアメリカであるというので、ある程度の事故の究明はできるでしょう。また今後起こさないというそういう配慮のもとに米海軍としての行動も相当厳重にチェックをされながらあるいはやるかもしれない。しかし、実際にこの日本近海を遊よくしているのはアメリカの艦艇だけじゃございませんね。そこでその答弁をしていただく前に、防衛庁の塩田さんね、これは推測しか、もちろん推測じゃなきゃわかりませんので、米ソの原潜の数、これはどのぐらいあると思われていますか。
  95. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 西太平洋方面ということで推測的に申し上げれば――ソ連の場合、潜水艦百三十隻のうちの約半数程度が原子力潜水艦ではないかというふうに言われております。それからアメリカの場合、約四十隻が原子力潜水艦というふうに言われております。
  96. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 伊東さん、お聞きのとおりです。あるいはそれ以上かもしれないのですね。それはもう全部核弾頭を搭載しているということ、これはわれわれ軍事専門家じゃなくても常識だと思うのです。常に攻撃型あるいは核弾頭が水中から発射できるという両面を兼ね備えた原子力潜水艦日本列島近海をうようよしていると想定いたしますと、もうぞっとするような思いがするわけです。  今回の場合も、なるほど領海外で起こった公海上事故であったかもしれない。しかし領海の中を通過したかもしれないというそういう推測も私は成り立つ場合があるのではないだろうか。となりますと、この非核三原則というものがきわめてあやふやな、あるいは形骸化されるおそれすらも今回の事故を通しまして判断できるのではないかという心配が実はするわけです。これも衆議院で若干議論の対象になったようでございますけれども、ないという保証は断じてないと思います。探知器の方は先ほどのやりとりを聞いておりましても、決して日本列島全体十分ではございません。探知できないような状況のもとに日本領海を水中でもって通過された場合に、一体その解釈はどうなるのか、その判断はどうなるのか、それに対して日本政府としてはどういう対応を迫られるのか、今回の事故をきっかけにして、もう一遍この辺を改めて見直す必要が出てきたのではあるまいか、そういう感じがいたします。伊東さん、いかがでしょうか。
  97. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いまの非核三原則に対する信頼ができるのかどうかという御質問でございますが、政府としましては、アメリカと安保条約をつくって、そのもとでお互いの信頼関係ということをもとにしてこれは行動しているわけでございますので、御承知のような三原則の一つには持ち込ませずということがあるわけでございまして、これはもう事前協議の対象にしているということで、それは米側を信頼して、向こうもそのことは十分知っている、守ると、こういうことでございますので、私どもはそのお互いの信頼関係をもとにしましていまの非核三原則というものはやっぱりそれで堅持をしていくのだという方針でやってまいるつもりでございます。
  98. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 信頼関係と今後も日米友好というものが基軸になる、    〔委員長退席、理事稲嶺一郎君滑席〕 これは私どもの党の方針もそうであります。それを損ないたくありません。けれども、それを前提にするならば、今回の事故について、なぜ報告が遅延しているのか、これはきわめて矛盾した現象であるまいかと非常に素朴な疑問が出てまいります。そういう信頼関係を今度はみずからアメリカが損なうというようなことがあったとしたならば、大変遺憾なことだと思います。ですからこういう問題が、どういう壁にぶつかって、あるいはどういうアメリカ国内の事情があるのかわかりませんけれども、せめて国民が納得するような報告が行われてもいいのではないだろうか。それが軍事機密の壁また人権尊重という問題、これが絡み合って動きがとれない、その辺をわれわれはどういった理解をしたらいいんだろう。なぜ私はそのことを重ねて伺っているかと申しますと、起きないという保証は考えられないということで、起きてはもちろんなりませんけれども、一つのレールをここにきちんと敷いておく必要があるであろうという問題も次善の策の一環として当然考えておかなくちゃならぬ問題だろうと思います。それを、ただアメリカ調査報告を待つのみというような余りにも消極的な姿勢で果たしていいのだろうか、恐らくそういう考え方は毛頭ないにいたしましても、非常にいまぎくしゃくした状況の中でとの問題が取り扱われているということは非常に残念だと私は思うんです。しかも先ほど来から申し上げておりますように、きわめて危険な状況の中に置かれている。それがいまアメリカが対象でありますけれども、これが、もしという仮定は許されないかもしれませんが、はるかに艦艇の数から上回るソビエトが事故を起こさないという保証も何にもないわけです。そういったやはり考えというものも常に最善の策として政府考え方としての取り組みというものを用意する必要があるのではないだろうか。
  99. 伊東正義

    ○国務大屋(伊東正義君) 私は渋谷さんのおっしゃるのと大体同じような心配があるものですから、やっぱりなぜ通報がおくれたかとか、人命救助ということに努力が十分であったかどうかというようなことについて、日本国民は一種の疑惑を持っているわけでございますから、それがいま先生の言われたようなことまで発展していくということになりますと、日米関係信頼関係というものが損なわれるということを私は一番心配をしますので、この前もわざわざその点を挙げて私はマンスフィールド大使にも強く要望したのでございまして、その点は私も渋谷先生考え方は一緒でございまして、これが一日一日たてばたつほど信頼関係に悪影響が出るということは同じ認識でございますから、きょうもロング司令官にお会いしたときにはそれを私は強調しようと思っております。私はやっぱりアメリカの急いで調査して報告するというその誠意を信頼して、いま向こう原因がわかりませんと、どうしておくれたのかということがわかりませんと判断もつきませんので、いま催促をしてその調査の結果を待っている、それが本当に信頼関係を守るゆえんのものであるということを強くアメリカ側に述べる、また述べるつもりでございます。
  100. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 もう一つ、私はささやかな疑問がぬぐい切れませんのは、今回生存者が十五名中十三名ございました。不幸にして二名の方が、行方不明ですからもう見つからない、お亡くなりになっているかもしれません。もし全員死亡した場合どうであったかという問題が気にかかりますね。これはもう原因の究明なんというものはこれは全くもう一方交通でしょう。ありませんと言われればそれまで。しかもこの十年来、伊東さんも御承知のとおり、太平洋上でもう四回事故が起きているんですよ。ぼりばあ丸だとかかりふおるにあ丸だとか尾道丸だとか、最近もまたありましたね、三月一日、アメリカのボルチモアから石炭を五万五千トン積んで、日本の千葉県の君津の新日鉄の製鉄所の岸壁に着くという予定の船が途中で船首をがつぶりやられているわけ。まるでワニのあいた円みたいな写真入りで報道されました。あれはマルコナ・トレーダー号というやつ、これは沈まなかったからよかったものの、いま申し上げた三隻については沈没して六十五名の行方不明者を出しております。いまだに原因がわからない。しかも、太平洋上、岩礁に乗り上げたということは考えられない。ということになると、また今回の事故を通して何かあったのではないだろうか、しかも、一人も生存者がいない、どこの国の船籍かもわからない、しかし、という問題がまた出てくる。あの辺も米ソの原子力潜水艦が遊よくしていないということは考えられない。遊よくしているということも推測できるわけです。そういったようなことがどんどんどんどんまた将来においても、あるいは米ソの原子力潜水艦が増強されることによって数がふえるわけですから、これほど広い海域でもあるいは交通ラッシュになって、日本のあるいは漁船までがその影響を受けざるを得ないということになったならば一体どうなるんだろう。これは決して遠い将来の問題ではなくして、もう現実に起こっているこの問題を直視してみた場合に、当面の解決を迫られる問題として根本的な対策というものが必要になってきはしまいか。冒頭に申し上げた問題とこれは関連をする問題であります。  では次善の策としてどうすればいいのか、過去において十年間も起こっている――それはアメリカとは言いません、ソビエトとは言いません、原因がわかりませんから。もうすでにあり得るかもしれないという推定のもとに、起こしてはならない事故防止というものを当然外務省なりあるいは防衛庁なり、あるいは海上保安庁なりそれぞれの立場に立って恐らく考え方というものはおまとまりになっていらっしゃるのではないかと、私は善意に解釈しているんです。では何が考えられるか、問題、今回の日昇丸についてもずいぶんおかしな話もあるものだなという感じがするんですよ。たとえば防衛庁は何も知らないわけです。けれども、もう去年、おととしあたりからリムパックを通じて、米国海軍海上自衛隊はいま蜜月旅行時代に入っているともう評価されているわけです。非常にそういう緊密な関係にありながら、そういう情報交換一つすらできないという、こんなばかな話が考えられるのだろうか。それは軍事的に言えばどうこうという問題がまた出てくるかもしれない。しかし、少なくともこの水域は訓練のために、何日何時何分から入ります、危険水域になりますよと、せめてそのぐらいのことを近辺の住民に知らせるなり、あるいはそこを通過するであろう船舶に対して通報するとか、そういう次善の策というものはこれは素人的な発想かもしれませんけれどもね、事故を未然に防止するひとつの方法として考えられはしまいかということがすぐぱっと出てくるんです、余り単純過ぎるかもしれませんけれども。何かあるとぼくは思うんですよ。そういう機密にまで属することをわれわれは云々しようとは思いません。しかし、人命尊重という、しかも平和時における問題でございますだけに、あるいは戦時中になればもう構っちゃおれないという場合もあるかもしれない。ベトナムの災害を見たときに、やっぱり、うん考えられる事故が起こっているのかなという感じも今回したんです。ベトナムでも相当惨たんたる戦争をやりながらずいぶん暴虐非道なことも行われたということが伝えられております。そういう国民的な感情はないではない。当て逃げでもってぱあっと行っちゃえばそれでわからない。今回わかったから恐らくアメリカとしても捨てておけない、国威にかけても軍法会議で厳しく律するであろうということはわれわれ想像しているんですけれども。しかし、それよりも何よりも起こさせないための次善の策というものをいまここで真剣になって考える必要があるのではないだろうか。これについては伊東さんと塩田さんから、またあしたの安保特別委員会で別な角度からお尋ねしたいと思っていますけれども、きょうはその辺のさわりだけをお聞かせいただきたい。
  101. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私の方から申し上げますが、まずこれは、事故原因がどういうところにあるかということをはっきりさしてもらわないと対策を立てるといってもなかなか出てこないわけでございますから、事故原因はやっぱり向こうから、アメリカからどうしてこういうことが起こったんだということを正確に報告してもらうということの上に立てなければならぬと思うわけでございます。これはまあ技術的な問題とかそのほかの問題でございますが、基本的にはさっき言ったように、これはいま先生がおっしゃった平和時の人命尊重ということの問題を言われた、これはそのとおりだと思いますので、これはもう平和時にも人命尊重、お互いの相手の国民の人命というもの、人権といいますか、人道主義といいますか、そういうことが大切だと、アメリカ人も日本人のことをそう思い、日本人もまたアメリカ人のことをそう思うという考え方が私はやっぱり基本的になってくるのだと思うわけでございまして、そういうところまでこれは問題はやっぱり大きく考えていく必要があるのじゃないかというような感じが私はするわけでございます。技術的な問題等はこれはまあ私は一々申し上げるだけの知識もございませんが、やはり向こうからこういう原因でこうなったんだということをはっきり報告してもらうということが先決じゃなかろうかという気がしております。
  102. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 一般的に日米の間で、特に防衛庁あるいは自衛隊と在日米軍なりそういった関係情報交換を緊密にする必要があるということにつきましては、もう全く同感でございまして、まあ平素もそういうふうに心がけておるつもりでございます。  いまのお尋ねは、具体的に訓練なり演習のような場合についてのお尋ねでございますが、お尋ねの御趣旨といいますか、お気持ちはよくわかるのでございますが、実際にはどうやっておるかといいますと、私ども日米で共同訓練をするというような場合は、これは当然のことながら連絡を十分取り合ってやっております。しかし、米軍だけの訓練であります場合に、一々私どもの方に連絡する、送致するというような関係に現在ございません。  そういうことにつきまして今後まあどうするかというような御趣旨だと思いますが、基本的にはいま外務大臣からもお答えございましたように、今回の全容が明らかになってからということにもなると思いますが、私どもといたしましては日米の共同訓練以外の米軍自体の訓練の場合の連絡について、やり方についていま私どもの方から、こういうふうにすべきであるとか、そういうコメントをする立場にはないというふうに感じておるわけであります。
  103. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 塩田さんね、防衛庁としてのお立場もおありになると思うんですよ。しかしやっぱり、こうしたことが起きたことを一つのきっかけにするということも考えられないではございません。しかも、従来からもしばしば指摘されておりますように、日本列島を包むその周辺のレーダーサイトにいたしましても、さっきもソナーの問題が出ました、きわめて不完全ですよ。知る得る方法がないわけです、はっきり言って。ということを考えてみた場合に、唯一の頼りとなるのはやはり米海軍からの情報入手ということがもう前提になるのではないだろうか。今回の、米海軍の仕組みというものがどうなっているかわかりませんけれども、少なくとも今回の「ジョージ・ワシントン」については統合参謀本部直属の指揮下に入っているとか、いろいろなそういう問題ございましょう。しかし、どっかに窓口を設定しながら、絶えずやっぱり信頼と緊密な日米間の関係性を持続しながらなんと言ったって、これは空文化しちゃうおそれが出てくるのじゃないか、緊密化するというのは、具体的にどうするかという問題がやはり追られてくるわけでございますので、私はその一番具体的な問題としては、今回直ちにこの問題を通じて、いま直ちに結論が出ないにいたしましても、考える時期に来ているのではないだろうかというふうに思えてならないわけです。ただ口をあけてぼんやり見て、あるいは十二海里、領海内を悠々と通過されても知らぬ顔していなきゃならぬと、腕をこまねいて見ていなきゃならぬなんという、そんなばかな話は考えられないと思うんです。  それで、もう一つ聞きますよ。領海内を絶対通過しないという保証はできますか、原潜において考えられますか。
  104. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私どもは、領海に核を搭載した艦艇が入っていない、入ることはないというふうに信じておるわけであります。
  105. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 その信頼というものが往々にして今回のようにしまったと思うような場合が起きないということは考えられないんですよ。それは、信頼するということは大事なことです、信頼がなければお互いの友好関係の維持なんということは勤まらないわけですから。しかし、不幸にして今回のような問題が起きれば、まあ当然あり得ることではなかろうかということは、軍事専門家ならずとも当然考えられる問題ではないだろうかということに思いをいたしますと、やはり捨てておけない問題だと。そうなると、今度は日本が独自の立場で、その領海内に入ったか入らないかというものを十分探知する一つの手段というものを講ずる必要も出てきはしまいか。しかし、水中をもぐっているんですからね、核弾頭をつけているかつけていないかということを確認する方法というのは考えられないわけでしょう。つけていないと言われれば、ああなるほどそうですがと引っ込む以外ない。つけているなんということを言うはずはないですよ、それは絶対に。しかし、先ほど来から申し上げておりますように、常識として原子力潜水艦が核弾頭を搭載していないということは、いまもう考えられない、もう常識とされているわけでしょう。その辺がこれからも非常に大きな議論の焦点になっていく問題でもありましょうし、いつまでたってもこう話を――政府側の答弁はそんなことはない、絶対信頼関係でもって、ないと言われればない。われわれはやっぱり、そういうまだ疑問が残る。どこまでいってもこれは平行線で、すれ違いの議論になっちゃうわけです。しかし私は、塩田さん御自身の気持ちの中には、恐らくいまこの公の席上で言えないお気持ちがあるのじゃないかというように思うんだよ。それは考えられるんだよ。公海ですよ。実際はここからここまでといって線引きしているわけじゃないですからね。あるいはちょろっと、一海里か二海里ちょろっと入るかもしれない場合だってそれは考えられないことはないでしょう。それも絶対考えられないとするのは、ちょっと無謀な議論ではないだろうかというふうに思えてならない。  まあ、重ねて聞くのもいかがかと思います。同じ答弁しか返ってこないんでしょう。もし違う答弁が返ってきたら、教えてください。
  106. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 違う答弁はございません。
  107. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 まあいずれ、政府としてもいま、これからの措置について鋭意努力もされているようであります。  さてそこで、昨日も決算委員会でわが党の峯山君の質問に対して総理が答えられた、日米首脳会談においてはこの問題を出さざるを得ないだろう。ということは、総理答弁を伺っていますと、恐らく調査結果の報告というものが非常におくれるのではないかという、そういう印象を与えたのでございますけれども、もう何とも、いつごろ報告日本政府に対してなされるかという見込みも立ちませんか。
  108. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) マンスフィールドさんも私に会ったときに言っておりましたし、外務省政府委員や何かも会って話しているのでございますが、向こうは誠意を持って早く出すからということは、もう書いたものにでも誠意を持って早くやるということを書いておりますし、口頭でも再三言っているわけでございまして、私はきょうも司令官に会う。実は今週中にマンスフィールドさんにもう一回会うことを申し入れているわけでございますが、その都度向こうの感触、いつごろかという感触を聞いて、場合によってはこういう問題は中間報告してもらいたいというふうなことも言おうかと思っているわけでございまして、これが非常に長くなっていつの間にかうやむやになるというふうな、そういうことはみじんもあっちゃいかぬというふうに思っております。
  109. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かに、中間報告を求める場合もある等々、また日米首脳会談にそれを持ち込むということは、日米関係にさらに暗い影を投げるかもしれない心配が出てくる。できるだけ日米首脳会談前にというのがいままでの大体一貫した政府側の考え方であったろうと私は思うんですね。まあ、できればそうあってほしいというふうに思います。  さてそこで、この問題が日米首脳会談前に決着できるかどうかわかりませんけれども、ちょっと論点を変えまして、もう日米首脳会談の時期もだんだん迫ってまいりました。幸い、レーガン大統領もその後の経過は非常に順調で、喜ばしいことだと思います。予定どおり首脳会談が行われるということが伝えられております。そこで、もうそろそろ政府としても首脳会談に当たっての青写真というものができ上がっているだろう思います。こちらから要望するもの、あるいは向こうから要望するもの、これは儀礼的なあいさつだけで行くというようなことは絶対考えられませんので、当然その話し合いの中には、最もその基本になる問題、いままでもしきりに予算委員会等を通じましても問題になりました防衛力整備増強の問題、あるいは日米経済摩擦の問題等々、これが当面の大きな課題になるでありましょうし、あるいはカナダのオタワにおけるサミットの問題もその範疇に入ってくるであろうということは一応私どもも判断をしているわけでございます。  さてそこで、一番やはり私たちが気がかりになっております問題は、経済摩擦の解消もさることながら、防衛力整備増強の問題が必ず出るであろうというふうに判断されるわけであります。従来のような政府答弁どおり事が進むのかどうなのかということについても、まあ何かしら、大丈夫かなというそういう心配が私の脳裏をかすめるわけでございます。いままでは憲法の枠内だとか、専守防衛であるとか、非核三原則という国是とも言うべきこうした大前提があるので、これをどこまでも主張していくのが日本立場でありますと、こういうふうに言うてこられました。繰り返し繰り返し言われてきました。にもかかわらず、その後マンスフィールド駐日大使の記者クラブにおける発言等を見ましても、恐らく米国政府からの指示を受けての内容であったろうと思いますけれども、現状におけるいわゆる日本防衛力では通常兵器による侵略を受けた際でも十分それに対抗し得る体制にはなっていない、裏返しにして言うならば、もっともっと日本は自助努力といいますか、防衛力のレベルを上げなければならないという趣旨の発言がなされました。これは決してマンスフィールド大使個人の考え方、見解として述べたのではなくして、米国政府考え方を代弁して言われたのであろうことは想像にかたくないわけであります。こういったところに、日米首脳会談を前にいたしまして、来られる際には十分その問題を考慮に入れて腹を決めてこっちへ来てもらいたいよというような暗示めいたようなこととも受け取れるわけであります。ワインバーガー国防長官あたりの言動、伊東さんが帰ってこられたその後においても、やはり日本防衛力増強に期待するものは非常に大きい、防衛大綱の見直しをせよとか、あるいは中業の早期達成を図れとか、直接的なそういう言い方ではないにしても、それを暗に含んだようなその言い方でもって日本に対する防衛力増強を期待する、そういう考え方がだんだんだんだんあらわになってきている。これが当然日米首脳会談における大きな議題の一つになるであろうことは推測にかたくないわけであります。いままでは何回となくそういう問題のやりとりが行われてきましたけれども、いよいよ日米首脳会談が真近に迫ったことを考えますと、先ほど触れましたように、すでに青写真も明確にできている、いろんな角度から米国政府の願望を込めた要請というものをむげに断る、そういう立場を貫くのか、あるいは米国政府考え方をある程度しんしゃくをしながら、多少でも米国の期待にこたえられるような方向をもう一遍考え直すというような方向に行くのか、ちょっと質問が長くなりましたけれども、その点についてこの機会に確認を求めておきたいと思うわけであります。
  110. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 日米首脳会談は予定どおり行われるというふうに私ども考えております。いろんな問題があろうかと思いますが、まだ両国でこれとこれと議題を決めてやろうというようなそういう最終的な打ち合わせはできておりませんが、むしろいまの空気では余り細かい議題をたくさん決めてやるよりも自由に両国の首脳が意見交換をされる方がいいのじゃないかというような空気の方が強うございます。しかし、そうは言っても大体出る問題というのは予想はつくわけでございまして、国際情勢についての認識の問題、これは当然議題にといいますか、話し合いになるわけでございますが、二国間の問題になりますと日米の経済関係というのは非常に順調でございまして、車ぐらいしかないという言葉なんでございますが、ほかのことはもうほとんど経済の問題では問題はいまのところないと言われるぐらいに経済問題は非常に順調に両国とも話し合いはいっているわけでございますので、車問題だけはひとつ首脳が行かれる前に何とか大筋の話し合いはしたいというつもりでおるわけでございます。防衛力の問題も私も当然これは話が出るだろう。あるいはサミットの問題も当然議題、話にはなるだろうというふうに思うわけでございますが、防衛力については、アメリカ側が、私も行って皆と話したときに、日本にはちゃんとした憲法で制約があるのだ、個別自衛権だということはこれはだれもそれを否定することはないのでございます。みんな日本の憲法、個別自衛権というものは自分らはよく知っているということで、この点はそれを踏み出したようなことの期待表明というものは私はあり得ないし、またそんなことがあっても、これは当然、総理が言われるように、日本は個別自衛権、それ以外の軍事力を期待されてもこれはできないのだということを総理がおっしゃっておるわけでございますし、私はこれは当然にアメリカ側も承知していることだということでございまして、個別自衛権の中で何ができるかということが問題なわけでございます。  それで、この前行きましたときにも、日本防衛計画大綱というものが閣議決定にもなっている、これを達成するということが日本立場なんだということを繰り返し私は説明したのでございますし、総理も予算委員会でございましたか、防衛計画大綱をいま見直す意思はないと、まずこれを達成をするということが日本防衛力――自衛権の質の高いといいますか、あるいは他国に脅威を与えないといいますか、あるいは他国から侮りを受けないというか、そういう自衛力の強化の努力をするのだということを総理が口を酸っぱくして言っておられるわけでございますので、私は、総理向こうに行かれても、私も同じことを言ったわけでございまして、総理もそれは当然主張されることだと思いますし、アメリカ側もそれに対しまして私にも具体的にこうしてもらいたい、こうしてもらいたいというような期待表明は一切なかったんです。駐留米軍の経費の問題だけが具体的と言えば具体的に出たわけでございまして、一般的な日本防衛力の強化ということで期待表明はあったわけでございまして、私は総理が行かれてもその点は同じではなかろうか、一般論としての防衛力の強化というようなことで話が出るのではなかろうかと、私はいままでの経験からしてそういうふうに思っているわけで、日本側が主張していますことは私はアメリカも理解してくれる、総理も、これは防衛というのは自主的に考えるべきものだということを言っておられるとおりでございまして、恐らく私は総理はそういう主張をアメリカ側にされる、アメリカ側も、日本防衛力の着実な強化の努力といいますか、防衛計画の大綱の達成といいますか、そういうことに努力をするのだということで相手側、アメリカ側も私は納得をしてもらえるというというふうに考えておるというのが私の考え方でございます。
  111. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 与えられた時間もあと二分ほどでございますから、最後の一点だけ、いまおっしゃられた言葉じりをつかまえるわけではございません、ただいまおっしゃっていることをじっと伺っておりますと、恐らく防衛力増強についての一般論は出るであろうとおっしゃった。それから、鈴木総理は外国に侮られない防衛力増強についてはこれを推進しなければならない、となりますと、これはいみじくもアメリカ考え方要請にこたえる新しい一つの考え方をここにお示しになったのじゃないか。いまそういうふうに私ずっとお答えを聞いておりましてそう感じました。私の聞き違いでございましょうか。
  112. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私は、他国に脅威を与えない、他国から侮りを受けないということは、これは日本の自衛力を強化していくという際に当然考えていいことじゃないか、そうしてその枠というのは防衛計画大綱にあるのですということを私は何回も、たしか安保の委員会でも答弁をしたことがございますし、予算委員会でも答弁したことがあると思うのでございまして、私は従来の日本考え方、当然のことを言っただけでございまして、何もここで新しいことを考えるとか、あるいはアメリカから何か新しいことを要請されるというふうには全然感じない、従来どおりの考え方でございます。
  113. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いずれにしても、きょうは時間がありませんので、いまのお答えに疑問を残しつつ、残念でございますけれども、また次の機会ということもございますので、改めて申し上げたいと存じます。
  114. 稲嶺一郎

    ○理事(稲嶺一郎君) 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十五分開会    〔理事大鷹淑子君委員長席に着く〕
  115. 大鷹淑子

    ○理事(大鷹淑子君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、永野嚴雄君が委員辞任され、その補欠として岡部三郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  116. 大鷹淑子

    ○理事(大鷹淑子君) 休憩前に引き続き、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件外四件を便宜一活して議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  117. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 法案についてのみ私は質問をいたしたいと思います。  大臣、食事をする時間なんかも本当に考えられない、大変お気の毒だと思いますが、午前の質問の中に、松前委員の方から質問がされました点は重複しないように、時間の関係もありますので、端的に質問を進めていきたいと思います。  今回の主要改正点という点につきましてお伺いをいたしますが、最初に連合の書類に使用する言語という件がございます。書類に使用する言語としては、従来、フランス語、英語、アラビア語及びスペイン語のほかにドイツ語、中国語、ポルトガル語及びロシア語が認められているということでございますが、日本語に対する考え方というものをどんなふうにお持ちになっておりますか。また、将来日本語についての持っていき方といいますか、そういうふうな点についてお考えをひとつ述べていただきたいと思います。
  118. 永野明

    説明員永野明君) ただいま御質問の万国郵便連合で使用いたします書類につきまして使用いたします言語について申し上げますと、御指摘のように連合の公用語はフランス語ということになっております。それから連合の用いる書類につきましてはそのほか英語、アラビア語、スペイン語によって発行されるということは御指摘のとおりでございます。さきのリオデジャネイロの大会議におきましてドイツ語と中国語、ポルトガル語、ロシア語、この四つが一定の条件のもとで文書に、書類に使用されるということが認められたわけでございますが、これらにつきましては、フランス語の場合にはその翻訳なりあるいは文書を作成する経費等一切を連合が持つということになっておりますが、それ以外のただいま申し上げました言語につきましては、その言語を用います国のグループ、集団で一部を負担し、連合で若干の一部の経費を負担する、こういうふうな取り決めになっておるわけでございます。したがいまして、御指摘の日本語につきましては、現在の一般規則によりますと、連合が費用を負担してくれる言葉といたしましてはこれを認められていないということになっておるわけでございます。  ただ、一般規則の百七条の一項によりますと、「その他の言語も、」「連合の負担する費用が増加しないことを条件として、使用することができる。」とございますので、日本語につきましてもそういった条件どおりにすればできるわけでございますが、私ども書類につきましては、まあ日本語の場合一国に大体なろうかと思いますので、これを特に作成を費用を出して求めるということは今後ともいたす考えはいまのところ持っておりません。
  119. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そういう考え方がいつまでも続けられるということに私は多少の疑義があるんです。それでまあ質問をしているわけです。また次の機会に――この問題については時間がかかりますので避けていきますが、限られた時間の中で質問が数多くありますので、そういう関係もありますので次へ進んでいきますが、財政制度の問題の中に連合経費のスイス政府による立てかえ払いの制度を今回は廃止して、そうしてこれに伴う分担金の前払い制度を採用するというふうに百二十四条でなっておりますが、UPUのことにつきまして、大臣お話し中ですけれども質問をするわけですが、今日までUPUについて、歴史的なことを考えていきますと、どんなふうにこの点をお考えになっておられるか、まず最初に大臣のお心を聞いておきたいと思うんですが……。
  120. 小宅庸夫

    説明員(小宅庸夫君) 歴史的に申し上げますと、万国郵便連合というのは、スイス政府の肝いりもありまして、国際機関として設立されたことになっておりまして、したがってスイス政府の関与する分野が非常に大きかったわけでございます。したがって、万国郵便連合憲章上、当然、加盟国は分担金を支払うことになっていたわけでございますが、従来相当長い間スイス政府がこれを立てかえ払いするということになっていたわけでございます。この前リオデジャネイロで開催されました最近の総会におきましてこれを改めまして、このたびこの改正について国会承認をお願いしていると、こういうことでございます。
  121. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大臣の方から、UpUの今日までの努力されてきた功績というものをどういうふうに認めておられたのかなということをまず最初聞こうと思いましたんですが、次の質問に入ります。  条文の中の第十七条の点字郵便物についての郵便料金の免除の規定がございます。船便については無料ということでありますが、航空便についての点字郵便物についての考え方はどんなふうにお考えになっておりますか、その辺を伺っておきたいと思います。
  122. 永野明

    説明員永野明君) ただいま御指摘の第十七条の点字郵便物についての郵便料金の免除の規定には、第六十九条、すなわち航空増料金の規定が適用される場合を除くほかは普通料金あるいは特別料金を免除するということになっておりまして、条約の原則といたしまして航空料金につきましては点字郵便物につきましても免除されてないというのが原則でございます。わが国におきましては、この原則に従いまして現在航空郵便の場合には点字につきましても料金をいただいておるという状況でございます。    〔理事大鷹淑子君退席、委員長着席〕 これはUPUにおきましても、いわゆる船便の郵便物に対しまして、航空機に搭載する郵便につきましてはいわば特別な扱いであるということが基本的な考え方になっておりまするので、この料金を無料にするということはまあ一般的には余り受け入れられない考え方ではなかろうかと、かように私どもは思っておる次第でございます。
  123. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 なぜこういう問題を提起するかといいますと、おたくの方からいただいている外国郵便物の数の動向ですね、これをいただいております。その中で点字郵便物の問題については航空便についてはごく少ない、船便についても数多くない、船便については無料であるというようなことで、国際障害者年というその一つの区切り目と私は見ているわけですが、こういうふうになっている世界的な動きの中で、ごくわずかなものであるならば当然無料にしていくような制度のあり方、約定のあり方というものも考えていいのじゃないかというようなことで私はお伺いしているわけですが、そういう面から考えて、やはりそういうふうな各国との理事会等で打ち合わせされるときに、次回の一つの議題として提案をしていくような考え方はどうなんだろうかと、こう思うわけなんですが……。
  124. 永野明

    説明員永野明君) ただいま御指摘のように、現在交換されております点字郵便物の流れにつきましては、航空機に乗せられていくものは確かに少のうございます。これは船便の場合に無料ということでございますので、そちらの方を主に使っているというのが現状だろうと思いますので、仮に航空郵便の取扱いが無料になった場合にはどのような利用状況の変化が起こるかということは、またかなりそちらへ移行するということは想定はできるわけでございます。その辺は現在断定的にどうなるということは申し上げかねる段階でございますけれども、相当そちらに移るであろうというふうに思いますので、数量的にもそちらの航空関係がかなりふえるであろうと思います。それにいたしましても、先ほど申しましたように航空機に搭載する扱いがいわば特別な扱いということの原則というのは、やはり今後ともUPUの中で相当強く維持される考え方ではなかろうかというふうに私どもは思っておるわけでございます。と申しますのは、連合におきまして無料あるいは料金免除ということで扱うものにつきましての論議はかなりされたこともあるわけですが、点字の無料化というものはそういった際にも取り上げられておりませんし、むしろUPUといたしましては国際障害者年にちなむ記念切手の発行とか、あるいは郵便局のいろんな施設につきまして身体障害者の方の利用しやすいように改造なり何なりをしていくというようなことを推進するという立場に立っておるわけでございます。したがいまして私どもといたしましても、ほぼそういった方向で今後も対処してまいりたいと思っておりまして、国内的にも、この九月に国際障害者年を記念いたしました記念切手を発行いたしまして、これを寄付金つきということで発行をいたす、いまの予定では約二千四百万枚、金額にいたしまして二億円ほどの寄付金を予定しておるわけでございますが、そういったものを身体障害者の皆さん方の施設等に活用していただくというような施策をことしはいたしたい、かようなことで考えている次第でございます。
  125. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それはそれなりにわかります。  先ほどお話ありましたように、航空便のことにつきましては、だんだん航空便の使用というものが船便より多くなってくる傾向があるということ、これが一つの認識の違いです。それからもう一つは、宣伝するのじゃなくて、実際身体障害者の方々がなれない郵便物のお互いの交換をしていこうという実務の、実際生活の中からやっていこうとする方に、私は宣伝で金を使うよりも国際の人間関係の上からこの問題も、三十六条の規定は別として、三十六条の規定はありますけれども、その考え方を改めて提議をしていけばいいのじゃないか、こう思ったわけです。ですから、消極的にならずにそういうふうなことを思いを置かれて積極的な考え方で臨んでいただきたい、こういうふうに思っているわけです。どうですか、その辺。
  126. 永野明

    説明員永野明君) 国際障害者年というような一つの区切り、そういった年に当たっての先生の御意見はそれなりに私も理解はいたすわけでございますけれども、何分、先ほど来申し上げておりますように外国郵便という場合にやはり船便、船に積む郵便料金というものがいわば基本でございまして、確かに航空関係はふえてはおりますが、やはり国際条約上の位置づけといたしましては特別の取り扱いであり、そのための料金を特に増していただくというのが基本になっておりますので、私どもは、その考えにつきましてはやはりいまのところはこれを維持せざるを得ないのではないか、かように思う次第でございます。
  127. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それはわかるわけですよ。わかった上で、将来の問題として考えていかなければいけないということを私は要請をしておきたいと思います。  それから次は料金の問題でございます。料金の問題は、今度の省令によってまた次の料金の体制というものが決められると思うんですが、四十七年の七月一日から五十一年の一月二十四日までと五十一年一月二十五日から今日に至るまでの料金体系の一覧表をもらっておりますが、相当な率でアップしております。私が申し上げるまでもなく、郵便というものはもう本当に、何と言いますかな、国民の負担をかけない、消費生活の中で最も国民の感情を、お互いが人間関係を結んでいく上の大事な機関として今日まで安い値段で郵便事業というものが行われてきているという関係の上から考えていきまして、この料金問題については相当の問題点をいっぱい抱えておるわけです。ちなみに今日までの料金のこの表で見ますと、郵便物料金表、これは私が一々言っていますと、もう時間が大体来ているようですから申し上げることはできないのですけれども、相当な率で換算されて上がっておりますが、この点につきましても十分な配慮をした上でお考えを願いたいということだけを申し上げておきます。  それから、ちょっとの時間で私、東京国際郵便局の方にお伺いをいたしまして、実際の業務に当たっておられる状態というものを拝見さしていただいたんですが、永野次長さんは東京国際郵便局の方に、現場に行かれたことはございますか。それで、私があそこへ伺って、外国小包料金の表示機、これなんかも御案内ですか。あるいは業務の流れといいますか、そういうものも御自身でずっと見ておいでになっておりますか。
  128. 永野明

    説明員永野明君) つい一昨日でございますか、先生御視察いただきましてありがとうございました。  私、東京国際郵便局の業務は見ておりますけれども、大分時間がたっておりますので、先生ほど記憶は鮮明でないかとも思いますが。
  129. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その搬送施設なんかは新装備がすっかりできておりますね。ああいう面から、いままでより相当な量が処理されているわけです。また同時に、このいただいた書類を拝見いたしますと、外国あてと外国から来たもの、これを総計をいたしますと、一日平均七万五千八百袋というふうな取り扱い数になっているわけですね。そうしますと、従事なさっている職員の方全部が三百八十八人、実際扱っている人と関連している事務をやっている人とまた詳細にやれば違っていくと思いますけれども、端的に定員全部でその取り扱っている郵袋を割ってみますと、大体一人当たりが二百袋処理するということですね。そうしますと、その一袋の中にはいろんなもの全部これ含めて、郵便物から大きい荷物とかいろいろなもの全部ひっくるめての袋でございますから、相当な作業だと私は見てきたわけです。  で、私の心配する点は、排じん装置というものをつくられておるようでありますけれども、中へ行ってみますと非常に息が詰まるようなほこりっぼい空気にも当たって参りました。かぜを引かれているのか、また息が苦しくってマスクをされているのかわかりませんけれども、かぜを引いている人はあんなにいないと思うんですが、かなりの人がマスクをされて仕事をやっておりまして、また、ちょうど私が行ったときは一段落ついたところですから、あれが一挙に郵袋が集まってきたときには、これは大変な空気だと思うんです。そういうことを考えますと、衛生管理といいますか、そういうものの整備があれでいいだろうかというふうにも心配されて私は帰ってきました。それで、伺ったところによると、うがい水なんかは用意されているということなんですけれども、ともあれ相当な取り扱い量ですから、その辺についてのお考えを聞きながら、今後どんなふうな衛生管理をしていくか、そしてまた、その従事されている方々の保健というものもどういうふうに考えていくか、そんなところも御説明を願いたいと思います。
  130. 永野明

    説明員永野明君) 東京国際局をごらんいただきましておわかりのように、郵便の局内作業というのは非常に労働集約的な作業でございまして、私どももそういうふうな意味で、これを円滑に行うためには職員の健康、安全、衛生管理といったようなことが非常に重要であるという基本的な認識で対処いたしております。また、関係の労働組合等からも非常にきめ細かな、そういった点につきましての要求、指摘等もございまして、こういったものに対しましてはできるだけいわば先行的にでも対処をしてまいるということでやっておるわけでございます。  東京国際局の場合は、ただいまのうがいの薬等いろいろそういった点についても配備もいたしておりますし、また、作業場に除じん装置をかなりの台数配備いたしまして空気の清浄化、環境の良化ということには努めておるわけでございます。実際、そういった空気のいわゆる基準と申しましょうか、その辺に照らしてみてもかなり低い数値で、別に、特に問題になるといったようなことはないと伺っておる次第でございます。  今後につきまして、先生ただいま御指摘のような基本的な考え方を私ども頭に置きまして、さらに職員の作業環境の良化といいますか、これにつきましては一段と努力をしてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  131. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど申し上げましたように、ツインライザーの設備がこうやりますね。そうしますと、取り扱い量が今度は昔と違って一挙に多くなってくるわけですね。ですから、それだけに従来の装置では排じん装置も全部フルに活動したところにしてもこれは大変だと思うんです。そういう意味で伺っているわけです。  また、取り扱っているその方々、国内の郵便物でも私どもの字は乱暴で判読されるのは郵便局の方々大変だと思うんですが、しかも外国の肉筆で、向こう流で書いた字を、どこの国から来て、どこからどこへやるのだというようなことも肉筆で書いているのは本当に判読しがたい。その中で苦労なさって分類をし、間違いのないようにやっているという方々、職員の方々のそういう努力の面から考えていきましても、十二分に健康というものを考えてあげなきゃいけない。  それからもう一つは、せっかく外国小包料金の表示機、そういうりっぱな、非常にいいものがあります。それらも予算の問題ということが言われるかもわかりませんけれども、私はきょうは郵政大臣ともゆっくり話して、そしてどんな考え方でいるか、そういうものを郵便取り扱いをする一番大きいところには少なくとも一基ぐらいずつは備えつけてやるようにしたらどうかということもお伺いしようと思っておったわけです。あなたの方から、また外務大臣もいらっしゃるし、閣議のときにでもそういう話をしていただきたいし、もう一つは、東京から成田に、今度は、次の航空便はどれだけの重量物があるんだという、ファクシミリですか、あのデータを送っていっている装置、ああいう装置につきましても、一定のところだけじゃなくて設置をしてあげて航空の安全を期すというふうなことを考えるべきじゃなかろうかというふうにも思っております。  それからさらにはエレベーターなんかも試作のものがありました。曲がり角のところを荷物がカーブできるようにいま試作したものがありましたようです。そういったものも、試作品ですから、それが成功するかどうか、その辺なんかも、私どもが見てまいりましていいなと思いました。そういうふうな職員の実際従事されている方々が苦労しているという面から生まれてくる要請というものは直ちに受け入れてあげて、事務が迅速にできるようにしてあげるということが大事じゃなかろうかと、このように思うわけです。  大臣、いま私の申し上げました、一番大変な実務に当たっている方々の実際の作業を見てまいりますと、実際の作業をやっている方々は直接言えない、大臣も知らないというような問題がいっぱいあると思うんです。ですから大変な時間だと思いますけれども、できるだけ現場に行くということが大事じゃなかろうかというふうに私は伝えてあげていただきたいということを要請いたしまして、もう私の質問時間が来てしまいましたのでこれでやめますので、大臣の所見それから次長のお考えを聞いて質問を終わります。
  132. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 御質問を伺っておりまして、もっともでございます。すぐに山内郵政大臣にも私連絡しまして、職場の環境の問題で宮崎さんからそういうお話があったことを伝えます。
  133. 永野明

    説明員永野明君) ただいま御指摘のありました郵便の現場の作業性を向上するような料金の表示機とか、あるいは各局との間のデータの伝送設備とかというようなものにつきましては、東京国際あるいは大阪中央といったような大きなところでいま実験中というものでございますが、こういったものの成果を見まして、今後効果的なところに拡大をしていくということはぜひ私ども考えてまいりたいと思っております。  それから、郵政大臣は東京中央を初めといたしまして現場を非常によく御視察をいただいておりますので、こういった状況についてはよく御存じと私は思いますけれども、ただいま先生のおっしゃいました御趣旨は十分お伝えをいたしたいと思っております。
  134. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 余り来ていないということを局長さん言っておられましたよ、どなたも見えてないと。それだけ言っておきます。
  135. 立木洋

    ○立木洋君 私も、条約質疑に先立って、米原潜衝突の件について若干お尋ねしたいと思うのですが、十三日の夜からウィリス・リッチ米海軍大佐が日本に主任調査官として来られているということですが、政府としてはリッチ大佐と接触をされたのかどうなのか。されたとしたならばその内容と、それからもうすでに四日近くなるわけですが、この間の調査官の行動についてどのように把握されているのか、いかがでしょうか。
  136. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) リッチ大佐が参りましてすでに調査を開始しております。主として第七艦隊の関係者とインタビューを行っているというふうに私たちは承知しております。日本側はまだこのリッチ大佐とは接触しておりません。
  137. 立木洋

    ○立木洋君 やっぱりこうした問題は調査の初動が大切でありましてね、だからそういう点から言えば、つまり疑いが持たれるような、後々で、問題を残すような調査をやられてはこれはいけないと思うのですが、新聞報道によりますと、日本の乗組員に対しても全員に事情をお尋ねしたいというふうなことが報道されていますが、こういう問題に関しては日本政府としてはどういうふうな対応をなされるおつもりでしょうか。
  138. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) おっしゃるとおりで、必要があればもちろん政府も会います。きょう私いろいろ向こうの人に会いますから、その辺のところ、向こう向こうで、いま政府委員から言いましたように、第七艦隊とか、飛行機関係とか、いろいろなインタビューをしていられるということは知っておりますが、必要あれば接触をします、会います。  それから、この間大使館の方へはぜひ乗組員の生存者の人にもリッチ大佐が会って話を聞くということをやったらいいじゃないかということをうちの課長から勧めたわけでございまして、向こうもそれは会うよということの大使館からはそういう返事をもらっているということでございますが、きょう現在まだ会ったかどうか、そこは私はわかりませんが、当然私は生存者からの状況も聞いて帰ると、そう思っております。
  139. 立木洋

    ○立木洋君 繰り返すようですが、これは任意のあれですね、事情をお尋ねするということですから、全員ぜひとも会わなければならないというものではなくて、本人が同意されるかどうかということもあるでしょうし、いろいろ後で本当に誤解を生じるような形にならないように、ひとつその点は十分に事実を明確にするという観点からも重ねてその点要望しておきたいと思うんです。  それから、アメリカから参りましたステートメントを受領したときの応答内容についてどういう内容だったのか、御説明いただけますか。ステートメント以外の応答内容ですね。
  140. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) まず、現在その潜水艦はどこにいるかという質問でございます。それに対してアメリカ政府としては、潜水艦の位置あるいは行動予定については話すというか公表しない政策である、それから、潜水艦は救助作戦、救助活動を助けたのかという質問に対しては、衝突が終わった直後にその潜水艦は非常に視界が悪かったけれども衝突した地域の捜索を行った、さらにそれに加えてアメリカ航空機が同じく捜索を行った、ただしこの航空機はそこで捜索はしたけれども、いかなる船もまたいかなる乗組員も、困難に遭遇している船あるいは乗組員も見つけることができなかったということです。それから次は、この潜水艦は原子力推進力による潜水艦かという質問に対して、そうである、それから、それならば原子力推進機関に対して損害があったのか、それに対して損害はない、それから潜水艦の武器あるいは武器体系に何らか損害はあったか、それに対して損害はない、潜水艦の名前は何か、名前はジョージ・ワシントンである、それから、それならば潜水艦の形式は何かということに対して、それは弾道ミサイル潜水艦だ、さらに続けますと、その潜水艦はいかなる活動をしていたのか、それに対する回答は、海軍の政策として潜水艦の活動について公表しない政策である、それから潜水艦は損害を受けたのかということに対しては、潜水艦のセールエリアに軽度の損害を受けている、それから、なぜ衝突についての通報がおくれたのかという質問に対しては、その点はまさに調査の対象である、ということです。
  141. 立木洋

    ○立木洋君 そうすると、この応答内容のときにすでに弾道核ミサイルの原潜であったということは、日本政府としては知り得たわけですね。
  142. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) いま申し上げたように、潜水艦のタイプとしてこれは弾道ミサイルの潜水艦だということです。
  143. 立木洋

    ○立木洋君 これはステートメントを受けたときは十日で、その応答も十日の日だったはずですが、十日ですね、間違いなく。
  144. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) これはアメリカ海軍のステートメントが届いたのは十日の夜九時過ぎでございまして、この応答要領もその後わが方からの照会に対して口頭でなされました。
  145. 立木洋

    ○立木洋君 そうしますと、十三日衆議院のあの安保特の委員会の席上で、これが弾道ミサイルの原潜じゃないかという質問に対して、きわめてあいまいな回答をしていますね。そうしてまた、それをただす必要がないのかということについては、聞くつもりはございませんというのがあなたの答弁ですな。これは日本政府としては、アメリカからそういうふうに言ってきておるのになぜ明らかにしないのですか、それはどういう意味ですか。
  146. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) 私が答えましたのは、これがSSBNかどうかというのは型式として、まさに型式としてはSSBNというのはわかっておりました。しかし、一部の報道によりますと、SSBNが――SSNです、失礼しました、SSBNが一九八一会計年度においてSSNに改装されているという報道もあったわけでございまして、現案に型式としてSSBNであっても、それが従来からの型式そのままであったかということがわからなかったのであそこでは申し上げなかった。
  147. 立木洋

    ○立木洋君 いやいや、淺尾さん、あのね大臣局長に言わせればいろいろ言い方あるでしょう。しかし、少なくとも大臣自身が事態を究明して、再び事故を、こうしたことを起こさないように明確にまた国民自身が納得できるように対応していかなければ、日米信頼関係に云々ということをあなたは繰り返し国会の席上でもお述べになっている。アメリカから言っていること自身を数日間、わずか数日間と言うかもしれませんけれども、この数日間が大切なんですよ、全国民が注目している的の中で、そういういまの応答内容を今日私がお尋ねするまで進んで公表されようとしていない、こういうことでは本当の意味では事態を解明するという態度にならないのじゃないかと思うんですが、今後はやはり率先して事態を解明していくという、そういう立場をおとりになるということを大臣のお口からはっきりさせておいていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  148. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) その前に私からお答えいたしますが、この応答要領についてわれわれは通報を受けたわけでございます。それで海軍省の声明について、夜九時過ぎ、十時近く新聞発表をしたわけでございますが、夜の時点でございますので、共同時事方式という外務省の方式がございます、そこで発表して、その際に担当の課長が記者クラブにおりていって、必要であればさらに説明するというつもりであったのですが、ちょうど時間の関係でクラブの全員はおられなかった、しかし実際上、その後、その晩を含めて問い合わせがありまして、その中ではすでに名称及び形としてはSSBNであるということは話してございます。
  149. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私は、できるだけ真相を国民が納得できるように、向こうにも聞き、発表もし、そして国民の疑惑は解いていこうというのが私の態度でございます。
  150. 立木洋

    ○立木洋君 淺尾さん、これ以上私はやりとりしようとは思いませんけれども、やっぱり北米局長としてあなたは責任ある地位におありになるのだから、やはり事態を徹底して解明するという大臣立場もあるわけで、その点やっぱり積極的に明らかにしていくということをしていただきたいと思うんですよ。いまお述べになった内容というのは、私は新聞報道ではそれぞれ推測記事としては出されていますけれども、明確な内容は出てないのですよ。これはお述べになっているかどうかということは、後で問題はさらに明らかになると思いますが、これでやりとりしておったのでは時間がなくなりますから先に進ませていただきます。  今度はもう一人の局長、塩田さん、七十キロ付近で事故が起こったというわけですね、日本の。これは七十キロといえば、距離感覚で言うから大変遠いところみたいに感じますけれども、これは言うならば、公海ではあると言っても接続水域ですよね。これは大変な近いところですよ。しかも、御承知のように島がいっぱいあるところだ。ああいう、ある新聞でも書いておりましたけれども、路地裏に戦車が入ったみたいなものだということまで表現している新聞がありましたけれども、なぜこんなところにポラリスがおったとあなたはお考えでしょうか。
  151. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いまのお尋ねにつきましては、私には全くわかりません。なぜそういうふうにおったかわかりません。
  152. 立木洋

    ○立木洋君 そういうふうにお答えになるだろうと思いますがね。それでは、これは軍事的な知識がおありになる局長だからあれでしょうけれどもポラリス型原潜というのは、いわゆるどういうふうな弱点を持っているとお考えになるのか。
  153. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 弱点というのがどういう意味でおっしゃっているのか――一般的に積んでおりますミサイルを撃ち込む場合に、大陸にある弾道弾と違いまして移動性があると、移動性が非常に長所といいますか……
  154. 立木洋

    ○立木洋君 それはいい方ですよ。弱点の方。
  155. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いい方ですが、ただし同時に、それが命中率を落とすと、つまり自分がどこにおるかが特定が大変むずかしいものですから、ねらった目標に対して命中率が落ちるという点は出てきます。だから、長所はイコールまた弱点になるというふうには普通言われております。
  156. 立木洋

    ○立木洋君 あなた一つしかおっしゃらなかったから、これ以上聞いていきよったら時間があれですからね。  ポラリス型というのは、御承知のように潜水艦ですから大型のミサイルは積めない、そうすると、射程距離というのがこれは短いですわな。一方的に言えば、陸上では長距離弾道弾ミサイルといえば、これは一万キロだとか何とか言われていますけれども、四千そこそこですよね。だから、射程距離が短い。すると、おる場所が対象目標に近くなければならないと、それが一つありますな。それからもう一つは、これは攻撃用――攻撃用といいますか、ミサイルを発射する装置は十六発積んで完全に整えていますけれども、相手から攻撃を受けた場合に反撃するという装備はないんですよね。だから、相手の攻撃に対してはきわめて弱いという、こういう弱点もあるわけですね。そういう点から見て、ポラリス型原潜というのは常時、通常活動する場合、一隻で活動するというふうにあなたはお考えでしょうか。あるいはどのようにあなたは御承知しておりますか。
  157. 塩田章

    政府委員(塩田章君) ポラリス潜水艦日本にございませんので、どういうふうに運用するのか全くわかりませんけれども、普通言われているのは、やっぱり一番大事なのは隠密性だということでございますから、そういう意味では私は恐らく個艦行動ではないかというふうに思います。
  158. 立木洋

    ○立木洋君 私は軍事専門家じゃないんですよ。だけど、軍事専門家でなくてもアメリカの文書を読んだらいろいろとわかる。局長はそれを読んで知っておるけれどもお答えにならないのかどうなのか、そこらあたりはわかりませんけれども、しかし少なくともいま言ったように、相手の攻撃に対して弱いということがあるから常に一隻で行動するのではないのですよ。攻撃型原潜と常に行動をともにする。相手から攻撃を受けたときに反撃しなければいけない、あるいはP3Cによって相手から攻撃受ける可能性がないかということを常に上空から守られておりながら行動しているのですよ。それから、もう一つの点を言えば、そういう攻撃を避けるために、言うならば日本の制空、制海地域におって行動するというのが攻撃を避ける上できわめて有利である、そういうふうに考えられるのですが、どうですか。私はアメリカの文書でそういうふうに読んでいるんですが、いかがです。
  159. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 私はそういったアメリカの文書を読んだことはございませんのですが、いまおっしゃった攻撃を避けるためにいわゆる攻撃型の潜水艦を伴いますとか、あるいは上をP3Cで見とってもらうとかいうことは、先ほど言いました一番大事な隠密性ということを非常にまた同時に失う危険性があるわけです。ですから、それはちょっと私には考えられない。絶無かどうかもちろんわかりませんけれども、やはりポラリス潜水艦の場合、一番大事なのは隠密性じゃないかというふうに私は考えております。
  160. 立木洋

    ○立木洋君 それでは、これは大臣か北米局長か、きょう午前中の運輸委員会答弁の中で、十三人の方々からいろいろ事情聴取したというときに、異なった方向に二つの潜望鏡が確認されておる、これは海上保安庁としてもそれを確認しておる、確認した、というふうにきょうの午前中の答弁ではなされておるわけですが、そうするとこれは一隻ではないという可能性も多分にあるわけですから、そういうことを十分に今後念頭に置いて、事実を明らかにしていく上で対応していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  161. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) アメリカ側に対して外務省から累次原因調査を急いでほしいという申し入れをしている際に、日本国内における国会の議論、あるいは報道等も向こうに伝えてございます。
  162. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いまの点は、私は海上保安庁日本側調査というものを責任持ってやっておられるわけでございますから、まだそれはもらっておりませんけれども、それができ上がって見せてもらえる段階には、それと向こうから報告が来れば違いは、もしも違っているということがはっきりすれば、これはどこで違うんだろうかということは究明せにゃならぬと、私はそう思っております。
  163. 立木洋

    ○立木洋君 大臣、それでね、やはり海上保安庁の方でいろいろ事情聴取をされた、これはそれぞれの方が、多数の方々が確認しておる事実ですから、この十三人の人々に関する事情聴取というものを今度の事態を解明する上できわめて重要なものと判断されるのかどうなのか、その位置づけをちょっとお伺いしておきたいんです。
  164. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) それは海上保安庁が責任を持って調査をされるわけでございますから、海上保安庁がそれをどう判断するかということが第一義的には問題になるわけでございまして、海上保安庁がこれが日本側調査だと、オフィシャルなものだということを言われれば、それは私どもはそれを日本側調査として考えていく、これは当然でございまして、海上保安庁調査日本側調査というものも非常にこれは重要な一つの資料だと、私はそう思っております。
  165. 立木洋

    ○立木洋君 それから、もう一遍防衛庁の方にお尋ねしますが、最初のアメリカからのステートメントによりますと、これはあの地域で通常の活動を行っていたという形になっているわけですね。それで、先ほども午前中のお話がありましたように、アメリカ原潜が太平洋で行動しているのが大体四十隻内外かというお話もあった。これはハワイとグアム島を基地にしてポラリス型が私の大体推定では十隻そこら。大体この辺をやっているのではないかというふうに思いますけれども、こういう通常の活動をやっておる、これは二隻でやるか、飛行機に護衛されてやるかというようなことはまた議論があるところでしょうが、しかしこういう活動については、午前中の同僚議員の質問では、これについて、つまり、何といいますか、掌握する努力をしているのかというお尋ねに対する局長は御答弁だったと思うんですね。私は、そうではなくて、これについては日本側としては知る立場にあるのかどうなのか、アメリカ側が教えてくれるのかどうなのか、全く教えてくれないのか、全く不明の状態に置かれているのかどうなのか、その点はいかがでしょうか。
  166. 塩田章

    政府委員(塩田章君) SSBNの行動につきましては一切私ども承知しておりません。
  167. 立木洋

    ○立木洋君 そうすると、結局相手に問いただしたことも防衛庁としてはない、あるいは問いただしても答えてくれない、そういうふうに理解していいですか。
  168. 塩田章

    政府委員(塩田章君) その両方でございます。
  169. 立木洋

    ○立木洋君 ここでやっぱり北米局長に御登場願わぬといかぬのだけれども、どうして知らせてくれないのでしょうか。いわゆるガイドラインだ何だかんだと、いろいろな問題が問題になっているときにいろいろ日本の周辺奥深くまで行動してきているアメリカ、一切聞いても答えてくれないというのはどういうアメリカの政策によるのでしょうか。
  170. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) 私としてもどういう政策ということを断言する立場にございませんけれども、SSBNを初めとしてSSN、こういう原子力潜水艦の行動それ自身隠密になっているところに抑止力としての価値があるわけでございまして、そういうところからまず出てきているのではないかと判断しております。
  171. 立木洋

    ○立木洋君 大臣、今回衝突事故が起こったところ、地図をごらんになりましたか。どこで衝突が起こったのか、具体的に地図をごらんになりましたか。
  172. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 甑島の……
  173. 立木洋

    ○立木洋君 地図を広げてごらんになりましたか。
  174. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) はい、見ました。
  175. 立木洋

    ○立木洋君 私はそれを見て、これは七十キロだ何だといって非常にあれしたのは――こういうときに委員会座ってやるというのはどうも都合が悪いんですよね。(地図を示す)これは九州ですよね。これは沖繩、ずっとこうなってますわね。衝突事故が起こったというのはここなんですよ。まさに、言うならばこれは九州と沖繩列島、この胸元ですよ。島がいっぱいある、大変なところで起こった。これは先ほど来もう何回か問題になっています、日本領海に入っている可能性があるのじゃないかというようなことも問題になった。で、いま北米局長のお話によりますと、いままでも再三繰り返してきたわけですけれども、核の存否、どこにあるか、また、どこにいるのか、こういうことは一切明らかにしないというのが政策でございますと。それだったら日本領海を通過するときに何時何分からどの領海をただいまから通過いたします、御了承願いますが、いかがでしょうかといって、その場合には核の存否を明らかにするのでしょうか。これは私は大変矛盾したことだと、いままで事前協議で核の通過だとか、寄港だとかいうのは一切明らかにされてないのね、一回もないんですよ。一回もないということはまさに核の存否を明らかにしないということが優先しているからこそ一回も言わないんです。領海、こんなところ通っているのですよ、これ、もう危険性が多分にある。ないとは断言できない。これは地図を見て、ほんとつくづくそう思ったのですが、そうするとそのときにここから通りますよ、領海のここを通りますよ、何時何分また帰るときここを通りますよと、こんなことを一々、何時何分から何型の原潜がここを通りますが、事前協議にかけて、いかがでしょうか、これは私は大変矛盾したことだ、一回も事前協議がないのが私はあたりまえだと、それはまさに核の存否を明らかにしないというアメリカの政策が最優先されておるから、日本国民に対して言う場合に、事前協議という形でいわゆる納得してもらわなければならないからそういうことを言っているだけであって、事実上はもう領海に何ぼ入っているかわからない。大臣、いかがお考えでしょうか。
  176. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) アメリカに対して、首脳会談でも何回も言われた、総理がございますし、また常に日本側は非核三原則ということをアメリカ側にもまた全世界にも何回も言っているわけでございまして、アメリカはそれを尊重する。通る、持ち込み、その三原則に抵触するような場合、これは必ず事前協議の対象にする、こういって安保条約の運用を、体制の運用をしているわけでございますので、これは私は非核三原則は向こうも尊重する、守ると、こういつているのですから、私は立木先生とその点は違うということでございます。
  177. 立木洋

    ○立木洋君 大臣、そのようにお答えになるだろうと思いますけれども大臣でも考えてごらんになって、もしかしたら入っているのじゃないかななんというようなお考えになることありませんか。もう全く信頼して、ああこれはもう絶対入っていない、一〇〇%私は断言できると、大臣、言えますか。
  178. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私は後の方でございます。
  179. 立木洋

    ○立木洋君 ここまで大臣がおっしゃるとするならば、私は本当に伊東さんが日本大臣として適当かどうかということまで考え直さざるを得ないような気分にならざるを得ない。今度の問題で、大臣ね、衝突したんですよ、衝突が起こったのに通告もないんですよ、そして十五名の人々が海にほうり出されたのに助けもしない、そして日本の海幕からどうですかと問い合わせしたのに、まる一昼夜たった時点でもわかりませんというのが米海軍司令部の返事なんですよ。あなた、こんな米軍の行動、はあ私は信頼できますと、大臣、それでもおっしゃいますか。
  180. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いまの点は、私もこれは日米間の信頼関係を損なうおそれが多分にある、国民の感情からいってもそうでございますので、アメリカにその点ははっきりしてもらいたい、はっきりすることが信頼をまたつなぐことになるのだからその点は明瞭に、早急に明瞭にしてもらいたいということを大使にも伝えてあるわけでございますので、そういう疑いを持たれるような行動ということははなはだこれは日米の安保体制ということを続ける上に支障を来します。私としては一日も早く解明してもらいたい、こういう気持ちでございます。
  181. 立木洋

    ○立木洋君 塩田さんね、これは米軍の行動に対する見解をお聞きしたいのですが、いま言いましたように、問い合わせしたのに二十三時間たっても不明だというのが米軍の回答なんですね、そして結局原潜にかかわりがあるらしいというふうなことが明らかにされてきたのが三十五時間、三十四時間三十分ですか、こういう米軍の行動について、あなたはガイドラインをいわゆる計画いろいろ検討されて進めていくその相手が米軍なんです、こういう米軍なんですよ。こういう米軍に対してどういうふうにお考えになります。
  182. 塩田章

    政府委員(塩田章君) いま外務大臣からもお答えがありましたが、この連絡の時間がおくれているということは私どもも一番どうしてだろうかと、私自身も大変思うところでございます。そこら辺は詳しく調査が、結果が出ると思います。それを待ちたいと思っておるわけであります。
  183. 立木洋

    ○立木洋君 それで、だんだん最後に近くなりましたけれども大臣ね、二度とこういうことを起こさないために大臣は何をいま最もやらなければならないとお考えになっていますか。
  184. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) さしあたって考えますのは、やっぱり事故原因がどういうことでこういうことが起こったのか、こういうことはあり得べからざることではないか、なぜこういうことが起こったという事故原因調査の結果はっきりしてもらうということがまず第一に私はやらなければならぬことだと思うのでございますが、もっと広く言えば、午前中もお答えをしたのでございますが、やはり日米間の信頼関係というものをもっともっと強くしていく必要がある。みんなが一人一人が平和時の、先ほど午前中は人命尊重というお話がございましたが、そういうことをもっと強く考えられるようにしなければいかぬということを私は感じておるわけでございます。
  185. 立木洋

    ○立木洋君 大臣ね、大臣も御承知だと思いますけれども、サンフランシスコ条約日米安保条約に調印されて後、今日までの状況を見てみますと、五十五年の十一月までの二十九年間に、米軍の事故によって死んだ日本人というのが九百六十九名いるんですよ。それで、これが米軍の公務中だと言われる事件が三万七千九百十六件、公務中だということで死亡した日本人が四百九十三名、こういうことになっているわけですね。ところが、いままでも明らかにされましたように、これは公務中だということで、第一次裁判権がアメリカにあると。ところがアメリカで軍事裁判が行われたのは一回もないというのが日本政府答弁によってもはっきりされておるわけですね。いままで取り上げるまでもなく、あの大和市で起こった事故あるいは町田市で起こった米軍の墜落事故、それから五十二年でしたか、あの横浜のジェット機の墜落事故で九名の死傷者の方々が出た、こういう問題。その後の状況全部見てみますと、責任者不問なんですよ、あの五十二年も。そしてあれはエンジンの組み立てミスだと、そうしたら、組み立てミスならばその資料を提供してくださいと言ったら、資料の提供は拒否されているんですよ。つまり、これは地位協定であり、日本の領土内で起こったこういう重大な事故ですから全部あいまいにされてきているんですよ、ここに問題がある。大臣が徹底してうやむやにしないということを言われた。私がいままでこの国会に入ってかち外務大臣が七名――伊東さんが八名目ですかね。こういう問題が起こったときに、どの外務大臣も断固としてやりますと、あいまいにいたしませんと、全部言いましたよ。園田さんも言われた、あの五十二年のときだって。これはアメリカの過失ということが明らかになれば、アメリカに対し第一次裁判権の放棄すら要求しますと、こう言ってたんかを切ったと言っていいか悪いかどうかわかりませんが、こういうことまで言われた。ところがその後全部うやむやですよ。  それで、伊東外務大臣が、先ほどの領海に入っているのじゃないかと言われたら、一〇〇%信じますと言われたので、私は、どうも大臣が徹底して明らかにするというのが余り信用できなくなってきたので、ここでもう一度確認しておきたいけれども、もしか納得できるような回答が得られなかったならば、大臣はどのようになさるおつもりなのか。
  186. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私は、たんか切ったりそういうことは余り得意でございませんので、静かに物を言っている方でございますが、やっぱりこれは、あいまいにこういうことをしてしまうということは、本当に今後の日米関係友好関係に傷を残す、疑念を残す、国民に。ということはこれはまずい結果でございますので、私は本当に国民の納得のいかれるような事後処置というものがきちっととられるようにこの前もアメリカに要求しましたし、今後もそういう態度で、そんなこと言ったって国民の皆さんわからぬじゃないかというようなことであれば、私は国民の大多数の皆さんが納得されるような措置をやはりあくまでアメリカに要求するという態度でこの問題に取り組みたいと思っております。
  187. 立木洋

    ○立木洋君 外務大臣、そういう決意を最後まで貫き通していただいて、日米安保体制の枠内でやっぱり伊東大臣も相変わらずかと言われるようなこと、新聞に書かれることがないように、ひとつ最後まで徹底してやっていただきたいと思います。  それで、もう一つ、外務大臣、宿題があるんですよね。金大中の公判の問題ですよ。あの判決文、これは韓国政府に照会するというお約束になりました。それで、いつ照会をしたのか、照会したときに韓国政府は何と言ったのか、それに対する公式回答があったのかなかったのか、まずその点からお尋ねします。
  188. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 照会はいたしました。それから、私も直接崔大使に会いましたときに、こういうことも文書でソウルで照会をしておるし、こういうことだと言って話もしました。  詳細はアジア局長からお答えします。
  189. 木内昭胤

    政府委員(木内昭胤君) ただいま大臣が申されましたとおり、私ども先週の土曜日の段階ですでに韓国側に申し入れてございます。東京におきましても、これは今週に入りましてから在京韓国大使館連絡してございます。
  190. 立木洋

    ○立木洋君 あれ、いわゆるその判決文ですね、大臣お読みになったのかどうなのかわかりませんが、大臣はこの委員会の席上で再三繰り返し日本での問題が責任として問われることはないと明確に断言された。その上であの判決文をごらんになって、何か御感想ございませんか。
  191. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私は裁判の途中で韓国側より判決要旨なるものをもらったわけでございまして、それには私の答えたようなことも書いてございますので、私はそういうことを言ったわけでございます。  この間の判決文はですね、あれいただきましたが、全部ハングル文字でございまして、私は土井先生から見せられたけれども、わからなかったんです。全然一言も読めなかったわけでございますが、韓国に、いま局長が言いましたように、あれの真偽のほどその他を照会をしているということで、まだ返事は来ておりません。
  192. 立木洋

    ○立木洋君 ではこの問題も宿題ですから、また改めて明らかになった時点でお尋ねするということにしたいと思うんです。  大変時間がなくなってしまいまして、あと三分足らずしかありませんが、UPUの件についてちょっとお尋ねします。  これは十九条でしたか、に関連する料金の問題ですが、この料金の問題の中で、私は五年前でしたかね、五十一年の質疑のときにもお尋ねしたんですが、あのときにも前二年間収支の状態が赤字であるというふうなお話があった。そして、五十円を九十円でしたかに上げるというふうなことだったと思うんですね。その後の状況を見てみますと、五十年、五十一年、五十二年、五十三年、五十四年と全部これ黒字なんですね。五十二年の場合には百四億、五十三年が七十五億、五十四年が八十六億と黒字になっている。で、欧州諸国で料金の値上げが仮にあったとしても、これは郵便物の入超国である日本としては、国内取り扱い量の引き上げという問題もあるわけですから、基本料金の引き上げはやらなくてもいいのではないかというふうに思うんですね。今回の場合には、基本料金とさらにはそれから一〇〇%上げ幅、それからさらには下げ幅が七〇%ですかというふうになっておりますが、上げる必要はないのではないかというふうに思いますが、この点を一点。  それから、収支の状態というのはやっぱり今後は、この間郵便料金の問題で国会で何といいますか、チェックするというのはもうこの機会しかなくなったのですよね、ですから、今回はこういう収支の状況というのを明らかにしていただきたいということが第二点目。  それから、三点目は点字郵便物ですよ。これは前回もお尋ねしたんですが、特別料金、これは国内法との関係で、いわゆる最終議定書の第三条ですか、日本としては徴収するというふうに書いてあるわけですが、これはせっかくやっぱり国際障害者年の年でありますし、調べてみますと、外国あての郵便物というのは、点字は年間二千通ぐらいでしょう。きわめて少ないんですよ。特別料金とするともっと少ないわけですから、これはもう無料にすべきではないか。この三点だけお尋ねして私の質問を終わります。
  193. 永野明

    説明員永野明君) 外国郵便のわが国におきます収支状況につきましては、先生ただいま御指摘の状況になっております。前回の五十一年の改定のときは、その二年ほど前に御承知のオイルショックがございまして、世界的に非常に賃金等の上昇が高かった時期でございますので、外国料金の値上げ幅につきましても、全般的に非常に高めの改定率にせざるを得なかったという状況でございます。  その後、幸いにいたしまして、外国郵便の収支ということに限ってみますと、ただいま御指摘のような黒字という状況にはなっておるわけでございますけれども、やはり今回の条約の中で、今後五年間の推移を考えますと、いろいろと郵便物の運送、取り扱い等に要する費用が改定をされておることも御存じのとおりでございます。そういった状況、今後について考えますと、やはり私ども、国内料金との均衡なり、全般的な収支等を見ながら外国郵便につきましてはやはり見直しをする必要があると、こんなふうに考えておる次第でございます。  それから、二点目の……
  194. 立木洋

    ○立木洋君 結論だけで結構ですから。
  195. 永野明

    説明員永野明君) 二点目、点字の関係でございますが、これにつきましては、おっしゃいます特殊取り扱いの料金を免除せよということでございますが、実はこの点は、国内の点字郵便物の取り扱いにつきましても同様なことになっておりまして、私どもやはり特殊取り扱いにつきましては、この免除について慎重な考えをとるべきではないかと、かように考えておりまして、外国郵便につきましても同じような立場をとっておる次第でございます。
  196. 木島則夫

    ○木島則夫君 まず、万国郵便条約から二、三点伺っていきたいと思うのですけれど、郵便の行かない地域というのはあるのでしょうか。たとえば、国交のない台湾とか朝鮮との郵便関係はどうなっているのか、まず第一点です。
  197. 小宅庸夫

    説明員(小宅庸夫君) お答えいたします。  いまのところ、現在わが国から郵便物を送達することができない国はありませんが、アフリカのチャドに対してのみは、同国の事情によりまして、同国あて郵便物の引き受けを一時停止しております。  ただいま御質問のありました国交のない国、たとえば台湾、北鮮のことかと思いますが、わが国といたしましては、日本と国交があると否とにかかわらず、すべての国に対して郵便物を送達するように努めております。したがって、たとえば台湾の場合には、現在のところ、わが国と台湾の間に利用可能な直行便がありますので、この直行便を使いまして、通常の郵便物及び小包郵便物を送達しております。北鮮の場合には、日本からの直行便がございませんので、船便につきましてはソ連の仲介、それから航空便につきましては中華人民共和国の仲介により通常郵便物及び小包郵便物を送達しております。
  198. 木島則夫

    ○木島則夫君 次に、さきの大会によりまして、南アですね、この国が追放されたと聞いているのですけれど、この経緯はどうであって、郵便の実務上の障害とか影響というものはあるのかないのか、この辺はどうでしょうか。
  199. 小宅庸夫

    説明員(小宅庸夫君) ただいま御指摘ありましたとおり、おととし昭和五十四年のリオデジャネイロで開かれました総会におきまして、ブルンジその他十二カ国から提出された決議案に基づきまして、南アをUPUから追放するということがUPUの決議としては採択されました。この提案は南アフリカがとっておりますアパルトヘイト、人種差別政策に対するアフリカその他の諸国の反対から生まれたものでございますが、この決議案の上程に際しまして、日本といたしましては南アフリカのアパルトヘイトに対してはもちろんわが国は反対をしているわけでございますが、この特定の政策を理由として南アを加盟国として追放するということは好ましくない。その理由といたしましては、UPUの普遍性というものは確保しておくべきである、それからまたUPUの機能といいますのが郵便の国際的な交換といいますきわめて技術的、専門的なことをすることにありますので、こういうところで加盟国の追放を問題とするというのは国際機関の性質上問題があるというようなこと、それからまた、UPUの設立しております国際郵便憲章に、加盟国を除名するという規定が入っていない、こういうようなことを理由といたしまして、わが国は反対をいたしました。  それからまた、多くの国が西欧諸国も含めまして反対をしたわけでありますが、最終的にはこの決議案は秘密投票に付された結果、賛成が七十七、反対が四十四、棄権が十三で可決をされました。しかしながら、わが国といたしましては、ただいま申し上げたような理由、特に法律的にこの国際郵便憲章に加盟国を除名するという規定が含まれていないということに基づきまして、この決議は法的な効果を有さないという考え方をとっております。  それから、先生御指摘のこの決議案の採択が、何といいますか、郵便の実務上影響があるかということでございますが、わが国に関する限りは、南アを引き続き連合加盟国の一員として認めておりまして、通常の郵便交換業務を行っており、実務上何ら影響は生じておりません。
  200. 木島則夫

    ○木島則夫君 万国郵便連合の今日までの歴史とその役割り、実績の中で、スイスの果たした役割りというのは非常に大きかったと思いますが、今度それが制度が変わりまして、後払いが前払いになると、こういうことになってまいります。日本の分担がどういうふうになるのか、それはどういう基礎に基づいてそういう分担が行われているのかということ、それから、もっと輪を広げて郵便の分野における世界への技術協力というものは非常にこれから大事になってくるけれど、日本としてどういう貢献をしているのかということを総括的に言っていただきたい。
  201. 永野明

    説明員永野明君) 万国郵便連合に対しますスイス政府関係は非常に特殊なものでございまして、    〔委員長退席、理事大鷹淑子君着席〕 ただいま御指摘のように、連合の経費を立てかえ払いをするというようなことから、連合への加入に関する文書の処理とか、国際事務局の会計監査とか、幾つかの役目を負ってまいったわけでございますが、この連合の経費の立てかえ払いにつきまして、これがだんだんと膨張してまいりましたところ、スイス政府といたしましては非常に過大な負担になってまいるということで、前回のリオの大会議の直前にこれを前払いに変えてもらいたいという申し出があったわけであります。大会議といたしましては、この要望に基づきまして立てかえ払いの制度を廃止して他の国連等の機関ですでに実施されております分担金の前払い方式ということで、次の会計年度の前に必要な経費を払い込むと、こういう制度に変わったわけでございます。で、わが国の分担につきましては、これ自体によっては別に分担額が変わるわけではございませんで、分担そのものはその前のローザンヌのときからでございますが、世界の各国が八階級の分担をいわゆる分担の比率でするというふうになっておりまして、一番最低は一単位、最高は五十単位と、こういうふうなことで、わが国は五十単位の分担金を支出するということにいたしております。したがいまして、これを昭和五十四年度の連合の予算に対します経費について見ますと、約一億二千百万円ほどの額になりますが、連合予算全体の経費の四・七%程度、これをわが国が負担をしておるというのが現在の状況でございます。  それから二番目の郵便の関係におきます国際協力あるいは技術協力、それの現状でございますが、UPU自身は、やはりいわゆる発展途上国の一番基礎的な通信手段であります郵便の充実といいますか、これの必要性を認めて国連の開発計画に参加いたしまして、地域的な郵便学校の運営とかあるいは開発途上国の郵便関係者のセミナーの開催、専門家の派遣、機材の協力というようなことをやっておりますけれどもわが国もこれに協力いたしますとともに、政府の技術援助計画に基づきまして、毎年一回アジア、アフリカ諸国等の郵政幹部を対象といたします二週間ほどの郵便セミナーを東京で開催をいたしております。また、ただいま申し上げましたUPUの計画あるいはAOPUと申しましてアジア・オセアニア郵便連合というのがございますが、これの職員交換計画に基づいて外国の郵政職員を受け入れて、いろいろと技術的な勉強をしていただく、あるいはわが方から郵便の専門家の派遣を行いまして、郵便局の設置なり機械計画なりその辺につきましての指導を行うというようなことを可能な限りやっておるというのが現状でございます。
  202. 木島則夫

    ○木島則夫君 次に、原潜問題について触れていきたいと思います。  私どものこの原潜問題に対する態度と申しますのは、当て逃げとも言うべき今度の事故発生に対してはまことに遺憾であるということ、しかもその後のアメリカ側通報のおくれであるとかあるいは人命救助、救難の放棄というものはこれは許しがたい、しかし、これによって日米安保体制そのものを見直せというような議論は余りにも短絡過ぎるので、これは排除していかなければならない、したがって、日米友好関係を維持しながら日米安保体制を有効に機能させていくためにも、しかるべき善後策を政府は速やかにとって、アメリカ政府に対して毅然たる態度をとってもらいたいと、これが私どもの基本的な態度立場でございます。  そこで、外務大臣が当委員会において午前中からしきりにおっしゃっております、なぜ事故が起こったかという基本的な問題が解明されない限り、今後の事故防止を含めた対策は立て得ないという趣旨のお答えがございました。    〔理事大鷹淑子君退席、委員長着席〕 私も基本的にはそうであろうと思いますが、この基本的な問題ということになりますと、アメリカの対ソ核戦略体制、それに伴う原潜の作戦行動などが当然この範疇に入ってこざるを得ない。で、こういった問題に触れていくと、アメリカも最高度の軍事機密に属するこういった問題をそうおいそれと解明のために出してくるとは考えられない、こういうことが午前中からいままでのここでのやりとりの中から明らかになった経緯であります。  そこで私どもといたしましては、やはりアメリカからの調査報告首脳会談前に当然届くことが望ましいと考えるわけでありますけれど、外務大臣としては、やはり首脳会談前にきちっとした報告書が入手できることが最善である、これがベストですね。しかしそういかない場合には、中間報告でもいいからアメリカから報告を求める、報告を入れる、そしてその中間報告において、なぜその通報がおくれたのか、人命救助ができなかったのか、救難の放棄がなされたのかという戦略体制に絡まらない事故発生後の具体的な問題がそこで解明されれば、ある程度補償問題に取りかかってもいいというこういうニュアンスを含めて中間報告を求めたいとおっしゃったのかどうか、この辺はいかがでありましょうか。
  203. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 事故再発防止のために原因がわからないと何とも対策が立てられぬということを言いましたのは、基本的な考え方の問題と、さしあたっての応急的といいますか、そういう二つを頭に置いているわけでございますが、基本的な問題は、先ほど私も申し上げましたように、やはり平時における人命尊重といいますか、お互いの国民がお互いの相手の国民を信頼し人命の尊重をしていこう、信頼を強めようということをやっぱり考えていかないと、私はこういう事故の問題はそういう考え方が基礎になるのじゃないか。米ソの軍事体制がどうとかいま言っても、これは急に国際情勢が変わるというわけじゃございませんので、この国際情勢の問題は一応別にしまして一私は基本的にお互いの信頼、人命尊重、人権といいますか人道といいますか、そういうものを大切にするということが基本的な問題ではなかろうかと思っておるわけでございますが、現在起きた問題につきましては、直接の原因でございますが、どういうことでこういうことが起きたのかということがわからぬと、なかなか対策というものも立てられぬ、まずその事故原因をはっきり教えてもらいたいということを向こうに要求をしているということでございます。  それで、いつまでの報告かということでございますが、私の率直な気持ちを言えば、首脳会談の前には大筋のことはわかっているということが望ましいということを私は考えておるわけでございますが、しかしこれは向こうはまだ時期は言ってきてないわけでございますので、私の方としては、なるべく早くひとつ報告がよこせるようにしてもらいたい、向こうも最大限の努力を誠意を持ってやるということは、これは向こうから言ってきているわけでございますが、まだ時期がいつまでということではありませんが、しかしうやむやにいつまでも報告が来ないということを便々と待っているというわけには私はいきませんので、少なくともなぜ通報がおくれたかとか、人命救助についてどういう措置をしたかということぐらいは、これはやっぱり国民がおかしいなとこう思っているわけでございますから、そういう疑念を晴らす意味でも、中間的でも報告をしてもらいたいということをきょうも私は司令官に会ったら言うつもりでございますし、また米大使にも会ったらそういうことを向こうにもまた伝えるということをやって、少しでも疑念を晴らしていくということをやりたいと思っているわけでございます。  もちろん、補償の問題あるいは責任の問題、これは向こうから文書でそういう問題にもう真剣に取り組むということを言ってきているわけでございますから、これは当然補償の問題とか、あるいはどういう責任の問題でありますか、調査結果を待ってそういうことは出てくるだろうと思っているわけでございまして、補償の問題はすでに関係者代表ということで田川さんという弁護士さんが連絡をしてきまして、アメリカ大使館にも行って話したりしておりますので、これも政府としましては極力便宜を図りたいということをやって、事後処置ということに抜かりないようにということをやってまいるつもりでございます。
  204. 木島則夫

    ○木島則夫君 いまの外相の御答弁を私なりに要約をいたしますと、その事故の起こった間接的な背景というものはともかくとして、その直接的な対象である通報のおくれ、人命救助、救難、こういったものの解明が行われるならば、ある程度それを土台にしていまおっしゃったような救済措置、つまり損害賠償、こういったものに積極的に取り組んでいくんだと。基本問題を私はここで持ち出しましたのは、先ほどから議論があっているように、やっぱり対ソ核戦略、それに伴う作戦行動、戦略行動、こういったものの解明は大きな壁があってこれはできようもない。それを含めた基本的な解明というたてまえ論を押し立てていけば、なかなか解決がむずかしい。それが逆に日米の傷口を大きくして、国民に対する疑惑を大きくすることになりかねないという見方すらあるわけですね。したがって、基本は基本で毅然たる態度をおとりになるのは結構であるけれど、日本ができない範囲、わかっていながらできない範囲を基本的な解明に含めて、余りたてまえ論で押していくのはどうであろうか、こういう議論を私は申し上げたわけでございます。  したがって、通報のおくれ、人命救助、救難の放棄に関して中間報告的なものがある程度きちっと入ってくれば、もっと現実的な補償、損害賠償の問題に積極的に入っていっていいのだと、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  205. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 通報のおくれあるいは人命救助をどういうふうにしたか、人道的な問題の中間報告があればすぐにあとの補償問題に入るかどうかというのは、これは私はそういうふうに、これも余り短絡して考えちゃいかぬことで、補償とか責任の問題ということになりますと、やっぱり事故原因の直接的な関係を持った、事故の場合にどういう責任があったとか、どういう過失があったとか、いろいろ法律的なことになりますので、そういうことの究明がないと、直接因果関係になる事故原因です、それがないと、どういう責任、どういう程度の過失があったか、どういう補償をするかということは、これは法律的な問題にもなってまいりますから、通報のおくれあるいは人命救助の仕方だけですぐにそういうことが出てくる、どの程度のものということはなかなかむずかしいわけでございますから、私の言っていますのは、まず最初に、余りおくれないで、通報のおくれとか人命救助の問題とかは、みんな国民が疑念を持っているのだから、中間報告でもいいから早くすべきじゃないか、そして、あわせてそれに引き続いて事故原因とかあるいは補償をどうするとか、責任をどうするとかということを、何もそんなに時間的な間隔をよけい置いていいということではないわけでございますから、それに引き続いてそういうことも報告できるようにしてもらいたいというのが私の気持ちでございます。
  206. 木島則夫

    ○木島則夫君 国民がわかりにくいという、腑に落ちないというのは、なぜ救助ができなかったか、なぜ船がとまらなかったか、天候はどうであったか、もちろん、そういったことも大いに解明される必要があろうと、これを解明しなければ霧は晴れないわけです。しかし、そのたてまえ論のみでできないことを承知していながら、たてまえ論でぶつかっていく、その中に日米の歯車がかみ合っていかない、そこに何か腑に落ちない、一体どうなっているのだろうという間隙が大きくなり過ぎているわけですよ、外務大臣。それはもう先ほど同僚委員の御質問でも確かあったと思いますね。現実に日本でも憲法論議が盛んになり、防衛問題、安全保障問題がいろんなところで、いろんな形で活発になってきたというのは、単なる右傾なんという、そんな単純な問題ではなくて、日本がいかに国際社会に対応していこうか、対応していったらいいかという私はあがきの一つだと思うのですね。そういうふうに私は思う。したがって、たてまえ論、たてまえ論だけでアメリカと交渉したり、アメリカと接点を持っていこうとするならば、これがかみ合わない、そういう中にむしろ日米の傷跡というか、みぞというものがふくらんでいく可能性があるのだから、むしろ外務大臣としては、こことこことこことは日本ができないんだよ、だから現実の問題としてこれだけはきちっとやるよというようにむしろおっしゃった方がいいのではないだろうか。そういう意味を込めて私申し上げたわけでございます。いかがでございましょうか。
  207. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 今度の問題を安保体制にまで議論していくとか、あるいは米ソの核の問題、核兵器の問題まで議論を発展させて、そういうことが解明できなければ、あるいは安保体制が解明できなければ、たとえば補償の問題でございますとか、あるいは責任の問題でございますとか、そういう問題の結論が出ないのだというふうに、私はそこまでやったらもうこれは果てしないことになって、なかなか私は十分な結果、報告というものが出てくるということは非常にむずかしいと思うことは、先生考えられておること、私の頭の中も大体似ているわけでございまして、基本的にはさっき言いましたように、お互いが平時でもお互いの人命を尊重するのだということはやっぱりアメリカ日本もよく考えて、お互いが信頼するのだ、信頼関係を維持するのだということがこの問題の基本になっていくのじゃないかということを私は言っているわけでございまして、そういう考え方で直接の因果関係事故原因とか、そういうものについてはっきりしなければ再発防止ということができないのだという意味のことを私は言っているわけでございまして、米ソの核の問題を解決しなければ解決がないのだということを言っていれば、いつまでたっても私は結論は出てこない、こういう気がします。
  208. 木島則夫

    ○木島則夫君 大変現実的な対応で、私は結構だと思います。  そこで、これからやはり損害賠償の問題が起こってくるだろうと思います。過去に起こりましたアメリカ艦船と日本艦船の衝突事故で、これはこれまで何回あって、どういう事故であったのか。その際のアメリカ側がとった措置、通報人命救助補償、こういうものがどういうふうになっているのか。これは報告をしてくれるように求めておきましたので、準備をされているだろうと思いますので、お願いをいたします。
  209. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) 私たちが承知している件は四件ございます。一つは昭和三十八年に起きました海栄丸とベクサー号、それから第二回目が四十三年の第二十二淳和丸とビクトリー号、三番目の例が昭和四十四年の第十七幸洋丸とアメリカの駆逐艦ダンカン号、それから四番目の例が昭和五十二年の穂高山丸とLSTのバーバーカウンティー、この四つでございます。  その際にアメリカ側がどういう対応をしたかということを順次申し上げます。  海栄丸とベクサー号。この事件の際はアメリカのベクサー号の方から、事故後直ちに停止し、ボートをおろし、救助活動をいたしました。その結果、海栄丸の乗組員五名を救助、それから海栄丸の僚船に救助されました二名とともに、これは全員で七名乗り組んでございましたので、したがって、七名全部救助されまして、その七名をアメリカのベクサー号に収容し、治療、看護等の措置をとり日本側に引き渡たしてございます。  それから次の第二、淳和丸これは十二名の乗り組みでございますが、その場合に、アメリカの方は現場にとどまって捜索救難活動に従事しております。  それから第三番目の第十七幸洋丸、この場合には、やはりアメリカの船は幸洋丸の損傷部面の応急修理を行って、随伴しておりました巡視船と回合するまでその船を護衛いたしました。  それから最後の穂高山丸、この場合は、双方の航行の支障がなく、したがって、特にアメリカ側として対応はどういう対応をしたかというのは脚らかでございませんが、いずれにしても航行に支障はなかったということでございます。  それから損害賠償、補償の点でございますが、これらはいずれも全部公海で起きている事件でございます。で、海栄丸についてはアメリカ側日本側が折衝いたしましたけれども、結局解決を児ずに時効の期間を経過し、日本側から訴訟が提起されなかったということもございましてそのままになっております。そのままで終了したわけでございます。それから第二十二津和丸、この場合は、被害者は在日アメリカ海軍と交渉し、示淡で解決しております。それから第十七幸洋丸、これも示談で成立しております。さらに穂高山丸についても示談で解決を見ております。  以上が従来の概要でございます。  失礼しました。最後の穂高山丸とLSTの場合だけは領海でございます。あとは全部公海でございます。
  210. 木島則夫

    ○木島則夫君 一の場合は日本側が訴訟しなかったんですか。ちょっとその辺もう一回一の場合を言ってください。
  211. 淺尾新一郎

    政府委員淺尾新一郎君) 一の場合は日本側が結局訴訟を提起しなかったということでございます。
  212. 木島則夫

    ○木島則夫君 過去四つの衝突事故、海難事故についてその救済措置あるいは賠償、損害補償がどうなっているかということをいま尋ねたわけですが、一つの場合には結局うやむやになってしまったという例がございました。  詳細なるアメリカ側からの報告がないいまこれを一体地位協定に基づいて今度の場合要求をするのか、あるいは公海であるから旗国主義のもとでやるのか、アメリカで争うのかというような先走った議論は慎まなければいけませんけれど、外務大臣、先ほど現実的なやはり処理の方向は私と似通っているという御説明がございましたけれど、日本側のこれに対する態度というものは基本的にどうなっておりますか。
  213. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) ちょっと御質問意味がわからなかったんですが。
  214. 木島則夫

    ○木島則夫君 要するに、一つはうやむやになっている例などもございますので、やはり毅然たる態度政府がいろんな意味で便宜を図っていかなければいけない。そういう態度は毛頭変わらないと思います。事が原潜であるだけに、これはやっぱりいままでのケースとは異なった態度が必要であろうと、そういう意味で私は申し上げたわけであります。
  215. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) これはうやむやにするというふうな考えはみじんも持っておりませんし、いま補償の問題が具体的にお話が出ましたか、これは私どもも、民事のことでございますけれども政府関係者に極力便宜を図ってあげて、そして補償の問題は何とか円満に解決すべく後ろからバックアップして協力していくつもりでございます。
  216. 木島則夫

    ○木島則夫君 外務大臣いかがでしょうか、今度の日米首脳会談にこの原潜問題というものがどういうファクターを与えるか。率直にアメリカ側に要求をする、日本意見を述べる、大いに結構だと思いますけれど、これで防衛問題あるいは自動車問題というものが揺さぶられるのかどうか、つまり日米首脳会談についての日本の基本姿勢というものにある程度の修正が行われるのかどうか、その辺はいかがでございましょうか。
  217. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) こういう問題をたとえば車の問題でございますとかほかの問題に何かリンケージさして、関連さしてやっていくということは私は考えるべきじゃないと思っているわけでございます。それはこの間ヘイグさんと私が会いましたときにも自動車の問題を話したのでございますが、こういう問題をたとえば防衛の問題と結びつけて考えるとか、そういうことは、たとえばの話でございますが、やるべきじゃないと、自動車は自動車で解決するというようなことを、経済問題は経済問題というようなことをヘイグさんと話して、向こうもそのとおりだということでございますので、この問題は私はそういう経済問題とかそういう問題に影響させることはこれは考えておりません。  それから防衛の問題でございますが、これも防衛の問題というのは日本がどういうふうに日本を守るかということが日本防衛のこれは基本でございまして、それ以上に足を伸ばすということはこれはないわけで、あとは経済協力でございますとか外交の努力とか技術協力とか、そういうことでやっていくのでございますので、防衛の問題自身もこれは特に私は方針が変わるということは何もないと思うのでございまして、従来どおり核のかさ、アメリカのかさのもとでということが日本考え方でございます。ただ、先ほどからいろいろ御意見が出ておる、それは領海に入ることがあるのじゃないかというようなことを非常に国民は心配をするということを先ほどから御質問があるわけでございますから、この点はさらに私はヘイグさんのときにこれは十分この問題に触れて、今度の原潜事故、再びあってはならぬということで話をしようというふうに思っておりますので、基本的には私は首脳会談等で、もちろん首脳会談でもこの問題は私は総理が触れられると思いますが、基本的に何か性格が変わるということは私はないと思っております。
  218. 木島則夫

    ○木島則夫君 対米外交につきまして外務省にはきちっとした原則がおありであるということはかねがね私も聞いております。たとえばことし伊東外務大臣が訪米をされた際、外務省記者クラブに対しまして説明の言葉の中に対米外交六原則というようなお言葉が使われていたやに伺っております。平和憲法、安保体制の枠、軍事大国にならない、専守防衛、集団的自衛権は行使しない、非核三原則、この六つでございます。対米外交六原則というものは省内においてこういうことがきちっと確立をされているのかどうか、自実関係を伺います。
  219. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 六原則というような、何もそんな伊東ドクトリンみたいな偉そうなものじゃないわけでございまして、これは防衛考え方について国会総理答弁され、われわれも管弁した考え方を述べたのでございまして、たしか国民のコンセンサスが大切だというようなことも言っていたと思うのでございますが、防衛につきまして平生考えているようなことを国会でも答弁したのでございまして、またアメリカに行ったときもそういう考えに基づいて日本防衛というのを考えているのだということを言ったわけでございます。
  220. 木島則夫

    ○木島則夫君 細かいことになりますけれど、当然こういうことをおっしゃる、アメリカ側にも伝えているというならば、防衛庁と協議の上であって、どこかしかるべきところでオーソライズされているのかどうか、細かいことかもしれませんけれど念のために伺っておきます。
  221. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) そういうどこかでオーソライズして防衛庁と相談してこれ決めたんだとか、だれと相談して決めたんだとか、そういうことはございません。
  222. 木島則夫

    ○木島則夫君 今度の日米会談についてはあらかじめきちっとした具体的なテーマというものを決めないのだというお話がございました。しかし、その中で予想されるのは防衛問題であり、経済摩擦の問題であり、そして経済援助というようなことは当然考えてしかるべきであろうと思います。どうでしょうか、その場合に援助額をふやす目標値でもつくって、そこに目玉としてお持ちになる気があるか。対GNP比でなく、実額の方が日本にとってもこれは好ましいものになりそうですね、そういうお考えはございましょうか。それに関連して、アメリカの経済援助の充実を、現在アメリカの経済援助というのはちょっと冷えてきて、選択援助みたいなものに変わりつつある。日本もこれだけやるのだから、アメリカもやってくださいよというような要請をされるのかどうか。また、この問題について外務省と大蔵省で首脳会談前に詰められるのかどうか、こういうことでございますか、いかがでございましょうか。
  223. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) アメリカへ行く前に大蔵省と特に相談して詰めていくというようなことは、私はいま考えておりませんが、御承知のように、中期目標をまたつくりまして、過去五年間に出した政府援助の倍額、倍以上ということの目標を置いて対GNP比も改善をしようと、恐らく実額はアメリカに次いで二番目、もう西独を抜いて恐らく五年の間には早いところで二番目になるだろうということを実は目標をつくったときに外国にも説明をしたわけでございまして、この間も私アメリカへ行きましてそのことを話しまして、外からはある評価を受けるわけでございますが、われわれとしましては倍以上ということに努力をしなければならぬわけでございます。  アメリカと話しましたときに、経済援助についてはわれわれはやはり人道問題でございますとか、相互援助ということを頭に置いて、南北問題というものが一番重点になるのじゃないか、その他いろんな要素がございますが、南北問題が重点になるのじゃないか、すべきだということを私はヘイグさんに言ったわけでございまして、アメリカが何か友好国と非友好国を分けて、頭から非友好国には出さぬというようなことを分けてしまうということは、むしろ南側、第三世界を敵に回すような形になるのじゃないか、そういうことはかえって政策としてまずいので、南北問題というのは世界平和に非常に関係があるのだから、南北問題を重視すべきじゃないかというようなことをへイグ国務長官に私は大分主張したことはございます。
  224. 木島則夫

    ○木島則夫君 実額でいまアメリカが六十億ドル、それから西ドイツ、フランスが大体三十五億ドル程度、日本が三十三億ぐらいですから、二位になろうと思えばこれはわけないことでありますが、ひとつこれだけの経済大国なんですから、外務大臣、その辺は積極的に日本の援助計画を世界に披瀝していただきたい、こういうふうに思います。  最後に一問、総理の訪米の裏返しとして、レーガン大統領の来日を御要請になるお考えでございましょうか。
  225. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 総理レーガン大統領にお会いになれば、私は総理が来たんだから今度は日本、その他アジアの情勢をひとつ目で見てもらうためにレーガン大統領がぜひ訪日されることを希望するということを恐らく総理は言われると思います。私はまたそれが実現することを希望するわけでございます。
  226. 木島則夫

    ○木島則夫君 終わります。
  227. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 外務大臣、東奔西走御苦労さまです。あなたはつい最近アメリカに行っておられまして、五月の初旬に首脳会談が開かれると首相と一緒にもちろん行かれるわけですね。
  228. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 行く予定をしております。
  229. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 いまのアメリカはいろんな要請をするだろう、いまの自動車の問題とか、それから防衛の問題、特に防衛の問題については日本に相当強硬な要求をするだろうというようなことが言われております。これは新聞紙面で見ることですから真相はわかりませんけれども、そういうことが言われておるわけですね。  私どもは実は非常に心配をしておるわけです。つまり、アメリカのいまの政策が一方において減税をやる、行政改革をやる、一方においてはまた軍備をうんとふやすというような、現在の抑止力の競争ですからある程度までやむを得ないのでしょうけれども、非常に軍備拡張熱が、まあ率直に言えば気違いじみたような空気がアメリカに存在しておるわけです。その中に行かれまして、そしてきわめてこれは安全の問題というのは冷静な問題ですね、感情的な問題じゃないわけですが、そういう中でアメリカの当局、特に当選したばかりのタカ派と言われているレーガン大統領及びその側近に会われるわけですからなかなかこれは大変なことなんですが、この前会われたときに、当外務委員会の渋谷委員質問に対して鈴木総理が管えておられますけれども、私は米ソ両国の首脳は世界の平和か戦争かという重大な責任をしょっておると、このように思います、そういう観点からいろいろ両国間におきましては政治的なあるいはいろんな面でのやりとりがあろうかと思いますけれども、私は両国が相対決するということになれば大変な事態になる、人類の破滅にもつながりかねない、こういうことは十分認識をされておるものだと、こう思います、私どもはそういう意味合いにおきまして、伊東外務大臣も訪米いたしました際に日本のそういう考え方を率直に申し述べたのであります――このとおりでありますか、伊東外務大臣
  230. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私は米ソの間に全面的な対決、核戦争なんということになったらもう世界の破滅だと、そういうことはあっちゃいかぬ、そういうことは日本はもう本当にないことを心から希望するということを私は言ったのでございまして、そのとおりでございます。
  231. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 それに対する反応はどうでありましたか。
  232. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) これはヘイグさんと私は話したときでございますが、そして続いて首脳会談、それからSALTIIかIIIでありますか、その話、交渉について触れたわけでございます。そのときヘイグ長官は片方で力のバランスといいますか、そういうことはやらなければならぬ、片やそういう話し合いということの必要なことはよくわかると、その窓は閉ざすわけではない。ただし、ソ連がブレジネフ演説でいろいろそういう提案をしたことがあるが、それは果たして現実に誠実にそれを行うかどうかということはもう少し慎重に見きわめて、その上で首脳会談をやるかどうか、SALT交渉をやるかどうかということについて判断をする、まずヨーロッパの戦域核の話し合いの方を先に始めるというようなことが話の後に続いたわけでございます。
  233. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 また渋谷委員に対する鈴木総理のお答えを読みますけれども、私は渋谷さんが御指摘されたように、この軍事バランスの保持というようなことがお互いに好むと好まざるとにかかわらず軍拡競争というような方向にとかくいきがちである、しかし、そういう方向をたどっていっては世界の平和も人類の幸せもない、こういう基本的な認識、私も同感でございます、そこで、私は残念ながら、この現実は力の均衡の上に平和が保たれておるということからいたしまして、この均衡を保持しながら、この均衡を高いレベルでなしにだんだん低いレベルに均衡をさしていく、まあ要するに縮小均衡というのですか、さしていく、そういう基本的な方向をとらなければならないものと、こう考えます。それが軍縮への道であるわけでございます。    〔委員長退席、理事大鷹淑子君着席〕 わが個としては平和国家として平和外交に徹して、外交努力あるいは経済協力その他の努力を通じまして世界の平和の維持、発展に貢献していきたいと、こういう基本的政策を進めておるわけでありますが、軍縮の問題につきまして、御承知のようにジュネーブにおけるところの軍縮特別委員会の場において積極的な働きかけをいたしております――これは非常に現在の世界の政治家のうちでも大変りっぱな発言をしておられるのですけれども、これは鈴木総理の信念であると同時に、外相の信念ですね。
  234. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 軍縮の問題もアメリカへ行ってヘイグさんと話しまして、ヘイグさんは、軍縮ということは自分らもよくわかる、ただしかし、軍縮が単独であるのじゃなくて、    〔理自大鷹淑子君退席、委員長着席〕 安全保障の中で軍縮というものをどうするかということを考えていかなければいかぬだろうということをヘイグさんも言ったわけでございまして、日本としましては、御承知のように来年は軍縮の特別総会が国連であるわけでございますので、そこの場でも、またいまスイスでの場でも特に核軍縮を中心にして、何とか包括的な実験禁止ぐらいから歩き出すことができないかというようなことを積極的にやっていくということはバランスの問題でも高いバランスよりも低いバランスということで努力すべきだというふうに考えております。
  235. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 日米安保条約、これが日本周辺、極東における平和に役立っているということが言われているわけですね。それで、これは要するに力のバランスの問題だと思いますが、私どもが一貫して考えておるのは、日米安保条約があって、それが日本の安全を大きく力のバランスの上から保っているということを認めますけれども、しかし、もしも日米安保条約が現実に発動してしまったら、これはどうにもならないわけですね。ですから、日米安保条約が現実に発動しないように、私はもう三十年近く政治家をやってますけど、一貫して努力してきたわけですが、こういう力のバランスの関係が現実に戦になって爆発するというようなことは何としても防がなければならぬわけで、鈴木総理が言われている平和外交に徹して、外交努力あるいは経済協力その他の努力を通じまして世界の平和の維持発展に貢献していきたいと、こういうことは要するに、安保条約のかさはあってもそれだけじゃ不安である。もしも本当に爆発してしまったら、安保条約が現実に発動する事態になったら、これはどうにもならぬ。どうにもなりません。これは、時間がないですから、なかなかそういう細かい議論までできませんけれども、どうにもならぬわけですが、そういう外交努力というもの、これは非常に必要であって、そして私は日本などという国がそういう外交努力の先頭に自信を持って立つべきであるというふうに考えますけれども外務大臣どう考えられますか。
  236. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 安保体制については中国もいまはこれをむしろ評価するというような立場にございますし、ソ連といろいろ話しても、前のように安保条約があるから云々という言葉は比較的少なくなってきたことも確かでございます。あるいは東南アジアを回ってみても、日本が独力で軍事大国になっていくというようなことに対して危惧の念を持っているということも確かでございますので、安保体制というものはアジアで、極東で私は評価されているというふうに思うわけでございますが、しかし宇都宮さんおっしゃるとおり、これを発動するということになったら大変なことでございますから、やはり日本としては現実にそういうことにならぬように、備えはあるけれども、現実にならぬようにという外交努力をすることがまず何より大切だというふうに思うわけでございますので、常にそのことを頭に置いて平和外交をやっていく。日本が極東、アジアで、あるいは世界の場でもそういうことを主張していくということは当然だと思います。
  237. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 おっしゃるとおりだと思いますが、この際安保条約の問題につきましてちょっと触れたいと思うんですが、それは、私どもは安保条約締結され、それから改正される時代に若い政治家として活動していたものですから非常に関心があるわけですけれども、安保条約日本はただ乗りしているという議論が近ごろありますね。日本がただ乗りしているという議論があります。これは日本人が言っているのか、アメリカ人が言っているのか知りませんけれどもね、非常に不愉快な議論だと私は思うのですね。ただ乗りというのは、要するに運賃を払わないで汽車に乗ることをただ乗りと言うんでしょう。これは非常に不愉快な議論だと私は思います。私どもは、安保条約日本は決してただ乗りしてないと思っているんですね。というのは、やっぱり安保条約というものは、最初の古い条約は、ちょうどサンフランシスコ条約というものが結ばれまして、その附属協定として安保条約ができたわけですけれども、サンフランシスコ条約の第六条の規定は、すべての外国軍隊、連合国の軍隊は三カ月以内に撤退するという規定があるわけです。ただ、特別な一、二の国が協定を結んで、そしてそれによって駐留するのは妨げないという除外規定がありまして、その除外規定によってアメリカ軍はそのまま駐留を続けたと。それで、その当時から今度は原潜の問題なんかありましたけれども、やっぱりいろいろトラブルがあるんですね、外国の軍隊が駐留していると。  私は当時、その少し後ですけれど、大統領になったケネディに会ったことがありますが、そのときにケネディは、日本に対する現地駐兵は反対だということを言っていました。なぜなら、現地駐兵は、一つは現地の住民とトラブルが起こりやすい、もう一つは現地に駐在する軍隊が腐敗する、それから三つ目は核戦略の時代に現地に小部隊が駐兵することはほとんど無意味である、大部隊でもいいかもしらぬけれども、無意味である、そういうことを言っていましたね。それですから、あのときにアメリカがサンフランシスコ条約六条の除外規定によって駐兵するということに対しては、本当言いますと、ケネディなんかも反対であったわけです。私どもも必ずしも、つまりその必要はないと、こう思っていたわけですけれども、とにかく安保条約というものを結んで占領の実質がそのまま残ったと、こういう形になったわけですね。  占領ですからやはりいろんな特権があります。電気を優先的に使用したりあるいはガスを優先的に使用したりあるいは水先案内を優先的に求めたり、いろんな占領軍としての特権がそのままこの安保条約の附属協定に、当時は行政協定と言っていましたが、その行政協定に盛り込まれたわけです。その行政協定に盛り込まれたとほとんど同じ内容が新しい安保条約の米軍の地位協定日本に駐留する米軍の地位に関する協定という協定の中で受け継がれたわけですね。相当なそれは特権を含んでいるものです。たとえば軍票の発行権なんというのもありますね。軍票の発行権だとかね、いろんな特権がそこに含まれています。そういう、何といいますかね、日本に駐留する軍隊に占領軍的な特権を与えて、その特権がそのまま存在している、そういう状態でいるんですから、日本としてはやっぱり相当な犠牲を払っている。日本の主権がいろんな意味地域的においても制限されるし、いろんなやっぱり経済的な負担もしているわけですよ、実際言いますと。もちろんその安保条約の初期の防衛分担金、これは新しい安保条約及びその附属協定ではなくなりましたけれどもね、それを除いてほとんど存在しているわけです。  そういうサンフランシスコ条約の除外規定による駐兵がある。それによって米軍が存在することによって、米軍は日本と無関係なやっぱり軍事的活動を日本の周辺ですることができたわけですね。ベトナム戦争なんかのときも相当あれですし、また朝鮮なんかの補給基地としていろいろ戦争後もやっている、こういうことで、相当なやっぱり日本の方もリスクを負っておる、リスクを負っているわけです。ですから安保ただ乗り論なんというものは、私は外務省にはないと思うけれども、これはどう考えられますか。
  238. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) ただ乗り論が出てくるのは日本側でなくて、これは私ども聞きますのも、この間も向こうへ行ってアメリカの下院で議員さんと懇談したときに、これは自動車の問題と関連してこの議論が出たのでございますが、私は、アメリカの人の感情の中に、こういうことだと思うのでございますが、GNPの規模というものは、昔は日本は小っちゃくてアメリカは大きかったわけでございますが、だんだん最近アメリカは生産性も上がらぬ、GNPの世界における比率は下がってくる、片や日本はいわゆる経済的に力がつきまして、GNPというのは世界における比率は上がってくるというようなことになって、アメリカの一部の人から見れば、それに対してやっぱりある程度の感慨が私はあると思うんです。昔はあんなじゃなかったが、いまはこんなに大きくなっている、にもかかわらず防衛費の分担率を見れば、日本はGNPの一%以下しか努力していないとか、あるいは自分の国はGNPは比率は下がったけれども、軍備に使う費用はGNPに対して相当大きいというふうなことから、日本に平和憲法があるということもまあ忘れてと言っちゃなんでございますけれども、そういう感情が、もっと努力してくれと、努力しないで経済のことばかりやっているのじゃないかというような感じを持ったアメリカの人が私はいることは否定できない。そういうところからこのただ乗り論というような意見が出てくるわけでございますが、私は、こういう問題についてはもっと広い意味で、広い意味からどうやったらその世界の平和に役に立つのだ、アジアの平和というためには、日本というものがもっと軍事大国になればそれはアジアの一体平和ということにどういう影響があるのだというようなことを、いろんな広い面から私はアメリカの人も考えるべきだと、こう思うわけでございまして、アメリカ政府自体にはこういうことは全然聞かれません。
  239. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 アメリカが他国の防衛に対して協力し、いろいろな犠牲を払っている条約が幾つかありますね。NATOもそうですし、SEATOなんかなくなりましたが、韓国との間の相互防衛条約、これもそうですしね。それでそういう防衛任務を負担している幾つかの条約があります。日本の場合には、形としては非常に韓国とか台湾なんかと結んでいた条約に似ている、つまり一対一の相互防衛条約的な形をとっています。ただ、日本の場合には平和憲法がありますし、それから広島長崎の核爆弾投下なんという、両国の政治あるいは両国の国民にとって、心の中に深い傷跡のある問題もあるというような形ですから大分違いますけれども、それから大東亜戦争の場合の、太平洋戦争の場合の主要なお互いに敵国でありましたからね、違いますけれども、とにかく幾つかの条約があります。  NATOですね、たとえばNATOと一体安保条約はどういうふうに違うのかということもこれは考えておかなきゃならぬと思うのですが、とにかく日本なんかでももう簡単に西側の一員としての責任なんということを言うのですね、西側の一員としての責任なんということを、こういうことを言います。これはNATOの場合にはソ連の軍隊がなだれのように東欧からチェコあたりまで攻め込んでくると、そういう状態で、自然にこの防衛感情が出てきて、それでNATOというものが自然に成立し、アメリカもそのNATOの自然な後ろ盾になったわけですね。それで、NATOの場合は、まず第一にNATO加盟国のとにかく協力関係がまずそこにあって、それとアメリカとの協力関係がある。NATOの加盟国は、まず加盟国に対する一つの責任があるわけですね。フランスならフランスはドイツに、ドイツはフランスに、あるいはイギリスはどこにというふうに、責任があるわけですけれども、しかし日本の場合にはアメリカとの条約ですからね。だから、この西方の一員なんという言い方も、注意しないと間違える。広い意味で自由主義陣営という言葉もありますけれども、この言葉なんかも使い方にはイデオロギー対立の世界に世界を再び持ち込むという問題にもなりますしね、問題もありますけれども、しかしまあ自由主義陣営、社会主義陣営というような分け方ありましたし、それから第三世界なんという分け方もありますが、とにかく西側の一員というようなことでヨーロッパがこういう負担をしている、だから日本も西側の一員としてこういう負担をしなきゃいかぬということは、安保条約の成立とかNATOの成立とかのそういう歴史的事情を考えると、そう簡単に言っちゃいかぬことだと私は思うのですが、外務大臣はどう考えられますか。
  240. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 言葉のむずかしさでございまして、誤解を与えてはいかぬとおっしゃるのはそのとおりでございますが、やはり日米関係が基軸であって、世界でも経済あるいは政治に対して同じ理念を持っている国が協調、連帯を保っていくということは、これは私はやっぱり外交の基本的な原則だと、しかしどの地域でも、もちろん平和友好的に外交を結べるところはどんな政権とでも結んでいこうというのが基本でございますが、その場合に西側の一員と言っておりますことは、軍事的には日本はもう憲法もございまして、自分の国を守るという個別自衛権しかないということははっきりしておるのでございますから、それ以外の軍事的役割りをもちろん期待されてもそれはできない、ただ日本はあるいは経済力あるいは技術、あるいは外交努力とか、そういうもので世界の平和のために努力をしていくのだ、その場合はやはり西側の一員であるということは頭に置いてやっていく、というのが私ども考えております西側の一員ということでございまして、イランの人質の問題、あるいはアフガニスタンに対する軍事介入の問題とかありましたときも、これはまあ西側一員としてのやはり役割り、責任を果たそうじゃないかということであれは踏み切ってやったわけでございまして、物の考え方はいま言ったようなところからあれは出た発想でございまして、私どもはやっぱり西側の一員としての役割りを果たしていくということはそういう意味でございまして、軍事的にどうこうということは考えてない、こういうわけでございます。
  241. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 よくわかりますが、さっきも言われたとおり、大臣自身が、第三世界、南というものがあり、それからアジア・アフリカ大家族なんという言葉もあるんですね。そういうアジア・アフリカ大家族なんかも日本に対して非常に親近感を持っていますよ、これは、アラブなんかにしたって。そういうこともありますから、日本の経済的な繁栄の一つの条件はただ西側にいたというだけじゃなくて、アジア・アフリカ大家族から一種の親しみを持たれているということも、これも重要な要素ですからね。だからこれを忘れると日本の外交というのは非常に薄っぺらなものになりますからね。NATOというこれは条約の枠ですから、これは安保条約と違うのですね。しかし、NATOの条約の中に入っている人間は、NATOを考える場合にはこれは明らかに西側のはっきりした一員ですけれども、そういう考えをばっと日本外交全体に延長してやりますと、先ほど申し上げた南、第三世界あるいはアジア・アフリカ大家族なんというものから何か離れていく、日本が薄っぺらになりますね。これは私は十分注意しなきゃならぬと思います。  それで、ここで中国の問題にちょっと触れたいのですけれども、私どもが、安保条約が結ばれるときに、私は自民党の党員でしたけれども、二十人ほどの人たちと一緒に、その中には河野一郎さんなんかもいました、松村謙三さんだとか、そういう人もいましたけれども、特に安全保障条約のそのものより、行政協定なんですね。ほとんど占領下の行政協定をそのまま移したものであるということで採決に入らなかった、そういうことがありました。それで強行採決したと。その場合に、私どもはなぜ一体安保条約を結んでいくのかという政府側の説明その他の中に、よく中国の脅威があるということがしきりに言われましたね。中国の脅威があるということがしきりに言われたのです。それで、われわれはやっぱり当時からバンドン精神とか、平和外交とか、いろんなものがあって、それでアジア・アフリカ大家族の可能性というものを信じていましたから、中国の脅威というものはこれは防げると、こう思っていたんです。  ところが安保改定が済みまして、アメリカではケネディが当選しまして、ライシャワー氏が大使としてやってきました。それで、ライシャワー氏と中国問題についてあそこの大使館に行きましていろいろ話したことがあります。そのとき、いま思い出しますと、現在の櫻内幹事長と一緒でしたけれども、ライシャワー氏に会ったんです。そのときに、私どもが言ったのですが、アメリカはしきりに、当時はソ連の脅威はほとんど言わなくなっちゃって、中国の脅威ばかり言うけれども、しかしあなたがおっしゃるように、中国共産主義というものは、あるいは性悪の猛獣かもしらぬ、しかし地理的な地位を考えてくれ、あなた方は太平洋の向こうの遠くの方にいるのだ、われわれはもう中国大陸のすぐそばにいるので、一発で簡単にアメリカがしとめてくれるのなら中国との敵対的な関係日本は持っていてもいいけれどもアメリカがしとめるにしても一遍に殺せないだろう、その間にその猛獣が暴れて、つめやきばでひっかいたら日本というのは国民がえらい迷惑するのだからね、だからわれわれとしてはどういうことがあっても中国との関係を改善して、とにかくわれわれは太平洋の東側に移るわけにいかないのだから、だから改善してそれでやらなきゃいかぬ。現在の日中関係、日ソ関係あるいは米中関係、米ソ関係考えると夢みたいな話ですけれども、そういうふうに国際情勢というのは変わるんです。  そこで、いまこの中国の脅威のかわりにソ連の脅威が盛んに唱えられています。私どもはソ連が簡単に日本に上陸してくるなんということは考えませんけれども、しかし中国とソ連がかってのように軍事的一枚岩ということになると北方の脅威というものはこれは大きく増すわけですね。だから私は日本の本当の危機というものはどこにあるかというと、たとえばアメリカが台湾あるいは韓国政策でタカ派的なことをしてそうして中国等を刺激いたしますと、そうすると北に中ソ共同の脅威をつくり出すことになる。私はこれはいま日本の安全にとって一番危険なことであって、アメリカと共同して防衛あるいは平和のための努力をする以上は、この点はアメリカにようく理解してもらわなきゃ私は非常に困ると思いますけれども外務大臣、どう考えられますか。
  242. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 先ほどの南北問題、第三世界というものが世界の平和にとって大切であるとおっしゃるのは私は同感でございまして、そういう頭でいろんな経済協力の問題なんか考えていく、そういうつもりでございます。  それから、アジアのお話が出たわけでございますが、私はいまアジアで日中関係というものは非常に、日米関係はもちろん、日米関係、日中関係が非常に友好関係がある。米中関係も、上海の共同コミュニケ、国交正常化以来米中関係も親善関係が保たれている、維持、発展しているわけでございますので、私はこの間アメリカに行きましたときに、米中関係、日中関係あるいは日米関係と、この三極が非常に友好親善が保たれているということは、これは北東アジアの平和にとって非常に大切なことだということを私は言ったわけでございます。一々台湾とか韓国とかそういうことを、名前を出して言ったわけじゃないのですが、その日中、日米、米中ということは大切だということを言ったわけでございますが、アメリカも、ちょうど行っておりました直前にアメリカ大統領が中国の大使とも会ってそういう話をした。米中関係はひとつ従来以上に平和友好関係を維持していくのだという説明がブッシュ副大統領それからヘイグ長官からあったわけでございまして、私は従来そういう三極関係がうまくいくということでアジアの平和にとって非常に好影響であったわけでございますので、その関係が維持発展されることを期待しているという考え方でございます。
  243. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 それで中国問題もう一つあるのですが、私どもは中国との関係を打開するとき一番心配したのは賠償の問題なんですよ、本当言いますとね。当時、五百億ドル賠償を取られるとかなんとかいう話があって一いまのドルと違いますからね、値段も三百六十円なんという時代ですから。ですから、その賠償問題を非常に心配したのです。御承知のとおり、蒋介石は放棄したけれども、台湾に行ってからの放棄で、現在の中国の北京の政府、いろいろかわりましたけれども、その政府は蒋介石の賠償放棄は認めないという姿勢をとっていましたから非常に心配したのですけれども、しかしある時期からはっきり賠償は取らぬということを言い出して、それで私らも国交正常化ができると思ってやったわけです。日本の現在の経済繁栄、いろいろ原因があります。アメリカの安保条約のかさのもとに非常に軍事費がかからないで――まあしかし、それでも世界の六番目ぐらいになったというのですからそう少ないわけじゃないのだけれども――きたということが経済発展を助けた点もあります。それから、油がいろんな事情で非常に安くバレル一ドル半くらいで入ってきた、ヨーロッパやアメリカよりも非常に安く入ってきたということもあります。それからもう一つは、これは日本人の努力とか器用とかいろんなことを言う人がありますけれども、それは一応自慢になるから除いて言うと、やっぱり中国というあの戦争の日本の最大の被害者が、大陸中国という最大の被害者が賠償を取らなかったということも経済復興の大きな条件なわけですね。私はそう思います。私は、それをずっと心配してきたからよくわかるのだけれども、そう思います。  現在中国は非常におくれた条件から出発して、いろんな政治的混乱を経験しました。国家統一ということをやった、完全な独立ということをやった、それからいろんな不正というものを追放したような点はありますよ、昔の中国に比べますと、貧富の懸隔をなくなしたとかいろいろいい点はあるけれども、非常におくれた社会で出発していますから、経済発展段階は非常に低いわけです。そこから出発している中国が、ともかく実際的な方法で近代化をしようとしているんだから、私は、これは日本なんかがいわゆる軍事力以外の点で貢献する一番のいい方法は、やっぱり中国なんかの安定に努力することであるというふうに思いますね。これはアメリカなんかによく話していただいて、そういう意味というものは十分理解させる必要が私はあると思いますが、外務大臣、どう考えられるのか。
  244. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 中国の問題は、賠償の問題は、いま宇都宮さんからお話があったんですが、これはまあ終わっていることでございますから、このことは別にしまして、中国が近代化に非常に努力をしているということはいまの政治体制、鄧小平という人をトップにしました体制のもとで近代化をやっているということでございますので、日本としましてはやっぱり日中関係というものは、これは先ほど防衛のことからもお話しになりましたが、いろんな面できわめて日中平和友好を続けていくということは大切なことでございますので、日本としましては中国の近代化ということにできるだけの協力をしていくというのが基本的な考え方でございまして、軍事的な協力というのはこれはもうできないということははっきりしているのでございますから、経済的な協力とか技術とか、あるいは文化の問題とかいろんな面で、ひとつお互いが交流もし、そして日本ができることは協力していく、中国も開放体制ということを今度はやっておりますので、従来とそういうところも違ってきておりますから、日本としては、先ほど言いましたような考え方で日中平和友好、友好関係の維持発展ということに努めるという考え方でございます。
  245. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 最後に一問だけ簡単にしますけれども、平和のためのこの防衛力充実以外の努力はいろいろありますけれども、やはり国連なんかの活動、国連における活動とかがありますが、そういうことのために国連局というものもありますし、それからやっぱり軍縮の先頭に日本の政治なんかが立つということは非常に私はいいことだと思って、それで国際軍縮促進議員連盟というものを同志と一緒につくろうと思っているのですが、そういうことと同時に、役所の段階では軍縮課という課がありますよ、大臣御存じかどうか知らぬけれども。非常に大きな仕事なんだけれども、これは十人くらいしかいないんですね。これは平和のための活動を日本の政治が積極的にやるという点から言いますと非常に重要な機能を持った部局が小さい。アメリカあたりでは軍縮庁なんてのは二百人ぐらいいますけれども、非常に小さいと思いますが、まあ簡単にお答え願います。
  246. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 軍縮の問題は私は非常に重要な問題だというふうに考えております。先生のおっしゃることと大体私も似た考えで、この間から外務省の中でももう少し軍縮課というものを充実する必要があるのじゃないかということを私も中で言っているので、まだ実現はしませんけれども、軍縮という問題が非常に重要な問題で、もっともっと日本はそれに一生懸命取り組むことが大切だということは私自身もそういう考えでございますので、今後ともこの問題についてもっと積極的に取り組んでいくという考えでやってまいりたいと思っております。
  247. 宇都宮徳馬

    宇都宮徳馬君 どうもありがとうございました。
  248. 山田勇

    ○山田勇君 大臣原潜の問題についてお尋ねいたしますが、きょうの十二時のNHKニュースを見ておりますと、調査内容三十日以内に決着をつけて日米首脳会談までに決着というふうなニュースが出ておりましたが、三十日以内という日数が出ておりますが、これは何か外務省の方からの報道でございましょうか。
  249. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私どもも新聞に、そういうことが出たということを、話を聞いたものですから、大使館を通していろいろ照会をしているんですが、向こうから正式に三十日以内に出すというようなことを発表したということはないということでございます。ただ個人的に、あるいはそういう気持ちといいますか、希望といいますか、そういうことが何か流れたことがあるのだというようなことは言ってきております。また人によっては、そんなに長くかかるのかということを中で言っている人もありというふうなことで、まだ具体的に何日以内というふうなことは聞いていませんが、きょうもロング司令官あるいはマンスフィールド大使に後ほど会いますから、その辺のところももう少し確かめてみたいというふうに思っております。
  250. 山田勇

    ○山田勇君 いま日本の国内の中に対ソ脅威論という論議が非常に行われております。それと同時に、今回の事件で国民感情的にやはりもやもやとしたものが残っているとすれば、恐らくアメリカからいざとなれば見捨てられてしまう論というのがあるのではないかというふうに思います。  そこで、先ほど午前中、午後を通じてのいろんな質疑の中で調査の段階を待たないとわからないということですが、大臣は強硬に是は是、否は否として交渉するということを力強く先ほどから御答弁をなさっておられますが、私は、ソ連外交の中でいつもよく言われるように一ソ連人と外交交渉するときは強く出ていかないといけない。弱いとあくまで向こうはかさにかかってくるというようなことをよく言われますが、ぼくはアメリカ人にでもそのことは言えるのではないかというふうに思います。  時間がありません。ぼくはあと一問ぐらいで終わりますが、あと大臣の日程もあるそうですが、ですから、先ほど来宮崎議員が、郵政業務のことについて聞いたときに、大臣がそこで秘書官をすぐ呼ばれて、郵政大臣にこれを伝えにゃいかぬから君すぐメモしなさいという、ぼくは見ていて大変気持ちのいい、誠意のある大臣の姿勢に非常にぼくは敬服していたんです。それは聞き流して、それで伝えますと言えばいいんですが、秘書官にメモしなさい、すぐ、それで、忘れていたら大臣に言いなさいよというようなことを言っておられまして、大変ぼく見ていて感激をしておりました。それだけりっぱな大臣が責任を持って対米交渉をやるのだということについてもうこれ以上私も聞きませんし、聞いても同じ御答弁になろうかと思いますが、ひとつ強い姿勢をもって考えて交渉していただきたい。同時に、大臣が最初の報告のときに、生存を云々という形で言われました。この二名はもうすでに死亡したかのように言われておりますが、これに対する救助対策というのは現在もなお行われておりますか。
  251. 大塚正名

    政府委員大塚正名君) お答えいたします。  きょう現在も捜索活動を継続中でございます。
  252. 山田勇

    ○山田勇君 万国郵便連合一般規則など一連の承認に関して、国際交流、国際協力の維持、増進の観点からこれは大変結構なことですし、問題はないと考えますが、御質問をいたします。  わが国の万国郵便連合に対する分担金、分担金等級は最高額を負担しているようですが、その金額は幾らぐらいですか。また、どうして最高の負担額をやっておられるのですか。
  253. 永野明

    説明員永野明君) ただいま御指摘のように、わが国の分担の等級は五十単位ということで最高の分担等級を受け持っておりますが、これを金額にいたしますと、昭和五十四年の経費につきまして申し上げますと、約一億二千百万円ということになっております。五十単位をとっております国を申し上げますと、わが国のほかは米国、カナダ、フランス、英国、西ドイツ、中華人民共和国ということで、わが国を入れまして七カ国がこれをとっておるわけでございます。  で、五十単位という最高の単位を選んでいる理由でございますが、選ぶこと自体につきましては各国の任意ということになっておりまして、わが国任意の立場で選ぶわけでございますが、まあUPUの連合はそもそも国際連合の専門機関の一つでありますので、わが国がこれに応分の寄与をしていくということは必要であろうということ。それから、UPUの連合におきまして従来わが国は指導的な役割りを果たしてまいっておりまして、UPUの諸活動からも少なからぬメリットを受けておるというようなこと。また、わが国と類似の経済力を有する主要先進国の動向、先ほど申し上げました、そういった国の動向等も勘案いたしまして、五十単位の等級を分担するのが適当であるということでこれを申し出ているわけでございます。
  254. 山田勇

    ○山田勇君 終わります。
  255. 秦野章

    委員長秦野章君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  256. 秦野章

    委員長秦野章君) 速記を起こしてください。     ―――――――――――――
  257. 秦野章

    委員長秦野章君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、戸叶武君が委員辞任され、その補欠として坂倉藤吾君が選任されました。     ―――――――――――――
  258. 秦野章

    委員長秦野章君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  259. 秦野章

    委員長秦野章君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、小包郵便物に関する約定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  260. 秦野章

    委員長秦野章君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  261. 秦野章

    委員長秦野章君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。次に、郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  262. 秦野章

    委員長秦野章君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、日本国グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の郵便支払指図交換に関する約定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  263. 秦野章

    委員長秦野章君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、五件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 秦野章

    委員長秦野章君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  265. 秦野章

    委員長秦野章君) 次に、日本国政府オランダ王国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、日本国政府ギリシャ共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、アフリカ開発銀行を設立する協定締結について承認を求めるの件、一次産品のための共通基金を設立する協定締結について承認を求めるの件、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定締結について承認を求めるの件、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十年の議定書締結について承認を求めるの件、南極の海洋生物資源保存に関する条約締結について承認を求めるの件、渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府中華人民共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、以上九件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。伊東外務大臣
  266. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) ただいま議題となりました日本国政府オランダ王国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  オランダ王国は、地理的にはわが国から遠く離れておりますが、歴史的に見ますと、徳川幕府の鎖国政策にもかかわらず、長崎の出島を通じて流入した蘭学がその後の日本の近代化に大きな役割りを果たしたように、両国間には古くから芸術交流、人物交流等種々の分野で交流が行われてきた深い歴史的な関係があります。このような両国間の文化の面における伝統的、歴史的な関係にもかんがみまして、オランダ王国との間に文化協定を締結することは、両国間の相互理解と友好関係の一層の強化に資するものと考えられましたので、政府は、オランダ王国政府との間でこの協定締結交渉を行いました結果、ファン・アフト・オランダ王国首相の訪日の際、昭和五十五年四月二十二日に東京において、当時内閣官房長官の職にありました本大臣外務大臣臨時代理として先方カウフマン駐日オランダ王国大使との間でこの協定の署名を行った次第であります。  この協定の内容は、戦後わが国締結した各国との文化協定と同様、文化及び教育の各分野における両国間の交流を奨励し、促進することを規定しております。  この協定締結により、両国間の文化交流が今後一層促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第でございます。  次に、日本国政府ギリシャ共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国とギリシャ共和国は、ともに古い歴史と文化遺産を有する国であり、両国間ではこれまでも種々の分野において文化交流が行われてきております。ギリシャ共和国は、従来からわが国との文化協定の締結に熱意を示してきておりましたが、わが国としましても、西洋文明の発祥の地であり、文化遺産に恵まれたギリシャ共和国との間の文化交流をさらに促進することは、意義の深いことであり、また、両国間の関係緊密化に寄与するものと考えられましたので、政府は、ギリシャ共和国政府との間の文化協定を締結するための交渉を行いました結果、昭和五十六年三月四日にアテネにおいて、わが方長谷川駐ギリシャ共和国大使と先方ミツォタキス外務大臣との間でこの協定の署名を行った次第であります。  この協定の規定内容は、同じく今国会締結のための御承認をお願いいたしておりますオランダ王国政府との文化協定と同様であります。  この協定締結により、両国間の文化関係に基本的な枠組みが与えられ、ギリシャ共和国との文化交流が今後一層安定した基礎の上に促進されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、アフリカ開発銀行を設立する協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  アフリカ開発銀行は、アフリカ諸国の経済開発及び社会的進歩に審与することを目的として昭和三十九年に設立されました。以後、同銀行は、アフリカ諸国のみを加盟国として、地域開発金融機関としての実績を着実に重ねてきましたが、アフリカ諸国の同銀行に対する資金需要の増大に伴い、加盟資格を域外国にも開放することによってその資本の増額を図ることを決定し、わが国を初めとする域外国と交渉を行ってまいりました。この交渉の結果を踏まえて、同銀行は、昭和五十四年五月、域外国の加盟を可能とするため、協定の改正、域外国の加盟を規律する一般規則及び域外国の加盟に関連する授権資本の増額を総務会決議として採択いたしました。わが国を初めとする域外国は、一般規則に定める条件に従ってこの協定締結することにより同銀行の加盟国となることができるものであります。  この協定は、銀行の設立、その目的、資本、業務、組織及び運営、特権及び免除等について規定しており、また、域外国の加盟を規律する一般規則は、域外国の加盟手続、資本に対する応募額、応募額の払込方法等について規定しております。  わが国がこの協定締結し、アフリカ諸国の開発に重要な役割りを果たしているアフリカ開発銀行に加盟することは、開発途上国に対する経済協力に関し、国際社会において重要な役割りを果たさんとするわが国の外交政策に合致するものであり、また、わが国とアフリカ諸国との友好関係を促進する見地からも有益であると考えられます。  ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、一次産品のための共通基金を設立する協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  昭和四十八年の石油危機を契機とした一次産品問題に対する国際的な関心の高まりを背景として昭和五十一年に開催された国際連合貿易開発会議の第四回総会におきまして、一次産品価格の安定を目的とした一次産品総合計画が採択されました。  一次産品のための共通基金は、一次産品総合計画の目的を達成するための中心的な機関となるものでありまして、同計画のもとで交渉が行われた結果、昭和五十五年六月二十七日にこの協定が採択された次第であります。本年一月二十日現在、この協定は、まだ効力を生じておりません。  この協定は、基金の任務として、一次産品の緩衝在庫の業務を行う国際商品機関に対し在庫の業務のための貸し付けを行うこと並びに一次産品の分野における研究及び開発、生産性の向上等に関する措置のための貸し付け及び贈与を行うこと等について定めております。  わが国がこの協定締結することは、国際商品機関等の活動を通ずる一次産品の価格の安定及び一次産品の安定的な供給を確保することに寄与することが期待されます。また、南北問題の解決のための努力に対するわが国の積極的な協力姿勢を示す上でも重要な意義があると考えられます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第でございます。  次に、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  昭和五十二年八月クアラルンプールで開催されました日本ASEAN首脳会議において、わが国ASEAN産品の対日輸出促進のため常設ASEAN貿易観光展示場の東京設置を含む措置をとる用意のあることを表明して以来、わが国ASEAN構成国との間においてASEAN貿易投資観光促進センターの設立につき検討が行われてまいりました。この協定の案文については、昨年十二月合憲を見るに至り、同十二月二十二日東京でこの協定への署名が行われました。  この協定は、わが国ASEAN構成国との間の貿易、投資及び観光を促進するための機関として東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを東京に設立することとし、同センターの目的、活動、組織、財政並びに同センターの享受する特権及び免除等を規定したものであります。  本年一月の鈴木総理大臣ASEAN訪問におきましても、鈴木総理大臣ASEAN各国首脳は、緊密な日本ASEAN関係はアジアの平和と安定の維持に貢献することを確信し、諸般の協力を推進することにつき合意し、特に、同センターが日本ASEAN間の経済関係の一層の発展に貢献することへの期待を表明しております。  わが国がこの協定締結することにより同センターに加盟することは、鈴木総理大臣ASEAN訪問において明らかにされた日本ASEAN双方の意向に沿うものであり、また、ASEAN構成国との友好関係を一層促進する見地からも有益であると認められます。  ここに、この協定締結について御承認を求める次第でございます。  次に、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十年の議定書締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この議定書は、昭和三十二年にわが国アメリカ合衆国、カナダ及びソビエト連邦の四カ国により締結され、昭和五十五年十月十三日まで効力を有していた北太平洋のおっとせい資源の保存に関する暫定条約に所要の改正を施した上でこれを適用することを内容とするものであり、昭和五十五年十月十四日にワシントンにおいて前述の四カ国により署名されました。  この議定書は、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約に定めるオットセイ資源の有効な保存措置を決定するための科学的調査の実施、この調査の実施を含む同条約の目的の達成のための商業的海上猟獲の禁止、その禁止の代償としての陸上猟獲されたオットセイの獣皮の分配等の枠組みを維持していくことを可能とするものであります。  この議定書締結することは、オットセイ資源の適正な管理方法についての最終的な結論を得るには至っていない現状において、関係国の協力のもとに行われる科学調査の結果を待って海洋資源の適正な管理方法を見出すべきであるとのわが国の基本的立場に沿ったものであると考えます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  次に、南極の海洋生物資源保存に関する条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  南極周辺の海域においてはこれまで捕鯨以外に見るべき漁業はありませんでしたが、近年、わが国などが同海域に存在するオキアミの商業的漁業あるいは底魚の試験的操業を開始したとともあり、南極周辺の海域は、動物性たん白質の供給という観点から世界的な注目を集めるに至りました。他方でオキアミ等の採捕が南極の海洋生物資源全体の生態系に影響を及ぼすとの意見もあり、南極条約協議国の間で、南極の海洋生物資源保存に関する条約を作成する必要性が認識されるに至り、数次の条約作成交渉を経て昭和五十五年五月二十日にキャンベラにおいてこの条約が採択されました。この条約は本年二月一日現在未発効でありますが、条約採択のための外交会議に参加したわが国を含む十五カ国はすべて署名を了しています。  この条約は、南極の海洋生物資源の合理的利用を図りつつ当該資源を保存するために、保存に関する原則、保存措置を作成するための機構の設置及び分担金等について定めたものであります。  この条約締結することは、南極の海洋生物資源保存のための国際協力へのわが国の積極的な姿勢を示すこと及び当該資源の適切な保存及び合理的利用を確保することに資するものと考えられます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第でございます。  次に、渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府中華人民共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、中国との間に渡り鳥及びその生息環境の保護に関する協定締結するため、中国政府と交渉を行いました結果、昭和五十六年三月三日に北京において、わが方吉田駐中国大使と先方雍文濤林業部長との間でこの協定の署名を行った次第であります。  この協定は、本文六カ条及び付表から成っておりますが、その主な内容は、次のとおりであります。  日中間の渡り鳥につきましては、まず、日中両国政府がその捕獲及びその卵の採取を原則として禁止するとともに、不法に捕獲された渡り鳥、その加工品等の販売、購入等も禁止するものとしております。さらに、両国政府は、渡り鳥の研究資料の交換等を奨励することとし、また、渡り鳥及びその生忠環境の保護及び管理のため、保護区の設定その他の適当な措置をとることとしております。  また、この協定の付表は、日中間の渡り鳥として二百二十七の鳥類の種を掲げております。  鳥類及びその生息環境の保護に関する国際協力の機運は、近年とみに高まりつつありますが、この協定締結は、日中間の渡り鳥の保護を確実なものとするのみならず、日中両国において、鳥類保護に対する関心を一層深めることに寄与するものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第でございます。  最後に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。  改正の第一は、在外公館の設置関係であります。今回新たに設置しようとするのは、大使館二館であります。その一は、他の国に駐在するわが方大使をして兼轄させるものでありまして、大洋州のヴァヌアツに設置するものであります。同国は、昨年英仏両国の共同統治下から独立したものであります。他方は、昨年四月に独立した旧英領南ローデシアのジンバブェに設置するものであります。これは、同国の重要性にかんがみ実際に事務所を開設し、在外職員を駐在させる実館であります。  改正の第二は、現在ブラジルにある在マナオス領事館を総領事館に昇格させるものであります。  改正の第三は、これらの在外公館に勤務する在外職員の在勤基本手当の額を定めるものであります。  改正の第四は、最近の為替相場の変動、物価上昇等を勘案して既設の在外公館に勤務する在外職員の在勤基本手当の額を改定するものであります。  最後の改正点は、研修員手当の額を改定するものであります。  なお、本法律案昭和五十六年四月一日に施行されることを想定しておりましたが、これが実施されませんでしたので、所要の調整を行うため、衆議院においてその附則の一部修正――日でございますが、附則の一部が修正されましたので、申し添えます。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概要であります。  以上九件につき、御審議の上何とぞ速やかに御賛同あらんことをお願いいたす次第でございます。
  267. 秦野章

    委員長秦野章君) 以上で趣旨説明は終わりました。  九件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会      ―――――・―――――