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国務大臣(
伊東正義君) ただいま議題となりました
日本国政府と
オランダ王国政府との間の
文化協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして、
提案理由を御
説明いたします。
オランダ王国は、地理的には
わが国から遠く離れておりますが、歴史的に見ますと、徳川幕府の鎖国政策にもかかわらず、長崎の出島を通じて流入した蘭学がその後の
日本の近代化に大きな役割りを果たしたように、両国間には古くから芸術交流、人物交流等種々の分野で交流が行われてきた深い歴史的な
関係があります。このような両国間の
文化の面における伝統的、歴史的な
関係にもかんがみまして、オランダ王国との間に
文化協定を
締結することは、両国間の相互理解と
友好関係の一層の強化に資するものと
考えられましたので、
政府は、
オランダ王国政府との間でこの
協定の
締結交渉を行いました結果、ファン・アフト・オランダ王国首相の訪日の際、
昭和五十五年四月二十二日に東京において、当時内閣官房長官の職にありました本
大臣が
外務大臣臨時代理として先方カウフマン駐日オランダ王国
大使との間でこの
協定の署名を行った次第であります。
この
協定の内容は、戦後
わが国が
締結した各国との
文化協定と同様、
文化及び教育の各分野における両国間の交流を奨励し、促進することを規定しております。
この
協定の
締結により、両国間の
文化交流が今後一層促進されるものと期待されます。
よって、ここに、この
協定の
締結について御
承認を求める次第でございます。
次に、
日本国政府と
ギリシャ共和国政府との間の
文化協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして、
提案理由を御
説明いたします。
わが国とギリシャ共和国は、ともに古い歴史と
文化遺産を有する国であり、両国間ではこれまでも種々の分野において
文化交流が行われてきております。ギリシャ共和国は、従来から
わが国との
文化協定の
締結に熱意を示してきておりましたが、
わが国としましても、西洋文明の発祥の地であり、
文化遺産に恵まれたギリシャ共和国との間の
文化交流をさらに促進することは、意義の深いことであり、また、両国間の
関係緊密化に寄与するものと
考えられましたので、
政府は、
ギリシャ共和国政府との間の
文化協定を
締結するための交渉を行いました結果、
昭和五十六年三月四日にアテネにおいて、わが方長谷川駐ギリシャ共和国
大使と先方ミツォタキス
外務大臣との間でこの
協定の署名を行った次第であります。
この
協定の規定内容は、同じく今
国会に
締結のための御
承認をお願いいたしております
オランダ王国政府との
文化協定と同様であります。
この
協定の
締結により、両国間の
文化関係に基本的な枠組みが与えられ、ギリシャ共和国との
文化交流が今後一層安定した基礎の上に促進されることが期待されます。
よって、ここに、この
協定の
締結について御
承認を求める次第であります。
次に、
アフリカ開発銀行を設立する
協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして
提案理由を御
説明いたします。
アフリカ開発銀行は、アフリカ諸国の経済開発及び社会的進歩に審与することを目的として
昭和三十九年に設立されました。以後、同銀行は、アフリカ諸国のみを加盟国として、
地域開発金融機関としての実績を着実に重ねてきましたが、アフリカ諸国の同銀行に対する資金需要の増大に伴い、加盟資格を域外国にも開放することによってその資本の増額を図ることを決定し、
わが国を初めとする域外国と交渉を行ってまいりました。この交渉の結果を踏まえて、同銀行は、
昭和五十四年五月、域外国の加盟を可能とするため、
協定の改正、域外国の加盟を規律する一般規則及び域外国の加盟に関連する授権資本の増額を総務会
決議として採択いたしました。
わが国を初めとする域外国は、一般規則に定める条件に従ってこの
協定を
締結することにより同銀行の加盟国となることができるものであります。
この
協定は、銀行の設立、その目的、資本、
業務、組織及び運営、特権及び免除等について規定しており、また、域外国の加盟を規律する一般規則は、域外国の加盟手続、資本に対する応募額、応募額の払込方法等について規定しております。
わが国がこの
協定を
締結し、アフリカ諸国の開発に重要な役割りを果たしている
アフリカ開発銀行に加盟することは、開発途上国に対する経済協力に関し、国際社会において重要な役割りを果たさんとする
わが国の外交政策に合致するものであり、また、
わが国とアフリカ諸国との
友好関係を促進する見地からも有益であると
考えられます。
ここに、この
協定の
締結について御
承認を求める次第であります。
次に、一次産品のための
共通基金を設立する
協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして
提案理由を御
説明いたします。
昭和四十八年の石油危機を契機とした一次産品問題に対する国際的な
関心の高まりを背景として
昭和五十一年に開催された国際連合貿易開発
会議の第四回総会におきまして、一次産品価格の安定を目的とした一次産品総合計画が採択されました。
一次産品のための
共通基金は、一次産品総合計画の目的を達成するための中心的な機関となるものでありまして、同計画のもとで交渉が行われた結果、
昭和五十五年六月二十七日にこの
協定が採択された次第であります。本年一月二十日現在、この
協定は、まだ効力を生じておりません。
この
協定は、基金の任務として、一次産品の緩衝在庫の
業務を行う国際商品機関に対し在庫の
業務のための貸し付けを行うこと並びに一次産品の分野における研究及び開発、生産性の向上等に関する措置のための貸し付け及び贈与を行うこと等について定めております。
わが国がこの
協定を
締結することは、国際商品機関等の活動を通ずる一次産品の価格の安定及び一次産品の安定的な供給を確保することに寄与することが期待されます。また、南北問題の解決のための
努力に対する
わが国の積極的な協力姿勢を示す上でも重要な意義があると
考えられます。
よって、ここに、この
協定の
締結について御
承認を求める次第でございます。
次に、
東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する
協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして
提案理由を御
説明いたします。
昭和五十二年八月クアラルンプールで開催されました
日本・
ASEAN首脳
会議において、
わが国が
ASEAN産品の対日輸出促進のため常設
ASEAN貿易観光展示場の東京設置を含む措置をとる用意のあることを表明して以来、
わが国と
ASEAN構成国との間において
ASEAN貿易投資観光促進センターの設立につき検討が行われてまいりました。この
協定の案文については、昨年十二月合憲を見るに至り、同十二月二十二日東京でこの
協定への署名が行われました。
この
協定は、
わが国と
ASEAN構成国との間の貿易、投資及び観光を促進するための機関として
東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを東京に設立することとし、同センターの目的、活動、組織、財政並びに同センターの享受する特権及び免除等を規定したものであります。
本年一月の
鈴木総理大臣の
ASEAN訪問におきましても、
鈴木総理大臣と
ASEAN各国首脳は、緊密な
日本・
ASEAN関係はアジアの平和と安定の維持に貢献することを確信し、諸般の協力を推進することにつき合意し、特に、同センターが
日本・
ASEAN間の経済
関係の一層の発展に貢献することへの期待を表明しております。
わが国がこの
協定を
締結することにより同センターに加盟することは、
鈴木総理大臣の
ASEAN訪問において明らかにされた
日本・
ASEAN双方の意向に沿うものであり、また、
ASEAN構成国との
友好関係を一層促進する見地からも有益であると認められます。
ここに、この
協定の
締結について御
承認を求める次第でございます。
次に、
北太平洋のおっとせいの
保存に関する
暫定条約を改正する千九百八十年の
議定書の
締結について
承認を求めるの件につきまして
提案理由を御
説明いたします。
この
議定書は、
昭和三十二年に
わが国、
アメリカ合衆国、カナダ及びソビエト連邦の四カ国により
締結され、
昭和五十五年十月十三日まで効力を有していた
北太平洋のおっとせい資源の
保存に関する
暫定条約に所要の改正を施した上でこれを適用することを内容とするものであり、
昭和五十五年十月十四日に
ワシントンにおいて前述の四カ国により署名されました。
この
議定書は、
北太平洋のおっとせいの
保存に関する
暫定条約に定めるオットセイ資源の有効な
保存措置を決定するための科学的
調査の実施、この
調査の実施を含む同
条約の目的の達成のための商業的
海上猟獲の禁止、その禁止の代償としての陸上猟獲されたオットセイの獣皮の分配等の枠組みを維持していくことを可能とするものであります。
この
議定書を
締結することは、オットセイ資源の適正な管理方法についての最終的な結論を得るには至っていない現状において、
関係国の協力のもとに行われる科学
調査の結果を待って海洋資源の適正な管理方法を見出すべきであるとの
わが国の基本的
立場に沿ったものであると
考えます。
よって、ここに、この
議定書の
締結について御
承認を求める次第であります。
次に、南極の
海洋生物資源の
保存に関する
条約の
締結について
承認を求めるの件につきまして
提案理由を御
説明いたします。
南極周辺の
海域においてはこれまで捕鯨以外に見るべき漁業はありませんでしたが、近年、
わが国などが同
海域に存在するオキアミの商業的漁業あるいは底魚の試験的操業を開始したとともあり、南極周辺の
海域は、動物性たん白質の供給という観点から世界的な注目を集めるに至りました。他方でオキアミ等の採捕が南極の
海洋生物資源全体の生態系に
影響を及ぼすとの
意見もあり、南極
条約協議国の間で、南極の
海洋生物資源の
保存に関する
条約を作成する必要性が認識されるに至り、数次の
条約作成交渉を経て
昭和五十五年五月二十日にキャンベラにおいてこの
条約が採択されました。この
条約は本年二月一日現在未発効でありますが、
条約採択のための外交
会議に参加した
わが国を含む十五カ国はすべて署名を了しています。
この
条約は、南極の
海洋生物資源の合理的利用を図りつつ当該資源を
保存するために、
保存に関する原則、
保存措置を作成するための機構の設置及び分担金等について定めたものであります。
この
条約を
締結することは、南極の
海洋生物資源の
保存のための国際協力への
わが国の積極的な姿勢を示すこと及び当該資源の適切な
保存及び合理的利用を確保することに資するものと
考えられます。
よって、ここに、この
条約の
締結について御
承認を求める次第でございます。
次に、渡り鳥及びその
生息環境の保護に関する
日本国政府と
中華人民共和国政府との間の
協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして、
提案理由を御
説明いたします。
政府は、中国との間に渡り鳥及びその
生息環境の保護に関する
協定を
締結するため、中国
政府と交渉を行いました結果、
昭和五十六年三月三日に北京において、わが方吉田駐中国
大使と先方雍文濤林業部長との間でこの
協定の署名を行った次第であります。
この
協定は、本文六カ条及び付表から成っておりますが、その主な内容は、次のとおりであります。
日中間の渡り鳥につきましては、まず、日中両国
政府がその捕獲及びその卵の採取を原則として禁止するとともに、不法に捕獲された渡り鳥、その加工品等の販売、購入等も禁止するものとしております。さらに、両国
政府は、渡り鳥の研究資料の
交換等を奨励することとし、また、渡り鳥及びその生忠環境の保護及び管理のため、保護区の設定その他の適当な措置をとることとしております。
また、この
協定の付表は、日中間の渡り鳥として二百二十七の鳥類の種を掲げております。
鳥類及びその
生息環境の保護に関する国際協力の機運は、近年とみに高まりつつありますが、この
協定の
締結は、日中間の渡り鳥の保護を確実なものとするのみならず、日中両国において、鳥類保護に対する
関心を一層深めることに寄与するものと期待されます。
よって、ここに、この
協定の
締結について御
承認を求める次第でございます。
最後に、
在外公館の名称及び位置並びに
在外公館に勤務する
外務公務員の給与に関する
法律の一部を改正する
法律案について御
説明いたします。
改正の第一は、
在外公館の設置
関係であります。今回新たに設置しようとするのは、
大使館二館であります。その一は、他の国に駐在するわが方
大使をして兼轄させるものでありまして、大洋州のヴァヌアツに設置するものであります。同国は、昨年英仏両国の共同統治下から独立したものであります。他方は、昨年四月に独立した旧英領南ローデシアのジンバブェに設置するものであります。これは、同国の
重要性にかんがみ実際に事務所を開設し、在外職員を駐在させる実館であります。
改正の第二は、現在ブラジルにある在マナオス領事館を総領事館に昇格させるものであります。
改正の第三は、これらの
在外公館に勤務する在外職員の在勤基本手当の額を定めるものであります。
改正の第四は、最近の為替相場の変動、物価上昇等を勘案して既設の
在外公館に勤務する在外職員の在勤基本手当の額を改定するものであります。
最後の改正点は、研修員手当の額を改定するものであります。
なお、本
法律案は
昭和五十六年四月一日に施行されることを想定しておりましたが、これが実施されませんでしたので、所要の調整を行うため、
衆議院においてその附則の一部修正――日でございますが、附則の一部が修正されましたので、申し添えます。
以上が、この
法律案の
提案理由及びその内容の概要であります。
以上九件につき、御審議の上何とぞ速やかに御賛同あらんことをお願いいたす次第でございます。