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秦野章君 ある意味では時期が来たのではないかという
感じも、中国の事情等も見て思わぬではないわけで、ひとつこれは前向きに検討してもらったらどうかという気がするんですけれ
どもね。
それから、時間がなくなりましたから最後に要望なんですけれ
ども、また別の機会にいろいろ提案もしたいと思いますが、
日本の安全保障の問題で、もちろん専守
防衛の自衛力も着実な前進を図らにゃいかぬと私
ども思っていますが、何せ安全保障はいろんな角度から攻めていかなきゃならぬ。そういうことで、何ほどの効果があるかは必ずしも測定しがたいけれ
ども、去年私はウィーンへ行ってつくづく思ったんですが、国連の機能というものを一生懸命ウィーンが
自分の国に引っ張り込んでいる。国連ニュータウンをつくって大分
——ワルトハイムがあそこの出身だというあれもあるのですけれ
ども、まああそこは永世中立国を条約で保障されているから
日本の立場とは違う。
日本の立場とは違うけれ
ども、
日本も米ソの谷間みたいなところにおって、西側社会に属するけれ
どもなかなか
日本が平和と安全に生存を全うするということは難行だと思うんですよね。その難行を何としても打開していかなきゃならぬという一つの試みとしては、国連の機能を
日本に持ってくるということ、これはウィーンのようにはいかぬと思いますけれ
ども、アジアではバンコクとかフィリピンとかに、それから
日本にも若干の国連大学その他統計
機関みたいなものはあるんですけれ
ども、統計を見ると毎年のように国連の機能がふえているんですよね、いろんなことをやる。平和維持機能は必ずしも十分でないが、それ以外の機能ではだんだんふえているから、そういう国連の機能を
日本に持ってくる、誘致する。そしてアジアの国連センターを
日本につくるぐらいの意気込みでね、これは安全保障政策だと思うんですよ。だから国連のアジア・センターが
日本にあるということは、アジアの先進国としておかしくはないし、アジアは人口で言うならば、アフガンを入れる入れないはともかくとして、パキスタンぐらいまで入れて
大方世界人口の五割はあるわけですよ。だからその中の先進国といったら
日本だけだから、国連ニュータウンをつくろうと思えばできないことはないだろう。そういう一種の安全保障政策というものは比較的金のかからない安全保障費ではないのか、その辺のところにナショナルプロジェクトとして取り組むぐらいの意気込みがあってしかるべきであろう、まあ効果がどの程度あるかはともかくとして。しかし、国連の機能というものは何といったってこれはほかにないんですよ。
世界政府だの何だかんだと言ったって、そんなものなかなかできませんからね。だからいまの国連の中のいろんな機能が出てくる、あるいはいまあるニューヨークの機能でも
日本へ持ってこれるものは持ってきちゃっていいじゃないか。
日本に来れば家賃がただだよ、職員の宿舎もつくりましょうというので、何かこう金で買うような話になるけれ
ども、しかし、金もそういうときには出さなきゃだめですから、いま国連負担金が百何億の負担金ですけれ
ども、まあ、先進国
日本、
経済大国
日本が国連で百億ばかり出しとったって大したことないんだ、思い切ったそういう
方向への投資をして国連のアジア・センターは
日本だと、東京あるいは
日本のどこかに、沖繩でもどこでもいいや、そこにこういう機能が来るようにするというふうにして、そこに一つの
日本の誘致運動というか、活発なそういうものをやっていく、これはかなりいける可能性もあるのではないか。この間国連へ行っておった緒方さんの話もちょっと聞いてみたら、やっぱり可能性はないことはないだろう、ありましょうよと、こう言ってましたよ。それは一人の
意見を聞いたからといってどうってことない、いまあるものを持ってくるというのは大変だけれ
ども、あるものでも持ってこれるものがないとは限らない。国際
会議場が当然要るわけですよね。国際
会議場はニューヨークの国際
会議場を除けば、マニラなんかもちょっとつくったようですけれ
ども、大したものでないというのが評判でございます。国際
会議場なんていうのはすばらしいのをつくるという腕前は
日本にはあるわけですから、何かひとつ
外務省で
推進力になって、これは国の、
政府のナショナルプロジェクトとして、そのくらいの
方向に踏み出すということが
日本の置かれた立場、その立場から出てくる広い意味での安全保障政策、そういうことで私はぜひやってほしいとかねがね思っているんですけれ
ども、きょうは具体的に詰める時間がないんですよね。ウィーンなんかの実情を私も見てきましたけれ
ども、これはやっぱり見事だと思うんですよ。ウィーンの国際環境と
日本の国際環境は違いますけれ
ども、機能によっては可能性もあるし、
理解も得られるだろうというふうに思いますので、これは前向きな検討課題としてひとつ取り上げてもらいたいんですがね。ここで言うだけじゃとてもこれは問題が大き過ぎるんですけれ
ども、このことを最後に提案をし、もし外務
大臣御
意見あったら伺って、私の質問を終わります。