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国務大臣(
伊東正義君) 今度
ヨーロッパへ参りましたのは、先ほどお答えしましたように、
アメリカとは比較的いろんな面で、人事交流でございますとか
政治的な
話し合いとか多かったわけでございますが、
ヨーロッパとは比較的薄かった。ことしの春、イランの問題で大来
外務大臣が
ヨーロッパへ行って、向こうの
ECの外相といろいろ打ち合わせたということをですね、
ヨーロッパは非常に高く評価しておりまして、いろんな向こうの外相会議の
模様等は逐一
日本側にその後は連絡をしてくれるというふうなことで、非常に
日欧の
関係がだんだん距離が狭くなってきたということは確かでございますし、
日米、
米欧、
日欧というこの三極
関係がいろんな問題で協調していくことが、
世界の平和あるいは経済の
繁栄に必要だという
考え方を持ちまして私参りまして、ほとんどの国の大統領、首相、
外務大臣、全部会って
意見の交換をしたわけでございます。
政治上の問題につきましては、余り
意見の違いはございませんでした。対ソの問題でございますとか、あるいは
中東の和平の問題でございますとか、各般にわたって
意見の交換をしたわけでございますが、
政治的には余り違いはない。もっとまた密接にお互いに連絡をとろう、
話し合いをしよう、
西側陣営としてしっかり連絡しようというようなことで、お互いが理解を深めたということでございます。
経済の問題につきましては、行く前からいろいろ
ECとのやりとりがございまして、いろんな
意見が向こうから出ていたわけでございますが、私今度向こうへ行って、
ECの本部にも行って議論し、特に経済問題がよけい出ましたのはフランスでございました。全般的には自由主義、自由貿易は何としても守らにゃならぬ、特にオランダの総理とかドイツの総理あたりはもうはっきり自由主義というものはどうしても堅持しなければ、自由貿易は守らにゃいかぬということをはっきり言っておりました。
EC、フランス、イギリス等でも自由貿易は大切だから守らにゃいかぬ、しかし、それには
日本のように
一つのセクター、まあ自動車なら自動車とか電気製品とか、そういう部門で圧倒的な輸出をされるということになると、自由貿易を守っていこうということであるが、それが
政治問題化してなかなかむずかしい
情勢になるということも
考えられるので、
日本の輸出についてひとつ秩序だった輸出をしてもらいたい。あるいは
日本の輸入について、
日本の市場というのはどうも
ヨーロッパから見るとわかりづらい問題がある、流通機構等。もっと関税以外の面でわれわれの商品を受け入れるということを積極的に
考えてもらえぬかとか、あるいは
日本が
アメリカに対してはいろんな特権、恩恵を与えているのじゃないか、われわれは差別待遇をしているのじゃないかというような
意見もあって、いろいろ実は経済問題では
意見が出たことは事実でございます。
アメリカの
関係と
ヨーロッパの
関係なんというのは何もないので、
アメリカに開いたものは
ヨーロッパに電電の問題でもたばこの問題でもそのまま開きますよ、そんな差別待遇はしていませんよという話をし、
日本に対する商品の輸入については、われわれも
ヨーロッパへ出すように努力しているのだから、
ヨーロッパももっと努力することを
考えたら、
考えてもらう必要があるのじゃないか、何か具体的に障壁があれば、言ってもらえばできることはひとつ協力しよう、輸出についてもこれは通産
大臣ともよく相談するが、秩序ある輸出ということは、それはやっぱり
考える必要があると思うので、帰ってから、できることできないことをよく相談をするというようなことで別れてきたのでございますが、私は経済問題を
政治問題にするということは、これは
政治のやるべきことではないと、経済問題は経済問題で解決すべき問題だというようなことを主張したんですが、フランスあたりはもう
政治が解決する段階に来ているというようなことで、経済問題については若干
意見の違うことがあったことは確かでございます。
しかし、大局的に
考えますと、やはり経済が安定して初めて
政治も安定するわけでございますので、そういう
ヨーロッパの苦境——失業者が多いとかインフレとかということに対して、
日本も
ヨーロッパがそういうつらい立場にあるということは理解をしてやる、その上で
日本との貿易をどうするかというようなことをある程度の理解を持って
考えていく必要があるということを思いましたけれども、やはり自由貿易というのはこれは絶対に曲げられぬ、
日本の国是だということで、向こうにもドイツとかオランダとかいろいろ強い味方があるわけでございますから、そういう話をしてきましたが、総括して申し上げますと、今後とも
政治問題についていろいろこれからむずかしい問題が出るわけで、予想されるわけでございますから、
日本と
ヨーロッパの距離をもっと縮めようじゃないか、頻繁に会うということを
考えよう、もしも
ポーランドに介入なんということがあれば、事前によく連絡をしてやろうじゃないかというような話をしたり、経済の問題についてもお互いがよく理解し合って自由貿易というものを守っていくようにしようじゃないかというような話をしてきたわけでございまして、私は首脳に会ったということは、それだけでも理解を深める、必要なことだ、向こうの
ヨーロッパの首脳はしょっちゅう会っているんですから、
日本でも
ヨーロッパとの
関係でもっともっとやっぱり首脳
外交といいますか、それぞれの
責任者が向こうと連絡を密にするということは必要だなということを痛感して帰りました。