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1981-04-16 第94回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月十六日(木曜日)    午前十時八分開会     —————————————    委員異動  四月十四日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     沓脱タケ子君  四月十五日     辞任         補欠選任      井上  裕君     野呂田芳成君      田沢 智治君     山内 一郎君      沓脱タケ子君     小笠原貞子君  四月十六日     辞任         補欠選任      木村 睦男君     内藤  健君      野呂田芳成君    大河原太一郎君      山内 一郎君     岡田  広君      山本 富雄君     仲川 幸男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         黒柳  明君     理 事                 伊江 朝雄君                 山崎 竜男君                目黒朝次郎君                 桑名 義治君     委 員                 江島  淳君                大河原太一郎君                 岡田  広君                 梶原  清君                 高平 公友君                 内藤  健君                 仲川 幸男君                 安田 隆明君                 山本 富雄君                 竹田 四郎君                 広田 幸一君                 小笠原貞子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        運 輸 大 臣  塩川正十郎君    政府委員        運輸大臣官房長  角田 達郎君        運輸大臣官房審        議官       小野 維之君        運輸省海運局長  永井  浩君        運輸省港湾局長  吉村 眞事君        海上保安庁長官  妹尾 弘人君        高等海難審判庁        長官       松本金十郎君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        防衛庁防衛局運        用第一課長    萩  次郎君        外務省北米局安        全保障課長    丹波  実君        海上保安庁警備        救難部長     吉野 穆彦君    参考人        京浜外貿埠頭公        団理事長     高林 康一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (日昇丸事故に関する件) ○参考人出席要求に関する件 ○外貿埠頭公団の解散及び業務の承継に関する法  律案内閣提出参議院送付)     —————————————
  2. 黒柳明

    委員長黒柳明君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十五日、井上裕君及び田沢智治君が委員辞任され、その補欠として野呂田芳成岩及び山内一郎君が選任されました。  また本日、木村睦男君及び野呂田芳成君委員辞任され、その補欠として内藤健君及び大河原太一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 前回委員会で、海上保安庁からこのプリントをもらったんですが、時間なかった関係もありますけども、ちょっとこれ余りにもお粗末じゃないですかな、これは。「鹿児島県下△島の西南西三七海里付近において、米国原子力潜水艦ジョージワシントン(六、〇一九トン)と衝突し、」云々と、これは違うんじゃないですか。この時点ではどこの船がわからないでしょう、これ。どこの船がわからなくて、そして護衛艦「あおぐも」に救助されて初めておかしいと、こういうのが実態じゃないですか。出発点からこんなになっていますと、ほかの参議院決算委員会とか衆議院の内閣委員会外務委員会でやっていることと保安庁のこれ、やっぱり委員会に出した公式文書ですからね。訂正するところは訂正してもらいたいですな、これ。
  5. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 前回お配りいたしました資料につきましては、資料要求がありましてから委員会が開かれるまで非常に時間が短かったために、内容について補足あるいは訂正いたしたいところもございますので、もし委員会においてお許しをいただけるならば、資料の差しかえをいたしたいというふうに考えております。
  6. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、これを一回撤収して正確なものをもう一回刷り直して前回委員会に出したことと、そういう取り扱いをしてくれと、こういうことですか。
  7. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) もし委員会の方でお許しをいただけるならそのようにさしていただきたいと思います。
  8. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃそれはやっぱり権威ある委員会ですから、そこの処理理事会でひとつ相談をしてもらいたいと思います。私からいいとか悪いとか言うのは越権ですから、この文書はやっぱり事実と即してなかったという点は認めて正式なものを出したいと、そういうことですから理事会で諮ってもらえることと存じます。  それで、これは私もずっといろんな情報新聞などを見ながら、原潜という問題、外交上の問題、日米安保条約の問題などいろいろありますが、ここは運輸委員会ですから海難事故と、こういうことでとらえてみれば、この事故、発生したのが九日の十時三十分なんですね。それから護衛艦「あおぐも」が発見救助したのが十日の五時四分、この間に二十時間近く時間があるんですがね、事故発生してから護衛艦に救出されるまで。海難に遭えば当該船からSOS発信したり、それを海上保安庁がキャッチしたり、あるいは海上自衛隊がキャッチしたり、あるいはその辺を通る船舶がキャッチしたり、何らかの形でSOS発信を受けてから海上保安庁が所定の行動を起こすと、こういうのが海難事故の常道だと思うんですが、本件日昇丸は、九日の十時三十分に事故を起こしてから十日の五時四分まで、そういう海難救助のいろんな状況について全然反応なかったんだろうか。あそこから、東支那海から太平洋に出る三つのルートのうちの大事なルートですね。そういう点で他の船も頻繁に通る海域なのに、そういう関係海難救助の音信が全然電波に乗らなかったということなのかどうか。この辺どうも私は疑問に思いますので、この辺をまず聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  9. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 海上保安庁といたしましては、乗組員について現在調査中でございますが、通信長につきまして調べましたところ、通信長は退船直前船長の命により予備電源による予備送信機を使い遭難信号を出したが、電波が正常に発射されたかどうかについては確信がないと、かように述べております。  この電波が五百キロヘルツでございますが、発信されたといたしますと、受信可能範囲にある海上保安庁の、たとえば北九州の統制通信事務所あるいは佐世保の通信所、十管区本部通信所の各海岸局あるいは行動中の巡視船通信所において受信されると思われますが、その事実はございません。それからまた電電公社所属海岸局においても受信されておりません。それから付近航行船舶からも受信したという報告は受けておりません。したがいまして、送信はなされなかったのではないかと推定いたしております。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も早口だけれども長官大分早口で聞こえなかったんですが、そうすると、SOS受信はどの機関も受信しなかったと、結論はそういうことですな。  それから乗組員事情聴取をした中で、SOS沈没前に発信したんだろうか。その点は確認できませんでしたか。
  11. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) ただいま申し上げましたとおり、通信長発信をしたと述べておりますけれども、直ちに停電したわけでございますから、予備電源に切りかえて発信したわけでございますが、予備電源が作動しなかったのかどうか、したがって通常の正常な電波発信されたかどうかはわからないと、かように通信長は述べております。
  12. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、受信はしなかった、通信長発信したと、そこがずれがあるわけですね、具体的にね。それはしようがありません。  それから、仮に通信長発信して第十管区保安本部ですか、そこが受信をして救難に出発したと、こう仮定しますと、飛行機なら鹿児島の空港から何時間ぐらいで行くことができたのか。あるいは串木野ですか、あそこから巡視船が出てくるとすれば、何時間ぐらいで沈没地点に達して救難活動ができたのかどうか。その辺の当時の態勢から見てどういうことが想定されましたかお教え願いたいと、こう思うんです。
  13. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 海上保安庁発信を受けまして直ちに出動したと仮定いたしますと、串木野所属巡視船ならば約四時間、鹿児島からの航空機だと約四十分で現場に到着できたと、かように考えております。
  14. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、何らかの形で海上保安庁情報が入れば十分救出救助できた、そういう態勢にあったということが確認できるわけですね。それはどうですか。
  15. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) そのように考えられます。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、これも新聞記事でありますから私はわかりませんが、これは事実かどうか、防衛庁、それだけ教えてください。  護衛艦が発見救出して、護衛艦から海上幕僚監部に電話が入って、どうも潜水艦接触したらしいと、そういう情報海幕が受けて海上自衛隊潜水艦十四艦について全部チェックした。チェックしたら、自衛隊潜水艦ではない。それで在日米海軍に照会した。在日米海軍は当日の十時の時点在日米海軍にも該当艦なしと、そういう回答海幕によこしたと、こういうことになっているんですが、これは間違いありませんか。
  17. 萩次郎

    説明員萩次郎君) 大方先生のおっしゃったとおりでございます。海上自衛隊の二隻の護衛艦「あきぐも」と「あおぐも」が現場で漂流中の十三名を発見して救助いたしましたのが、十日の未明午前四時半ごろでございますが、その第一報海上幕僚監部に入りましたのが八時三十分ごろでございますが、直ちに海上自衛隊潜水艦行動をチェックしたところ該当なしということで、乗組員証言によりますとどうも潜水艦らしいという話もあったものでございますから、念のため米海軍にもどうだろうかということを問い合わせをいたしました。それが大体八時半から九時ごろでございますが、それで十時ごろ米海軍司令部より、同海域アメリカ潜水艦行動しているという報告は受けていないけれども、なお念のため調査をするというような返事を受け取っております。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 外交ルートを通じて十日の十二時ころ、米海軍加害であるというような意味を示唆する接触米大使館から外務省にあったということも出ているんですが、これは誤報でしょうか。アメリカ加害だということを、外務省はどの時点で感触も含めてタッチしましたか。
  19. 丹波実

    説明員丹波実君) お答えいたします。  本件につきましては、十日の金曜日でございますが、正午少し前に在京アメリカ大使館の担当の一等書記官から私のところに、前日起こりました衝突にはアメリカ潜水艦が関与している可能性がある。しかしながらその点は、この通報の時点ではまだ確認されていないので参考情報としてお伝えする、こういう一報がございました。
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、やっぱりこの報道どおり、十一時半ころそういう意味接触があったと、こういうことですな。  それからもう一つ、これは防衛庁にお伺いしますが、沈没の個所に飛行機が飛んでおったと。その飛行機の問題は、十日の十六時の時点矢田海上幕僚長在日米海軍から、それは米国のものだと、米軍のものだと、その所属はP3Cで三沢基地所属の対潜哨戒機だと、こういう正式回答があったと、こういうのがあるわけですが、この飛行機三沢基地所属のP3Cであるということを十日の四時の時点防衛庁が確認できましたか。
  21. 萩次郎

    説明員萩次郎君) 乗組員謹言内容の中に、事故当時上空を星のマークをつけた航空機が飛行していたという話がありましたために、海上幕僚監部航空自衛隊レーダーサイトに、当時何らかの航空機が飛行していたかということを照会いたしました。  航空自衛隊は、レーダーサイトでとったものを記録しておりますが、それをもう一度解析しましたところ、確かに当時米軍機が飛行しているということが判明いたしまして、昼前に海上幕僚監部にその旨返事をいたしました。それを受けまして海上幕僚監部の方から、昼過ぎに米海軍司令部に、米軍機が飛んでいたという報告があるけれども、これで間違いないかという確認を求めましたところ、夕刻米海軍司令部より、米軍機が当時飛行していたことは間違いないという返事がございました。三沢所属のP3であるということはその時点ではまだわかっておりませんで、レーダーサイトで見ておりますのはレーダーに映っております点だけでございますので、その機種等はその後いろいろの資料を照合いたしました結果、最近になって、まず三沢のP3Cに間違いないのではないかと、こういうふうに確信するに至っておるわけでございます。先生おっしゃいましたあの時点ではまだ機種等、ましてや所属がどこかということははっきりしておらなかったわけであります。
  22. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 多少のずれがあるけれども、これはやっぱり米軍のものであるというふうなことが確認されたわけですね。  そうしますと、海上保安庁にお伺いしますが、この乗組員が十三名ですわね。あの行方不明になっている残りの二名、これについてはもう捜査を打ち切ったんですか、まだ捜査続行中なんですか。
  23. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 乗組員残りの二名の捜索については、引き続き実施いたしております。
  24. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかし、まあ相当時間たってから、大変な最悪の事態だと、こう考えられますが、その点は認識はどうですか。
  25. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 本件につきましては、生命に関する問題でございますので、推定のようなことは控えさしていただきたいと思います。
  26. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 最大の努力をお願いしたいんですが、十三名の乗組員について、きょうは十六日ですからかれこれ五、六日たっているわけですね。そうすると、乗組員十三名について全部の方々からおのおの事情聴取が終わったと思うんですが、もう全部終わりましたか。
  27. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 事情聴取は主なものは終わっておりますけれども矛盾点その他もございますのでなお引き続き実施いたしております。
  28. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 こういう海難事故の際には、生存者から事情を聞いて、そしていろんな共通事項推定してまとめる。まあ一番簡単なのは、一体原潜貨物船にぶつかってきたのか、貨物船が操作を誤って原潜にぶつかったのか、その辺の事故の主体はどちらなのかという点は、もう五、六日たちますからその点はわかっていると思うんですが、どういう判断をしていますか。
  29. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 事故の原因につきましては、当庁が把握しておりますのは乗組員側証言のみでございます。したがいまして、米国側調査結果等を外務省を通じて入手いたしました時点において正確な判断をいたしたいと、かように考えております。
  30. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかし、日本側がぶつけられた乗組員証言を全部聞いて、ぶつけられたのかぶつかったのかぐらいは最低限わかるんじゃないですか。その辺がはっきりしないからきのうの決算委員会で、私も決算委員の一人ですが、きのうの決算委員会内閣総理大臣なり外務大臣関係者答弁がはっきりしない。ぶつけられたのかぶつかったのか、これがやはり、私も交通労働者の一人として、乗務員の一人として、これは一番初歩的な大事なことですよ、事故処理に当たっては。いろいろな情報新聞に出ている毎日新聞証言、それからこれは読売新聞証言、この証言を見る限りは、相手方がぶつかってきたと、こう述べているのですが、これは間違いないですか。
  31. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 衝突ということは、ぶつかったとか、ぶつけられたとかという表現はいかがかと思いますが、日昇丸の方は潜水艦を見ていないわけでございますから、見ていないものがぶつかる、要するに衝撃を受けて突然水が吹き出してきたと、こういうことでございます。目撃したものにぶつかっていったわけではございません。
  32. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、確かに海面下メーターか六メーターのところに潜水艦があるんだからね、海上に出てないから、あなたの言うことわかるけれども、しかし現に乗組員が十三名もおりましてね、操縦してるんですから、相手がぶつかってきたのか、こっちがぶつかったのか、その点ぐらいは判断できない私は乗組員じゃないと、こう思うんですが、なぜそんなに遠慮してかばってるんですか。やはりぶつかったらぶつかってきたとはっきり言えばいいじゃないですか。そんなにどこに遠慮してるんですか。海難問題を究明する海上保安庁がそんなにまで、何のためにそんなに遠慮してるんですか。
  33. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) だれに遠慮しているわけでもございませんで、もし衝突事故の場合に、監視義務非違があったということでぶつかったなら、監視義務非違のあった者が責任を負うわけでありますけれども本件の場合、潜水艦がいるということの監視が、通常注意義務をしておれば当然にわかったかどうかということに当方の、当方のというか、日昇丸責任はその点にしぼられるわけでございますけれども、その点について、私どもは現在までのところ日昇丸監視義務に問題があったというふうには考えておりません。しかし、米側調査結果につきましては私どもは何の情報も入手しておりませんので、結論は控えさしていただきたいと、かように申し上げておるわけでございます。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ずいぶん回りくどい答弁だけれども日昇丸の方に落ち度はなかったと思っていると。しかし、米側調査がまだ来ないので最終断定は時間を待っていると。まあ、言いかえれば日昇丸には落ち度はなかったということを十二人の証言で確認したと、この時点では、そういうふうに確認していいんですか。
  35. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 先ほど答弁いたしましたとおりでございます。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、どこに遠慮するのかね。じゃ、そういうふうに私は受け取ります。  そうしますと、これは四月十一日の読売新聞乗組員記事ですがね、甲板手、二十八歳、山口県豊浦郡豊北町の方です。「私らがボートに移ってからも、潜水艦には人影がなかった。飛行機が二、三回頭上を旋回したので、必死に手を振ったが、ほったらかしにされた。あの時、すぐに連絡してくれれば、船長たちも助かったかもしれないのに」ということを述べているんですね。それからもう一人、堅山さんという方、この方も、横っ腹に横線二本入った星のマークをつけていたからアメリカ軍飛行機に違いない。当然、救助連絡をしてくれると思ったが、十八時間余をたっても来なかったと。  こういうことの問題と、先ほど答弁した、この飛行機無線か何かで連絡してくれれば、もう鹿児島からすぐ飛んでいって、巡洋艦も行くし、ヘリも行くし、十分救出できたと、こういうことを状況判断しますと、この飛行機三沢基地のP3C、これが無線か何かで連絡してくれれば、この二名の方々も助かる可能性が十分あったと、この推定は間違っているでしょうか。これについて、海上保安庁長官の、あなたは救助経験者ですから、私もおたくの演習を、二回か三回見せてもらいましたから、あの演習どおりやれば当然これは救助できると、こう保安庁が自信を持って言えることだと思うんですが、その推定は当たっていませんか。
  37. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 先ほど申し上げましたとおり、もし無線等においての連絡があれば、巡視船は四時間、航空機は四十分で現場に到着できたということは間違いございません。
  38. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それでは角度を変えて、海上衝突予防法どもあるわけでありますが、衝突事故を起こした場合に、双方の船がお互い相手を助け合うと、こういう相互救助義務といいますか、そういうことが国内法にはある程度明示されていると思うんですが、今回の場合は公海上における事故だということで、こういう衝突の際に、お互い相手乗組員を助け合うと、そういう国際的な慣行とか規則とか、そういう点はないんでしょうか。あっても、今回は米軍だからそれは適用されないと、こういうことなのか、その辺を聞かせてもらいたいと思うんです。
  39. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 公海に関する条約によりますれば、その十二条において、衝突の場合に援助をするという規定がございます。しかし、その八条におきまして、「公海上軍艦は、旗国——すなわち米国軍艦なら米国でございますが、「旗国以外のいずれの国の管轄権からも完全に免除される。」という規定がございますので、これは、条約上の解釈は当庁の関係ではございませんけれども、一応、私どもの現在とっておる解釈では、いわゆる条約上の義務はない。ただ、シーマンシップと申しますか、そういったものは当然救助をすべきものであると、かように考えております。
  40. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 条約上は、米軍であるから拘束されないと、こういう答弁があったんですが、大臣ね、国務大臣として、アメリカ大使が来て賠償問題については十分に誠意を示す、こういう申し入れがあって、鈴木内閣として、賠償問題については十分な対応をする、そういう答弁になっているんですが、内閣として、本件問題についての賠償問題について、しかじかの基本的原則であると、そういうことについてはまだ調査が進んでないから、決まってないんですか。それとも、大体三原則ぐらい決めてやるんだと、こういう話をちらほら聞くんですが、賠償請求問題については、現時点における内閣としてのどういう考え方なのか、聞かせてもらいたいと、こう思うんです。
  41. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 本件に関しましては、賠償で請求すべきは当然十分な請求の要求をするであろうと思っておりますし、それと同時に、こういう事故再発防止の対策につきましても、同時にその関係者との間で、今後の問題としても十分話し合って取り決めをすべきだと、こう思っております。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、具体的にその賠償問題等についてはまだ手がけていないと。それはいつごろ——きょうの新聞によりますと、きのうの決算委員会による総理の各党の締めくくり質問のあれを受けて、外務大臣は、米国中間報告を求めると、こういうような記事があるのですがね。この中間報告をもらった時点ぐらいには、賠償に対する基本的な考え方ということを内閣としてまとめる意思を持っているのかどうか、その辺のニュアンスはどうですか。
  43. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはまだ私の所掌事務でもございませんのでわかりませんが、内閣として、できるだけ早くその交渉は始めるであろうということを思っておりますし、また、われわれもそういう主張はいたしたいと存じております。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは外務省ですかな。昭和四十四年三月、韓国沖で、お魚の運送船米国駆逐艦衝突した際に賠償交渉が行われた、こういう先例があるのですが、この当時どんな賠償交渉をやられたか、御記憶があれば答えてもらうし、御記憶がなければ後ほどで結構でありますから資料として出してもらいたいと思いますが、いかがでしょう、外務省
  45. 丹波実

    説明員丹波実君) まず補償の問題についての考え方についてちょっと触れさしていただきたいのですが、先生御自身が御指摘になられましたとおり、マンスフィールド大使が先週の土曜日に外務大臣にステートメントを持ってきまして、責任及び補償の問題については、これに対しては迅速に取り組む、こういう姿勢を明らかにしておるわけです。その後救助された乗組員方々が弁護士と契約いたしまして、弁護士さんの方から私のところに、自分は委任を受けたので、アメリカ側と接触したい。どこに接触したらいいのかということを問い合わせてまいりましたので、私が中に入りまして、アメリカ大使館に問い合わせましたところ、それではアメリカ大使館のこれこれの者に接触してほしいという回答がございましたので、一昨日それをお伝えいたしました。で、それを受けまして、弁護士さんがきのう現実にアメリカ大使館の担当官の者と話をしておりますので、私は、現実的な問題としては、こういう話し合いが進んでおるというふうに考えておるわけでございます。  外務省といたしましては、本件は公海上で起こった問題でございますし、先ほど海上保安庁長官からも御指摘がございましたとおり、旗国主義、アメリカ国内法に基づいて処理されるわけでございますので、政府が直接の法律的な関係に立つ問題ではございませんけれども、側面的にできることがあれば努力を惜しむものではない、こういう考え方でおります。  先生がただいま御指摘になりました昭和四十四年の事件につきましては、何分古い事件でございまして、私たちいろいろ調べましたけれども、当事者の間で円満に処理されておる、こういうふうに承知しております。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 非核三原則もありますし一二百海里時代の問題もありますが、同時に、未確認情報ですが、極東ソ連海軍では、ソ連の潜水艦が百二十五隻、うち原潜が六十隻、米海軍も第七艦隊に配置されて、相当数の潜水艦原潜がある。ソ連と米国原潜が日本の領海近くで常に激しいつばぜり合いをやっているんだと。船のすぐそばには潜水艦がおる。しかも全部原爆を積んでおる。こういうかっこうでは、私はやっぱりこの事故を一つの教訓として、相当恒久的に対応する必要がある。同時に、海上保安庁には巡視船何隻あるか知りませんが、やはりこういう点から、国民の、特に漁民あるいは商船の皆さんの命を守るためには、むしろ海上保安部の巡視船などについても早急に強化をすると、こういう緊急策を含めて再発防止に最大の努力をすべきだと、こう思うのですが、これに対する大臣の見解を聞いて、時間ですから私の質問を終わります。
  47. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、かねてから海上保安庁巡視船艇が、いわば海上もしくは上空の警備、これには相当な努力は払えるんでございますが、水中の警備能力がないということをこれをかねてから心配しておりましたが、仰せのように、最近各国の潜水艦が相当日本海周辺にうようよしておるということでございますので、われわれとしてもこれを一つの転機に、海上保安庁に水中の探査能力等もどうしてつけるべきかと、そして、それをどのようにして漁船なり航行の商船に連絡すべきかということを基本問題として検討しなきゃならぬと思っておりまして、このことにつきましては、いま海上保安庁の中で、有識者、技術者等集まりまして一度検討をしようということになっておりますので、早急な結論はなかなか出にくいとは思いますけれども、われわれも努力してまいりたいと思っております。
  48. 桑名義治

    ○桑名義治君 四月の九日の東シナ海でのいわゆる日昇丸事件というものは、非常に日本国民にとりましては大きな衝撃を与えたわけでございます。それも米国からの事故通知のおくれ、それから乗組員救助が行われなかったこと、この事柄を考えますと、われわれの常識から考えた場合には、これは常識外だと言わざるを得ないわけでございますが、昨日の決算委員会の中でもわが党の峯山委員の質問で、総理も、首脳会議の場にも持ち出すというような御答弁があったわけでございますが、この問題に対する運輸大臣としての御意見はどのような御意見をお持ちでございますか。
  49. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) そのことにつきまして、内閣としての方針等につきまして、私はまだ承っておらないんでございますが、おおむねそういう総理のおっしゃっている意向というものは、十分これはわれわれも支持できることでもございますし、また、それに一体となって協力しなきゃならぬと思っておる次第です。
  50. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、いま目黒委員の方から、潜水艦に対する対策も今後海上保安庁としては考えていかなければならない、こういうお話があったわけでございますが、現実にきょうの朝のNHKのテレビでもやっておりましたが、最近におきましても大きな事故として、米国軍艦と日本の船との衝突事件、これは大きい事故だけ挙げても過去に五件あったと、そういう報道がなされていたわけでございます。それと同時に、これは四月の十一日の毎日新聞でございますが、「これまでの事故例」ということで、三十八年の九月の二十一日、四十三年の一月の二十五日、四十四年の三月の二十日、五十二年の十一月の八日と、ここに挙がっておる記事でも四件の記事が挙がっているわけでございます。こういうことを考えますと、やはり海の航行の安全という立場を考えた場合には、これは運輸省の所管として重大なる関心を寄せていかなければならない問題だろうと思います。こういう問題に対して、運輸省としてあるいは大臣としてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点を伺っておきたいと思います。
  51. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 人命の安全の確保、交通運輸に関する基本の問題でございますので、当庁としても、運輸省の重要施策の一環として全力を上げてその防止に努めているところでございますが、今回発生しましたような事案につきましては、あるいはいまの保安庁の能力というようなものでは対処し切れないものもあるのではないかというような反省も加えまして、今後真剣に検討してまいりたいと、かように考えております。
  52. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほど海上保安庁長官が言っておりますように、どうもやっぱり水中の方が弱いものですし、こんなにたくさんもう身近におるということになってまいりますと、潜水艦が浮遊しておるということになってまいりますと、やはりわれわれも水中探査能力というものをこれはこの際真剣に考えなければいかぬので、どういうところからこれをアプローチしていくか、鋭意研究いたしたいと思っております。
  53. 桑名義治

    ○桑名義治君 今回のこの問題につきまして、いわゆる日本側の意見とそれから米国側の意見というものが気象状況においてはずいぶんと違うわけでございます。  まず最初にお尋ねしたい事柄は、海難事故救助作業の限界、これはいわゆる気象状況でございますが、この気象状況をどういうふうに把握をなさっておられますか。新聞紙上によりますと、今回の事故は、大体風速が五メートル、それから波の高さが一メートル、視界が大体二キロということが新聞に出ているわけでございますが、海上保安庁としては、海難事故救助作業の限界の気象状況というものをどういうふうにお考えになっておられますか。
  54. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) どの程度の気象条件なら救助が可能かという御質問だと思いますが、これは状況によって非常に異なるわけで、一概に数字的に申し上げることは困難かと思います。ただ、今回の場合ですと、視程二キロというのは、視程としてはかなり悪い方の視程であることは間違いございません。ただ、波高一メートル、風速五メートルというような状態というものは、十分救助が、そう困難ではないという状況ではないか。  もちろん、救助につきましては救助する側の能力というものも非常に大きな要素でございまして、たとえば当庁のごとく海難救助を専門にしているような職員の場合には、一昨年の二十号台風のあの荒れ狂う海の中でも何十名の人命を救助するというようなことが可能でございますが、一般商船船員にそれができるかと言われれば、それはまず不可能でございましょう。しかし、今回のは限界というような段階ではないのではなかったかと考えております。
  55. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほどもちょっと申し上げましたように、海上保安庁でのいわゆる気象状況の最終調査が出たのかどうかですね、その時点の。どのような気象状況だったのか、これ改めて正式にお聞きをしておきたいと思います。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、米側が発表している気象報告と大きな差があるわけでございますので、そういった意味で、これを両方対比しながらこの状況を浮き彫りにしておきたいと、こういうふうに思うわけでございます。
  56. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) 遭難当時の、すなわち九日の十時三十分ごろの気象、海象の状況につきましては、救助された乗組員から聴取したところによりますと、天候は雨か霧、南東の風毎秒約五メートル、波高が約一メートル、視界は約二キロメートルということになっております。
  57. 桑名義治

    ○桑名義治君 米側の発表はどういうふうになっていますか。
  58. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 米側の正式の発表というものはございません。ただ当時の、艦長が視程はゼロに近かったということを言っていたということが、実はこれは私ども正式に受けたわけではございませんで、新聞報道で伝えられているところでございます。
  59. 桑名義治

    ○桑名義治君 米側が一応そういう気象状況を話すということは、そういう事故があったということを暗に認めていることになるわけでございます。しかし、その間の気象状況というものが、米側の言っている事柄と海上保安庁調査による気象状況というものに大きな差があるわけでございます。これはやっぱり一つの大きな問題点であろうというふうに思いますけれども、そういった立場から考えますと、今回の事故で通報がおくれ、救助が行われなかったということは、公海条約に基づくいわゆる救難義務違反の可能性があるというふうにわれわれは思うわけでございますが、この点は海上保安庁の見解はどういうふうな見解をお持ちですか。
  60. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 条約に関しましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、公海に関する条約によりますと、衝突の際相手船舶乗組員等に援助を与える旨の規定がございますが、「公海上軍艦は、旗国以外のいずれの国の管轄権からも」「免除される。」という規定が同じ条約にございますので、いわゆる条約違反という形での責任は問えないのではないか。  ただ、いわゆるシーマンシップと申しますか、人道上の問題という問題は当然残る問題であろう、かように考えております。
  61. 桑名義治

    ○桑名義治君 時間がございませんので、この点については詳しく議論ができないわけでございますが、次に、事故現場の周辺海域の海水の放射能の予備調査結果は異常が認められなかったというふうに新聞では発表されているわけでございますが、この点の確認をひとつしておきたいと思います。  それと同時に、乗組員の健康診断、これは単なる健康診断ではなくて放射能の害がなかったかどうか、この点はどういうふうになっておりますか。
  62. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) 海上保安庁では当時日昇丸乗組員、それから救命ボート、現場海域付近の放射能調査を行いましたが、特に異常は認められませんでした。  それから、救助した乗組員につきましては、この放射能調査串木野の上陸前に実施したんでございますけれども、その際体の不調を訴えた者もございませんでした。
  63. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうすると、大体救助された十二人の乗組員方々の健康診断の結果というものは、放射能に冒されている心配はないということでございますね。
  64. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) そのように考えられます。
  65. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほどもちょっと質疑の中に出ておりましたけれども、いわゆる日昇丸の船主それから乗組員の家族の方々が、十三日に米政府に対して船舶と人命の損害賠償、慰謝料を請求する方針が決まった、決めているというふうに報道をされているわけでございます。先ほど外務省の方の御答弁の中にもこの話があったわけでございますが、運輸省として今回の被害状況をどういうふうに把握し、この補償請求に対してどのようなお考えをお持ちでございますか。
  66. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 本件につきましては、私ども担当ではございませんが、運輸省関係の船員ということでございますので、われわれとして可能な援助は補償問題についてしてまいりたい、かように考えております。
  67. 桑名義治

    ○桑名義治君 正式に補償要求がなされれば米国の裁判所で取り扱うことになるというふうに言われているわけでございますが、政府としても外交ルートを通じて人的、物的に協力する方針であるということが過日のそれぞれの委員会で御答弁されているわけでございますが、この点について運輸省としてはどのような御協力をなさるおつもりですか。
  68. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 仰せのように、運輸省としてもできるだけ強力にこの訴訟と申しましょうか、この解決のために努力をしてまいりたいと思っております。
  69. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、ただ単にアメリカのいわゆる軍艦と日本の船が衝突をした、これは外務省の所管であるとか防衛庁の所管であるとかと言う前に、軍艦という立場から見た場合には確かにそうかもしれません、しかし船の安全運航という立場から見た場合には、当然これは運輸省としては腹を締めてかかっていかなきゃならぬ問題だろう、こういうように思うんです。  先ほど申し上げましたように、けさのNHKの報道では大きな事故として過去五つの大きな事件があったと。この五十六年の四月十一日の毎日新聞でも四件の事故が載っているわけでございますが、この補償問題がどういうふうな形で解決をされたかということを把握されておられますか。
  70. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 当庁としては把握いたしておりません。
  71. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣、そういうところにやっぱり行政が温かいかどうか、真剣に日本の船の運航の安全について神経をとがらしているかどうか、ここら辺が私は出てくるのではないか、こういうふうに思う。実はこの問題について外務省に私何回も問い合わせをした。ところが、担当官がいないとか休んでいるとか帰ったとかと言って、絶対に答弁しないんですね。これはもう私は重大なる問題だろうと思うんですよ。  それと同時に、私は直接船ではないけれども米軍事故ですね、この補償問題も少し調べてみたんです。たとえば、三十九年の四月の五日、これは町田市に米軍飛行機が墜落をして、RF8Aですが、これは死者が四人、重傷者が二十九人出ております。それから、三十九年の九月の八日、大和市で同じようにF8Uがこれがまた墜落をしまして死者が五人、重傷者が五人出ております。それから、五十二年の九月二十七日に横浜市で、これはまだ新しい事故でございますけれども、死者が二人、それから重傷者が七人、こういうふうに出ているわけですが、これをずっと見てみますと、国を相手に係争中というのが、三十九年の四月の分も係争中、三十九年の九月の分も係争中、五十二年の九月の横浜市の墜落事故も一部係争中、なかなか解決つかないわけですね。こういう過去の事例をながめてみたときに、海難事故も恐らく同じような事柄ではなかろうか、こういう私は危惧を抱かざるを得ないわけです。  で、三十九年の四月の五日の町田市の事故については、一応補償というものが支払われておりますけれども、六百五十万、これ、死者が四人で重軽傷者が二十九人、これも新聞報道であって、これも所管の省に問い合わせをしますとなかなか言わない。で、最終的にどう言うかというと、金額は当事者の了承なしには公表できません、こういうことで逃げてしまっているわけですね。それから、最近の五十二年の九月二十七日の横浜市の問題につきましても、これ新聞報道では死者に対しては一億円支払った、こう新聞の中身なんです。しかし、これは外務省の方としては御答弁がいただけない、こういう状況にあるわけですね。それと同時に、これは死者の分だけが和解をしておりますけれども、しかしその周辺の被害についてはいまだに係争中であるということでございます。  というふうに考えてまいりますと、今回の事故もこれまた非常に長い期間を必要とするのではなかろうかという非常なわれわれは危惧を持っているわけでございます。しかし、今回の事故は非常に大きな日本国民に衝撃を与えている事件でもございますし、日米関係に大きなひずみが出るかどうかという重大な問題でございます。  それと同時に、運輸大臣としては、この問題は公海の航行中の問題でございます。公海といえども日本の近海で起こった事故でございます。そういう意味からも、ただ単に直接的な所管ではないということではなくて、運輸大臣としても真剣にこの問題に取り組んでいかなければならないのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、最後に運輸大臣の所見を伺って終わりたいと思います。
  72. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) こういう不幸な事故が起こりまして私たちも残念でございますが、この事件の処理につきましては、マンスフィールド大使も誠意をもって早急に解決したい、こう言っておられるので、これをわれわれも信頼し、外務省がこれにいま努力をしておりますし、先ほど妹尾長官が言いましたように、現に担当官と被害者の代表とが話し合いを開始しておるということでございますしいたしますので、手続は進めていかなきゃならぬと思っておりますが、同時に、やはりこういう事故の起こりましたそのたびごとに問題になりますのは、行政の配分、分担と申しましょうか、これがやっぱり統一して迅速にやっていくということがなかなかむずかしいところにわれわれも実は悩んでおるところがございます。  それぞれ、たとえば交渉外交ルートでやります場合には、海上保安庁としては一応外務省にそれをお任せするということになってまいりましょうし、救難はなぜやらなかったんだと言われても、情報の収集というものがやはり完璧を期して海上保安庁がそれを収集できるかというとなかなかそうもできない状況にもあるというふうな点で、われわれもそのたびごとに悩みを持っておるわけでございますが、これからも、先ほど申しましたように、海難を未然に防ぐためにもそういう探査能力というのを、すべて海上、海中における探査能力というものと、それから各船に対する連絡というものをどうしてこれを完璧なものにしていくかという、そういう方面において海上保安庁の任務はさらに重大になり、それに対する対応というものを十分にしていかなきゃならぬ、そこらに私たちは重点を置いて今後の対処をいたしたいという次第であります。
  73. 桑名義治

    ○桑名義治君 質問の重点はその点と、それから補償問題に対する運輸大臣の対応をぼくは質問したつもりです。
  74. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、現に交渉当事者同士で話をしておるということですし、また政府としても何らかやっぱり協議が私の方にも、現場、当時の状況というもの等の連絡もあるであろうと思っておりますが、ただ単にそれだけじゃなくして、一国務大臣といたしましても、この補償の完全な解決というものに鋭意努力いたす所存であります。
  75. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 海上保安庁に具体的にお伺いしたいと思います。  証言なすった一人の方は、事故が起こった九日の午前十時半ごろから午後六時半ごろまで、漂流を続けるゴムボートの周辺でドーンという大砲を撃つような音や、さらにシェルシェルと物体が水中を走るような不気味な音が断続的に続いた、こういう証言がございます。また、ひょっとしたらこのまま抹殺されるのではないかという不安を話し合っていたと、こういう証言がございました。これらの事実について、証言を昨日の衆議院の外務委員会でお認めになっていらっしゃるわけでございますけれども、このようなことがお調べになった中でいつからどれくらいの時間の間行われていたのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  76. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) 海上保安庁日昇丸乗組員から聴取した中に、シェルシェルと、シューというような、プシューあるいはシューというような音を聞いたというようなことはございますが、その時間につきましては、午後から夕方にかけて各人まちまちでございます。
  77. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 午後から夕方にかけてということについては一致しているんですか、何時から何時というところではいろいろと違いが出てくるかと思いますけれども
  78. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) 午後から夕方にかけて、午後から夕方の間ということではございません。で、午後という人もございますし、あるいは夕方という人もございますし、その辺時間がはっきりしておりません。
  79. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、何人お調べになって、何人が午後という判断であったか、何人が夕方という判断であったか、お調べになった中身。
  80. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) 現在この調査資料につきまして、細かい点につきましては各人から聞き取った内容について整理している段階でございまして、ちょっといまここで何人ということは申し上げられません。
  81. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃお調べになっていらっしゃるのがあるわけですから、だからそれを整理なすった中で、私がいま質問した、何人調べた何人のうちはこう言った、何人のうちはこう言った、非常に具体的な事実として大事な問題でございますので、ぜひそれをお知らせいただきたいと思います。よろしいですか、当然のことだと思います。
  82. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) その点につきましては、別途先生に御報告いたします。
  83. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、シェルシェルというようないまの証言をお聞きになって、何が起こったんだろうというふうにこれらの証言から御判断になりましたでしょうか。
  84. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) その点につきましては、私どもとしてはこれが何であったかということにつきましてはちょっと判断がつきません。
  85. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 全く判断ができないのですか。
  86. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) 私どもといたしましては、これが何であったかということはよくわかりません。
  87. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 じゃ、防衛庁にお伺いしたいと思います。  防衛庁の方は専門でいらっしゃるわけですけれども、ドーンだとかシェルシェルと海の中を何物かが走るというようなことは専門家としてこれは知らないというはずはないと思う。どういうふうなことが起こって、何の音だというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  88. 萩次郎

    説明員萩次郎君) 私どももそのような乗組員証言があるということを聞きまして、いろいろな専門家、海上自衛隊の制服の人々に聞いてみたわけですけれども、まだこのシェルシェルとかドーンとか、音だけでどういうものかというような推測はちょっとむずかしいということで、なかなかはっきりしたことはわからないというのが実情でございます。
  89. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 素人が答弁しているんだったら私はわからないと言われてもそうですかと聞きます。しかし、防衛庁ですよ、おたくは。防衛庁であって、こういう音が何によって起こるかということは——専門家とも御相談になったとおっしゃったけれども、その専門家というのは全くもう程度低いですね。ちょっとした専門家に聞いてみたってこれはこうだという判断は出るんですよ。私の推測ではわかっていても言えないという立場からそんなことをおっしゃっていると思う。防衛庁がこれを知らないなどということは私は絶対に言わせません。知っているはずです。言わないだけのことです。  私らも専門家に聞きました。そうしたら、ドーンというのはサブロックの音だと、明らかにジョージ・ワシントンの護衛潜水艦から発射しているものだということは予想できる、ドーンという音は。一つはそうです。それから、シェルシェルという音をその人たちが聞いたと、これはショージ・ワシントン一人で歩いているわけじゃないのです。護衛の潜水艦がついている。その護衛の潜水艦から発射された魚雷の者なんです。しかし、魚雷というのは深く発射すれば音なんて聞こえない。シェルシェルという音が聞こえるくらいというのは、これは海面すれすれ、非常に浅いという、そこから出されている者なんです。これはあなた、防衛庁としてそんな答弁したら本当に私は、知らなきゃ恥ずかしいし、知らないはずはないということを再度申し上げておきます。  それじゃ、海上保安庁にお伺いいたします。事故現場のすぐ近くで米軍が長時間いたということは、いろいろな報道やらおたくの調査判断できるわけですね。
  90. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) 乗組員から事情を聞きましたところによりますと、日昇丸が航行中、左舷の機関室付近にドーンという衝撃音を感じた、船体が浮き上がるような感じを受けた後、機関室の船底から海水が吹き上げてきて、船が約十五分くらいで沈んだということになっておりますが、このときに後方に黒い色をした潜水艦が浮いているのを見たというのがございます。
  91. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 時間がないんだから、私の質問をよく聞いていてくださいね。状況をお話しになる必要はないんです。私が聞いたのは、事故現場すぐ近くに米軍が長時間いたというのが重言の中から判断されますでしょうと言っているんです。どうですか。一言でわかります。お答えください。判断できたんですか、できないんですか。
  92. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) ただいま申し上げましたような黒色の潜水艦を見たということと、もう一つは、漂流中にいかだの近くで潜望鏡らしきものを見たというのがございます。
  93. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 何を見たというのじゃないんです。その証言の中から、一回だけばっと出て消えちゃったというのじゃなくって、その証言をずっと集めてみたら相当長時間いたということがはっきりするでしょと言っているんです。どうですか。はっきりするんですか、しないんですか。何を調査していたんですか。
  94. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) ただいまの乗組員から聴取した結果からは、米軍がそこに長時間いたというふうに判断できるかどうかという点につきましては、私どもとしてはちょっとはっきりわかりません。
  95. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まことにお粗末な調査、大事なところ調査されていませんよ。それじゃいるかいないかはわからないと。だから、いなかったと言うこともできないですね、そういうことであれば。
  96. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) ただいまはっきりしておりますのは、乗組員が見たという状況を聞いたということでございまして、それが何であるかという判断はちょっと私どもしかねます。
  97. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 何がいたというのじゃないんです。いろんな米軍関係のものが何時にこれを見た、何時にこれを見たというような証言の中から合わせれば、大体一分や二分じゃない。何時から何時ごろまでいたということがおわかりになるはずだと思うんです、証言をとっていらしゃるんだから。だから、さっきと同じようにいろんな潜水艦だとかこういうものを見たというように、米軍を見たというのを整理なされば、どれくらいいたかということが整理できるはずだと思いますので、それを私はいただきたいと思うんです、いま時間がないから。私の質問しているのはそういう意味なんです。だから、何時間くらいいたかということをお調べになったところを整理して教えてください。  それから、これも乗組員証言ですけれども、九日正午ごろには潜望鏡がボートの横と後ろに計二つ見えたというのがありますね。それから、船が沈没してから六、七時間後の夕方の午後四時から五時ごろ、十二人が二つのゴムボートに乗って漂流中、ボートから二キロほど先、夕なぎの海に高さ一、二メートルほどで黒っぽい潜望鏡が立っているのが見えたと、事情聴取の中で当然それはお聞きになっていらっしゃいますね。一言でね、時間協力してください。
  98. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) 乗組員から聴取したところでは、漂流中いかだの近くで潜望鏡らしいものを見たというのはございます。
  99. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 横と後ろに潜望鏡を見たという証言も発表されていますね。そうすると、横と後ろにいたということは、二隻の潜水艦がいたということになると思うんですけれども、どうですか。
  100. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) これも乗組員によりまして時刻あるいは見えたぐあい、まちまちでございまして、その二隻いたのかどうかというようなことにつきましては私どもとしてはちょっと判断しかねております。
  101. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 証言とっていらっしゃるんだから、あなたの方で。だから何回も言ったように、こういう証言やっているんですわ、横と後ろにいたと。ということになれば、一隻で横と後ろに出るはずがないんだから二隻だというふうになるんですわね。だから、それもう一度調べてください。そういう証言だと。そうすれば、二つ見えるということは二隻であるというふうに私は言わざるを得ない。それもきちっと出していただきたいと思います。そして、乗組員から見た回数、それぞれについてお調べになっている内容があると思いますが、あらわれた時間、どのくらいの時間あらわれてから現場にいたというふうにお聞きになっていらっしゃるか、聴取された中でね。これもいますぐというわけにはなかなかまいらないとおっしゃると思いますので、これもあわせてぜひお答えをいただきたいと思います。それはよろしいね、お願いしました。  それから次に移りますけれども、信号弾は二つのボートに二発ずつ計四発がついていたわけですよね。それで二発は海に落っことしたと、こういうような証言もございます。そうすると二発あるわけです。その一つは、漂流後落ち着いてから米軍の対潜哨戎機P3Cに撃ったと、低空飛行のときにはみんな手を振ったからわかっているはずだと、こういう証言になっているわけですよね。そうすると二つは落っこっちゃった、一番最後は落ち着いてから対潜哨戒機に向かって撃ったと、それじゃ初めの一発、初めの一発はいつ何に向かって発射されたのか。それも当然事実をつかむ上では必要なことですから、だから、最初の一発は何に向かっていつ撃ったのかということをおわかりになっていますか。
  102. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) 落下傘つきの信号弾につきましては、最初の一発ではございませんで、残りの一発は最後に、十日の早朝二隻の船の明かりを近くに見たときに撃ち上げております。
  103. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 最後のね。
  104. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) はい。
  105. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから、私が言ったのは最初の一発、最初の一発はいまわからないとおっしゃる。そうしたら調べればわかりますね、証言の中で四発どう使ったかというのは当然お聞きになっていると思うから。最初の一発はいつ何に向かって撃ち上げたかということ、それも証言の中、整理して教えていただきたいと思います。  で、こうして私ずうっと調べてみますと、明らかなことは、米軍のP3Cが飛んでいて承知していたはずなんです。発見できないというはずはないんですよ。で、哨戒機というのは敵襲を警戒することを任務とする航空機です。発見できないはずはないんだということなんですね。発見できないはずはないのに、米軍から通告してきたのは三十五時間も過ぎてからと、いろいろな食い違いがありますから、私は事実をもっとはっきりさせたい。だから、きょう申しましたその項目について、至急御調査の結果をいただきたいと思います。  で、さっき下さるとおっしゃっていましたから、私それでおしまいにします。それでもう時間でございます。運輸大臣に最後にお伺いしたい。  この事実から見ると、米軍は、救助を求める日本船員、低空のときに手を振ったというのですわね、それが百も承知でこれ見放しているわけですよ。まさに当て逃げして、それで逃げちゃったと、もうこれで事故を追及されたら大変なことになりますよ、ポラリスだから。だからさっさと逃げちゃったと、できたらこんなことがなければ一番いいんだと、何らかの事情沈没して全員死んじゃったということになれば、これは全部事は丸くおさまるということになるわけです。だから私は、全員死亡することによって事件が露見しないように行動した節があると、いろいろのところから判断をせざるを得ないと、大変重大なことですよ、こういう見方をすることはね。いま大事なことは、これらの事実を米軍に問いただして裏づけること。それから、一般的な米側調査、一般的に米側調査をお願いしていますなんていうんじゃなくて、やっぱり本人なんですから、日本人なんですから、犠牲を受けた人たちは。だからいま申しましたように、重々本人から調査された内容に照らして、そして外務省にも米側にも要求すべきことは要求していただきたいということでございます。いかがですか。
  106. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私たち聞き得て承知しておることは、できるだけ各省庁に連絡いたしまして、この問題の円満な早期解決を図るように努力いたします。
  107. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 先ほどの調査、いつごろまでにいただけますか。下さることはお約束いただいたけれども、いつどれくらいかかりますか。
  108. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) いまこの調査、現在私ども持っている証言内容は非常に膨大なものでございます。これを整理するのにかなり時間がかかりますし、またこれやっぱり個人個人の問題ございますので、必ずしも外部に出すことが不適当なものもございますので、その辺はやはり整理さしていただきまして、できるだけ早い機会に報告したいと、かように考えます。
  109. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 さっきの答えと違うじゃない。時間の問題はすぐとは言わないけれども、いろいろ出すことにそんなにこだわる必要ない。事実なんです。
  110. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) そういう時間の問題とか客観的事実の問題につきまして隠し立てする気はございません。ただ、何の何兵衛がどうしたとかこうしたとか矛盾していあとか、そういう話がございますのでその点は……。
  111. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私は客観的な事実で伺ったから、客観的な事実として御回答ください。
  112. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 最初に海上保安庁長官に、これは要望で申し上げておくんですが、一昨日のこの運輸委員会に出された報告書、貨物船日昇丸は「鹿児島県下甑島の西南西三十七海里付近において、米国原子力潜水艦ジョージ・ワシントンと衝突し、日昇丸は機関室に浸水後間もなく沈没した。」  これだと日昇丸アメリカの原子力潜水艦衝突をしたんだということになっちゃうんですから、日本政府でお出しになるので、また事実が、これはもう新聞報道なんか見ても皆当て逃げされたとまで言われているんですから、そういう点に立って原子力潜水艦ジョージ・ワシントンに衝突させられてといって、向こうがぶつけてきたんだということのそのくらいのことは、それは日本政府なんですから、一昨日のときは忙しくて大急ぎで出したんで、いろいろ事情がわかってきて、そういう点に立って改めてもうちょっと状況もわかったということで報告書を出しかえた方がよろしいと思いますので、やれとは申しません、これは保安庁長官お考になった方がいいと思いますということを、要望だけ申し上げておきます。  きょうは時間もございませんから、私、この基礎的な点だけ若干の点をただしておきたいと思います。  海上保安庁にこの事故の発生が知らされた日時、いつでございますか。どのルートからそれが入ってきたんでしょうかということです。
  113. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 十日の午前五時四分に護衛艦「あおぐも」から佐世保の海上保安部に第一報が入ったわけでございます。
  114. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 十日の午前五時四分に護衛艦「あおぐも」から佐世保に入って それを知って海上保安庁がおとりになった処置ということ、どの時間でどういうことをなさったかということを知りたいんです。
  115. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 海上保安庁は、その報告を受けまして直ちに巡視船二隻と航空機二機を現場へ向けて出動させております。
  116. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私が知りたいのは、よく聞いてください、保安庁がそういう事実を知ったんですから、何らかの指示をとったと思うんです。その日時に、その船の方は巡視船二隻、航空機二機というんですけれども、それがどの時点でもって出動していったかという時間も知りたいんです。
  117. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 巡視船「さつま」は六時十分に発進いたしまして、巡視船「かみしま」が六時十分に出動いたしました。それから航空機につきましては七時十五分、鹿児島から出動いたしております。なお、福岡から八時十分に出動いたしております。
  118. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 長官、もう少し正確に言ってくれませんか。先ほどは巡視船二隻と言ったけれども、いまは「かみしま」が一隻しか言われていない、六時十分と。それから航空機は七一時十五分で、鹿児島からと福岡ですか、その辺ちょっと、これは後のことがあるのできちんとしておいてください。
  119. 吉野穆彦

    説明員(吉野穆彦君) 佐世保海上保安部に事件の通報がありまして直ちに巡視船「さつま」と巡視船「かみしま」を午前六時十分出動させております。航空機につきましては一機は鹿児島航空基地から午前七時十五分、それから一機は福岡航空基地から午前八時十分出動させて行方不明者の捜索等に当たらせております。
  120. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それで長官として、これだけの事故報告がされて、そしてすぐ巡視船も出て行く、航空機も出て行ったわけだけれども長官から総理大臣に何時何分の時点でもって御報告なさったのか、総理からどういう指示があったかということはどうですか。
  121. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 私どもが、これが潜水艦が関与しているらしいという情報を受けましたのは午前十一時ごろでございまして、内閣官房長官あてに事故概要を報告いたしております。その後の連絡は、その後総理府あるいは内閣の方から私どもへの指示はございません。
  122. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そうすると、長官総理理には直接言わないで官房長官に知らせて、官房長官から言っていただいた。じゃああれですか、官房長官から長官の方に何もないということなんですね。何にもないということになると、その点について長官の方から、少なくともこれだけの問題で、日本の船同士だったらまたこれは国内問題だけれども、少なくともアメリカの原子力潜水艦とぶつかって沈没したんだということになれば大変な問題になることは明らかなんで、当然総理にも事情報告する。総理としても何らかの事の指示があるはずだと思うんですけれども、その辺はあったんですか、なかったんですか。
  123. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 私ども潜水艦らしいという話は護衛艦の「あきぐも」から得た情報乗組員証言によればということで護衛艦「あきぐも」からの情報でありまして、それが日本の船があるいはソ連の船かアメリカの船が、こういったようなことについては一切まだ情報はその時点ではなかったわけでございます。私どもはこれにつきまして防衛庁にたびたび問い合わせるとともに、外務省に対してもいろいろと情報提供を求めたわけでございますが、外務省から米海軍のものらしいということが回答がございましたのは当日の午後六時四十分でございます。それで最終的に外務省から、米国からこれがジョージ・ワシントンであるという話が来ましたのは当日の十時五十分でございます。それでそれまでの間は、私どもは非常に未確認情報でございますので、これについて真相を確かめるということが先で、直接に総理に指示を求めるとかそのような行動はとっておりません。
  124. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もう一つ、「あきぐも」ですか、救助したからその乗組員から聞いてどうも潜水艦らしいことがわかって、その連絡がすぐ来た。それで防衛庁外務省にお問い合わせなさったわけですね。潜水艦らしいといっても日本の潜水艦でないことはこれは明らかですね。そうなってくると、アメリカかソ連かどこか知らぬが外国の潜水艦だということだし、その御判断もなさったからそれぞれ防衛庁外務省に御連絡とったと思うので、外務省の方はわかったんですが、防衛庁からはどういう御返事があったんですか。そして、そういうふうにだんだん明るみになって問題が大きくなってきたにもかかわらず、今日まで総理大臣から何らかの指示とかそういうものはお受けになっていないのかどうか、そこのところひとつ明らかにしておいてください。
  125. 妹尾弘人

    政府委員妹尾弘人君) 防衛庁の方からは、問い合わせに対して防衛庁の船には該当はないという回答があったのみでございます。それから総理に関しましては、総理の方からの御指示は何もございません。ただ官房長官の方から、その情報につきまして、当方のつかんだ情報につきまして何回か問い合わせがございました。
  126. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  127. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 本日の調査はこの程度でとどめます。     —————————————
  128. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外貿埠頭公団の解散及び業務の承継に関する法律案の審査のため、本日の委員会京浜外貿埠頭公団理事長高林康一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  130. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 外貨埠頭公団の解散及び業務の承継に関する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  131. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 埠頭公団の廃止及びその承継についての質疑をするわけでありますが、私に与えられた時間百三十分程度でございますので、時間が非常にありませんので、ひとつ簡にして要を得た御答弁をいただきたいと思いますが、まず今後の日本の輸出入港における貨物の量というものは一体どんなふうな見込みになるのか。政府の七カ年計画によりますと、六十年が四十一億トンですか、こういう大ざっぱな数字が出ているわけでありますけれども、五十四年度の数字によりますと二十八億九千万トン、二十九億トンでありますが、そんなに六十年に四十一億トンなんて一体入ってくるのかどうなのか。もしいままでの線を伸ばしていくということになりますと、年率七・二%の伸び率でないと四十一億トンにいかないという計算になるわけですけれども、どうもそれでは数字がちょっと大き過ぎるんじゃないだろうかというふうに思うんですが、これはどんなふうな見通しを立てているわけですか。
  132. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 御指摘のように、昭和六十年におきます全国の港湾取扱貨物量を四十一億トンと想定をいたしております。それで、この想定のいたし方はどのようにいたしておるかと申しますと、経済の規模をそれぞれの時点におきましてフレームとして決定されておるものがございますので、それを採用いたしまして、その経済の規模と貨物量との相関を求めて推定をいたしております。その結果が昭和六十年度の推定として四十一億トン、こういう数字になっておるわけでございまして、ほぼ六%程度の伸びになろうかと考えております。現在までの現実の趨勢を考えてみましても、景気の変動等によって年々の差がございますが、ならしてみますと、大体この程度になっておるように思われます。
  133. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それは高度成長のときにはかなりそういう伸びを示していますよ。しかし五十年というのはこれ非常に落ちた年でございますから、これを除いて五十一年から五十四年までの数字を見てみますと三・四五%の伸び率ですよ。それがこれからどういう経済になるか、一応経済企画庁の考え方では恐らく五%台の伸びだということになっているわけですよね。それすらちょっと私は危ないと思うのですけれどもね。そうしてみますと、四十一億トンへの七・二%の伸びというのは少し大き過ぎるんじゃないですか。それでもそれだけ伸ばすというんですから、これはむしろ大臣に聞きたいのですが、そのくらい伸ばしていくということですか。そうすると、恐らく相当いろんな面に港湾等においても規模を拡張していかざるを得ないという面が非常に私はあると思うのですけれどもね。やっぱり七・二%の傾向値で伸ばしていくんですか。これは私の計算は五十一年を起点にして計算したわけでありますけれども、そういうことになるわけですか。
  134. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 先ほど申し上げましたように、経済の成長をまずとりまして、これは先生いま御指摘の経済企画庁でやっております推定をとっておりますが、その経済規模に見合う貨物の量というものを、貨物量と経済規模との相関で出しております。したがって、いま伸びておるものを伸ばしておるわけではございませんで、経済の規模がこのぐらいになればそれに対応してこれくらいの貨物量になるだろうという、そういう推定の仕方をいたしております。
  135. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これはきょうの議題でなくて、これからの議題ですがね。過去の二回の五ケ年計画も、これは計画量と実績というのははるかに離れているわけですよね。それはこれから議論をしていくことにいたしまして、それでは一体そういう四十一億トンを目標にして伸ばしていくということになりますと、四港の内貿、外貿、これの伸びというのは一体どんなふうになるんですか。
  136. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 昭和五十四年度の港湾の取扱貨物量を申し上げますと、東京湾で四億九千万トン、これは東京と横浜でございます。それから大阪湾では神戸、大阪でございますが、三億三千万トンで、両方合わせますと八億二千万トンになっております。それから過去におきましての四港両湾の推移を見てまいりますと、昭和四十八年には石油ショックによる停滞がございまして、そのときは低下をいたしておりますが、その後は両湾とも年平均三%程度の伸びで増加をいたしております。今後の見通しにつきましては、先ほど申し上げましたのは以前にやりました全国の推定でございますが、現在第六次の港湾整備五カ年計画の具体化作業と並行いたしまして、それぞれの湾の方向につきましても検討をいたしております。作業中でございまして、現在の時点で幾らという数字はまだ得ておりません。
  137. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうも聞いていると、これからこれからという言葉が大変多いようですが、四港における外貿貨物のライナーの貨物とコンテナの貨物、こういうものの見通しというのはわかるんですか、わからないんですか。過去のしかわからないんですか、どうなんですか。もし将来の見通しがわかるなら教えていただきたいのですが。
  138. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 私ども新しいデータが出ますと、そのデータに合わせて推定を次々に更新をしておるわけでございますが、先ほど申し上げたように、経済企画庁の推定に基づきまして推定したものは全国的にございます。したがって、全国的な推定からそれぞれの湾の状況をほぼこの程度という推定はできるかと思いますが、いま申し上げましたのはそれぞれの湾の五カ年計画を決めるためにさらにそれを詳しく作業をしておるというふうに申し上げたわけでございます。
  139. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 運輸大臣ね、私がこの運輸の委員会へ来たっていうのは十年くらい間があいているわけですがね、どうもいろいろ聞く数字というのが未検討、これから検討するということなんですね。この後、港湾整備の緊急措置法も出てくるんでしょうが、その辺でも恐らく、いま数字が出ていないくらいなら数字が出ないだろうと思うんです。そうなると、将来の港湾というのはどんな港湾になるのか。いまこの法律で公団を解散してそして新しい法人をつくると言うんだけれども、それの受けざらができた、その法人が一体どれだけのこれから仕事を消化するかというような問題、こういうものはまるっきりわからぬですね。ぼくはちょっと驚いたんですがね。こういう委員会に来たの最近ですから、もっと私は港を見ながら運輸省のそういう計画というのは進んでいるかと思ったら案外進んでない。ちょっと期待外れなのが率直な私の感想です。  時間がありませんから次へ進みますけれども、四港における公団の貨物のシェア、コンテナとそれから一般外航貨物とのそのシェアというのは一体どの程度港湾の中で位置を占めているわけですか、公団のは。コンテナと一般の外航貨物と違いますが、どんなシェアになっているんですか。
  140. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 昭和五十四年度におきましては、東京湾において貨物量の合計に対する公団のシェアは七七・九%でございます。大阪湾におきましては湾全体に対する公団のシェアは八八・四%でございます。
  141. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 コンテナとライナーと言ったでしょう。
  142. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 失礼しました。
  143. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 だめだよ、しっかり聞いてなけりゃ。こういう不勉強なことじゃ困るんだよね。大臣、ちゃんと私は資料要求しているんですよ。それで私はちゃんとシェアを計算してきているんだよ。そんなのが答えられないなんていうのはどういうわけなんですか、これは。こういう不勉強では私は実に困る。議論できないよ。こんなものわからないでどうするんだ。
  144. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 現在計算したものを持ち合わせておりませんので、後ほど御返事いたします。
  145. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 今度の答申等を見ておりますと、新しくできる法人はコンテナ埠頭とかあるいは外貿埠頭というのを新しく建設する必要度はもう終えたんだと、こういう答申が出ておりまして、もうこれからは維持管理なんだと、こういうことを書いてありますけれども、もうこれからは一切四つの港におけるコンテナ埠頭とか外貿ライナー埠頭というものは新しく建設する計画はないんですか、どうなんですか。
  146. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 従前のように短期間に大量のバースを整備するという必要はすでになくなったというふうに判断をいたしておりますけれども、今後も外貿定期貨物というのは着実な上昇をするだろうというふうに考えられまして、その伸び率につきましては、外貿埠頭を非常に急速につくっておりました当時の三十数%といった伸びから見ると、非常に緩やかなものになろうと思いますが、今後も着実な伸びで伸びていくと。そういうものに合わせました外貿埠頭の整備というのは今後も必要であろうと考えております。
  147. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうすると、いまの局長の御発言から見ますと、かなりそういう埠頭をつくる必要はある、しかし公団の承継した法人は一切つくらない、こういう意味なんですか。その辺はどういうふうに解釈したらいいですか。答申には、もう建設段階は終わって管理の段階へ入ったんだ、こういうことが明確に書いてありますね。これは間違いありませんか。
  148. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 建設のウエートから管理の方へ外貿埠頭関係の事務のウエートが移っだということが答申にはお示しいただいておりますので、公団というような従来やっておりました組織をそのまま残して業務を実施させる必要はなくなったというふうに判断をいたしました。それで今回御審議いただいております法人にこれを移すわけでございますが、先ほど申し上げました、今後なお着実に若干の規模の埠頭の整備が必要だと申し上げましたその整備事業は、新しい法人に実施をさせたいと考えております。
  149. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうしますと、ここではっきり確認しておかなくちゃならぬわけですが、公団はことしいっぱい、今年度いっぱいですな、これあたりで新しい法人、特定な法人に業務を引き継ぐわけですから、公団はまあこの一年につくるものは、もう幾らつくったっていままでのしかけた仕事を幾らか整理する程度のもので、公団としてはつくることはできないのはこれは当然ですわな。そうすると、新しい指定法人としては埠頭をつくることはあるんだと、こういうふうに確認してよろしゅうございますね。
  150. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) あると現在の時点では考えております。
  151. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうすると、それはどのくらいのバースを——さっきの計算から当然出てこなくちゃならぬと私は思うんです。だからしつこく聞いたわけですけれども、どのくらいのバースを今後——それはコンテナであるのかあるいは一般の埠頭であるのか、少なくともその法人が維持管理をしていくべき埠頭というものをどのぐらい予想をなさっていらっしゃるんですか。
  152. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、現在港湾整備五カ年計画というものをつくる必要があるというふうに考えて、これまた法案を御審議いただいておるわけでございますが、この法律ができますれば、これに基づきまして五カ年計画をつくっていく、決めていくという運びになります。現在の時点ではその大枠が決められておりまして、その内容を港湾管理者と意見調査をいたしながら煮詰めておる段階でございます。そういうことでございまして、実は各港別、各湾別という個別の計画がまだできてないというのが現状でございまして、それで先ほどああいう御答弁を申し上げたわけでございます。この夏ごろまでにはその辺をしっかり固めたいと思っております。  で、途中の段階でございますが、五カ年計画の予算要求というようなことが昨年なされております。その計画段階ではある程度の見通しを立てて要求をいたしておりますが、現在その当時要求段階で考えておりました七兆三千億円という全体の規模が、最終的には四兆二千六百億円という規模に決定をいたしておりますので、その最終規模に合わせたかっこうの内枠を固める作業をしております。という意味で現在まだ固まっておらないと申し上げておるわけでございます。
  153. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私はなぜそういうことをしつこく聞くかといいますと、新しい法人というものが一体どういう性格の法人になるのか、そのことをはっきりしてもらわなければ受ける方も受けにくいだろうし、いろんな資産を配分をするにいたしましてもやっぱりそういうことが明確にならないと受ける方としても受けられない。国としたって、これ行政改革の中で放したはいいけれども、果たして育つのか育たないのか、あるいはお荷物になるのか、あるいは港湾の今後の流通に非常にプラスになるのか、こういうことだってわからないわけですね、ここらをはっきりしておかなければ。それが先へ行って先へ行ってという話になってきますと、これはわれわれ判断するのも非常に困るし、もちろんここで働く人たちはもっと困る。そういう点をぜひ早くはっきりさせてほしいということで私はしつこく言っているわけですがね。  そこで、これは港湾局長に聞くんですが、まあ私は港の門前の小僧でありますから余り港のことはよくわかりません。ただときどき港を見ている程度でありますけれども、港の技術革新というのは非常に進んできているわけですね。陸上以上に私は進んでいるような感じがします。港の港湾荷役にいたしをしても、昔はあの道板の上を南京袋に詰めたのをしょってよいしょよいしょと反動をとりながら行ったわけでありますから、船と上屋の間はなるべく距離が短い方が実はよかったわけですね。いまはもうそんな肩荷役なんというのはほとんど見たことないような状況だと私は思うんですよ。  そうしますと、既存のバースというようなものを、これは何も公団の承継するバースだけじゃありませんよ、港全体として、特に公供バースなんというものは、そういう意味で新しい港湾の仕事に対応できないような、そういうバースというのはうんとあるわけですよ。船だって大きくなった、荷役の機械だって進んできている。特に昔はエプロンといいますか、船の着けるところから上屋のところまでいくのを何かエプロンというふうに言っているようでありますけれども、このエプロンの広さなんかも昔は十メートル以下だったんですよ、なるべく短い方がいいというわけで。いまはこれは二十メートルだって狭過ぎるんですよね。できたら三十メートルぐらいほしいぐらいな状況がいまの港湾だろうと私は思うんですけれどもね。こういう形で古い港湾というものをどんどん新しく対応することのできるような港湾に変えていく必要が私は大いにあると思うんですけれどもね。そういうような点は一体どうなのか。  それから、今度承継するバースにしても、私はそんな気がするんです。コンテナのバースなんかも、昔は二百メートルから二百五十メートルあればよかった。いまはしかしそれでは恐らく足りない。あるいは三百メートルぐらい、これからつくるのは恐らくバースの長さが三百メートルを基準にしているようですね。それは現実にバースの長さを長くしなけりゃだめだ。船が大きくなった、こういうことを私は示しているんだろうというふうに思うんですけれども、こういう面はこれからの新しい法人というものがどういうバースをどういうふうに承継するかということは余り明らかではありませんけれども、いままでの港湾のバースはそのまま新しい法人が港別に承継することになるだろうと思うんですけれども、そういう中でも古いバースと新しいバースではそういう機能というのはうんと違ってきていると思うんです、もうすでに。これからもっと違ってくるだろう。そういうふうに考えますと、新しい法人が維持管理をするだけだというんだけれども、バースのあり方そのもの、このものも相当変えていかなくちゃならぬ。ただ維持管理だけで済むだろうかどうだろうか、かなりの大改造も将来の法人はしなければならないようになるんではなかろうか、こういうふうに思うんですけれども、その辺は両方を含めて一般の公共埠頭のこれからの港のあり方はどうなるのか。それから、その中で今度つくられる法人の維持管理の状況というものは、私の言ったような大改造というものはもうあり得るのかあり得ないのか、この辺についての見通しをお聞かせください。
  154. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 先生御指摘のとおり、非常に省力化とか効率化というような観点から、港の技術革新というのが特に最近急速に進んだというふうに私どもも考えております。それで、そういうことの結果、船が変わってき、あるいは荷役の方式が変わってきたというようなことで、これに対する対応をしなければならないということで、現在まで港湾の施設におきましてはおおむね先生が御指摘になったような方向で変化をしてまいっておると思います。  具体的に申し上げますと、港湾施設の変化の特徴的な点を申し上げますと、まず係留施設の水深が一般的に昔に比べて深くなっております。それから埠頭用地の拡大、荷さばきや保管施設用地が拡大していること、それから機械を入れるためのエプロンが広くなっていること、それから大型の荷役機械を設置して機械化していること、大体こういったような方向が特徴的な方向でございますが、そういう方向で非常に大きく昔に比べて変化している。昔で申しますと、先ほど先生もおっしゃいましたが、岸壁は水深が十メーター程度が大体限度でございましたし、それから延長も二百メーター程度ですし、エプロンは十メーターか十五メーター、倉庫敷入れても百メーターぐらいの敷地というようなところでございましたのが、最近の外貿コンテナの場合は水深は十二メーター程度、埠頭用地は三百メーターから三百五十メーター、延長も二百五十から三百メーター、こういったことで、もう非常に格段に大きく広くなっているということでございます。  それからまた従来に比べまして特殊な船が、船といいますか、特殊な荷役をするようなものに対してそれぞれ便利な港をつくるという傾向も新しい傾向の一つでございます。たとえば木材を取り扱うもの、穀類を取り扱うものあるいはフエリーといったような、特別な荷役の形態に合わせた港の形といったようなことが一つの趨勢といいますか、変化の方向でございます。それからまたバラ荷の貨物につきましては、これはもう非常に大型化しているというのが大きな変化の方向でございまして、一般的に言ってそういった荷役革新、技術革新に伴う港湾の変革がかなり急速になされておるという現状でございます。  そういうことに伴いまして、再編成でございますとか再開発でございますとか、そういうことが必要になるのではないかという御指摘でございますが、これも全く御指摘のとおりかと存じます。別の方向から都市におきましての土地利用の再編成の必要というようなものもございまして、その方の影響として貴重な臨海部の空間の土地利用の高度化を図るといったような要請も別にございますので、老朽化、陳腐化した港湾施設を再整備いたしまして港湾機能の効率化を図る、そして輸送革新等に対応した港湾空間の高度利用を図るといったようなこと、それにいろんな港湾におけるニーズが多様化したことに対応いたしまして緑地の整備でございますとか、そういった従来は港湾の範囲では余り考えられてなかった都市機能の面と調和した港湾の環境といったようなものを実現する必要性も起こってまいっております。  そういったことから、私ども全国各地でそういった再開発、再編成といった必要が起こってきておるように理解をいたしておりまして、横浜港におきましても現在三菱造船の土地の問題等とも関連して再開発の動きが起こっておりますことは先生御承知のとおりでございます。港湾の五カ年計画でも、これを策定する過程でそういった再開発の問題というのは十分に踏まえて検討をしていかなければいけないというふうに思っております。  それから公団が整備いたしましたコンテナ埠頭につきましても、御指摘のような陳腐化あるいは更新、改造の必要性といったことが将来起こり得る可能性は私は多分にあるというふうに考えております。したがいまして、新しい組織が引き継ぎました埠頭について、ユーザーからのそういった要望あるいは客観的な埠頭運営上の観点からの判断が港湾管理者に当然出てまいりましょうから、そういうのにあわせて更新、改造の工事の必要がこの新法人に課せられるという場合も将来は予想されるかと考えております。
  155. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————     午後一時三分開会
  156. 黒柳明

    委員長黒柳明君) ただいまより運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外貨埠頭公団の解散及び業務の承継に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  157. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 時間がありませんから、本来ならバースの経営のあり方というものが将来どういうあり方がより合理的であるか、こうしたお話も実は伺いたいと思っておりましたが、それは次の機会にひとつ譲らしていただきたい、このように思うわけであります。  港湾一般の管理運営論というので、いま世界的にいろいろ議論がありますけれども、私の個人の見解ということになるかもしれませんけれども、港湾というのは広域的にしかも一つのオーソリティー、よく言われているポートオーソリティーというようなものが、港湾というものの全体的な管理運営をやっていくというようなもの、港湾の効率的な運営あるいは物流をスムーズにやっていくという上にはそういう形をつくっていくというのが理想的だと思うんですけれども、そういうようなことは政府の方ではお考えになっているのかなっていないのか、今後の東京湾なり大阪湾なりあるいは伊勢湾なり、そういうところの港の運営というものは一体どういうふうに考えておられるのか、この辺伺いたいと思います。
  158. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 東京湾あるいは大阪湾、伊勢湾等のあるその湾域が非常に密接に関連のある地域になっておるような場所、そこに幾つかの港があるような場合に、そういった湾全体の広域的かつ総合的な調整を図って、まあ可能であれば一つのオーソリティーというようなこともありましょうけれども、少なくとも可能な限り広域的、総合的な調整を図るということの必要性はわれわれもかねてから感じておるわけでございます。  それで、現在公団のございます東京湾、大阪湾等につきましては、港湾審議会にお諮り申し上げましたときにもこういった両海域においては広域的な管理を行うことが長期的に目指すべき方向であるというふうに御指摘を受けておるわけでございます。  私どもはそれに対してどういうふうなことをやっておるかという点でございますが、港湾法を四十八年に改正いたしました際に、そういった方向が将来の方向として必要だという観点から、港湾管理者の協議会というものをつくる制度を港湾法の中に置いております。現在まだその制度が活用されておりませんで、協議会が置かれたところがないわけでございますが、将来はこういった制度も活用しながら一体として機能することが望ましいような湾域の広域的な港湾の管理ということを目指してまいりたいと考えております。
  159. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いままですべての貨物を公団が処理してきたわけではございませんので、この二つの京浜、阪神の両公団ができたということが一つの広域的な管理になったとは思いませんけれども、まあ当初はそういう意味では一つのそういう芽がこの中にあったというふうに考えてもよろしかろうと思うんですけれども、今度は一つの湾の中のそういうものがまた細分化しちゃう、二つのものが四つになっちゃう。こういうことになると、四十八年の改正にいたしましても、いま局長がおっしゃっていた広域的な港湾の運営管理というものから見ますと、今度のことはむしろ逆行じゃないんですか。そういう意味ではもともとがこの公団法の廃止ということが行政改革という立場でこの問題が問題になってきたにもかかわらず、むしろ逆行じゃないですか。
  160. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 現在、公団が湾に一つずつという形でつくられておりまして、これが確かに先生御指摘のように湾を広域的に管理するという考え方の一つのあらわれということであると理解をいたしております。特に埠頭を整備します際に広域的な観点というのは一段と必要になります。どこの場所につくるかというようなことを広域的に考えてやらないと非常に問題があるということから、公団は非常に急速なコンテナ埠頭及びライナー埠頭の整備を図るのを目的につくっておりましたのでいその建設を広域的に十分に調整をしながらやるということも大きなねらいでございまして、湾に一つという形をとったものと考えております。  それで、今回そういったものをまた四つに分けるという点が、御指摘のような港の広域管理という観点からすれば一歩後退ではないかという御指摘でございますが、これはそういうふうな見方をいたしますれば、そういうふうにも見れるかと思います。しかし、今回その四つに分けた理由はこれまたやはり理由がございまして、先ほど御説明いたしましたように、港湾の急速な整備という要請はすでにだんだん終わってまいりまして、これからはそれほど急速につくらなくてもよろしいと。従来考えておりました、公団当時にやっておりました規模の十分の一とか、五分の一とかいうようなテンポで進めればいいということですから、先ほど御説明した、建設に当たって広域的に物を考えなければいけないというウエートが減ってまいりまして、今度はそのつくったものを管理するということに重点が移ってまいったわけでございます。  で、つくったものを管理するということになりますと、個々のコンテナ埠頭あるいはライナー埠頭というのはほかの外貿施設、公団でつくったものでないライナー埠頭もございますし、あるいは不定期船用の埠頭もたくさんあるわけでございまして、そういった個々の港にあるほかの施設との関連、運営上の関連性、そういったことが重要な問題にもなってまいります。そういう意味から、そういうほかの施設を一元的に管理いたしております港湾管理者との密接な連携というのが以前よりよりウエートとしては高くなってくるというふうに理解をいたしまして、この各港ごとに一つずつということにいたしたわけでございます。港湾審議会の管理部会におきます答中でも、将来は全面的な広域管理を方向として目指すべきである。現在まだ広域管理が実現をしないで、各港がそれぞれの港湾管理者によって管理されておる現状では、いま申し上げましたような観点から、それぞれの港に一つずつつくるのもよかろうと、こういった御答申をいただいておるわけでございます。  しかしながら、そういう観点で四つに分けましたけれども、もちろん広域的な管理運営が行われる必要はございますので、この四つの承継主体によりまして構成される外貿埠頭の運営のための協議会を設けさせることによりまして、相互の連絡調整を図ることはもとより、これに対して国が強力な指導調整を行うということを考えてまいりたいと思っております。
  161. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 何か港湾管理者に任せれば、港湾管理者が管理している他の公共埠頭、そういうものとの一体的な運営ができると、こういうふうにおっしゃっているんですが、私は恐らくできないと思うんですよ。むしろ将来にこの法人と港湾管理者との間に、逆に摩擦さえ起きかねないというような問題があると思うんですね。こんなことをしなくても私はいいんではないだろうか。  いま、港湾を一体として管理するために港湾管理者に任せたと言うんですが、横浜あたりの実際のバースというのはどうなんですか。私有バースの方が多いんじゃないですか、公共のバースより。シーバースからいろんなものを入れたものを数えていきますと、私有バースの方がずっと多いと思うんですよ。それでもある程度一体的な運営はできているわけです。私有バースがあるから横浜港は混乱してどうにもならぬ、東京港も混乱してどうにもならぬという話は残念ながら私は余り聞いてない。そういう意味ではむしろ摩擦点を一つつくった、こういうふうに言ってさえいいんではないだろうかというふうに思いますけれども、いままでの両公団で、各公団とも役員というのは何名ずつあったんですか、それで将来法人になった場合、役員は何人ずつになるんですか。
  162. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 現在の両公団はそれぞれ役員六名ずつでございまして、新しく発足いたします法人におきましては、常勤の役員の数は、現在の両公団の役員の総数を上回らない程度が適当ではないかと、これは行政改革という新法人発足の経緯から申しましても、そういうことが必要ではないかというふうに考えております。
  163. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうしますと、現在の役員を上回らない程度と、いま六名ずつで理事長さんは兼任ですわな、たしか高林さん兼任ですわな。そうすると、十一名ということですかな。今度は四つの法人で、十一名を四つで割ったら何名になりますか。
  164. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 一名の理事長は兼任でございますが、六名。これは本来でありますれば十二名でございますから、四つで割りますと三人ということに相なろうかと思います。
  165. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 三名でその役員が、もちろん兼任もありますわな、その中に。三名で一つの法人の役員やっていけるんですか。将来、これは人事ですから、最後の監督権は恐らく運輸大臣にあると思うんですけれども、各法人三名以上には絶対にそれでは役員はふやさないという約束をしてくれますか、ここで。
  166. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) この法人の役員の定数等は、それぞれの法人の主体になります港湾管理者の事情等もございましょうから、一概に運輸省が何名ということを決めてしまってはいけない問題ではないかというふうに考えております。  それでいま申し上げましたのは行政改革の趣旨にも照らして、その程度が望ましいと思っておると申し上げたわけでございまして、この数に必ずするということをここでお約束を申し上げる立場にはないと考えております。
  167. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうすりゃ、その役員の数はふえちゃうじゃないですか。頭だけでっかちになるわけでしょう。まさに行政改革にも逆行するという形にならないですか。局長は、そういうときも非常に数が小さい数字に出るような計算機お持ちなんですか。私の計算機じゃどうしても行政改革に逆行する頭でっかちの組織になってしまう。しかも、下のその法人の従業員の数というのは、いま両方のおのおの百名ちょっとぐらいのものだろうと私は思います。それが二つに分かれていくんです。頭だけでつからな形で発足する、こういう形になりませんか。
  168. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 役員の数につきましては、これは関係の港湾管理者が設立の主体でございますから、これが埠頭の借り受け者等といろいろ御相談もされ、寄付行為の中で決めていかれるわけでございますので、運輸省として何名にするというお約束をする立場にはないと申し上げたわけでございますが、その規模の目安と申しますか、望ましい数というのは、先ほど申し上げましたように、現在の両公団の役員の総数を大きくは上回らないというのが望ましい目安だというふうに考えておりますので、いろんな機会を通じまして、そういうふうな方向になりますように私どもは努力をいたしてまいりたいと思っております。  それから職員の数につきましても、承継時に大体それぞれ百名前後の組織になろうかと思いますが、これを大きく上回らないような形で将来も運営をされていくというのがやはり目安としては望ましいというふうに考えておりますので、これもいろんな機会を通じて私どももそのようになりますように努力をいたしてまいりたいと思っております。
  169. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それじゃこの法人には運輸省の官僚は絶体天下りをしない、そういうポストは一切運輸省は取らない、将来にわたってですよ、そういう約束できますか。
  170. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 天下りといいますか、運輸省の固有のポストというのはもちろん当然法人の性格上ございませんので、そういう意味ではないと考えておりますが、もちろんその運輸省出身であるとないにかかわらず、将来の問題として、この法人で資格といいますか、この人が欲しいというような状態がもし仮に起こりまして、それは絶対に国からは出すことはしないというような意味ではございませんので、運輸省のポストというようなものをこの法人の中に確保するというようなことはないということを申し上げました。
  171. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 まあこれはだれが見ても結局役員をふやす、運輸省の天下りの役人の、どっちから話が出るか知りませんが、結論的には天下り場所をつくる、こういう結果に私はなる可能性が非常に強いと思うんです。ですから、こういう法人的なあり方、これは段階を一つ余分につくったにすぎない、こういうふうに思うんですよ。だから五十二年の十二月の閣議決定も法人をつくれということは言ってないんですよね。港湾管理者に返しなさいということをむしろ言っている。それが港湾審議会で何とかかんとかになって、そんな法人をつくるというふうなことになってしまったわけでありますけれども、私はいままで、私が戦後生活をしてきた中でも、こういう形になれば恐らく横浜は横浜で東京港に勝とうという形になるだろうし、神戸は大阪に勝とうということになるだろうし、大阪は神戸に勝とうじゃないか、東京は横浜に勝とうじゃないか、こういう市民運動というものはいままで行われてきたわけです。私なんかもそういうのにある意味じゃ動員されてきたというふうにいま反省していますよ。  そういう意味では港湾の一元的な運営というものから見れば、まさにこれも逆行。組織そのものが逆行、役員が逆行、一元的な運営という点から見ても、私はうんと逆行するものだと、こういうふうに考えられますが、これは局長どうですか。これは後で大臣にも聞いてみなきゃいけない問題だろうと思う。むしろ閣議決定には違反するし、国民の行政改革の意欲には、形の上では何か動かしたようだけれども、実際は国民の望む方向とも違う、こういうふうに私は思うんですが、どうですか。
  172. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 閣議決定におきまして、地方公共団体に移管をするものとしてその条件を整え、整備するという閣議決定がございました。で、その方向と違うのではないかという御指摘かと思いますが、私どもその閣議決定の中身を、そのように港湾管理者の直営と申しますか、港湾管理者が直接管理運営をするという形にするというふうな決定であったというふうには考えておりませんので、港湾管理者主体に運営をするということは、その当時の閣議決定の趣旨だと考えておりますが、これが直接管理運営をする直営方式であるのか、あるいは管理者が主体となって設立する別の法人に管理をさせるのか、そういったことも含めてその条件の整備を図るのだというふうに考えております。そういう趣旨で、その後港湾審議会の管理部会におきましていろいろ御審議をいただいたわけでございます。  その御審議の結果、やはり港湾管理者の直営よりはこういった形で、指定法人というような形で処理をするのが今後の外貿埠頭の運営をスムーズにするために適当であるというふうな趣旨の御答申をいただいたものですから、これを実施したわけでございます。  それで、先ほど御答弁申し上げましたように、湾全体の一体的な管理運営という意味から見ると逆行ではないかという御指摘でございますが、私どもは確かにそういう面から見て、そういうふうに論じてまいりますれば逆行という面もあるいはあろうかと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、それを上回るメリットがこういうふうに四つに分けたことによって生じるだろうというふうに考えておりまして、そういう意味では十分行政改革の趣旨にかなうものであろうというふうに考えておるわけでございます。  なお、先ほども補足的に申し上げましたが、それぞれの港が一体的といいますか、共通の問題をよく相談をしながら管理運営されるということの必要性は十分ございますので、四港の協議会をつくることによってその間の調整を図りながら、先ほども御指摘ありました過当な競争等につきましても、協議会の場でもそういう議論がなされましょうし、それから運輸大臣が計画の認可をすることになっておりますのも、そういった意味での非常に適当でないような競争がなされ、将来の建設等にそういった事情が出てまいりますればこれをチェックするという意味で運輸大臣の認可にかからしめるといったような所要の監督もいたすことにしておるわけでございます。
  173. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 局長、ボードセーリングという言葉がいま新聞で非常に騒がれておりますが、ボードセーリングというのはどういうことですか。
  174. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 港湾の利用者に対して、その港の利点等を宣伝をしたり、よく理解をしていただくことによって、その港の利用を促進をするという意味の活動を言うのではないかと思っております。
  175. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いま四港の港湾管理者は、外国に対してボードセーリングというようなことをやっていますか、やっていませんか。
  176. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 程度の差はありましょうけれども、各港ともそういった活動をしておられると思っております。
  177. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は、恐らくそうしたボードセーリングというのはこうしたことによって非常に熾烈に行われる。そのことが日本の船社や、あるいは日本の荷主などに対して行われているならまだいいわけでありますけれども、港は世界から来るわけです。特に外貿埠頭なんです。外国から来ることが通例であります。それが外国の、しかも恐らくライナーあたりのシーランドとかAPLとか、こういう大きな会社に対してボードセーリングを恐らくやっていると思うんです。それは恐らく港湾の使用料から貸付料から、あるいは港湾の荷役施設、こうしたことまでに及ぶと私は思うんですよ。そうしますと、局長が言ったような港湾管理者と一体となってやっている、なるほどそれは一体となってやるかもしれませんけれども、港湾自体の競争というものはめちゃくちゃになるというのが実態じゃないでしょうか。そしてそこに働いている人たち、そこで仕事をしている業者の人たち、こうしたものは値上げをせざるを得ない。価格競争の犠牲にならざるを得ない。またそうした施設のために、それぞれの市民はより多くの金をこの港湾につき込まざるを得ない、過剰投資にもなるでしょう。そういう心配が私は非常にある。これは後ほど具体的にどうなっているかということを私は申し上げてみたい。  だから、港湾審議会の中でも過当競争やあるいはむだな二重投資を排除しなければならないという議論、これは港湾審議会の小委員会ですか、ここでもかなり議論になった焦点だと思うんですね。なぜ議論になったかということは、そういうことがあるという心配があるから議論になったわけですよ。そうしたらば、港湾投資に対するこの点でも私は逆方向だと。なるべく少ない資本でより効率のある港湾をつくるという方向、これとは違った道だと、こういうふうに私は思わざるを得ないのですが、どうですか。
  178. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) ボードセーリング等の活動が非常に行き過ぎになって過当な競争になるということは確かに望ましくない影響も出てくることだろうと考えます。しかし、これは過当になればもちろんよくないわけでありますけれども、適当な競争というのはやはりこういった港湾相互の間でもあってよいものではないかというふうに考えております。それで、過当な競争のために弊害が起こるということを防ぐ意味で、先ほど申し上げましたような協議会でありますとか、あるいは今後の埠頭整備にかかる整備計画等につきましては、運輸大臣が十分に港湾政策あるいは全国的な海運政策の観点からチェックをする、そういう趣旨で認可をいたすことにしておるわけでございまして、弊害が生じるような過当な事態が起こりますれば、これに対しては適切な手を打ってまいりたいと思っております。
  179. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 この辺は率直に言って運輸大臣に私はこの話を聞いていてもらいたかった。閣議決定よりも変わってきているし、経済的な面からも、資本的な立場の面からも、組織的な面からもどうも逆行、閣議決定の趣旨と一番相反しておる方向に行っておる。閣議はいい決定をしても、その間でごちゃごちゃになって、ここへ法案が出てくるときには何ら行政改革とは縁もゆかりもない、むしろ行政組織を複雑にして港の運営管理をよりむずかしくするようなものとしてここに出してきて、さあおまえらのめ、こういうやり方は私は承服できないんですよ。あなた方が港をつくるというのだけれども、あなた方だけで港はできているものじゃないんです。もっとその辺は私は真剣に考えていただきたい、このように思います。  理事長さん、私、いままでこれだけ今度のこの話を私の考え方で聞いているわけですけれども、理事長さんがやめられるので、非常にその点ではやめる人にこういうことを運輸省の港湾局の前で聞くのは申しわけないと思いますけれども、私はそういうふうに感じてしようがないんですよ。メリットがあるあると口では言っているけれども、具体的なメリットはよくわからない、私には。そして先ほど申しましたように、行政改革の面からも、港湾の一元的な運営の面からも、資本投資の面からも、私はどうしてもプラスには思えない。理事長さんどうですか、もし御感想があったらお答えいただきたい。
  180. 高林康一

    参考人(高林康一君) お答え申し上げます。  私も、港湾審議会の一種の参考人みたいな形で審議に列席さしていただきました。その場合、私といたしましてもいろいろの意見を申し上げた次第でございます。ただ、公団の理事長といたしましても、やはり港湾審議会の御結論に一任するということで御一任をいたしました。いろいろ過程においての意見を申し上げたのでございますけれども、現在の港湾管理体制というものと、それから公団の建設事業の推移というようなものとを考え合わせますと、港湾審議会の答申というのもやはり重要なまた将来の一つの考え方であるというふうに私としては考えた次第でございます。
  181. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 理事長には余りここでいろいろなことは御発言、なかなかむずかしいでしょうからいいと思いますけれども、今度こういう形で法人にして、政府の方はいままでの出資金は無利子の貸付金にして、一定の条件のもとにはこれを引き揚げると、もうかなり引き揚げ始めているようでありますけれども、そういうふうにしておいて、監督権だけはいままでとちっとも変わらないのじゃないんですか。承継の計画書の認可は必要でありますけれども、事業計画から大事から貸付料から、ほとんどすべてのものは判こをつかなけりゃならぬ。いままでよりもこういうふうに法人化になって、運輸省の監督行政から見て、これはうんと少なくなった、判このつぎ方が少なくなったということはどれとどれとどれですか。
  182. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 公団は国の組織に準ずるものでございますから、大事につきましては国が任命をいたしております。しかし、今度の組織では大事については運輸大臣は届け出を受けるだけでございますし、それからまた大きな部分といたしましては、現在、基本計画につきましては運輸大臣がこれを公団に指示をいたしておりますが、今後の法人におきましては、事業計画を法人がおつくりになったものを、運輸大臣が先ほど来御説明申し上げておるような観点で認可をすると、そういったことで、相当従来の、国が表に立って仕事をするという面からは国の関与の仕方というのは少なくなっておるというふうに考えておりまして、現在法案に盛り込まれております国の監督の権限といいますのは、この外貿埠頭の事業が国全体の海運政策の一つの象徴のような意味があります。そういうことから、国家的重要性に基づいて必要最小限のチェックをするという趣旨で盛り込まれたものでございまして、決してがんじがらめに過剰な監督をするというようなことではないというふうに理解をいたしております。
  183. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 このことによって、運輸省では監督の人間が何名減りますか。
  184. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 特に私どもの場合は、現在までの公団におきましても管理官といったような制度は設けておりませんし、まあ係を設けておる程度でございますが、その係は当然改組をするということになろうかと思います。
  185. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 係は改組をしても人間がいれば同じじゃないですか。いま小さな政府、小さな政府ということを要求していて、そうした一環としてやっぱりこの公団の問題もあったんでしょう。そういうものと全然別個の問題じゃないでしょう。監督はほとんど同じような監督をする、責任は向こうへやってしまって、こっちは人は減らない。何にもならないんじゃないですか。まさに閣議決定違反じゃないですか、どうですか局長。
  186. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) すぐに監督に要した人を減らすというような状態にはもちろんならないわけでございますけれども、国の業務である公団という業務がなくなったということに対応した仕事の再配分といったようなことを当然考えまして、合理的な組織に持っていきたいと考えております。
  187. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大臣ね、あなたがいない留守にいろいろ議論したんですがね。行政改革の要求には合ってない、経済的な投資の面からは節約にはならない、人は減らない、一体何のためにこれやるんですか。あなたはこれで本当に行政改革になるんだと、そういうふうに思いますか。私はちっとも思わない。いま答えなくていいですよ。私のいままでの議論、だれかにちょっと聞いて後で答えていただきたいんですがね。私はその意味で、全然どうも、これはむしろ一つのこぶをまたつくった、こういうふうにしか思えないわけでありますけれども、時間がありませんから次へ進めますけれども、これは運輸大臣、考え直してもらわないと困る。あなたなんかはいいかもしれませんけれども、私なんて横浜に住んでいるんですからね。市民税は横浜へ払っているんだから、むだに税金使われちゃかなわぬですからね、これは。そうしてその末には、貨物は東京へとられたり大阪へとられたりして横浜が衰微するということになったら、私はどうしますか。だから、いじくるだけでいいというふうな考え方はひとつやめてもらいたいと、こういうふうに私は思います。  それでは、少し公団の数字について聞かしてほしいわけですが、まず両公団の固定資産を見ますと、五十六年度末の見込みで阪神は二億五千九百九十八万三千円、それから京浜は七千三百万二千円、もう約四倍ぐらいの差が出ているわけでありますけれども、これは一体どうしてこの二つの公団でこんな差が出てくるんですか。よくわからぬですね、これは。どうして出てくるんですか。
  188. 小野維之

    政府委員(小野維之君) 両公団の事業資産の造成費用、作成費用その他——バースの数自体は現在のところ三十バースと三十二バースということで似てはおりますけれども、たとえば軟弱地盤のところに土地を造成し岸壁をつくっておるとかいうような関係がございまして、一つ一つを見ますと大変微妙ではございますけれども、トータルとしてかなり資産額に違いが出ておるということでございます。
  189. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 じゃお伺いしますがね。神戸のポートアイランドのところの土地は、安い土地で平米二万三千円、高いのになると五万円ぐらいになりますね。ところが横浜は五千円か六千円ですね、大黒埠頭が。大井の埠頭にいたしましても一万三千円。まあ大阪は大体そのくらい。神戸が特に高いですね、これは。恐らくこのことが、私は阪神の外貿埠頭公団の土地の価格、この帳簿の価格、これを引き上げている理由だと思いますがね。どうして神戸と大阪でこんなに違うんですか。片方は五万円、片方は五千円、どうして十倍も違うんですか。恐らくこれは、神戸の場合、阪神の場合には土地代を公団にひっかけているんじゃないですか。
  190. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 土地の代金でございますが、これはいろいろでき上がった土地を購入をする場合、それから、みずから埋立権を取得して工事をする場合、そういったいろんな態様で取得をいたしております。そういうことで、土地の価格には非常にいろんな差が出てまいります。  たとえば東京におきましては、東京都が埋め立てをやって造成をしてでき上がった土地を公団に譲渡しておりますが、この場合、その譲渡価格には、臨港道路をつくりますとかあるいは緑地をつくりますとか、関連した公共施設を整備した、その費用なども皆その土地の価格に分担させて譲渡をすると、こういったことになりますので、その原価が、土地だけをみずから埋め立てをして取得する場合に比べて高くなると。それからまた、そういう譲渡で入手しますときは近傍類地が価格の参考になりますので……
  191. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 近傍類地の土地なんてないよ、公団が買ったのでそんなもの。冗談じゃないよ。
  192. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 近傍類地と申し上げましたのは、まあすぐ隣という意味ではございませんが、そういうものも価格の参考にされますので、これもやはりみずから埋め立てます場合に比べると高くなるというような事情がございます。  それで、一般的にそういった土地の価格にはいろいろ差があるわけでございますが、京浜と阪神の場合につきましては、先ほど申し上げましたような差がございますのと、阪神の土地造成、特にポートアイランドのようなところの造成が、地盤が非常に軟弱なところに造成をしているという意味で造成単価が高くついているというような事情は阪神と京浜との間の差としてあるように思っております。
  193. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 結局こう思うんですよ、私は。港湾管理者が公団だからひとつ高く売りつけてやろうというようなところで、政治力のあるところは評価額が高い。そうでない善良なところは評価額が低いと。横浜なんか一番そういう意味じゃ善良だから、たった五千円くらいで提供していると、こういうことに私は相なると思うんですね。今度はこれ法人になったって同じですよ、これは。高いところは高く売りつけて、そして、むしろそういう法人に高く売りつけることによって市の収入をふやすことができるんですからね。  それから、支払い利息がうんと違うのはどういうわけですか。支払い利息を損益計算書で見ていきますと、京浜の方は支払い利息五十億七千三百万円、阪神の方は四十一億六千三百万円ですね。十億近い支払い利息という差がここで出ているわけですね。同じ理事長の下でこんなに違うというのはどういうわけですか。
  194. 小野維之

    政府委員(小野維之君) 両公団の現在抱えております負債の総額がかなり違っております。
  195. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 負債の総額、そう違いないよ。
  196. 小野維之

    政府委員(小野維之君) かなり違っておると思いますが……
  197. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 違ってないよ。  それじゃ聞きますがね、長期借入金、確かにこれは阪神より京浜の方が多うございますよ。利率はどうなっていますか、あなたそんなこと言うんだけれども。むしろたくさん借りているこの京浜の方が利率は低いはずですよ。どうですか。
  198. 小野維之

    政府委員(小野維之君) 利率につきましてもちょっといま先生のおっしゃった計算はしておりませんが、京浜公団の場合には四十七、八年に借り入れを行った金額はかなり多くなっております。それの借りかえがここ二、三年発生してきておりますので、当時の利率に比べますとその分の利息はかなり利率の高いものに変わってきておるというふうに承知をしております。
  199. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これよく調べてみますと、あなたの言ったことなんてでたらめだよ。なぜこんなに利息が多くなったかというその理由は福田さんの内閣時代でしょう。高い債券を、一カ月もすれば安く売り出される債券を、高いので買っておけ、国の財政投融資の関係があるから買っておけ、こういうので高い債券を押しつけられたんでしょう。京浜の方は東京だから、また向こうは東京に比べるとそろばん勘定はうまいですから、そういうことで向こうはちょっと違いで安い債券の金利、こういうことですよ。  それから長期借入金ですね、これだっておかしいと思うんですよ、私は。この年なんかは財政投融資の伸びは実に一八・七%の伸びですよ。このときの借りかえができないから、農林中金ですか、農林関係の金融機関から京浜の場合には借りているんでしょう。三十九億七千七百万円ですね。これは農林中金から借りているんでしょう。理事長、違いますか。そのときの金利は幾らですか。
  200. 高林康一

    参考人(高林康一君) 農林中金から借りたものでございまして、この金利は五十三年に借りましたものは五・五五%、五十四年九月に借りましたものが六・六五%でございます。
  201. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そういうふうに安いんですよ、長期借入金は。高いのはむしろ債券じゃないですか。債券の金というのはどこから来たかと言ったら、これは資金運用部の財政投融資に充てられているんだよ。国も公団に勝手なものを押しつける、港湾管理者も公団に勝手なものを押しつける、こういうのでできているのが貸借対照表であり、損益計算書であり、資金収支じゃないですか。まさにあらゆるしわ寄せをこの公団に押しつけている。だから、この利益を見てごらんなさい。京浜なんかここ四、五年三角ばっかりついているじゃないですか。阪神がちょっと黒字な程度で、やっと三角がつくのを免れているという程度のものじゃないですか。結局国が食って市町村が食っているのが現在の埠頭公団の実態じゃないですか。大臣、違いますか。私の言うことは間違っていますか。
  202. 高林康一

    参考人(高林康一君) ちょっと補足をさせていただきたいと思います。  まず土地につきましては、確かに神戸が軟弱地盤の関係で高くなるという傾向はございます。それから横浜が特に安いのは、これは公団が自分で造成した、埋め立て等をやりました関係で安くなっておるということでございます。  それから第二に、長期借入金につきましては、これはい号債と申しまして財政投融資から引き受けてもらったところの債券の借りかえ分がちょうど京浜の方が阪神より多くなったということ、その借りかえ時期の差によってそういうものが、額の大小が発生しておると。それから、利益の大小につきましては、これは営業勘定でございますんで、建設勘定にありますものは載りませんで、供用を開始いたしましたところのものについてだけそれの金利払いその他を計上しておりますんで、京浜の場合が、供用いたしましたところの事業資産というものが阪神よりたとえば五十四年度では七十億ばかり多い。したがってそれの金利払いというものが営業勘定としては多くあらわれてくる、こういうふうなかっこうになっております。それぞれ基本的には同じ手法をやっておるわけでございますけれども、供用開始の時期、それから建設勘定から営業勘定へ移したところの時期その他の関係でなるものでございまして、それによって発生したものであります。  また、借りかえというようなものは券面ではそれぞれ時期がはっきりしておりますんで、そのときの金利情勢によってそれぞれの借りかえの金利が発生しておるということでございまして、特に何らかのしわ寄せというようなことがあったとは私は考えていないのでございます。
  203. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 京浜と阪神と比べてみると、一年間のバースの貸付料では京浜の方が額が多いんですよ。額が多くても赤字なんですよ。普通だったら反対だとぼくは思うんですね。入ってくる金が多いところが黒字になって、少ない方が赤字になるのがあたりまえだと思うんですが、逆なんですね。まさに京浜公団というのは私はある意味では食い物にされている。それでなければ三角が出るわけないんですよ。  それではもう一つ聞きます。五十三年に京浜の場合の雑損失は一億八百九十万円出ておりますね。どうしてこう一億円も出るんですか。
  204. 高林康一

    参考人(高林康一君) これは当時横浜におきましてライナーバースを三バース現在のほかにつくる計画で、基本計画として指示されておりまして、そこでいろいろ土質調査その他をいたしました。で、土質調査その他をいたしますと、その手前までつくりましたところの連接をしていると申しますか、そういうところのバースの建設費が大体十五億程度でございますけれども、その土質調査をやりますとどうしても二十八、九億建設費にかかる。また、当公団の場合には当然それを専用貸し付けいたしますので、その近傍の貸付料が一億七千七百万というような貸付料でございますが、どうもやっぱりその倍近くの貸付料になる。そうしますと、これは専用貸しをしております関係で当時の需給状況、または当時見通し得るところの将来の需給状況等を見ますと、建設コストと使用料というようなものから見て、つくることは、技術的に非常にむずかしいですができますけれども、結局なかなかそれを利用するということが、経済ベースに専用使用を受けるところの企業としては合わないというふうに感ぜられましたので、私どもといたしましては、一億程度土質調査に要したのでございますけれども、それを三バースつくりまして、結局むだになるよりも、この際はこの計画というものの改定をいろいろ港湾審議会等で御審議願って、そして改定といいますか、その三バースの取りやめということを御審議願ったらどうかというふうに考えて、そのように港湾審議会にお願いしたわけでございます。  その結果、そういうふうに三バースの建設を取りやめたのでございますが、そのために調査費、土質調査等の費用というものが結局そういう意味では損失になったというのが実態でございます。
  205. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そういう大きな間違いが重なってそういうことになったんだろうと思いますが、この貸付料というのは、いままでは投下資本、それに対して維持管理を含めたもの、これを十年一単位の契約として恐らく取ってるだろうと思いますがね。いままでは原価主義といいますか、そこにバースをつくる、そのバースの投下した資本、これを基礎にバースごとに恐らくそういう原価計算をした上で貸付料というのを出していたと思います。しかし、新しくつくるバースというのは——横浜あたりでも古いのは、四十年代のは、年間貸し付けが五億のが、最近の大黒埠頭の場合になりますと十億近くになる。新しくできる貸付料というのは高い貸付料になりますね。ところが、原価主義でいくんだから管理費がちょっと上がる程度、古いものは相変わらず五億なら五億でずっといく、新しいのは高くなる。こういう形で、同じバースの中に格差と言うんですか、こういうものはかなりできて、現在もできていますね。これは今後ますますできる可能性が多いわけですね。  そういうふうに考えますと、貸付料の格差というのはどうなんですか、これはやっぱりいままでと同じように、今度の法人になってもこれは承継するというふうに書いてあるわけですから変わらないわけですね。いままでの貸付料はいままでの貸付料で、せいぜい管理費が上がった程度、そのぐらいと、あと維持修繕費が幾らかかるでしょうか、そんな程度のものというふうに見ていいわけで、上がらないわけですね、貸付料は絶対に。どうなんですか、それは。
  206. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 御指摘のように、管理費でございますとか将来の物価の関係等によって変動する部分が変動するということはございましょうけれども、公団から法人に変わったということに伴って、貸付料の算定の方法等を変えたりするようなことは全然ございませんから、そういう意味では変わらないと申し上げてよろしいかと思います。
  207. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 しかし、いままでの話からいきますと、いま理事長がおっしゃったように、ここを調査した、だめだったから今度はこっちに変わると。除却損なんかが計上されてくるわけですよね。それから恐らくいままでと同じように、今度は国の会も、無利子の貸付金になるわけですね。すると、いままで以上に、無利子の貸付金ですから、財政再建というこういう国の財布が厳しい中だから、国の方は出すのは少し減らす、返す方は今年は余分に返してくれよ、こういうような形になってまいりますね。何かバースを新しく建設する場合に出す金は、一般会計から港湾特会に入れて、それから無利子で貸し付けると言うんですが、そんなところにもこれからの財政再建の中で制限は出てきませんか。これからも、その法人がこれだけやるから、貨物の需要の見込みでこれだけはこうやるから、これだけの金は要るから、無利子で貸し付けてくれと言えば、政府の方はその金は無利子で無条件で貸し出しますか、そういうことが保証できますか。もしそれが出ないということになれば、その金はもっと高いコストがかかってくるということになってまいりますね。  これは維持修繕でも同じですよ。先ほどから議論されているように、新しい港湾に変えていかなきゃいかぬ、その金だってかかりますよ。そうなってまいりますと、政府の方の金は少なくなれば、それはどこか金利のかかる金借りなくちゃならぬ、そうなってくれば、貸付料はどんどん高くなってくる、それを補ってくれるところはない、こういう結果になりませんか。
  208. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 今後、建設する際に無利子貸し付けを政府からいたしますが、これがどのような場合でも要求どおり認られるかという御質問に対しては、これは必ずしもそうではないと、一般的な港湾整備に対する国の負担金あるいは港湾管理者に対する補助金、あるいは従来の埠頭公団に対する出資金、いずれも無条件に、要求があればそのとおりついているという性格のものではございませんで、当然その当時の財政状態等を勘案してその予算の中で認められておるわけでございますから、無条件ということではございませんが、その必要性が緊急であって非常に合理的な要求であれば、これを認めるように私どもは努力をいたしておりますし、関係方面にもそれを認めてもらうように折衝をする努力を続けております。  そういう意味で、いま御指摘がありましたような緊急やむを得ないような出費に対して、国がお手伝いをするかどうかということについては、原則としてお手伝いをできるというふうに考えております。
  209. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は恐らくそう簡単にこれはいかぬと思います。なるほど、いままではそういうことはあり得たと思います。これからは私はそんな簡単じゃないと思うんです。片一方では防衛費をふやせ、片一方では福祉は増大しろ、老人社会になる、財政の規模は縮小しなくちゃならぬというときに、やっぱりその辺がしわ寄せを食う。そういう心配は私は大いにあると思う。そうすれば、これがいまでさえ、政府の手厚い保護の中でさえ赤字を出している、今度はこれは法人として、税金なんかもほかの法人とは違って安くなるでしょう、いままでと同じ程度のものであろうと私は思いますよ。それだってあっちこっちからしわ寄せがくる。明らかですよ。恐らく私は、将来この法人は物すごい格差が出てくると思う。一つか二つの法人がうまくいけば結構、あとは赤字で、最後はお荷物になってしまって、首は切る、解散はする、そういうふうにならぜるを得ないじゃないですか。  じゃちょっと伺いますが、東京の十二号地の埠頭ですね、これはなかなか整備ができませんね。なかなかこれを借りたいという人があらわれておりませんね。大阪もそうですね。これは恐らく会計をかなり圧迫している、さっき理事長が言った仮勘定というような形に私はなっていると思う。確かに船社にしてみれば、十年間ですからね。一つのワンパック大体十年でしょう、契約は。十年の先を見通して、そうして借りるんですからね。しかも、そう安いとは私は思いませんよ。その船社にとってみればほかの公共埠頭と比べればかなり高いものだ。そういうときに、やっぱり十年先を見越しながら、見通しながら借りるということになれば、これは相当の勇気が要るし、相当の資産力のある者でなければ借りることができないと思いますね。十三号地がちっとも進んでないというのは、これどういうわけですか。相変わらず原っぱですわな、大阪のこの地図を見ても同じように原っぱですわな。これはちっとも金をかせいでくれないのですよ、運輸大臣。ただ置いてあるだけで金利がかかるだけなんです。こういう状態がこれからもっと続くと私は思いますよ。  ほかの例を一つ出してみましょうか。ちょっとこの際お聞きしておきますが、横浜の本牧のD突堤の五号バース、これの将来計画はどうなっておりますか。それから神戸の、いまポートピア81をやっているその東の方で埋め立てをやっておりますね、ここにコンテナ埠頭を四バースつくるという話があります。こういうものは一体どうなっているんですか。しかもこの神戸の新しい四バース、これは将来いまのポートアイランドにあるコンテナ埠頭からシーランドがここへ進出をするという話すらもう出ているわけなんです。しかもその価格は、前のポートアイランドのコンテナバースから移るんだから、シフトするんだから、昔と同じ価格で貸してくれという要求がボードセーリングから出ている。こういう話は一体どうなっているんですか。結局大阪の南港のこのコンテナバースは、建設仮勘定のままで余り使われないで終わっちゃう。恐らく東京の十三号地のそのバースもまだまだ、さつきのように十何%の貨物量の伸びになれば知りませんけれども、私の計算している三%から四%の伸びでは、十三号地のこのコンテナバースの予定地だっていつここが稼働するようになるか私はわからぬと思う。そういうものまで抱えさせられる新しい法人は、私は赤字になる法人の方がはるかに多いと思う。お荷物になる法人の方がはるかに多いと思う。そう思わざるを得ないでしょう。  だから、この公団の廃止と承継に関する法律でできる新しい法人というのは、何ら行政改革の用にも立たないし、港の一元的な港湾の運営にもかかわりのないものだし、最後は港湾管理者に対する大きなお荷物になる。これしか私は考えられないんです。どうですか、これは。これは局長、大臣、ひとつ答えてください。大変な問題だと思うんです。
  210. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 御指摘のとおり、東京の十三号地、それから大阪の南港でまだ……
  211. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 六号バースでね。六号ですね。
  212. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) はい。まだ借受者がつきませんでしかかりのままになっておるのがございます。これにつきましては、オイルショック以後の非常に、先ほど停滞をしたというふうに申し上げましたが、停滞をいたしまして、その後船社等の投資意欲がかなり減退をいたしました結果、この借受者がまだあらわれないという実情でございます。  これは御指摘のとおりしかけ品のまま、仮勘定のままで新法人に引き継ぐということになるわけでございますが、冒頭御説明申し上げましたように、おいおいこの外貿埠頭の貨物も回復の兆しがございますし、これを長い目でと申しますか、将来ともに日本の経済がゼロ成長とかマイナス成長というようなことにでもなれば別でございますが、現在考えられておりますように、五%程度の成長は少なくとも将来とも考えるというようなことを前提にいたしますと、遠からずこのバースに対する需要は出てくるものというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、先生がいま御指摘になりましたように、将来これを抱えて赤字になるというようなことではなくて、十分経営できるというふうに考えておるわけでございます。  それからさらに、六甲バースあるいは本牧のD突のお話がございましたが、これについては港湾管理者等からそういった点の御相談あるいは御意見は伺っておりますけれども、冒頭御説明申し上げましたように、五カ年計画をいま策定しておりまして、さしあたって次の五カ年でどう取り上げるかという問題を貨物量の帰趨を含めて現在検討をいたしております。その検討の結果でどのようにこれを取り扱うかということを決めたいと思っておるわけでございます。
  213. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 だから私は一番初めに数字のことを言ったんですよ。早く数字を出して、その数字によってこういうようなバースが一体どうなっていくかということを見当づけたいから私は数字ということをやかましく言ったんです。その数字はお出しにならない。私の方から問題を提起すればそこへ返っちゃう。それじゃ循環論法じゃないですか。何ら私に対する答えにはなっていないじゃないですか。まさに、これは将来どうなるかわかりませんけれども、先ほど私が言ったようなボードセーリングというようなことを考えてみますと、まず大阪は脱落ですよね、これは、悪いけれども。神戸のそろばん勘定のうまいところでやったら、まあ大阪のこの小さな港では対応できないでしょう、恐らく、残念ながら。それでいま埋め立てている六甲の埋め立てのところへ四つもバースが来て、そこがやられたら、この大阪の法人というのはどうにもならぬでしょうな、これは。荷物がそっちへは行きやしませんよ、もう。  東京だって、これ十三号地がどうなるかわかりませんよ、もう横浜のD突堤というのはできているんですからね。あとはそこへ機械を配置しさえすればいいんですからね。それからちょっとこっちは公共のコンテナ埠頭になっているわけですからね、日通の。すぐできるわけです。あるいは今後、横浜の港湾局はどう考えているか私よくわかりませんけれども、大黒埠頭の埋め立てというのはまだ続きますね、これからも。恐らくここにもコンテナ埠頭などができてくれば、東京との競争は一体どうなるのか。横浜はさっき理事長おっしゃったようにやめてよかったでしょうね、あそこは。  こう考えてみますと、私は将来におけるこの四つの法人、物すごい格差が出ると思いますね。そういう心配は一切ありませんか。私はうんとあると思うね。そういう格差が出たとき、大臣、これどうしてくれますか。その赤字のところには補給金でもうんとくれますか。同等に競争できるような形にしてくれますか、どうですか。
  214. 小野維之

    政府委員(小野維之君) お答えになるかどうかわかりませんが、これから両公団の資産を四つの港湾管理者に分割するという作業が実際に港湾管理者と公団の間で進みますので、実際の分割かどうなるかということがまだはっきりはしませんが、およそのところで資産と債務の分割をして、一応の長期収支の計算をしてみた結果がございますが、それによりますと、格差ということの先生の御指摘の意味合いもございましょうけれども、東京の場合には昭和六十三年、横浜で昭和六十一年、大阪は昭和六十年、神戸は引き継ぎのときから欠損がないと、とにかく赤字ではなくなる、繰り越しを含めましてですね。そういうような結果が出ておりますので、これは先ほど御指摘のございました建設仮勘定の償還と利息までを一応考えての計算でございますけれども、格差という意味でおっしゃるなれば格差が出るかもしれませんけれども、経営としては一応安定的に成り立っていくのではなかろうかというふうに考えております。
  215. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 まあ見通しをつくる数字なんてだれだってできるんですからね。コンマを一つどっちかに動かせば黒字も赤字も自由にできるわけですからね。しかも将来のことですからね、私はこれは出ないはずがないと思う。いまだって出ているんだから。同じ理事長のもとに、阪神と京浜と両方、同じ理事長のもとにやったって出ているんだから、今度はキャップが違うし港湾管理者の態度が違うということになれば、出るのはあたりまえなんです。出ないのは不思議なんです。この議論は、いまやったって将来のことだからこの議論は私、やめますけれども。  そういう意味で、まさに、これがお荷物になるころはもうあなた古いないだろうからいいでしょうが、運輸大臣もそのころにはもう、総理大臣にはなっておられるかもしれませんが、運輸大臣はおやりになってないだろうから責任は免れるでしょうけれども、私はそうなると思う。私は横浜の港ということでは避けられない、あなた方は避けられるけれども私は避けられない、こういうことであります。この問題はまた将来議論する場があったら議論したいと思いますが、私はそれを非常に心配しています。  同時に、それは公団の職員の皆さんも大変心配をしているところであります。自分たちのこれからの先行きが一体どうなるだろう、こういうことでありますけれども、これは運輸大臣、公団の職員の中にはいろいろな方があるようですね。運輸省から出向されている方もある、各都市の港湾管理者から出向されている方もある、公団が採用になった職員の方もあると思います。あるいは港湾管理者を代表しての東京都知事からは、公団の職員はなるべく少なくしてくれ、できたらほかの公団に運輸省であっせんをしてなるべく少ない数でよこしてくれと、こういう陳情も出てますね。それから中には、運輸省から一たんそっちの方に行ったんだけれども、もう運輸省はやめて公団の人間になるということで公団の職員になった人もあるわけですね、籍はもう運輸省にないというふうに。こういう人たちを一体どういうふうに運輸大臣は扱うつもりですか。これは非常に心配してますよ。それぞれの公団のまた従業員の、それぞれの内容も違うようですね。出向の割合が違う。このようなことで必ずしも均質的、同質的な従業員ではないように思いますね。  それだけに、果たして将来その法人の中で十分働けるのか、あるいは承継の前に追ん出されるのか、整理の対象になってしまうのか、あるいは将来いいところはいいでしょうけれども、悪いところは赤字になったときに人員整理の対象にされる心配も私はあると思う。いま審議官の方はないとっているんですが、私は必ず出てくるだろう。そうなったときには、これは運輸大臣、それは仕方がないおやめなさい、こういうことになりますかどうですか。その辺は運輸大臣、どうお考えですか。これは二百何名の人がみんな運輸大臣に願いを込めて、自分たちの今後の職務について大変な期待をかけて、将来の自分の生活を守ろうと、こういうふうにしているんですが、運輸大臣、どうですか。
  216. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いろいろ御指摘いただきましたことは、これからもやっぱり相当私たちが気にしておることを一つ一つ指摘されたところでございまして、私たちもその点は十分意を体してやらなきゃいかぬと思っておるのですが、その中の一つの公団の職員の問題でございますけれども、確かに東京都知事が代表して来られましたときに、できるだけ人数減らして承継するようにと、こういうことを申し入れを受けました。私たちもできるだけそのようにいたしたいと思っております。  しかし、いまおる人の身分は保障しなきゃなりませんので、だからと言って、もう君は今度法人に変わるからやめてくれと、それはもう絶対言えないことでございますし、また、そういうことがあってはならぬ。ですから、同一の条件で法人に承継してもらうようにいたしたい。ただし、出向してきておられる方で、御希望で原局へ帰るんだという方がありましたら、それはそれなりの処置をしなければならぬと思うのですが、現在の公団の職員は原則として雇用条件もそのままにして引き継いでいく。ただし、整理でこの際に職業の転換をするとかいうことを希望的に申し出ている者がありましたら、それに対しては十分な対応策をする。また、運輸省から出向しております職員等につきましても、意見を聞いた上で本人の意向に沿うようにいたしたいと、このように思っております。
  217. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 お話を聞きますと、京浜の方はまとまっているようですね、その点では。しかし阪神の場合はなかなかこれは大変なようですね。組合の組織率も半数をちょっと上回っている程度のようですし、そろばん勘定の高い神戸の港湾管理者の部下がかなりたくさん行っているようですし、そういう点ではいままでも大変摩擦が内部で多かったようでありますね。そうなってくると赤字を原因で首を切られる、こういう場合も私はあり得ると思うんですね。あるいはいろいろな差別待遇と言うと語弊があるかもしれませんけれども、何かちょっとつらく当たるというようなことで、通常言う追い出しみたいなことがないという保証は私はどうもないような気がするんです。  こういう問題が将来起きたときには大臣どうしてくれますか。これはむずかしい問題ですが、どうしてくれますか。しかしここで分けたのはあれですからね、塩川さんの大臣のときに判こをついて分けるんですからね。だから、それはやっぱり実家として何か責任をとってもらわなければ困ると私は思うのですが。ぼくはそういう場合があり得ると思うんですよ。小野審議官がそんなことは絶対ないといって、将来の計算したのを出して言うんですが、いまだって赤字なんだから、赤字のことはもう大いにあり得る。そのときに一番先に首切られるのは、公団から受け継いだ里のない連中が一番先に首切られる。この可能性は私はあると思うんです。そのときにはどうですか、塩川さん、あなた乗り出してきてくれますか。
  218. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは承継します際には、現在バースの契約をしておる船社等、そういう方ともやっぱり協議を十分しまして同じ条件で引き継いでいくわけでございますが、私はいまの計算から言いまして、これからの貨物の取り扱いの数量、これいかんによって変化は確かにあると思うのですが、現在の船社との契約状況等ずっと継続し、そして極端な赤字になっていくというような場合になりましたら、やはり契約料金等の問題もあるだろうと思いますし、私は法人を監督する立場から言いまして赤字を出さぬようにとにかく最善の努力をしなきゃならぬ。利益を出す必要もないし、またしかし不安な赤字を出してはいかぬ、このように私らは思っております。でございますから、経営収支面を少なくとももう十年先ぐらいは完全に見通した形で承継をさしていきたい、こう思っております。
  219. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大臣、こういう要求が組合からあるんですが、会社更生法のときも、その職場の団体と新しい管財人と話をするというようなことになっておるようです。けれども、一回大臣も組合の代表とお会いになって、先々のことも話して、こういう心配のときにはいまおっしゃられたようなお話を、私以上に皆さんは職場で働いているわけですから不安があるだろうと思います。そういうことで一回聞いていただきたいと、こういうふうに思うんです。  それからもう一つ。一つ心配なさっていることは、運輸関係の公団で厚生年金をやって、特に定額部分じゃなくて報酬分については最近はやりの年金をかけておられるそうです。これがもう少したつと十五年になるんだそうです、五十七年の夏ごろですか。いままでそれをある程度目標にして一生懸命働いてこられた方もあるわけなんですが、これは変更ないでしょうね。これはそのままやらせるでしょうね。それでないと、せっかくいままで積み掛けてあとわずかだというときにあばよとやられたんじゃ、これはたまんないと思うのですがね。
  220. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は年金のことは詳しく知りません。けれども、これは当然将来の期待利益として持っておるんだから、これは何とか保護していかなければいかぬ、これは当然のことだと思いまして、現在関係機関と協議しているんではないかと思っておりますが、これは私も十分気をつけて維持していくようにいたします。  それから、いろんな要件が、やっぱり希望があるだろうとおっしゃる。私は機会があればその代表の方と会って一度その御意見等聞いてみよう、そういう機会がつくれるように一度港湾局長と相談いたしまして、そしてまたここに公団の理事長も来ておりますし、相談いたしましてよく不安のないように私は努めていきたいと思います。
  221. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それからもう一つ、これは衆議院の附帯決議の中にもあったようでございますが、いままで港湾の問題につきましては、全国港湾あるいは日港労連、こうした職場の皆さんと港湾の近代化等々についていろいろお話をしてきた経緯があります。私もその点では横浜で、ある意味ではそういう幾らかの経過は知っているわけでありますけれども、港湾というのは、私だけかもしれませんけれども、陸で考えている以上に港湾の企業形態、あるいは港湾のいろいろなイノベーションといいますか、そういうものは意外に進んでいるものなんです。一年たって行ってみてああこんな機械が入っているのかなあというようなことがしばしばあります。あるいはここはこんなに変わっちゃったなあということがもうしばしばあるわけです。そのたびごとに港湾の労働者というのは合理化の対象にいつもされてしまう。コンテナリゼーションという問題も、まあ恐らくいままで東京湾をはしけで舟をこいでいた人たちは、こんなに急速にコンテナリゼーションがあらわれてきたのには恐らくびっくりされたと思いますし、そのために職を失った横浜の港湾の労働者というのはもう非常に多いですね。これは今後もますます私はこういうことがあらわれてくるだろうと思います。  そして港湾の労働者というのは、それじゃほかの仕事に移ればいいと言うけれども、なかなかそう簡単に、また海で働いた男が陸へ上がってというわけにはこれもいかない。そういう意味で、労働条件以前のものに、ずいぶん私は横浜の港湾の組合の方々とおつき合いをしておりますけれども、労働条件になる以前の問題、たとえばラッシャーボートが横浜へ入ってくるのか来ないのか、このことによって実ははしけに乗っている人たちの労働条件というのはものすごく変わっちゃいますね。場合によれば、おまえらもう必要ないということになる可能性もありますね。そういうことで、横浜における私もラッシャーボートというものの大変さというのを味わったことがありますけれども、そういう意味では港湾関係の労働者というのは、システムとしての港湾、システムとしての港湾のそこにおいてもう自分たちの将来というものは決まってしまう。  したがって、港湾関係の労働者が今度の指定法人の理事会の下ですか、業者といろんな方が集まって意見を反映させる場所としての運営委員会、こういうものが今度できるわけでありますけれども、そこへぜひ入れてくれと、システムとしての港湾、これの動きを早くキャッチして、それに対して自分たちは対応していきたいということなんですが、これはどうなんですか。これは附帯決議の中にもあった条項なんですが、これはどうですか。私はそのぐらいのことをしていくことが将来の港湾の前進のためにむしろ役立つ、こう思うのですが、どうでしょうか。
  222. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 運営のための委員会というのが港湾審議会の御答申の中で提案をされておりまして、これは先ほど来申し上げております港湾審議会でのいろんな関係者の御意見の中から、そういう考え方がだんだん出てまいりまして、大方の皆さんの合意が得られたというものでございます。文言はこのように書いてございますが、「埠頭借受者の意向の直接的な汲上げについては、理事会とは別に、港湾管理者、埠頭借受者等」——「等」といいますのは学識経験者などを考えているわけですが、「を構成員とする外貿埠頭の運営のための委員会を設けて、」と、こういうふうな形で御答申をいただいておりまして、この答申をいただくまでの間にいろんな関係者が御参画をいただいておりますが、関係者皆さん、こういう埠頭借受者の意向を直接にくみ上げるという場であるというふうな御理解をしておられると思うわけでございます。そういう意味で、現在の時点と申しますか、現在考えておりますこの埠頭の運営委員会には、労働者の代表というような形では入れることを予定はしておらないわけでございます。  ただ、先生いまおっしゃいました労働条件以前の問題というか、労働者の代表という形でない場合はどうなるのかということはちょっといままで考えておりませんでしたが、少なくとも労働者の代表という形では加えることは予定をいたしておりませんでした。
  223. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 その辺の港湾に対する考え方がどうも私とあなたと違うと思うのですよ。私は港湾というのは一つのシステムだと思っているんですよ。でありますから、名前は労働者でありますけれども、やっぱり港湾の中のシステムの中の大きな役割りを果たしている人ですね。船社もそうだと思いますね。それから港湾管理者もぼくはそういう点では全体の中の一つの港湾というのをシステムとして見ていかないと、いままでのような港湾の見方をしていたんでは、それは私は港湾としての発展はないだろう、こういうふうに思っているんです。だからあえて私は、学識経験者という形で入れるんじゃなくて、やっぱりそこに一環として働いている、働く労働力を提供している人たちとして考えていかないと将来やっぱりうまくいかないんじゃないか。だから私は、それ労働者の代表だっていいと思うんですよ。なぜ労働者の代表はいけないのかということに私はならないと思うのですがね、どうなんでしょう。
  224. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) おっしゃるように港湾労働者の意見というものがこの埠頭の運営に当然反映されてくる必要があるわけでございますが、労働組合代表としてのそういった御意見は、別途この間も、この間といいますか、港湾審議会の御答申の中にも触れられておりますように、二者協議体制という制度が現在動いておりまして、この体制でいろんな問題がスムーズに処理されておるというふうに私ども理解をいたしております。そういうことで、労働組合の代表として労働問題の解決というような面は、この制度を十分活用していただいたらいかがかというふうに考えたわけでございます。
  225. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 まあ港湾というものの考え方、これはもう少し政府にも変えてもらいたいというふうに思いますよ。そこを変えていくことによって私はいま私の言ったことが無理ではない、自然だと。いまの局長のような言い方をしていきますと、学識経験者ということになると、もう港湾の現役を退いた人がタッチするような、そういうような委員になってしまったらこれはいけませんよ。これはもうシステムとしてじゃなくて、動いている港湾じゃなくて、どっか遠くの方で見ている客観的な港湾としてしか、遠くにある港湾としてしか映ってこないと思うんですよ。そういう意味で、私は特にそこで働いている人の代表が意見を言っていいじゃないか。ただ学識経験者ということになると、初めは、あなたが局長のときには労働組合の代表を学識経験者として入れるかもしらぬ。しかし、先行ってどうなるかわからぬ。いままでもそういう例がありましたね、運輸省の審議会の中で。ですから、私はぜひそれ入れてほしい。この採決になるまでにひとつ考え方を変えてほしい、こういうふうに思います。これは大臣にも聞いておきたいと思います。  それから港湾審議会にもやっぱり私は入れてないと意味が通じないと、こういうふうに思うんですがね、この辺もやっぱりひとつ考慮してほしいと思うんですね。地方には入っているんですからね、中央にはもう入って当然だと、こういうふうに思うんですがね、どうでしょうか。
  226. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 中央の港湾審議会の委員といたしましては、港湾航路等に関する学識経験者及び関係行政機関の職員というのが構成員になっております。で、現在まで港湾労働の問題を直接審議するような機会がございませんので、港湾労働者の代表は委員には任命しておりません。
  227. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 港湾労働じゃなくて、港湾というシステムとして考えてくれとぼくは言っているんだ。
  228. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) それで各地の港湾におきましては、港湾としてのシステムの中で港湾労働の問題が大変直接的にその地域の問題として響いてくるというような観点から、地方の港湾審議会にはそれぞれの港で港湾労働者の代表を委員に任命しておられるところが多数ございます。
  229. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大臣、どうですか。
  230. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 確かに港湾の機能全体がシステマチックになってきておるところ、これはもう私は理解できますが、港湾審議会に、要するにいままでの考え方から言いましたら、労働問題というものは扱わないから、いわば労働者の代表ということ必要ないというような考え方があったんではないかと思うんです。そうすると、これからシステマチックに運営していく港湾として見た場合、労働者の代表をどう扱うかということ、これは確かに問題点だと私は思います。しかし、だからといっていまの制度そのまますぐにこれ改革してどうするということは、まだちょっといまの時点では私もよう答弁できませんが、しかし、そういう御希望があるということ、これは私ども十分理解できることでございますし、したがって、労働者の考えでおられることをどういうふうにくみ上げていくかということとあわせて考えて検討さしてもらいたいと、こう思います。
  231. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 もう私の時間がありませんから私は質問しませんけれども、どうですか、大臣、港湾問題の管理運営のところでいらっしゃらなかったんですがね、私がどんな話をしたか、お聞きになったと思うんですがね、それについて大臣のコメントをひとつ聞かしていただきたいと思います。私、一分しかあと時間がございませんので、一分間で私の議論に対する大臣のコメントを聞かしていただいて終わりたいと思います。
  232. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 御指摘されておる点は、許認可権は別に減ってはおらぬじゃないか、したがって人も減らないし行政改革に寄与してない。逆に二つの公団を四つの財団法人にしているじゃないか。そして公益的管理が失われてしまっておるということを指摘された。  これは私、率直に申し上げまして政府の行政改革、その中の一環として公社、公団、事業団というものを整理しようと。百十八か何かあるのをですね、それを整理しようということ。これが行政改革の一つの表面的に出てくる成果だというふうに、これは政府の中もそう思っていますし、世間もそのようにとっておられる。そうすると、公社公団の中で一応改革できるところはどういうところかと見てまいりましたら、一応外貿埠頭公団は主たる建設の任務はもうこれで終わった。いわばコンテナ化に対応するために急速に資金と人材を集中してやるということ、この使命は一応は終わった。あとは補修とその適応する建設ということになってきた。だから公社、公団、事業団を整理するとするならば、その中の一つとして外貿埠頭公団を取り上げようということになった。こういう趣旨でございまして、それに対しましては運輸省当局もその当時総力を挙げてこの整理、合理化に対しては反対もしてきたことは事実でございまして、しかしながら、何といいましょうか、何かを政府全体として改革をするところがあればということで、この外貿埠頭公団が改革しやすい一つの大きい団体として浮かんできた。で、それが閣議決定に持ち込まれてきたと、こういう経緯がございました。でございますから、これはもう行政改革という名にわれわれも協力せざるを得なかったという事情がございまして、その点はひとつ御理解していただきたいと思います。  そこで、許可、認可の権限というもの、これはできるだけ法人自体が運用していくように将来とも考えていかなければならぬと思いまして、だから長い目で見ましたらやはり民間経営に移してよかったという成果を出すようにわれわれも努めていかなければいかぬと、こう思っております。  それから、確かに人も減らないということでございますが、建設に要しましたときの人員が、これから管理運営になってきますので、移行される職員は、これは身分は完全に保障されていきますけれども、でき得るならば、これは将来港湾管理者との関係において運営していくことになりますので、港湾管理者の方に相当御厄介にならねばならぬことも多いもんですから、いわば自然退職を待って人は減るんではないかと、こう思っております。しかし、一方においてこれを急激にわれわれも人を減らすということはできないと思っておりまして、そういう無理は絶対にするつもりもございませんし、また将来においてこの外貿埠頭公団からかわった法人が、港湾の新しい開発の任務を分担する側から、しかしそれは一にかかって港湾管理者との関係において私は進められてくると思っておりまして、そういう点については余り無理をしてはいかぬということを私からもやかましく言っておるのでございます。  で、四つの法人になったということは、もう確かに見た目は二つが四つになったんですから、これはかえって複雑になってそれぞれのエゴが出てきて公益運営というものに支障を来すであろうという、これもわれわれも心配しておりますし、またこの法人の間に格差が出てくる、これもやっぱりわれわれは否定することはできないと思うんです。そういうことを全般を今後できるだけ均衡をとるように私たちも指導監督の面は十分話し合っていきたい。それと同時に、港湾管理者のやはり意見というものを十分に生かして、その港々の特徴というものを生かしていく方向でそれぞれの外貨埠頭を活用していくということをやっていかなければならぬと思っておる次第でございます。
  233. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほどから本法案につきましていろいろと議論がなされてきたわけでございますが、私は冒頭に申し上げたいことは、この趣旨説明の中にもございますが、「両公団の設立の目的はおおむね達成されたことから、近年行政改革の一環としてその廃止が取り上げられることとなったものであります。」と、こうなっております。先ほどのいろいろな議論を聞き、ただいまの大臣の総括的な御答弁を伺っておりましたけれども、依然としてどこに本当の意味の視点が置かれているのか。いわゆる公団の使命が完全に達成をされた。今後の管理運営の面については、むしろ公団を廃止をして地方のこういう法人に移した方がいいというところに視点が置かれているのか。行政改革というところに視点が置かれているのか。そこら辺がどうも不明確のように思えてならないわけであります。  先ほどからの答弁も、行政改革という面からこの公団の解散という事柄が出てきたのでやむを得ず承認したんだ、承諾したんだ、こういうニュアンスが非常に強く表に出てきておるわけであります。そういう意味からの今回のこの法案とするならば、これはもう一歩考えざるを得ないわけでございますが、どこに大体視点があるわけでございますか。
  234. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 行政機構改革をやらねばならぬのでやむを得ずというようなことではございませんで、先ほど御説明申し上げました趣旨は、公団の使命というのが実は二つございました。二つございましたので、その内容をちょっと御説明申し上げますと、一つは非常に急速大量に外貿埠頭を整備しましてコンテナリゼーションの進展に対応するというのが一つの使命でございます。  それからもう一つは、そうやって建設をいたしました外貿埠頭というものがどういう運営をされるべきかという点でございますが、従来港湾管理者が港湾施設を整備いたしましてこれを運営いたしますときは、公共施設といたしまして先着順に使用をさせる、そういった使用形態が一般でございます。ところが、このコンテナの埠頭といいますのはそういう使用の方式では非常にぐあいが悪い。船の方も、大変高額の投資をした高速の船を計画的に運航をさせて、そして十分に能率よく運ぶことによって全体のコストを下げようというシステムでございますから、埠頭の部分が、行ってみたらふさがってて何日も待つというようなことでは大変ふぐあいが生じますので、そういうことがないようにするためには利用者を特定いたしまして、これに専用貸しをして船の運航とあわせて効率的に使ってもらうと、こういうことがどうしても必要だというふうになったわけでございます。で、そういうふうな運営をするためにも公団という組織が必要だと、さきの急速大量につくるという意味と後の意味とが両々相まって公団というものが誕生したというふうに私ども理解をいたしております。  ところが、先ほど来御議論ありましたとおりですが、急速大量の外貿埠頭の整備という要請は現在の時点でほぼ終了をして、後はなだらかな需要に対応して後の整備を続けていけばいいということになりましたので、公団というような組織でこれを運営する必要はなくなったというふうに私ども判断をいたしたわけでございます。その判断に基づきまして、それではどういう方法が一番いいのかということを考えて、港湾審議会等の御意見も伺って一番最善の方法と思うものを御提案を申し上げたという趣旨でございます。
  235. 桑名義治

    ○桑名義治君 両方あるという、簡単に言えば両方意味があるんだというお話でございますが、行政改革という立場から見た場合には、先ほどからも御議論があっておりますように、二つのいままでの公団が四つの法人に分かれてしまう。この経過がどういう経過をたどりながらこういう結果になったのか。たとえば皆さん方が御答弁をなさるときにすぐに港湾審議会の御答申に沿いましてとか、そういうお言葉が出るわけでございます。悪い言葉で言えば隠れみのだということでございますけれども、その答申の中に「公団業務の承継主体の数は、本来は、東京湾及び大阪湾ごとに一つずっとすることが港湾管理の適正化の視点からも、また、行政改革の趣旨に照らしても望ましいと考えられる」と、こう載っているわけですね。皆さん方が非常にこの答申に対して尊重なさるという精神があるとするならば、あるいは行革という立場から考えたならば、当然この答申を受けるべきではなかったか、ここを受けるべきではなかったかと、こういうふうに私は思われてならないわけです。そしてまた、本当の意味の行政改革であるとするならばやはり一本化することがむしろ行政改革に沿った線ではなかっただろうか、こういうふうに思うわけでございますが、ここの四つに分かれた経過はどういう経過があるわけですか。
  236. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 答申の中で二つとするのが望ましいというくだりが確かにございますが、行政改革である以上、数がふえれば頭でっかちというか、管理部門がふえるというような御趣旨だろうと思いますが、そういう意味から言っても二つの方が望ましいと、しかしながらということで、それがそういう観点からは最善であるが、次善の策をとる理由がその次に御答申の中に述べられてございます。  で、先ほど来私が御説明をいたしましたのは、その次善の策をとるに至りました理由は、行政改革であるという意味から言えば次善の策をとるに至った理由を申し上げたわけで、それでその管理の方にウエートが置かれた場合の港湾管理者との連携ということに重点を置けば、むしろ各港一つずつの方がいい面もある。そして港湾審議会ではそちらの方のメリットに重点を置かれて、当面各港の管理者が別々であるうちは四つに分けるのもやむを得ないと。しかし、先ほど来話題に上っております行政改革という点から見てのデメリット、つまり管理部門が肥大するというようなことは適当でないので、さらにその後に言葉を継いで、そういうことのないように組織は十分にコンパクトなものにしなさいという趣旨の御答申がついておると、私どもはそのように理解をいたしておるわけでございます。
  237. 桑名義治

    ○桑名義治君 確かに答申の中には次善の策として四つに割った場合には協議会設けて云々ということが載ってます。だけれどもこの答申のねらいというものは、あくまでも東京湾及び大阪湾ごとに一つずつということが本来的なねらいではなかったろうかと思う。それてもやむを得ない場合はということで次善の策がある。そうなった場合には、当然答申の本来の趣旨に沿ったそういう姿でもって今回の法案をつくるべきではなかっただろうか、こういうふうに思います。  あなたはそういうふうに簡単におっしゃっておられますけれども、しかし、ここまで来る経過というものは非常に長い経過をたどっているわけですね。五十二年の閣議決定からいままでですから、ずいぶん四年間も五年間もいろいろな事柄があっているわけです。その間に砂田案というのも出てきています。その砂田案は四つですよ。そうすると、大体そういうところに視点が合わせられたんではなかろうかということは当然これは考えられることなんですよ。だから、そんなところに視点を置くというよりも、本来的な目的の上に立ってやはり改革すべきではなかっただろうか、こういうふうに私は思うわけです。  それと同時に、ここで私はお尋ねしておきたいことは、公団の解散後のいわゆる業務移管について、運輸省は指定法人に移管することが業務承継を最も円滑にする方法だというふうに説明をしておられるわけでございますけれども、四十二年に外貿埠頭公団法を審議したときに、公団業務の承継が論議されたわけでございますが、その当時の港湾局長、これは佐藤さんでございますけれども、現在は日本港湾協会会長であるわけですし、今回のこの公団解散の答申を示した港湾審議会の委員でもあるわけでございますけれども、この方が港湾局長のときの答弁は、公団の解散後その財産は港湾管理者に譲渡することが一番いい形である、また考え得る方法としては港湾管理者にこの財産は譲渡すべきだと、こういうふうになっているわけであります。  そこで、この答弁から考えますと、当時の運輸省の考え方というものは公団の業務は港湾管理者が承継すべきものだと、こういうふうに確定をしておったのであろう、こういうふうに推測をされるわけであります。ところが今回の法案では、指定法人に公団解散後の業務を移管させる、こういうことになったわけでございますが、このことを考えますと、当時、すなわち昭和四十二年の当時と現在との間に考え方に大きな変更があったのかどうか、このことが私は思われてならないわけでございますが、この点はどうですか。
  238. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 御指摘のとおり昭和四十二年に公団法制定時、国会の審議におきまして当時の港湾局長が、公団が解散になった場合のその財産の扱いについてお答えを申し上げております。この局長の答弁の趣旨は、外貿埠頭公団の設立の目的であるところの外貿埠頭の緊急整備、これは先ほど御説明したとおりでございますが、そのための整備と、それからその整備に要しました財源を償還し終って、つまり建設の方のいろいろな業務が全部終わって、それからかつ外貿埠頭の専用貸し付けという先ほど申し上げました第二の使命でございますが、この使命の終わる、つまり公団というものがもう必要ないというような時点で公団を解散するとき、こういうときには港湾管理者にその財産を譲渡することが一つの方法だと、こういう趣旨で答弁をしたものと私どもは考えておるわけでございます。使命が全部終わったということは、その答弁の中に直接言葉として出ておりませんが、私どもその答弁の趣旨を検討しますと、そういう意味で言われたものというふうに理解をいたしております。  そういうふうに考えますと、今回の公団の解散は、先ほども申し上げましたように、外貿埠頭の緊急の整備はおおむね終わりましたものの、財源の償還はまだ半ばでございますし、それから外貿埠頭の専用貸し付けという使命は依然として残っておることは先ほど申し上げたとおりでございます。そういうことで港湾管理者に直接財産を引き渡すことは必ずしも適当ではないという考え方で指定法人に承継をさせるという考え方をとったものでございますので、昭和四十二年の当時の答弁を申し上げましたときの前提条件と今回のこの公団解散とは条件が違っております。したがいまして、移管についての考え方もおのずから異なることになったというふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。
  239. 桑名義治

    ○桑名義治君 その当時の局長の御答弁、これは文章になっている部分だけからは一隠れた部分については、それはいま局長がおっしゃったようにもいろいろ理屈がつけられる。それと同時に、先ほども、いまも局長から御答弁がございましたが、緊急に整備するという両公団の設立の目的はおおむね達成されたと、こういうふうにここにも書いてあるわけですね。それと、四十二年の運輸省の方針は、五十二年の十二月二十三日閣議決定までは、おおむね公団の業務は所在港湾の港湾管理者に移管するという、そういう趣旨でずうっと私は流れてきたと、こういうふうに思われてならないわけであります。と申しますのは、それを受けて今度は閣議決定で、「両公団を廃止して業務を外貿埠頭の所在港湾の港湾管理者に移管することとし」、と、こういうふうに、それを受けて閣議決定でこういうことを決定をしておられるとなっている。そして「昭和五十四年度末までに諸条件の整備を図る。」と、こう決めていられるわけでございます。  そういうことを考えますと、今回のこの法案のように指定法人に公団業務を移管するのは五十二年の閣議決定からの方針の明らかな変更である、こういうふうにどうしても見られてならないわけでございますが、どうでしょうか。
  240. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 御指摘のとおり、五十二年の閣議決定では管理者に移管することとする趣旨が決められておりまして、それでそのための「諸条件の整備を図る。」と、それで私ども、この閣議決定の趣旨をいろいろと考えてみますと、こういう管理者に移管することという御趣旨でありますから、管理者以外の者に移管することはやはり閣議決定の趣旨にもとると考えております。しかし、管理者が直接に自分のいわゆる知事部局でございますが、そういうところへ直接に受けて直接に運営をするいわゆる直営方式で移管を受けるものと、それから管理者が別の法人、受けざらを設立してそこへ受け取るのと、これはいずれも管理者に移管することの一つのあらわれ方が違うだけのものではないかというふうに考えておるわけでございます。  そして、その「諸条件の整備を図る。」ということの内容は、どういう方法で受けるのがいいのか、どういう方法で受ければスムーズにいくのかという、そういった条件を五十四年までに整えるという趣旨であるように理解をいたしておりまして、その趣旨にのっとりまして港湾審議会にお諮りをするというようなことにいたしたわけでございます。
  241. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、この公団業務の移管については、港湾審議会の審議中にもいろいろな異論が出されているわけですね。たとえば自治省関係からもいろいろ異論が出されているわけでございますけれども、公団業務を港湾管理者が設立する公団法人に行わせる場合においても、閣議決定の趣旨を勘案し、業務を港湾管理者に移管した上で各港湾管理者の単独設立による財団法人に業務を委託する方式をとるべきである、こういうことで自治省の方からもこういう異論が出されているわけです。確かにあなたのおっしゃったように今回のこの法人というものは、主体が管理者であるということには間違いはないかもしれません。だけれども、国からはっきりした法人をつくってこれをのみなさいと、こういう形を想定したことではなくて、管理者に渡して、管理者がどういう形にすることが最も適切であるかという視点に立って、一つの形をつくりながら管理者が直営にするかどうかというそういう方針を決めるのだと、これがやはり私たちとしてはいわゆる港湾法の地方自治権の確立につながるのではなかろうか、これがいわゆる港湾法の精神ではなかろうかと、こういうふうに私は思うわけでございますが、その点どうですか。
  242. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 港湾管理者に一回渡して、それで港湾管理者がその受けざらは考えるべきだと、こういう御意見でございますが、私も確かにそういう考え方もあろうかと思いますが、この外貿埠頭公団の行っております事業の内容、そして現在その事業にいろんな意味でかかわりを持っております関係者というのはきわめて多数でございます。で、港湾管理者がそういう意思決定をなさるにしろ、そういった関係者のいろんな意見を調整をすると、こういう必要がどうしても生じてくるものと考えるわけでございます。  それで、私どもが港湾審議会にこの諮問を申し上げまして、港湾審議会で懇談会等を設けていろんな関係者の意向を徴していただいたのもそういった趣旨からのことかと承知しておりますが、そういう手続、手順を経まして港湾審議会で御答申をいただいたわけでございます。そして、その結果、そういった審議を続けていきます過程で、港湾管理者あるいはその他の関係者におかれましても、こういった方式で承継をしていくのが適当であろうというふうに大方の合意が得られてきたわけでございまして、その合意が得られたということを踏まえまして私どもでこういった法案の提出をさせていただいたということでございます。
  243. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほど申し上げましたように、いわゆる港湾施設は港湾管理者が管理するというそういう港湾法の精神、この精神を尊重するとするならば森岡さんの言っているそういう意見の方が私は正しいと思うんですがね。やはりあなたたちは答申の方向の方が正しいと、またベターであると、こういうふうにお考えでございますか。
  244. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 答申の中には、先ほども申し上げましたように、港湾管理者等の意向も最終的には合意というかっこうで私どもは盛り込まれておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  245. 桑名義治

    ○桑名義治君 次にお尋ねしますが、指定法人の岸壁の貸し付け、それから整備計画及び事業計画、これらについてすべて大臣の監督規定が定められているわけであります。港湾法の趣旨から考えましても、指定法人に対する監督はいわゆる港湾管理者が行うべきであって、大臣の認可あるいは届け出事務事項は必要最小限度に抑えるべきではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。この点はどういうふうなお考えなのか。またもう一点は、政府の出資金の返還後の監督をどうするのか、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、この二点について伺っておきたいと思います。
  246. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 港湾管理者はこの法人を設立する主体であり、港湾を一元的に管理運営する者でございますから、この管理者が財団法人を監督するべきことは当然でございます。で、その面から見ますと、法人の設立者といたしまして寄付行為に定めること等によって監督等の所要の関与は十分なし得ることになるかと思います。それからまた、地方自治法に基づきましていろいろな監督の権限がございますが、たとえば監査委員による監査の権限でございますとか、それから予算の執行の適正のための収入、支出の実績等の報告徴収、それから予算の執行状況の調査及び必要な措置を講ずべき旨の要請並びに業務の状態の調査及び報告徴収と、こういった地方自治法上の監督は当然港湾管理者たる地方公共団体がなし得るということでございます。  それで、一方運輸大臣が直接に監督することにしておる事項について申し上げますと、これはこの公団の従来建設管理運営してまいりました外貿埠頭と申しますのが非常に国家的に重要なものである。つまり、東京、横浜、大阪、神戸の各港は、全国向けの外貿雑貨の貨物の搬出搬入の拠点でございます。したがいまして、これらの港湾におきます外貿埠頭の整備及び管理というのは、外国貿易の推進というもう国全体の目的、国家目的を実現するためのものと言っても過言ではないわけでありまして、そういう観点から、国の組織であります公団にこれを実施させてきたという経緯でございます。で、指定法人にこの業務を移管された後も、この業務の内容がこういった国家的重要性を持っているということは何ら変わるわけじゃございませんので、外航海運政策との整合性を保持しながら、適切な外貿埠頭の整備や統一的な管理を行わせていくということは引き続き必要ではないかと思うわけでございます。  したがいまして、そういう観点に立ちまして運輸大臣が指定法人を監督をするということにいたしておるわけで、その監督の内容もそういった目的に照らして必要最小限のものにとどめたというふうに私どもは考えておるわけでございます。それで、政府のこういった監督の趣旨が、いま申し上げましたように、外貿埠頭の整備及び管理の国家的重要性に着目して、その遺漏なきを期するという観点から監督をいたしておりますので、出資金がすでに返還をされた後におきましても、こういった意味の監督の必要性は残っておるものと理解をいたしております。
  247. 桑名義治

    ○桑名義治君 説明を聞けば聞くほど、これは実際に業務そのものは確かに地方自治体が責任をとらなければなりませんけれども、しかし大枠において完全に運輸省の傘下にある、こういうふうにだれでも私はいまの御答弁を聞いておっても理解をするのではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。要するに、いままでの公団が四つの公社に変わっただけの話ではないか、端的に言えばこういうふうな理解をする人の方が多いんではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、そういった立場から考えますと、果たして行政改革とは何ぞやと、こういうふうに言いたくなるわけでございます。  これは毎日新聞に大平行革についてということでいろいろと比較が載っておりましたけれども、この比較の中を見ましても、たとえばこどもの国協会の場合は役員数が四十八人から四十八人で全く同じ、国庫補助金も九千六百万円から八千三百万円、ほとんど変わらないという状況の中にあって、果たして行革という名のもとに名前だけが変わったけれども、人的な面から見ても、あるいはお金の面から見たって、何らこれ行革になってないじゃないか。これの二の舞を踏んでるような気がしてならないわけでございます。そういう意味では、私はこの四つの組織に変更したことはこれは好ましいことではないんじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点、大臣、これが最もベターな方法であるというふうにお考えになられますか。
  248. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 桑名さん、行政改革の成果というのはすぱっと出てこなきゃいかぬ——行政改革なんてようかんをすっとかみそりで切っているように、うまいことそんなに端的には出てこないものですが、しかし方向を変えていきましたら、何年かたったら成果は出てくる。私は外貿埠頭公団も、自分の金で家を建ててオーナーになって自分で住んでると、こういうことからいわば借家におろしたというような感じがすることでして、これローンが済んでしまったら完全に自分のものだから、また港湾管理者がこれをどのように運営するかということなんかも、新しい時代のまた課題として、その時分にはまた港湾の整備というものも総合的にどう考えなきゃならぬかということも起こってまいりますし、要するにこの清算事務が残っておる間はやはり国も監督権を強化した形で残しておいて、そしてまたユーザーがおりますので、ユーザーにも不安を与えないように、そして事実上はもう港湾管理者のいわば意向が強く出るような、そういうことの中間的な措置を図って、やはりこれは時が私は大事だと思っておりますが、そういう点から見まして、いろいろな知恵をしぼってまいりましたけれども、結局こういうことが一番港湾管理者にとってもいいのではないか。  二つの公団を四つに分けたということの非難はございますけれども、これはもともと港湾管理者がやりたいという意向も強かった。しかしながら、その当時昭和四十二年、ちょうど私が第一回当選してきた当時でございましたが、その当時の議論をいま思い出しますと、とうていこれだけの資金は持ってないということと、それから人的な面からいっても、やっぱりその際公団をつくれという意見の方が圧倒的に強かった。ですから、この施設がやはり港湾管理者に、自然に時の流れとともにそこの帰属になっていくという方法がやっぱり私はベターなんじゃないか、こう思っておりますが、その点から見ましても、現在のこの体制で承継をさしていくのが一番私はいい方法だと思っておるのであります。
  249. 桑名義治

    ○桑名義治君 この法案を出した大臣が、ベターでないと言うわけにはいきませんけれどもね。いずれにしましてもこの問題に余りかかわっておりますと、あと三十分もありませんので、次に移ります。  承継後のいわゆる指定法人の業務運営に大きな金額の負担をしております埠頭借受者の意向をどのように反映をさせるようにお考えになっておられますか。
  250. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) この公団の埠頭には、埠頭借受者が四〇%という多額の縁故債債券の引き受けを行っております。そういうことでございますので、借受者の意向も十分に反映する必要があろうかと思っております、今回御提案申し上げておりますこの法人は、そういう観点から、埠頭管理の公共性を確保しつつ、民間の創意工夫、活力の導入を図り、かつ同時に埠頭借受者全体の意向の反映も図り得るように組織されて、能率的かつ公正な経営を行われるべきだという観点から、役員の中に「外航海運及び港湾運送に関する事業について知識及び経験を有する者が含まれるように寄附行為において定められていること。」ということを指定する場合の要件にいたしております。こういうことによって、先ほど申し上げました民間の創意工夫、活力の導入、それから埠頭借受者の全体の意向の反映を図るというふうに考えたわけでございます。  それからさらに、法律には規定しておりませんが、埠頭借受者の意向を直接的にくみ上げて、日常の業務上の問題等も含めて直接にくみ上げていく必要もあろうかと思いますので、理事会とは別に、港湾管理者、埠頭借受者等を構成員とする法人の運営のための委員会を設けまして、外貿埠頭に関する重要事項については、理事会への付議に先立って委員会の議を経るようにするということを今後関係者と進めてまいりたいと考えております。  そういうふうな形でこの法人の運営については埠頭借受者の意向を反映させるのが望ましいと考えておるわけでございますが、これに関連いたしまして法人の設立の段階あるいは組織、役員等を構成をしていきます際、それからまたその他業務の運営全般についても極力借受者の意向をくみ上げていく、その折々にくみ上げていくということが仕組みの円滑な運営には不可欠であるというふうに考えておりますので、こういう問題を埠頭借受者を含めて関係者が協議をする場というのを設けまして、今後十分に意見の調整を図っていく必要があると考えております。
  251. 桑名義治

    ○桑名義治君 今回の法案は、こういうように解散をして法人になるわけでございますが、これは働いている方々にとっては非常に不安の種でもあるし重要な問題でございます。この問題が惹起されまして後に、いままでの長い間の検討の中で、働いている皆さん方の御意見をお聞きしたことがございますか。どうでしょうか。
  252. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 公団に現在働いておられる方々の意見を港湾審議会等の場で伺ったことはございませんが、私のところへは意見をお持ちになりましたので、いろんな御意見は十分に承っておると考えております。
  253. 桑名義治

    ○桑名義治君 一回聞いても承った、二回聞いても承った、百回開いても承ったでございます。問題はどれだけそういった方々の意見がこれに反映をされたかというところにやっぱり問題はあると思うのですが、そういう組合の皆さん方の、労働者の皆さん方の御意見、それは今回の法案の中でどの部分がいわゆる要求に応じて盛られた点ですか。
  254. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) この新法人には現在の雇用関係等の一切の権利義務をそのまま承継するように措置しております。組合の皆さん方の御心配といいますか御意見は、現在の身分あるいは雇用に関連した権利、そういうものが損われることのないようにしてほしい、こういうのが非常に大きな御趣旨でございましたので、その点はこの法律に十分に盛り込まれておると考えております。  それからさらに、この法律の実施と申しますか、現実に各法人へ分割承継をしていきます際に、組合の意向も十分に反映するようにしてほしい、こういうふうな御意見もございましたが、これは私どもこの法律の中でそういう問題を取り上げることではないとは思っておりますが、当事者の間で十分に意見を交換をされて、労働者の方々の御意見も十分にくみ上げながらこの分割の具体的な案をつくっていく必要があるというふうに考えておりまして、関係者とはそのような方向で協議調整を行ってまいりたいと考えております。
  255. 桑名義治

    ○桑名義治君 ここは公式の場所でございますので、局長のその発言は一応一つの、これ議事録にもなることですから、担保されたと、こういうふうに私は理解しておきますよ。  今度は、この公団の業務がいわゆる設立の目的はおおむね達成をされた。そこで今度は法人になった。法人の業務が今度は達成されたときには、いわゆる所有権なり管理権の帰属はどこに所属するのですか。
  256. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 指定法人の使命が終了した場合、この場合は法律の十三条三項の規定に基づいて指定を取り消す、こういうことになるわけでございますが、この指定の取り消された指定法人の資産、債務等の取り扱いは、この法律の中で十四条一項に基づきます「別に法律で定める。」ということで、その法律の中で規定されることになるわけでございます。それで、この別に定める法律の内容につきましては、指定が取り消されたときの社会情勢、債権者の保護、適正な財産の処理、そういった面を配慮しながら最も妥当な措置を講じるということを考えておるわけでございますが、たとえて申しますれば、外貿埠頭を専用貸し付けするような必要性がなくなった場合、そんな場合には港湾管理者に承継させるといったようなことが考えられるかと思います。
  257. 桑名義治

    ○桑名義治君 今度は、政府出資金の返済の問題についてちょっと伺っておきたいと思いますが、運輸大臣の指定する財団法人が承継することになる無利子貸付金は、今後二十年間にわたり国へ返還することになるわけでございますが、五十六年度は港湾整備特別会計予算では埠頭整備資金等貸付金償還金として約六十七億円が計上をされているわけであります。このいわゆる償還金の積算根拠と、それから指定法人が設立当初に全体の約三分の一以上相当額を返還することによる埠頭貸付料への影響、それから指定法人の収支予算の今後の見通しについて伺っておきたいと思います。
  258. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 昭和五十六年度に返還をさせる額六十七億円の算定の根拠は、昭和四十二年度に公団が設立されまして、そのときに最初の借入金とみなされたものが借り入れられたわけでございますが、それ以降各年度に国が出資した額がそれぞれ借入金になったものとみなしまして、その翌年度から三年間据え置いて、その後十七年の均等半年賦償還、こういうルールで計算をいたします。そういうふうにいたしまして、昭和四十二年のものが四十六年度から返還すべきことになるわけでございますが、その四十六年度から昭和五十六年度までの十一年間の累積返済額、これが合計いたしますと六十七億円となります。この六十七億円を五十六年度に一括して返済をさせるという考え方がこの積算の根拠でございます。  それからこの六十七億円は、総額の約三分の一という額に当たるわけでございますが、これをどういうふうにして返済をさせるかということでございますが、現行の貸付料の原価計算の中に含まれておりますいろんな費用の中で、これまで使用されておりませんで累積されておるものがございます。災害復旧引当金と貸し倒れ引当金でございますが、これらの相当額が昭和五十六年度末で京浜埠頭公団で四十二億五千六百万円、阪神埠頭公団で三十八億六千五百万円、合計八十一億二千百万円ございます。これを充当をいたすことにすれば、貸付料に影響を与えることなく返還をすることができるというふうに考えてございます。  それからさらに、その六十七億を一括返済した後の各年度の返済の計画でございますが、これを考えました場合も、現行の貸付料によります五十七年度以降の災害復旧引当金及び貸し倒れ引当金等の収入が、国の無利子貸付金の返済額よりも大幅に上回っております。したがって、指定法人の長期収支にこれを返してまいりましても悪影響を及ぼすことにはならないというふうに考えておるわけでございます。
  259. 桑名義治

    ○桑名義治君 確かに今回は六十七億、それから五十七年度からは十二億二千八百万と、これだけの返済をしていかなければならない、で、積立金等を取り崩せばというお話でございますが、いずれにしましても現在のいわゆる公団の収支も先ほどからいろいろと論議をされておったわけでございますが、決していい形態ではないわけですね。いい実情ではないわけです。果たして今回のようなこういう状況になったときに、今後のいわゆる各指定法人の収支予算の見通しがどういうふうになるというふうにお考えになっておられますか。
  260. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 現在の時点で、先ほど来御議論ございましたように、赤字の決算をいたしておるところもございますが、これは結局建設の償還がまだ途上でございまして、かなりその償還額が効いておる時期でございますので、今後だんだんに償還が進んでまいりますと収支は楽になってまいるわけでございます。そして具体的に申し上げますと、東京は六十二年度、横浜は六十一年度、大阪は六十年度、神戸の場合は五十六年度から累積欠損がなくなる予想をいたしております。
  261. 桑名義治

    ○桑名義治君 今回のこの法改正によりまして、実際にいまから先のいわゆる出資金が貸付金に今後もずっとなっていくわけでございます。無利子で貸し付けるということでございますけれども、しかしながら、返還金の問題やいろんな問題がございまして、いまから先のやっぱり運営上は非常に問題が起こってくるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、公団業務を承継することとなる指定法人のいわゆる埠頭整備資金の調達方法、それから資金構成及び償還条件を名古屋あるいは四日市ですかのコンテナ埠頭、これと比較をした場合にはどういう条件になっているわけでございますか。
  262. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 現在、コンテナの埠頭の整備は公団のほかにいわゆるNCB方式ということで呼ばれておりますが、名古屋及び四日市のコンテナ埠頭株式会社が行っておる方式がございます。で、この名古屋及び四日市の場合の会社の資金構成は国の港湾整備特別会計からの無利子貸付金、これは今後この法人に対して考えておりますものと同じで一〇%でございます。それから港湾管理者からの出資が一〇%でございます。それから埠頭借受者、これはやはり出資でございまして一〇%でございます。それから特別転貸借、資金運用部資金を一度港湾管理者が借りましてこれを改めて貸し付ける特別転貸債の貸付金が三〇%でございます。それから最後に市中銀行の借入金が四〇%、こういった資金構成になっております。  で、これに比較いたしまして、外貿埠頭の建設を指定法人が行う場合、これはどういうふうになるかと申しますと、国の港湾整備特会からの無利子貸付金、これは先ほどの場合と同様一〇%でございます。それから港湾管理者からの無利子貸付金が一〇%、特別転貸債によって港湾管理者から回っていって貸し付けられる分が四〇%、それから埠頭借受者からの貸付金が四〇%、こういうふうなことを予定をいたしております。  これを比較いたしてみますと、国の貸付金及び港湾管理者からの貸付金の率は同率でございます。それで、特別転貸債は一〇%の差がついておりますが、埠頭借受者からの貸付金等、まあ一〇%と四〇%という差がございます。これは指定法人の資金構成を外貿埠頭公団の資金構成に合わせた結果、こういうふうな差が出たわけでございます。  それから、償還方法を比較をいたしてみますと、これは四日市のコンテナ埠頭と名古屋のコンテナ埠頭の場合の無利子貸付金及び特別転貸債の償還の条件、これは指定法人の場合と同じでございます。二十年間のうち据え置き三年、後十七年で均等償還という返し方になっております。したがいまして、貸付金の償還条件については両者差はございません。ございませんというようないものとする予定でございます。
  263. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、今回のこの指定法人の中身というのは、砂田案とそれからNCB方式と、これを合わしてちょっと上積んだという感じがするわけですね。右へならえしたと、そういう法人の形態であるということが私は言えるのではないかと思いますが、そういった立場から考えますと、そう変わった法人ではないというふうにも理解ができるわけでございます。  もう時間も大分参ったようでございますので、次の問題に移りたいと思います。  各港湾間の過当競争防止問題について少しお尋ねをしておきたいと思いますが、港湾審議会の答申の中で、この法案の中に盛られていない意見がたくさん具申されているわけでございます。たとえば、広域的な港湾行政を進めるため、各港湾間の過当競争あるいは過剰投資を防止するために、承継主体により構成される外貿埠頭運営協議会を設立し、相互の連絡調整を図れと、こういうふうに言われているわけでございますが、この意見が法文化されてないように思うんですが、これはどういう理由で、今後こういった問題をどういうふうに消化をなさろうとお考えになっておられますか。
  264. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) この四者の協議会をつくりまして、広域的な運営あるいは各法人間の共通の課題についての意見調整といったようなことを図る必要性は、御答申のとおり必要であると私ども考えておりますが、この種の協議会は、法律で設置を強制するというような性格よりは、各法人が自主的におつくりいただくという方が好ましいというふうに考えております。現に、ちょっと趣旨は違いますけれども、各港にフェリー埠頭を経営いたしておりますフェリー埠頭公社というのがございますが、このフェリー埠頭公社にはいろいろ共通の問題がございますので、フェリー埠頭公社協議会というようなものをつくっておられます。こういった例もございますが、自主的におつくりをいただくというのが望ましい姿かと考えております。それで、私どもも審議会の御答申の趣旨を受けまして、こういう協議会がなるべく早くつくられますように、指導等はいたしてまいりたいと考えております。
  265. 桑名義治

    ○桑名義治君 各港湾間の過当競争の防止という立場からお伺いをするわけでございますが、四法人化によりまして盟外船のいわゆる埠頭貸し付けを積極的に行おうとする動きが活発化しないかという問題でございますが、この見通しはどういうふうに立てられておるか、あるいはまたこの問題をどういうふうに運輸省としては裁かれるおつもりでございますか。
  266. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 盟外ということの内容でございますが、現在この埠頭を借り受けていない、単独で借り受けるほど需要を持っていない船社で、いわゆる本当の意味の同盟に入ってないという意味でない盟外かと思いますので、そういうところを過当競争して誘致合戦をするというようなことになりますと、大変混乱が起こるというようなことがあろうかと思います。したがいまして、こういう問題につきましては、もちろんその四者の協議の中でも協議をしていただきますし、私どもが整備計画を認可するというような制度にいたしましたのも、そういったことが今後の各港の外貿埠頭の整備に関連して起こってきた場合に、そういう面に外航海運上の政策でありますとか、また広域港湾運営上の、港湾政策上の配慮でありますとか、そういうものを反映させる必要があるという観点で認可をするという形にしたわけでございます。
  267. 桑名義治

    ○桑名義治君 したがいまして、この盟外船の問題をどういうふうに考えるかということでございます。この盟外船の問題は、これは現在の海運業界あるいは埠頭の、コンテナ埠頭等の運営上の問題において、非常に重要な問題だというふうに私たちは認識しているわけです。したがいまして、この問題を解決することによって、そういうふうな過当競争をある程度防ぐことができるんではないか、こういった考え方から、運輸省としてはどういうふうにお考えになっているかということを申し上げているわけです。
  268. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 各港湾の状況、過当競争ということでなくて、客観的に見ました各港湾の状況等を十分に勘案をいたしまして、指導あるいは監督等の措置をしていきたいわけでございますが、観念的といいますか、抽象的といいますか、具体的な問題をちょっとお答え申し上げられないわけでございますが、そういう細かい、細かいというか、大きくまとまっていない船社等の問題はこれを無視してしまうわけにはいかないと私ども考えておりまして、現在はいろいろ過渡的な取り扱いをいたしておるわけでございますが、今後この法人の運営の問題とも絡んで、なるべく早急にその辺に対する方針といいますか、今後の指導方針というのを確立する必要があろうかと思っております。現在は、先ほど申し上げましたように、各港の状況を見ながらそれぞれ対応しているというのが現状でございますが、今後はそういった基本的な方針というものを決めてまいりたいというふうに考えております。
  269. 桑名義治

    ○桑名義治君 時間が参りましたのでこれでやめますが、いずれにしましても、先ほどからの論議の中でもございましたように、二つの公団が四つの法人になる、それぞれの港を見た場合には大変な格差が見られる、あるいは資本投下の面においても大きな開きがある。そうなってくると、ここで過当競争が行われた場合には、やはり大変に運営上そごを来すような法人も出てくるであろうということは、これはもう当然予測をされているわけでございます。そういった意味からも、この過当競争の問題を論じる、冒頭に申し上げましたように、これは仮称ではございますが外貿埠頭協議会、これを必ず設置して、そしてそこら辺の完全な調整を図っていくことが急務であろう、こういうふうに私も思うわけでございますので、その点を改めてお伺いをして質問を終わりたいと思います。
  270. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) この協議会につきましては、必ず設置させるように指導をいたすつもりでございます。
  271. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 外貿埠頭公団については、    〔委員長退席・理事桑名義治君着席〕 わが党としてはかねてから批判的な立場での見解を明らかにしてまいりました。一つには、これは国が大手海運倉庫会社というようないわゆる大企業の要望によって大企業の利益に奉仕するためにつくった典型的な特殊法人であるというふうに考えています。それから二番目には、今回廃止するといっても実態はるる言われているように衣をかえた公団の存続である。そして三番目には、公団の業務は港湾管理者に移管し、その一元的な管理に置くべきであると、そういうふうな見解を持っているわけでございます。結局のところ、この法案はいまも言われたように従来二つあった公団、これを新たに設立する四つの財団法人に引き継ぐものにしかすぎない、こういうふうにしか理解できない。  なかなかこれは不思議な問題だと思いまして、衆議院の議事録から、そしてきょうまたいろいろと同僚議員の質問を聞いておりましたけれども、私もまんざら頭が悪いわけじゃないと思うんだけれどもどうもわからないんですね、はっきり。私より頭がいいと私は思うんですけれども大臣、わかりやすく、こういうふうに変えることがどういうふうに行革になるんだ、ずらずらずらっと言うんじゃなくて、どこがどう行革になるんだということを、私もいま自信がないんです。わからなくなっちゃってます。だから、頭のいい大臣からわかりやすく、私に理解できるように御説明いただきたい。どうぞよろしくお願いします。
  272. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 小笠原先生みたいに私頭よくないですから、そうすっぱりうまいこと申し上げられませんが、要するに外貿埠頭公団を設立いたしましたときには、港湾管理者がそれぞれ外貿埠頭をやりたいという意見もあったんです。しかし、その当時巨大な金を集中的につぎ込まにゃならぬし、さらには技術者も相当集めなきゃならぬというところから、地方自治体としてはこの仕事をやるのには大き過ぎる、そこでコンテナ化がどんどんと進んでまいりますので、この埠頭の受け入れを急ぐためにも政府は公団をつくって緊急かつ正確に整備を図りたい、こういうことで設立したようなことなんです。ところが、この十五年建設を進めてまいりましたら、一応は外貿埠頭の設備としては、この二つの港湾内の施設で一応の受け入れはできるという体制もとってまいりましたし、それからこれからの安定経済成長に向けてそうコンテナ埠頭も拡大する必要もないであろう、そういうことが一つ根本グラウンドにあったということであります。  そこへもってきて政府は、行政改革を断行したい。しかもその行政改革の一番の中心は何かと言えば、高度経済成長時代にふくれ上がっていった公社、公団、事業団、行政改革の対象になるとするならばまずそこから手をつけたい。ところで、急速な建設事業という目的を持って発足した公団の任務は一応これで見通しはついたじゃないか、もちろんわれわれも、さらにこの外貿埠頭公団が整備しなきゃならぬ問題もあるということは承知しておるんですけれども、しかし、一応の目的は達したことでもあるし、そこへ行政改革というのと折り重なって見て、そこらずっと二つ合わしたら、X線とY線の座標でいったらここらがちょうどいいんじゃないかというところになってきた、これが今回の承継をせしめる事態になってきた。  それじゃさてどういうふうに承継をさすか。私、先ほども言ってますように、まだ借金は残っておる、これをどかんと地方自治体におっかぶせるのもこれまた殺生な話やし、そうするとローンが消えるまでの間はそれをちゃんと管理していくものを、ひとつ受けざらをつくったらどうか、その受けざらは港湾管理者が主体となってやりなさい、こういう発想であります。そうしてその受けざらで、ローンは船社だって持っているんですから、船社の不安のないようにやっぱりしてやらなければいかぬというのがこの知恵を出してきた、私はなかなかすばらしい知恵が出てきたと思っておるのですが、それが今度の法人ということになってきたと、こういう考えなんです。
  273. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 さすが大臣で、ちょっとわかったようなお答えをいただいたわけですけれども、まだはっきりしませんね。時間があったらもっと内容的に詰めていきたいんですけれども、とにかく外貿埠頭公団というのは解散したと、これで一つ減ったよと、これが行政改革で一つ減ったよということだけははっきりわかりました。その辺のところからきたというちょっと本音みたいなところが出た、そこのところでわかりましたので、時間がないから次に移りたいと思います。  大臣ね、公団としての使命は一応終わったといまもおっしゃいました、衆議院段階からもおっしゃいました。公団の設立の目的もおおむねほぼ達成されたと、こういうふうにいまもおっしゃったわけです。ところで、すでに明らかになっておりますし、私も昨年末見せていただきました第六次港湾整備計画の運輸省案というのをお出しになっておりました。ここでは外貿埠頭の建設に十一バース、東京が二つ、横浜が二つ、大阪三つ、神戸四つ、事業費三百四十二億、起債七百五十億、合計一千九十二億というような多額な具体的な数で要求が出されています、これは削られてまいりましたけれども。将来的にはこの規模のものを整備するということを見通して、これは必要だというふうに大臣としてもお考えになっていらしたわけですね、そういう要求を出されたときには。というふうにお考えになっていらしたということで理解していいですね、こう出されたんだから。
  274. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 大体そういう計画を持っておりまして、これは七年ぐらいで整備をしていきたいと、こういうことです。
  275. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 わかりました。  それで、私はどうも、一つ外貿埠頭公団が減ったから行政改革になったよというのでは余りにもちょっと能がなさ過ぎると、ここのところで再度確認一つだけしておきたいんだけれども、やっぱり解散をするということになって、後に働いている人たちがどうなっていくんだろうというのは、具体的に働いていらっしゃる方々も御心配だと思うし、私も心配なんですよね。そういう意味で、また大臣としてはこれによって労働者の合理化ということで一人も泣くような人がないようにするということは確約していただけますね。
  276. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 極力そのようにいたしたいと思っております。
  277. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ほんとおもしろいですね。私、時間があったらもうちょっとゆっくり聞きたいんですけれどもね、とりあえずその確認をさせていただきまして、私はちょっと今度角度を変えてほかの問題お伺いしたいんですよ。  それは、この外貿埠頭というのは本当に大きな船で、しかも大きな船会社だとか、大きな会社が専用に使っているところで、これはほぼ目的完了されたというようなわけで、私も大阪に住んでおりまして、横浜市に住んでおりまして、昔の港のイメージと全然違いますね、いまの港というのはものすごく整備されちゃいまして、違っております。あれよあれよとびっくりするように整備されてきているんだけれども、一方、現在私が住んでおります北海道というところ、その北海道も札幌などは東京と変わりません。しかし島がございます。利尻、礼文、それから天売、焼尻、函館の方から行きます奥尻と、こういう離島の問題を考えますと、余りにも港というものに大変な格差があるわけですね、それぞれ目的が違いましょうけれども。  それで、この間もちょっとこれの調査のためにうちの秘書をやりました。こっちはもう桜の花が咲くという春でございましたけれども、やっぱり天売、焼尻、利尻、礼文というようなところは日本海側でございますし、北海道も北でございます。雪が降ったり、風がひどうございまして、とうとうそこまでは行けなかったんですわ、うちの秘書行ったんだけれども。それで、ここのところで一年間にどれくらい欠航があるんだということを調べますと、天売、焼尻では六十日ですね、大体年に。それから今度、利尻、礼文の方は約その半分の三十日くらいなわけなんですよ。  きょうは、私はここで時間もありませんから、天売、焼尻の問題でちょっとお話ししていきたいんですけれども、住んでいる人は人口千五百人というわずかなものでございます。しかし、この人たちは、この船がなければもう島で孤立してしまうというような形になりますね。それで一番困るのは生活の問題と、それから今度困るのは油ですわね。北海道ですから油を運ばなければならない。島に貯蔵のタンクでもあったりしてというようなことであればいいけれども、そういうものもない。まあそれはがまんしましょう。だけどやっぱり一番困るのは、何といっても病気のときなんですよ、お医者さんがいませんからね。だから病気になったらこれは本当にもう深刻な問題になってまいりまして、まあ自衛隊からヘリコプターをというようなことで急場をしのぐというようなことも間々ありましたけれども、何といってもこの欠航ということによるそこの住民の生活不安と、それから今度いろいろ御商店の方だとかというような問題も非常に大きい不安になってまいりますね。  そこでいろいろ伺って、そして、どうしたらいいだろうと。何とかここで住んでいきたいというような方たちもございますですから。だから聞いてみましたら、船が大体三百トンなんです。それから、利尻、礼文の方は千トンくらいというような船になっているんですけれども、まあ三百トンだとあの日本海の荒れたときはちょっと無理で、欠航するのしようがないと思うんです。それでみんなが言っているのは、せめて五百トンの船の航路にしたいと、こういうわけですね。そうするとその欠航も六十日なんていうことではなくて、少なくとも半分くらいに減らせられるということなんですよ。だから何としても五百トンくらいにはしてもらいたいというふうに希望している。そうすると、五百トンの船を着けるということになると、今度は溝もいままでの港より整備もしていかなければならないと、こうなるわけでございましょう。そうすると、いま外貿埠頭公団というすごいのを見てて、今度私の話はそういう細かい話になってくるわけでございます。  だからそういう意味で、この次にもかかると思いますけれども、早急に、こういう人が住んでいる、生きていくために、この人たちのために具体的な、こういうところにも安心できるような港湾計画を早期に、具体的に着工してもらいたいというのがみんなの願いだったわけなんですよね。  それで大臣、そういう問題についてどういうふうな御見解をお持ちでしょうか、伺わせていただきたいと思います。
  278. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) その問題は非常に専門的な問題も含んでおりますので、永井海運局長が来ておりますので、それに答弁をせしめますが、確かにこの離島航路というものの整備、これは私たちも補助体制とったりなんかしていろいろやっておるんですが、どうしても需給関係というものが底辺にございまして、なかなか思うようには御期待に沿うような状態でないかもわかりませんが、できる眼力の対策はとってきておるんですが、その具体的な問題につきまして説明さしますので、ちょっとお聞きいただきます。
  279. 永井浩

    政府委員(永井浩君) 御指摘の天売−焼尻航路でございますが、お話しのように、現在三百トンクラスの船を配船いたしております。特に、冬季の日本海の海上気象非常に悪うございますので、大変他に比べますと欠航率が高いということは御指摘のとおりでございます。  ただ、船を大型化いたします場合に、一つは需要の問題がございます。それともう一つは両ターミナルの港湾の問題でございまして、特にこの航路につきましては羽幌港の水深が浅いということでございます。従来から、私ども離島航路整備法に基づきまして赤字補助を行ってきておりますが、そういった欠航率の問題等も大きな問題として検討したいと思います。まだ地元から公共団体あるいは関係事業者の方からお話承っておりませんが、今後港湾の整備計画等々を勘案しながら適切な指導、アドバイスをしていきたいと、このように考えております。
  280. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本当におっしゃるとおりこれはもう大変むずかしい問題でございますので、簡単にすぐというわけにはいかないけれども、私はやっぱりそういうところに目を向けて、そして本当に必要なところを、必要なところというのは弱いものですよね、弱いものを、そして自力でどうにもできないものというようなところに、やっぱりせっかく離島港湾に対しての補助などもお出しになっていただくというような制度もできておりますし、ぜひ重点を置いて港湾建設も進めていただきたいと、そういう気持ちで訴えたんです。私もしょっちゅう行けないんですよ、大臣、行ったら何日帰ってこれないかわからないんだから。日程があるときには絶対渡れないです、そういうところはね。だから大変深刻であるということをお考えいただきたいと思います。観光シーズンになりますと、あの天売、焼尻、利尻、礼文と、ポスターで見るといいところだなんていう感覚で見られたら困りますので、そこのところを十分にお考えをいただきたいと思うんです。私はこの問題、やっぱり行って伺いますと非常に深刻なもんで、少し勉強さしていただきたいとそう思っているわけです。これは北海道のそこだけではなくて、全国、離島という問題、いろいろと共通した問題があろうかと思ったわけなんです。  それで、実は私、大臣にも聞いておいてもらいたいんだけれども、離島航路補助ということをやっていますね。制度として、それで私いろいろ調べてみた。調べてみたんだけれども、やっぱり補助になりますと、補助要綱というものがあるはずですからね。で、前も私は北海道の過疎バスなんかというようなときには、それに対する補助要綱というのはどうなっていますかと言ったら、さっと持ってきてくださったわけですよ。で、きのう一生懸命に伺ったんだけれども、なかなからちが明かないんですね。それで離島航路補助要綱というのがあるはずなんだから、だからもう話しててもなかなか、きのうももう大分遅くなりました、九時半ごろになりましてね。だから補助要綱そのものを持ってきてください、私は勉強しますからと言ったら、じゃ持ってきますということで持ってきたのがこれ一枚なんですよね、わざわざ遅くにね。これじゃないんだよと、離島航路補助要綱というのがあるはずだから持ってきてくださいと。またもう夜十時近くになりました。電話かけて持ってきてくださいと言ったら、上司に相談をいたしましてという御返事でございます。いままでそんなにむずかしく上司に相談しなけりゃ持ってこれないなんていうところなかったんです、ほかのところだって。それで御相談の結果やっといただきました。これ秘密でも何でもないんですよ、こんなものね。  それじゃなぜ出せなかったのかということなのね。監督不行き届きだし、指導不行き届きだと思うのね。そしていらした方はあなたね、若い方。夜遅くまで、もう十時近くまで、行ったり来たりで、本当に私気の毒だと思ったんですよ。だからこんなの、出してもいいものを一々上司に検討してもらわなきゃ出せないなんていうことでは、私も勉強するのに大変不都合なことが起きました。本当はもっときょうこれもやりたかったんですけれども、これきょういただいたわけですから、この次びっしりやりますからね。若い方にも苦労させないで、出せるものをぱっと出しなさいという御指導のほどを大臣しっかりお願いしたいと思います。よろしゅうございますね、今後ともね。
  281. 永井浩

    政府委員(永井浩君) 御要求の趣旨を十分理解しておりませんで、事務的に手違いがあって大変申しわけないことをしたと思います。今後注意したいと思います。
  282. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私は物をはっきり言うんですよ、日本語で。わかりやすく言ってるんですからね、だから手違いなんていうことではないんです。やっぱり何かその辺にあるんじゃなと思うんですがね。それで、その次に進みます、もう時間でございますので。  もう一つは具体的に港湾運送料金の不払い料金というのがございますね、これの適正な確保について、三種業者であるはしけ運送事業者や個人船主の皆さんからいろいろ長い間御要望が出されておりましたし、国会でもたびたび問題になって取り上げられておりました。運輸省は昨年の十二月にはしけ運送事業者の料金収受状況という調査を各地方海運局に指示されましたね。それで調査を進められているというふうに私思うんですけれども、もうすでに五カ月になりますが、いつごろまでにその調査というものの結果がまとまりますんでしょうか。
  283. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 御指摘のような調査をいたしまして、一回収集をいたしましたが、資料に不備な、数字等にちょっと不備な点などがありまして取り直したりなんかしましたので、ちょっとおくれております。あと一月もあればまとめることができるかと考えております。
  284. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうでございますか、ありがとうございました。それじゃよろしくそのときはまた拝見させていただきたいと思います。  運輸省としても、不払い料金の適正化という問題については、四十四年でしたね、通達をお出しになっていらっしゃいますし、最近では五十二年の十一月に日本港運協会に対して指導文書というのも出されているというのを拝見いたしました。不払いの実態について見ますと、運輸省が指導に乗り出されたのが四十四年ですけれども、それ以降もう十年以上、十二年ですね。ことし。だけど十二年余り変わっていないんですね、実態をいろいろ伺ってみますと。運輸省としては不払い料金は基本的には、四十四年通達でいいますと九割程度を確保するという姿勢に変わりはないと私は思うんですけれども、どうでしょうか。そのときの通達ではそうなっているわけですね。それじゃこれを達成させるためにはどういうふうに今後対応されようとしていらっしゃいますか。
  285. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) まあ四十四年の当時の数字といいますのはすでにかなり古いわけで、五十二年のときの通達では適正化というふうに申し上げております。それで現在いろいろこの問題について取り組んでおりますが、本来の姿といたしまして、この不払い料金は認可料金というわけではございませんで、当事者同士が話し合いでお決めになる。話し合いでお決めになっていろいろ合意に達せられたこともあるというふうに海運局等から報告を受けて聞いておりますが、そういった点を円満に話し合いで合意がなされれば大変結構なことでございますし、そういうことが十分にそのとおりに実施されるということがやはりこの業界の円満な発展というものに寄与するというふうに考えておりますので、私どももできるだけこういったことを前向きに処理をしていきたいと思っております。  で、具体的に申し上げますと、各地の海運局で、海運局がいろんなお話をされるときの仲立ちをして、お話し合いの場をできるだけつくっていくということをさしあたりやっておるわけでございます。
  286. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 横浜港の場合でございますけれども、昨年の十一月に横浜回漕協会と横浜港湾運送事業協同組合との間に基本料金については七一%を確保すると。私に言わせれば九〇%の七一%はずいぶん低いなと思いますけれども、その両者で七一%を確保するといったようなものを含めた内容ですね、これについて協定が結ばれたわけです、いまおっしゃったように両者間で。これは大変いいことですね、協定が結ばれたと。で、私は、こういうふうに結ばれて、そして無秩序の状態が起きないで改善できるんだなと。協定が結ばれたときにそう思いましたし、協定結んだ側としても、これでこう協定もきちっと結んだんだからスムーズにいくというふうにその当事者の方たちも思っていらっしゃったわけですわ。  ところが、この協定をことしの四月一日から実施に移すということになっていたんですけれども、その実施に移す四月一日に、その協定に参加した元請の役員さんが、三種業者、つまりはしけなどの業者の方の事務所に押しかけてきて、そんな協定は守れないと、こういうことで暴力事件が実は起きているわけなんですよ。せっかく協定を結んでも、実施のところで、しかも暴力ですね、こういうことがあったのね。これはとんでもないことですよ。つまり協定は結んだけれども暴力で破棄しようということですからね。これでは幾ら協定結んだってだめだと。    〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕 しかも実力の暴力だということになると、これはどういう事故につながらないとも限りませんしね。こういう事実、知っていらっしゃいましたか、おたくの方で。
  287. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) そのような暴力事件があったことは承知しておりませんでした。
  288. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうですか。じゃ、きょう私お知らせいたしますから、よくお調べいただきたいと思うわけです。  それで、少なくともこうやって努力して協定を結んだんだから、この協定をお互いに守るようにしなければいけないということは当然のことだと思いますので、子供のけんかと違いますからね。大人が、しかもある意図を持って入り込んできての暴力というのは、私は本当に一日待ってでも一日が心配なんでございます。ですから、きょうその事実を申し上げましたので、ぜひ具体的にいろいろ御調査をいただき、御指導も強めていただきたい。もうそれは必ずやっていただくということでお約束をしていただけますね。
  289. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 御趣旨のとおり取り計らいたいと思います。
  290. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、もう済みました、きょうは。  どうぞ大臣もよろしくお願いいたします。
  291. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣の方には後でお答えいただきますから、港湾局長、最初に答えていただきたいんですが、いま小笠原先生からも言われたんですが、私もけさからじっと各委員の質問を聞いておりまして、ますますわからなくなっちゃったんです。この五十二年の十二月二十三日の閣議決定に基づいてこの法改正が行われるようになっているわけだけれども、いろいろこの御答弁聞いておりますと、一切の業務は法人に承継するんです、運輸大臣の監督はちゃんと強化をしていきますと、こう言われているわけであります。で、そうしてくると、この法改正をしてこういうことにかえなくてはならないメリットというものは何だろうかということがさっぱりわからない。そこのところをちょっと総括的に、どうしてこの法改正をしなくちゃならないんだ、こういうメリットがあるからやるんですという、そこのポイントをまず聞かしてくれませんか。
  292. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 公団をつくりました理由は、この公団の業務が非常に国家的に重要な業務として認識をされておりまして、急速かつ大量にその整備をし、かつこれを有効、能率的に運営するという業務が非常に国家的に重要な業務だという観点が最初にございました。そういう観点から公団を設立したわけでありますが、そのうちの大きな部分がすでに終わったということから、その後そういう国の機関である公団でやる必要はなくなったというふうに考えております。で、国の機関である公団でやる必要はなくなったので公団は廃止をして、それではその仕事をどういうふうなやり方でやっていくのが今後一番円滑に進むだろうかという点を、五十二年以来四年間かかって検討をいたしたわけでございます。その結果、地方公共団体を主体として運営をするのが一番いいが、直接地方公共団体でなくて、法人をそれぞれが設立して受けていただくのが一番スムーズに行く方法だと、そういうふうになったわけでございます。
  293. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いや、そこがわからないんです。この昭和五十二年十二月二十三日の閣議決定は、この京浜、阪神両外貿埠頭公団を廃止をして業務を外貿埠頭の所在港湾の港湾管理者に移管するんだと決めたわけです。今度のこの法改正はそのとおりになさっているわけですか。
  294. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 港湾管理者に移管するということの中に、港湾管理者が別の法人をつくって、受けざらをつくって受けるということも含まれているというふうに私ども理解をいたしておりますので、そういう意味でこの五十二年の閣議決定の趣旨を受けておると考えております。
  295. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私の聞いていることに答えていただきたい。私が聞いているのは、五十二年十二月二十三日の閣議決定を遵守をして、そのとおりのことをやったのがこの法改正ですかといって聞いているんだから。
  296. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) そのとおりというあれが、趣旨を生かしてそれを実現に移したのがこの法改正でございますので、私どもはこの閣議決定を遵守していると考えておるわけでございますが。
  297. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃあ先へ進んで、いま二つある公団を四つの法人にするわけで、政府が出資したお金は、長期の年賦にはなるけれども、全部返しなさいってやるわけでしょう。政府が出したお金を全部返せといって取り上げて、何で運輸大臣の監督権、いつまでもそんなもの持ってるんですか。それだったらもういま言うとおりに、国家的な事業で大変だからといって手を出してやってきた、公団もつくって。しかし、ほぼそれもでき上がったことだし、もうこれ以上とやかくお国が何を言う必要はないから引き揚げましょう、そのかわり国が出したお金は全部返していただきますよと。だったら、そこにでき上がる、どこがということのあれはさておいて、そこでおまえさん方が自由にやりなさい、であって、何でそこへ従来以上にも運輸大臣の監督を強化するなんてやるんですか。
  298. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 運輸大臣が監督——強化という御旨でございますが、私どもは強化ではないと思っておりますが。
  299. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いや、あなたがそういう答弁をしたんだよ、きょう。
  300. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 強化ではなくて、必要最小限のものを残したと御答弁申し上げたわけですが、直接監督をすることにいたしておりますのは、東京、横浜、大阪及び神戸というような各港が全国向けの玄関である、そして、これらの場所における外貿埠頭の整備及び管理というのは、外国貿易の増進という国家的目的の実現のためのものでございます。  したがって、これは公団というような国の機関によって実施をさせたわけでありますが、これを指定法人に移管しましても、この業務がそういった国家目的を実現するための業務であるというその性格は変わらないというふうに私ども認識しておるわけでございまして、そういう性格が変わらない以上、やはり、外航海運政策との整合性を保持するとか、国の全般の港湾政策との整合性を保持するというような必要性がどうしても残るわけでございまして、その部分を担保するという意味で必要最小限の監督の権限を残したというふうに考えておるところでございます。
  301. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 だからわからなくなっちゃう。だったらいままでどおりにしておけばいいことでもって、私もこんな余分な委員会開いて時間つぶしやらされないでおった方が助かる。また、そのために関係の人たちがみんな、いろいろああでもない、こうでもない、時間つぶさにゃいかぬわけでしょう。いまの局長の答弁からいくと、法改正をやらないで現状どおりにしておけばよろしいんですということを言っておると同じことなんですよ、そこのところをよく……。  しかも竹田先生が聞いているときの点で、あれに関連して私はもう一回開くんだけれども、役員をふやさないんだなと言ったら、ふやさぬと言って局長答えているわけですよ。二つが四つになって、ともかく六人、十二人であったから、もう三人ずつとこれはっきりしておる。その三人の中で監事を一人とったら理事になるのは二人しかいないわけだ。それで理事長さんに一人なったら理事は一人になっちゃうわね、そう理解してよろしいわけ。
  302. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 先ほどなるべくふやさない、目安とするというふうに申し上げまして、似たような、このような場合に各港の実情等もございましょうから、どういうふうな形になるかは、これは設立された法人で決められる問題だと思っておりますが、行政改革の趣旨に照らしますと、そういう目安が必要だというふうに私どもは考えておるわけでございます。  で、常勤の理事というふうに先ほど申し上げまして、まあ場合によりましては、そのほかにいろんな知恵をかしていただくというような意味の非常勤の理事の方はある場合も多いと思います。
  303. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃ、もう一同よく聞きますから。先ほどの質問の中で言うならば、六人、六人、十二名、それ以上はふやしませんということで、それで念を押して間違いないなと竹田先と言っていたんだから、そのときのあなたの答弁は、局長、いまのような答弁の仕方していたのも私は聞いておった。だから、もう一回そこでもって念を押してお聞きをしておきます。  行政改革の一環として生まれてきてこういうことをやる形になったと、これは事実でしょう。そうしたならば、少なくとも、減らしてもふやす方向にいくことはあってはならないわけなんだから、ともかくトータルで十二名以上ふやさぬということ、お約束いたしますか。
  304. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 国の公団を、その主要な業務が終わって廃止をいたしまして地方に移管をする、で、移管をした形がこういう形になったわけでございますが、地方に移管をいたしまして、先ほど来お話し申し上げておりますように、運輸大臣の権限等につきましては、運輸大臣が将来も見ていかなければならない問題に最小限に限っておると私ども思っております。したがいまして、人事でございますとかそういったことについては、本来は国が関与するべきではないというふうに思いますが、先ほど来申し上げておりますように、行政改革の趣旨から見て現在の公団の理事の総数を上回らないのを目安にするのが望ましいというふうに私どもは思っておると申し上げたわけで、これをここでお約束を申し上げて、法人を設立します地方公共団体に、それ以上の理事にしてはいけないというようなことを私どもは決めるわけにはまいらないというふうに思っております。
  305. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 だからまた振り出しに戻って、何のためにこの法改正をおやりになるんですかという、そこのメリットがわかりませんと言うんですよ。
  306. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) 公団を廃止するところがメリットだと思っております。
  307. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃ、もうそろそろ大臣のお出ましをいただいて御答弁を聞かなくちゃいけないけれども、お金の問題とか、私、そういうこともいろいろお聞きしたいこと、これはもうきのうのうちにそちらに通告してあるんですから御用意なさっていると思うんだけれども、本当に朝から私は聞いておって、局長の答弁は聞けば聞くほどわからなくなっちゃう。ですから、先ほどからそういう答弁だったら、そんなむだ眼かけてこんなことをいじくり回さないで、もう現状どおりにしておけばいいことであって、少なくても行政改革の一環として端を発してきて、そして昭和五十二年の十二月の閣議決定でやるようになった。ところが、その閣議決定のときの決定ともこれは違うわけなんですよ、このいま出しているのは。何でそう違っているのかということも、先ほどからその点についての御答弁もないわけなんです。  それから、行政改革としてやる以上はそれなりのメリットのあるものでないと私はよくないと思うんです。少なくてもいままで国が出資したお金を、このお金をみんなやるから、そのかわりおかしなことにならぬようにちゃんとおまえたちでやっていけよというなら話は別だけれども、出した金は全部返せよと言って引き揚げるならば、もうおまえたちが自主的にこれからはやりなさい、もう国としてはとやかくは口は出さぬと。運輸大臣のそういう監督権も全部そんなものはもう持ちませんといって、わかりやすく言うならば、もう民間に準じたような形でやっていく。民間に準じた形でやったって、民間企業だっていろいろなことについてはそれはそれなりに所轄の監督官庁はいろいろなことについて言うことはできるわけですから、その辺の点がもう聞けば聞くほどわからなくなっちゃう。  ですから、そういう意味に立って今度は大臣の方から明確にお答えをしていただいて、この法改正の目的は何であってこういうメリットがあるからやるので、もう役員なんか絶対ふやさぬ、いま言うとおり十二名の中でそれは厳命すると、もしもそんなことをするのならばそれは私が持っておる監督権でそういうものは承認せぬぞという形でやらないと、こういうことをやったら必ずふえていくのはその下しゃないんです。行政改革でいっぱい特殊法人をつぶせつぶせと言われているのも、みんなそこなわけでしょう。わずか数年間働けば何千万と退職金もとるというようなことをやるから、ああいった問題で行政改革の対象になるんですからね。その辺でもって、もう細かいことよりか基本的なことを、どうか、それはわかりました、じゃあ賛成いたしましょうと言って賛成に手が挙げられるような御答弁をいただきたいと思います。
  308. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは先刻も小笠原さんの御質問にお答えしたようなことと同じような答弁になるわけでございますが、この外貿埠頭、公団の業務は当初は地方自治体、つまり港湾管理者がこれをやりたいと、こう言ってきたんです。この希望が強かった。しかし、急速に進むコンテナ化のこれに対応する港湾の整備というものは、なかなかの資本の集中が必要でございますし、人材もこれに相応して集中しなきゃならぬということから、とりあえず公団でやるということから発足いたしました。ところが、この十五年の間に公団の建設はほぼ目安がついてまいりまして、まだこれからの経済成長を見ましても、コンテナ埠頭をこれ以上どんどんふやしていかなきゃならぬという状況でもない。そういう背景がございましたことが一つ。したがって公団の一応の使命というものはややこれでめどがついたのではないかということが第一の要件であります。  それからもう一つは、行政改革というのが高度経済成長でついてきたぜい肉を落とすのだと、そのぜい肉はどこでふくれ上がったかというと、やはり公社、公団、事業団というのが異常にもふくれ上がった、そこで目的を達した公団、事業団というものは、場合によっては民間に移管したらいいではないかという御意見が実際強いことは御承知いただいておると思うんです。ところが、この港湾行政というのは先ほど局長も言っておりますように、国家的な任務から言って大変重要な行政でございますし、建設目的が済んだからそれじゃ民間に移行するということはこれは不可能である。それじゃ地方自治体にそのまま、つまり港湾管理者にそのままストレートに移管したらどうだろう。当然これも考えられるんです。考えられるんですけれども、それをするにいたしましても国のやはり債権は残っております。銭はこれを取り上げるのだったらもう渡したらいいじゃないかとおっしゃいますけれども、しかし、一方において金の問題だけで行政をやっておるわけじゃございませんで、一方においては専用埠頭ということで埠頭料を取っておるわけでございますし、使用料を取っておる、そういう関係が非常に絡んでまいります。  でございますから、ここで港湾管理者に移管するのはもっともではあるけれども、それが一番わかりやすい措置ではあるけれども、しかしストレートにそこにはなかなか行きにくい先ほど言ったような情勢があるから、とりあえず港湾管理者が主体となってつくった受けざら、法人、これをつくらしめてそこへ一たん移して、その上でこれを管理運営せしめたらどうだろう。そうすれば港湾管理者の所管しております港湾全体との間でうまく調和をとりながら、港湾管理者がその法人の経営に参画していくであろうと、こういう趣旨でやったわけでございます。したがって、これを四つに分けたというのは、それぞれの外貿埠頭と申しましても港湾の特殊性がございますので、港湾管理者が寄り道せずにそれを管理する方がいいという趣旨からこうしたのであります。  で、疑問をお持ちになるのは私は二点だろうと思う。一つはストレートに港湾管理者に渡したらいいのに何でこんな中途半端なことをやったんだと、この疑念が一点あると思うんです。これは、私は率直に申しまして、国のやはり巨大な資金をつぎ込んでおることが一つございますのと、その返済に対する管理ということもございますし、それからもう一つは、これのユーザーというものが、専用埠頭としてユーザーが結びついておりまして、これはやっぱり長い長期契約に基づいてユーザーというものがこの埠頭を利用する、そういう約束のもとに建設をしてきたことでもございます。ですから、ユーザーのやっぱり発言というものも何とかそこで相マッチするように港湾管理者との間に調和をとっていくようなことも国としては責任があるということでございまして、そういうことからこの方法をとったということが一つ。  それから二つのやつを四つに割ったというのは、先ほど申しましたように、そもそも港湾管理者が自分の外貿埠頭を自分の港湾管理の一環として管理し得られるようにする方が能率的であると思いまして、したがって、四つに割った、港湾ごとに分けたと。  そこで、理事、役員の問題になりますけれども、この法人はいわば管理法人のようなものでございますから、これが直接大きい事業をやろうと、将来において多少の増設だとか何かそのことをやらなきゃならぬかもわからぬ。けれども、それはその港湾全体の開発とあわせてやらなきゃなりませんので、この責任は港湾管理者の方にウエートがかかってくるであろうと思います。ですから、あくまでもやっぱり管理法人というようなものになるであろう。そうするならばそんなに多くの役員は要らない。しかも何と申しましょうか、兼任の役員もかなり就任されてもいいんではないかということでございますが、そうすると、現在専任に当たっております両公団の役員の大体この程度をめどに常勤の役員を考えてもらったら、いまの公団の役員は全部常勤の役員になっておりますが、この程度の常勤役員で維持管理できるんではないかと、こういう考えを持っておるのであります。  そういう点いろいろ考えましてこの方法をとったということでございます。なかなかそれはわかりにくいとは思いますけれども、しかし、行政改革というのは、一たんできたら組織制度というものを改革する場合に、極端に利害関係者が、あらゆる人が激変をするということ、これは一番避けなきゃならぬ。その激変緩和をするということの観点から考えますと、こういう方法がよかったと思っております。
  309. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それで、この職員の人たちというのは、現状の人たちをそのまま承継さして移していくわけでしょう。
  310. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 当然そのとおりになります。
  311. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃあ、職員はそのままもうふやしも減らしもせずにいくということなんだから、もう一回念を押してその役員の問題で確認をしておきたいけれども、今度は逆に役員の人件費のトータルというものにおいて現状よかふやさぬということについては明確にできますか。その点だけ明らかにしておいてください。
  312. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは私が先ほど来申しております趣旨から言って、当然そのように配慮し、法人を指導していくのがわれわれの務めだと思っております。
  313. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ほかの細かいこともうやめますんで、何といっても二つが四つになった。四つになって役員がふえていっちゃった。そして、もう役員がふえると、何だかんだ言ったって、しかも高い給料もらうのがそうやってふえていって、後になってみたら、何のことはない前よりはかえってそういうふうな金ばかりよけいかかるようなものになったではないかでは何にもならないんで、やっぱりこういうふうに変えてやっていったら、うん、なるほどよかった、政府としてもよかったし、そこで働いている人たちにとってもプラスになってよかったんだということでやるんでなかったら、こんな法改正する意味がないんで、ただいままで聞いたところからいくと、港湾局長、どんなにあなた、何て言ったってだね、それは小笠原先生も言うし、私も言うし、特に竹田先生の話のときは長く時間やって聞いていたんで、私は黙って聞いていたけれど、それはわからないんです。ですから、率直に言うならば、果たしてきょうの委員会でもってこの法案を採決まで持ち込んでいいんだろうかというのが率直な私の気持ちです。しかし、それはそんなこと言ってまたどうこうするわけにも簡単にいかないから、結末はつけなくちゃ私はいけないと思いますけれども、だから、きょうここで終わったら、これでほっとしないで、少なくとも港湾局長ね、いろいろ皆さん方から言われていて、もう一回おさらいをして、後へ禍根じゃなくて、さっきも言ったとおり、うん、法改正してよかったんだというふうに関係者にみんな思ってもらえるようなそういう点は十分配慮をしていただきたい、これは要望だけ申し上げて終わります。
  314. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  315. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 御異議ないと認めます。  速記とめて。    〔午後四時四十三分速記中止〕    〔午後五時四分速記開始〕
  316. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 速記起こして。     —————————————
  317. 黒柳明

    委員長黒柳明君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山内一郎君及び山本富雄君が委員辞任され、その補欠として岡田広君及び仲川幸男君が選任されました。     —————————————
  318. 黒柳明

    委員長黒柳明君) それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  319. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表して、外貿埠頭公団の解散及び業務の承継に関する法律案に反対の討論を行います。  第一、近代的港湾特に東京湾、大阪湾等においては、広域的なシステマチックな運営と管理が行われることによって、政府や地方自治体は効率的な物流を実現させ、産業と国民生活に貢献することがその任務であります。しかるに今回のこの処理は、それぞれの港湾において一つの公団を二つの法人に分離することになって、広域的、一元的な運営管理に逆行するものであって、世界的な趨勢と相反するものであります。  第二は、両埠頭公団の廃止が行政改革の一環として提起されたにもかかわらず、運輸省の監督指導の権限は少しも縮小されず、したがってまた、係の名前はなくなっても、人員的には少しも縮小されるものではありません。また、新たにつくられる法人の役員も増員され、頭でつからな不正常な組織ともなり、運輸官僚や地方の役人の天下りポストを準備することになりかねないことを恐れるものであります。行政改革の趣旨に合致するどころか相反するものであります。  第三、承継する法人は、国と地方の港湾管理者の双方から犠牲を強いられ、四つの法人間にたとえ協議会がつくられたにしても、格差が生まれるだけで、幾つかの法人は赤字経営に転落し、港のお荷物になる可能性がきわめて大きいからであります。公団の組織で、しかも理事長が同一人である今日でさえ、この傾向がうかがえるのであって、各港湾管理者の競争、ボードセーリングなどによって二重投資、過当競争、過剰サービスなどの不経済とむだと混乱とが起こる原因をつくるものであります。  第四は、法人の運営について、国は出資をやめ、無利子貸し付けということになりますが、このことは国の財政上の都合によって一方的に財政的な措置を縮小、減額されるおそれや利息の増額などのおそれがあることです。八〇年代の財政事情から考えますと、まさに国の援助は切り捨てられ、その分が地方自治体の負担や港湾労働者や埠頭利用者や国民に負担を負わされる結果を招きます。  こうした中途半端な形での法人による承継ということであるならば、若干困難性はあるにしても、地方自治体の港湾管理者の手に返し、それぞれの港として港湾管理者の権限のもとに一元的に運営さるべきであると考えます。  以上、主たる理由を申し上げたわけでありますが、港湾の一層の広域的組織的運営が実現され、港湾を一つのシステムとして把握し、ここで働く労働者の生活に不安や脅威を与えることのないように措置することを特に要望して討論を終わります。
  320. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  321. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  外貿埠頭公団の解散及び業務の承継に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  322. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、目黒君から発言を求められておりますので、これを許します。目黒君。
  323. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、ただいま可決されました外貿埠頭公団の解散及び業務の承継に関する法律に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     外貿埠頭公団の解散及び業務の承継に関する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、両公団から指定法人への移行が円滑に行われるふう港湾管理者、埠頭借受者、職員団体が緊密な連携をとるよう指導すること。  二、両公団の職員は、指定法人が雇用することとし、公団在職時に比べて処遇が不利益にならないよう誠意をもって対処すること。  三、指定法人の組織等については極力その簡素化を図るとともに、その責任体制の明確化を図るよう指導すること。  四、指定法人の運営にあたっては、埠頭借受者の意向が十分反映できるようにするとともに、埠頭借受者の負担が過重にならないよう配慮すること。  五、東京湾及び大阪湾における港湾の広域的な管理運営が図られるよう、指定法人により構成される協議会を設置し相互の連絡調整を行うこと  なお、埠頭の運営にあたっては、次の事項について要望する。  1港湾労働者の雇用に不安を起こさないよう十分配慮すること。  2「日本港運協会と船社」「日本港運協会と全国港湾労働組合」との二者協議体制を従来どおり維持継続させ、協議内容について十分尊重されること。  右決議する。  以上であります。
  324. 黒柳明

    委員長黒柳明君) ただいま目黒君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  325. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 多数と認めます。よって、目黒君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塩川運輸大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。塩川運輸大臣
  326. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) ただいま外貿埠頭公団の解散及び業務の承継に関する法律案につきまして、慎重審議の結果御可決いただき、まことにありがとうございました。  また、附帯決議につきましては、政府といたしましてその趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存でございます。  どうもありがとうございました。
  327. 黒柳明

    委員長黒柳明君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  328. 黒柳明

    委員長黒柳明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会