○桑名義治君
大臣の御
答弁も、私は全面的に否定はしません、
運賃問題についても。だけ
ども、現在のアメリカの
航空界が、自由化が進めば進むほど料金のダンピングが行われて、そしてついにはいま赤字に転落をしている、非常に赤字に苦しんでいるという
状況にある。そうしますと、単なる
国内の政策上の問題が、やはりそういう
航空業界の一社一社の
経営の中にまでいつの間にか大きな
影響を与えていくということは事実なんです。そういった立場から言いますと、ヨーロッパの方だって、先ほど申し上げましたように、イタリアあたりは一〇〇%の国の出資でございます。そうなってくると、これは、見えざるところに国の力というものが働いてくるわけですよ。確かに
大臣の言われることもわかりますけれ
ども、そういった前提の認識というものをしっかりした上で、この料金の問題も取り組んでいかなければ、最終的には話し合いがまとまらないのではないかと、こういうふうに思うわけでございます。
この問題はここで打ち切りたいと思いますが、次に、法案についての
方向性なりあるいは疑問点なりを少しお尋ねしておきたいと思います。
日本航空はいわゆるナショナルキャリアとしての
企業でございますが、ナショナルキャリアとしての
航空企業のあり方について、これは国の
事情によってそれぞれ異なっているわけでございます。先ほどから申し上げておりますように、米国は
民間の
企業にすべてを依存をしている。ところがヨーロッパ諸国では、
政府が全額出資をする等、きわめて手厚いいわゆる保護を与えているわけでございます。英国
航空あるいはルフトハンザ
航空、エア・フランス、こういうのは一〇〇%に近い
政府出資が行われており、国策
会社としての
性格が非常に強いわけでございます。しかるにわが国では、
日航に対する
政府出資比率を年々いままで段階的には引き下げてきて、現在は四〇・三%ということになっているわけでございますが、ことしまた、
政府の保有株が売却をされるということになりますと、三〇%台に落ちる、こういうことになるわけでございます。
そこで、今回のこの法案が提出をされた経緯、いきさつですね、これを考えてみますと、先ほどの御
答弁では、
日航の方からもこういった縛りを少し緩めてほしい、法を
改正してほしいという声があったので研究を続けていたというお話ではございますが、私たちあるいはまた国民の目から見た場合には、今回のこの法
改正が行われた最大の原因は何かと言えば、これは行政改革と財政再建ということが表に非常に大きく出ている。これが打ち出されてから、物すごいスピードでこの
法律の
改正というものに取り組んできたと、こういうふうな見方がどうしても根強く表に出てくるわけであります。そういった立場から考えますと、何となく今回の法
改正というものが、今後の世界の全体の立場から考えた場合に、いわゆるナショナルキャリアとしての
航空会社を残して置くべきであるか、あるいは完全な
民間委託の、そういう依存の米国型の
航空行政にしていくのか、そこの結論というものが完全に出て、そうして法
改正がなされるのかどうかということについて、私はどうしても多少の疑問が残るのです。
で、その考え方に立った場合に、
日本の場合はちょうどアメリカとヨーロッパの中間的な、足して二で割ったようなそういう
性格を帯びているように思われて仕方がないわけでございます。いまから先の
航空行政というものは、非常な厳しい局面に立っている。すごい
競争力に耐えていかなければならないという局面に立っているわけです。そういった場合に、わが国といたしましても、この
航空行政に対してどういう
方向づけで今後引っ張っていくのか、どういう
方向づけで
運営をしていくかというその理念が明確になっておらなければ、これは大きな蹉跌を来たす
一つの要因を生み出していくおそれもなきにしもあらず、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。