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説明員(
石堀俊夫君) 農林水産省におきます
昭和五十六年度
エネルギー対策関係予算につきまして、その
概要を御
説明申し上げます。
厳しい
石油・
エネルギー情勢に対処いたしまして、農林水産省におきましても農林水産業の振興及び農林水産業経営の安定という
見地から
省エネルギーの
推進、
石油代替エネルギーの
活用促進につきまして各種の
施策を講ずることといたしております。五十六年度の
エネルギー対策関係予算として約三十億六千万円を計上いたしておりまして、五十五年度の
予算に比べまして約一六%の伸びとなっております。
その内容につきまして配付してございます
資料に沿いまして御
説明申し上げます。
まず項目欄の一は、農林水産業全般にわたります
エネルギー対策の検討等を行うための
予算でございます。また二から五は、
施設園芸や漁業養殖等におきます
省エネルギー対策関連の
事業費、それから六から次のページの十二までが、
自然エネルギーや生物資源などの
石油代替エネルギーの
開発利用に関します
調査費、それから研究費でございます。最後のページでございますが、十三、十四、これが
省エネルギー技術や設備の
導入に際しましての資金の貸し付けでございます。
それでは、
資料の順序に従いまして
予算の内容につきまして御
説明申し上げます。
まず、最初の農林水産業
エネルギー対策でございますが、これは二つの部分から成っております。
一つは、農林水産業及び関連部門におきます
エネルギー消費の実態等の
調査を実施いたします。これに基づきまして、中長期にわたる
エネルギー消費の動向や
省エネルギー技術の普及の可能性等の検討、さらには
エネルギー制約下における今後の農林水産業のあり方の検討等を行うものでございます。
もう一つは、
太陽熱、風力等の
自然エネルギー、あるいは家畜排せつ物等を
活用した加温
技術、それから漁船の省燃油機器等の
開発による低燃費化
技術など、実用化段階に至っていない各種の
省エネルギー技術の実用化の
促進を行うものでございます。
予算額としましては、これらを合わせまして二億一千九百万円を計上いたしております。
それから次に、二の
施設野菜
省エネルギーモデル団地設置
事業として、十一億二千万円を計上してございます。これは
資料の
説明の欄にございますように、
施設内の温度や湿度、さらには炭酸ガス濃度等を複合的に制御することによりまして、
エネルギーの効率的
利用を図るとともに、野菜の生育を適正に管理する方式、あるいは日中
施設内で得られました
太陽熱を地中に蓄熱いたしまして、夜間にこれを取り出して
利用する方式、そうした方式などの
導入を図ることによりまして、
施設野菜生産における
省エネルギーの
推進を図る
事業でございます。
それから、三番目の高能率
施設花卉振興特別対策
事業は、ただいまの
施設野菜とほぼ同様の内容でございます。
施設内の温度、湿度等を複合的に制御するとともに、
石油にかわる熱源として温泉熱等の
利用を図ることによりまして、
施設による花卉栽培の
省エネルギー化を
推進することといたしまして、約一億円の
予算を計上いたしております。
次の省資源養殖パイロット
事業、これは五十四年度と同額の三億円としております。この
事業は、従来は養魚用水の循環ろ過による
利用合理化を図るために実施しておったわけでございますが、五十五年度からはこのほか現在
石油による加温を行っておりますウナギ養殖等への
太陽熱の積極的
利用を図る
施設等の
導入を行いまして、養殖漁業の
省エネルギーを
推進することにいたしております。
次の特定農水産物加工
利用増進等
事業におきましては、省資源、
省エネルギー関係の
施設のリースによる
導入に対しましての
助成を行うということでございます。
次に、
調査でございますが、ソフト
エネルギー利用基礎
調査では、灌漑等の土地改良
事業における風力
エネルギー利用の実用化についての基礎
調査を新たに実施することとしております。これは
予算上は沖繩
開発庁分として計上してございますが、農林水産省で行うことになっております。
次のページにまいりまして、七の農業用地下水
調査・新
技術開発調査、地熱水の
利用でございますが、この地熱水を
施設園芸等の農業用に
活用するために、火山地帯を中心に地熱水
開発の
技術手法を確立するための
調査でございます。五十六年度は地熱水の
開発可能地を明らかにする
調査を中心に行うことにしております。
八番目にございます森林系
エネルギー活用促進調査事業におきましては、二千三百万円を計上しております。この
調査につきましては、すでに五十五年度に製材工場の廃材ですとか、伐採後の残材などのいわゆる本質系
エネルギー、これにつきましての基礎
調査を行っておりますが、五十六年度は、その成果を踏まえまして、具体的な農山村
地域を対象に、本質系
エネルギーに代表されますところの森林系
エネルギーを
ローカルエネルギー源として
活用促進を図るための
調査を行うことにいたしております。
九番目にございます冷熱多目的
利用推進調査につきまして、これもすでに五十二年度から五十五年度まで
LNG冷熱を
利用した食品工業団地を形成する場合の社会
経済的諸問題について
調査してまいりましたが、五十六年度にはこの結果を踏まえまして、
LNGの気化冷熱を食品産業に多目的に
利用する方法に着目して
調査を行うこととしております。
次にございます農林水産業における
自然エネルギーの効率的
利用技術に関する総合研究、いわゆるグリーンエナジー計画でございますが、これは植物の光合成機能や窒素固定機能等の物質生産能力を飛躍的に高めるための
技術を
開発することによりまして、
エネルギーの
利用効率を増大させるとともに、作物の生育に好適な環境を省資源、
省エネルギー的につくり出す
技術の
開発、さらには
太陽熱や
地熱等の
自然エネルギーの
利用技術の
開発等を行う総合的な
プロジェクト研究でございまして、五十三年度から十カ年の計画で実施いたしております。五十六年度は、これまで行っております
エネルギー資源の分布や
利用に関する研究、光合成や窒素固定機能に関する研究、あるいは
太陽熱の
利用に関する研究等に加えまして、これらの研究成果を実用化に移すための実証研究等を新たに追加することにいたしまして、九億五千七百万円の
予算を計上いたしております。
さらに、次の生物資源の効率的
利用技術の
開発に関する総合研究、いわゆる
バイオマス変換計画でございますが、再生可能な生物資源につきまして、
エネルギーとしての
利用を含めて多面的に
利用するための
技術を
開発することといたしまして、
地域生態系に即して生物資源を効率的に
利用する
システムを確立しようとするものでございます。五十五年度は
調査研究ということでございましたが、五十六年度は、この
調査研究結果を踏まえまして本格的な研究に着手するということで、
予算も二億四千百万円を計上いたしております。
次の
施設園芸におきます
石油節減緊急対応
技術は、
石油供給の逼迫と高価格の中で、今後の
施設野菜需要の伸びに合わせまして、必要
供給量を
確保しながら
石油使用量を
節減するための耐低温性品種の選定、あるいは栽培法の改善等を含めた総合
技術の
開発を行うものでございまして、一千三百万円を計上いたしております。
最後のページでございますが、十二の農業改良資金でございます。これは御承知のとおり、国と都道府県で造成いたしました資金を、農業者や農業者団体が能率的な農業
技術を
導入する場合等におきまして必要な資金を無利子で貸し付けるものでございます。この農業改良資金につきまして、五十五年度から新たに温室等の生産
施設、家畜の飼養
施設及び穀類の乾燥
施設等に
太陽熱ですとか、もみがら等の農業副産物の燃焼熱を
利用するというような
省エネルギー技術を
導入する場合におきましても貸し付けの対象とすることとしております。貸付枠は二十億円を予定いたしております。
最後に、沿岸漁業改善資金でございますが、五十五年度から新たに
燃料油消費
節減機器等設置資金の貸し付けを行うこととしたところでございますが、この沿岸漁業改善資金も農業改良資金と同様でございまして、国と都道府県とで造成しました無利子の貸付資金でございまして、沿岸漁業の従事者や、その団体が、低燃費機関等を漁船へ
導入することによりまして
省エネルギーを図る場合に貸し付けの対象としようというものでございまして、この場合の貸付枠は三億二千万円を予定いたしております。
以上で農林水産省におきます
昭和五十六年度の
エネルギー関係予算の
概要の御
説明を終わります。