○辻(第)
分科員 私は、奈良県吉野郡大淀町の大淀旭ケ丘小
学校に対しての部落解放同盟の不当な教育介入の問題について
質問をいたします。
この吉野郡大淀町の大淀旭ケ丘小
学校、これは桜で有名な吉野山に数キロというところの農村地帯です。生徒が二百十六名、
教員は校長以下十一名、非常に小さい小
学校で問題が起こったわけでありますが、この小
学校は、自分だけがわかればよいという教育ではなく、仲間づくりを大切にし、子供同士がお互いに励まし合い教え合ってみんなが成長していく、このような教育を目指して班学習などを取り入れてきたわけでございます。
このような
学校で、一昨年の十二月、五年生の家庭科の時間における児童の発言の一部をとらえて部落解放同盟が、これを差別発言として同校の
教員の糾弾に出たのであります。
学校の
調査によりますと、児童のやりとりはおよそ次のとおりです。家庭科の時間に授業に集中できない、足をぶらぶらさせているA君がいました。たまたま前に座っていたB君のいすに何回か足が当たったので、B君が、「いま、遊びの時間と違うぞ」と注意をしました。A君が、「ちょっとぐらい遊んでもええやん」こういうふうに言い返したことに対してB君が、「そんなことしとるさかいアホになるんや。おまえみたいなんおるよって比曽が部落されるんや」と言った、こういうものであります。これを差別発言だということで確認会、糾弾会ということを
学校当局に申し入れをしてきた、このような問題であります。
もちろん私
どもは、これは差別発言ではなしに逆に子供を励ましている、このような発言である、このように
先生方も考えておられるし、私
どももそれを支持しているわけでありますけれ
ども、この問題で去年確認会を申し入れ、
先生方は、そういうものには出られない、このような差別発言でないものを確認会に出る必要はないし、教育の場で起こった問題だから教育の場で解決をしていく、話し合いならやりましょう、こういう態度で事が進んでいったわけであります。
これで昨年の初めごろは済んでおったわけでありますが、今度は十一月の段階になりまして、再度、糾弾会の申し入れということになりました。
先生方は、それは出られない、こういうことになりますと、解放同盟は一月二十六日、二十七日に座り込みをやる。
学校の前で数十人が座り込みをやる。一月二十八日には同盟休校に入る。そしてその同盟休校も、同じ大淀町にもう一カ所同和
地域があるわけでありますが、そこの子供、ここは非常に多いのですが、百八十三名の児童のうちの百四十一人が一日目は同盟休校する、二日目は百二十七人が同盟休校する。隣の同和
地域の子供まで同盟休校に入る。この
学校の同和
地域の子供はたしか二十九名だったと思うわけでありますが、そのうち、
最初はたしか二十名同盟休校に入って、それからずっと、少ないときは十三名、多いときはまたふえるというようなことで、現在もまだ同盟休校が続いておる。もう一月を超えました。こういう状態であります。
そしてこの二月九日の、部落解放同盟が出しております解放新聞を見てみますと、この部落解放同盟が集会をやっておる。その集会に解放同盟の県運の執行委員が、狭山再審闘争とあわせた闘いである、こういうことを訴えておるのが解放新聞に載っておるわけであります。こういうふうな状態が現在まで続いておるというのが
現状でございます。
しかも、何回も糾弾会に出ろということが繰り返されるわけでありますが、
先生方は当然、そういう糾弾会には出られない、話し合いなら出られるけれ
ども、糾弾会には出られないということで拒否をして今日までずっと来られたわけであります。たとえば二月二十一日、この段階では、土曜日ですから昼から糾弾会をやる、
先生方は県民集会をやるというような、そういう形があったわけでありますが、十一時四十五分に授業が終わるわけです。
先生方が出ようと思っても、その小
学校の道々に、三カ所か四カ所しか道がないそうですけれ
ども、何十人という人が邪魔をするわけですね。たむろしておるという状態の中で、もう
先生が出られない。どんどんふえて、無論、向こう、解放同盟を中心に集会をやった数百人がしまいは取り巻く。中には、この写真にあるようなヘルメットをかぶった、昔はやった言い方で言えば黒ヘル集団というようなのが数十人おる、こういう状態ですね。結局、
先生は約五時間少し
学校を出られない、こういうような状態が起こった。それでその午後、
学校の
先生を誹謗したビラがたくさんばらまかれる。また、
学校の
先生には尾行がつくとか、それから、もう最近になりますと
学校の
先生の実家ですね、自分の住まいでなしに実家のところまで、その糾弾に応じなければ
先生を誹謗したビラをその近所へ張り回すぞというようなことまで起こる。夜中も電話がかかるというような、こういう状態になっているのが
現状でございます。
こういう状況の中で、私は、この大人の運動あるいは主義、主張のために、義務教育である小
学校の児童を
学校に登校させない、同盟休校というような不法な手段を行っている、こういうことは本当に許せない。子供の学習権を奪い、教育の中立性、自主性までもじゅうりんをしておる。こういうことでは本当に
学校教育の
基本まで踏みにじられる、こういう問題であろうというふうに私は考えるわけであります。
そこで、この問題を一日も早く解決をし、旭ケ丘小
学校を正常化させなければならないというふうに私は考えて
質問をするわけですが、これまでも部落解放同盟は、たとえば奈良県でも、自分の意見が通らなければ同盟休校に訴えるということがありました。こういうふうに、教育の中立性、自主性、こういうものを侵害するようなこういう問題は、本当にこれからなくしていただく、そのためにも
質問をしたいというふうに思うわけであります。
まず第一に、国の同和教育に関する
考え方は次の三点に集約される、こういうふうに思っております。私、ちょっと読ましてもらいます。
「
日本国憲法と教育
基本法の精神にのっとり
基本的人権尊重の教育が全国的に正しく行われることを推進する。」これが一番目です。
二番目は、「全国民の正しい認識と理解を求めつつ、具体的展開の過程においては、
地域の実情を十分把握しこれに即応した配慮に基づいた教育を推進する。」
三番目、これが一番大切だと思うのですが、「同和教育を進めるに当たっては、同和教育と
政治運動や
社会運動との
関係を明確に区別し、「教育の中立性」が守られるよう留意する。」このようにされているわけであります。
特に、国の同和教育に関する
考え方、いま私が読ましていただいた点に集約されると思うのですが、その点はいかがでしょう、
大臣にお答えいただきたいと思います。